高周波電力供給システム
高周波電力供給システムは、高周波電源1の出力端Aから負荷L側の回路で発生する異常を検出する異常検出装置3を備える。異常検出装置3は高周波の進行波の電圧値Vfを検出する第1検波部21と、高周波の反射波の電圧値Vrを検出する第2検波部22と、進行波電圧値Vfと反射波電圧値Vrとから反射係数の微分値dΓ/dtを演算する反射係数演算部23及び微分演算部24と、反射係数の微分値dΓ/dtに基づいて異常発生の有無を判定する異常判定部25とで構成される。異常検出装置3から高周波電源1に異常検出信号が出力されると、高周波電源1の電力出力動作は停止させる。
(選択図 図1)
(選択図 図1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電源からインピーダンス整合器を介してプラズマ処理装置等の負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図23は、従来の高周波電力供給システムの基本構成例を示す図である。この高周波電力供給システムは、高周波電力を出力するための高周波電源51と、高周波電源51の入力インピーダンスと負荷インピーダンスとを整合するためのインピーダンス整合器53と、例えばプラズマ処理装置からなる負荷Lとで構成されている。インピーダンス整合器53は、高周波電源51に同軸ケーブルからなる伝送線路52を介して接続されている。負荷Lは、インピーダンス整合器53に、電磁波が漏洩を防止するために遮蔽された銅板等からなる負荷接続部54を介して接続されている。
【0003】
高周波電源51は、負荷Lに対して高周波電力を供給するための装置である。高周波電源51は、図示しない電力増幅回路及び発振回路等を備え、所定の電力に設定された高周波電力を伝送線路52を通じてインピーダンス整合器53に出力する。
【0004】
インピーダンス整合器53は、その入力端から高周波電源51側を見た入力インピーダンスと、その入力端から負荷L側を見た負荷インピーダンスとを整合させるためのものである。インピーダンス整合器53は、高周波電源51の出力を効率よく負荷Lに供給するのに用いられる。負荷Lは、エッチング又はCVD等の方法を用いて半導体ウェハ及び液晶基板等の被加工物を加工するための装置である。
【0005】
上記高周波電力供給システムでは、高周波電源51から負荷Lに高周波電力が供給されている間、負荷Lが変動し、高周波電源51と負荷Lとの間にインピーダンスの不整合が発生する。そのため、高周波電力供給システムでは、負荷Lの変動に応じてインピーダンス整合器53内の可変インピーダンス素子(図略)のインピーダンス値を自動的に変化させて、高周波電源51と負荷Lとの間のインピーダンスを整合させるようになっている。
【0006】
ところで、上記高周波電力供給システムにおいて、例えば負荷Lであるプラズマ処理装置でガス圧の変化や放電温度の上昇によりアーク放電が生じたり、絶縁破壊が生じたりする異常状態が発生すると、負荷Lのインピーダンスが急変する。そのため、高周波電力供給システムでは、インピーダンス整合器53の整合動作が十分に追従できなくなり、場合によってはインピーダンス整合が取れない状態が生じる。このような場合、インピーダンス不整合により高周波電源51に戻ってくる高周波電力の反射波が非常に大きくなり、高周波電源51を損傷する虞がある。また、負荷Lの損傷箇所にも高周波電力が供給され続けるため、その損傷箇所の被害を増大する虞がある。
【0007】
高周波電力供給システムでは、伝送線路52及びインピーダンス整合器53等の高周波電源51と負荷Lとの間の線路上で、絶縁不良、絶縁破壊又はコネクタの接触不良等の異常が発生した場合もその部分でのインピーダンス不整合が発生する。そのため、高周波電力供給システムでは、高周波電源51への反射波電力が増大し、当該高周波電源51の損傷又は線路上の異常発生箇所の損傷拡大を招くことになる。
【0008】
このような異常が発生した場合は、直ちに高周波電力供給を停止する等の安全対策を講じることが望ましい。しかし、従来の高周波電力供給システムは、上述の異常を検出して安全対策を講じる構成となっていなかった。
【0009】
一方、高周波技術においては、負荷への電力供給効率を示すパラメータとして反射係数及びリターンロス等が周知であり、これらのパラメータを用いれば、高周波電源51を損傷する虞のある反射波電力を知ることができる。そのため、例えば日本国特開2000−299198号公報に示されるように、反射係数Γを用いて負荷側の状態を監視し、例えば反射係数が所定の基準値を超えるか否かにより異常を検出して安全対策を講じることが考えられる。
【0010】
しかし、この方法では、反射係数の大きさが基準値を超えなければ異常とされない。そのため、反射係数の変化状態によっては、負荷側に異常が発生しているにも拘わらず異常と判定されず、この方法は、安全対策のレスポンスが十分とは言えない。例えば図24及び図25は、時間の経過にともなう反射係数の変化を表した図である。図24は、基準値を超えない範囲で瞬間的に反射係数が異常に増大する場合を示す。図25は、基準値を超えない範囲で反射係数が増大するときが断続的に続く場合を示す。図24及び図25に示す場合等では、その反射係数が変化するときに負荷側に異常が発生してもその異常が検出されない。また、異常が拡大して反射係数が基準値を超えたとき、その異常が検出されることになるため、安全対策用の検出方法としては十分とは言えない。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、または抑制し得る高周波電力供給システムを提供することをその目的としている。
【0012】
本発明の第1の側面によって提供される高周波電力供給システムは、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量を演算する微分演算手段と、上記微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴としている(請求項1)。
【0013】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超えたとき、異常発生と判定する(請求項2)。
【0014】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する計数手段を備え、この計数手段によって計数された回数が所定の基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項3)。
【0015】
好ましくは、上記高周波電力供給システムにおいて、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する演算手段を更に備え、上記異常判定手段は、上記微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量と上記演算手段により演算された反射係数の大きさとに基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する(請求項4)。
【0016】
上記構成によれば、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力が供給されているとき、上記高周波電源の内部、高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部の任意の検出点において、例えば電力値及び電圧値等の高周波の進行波に関する情報(以下、進行波情報という。)と反射波に関する情報(以下、反射波情報という。)とが検出され、これらの進行波情報と反射波情報とに基づいて、反射係数Γの大きさの単位時間当たりの変化量(以下、反射係数の微分値dΓ/dtという。)が算出される。
【0017】
そして、この反射係数の微分値dΓ/dtに基づいて、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。例えば反射係数の微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超えたとき、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。また、反射係数の微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の基準回数を超えたとき、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常発生と判定される。
【0018】
このように、反射係数の微分値dΓ/dtに基づいて、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定されるので、図24及び図25に示したような、反射係数が瞬間的に増大したり、反射係数が増大する状態が断続的に継続したりして異常が発生した場合にも可及的速やかに異常と判定することができる。
【0019】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超え、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超えたとき、異常発生と判定する(請求項5)。
【0020】
好ましくは、上記高周波電力供給システムにおいて、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する第1の計数手段と、上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超える回数を計数する第2の計数手段と、を備え、上記第1の計数手段によって計数された回数が予め設定された第1基準回数を超え、かつ、上記第2の計数手段によって計数された回数が予め設定された第2基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項6)。
【0021】
好ましくは、上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定する(請求項7)。
【0022】
上記構成によれば、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力が供給されているとき、進行波情報と反射波情報とが検出され、これらの進行波情報と反射波情報とに基づいて、反射係数Γの大きさとこの反射係数の微分値dΓ/dtとが算出される。そして、この反射係数Γの大きさと反射係数の微分値dΓ/dtとに基づいて、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。
【0023】
例えば反射係数Γの大きさが所定の第2基準値を超え、かつ、反射係数の微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超えたとき、上記高周波電源の内部、高周波電源の高周波電力の出力端部からインピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定された検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。また、反射係数Γの大きさが所定の第2基準値を超える回数が所定の第2基準回数を超え、かつ、反射係数の微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の第1基準回数を超えたとき、上記伝送線路上に設定された検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。
【0024】
このように、反射係数の微分値dΓ/dtに加え反射係数Γの大きさを加味して、上記伝送線路上の任意の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定されるので、上述した異常判定の精度が向上する。
【0025】
本発明の第2の側面によって提供される高周波電力供給システムは、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第1の微分演算手段と、上記負荷に対する入力電圧を検出する第3の検出手段と、上記負荷に対する入力電流を検出する第4の検出手段と、上記第3の検出手段により検出された出力電圧と上記第4の検出手段により検出された出力電流とに基づいて、当該第3,第4の検出手段の検出点から負荷側を見たインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第2の微分演算手段と、上記第1の微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量と、上記第2の微分演算手段により演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量とに基づいて、上記第3,第4の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴としている(請求項8)。
【0026】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超え、かつ上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定する(請求項9)。
【0027】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する第1の計数手段と、上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段とを備え、上記第1の計数手段によって計数された回数が所定の第1基準回数を超え、かつ上記第3の計数手段によって計数された回数が所定の第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項10)。
【0028】
上記構成によれば、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力が供給されているとき、上記高周波電源の内部、高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部の任意の検出点において、例えば電力値及び電圧値等の高周波の進行波情報と反射波情報が検出され、これらの進行波情報と反射波情報とに基づいて、反射係数Γの微分値dΓ/dtが算出される。
【0029】
また、上記インピーダンス整合器の内部から負荷との間の線路上において、上記負荷に対する入力電圧と入力電流とが検出され、これらの入力電圧と入力電流に基づいて、インピーダンスZの大きさの単位時間当たりの変化量(以下、インピーダンスZの微分値dZ/dtという。)が算出される。
【0030】
そして、上記反射係数Γの微分値dΓ/dtと、上記インピーダンスZの微分値dZ/dtとに基づいて、負荷側の回路における異常の発生が判定される。例えば反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超え、かつ上記インピーダンスZの微分値dZ/dtが予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、負荷側の回路における異常の発生が判定される。また、反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の第1基準回数を超え、かつインピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の第3基準値を超える回数を所定の第3基準回数を超えたとき、負荷側の回路における異常発生と判定される。
【0031】
このように、反射係数Гの微分値dГ/dt及びインピーダンスZの微分値dZ/dtにより異常検出を行うと、負荷L側での異常を確実に検出することができる。すなわち、反射係数Гの微分値dГ/dtを求めることにより、高周波電源の出力端から負荷側に至る回路において異常が生じたことを検出することができるが、反射係数Гの微分値dГ/dtのみでは、負荷のみで生じる異常を特定したい場合、それを特定することは困難である。高周波電源の出力端から負荷側に至る回路には、伝送線路やインピーダンス整合器が含まれているからである。一方、負荷の入力端においてインピーダンスZを測定するのみでは、負荷では通常、被加工物の加工中においてインピーダンスが多少なりとも変動するので、異常と判定するための基準値を定めることは難しく負荷に生じる異常を検出することは困難である。そこで、本発明では、反射係数Гの微分値dГ/dtに加えてインピーダンスZの微分値dZ/dtを求めることにより、特に負荷における異常を特定してそれを確実に検出するようにしている。
【0032】
なお、インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量に対する第3基準値は、正常値よりも小さい値に設定してもよいし、大きい値に設定してもよい。第3基準値を正常値よりも小さい値に設定した場合は、演算値が第3基準値よりも大きい値から第3基準値よりも小さい値になったときが、第3基準値を超えたときである。また、第3基準値を正常値よりも大きい値に設定した場合は、演算値が第3基準値よりも小さい値から第3基準値よりも大きい値になったときが、第3基準値を超えたときである。
【0033】
好ましくは、上記高周波電力供給システムにおいて、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する演算手段を更に備え、上記異常判定手段は、上記第1の微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量、上記演算手段により演算された反射係数の大きさ、及び上記第2の微分演算手段により演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第3,第4の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する(請求項11)。
【0034】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超え、上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超え、更に上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定する(請求項12)。
【0035】
好ましくは、上記高周波電力供給システムにおいて、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する第1の計数手段と、上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超える回数を計数する第2の計数手段と、上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段と、を備え、上記第1の計数手段によって計数された回数が予め設定された第1基準回数を超え、上記第2の計数手段によって計数された回数が予め設定された第2基準回数を超え、更に上記第3の計数手段によって計数された回数が予め設定された第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項13)。
【0036】
上記構成によれば、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力が供給されているとき、進行波情報と反射波情報とが検出され、これらの進行波情報と反射波情報とに基づいて、反射係数Γの大きさとこの反射係数Γの微分値dΓ/dtとが算出される。また、上記負荷に対する入力電圧と入力電流とが検出され、これらの入力電圧と入力電流とに基づいて、インピーダンスZの微分値dZ/dtが算出される。そして、この反射係数Γの大きさと反射係数Γの微分値dΓ/dtとインピーダンスZの微分値dZ/dtとに基づいて、負荷側の回路における異常の発生が判定される。
【0037】
例えば反射係数の微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超え、反射係数Γの大きさが所定の第2基準値を超え、インピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の第3基準値を超えたとき、負荷側の回路における異常の発生が判定される。また、反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の第1基準回数を超え、反射係数Γの大きさが所定の第2基準値を超える回数が所定の第2基準回数を超え、かつインピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の第3基準値を超える回数が所定の第3基準回数を超えたとき、負荷側の回路における異常の発生が判定される。
【0038】
このように、反射係数Γの微分値dΓ/dt及びインピーダンスZの微分値dZ/dtに加え反射係数Γの大きさを加味して、上記負荷側の回路における異常の発生が判定されるので、上述した異常判定の精度が向上する。
【0039】
好ましくは、上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定され、上記第3,第4の検出手段の検出点は、上記インピーダンス整合器の内部から負荷との間の線路上に設定される(請求項14)。
【0040】
本発明の第3の側面によって提供される高周波電力供給システムは、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の対数値を演算する対数反射係数演算手段と、上記対数反射係数演算手段によって演算された反射係数の対数値を所定の周期で順次記憶する対数反射係数記憶手段と、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値と1つ前の記憶値とに基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴としている(請求項15)。
【0041】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のときに異常発生と判定する(請求項16)。
【0042】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のときの回数を計数する第4の計数手段を備え、この第4の計数手段によって計数された回数が予め設定された第4基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項17)。
【0043】
好ましくは、上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されている(請求項18)。
【0044】
上記構成によれば、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力が供給されているとき、上記高周波電源の内部、高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部の任意の検出点において、例えば電力値や電圧値等の高周波の進行波に関する進行波情報と反射波情報が検出され、これらの進行波情報と反射波情報とに基づいて、反射係数Γの対数値(logГ)が算出される。この反射係数Γの対数値logГは、記憶部に所定の周期Δtで順次記憶される。
【0045】
そして、反射係数Γの対数値logГの最新の記憶値と1つ前の記憶値とから単位時間当たりの変化の仕方に基づいて異常発生を判定するようにしている。
【0046】
なお、上述した他の構成例のように、反射係数Гの微分値dГ/dtを用いないのは、反射係数Гが小さい範囲と大きい範囲とでは、反射係数Γの対数値logГの変化量が異なるので、単純に基準値と比較して異常か否かを判定できないためである。そのため、反射係数Гの微分値dГ/dtを用いることなく、かつ瞬時に異常検出が可能とするために、反射係数の微分値を演算する場合と同様に、反射係数の最新の記憶値と1つ前の記憶値とを用いて、その単位時間当たりの変化の仕方に基づいて進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常判定を行うようにしている。
【0047】
例えば、記憶値が予め設定された第4基準値以上で、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のとき、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。また、最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上で、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のときの回数が予め設定された第4基準回数を超えたとき、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。
【0048】
このように、上記構成では、対数を用いているので、高周波の入力を広い範囲で許容することができる。また、反射係数Гの対数値logГを求める際に、反射波情報の対数から進行波情報の対数を減算するという形で行うことができるので、除算回路を用いる必要がなく、その回路構成を容易なものにすることができる。
【0049】
本発明の第4の側面によって提供される高周波電力供給システムは、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の対数値を演算する対数反射係数演算手段と、上記対数反射係数演算手段によって演算された反射係数の対数値を所定の周期で順次記憶する対数反射係数記憶手段と、上記負荷に対する入力電圧を検出する第3の検出手段と、上記負荷に対する入力電流を検出する第4の検出手段と、上記第3の検出手段により検出された入力電圧と上記第4の検出手段により検出された入力電流とに基づいて、当該第3,第4の検出手段の検出点から負荷側を見たインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第2の微分演算手段と、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値、1つ前の記憶値及び上記第2の微分演算手段によって演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第3,第4の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴としている(請求項19)。
【0050】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下であり、かつ上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定する(請求項20)。
【0051】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のときの回数を計数する第4の計数手段、及び上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段を備え、上記第4の計数手段によって計数された回数が予め設定された第4基準回数を超え、かつ上記第3の計数手段によって計数された回数が所定の第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項21)。
【0052】
好ましくは、上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されており、上記第3,第4の検出手段の検出点は、上記インピーダンス整合器の内部から負荷との間の線路上に設定されている(請求項22)。
【0053】
上記構成によれば、対数を用いるという効果に加え、インピーダンスZの微分値dZ/dtを用いることにより、特に負荷における異常を特定してそれを確実に検出することができる。
【0054】
本発明の第5の側面によって提供される高周波電力供給システムは、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する反射係数演算手段と、上記反射係数演算手段によって演算された反射係数の大きさを所定の周期で順次記憶する反射係数記憶手段と、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値と1つ前の記憶値とに基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴としている(請求項23)。
【0055】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のときに異常発生と判定する(請求項24)。
【0056】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のときの回数を計数する第5の計数手段を備え、この第5の計数手段によって計数された回数が予め設定された第5基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項25)。
【0057】
好ましくは、上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されている(請求項26)。
【0058】
上記構成によれば、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力が供給されているとき、上記高周波電源の内部、高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部の任意の検出点において、例えば電力値や電圧値等の高周波の進行波に関する進行波情報と反射波情報が検出され、これらの進行波情報と反射波情報とに基づいて、反射係数Γが算出される。この反射係数Γは、記憶部に所定の周期Δtで順次記憶される。
【0059】
そして、反射係数Γの最新の記憶値と1つ前の記憶値とから単位時間当たりの変化の仕方に基づいて異常発生を判定するようにしている。
【0060】
例えば、記憶値が予め設定された第6基準値以上で、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のとき、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。また、最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上で、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のときの回数が予め設定された第5基準回数を超えたとき、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。
【0061】
このように、反射係数の微分値を演算する場合と同様に、反射係数の最新の記憶値と1つ前の記憶値とを用いて、その単位時間当たりの変化の仕方に基づいて進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定されるので、図24及び図25に示したような、反射係数が瞬間的に増大したり、反射係数が増大する状態が断続的に継続したりして異常が発生した場合にも可及的速やかに異常と判定することができる。
【0062】
また、最新の記憶値に対する基準値と1つ前の記憶値に対する基準値とを設定しているので、異常の定義をより簡単で明確なものにすることができる。
【0063】
