説明

高圧放電ランプおよび照明装置

【課題】外管の落下防止機能を有する弾性係止部材を設けた、構造簡単で形成作業も容易な、品質および生産性の向上がはかれる高圧放電ランプおよびこの放電ランプを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】内管固定部52、外管固定部5および受電部6を備えた口金体5と、発光管4を収容し内管固定部52により口金体5に基端部22側が固定された内管2と、内管2とその周囲に隙間を形成して包囲するとともに中央部に比べ内径が小径に形成された基端部13側が口金体5の外管固定部53に固定し先端側が閉塞された筒状をなす外管1と、基体部が口金体5支持され、この基体部より延在した複数の延在部73,73が内管2の外面と外管1の内面との間の隙間55に介在するとともに延在部73,73の先端側に外管1の開口部内径より大きく拡開する係止片75、75を有する弾性係止部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光管を内蔵した内管をさらに外管で包囲した三重管形のメタルハライドランプなどの高圧放電ランプおよびこの放電ランプを装着した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧放電ランプは、高効率、高演色性の光源として、店舗、工場、ホールやスポーツ施設などの照明用として広く用いられている。この高圧放電ランプ、例えばメタルハライドランプはスポット照明用などさらに小形、高効率化がはかられるに伴う発光管の破損時の対応として、三重管化されたものが知られている。(特許文献1参照)
この小形化されたメタルハライドランプは、内部に発光管を収納し端部にピンチシールによるシール部が形成された内管を、さらに有底筒状をなすガラス製外管内に収容している。また、口金体は受容部内の上面に環状溝が形成されるとともに、環状溝によって中央部に残った円柱状部分にはその直径方向に形成された直線状溝によって二分され、かつ、環状溝と直線状溝とは連通している。
【0003】
そして、内管は、そのピンチシール部側が直線状溝内に、また、外管は、開口部側が環状溝内に配置され、耐熱性の無機接着剤を介し接合することで内管および外管が口金体に固定されている。
【特許文献1】特開2006−331663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記高圧放電ランプは、その寿命経過に伴う受熱や紫外線によって接着剤が徐々に劣化することや製造時の接着剤付着の不均一などに起因する接合強度の低下により、使用中にガラス製の外管が不所望に落下することが稀ではあるが発生していた。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、外管の落下防止機能を有する弾性係止部材を設けた、構造簡単で形成作業も容易な、品質および生産性の向上がはかれる高圧放電ランプおよびこの放電ランプを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の高圧放電ランプは、内管固定部、外管固定部および受電部を備えた口金体と;発光管を収容し内管固定部により口金体に基端部側が固定された内管と;内管とその周囲に隙間を形成して包囲するとともに中央部に比べ内径が小径に形成された基端部側が口金体の外管固定部に固定し先端側が閉塞された筒状をなす外管と;基体部が口金体に支持され、この基体部より延在した複数の延在部が内管の外面と外管の内面との間の隙間に介在するとともに延在部の先端側に外管の開口部内径より大きく拡開する係止片を有する弾性係止部材と;を具備していることを特徴とする。
【0007】
上記構成の本発明の高圧放電ランプは、口金体に接着剤を介し接合された外管が、点灯経時による接着剤の劣化や製造時の接着剤付着の不均一などに起因した接合力の低下を来たし、外管の基端部と接着剤との間または外管固定部と接着剤との間で分離し、外管が落下をはじめても外管の基端部内径より大きい寸法に拡開させた弾性係止部材の一対の係止部が外管の縮径された段部内面に引っ掛って外管を係止し、さらに落下するのを阻止することができる。
【0008】
また、上記弾性係止部材は、延在部に外管の内面または外管の内面と内管の外面との両面を圧接する係止片を設けることによって、外管は、常時、弾性係止部材の係止片により押圧されているので、接着剤部分での離脱の有無に拘らず係止片が外管を保持できる。
【0009】
なお、本発明および以下の発明は下記の態様であることを許容する。
【0010】
〔口金体について〕 口金体は、高圧放電ランプの本体をソケットに保持し、電源と電気的に接続する機能を果たすランプ構成要素であると一般的に定義されているが、本発明においてはねじ込み形(E形など)、差込み形(G形やS形など)、ピンなし差込み形やバイポスト形の口金体において上記に加えて内管固定持部、外管固定部および受電部を備えていれば、その余の構造は自由である。したがって、本発明において、口金体は既知の多様な構造を採用することができる。
【0011】
また、口金体は、内管固定持部、外管固定部および受電部を機能的な位置に配置するために、電気的絶縁性が確保できれば金属製でもよいが、好ましくは例えばステアタイトなどのセラミックスにより一体的に形成された耐熱・電気絶縁物製の口金基体を配設することができる。すなわち、口金基体がシェル部であっても、金属製などのシェル部に耐熱・電気絶縁物製や金属製の口金基体が連設されていてもよい。
【0012】
(内管固定部について) 内管固定部は、後述する内管の封止部側を固定する部位である。封止部側の固定は、内管固定部に挿入により行う構成でもよく、接着剤を介したりばね性の金属板を用いた保持部材などの固定補助部材を介在させて行う構成など多様な固着手段を適宜採用することができる。なお、後者の場合、固定補助部材を内管の封止部に装着してもよいし、内管固定部の例えば内部に装着してもよい。
