説明

高圧水噴射洗浄装置

【課題】 洗浄の高速化に確実に対応でき、しかも洗浄時の装置の振動を抑制でき、均一で効率的な洗浄を可能にする高圧水噴射洗浄装置を提供する。
【解決手段】 ケーシング33の先端に高圧水噴射ノズルnを設けたホルダー30を備え、ケーシング33の内部に回転自在に支持した支持軸27を設け、この支持軸27の先端側に軸心のずれた偏心部を形成し、この偏心部と前記支持軸27とに軸受面が揺動可能な軸受26を設け、この軸受26に前記ホルダー30の基部側を回転自在に支持し、ホルダー30に高圧水チューブ31を連結した高圧水噴射洗浄装置であって、高圧水噴射ノズルnに3つの高圧水噴射孔nkを設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、液晶パネル、プラズマパネル、有機EL(エレクトリックルミナンス)パネルなどのFPD(フラットパネルディスプレイ)やガラスや半導体ウエハーなどの平坦な板状物を高圧洗浄液を噴射して洗浄する高圧水噴射洗浄装置(ウォータジェット洗浄機ともいう)に関するもので、詳しくは、例えば、液晶ディスプレイや半導体ウエハーなどの製造工程で、ガラス基板表面の微小な粒子や有機物や金属不純物といった歩留り低下の原因となる汚濁物質を高圧水(高圧洗浄液)を噴射して除去する、特に高速化にも対応した高圧水噴射洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の高圧水噴射洗浄装置として、複数の高圧水噴射ノズルを並べて装着したホルダーを旋回(円運動)させながら若しくは円錐状に揺動させながら、その洗浄装置から噴射する高圧水を洗浄対象物に対し垂直に当てながら直交方向に移動させることで、噴射ノズルから噴射する高圧水にて洗浄対象物の一面を緻密に洗浄する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置は1本の直線状に高圧水が噴射する収束型ノズルを備えている。
【0003】
従来の一般的な洗浄装置で使用されているノズルは、噴射される洗浄水(噴流ともいう)が円錐状に広がるコーン型、若しくは扇状に広がるファン型が多い。これらのノズルであれば、噴流自体が拡散し、幅が広いために、上記特許文献1の洗浄装置のように円運動させたり、揺動させたりする必要がない。
【0004】
一方、特許文献1の洗浄装置では、洗浄水が拡散しない1本の直線状に洗浄水が噴射される収束型ノズルを使用しているため、噴射される洗浄水のエネルギー密度がコーン型やファン型に比べて100倍〜1000倍と非常に高い。したがって、洗浄面での剥離・洗浄効果は非常に優れている。しかし、洗浄対象物に対し洗浄水が当たる領域(面積)が極めて狭く、局所部分しか洗浄できない。いいかえれば、洗浄水が当たっていない箇所が広く、それらの箇所は洗浄されない。
【0005】
そこで、上記洗浄装置では、複数個の噴射ノズルをホルダーに装着し、旋回させ円運動させることで、洗浄領域を確保するようにしている。すなわち、図4−a、図4−bは上記洗浄装置による洗浄水の軌跡で、具体的にはホルダーに6個のノズルを装着した洗浄装置における高圧水の洗浄軌跡の一例を示すもので、図4−aは定位置で旋回して円運動させた状態を示す軌跡図、図4−bはホルダーを400rpmで旋回円運動させ、洗浄装置を相対的に4m/minで移動している状態を示す軌跡図である。図4−a、図4−bの軌跡図に示すように、洗浄水が当たる箇所が非常に少ない。
【0006】
これを解決するために、ホルダーの円運動速度を上げた洗浄水の軌跡図を図5−a、図5−bに示すと、図5−aは相対移動速度を4m/minに保ってホルダーの旋回円運動速度を800rpmに上げた状態の洗浄軌跡であり、図5−bは相対移動速度を4m/minに保ってホルダーの旋回円運動速度を1200rpmに上げた状態を示している。このように、ホルダーの旋回円運動速度を上げるのに従って洗浄領域は緻密になっていく。
【0007】