本発明の第6の側面によって提供される高周波電力供給システムは、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する反射係数演算手段と、上記反射係数演算手段によって演算された反射係数の大きさを所定の周期で順次記憶する反射係数記憶手段と、上記負荷に対する入力電圧を検出する第3の検出手段と、上記負荷に対する入力電流を検出する第4の検出手段と、上記第3の検出手段により検出された入力電圧と上記第4の検出手段により検出された入力電流とに基づいて、当該第3,第4の検出手段の検出点から負荷側を見たインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第2の微分演算手段と、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値、1つ前の記憶値及び上記第2の微分演算手段によって演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴としている(請求項27)。
【0064】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下であり、かつ上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定する(請求項28)。
【0065】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のときの回数を計数する第5の計数手段、及び上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段を備え、上記第5の計数手段によって計数された回数が予め設定された第5基準回数を超え、かつ上記第3の計数手段によって計数された回数が所定の第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項29)。
【0066】
好ましくは、上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されており、上記第3,第4の検出手段の検出点は、上記インピーダンス整合器の内部から負荷との間の線路上に設定されている(請求項30)。
【0067】
上記構成によれば、反射係数の最新の記憶値と1つ前の記憶値とを用いて異常判定を行うことの効果に加え、インピーダンスZの微分値dZ/dtを用いることにより、特に負荷における異常を特定してそれを確実に検出することができる。
【0068】
好ましくは、上記異常判定手段により異常発生と判定されたとき、上記高周波電源から出力される電力量を減少方向に変更する出力電力変更手段を更に備える(請求項31)。
【0069】
好ましくは、上記出力電力変更手段は、上記高周波電源から出力される電力量をゼロにする(請求項32)。
【0070】
好ましくは、上記出力電力変更手段により上記高周波電源の出力電力量が変更されると、第1の所定時間の経過後に上記高周波電源の出力電力量を元の出力電力量に復帰させる出力電力復帰手段を更に備える(請求項33)。
【0071】
好ましくは、上記出力電力変更手段により上記高周波電源の出力電力量が変更されると、上記インピーダンス整合器の整合動作を停止させ、そのときの状態を保持する整合動作停止手段を更に備える(請求項34)。
【0072】
好ましくは、上記高周波電力供給システムにおいて、上記異常判定手段により異常発生と判定され、上記出力電力変更手段により上記高周波電源の出力電力量が変更されてから上記出力電力復帰手段により元の出力電力量に復帰後、第2の所定時間経過まで上記異常判定手段の判定動作を禁止する第1判定禁止手段を更に備える(請求項35)。
【0073】
好ましくは、ユーザによる操作によって上記高周波電源の電力供給動作が開始された後、又はユーザによる操作によって電力供給動作中に出力電力設定値が変更された後、第2の所定時間経過まで上記異常判定手段を禁止する第2判定禁止手段を更に備える(請求項36)。
【0074】
好ましくは、上記第2の所定時間は、上記インピーダンス整合器により上記高周波電源と上記負荷とがインピーダンス整合されるまでの時間よりも長い(請求項37)。
【0075】
好ましくは、上記第1の検出手段により検出される情報には少なくとも進行波の電力値又は電圧値が含まれ、上記第2の検出手段により検出される情報には少なくとも反射波の電力値又は電圧値が含まれる(請求項38,39)。
【0076】
本発明のその他の特徴および利点については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施例1に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図2】異常検出信号等の発生タイミングを説明するための図である。
【図3】反射係数の微分値と基準値との関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例2に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図5】インピーダンスの微分値と基準値との関係を示す図である。
【図6】本発明の実施例3に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例4に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例5に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図9】本発明の実施例6に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図10】反射係数の微分値と基準値との関係を示す図である。
【図11】実施例6の変形例を説明するための、反射係数と時間との関係を示す図である。
【図12】本発明の実施例7に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図13】インピーダンスの微分値と基準値との関係を示す図である。
【図14】インピーダンスと時間との関係を示す図である。
【図15】本発明の実施例8に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図16】本発明の実施例9に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図17】本発明の実施例10に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図18】本発明の実施例10に係る異常判定部の構成を示す図である。
【図19】反射係数と時間との関係を示す図である。
【図20】本発明の実施例11に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図21】本発明の実施例12に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図22】本発明の実施例13に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図23】従来の高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図24】従来の反射係数と時間との関係を示す図である。
【図25】従来の反射係数と時間との他の関係を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0078】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0079】
図1は、本発明の実施例1に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。このシステムは、半導体ウェハや液晶基板等の被加工物に対して高周波電力を供給して、例えばプラズマエッチングといった加工処理を行うものである。この高周波電力供給システムは、高周波電源1、インピーダンス整合器2、異常検出装置3、伝送線路4、負荷接続部5及びプラズマ処理装置からなる負荷Lによって構成されている。
【0080】
高周波電源1には、例えば同軸ケーブルからなる伝送線路4を介してインピーダンス整合器2が接続されている。インピーダンス整合器2には、例えば電磁波が漏れないように遮蔽された銅板からなる負荷接続部5を介して負荷L(例えばプラズマ処理装置)が接続されている。また、高周波電源1には、異常検出装置3が接続されている。なお、異常検出装置3は、高周波電源1に対して別途独立した態様で設けられているが、これに限らず、異常検出装置3は、高周波電源1の内部に設けられていてもよい。また、異常検出装置3は、インピーダンス整合器2の内部に設けられていてもよい。さらに、高周波電源1は、インピーダンス整合器2を含む構成としてもよい。
【0081】
高周波電源1は、負荷Lに対して例えば数百kHz以上の周波数を有する高周波電力を供給するための装置である。高周波電源1は、高周波発生増幅部11と、方向性結合器12と、電源制御部13とを備えている。
【0082】
高周波発生増幅部11は、負荷Lに供給する高周波電力を発生するものである。高周波発生増幅部11は、図示しない整流回路、平滑回路、電力増幅回路及び発振回路等を備える。高周波発生増幅部11は、例えば入力電源からの入力電圧(例えばAC200V)を整流・平滑して直流電圧を生成し、この直流電圧をスイッチングすることにより所定の高周波電圧に変換して出力する。この高周波電圧は、方向性結合器12及びインピーダンス整合器2を介して負荷Lに供給される。
【0083】
方向性結合器12は、高周波発生増幅部11から負荷L側に進行する高周波(以下、進行波という。)と負荷L側から反射してくる高周波(以下、反射波という。)を分離して検出するものである。方向性結合器12は、1個の入力ポートと3個の出力ポートを有し、入力ポートには高周波発生増幅部11が接続され、第1出力ポートには伝送線路4が接続されている。また、第2出力ポートと第3出力ポートは、それぞれ後述する異常検出装置3の第1検波部21と第2検波部22とに接続されている。
【0084】
入力ポートから入力される進行波は、第1出力ポートから出力され、第1出力ポートから入力される反射波は入力ポートから出力される。方向性結合器12は、進行波を適切なレベルまで減衰させて検出し、それを第2出力ポートから出力する。また、方向性結合器12は、反射波を適切なレベルまで減衰させて検出し、それを第3出力ポートから出力する。従って、異常検出装置3の第1検波部21には、方向性結合器12の第2出力ポートから出力される進行波PFが入力される。異常検出装置3の第2検波部22には、方向性結合器12の第3出力ポートから出力される反射波PRが入力される。
【0085】
なお、図1では省略しているが、本実施例に係る高周波電力供給システムには、高周波電源1からの高周波電力の出力開始を指示する出力開始スイッチ、及び高周波電源1から出力される高周波電力の出力値を設定するための出力電力設定スイッチが設けられた操作部が設けられている。操作者により出力開始スイッチが操作されると、図1に示すように、その操作信号である出力開始信号が高周波電源1の電源制御部13と異常検出装置3の異常判定部25に入力される。操作者により出力電力設定スイッチが操作されると、その操作信号である出力電力設定信号が高周波電源1の電源制御部13と異常検出装置3の異常判定部25に入力されるようになっている。
【0086】
電源制御部13は、上記出力開始信号が入力されているときに、方向性結合器12から出力される進行波PFによって求められる進行波電力値と、上記出力電力設定信号で設定された出力電力値とが等しくなるように、高周波発生増幅部11に指令信号を出力するものである。なお、電源制御部13は、進行波電力値だけでなく、方向性結合器12から出力される反射波PRによって求められる反射波電力値を用いて、進行波電力値から反射波電力値を減算した負荷L側電力値(進行波電力値−反射波電力値)と出力設定信号で設定させた出力電力値とが等しくなるように、高周波発生増幅部11に対して指令を出力してもよい。
【0087】
また、電源制御部13は、異常検出装置3から入力される異常検出信号に基づいて、高周波発生増幅部11の高周波生成動作を制御するものである。後述するように、異常検出装置3では、高周波電源1の出力端Aから見た負荷L側の回路において、例えば伝送線路4内で発生した絶縁破壊、インピーダンス整合器2内で発生した絶縁不良、又は伝送線路4とインピーダンス整合器2の接続部で発生した接触不良等の異常が発生すると、その異常発生を検出した異常検出信号が出力される。電源制御部13は、異常検出装置3から異常検出信号が入力されると、高周波発生増幅部11による高周波電力の発生を所定の期間Tだけ停止させる。
【0088】
インピーダンス整合器2は、高周波電源1と負荷Lとのインピーダンスを整合させるものである。より具体的には、例えば高周波電源1の出力端Aから電源側を見たインピーダンス(出力インピーダンス)が50Ωに設計され、高周波電源1が特性インピーダンス50Ωの伝送線路4でインピーダンス整合器2の入力端Bに接続されているとすると、インピーダンス整合器2は、当該インピーダンス整合器2の入力端Bから負荷L側を見たインピーダンスを可及的に50Ωに自動調整する。なお、本実施例では特性インピーダンスを50Ωとしているが、言うまでもなく特性インピーダンスは50Ωに限定されるものではない。
【0089】
インピーダンス整合器2は、入力検出部15と、整合器制御部16と、整合部17とによって概略構成されている。
【0090】
入力検出部15は、高周波電源1から入力される高周波(入射波)の高周波電圧V、高周波電流I、及びそれらの位相差θを検出するものである。入力検出部15で検出された高周波電圧V、高周波電流I及び位相差θは、整合器制御部16に入力される。
【0091】
整合器制御部16は、入力検出部15から入力された高周波電圧V、高周波電流I及び位相差θを用いて入力インピーダンスZin(入力端Bから負荷L側を見たインピーダンス)を算出し、この入力インピーダンスZinが50Ωになるように、整合部17の可変インピーダンス素子である可変キャパシタVC1,VC2(後述)を制御するものである。より具体的には、整合器制御部16は、|V|/|I|が所定の範囲内、例えば50±5Ωになり、位相差θが略0°となるように、整合部17の可変キャパシタVC1,VC2を制御する。
【0092】
整合部17は、インダクタL1と可変インピーダンス素子である可変キャパシタVC1,VC2とを、いわゆるπ型に接続した回路で構成されている。可変キャパシタVC1,VC2は、図略の電動モータからなる駆動部材により対向電極の一方が移動可能になされ、一方電極を移動させることにより、対向電極の面積が変化して各キャパシタンスが変化するようになっている。また、可変キャパシタVC1,VC2の一方電極の駆動は、整合器制御部16からの制御信号に基づいて制御されるようになっている。
【0093】
従って、整合部17は、整合器制御部16からの制御信号に基づいて可変キャパシタVC1,VC2の各キャパシタンスを変化させ、これにより入力インピーダンスZinの大きさ(絶対値)が所定の範囲(例えば50±5Ω)内に入るように、かつ位相差が略0°となるように調整する。なお、図1の実施例による整合部17の回路構成は、π型であるが、これに代えて、T型、L型、逆L型等が採用されてもよい。また、可変インピーダンス素子として可変キャパシタに代えて、可変インダクタが採用されてもよい。
【0094】
整合器制御部16には、異常検出装置3から動作禁止信号が入力されるようになっている。この動作禁止信号は、整合器制御部16による上述した整合動作を禁止させる信号であって、例えば整合動作を禁止させるとき、ハイレベルとなる矩形波信号である。異常検出装置3は、異常を検出すると、高周波電源1に異常検出信号を出力すると同時に、所定の時間T(図2参照)だけハイレベルとなる動作禁止信号を整合器制御部16に出力する。これにより整合器制御部16は、異常検出装置3で異常が検出されると、高周波電源1が一時停止されている時間、インピーダンス整合器2の整合動作を停止させる。
【0095】
このように、高周波電源1の電力出力動作を一時停止させている期間にインピーダンス整合器2の整合動作も停止させるのは、高周波電源1から電力が出力されなければ、入力検出部15でインピーダンス整合を自動調整するための入力インピーダンスZinが検出できないという問題が生じるからである。また、インピーダンス整合器2の整合動作も停止させるのは、電力非出力中にインピーダンス整合器2の整合動作をさせると、整合部17の可変キャパシタVC1,VC2のキャパシタンス値が不定となる。そのため、高周波電源1の電力出力動作が再開されたとき、可変キャパシタVC1,VC2のキャパシタンス値が不整合の大きい値に変動されていると、迅速に整合状態に引き込むことができないという問題が生じるからである。
【0096】
電力非出力中にインピーダンス整合器2の整合動作を停止させていれば、可変キャパシタVC1,VC2のキャパシタンス値が電力停止直前の調整値からより不整合の大きい値に変動することがなく、高周波電源1の電力出力動作の再開後に迅速にインピーダンス整合器2を整合状態にすることができる。
【0097】
負荷Lは、半導体ウェハ又は液晶基板等の被加工物をエッチング又はCVD等の方法を用いて加工するためのプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置では、被加工物の加工目的に応じて各種の加工プロセスが実行される。例えば、被加工物に対してエッチングを行う場合には、そのエッチングに応じたガス種類、ガス圧力、高周波電力の供給電力値、及び高周波電力の供給時間等が適切に設定された加工プロセスが行われる。プラズマ処理装置では、被加工物が配置される容器(図略)内にプラズマ放電用ガスを導入し、そのプラズマ放電用ガスを放電させて非プラズマ状態からプラズマ状態にしている。そして、プラズマ処理装置では、プラズマ状態になったガスを用いて被加工物を加工している。
【0098】
異常検出装置3は、負荷Lにおける異常、同軸ケーブルである伝送線路4又は同軸ケーブルの両端に設けられる同軸コネクタにおける絶縁不良、絶縁破壊、及び接触不良等の異常が発生した場合に、それを検出するものである。異常検出装置3は、第1検波部21と、第2検波部22と、反射係数演算部23と、反射係数Гの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する微分演算部24と、微分演算部24の出力に基づいて異常であるか否かを判定する異常判定部25とによって構成されている。
【0099】
第1検波部21は、進行波PFの振幅Vfを検波するものである。第2検波部22は、反射波PRの振幅Vrを検波するものである。第1検波部21及び第2検波部22は、例えば図略のダイオードとRCローパスフィルタとからなる周知のダイオード検波回路によって構成されている。第1検波部21及び第2検波部22の検出値Vf,Vrは、反射係数演算部23に入力される。なお、第1,第2検波部21,22は整流回路で構成する等、他の構成にしてもよい。
【0100】
反射係数演算部23は、第1検波部21から入力される進行波PFの振幅Vfと第2検波部22から入力される反射波PRの振幅Vrとから反射係数Γ=Vr/Vfを算出するものである。反射係数演算部23は、進行波PFの振幅Vf及び反射波PRの振幅VrをA/Dコンバータ(図略)によりデジタルの振幅値Df,Drに変換した後、Dr/Dfを演算することにより反射係数Γの値を算出する。反射係数Γの演算処理は、所定の周期Δtで行われる。また、反射係数Γのデータは、微分演算部24に入力される。
【0101】
なお、反射係数演算部23は、アナログ信号でVr/Vfの信号を生成し、この信号をA/Dコンバータによりデジタルデータに変換するようにしてもよい。第1検波部21及び第2検波部22は、電力検出回路で構成され、この電力検出回路によって進行波PFの電力Wfと反射波PRの電力Wrとを検出するようにしてもよい。この場合、反射係数演算部23では(Wr/Wf)1/2を演算することにより反射係数Γが算出される。
【0102】
微分演算部24は、反射係数演算部23によって求められた反射係数Гの大きさの単位時間当たりの変化量を求めるものである。換言すれば、微分演算部24は、反射係数Гの大きさの微分量(dГ/dt)を求めるものである。以下、反射係数Гの大きさの単位時間当たりの変化量を反射係数の微分値dΓ/dtという。
【0103】
微分演算部24では、反射係数演算部23から所定の周期dtで反射係数Γが入力される毎に、前回入力された反射係数Γ1と今回入力された反射係数Γ2との差dΓ=Γ2−Γ1が算出されるとともに、dΓ/dtが演算される。なお、反射係数演算部23からアナログ信号により反射係数Γが入力される場合、微分演算部24は、この反射係数Γの信号をA/Dコンバータによりデジタルデータに変換した後、dΓ/dtを演算することになる。微分演算部24の演算結果(dΓ/dt)は、異常判定部25に入力される。
【0104】
異常判定部25は、微分演算部24から入力される反射係数の微分値dГ/dtに基づいて、異常が発生しているか否かを判定する。異常判定部25は、異常発生と判定した場合、異常を示す異常検出信号を第1所定時間T(図2参照)だけ高周波電源1の電源制御部13に対して出力するとともに、整合器制御部16に対して動作禁止信号を出力する。
【0105】
すなわち、異常判定部25は、反射係数の微分値dГ/dtを予め設定された所定の基準値と比較し、微分値dГ/dtが基準値を超えている場合、高周波電源1の出力端Aから負荷L側に至る回路において何らかの異常が発生していると判定し、第1所定時間Tだけ、例えばハイレベルに反転する異常検出信号を出力する。例えば反射係数の微分値dГ/dtが図3に示すように変化した場合、異常判定部25は、反射係数の微分値dГ/dtが基準値を超えたタイミングt1でハイレベルに反転する異常検出信号を所定の時間Tだけ出力する。なお、図3において、タイミングt2は反射係数Γが極値となるタイミングである。異常判定部25は、反射係数の微分値dГ/dtにより異常検出を行っているので、反射係数Γにより異常検出を行うよりも速く、瞬時に異常検出が可能になっている。
【0106】
そして、電源制御部13は、この異常を示す異常検出信号によって、高周波発生増幅部11による高周波電力の発生を所定の時間Tだけ停止させる。また、整合器制御部16は、動作禁止信号によってその整合動作を禁止させる。
【0107】
また、異常判定部25は、異常が発生していると判定し、第1所定時間Tだけ経過した後、異常検出信号の出力レベルを反転させる(図2のa参照)。これにより、電源制御部13は、高周波電源1からの高周波電力の出力の停止を解除し、再び、高周波電力を出力させる。また、異常判定部25は、整合器制御部16に対して出力する動作禁止信号の出力レベルを反転させる(図2のb参照)。これにより、整合器制御部16は、その整合動作を再開させる。
【0108】
さらに、異常判定部25は、その異常判定動作を、上記第1所定時間Tが経過した後、さらに予め設定される第2所定時間T′が経過するまで禁止する。すなわち、異常判定動作は、異常が発生していると判定されたときからT+T′の時間だけ禁止される。なお、この第2所定時間T′は、高周波電源1が高周波出力動作を開始した後、実質的にインピーダンス整合器2によってインピーダンス整合されるまでの想定時間よりも長く設定された時間であり、経験的に又は実験的に求められた値である。また、異常が発生していると判定されていなくても、最初に高周波電力の出力動作を開始したとき、又は高周波電力の出力電力設定値が変更されたときは、第2所定時間T′が経過するまで異常判定動作が禁止される。
【0109】
なお、最初に高周波電力の出力動作を開始したときは、出力開始信号を監視することにより判定することができる。また、高周波電力の出力電力設定値が変更されたか否かは、出力電力設定信号を監視することにより判定することができる。
【0110】
高周波電源1が高周波電力の出力を開始した直後、又は電力供給動作中に出力電力設定値が変更された直後は、高周波電源1の出力端Aから負荷L側に至る回路が異常でないにもかかわらず、不整合状態となり、反射係数Гが増加して異常と誤検出されることがある。そのため、上記第2所定時間T′の期間は、異常判定動作を禁止するようにしている。
【0111】
一方、インピーダンス整合器2が整合状態を維持しているときに異常が発生した場合は、上述したように異常検出装置3において、反射係数の微分値dГ/dtにより、その異常を瞬時に検出し、高周波電源1の高周波出力動作とインピーダンス整合器2の整合動作を停止させる。異常検出装置3は、実質的に高周波電源1が高周波出力動作を開始し(一時停止後に再度開始された場合を含む。)、インピーダンス整合器2による整合状態が維持されるようになった後に異常判定動作を行う。
【0112】
異常判定部25は、例えば図示しない報知装置に接続されており、異常検出信号はこの報知装置と高周波電源1の電源制御部13に入力される。また、異常検出信号と同時に、インピーダンス整合器2には、例えばハイレベルに反転する動作禁止信号が入力される。報知装置は異常検出信号が入力されると、表示又は音声により異常が発生していることを報知する。また、上述したように、高周波電源1は、異常検出信号が入力されると、所定の時間Tだけ高周波電力の出力動作を停止し、インピーダンス整合器2は、動作禁止信号が入力されると、所定の時間Tだけ整合動作を停止する。
【0113】
次に、実施例1に係る高周波電力供給システムにおける異常検出処理について説明する。
【0114】
プラズマ処理装置(負荷L)でプラズマ加工を行うべく高周波電源1の電源がオンにされると、高周波電源1から所定の高周波電力が生成され、伝送線路4、インピーダンス整合器2及び負荷接続部5を介して負荷Lに供給される。
【0115】
インピーダンス整合器2に高周波電源1から高周波電力が入力されると、インピーダンス整合器2では、この入力電力に基づいてインピーダンス整合器2の入力インピーダンスZin(入力端Bのインピーダンス)の大きさ|V|/|I|と位相差θが検出される。インピーダンス整合器2では、この検出情報に基づいて入力インピーダンスZinが特性インピーダンス50Ωになるように、整合部17の可変キャパシタVC1,VC2が自動調整される。
【0116】
高周波電源1を起動した直後、すなわち、インピーダンス整合器2に高周波電源1から高周波電力が入力された直後は、インピーダンス整合器2の入力インピーダンスZinは通常、特性インピーダンス(50Ω)からずれ、不整合状態となっている。インピーダンス整合器2がインピーダンスの自動調整動作を開始すると、例えば3秒程度の所定の時間が経過後には入力インピーダンスZinは、予め設定された整合範囲(例えば50±5Ω)に調整される。そして、その後は、インピーダンス整合器2は負荷LのインピーダンスZlの変動に応じて可変キャパシタVC1,VC2を変化させ、入力インピーダンスZinが常に所定の整合範囲内に入るように自動調整する。
【0117】
高周波電源1が高周波電力の供給を開始すると、方向性結合器6は、高周波の進行波PFと反射波PRとを分離して検出し、検出信号を異常検出装置3に入力する。異常検出装置3は、進行波PFと反射波PRから反射係数の微分値dΓ/dtを算出し、この反射係数の微分値dΓ/dtの変化に基づいて高周波電源1の出力端Aから負荷L側の回路で異常が発生している否かを判定する。すなわち、異常検出装置3は、高周波電源1が電力供給を開始すると、反射係数の微分値dΓ/dtの変化に基づいて高周波電源1の出力端Aから負荷L側の回路で異常発生の有無の監視を開始する。
【0118】
なお、異常検出装置3は、異常が発生していると判定されたときからT+T′の時間(図2参照)だけ異常判定動作が禁止される。そのため、実質的に異常検出装置3による異常発生の有無の監視は、インピーダンス整合器2によるインピーダンス整合の調整が終了し、その整合状態の維持に移行したときから開始される。
【0119】
従って、この高周波電力供給システムでは、プラズマ処理装置Lがプラズマ処理を終了するまで、すなわち、高周波電源1からの電力供給が停止されるまで、異常検出装置3により高周波電源1の出力端Aから負荷L側での異常発生の有無が監視されながら、インピーダンス整合器2により高周波電源1とプラズマ処理装置Lとのインピーダンス整合が自動的に調整され、高周波電源1からの高周波電力は可及的に効率良くプラズマ処理装置Lに供給される。
【0120】
ここで、高周波電源1から負荷Lに高周波電力が供給されているときに、高周波電源1の出力端Aから負荷L側の回路、例えば伝送線路4の線路上、伝送線路4と高周波電源1又はインピーダンス整合器2との接続コネクタ、インピーダンス整合器2の内部等で絶縁破壊、絶縁不良、又は接触不良等の異常が発生すると、その異常発生点のインピーダンスが変化し、反射波が増大することになる。
【0121】
インピーダンス整合器2の出力端から負荷L側で異常が発生した場合は、負荷L側のインピーダンスの変動に応じてインピーダンス整合器2が自動的にインピーダンス整合を取るように動作する。そのため、高周波電力供給システムは、可及的に負荷L側に高周波電力を供給し、高周波電源側への反射波の増大を抑制するように動作する。この状態が継続すると、負荷L側の異常発生箇所に高周波電力が供給されてその損傷状態が更に拡大することになる。また、その損傷が拡大し、インピーダンス整合器2ではインピーダンス整合が取れなくなると、非常に大きな反射波が高周波電源1に戻ってきて当該高周波電源1も損傷する事態になる。
【0122】
同様の現象は、高周波電源1とインピーダンス整合器2との間で異常が発生した場合にも生じる。しかし、この場合は、インピーダンス整合器2によるインピーダンス整合動作は作用しないので、例えば伝送線路4で絶縁不良又は絶縁破壊が発生した場合は、その損傷箇所でインピーダンス不整合となり、非常に大きな反射波が高周波電源1に戻り、当該高周波電源1を損傷させることになる。
【0123】
しかし、本実施例に係る高周波電力供給システムでは、異常検出装置3で高周波電源1から入力された入射波PF及び反射波PRから算出した反射係数の微分値dΓ/dtを用いて異常の発生を監視している。そのため、高周波電源1の出力端Aから負荷L側の回路で異常が発生すると、異常検出装置3に入力される反射波PRが増大し、反射係数の微分値dΓ/dtが所定の基準値を超えるので、直ちに異常の発生が検出される。
【0124】
図2に示したように、異常判定部25で異常発生と判定されると、異常判定部25から高周波電源1の電源制御部13と報知装置(図略)に異常検出信号(ハイレベルの信号)が入力される。電源制御部13は、異常検出信号が入力されると、高周波発生増幅部11を制御して、高周波波電力の発生を停止する(高周波電力の出力波形参照)。また、報知装置は、異常検出信号が入力されると、高周波電力供給システムに異常が発生した旨の報知を行う。
【0125】
このように、異常発生が検出されると、異常検出信号により高周波電源1の電力出力動作が直ちに停止されるので、上述の異常発生箇所の損傷の拡大が防止されるとともに、当該高周波電源1の反射波による損傷も未然に防止される。特に、反射係数の微分値dΓ/dtにより異常検出しているので、実際に異常が発生して反射係数Γの大きさが異常値に変化する前に早期に異常が検出され、高周波電源1の電力出力停止等の安全措置が有効に作用する。
【0126】
その後、電源制御部13は、高周波発生増幅部11による高周波電力の発生を停止させた後、所定時間Tの経過後に元の出力量で高周波電力を出力させる。これは、異常検出によって検出される異常が、例えばプラズマ処理装置Lで生じるアーク放電のように瞬時的に大きな負荷変動である場合や損傷が生じていたとしても自然回復可能な場合があり、このような場合にも常に手動で電力供給を回復させるのでは作業効率を徒に低下させるため、高周波電力供給システムを自動的に復帰させることにより作業効率の低下を低減するようにしたものである。なお、所定の時間Tは、経験的に又は実験的に求められた値である。
【0127】
