説明

高圧放電ランプおよび照明装置

【課題】本発明に係る高圧放電ランプは、外管が破損し難くすることを目的とするものである。
【解決手段】本発明に係る高圧放電ランプ100は、内部に放電管200が配置された内管300が、口金400と外管500とで囲まれた空間に収容された高圧放電ランプ100であって、外管500は、一端部501に開口部および少なくとも1つの内側に突出する凸部502を有するとともに、他端部503に閉塞部を有し、口金400は、給電端子401を有する本体部402と、少なくとも一部が外管500の開口部内に納められた接続部403とを有し、接続部403の外面には、外管の管軸方向に沿う溝部404が設けられており、凸部502は、接続部403の少なくとも一部が外管500の開口部内に納められた状態において、少なくとも一部が溝部404内に位置し、かつ管軸方向において外管500の一端よりも外管500の他端側に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧放電ランプおよび照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の高圧放電ランプの分解斜視図を図16に示す。従来の高圧放電ランプ(以下、「ランプ1」という。)は、ガラス製の気密管2にセラミックメタルハライドランプなどの発光管3を収納したランプ本体4が、外管5に収納された状態で口金6に取り付けられてなり、口金6は、ソケット(図示せず)に電気接続される接触端子7を備えた口金本体8と、ランプ本体4および外管5を保持した状態で口金本体8の内側に嵌合される取付ベース9からなり、取付ベース9は、気密管2のピンチシール部10を挿通保持する挿通孔11が貫通形成され、外周面には、外管開口端5aを当接させるフランジ12が形成されると共に、取付ベース9の外周面と外管の内周面を相互に係合するジョイント部が形成され、口金本体に対向する取付ベースの底面側には、外管を装着した状態で前記ジョイント部に接着剤(図示せず。)を充填する接着剤注入口13が開口形成されている。
【0003】
ジョイント部は、外管5および取付ベース9の周方向に沿ってその径方向に対向する2箇所に設けられており、取付ベース9の外周面9aと対峙する外管5の内周面5bとの間に形成されるギャップに面して、取付ベース9の外周面9aに形成された係合凹部14および外管5の開口端に切り込みを入れるように形成された係合突起15、ギャップに充填した耐熱性接着剤(図示せず)によってインモールド成形されたジョイントからなる。
【0004】
そして、係合凹部14は、外管5に形成された係合突起15を軸X1方向に案内し得る程度の幅狭な案内溝14aと、係合突起15が案内溝14a内に案内されて外管5の開口端5aが取付ベース9のフランジ12に当接された状態で、外管5を周方向に回転させて係合突起15を引っ掛けることができる程度の幅広の係合溝14bからなり、係合溝14bの取付ベース9上面側が係合突起15と係合する水平係合部14cに形成されている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−182508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者らの検討により、ランプ1の組み立てにおいて、外管5の係合突起15を案内溝14aに挿入する際、係合突起15が外管5の開口端に切り込みを入れるように設けられているため、開口端における係合突起15の設けられた部分が他の部分よりも大幅に縮径しており、案内溝14aの端縁にぶつかりやすいことがわかった。
【0007】
さらなる発明者らの検討によると、外管5の開口端には微細なクラックが存在することがあり、その部分が案内溝14aの端縁にぶつかることで微細なクラックに機械的な負荷がかかってしまうことがわかった。
【0008】
また、ランプ1の点灯および消灯に伴う熱的な負荷は、極度に変形する部分にかかりやすく、微細なクラックが存在する部分、機械的な負荷がかかる部分、および熱的な負荷がかかりやすい部分が重なってしまう。
【0009】
すなわち、これら3つの部分が重なってしまうことにより、ランプ1の点灯および消灯に伴い、その部分が起点となって外管5が破損してしまう可能性があることがわかった。
【0010】
そこで、本発明に係る高圧放電ランプは、外管が破損し難くすることを目的とする。
【0011】