【0013】
また、内管の基端部が後述するようにピンチシールによるシール(封止)部が形成されている態様においては、当該ピンチシール部の両扁平面を内管固定部に対する固定に利用すると好都合である。例えば、両扁平面を主として挟持して固定するように離間対向する一対の起立舌片を口金体の底部から上方へ突出させて形成し、両起立舌片がピンチシール部の両側面を直接的または間接的に挟持するように構成することができる。
【0014】
さらに、離間対向する一対の起立舌片の外面に基底部に向って間隔が広がる、好適には切頭円錐面の一部をなすようなテーパー面を形成することにより、このテーパー面を外管の基端部を口金体内に挿入する際のガイドとして、またセンタリングのガイドとして利用することができる。
【0015】
(外管固定部について) 外管固定部は、外管を口金体に例えば接着などにより固定する部位である。しかし、外管を固定するための外管固定部の構造は特段限定されない。例えば、外管固定部を環状周壁により形成して、当該環状周壁の内面に外管の基端部の外面を接着して外管を口金体に固定することができる。この態様においては、環状周壁の内面と外管の開口部側の外面との間を例えば接着剤で固定する。なお、環状周壁は、好ましくは内管固定部に対して同心関係に内管固定部を外側から包囲するように形成するのがよい。
【0016】
しかし、所望により外管開口部側を内外両面で挟持するように同心関係に二重の環状周壁を形成してもよい。なお、接着剤を用いて固定する場合には、外管の開口部側の外面に、または二重の環状周壁の場合には内外両面に接着剤を、それぞれ全周にわたり付与してもよいし、周面に対して離間した複数箇所に断続的に付与してもよい。
【0017】
(受電部について) 受電部は、高圧放電ランプに投入する電力を電源から受電して高圧放電ランプ本体に供給する手段であり、既知の各種口金形態における受電部を適宜所望により選択的に採用することができる。なお、ねじ込み形、差込み形、ピンなし差込み形やバイポスト形などの口金は、主として受電部の構造が相違している。
【0018】
次に、高圧放電ランプには主にねじ込み形口金が使用される。ねじ込み形口金における受電部は、シェル部およびセンターコンタクト部が絶縁基体の所定の位置に互いに絶縁関係を保持して配設されることによって構成されていて、内管から導出された一対の外部リード線の一方がシェル部に、他方がセンターコンタクト部にそれぞれ接続される。
【0019】
〔発光管について〕 本発明において、発光管は、透光性気密容器、一対の電極、一対の電流導入導体および放電媒体を備えている。
【0020】
透光性気密容器は、透光性セラミックスまたは石英ガラスなどの透光性にして耐熱性の物質からなり、包囲部および一対の封止体を備えている。包囲部は、膨出していて、その内部が放電空間として利用される。なお、透光性であるとは、放電により発生した放射のうち、所望波長域の発光成分を少なくとも所望の部位から外部へ透過させることができればよいことを意味する。また、透光度は、高圧放電ランプの正常な作動状態において、透光性気密容器として問題なく機能する程度を有していればよい。
【0021】
封止体は、包囲部の両端に連設されていて、後述するように電極を支持するととともに、透光性気密容器を封止する。透光性気密容器が透光性セラミックスからなる場合、一般的には封止体が小径筒部により形成されている。小径筒部からなる封止体は、その内部に挿通する電極および/または電流導入導体と小径筒部の内面との間にわずかな隙間が形成される。
【0022】
したがって、小径筒部の長さを適切な値に設定することにより、点灯中にわずかな隙間の内部に液相のハロゲン化物が滞留して、いわゆるキャピラリーとして作用して透光性気密容器の最冷部を形成したり、封止部の温度を所定温度に維持させたりすることができる。しかし、本発明においては、封止体を備えているものの、封止体がキャピラリーを形成することを必須要件とするものではない。
【0023】
透光性気密容器が透光性セラミックスにより形成される場合、例えばサファイヤなどの単結晶の金属酸化物、多結晶の金属酸化物、例えば半透明の気密性アルミニウム酸化物、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、イットリウム酸化物(YOX)、多結晶非酸化物、例えばアルミニウム窒化物(AlN)などを用いることができる。
【0024】
透光性気密容器の内容積すなわち放電空間の体積は、高圧放電ランプの定格ランプ電力の大きさに応じて多様な値に設定することができる。また、放電空間の形状も円筒状、球状、楕円球状など多様であることを許容する。
【0025】
(一対の電極について) 一対の電極は、透光性気密容器に封装されて先端が互いに離間して放電空間に臨んでいる。また、電極は、タングステン(W)、ドープドタングステン、レニウム(Re)、レニウム−タングステン合金(Re−W)またはモリブデン(Mo)などの耐火性金属を用いて形成することができる。
【0026】
また、電極は、その基端側などの一部を異種の耐火性金属またはサーメットなどを用いて形成することができる。例えば、電極の主要部をタングステンで形成し、基端部をモリブデンまたはサーメットで形成する。
【0027】
さらに、電極は、好ましくは細長い電極軸部および電極軸部の先端部に配設される電極主部から構成することができる。この場合、電極主部は、電極軸の先端に配設されて主として陰極およびまたは陽極として作用する部分であり、電極の先端部を構成する。また、電極主部は、その表面積を大きくして放熱を良好にするために、必要に応じて例えばタングステン線のコイルを巻装したりすることができる。
【0028】
(電流導入導体について) 電流導入導体は、一対の電極に電流を供給するための手段であり、封止体から透光性気密容器の内部へ導入されて、先端が電極の基端に直接または間接に接続し、基端が封止体から外部へ露出する。また、透光性気密容器が透光性セラミックスからなる場合、電流導入導体は、例えばセラミックス封止用コンパウンドのシール部および小径筒部からなる封止体と協働して透光性気密容器を封止する。