本実施例では、作業効率の観点から異常検出時に所定の時間Tだけ高周波電源1の電力出動作を停止させるようにしているが、より安全性を考慮して高周波電源1の電力出力動作を完全に停止させるようにしてもよい。
【0128】
異常判定部25において異常発生と判定されると、図2に示したように、異常判定部25からインピーダンス整合器2の整合器制御部16に動作禁止信号(ハイレベルの信号)が入力される。整合器制御部16は、動作禁止信号が入力されると、整合部17の可変インピーダンス素子である可変キャパシタVC1,VC2の駆動制御を所定の時間Tだけ停止し、可変キャパシタVC1,VC2のキャパシタンス値を異常発生時の状態に保持する。
【0129】
これにより、所定の時間Tの経過後に高周波電源1の電力出力動作が復帰したとき、インピーダンス整合器2は、高周波電源1の電力出力動作が停止したときの可変キャパシタVC1,VC2のキャパシタンス値からインピーダンス整合動作を開始することになるので、不整合状態が大きくずれていることがなく、迅速にインピーダンス整合動作を行うことができる。
【0130】
異常検出装置3の異常判定動作は、高周波電源1の電力供給が復帰されてもインピーダンス整合器2が不整合状態であるため、整合状態に引き込むまでの時間T’が経過するまで、禁止状態を示すローレベル(動作オフ)が保持される。
【0131】
従って、異常判定部25の判定動作の禁止状態は、高周波電源1の電力供給が停止されてから所定の時間Tとインピーダンス整合器2が整合状態に至るまでの時間T’が経過するまで継続される。これにより、高周波電源1の電力供給が復帰した直後のインピーダンス不整合状態における異常検出装置3の誤動作を防止することができる。
【0132】
図4は、本発明の実施例2に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例1では、高周波電源1の出力端Aにおける高周波出力の反射係数Гの微分値dГ/dtに基づいて、高周波電源1の出力端Aから負荷L側での異常を検出するようにしたが、実施例2では、高周波電源1の出力端Aにおける高周波出力の反射係数Гの微分値dГ/dtと、負荷Lの入力端におけるインピーダンスの微分値とに基づいて、負荷Lにおける異常を特定して検出するものである。
【0133】
実施例1と異なる点について説明すると、インピーダンス整合器2には、整合部17の後段に、電圧検出部18及び電流検出部19が設けられている。
【0134】
電圧検出部18は、整合部17の出力端Cにおける高周波の電圧値VLを検出するものである。換言すれば、整合部17の出力端Cは、負荷接続部5を介して負荷Lに接続されているため、電圧検出部18は、負荷L側の入力端における高周波の電圧値VLを検出する。
【0135】
電流検出部19は、整合部17の出力端Cにおける高周波の電流値ILを検出するものである。換言すれば、整合部17の出力端Cは、負荷接続部5を介して負荷Lに接続されているため、電流検出部19は、負荷L側の入力端における高周波の電流値ILを検出する。
【0136】
電圧検出部18によって検出された電圧値VL及び電流検出部19によって検出された電流値ILは、異常検出部3のインピーダンス演算部26(後述)に与えられる。
【0137】
異常検出装置3には、インピーダンス演算部26と、インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第2微分演算部27とが設けられている。なお、実施例1で説明した微分演算部24は、この実施例2では、便宜上「第1微分演算部24」として説明する。
【0138】
インピーダンス演算部26は、電圧検出部18から入力される負荷Lの入力端における電圧値VLと電流検出部19から入力される負荷Lの入力端における電流値ILとからインピーダンスZ=VL/ILを算出するものである。インピーダンス演算部26は、電圧検出部18から入力される電圧値VL及び電流検出部19から入力される電流値ILをA/Dコンバータによりデジタルの振幅値Dv,Diに変換した後、Dv/Diを演算することによりインピーダンスZの値を算出する。インピーダンスZの演算処理は、所定の周期Δtで行われる。また、インピーダンスZのデータは第2微分演算部27に入力される。なお、インピーダンス演算部26では、アナログ信号でVL/ILの信号を生成し、この信号をA/Dコンバータによりデジタルデータに変換するようにしてもよい。
【0139】
第2微分演算部27は、インピーダンス演算部26によって求められたインピーダンスZの大きさの単位時間当たりの変化量を求めるものである。換言すれば、第2微分演算部27は、インピーダンスZの大きさの微分値(dZ/dt)を求めるものである。以下、インピーダンスZの大きさの単位時間当たりの変化量をインピーダンスの微分値dZ/dtという。
【0140】
第2微分演算部27では、インピーダンス演算部26から所定の周期dtでインピーダンスZが入力される毎に、前回入力されたインピーダンスZ1と今回入力されたインピーダンスZ2との差dZ=Z2−Z1が算出されるとともに、dZ/dtが演算される。なお、インピーダンス演算部26からアナログ信号によりインピーダンスZが入力される場合、第2微分演算部27は、このインピーダンスZの信号をA/Dコンバータによりデジタルデータに変換した後、dZ/dtが演算されることになる。第2微分演算部27の演算結果(dZ/dt)は、異常判定部25に入力される。
【0141】
異常判定部25では、第1微分演算部24から入力される反射係数の微分値dГ/dt及び第2微分演算部27から入力されるインピーダンスの微分値dZ/dtに基づいて、異常が発生しているか否かを判定し、異常発生と判定した場合は、異常を示す異常検出信号を第1所定時間T(図2参照)だけ高周波電源1の電源制御部13に対して出力するとともに、整合器制御部16に対して動作禁止信号を出力する。
【0142】
すなわち、異常判定部25は、反射係数の微分値dГ/dtを予め設定された所定の基準値と比較するとともに、インピーダンスの微分値dZ/dtを予め設定された所定の基準値と比較する。異常判定部25は、微分値dГ/dtが基準値を超え、かつ微分値dZ/dtが基準値を超えている場合、負荷L側において何らかの異常が発生していると判定し、第1所定時間T(図2参照)だけ、例えばハイレベルに反転する異常検出信号を出力する。
【0143】
例えば、反射係数Гの微分値dГ/dtが図3に示すように変化した場合、反射係数Гの微分値dГ/dtが基準値を超え(タイミングt1参照)、かつインピーダンスの微分値dZ/dtが図5に示すように変化した場合、インピーダンスZの微分値dZ/dtが基準値を超え(タイミングt1′参照)たとき、異常判定部25はハイレベルを出力する。なお、図3において、タイミングt2は反射係数Γが極値となるタイミングであり、図5において、タイミングt2′はインピーダンスZが極値となるタイミングである。
【0144】
このように、反射係数Гの微分値dГ/dt及びインピーダンスZの微分値dZ/dtにより異常検出を行うと、負荷L側での異常を確実に検出することができる。すなわち、反射係数Гの微分値dГ/dtを求めることにより、高周波電源1の出力端Aから負荷L側に至る回路において異常が生じたことを検出することができるが、反射係数Гの微分値dГ/dtのみでは、負荷Lのみで生じる異常を特定したい場合、それを特定することは困難である。すなわち、高周波電源1の出力端Aから負荷L側に至る回路には、伝送線路4やインピーダンス整合器2が含まれているからである。一方、負荷Lの入力端においてインピーダンスZを測定するのみでは、負荷Lでは通常、加工中においてインピーダンスが多少なりとも変動するので、異常と判定するための基準値を定めることは難しく負荷Lに生じる異常を検出することは困難である。
【0145】
そこで、本実施例2では、反射係数Гの微分値dГ/dtに加えてインピーダンスZの微分値dZ/dtを求めることにより、特に負荷Lにおける異常を特定してそれを確実に検出するようにしている。
【0146】
異常判定部25は、反射係数Гの微分値dГ/dt及びインピーダンスの微分値dZ/dtにより異常検出を行っているので、単に反射係数Γの大きさにより異常検出を行う、又はインピーダンスZの大きさにより異常検出を行うよりも速く、瞬時に異常検出が可能になっている。
【0147】
より具体的に動作を説明すれば、高周波電源1が高周波電力の供給を開始すると、高周波電源1は、高周波の進行波PFと反射波PRとを分離して検出し、検出信号を異常検出装置3に入力する。一方、インピーダンス整合器2は、負荷Lの入力端における電圧値及び電流値を異常検出装置3に入力する。異常検出装置3は、進行波PFと反射波PRから反射係数Гの微分値dΓ/dtを算出するとともに、インピーダンス整合器2からの電圧値及び電流値からインピーダンスの微分値dZ/dtを算出し、この反射係数Гの微分値dΓ/dtの変化及びインピーダンスの微分値dZ/dtの変化に基づいて負荷L側の回路で異常が発生している否かを判定する。すなわち、異常検出装置3は、高周波電源1が電力供給を開始すると、反射係数Гの微分値dΓ/dtの変化及びインピーダンスの微分値dZ/dtの変化に基づいて負荷L側で異常発生の有無の監視を開始する。
【0148】
この場合、異常検出装置3では、高周波電源1から入力された入射波PF及び反射波PRから算出した反射係数Γの微分値dΓ/dtを用いて異常の発生を監視しているため、負荷Lにおける異常を含む、高周波電源1の出力端Aから負荷Lに至る回路、例えば伝送線路4の線路上、伝送線路4と高周波電源1又はインピーダンス整合器2との接続コネクタ、又はインピーダンス整合器2の内部等で絶縁破壊、絶縁不良、若しくは接触不良等の異常、又は負荷Lの異常が発生したことを予想することができる。
【0149】
しかし、本実施例2の構成では、更に異常検出装置3で負荷Lの入力端における電圧値VL及び電流値ILから算出したインピーダンスZのdZ/dtを用いて異常の発生を監視しているので、高周波電源1の出力端Aから負荷L側の回路での異常を検出することができるだけでなく、負荷Lにおける異常を特定し、それを確実に検出することができる。
【0150】
また、本実施例2においては、高周波電源1の出力端Aと電圧や電流の検出点との間における異常も特定することができる。例えば、反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の基準値を超えるが、インピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の基準値を超えていない場合、高周波電源1の出力端Aと電圧や電流の検出点との間における異常、例えば伝送線路4の線路上、伝送線路4と高周波電源1又はインピーダンス整合器2との接続コネクタ、又はインピーダンス整合器2の内部等で絶縁破壊、絶縁不良、又は接触不良等の異常と特定することができる。
【0151】
なお、この異常を示す異常検出信号によって、電源制御部13が高周波発生増幅部11による高周波電力の発生を第1所定時間Tだけ停止させる制御、整合器制御部16が動作禁止信号によってその整合動作を禁止させる制御等は、実施例1と同様であるため、ここでは省略する。
【0152】
図6は、本発明の実施例3に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例1では反射係数Γの検出点を高周波電源1内の出力端近傍に設けていたが、実施例3は、反射係数Γの検出点を伝送線路4上に設けたものである。具体的には、図6に示す構成は、高周波電源1の方向性結合器12を除去し、伝送線路4上に方向性結合器6を設けたものである。高周波電源1と方向性結合器6との間、及び方向性結合器6とインピーダンス整合器2との間は、同軸ケーブルからなる伝送線路4によってそれぞれ接続されている。また、方向性結合器6の第2出力ポートと第3出力ポートは、それぞれ異常検出装置3の第1検波部21と第2検波部22とに接続されている。
【0153】
実施例3に係る高周波電力供給システムにおける異常判定動作は、上述した実施例1に係る高周波電力供給システムにおける異常判定動作と同一である。従って、ここでは、詳細説明は省略する。実施例3に係る高周波電力供給システムでは、異常検出点が伝送線路4上(具体的には方向性結合器6の位置)になるので、方向性結合器6から負荷L側の回路での異常、具体的には方向性結合器6とインピーダンス整合器2を結合する伝送線路4、接続コネクタでの絶縁破壊若しくは接触不良、インピーダンス整合器2内での絶縁不良、又は負荷Lでの異常等が検出され、上述した実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0154】
なお、反射係数Γの検出点を伝送線路4上に設けた実施例3の構成を、負荷Lの入力端におけるインピーダンスの微分値を検出する図4に示した実施例2の構成に適用するようにしてもよい。
【0155】
図7は、本発明の実施例4に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例1では、反射係数Γの微分値dΓ/dtを用いて異常発生を判定していたが、実施例4は反射係数Γと反射係数Γの微分値dΓ/dtの両方を用いて異常発生を判定するようにしたものである。具体的には、図7は、図1において、反射係数演算部23と異常判定部25との間に第1比較部28を設け、微分演算部24と異常判定部25との間に第2比較部29を設けたものである。
【0156】
第1比較部28には、反射係数演算部23で演算された反射係数Γが入力される。第2比較部29には、微分演算部24で演算された反射係数Γの微分値dΓ/dtが入力される。
【0157】
第2比較部29は、微分演算部24から入力される反射係数Гの微分値dΓ/dtを予め定められた第1基準値と比較し、反射係数Гの微分値dΓ/dtが当該第1基準値を超えたとき、その旨の信号(例えばローレベルからハイレベルに反転する信号)を出力するものである。この信号は、異常判定部25に入力される。
【0158】
また、第1比較部28は、反射係数演算部23から入力される反射係数Гの大きさを予め定められた第2基準値と比較し、反射係数Гの大きさが当該第2基準値を超えたとき、その旨の信号(例えばローレベルからハイレベルに反転する信号)を出力するものである。この信号も、異常判定部25に入力される。
【0159】
異常判定部25は、図略のAND回路を有し、このAND回路で第1比較部28及び第2比較部29から入力される信号の論理積が演算され、その演算結果の信号が異常検出信号として出力される。すなわち、第1比較部28及び第2比較部29から入力される信号がいずれもハイレベルのとき、異常判定部25からハイレベルの信号が出力され、第1比較部28及び第2比較部29から入力される信号のいずれかがローレベルのとき、異常判定部25からローレベルの信号が出力される。なお、異常判定部25における信号のローレベル、ハイレベルの関係は逆になっていてもよい。
【0160】
実施例4に係る高周波電力供給システムでは、異常判定部25において、反射係数Γの微分値dΓ/dtと反射係数Γとがそれぞれ対応する第1基準値と第2基準値と比較され、両パラメータが基準値を超えると、異常発生と判定される。その他の動作については実施例1と同一であるので、説明を省略する。
【0161】
このように、実施例4では反射係数の微分値dΓ/dtだけでなく、反射係数Γも加味して異常発生を判定する。例えば、反射係数の微分値dΓ/dtが大きく、かつ反射係数Γが大きい場合に異常と判定する。
【0162】
なお、異常判定部25における異常判定では、第1比較部28の比較結果及び第2比較部29の比較結果のAND条件で、すなわち、反射係数Гの微分値dΓ/dtが第1基準値を超え、かつ、反射係数Гが第2基準値を超えたとき、異常発生と判定していたが、これに代えて、第1比較部28の比較結果及び第2比較部29の比較結果のOR条件で、すなわち、反射係数Гの微分値dΓ/dtが第1基準値を超えたとき、又は反射係数Гが第2基準値を超えたとき、異常発生と判定するようにしてもよい。
【0163】
図8は、本発明の実施例5に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例4では、反射係数Γの大きさと反射係数Γの微分値dΓ/dtとを用いて異常発生を判定していたが、実施例5は、反射係数Γの大きさと反射係数Γの微分値dΓ/dtの両方及びインピーダンスZの微分値dZ/dtを用いて異常発生を判定するようにしたものである。具体的には、図8は、実施例4を示す図7において、インピーダンス整合器2に電圧検出部18及び電流検出部19を設け、異常検出装置3にインピーダンス演算部26及び第2微分演算部27を設けたものである。
【0164】
この実施例5では、第1比較部28及び第2比較部29において、反射係数Γの微分値dΓ/dtと反射係数Γの大きさとがそれぞれ対応する第1基準値と第2基準値と比較され、それらがともに対応する基準値を超えると、ハイレベルを出力する。異常検出装置3の異常判定部25は、第1比較部28及び第2比較部29から入力される信号がいずれもハイレベルであって、第2微分演算部27から入力されるインピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の基準値を超えると、異常発生と判定される。その他の動作については実施例1と同一であるので、説明を省略する。
【0165】
このように、実施例5では反射係数Γの大きさ及び反射係数の微分値dΓ/dtだけでなく、インピーダンスZの微分値dZ/dtをも加味して異常発生を判定するので、より確実にかつ精度よく負荷Lにおける異常を検出することができる。
【0166】
なお、異常判定部25における異常判定では、第1比較部28の比較結果、第2比較部29の比較結果、及び第2微分演算部27の出力に基づく演算結果のAND条件で、すなわち、反射係数Гの微分値dΓ/dtが第1基準値を超え、反射係数Гが第2基準値を超え、更にインピーダンスZの微分値dZ/dtが第3基準値を超えたとき、異常発生と判定していたが、これに代えて、第1比較部28の比較結果、第2比較部29の比較結果、及び第2微分演算部27の出力に基づく演算結果のOR条件で、すなわち、反射係数Гの微分値dΓ/dtが第1基準値を超えたとき、反射係数Гが第2基準値を超えたとき、又はインピーダンスZの微分値dZ/dtが第3基準値を超えたとき異常発生と判定するようにしてもよい。
【0167】
図9は、本発明の実施例6に係る高周波電力供給システムを示す図である。実施例1では、反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超えると、直ちに異常発生と判定していたが、実施例6は、反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数をカウントし、その回数が所定の基準回数を超えると、異常発生と判定するようにしたものである。従って、図9は、図1において、微分演算部24と異常判定部25との間に計数部31を設けたものである。その他の構成は、実施例1に係る高周波電力供給システムと同一であるので、ここでは実施例1と相違する計数部31と異常判定部25の動作について簡単に説明する。
【0168】
図9における計数部31は、微分演算部24で演算された反射係数Γの微分値dΓ/dtを所定の第1基準値と比較し、当該微分値dΓ/dtが第1基準値を超える回数を計数するものである。すなわち、例えば反射係数Γの微分値dГ/dtが図10に示すように変化した場合、計数部31は、反射係数Γの微分値dГ/dtが第1基準値を超えたタイミングt1,t2,t3で内蔵カウンタのカウント値を1ずつ増加させ、そのカウント値を異常判定部25に出力する。
【0169】
異常判定部25は、計数部31から入力され計数値が第1基準値を超えると、異常発生と判定する。
【0170】
実施例6では、反射係数Гの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の基準回数を超えたとき、異常発生と判定し、異常報知や高周波電力の出力停止措置が行われるようにしている。そのため、例えば反射係数Γが図25に示すように断続的に増大する場合、各反射係数Γの変化が生じているときに高周波電力の伝送回路上に軽微の損傷が発生し、これらの損傷が繰り返されて致命的な損傷に至るような場合に早期に異常発生を検出して、その損傷の増大を未然に防止することができる。
【0171】
なお、実施例6の変形例として、実施例4(図7参照)と同様に反射係数Γの微分値dΓ/dtに反射係数Γの大きさを加味するようにしてもよい。この場合は、図9において、反射係数演算部23と異常判定部25との間に計数部(図示せず)を追加し、この計数部で反射係数Гの大きさが所定の第2基準値を超える回数を計数し、その計数結果を異常判定部25に入力する。そして、異常判定部25では、反射係数Гの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の第1基準回数を超え、かつ、反射係数Гが所定の第2基準値を超える回数が所定の第2基準回数を超えたとき、異常発生と判定される。あるいは、反射係数Гの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の第1基準回数を超えたとき、又は、反射係数Гの大きさが所定の第2基準値を超える回数が所定の第2基準回数を超えたとき、異常発生と判定される。
【0172】
また、実施例6に示した、反射係数Гの微分値dΓ/dtが所定の基準値を超えたときの回数が所定の基準回数を超えたとき、異常と判定する方法では、反射係数Γが図11に示すように階段状に変化した場合は、上記計数部31のカウント値は「1」のままで、異常判定部25で異常発生と判定されない。しかし、反射計数Γが高い状態が継続しているということは異常が発生している可能性が高いから、異常判定部25で異常発生の見落としが生じる可能性がある。
【0173】
そこで、このような不具合を解消するため、1度目をカウントした後、カウントしたときの反射係数Гの大きさが一定値以上であって、所定時間ta(図11参照)以上維持される場合には、異常であると判定するようにしてもよい。
【0174】
図12は、本発明の実施例7に係る高周波電力供給システムを示す図である。実施例6では、反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の基準値を超える回数をカウントし、その回数が所定の基準回数を超えると、直ちに異常発生と判定していたが、実施例7は、反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の基準値を超える回数をカウントし、その回数が所定の基準回数を超え、かつインピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の基準値を超える回数をカウントし、その回数が所定の基準回数を超えると、異常発生と判定するようにしたものである。従って、図12は、実施例6を示す図9において、インピーダンス整合器2に電圧検出部18及び電流検出部19を設け、異常検出装置3にインピーダンス演算部26及び第2微分演算部27を設け、更に第2微分演算部27と異常判定部25との間に第2計数部32を設けたものである。なお、図12では、図9に示した計数部31を「第1計数部31」として説明する。
【0175】
第2計数部32は、第2微分演算部27で演算されたインピーダンスZの微分値dZ/dtを所定の第3基準値と比較し、当該微分値dZ/dtが第3基準値を超える回数を計数するものである。すなわち、例えばインピーダンスZの微分値dZ/dtが図13に示すように変化した場合、第2計数部32は、インピーダンスZの微分値dZ/dtが第3基準値を超えたタイミングt1′,t2′,t3′で内蔵カウンタのカウント値を1ずつ増加させ、そのカウント値を異常判定部25に出力する。
【0176】
異常判定部25は、第1計数部31から計数回数が入力され、その計数回数が第1基準回数を超え、かつ第2計数部32から計数回数が入力され、当該計数回数が第3基準回数を超えると、異常発生と判定する。
【0177】
実施例7では、反射係数Гの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の第1基準回数を超え、かつインピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の第3基準値を超える回数が所定の第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定し、異常報知や高周波電力の出力停止措置が行われるようにしている。そのため、例えば反射係数Γが図25に示すように断続的に増大する場合、及びインピーダンスZが図14に示すように断続的に減少する場合、各反射係数Γの変化が生じているときに高周波電力の伝送線路上に軽微の損傷が発生し、これらの損傷が繰り返されて致命的な損傷に至るような場合に早期に異常発生を検出して、その損傷の増大を未然に防止することができる。
【0178】
なお、実施例7の変形例として、実施例4(図7参照)と同様に、反射係数Γの微分値dΓ/dt及びインピーダンスZの微分値dZ/dtに反射係数Γの大きさを加味するようにしてもよい。この場合は、図12において、反射係数演算部23と異常判定部25との間に計数部(図示せず)を追加し、この計数部で反射係数Гの大きさが所定の第2基準値を超える回数を計数し、その計数結果を異常判定部25に入力する。異常判定部25では、反射係数Гの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の第1基準回数を超え、インピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の第3基準値を超える回数が所定の第3基準回数を超え、更に反射係数Гの大きさが所定の第2基準値を超える回数が所定の第2基準回数を超えたとき、異常発生と判定される。あるいは、反射係数Гの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数、インピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の第3基準値を超える回数、又は反射係数Гの大きさが所定の第2基準値を超える回数のいずれかがそれらに対応する所定の基準回数を超えたとき、異常発生と判定される。
【0179】
また、実施例7に示したインピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の基準値を超えたときの回数を計数する方法では、インピーダンスZが階段状に変化した場合は、上記第2計数部32のカウント値は「1」のままである。しかし、インピーダンスZが低い状態が継続しているということは異常が発生している可能性が高いから、異常判定部25で異常発生の見落としが生じる可能性がある。
【0180】
そこで、このような不具合を解消するため、1度目をカウントした後、カウントしたときのインピーダンスZの大きさが一定値以下であって、所定時間以上維持される場合には、その旨を異常判定部25に出力するようにし、異常判定部25では、反射係数Γが同様の現象が生じ、第1計数部31からその旨の出力があった場合、異常と判定してもよい。
【0181】
図15は、本発明の実施例8に係る高周波電力供給システムを示す図である。実施例8は、異常を判定する際のパラメータとしての反射係数Гの微分値dΓ/dtに代えて、定在波比の大きさの単位時間当たりの変化量(以下、定在波比の微分値dS/dtという。)を用いるようにしたものである。従って、図15は、図1において、反射係数演算部23を定在波比演算部33に置き換えたものである。その他の構成は、実施例1と同一であるから、ここでは定在波比演算部33について簡単に説明する。
【0182】
反射係数ΓはΓ=Vr/Vfであり、反射係数Γと定在波比Sとの間にはS=(1+Γ)/(1−Γ)との関係があるから、定在波比SはS=(Vf+Vr)/(Vf−Vr)で算出される。従って、定在波比演算部33では、第1検波部21から入力される進行波PFの振幅Vfと第2検波部22から入力される反射波PRの振幅Vrとを用いて、S=(Vf+Vr)/(Vf−Vr)を演算することにより定在波比Sを算出する。
【0183】
定在波比演算部33によって求められた定在波比Sの大きさは、データとして微分演算部24に入力され、微分演算部24では、定在波比Sの微分値dS/dtが演算される。異常判定部25において、微分演算部24で算出された定在波比Sの微分値dS/dtが所定の基準値と比較され、微分値dS/dtが基準値を超えている場合、異常が発生していると判定され、例えばハイレベルに反転する異常検出信号が出力される。
【0184】
実施例8は、異常判定のパラメータを定在波比Sとしたもので、定在波比Sも反射係数Γも入射波に対する比率により反射波の度合いや整合の度合いを示し、反射波の度合いが異常に大きい場合や整合の度合いが異常に悪化した場合は回路に異常が発生していると推定できる。そのため、実施例8においても上述した実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0185】
なお、実施例8においては、定在波比Sの微分値dS/dtを異常判定のパラメータとして用いたが、これに代えて定在波比Sの逆数の大きさの単位時間当たりの変化量d(1/S)/dtを用いてもよい。
【0186】
図16は、実施例9に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例8では、定在波比Sの微分値dS/dtに基づいて異常を検出するようにしたが、実施例9は、定在波比Sの微分値dS/dt及びインピーダンスZの微分値dZ/dtを用いて異常発生を判定するようにしたものである。具体的には、図16は、実施例8を示す図15において、インピーダンス整合器2に電圧検出部18及び電流検出部19を設け、異常検出装置3にインピーダンス演算部26及び第2微分演算部27を設けたものである。
【0187】
この実施例9に係る異常検出装置3の異常判定部25は、定在波比の微分値dS/dtが第1基準値と比較され、インピーダンスZの微分値dZ/dtが第2基準値と比較され、各パラメータがそれぞれ対応する基準値を超えると、異常発生と判定される。その他の動作については実施例8と同一であるので、説明を省略する。
【0188】
このように、実施例9では定在波比の微分値dS/dtだけでなく、インピーダンスZの微分値dZ/dtをも加味して異常発生を判定するので、より確実にかつ精度よく負荷Lにおける異常を検出することができる。
【0189】
なお、この実施例9においては、定在波比Sの微分値dS/dtを異常判定のパラメータとして用いたが、これに代えて定在波比Sの逆数の大きさの単位時間当たりの変化量d(1/S)/dtを用いてもよい。
【0190】
図17は、本発明の実施例10に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例1〜9では、反射係数Γの微分値dΓ/dtに基づいて異常発生を判定していたが、実施例10は、反射係数Γの対数を求め、この対数値の単位時間当たりの変化の仕方に基づいて異常発生を判定するようにしたものである。
【0191】
具体的には、実施例10に係る高周波電力供給システムの構成は、図1に示した異常検出装置3が以下に示す構成とされる。すなわち、実施例10における異常検出装置3は、第1対数アンプ部35と、第2対数アンプ部36と、対数反射係数演算部37と、対数反射係数記憶部38と、対数最新値比較部39と、対数前回値比較部40と、異常判定部41とによって構成されている。
【0192】
第1対数アンプ部35は、進行波PFの振幅Vfを検波して、その振幅Vfに対応する対数値を出力するものであり、第2対数アンプ部36は、反射波PRの振幅Vrを検波して、その振幅Vrに対応する対数値を出力するものである。第1対数アンプ部35及び第2対数アンプ部36は、例えば、実施例1で説明した第1検波部21及び第2検波部22(図1参照)における回路に加えて、OPアンプと、それに並列接続されたダイオードとからなる対数増幅回路によって構成されている。なお、第1対数アンプ部35及び第2対数アンプ部36は、市販されている対数アンプを用いてもよい。第1対数アンプ部35及び第2対数アンプ部36の出力値である進行波PFの振幅Vfの対数値log(Vf)及び反射波PRの振幅Vrの対数値log(Vr)は、対数反射係数演算部37に入力される。
