説明

高圧放電ランプ

【課題】
外管径に影響されることなしに内管の傾きを防止した3重管形の高圧放電ランプを提供する。
【解決手段】
高圧放電ランプは、内管固定部32、外管固定部33および受電部31を備えた口金Bと、内部に発光管LTを気密に収納し、かつ基端に形成されたピンチシール部12が口金Bの内管固定部32に固定されるとともに、内部に連通し先端部が封止された係合細管11を頂部外面から突出して備えた内管ITと、周囲に隙間を形成して内管ITを収納し、かつ基端が開口していて口金Bの外管固定部33に固定されるとともに、頂部に細管係合部21を備え、内管ITの係合細管11を細管係合部21に係合して内管ITの傾きを防止する外管OTとを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光管を収納した内管を包囲する外管を備えた3重管形の高圧放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
発光管を内蔵し基端部が口金に固定された内管を包囲する外管を具備した3重管形の高圧放電ランプにおいて、内管および外管にそれぞれ圧接して外管が不所望に落下しないように保持する弾性保持部材を備えた高圧放電ランプは既知である(特許文献1参照)。この高圧放電ランプは、内管の基端部にピンチシール部が形成されていて、発光管が内管の内部に気密に収納されている。外管は、有底筒状をなし、基端が開口している。また、特許文献1の高圧放電ランプにおいては、弾性保持部材が内管の外面と外管の内面との間の隙間に介在し、かつ内管および外管にそれぞれ圧接して管を保持するので、結果として内管の傾きを防止する作用もある。
【特許文献1】特開2009−037758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来のこの種高圧放電ランプは、照明器具内への収まりを重視して外管径をなるべく小さくすることが重視された結果、内管が光軸から多少ずれて組み立てられた場合に、輸送中などに加わる振動によって内管が外管に衝突して破損することがあった。また、内管が外管に対して傾いて照明器具の配光特性が乱れることがあった。
【0004】
特許文献1に記載された3重管形の高圧放電ランプの場合、外管径を大きくすると、内外管の間に形成される隙間が大きくなるために、弾性保持部材を大きくする必要があり、その結果外観を阻害するとともに、配光特性にも影響を与えやすくなる。
【0005】
本発明は、外管径に影響されることなしに内管の傾きを防止した3重管形の高圧放電ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の高圧放電ランプは、内管固定部、外管固定部および受電部を備えた口金と;内部に発光管を気密に収納し、かつ基端に形成されたピンチシール部が口金の内管固定部に固定されるとともに、内部に連通し先端部が封止された係合細管を頂部外面から突出して備えた内管と;周囲に隙間を形成して内管を収納し、かつ基端が開口していて口金の外管固定部に固定されるとともに、頂部に細管係合部を備え、内管の係合細管を細管係合部に係合して内管の傾きを防止する外管と;を具備していることを特徴としている。
【0007】
本発明において、内管の頂部に形成された係合細管は、外管の細管係合部に係合して内管の不所望な傾きを防止するのに機能する。なお、係合細管は、内管の内部に連通しているので、所望により係合細管を封止する前にこの細管を経由して内管内を排気し、排気後に封止切ることができるから、内管内を排気するための手段としても利用することができる。
【0008】
また、係合細管は、外管内面と内管外面との間に所望の隙間を形成するために、その長さが単に排気のみに機能させる特許文献1に記載の場合に比較して長く形成される。すなわち、係合細管は、外管の頂部内面と内管の頂部外面との間の隙間を横切って外管の頂部に設けられた細管係合部に係合できるような長さに設定されている。例えば数値化すると、係合細管の長さは、係合細管の外径に対する比率で1.5〜5倍程度、また内管の外径に対する比率で0.2〜1.5倍程度であるのが好ましい。より好ましくは係合細管の長さが上記比率でそれぞれ2.5〜4.0倍、また0.5〜1.0倍である。なお、細管の長さは、細管を形成しない場合に想定される内管の頂部外形の輪郭とそこから起立する係合細管との境界部を基端として、この基端から先端までの距離として求めることができる。また、係合細管の外径は、その内部に内管内を排気する場合に必要な内径が得られる程度に設定される。
【0009】