【0029】
電流導入導体としては、透光性気密容器の材質に応じて熱膨張係数が接近した導電性物質、例えば透光性アルミナセラミックス製の場合、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)またはサーメットなどが好適である。石英ガラスの場合には、モリブデン(Mo)が好適である。
【0030】
(放電媒体について) 放電媒体は、水銀や金属ハロゲン化物などおよび始動ガスにより構成される。また、好適にはランプ電圧形成物質を含むことができる。
【0031】
金属ハロゲン化物の場合は、少なくとも発光金属のハロゲン化物を含むものとする。発光金属のハロゲン化物としては、既知の各種発光金属およびそれらの組み合わせの金属ハロゲン化物を用いることができる。
【0032】
始動ガスは、少なくとも高圧放電ランプを始動させるときに放電を開始させるのに寄与する。しかし、具体的なガスの種類は限定されない。一般照明用の高圧放電ランプの場合、好適にはアルゴン(Ar)ガスが用いられるが、アルゴン(Ar)とネオン(Ne)の混合ガスであってもよい。始動ガスの封入圧は、一般的には8〜80kPaである。8kPa未満では、パッシェン曲線から理解できるように始動が困難になる。また、80kPaを超えると始動電圧が高くなり、口金の耐電圧を超えてしまう。
【0033】
ランプ電圧形成物質は、主として緩衝体として点灯中に一対の電極間に現れる電圧を形成するのに主体的に寄与する放電媒体であり、水銀および/または金属ハロゲン化物を用いることができる。ランプ電圧形成物質としての金属ハロゲン化物には、蒸気圧の比較的高い金属のハロゲン化物などを用いることができる。
【0034】
〔内管について〕 内管は、T形の直管状などをなしその内部に発光管を内蔵していて、基端部側が適宜の手段により口金体の内管固定部に固定される。発光管を内蔵する態様は、外部に対して気密および連通のいずれであってもよい。発光管は、内管に対して好ましくは軸中心の位置に支持され、かつ一対の電極が内管から導出される一対の外部リード線に接続する。
【0035】
また、内管は、発光管を所要に始動するために必要に応じて始動用の部品要素、例えば紫外線発生源、高電圧パルス発生器または近接導体などを内部の所定位置に収納することができる。
【0036】
さらに、内管は、その基端部が、口金体内に挿入した際に内管を固定するのに耐えるように構成されている。例えば、内管の基端部に形成されたシール部を口金体内に挿入したり、外部リード線を挿入したりすることで、内管は口金体に固定されるように構成することを許容する。
【0037】
内管内を気密にするため端部にシール部を形成する場合、そのシール部はピンチシールを採用することができる。例えば既述のようにピンチシール部とした場合は、シール部の扁平面の両側端縁に略半円形状や略三角形状などの凸条を形成することにより、内管の基端部を口金に挿入した際に凸条間に形成される平坦部を固定するように構成すれば、内管の位置決めが容易、かつ、確実になる。
【0038】
内管の材質は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラスあるいはソーダライムガラスなど特段限定されない。しかし、内管を石英ガラスで形成することにより耐熱性が向上するので、小形化を図ることができる。また、内管は、外管で覆われるので、指で直接内管を触れることがなくなり、内管が汚損することもない。一般照明用の高圧放電ランプとしては、外管内部を真空または不活性ガス(例えば、窒素やアルゴンなど)雰囲気にするのが一般的である。
【0039】
〔外管について〕 外管は、その内部に内管を収納して、内管および発光管を機械的および触指による汚損などに対して保護する。この外管は、内管と分離していて、口金体の外管固定部に例えば接着剤を用いて接着される。そのために、外管の基端は、開放された開口部を有する。
【0040】
外管の材質は、特段限定されない。例えば硬質ガラスや半硬質ガラスにより外管を形成することができる。また、外管は、T形、BT形、R形など各種形状の管を所望に応じて適宜選択して採用することがきるが、開口部側が中央部に比べ内径が小径に形成された段部や徐々に縮径された有底筒状をなす。
【0041】
接着剤は、高圧放電ランプの点灯中の動作温度に耐えるものであれば特段限定されない。一般的には耐熱性の無機質接着剤が好適である。なお、接着剤を用いないで、所定の固着手段によって固定される態様でもよい。
【0042】
〔弾性保持部材について〕 弾性係止部材は、内管などを利用して外管を保持する手段であり、外管と口金体との間の接合が不所望に離脱した際に外管を保持して口金体から落下するのを阻止し得る手段として機能する。
【0043】
そのために、弾性係止部材は、基体部が口金体の内管固定部または外管固定部あるいはシール部に支持され、この基体部より延在した複数の延在部が内管の外面と外管の内面との間の隙間に介在するとともに延在部の先端側に外管の基端部内径より大きく拡開して形成された係止片を有する。
【0044】
この係止片は、外管内面、内管外面と外管内面の両方に対して常時弾性を作用させた圧接状態であってもあるいは当接することなく両者間に介在していてもよく、要するに外管が口金体から離脱した際に、外管を係止して外管の不所望な落下を防止できればよい。また、係止片の形状は凹状、凸状、突起や鉤状などの屈曲形状をした、角状部や曲面状部などに係止できる形状であるのが好ましいが、外管に当接や近接して配設できればその形状は限定されない。
【0045】
上記構成を備えた弾性係止部材であれば、その材質は特段限定されない。しかし、高圧放電ランプの点灯中の高温に耐え、かつ弾性が阻害されない程度の耐熱性を有している必要がある。これらの条件を満たす材料としては、ばね性金属例えばステンレスなどおよび耐熱性プラスチックスなどを適宜選択して用いることができる。
