説明

高圧処理装置

【課題】装置を小型化すると共に安価に製造することができ、万が一、圧力容器が破裂するような事故が発生した場合でも、圧力容器や蓋体の破片が周囲に飛散することなく、安全な状態が保てる十分な安全対策が成された実用性に優れた高圧処理装置を提供する。
【解決手段】取り出し開口部1を開閉する蓋体2を有する圧力容器3と、この蓋体2が圧力容器3内の圧力上昇によって開蓋方向に押圧された際にこの蓋体2の閉蓋状態を保持する閉蓋保持部4と、この蓋体2に押圧された閉蓋保持部4を受け止める受け止め部5とを備えた高圧処理装置において、閉蓋保持部4に対して所定長の間隙6を設けて補助受け止め部7を設け、この補助受け止め部7は、高圧処理時に受け止め部5が破損した際、閉蓋保持部4を受け止めるように構成した高圧処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品を高圧処理する高圧処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品の調理・加工・殺菌などの処理として加熱処理が行われているが、この加熱処理に代わる新たな食品処理技術として、近年、食品を高圧処理する高圧処理技術の研究開発が進められてきている。
【0003】
この食品分野における高圧処理技術は、食品に非常に高い圧力を加えることで、食品を構成する分子を密に詰め込んだ状態とし、これによって、分子が物理的な変化を起こすことを利用する技術である。
【0004】
この高圧処理によって、例えば、タンパク質やデンプンは加熱した状態と非常によく似た状態に変性させたり、食材の色や香りを殆ど変化させることなく、更には、加熱処理の際には失われてしまうビタミンC等の栄養素を損なうことなく調理、加工することができたり、或いは、微生物にダメージを与えて増殖しないように不活性化させることも可能となる。
【0005】
このような高圧処理は、食品に100MPa以上(通常、200MPa〜600MPa)の超高圧(等方的な静水圧)を加えることで成されるものであり、この食品に高圧処理を施すために高圧処理装置が用いられている。
【0006】
この高圧処理に用いられる高圧処理装置は、直接加圧式(ピストン式)と間接加圧式(増圧ポンプ式)の二つの機構を持つものに大別され、直接加圧式(ピストン式)は、高圧小容量の処理に優れ、実験用に適し、間接加圧式(増圧ポンプ式)は、中高圧大容量の処理に優れ、産業用に適しており、何れの方式も、100MPa以上の超高圧を被処理物に施すため、圧力容器内を密閉するための蓋体には非常に大きな圧力が加えられる。そのため、蓋体の閉蓋状態を保つために、従来は、プレスフレームを用いた構成とし、外部から蓋体を押し付けることで、圧力容器内から受ける押圧力に抗して閉蓋状態を保持するようにしていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平05−292902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このプレスフレームを採用した高圧処理装置は、蓋体自体の構造を単純にすることができ、また、容易に超高圧に耐え得る構成とすることができるメリットがある。しかし、その反面、複雑な構造のプレス機構を設けることで装置自体は高価となり、更に、超高圧に耐え得る強度を持たせるためにプレス機構自体の大きさも大きくなり装置全体が大型化してしまい、装置を小型化することが困難であった。
【0009】
また、一般的な圧力容器は、高圧ガス保安法や労働安全衛生法等で規定されているように静的設計される。しかし、高圧処理装置の圧力容器は、100MPa以上という極めて高い圧力を、多い場合には、年間数万回以上繰り返し受ける装置もあるため、疲労強度を基準とした設計が要求され、例えば、高圧円筒容器の場合であれば、99.99%以上という100%に近い数値の非破壊確率を有する設計疲労曲線に従って設計されるのが一般的である。
【0010】
しかしながら、非破壊確率が100%でない以上、圧力容器が破損するケースは想定しなくてはならない。
【0011】
圧力容器が破損する場合、超高圧状態の圧力容器内に充填されている圧力媒体が一気に解放されることで破損した圧力容器や蓋体を周囲に勢いよく飛散させ非常に危険な状態となることが容易に予想できる。そのため、圧力容器が破損した際に圧力容器や蓋体が周囲に飛散しない対策を講ずるための装置設計が必要とされており、上術した従来の高圧処理装置においても、例外ではなく、耐圧性は優れているものの、万が一、圧力容器が破損した場合を考慮し、スチール製の板で装置を囲うヨークフレームを採用した装置設計されたものが多く提供されている。
【0012】
しかし、このヨークフレームタイプは、箱状に形成して装置全体を覆うように構成されるため、装置全体が一層大型化してしまい、更に、装置とフレームとの間に大きな空間が生じてしまうため、勢いよく飛散した圧力容器や蓋体が加速し、フレームを突き破ってしまう可能性があり、十分な安全対策が取られているとは言えないのが現状である。