また、ホルダーの旋回円運動速度を上げるだけでなく、ホルダーに装着するノズル数を増やすと、洗浄領域の緻密さ(洗浄密度)が増すが、図6−a、図6−bのうち図6−aは相対移動速度を4m/min、ホルダーの旋回(円運動)速度を400rpmに保ってノズル数を6個から12個に増やした状態の洗浄軌跡を、図6−bは18個に増やした状態の洗浄軌跡をそれぞれ表している。ただし、ノズル数を増やすことにより重量が増え、振動が増大する。
【0008】
その他の高圧水噴射洗浄装置に関する先行技術に、洗浄コンベアに搭載されて洗浄室内に移送される被洗浄材に高圧水を噴射する複数のノズルを有する高圧水噴射ノズルヘッドが洗浄コンベアの上方側に設けられ、該高圧水噴射ノズルヘッドが回転しながら各ノズルより高圧水を噴射するようにした洗浄装置であって、高圧水噴射ノズルヘッドは複数個設けられると共に、各高圧水噴射ノズルヘッドをそれぞれ独立して回転駆動する各モーターが前記洗浄室から隔離された位置に設置された構造の洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許2705719号公報
【特許文献2】特開2002−166235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記したように、ホルダーを旋回円運動させる際の回転速度を上げれば上げるほど、洗浄密度が高まるが、一方でホルダーまたはホルダーを含む装置全体の振動が増大する。すなわち、この振動加速度は回転速度の2乗で増大するから、回転速度を2倍にすると振動加速度は4倍になり、回転速度を3倍にすると振動加速度は9倍になる。このため、特許文献1に記載のような手持ち式洗浄装置にあっては、作業者が手で持った状態で洗浄作業を継続するのが困難になる。
【0010】
図7はホルダー71に装着されるノズル72の数を6個(図7(a))から12個(図7(b))あるいは18個(図7(c))に増やした場合を示すが、これらの図から分かるように、ノズル数を増やすと、ホルダー71の全長が延びるだけでなく、ホルダー71の外径が大幅に大きくなるから、手持ち式洗浄装置としては不的確である。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、洗浄の高速化に確実に対応でき、しかも洗浄時の装置の振動を抑制でき、均一で効率的な洗浄を可能にする高圧水噴射洗浄装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために本発明(請求項1)に係る高圧水噴射洗浄装置は、複数の高圧水噴射ノズルを洗浄対象物に向けかつ相互に間隔をあけて共通のホルダーに配列するとともに、前記各高圧水噴射ノズルを前記ホルダーを介して一体的に旋回円運動させながら各高圧水噴射孔から高圧水を前記洗浄対象物に対し一本の直線状に噴射させて洗浄する高圧水噴射洗浄装置において、前記高圧水噴射ノズルに、複数の高圧水噴射孔を設けたことを特徴とする。
【0013】
上記の構成を有する請求項1に係る高圧水噴射洗浄装置によれば、複数の高圧水噴射ノズルがホルダーを介して一体的に旋回し円運動すると同時に、各ノズルに設けられた2以上の高圧水噴射孔から高圧水が噴射されるから、ノズルの大きさを拡大させることなく、洗浄対象物に対して高圧水を均一に且つ洗浄密度を高く保って噴射させられ、高い洗浄強度が得られ、洗浄ムラが生じにくい。また、洗浄の高速化を図るために洗浄対象物の移動速度を1.5倍〜2倍以上に速めても、ノズル(すなわちホルダー)の回転速度を一定に保つか若しくは大幅に上げることなく、洗浄密度の高い洗浄効果が得られる。したがって、ホルダーあるいはホルダーを含む装置の振動加速度が増大することがなく、振動が抑制される。
【0014】
本発明(請求項2)に係る高圧水噴射洗浄装置は、請求項1記載の高圧水噴射洗浄装置において、ケーシングの先端に高圧水噴射ノズルを設けたホルダーを備え、前記ケーシングの内部に回転自在に支持した支持軸を設け、この支持軸の先端側に軸心のずれた偏心部を形成し、この偏心部と前記支持軸とに軸受面が揺動可能な軸受を設け、この軸受に前記ホルダーの基部側を回転自在に支持し、前記ホルダーに高圧水チューブを連結した高圧水噴射洗浄装置であって、前記高圧水噴射ノズルに、複数の高圧水噴射孔を設けたことを特徴とする。