【0046】
また、弾性係止部材は、高圧放電ランプが弾性係止部材を具備していることに起因する全光束の低下が最小限となり、かつ配光特性を乱さないように配慮されていることが好ましい。このためには、内管および外管の基端部側の位置に弾性係止部材を配設するのがよい。また、外管を保持する弾性力を維持しながら、内管から外部へ放射される光の進路を遮る弾性係止部材の面積を最小限にするのがよい。
【0047】
このためには、弾性係止部材が線状または帯状をなした弾性が付与された複数の係止片を内管および外管の間の隙間内に管軸を中心としてほぼ等間隔や対向位置に配設するのがよい。そうすれば、弾性係止部材による外管の保持のバランスが良好になる。また、内管と外管を組み立てる際の製造性が良好になる。なお、複数の係止片を統合し、各係止片が所定の間隔を維持するように構成するために、複数の係止片の中心位置に基体部を形成するのがよい。
【0048】
さらに、弾性係止部材が複数の係止片を備えている構成において、外管をその内面側から所望の保持力で保持するために、係止片を線材または帯材で形成することができるとともに、プレス加工で比較的簡単に製造することができる。また、弾性係止部材による遮光を少なくすることができる。
【0049】
本発明の請求項2に記載の高圧放電ランプは、口金体および外管との開口部両端面が衝合して環状リングによりかしめ固定されていることを特徴とする。
【0050】
外管基端部側の開口した周縁部には鍔部が形成され、また、この鍔部に対応する口金体の成形体からなる口金基体の開口した周縁部にも鍔部が形成してあり、この両者の鍔部を衝合して、この衝合部を縦断面が略コ字形をなす金属板製の環状リングを嵌めることによって接合一体化されているランプがある。
【0051】
この構造のランプにおいては、上記鍔部の形状や環状リングのかしめに不具合があると口金体から外管が離脱して、外管が落下するという問題があったが上記請求項1の構成を適用することにより外管の落下するのを防止できる。
【0052】
本発明の請求項3に記載の高圧放電ランプは、弾性係止部材が、その係止片が管軸を中心として等間隔に複数配設されていることを特徴とする。
【0053】
各係止片の間隔や高さは揃えておいたり正対位置に配設したりすることにより外管の保持力やセンタリングなどバランスがとれて好ましい。
【0054】
本発明の請求項4に記載の照明装置は、装置本体と;この装置本体に配設された上記請求項1ないし3のいずれか一に記載の高圧放電ランプとを備えていることを特徴とする。
【0055】
この照明装置は、装置本体内に点灯回路装置を備えていても、本体外に点灯回路装置を設け放電ランプと接続されるものであってもよい。また、本体内に反射鏡や光放射側にレンズや透光性のカバー部材が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0056】
請求項1の発明によれば、高圧放電ランプの口金体に固定されている外管が、口金体から離脱した際に口金体に支持された弾性係止部材によって係止されるので、外管の不所望な脱落が発生するのを阻止できる安全の高い高圧放電ランプを提供することができる。
【0057】
また、外管を係止させる弾性係止部材を光放射の損失が避けられない口金体側に配設したことにより、遮光も少なくランプの発光特性への影響もない。
【0058】
請求項2の発明によれば、口金体および外管との開口部両端面を衝合して環状リングによるかしめ固定が、解放された場合であっても、上記請求項1に記載されたと同様な効果を奏する高圧放電ランプを提供することができる。
【0059】
請求項3の発明によれば、外管の離脱時にバランスよく外管を係止することができる。
【0060】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3に記載の効果を奏する高圧放電ランプを備えているので、外管の脱落による事故の防止がはかれる照明装置(器具)を提供することができる。また、外管の脱落がないことから装置(器具)において、光放射開口部における透光性の保護カバーは必須のものではなく、用いない場合は装置(器具)のコスト低減がはかれる。
【0061】
なお、この照明装置(器具)は、店舗、ホール、地下街、事務所やスポーツ施設などの照明用として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0063】
図1ないし図6は、本発明の高圧放電ランプを実施するための実施の形態を示し、図1は高圧放電ランプの一部断面正面図、図2は発光管を内蔵した内管の拡大正面図、図3は発光管の拡大断面図、図4は口金体の口金基体を開口部がら見た上面図、図5は弾性係止部材を示し図(a)はプレス状態における展開図、図(b)は折り曲げ成形後の正面図、図(c)は同じく側面図である。
【0064】
本形態の高圧放電ランプは、定格ランプ電力35W用として好適な構造であり、図1に示すように、外管1、内管2、発光管4、口金体5および弾性係止部材7Aを主要部材として構成されている。
【0065】
外管1は、硬質ガラス製の先端側が閉塞された有底円筒状をなすT形のバルブからなり、その中央部11より内外径とも小径とした縮径部12を段部2を介し基端部13側に有していて、基端部13の端面は開放された開口部となっている。この外管1は、肉厚が約2mm、外径が約20mm、長さ(頭頂の閉塞部を含む)が約60mmのガラス管と、肉厚が約1.2mm、外径が約16mm、長さが約14mmのガラス管とを段継ぎしたものからなるが、1本のガラス管の基端部側を加熱引き延ばし縮径部12を形成したものであってもよい。
【0066】