係合細管の長さが係合細管の外径との比率で1.5倍未満であると、内管の周囲、特に内管および外管の頂部間に所望の隙間を確保するのが困難になりやすくなる。反対に、比率が5倍を超えると、係合細管の外管から突出する部分が長くなりすぎて取り扱い時に邪魔になる。また、高圧放電ランプの管長が大きくなって、外観を阻害しやすくなるとともに係合細管が破損しやすくなるので、好ましくない。
【0010】
本発明においては、内管の傾きを防止するのに外管の外径が無関係になるから、外管径を大きくして効果的な光拡散膜を配設することができる。すなわち、発光管の最大径をAとし、外管の内径をBとしたときの距離(A−B)/2が5.5mm以上、好ましくは6mm以上である条件下であれば、外管の内面および外面の少なくとも一方に光拡散膜を配設して所望の良好な光拡散性を得られることが分かった。なお、光拡散膜は、外管面をサンドブラストしたり、光拡散性粒子を主体として構成された被膜を外管面に形成したりして、これを配設することができる。
【0011】
上記距離が5.5mm未満であると、十分な光拡散作用が得られないばかりか、外管からの輻射熱により点灯中の発光管温度が過昇となって短寿命になる。反対に、上記距離が大きくなると、外管からの輻射熱が低減しすぎて発光管温度が低下し、所望のランプ特性が得られない。しかしながら、外管径が大きくなりすぎると、小形化に対する弊害となる。
【0012】
以上の理由から、外管は、その最大外径C(mm)が25<C<28を満足するように構成されているのが好ましい。なお、外管は、光拡散膜を配設しない場合であっても、その最大外径Cが上記条件を満足していれば、所望のランプ特性が得られるので望ましい。
【0013】
また、外管に光拡散膜を配設する場合、管軸方向に対しては、発光管内の一対の電極が外管の管軸方向に沿って配設されていて、その電極間距離をLE(mm)とすれば、電極間距離の中央を中心として管軸方向に全長2LEの距離にわたり光拡散膜を配設する程度であれば、十分実用的な光拡散性が得られる。
【0014】
次に、外管の細管係合部の好ましい態様は、次のとおりである。
【0015】
第1の態様としては、細管係合部が、外管の頂部から突出するとともに先端が閉鎖した鞘管状をなしていて、内管の係合細管が鞘管状をなす細管係合部の内部へ挿入された状態で細管係合部に係合する構成である。なお、鞘管状をなす細管係合部は、外管と一体成形して形成するのが好ましいが、所望により別体に形成したものを外管に接合して一体化することもできる。
【0016】
第2の態様としては、細管係合部が、外管の頂部に形成した開口部を備えていて、内管の係合細管が開口部を貫通して係合する構成である。なお、第2の態様において、内管の係合細管が細管係合部から外管の外部へ直接露出しないようにする場合には、耐熱物質製のキャップを後付けで開口部に装着することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、内管の基端のピンチシール部で口金に固定されるとともに内管の頂部から突出した係合細管が外管の細管係合部に係合することにより、内管がピンチシール部と係合細管とが支持されるので、例えば振動や内管の組立時などで内管が外管に対して不所望に傾くのを防止する3重管形の高圧放電ランプを提供することができる。
【0018】
また、内管の傾きを防止するのに外管径は影響されないので、外管径を所望に設定することができる。例えば、良好な光拡散性を得るように外管径を選択したり、最適なランプ特性が得られるように外管径を選択したりすることができる。
【0019】
さらに、外管の細管係合部が開口部からなる態様において、所望により係合細管を外管の細管係合部から外部へ突出させて外管を組み立てた後に内管内を排気することができる。この態様によれば、排気後に係合細管の封止切りの工程において、係合細管の加熱軟化状態のときに内管の傾きを必要に応じて修正することができる。また、係合細管を排気後に封止切る際に、係合細管を変形させれば、外管が使用中に不所望に落下するのを係合細管によって防止することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0021】
図1ないし図4は、本発明の高圧放電ランプを実施するための第1の形態を示し、図1は高圧放電ランプの一部断面・一部断面透視正面図、図2は発光管の拡大断面図、図3は高圧放電ランプの下半部の正面図、図4は高圧放電ランプの下半部の一部断面透視側面図である。
【0022】
本形態の高圧放電ランプは、定格ランプ電力70W用として好適な構造であり、図1に示すように、発光管LT、内管IT、外管OTおよび口金Bを具備して構成されている。
【0023】