また、本発明に係る照明装置は、外管の破損し難い高圧放電ランプを備えることで、信頼性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る高圧放電ランプは、内部に放電管が配置された内管が、口金と外管とで囲まれた空間に収容された高圧放電ランプであって、前記外管は、一端部に開口部および少なくとも1つの内側に突出する凸部を有するとともに、他端部に閉塞部を有し、前記口金は、給電端子を有する本体部と、少なくとも一部が前記外管の開口部内に納められた接続部とを有し、前記接続部の外面には、前記外管の管軸方向に沿う溝部が設けられており、前記凸部は、前記接続部の少なくとも一部が前記外管の開口部内に納められた状態において、少なくとも一部が前記溝部内に位置し、かつ前記管軸方向において前記外管の一端よりも前記外管の他端側に設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る高圧放電ランプは、内部に放電管が配置された内管が、口金と外管とで囲まれた空間に収容された高圧放電ランプであって、前記外管は、一端部に開口部および少なくとも1つの外側に突出する凸部を有するとともに、他端部に閉塞部を有し、前記口金は、給電端子を有する本体部と、少なくとも一部の内側に前記外管の開口部内が納められた接続部とを有し、前記接続部の内面には、前記外管の管軸方向に沿う溝部が設けられており、前記凸部は、前記外管の開口部が前記接続部の少なくとも一部の内側に納められた状態において、少なくとも一部が前記溝部内に位置し、かつ前記管軸方向において前記外管の一端よりも前記外管の他端側に設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る照明装置は、前記高圧放電ランプと、前記高圧放電ランプが取り付けられた照明器具とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る高圧放電ランプは、外管が破損し難くすることができる。
【0016】
また、本発明に係る照明装置は、外管の破損し難い高圧放電ランプを備えることで、信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプの分解斜視図
【図2】(a)同じく高圧放電ランプの正面図、(b)同じく高圧放電ランプの右側面図
【図3】同じく高圧放電ランプの発光管の管軸を含む断面図
【図4】同じく高圧放電ランプの口金の斜視図
【図5】同じく高圧放電ランプの口金の平面図
【図6】図2(a)のA−A線で切った断面図
【図7】本発明の第2の実施形態に係る高圧放電ランプの分解斜視図
【図8】(a)同じく高圧放電ランプの正面図、(b)同じく高圧放電ランプの右側面図
【図9】同じく高圧放電ランプの口金の斜視図
【図10】同じく高圧放電ランプの周壁部の斜視図
【図11】本発明の第3の実施形態に係る照明装置の一部切り欠き正面図
【図12】(a)本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプの変形例1の正面図、(b)同じく高圧放電ランプの変形例1の右側面図
【図13】同じく高圧放電ランプの変形例1の口金の斜視図
【図14】(a)本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプの変形例2の正面図、(b)同じく高圧放電ランプの変形例2の右側面図
【図15】同じく高圧放電ランプの変形例2の口金の斜視図
【図16】従来の高圧放電ランプの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプの分解斜視図を図1に、その正面図を図2(a)に、その右側面図を図2(b)にそれぞれ示す。本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプ(以下、「ランプ100」という。)は、内部に放電管200が配置された内管300が、口金400と外管500とで囲まれた空間に収容されており、例えば、メタルハライドランプである。
1.放電管について
放電管200の管軸X200を含む断面図を図3に示す。放電管200は、内部に放電空間201を形成するための本管部202と本管部202の管軸方向両側に延出するように形成された細管部203,204とからなる外囲器205を有している。
【0019】
本管部202および細管部203,204は、管状(ここでは、横断面形状が円形状である。)をし、本管部202における管軸X200と直交する方向の寸法(ここでは、内径および外径である。)が、細管部203,204における寸法(内径・外径)よりも大きい。
【0020】
本管部202および細管部203,204(すなわち外囲器205)は、例えば、透光性セラミックで形成されている。透光性セラミックには、例えば、アルミナセラミックを用いることができる。なお、他のセラミック、例えば、希土類アルミナガーネットセラミックなどでも良く、あるいは、石英ガラス等で構成してもよい。
【0021】
また、図3では、放電管200は、本管部202および細管部203,204が一体的に成形された一体型であるが、複数の部材を接合して本管部202を形成したものであってもよいし、本管部202と細管部203,204とを別々に形成した後に接合する焼き嵌めタイプのものであってもよい。
【0022】
本管部202は、放電空間201の内部で、図1に示すランプ100の長手方向の中心軸(以下、単に、「ランプ軸X100」ともいう。)上、あるいはランプ軸X100と平行な軸上で互いに略対向する一対の電極206,207を備える。
【0023】