内管2は、肉厚が約1.5mm、外径が約15mm、長さ(ピンチシール部を含む)が約60mmの石英ガラス製の容器20からなり、閉鎖された先端部の中央には排気チップオフ部21が形成されている。また、基端部にはピンチシール部22が形成されている。ピンチシール部22には、いずれも一対の封着金属箔26,26が気密に埋設され、この封着金属箔26,26の両端部には内部導入線27,27および外部導入線28,28が接続してある。なお、ピンチシール部22の両扁平面の側縁部には一対の突出部23,23が形成され、それらの間に一段低い平坦面24,24およびこの平坦面を横切って1ないし複数条の横断面が略半円形状や略三角形状などをなす突条部29,…が形成されている。
【0067】
したがって、本形態において、内管2の基端部は、ピンチシール部22により構成されている。なお、内管2の内部には、発光管4に加えて紫外線発生源3U、サポート部材3S,3S(上記内部導入線27,27が延在して形成したものであってもよい。)およびゲッタ3Gなどの付帯的構成要素が後述するように配設されている。
【0068】
発光管4は、図4に示すように、透光性気密容器41、一対の電極45,45、一対の電流導入導体46,46、一対のシール部47,47および透光性気密容器41の内部に封入された放電媒体を備えている。
【0069】
透光性気密容器41は、透光性多結晶アルミナセラミックスからなり、包囲部42および包囲部42の両端に連通して配設された一対の封止体43,43としての小径筒部を備え、内部に放電空間44が形成されている。そして、包囲部42および封止体43,43は、鋳込み成形により一体化されている。
【0070】
一対の電極45,45は、タングステン棒からなり、封止体43,43内に挿通され、その先端は、包囲部42内に突出している。そして、電極45の軸部と封止体43の小径筒部の内面との間にキャピラリーと称されるわずかな隙間が形成されている。
【0071】
一対の電流導入導体46,46は、基端側がニオブまたはサーメットなどからなる封着性部分で、先端側が例えばモリブデンなどの耐ハロゲン性部分であり、両者が長手方向に接合した複合体からなる。そして、封止体43,43内に挿入され、耐ハロゲン性部分の先端が電極45基端に接続して電極45を支持するとともに、封着性部分の基端が封止体43,43から外部へ突出している。封止体43から導出された図3において下部側の電流導入導体46の基端は、内管3の排気チップオフ部31の内部に挿入されることによって、後述するサポート部材3Sの一部を兼ねていて、発光管4のセンタリングに寄与している。
【0072】
一対のシール部47,47は、セラミックス封止用コンパウンドからなるフリットガラスを加熱して溶融し、次いで固化させることにより形成されている。そうして、一対のシール部47,47は、透光性放電容器41の封止体43,43の端面側の部分と、これに対向する電流導入導体46,46の封着性部分との間に介在して透光性気密容器41を気密に封止しているとともに、一対の導入導体46,46の封着性部分が透光性気密容器41の内部に露出しないように封止体43,43内に挿入されている部分の全体を被覆している。
【0073】
放電媒体は、金属ハロゲン化物、始動ガスおよび水銀からなり、透光性気密容器41内に封入されている。なお、金属ハロゲン化物および水銀は、蒸発する分より過剰に封入されている。そして、金属ハロゲン化物の一部が安定点灯時に封止体43,43内に形成されるわずかな隙間内に液相状態で滞留する。そして、点灯中下側となる例えば封止体43内に液相状態で滞留している放電媒体の表層部付近に最冷部が形成される。
【0074】
金属ハロゲン化物は、発光金属のハロゲン化物からなり、例えばナトリウム(Na)、タリウム(Tl)およびツリウム(Tm)などの希土類金属のグループから選択された金属のハロゲン化物により構成することができる。
【0075】
サポート部材3Sは、図3中に示すように、内部導入線27が一体に延長して形成されていてもよく、一方の内部リード線27は外管1の内壁に接近した位置を管軸方向に沿って延在し、先端が外管1の先端付近で屈曲され、かつ、発光管4の下部の電流導入導体46に溶接されることによって、発光管4を支持している。
【0076】
紫外線発生源(UVエンハンサなど)3Uは、図3中に示すように、小形容器31、導入線32、内部電極33、放電性ガスおよび外部電極34を具備して構成されている。また、紫外線発生源3Uは、サポート部材3Sと正対する位置で、かつその主体部分が内管2の内面と発光管4の一方の小径筒部をなす封止体43との間に配設されている。これにより封止体43と紫外線発生源3Uとが管軸方向に沿ってほぼ平行に、かつ正対して配置される。
【0077】
ゲッタ3Gは、サポート部材3Sに溶接されており、内管2内を清浄にする。
【0078】
口金体5は、図1および4に示すように、内管固定部52、外管固定部53および受電部絶縁体51aを一体的に形成したステアタイトの成形体からなる口金基体51を有し、受電部絶縁体51aには受電部6が設けられている。
【0079】
内管固定部52は、口金基体51の底部上面にその中心を挟んで突設した先端側が切頭円錐体形状の一部を構成した一対の起立舌片52a、52aの対面している平坦な内面間の隙間54からなり、この隙間54に弾性保持部材7Aを介し内管2のピンチシール部22が挿入される。
【0080】
また、外管固定部53は、上記一対の起立舌片52a,52aを同心的に包囲するように形成された環状周壁により構成され、この環状周壁の内側に形成されたわずかな隙間55に外管1の基端部13が挿入される。このとき切頭円錐体形状部分と環状周壁との間に先細りの溝55が形成されているので、一対の起立舌片52a、52aの背面が環状周壁の内部に外管1の基端部13を挿入した際のガイド作用およびセンタリング作用を行う。
【0081】
受電部絶縁体51aは、口金基体51の内管固定部52および外管固定部53から図において上方へ突出して形成されている。そして、中心部に内管固定部52の底部に連通する中心孔56が形成されている。
【0082】