【0013】
そこで、本発明は、従来の問題点を解決し、装置を小型化すると共に安価に製造することができ、万が一、圧力容器が破裂するような事故が発生した場合でも、圧力容器や蓋体の破片が周囲に飛散することなく、安全な状態が保てる十分な安全対策が成された実用性に優れた高圧処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0015】
取り出し開口部1を開閉する蓋体2を有する圧力容器3と、この蓋体2が圧力容器3内の圧力上昇によって開蓋方向に押圧された際に該蓋体2の開蓋を抑止し閉蓋状態を保持する閉蓋保持部4と、この蓋体2に押圧された閉蓋保持部4を受け止める受け止め部5とを備え、前記圧力容器3に収容した被処理物13をこの圧力容器3内に導入した圧力媒体で加圧し高圧処理する高圧処理装置において、前記閉蓋保持部4に対して所定長の間隙6を設けて補助受け止め部7を設け、この補助受け止め部7は、高圧処理時に前記受け止め部5が破損した際、前記閉蓋保持部4を受け止めるように構成したことを特徴とする高圧処理装置に係るものである。
【0016】
また、前記閉蓋保持部4を閂状に形成し、筒状に形成した前記圧力容器3の周面にこの閂状に形成した閉蓋保持部4を貫通配設し得る貫通孔8を設け、この貫通孔8に挿入配設した前記閉蓋保持部4が前記蓋体2に押圧された際に当接する前記圧力容器3の孔形成部を前記受け止め部5とし、前記貫通孔8に前記閉蓋保持部4を挿入し前記圧力容器3に貫通配設した際に、前記閉蓋保持部4が閉蓋状態の前記蓋体2の直上に配設される、若しくは閉蓋状態の前記蓋体2に貫通配設されるように構成して、前記蓋体2が前記圧力容器3内の圧力上昇によって開蓋方向に押圧された際に、前記受け止め部5としての孔形成部に受け止められた前記閉蓋保持部4が前記蓋体2の開蓋を抑止して前記蓋体2の閉蓋状態を保持するように構成したことを特徴とする請求項1記載の高圧処理装置に係るものである。
【0017】
また、前記閉蓋保持部4と前記補助受け止め部7との間に設けられる前記間隙6は、できるだけ近接された間隙であって、且つ、前記圧力容器3内が高圧状態となり前記蓋体2が前記閉蓋保持部4を押圧してもこの閉蓋保持部4が前記補助受け止め部7に当接しない距離に設定したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の高圧処理装置に係るものである。
【0018】
また、前記閉蓋保持部4と前記補助受け止め部7とは金属材料からなり、前記補助受け止め部7は、前記閉蓋保持部4よりも軟らかい材質の金属材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高圧処理装置に係るものである。
【0019】
また、前記圧力容器3を囲繞する外容器9を備え、この外容器9に前記閉蓋保持部4を貫通配設し得る前記圧力容器3に設けた貫通孔7と連通する外容器側貫通孔10を設け、この外容器側貫通孔10を設けた前記外容器9の孔形成部を前記補助受け止め部7とし、前記外容器側貫通孔10は、前記貫通孔7の内径よりも径大で、且つ、この外容器側貫通孔10に挿入配設した前記閉蓋保持部4と該外容器側貫通孔10の周縁10aとの間に前記隙間6が設けられる内径に設定したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高圧処理装置に係るものである。
【0020】
また、前記受け止め部5が破損した際に、この受け止め部5を受け止める第二補助受け止め部11を備え、この第二補助受け止め部11は、前記受け止め部5の上部側端面5aと所定の間隙12を設けて、この受け止め部5上に配設した構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高圧処理装置に係るものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上述のように構成したから、万が一、閉蓋保持部を受け止めている受け止め部が高圧に耐え切れずに破損しても、補助受け止め部が閉蓋保持部を受け止めるので、圧力容器内の超高圧状態の圧力媒体に押されても、蓋体やこの蓋体を押さえている閉蓋保持部が勢いよく飛散することなくその場に留まるので、これらが飛散し周囲に危険が及ぶことがない安全性の高い高圧処理装置となる。
【0022】
即ち、常態においては、閉蓋保持部は受け止め部のみで受け止められていて、補助受け止め部は、閉蓋保持部に対して所定長の間隙を設けて配設したことにより、常態においては、閉蓋保持部と接することがないので、蓋体に押圧された閉蓋保持部からの負荷を受けることがない。よって、受け止め部が繰り返し受ける大きな負荷によって疲労劣化しても、この補助受け止め部は疲労劣化することなく、万が一の場合に備えて、十分な設計強度を保つことができるので、勢いよく押し出された閉蓋保持部をしっかりと受け止めることができ、また、この閉蓋保持部を受け止めた際も補助受け止め部自体が破損することなく、蓋体や閉蓋保持部の周囲への飛散を防止することができる極めて安全性に優れた高圧処理装置となる。