放電空間201には、発光物質である金属ハロゲン化物、始動補助ガスである希ガス、および緩衝ガスである水銀がそれぞれ所定量封入されている。金属ハロゲン化物としては、例えば、ヨウ化ナトリウムやヨウ化ジスプロシウム、ヨウ化ホルミウム、ヨウ化ツリウム、ヨウ化タリウム、ヨウ化セリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化インジウム、ヨウ化スカンジウム等が用いられる。
【0024】
電極206,207は、図3に示すように、電極棒208,209と、電極棒208,209の先端側(放電空間201側)の端部に設けられた電極コイル210,211とを備えている。
【0025】
なお、図3に示すように、電極棒208,209と細管部203,204との隙間には、発光物質の前記隙間への侵入を防ぐためのモリブデンコイル212,213が電極棒208,209に巻装されていてもよい。
【0026】
電極206,207は、理想的(設計的)には上述した通り、ランプ軸X100上で互いに対向するように、つまり、電極棒208,209の中心軸がランプ軸X100上に配置される。しかし、実際には、そのプロセスの精度上、前記中心軸がランプ軸X100上にない場合もある。
【0027】
細管部203,204の各々には、先端部(放電空間と反対側の端部である。)に前記各電極208,209が接合された給電体214,215が挿入されている。給電体214,215は、内部給電線216,217と外部給電線218,219とから構成されている。なお、内部給電線216,217と外部給電線218,219とは、例えば、溶接により結合されている。
【0028】
内部給電線216,217は、例えばモリブデンとセラミックとを混合、焼結した導電性サーメットである。
【0029】
外部給電線218,219は、例えばニッケルである。
【0030】
内部給電線216,217と外部給電線218,219との接続部分にはセラミック筒220,221がはめ込まれていてもよい。この場合、内部給電線216,217と外部給電線218,219との接続を補強することができる。
【0031】
さらに、細管部203,204の端面と、セラミック筒220,221との間に、ニオブ製またはタンタル製のリング部材222,223が設けられていてもよい。この場合、後述する給電体214,215と細管部との間に生じる隙間をシールするフリットにCOやCO2の気泡が発生するのを抑制することができる。
【0032】
給電体214,215は、それぞれの細管部203,204における、本管部202とは反対側の端部部分に流し込まれたフリットからなるシール材224,225によって封着されている。
【0033】
なお、図3においては、図示の便宜上、電極206,207、モリブデンコイル212,213、内部給電線216,217および外部給電線218,219については、断面で切らずに図示している。
2.内管について
図1に戻って、内管300は、例えば、封止部301、先端部302および中間部303からなる片封止型の気密容器である。
【0034】
封止部301は、例えばピンチシール法による圧潰封止で形成されており、内管300の口金400側端部を構成している。封止部301には、電力供給線304,305の一端部と、金属箔306,307の全体と、導入線308,309の一端部とが封止されている。
【0035】
図1に示すように、封止部301は、ピンチにより押圧時にピンチに接触している部分(の外面)は平坦面301aとなり、ピンチに接触していない部分(の外面)は、ピンチの間から押圧方向と直交する方向に膨出して膨出面301bとなる。
【0036】
先端部302は、内管300の口金400とは反対側の端部を構成している。先端部302には、内管300内を真空引きする際に用いた排気管(図示せず。)の残部であるチップオフ部310が存在している。内管300内を真空引きすることによって、給電体214,215や電力供給線304,305等の金属部材が高温にさらされ酸化するのを防止することができる。なお、内管300内を真空にする代わりに、内管300内に窒素等の不活性ガスを充満させることによっても、金属部材が酸化するのを防止することができる。
【0037】
先端部302は、例えば略半球状や平坦形状である場合において、中間部303の外径は13[mm]〜17[mm]、肉厚は1[mm]〜2[mm]である。内管300は、中間部303が例えば略円筒状であって、当該中間部303内に放電管200の外囲器205が配置されている。なお、中間部303の形状は略円筒状に限定されず、多角形や楕円の筒状等円筒以外の筒状であっても良い。また、中間部303の内径および外径は必ずしも内管300の管軸方向に沿って均一である必要はなく、例えば放電管200の本管部202に相当する位置の内径および外径が、それ以外の位置の内径および外径よりも大きくなっているような形状、すなわち一部に膨出部を有する中膨形状であっても良い。これにより、放電管200の温度が過度に上昇することを抑制することができる。
【0038】
内管300は、例えば石英ガラスで形成されている。なお、内管300は、石英ガラスで形成されたものに限定されず、アルミナセラミック等の透光性セラミック、硼珪酸ガラス等の硬質ガラス等で形成されていてもよい。
【0039】
内管300の口金400側は、例えば後述する口金400の接続部402にセメント等の固着剤(図示せず。)を介して固定されている。