受電部6は、いずれも導電性金属からなる外周にねじ溝を形成したシェル61および受電部絶縁体51aの中央先端に配設されているセンターコンタクト62からなり、口金基体51の受電部絶縁体51aの外面に配設されている。シェル61は、口金基体51の上部に形成された受電部絶縁体51aの外側に嵌合され、その開口縁をポンチで加締めて開口縁の一部を受電部絶縁体51aに形成した一対の凹部(図示しない)の内部へ押し込むことにより、受電部絶縁体51aに装着されている。
【0083】
そして、口金基体51の受電部絶縁体51aに外管固定部53の底部に連通した通孔58が形成され、この通孔58から導出された内管2の外部導入線28の一方に接続したリード線57が溶接または加締め付けによりシェル61に接続している。
【0084】
また、センターコンタクト62は、受電部絶縁体51aの中央先端に配設されている。そして、受電部絶縁体51aの中心孔56内に挿通された内管2の外部リード線28の他方に接続したリード線(図示しない)がろう付けや溶接により接続している。
【0085】
弾性係止部材7Aは、ばね性を有する例えば肉厚が約0.15mmのステンレス板を図5に展開して示すリボン状の長さおよび幅方向には中心から対称形状にプレス打ち抜き成形したものを略V字形に折り曲げ形成してある。
【0086】
すなわち、プレス成形された部材は中央部に幅狭の基体部71が、この基体部71の両側には内管2のピンチシール部22の平坦面24の幅と同寸かやや幅狭で平坦面24に当接する当接部72,72が、また、この当接部72には前記両者の中間の幅の延在部73が連設され、この延在部73の先端には凹部74と凸部75とからなる係止片が形成されたものからなる。なお、上記基体部71の幅はシール部22から導出された一対の外部リード線28,28の間に配設されるので、万一の放電に備えできる限り幅狭としておくのが好ましい。
【0087】
そして、この弾性係止部材7Aは基体部71の中央に内管2のピンチシール部22の肉厚分を残し略コ字形方向に折り曲げられ、並行する当接部72,72(ピンチシール部22の平坦面24の上端部近傍に相当する部位)を経て両延在部73,73が相反した例えば約100度の拡開する方向に折り曲げられて形成される。なお、図中、76,…は当接部72,72の延在部73が延在しない部分に設けられた突起、77は当接部72,72に形成された凹凸部である。
【0088】
そして、弾性係止部材7Aは、当接部72,72間にピンチシール部22を装着してから内管2と一緒に口金体5の内管固定部52の隙間54内に挿入される。このとき当接部72,72は、凹凸部77,77がピンチシール部22の平坦面24を横切って形成した突条部29と係合したピンチシール部22が当接部72,72に挟圧保持された状態にあるとともにピンチシール部22の両側に形成された一対の突出部23,23間に在る。
【0089】
上記当接部72,72は凹凸部77,77の外面側が起立舌片52a,52aの内面と弾接して、内管2を口金体5に対して定置するとともに、さらに当接部72,72から切り起した突起76,…を起立舌片52a,52aの壁面に形成した切溝(図示しない)などに係止させることにより内管固定部52の隙間54から弾性係止部材7Aおよびこの係止部材7Aに係止させた内管2の抜け止めをはかることができる。また、内管2は内管固定部52に装着されているとともにシール部22から導出した外部導入線28,28と接続したリード線57が口金体5のシェル61およびセンターコンタクト62と接続してあるので口金体5から離脱することはない。
【0090】
また、外管固定部53は、環状周壁の内側のわずかな隙間55を形成して外管1の基端部13が挿入され、基端部13の外面と外管固定部53の環状周壁の内面とは耐熱性無機接着剤50によって接合されている。なお、接着剤50は、本形態において、外管1の外管固定部53への固定に先立ち、予め上記基端部13の外面に塗布しておくことができる。
【0091】
上記のように口金体5の外管固定部53に外管1が固定されたランプL1は、弾性保持部材7Aの一対の当接部72,72が内管2を挟圧保持しているとともに当接部72,72に連接する延在部73は内管2と外管1の隙間に延在していて、その先端の一対の凹部74と凸部75とからなる係止片は外管1の基端部13の内径D1より大きい内径D2を有する段部10を超えた部位にあり、一対の凹部74と凸部75との最大差し渡し間隔(対向した180度の部位)Lは基端部13の内径D1より大きく形成されている。すなわち、一対の凹部74または凸部75が外管1の内面と当接しているか否かは問わないが、それぞれの寸法はD1<L≦D2の関係にある。
【0092】
上記構成の本実施の形態に示す高圧放電ランプは、発光管4を封装した内管2をさらにT形の外管1内に収容した三重管構造のメタルハライドランプL1として、口金体5側が上方にくる鉛直あるいは傾斜した状態のベースアップで点灯しても、口金体5に接着剤50を介し接合された外管1が、点灯経時による接着剤50の劣化や製造時の接着剤50付着の不均一などに起因した接合力の低下を来たしても、外管1の基端部13が外管固定部53から万一離脱しても外管1が落下するのを防ぐことができる。
【0093】
すなわち、外管1基端部13と接着剤50との間または外管固定部53と接着剤50との間で分離し、外管1が落下をはじめても外管1の基端部内径より大きい寸法に拡開した弾性係止部材7Aの一対の凹部74または凸部75からなる係止片が外管1の縮径された段部10内面に引っ掛って係止し、さらに落下するのを阻止することができる。
【0094】
これは上記各弾性係止部材7Aの延在部73がばね性を有していて、係止部材7Aを外管1の開口部から内部に挿通させるとき、凹部74または/および凸部75の最外部が縮径部12の内壁面に当接して押圧され延在部73が内方に変形し、段部10を通過し中央部11内に入り少々押圧が緩んでも外管1内面への押圧は持続される。
【0095】