【0023】
また、請求項2記載の発明においては、蓋体を極めて簡易な構成とすることができ、また、この蓋体の閉蓋状態を保持する閉蓋保持部を閂に構成したので、従来のような複雑な構造を必要とせず、閉蓋保持部を極めて容易に設計実現が可能となり、よって、製造コストを低減でき安価な高圧処理装置を提供できると共に、従来に比してより容易に小型化を実現することができる実用性に優れた高圧処理装置となる。
【0024】
また、請求項3記載の発明においては、間隙を極力短い距離に設定することで閉蓋保持部が蓋体に押され加速する距離が短くなり、閉蓋保持部は加速する間もなく補助受け止め部に受け止められるので、加速し速度が増すことによる運動エネルギーの増加が抑えられ、より小さな衝撃力で閉蓋保持部を受け止めるので、補助受け止め部の負荷を軽減でき、閉蓋保持部によって補助受け止め部が破損し周囲に飛散することが抑止される、より安全性の高い高圧処理装置となる。
【0025】
また、請求項4記載の発明においては、衝撃を受け止めた補助受け止め部が延性変形により衝撃を吸収し、閉蓋保持部の周囲への飛散や、補助受け止め部自体の破損による飛散を防止し、より安全性の高い高圧処理装置となる。
【0026】
また、請求項5記載の発明においては、補助受け止め部を極めて容易に設計実現が可能となり、更に、圧力容器の周面側もカバーされるので、より一層、安全性が向上する。
【0027】
また、請求項6記載の発明においては、閉蓋保持部に押圧された補助受け止め部が飛散することを防止し、より一層安全性の高い高圧処理装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施例を示す斜視図である。
【図2】本実施例の高圧処理部を示す正断面図である。
【図3】本実施例の高圧処理部を示す側断面図である。
【図4】本実施例の高圧処理部の上部側の構造を示す分解斜視図である。
【図5】本実施例の高圧処理部の下部側の構造を示す分解斜視図である。
【図6】本実施例の受け止め部が破損する状態を示す説明側断面図である。
【図7】本実施例の受け止め部が破損した状態を示す説明側断面図である。
【図8】本実施例の受け止め部が破損した状態を示す説明正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0030】
本発明は、圧力容器3にセットした被処理物13を高圧処理するために、圧力容器3内に導入した圧力媒体をピストンなどの加圧手段で加圧する、若しくは、外部に配設した加圧装置部14で加圧した圧力媒体を圧力容器3内に圧送して、圧力容器3内の圧力を100MPa以上の高圧状態にすることで、この圧力容器3の取り出し開口部1を閉蓋している蓋体2が圧力容器3内に導入した圧力媒体によって開蓋方向に押圧され、この蓋体2が押圧されることで、この蓋体2を押さえている閉蓋保持部4も同様に大きな力で押圧され、同時にこの閉蓋保持部4を受け止めている受け止め部5にも同様の大きな力が加えられることとなり、このような大きな力が繰り返し加えられる受け止め部5は、徐々に疲労劣化し、やがて通常使用時の圧力に耐え得る強度がなくなり、塑性崩壊、或いは、せん断破壊する可能性が高いが、仮に、受け止め部5が破損し閉蓋保持部4を受け止められなくなっても、補助受け止め部7が閉蓋保持部4を受け止めるので、蓋体2や閉蓋保持部4は、周囲への飛散することなくその場に留まることとなり、よって、蓋体2や閉蓋保持部4が飛散し人に当たってけがをさせる可能性や周囲のものを破損させる可能性を可及的に低減し、従来に比して、より一層高い安全性を備えた実用性に優れた高圧処理装置となる。
【0031】
即ち、本発明は、閉蓋保持部4を受け止める手段として受け止め部5と補助受け止め部7とを設け、常態においては、この受け止め部5と補助受け止め部7との両方で閉蓋保持部4を受け止めるのではなく、受け止め部5のみで閉蓋保持部4を受け止めるように構成し、補助受け止め部7は、閉蓋保持部4に対して間隙6を設けて配設した構成としたので、常態においては、閉蓋保持部4と当接しないので、閉蓋保持部4から押圧されることなく、よって、全く負荷を受けず、疲労劣化することがないように構成している。
【0032】
そして、万が一、受け止め部5が破損し、この受け止め部5が閉蓋保持部4を受け止めることができなくなった状況において、初めて、閉蓋保持部4が間隙6分だけ移動し補助受け止め部7に当接し、この補助受け止め部7によって受け止められることとなり、この補助受け止め部7は、常態において、疲労劣化していないので、十分な強度を持って閉蓋保持部4を受け止めることができるので、この補助受け止め部7は閉蓋保持部4を受け止めた際に破損することなく、よって、蓋体2や閉蓋保持部4が周囲に飛散することがないので、破損時の危険性が可及的に低減され、より安全性の高い高圧処理装置となる。