【0015】
上記の構成を有する請求項2に係る高圧水噴射洗浄装置によれば、複数の高圧水噴射ノズルがホルダーを介して一体的に旋回し円運動すると同時に、各ノズルに設けられた複数(2以上)の高圧水噴射孔から高圧水が噴射されるから、ノズルの大きさを拡大させることなく、洗浄対象物に対して高圧水を均一に且つ洗浄密度を高く保って噴射させられるので、高い洗浄強度が得られ、洗浄ムラが生じにくい。また、洗浄の高速化を図るために洗浄対象物の移動速度を1.5倍〜2倍以上に速めても、ノズル(すなわちホルダー)の回転速度を一定に保つか若しくは大幅に上げることなく、洗浄密度の高い洗浄効果が得られる。したがって、ホルダーあるいはホルダーを含む装置の振動加速度が増大することがなく、振動が抑制される。
【0016】
本発明(請求項3)に係る高圧水噴射洗浄装置は、請求項1記載の高圧水噴射洗浄装置において、洗浄対象物を洗浄装置本体に対し一定速度で移動させながら、前記洗浄装置本体の高圧水噴射ノズルから高圧水を前記洗浄対象物に噴射させて洗浄する高圧水噴射洗浄装置であって、前記洗浄対象物を横切る長さ以上の長さを有する共通のホルダー支持部材の一面に、複数の高圧水噴射ノズルをホルダーを介して前記洗浄対象物に向けかつ相互に間隔をあけて配列し、前記ホルダー支持部材の両側延長端部を、それぞれ同ホルダー支持部材の前記一面またはその延長面に直交する偏心回転軸および軸受部を介して偏心回転可能に支持するとともに、前記偏心回転軸を駆動装置にて回転させることにより前記ホルダー支持部材が旋回円運動するように構成し、前記各高圧水噴射ノズルに複数の噴射孔を設け、前記各高圧水噴射ノズルに高圧水を供給し、定速移動する前記洗浄対象物に対し旋回円運動する各高圧水噴射ノズルの複数の前記噴射孔から高圧水を噴射させるようにしたことを特徴とする。
【0017】
上記の構成を有する請求項3に係る高圧水噴射洗浄装置によれば、複数(2以上)の高圧水噴射孔を設けた複数の高圧水噴射ノズルを共通の一のホルダー支持部材の一面に配列し、旋回円運動(ある中心位置を中心に偏心量(半径)rで真円を描くように旋回)させながら洗浄対象物に高圧水を噴射して洗浄するので、例えば、複数のノズルをホルダーを介して等間隔に配列して各ノズルの2以上の噴射孔から高圧水を一直線状(ストレート)に噴射させることによって、洗浄対象物に対し洗浄強さを一定にして均一な洗浄が可能になるため、ガラス基板のような均一な洗浄が要求される部材を洗浄する際にも、一定の洗浄力が保て、洗浄対象物を損傷させるおそれがない。また、請求項1の洗浄装置による効果と同様に、洗浄作業の高速化を図っても、ノズルあるいはホルダー支持部材の旋回(円運動)の速度を増大する必要がなく、高い洗浄密度が得られるとともに、無用な振動の発生を防止できる。さらに、複数のノズルが位置する洗浄領域の外側に偏心回転駆動部を配置できるから、洗浄領域には発塵する部材がなく、したがってクリーン度の高い洗浄が可能になる。このため、FPDや半導体ウエハーなどの極めて高いクリーン度(10〜100以下)が要求される洗浄に、容易に対応できる。また、各ノズルを駆動装置で個々に回転(旋回円運動)させて洗浄する構造に比べて、構造があ簡単で、装置の組立が容易で、配管や配線作業に手間がかからず、コストダウンが図れる。
【0018】