発光管LTは、透光性気密容器1、一対の電極2、2、一対の電流導入導体3、3および放電媒体を備えている。
【0024】
透光性気密容器1は、図1に一部を断面で示し、また図2に全体の断面を拡大して示すように、透光性セラミックスまたは石英ガラスなどの透孔性にして耐熱性の物質からなり、包囲部1aおよび一対の封止体1b、1bを備えている。包囲部1aは、膨出していて、その内部が放電空間1cとして利用される。なお、透光性であるとは、放電により発生した放射のうち、所望波長域の発光成分を少なくとも所望の部位から外部へ透過させることができればよいことを意味する。また、透光の度合い、高圧放電ランプの正常な作動状態において、透光性気密容器1として問題なく機能する程度であればよい。
【0025】
封止体1bは、包囲部1aの両端に連設されていて、後述するように電極2を支持するととともに、透光性気密容器1を封止する。透光性気密容器1が図2に示すように透光性セラミックスからなる場合、一般的には封止体1bが小径筒部により形成されている。小径筒部からなる封止体1bは、その内部に挿通する電極2および/または電流導入導体3と小径筒部の内面との間にわずかな隙間が形成される。したがって、小径筒部の長さを適切な値に設定することにより、点灯中にわずかな隙間の内部に液相のハロゲン化物が滞留して、いわゆるキャピラリーとして作用して透光性気密容器1の最冷部を形成したり、封止部の温度を所定温度に維持させたりすることができる。しかし、本形態においては、封止体1bを備えているが、封止体1bがキャピラリーを形成することを前提要件とするものではない。
【0026】
また、透光性気密容器1が透光性セラミックスにより形成される場合、例えばサファイヤなどの単結晶の金属酸化物、多結晶の金属酸化物、例えば半透明の気密性アルミニウム酸化物、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、イットリウム酸化物(YOX)、多結晶非酸化物、例えばアルミニウム窒化物(AlN)などを用いることができる。
【0027】
さらに、透光性気密容器1の内容積すなわち放電空間1cの体積は、高圧放電ランプの定格ランプ電力の大きさに応じて多様な値に設定することができる。また、放電空間1cの形状も円筒状、球状、楕円球状など多様であることを許容する。
【0028】
一対の電極2、2は、透光性気密容器1に封装されて先端が互いに離間して放電空間1cに臨んでいる。また、電極2は、タングステン(W)、ドープドタングステン、トリウム入りタングステン、レニウム(Re)、レニウム−タングステン合金(Re−W)またはモリブデン(Mo)などの耐火性金属を用いて形成することができる。さらに、電極2は、その基端側などの一部を異種の耐火性金属またはサーメットなどを用いて形成することができる。
【0029】
例えば、電極の主要部をタングステンで形成し、基端部をモリブデンまたはサーメットで形成する。さらにまた、電極2は、好ましくは細長い電極軸部2aおよび電極軸部2aの先端部に配設される電極主部2bから構成することができる。この場合、電極主部2bは、電極軸部1aの先端に配設されて主として陰極およびまたは陽極として作用する部分であり、電極2の先端部を構成する。また、電極主部2bは、その表面積を大きくして放熱を良好にするために、必要に応じて例えばタングステンのコイルを巻装したりすることができる。
【0030】
一対の電流導入導体3、3は、一対の電極2、2に電流を供給するための手段であり、封止体1bから透光性気密容器1の内部へ気密に導入されて、先端が電極2の基端に直接または間接に接続し、基端が封止体1bから外部へ露出する。
【0031】
また、透光性気密容器1が透光性セラミックスからなる場合、電流導入導体3は、封着性部分3aおよび耐ハロゲン性部分3bが直列に接続した構成を用いるのが好ましい。この場合、例えば封着性部分3aと封止体1bの小径筒部との間に、セラミックス封止用コンパウンドからなるフリットガラスを加熱して溶融して進入させ、次いで固化させることにより、一対のシール4、4を形成して透光性気密容器1を封止することができる。なお、石英ガラスの場合には、封止体1bをピンチシール部とし、その内部に電流導入導体3としてモリブデンの箔を気密に埋設して透光性気密容器1を封止することができる。
【0032】
さらに、透光性気密容器1が透光性セラミックスからなる場合における電流導入導体3の封着性部分3aとしては、透光性気密容器1の封止体1bの材質に応じて熱膨張係数が接近した導電性物質、例えば透光性アルミナセラミックス製の場合、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)またはサーメットなどが好適である。また、耐ハロゲン性部分3bとしてはモリブデン、タングステンまたはサーメットなどの耐熱性金属が好適である。なお、タングステンを用いる場合、電極2の電極軸部2aを兼用するのに好適である。