【実施例】
【0033】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0034】
本実施例は、図1に示すように、圧力媒体を貯留する圧媒タンク部15と、この圧媒タンク部15内の圧力媒体を圧力容器3内に圧送するための加圧装置部14と、この加圧装置部14から圧送される圧力媒体を導入し被処理物13を高圧処理する高圧処理部16とで構成し、これらをワゴンタイプの移動式フレーム17内に収納配設したコンパクトタイプの間接加圧式(増圧ポンプ式)の高圧処理装置である。
【0035】
また、本実施例の高圧処理部16は、図2,図3に示すように、取り出し開口部1を開閉する蓋体2を有する圧力容器3と、この蓋体2が圧力容器3内の圧力上昇によって開蓋方向に押圧された際に該蓋体2の開蓋を抑止し閉蓋状態を保持する閉蓋保持部4と、この蓋体2に押圧された閉蓋保持部4を受け止める受け止め部5とを備え、閉蓋保持部4に対して所定長の間隙6を設けて補助受け止め部7を設け、この補助受け止め部7を高圧処理時に前記受け止め部5が破損した際、前記閉蓋保持部4を受け止めるように構成している。
【0036】
この高圧処理部16を構成する各部について、以下に具体的に説明する。
【0037】
圧力容器3は、上下方向に取り出し開口部1を設けた高圧に耐え得る金属製の円筒容器に構成し、この円筒容器に構成した圧力容器3内に被処理物13を高圧処理する処理室18を設けた構成とし、この処理室18は、取り出し開口部1の内径よりも径小な内径寸法に設定し、上下方向に設けたられた取り出し開口部1に蓋体2を着脱自在に設けて密閉開放自在な構成としている。
【0038】
また、圧力容器3の内周面には段差部19を設けた構成とし、この段差部19は、取り出し開口部1と処理室18との境界に設け、この段差部19に後述する蓋体2が嵌合係止し、処理室18を密閉状態にする構成としている。
【0039】
また、圧力容器3の周面には、後述する閉蓋保持部4を貫通配設し得る貫通孔8を設けており、この貫通孔8は、閉蓋保持部4と嵌合する形状、即ち、閉蓋保持部4の断面形状と同形状に形成しており、具体的には、本実施例においては、貫通孔8の形状を方形状に形成した構成としている。
【0040】
また、本実施例では、貫通孔8を圧力容器3の上部側及び下部側に夫々四つずつ設けており、この貫通孔8は、閉蓋保持部4を貫通配設した際、この閉蓋保持部4が圧力容器3の中心を通らない位置に配設した構成としている。具体的には、圧力容器3の左右両側に一対の貫通孔8を夫々一直線上に配設した構成としている。
【0041】
即ち、本実施例は、閉蓋保持部4を圧力容器3の周面に設けた貫通孔8に貫通配設する構成としたので、この閉蓋保持部4は貫通孔8と嵌合し、蓋体2から押圧された際に、この貫通孔8の周縁部に当接して受け止められることとなり、よって、本実施例では、この貫通孔8を設けた圧力容器3の周面の孔形成部が、蓋体2に押圧された閉蓋保持部4を受け止める受け止め部5となる。
【0042】
より具体的には、上部蓋体2aの閉蓋状態を保持する閉蓋保持部4を受け止める受け止め部5は、この閉蓋保持部4が貫通配設される貫通孔8の上縁部、より詳しくは、圧力容器3の上部側貫通孔8の上縁部から上部側の周面部が受け止め部5となり、また、下部蓋体2bの閉蓋状態を保持する閉蓋保持部4を受け止める受け止め部5は、この閉蓋保持部4が貫通配設される貫通孔8の下縁部、より詳しくは、圧力容器3の下部側貫通孔8の下縁部から下部側の圧力容器3周面部が受け止め部5となる。
【0043】
また、この圧力容器3の上下両側に設けた取り出し開口部1を閉蓋する蓋体2は、圧力容器3と同様に高圧に耐え得る金属製の円盤体とし、具体的には、蓋体上部を取り出し開口部1と同径、蓋体下部は処理室18の内径と同径にし、上述した圧力容器3の内周面に設けた取り出し開口部1と処理室18との境界の段差部19と嵌合し処理室18を閉蓋する形状に構成している。
【0044】
より具体的に説明すると、圧力容器3の上部側の取り出し開口部1を閉蓋する上部蓋体2aは、処理室18内の残留空気を排出する残留空気排出機構20を設けると共に、上面にハンドル部21を突設した構成としている。
【0045】
また、圧力容器3の下部側の取り出し開口部1を閉蓋する下部蓋体2bは、加圧装置部14により圧送された圧力媒体を圧力容器3内の処理室18に導入する圧媒導入部22を設けた構成としている。
【0046】
また、蓋体2の下部側には、処理室18を密閉状態にするためのパッキング23と、このパッキング23の脱落を防止するパッキング押え24を設けた構成としている。
【0047】
また、この蓋体2が圧力容器3内の圧力上昇によって開蓋方向に押圧された際に、この蓋体2の開蓋を抑止し閉蓋状態を保持する閉蓋保持部4は、断面方形状の角状棒状体に形成した構成としている。
【0048】