本発明(請求項4)に係る高圧水噴射洗浄装置は、請求項1記載の高圧水噴射洗浄装置において、洗浄対象物を洗浄装置本体に対し一定速度で移動させながら、前記洗浄装置本体の高圧水噴射ノズルから高圧水を前記洗浄対象物の両面に噴射させて洗浄する高圧水噴射洗浄装置であって、前記洗浄対象物を横切る長さ以上の長さを有し、前記装置本体の厚み方向の中心軸線を挟んで平行に配置される一対のホルダー支持部材の対向面に、それぞれ複数の高圧水噴射ノズルをホルダーを介して相対向させかつ相互に間隔をあけて配列し、前記各ホルダー支持部材の両端部を一体に結合するとともに、両端結合部からそれぞれ前記装置本体の中心軸線に沿って両側方へそれぞれ連結板を延設し、前記各連結板の端部を、その一面に直交する偏心回転軸および軸受部を介して偏心回転可能に支持するとともに、前記偏心回転軸を駆動装置にて回転させることにより前記ホルダー支持部材が旋回円運動するように構成し、前記各高圧水噴射ノズルに複数の噴射孔を設け、前記各高圧水噴射ノズルに高圧水を供給し、定速移動する前記洗浄対象物の両面に対し旋回円運動する各高圧水噴射ノズルの複数の前記噴射孔から高圧水を噴射させるようにしたことを特徴とする。
【0019】
上記の構成を有する請求項4に係る高圧水噴射洗浄装置によれば、上記した請求項4に記載の高圧水噴射洗浄装置と同様な作用効果が達成されるほか、洗浄対象物の両面を同時に洗浄できる上に、洗浄装置本体が中心軸線を挟んでバランスが図られる。
【0020】
請求項5に記載のように、請求項2〜4のいずれかに記載の高圧水噴射装置において、前記ホルダーに3個の高圧水噴射ノズルを設け、各高圧水噴射ノズルに設ける複数の高圧水噴射孔の向きを一定の方向に揃えることが好ましい。
【0021】
請求項5に記載の高圧水噴射洗浄装置によれば、各高圧水噴射ノズルの外径(例えば5mm程度)を噴射孔が1つのノズルと同一若しくはわずかに(例えば1mm程度)拡げるだけで3つに増やすことができ、この結果、特に洗浄密度に関してノズル数を3倍に増やしたのとほぼ同等の効果が得られ、しかも構造が複雑にならず重量も増大することがない。したがって、ノズル(ホルダー)の回転速度を上げずに、洗浄対象物の移動速度を上げる高速化に対応することができる。さらに、噴射孔の向きを一定方向に揃えたことにより、洗浄水の軌跡がだぶることが無く、効率よく洗浄することができる。
【0022】
請求項6に記載のように、請求項1〜5のいずれかに記載の高圧水噴射装置において、前記各高圧水噴射ノズルに3つの噴射孔をほぼ等間隔に設けることができる。
【0023】
請求項6記載の高圧水噴射洗浄装置によれば、請求項5の洗浄装置と同様に、各高圧水噴射ノズルの外径(例えば5mm程度)を噴射孔が1つのノズルと同一若しくはわずかに(例えば1mm程度)拡げるだけで3つに増やすことができ、この結果、特に洗浄密度に関してノズル数を3倍に増やしたのとほぼ同等の効果が得られ、しかも構造が複雑にならず重量も増大することがない。したがって、ノズル(ホルダー)の回転速度を上げずに、洗浄対象物の移動速度を上げる高速化に対応することができる。
【0024】
請求項7に記載のように、請求項1〜5のいずれかに記載の高圧水噴射洗浄装置において、3つの高圧水噴射孔を設けたノズル本体の円形の一部を直線状に切除し、このノズル本体の形状に対応する孔部をホルダーに形成して前記ノズル本体をホルダーに埋設するか、前記ノズル本体の形状に対応する孔部をホルダーに形成するとともに,同孔部の内周の一部にて内向きの突出部を設け、この突出部に対応する凹部をノズル本体の周囲の一部に形成して前記ノズル本体の凹部をホルダーの突出部に嵌め込み埋設するかしたことを特徴とする。
【0025】
請求項7記載の高圧水噴射洗浄装置によれば、高圧水噴射孔の向きを確実に一定方向に揃えることができ、高圧水の軌跡がだぶることが無く、効率よく洗浄することができる。また、請求項5の洗浄装置と同様に、特に洗浄密度に関してノズル数を3倍に増やしたのとほぼ同等の効果が得られ、しかも構造が複雑にならず重量も増大することがなく、したがって、ノズル(ホルダー)の回転速度を上げずに、洗浄対象物の移動速度を上げる高速化に対応することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る高圧水噴射洗浄装置は上記の構成を有するから、下記のような優れた効果を奏する。すなわち、