【0193】
対数反射係数演算部37は、第1対数アンプ部35から入力される進行波PFの振幅Vfの対数値log(Vf)と、第2対数アンプ部36から入力される反射波PRの振幅Vrの対数値log(Vr)とに基づいて、反射係数Гの対数値logГ(=log(Vr/Vf))を算出するものである。反射係数Гの対数値logГは、対数反射係数記憶部38に入力される。なお、対数反射係数演算部37では、反射係数Гの対数値log(Vr/Vf)の演算を、log(Vr)−log(Vf)といった減算の形で行うことができるので、例えば反射波PRの振幅Vrを進行波PFの振幅Vfで直接的に除算するための除算回路を用いる必要がなく、その回路構成を容易なものにすることができる。
【0194】
また、対数反射係数演算部37は、アナログ信号を処理するものでもよく、デジタル信号を処理するものでもよい。デジタル信号を処理するものを用いる場合は、対数反射係数演算部37の前段に図略のA/Dコンバータを設け、反射係数Гの対数値logГの演算処理を所定の周期Δtで行う。アナログ信号を処理するものを用いる場合は、対数反射係数演算部37と後述する対数反射係数記憶部38との間に図略のA/Dコンバータを設ければよい。
【0195】
対数反射係数記憶部38は、図略のメモリを備え、対数反射係数演算部37によって算出された反射係数Гの対数値logГを所定の周期Δtで順次記憶するとともに、対数反射係数演算部37から所定の周期Δtで反射係数Γの対数値logГが入力される毎に、今回入力された最新の反射係数Γ1の対数値logГ1と前回入力されて記憶されている反射係数Γ2の対数値logГ2とを出力する。対数反射係数記憶部38から出力される反射係数Γ1の対数値logГ1は、対数最新値比較部39に入力され、反射係数Γ2の対数値logГ2は対数前回値比較部40に入力される。
【0196】
対数最新値比較部39は、対数反射係数記憶部38から入力される反射係数Γ1の対数値logГ1を予め定められた基準値と比較し、反射係数Γ1の対数値logГ1が当該基準値以上のとき、その旨の信号(例えばハイレベルの信号)を出力するものである。この信号は異常判定部41に入力される。上記基準値は、反射係数Гで表すと、例えば、0.8〜0.9程度に設定される。
【0197】
対数前回値比較部40は、対数反射係数記憶部38から入力される反射係数Γ2の対数値logГ2を予め定められた基準値と比較し、反射係数Γ2の対数値logГ2が当該基準値以下のとき、その旨の信号(例えばハイレベルの信号)を出力するものである。この信号は異常判定部41に入力される。上記基準値は、反射係数Гで表すと、例えば、0.2〜0.3程度に設定される。
【0198】
異常判定部41は、対数最新値比較部39及び対数前回値比較部40の出力に基づいて異常を判定するものであり、図18に示すように、対数最新値比較部39及び対数前回値比較部40から入力される信号の論理積を出力するAND回路42が含まれている。このAND回路42の出力は、異常検出信号として出力される。すなわち、対数最新値比較部39及び対数前回値比較部40から入力される信号の両方がハイレベルのときに、異常判定部41からハイレベルの信号が出力されて異常発生と判定される。その他の動作については実施例1と同一であるので、説明を省略する。なお、異常判定部41における信号のローレベル、ハイレベルの関係は逆になっていてもよい。
【0199】
この実施例10において、反射係数Γの対数を用いているのは、これまでの実施例と同様に単に反射係数Гの対数の微分値を求め、それを基準値と比較すると、異常判定を適正に行うことができないからである。
【0200】
すなわち、この実施例10では、反射係数Γの対数を用いているため、整合状態であって異常と判定されない反射係数Γが比較的小さいとき(図19のP1に示す範囲にほぼあるとき)であっても、反射係数Гの対数値の微分値d(logГ)/dtは大きな値を示すときがある。例えば、周期Δtにおいて反射係数Гが0.01から0.04に変化した場合、対数の底を10とすると、反射係数Гの対数の微分値は、log(0.04)−log(0.01)≒0.602となる。
【0201】
また、周期Δtにおいて反射係数Гが0.2から0.8に変化するときのような異常と判定される変化をする場合であっても、反射係数Гの対数の微分値は、log(0.8)−log(0.2)≒0.602となる。このように、反射係数Гの変化量が異なっているのにもかかわらず、反射係数Гの変化する割合が同じであれば、反射係数Гの対数の微分値は、同じ値になってしまう。従って、単に、反射係数Гの対数値の微分値d(logГ)/dtが所定の基準値を超えたときを、異常と判定すると、それは誤判定となってしまう。
【0202】
そこで、この実施例10では、異常判定を行う場合に、対数値が比較的小さい値から大きな値に瞬時に変化した場合を異常と判定するようにしている。すなわち、微分値を演算する場合と同様に、最新値と前回値とを用いて、単位時間当たりの変化の仕方に基づいて異常判定を行う。
【0203】
具体的には、対数反射係数記憶部38から対数最新値比較部39に入力される反射係数Γ1の対数値logГ1が予め定められた基準値以上であり、かつ対数反射係数記憶部38から対数前回値比較部40に入力される反射係数Γ2の対数値logГ2が予め定められた基準値以下のときに、異常と判定するようにしている。つまり、反射係数Γの対数値logГを反射係数Гで表した場合に、反射係数Гが図19に示すP1の範囲からP2の範囲に変化したときに異常と判定するようにしている。
【0204】
このように、実施例10では反射係数Γの最新値及び1つ前の前回値に基づいて異常発生を判定するので、実質的に対数値の微分値d(logΓ)/dtによる判定と同様の効果があり、即座に異常を検出することができる。さらに、対数を用いているので、方向性結合器12からの進行波PF及び反射波PRの高周波の入力を広い範囲で許容することができる。例えば、入力レベルが1〜1000Vの範囲である場合には、対数を用いると0〜3Vの範囲となり、入力レベルが1〜10000Vの範囲である場合には、対数を用いると0〜4Vの範囲となる。
【0205】
図20は、実施例11に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例10では、反射係数Γの対数値の最新値と前回値とから求まる単位時間当たりの変化の仕方に基づいて異常発生を判定するようにしたが、実施例11では、これに加えてインピーダンスZの微分値dZ/dtを用いて異常発生を判定するようにしたものである。具体的には、図20は、実施例11を示す図17において、インピーダンス整合器2に電圧検出部18及び電流検出部19を設け、異常検出装置3にインピーダンス演算部26及び第2微分演算部27を設けたものである。
【0206】
この実施例11に係る異常検出装置3の異常判定部41では、対数最新値比較部39に入力される最新の反射係数Γ1の対数値logГ1が所定の基準値以上であり、かつ対数前回値比較部40に入力される前回の反射係数Γ2の対数値logГ2が所定の基準値以下であり、かつ第2微分演算部27に入力されるインピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の基準値を超えたときに、異常発生と判定される。その他の動作については実施例10と同一であるので、説明を省略する。
【0207】
このように、実施例11では、反射係数Γの対数値の最新値と前回値とから求まる単位時間当たりの変化の仕方だけでなく、インピーダンスZの微分値dZ/dtをも加味して異常発生を判定するので、より確実にかつ精度よく負荷Lにおける異常を検出することができる。
【0208】
図21は、実施例12に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例10では、反射係数Γの対数値の最新値と前回値とから求まる単位時間当たりの変化の仕方に基づいて異常発生を判定するようにしたが、実施例12は、対数反射係数記憶部38から対数最新値比較部39に入力される反射係数Γ1の対数値logГ1が予め定められた基準値以上であり、かつ対数反射係数記憶部38から対数前回値比較部40に入力される反射係数Γ2の対数値logГ2が予め定められた基準値以下のときの回数をカウントし、その回数が所定の基準回数を超えることに基づいて、異常発生と判定するようにしたものである。従って、図21は、図17において、対数最新値比較部39及び対数前回値比較部40の各出力側と異常判定部41との間に計数部43を設けたものである。
【0209】
図21における計数部43は、対数反射係数記憶部38から対数最新値比較部39に入力される反射係数Γ1の対数値logГ1が予め定められた基準値以上であり、かつ対数反射係数記憶部38から対数前回値比較部40に入力される反射係数Γ2の対数値logГ2が予め定められた基準値以下のときの回数を計数するものである。
【0210】
異常判定部41は、計数部43から計数値が入力され、その計数値が所定の基準回数を超えると、異常発生と判定する。その他の動作については実施例10と同一であるので、説明を省略する。
【0211】
このように、実施例12では、反射係数Γの対数値の最新値と前回値とから求まる単位時間当たりの変化を瞬時的に見るのではなく、異常と判定される条件を満たす回数に基づいて異常発生を判定する。そのため、例えば反射係数Γが図25に示すように断続的に増大する場合、各反射係数Γの変化が生じているときに高周波電力の伝送回路上に軽微の損傷が発生し、これらの損傷が繰り返されて致命的な損傷に至るような場合に早期に異常発生を検出して、その損傷の増大を未然に防止することができる。
【0212】
図22は、本発明の実施例13に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例10では、反射係数Γの対数を求め、この対数値の単位時間当たりの変化の仕方に基づいて異常発生を判定するようにしていたが、実施例13では、この考え方を対数ではなく、実施例1等で説明した反射係数Γを用いる場合に適応したものである。具体的には、実施例13に係る高周波電力供給システムの構成は、図17に示した異常検出装置3が以下に示す構成とされる。すなわち、実施例13における異常検出装置3は、第1検波部21と、第2検波部22と、反射係数演算部23と、反射係数記憶部44と、反射係数最新値比較部45と、反射係数前回値比較部46と、異常判定部47とによって構成されている。
【0213】
第1検波部21、第2検波部22及び反射係数演算部23は、実施例1と同一であるので、説明を省略する。また、反射係数記憶部44、反射係数最新値比較部45、反射係数前回値比較部46及び異常判定部47は、実施例10で説明した対数反射係数記憶部38、対数最新値比較部39、対数前回値比較部40及び異常判定部41の機能を反射係数Гを用いる場合に適用したものである。このような構成にしても、実施例1で説明した構成と同様に、反射係数Гの単位時間当たりの変化に基づいて異常判定を行うので、実施例1で説明した構成と同様の効果が得ることができる。
【0214】
また、実施例13の構成に加えて、実施例11のように、インピーダンスZの微分値dZ/dtを用いて異常発生と判定するようにしてもよい。さらに、実施例13の構成に加えて、実施例12のように、計数部を設けて異常の回数をカウントし、その回数が所定の基準回数を超えることに基づいて、異常発生と判定するようにしてもよい。
【0215】
また、上記実施例1〜実施例13では、異常検出時に高周波電源1の出力電力をゼロにしていたが、その出力電力を減少させる方向に変更するようにしてもよい。例えば出力電力を1/2に低減するようにしてもよい。これによっても、高周波電源1の出力端Aから負荷L側で発生した損傷の拡大を可及的に抑えることができ、反射波電力が高周波電源1内の素子(図略)に過電圧が印加されたり過電流が流れたりして、素子にダメージが加わることを防止することができる。
【0216】
また、方向性結合器12は、高周波電源1の出力端Aとインピーダンス整合器2の整合部17の入力端Dとの間に設けられていてもよい。
【0217】
本発明の内容は、上述した実施例に限定されない。本発明に係る高周波電力供給システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電源からインピーダンス整合器を介してプラズマ処理装置等の負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図23は、従来の高周波電力供給システムの基本構成例を示す図である。この高周波電力供給システムは、高周波電力を出力するための高周波電源51と、高周波電源51の入力インピーダンスと負荷インピーダンスとを整合するためのインピーダンス整合器53と、例えばプラズマ処理装置からなる負荷Lとで構成されている。インピーダンス整合器53は、高周波電源51に同軸ケーブルからなる伝送線路52を介して接続されている。負荷Lは、インピーダンス整合器53に、電磁波が漏洩を防止するために遮蔽された銅板等からなる負荷接続部54を介して接続されている。
【0003】
高周波電源51は、負荷Lに対して高周波電力を供給するための装置である。高周波電源51は、図示しない電力増幅回路及び発振回路等を備え、所定の電力に設定された高周波電力を伝送線路52を通じてインピーダンス整合器53に出力する。
【0004】
インピーダンス整合器53は、その入力端から高周波電源51側を見た入力インピーダンスと、その入力端から負荷L側を見た負荷インピーダンスとを整合させるためのものである。インピーダンス整合器53は、高周波電源51の出力を効率よく負荷Lに供給するのに用いられる。負荷Lは、エッチング又はCVD等の方法を用いて半導体ウェハ及び液晶基板等の被加工物を加工するための装置である。
【0005】
上記高周波電力供給システムでは、高周波電源51から負荷Lに高周波電力が供給されている間、負荷Lが変動し、高周波電源51と負荷Lとの間にインピーダンスの不整合が発生する。そのため、高周波電力供給システムでは、負荷Lの変動に応じてインピーダンス整合器53内の可変インピーダンス素子(図略)のインピーダンス値を自動的に変化させて、高周波電源51と負荷Lとの間のインピーダンスを整合させるようになっている。
【0006】
ところで、上記高周波電力供給システムにおいて、例えば負荷Lであるプラズマ処理装置でガス圧の変化や放電温度の上昇によりアーク放電が生じたり、絶縁破壊が生じたりする異常状態が発生すると、負荷Lのインピーダンスが急変する。そのため、高周波電力供給システムでは、インピーダンス整合器53の整合動作が十分に追従できなくなり、場合によってはインピーダンス整合が取れない状態が生じる。このような場合、インピーダンス不整合により高周波電源51に戻ってくる高周波電力の反射波が非常に大きくなり、高周波電源51を損傷する虞がある。また、負荷Lの損傷箇所にも高周波電力が供給され続けるため、その損傷箇所の被害を増大する虞がある。
【0007】
高周波電力供給システムでは、伝送線路52及びインピーダンス整合器53等の高周波電源51と負荷Lとの間の線路上で、絶縁不良、絶縁破壊又はコネクタの接触不良等の異常が発生した場合もその部分でのインピーダンス不整合が発生する。そのため、高周波電力供給システムでは、高周波電源51への反射波電力が増大し、当該高周波電源51の損傷又は線路上の異常発生箇所の損傷拡大を招くことになる。
【0008】
このような異常が発生した場合は、直ちに高周波電力供給を停止する等の安全対策を講じることが望ましい。しかし、従来の高周波電力供給システムは、上述の異常を検出して安全対策を講じる構成となっていなかった。
【0009】
一方、高周波技術においては、負荷への電力供給効率を示すパラメータとして反射係数及びリターンロス等が周知であり、これらのパラメータを用いれば、高周波電源51を損傷する虞のある反射波電力を知ることができる。そのため、例えば日本国特開2000−299198号公報に示されるように、反射係数Γを用いて負荷側の状態を監視し、例えば反射係数が所定の基準値を超えるか否かにより異常を検出して安全対策を講じることが考えられる。
【0010】
しかし、この方法では、反射係数の大きさが基準値を超えなければ異常とされない。そのため、反射係数の変化状態によっては、負荷側に異常が発生しているにも拘わらず異常と判定されず、この方法は、安全対策のレスポンスが十分とは言えない。例えば図24及び図25は、時間の経過にともなう反射係数の変化を表した図である。図24は、基準値を超えない範囲で瞬間的に反射係数が異常に増大する場合を示す。図25は、基準値を超えない範囲で反射係数が増大するときが断続的に続く場合を示す。図24及び図25に示す場合等では、その反射係数が変化するときに負荷側に異常が発生してもその異常が検出されない。また、異常が拡大して反射係数が基準値を超えたとき、その異常が検出されることになるため、安全対策用の検出方法としては十分とは言えない。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、または抑制し得る高周波電力供給システムを提供することをその目的としている。
【0012】
本発明の第1の側面によって提供される高周波電力供給システムは、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量を演算する微分演算手段と、上記微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴としている(請求項1)。
【0013】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超えたとき、異常発生と判定する(請求項2)。
【0014】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する計数手段を備え、この計数手段によって計数された回数が所定の基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項3)。
【0015】
好ましくは、上記高周波電力供給システムにおいて、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する演算手段を更に備え、上記異常判定手段は、上記微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量と上記演算手段により演算された反射係数の大きさとに基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する(請求項4)。
【0016】
上記構成によれば、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力が供給されているとき、上記高周波電源の内部、高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部の任意の検出点において、例えば電力値及び電圧値等の高周波の進行波に関する情報(以下、進行波情報という。)と反射波に関する情報(以下、反射波情報という。)とが検出され、これらの進行波情報と反射波情報とに基づいて、反射係数Γの大きさの単位時間当たりの変化量(以下、反射係数の微分値dΓ/dtという。)が算出される。
【0017】
そして、この反射係数の微分値dΓ/dtに基づいて、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。例えば反射係数の微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超えたとき、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。また、反射係数の微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の基準回数を超えたとき、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常発生と判定される。
【0018】
このように、反射係数の微分値dΓ/dtに基づいて、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定されるので、図24及び図25に示したような、反射係数が瞬間的に増大したり、反射係数が増大する状態が断続的に継続したりして異常が発生した場合にも可及的速やかに異常と判定することができる。
【0019】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超え、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超えたとき、異常発生と判定する(請求項5)。
【0020】
好ましくは、上記高周波電力供給システムにおいて、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する第1の計数手段と、上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超える回数を計数する第2の計数手段と、を備え、上記第1の計数手段によって計数された回数が予め設定された第1基準回数を超え、かつ、上記第2の計数手段によって計数された回数が予め設定された第2基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項6)。
【0021】
好ましくは、上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定する(請求項7)。
【0022】
上記構成によれば、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力が供給されているとき、進行波情報と反射波情報とが検出され、これらの進行波情報と反射波情報とに基づいて、反射係数Γの大きさとこの反射係数の微分値dΓ/dtとが算出される。そして、この反射係数Γの大きさと反射係数の微分値dΓ/dtとに基づいて、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。
【0023】
例えば反射係数Γの大きさが所定の第2基準値を超え、かつ、反射係数の微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超えたとき、上記高周波電源の内部、高周波電源の高周波電力の出力端部からインピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定された検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。また、反射係数Γの大きさが所定の第2基準値を超える回数が所定の第2基準回数を超え、かつ、反射係数の微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の第1基準回数を超えたとき、上記伝送線路上に設定された検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。
【0024】
このように、反射係数の微分値dΓ/dtに加え反射係数Γの大きさを加味して、上記伝送線路上の任意の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定されるので、上述した異常判定の精度が向上する。
【0025】
本発明の第2の側面によって提供される高周波電力供給システムは、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第1の微分演算手段と、上記負荷に対する入力電圧を検出する第3の検出手段と、上記負荷に対する入力電流を検出する第4の検出手段と、上記第3の検出手段により検出された出力電圧と上記第4の検出手段により検出された出力電流とに基づいて、当該第3,第4の検出手段の検出点から負荷側を見たインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第2の微分演算手段と、上記第1の微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量と、上記第2の微分演算手段により演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量とに基づいて、上記第3,第4の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴としている(請求項8)。
【0026】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超え、かつ上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定する(請求項9)。
【0027】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する第1の計数手段と、上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段とを備え、上記第1の計数手段によって計数された回数が所定の第1基準回数を超え、かつ上記第3の計数手段によって計数された回数が所定の第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項10)。
【0028】
上記構成によれば、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力が供給されているとき、上記高周波電源の内部、高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部の任意の検出点において、例えば電力値及び電圧値等の高周波の進行波情報と反射波情報が検出され、これらの進行波情報と反射波情報とに基づいて、反射係数Γの微分値dΓ/dtが算出される。
【0029】
また、上記インピーダンス整合器の内部から負荷との間の線路上において、上記負荷に対する入力電圧と入力電流とが検出され、これらの入力電圧と入力電流に基づいて、インピーダンスZの大きさの単位時間当たりの変化量(以下、インピーダンスZの微分値dZ/dtという。)が算出される。
【0030】
そして、上記反射係数Γの微分値dΓ/dtと、上記インピーダンスZの微分値dZ/dtとに基づいて、負荷側の回路における異常の発生が判定される。例えば反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超え、かつ上記インピーダンスZの微分値dZ/dtが予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、負荷側の回路における異常の発生が判定される。また、反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の第1基準回数を超え、かつインピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の第3基準値を超える回数を所定の第3基準回数を超えたとき、負荷側の回路における異常発生と判定される。
【0031】
このように、反射係数Гの微分値dГ/dt及びインピーダンスZの微分値dZ/dtにより異常検出を行うと、負荷L側での異常を確実に検出することができる。すなわち、反射係数Гの微分値dГ/dtを求めることにより、高周波電源の出力端から負荷側に至る回路において異常が生じたことを検出することができるが、反射係数Гの微分値dГ/dtのみでは、負荷のみで生じる異常を特定したい場合、それを特定することは困難である。高周波電源の出力端から負荷側に至る回路には、伝送線路やインピーダンス整合器が含まれているからである。一方、負荷の入力端においてインピーダンスZを測定するのみでは、負荷では通常、被加工物の加工中においてインピーダンスが多少なりとも変動するので、異常と判定するための基準値を定めることは難しく負荷に生じる異常を検出することは困難である。そこで、本発明では、反射係数Гの微分値dГ/dtに加えてインピーダンスZの微分値dZ/dtを求めることにより、特に負荷における異常を特定してそれを確実に検出するようにしている。
【0032】
なお、インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量に対する第3基準値は、正常値よりも小さい値に設定してもよいし、大きい値に設定してもよい。第3基準値を正常値よりも小さい値に設定した場合は、演算値が第3基準値よりも大きい値から第3基準値よりも小さい値になったときが、第3基準値を超えたときである。また、第3基準値を正常値よりも大きい値に設定した場合は、演算値が第3基準値よりも小さい値から第3基準値よりも大きい値になったときが、第3基準値を超えたときである。
【0033】
好ましくは、上記高周波電力供給システムにおいて、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する演算手段を更に備え、上記異常判定手段は、上記第1の微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量、上記演算手段により演算された反射係数の大きさ、及び上記第2の微分演算手段により演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第3,第4の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する(請求項11)。
【0034】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超え、上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超え、更に上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定する(請求項12)。
【0035】
好ましくは、上記高周波電力供給システムにおいて、上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する第1の計数手段と、上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超える回数を計数する第2の計数手段と、上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段と、を備え、上記第1の計数手段によって計数された回数が予め設定された第1基準回数を超え、上記第2の計数手段によって計数された回数が予め設定された第2基準回数を超え、更に上記第3の計数手段によって計数された回数が予め設定された第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項13)。
【0036】
上記構成によれば、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力が供給されているとき、進行波情報と反射波情報とが検出され、これらの進行波情報と反射波情報とに基づいて、反射係数Γの大きさとこの反射係数Γの微分値dΓ/dtとが算出される。また、上記負荷に対する入力電圧と入力電流とが検出され、これらの入力電圧と入力電流とに基づいて、インピーダンスZの微分値dZ/dtが算出される。そして、この反射係数Γの大きさと反射係数Γの微分値dΓ/dtとインピーダンスZの微分値dZ/dtとに基づいて、負荷側の回路における異常の発生が判定される。
【0037】