即ち、本実施例は、蓋体2の閉蓋状態を保持するための構造として閂構造を採用した構成としており、角棒状の閉蓋保持部4が閂、圧力容器3の周面に設けた貫通孔8が閂鎹に相当する構成とし、閉蓋保持部4を貫通孔8に挿脱自在に設けた構成としている。
【0049】
本実施例の閂構造は、具体的には、1つの蓋体2に対して二本の閂状の閉蓋保持部4を配する構成としており、具体的には、二本の閉蓋保持部4が蓋体2の左右端部に配置する構成とし、蓋体2の中心部がこの閉蓋保持部4で塞がれない開放状態となるように構成している。
【0050】
また更に、閉蓋保持部4を貫通孔8に貫通配設した際、この閉蓋保持部4が圧力容器3の取り出し開口部1を閉蓋している蓋体2の直上に配設されるように構成している。
【0051】
尚、前記蓋体2の直上とは、蓋体2の上面と殆ど間隙のない近接状態、若しくは当接している状態を意味する。
【0052】
また、本実施例では、上部蓋体2aを閉蓋状態に保持する閉蓋保持部4に移動シリンダー機構25を設け、この移動シリンダー機構25の往復運動によって閉蓋保持部4を水平方向に進退自在に設けた構成としている。
【0053】
このように、二本の閉蓋保持部4で閉蓋状態を保持することでバランスよく蓋体2を押さえることができ、より高い押圧力に耐え得る構造となり、更に、蓋体2の中心部が開放状態となることで、上述した残留空気排出機構20やハンドル部21などを配設するスペースを容易に設けることができることとなり、また、例えば、この中心部に窓部を設けることもでき、この窓部から圧力容器3内の被処理物13の処理状態を確認することもできるなど、一層実用性に優れた高圧処理装置となる。
【0054】
尚、本実施例では、閉蓋保持部4を上述のように一本の角棒状に形成した構成とし、これを二本一組にして蓋体2を押さえる構成としているが、閉蓋保持部4の構成は上記に限らず、例えば、U字状に構成しても良く、本実施例の作用効果を発揮する構成であれば適宜採用するものとする。
【0055】
また、本実施例は、常態においては、上述したように、圧力容器3の内部圧力に開蓋方向に押圧される蓋体2を閉蓋保持部4が受け止め、この蓋体2を受け止めることで圧力容器3の内部圧力による押圧力を受ける閉蓋保持部4を受け止め部5が受け止めることで蓋体2の閉蓋状態が保持される構成としているが、この受け止め部5、即ち、圧力容器3の貫通孔8を設けた孔形成部が100MPa以上の極めて高い押圧力を繰り返し受けることによって金属疲労を起こして強度が低下し、この極めて高い押圧力に耐え得るがことができなくなって破損した場合や、設計強度以上の想定外の押圧力が加わり、この想定外の押圧力に耐え切れず受け止め部5が破損した場合に、この受け止め部5に代わって閉蓋保持部4を受け止める補助受け止め部7を備えた構成とし、本実施例においては、この補助受け止め部7を、圧力容器3の外周面に囲繞するように配置した外容器9に設けた構成としている。
【0056】
また、この補助受け止め部7は、閉蓋保持部4に対して所定長の間隙6を設けて配設した構成とし、この間隙6は、閉蓋保持部4と補助受け止め部7とができるだけ近接された間隙であって、且つ、圧力容器3内が高圧状態となり蓋体2が閉蓋保持部4を押圧してもこの閉蓋保持部4が補助受け止め部7に当接しない距離に設定している。
【0057】
更に説明すると、この補助受け止め部7は、圧力容器3内が高圧状態のときに必ず閉蓋保持部4には当接せずにこの閉蓋保持部4と補助受け止め部7とには間隙6が生じるように構成するものであり、また、常態から前記高圧状態となる場合に、内部からの押圧による閉蓋保持部4の移動や弾性変形によって閉蓋保持部4が補助受け止め部7に近づいてしまい間隙6が無くならないよう、この高圧状態での閉蓋保持部4の移動を考慮した上で常態でこの間隙6を設定している。
【0058】
つまり、間隙6を小さくしたいが、この高圧状態では常態より間隙6が小さくなることを考慮して、常態では少し大きめに間隙6を設定している。
【0059】
また、間隙6を短い距離に設定することで、万が一、閉蓋保持部4が破損した場合でも、閉蓋保持部4が蓋体2に押され加速する距離が短くなり、閉蓋保持部4は加速する間もなく補助受け止め部7に受け止められるので、加速し速度が増すことによる運動エネルギーの増加が抑えられ、補助受け止め部7は、より小さな衝撃力で閉蓋保持部4を受け止めるので、受け止め時の負荷を軽減でき、閉蓋保持部4によって補助受け止め部7が破損し周囲に飛散することが抑止される。
【0060】
つまり、この間隙6が広すぎると閉蓋保持部4が破損した際、この閉蓋保持部4が十分に加速して補助受け止め部7に衝突するまでに大きなエネルギーを持ち、この大きなエネルギーを持った閉蓋保持部4を補助受け止め部7が受け止められず、補助受け止め部7も破損し閉蓋保持部4も補助受け止め部7も飛散して周囲に危険を及ぼす可能性が生じてしまうので、このような観点から、隙間6は小さく設定することが望ましい。
【0061】