複数の高圧水噴射ノズルがホルダーを介して一体的に旋回し円運動すると同時に、各ノズルに設けられた複数(2以上)の高圧水噴射孔から高圧水が噴射されるから、ノズルの大きさを拡大させることなく、洗浄対象物に対して高圧水を均一に且つ洗浄密度を高く保って噴射させられるので、高い洗浄強度が得られ、洗浄ムラが生じにくい。また、洗浄の高速化を図るために洗浄対象物の移動速度を例えば1.5倍〜2倍以上に速めても、高圧水噴射ノズル(ホルダー)の回転速度を例えば1500rpm〜2000rpm以下に設定して高い洗浄密度で且つ強い洗浄力で均一に洗浄でき、ホルダーあるいはホルダーを含む装置の振動加速度が増大せず振動が抑制され、洗浄密度の高い洗浄効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明に係る高圧水噴射洗浄装置の実施の形態について説明する。
【0028】
図1は本発明の高圧水噴射洗浄装置の第1実施例を示す、側面視断面図およびA方向矢視図である。ここで、本発明に係る高圧水噴射洗浄装置の第1実施例について図1に基づき説明する。
【0029】
本実施例の高圧水噴射洗浄装置1は、図1に示すように、駆動モータ23およびベベルギヤ34、35の機構が用いられるとともに、偏心構造により高圧水噴射ノズルnを円錐状に回転させる構成であり、また、高圧水噴射ノズルnへ供給する高圧水を遮断する開閉弁32をケーシング33の把持部33a内に設けている。洗浄装置1のケーシング33は円管状に形成され、前後方向の後部下端には把持部33aが一体的に形成されている。この把持部33a内に駆動モータ23が設けられており、この駆動モータ23の上部に駆動側ベベルギヤ34が設けられ、ケーシング33の軸心方向略中央部には、駆動側ベベルギヤ34と噛合する従動側ベベルギヤ35が横向きに設けられている。従動側ベベルギヤ35の軸心には、軸心に高圧水通路を形成した支持軸27が結合され、この支持軸27はケーシング33側に設けられた軸受26により回転自在に支持されている。
【0030】
また、先端側と基端側とで軸心を偏心させたロータ部材28に設けた自動調心玉軸受29により支持軸27を支持しており、高圧水噴射ノズルnのホルダー30は、この偏心量に応じた傾斜状態となっている。したがって、支持軸27の回転に伴って高圧水噴射ノズルnを設けたホルダー30が円錐状に運動するよう構成されている。また、このホルダー30の円錐状に運動するほぼ起点となる支持軸27の後端に高圧水チューブ31が高圧水継手31aを介して連結されており、ケーシング33内において高圧水チューブ31が螺旋状に形成され、この螺旋状の部分において支持軸27から伝わる変位を吸収するように構成されている。そして、ケーシング33の後部下端から一体的に下向きに延設した把持部33aの下部に、高圧水チューブ31の通路を遮断する開閉弁32が設けられている。
【0031】
この開閉弁32は、把持部33aに設けた噴射レバー36を放した状態の閉鎖時には、バネ32aの力によりスプール32bが常時、図において上方に押圧された状態となり、この状態では、スプール32bの先端に設けられたポペット32dが高圧水通路32cの下に位置して通路を遮断した状態となっている。この状態から噴射レバー36をスプリング32aの力に抗して押圧すると、スプール32bが図において下方へ移動し、この状態では、スプール32bの先端に設けられたポペット32dが高圧水通路32cから外れるため、高圧水は高圧水通路32cを通って高圧水チューブ31から高圧水噴射ノズルnへと供給される。このように、洗浄装置1の噴射レバー36を作業者が操作することにより、作業状態や作業場所に応じて高圧水の噴射を操作しながら効率の良い作業を行うことが可能となる。
【0032】
ホルダー30の先端面30aは断面円弧状で球面の一部をなし、正面より見て円形の先端面30aの円周方向に等間隔に6個の高圧水噴射ノズルnが埋設されている。各噴射ノズルnには、3つの高圧水噴射孔nkが等間隔に穿設されており、支軸27の高圧水通路がホルダー30の基端の給水部30bに接続されている。ホルダー30内の給水部30bから各噴射ノズルnに向け、高圧水通路30cが放射状に穿設されている。