3.口金について
口金の斜視図を図4に示す。口金400は、給電端子401を有する本体部402、少なくともその一部が外管500の開口部501内に納められた接続部403とを有する。そして、接続部403の外面には、外管500の管軸X500方向に沿う溝部404が設けられている。
【0040】
本体部402は、例えば碍子で形成されており、その接続部403側に、接続部403を固定するための接続部固定部405が設けられている。
【0041】
接続部固定部405は、例えば接続部403の少なくとも一部を収納することができる凹部である。なお、接続部固定部405には、接続部403と嵌合する嵌合突起部406が設けられていてもよい。この場合、接続部403を接続部固定部405に固定する際、接続部403と接続部固定部405との位置合わせをしやすくすることができる。
【0042】
給電端子401は、例えばシェル部407と、アイレット部408とを有する。
【0043】
接続部403は、例えば外管側接続部409と、本体部側接続部410と、外管側接続部409と本体部側接続部410との間の外周に設けられたフランジ部411とを有する。
【0044】
外管側接続部409は、例えば外管500の管軸X500方向から見たときに、その外周面が外管500の開口部501の内周面に沿った形状(図1および図4の場合には略円形状)であって、その本体部402とは反対側に、内管300の封止部301を固定するための内管固定部412を有する。内管固定部412は、例えば外管側接続部409の本体部402とは反対側の面から本体部側接続部410の本体部402側の面までの貫通孔である。図1に示すように、内管固定部412は、内管300の封止部301を挿入した際、内管300の平坦部301aを挟み込む位置に一対の挟持部413が設けられていてもよい。なお、挟持部413は、互いに対向する側に向かって傾斜していることが好ましい。この場合、内管固定部412に内管300の封止部301を挿入する際、挟持部413に内管の封止部301が引っかかり難く、挿入しやすくすることができる。
【0045】
外管500の管軸X500方向において、外管500と外管側接続部409との重なる長さLは、3[mm]以上10[mm]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、外管側接続部による光の遮りを抑制しつつ、外管側接続部409により、外管500の管軸X500の傾きを十分に抑制することができる。さらに、Lは、5[mm]以上8[mm]以下の範囲内であることがより好ましい。
【0046】
また、口金400の外管の管軸X500方向の長さMは、35[mm]以上51[mm]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、非発光な部分である口金400の範囲を所定範囲内に納めることで、ランプ100全体のコンパクト化を図ることができる。なお、Mは、37[mm]以上47[mm]以下の範囲内であることがより好ましい。
【0047】
図1に示すように、内管300の封止部301は、例えば内管固定部412に挿入された状態で、固着剤(図示せず。)により固着されている。
【0048】
本体部側接続部410は、例えば略円柱形状であって、本体部402の接続部固定部405に接続される。接続部403と接続部固定部405との間は、例えば固着剤(図示せず。)により固着されている。
【0049】
なお、本体部側接続部410の外周面には、接続部固定部405の嵌合突起部406と嵌合する嵌合凹部423が設けられている。図1においては、接続部固定部405に嵌合突起部406が設けられ、本体部側接続部410に嵌合凹部423が設けられているが、逆であってもよいし、それぞれ嵌合できるものであれば、他の形状のものであってもよい。
【0050】
フランジ部411は、外管500の開口部501内に外管側接続部409が納められた状態において、外管500の開口部501の端縁が当接することにより、外管500の管軸X500方向の位置を調節することができるものである。
【0051】
口金400の平面図を図5に示す。図5の紙面上において(外管の管軸方向から見た場合において)、溝部404の角部の曲率半径Rは0.1[mm]以上1.5[mm]以下の範囲内であってもよい。この場合、外管500の凸部502を溝部404に挿入しやすくすることができる。さらには、溝部404の曲率半径Rは0.5[mm]以上1.0[mm]以下の範囲内であってもよい。この場合、外管500の凸部502を溝部404にさらに挿入しやすくすることができる。
【0052】
なお、図4において、溝部404は、外管500の管軸X500方向に沿う縦溝部404aと、接続部の周方向に沿う横溝部404bとからなり、略L字状に形成されているが、これに限らず、I字形状等、他の形状で形成されていてもよい。溝部404が略L字状に形成されている場合、後述する外管500の凸部502が横溝部404b内に位置する状態で固着剤により接続部403と固定されていてもよい。この場合、ランプ100の口金が上になる状態でランプを使用する際、固着剤が劣化等により外れたとしても、外管500の凸部502が横溝部404bに係止され、外管500が落下するのを防止することができる。