言い換えると、前記作用・効果が十分に発揮されるように閉蓋保持部4と補助受け止め部7とを近接する必要があり、十分に近づけてこの作用・効果が確実に発揮されるように構成する。しかし、前述のように常態において近づけすぎると使用時(高圧状態時)において間隙6が小さくなってしまい閉蓋保持部4と補助受け止め部7とが当接して補助受け止め部7にも負荷が掛かり劣化してしまう恐れがあり、万が一の場合に、閉蓋保持部4を受け止めることができなくなるので、前述したように高圧状態において閉蓋保持部4と補助受け止め部7とが当接しないようこの閉蓋保持部4と補助受け止め部7とを離す必要がある。
【0062】
即ち、本実施例の間隙6をできるだけ近接させるという意味は、閉蓋保持部4が破損した場合の、この閉蓋保持部4を加速させないため、言い換えると、補助受け止め部7への衝撃をできるだけ抑えて補助受け止め部7の破損を防ぐために距離を小さく設定するが、高圧状態にした際に閉蓋保持部4が移動或いは弾性変形しても閉蓋保持部4が補助受け止め部7に当接しないだけの距離を有するということを意味する。
【0063】
本実施例においては、この閉蓋保持部4と補助受け止め部7との間隙6を、常態で1.3mm以上、7mm以下としている。この範囲に間隙6を設定することで、高圧状態においても閉蓋保持部4と補助受け止め部7とが当接せず、更に、万が一、閉蓋保持部4が破損して飛散しても、補助受け止め部7が破損することなく閉蓋保持部4を受け止めることができ、安全な状態を維持することができる。
【0064】
即ち、本実施例は、閉蓋保持部4を受け止める手段として受け止め部5と補助受け止め部7とを設けているが、常態においては、この受け止め部5と補助受け止め部7との両方で閉蓋保持部4を受け止めるのではなく、受け止め部5のみで閉蓋保持部4を受け止めるように構成し、補助受け止め部7は、上述したように、閉蓋保持部4に対して間隙6を設けて配設した構成としたので、常態においては、閉蓋保持部4と当接しない構成、即ち、蓋体2が閉蓋保持部4を押圧する押圧力を全く受けない構成とし、よって、常態においては、疲労劣化することがない構成としている。
【0065】
この補助受け止め部7を設けた外容器9は、上下方向が開口した高圧に耐え得る金属製の円筒容器に構成し、具体的には、圧力容器3の外径よりもやや径大の内径に設定し、圧力容器3の外周面と一定の間隙26を設けて同心状に配置する構成としている。
【0066】
また、この外容器9の周面には、圧力容器3と同心状に配置した際に、圧力容器3の周面に設けた貫通孔8と連通状態となる外容器側貫通孔10を設けた構成としている。
【0067】
即ち、本実施例の高圧処理部16は、圧力容器3と外容器9とを同心状に配置すると共に貫通孔8と外容器側貫通孔10とを連通状態にした二重構造に構成しており、この連通孔8,10に閉蓋保持部4を挿通させてこの閉蓋保持部4を圧力容器3と外容器9とに貫通配設する構成としている。
【0068】
また、この外容器9の外容器側貫通孔10は、圧力容器3に設けた貫通孔8よりも径大な寸法に設定し、閉蓋保持部4を貫通孔8と外容器側貫通孔10との連通孔8,10に貫通配設した際に、閉蓋保持部4は、貫通孔8とは隙間が生じない嵌合状態に配設されるが、外容器側貫通孔10に対しては、閉蓋保持部4は、外容器側貫通孔10の周縁10aとの間に間隙6が生じる遊嵌状態に配設されるように構成している。
【0069】
即ち、受け止め部5が破損した際は、この受け止め部5に受け止められなくなった閉蓋保持部4が蓋体2に押圧されて押圧方向に押され外容器側貫通孔10の周縁10aとの間にあった間隙6の距離が詰まり、この外容器側貫通孔10の周縁10aの上縁部若しくは下縁部(上部蓋体2aに押圧された場合は外容器側貫通孔10の上縁部、下部蓋体2bに押圧された場合は外容器側貫通孔10の下縁部)に当接し受け止められることとなり、よって、本実施例においては、外容器9の孔形成部、即ち、外容器9の外容器側貫通孔10の上縁部若しくは下縁部よりも端部側が、万が一、受け止め部5が破損した場合に閉蓋保持部4を受け止める補助受け止め部7となる。
【0070】
尚、本実施例では、上述した通り、閉蓋保持部4と補助受け止め部7、即ち、閉蓋保持部4と外容器9とを共に高圧に耐え得る金属材料で形成した構成としているが、具体的には、補助受け止め部7、即ち、外容器9を形成する金属材料は、閉蓋保持部4を形成する金属材料よりも軟らかい材質の金属材料(具体的には、ビッカース硬さが380以下の金属材料)を用いている。
【0071】
より具体的には、外容器9(補助受け止め部7)を形成する金属材料として、オーステナイト系ステンレス、例えばSUS304、或いは、一般構造用圧延鋼材、例えばSS400を用い、これに受け止められる閉蓋保持部4を形成する金属材料には、析出硬化系ステンレス、例えばSUS630を用いた構成としている。
【0072】