【0033】
以上の構成からなる高圧水噴射洗浄装置1について、洗浄態様を説明する。
【0034】
図1において、洗浄装置1の噴射レバー36を作業者が操作することにより、6個の高圧水噴射ノズルnを洗浄対象物に向け高圧水を噴射させながら、洗浄作業を行う。このとき、6個の高圧水噴射ノズルnはホルダー30とともに、例えば800rpmで回転しながらかつ半径方向に偏心揺動する。しかも、各高圧水噴射ノズルnの3つの高圧水噴射孔nkから高圧水が噴射されるので、高い洗浄密度で且つ強い洗浄力で均一に洗浄できる。
【0035】
ところで、図2(a)は従来の洗浄装置に使用されている高圧水噴射ノズルnを示す正面図および断面図で、図2(b)(c)は本発明の実施例に係る洗浄装置1に使用する高圧水噴射ノズルnの一例を示す正面図および断面図である。すなわち、従来の洗浄装置では、図2(a)に示すように、ステンレス製のノズル本体n1の中心部に設けられたチップ孔n2に、ダイヤモンドやサファイヤなどの宝石の中心位置に噴射孔n4を穿設したノズルチップn3が埋設され、ノズル本体n1の1つの高圧水噴射孔nkから高圧水が噴射される。なお、n5はストレート孔、n6は先方に向けて円錐状に拡径したテーパー孔である。
【0036】
これに対し、本発明の洗浄装置1では、図2(b)(c)に示すように、ステンレス製のノズル本体n1の中心部周囲に3つのチップ孔n2が円周方向に等間隔に設けられ、ダイヤモンドやサファイヤなどの宝石の中心位置に噴射孔n4を穿設したノズルチップn3が各チップ孔n2にそれぞれ埋設され、ノズル本体n1の3つの高圧水噴射孔nkから高圧水が噴射される。とくに、図2(c)に示す高圧水噴射ノズルnでは、ノズル本体n1の中心軸線sに対しチップ孔n2、ストレート孔n5およびテーパー孔n6が先方に向けて放射状に拡がるように形成されており、ノズル本体n1の3つの高圧水噴射孔nkから噴射される高圧水が離れるにしたがって間隔が拡がる。このため、洗浄対象物に各高圧水噴射孔n4(nk)からの高圧水がチップ孔n2の間隔よりも大きく拡がった状態で当たる。図8−a、図8−bは図2(c)の高圧水噴射ノズルnによる洗浄水の軌跡を表し、図10−a、図10−bは図2(b)の高圧水噴射ノズルnによる洗浄水の軌跡を表しているが、図2(c)の高圧水噴射ノズルnの方が洗浄水の重なりがなく均一性に優れていることが認められるとともに、3個のノズルチップn3を埋め込むノズル本体n1の外径を小さく(5mm〜6mm程度に)できるという利点がある。
【0037】
また1個の高圧水噴射ノズルnに設ける高圧水噴射孔nkの数が3つの場合はもちろんのこと、2つの場合にも、高圧水噴射孔nkの配置(方向性)をランダムではなく、一定の方向に揃えることが望ましい。一方、図9は高圧水噴射孔nkの数が3つでランダムな場合の高圧水の軌跡を表すが、この場合には高圧水の軌跡が一部重なっている。これに対し、図8は高圧水噴射孔nkの数が3つで一定の方向に揃えた場合の高圧水の軌跡を表しているが、この場合には高圧水の軌跡の重なりがない。
【0038】
このように、3つの高圧水噴射孔nkを一定の方向に揃えるために、3つのノズルチップn4(高圧水噴射孔nk)を埋設するノズル本体n1を、図3(a−1)に示すように正面より見て円形の一部を直線状に切除した形状にし、図3(a−2)のようにこの形状に対応する孔部n7をホルダーn8に形成して図3(a−3)のようにノズル本体n1をホルダーn8に埋設したり、同ノズル本体n1を、図3(b−1)に示すように正面より見て円形の一部にピン孔部n9を形成し、図3(b−2)のようにこの形状に対応する孔部n10をホルダーn8に形成したのち、図3(b−3)のようにノズル本体n1をホルダーn8に埋設してピン孔部n9をピンn11の突出部に嵌め込んだりして、ノズル本体n1をホルダーn8に対し位置決めし、3つの高圧水噴射孔nkの方向性を一定に揃えることができる。
【0039】
以上に説明した3つの3つの高圧水噴射孔nk(ノズルチップn4)を埋設したノズル本体n1については、後述する本発明の第2・第3の実施例に係る高圧水噴射洗浄装置にも適用される。