4.外管について
図1に戻って、外管500は、一端部に開口部501および少なくとも1つの内側に突出する凸部502を有するとともに、他端部に閉塞部503を有している。そして、凸部502は、接続部403の少なくとも一部が外管500の開口部501内に納められた状態において、少なくとも一部が溝部404内に位置し、かつ管軸X500方向において外管500の一端よりも外管500の他端側に設けられている。
【0053】
すなわち、ランプ100では、凸部502が外管500の開口部501の端縁に設けられていないため、外管500の開口端の縮径している部分をできる限り小さくし、接続部403の少なくとも一部を外管500の開口部501内に納める際、溝部404と凸部502とが接触することにより、凸部502に機械的な負荷がかかるのを抑制し、外管500において、微細なクラックが存在することのある外管500の開口端において、機械的な負荷がかかる部分および熱的な負荷がかかる部分が重なることによって、その部分が起点となって外管500が破損し難くすることができる。
【0054】
なお、本発明において、「内側に突出する凸部」とは、図2(b)のように、局所的に内側に出っ張っているものに限らず、なめらかに内側に出っ張っているもの等、外管500の開口部501の内周面が多少なりとも内側に変形している部分を有していればよい。
【0055】
外管500は、具体的には、例えば開口部(一端部)501と、閉塞部(他端部)503と、それら開口部501および閉塞部503の間の中間部504とで構成される有底筒状であって、放電管200の破裂によって内管300が破損した場合に、それら破裂や破損で生じた破片が飛散するのを防止する役割を果たす。したがって、光照射側が開口したままの照明器具(図示せず)に使用しても破片が飛散するのを防止することができる。
【0056】
外管500は、例えば硼珪酸ガラス等の硬質ガラスで形成されている。なお、外管500は、硬質ガラスで形成されたものに限定されず、アルミナセラミック等の透光性セラミック、石英ガラス等で形成されていてもよい。
【0057】
閉塞部503は、略半球状、若しくは平坦形状が好ましい。また、必ずしも同一部材で閉塞する必要はなく、例えば金属やセラミック等の別部材を用いて閉塞されていてもよい。
【0058】
中間部504は、例えば放電管200の本管部202に相当する位置の内径および外径が、それ以外の位置の内径および外径よりも大きくなっているような形状、すなわち一部に膨出部505を有する中膨形状である。膨出部505を設けることにより放電管200からの熱による外管500の温度上昇を低減することで、硬質ガラスの歪点からの裕度ができて適合する照明器具(図示せず)の選択の幅を広げることができる。さらに、内管300と外管500との間の隙間が最大で5[mm]になるよう設計されていてもよい。この場合、放電管200の破損時の安全性を向上することができる。
【0059】
なお、中間部504の形状は、中膨形状に限られず略円筒形状であってもよい。また、中間部504の形状は略円筒状に限定されず、多角形や楕円の筒状等円筒以外の筒状であってもよい。
【0060】
ランプ100は、外管中間部504の最大外径は17[mm]〜29[mm]、この場合、コンパクトな照明器具への適合をさせやすくすることができる。外管中間部の肉厚は1[mm]〜2[mm]であってもよい。
【0061】
なお、外管500の最小内径と内管の最大内径との差が0.5[mm]以上3.0[mm]以下の範囲内であってもよい。この場合、ランプ100の組立工程において外管500を内管300に被せやすくすることができる。
【0062】
凸部502は、接続部403の少なくとも一部が外管500の開口部501内に納められた状態において、少なくとも一部が溝部404内に位置し、かつ管軸X500方向において外管500の一端(開口部501の端縁)よりも外管500の他端側に設けられている。具体的には、例えば外管500の管軸X500方向において、凸部502の最も外管500の内側に突出している部分は、外管500の一端からN[mm]の位置に設けられている。Nは、1[mm]以上7[mm]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、外管500の開口端の変形をより抑制することができ、接続部403の少なくとも一部を外管500の開口部501内に納める際、溝部404と外管500の開口端とが接触して、外管500の開口端に機械的負荷がかかり難くすることができる。さらに、Nは、1.5[mm]以上5[mm]以下の範囲内であることがより好ましい。
【0063】
外管500は、口金400に、例えばセメント等の固着剤108を用いて固着されている。なお、図2(a)および(b)において、固着剤108は外管500の一端部501の端面と、口金400(外管側接続部409)との間の隙間に充填されているが、これに限らず、外管500の一端部501の端面全体に塗られていてもよい。
【0064】