この結果、外管1は、常時、弾性係止部材7Aの凹部74または/および凸部75からなる係止片により押圧されているので、接着剤10部分での離脱の有無に拘らず係止片により保持され、万一離脱しても上述したように外管1と内管2との間で両者を押圧する凹部74または/および凸部75からなる係止片が外管1の縮径された段部10内面に引っ掛って係止し、落下を防ぐことができる。
【0096】
また、この高圧放電ランプL1は、口金体5の存在による光放射の損失が避けられない口金体5側に弾性保持部材7Aを配設し、しかもリボン状や線状のものとしたので遮光も少なくランプの発光特性への影響もない。
【0097】
また、外管1の内面に光拡散膜や反射膜などの被膜が形成されていても、挿通時当接する凹部74または/および凸部75は小面積で抵抗も少なく、これら被膜に傷を付けたり、たとえ傷が付いても微小であってランプL1の外観品質を大きく損うこともない。
【0098】
したがって、口金体5から分離した外管1が脱落するのを防ぐことができ、下方にある人や物品などに損傷を与えることがなく、安全性の向上したメタルハライドランプL1を提供することができる。
【0099】
図6は弾性係止部材の他の実施の形態を示し、図(a)は弾性係止部材の展開図、(b)は延在部を折り曲げた上面図、図(c)は完成した正面図、図(d)は側面図である。この弾性係止部材7Bは、基体部71が例えば内管2のピンチシール部22が挿入される略長方形の枠状をなし、この基体部71の対向する部位から複数のここでは4つの延在部73,…が延在していてその中間部において折曲線79が先端にそれぞれ屈曲した係止片75が形成されている。
【0100】
この弾性係止部材7Bは、基体部71から4つの延在部73,…が立ち上げられ先端の各係止片75,…が同一円周上で等間隔に四方に向け配置されるようその中間部に形成した各折曲線79,…を適宜折り曲げ調整して略V字形状に加工される。
【0101】
この基体部71に設けた透孔78内に内管2のピンチシール部22を挿通することによりピンチシール部22が支持され、この後、弾性係止部材7Bを内管固定部52の隙間54内に挿入する。
【0102】
そして、弾性係止部材7Bの各延在部73,73の先端に形成されたそれぞれの係止片75.…は四方に向け配設され、外管1が被せられた後は、上記実施の形態と同様の作用および効果を奏させることができ、係止片75.…を増やしたことにより外管1の保持力が高まり大重量の外管1の場合に好適する。
【0103】
弾性係止部材7Bにおいて1本の延在部73に1箇所の折曲線79を形成したが、折曲線79は複数個所に形成しておいてもよく、あるいは任意の部位で延在部を捻り、係止片54を所定の位置に配設するようにしてもよい。
【0104】
なお、弾性係止部材7A,7Bにおいて係止片75の数は対向して最低一対の2箇所にあればよいが、延在部73や延在部73から分岐を増やすことによって3箇所以上の複数箇所でもよく、各係止片75.…の間隔や高さは揃えておいた方が外管1のセンタリングなどバランスがとれて好ましい。
【0105】
また、この基体部71は、ピンチシール部22に挿通させる枠状体に限らず、内管固定部52や外管固定部53を利用しての多角形や円形などの枠状体であってもよく、枠状体の支持も他の部材との係合、挟着や接着剤の使用などで行うことができる。
【0106】
図7は本発明の高圧放電ランプの他の実施の形態を示す概略の一部断面正面図で、図中、図1および2と同一部分には同一の符合を付してその説明は省略する。
【0107】
この図7に示す高圧放電ランプL2は、内管2および弾性係止部材7Aは図1および2と同一構造で、上記実施の形態と変わるところは、外管1形状および外管1と口金体5との接続部で、内管2および弾性係止部材7Aは省略してある。
【0108】
外管1はT形バルブの基端部13側を加熱縮径することにより成形した縮径部12を有し、中央部11側と縮径部12との間は徐々になだらかに縮径されつつあり、この部分を段部10としてある。
【0109】
このように1本のガラス管で縮径部12を形成した外管1であっても、上述した弾性係止部材7Aまたは7Bを用いることにより、万一、口金体5の口金基体51から外管1が離脱しても、係止片が作用して外管1の徐々に縮径されている段部10において引掛け外管1のそれ以上の落下を防止できる。
【0110】
また、この図示された外管1の基端部13側の開口した周縁部には鍔部15が形成され、また、この鍔部15に対応する口金体5のステアタイトの成形体からなる口金基体51の開口した周縁部にも鍔部59が形成してある。そして、両者の鍔部15と59とが衝合され、この衝合部を縦断面が略コ字形をなす金属板製の環状リングRを嵌めることによって接合、一体化されている。
【0111】
しかし、ランプ構造として弾性係止部材を有しない従来のこの種環状のリングにより一体化されているランプは知られている。このガラス製外管に形成される鍔部は、理想的には直角に近い形状のものが望ましいがガラスであるため角がとれず曲面となってしまうことがあったり、この鍔部に嵌めるリングの材質が硬いとかしめ時に強い応力が加わるため鍔部にクラックを生じるなどの問題があった。
【0112】
そこで、現在、この対応としてアルミニウム製の環状リングが用いられ加工性はよいが、ランプ点灯による温度上昇でリングが延び、また、鍔部の曲面などが重なると外管がリングから離脱して落下することがある。
【0113】
本発明は、このような外管1と口金体5とを環状のリングにより一体化されるランプに適用して、リングRなどの不具合によって万一口金体5から外管1が離脱しても、外管1内に設けてある弾性保持部材7Aの延在部73先端の凹部74または/および凸部75からなる係止部の最外部が段部10の内壁面に当接して引っ掛け外管1のそれ以上の落下を阻止することができる。
【0114】
したがって、この実施の形態の構成であっても、上記実施の形態に示すと同様な作用効果を奏する高圧放電ランプL2を提供することができる。
【0115】
