説明

高圧放電ランプ

【課題】コンパクトで十分な飛散防止を果たす高圧放電ランプを提供する。
【解決手段】第1の外側バルブ内に収容されたセラミック製の放電容器を有し、第1の外側バルブが飛散防止のため更に第2の外側バルブにより密に取り囲まれ、第2の外側バルブの固定がソケットの範囲内で行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状の外側バルブに収容され、片側でソケットに保持され、外側バルブがもう1つの外側バルブで囲まれている長延の放電容器を備えた高圧放電ランプに関する。この種のランプは特に一般照明または写真撮影用の高圧放電ランプである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1からは、2つのカバーにより囲まれることにより飛散を防止したセラミック製放電容器を備えた高圧放電ランプが知られている。
【0003】
特許文献2からは、特に飛散防止のためにプラスチックカバーにより囲まれた放電ランプが知られている。
【0004】
この種のプラスチックカバーの使用は、適当なプラスチックが入手できないので点灯温度の低いランプに限定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1652212号(特表2007−522606号)明細書
【特許文献2】国際公開第2008/022929号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、コンパクトな構造にも拘わらず十分な飛散防止を図ることのできる冒頭に述べた種類の高圧放電ランプを提供することにある。
【0007】
これは特に、放電容器の材料としてセラミックを使用できるメタルハライドランプに適用される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によればこの課題は、第2の外側バルブがソケットの範囲に固定されることにより解決される。
【0009】
特に有利な実施態様は従属請求項に示されている。
【0010】
開発が急速に進んでいる照明市場では、益々コンパクトな、即ち直径や長さが短くて同時に開放形照明で点灯可能な飛散防止型のランプが望まれている。ソケットや受け口の特殊な改良によりねじ型のソケットよりも小さい寸法のものが得られている。本願発明は、全出力範囲において使用できる2つの外側バルブを備えた飛散防止型ランプに関する。この場合第2の外側バルブは好ましくない影響により生じ得るランプの破損に対する飛散防止に役立つ外套である。外側バルブの固定は、ランプの破損またはほかの不利な影響が外側バルブを損傷しないように行われる必要がある。更に外側バルブはソケットのねじれを防ぎ、ランプの着脱を問題なく保証しなくてはならない。
【0011】
本発明は、特に外側バルブと第2の外側バルブの働きをする外套を備えた最大150Wまでの低出力ランプに関する。この場合、外套は不利な影響によって起こりうるランプの破損に伴う飛散を防止するのに役立つ。外套は、特にガラスまたはプラスチックから成り、いずれにしても高温に耐えるとともに、照明技術に適したものでなければならない。
【0012】
最近になって外側バルブに耐熱性のプラスチックを被覆するための噴霧および浸漬法が知られてきているが、これは大型(低温)の外側バブルを備えた高ワットのランプにしか使用できない。
【0013】
標準的には飛散防止型ランプは依然として第2の外側バルブを備えている。現在外側バルブの固定には次の3つの方法が知られている。
・外側バルブを溶融脚に従来方式で溶融する方法
・外側バルブをソケットにパテで接合する方法
・外側バルブのフランジにアルミニウムリングを使って外側バルブを固定する方法
【0014】
本発明の有利な実施態様は、以下の通りである。好適には、硬質ガラスから成る第2の外側バルブは相応する加熱工程後の変形によって、ベースランプの圧搾部で好適には石英ガラスから成る第1の外側バルブに固定される。この場合、両外側バルブの通常は異なる種類のガラスは、膨張係数が異なるため、互いに溶融結合することはない。
【0015】
特に、外側バルブにおけるベースランプに必要な予圧を与えるためのドーム範囲のばねは、第2の外側バルブのがたつきを防止するのに役立つ。
【0016】
第2の外側バルブまたは外套を圧搾すると、従来のランプより小さい寸法のものが得られる。従って、従来普通に使われるものより小型のソケット寸法のものを使用することができる。これによりランプは細く小さくなる。
【0017】
別の有利な実施態様では、第2の外側バルブの固定は別様に実現される。第2の外側バルブは、ソケットの高さに側面に孔を備える。ソケットはこの位置に棒状の固定手段、たとえばくさび、びょう、ピン、ボルトなどを収容するための孔または切り欠きを有する。外側バルブは、従って、くさび、びょう、ピン、ボルトなどを外側から前記の孔を通してソケットに押し込むことにより固定される。このような固定方法は、ソケットにおける外側バルブの保持並びにねじれ防止にも役立つ。
【0018】
第2の外側バルブ用のソケットの載置面には、有利な実施態様では特に金属製の特殊なばね板を設けることにより第2の外側バルブに予圧が得られるので、前記のようなピン止めをする前に、ばね板の締め付けが押圧力により得られる。この状態において、第2の外側バルブの固定は少なくとも1つのピン、好適には2つの相対向するピンなどを押し込むことにより行われる。押圧ばねまたはばね板は、それ自体は公知のように皿ばねとも呼ばれ、載置面上における第2のバルブのがたつきを防止するものでなければならない。ピンは、金属またはプラスチックなどから作ることができる。この工程は極めて時間を節約でき、栓止め、溶融またはリング止めなど補助的な工程費用は必要としない。
【0019】
第2の外側バルブは、原理的には耐熱性を有する限りプラスチックからも作ることができる。この種の外套に適したプラスチックとしては、特に少なくとも部分的にポリカーボネート,ポリエステル、ポリメチルアクリラートまたはポリオレフィンが挙げられる。たとえば、特に透明のUV安定の高温安定性のプラスチック、特にテフロン(登録商標)、PTFEが適している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は高圧放電ランプの第1の実施例を示す。