【0033】
放電媒体は、少なくとも金属ハロゲン化物および始動ガスにより構成される。また、好適にはランプ電圧形成物質を含むことができる。
【0034】
金属ハロゲン化物は、少なくとも発光金属のハロゲン化物を含むものとする。発光金属のハロゲン化物としては、既知の各種発光金属およびそれらの組み合わせの金属ハロゲン化物を用いることができる。
【0035】
始動ガスは、少なくとも高圧放電ランプを始動させるときに放電を開始させるのに寄与する。しかし、具体的なガスの種類は限定されない。一般照明用の高圧放電ランプの場合、好適にはネオン(Ne)およびアルゴン(Ar)の混合ガスである。始動ガスの封入圧は、一般的には8〜80kPaである。8kPa未満では、パッシェン曲線から理解できるように始動が困難になる。また、80kPaを超えると始動電圧が高くなり、口金の耐圧を超えてしまう。
【0036】
ランプ電圧形成物質は、主として緩衝体として点灯中に一対の電極間に現れる電圧を形成するのに主体的に寄与する放電媒体であり、水銀および/または金属ハロゲン化物を用いることができる。ランプ電圧形成物質としての金属ハロゲン化物には、蒸気圧の比較的高い金属のハロゲン化物などを用いることができる。
【0037】
本形態における一例として、放電媒体を金属ハロゲン化物、始動ガスおよび水銀により構成することができる。なお、金属ハロゲン化物および水銀は、蒸発する分より過剰に封入されている。そして、金属ハロゲン化物の一部が安定点灯時に封止体1b、1b内に形成されるわずかな隙間(キャピラリー)内に液相状態で滞留する。そして、点灯中下側となる例えば封止体1b1内に液相状態で滞留している放電媒体の表層部付近に最冷部が形成される。
【0038】
金属ハロゲン化物は、発光金属のハロゲン化物からなり、例えばツリウム(Tm)、ナトリウム(Na)、タリウム(Tl)よび希土類金属のグループから選択された金属のハロゲン化物により構成することができる。
【0039】
内管ITは、その内部に発光管LTを内蔵していて、基端にピンチシール部12を形成し、頂部に係合細管11を備えている。そして、ピンチシール部12を図4に示して後述する口金Bの内管固定部32に固定することで口金Bに固定されている。
【0040】
また、本形態において、内管ITは、その内部が後述する係合細管11を経由して排気されて外部に対して気密になっている。内管ITに内蔵される発光管LTは、その中心軸が内管ITの管軸位置に一致させて支持され、一対の電極2、2が、給電導体3、3および内管ITのピンチシール部12を経由して導出された一対の外部リード線12d、12dに接続する。
【0041】
さらに詳述すれば、ピンチシール部12には、一対の封着金属箔12a、12aが離間して気密に埋設され、内部リード線12b、12cおよび外部導入線12d、12dが封着金属箔12aの両端部に接続している。なお、ピンチシール部12の両扁平面の側縁部には一対の突条を形成し、それらの間に一段低い平坦面を形成することができる。
【0042】
また、本形態において、内管ITの内部には、発光管LTに加えてサポート部材SFなどの付帯的構成要素を配設することができる。サポート部材SFは、図1に示すように、内部リード線12bが一体に延長して形成されている。そして、外管OTの内壁に接近した位置を管軸方向にほぼ平行して延在し、先端が外管OTの先端付近で屈曲され、かつ発光管ITの図1において上部の電流導入導体3に溶接されている。そうして、発光管ITは、サポート部材SFを経由して内部リード線12bと12cとの間に支持されている。
【0043】
係合細管11は、その基端が内管ITの頂部に接続して内管ITの内部に連通し、先端部が封止されて内管ITの頂部から管軸方向へ長く突出している。そのため、内管ITの頂部と後述する外管OTの頂部との間に適当な空間が存在していても、係合細管11は、外管OTの頂部に備えられている細管係合部21と係合することができる。なお、係合細管11の長さについては既述のとおりである。
【0044】
さらに、内管ITは、その内部に、発光管LTの始動を促進するための手段、例えば近接導体、紫外線発生源または高電圧パルス発生器などを所望により収納することができる。
【0045】