例えば反射係数の微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超え、反射係数Γの大きさが所定の第2基準値を超え、インピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の第3基準値を超えたとき、負荷側の回路における異常の発生が判定される。また、反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の第1基準回数を超え、反射係数Γの大きさが所定の第2基準値を超える回数が所定の第2基準回数を超え、かつインピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の第3基準値を超える回数が所定の第3基準回数を超えたとき、負荷側の回路における異常の発生が判定される。
【0038】
このように、反射係数Γの微分値dΓ/dt及びインピーダンスZの微分値dZ/dtに加え反射係数Γの大きさを加味して、上記負荷側の回路における異常の発生が判定されるので、上述した異常判定の精度が向上する。
【0039】
好ましくは、上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定され、上記第3,第4の検出手段の検出点は、上記インピーダンス整合器の内部から負荷との間の線路上に設定される(請求項14)。
【0040】
本発明の第3の側面によって提供される高周波電力供給システムは、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の対数値を演算する対数反射係数演算手段と、上記対数反射係数演算手段によって演算された反射係数の対数値を所定の周期で順次記憶する対数反射係数記憶手段と、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値と1つ前の記憶値とに基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴としている(請求項15)。
【0041】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のときに異常発生と判定する(請求項16)。
【0042】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のときの回数を計数する第4の計数手段を備え、この第4の計数手段によって計数された回数が予め設定された第4基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項17)。
【0043】
好ましくは、上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されている(請求項18)。
【0044】
上記構成によれば、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力が供給されているとき、上記高周波電源の内部、高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部の任意の検出点において、例えば電力値や電圧値等の高周波の進行波に関する進行波情報と反射波情報が検出され、これらの進行波情報と反射波情報とに基づいて、反射係数Γの対数値(logГ)が算出される。この反射係数Γの対数値logГは、記憶部に所定の周期Δtで順次記憶される。
【0045】
そして、反射係数Γの対数値logГの最新の記憶値と1つ前の記憶値とから単位時間当たりの変化の仕方に基づいて異常発生を判定するようにしている。
【0046】
なお、上述した他の構成例のように、反射係数Гの微分値dГ/dtを用いないのは、反射係数Гが小さい範囲と大きい範囲とでは、反射係数Γの対数値logГの変化量が異なるので、単純に基準値と比較して異常か否かを判定できないためである。そのため、反射係数Гの微分値dГ/dtを用いることなく、かつ瞬時に異常検出が可能とするために、反射係数の微分値を演算する場合と同様に、反射係数の最新の記憶値と1つ前の記憶値とを用いて、その単位時間当たりの変化の仕方に基づいて進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常判定を行うようにしている。
【0047】
例えば、記憶値が予め設定された第4基準値以上で、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のとき、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。また、最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上で、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のときの回数が予め設定された第4基準回数を超えたとき、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。
【0048】
このように、上記構成では、対数を用いているので、高周波の入力を広い範囲で許容することができる。また、反射係数Гの対数値logГを求める際に、反射波情報の対数から進行波情報の対数を減算するという形で行うことができるので、除算回路を用いる必要がなく、その回路構成を容易なものにすることができる。
【0049】
本発明の第4の側面によって提供される高周波電力供給システムは、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の対数値を演算する対数反射係数演算手段と、上記対数反射係数演算手段によって演算された反射係数の対数値を所定の周期で順次記憶する対数反射係数記憶手段と、上記負荷に対する入力電圧を検出する第3の検出手段と、上記負荷に対する入力電流を検出する第4の検出手段と、上記第3の検出手段により検出された入力電圧と上記第4の検出手段により検出された入力電流とに基づいて、当該第3,第4の検出手段の検出点から負荷側を見たインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第2の微分演算手段と、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値、1つ前の記憶値及び上記第2の微分演算手段によって演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第3,第4の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴としている(請求項19)。
【0050】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下であり、かつ上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定する(請求項20)。
【0051】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のときの回数を計数する第4の計数手段、及び上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段を備え、上記第4の計数手段によって計数された回数が予め設定された第4基準回数を超え、かつ上記第3の計数手段によって計数された回数が所定の第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項21)。
【0052】
好ましくは、上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されており、上記第3,第4の検出手段の検出点は、上記インピーダンス整合器の内部から負荷との間の線路上に設定されている(請求項22)。
【0053】
上記構成によれば、対数を用いるという効果に加え、インピーダンスZの微分値dZ/dtを用いることにより、特に負荷における異常を特定してそれを確実に検出することができる。
【0054】
本発明の第5の側面によって提供される高周波電力供給システムは、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する反射係数演算手段と、上記反射係数演算手段によって演算された反射係数の大きさを所定の周期で順次記憶する反射係数記憶手段と、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値と1つ前の記憶値とに基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴としている(請求項23)。
【0055】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のときに異常発生と判定する(請求項24)。
【0056】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のときの回数を計数する第5の計数手段を備え、この第5の計数手段によって計数された回数が予め設定された第5基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項25)。
【0057】
好ましくは、上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されている(請求項26)。
【0058】
上記構成によれば、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力が供給されているとき、上記高周波電源の内部、高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部の任意の検出点において、例えば電力値や電圧値等の高周波の進行波に関する進行波情報と反射波情報が検出され、これらの進行波情報と反射波情報とに基づいて、反射係数Γが算出される。この反射係数Γは、記憶部に所定の周期Δtで順次記憶される。
【0059】
そして、反射係数Γの最新の記憶値と1つ前の記憶値とから単位時間当たりの変化の仕方に基づいて異常発生を判定するようにしている。
【0060】
例えば、記憶値が予め設定された第6基準値以上で、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のとき、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。また、最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上で、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のときの回数が予め設定された第5基準回数を超えたとき、進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定される。
【0061】
このように、反射係数の微分値を演算する場合と同様に、反射係数の最新の記憶値と1つ前の記憶値とを用いて、その単位時間当たりの変化の仕方に基づいて進行波情報及び反射波情報の検出点から負荷側の回路における異常の発生が判定されるので、図24及び図25に示したような、反射係数が瞬間的に増大したり、反射係数が増大する状態が断続的に継続したりして異常が発生した場合にも可及的速やかに異常と判定することができる。
【0062】
また、最新の記憶値に対する基準値と1つ前の記憶値に対する基準値とを設定しているので、異常の定義をより簡単で明確なものにすることができる。
【0063】
本発明の第6の側面によって提供される高周波電力供給システムは、高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する反射係数演算手段と、上記反射係数演算手段によって演算された反射係数の大きさを所定の周期で順次記憶する反射係数記憶手段と、上記負荷に対する入力電圧を検出する第3の検出手段と、上記負荷に対する入力電流を検出する第4の検出手段と、上記第3の検出手段により検出された入力電圧と上記第4の検出手段により検出された入力電流とに基づいて、当該第3,第4の検出手段の検出点から負荷側を見たインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第2の微分演算手段と、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値、1つ前の記憶値及び上記第2の微分演算手段によって演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴としている(請求項27)。
【0064】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下であり、かつ上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定する(請求項28)。
【0065】
好ましくは、上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のときの回数を計数する第5の計数手段、及び上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段を備え、上記第5の計数手段によって計数された回数が予め設定された第5基準回数を超え、かつ上記第3の計数手段によって計数された回数が所定の第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定する(請求項29)。
【0066】
好ましくは、上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されており、上記第3,第4の検出手段の検出点は、上記インピーダンス整合器の内部から負荷との間の線路上に設定されている(請求項30)。
【0067】
上記構成によれば、反射係数の最新の記憶値と1つ前の記憶値とを用いて異常判定を行うことの効果に加え、インピーダンスZの微分値dZ/dtを用いることにより、特に負荷における異常を特定してそれを確実に検出することができる。
【0068】
好ましくは、上記異常判定手段により異常発生と判定されたとき、上記高周波電源から出力される電力量を減少方向に変更する出力電力変更手段を更に備える(請求項31)。
【0069】
好ましくは、上記出力電力変更手段は、上記高周波電源から出力される電力量をゼロにする(請求項32)。
【0070】
好ましくは、上記出力電力変更手段により上記高周波電源の出力電力量が変更されると、第1の所定時間の経過後に上記高周波電源の出力電力量を元の出力電力量に復帰させる出力電力復帰手段を更に備える(請求項33)。
【0071】
好ましくは、上記出力電力変更手段により上記高周波電源の出力電力量が変更されると、上記インピーダンス整合器の整合動作を停止させ、そのときの状態を保持する整合動作停止手段を更に備える(請求項34)。
【0072】
好ましくは、上記高周波電力供給システムにおいて、上記異常判定手段により異常発生と判定され、上記出力電力変更手段により上記高周波電源の出力電力量が変更されてから上記出力電力復帰手段により元の出力電力量に復帰後、第2の所定時間経過まで上記異常判定手段の判定動作を禁止する第1判定禁止手段を更に備える(請求項35)。
【0073】
好ましくは、ユーザによる操作によって上記高周波電源の電力供給動作が開始された後、又はユーザによる操作によって電力供給動作中に出力電力設定値が変更された後、第2の所定時間経過まで上記異常判定手段を禁止する第2判定禁止手段を更に備える(請求項36)。
【0074】
好ましくは、上記第2の所定時間は、上記インピーダンス整合器により上記高周波電源と上記負荷とがインピーダンス整合されるまでの時間よりも長い(請求項37)。
【0075】
好ましくは、上記第1の検出手段により検出される情報には少なくとも進行波の電力値又は電圧値が含まれ、上記第2の検出手段により検出される情報には少なくとも反射波の電力値又は電圧値が含まれる(請求項38,39)。
【0076】
本発明のその他の特徴および利点については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施例1に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図2】異常検出信号等の発生タイミングを説明するための図である。
【図3】反射係数の微分値と基準値との関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例2に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図5】インピーダンスの微分値と基準値との関係を示す図である。
【図6】本発明の実施例3に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例4に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例5に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図9】本発明の実施例6に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図10】反射係数の微分値と基準値との関係を示す図である。
【図11】実施例6の変形例を説明するための、反射係数と時間との関係を示す図である。
【図12】本発明の実施例7に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図13】インピーダンスの微分値と基準値との関係を示す図である。
【図14】インピーダンスと時間との関係を示す図である。
【図15】本発明の実施例8に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図16】本発明の実施例9に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図17】本発明の実施例10に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図18】本発明の実施例10に係る異常判定部の構成を示す図である。
【図19】反射係数と時間との関係を示す図である。
【図20】本発明の実施例11に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図21】本発明の実施例12に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図22】本発明の実施例13に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図23】従来の高周波電力供給システムの構成を示す図である。
【図24】従来の反射係数と時間との関係を示す図である。
【図25】従来の反射係数と時間との他の関係を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0078】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0079】
図1は、本発明の実施例1に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。このシステムは、半導体ウェハや液晶基板等の被加工物に対して高周波電力を供給して、例えばプラズマエッチングといった加工処理を行うものである。この高周波電力供給システムは、高周波電源1、インピーダンス整合器2、異常検出装置3、伝送線路4、負荷接続部5及びプラズマ処理装置からなる負荷Lによって構成されている。
【0080】
高周波電源1には、例えば同軸ケーブルからなる伝送線路4を介してインピーダンス整合器2が接続されている。インピーダンス整合器2には、例えば電磁波が漏れないように遮蔽された銅板からなる負荷接続部5を介して負荷L(例えばプラズマ処理装置)が接続されている。また、高周波電源1には、異常検出装置3が接続されている。なお、異常検出装置3は、高周波電源1に対して別途独立した態様で設けられているが、これに限らず、異常検出装置3は、高周波電源1の内部に設けられていてもよい。また、異常検出装置3は、インピーダンス整合器2の内部に設けられていてもよい。さらに、高周波電源1は、インピーダンス整合器2を含む構成としてもよい。
【0081】
高周波電源1は、負荷Lに対して例えば数百kHz以上の周波数を有する高周波電力を供給するための装置である。高周波電源1は、高周波発生増幅部11と、方向性結合器12と、電源制御部13とを備えている。
【0082】
高周波発生増幅部11は、負荷Lに供給する高周波電力を発生するものである。高周波発生増幅部11は、図示しない整流回路、平滑回路、電力増幅回路及び発振回路等を備える。高周波発生増幅部11は、例えば入力電源からの入力電圧(例えばAC200V)を整流・平滑して直流電圧を生成し、この直流電圧をスイッチングすることにより所定の高周波電圧に変換して出力する。この高周波電圧は、方向性結合器12及びインピーダンス整合器2を介して負荷Lに供給される。
【0083】
方向性結合器12は、高周波発生増幅部11から負荷L側に進行する高周波(以下、進行波という。)と負荷L側から反射してくる高周波(以下、反射波という。)を分離して検出するものである。方向性結合器12は、1個の入力ポートと3個の出力ポートを有し、入力ポートには高周波発生増幅部11が接続され、第1出力ポートには伝送線路4が接続されている。また、第2出力ポートと第3出力ポートは、それぞれ後述する異常検出装置3の第1検波部21と第2検波部22とに接続されている。
【0084】
入力ポートから入力される進行波は、第1出力ポートから出力され、第1出力ポートから入力される反射波は入力ポートから出力される。方向性結合器12は、進行波を適切なレベルまで減衰させて検出し、それを第2出力ポートから出力する。また、方向性結合器12は、反射波を適切なレベルまで減衰させて検出し、それを第3出力ポートから出力する。従って、異常検出装置3の第1検波部21には、方向性結合器12の第2出力ポートから出力される進行波PFが入力される。異常検出装置3の第2検波部22には、方向性結合器12の第3出力ポートから出力される反射波PRが入力される。
【0085】
なお、図1では省略しているが、本実施例に係る高周波電力供給システムには、高周波電源1からの高周波電力の出力開始を指示する出力開始スイッチ、及び高周波電源1から出力される高周波電力の出力値を設定するための出力電力設定スイッチが設けられた操作部が設けられている。操作者により出力開始スイッチが操作されると、図1に示すように、その操作信号である出力開始信号が高周波電源1の電源制御部13と異常検出装置3の異常判定部25に入力される。操作者により出力電力設定スイッチが操作されると、その操作信号である出力電力設定信号が高周波電源1の電源制御部13と異常検出装置3の異常判定部25に入力されるようになっている。
【0086】
電源制御部13は、上記出力開始信号が入力されているときに、方向性結合器12から出力される進行波PFによって求められる進行波電力値と、上記出力電力設定信号で設定された出力電力値とが等しくなるように、高周波発生増幅部11に指令信号を出力するものである。なお、電源制御部13は、進行波電力値だけでなく、方向性結合器12から出力される反射波PRによって求められる反射波電力値を用いて、進行波電力値から反射波電力値を減算した負荷L側電力値(進行波電力値−反射波電力値)と出力設定信号で設定させた出力電力値とが等しくなるように、高周波発生増幅部11に対して指令を出力してもよい。
【0087】
また、電源制御部13は、異常検出装置3から入力される異常検出信号に基づいて、高周波発生増幅部11の高周波生成動作を制御するものである。後述するように、異常検出装置3では、高周波電源1の出力端Aから見た負荷L側の回路において、例えば伝送線路4内で発生した絶縁破壊、インピーダンス整合器2内で発生した絶縁不良、又は伝送線路4とインピーダンス整合器2の接続部で発生した接触不良等の異常が発生すると、その異常発生を検出した異常検出信号が出力される。電源制御部13は、異常検出装置3から異常検出信号が入力されると、高周波発生増幅部11による高周波電力の発生を所定の期間Tだけ停止させる。
【0088】
インピーダンス整合器2は、高周波電源1と負荷Lとのインピーダンスを整合させるものである。より具体的には、例えば高周波電源1の出力端Aから電源側を見たインピーダンス(出力インピーダンス)が50Ωに設計され、高周波電源1が特性インピーダンス50Ωの伝送線路4でインピーダンス整合器2の入力端Bに接続されているとすると、インピーダンス整合器2は、当該インピーダンス整合器2の入力端Bから負荷L側を見たインピーダンスを可及的に50Ωに自動調整する。なお、本実施例では特性インピーダンスを50Ωとしているが、言うまでもなく特性インピーダンスは50Ωに限定されるものではない。
【0089】
インピーダンス整合器2は、入力検出部15と、整合器制御部16と、整合部17とによって概略構成されている。
【0090】
入力検出部15は、高周波電源1から入力される高周波(入射波)の高周波電圧V、高周波電流I、及びそれらの位相差θを検出するものである。入力検出部15で検出された高周波電圧V、高周波電流I及び位相差θは、整合器制御部16に入力される。
【0091】
整合器制御部16は、入力検出部15から入力された高周波電圧V、高周波電流I及び位相差θを用いて入力インピーダンスZin(入力端Bから負荷L側を見たインピーダンス)を算出し、この入力インピーダンスZinが50Ωになるように、整合部17の可変インピーダンス素子である可変キャパシタVC1,VC2(後述)を制御するものである。より具体的には、整合器制御部16は、|V|/|I|が所定の範囲内、例えば50±5Ωになり、位相差θが略0°となるように、整合部17の可変キャパシタVC1,VC2を制御する。
【0092】
整合部17は、インダクタL1と可変インピーダンス素子である可変キャパシタVC1,VC2とを、いわゆるπ型に接続した回路で構成されている。可変キャパシタVC1,VC2は、図略の電動モータからなる駆動部材により対向電極の一方が移動可能になされ、一方電極を移動させることにより、対向電極の面積が変化して各キャパシタンスが変化するようになっている。また、可変キャパシタVC1,VC2の一方電極の駆動は、整合器制御部16からの制御信号に基づいて制御されるようになっている。
【0093】
従って、整合部17は、整合器制御部16からの制御信号に基づいて可変キャパシタVC1,VC2の各キャパシタンスを変化させ、これにより入力インピーダンスZinの大きさ(絶対値)が所定の範囲(例えば50±5Ω)内に入るように、かつ位相差が略0°となるように調整する。なお、図1の実施例による整合部17の回路構成は、π型であるが、これに代えて、T型、L型、逆L型等が採用されてもよい。また、可変インピーダンス素子として可変キャパシタに代えて、可変インダクタが採用されてもよい。
【0094】
整合器制御部16には、異常検出装置3から動作禁止信号が入力されるようになっている。この動作禁止信号は、整合器制御部16による上述した整合動作を禁止させる信号であって、例えば整合動作を禁止させるとき、ハイレベルとなる矩形波信号である。異常検出装置3は、異常を検出すると、高周波電源1に異常検出信号を出力すると同時に、所定の時間T(図2参照)だけハイレベルとなる動作禁止信号を整合器制御部16に出力する。これにより整合器制御部16は、異常検出装置3で異常が検出されると、高周波電源1が一時停止されている時間、インピーダンス整合器2の整合動作を停止させる。
【0095】
このように、高周波電源1の電力出力動作を一時停止させている期間にインピーダンス整合器2の整合動作も停止させるのは、高周波電源1から電力が出力されなければ、入力検出部15でインピーダンス整合を自動調整するための入力インピーダンスZinが検出できないという問題が生じるからである。また、インピーダンス整合器2の整合動作も停止させるのは、電力非出力中にインピーダンス整合器2の整合動作をさせると、整合部17の可変キャパシタVC1,VC2のキャパシタンス値が不定となる。そのため、高周波電源1の電力出力動作が再開されたとき、可変キャパシタVC1,VC2のキャパシタンス値が不整合の大きい値に変動されていると、迅速に整合状態に引き込むことができないという問題が生じるからである。
【0096】
電力非出力中にインピーダンス整合器2の整合動作を停止させていれば、可変キャパシタVC1,VC2のキャパシタンス値が電力停止直前の調整値からより不整合の大きい値に変動することがなく、高周波電源1の電力出力動作の再開後に迅速にインピーダンス整合器2を整合状態にすることができる。
【0097】
負荷Lは、半導体ウェハ又は液晶基板等の被加工物をエッチング又はCVD等の方法を用いて加工するためのプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置では、被加工物の加工目的に応じて各種の加工プロセスが実行される。例えば、被加工物に対してエッチングを行う場合には、そのエッチングに応じたガス種類、ガス圧力、高周波電力の供給電力値、及び高周波電力の供給時間等が適切に設定された加工プロセスが行われる。プラズマ処理装置では、被加工物が配置される容器(図略)内にプラズマ放電用ガスを導入し、そのプラズマ放電用ガスを放電させて非プラズマ状態からプラズマ状態にしている。そして、プラズマ処理装置では、プラズマ状態になったガスを用いて被加工物を加工している。
【0098】
異常検出装置3は、負荷Lにおける異常、同軸ケーブルである伝送線路4又は同軸ケーブルの両端に設けられる同軸コネクタにおける絶縁不良、絶縁破壊、及び接触不良等の異常が発生した場合に、それを検出するものである。異常検出装置3は、第1検波部21と、第2検波部22と、反射係数演算部23と、反射係数Гの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する微分演算部24と、微分演算部24の出力に基づいて異常であるか否かを判定する異常判定部25とによって構成されている。
【0099】
第1検波部21は、進行波PFの振幅Vfを検波するものである。第2検波部22は、反射波PRの振幅Vrを検波するものである。第1検波部21及び第2検波部22は、例えば図略のダイオードとRCローパスフィルタとからなる周知のダイオード検波回路によって構成されている。第1検波部21及び第2検波部22の検出値Vf,Vrは、反射係数演算部23に入力される。なお、第1,第2検波部21,22は整流回路で構成する等、他の構成にしてもよい。
【0100】
反射係数演算部23は、第1検波部21から入力される進行波PFの振幅Vfと第2検波部22から入力される反射波PRの振幅Vrとから反射係数Γ=Vr/Vfを算出するものである。反射係数演算部23は、進行波PFの振幅Vf及び反射波PRの振幅VrをA/Dコンバータ(図略)によりデジタルの振幅値Df,Drに変換した後、Dr/Dfを演算することにより反射係数Γの値を算出する。反射係数Γの演算処理は、所定の周期Δtで行われる。また、反射係数Γのデータは、微分演算部24に入力される。
【0101】
なお、反射係数演算部23は、アナログ信号でVr/Vfの信号を生成し、この信号をA/Dコンバータによりデジタルデータに変換するようにしてもよい。第1検波部21及び第2検波部22は、電力検出回路で構成され、この電力検出回路によって進行波PFの電力Wfと反射波PRの電力Wrとを検出するようにしてもよい。この場合、反射係数演算部23では(Wr/Wf)1/2を演算することにより反射係数Γが算出される。
【0102】
微分演算部24は、反射係数演算部23によって求められた反射係数Гの大きさの単位時間当たりの変化量を求めるものである。換言すれば、微分演算部24は、反射係数Гの大きさの微分量(dГ/dt)を求めるものである。以下、反射係数Гの大きさの単位時間当たりの変化量を反射係数の微分値dΓ/dtという。