外管500の内部は、口金400の通気孔(図示せず)を介して外管500の内部と外部とが連通した大気状態とされていてもよいし、通気孔(図示せず)を塞ぐことで減圧状態にされていてもよいし、不活性ガスが充満されていてもよい。
【0065】
図2(a)のA−A線で切った断面図を図6に示す。図6では、説明の便宜上、断面のみを図示し、かつ、その断面から見える奥の構成や内管等の構成の図示を省略している。図6に示すように、外管500と外管側接続部409との間には固着剤108が配されていてもよい。この場合、図6の紙面上において(凸部502を通り、かつ外管500の管軸X500に対して略垂直に切った断面において)、口金400の中心から固着剤108を見たとき、外管500と接続部403との間において外管500に接触している固着剤108のある範囲α(α=α1+α2)は、60[°]以上360[°]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、外管500と口金400(外管側接続部409)との間をしっかりと接続することができる。さらには、αは、90[°]以上240[°]以下の範囲内であることがより好ましい。
5.その他の構成
図1に示すように、内管300先端部302には、スペーサー101が設けられていてもよい。スペーサー101は、内管300の先端部302中央に突出したチップオフ部310に枢支される環状部102と、環状部102から放射状に分岐するように形成されたバネ弾性を有する4[本]の帯状部103とを有し、これら帯状部103が、外管500の閉塞部503側の内周部に押圧されて内方へ窄まるように弾性変形した状態で内管300を外管500に対して同心状に支持する曲げ形状に成形されている。
【0066】
スペーサー101は、厚み0.2[mm]のバネ用ステンレス鋼帯で形成され、スペーサー101の中心板部には、内管の先端部中央に突出した排気管を挿し通す円形穴が形成されると共に、その円形穴の周囲に沿ってチップオフ部310の外周部に当接させる複数本の爪片が形成され、更に、その円形穴と同心状に弧状断面を有する環状リブが形成されて、環状部102の強度が補強されている。
【0067】
環状部102は、例えば内管300の先端部302中央に突出したチップオフ部310に枢支される円形リング状である。
【0068】
図1に示すように、環状部102の内側には、爪片104が形成されていてもよい。この場合、環状部102がチップオフ部310から外れ難くすることで、スペーサー101が内管300から外れ難くすることができる。さらに、内管300のチップオフ部310は、その先端部が拡径していてもよい。この場合、爪片104がチップオフ部310の先端部に引っかかることで、さらに環状部102がチップオフ部310から外れ難くなり、スペーサー101が内管300から外れ難くすることができる。
【0069】
帯状部103は、例えばバネ弾性を有し、環状部102から90[°]間隔で放射状に分岐するように形成されている。帯状部103の先端部には、半球状の凸面部105が形成されていてもよい。この場合、スペーサー101と外管500との間の接触抵抗を低減することができる。
【0070】
帯状部103の幅は、0.5[mm]以上3[mm]以下の範囲内であることが好ましい。この場合、スペーサー101を内管に装着した後に、内管300に外管500を被せる際、強い力を加えなくとも、外管500の内周部に押圧されて内方へ窄まるように弾性変形し、作業を円滑に行うことができる。
【0071】
なお、帯状部103は、4[本]に限らず、2[本]以上設けられていればよい。さらには、帯状部103同士の間隔は、90[°]に限らず、その他の間隔であってもよいが、略等間隔であることが好ましい。この場合、スペーサー101の安定性を向上することができる。
【0072】
上記のとおり、本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプ100の構成によれば、外管500が破損し難くすることができる。
【0073】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る高圧放電ランプの分解斜視図を図7に、その正面図を図8(a)に、その右側面図を図8(b)にそれぞれ示す。本発明の第2の実施形態に係る高圧放電ランプ(以下、「ランプ600」という。)は、口金414の接続部415および外管506の凸部507の構成を除いては、ランプ100と実質的に同じ構成を有する。よって、口金414の接続部415および外管506の凸部507について詳細に説明し、その他の点については説明を省略する。
【0074】
外管506は、一端部に開口部501および少なくとも1つの外側に突出する凸部507を有するとともに、他端部に閉塞部503を有する。すなわち、凸部507は、外管506の内側から外側に向かって突出している点を除いては、外管500と実質的に同じ構成を有する。なお、本発明において、「外側に突出する凸部」とは、局所的に外側に出っ張っているものに限らず、なめらかに外側に出っ張っているもの等、外管506の開口部501の外周面が多少なりとも外側に変形している部分を有していればよい。