図8は、本発明の高圧放電ランプを用いた照明装置(器具)を示す要部断面正面図である。本発明の高圧放電ランプを用いる照明装置(器具)9、照明装置本体91、高圧放電ランプL1および点灯装置からなり、屋内用および屋外用の各種照明器具を含む概念である。また、照明装置(器具)9は、一般照明用および特殊照明用のいずれであってもよい。なお、特殊照明用とは、一般照明用以外の各種用途を含む。
【0116】
照明装置本体91は、照明装置(器具)9から高圧放電ランプL1および点灯装置を除外した残余の部分からなる。本形態において、照明装置(器具)9が屋内照明用のスポットライトであり、照明装置本体91は、取付台92、支柱93、基体94、ソケット95、反射板96、遮光キャップ97および透光性ガラスカバー98を主な構成要素として構成されている。なお、基体94は、支柱93に対して水平面内および鉛直面内の回動が可能になっている。
【0117】
また、本発明においては、高圧放電ランプL1の外管の脱落がないことから照明装置(器具)において、光放射開口部における透光性のガラスカバー98は必須のものではなく、用いない場合は照明装置(器具)のコスト低減がはかれる。
【0118】
また、点灯装置は、照明器具本体91とは別置きで、例えば天井裏に配設される。そして、高圧放電ランプL1を点灯する回路手段であり、電子化されているものおよびコアおよび巻線を主体とするもののいずれであってもよい。
【0119】
なお、本発明は上記実施の形態に限るものではない。たとえば、高圧放電ランプはメタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプや水銀ランプなどに適用して上記作用効果を奏する。また、外管は、石英ガラスまたはホウケイ酸ガラスやアルミノシリケートガラスなどの硬質ガラスあるいはソーダライムガラスなどの軟質ガラスからなり、その形状は、A形、G形、R形、T形、PS形やBT形などあるいはこれらの複合形状で形成されているものを用いることができる。
【0120】
また、弾性係止部材は図示のものに限らず種々の形状が可能で、外管、内管やシール部、口金体などの形状や重量などに応じ適宜選ぶことができる。
【0121】
また、高圧放電ランプは、発光管に少なくとも一対の放電電極が封装され、また、外管バルブ内に配設される始動回路部は、UVエンハンサなどの紫外線発生源に限らず点灯管などが用いられるものであってもよい。
【0122】
また、口金体は上記実施の形態に示す構造の内管固定部や外管固定部を備えた口金基体に限らず、種々の固定手段を採ることができる。また、口金体はねじ込み形(E形など)に限らず、差込み形(S形など)などであってもよく、シェルと一体または一体的に設けられた金属製あるいはセラミックスなどの耐熱電気絶縁性の材料で形成されたシール部やガラス管端部を収容して支持する基体部を有する口金体であってもよい。
【0123】
さらに、照明装置は上記実施の形態に示すものに限らず、本体内に点灯回路装置を備えていても、本体外に点灯回路装置を設け高圧放電ランプと接続されるものであってもよく、本体内に反射鏡や光放射側にレンズや透光性のカバー部材が設けられていてもよい。
【0124】
この照明装置は、店舗、ホール、地下街、事務所やスポーツ施設などの照明用として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】高圧放電ランプの一部断面正面図である。
【図2】発光管を内蔵した内管の拡大正面図である。
【図3】発光管の拡大断面図である。
【図4】口金体の口金基体を開口部がら見た上面図である。
【図5】弾性係止部材を示し図(a)はプレス状態における展開図、図(b)は折り曲げ成形後の正面図、図(c)は同じく側面図である。
【図6】弾性保持部材の他の実施の形態を示し、図(a)は弾性係止部材の展開図、(b)は延在部を折り曲げた上面図、図(c)は完成した正面図、図(d)は側面図である。
【図7】本発明の高圧放電ランプの他の実施の形態を示す概略の一部断面正面図である。
【図8】本発明の高圧放電ランプを用いた照明装置(器具)を示す要部断面正面図である。
【符号の説明】
【0126】
L1,L2:高圧放電ランプ(メタルハライドランプ)、
1:外管、 11:中央部、
13:基端部、 2:内管、
22:シール部(基端部)、 4: 発光管、
5:口金体、 51:口金基体、
52:内管固定部、 53:外管固定部、
6:受電部、 7:弾性係止部材、
73:延在部、 74,75:係止片(凹部、凸部、屈曲)、
9:照明装置(器具)、 91:照明装置本体、
R:環状リング、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管固定部、外管固定部および受電部を備えた口金体と;
発光管を収容し内管固定部により口金体に基端部側が固定された内管と;
内管とその周囲に隙間を形成して包囲するとともに中央部に比べ内径が小径に形成された基端部側が口金体の外管固定部に固定し先端側が閉塞された筒状をなす外管と;
基体部が口金体に支持され、この基体部より延在した複数の延在部が内管の外面と外管の内面との間の隙間に介在するとともに延在部の先端側に外管の開口部内径より大きく拡開する係止片を有する弾性係止部材と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
口金体および外管との開口部両端面が衝合して環状リングによりかしめ固定されていることを特徴とする請求項1に記載の高圧放電ランプ。
【請求項3】
弾性係止部材は、その係止片が管軸を中心として等間隔に複数配設されていることを特徴とする請求項1に記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
照明装置本体と;
この照明装置本体に配設された上記請求項1ないし3のいずれか一に記載の高圧放電ランプと;
を備えていることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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