【0103】
微分演算部24では、反射係数演算部23から所定の周期dtで反射係数Γが入力される毎に、前回入力された反射係数Γ1と今回入力された反射係数Γ2との差dΓ=Γ2−Γ1が算出されるとともに、dΓ/dtが演算される。なお、反射係数演算部23からアナログ信号により反射係数Γが入力される場合、微分演算部24は、この反射係数Γの信号をA/Dコンバータによりデジタルデータに変換した後、dΓ/dtを演算することになる。微分演算部24の演算結果(dΓ/dt)は、異常判定部25に入力される。
【0104】
異常判定部25は、微分演算部24から入力される反射係数の微分値dГ/dtに基づいて、異常が発生しているか否かを判定する。異常判定部25は、異常発生と判定した場合、異常を示す異常検出信号を第1所定時間T(図2参照)だけ高周波電源1の電源制御部13に対して出力するとともに、整合器制御部16に対して動作禁止信号を出力する。
【0105】
すなわち、異常判定部25は、反射係数の微分値dГ/dtを予め設定された所定の基準値と比較し、微分値dГ/dtが基準値を超えている場合、高周波電源1の出力端Aから負荷L側に至る回路において何らかの異常が発生していると判定し、第1所定時間Tだけ、例えばハイレベルに反転する異常検出信号を出力する。例えば反射係数の微分値dГ/dtが図3に示すように変化した場合、異常判定部25は、反射係数の微分値dГ/dtが基準値を超えたタイミングt1でハイレベルに反転する異常検出信号を所定の時間Tだけ出力する。なお、図3において、タイミングt2は反射係数Γが極値となるタイミングである。異常判定部25は、反射係数の微分値dГ/dtにより異常検出を行っているので、反射係数Γにより異常検出を行うよりも速く、瞬時に異常検出が可能になっている。
【0106】
そして、電源制御部13は、この異常を示す異常検出信号によって、高周波発生増幅部11による高周波電力の発生を所定の時間Tだけ停止させる。また、整合器制御部16は、動作禁止信号によってその整合動作を禁止させる。
【0107】
また、異常判定部25は、異常が発生していると判定し、第1所定時間Tだけ経過した後、異常検出信号の出力レベルを反転させる(図2のa参照)。これにより、電源制御部13は、高周波電源1からの高周波電力の出力の停止を解除し、再び、高周波電力を出力させる。また、異常判定部25は、整合器制御部16に対して出力する動作禁止信号の出力レベルを反転させる(図2のb参照)。これにより、整合器制御部16は、その整合動作を再開させる。
【0108】
さらに、異常判定部25は、その異常判定動作を、上記第1所定時間Tが経過した後、さらに予め設定される第2所定時間T′が経過するまで禁止する。すなわち、異常判定動作は、異常が発生していると判定されたときからT+T′の時間だけ禁止される。なお、この第2所定時間T′は、高周波電源1が高周波出力動作を開始した後、実質的にインピーダンス整合器2によってインピーダンス整合されるまでの想定時間よりも長く設定された時間であり、経験的に又は実験的に求められた値である。また、異常が発生していると判定されていなくても、最初に高周波電力の出力動作を開始したとき、又は高周波電力の出力電力設定値が変更されたときは、第2所定時間T′が経過するまで異常判定動作が禁止される。
【0109】
なお、最初に高周波電力の出力動作を開始したときは、出力開始信号を監視することにより判定することができる。また、高周波電力の出力電力設定値が変更されたか否かは、出力電力設定信号を監視することにより判定することができる。
【0110】
高周波電源1が高周波電力の出力を開始した直後、又は電力供給動作中に出力電力設定値が変更された直後は、高周波電源1の出力端Aから負荷L側に至る回路が異常でないにもかかわらず、不整合状態となり、反射係数Гが増加して異常と誤検出されることがある。そのため、上記第2所定時間T′の期間は、異常判定動作を禁止するようにしている。
【0111】
一方、インピーダンス整合器2が整合状態を維持しているときに異常が発生した場合は、上述したように異常検出装置3において、反射係数の微分値dГ/dtにより、その異常を瞬時に検出し、高周波電源1の高周波出力動作とインピーダンス整合器2の整合動作を停止させる。異常検出装置3は、実質的に高周波電源1が高周波出力動作を開始し(一時停止後に再度開始された場合を含む。)、インピーダンス整合器2による整合状態が維持されるようになった後に異常判定動作を行う。
【0112】
異常判定部25は、例えば図示しない報知装置に接続されており、異常検出信号はこの報知装置と高周波電源1の電源制御部13に入力される。また、異常検出信号と同時に、インピーダンス整合器2には、例えばハイレベルに反転する動作禁止信号が入力される。報知装置は異常検出信号が入力されると、表示又は音声により異常が発生していることを報知する。また、上述したように、高周波電源1は、異常検出信号が入力されると、所定の時間Tだけ高周波電力の出力動作を停止し、インピーダンス整合器2は、動作禁止信号が入力されると、所定の時間Tだけ整合動作を停止する。
【0113】
次に、実施例1に係る高周波電力供給システムにおける異常検出処理について説明する。
【0114】
プラズマ処理装置(負荷L)でプラズマ加工を行うべく高周波電源1の電源がオンにされると、高周波電源1から所定の高周波電力が生成され、伝送線路4、インピーダンス整合器2及び負荷接続部5を介して負荷Lに供給される。
【0115】
インピーダンス整合器2に高周波電源1から高周波電力が入力されると、インピーダンス整合器2では、この入力電力に基づいてインピーダンス整合器2の入力インピーダンスZin(入力端Bのインピーダンス)の大きさ|V|/|I|と位相差θが検出される。インピーダンス整合器2では、この検出情報に基づいて入力インピーダンスZinが特性インピーダンス50Ωになるように、整合部17の可変キャパシタVC1,VC2が自動調整される。
【0116】
高周波電源1を起動した直後、すなわち、インピーダンス整合器2に高周波電源1から高周波電力が入力された直後は、インピーダンス整合器2の入力インピーダンスZinは通常、特性インピーダンス(50Ω)からずれ、不整合状態となっている。インピーダンス整合器2がインピーダンスの自動調整動作を開始すると、例えば3秒程度の所定の時間が経過後には入力インピーダンスZinは、予め設定された整合範囲(例えば50±5Ω)に調整される。そして、その後は、インピーダンス整合器2は負荷LのインピーダンスZlの変動に応じて可変キャパシタVC1,VC2を変化させ、入力インピーダンスZinが常に所定の整合範囲内に入るように自動調整する。
【0117】
高周波電源1が高周波電力の供給を開始すると、方向性結合器6は、高周波の進行波PFと反射波PRとを分離して検出し、検出信号を異常検出装置3に入力する。異常検出装置3は、進行波PFと反射波PRから反射係数の微分値dΓ/dtを算出し、この反射係数の微分値dΓ/dtの変化に基づいて高周波電源1の出力端Aから負荷L側の回路で異常が発生している否かを判定する。すなわち、異常検出装置3は、高周波電源1が電力供給を開始すると、反射係数の微分値dΓ/dtの変化に基づいて高周波電源1の出力端Aから負荷L側の回路で異常発生の有無の監視を開始する。
【0118】
なお、異常検出装置3は、異常が発生していると判定されたときからT+T′の時間(図2参照)だけ異常判定動作が禁止される。そのため、実質的に異常検出装置3による異常発生の有無の監視は、インピーダンス整合器2によるインピーダンス整合の調整が終了し、その整合状態の維持に移行したときから開始される。
【0119】
従って、この高周波電力供給システムでは、プラズマ処理装置Lがプラズマ処理を終了するまで、すなわち、高周波電源1からの電力供給が停止されるまで、異常検出装置3により高周波電源1の出力端Aから負荷L側での異常発生の有無が監視されながら、インピーダンス整合器2により高周波電源1とプラズマ処理装置Lとのインピーダンス整合が自動的に調整され、高周波電源1からの高周波電力は可及的に効率良くプラズマ処理装置Lに供給される。
【0120】
ここで、高周波電源1から負荷Lに高周波電力が供給されているときに、高周波電源1の出力端Aから負荷L側の回路、例えば伝送線路4の線路上、伝送線路4と高周波電源1又はインピーダンス整合器2との接続コネクタ、インピーダンス整合器2の内部等で絶縁破壊、絶縁不良、又は接触不良等の異常が発生すると、その異常発生点のインピーダンスが変化し、反射波が増大することになる。
【0121】
インピーダンス整合器2の出力端から負荷L側で異常が発生した場合は、負荷L側のインピーダンスの変動に応じてインピーダンス整合器2が自動的にインピーダンス整合を取るように動作する。そのため、高周波電力供給システムは、可及的に負荷L側に高周波電力を供給し、高周波電源側への反射波の増大を抑制するように動作する。この状態が継続すると、負荷L側の異常発生箇所に高周波電力が供給されてその損傷状態が更に拡大することになる。また、その損傷が拡大し、インピーダンス整合器2ではインピーダンス整合が取れなくなると、非常に大きな反射波が高周波電源1に戻ってきて当該高周波電源1も損傷する事態になる。
【0122】
同様の現象は、高周波電源1とインピーダンス整合器2との間で異常が発生した場合にも生じる。しかし、この場合は、インピーダンス整合器2によるインピーダンス整合動作は作用しないので、例えば伝送線路4で絶縁不良又は絶縁破壊が発生した場合は、その損傷箇所でインピーダンス不整合となり、非常に大きな反射波が高周波電源1に戻り、当該高周波電源1を損傷させることになる。
【0123】
しかし、本実施例に係る高周波電力供給システムでは、異常検出装置3で高周波電源1から入力された入射波PF及び反射波PRから算出した反射係数の微分値dΓ/dtを用いて異常の発生を監視している。そのため、高周波電源1の出力端Aから負荷L側の回路で異常が発生すると、異常検出装置3に入力される反射波PRが増大し、反射係数の微分値dΓ/dtが所定の基準値を超えるので、直ちに異常の発生が検出される。
【0124】
図2に示したように、異常判定部25で異常発生と判定されると、異常判定部25から高周波電源1の電源制御部13と報知装置(図略)に異常検出信号(ハイレベルの信号)が入力される。電源制御部13は、異常検出信号が入力されると、高周波発生増幅部11を制御して、高周波波電力の発生を停止する(高周波電力の出力波形参照)。また、報知装置は、異常検出信号が入力されると、高周波電力供給システムに異常が発生した旨の報知を行う。
【0125】
このように、異常発生が検出されると、異常検出信号により高周波電源1の電力出力動作が直ちに停止されるので、上述の異常発生箇所の損傷の拡大が防止されるとともに、当該高周波電源1の反射波による損傷も未然に防止される。特に、反射係数の微分値dΓ/dtにより異常検出しているので、実際に異常が発生して反射係数Γの大きさが異常値に変化する前に早期に異常が検出され、高周波電源1の電力出力停止等の安全措置が有効に作用する。
【0126】
その後、電源制御部13は、高周波発生増幅部11による高周波電力の発生を停止させた後、所定時間Tの経過後に元の出力量で高周波電力を出力させる。これは、異常検出によって検出される異常が、例えばプラズマ処理装置Lで生じるアーク放電のように瞬時的に大きな負荷変動である場合や損傷が生じていたとしても自然回復可能な場合があり、このような場合にも常に手動で電力供給を回復させるのでは作業効率を徒に低下させるため、高周波電力供給システムを自動的に復帰させることにより作業効率の低下を低減するようにしたものである。なお、所定の時間Tは、経験的に又は実験的に求められた値である。
【0127】
本実施例では、作業効率の観点から異常検出時に所定の時間Tだけ高周波電源1の電力出動作を停止させるようにしているが、より安全性を考慮して高周波電源1の電力出力動作を完全に停止させるようにしてもよい。
【0128】
異常判定部25において異常発生と判定されると、図2に示したように、異常判定部25からインピーダンス整合器2の整合器制御部16に動作禁止信号(ハイレベルの信号)が入力される。整合器制御部16は、動作禁止信号が入力されると、整合部17の可変インピーダンス素子である可変キャパシタVC1,VC2の駆動制御を所定の時間Tだけ停止し、可変キャパシタVC1,VC2のキャパシタンス値を異常発生時の状態に保持する。
【0129】
これにより、所定の時間Tの経過後に高周波電源1の電力出力動作が復帰したとき、インピーダンス整合器2は、高周波電源1の電力出力動作が停止したときの可変キャパシタVC1,VC2のキャパシタンス値からインピーダンス整合動作を開始することになるので、不整合状態が大きくずれていることがなく、迅速にインピーダンス整合動作を行うことができる。
【0130】
異常検出装置3の異常判定動作は、高周波電源1の電力供給が復帰されてもインピーダンス整合器2が不整合状態であるため、整合状態に引き込むまでの時間T’が経過するまで、禁止状態を示すローレベル(動作オフ)が保持される。
【0131】
従って、異常判定部25の判定動作の禁止状態は、高周波電源1の電力供給が停止されてから所定の時間Tとインピーダンス整合器2が整合状態に至るまでの時間T’が経過するまで継続される。これにより、高周波電源1の電力供給が復帰した直後のインピーダンス不整合状態における異常検出装置3の誤動作を防止することができる。
【0132】
図4は、本発明の実施例2に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例1では、高周波電源1の出力端Aにおける高周波出力の反射係数Гの微分値dГ/dtに基づいて、高周波電源1の出力端Aから負荷L側での異常を検出するようにしたが、実施例2では、高周波電源1の出力端Aにおける高周波出力の反射係数Гの微分値dГ/dtと、負荷Lの入力端におけるインピーダンスの微分値とに基づいて、負荷Lにおける異常を特定して検出するものである。
【0133】
実施例1と異なる点について説明すると、インピーダンス整合器2には、整合部17の後段に、電圧検出部18及び電流検出部19が設けられている。
【0134】
電圧検出部18は、整合部17の出力端Cにおける高周波の電圧値VLを検出するものである。換言すれば、整合部17の出力端Cは、負荷接続部5を介して負荷Lに接続されているため、電圧検出部18は、負荷L側の入力端における高周波の電圧値VLを検出する。
【0135】
電流検出部19は、整合部17の出力端Cにおける高周波の電流値ILを検出するものである。換言すれば、整合部17の出力端Cは、負荷接続部5を介して負荷Lに接続されているため、電流検出部19は、負荷L側の入力端における高周波の電流値ILを検出する。
【0136】
電圧検出部18によって検出された電圧値VL及び電流検出部19によって検出された電流値ILは、異常検出部3のインピーダンス演算部26(後述)に与えられる。
【0137】
異常検出装置3には、インピーダンス演算部26と、インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第2微分演算部27とが設けられている。なお、実施例1で説明した微分演算部24は、この実施例2では、便宜上「第1微分演算部24」として説明する。
【0138】
インピーダンス演算部26は、電圧検出部18から入力される負荷Lの入力端における電圧値VLと電流検出部19から入力される負荷Lの入力端における電流値ILとからインピーダンスZ=VL/ILを算出するものである。インピーダンス演算部26は、電圧検出部18から入力される電圧値VL及び電流検出部19から入力される電流値ILをA/Dコンバータによりデジタルの振幅値Dv,Diに変換した後、Dv/Diを演算することによりインピーダンスZの値を算出する。インピーダンスZの演算処理は、所定の周期Δtで行われる。また、インピーダンスZのデータは第2微分演算部27に入力される。なお、インピーダンス演算部26では、アナログ信号でVL/ILの信号を生成し、この信号をA/Dコンバータによりデジタルデータに変換するようにしてもよい。
【0139】
第2微分演算部27は、インピーダンス演算部26によって求められたインピーダンスZの大きさの単位時間当たりの変化量を求めるものである。換言すれば、第2微分演算部27は、インピーダンスZの大きさの微分値(dZ/dt)を求めるものである。以下、インピーダンスZの大きさの単位時間当たりの変化量をインピーダンスの微分値dZ/dtという。
【0140】
第2微分演算部27では、インピーダンス演算部26から所定の周期dtでインピーダンスZが入力される毎に、前回入力されたインピーダンスZ1と今回入力されたインピーダンスZ2との差dZ=Z2−Z1が算出されるとともに、dZ/dtが演算される。なお、インピーダンス演算部26からアナログ信号によりインピーダンスZが入力される場合、第2微分演算部27は、このインピーダンスZの信号をA/Dコンバータによりデジタルデータに変換した後、dZ/dtが演算されることになる。第2微分演算部27の演算結果(dZ/dt)は、異常判定部25に入力される。
【0141】
異常判定部25では、第1微分演算部24から入力される反射係数の微分値dГ/dt及び第2微分演算部27から入力されるインピーダンスの微分値dZ/dtに基づいて、異常が発生しているか否かを判定し、異常発生と判定した場合は、異常を示す異常検出信号を第1所定時間T(図2参照)だけ高周波電源1の電源制御部13に対して出力するとともに、整合器制御部16に対して動作禁止信号を出力する。
【0142】
すなわち、異常判定部25は、反射係数の微分値dГ/dtを予め設定された所定の基準値と比較するとともに、インピーダンスの微分値dZ/dtを予め設定された所定の基準値と比較する。異常判定部25は、微分値dГ/dtが基準値を超え、かつ微分値dZ/dtが基準値を超えている場合、負荷L側において何らかの異常が発生していると判定し、第1所定時間T(図2参照)だけ、例えばハイレベルに反転する異常検出信号を出力する。
【0143】
例えば、反射係数Гの微分値dГ/dtが図3に示すように変化した場合、反射係数Гの微分値dГ/dtが基準値を超え(タイミングt1参照)、かつインピーダンスの微分値dZ/dtが図5に示すように変化した場合、インピーダンスZの微分値dZ/dtが基準値を超え(タイミングt1′参照)たとき、異常判定部25はハイレベルを出力する。なお、図3において、タイミングt2は反射係数Γが極値となるタイミングであり、図5において、タイミングt2′はインピーダンスZが極値となるタイミングである。
【0144】
このように、反射係数Гの微分値dГ/dt及びインピーダンスZの微分値dZ/dtにより異常検出を行うと、負荷L側での異常を確実に検出することができる。すなわち、反射係数Гの微分値dГ/dtを求めることにより、高周波電源1の出力端Aから負荷L側に至る回路において異常が生じたことを検出することができるが、反射係数Гの微分値dГ/dtのみでは、負荷Lのみで生じる異常を特定したい場合、それを特定することは困難である。すなわち、高周波電源1の出力端Aから負荷L側に至る回路には、伝送線路4やインピーダンス整合器2が含まれているからである。一方、負荷Lの入力端においてインピーダンスZを測定するのみでは、負荷Lでは通常、加工中においてインピーダンスが多少なりとも変動するので、異常と判定するための基準値を定めることは難しく負荷Lに生じる異常を検出することは困難である。
【0145】
そこで、本実施例2では、反射係数Гの微分値dГ/dtに加えてインピーダンスZの微分値dZ/dtを求めることにより、特に負荷Lにおける異常を特定してそれを確実に検出するようにしている。
【0146】
異常判定部25は、反射係数Гの微分値dГ/dt及びインピーダンスの微分値dZ/dtにより異常検出を行っているので、単に反射係数Γの大きさにより異常検出を行う、又はインピーダンスZの大きさにより異常検出を行うよりも速く、瞬時に異常検出が可能になっている。
【0147】
より具体的に動作を説明すれば、高周波電源1が高周波電力の供給を開始すると、高周波電源1は、高周波の進行波PFと反射波PRとを分離して検出し、検出信号を異常検出装置3に入力する。一方、インピーダンス整合器2は、負荷Lの入力端における電圧値及び電流値を異常検出装置3に入力する。異常検出装置3は、進行波PFと反射波PRから反射係数Гの微分値dΓ/dtを算出するとともに、インピーダンス整合器2からの電圧値及び電流値からインピーダンスの微分値dZ/dtを算出し、この反射係数Гの微分値dΓ/dtの変化及びインピーダンスの微分値dZ/dtの変化に基づいて負荷L側の回路で異常が発生している否かを判定する。すなわち、異常検出装置3は、高周波電源1が電力供給を開始すると、反射係数Гの微分値dΓ/dtの変化及びインピーダンスの微分値dZ/dtの変化に基づいて負荷L側で異常発生の有無の監視を開始する。
【0148】
この場合、異常検出装置3では、高周波電源1から入力された入射波PF及び反射波PRから算出した反射係数Γの微分値dΓ/dtを用いて異常の発生を監視しているため、負荷Lにおける異常を含む、高周波電源1の出力端Aから負荷Lに至る回路、例えば伝送線路4の線路上、伝送線路4と高周波電源1又はインピーダンス整合器2との接続コネクタ、又はインピーダンス整合器2の内部等で絶縁破壊、絶縁不良、若しくは接触不良等の異常、又は負荷Lの異常が発生したことを予想することができる。
【0149】
しかし、本実施例2の構成では、更に異常検出装置3で負荷Lの入力端における電圧値VL及び電流値ILから算出したインピーダンスZのdZ/dtを用いて異常の発生を監視しているので、高周波電源1の出力端Aから負荷L側の回路での異常を検出することができるだけでなく、負荷Lにおける異常を特定し、それを確実に検出することができる。
【0150】
また、本実施例2においては、高周波電源1の出力端Aと電圧や電流の検出点との間における異常も特定することができる。例えば、反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の基準値を超えるが、インピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の基準値を超えていない場合、高周波電源1の出力端Aと電圧や電流の検出点との間における異常、例えば伝送線路4の線路上、伝送線路4と高周波電源1又はインピーダンス整合器2との接続コネクタ、又はインピーダンス整合器2の内部等で絶縁破壊、絶縁不良、又は接触不良等の異常と特定することができる。
【0151】
なお、この異常を示す異常検出信号によって、電源制御部13が高周波発生増幅部11による高周波電力の発生を第1所定時間Tだけ停止させる制御、整合器制御部16が動作禁止信号によってその整合動作を禁止させる制御等は、実施例1と同様であるため、ここでは省略する。
【0152】
図6は、本発明の実施例3に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例1では反射係数Γの検出点を高周波電源1内の出力端近傍に設けていたが、実施例3は、反射係数Γの検出点を伝送線路4上に設けたものである。具体的には、図6に示す構成は、高周波電源1の方向性結合器12を除去し、伝送線路4上に方向性結合器6を設けたものである。高周波電源1と方向性結合器6との間、及び方向性結合器6とインピーダンス整合器2との間は、同軸ケーブルからなる伝送線路4によってそれぞれ接続されている。また、方向性結合器6の第2出力ポートと第3出力ポートは、それぞれ異常検出装置3の第1検波部21と第2検波部22とに接続されている。
【0153】
実施例3に係る高周波電力供給システムにおける異常判定動作は、上述した実施例1に係る高周波電力供給システムにおける異常判定動作と同一である。従って、ここでは、詳細説明は省略する。実施例3に係る高周波電力供給システムでは、異常検出点が伝送線路4上(具体的には方向性結合器6の位置)になるので、方向性結合器6から負荷L側の回路での異常、具体的には方向性結合器6とインピーダンス整合器2を結合する伝送線路4、接続コネクタでの絶縁破壊若しくは接触不良、インピーダンス整合器2内での絶縁不良、又は負荷Lでの異常等が検出され、上述した実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0154】
なお、反射係数Γの検出点を伝送線路4上に設けた実施例3の構成を、負荷Lの入力端におけるインピーダンスの微分値を検出する図4に示した実施例2の構成に適用するようにしてもよい。
【0155】
図7は、本発明の実施例4に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例1では、反射係数Γの微分値dΓ/dtを用いて異常発生を判定していたが、実施例4は反射係数Γと反射係数Γの微分値dΓ/dtの両方を用いて異常発生を判定するようにしたものである。具体的には、図7は、図1において、反射係数演算部23と異常判定部25との間に第1比較部28を設け、微分演算部24と異常判定部25との間に第2比較部29を設けたものである。
【0156】
第1比較部28には、反射係数演算部23で演算された反射係数Γが入力される。第2比較部29には、微分演算部24で演算された反射係数Γの微分値dΓ/dtが入力される。
【0157】
第2比較部29は、微分演算部24から入力される反射係数Гの微分値dΓ/dtを予め定められた第1基準値と比較し、反射係数Гの微分値dΓ/dtが当該第1基準値を超えたとき、その旨の信号(例えばローレベルからハイレベルに反転する信号)を出力するものである。この信号は、異常判定部25に入力される。
【0158】
また、第1比較部28は、反射係数演算部23から入力される反射係数Гの大きさを予め定められた第2基準値と比較し、反射係数Гの大きさが当該第2基準値を超えたとき、その旨の信号(例えばローレベルからハイレベルに反転する信号)を出力するものである。この信号も、異常判定部25に入力される。
【0159】
異常判定部25は、図略のAND回路を有し、このAND回路で第1比較部28及び第2比較部29から入力される信号の論理積が演算され、その演算結果の信号が異常検出信号として出力される。すなわち、第1比較部28及び第2比較部29から入力される信号がいずれもハイレベルのとき、異常判定部25からハイレベルの信号が出力され、第1比較部28及び第2比較部29から入力される信号のいずれかがローレベルのとき、異常判定部25からローレベルの信号が出力される。なお、異常判定部25における信号のローレベル、ハイレベルの関係は逆になっていてもよい。
【0160】
実施例4に係る高周波電力供給システムでは、異常判定部25において、反射係数Γの微分値dΓ/dtと反射係数Γとがそれぞれ対応する第1基準値と第2基準値と比較され、両パラメータが基準値を超えると、異常発生と判定される。その他の動作については実施例1と同一であるので、説明を省略する。
【0161】
このように、実施例4では反射係数の微分値dΓ/dtだけでなく、反射係数Γも加味して異常発生を判定する。例えば、反射係数の微分値dΓ/dtが大きく、かつ反射係数Γが大きい場合に異常と判定する。
【0162】
なお、異常判定部25における異常判定では、第1比較部28の比較結果及び第2比較部29の比較結果のAND条件で、すなわち、反射係数Гの微分値dΓ/dtが第1基準値を超え、かつ、反射係数Гが第2基準値を超えたとき、異常発生と判定していたが、これに代えて、第1比較部28の比較結果及び第2比較部29の比較結果のOR条件で、すなわち、反射係数Гの微分値dΓ/dtが第1基準値を超えたとき、又は反射係数Гが第2基準値を超えたとき、異常発生と判定するようにしてもよい。
【0163】
図8は、本発明の実施例5に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例4では、反射係数Γの大きさと反射係数Γの微分値dΓ/dtとを用いて異常発生を判定していたが、実施例5は、反射係数Γの大きさと反射係数Γの微分値dΓ/dtの両方及びインピーダンスZの微分値dZ/dtを用いて異常発生を判定するようにしたものである。具体的には、図8は、実施例4を示す図7において、インピーダンス整合器2に電圧検出部18及び電流検出部19を設け、異常検出装置3にインピーダンス演算部26及び第2微分演算部27を設けたものである。
【0164】
この実施例5では、第1比較部28及び第2比較部29において、反射係数Γの微分値dΓ/dtと反射係数Γの大きさとがそれぞれ対応する第1基準値と第2基準値と比較され、それらがともに対応する基準値を超えると、ハイレベルを出力する。異常検出装置3の異常判定部25は、第1比較部28及び第2比較部29から入力される信号がいずれもハイレベルであって、第2微分演算部27から入力されるインピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の基準値を超えると、異常発生と判定される。その他の動作については実施例1と同一であるので、説明を省略する。
【0165】
このように、実施例5では反射係数Γの大きさ及び反射係数の微分値dΓ/dtだけでなく、インピーダンスZの微分値dZ/dtをも加味して異常発生を判定するので、より確実にかつ精度よく負荷Lにおける異常を検出することができる。
【0166】
なお、異常判定部25における異常判定では、第1比較部28の比較結果、第2比較部29の比較結果、及び第2微分演算部27の出力に基づく演算結果のAND条件で、すなわち、反射係数Гの微分値dΓ/dtが第1基準値を超え、反射係数Гが第2基準値を超え、更にインピーダンスZの微分値dZ/dtが第3基準値を超えたとき、異常発生と判定していたが、これに代えて、第1比較部28の比較結果、第2比較部29の比較結果、及び第2微分演算部27の出力に基づく演算結果のOR条件で、すなわち、反射係数Гの微分値dΓ/dtが第1基準値を超えたとき、反射係数Гが第2基準値を超えたとき、又はインピーダンスZの微分値dZ/dtが第3基準値を超えたとき異常発生と判定するようにしてもよい。
【0167】
図9は、本発明の実施例6に係る高周波電力供給システムを示す図である。実施例1では、反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超えると、直ちに異常発生と判定していたが、実施例6は、反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数をカウントし、その回数が所定の基準回数を超えると、異常発生と判定するようにしたものである。従って、図9は、図1において、微分演算部24と異常判定部25との間に計数部31を設けたものである。その他の構成は、実施例1に係る高周波電力供給システムと同一であるので、ここでは実施例1と相違する計数部31と異常判定部25の動作について簡単に説明する。
【0168】
図9における計数部31は、微分演算部24で演算された反射係数Γの微分値dΓ/dtを所定の第1基準値と比較し、当該微分値dΓ/dtが第1基準値を超える回数を計数するものである。すなわち、例えば反射係数Γの微分値dГ/dtが図10に示すように変化した場合、計数部31は、反射係数Γの微分値dГ/dtが第1基準値を超えたタイミングt1,t2,t3で内蔵カウンタのカウント値を1ずつ増加させ、そのカウント値を異常判定部25に出力する。
【0169】
異常判定部25は、計数部31から入力され計数値が第1基準値を超えると、異常発生と判定する。
【0170】
実施例6では、反射係数Гの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の基準回数を超えたとき、異常発生と判定し、異常報知や高周波電力の出力停止措置が行われるようにしている。そのため、例えば反射係数Γが図25に示すように断続的に増大する場合、各反射係数Γの変化が生じているときに高周波電力の伝送回路上に軽微の損傷が発生し、これらの損傷が繰り返されて致命的な損傷に至るような場合に早期に異常発生を検出して、その損傷の増大を未然に防止することができる。