【図2】図2は高圧放電ランプの第2の実施例を示し、図2aはその側面図、図2bは拡大図である。
【図3】図3は高圧放電ランプの第3の実施例の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下において幾つかの実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0022】
図1は、高圧放電ランプ1の構造をごく概略的に示す。ランプ1は、ベースランプとして外側バルブ3内に収容された放電容器2を有する。放電容器2の外側導入線4は内部で電極と接しており、2つのフレームワイヤ5,6に接続されている。短い方のフレームワイヤ5は、外側バルブ3の圧搾部8内の第1の膜7に通じている。長い方のフレームワイヤ6は弓形ワイヤとも呼ばれ、圧搾部8内の第2の膜7に通じている。放電容器2は、良く知られているように両端にそれぞれ細管部10が形成されており、同様に良く知られているように絶縁性のガス、通常はアルゴンまたはキセノン、水銀および金属ハロゲン化物から成る充填物を有する。2つの電極が放電容器2の内部で対向配置されているが、それ自体は公知なので図示しない。
【0023】
第1の外側バルブ3は、硬質ガラス製の第2の外側バルブまたは外套15で囲まれており、第2の外側バルブは外側バルブ3に密に接している。この第2の外側バルブ15は硬質ガラスから成るのに対し、内側にある第1の外側バルブ3は石英ガラスから成る。第2の外側バルブ15の固定は、第1の外側バルブ3のほぼ圧搾部8の高さにおける“ソフト“な圧搾部16によって直接行われる。これは外側バルブの嵌め合い接合を意味するもので、差し当たり内のりに若干の間隔が残っている。さらに、第1の外側バルブ3は、第2の外側バルブ15の円蓋部18で、円錐状に下側に向って拡がっているばね19によって、それ自体は公知のように中心合わせされている。外側バルブの最終的な固定は、ばね19のばね力によって行われる。
【0024】
図2は、高温の負荷に対する改良型の実施例を示す。図2aの側面図に示すように、第2の外側バルブ20は、ソケット側に円筒状の開口21を有する。第2の外側バルブ20は、ソケット23の側面から突出するストッパ22に載置されている。外側バルブ23は、図2bに示すようにピン24により固定される。このため、第2の外側バルブ20は、孔25を有し、これを介してピン24がソケット23の切り欠き26に挿入される。
【0025】
図3は、図2と同様の実施例を示すが、ここではストッパ22の範囲にリング状の皿ばね30がソケット23のストッパ22上に載置され、この上に第2の外側バルブ20の開口21が当たるようにされる。皿ばね30のばね力は第2の外側バルブ20をソケット23のストッパ22上に押し付けるように設定され、第2の外側バルブ20は押しつけられた状態で第2のピン33により固定される。
【0026】
第2の外側バルブ20用のガラス材料としては、軟質ガラスや石英ガラスなどあらゆる種類のガラスが適しているが、特に硼珪酸ガラスなどの硬質ガラスが適している。
【0027】
放電容器2は、セラミック製である必要はなく、石英ガラスなどによっても製造できる。
【0028】
本発明の有利な実施例を要約すれば、高圧放電ランプが外側バルブに収容されたセラミック製の放電容器を有し、外側バルブが更にこれに密着する飛散防止用の第2の外側バルブにより囲まれる。大抵の場合外側バルブは片口金型であり、放電容器は2つの端部を備える。
【符号の説明】
【0029】
1 高圧放電ランプ
2 放電容器
3 第1の外側バルブ
15、20 第2の外側バルブ
19 ばね
22 ストッパ
23 ソケット
24、33 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の第1の外側バルブに収容された長延の放電容器を備え、前記第1の外側バルブが片側でソケットに保持されるとともに、第2の外側バルブにより囲まれる高圧放電ランプにおいて、
前記第2の外側バルブがソケットの範囲内で固定されることを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
前記放電容器が、セラミック製であり、2つの細管部を有することを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項3】
前記第2の外側バルブが、前記第1の外側バルブに対し、その圧搾部の範囲で中心合わせされることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
前記第2の外側バルブが少なくとも1つの孔を有し、前記孔がソケットに設けられた切り欠きと適合することにより前記第2の外側バルブが機械的に直接ソケットに固定され、この固定はピン状の固定材が前記の孔に導かれソケットの切り欠きに係止されることにより行われることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項5】
前記第2の外側バルブが、硬質ガラスまたセラミックから作られることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項6】
前記第2の外側バルブが、ソケットのストッパ上に載置されることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項7】
前記ストッパ上に皿ばねが設けられ、前記皿ばねの上に孔付きの第2の外側バルブが載置されることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−134711(P2011−134711A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279041(P2010−279041)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(508096703)オスラム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (92)
【Fターム(参考)】