さらにまた、内管ITの材質は、特段限定されない。しかし、内管ITを石英ガラスで形成することにより、耐熱性が向上するので、小形化を図ることができる。また、内管ITは、後述する外管OTで覆われるので、指で直接内管を触れることがなくなり、内管ITが白濁などの汚損が生じない。なお、一般照明用の高圧放電ランプとしては、内管ITの内部を真空または不活性ガス(例えば、窒素やアルゴンなど)雰囲気にするのが一般的である。
【0046】
外管OTは、その内部に内管ITを周囲に隙間を形成して収納し、内管ITおよび発光管LTを機械的および触指による汚損などに対して保護する。外管OTの材質は、特段限定されない。例えば、硬質ガラスや半硬質ガラスにより外管を形成することができる。
【0047】
また、外管OTは、図および図4に示すように、その基端が開口していて、内管ITと分離して後述する口金Bの外管固定部33に例えば接着剤を用いて接着される。そのために、外管OTの基端は、開放されているが、その余の形状および構造は問わない。本形態においては、胴部の外径が開口部のそれより大きくなっていて、後述する口金Bを変更することなしに胴部の外径を大きくしやすい形状になっている。このような外管形状は、例えば外管に光拡散膜を形成する場合に好適である。
【0048】
なお、外管OTを口金Bに装着する際に用いる接着剤は、高圧放電ランプの点灯中の動作温度に耐えるものであれば特段限定されない。一般的には耐熱性の無機質接着剤が好適である。なお、接着剤を用いないで、所定の固着手段によって固定される態様でもよい。
【0049】
さらに、外管OTは、その頂部に細管係合部21を備えている。細管係合部21は、既に述べたように内管ITの係合細管11と係合して内管ITが振動などで傾くのを防止する。本形態において、細管係合部21は、外管OTの頂部から突出し、かつ先端が閉鎖した鞘管状をなしていて、内管ITの係合細管11が鞘管状をなす細管係合部21の内部へ挿入された状態で係合する。また、細管係合部21は、外管OTの頂部と一体に成形されて形成されている。したがって、内管ITの内部を外管OTの口金Bへの組立に先立って排気しておく。
【0050】
口金Bは、図1において正面が、また図4において側面が、それぞれ断面を透視して描かれ、さらに図3に正面の外観が示されているが、高圧放電ランプを図示しないソケットに保持するとともに、電源に接続する機能を果たすランプ構成要素である。本形態においては、上記に加えて口金基体30を備えていて、この口金基体30に受電部31、内管固定持部32および外管固定部33が配設されている。
【0051】
口金基体30は、例えばステアタイトなどのセラミックスにより一体的に形成されており、受電部31、内管固定持部32および外管固定部33を機能的な位置に配置して備えている。
【0052】
受電部31は、高圧放電ランプに投入する電力を電源から受電して高圧放電ランプの本体に供給する手段であり、既知の各種口金形態における受電部を適宜所望により選択的に採用することができる。なお、差込み形、ねじ込み形、ピンなし差込み形、バイポスト形などの口金は、主として受電部の構造が相違している。
【0053】
本形態の口金Bは、ねじ込み形口金である。ねじ込み形口金において、受電部31は、口金シェル31aおよびセンターコンタクト31bが口金基体30の所定の位置に互いに絶縁関係を保持して配設されることによって構成されていて、後述する内管ITから導出された一対の外部リード線12d、12dの一方が口金シェル31aに、他方がセンターコンタクト31bに、それぞれ接続される。
【0054】
内管固定部32は、後述する内管ITの基端のピンチシール部12を固定する部位である。内管ITの固定は、ピンチシール部12を内管固定部32に挿入して固定する構成でもよいし、接着剤によって行う構成など多様な固着手段を適宜採用することができる。なお、挿入により固定する態様において、接着剤を使用することなしに内管ITを挿入する行為だけで内管ITを口金Bに固定することができる。ピンチシール部12を挿入して内管ITを固定する内管固定部32の態様として、ピンチシール部12を直接的に固定してもよいし、例えば図4に示すように金属クリップなどの固定補助部材32aを介在させて間接的に固定してもよい。後者の場合、固定補助部材32aを内管ITのピンチシール部12に予め装着してもよいし、内管固定部ITの例えば内部に装着しておいてピンチシール部12を受け入れてもよい。
【0055】
また、内管ITのピンチシール部12ピンチシール部の両扁平面を内管固定部32に対する固定に利用すると好都合である。例えば、両扁平面を主として挟持して固定するように離間対向する一対の起立舌片を口金の底部から上方へ突出させて形成し、両起立舌片がピンチシール部12の両側面を直接的または間接的に挟持するように構成することができる。
【0056】