【0075】
口金414の接続部415の内面には、外管506の管軸X506方向に沿う溝部416が設けられており、凸部507は、外管506の開口部501が接続部415の少なくとも一部の内側に納められた状態において、少なくとも一部が溝部416内に位置し、かつ管軸X506方向において外管506の一端よりも外管506の他端側に設けられている。
【0076】
口金414の斜視図を図9に示す。口金414の接続部415は、外管側接続部417の構成を除いては、接続部403と実質的に同じ構成を有する。
【0077】
外管側接続部417は、外管側接続部409に対し、フランジ部411の外側を覆うように周壁部418を有し、溝部416が周壁部418の内面に形成されている点で、接続部403とは異なる。
【0078】
口金414の周壁部418の斜視図を図10に示す。図10に示すように、周壁部418の内面には、溝部416が設けられ、溝部416は、外管506の管軸X506方向に沿う縦溝部416aと、接続部の周方向に沿う横溝部416bとからなり、略L字状に形成されているが、これに限らず、I字形状等、他の形状で形成されていてもよい。溝部416が略L字状に形成されている場合、後述する外管506の凸部507が横溝部416b内に位置する状態で固着剤により接続部415と固定されていてもよい。この場合、ランプ600の口金が上になる状態でランプを使用する際、固着剤が劣化等により外れたとしても、外管506の凸部507が横溝部416bに係止され、外管506が落下するのを防止することができる。
【0079】
上記のとおり、本発明の第2の実施形態に係る高圧放電ランプ600の構成によれば、外管506が破損し難くすることができる。
【0080】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る照明装置の一部切り欠き正面図を図11に示す。本発明の第3の実施形態に係る照明装置(以下、「照明装置700」という。)は、高圧放電ランプと、高圧放電ランプが取り付けられた照明器具701とを備える。
【0081】
高圧放電ランプは、例えばランプ100を用いることができる。なお、ランプ100に限らず、ランプ600や後述の変形例を用いてもよい。
【0082】
照明器具701は、内部に配置されたランプ100から発せられた光を前方に反射させる反射板702と、反射板702内に組み込まれ、かつランプ100が取り付けられるソケット(図示せず。)と、反射板702を壁や天井に取着するための取着具(図示せず。)とを備える。
【0083】
反射板702は、図11に示すように、凹状の反射面704を備える。この反射面704は、例えば、アルミ鏡を利用することで構成される。なお、この反射板702は、その開口(光取り出し口)705がガラス板等によって塞がれていない、所謂、(前面)開放型である。
【0084】
ソケットは、ランプ100の口金と電気的に接続され、ランプ100に電力を供給する。なお、ランプ100を点灯させるための安定器(図示せず。)は、例えば、天井内に埋め込まれる等しており、供給線706を介してランプ100に給電を行う。
【0085】
取着具は、例えば、「コ」字形状をしており、並行に配された一対のアーム707と、一対のアーム707の一端同士を連結する連結部(図示せず。)とを有し、一対のアーム707間に反射板702を挟んだ状態で、反射板702がアーム707により回動自在に軸支され、連結部が、例えば、壁や天井に取り付けられる。なお、照明装置700から放射される光の向きは、反射板702に対して回動自在な取着具を回動させることによって調節できる。
【0086】
上記のとおり、本発明の第3の実施形態に係る照明装置700の構成によれば、外管500,506の破損し難い高圧放電ランプを備えることで、信頼性を向上することができる。
【0087】
(変形例)
以上、本発明を上記した各実施形態に示した具体例に基づいて説明したが、本発明の内容が各実施形態に示した具体例に限定されないことは勿論であり、種々の高圧放電ランプおよび照明装置に適用することができる。
1.口金について
(変形例1)
本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランンプの変形例1の正面図を図12(a)に、その右側面図を図12(b)にそれぞれ示す。本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプの変形例1(以下、「ランプ106」という。)は、口金419の溝部420の構成を除いては、ランプ100と実質的に同じ構成を有する。よって、溝部420の構成について詳細に説明し、その他の点については説明を省略する。
【0088】
ランプ106の口金419の斜視図を図13に示す。溝部420は、外管の管軸X500方向において、本体部402の反対側から本体部402側に向かって、幅が広がっている。
【0089】
なお、当該構成は、本発明の第2の実施形態に係る高圧放電ランプ600にも適用可能である。
【0090】
(変形例2)