このように、本実施例は、勢いよく押し出された閉蓋保持部4をこの閉蓋保持部4よりも軟らかい材質の補助受け止め部7で受け止めることで、この補助受け止め部7が延性変形して衝撃を吸収するので、補助受け止め部7自体が破損し難くなり、よって、閉蓋保持部4をしっかりと受け止めて周囲への飛散を防止し、より安全性を高めることができる。
【0073】
尚、上記以外の金属材料でも、本実施例の作用効果を発揮し得る組み合わせであれば、適宜採用するものとする。
【0074】
また、本実施例では、高圧に耐え切れずに受け止め部5が破損した場合、内部圧力に押圧され閉蓋保持部4が勢いよく上方に押し出されると同時に、この破損した受け止め部5も閉蓋保持部4に押圧されて上方に勢いよく押し出されることとなり、この上方に勢いよく押し出された受け止め部5が周囲に飛散しないように、この閉蓋保持部4に押圧され押し出された受け止め部5を受け止める第二補助受け止め部11を備えた構成としている。
【0075】
この第二補助受け止め部11は、受け止め部5の上部側端面5aと所定の間隙12を設けて、この受け止め部5上に配設した構成とし、具体的には、本実施例においては、第二補助受け止め部11を外容器9に設けた構成としており、具体的には、外容器9と同じ外径寸法に設定したリング状載置部11aの上部に、円板状の金属板材に圧力容器3の取り出し開口部1とほぼ同径の開孔部11bを設けてドーナツ状に形成したカバー部11cを設けた構成とし、リング状載置部11aは、第二補助受け止め部11を補助受け止め部7上に載置した際に、カバー部11cが受け止め部5と所定の隙間12を設けて配される高さに設定している。
【0076】
また、この補助受け止め部7上に載置した第二補助受け止め部11は、図4に示すように、外側から半割リング状に形成した連結具27を被着して補助受け止め部7と連結状態にし、この補助受け止め部7と第二補助受け止め部11とを連結する連結具27は、フレーム17の天板17aに固定し得る固定具28で固定する構成としている。
【0077】
上述のように構成した高圧処理部16は、フレーム17の底板17bに設けた支持部29に支持される構成とし、具体的には、図5に示すように、圧力容器3を支持する圧力容器支持部30aと、外容器9を支持する外容器支持部30bとを設けた半割リング状に形成した高圧処理部支持体30に圧力容器3と外容器9とを載置し、この高圧処理部支持体30を、固定用リング体31を介して支持部29に固定する構成としている。
【0078】
本実施例は、以上のように構成したので、圧力容器3の取り出し開口部1を閉蓋する蓋体2の閉蓋状態を保持し処理室18内の高圧状態を保持するために、従来のプレス機構を用いた複雑且つ大型化した構造を採用することなく、極めて簡易な構成で蓋体2の閉蓋状態を強固に保持することができ、よって、設計実現が極めて容易で、安価に高圧処理装置を提供でき、しかも、従来に比してより容易に小型化を実現することができる。
【0079】
しかも、安全性に関しても、万が一、閉蓋保持部4を受け止めている受け止め部5が高圧に耐え切れずに破損し、この受け止め部5に受け止められていた閉蓋保持部4や蓋体2が圧力容器3内の超高圧状態の圧力媒体に押されて勢いよく押し出されても、補助受け止め部7が閉蓋保持部4を受け止めるので、蓋体2や閉蓋保持部4が勢いよく押し出されて周囲に飛散することなくこの高圧処理部16に留まり、よって、これらが飛散し周囲に危険を及ぼすような危険な状態となる可能性を可及的に低減した極めて安全性の高い高圧処理装置となる。
【0080】
即ち、この補助受け止め部7は、閉蓋保持部4に対して所定長の間隙6を設けて配設したことにより、常態においては、閉蓋保持部4と当接することがなく、よって、圧力容器3内の内部圧力によって開蓋方向に押圧される蓋体2が閉蓋保持部4を押圧する押圧力を受けることがない。
【0081】
従って、常に閉蓋保持部4と当接しこの閉蓋保持部4からの高い押圧力を繰り返し受け止めている受け止め部5は、金属疲労を起こして強度が低下するのに対して、この補助受け止め部7は、金属疲労することなく、設計強度を十分に保ったままの状態を維持することとなり、受け止め部5が破損し、閉蓋保持部4を受け止めることができなくなった状況において、更に詳しく言えば、図6のように、受け止め部5に亀裂が入り始めた状態では、まだ、閉蓋保持部4は補助受け止め部7と当接状態にはならず、図7,図8に示すような、受け止め部5が破断した状態となって、初めて、内部圧力によって勢いよく押し出された閉蓋保持部4と当接しこの閉蓋保持部4を受け止めることとなるが、この際、補助受け止め部7は、上述したように、閉蓋保持部4を受け止めるだけの十分な設計強度を有した状態でいるので、この補助受け止め部7が破損することなく閉蓋保持部4をしっかりと受け止めることができ、よって、蓋体2や閉蓋保持部4が周囲へ飛散されることなく安全な状態が保たれる極めて安全性に優れた高圧処理装置となる。
【0082】