【0171】
なお、実施例6の変形例として、実施例4(図7参照)と同様に反射係数Γの微分値dΓ/dtに反射係数Γの大きさを加味するようにしてもよい。この場合は、図9において、反射係数演算部23と異常判定部25との間に計数部(図示せず)を追加し、この計数部で反射係数Гの大きさが所定の第2基準値を超える回数を計数し、その計数結果を異常判定部25に入力する。そして、異常判定部25では、反射係数Гの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の第1基準回数を超え、かつ、反射係数Гが所定の第2基準値を超える回数が所定の第2基準回数を超えたとき、異常発生と判定される。あるいは、反射係数Гの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の第1基準回数を超えたとき、又は、反射係数Гの大きさが所定の第2基準値を超える回数が所定の第2基準回数を超えたとき、異常発生と判定される。
【0172】
また、実施例6に示した、反射係数Гの微分値dΓ/dtが所定の基準値を超えたときの回数が所定の基準回数を超えたとき、異常と判定する方法では、反射係数Γが図11に示すように階段状に変化した場合は、上記計数部31のカウント値は「1」のままで、異常判定部25で異常発生と判定されない。しかし、反射計数Γが高い状態が継続しているということは異常が発生している可能性が高いから、異常判定部25で異常発生の見落としが生じる可能性がある。
【0173】
そこで、このような不具合を解消するため、1度目をカウントした後、カウントしたときの反射係数Гの大きさが一定値以上であって、所定時間ta(図11参照)以上維持される場合には、異常であると判定するようにしてもよい。
【0174】
図12は、本発明の実施例7に係る高周波電力供給システムを示す図である。実施例6では、反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の基準値を超える回数をカウントし、その回数が所定の基準回数を超えると、直ちに異常発生と判定していたが、実施例7は、反射係数Γの微分値dΓ/dtが所定の基準値を超える回数をカウントし、その回数が所定の基準回数を超え、かつインピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の基準値を超える回数をカウントし、その回数が所定の基準回数を超えると、異常発生と判定するようにしたものである。従って、図12は、実施例6を示す図9において、インピーダンス整合器2に電圧検出部18及び電流検出部19を設け、異常検出装置3にインピーダンス演算部26及び第2微分演算部27を設け、更に第2微分演算部27と異常判定部25との間に第2計数部32を設けたものである。なお、図12では、図9に示した計数部31を「第1計数部31」として説明する。
【0175】
第2計数部32は、第2微分演算部27で演算されたインピーダンスZの微分値dZ/dtを所定の第3基準値と比較し、当該微分値dZ/dtが第3基準値を超える回数を計数するものである。すなわち、例えばインピーダンスZの微分値dZ/dtが図13に示すように変化した場合、第2計数部32は、インピーダンスZの微分値dZ/dtが第3基準値を超えたタイミングt1′,t2′,t3′で内蔵カウンタのカウント値を1ずつ増加させ、そのカウント値を異常判定部25に出力する。
【0176】
異常判定部25は、第1計数部31から計数回数が入力され、その計数回数が第1基準回数を超え、かつ第2計数部32から計数回数が入力され、当該計数回数が第3基準回数を超えると、異常発生と判定する。
【0177】
実施例7では、反射係数Гの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の第1基準回数を超え、かつインピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の第3基準値を超える回数が所定の第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定し、異常報知や高周波電力の出力停止措置が行われるようにしている。そのため、例えば反射係数Γが図25に示すように断続的に増大する場合、及びインピーダンスZが図14に示すように断続的に減少する場合、各反射係数Γの変化が生じているときに高周波電力の伝送線路上に軽微の損傷が発生し、これらの損傷が繰り返されて致命的な損傷に至るような場合に早期に異常発生を検出して、その損傷の増大を未然に防止することができる。
【0178】
なお、実施例7の変形例として、実施例4(図7参照)と同様に、反射係数Γの微分値dΓ/dt及びインピーダンスZの微分値dZ/dtに反射係数Γの大きさを加味するようにしてもよい。この場合は、図12において、反射係数演算部23と異常判定部25との間に計数部(図示せず)を追加し、この計数部で反射係数Гの大きさが所定の第2基準値を超える回数を計数し、その計数結果を異常判定部25に入力する。異常判定部25では、反射係数Гの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数が所定の第1基準回数を超え、インピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の第3基準値を超える回数が所定の第3基準回数を超え、更に反射係数Гの大きさが所定の第2基準値を超える回数が所定の第2基準回数を超えたとき、異常発生と判定される。あるいは、反射係数Гの微分値dΓ/dtが所定の第1基準値を超える回数、インピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の第3基準値を超える回数、又は反射係数Гの大きさが所定の第2基準値を超える回数のいずれかがそれらに対応する所定の基準回数を超えたとき、異常発生と判定される。
【0179】
また、実施例7に示したインピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の基準値を超えたときの回数を計数する方法では、インピーダンスZが階段状に変化した場合は、上記第2計数部32のカウント値は「1」のままである。しかし、インピーダンスZが低い状態が継続しているということは異常が発生している可能性が高いから、異常判定部25で異常発生の見落としが生じる可能性がある。
【0180】
そこで、このような不具合を解消するため、1度目をカウントした後、カウントしたときのインピーダンスZの大きさが一定値以下であって、所定時間以上維持される場合には、その旨を異常判定部25に出力するようにし、異常判定部25では、反射係数Γが同様の現象が生じ、第1計数部31からその旨の出力があった場合、異常と判定してもよい。
【0181】
図15は、本発明の実施例8に係る高周波電力供給システムを示す図である。実施例8は、異常を判定する際のパラメータとしての反射係数Гの微分値dΓ/dtに代えて、定在波比の大きさの単位時間当たりの変化量(以下、定在波比の微分値dS/dtという。)を用いるようにしたものである。従って、図15は、図1において、反射係数演算部23を定在波比演算部33に置き換えたものである。その他の構成は、実施例1と同一であるから、ここでは定在波比演算部33について簡単に説明する。
【0182】
反射係数ΓはΓ=Vr/Vfであり、反射係数Γと定在波比Sとの間にはS=(1+Γ)/(1−Γ)との関係があるから、定在波比SはS=(Vf+Vr)/(Vf−Vr)で算出される。従って、定在波比演算部33では、第1検波部21から入力される進行波PFの振幅Vfと第2検波部22から入力される反射波PRの振幅Vrとを用いて、S=(Vf+Vr)/(Vf−Vr)を演算することにより定在波比Sを算出する。
【0183】
定在波比演算部33によって求められた定在波比Sの大きさは、データとして微分演算部24に入力され、微分演算部24では、定在波比Sの微分値dS/dtが演算される。異常判定部25において、微分演算部24で算出された定在波比Sの微分値dS/dtが所定の基準値と比較され、微分値dS/dtが基準値を超えている場合、異常が発生していると判定され、例えばハイレベルに反転する異常検出信号が出力される。
【0184】
実施例8は、異常判定のパラメータを定在波比Sとしたもので、定在波比Sも反射係数Γも入射波に対する比率により反射波の度合いや整合の度合いを示し、反射波の度合いが異常に大きい場合や整合の度合いが異常に悪化した場合は回路に異常が発生していると推定できる。そのため、実施例8においても上述した実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0185】
なお、実施例8においては、定在波比Sの微分値dS/dtを異常判定のパラメータとして用いたが、これに代えて定在波比Sの逆数の大きさの単位時間当たりの変化量d(1/S)/dtを用いてもよい。
【0186】
図16は、実施例9に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例8では、定在波比Sの微分値dS/dtに基づいて異常を検出するようにしたが、実施例9は、定在波比Sの微分値dS/dt及びインピーダンスZの微分値dZ/dtを用いて異常発生を判定するようにしたものである。具体的には、図16は、実施例8を示す図15において、インピーダンス整合器2に電圧検出部18及び電流検出部19を設け、異常検出装置3にインピーダンス演算部26及び第2微分演算部27を設けたものである。
【0187】
この実施例9に係る異常検出装置3の異常判定部25は、定在波比の微分値dS/dtが第1基準値と比較され、インピーダンスZの微分値dZ/dtが第2基準値と比較され、各パラメータがそれぞれ対応する基準値を超えると、異常発生と判定される。その他の動作については実施例8と同一であるので、説明を省略する。
【0188】
このように、実施例9では定在波比の微分値dS/dtだけでなく、インピーダンスZの微分値dZ/dtをも加味して異常発生を判定するので、より確実にかつ精度よく負荷Lにおける異常を検出することができる。
【0189】
なお、この実施例9においては、定在波比Sの微分値dS/dtを異常判定のパラメータとして用いたが、これに代えて定在波比Sの逆数の大きさの単位時間当たりの変化量d(1/S)/dtを用いてもよい。
【0190】
図17は、本発明の実施例10に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例1〜9では、反射係数Γの微分値dΓ/dtに基づいて異常発生を判定していたが、実施例10は、反射係数Γの対数を求め、この対数値の単位時間当たりの変化の仕方に基づいて異常発生を判定するようにしたものである。
【0191】
具体的には、実施例10に係る高周波電力供給システムの構成は、図1に示した異常検出装置3が以下に示す構成とされる。すなわち、実施例10における異常検出装置3は、第1対数アンプ部35と、第2対数アンプ部36と、対数反射係数演算部37と、対数反射係数記憶部38と、対数最新値比較部39と、対数前回値比較部40と、異常判定部41とによって構成されている。
【0192】
第1対数アンプ部35は、進行波PFの振幅Vfを検波して、その振幅Vfに対応する対数値を出力するものであり、第2対数アンプ部36は、反射波PRの振幅Vrを検波して、その振幅Vrに対応する対数値を出力するものである。第1対数アンプ部35及び第2対数アンプ部36は、例えば、実施例1で説明した第1検波部21及び第2検波部22(図1参照)における回路に加えて、OPアンプと、それに並列接続されたダイオードとからなる対数増幅回路によって構成されている。なお、第1対数アンプ部35及び第2対数アンプ部36は、市販されている対数アンプを用いてもよい。第1対数アンプ部35及び第2対数アンプ部36の出力値である進行波PFの振幅Vfの対数値log(Vf)及び反射波PRの振幅Vrの対数値log(Vr)は、対数反射係数演算部37に入力される。
【0193】
対数反射係数演算部37は、第1対数アンプ部35から入力される進行波PFの振幅Vfの対数値log(Vf)と、第2対数アンプ部36から入力される反射波PRの振幅Vrの対数値log(Vr)とに基づいて、反射係数Гの対数値logГ(=log(Vr/Vf))を算出するものである。反射係数Гの対数値logГは、対数反射係数記憶部38に入力される。なお、対数反射係数演算部37では、反射係数Гの対数値log(Vr/Vf)の演算を、log(Vr)−log(Vf)といった減算の形で行うことができるので、例えば反射波PRの振幅Vrを進行波PFの振幅Vfで直接的に除算するための除算回路を用いる必要がなく、その回路構成を容易なものにすることができる。
【0194】
また、対数反射係数演算部37は、アナログ信号を処理するものでもよく、デジタル信号を処理するものでもよい。デジタル信号を処理するものを用いる場合は、対数反射係数演算部37の前段に図略のA/Dコンバータを設け、反射係数Гの対数値logГの演算処理を所定の周期Δtで行う。アナログ信号を処理するものを用いる場合は、対数反射係数演算部37と後述する対数反射係数記憶部38との間に図略のA/Dコンバータを設ければよい。
【0195】
対数反射係数記憶部38は、図略のメモリを備え、対数反射係数演算部37によって算出された反射係数Гの対数値logГを所定の周期Δtで順次記憶するとともに、対数反射係数演算部37から所定の周期Δtで反射係数Γの対数値logГが入力される毎に、今回入力された最新の反射係数Γ1の対数値logГ1と前回入力されて記憶されている反射係数Γ2の対数値logГ2とを出力する。対数反射係数記憶部38から出力される反射係数Γ1の対数値logГ1は、対数最新値比較部39に入力され、反射係数Γ2の対数値logГ2は対数前回値比較部40に入力される。
【0196】
対数最新値比較部39は、対数反射係数記憶部38から入力される反射係数Γ1の対数値logГ1を予め定められた基準値と比較し、反射係数Γ1の対数値logГ1が当該基準値以上のとき、その旨の信号(例えばハイレベルの信号)を出力するものである。この信号は異常判定部41に入力される。上記基準値は、反射係数Гで表すと、例えば、0.8〜0.9程度に設定される。
【0197】
対数前回値比較部40は、対数反射係数記憶部38から入力される反射係数Γ2の対数値logГ2を予め定められた基準値と比較し、反射係数Γ2の対数値logГ2が当該基準値以下のとき、その旨の信号(例えばハイレベルの信号)を出力するものである。この信号は異常判定部41に入力される。上記基準値は、反射係数Гで表すと、例えば、0.2〜0.3程度に設定される。
【0198】
異常判定部41は、対数最新値比較部39及び対数前回値比較部40の出力に基づいて異常を判定するものであり、図18に示すように、対数最新値比較部39及び対数前回値比較部40から入力される信号の論理積を出力するAND回路42が含まれている。このAND回路42の出力は、異常検出信号として出力される。すなわち、対数最新値比較部39及び対数前回値比較部40から入力される信号の両方がハイレベルのときに、異常判定部41からハイレベルの信号が出力されて異常発生と判定される。その他の動作については実施例1と同一であるので、説明を省略する。なお、異常判定部41における信号のローレベル、ハイレベルの関係は逆になっていてもよい。
【0199】
この実施例10において、反射係数Γの対数を用いているのは、これまでの実施例と同様に単に反射係数Гの対数の微分値を求め、それを基準値と比較すると、異常判定を適正に行うことができないからである。
【0200】
すなわち、この実施例10では、反射係数Γの対数を用いているため、整合状態であって異常と判定されない反射係数Γが比較的小さいとき(図19のP1に示す範囲にほぼあるとき)であっても、反射係数Гの対数値の微分値d(logГ)/dtは大きな値を示すときがある。例えば、周期Δtにおいて反射係数Гが0.01から0.04に変化した場合、対数の底を10とすると、反射係数Гの対数の微分値は、log(0.04)−log(0.01)≒0.602となる。
【0201】
また、周期Δtにおいて反射係数Гが0.2から0.8に変化するときのような異常と判定される変化をする場合であっても、反射係数Гの対数の微分値は、log(0.8)−log(0.2)≒0.602となる。このように、反射係数Гの変化量が異なっているのにもかかわらず、反射係数Гの変化する割合が同じであれば、反射係数Гの対数の微分値は、同じ値になってしまう。従って、単に、反射係数Гの対数値の微分値d(logГ)/dtが所定の基準値を超えたときを、異常と判定すると、それは誤判定となってしまう。
【0202】
そこで、この実施例10では、異常判定を行う場合に、対数値が比較的小さい値から大きな値に瞬時に変化した場合を異常と判定するようにしている。すなわち、微分値を演算する場合と同様に、最新値と前回値とを用いて、単位時間当たりの変化の仕方に基づいて異常判定を行う。
【0203】
具体的には、対数反射係数記憶部38から対数最新値比較部39に入力される反射係数Γ1の対数値logГ1が予め定められた基準値以上であり、かつ対数反射係数記憶部38から対数前回値比較部40に入力される反射係数Γ2の対数値logГ2が予め定められた基準値以下のときに、異常と判定するようにしている。つまり、反射係数Γの対数値logГを反射係数Гで表した場合に、反射係数Гが図19に示すP1の範囲からP2の範囲に変化したときに異常と判定するようにしている。
【0204】
このように、実施例10では反射係数Γの最新値及び1つ前の前回値に基づいて異常発生を判定するので、実質的に対数値の微分値d(logΓ)/dtによる判定と同様の効果があり、即座に異常を検出することができる。さらに、対数を用いているので、方向性結合器12からの進行波PF及び反射波PRの高周波の入力を広い範囲で許容することができる。例えば、入力レベルが1〜1000Vの範囲である場合には、対数を用いると0〜3Vの範囲となり、入力レベルが1〜10000Vの範囲である場合には、対数を用いると0〜4Vの範囲となる。
【0205】
図20は、実施例11に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例10では、反射係数Γの対数値の最新値と前回値とから求まる単位時間当たりの変化の仕方に基づいて異常発生を判定するようにしたが、実施例11では、これに加えてインピーダンスZの微分値dZ/dtを用いて異常発生を判定するようにしたものである。具体的には、図20は、実施例11を示す図17において、インピーダンス整合器2に電圧検出部18及び電流検出部19を設け、異常検出装置3にインピーダンス演算部26及び第2微分演算部27を設けたものである。
【0206】
この実施例11に係る異常検出装置3の異常判定部41では、対数最新値比較部39に入力される最新の反射係数Γ1の対数値logГ1が所定の基準値以上であり、かつ対数前回値比較部40に入力される前回の反射係数Γ2の対数値logГ2が所定の基準値以下であり、かつ第2微分演算部27に入力されるインピーダンスZの微分値dZ/dtが所定の基準値を超えたときに、異常発生と判定される。その他の動作については実施例10と同一であるので、説明を省略する。
【0207】
このように、実施例11では、反射係数Γの対数値の最新値と前回値とから求まる単位時間当たりの変化の仕方だけでなく、インピーダンスZの微分値dZ/dtをも加味して異常発生を判定するので、より確実にかつ精度よく負荷Lにおける異常を検出することができる。
【0208】
図21は、実施例12に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例10では、反射係数Γの対数値の最新値と前回値とから求まる単位時間当たりの変化の仕方に基づいて異常発生を判定するようにしたが、実施例12は、対数反射係数記憶部38から対数最新値比較部39に入力される反射係数Γ1の対数値logГ1が予め定められた基準値以上であり、かつ対数反射係数記憶部38から対数前回値比較部40に入力される反射係数Γ2の対数値logГ2が予め定められた基準値以下のときの回数をカウントし、その回数が所定の基準回数を超えることに基づいて、異常発生と判定するようにしたものである。従って、図21は、図17において、対数最新値比較部39及び対数前回値比較部40の各出力側と異常判定部41との間に計数部43を設けたものである。
【0209】
図21における計数部43は、対数反射係数記憶部38から対数最新値比較部39に入力される反射係数Γ1の対数値logГ1が予め定められた基準値以上であり、かつ対数反射係数記憶部38から対数前回値比較部40に入力される反射係数Γ2の対数値logГ2が予め定められた基準値以下のときの回数を計数するものである。
【0210】
異常判定部41は、計数部43から計数値が入力され、その計数値が所定の基準回数を超えると、異常発生と判定する。その他の動作については実施例10と同一であるので、説明を省略する。
【0211】
このように、実施例12では、反射係数Γの対数値の最新値と前回値とから求まる単位時間当たりの変化を瞬時的に見るのではなく、異常と判定される条件を満たす回数に基づいて異常発生を判定する。そのため、例えば反射係数Γが図25に示すように断続的に増大する場合、各反射係数Γの変化が生じているときに高周波電力の伝送回路上に軽微の損傷が発生し、これらの損傷が繰り返されて致命的な損傷に至るような場合に早期に異常発生を検出して、その損傷の増大を未然に防止することができる。
【0212】
図22は、本発明の実施例13に係る高周波電力供給システムの構成を示す図である。実施例10では、反射係数Γの対数を求め、この対数値の単位時間当たりの変化の仕方に基づいて異常発生を判定するようにしていたが、実施例13では、この考え方を対数ではなく、実施例1等で説明した反射係数Γを用いる場合に適応したものである。具体的には、実施例13に係る高周波電力供給システムの構成は、図17に示した異常検出装置3が以下に示す構成とされる。すなわち、実施例13における異常検出装置3は、第1検波部21と、第2検波部22と、反射係数演算部23と、反射係数記憶部44と、反射係数最新値比較部45と、反射係数前回値比較部46と、異常判定部47とによって構成されている。
【0213】
第1検波部21、第2検波部22及び反射係数演算部23は、実施例1と同一であるので、説明を省略する。また、反射係数記憶部44、反射係数最新値比較部45、反射係数前回値比較部46及び異常判定部47は、実施例10で説明した対数反射係数記憶部38、対数最新値比較部39、対数前回値比較部40及び異常判定部41の機能を反射係数Гを用いる場合に適用したものである。このような構成にしても、実施例1で説明した構成と同様に、反射係数Гの単位時間当たりの変化に基づいて異常判定を行うので、実施例1で説明した構成と同様の効果が得ることができる。
【0214】
また、実施例13の構成に加えて、実施例11のように、インピーダンスZの微分値dZ/dtを用いて異常発生と判定するようにしてもよい。さらに、実施例13の構成に加えて、実施例12のように、計数部を設けて異常の回数をカウントし、その回数が所定の基準回数を超えることに基づいて、異常発生と判定するようにしてもよい。
【0215】
また、上記実施例1〜実施例13では、異常検出時に高周波電源1の出力電力をゼロにしていたが、その出力電力を減少させる方向に変更するようにしてもよい。例えば出力電力を1/2に低減するようにしてもよい。これによっても、高周波電源1の出力端Aから負荷L側で発生した損傷の拡大を可及的に抑えることができ、反射波電力が高周波電源1内の素子(図略)に過電圧が印加されたり過電流が流れたりして、素子にダメージが加わることを防止することができる。
【0216】
また、方向性結合器12は、高周波電源1の出力端Aとインピーダンス整合器2の整合部17の入力端Dとの間に設けられていてもよい。
【0217】
本発明の内容は、上述した実施例に限定されない。本発明に係る高周波電力供給システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、
上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、
上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量を演算する微分演算手段と、
上記微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、
を備えたことを特徴とする高周波電力供給システム。
【請求項2】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項1に記載の高周波電力供給システム。
【請求項3】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する計数手段を備え、この計数手段で計数された回数が所定の基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項1に記載の高周波電力供給システム。
【請求項4】
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する演算手段を更に備え、
上記異常判定手段は、上記微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量と上記演算手段により演算された反射係数の大きさとに基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定することを特徴とする、請求項1に記載の高周波電力供給システム。
【請求項5】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超え、かつ、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項4に記載の高周波電力供給システム。
【請求項6】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する第1の計数手段と、上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超える回数を計数する第2の計数手段と、を備え、上記第1の計数手段で計数された回数が予め設定された第1基準回数を超え、かつ、上記第2の計数手段で計数された回数が予め設定された第2基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項4に記載の高周波電力供給システム。
【請求項7】
上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の高周波電力供給システム。
【請求項8】
高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、
上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、
上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第1の微分演算手段と、
上記負荷に対する入力電圧を検出する第3の検出手段と、
上記負荷に対する入力電流を検出する第4の検出手段と、
上記第3の検出手段により検出された入力電圧と上記第4の検出手段により検出された入力電流とに基づいて、当該第3,第4の検出手段の検出点から負荷側を見たインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第2の微分演算手段と、
上記第1の微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量と、上記第2の微分演算手段により演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量とに基づいて、上記第3,第4の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、
を備えたことを特徴とする高周波電力供給システム。
【請求項9】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超え、かつ上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項8に記載の高周波電力供給システム。
【請求項10】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する第1の計数手段と、
上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段とを備え、
上記第1の計数手段で計数された回数が所定の第1基準回数を超え、かつ上記第3の計数手段で計数された回数が所定の第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項8に記載の高周波電力供給システム。
【請求項11】
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する演算手段を更に備え、
上記異常判定手段は、上記第1の微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量、上記演算手段により演算された反射係数の大きさ、及び上記第2の微分演算手段により演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第3,第4の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定することを特徴とする、請求項8に記載の高周波電力供給システム。
【請求項12】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超え、上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超え、更に上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項11に記載の高周波電力供給システム。
【請求項13】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する第1の計数手段と、
上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超える回数を計数する第2の計数手段と、
上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段と、を備え、
上記第1の計数手段で計数された回数が予め設定された第1基準回数を超え、上記第2の計数手段で計数された回数が予め設定された第2基準回数を超え、更に上記第3の計数手段で計数された回数が予め設定された第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項11に記載の高周波電力供給システム。
【請求項14】
上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されており、上記第3,第4の検出手段の検出点は、上記インピーダンス整合器の内部から負荷との間の線路上に設定されていることを特徴とする、請求項8に記載の高周波電力供給システム。
【請求項15】
高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、
上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、
上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の対数値を演算する対数反射係数演算手段と、
上記対数反射係数演算手段によって演算された反射係数の対数値を所定の周期で順次記憶する対数反射係数記憶手段と、