本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランンプの変形例2の正面図を図14(a)に、その右側面図を図14(b)にそれぞれ示す。本発明の第1の実施形態に係る高圧放電ランプの変形例2(以下、「ランプ107」という。)は、口金421の溝部422の構成を除いては、ランプ100と実質的に同じ構成を有する。よって、溝部422の構成について詳細に説明し、その他の点については説明を省略する。
【0091】
ランプ107の口金421の斜視図を図15に示す。溝部422は、その一方に壁を有する。すなわち、本発明における溝部は、両側に壁を有するものに限らず、少なくとも一方に壁を有するものであってもよい。
【0092】
図15に示すように、溝部422が一方に壁を有する場合には、両側に壁を有する場合に比べて角部を少なくすることができ、ランプの組み立て等の際、角部が欠けるのを抑制することができる。
【0093】
なお、当該構成は、本発明の第2の実施形態に係る高圧放電ランプ600にも適用可能である。
2.その他の構成
2−1.口金について
各実施形態および変形例においては、口金400,414,419,421は、本体部402および接続部403,415を組み合わせてなるものであったが、本体部402および接続部403,415は一体成型等、一体的に形成されたものであってもよいし、3つ以上の部品を組み合わせてなるものであってもよい。
2−2.凸部について
各実施形態および変形例においては、外管500,506の凸部502,507が外管500,506の周方向に略180[°]間隔で2つ設けられたものについて説明したが、これに限らず、凸部502,507は外管500,506の開口部に少なくとも1つ設けられていればよい。
【0094】
また、凸部502,507が複数設けられている場合において、その間隔については、自由に選定可能である。なお、例えば、凸部502,507が2つ設けられている場合には、凸部502,507間の最も近い間隔が、外管500,506の周方向に45[°]以上180[°]以下の範囲内の間隔を空けて設けられていることが好ましい。この場合、凸部502,507同士が近づきすぎず、凸部502,507を成形しやすくすることができる。
2−3.数値範囲について
各実施形態および変形例においては、数値範囲を示す符号「〜」は、その両端の数値を含む。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、高圧放電ランプおよび照明装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0096】
100,106,107,600 高圧放電ランプ
200 放電管
300 内管
400,414,419,421 口金
401 給電端子
402 本体部
403,415 接続部
404,416,420,422 溝部
500,506 外管
501 開口部
502 凸部
503 閉塞部
700 照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に放電管が配置された内管が、口金と外管とで囲まれた空間に収容された高圧放電ランプであって、
前記外管は、一端部に開口部および少なくとも1つの内側に突出する凸部を有するとともに、他端部に閉塞部を有し、
前記口金は、給電端子を有する本体部と、少なくとも一部が前記外管の開口部内に納められた接続部とを有し、
前記接続部の外面には、前記外管の管軸方向に沿う溝部が設けられており、
前記凸部は、前記接続部の少なくとも一部が前記外管の開口部内に納められた状態において、少なくとも一部が前記溝部内に位置し、かつ前記管軸方向において前記外管の一端よりも前記外管の他端側に設けられていることを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
内部に放電管が配置された内管が、口金と外管とで囲まれた空間に収容された高圧放電ランプであって、
前記外管は、一端部に開口部および少なくとも1つの外側に突出する凸部を有するとともに、他端部に閉塞部を有し、
前記口金は、給電端子を有する本体部と、少なくとも一部の内側に前記外管の開口部内が納められた接続部とを有し、
前記接続部の内面には、前記外管の管軸方向に沿う溝部が設けられており、
前記凸部は、前記外管の開口部が前記接続部の少なくとも一部の内側に納められた状態において、少なくとも一部が前記溝部内に位置し、かつ前記管軸方向において前記外管の一端よりも前記外管の他端側に設けられていることを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の高圧放電ランプと、前記高圧放電ランプが取り付けられた照明器具とを備えることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−230849(P2012−230849A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99182(P2011−99182)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】