また、破損し圧力容器3と分断した受け止め部5は、勢いよく押し出された閉蓋保持部4によって上方に勢いよく押し出されることとなるが、本実施例は、この上方に勢いよく押し出された受け止め部5が周囲に飛散しないように、この受け止め部5の上方に受け止め部5を受け止める第二補助受け止め部11を備えた構成としたので、この受け止め部5も、蓋体2や閉蓋保持部4と同様に周囲に飛散することなく高圧処理部16に留まることとなり、より一層の安全性を備えた画期的な高圧処理装置となる。
【0083】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0084】
1 取り出し開口部
2 蓋体
3 圧力容器
4 閉蓋保持部
5 受け止め部
6 間隙
7 補助受け止め部
8 貫通孔
9 外容器
10 外容器側貫通孔
10a 周縁
11 第二補助受け止め部
12 間隙
13 被処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り出し開口部を開閉する蓋体を有する圧力容器と、この蓋体が圧力容器内の圧力上昇によって開蓋方向に押圧された際に該蓋体の開蓋を抑止し閉蓋状態を保持する閉蓋保持部と、この蓋体に押圧された閉蓋保持部を受け止める受け止め部とを備え、前記圧力容器に収容した被処理物をこの圧力容器内に導入した圧力媒体で加圧し高圧処理する高圧処理装置において、前記閉蓋保持部に対して所定長の間隙を設けて補助受け止め部を設け、この補助受け止め部は、高圧処理時に前記受け止め部が破損した際、前記閉蓋保持部を受け止めるように構成したことを特徴とする高圧処理装置。
【請求項2】
前記閉蓋保持部を閂状に形成し、筒状に形成した前記圧力容器の周面にこの閂状に形成した閉蓋保持部を貫通配設し得る貫通孔を設け、この貫通孔に挿入配設した前記閉蓋保持部が前記蓋体に押圧された際に当接する前記圧力容器の孔形成部を前記受け止め部とし、前記貫通孔に前記閉蓋保持部を挿入し前記圧力容器に貫通配設した際に、前記閉蓋保持部が閉蓋状態の前記蓋体の直上に配設される、若しくは閉蓋状態の前記蓋体に貫通配設されるように構成して、前記蓋体が前記圧力容器内の圧力上昇によって開蓋方向に押圧された際に、前記受け止め部としての孔形成部に受け止められた前記閉蓋保持部が前記蓋体の開蓋を抑止して前記蓋体の閉蓋状態を保持するように構成したことを特徴とする請求項1記載の高圧処理装置。
【請求項3】
前記閉蓋保持部と前記補助受け止め部との間に設けられる前記間隙は、できるだけ近接された間隙であって、且つ、前記圧力容器内が高圧状態となり前記蓋体が前記閉蓋保持部を押圧してもこの閉蓋保持部が前記補助受け止め部に当接しない距離に設定したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の高圧処理装置。
【請求項4】
前記閉蓋保持部と前記補助受け止め部とは金属材料からなり、前記補助受け止め部は、前記閉蓋保持部よりも軟らかい材質の金属材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高圧処理装置。
【請求項5】
前記圧力容器を囲繞する外容器を備え、この外容器に前記閉蓋保持部を貫通配設し得る前記圧力容器に設けた貫通孔と連通する外容器側貫通孔を設け、この外容器側貫通孔を設けた前記外容器の孔形成部を前記補助受け止め部とし、前記外容器側貫通孔は、前記貫通孔の内径よりも径大で、且つ、この外容器側貫通孔に挿入配設した前記閉蓋保持部と該外容器側貫通孔の周縁との間に前記隙間が設けられる内径に設定したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高圧処理装置。
【請求項6】
前記受け止め部が破損した際に、この受け止め部を受け止める第二補助受け止め部を備え、この第二補助受け止め部は、前記受け止め部の上部側端面と所定の間隙を設けて、この受け止め部上に配設した構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高圧処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−56302(P2013−56302A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196273(P2011−196273)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【特許番号】特許第5064592号(P5064592)
【特許公報発行日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人科学技術振興機構、「食の高付加価値化に資する基盤技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304021288)国立大学法人長岡技術科学大学 (458)
【出願人】(511219799)株式会社 シナダ (1)
【出願人】(307010144)財団法人にいがた産業創造機構 (6)
【Fターム(参考)】