上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値と1つ前の記憶値とに基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、
を備えたことを特徴とする高周波電力供給システム。
【請求項16】
上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のときに異常発生と判定することを特徴とする、請求項15に記載の高周波電力供給システム。
【請求項17】
上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のときの回数を計数する第4の計数手段を備え、この第4の計数手段によって計数された回数が予め設定された第4基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項15に記載の高周波電力供給システム。
【請求項18】
上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されていることを特徴とする、請求項15に記載の高周波電力供給システム。
【請求項19】
高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、
上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、
上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の対数値を演算する対数反射係数演算手段と、
上記対数反射係数演算手段によって演算された反射係数の対数値を所定の周期で順次記憶する対数反射係数記憶手段と、
上記負荷に対する入力電圧を検出する第3の検出手段と、
上記負荷に対する入力電流を検出する第4の検出手段と、
上記第3の検出手段により検出された入力電圧と上記第4の検出手段により検出された入力電流とに基づいて、当該第3,第4の検出手段の検出点から負荷側を見たインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第2の微分演算手段と、
上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値、1つ前の記憶値及び上記第2の微分演算手段によって演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第3,第4の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、
を備えたことを特徴とする高周波電力供給システム。
【請求項20】
上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下であり、かつ上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項19に記載の高周波電力供給システム。
【請求項21】
上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のときの回数を計数する第4の計数手段、及び上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段を備え、上記第4の計数手段によって計数された回数が予め設定された第4基準回数を超え、かつ上記第3の計数手段で計数された回数が所定の第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項19に記載の高周波電力供給システム。
【請求項22】
上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されており、上記第3,第4の検出手段の検出点は、上記インピーダンス整合器の内部から負荷との間の線路上に設定されていることを特徴とする、請求項19に記載の高周波電力供給システム。
【請求項23】
高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、
上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、
上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する反射係数演算手段と、
上記反射係数演算手段によって演算された反射係数の大きさを所定の周期で順次記憶する反射係数記憶手段と、
上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値と1つ前の記憶値とに基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、
を備えたことを特徴とする高周波電力供給システム。
【請求項24】
上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のときに異常発生と判定することを特徴とする、請求項23に記載の高周波電力供給システム。
【請求項25】
上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のときの回数を計数する第5の計数手段を備え、この第5の計数手段によって計数された回数が予め設定された第5基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項23に記載の高周波電力供給システム。
【請求項26】
上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されていることを特徴とする、請求項23に記載の高周波電力供給システム。
【請求項27】
高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、
上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、
上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する反射係数演算手段と、
上記反射係数演算手段によって演算された反射係数の大きさを所定の周期で順次記憶する反射係数記憶手段と、
上記負荷に対する入力電圧を検出する第3の検出手段と、
上記負荷に対する入力電流を検出する第4の検出手段と、
上記第3の検出手段により検出された入力電圧と上記第4の検出手段により検出された入力電流とに基づいて、当該第3,第4の検出手段の検出点から負荷側を見たインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第2の微分演算手段と、
上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値、1つ前の記憶値及び上記第2の微分演算手段によって演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、
を備えたことを特徴とする高周波電力供給システム。
【請求項28】
上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下であり、かつ上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項27に記載の高周波電力供給システム。
【請求項29】
上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のときの回数を計数する第5の計数手段、及び上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段を備え、上記第5の計数手段によって計数された回数が予め設定された第5基準回数を超え、かつ上記第3の計数手段で計数された回数が所定の第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項27に記載の高周波電力供給システム。
【請求項30】
上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されており、上記第3,第4の検出手段の検出点は、上記インピーダンス整合器の内部から負荷との間の線路上に設定されていることを特徴とする、請求項27に記載の高周波電力供給システム。
【請求項31】
上記異常判定手段により異常発生と判定されたとき、上記高周波電源から出力される電力量を減少方向に変更する出力電力変更手段を更に備えたことを特徴とする、請求項1、8、15、19、23、27のいずれかに記載の高周波電力供給システム。
【請求項32】
上記出力電力変更手段は、上記異常判定手段により異常発生と判定されたとき、上記高周波電源から出力される電力量をゼロにすることを特徴とする、請求項31に記載の高周波電力供給システム。
【請求項33】
上記出力電力変更手段により上記高周波電源の出力電力量が変更されると、第1の所定時間の経過後に上記高周波電源の出力電力量を元の出力電力量に復帰させる出力電力復帰手段を更に備えたことを特徴とする、請求項31に記載の高周波電力供給システム。
【請求項34】
上記出力電力変更手段により上記高周波電源の出力電力量が変更されると、上記インピーダンス整合器の整合動作を停止させ、そのときの状態を保持する整合動作停止手段を更に備えたことを特徴とする、請求項33に記載の高周波電力供給システム。
【請求項35】
上記異常判定手段により異常発生と判定され、上記出力電力変更手段により上記高周波電源の出力電力量が変更されてから上記出力電力復帰手段により元の出力電力量に復帰後、第2の所定時間経過まで上記異常判定手段の判定動作を禁止する第1判定禁止手段を更に備えたことを特徴とする、請求項33に記載の高周波電力供給システム。
【請求項36】
ユーザによる操作によって上記高周波電源の電力供給動作が開始された後、又はユーザによる操作によって電力供給動作中に出力電力設定値が変更された後、第2の所定時間経過まで上記異常判定手段を禁止する第2判定禁止手段を更に備えたことを特徴とする、請求項1、8、15、19、23、27のいずれかに記載の高周波電力供給システム。
【請求項37】
上記第2の所定時間は、上記インピーダンス整合器により上記高周波電源と上記負荷とがインピーダンス整合されるまでの時間よりも長いことを特徴とする、請求項35に記載の高周波電力供給システム。
【請求項38】
上記第1の検出手段により検出される情報は進行波の電力値であり、上記第2の検出手段により検出される情報は反射波の電力値であることを特徴とする、請求項1、8、15、19、23、27のいずれかに記載の高周波電力供給システム。
【請求項39】
上記第1の検出手段により検出される情報は進行波の電圧値であり、上記第2の検出手段により検出される情報は反射波の電圧値であることを特徴とする、請求項1、8、15、19、23、27のいずれかに記載の高周波電力供給システム。
【請求項1】
高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、
上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、
上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量を演算する微分演算手段と、
上記微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、
を備えたことを特徴とする高周波電力供給システム。
【請求項2】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項1に記載の高周波電力供給システム。
【請求項3】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する計数手段を備え、この計数手段で計数された回数が所定の基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項1に記載の高周波電力供給システム。
【請求項4】
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する演算手段を更に備え、
上記異常判定手段は、上記微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量と上記演算手段により演算された反射係数の大きさとに基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定することを特徴とする、請求項1に記載の高周波電力供給システム。
【請求項5】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超え、かつ、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項4に記載の高周波電力供給システム。
【請求項6】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する第1の計数手段と、上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超える回数を計数する第2の計数手段と、を備え、上記第1の計数手段で計数された回数が予め設定された第1基準回数を超え、かつ、上記第2の計数手段で計数された回数が予め設定された第2基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項4に記載の高周波電力供給システム。
【請求項7】
上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の高周波電力供給システム。
【請求項8】
高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、
上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、
上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第1の微分演算手段と、
上記負荷に対する入力電圧を検出する第3の検出手段と、
上記負荷に対する入力電流を検出する第4の検出手段と、
上記第3の検出手段により検出された入力電圧と上記第4の検出手段により検出された入力電流とに基づいて、当該第3,第4の検出手段の検出点から負荷側を見たインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第2の微分演算手段と、
上記第1の微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量と、上記第2の微分演算手段により演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量とに基づいて、上記第3,第4の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、
を備えたことを特徴とする高周波電力供給システム。
【請求項9】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超え、かつ上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項8に記載の高周波電力供給システム。
【請求項10】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する第1の計数手段と、
上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段とを備え、
上記第1の計数手段で計数された回数が所定の第1基準回数を超え、かつ上記第3の計数手段で計数された回数が所定の第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項8に記載の高周波電力供給システム。
【請求項11】
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する演算手段を更に備え、
上記異常判定手段は、上記第1の微分演算手段により演算された反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量、上記演算手段により演算された反射係数の大きさ、及び上記第2の微分演算手段により演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第3,第4の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定することを特徴とする、請求項8に記載の高周波電力供給システム。
【請求項12】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超え、上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超え、更に上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項11に記載の高周波電力供給システム。
【請求項13】
上記異常判定手段は、上記反射係数の大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第1基準値を超える回数を計数する第1の計数手段と、
上記反射係数の大きさが予め設定された所定の第2基準値を超える回数を計数する第2の計数手段と、
上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段と、を備え、
上記第1の計数手段で計数された回数が予め設定された第1基準回数を超え、上記第2の計数手段で計数された回数が予め設定された第2基準回数を超え、更に上記第3の計数手段で計数された回数が予め設定された第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項11に記載の高周波電力供給システム。
【請求項14】
上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されており、上記第3,第4の検出手段の検出点は、上記インピーダンス整合器の内部から負荷との間の線路上に設定されていることを特徴とする、請求項8に記載の高周波電力供給システム。
【請求項15】
高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、
上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、
上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の対数値を演算する対数反射係数演算手段と、
上記対数反射係数演算手段によって演算された反射係数の対数値を所定の周期で順次記憶する対数反射係数記憶手段と、
上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値と1つ前の記憶値とに基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、
を備えたことを特徴とする高周波電力供給システム。
【請求項16】
上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のときに異常発生と判定することを特徴とする、請求項15に記載の高周波電力供給システム。
【請求項17】
上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のときの回数を計数する第4の計数手段を備え、この第4の計数手段によって計数された回数が予め設定された第4基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項15に記載の高周波電力供給システム。
【請求項18】
上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されていることを特徴とする、請求項15に記載の高周波電力供給システム。
【請求項19】
高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、
上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、
上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の対数値を演算する対数反射係数演算手段と、
上記対数反射係数演算手段によって演算された反射係数の対数値を所定の周期で順次記憶する対数反射係数記憶手段と、
上記負荷に対する入力電圧を検出する第3の検出手段と、
上記負荷に対する入力電流を検出する第4の検出手段と、
上記第3の検出手段により検出された入力電圧と上記第4の検出手段により検出された入力電流とに基づいて、当該第3,第4の検出手段の検出点から負荷側を見たインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第2の微分演算手段と、
上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値、1つ前の記憶値及び上記第2の微分演算手段によって演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第3,第4の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、
を備えたことを特徴とする高周波電力供給システム。
【請求項20】
上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下であり、かつ上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項19に記載の高周波電力供給システム。
【請求項21】
上記異常判定手段は、上記対数反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第4基準値以上であり、かつ上記対数反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第5基準値以下のときの回数を計数する第4の計数手段、及び上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段を備え、上記第4の計数手段によって計数された回数が予め設定された第4基準回数を超え、かつ上記第3の計数手段で計数された回数が所定の第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項19に記載の高周波電力供給システム。
【請求項22】
上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されており、上記第3,第4の検出手段の検出点は、上記インピーダンス整合器の内部から負荷との間の線路上に設定されていることを特徴とする、請求項19に記載の高周波電力供給システム。
【請求項23】
高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、
上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、
上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する反射係数演算手段と、
上記反射係数演算手段によって演算された反射係数の大きさを所定の周期で順次記憶する反射係数記憶手段と、
上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値と1つ前の記憶値とに基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、
を備えたことを特徴とする高周波電力供給システム。
【請求項24】
上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のときに異常発生と判定することを特徴とする、請求項23に記載の高周波電力供給システム。
【請求項25】
上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のときの回数を計数する第5の計数手段を備え、この第5の計数手段によって計数された回数が予め設定された第5基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項23に記載の高周波電力供給システム。
【請求項26】
上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されていることを特徴とする、請求項23に記載の高周波電力供給システム。
【請求項27】
高周波電源からインピーダンス整合器を介して負荷に高周波電力を供給する高周波電力供給システムであって、
上記高周波電源から上記負荷側に進行する進行波に関する情報を検出する第1の検出手段と、
上記負荷から上記高周波電源側に進行する反射波に関する情報を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段により検出された進行波に関する情報と上記第2の検出手段により検出された反射波に関する情報とに基づいて、当該第1,第2の検出手段の検出点における反射係数の大きさを演算する反射係数演算手段と、
上記反射係数演算手段によって演算された反射係数の大きさを所定の周期で順次記憶する反射係数記憶手段と、
上記負荷に対する入力電圧を検出する第3の検出手段と、
上記負荷に対する入力電流を検出する第4の検出手段と、
上記第3の検出手段により検出された入力電圧と上記第4の検出手段により検出された入力電流とに基づいて、当該第3,第4の検出手段の検出点から負荷側を見たインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量を演算する第2の微分演算手段と、
上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値、1つ前の記憶値及び上記第2の微分演算手段によって演算されたインピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量に基づいて、上記第1,第2の検出手段の検出点から負荷側における異常の発生を判定する異常判定手段と、
を備えたことを特徴とする高周波電力供給システム。
【請求項28】
上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下であり、かつ上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項27に記載の高周波電力供給システム。
【請求項29】
上記異常判定手段は、上記反射係数記憶手段に記憶された最新の記憶値が予め設定された第6基準値以上であり、かつ上記反射係数記憶手段に記憶された1つ前の記憶値が予め設定された第7基準値以下のときの回数を計数する第5の計数手段、及び上記インピーダンスの大きさの単位時間当たりの変化量が予め設定された所定の第3基準値を超える回数を計数する第3の計数手段を備え、上記第5の計数手段によって計数された回数が予め設定された第5基準回数を超え、かつ上記第3の計数手段で計数された回数が所定の第3基準回数を超えたとき、異常発生と判定することを特徴とする、請求項27に記載の高周波電力供給システム。
【請求項30】
上記第1,第2の検出手段の検出点は、上記高周波電源の内部、上記高周波電源の高周波電力の出力端部から上記インピーダンス整合器の高周波電力の入力端部の間の伝送線路上、又はインピーダンス整合器の内部に設定されており、上記第3,第4の検出手段の検出点は、上記インピーダンス整合器の内部から負荷との間の線路上に設定されていることを特徴とする、請求項27に記載の高周波電力供給システム。
【請求項31】
上記異常判定手段により異常発生と判定されたとき、上記高周波電源から出力される電力量を減少方向に変更する出力電力変更手段を更に備えたことを特徴とする、請求項1、8、15、19、23、27のいずれかに記載の高周波電力供給システム。
【請求項32】
上記出力電力変更手段は、上記異常判定手段により異常発生と判定されたとき、上記高周波電源から出力される電力量をゼロにすることを特徴とする、請求項31に記載の高周波電力供給システム。
【請求項33】
上記出力電力変更手段により上記高周波電源の出力電力量が変更されると、第1の所定時間の経過後に上記高周波電源の出力電力量を元の出力電力量に復帰させる出力電力復帰手段を更に備えたことを特徴とする、請求項31に記載の高周波電力供給システム。
【請求項34】
上記出力電力変更手段により上記高周波電源の出力電力量が変更されると、上記インピーダンス整合器の整合動作を停止させ、そのときの状態を保持する整合動作停止手段を更に備えたことを特徴とする、請求項33に記載の高周波電力供給システム。
【請求項35】
上記異常判定手段により異常発生と判定され、上記出力電力変更手段により上記高周波電源の出力電力量が変更されてから上記出力電力復帰手段により元の出力電力量に復帰後、第2の所定時間経過まで上記異常判定手段の判定動作を禁止する第1判定禁止手段を更に備えたことを特徴とする、請求項33に記載の高周波電力供給システム。
【請求項36】
ユーザによる操作によって上記高周波電源の電力供給動作が開始された後、又はユーザによる操作によって電力供給動作中に出力電力設定値が変更された後、第2の所定時間経過まで上記異常判定手段を禁止する第2判定禁止手段を更に備えたことを特徴とする、請求項1、8、15、19、23、27のいずれかに記載の高周波電力供給システム。
【請求項37】
上記第2の所定時間は、上記インピーダンス整合器により上記高周波電源と上記負荷とがインピーダンス整合されるまでの時間よりも長いことを特徴とする、請求項35に記載の高周波電力供給システム。
【請求項38】
上記第1の検出手段により検出される情報は進行波の電力値であり、上記第2の検出手段により検出される情報は反射波の電力値であることを特徴とする、請求項1、8、15、19、23、27のいずれかに記載の高周波電力供給システム。
【請求項39】
上記第1の検出手段により検出される情報は進行波の電圧値であり、上記第2の検出手段により検出される情報は反射波の電圧値であることを特徴とする、請求項1、8、15、19、23、27のいずれかに記載の高周波電力供給システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
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【図14】
【図15】
【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【国際公開番号】WO2005/057993
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【発行日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516085(P2005−516085)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017595
【国際出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【発行日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/017595
【国際出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】
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