外管固定部33は、外管OTを口金Bに例えば接着などにより固定する部位である。しかし、外管OTを固定するための外管固定部33の構造は特段限定されない。例えば、外管固定部33を環状周壁により形成して、当該環状周壁の内面に外管OTの基端部の外面を接着して外管OTを口金Bに固定することができる。この態様においては、環状周壁の内面と外管OTの基端部の外面との間を例えば図示しない接着剤で固定する。なお、環状周壁が、好ましくは外管固定部33に対して同心関係に形成された内管固定部32を外側から包囲するように形成するのが好ましい。しかし、所望により外管OT端部を内外両面で挟持するように同心関係に2重の環状周壁を形成してもよい。なお、接着剤を用いて固定する場合には、外管OTの基端部の外面に、または2重の環状周壁の場合には内外両面に接着剤を、それぞれ全周にわたり施与してもよいし、周面に対して離間した複数箇所に断続的に施与してもよい。
【0057】
図5は、本発明の高圧放電ランプを実施するための第2の形態を示す正面図である。本形態は、外管OT頂部の細管係合部21の形態が異なる。
【0058】
すなわち、細管係合部21は、外管OTの頂部に形成した開口部21aを備えていて、内管ITの係合細管11が上記開口部21aを貫通することにより、係合細管11が細管係合部21に係合する。
【0059】
図6は、本発明の高圧放電ランプを用いた照明器具としてのスポットライトを示す要部断面正面図である。本発明の高圧放電ランプを用いる照明器具は、照明器具本体40、高圧放電ランプHDLおよび点灯装置からなり、屋内用および屋外用の各種照明器具を含む概念である。また、照明器具は、一般照明用および特殊照明用のいずれであってもよい。なお、特殊照明用とは、一般照明用以外の各種用途を含む。
【0060】
照明器具本体40は、照明器具から高圧放電ランプHIDおよび点灯装置を除外した残余の部分からなる。本形態において、照明器具が屋内照明用のスポットライトである。
【0061】
高圧放電ランプHIDは、図1または図5に示す本発明の高圧放電ランプである。点灯装置は、照明器具本体40とは別置きで、例えば天井裏に配設される。そして、高圧放電ランプHIDを点灯する回路手段であり、電子化されているものおよびコアおよび巻線を主体とするもののいずれであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の高圧放電ランプを実施するための第1の形態を示す一部断面・一部断面透視正面図
【図2】同じく発光管の拡大断面図
【図3】同じく高圧放電ランプの下半部の正面図
【図4】同じく高圧放電ランプの下半部の一部断面透視側面図
【図5】本発明の高圧放電ランプを実施するための第2の形態を示す一部断面・一部透視正面図
【図6】本発明の高圧放電ランプを用いた照明器具を示す要部断面正面図
【符号の説明】
【0063】
11…係合細管、21…細管係合部、30…口金基体、31…受電部、32…内管固定部、33…外管固定部、B…口金、IT…内管、LT…発光管、OT…外管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管固定部、外管固定部および受電部を備えた口金と;
内部に発光管を気密に収納し、かつ基端に形成されたピンチシール部が口金の内管固定部に固定されるとともに、内部に連通し先端部が封止された係合細管を頂部外面から突出して備えた内管と;
周囲に隙間を形成して内管を収納し、かつ基端が開口していて口金の外管固定部に固定されるとともに、頂部に細管係合部を備え、内管の係合細管を細管係合部に係合して内管の傾きを防止する外管と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
外管の細管係合部は、外管の頂部から突出し、かつ先端が閉鎖した鞘管状をなしていて、内管の係合細管が鞘管状をなす細管係合部の内部へ挿入されて係合することを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項3】
外管の細管係合部は、外管の頂部に形成した開口部を備えていて、内管の係合細管が開口部を貫通して係合することを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−218761(P2010−218761A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61542(P2009−61542)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(301010951)オスラム・メルコ・東芝ライティング株式会社 (37)
【Fターム(参考)】