【0040】
続いて、本発明に係る高圧水噴射洗浄装置の第2実施例について図11に基づき説明する。図11(a)は本発明の高圧水噴射洗浄装置の第2実施例を示す、一部を断面で表した正面図、図11(b)は図11(a)のA−A断面図、図11(c)は図11(a)のC−C矢視図である。図12は本発明の高圧水噴射洗浄装置の第2実施例を示す平面図、図13は本発明の高圧水噴射洗浄装置の第1実施形態を示す底面図、図14(a)は図11(a)の向かって左側の支持台とその近傍を拡大して示す正面図、図14(b)は回転軸偏心部と上下の回転軸とを取り出して概略的に示す説明図、図14(c)は図14(b)に示す回転軸の平面図である。図15は図14(a)の平面図である。図16は図11(a)の洗浄装置本体の一部を拡大して示す中央縦断面図、図17は図16のA−A断面図、図18は図16のC−C断面図である。
【0041】
これらの図に示すように、本実施例の高圧水噴射洗浄装置1’は、機枠2の両側部上に支持台3・3を備えている。各支持台3は支柱3aを備え、両側の支柱3aの上部間が横桁18で結合されている。支柱3aの上部正面に側方より見て略コの字形のブラケット3bおよび支持板3cを介して、洗浄装置本体5が回転可能にボルト3d・3eにより支持されており、洗浄装置本体5は両側の支持台3間に跨って支持されている。また、横桁18の長手方向に間隔をあけて、左右一対の下向きに凹状の保護枠19が洗浄装置本体5の上部を取り囲むように取り付けられている。
【0042】
洗浄装置本体5は、図17に示すように角筒体状のフラットバーからなる中空のホルダー支持部材(以下、中空支持部材という)6を備えており、この中空支持部材6の下面に取付ブラケット8を突設し、多数の高圧水噴射のノズル7nを板状のホルダー7nhに千鳥状に等間隔に2列配設して構成したノズルヘッド部7が、取付ブラケット8に下向きにボルト8aにて固定されている。各ノズル7nには、図1・図17のように先端(下端)面に3つの高圧水噴射孔7nkが等間隔に穿設され、各高圧水噴射孔7nkの向きを後述する洗浄対象物xに対し垂直(直角)になるように揃えている。ホルダー7nhおよびノズルヘッド部7には、長手方向に沿って高圧水供給路9a・9bが穿設され、図16に示すように高圧水タンク10aから可撓性を有する螺旋状の金属製配管10を介してホルダー7nhの高圧水供給路9bの一端に接続され、その高圧水供給路9bからノズルヘッド部7の高圧水供給路9aを通って各ノズル7nの3つの高圧水噴射孔7nkへ高圧水が供給され、各ノズル7nの3つの高圧水噴射孔7nkから一直線状に高圧水が噴射される。ノズル7nの外径や高圧水噴射孔7nkの口径については、限定するものではないが、本実施例では、ノズル7nの外径が6mmで、高圧水噴射孔7nkの口径を0.15mm〜0.3mmにしている。なお、金属製の高圧水チューブ10は可撓性を備えていれば螺旋状にしなくてもよく、例えば直線状にして高圧水チューブ10の全体が湾曲するようにしてもよい。
【0043】
上記のようにして本発明の第2実施例に係る高圧水噴射洗浄装置が構成されるが、以下にその洗浄作業の態様を説明する。
【0044】
まず、洗浄室内において、洗浄対象物Xが例えばガラス基板の場合、ローラコンベヤ40上に載置され、搬入場所から洗浄装置本体5の下方へ一定の速度で搬送される。この状態で、左右のサーボモータ17の駆動が開始され、回転軸15が回転し、この回転軸15の回転で円柱体状の回転軸偏心部14が偏心回転し、軸受ハウジング部12を介して洗浄装置本体5が旋回円運動する。続いて、高圧水タンク10aから高圧の洗浄液体を可撓性の金属製高圧水チューブ10を介して高圧水供給路9bおよびノズルヘッド部7の高圧水供給路9aを通して各ノズル7nへ供給される。各ノズル7nは真円形を描くように旋回しながら、各高圧水噴射孔7nkから直線状に高圧の洗浄液体が噴射される。一方、洗浄対象物Xが洗浄装置本体5の下方へ定速で搬送されてくる。この状態で、洗浄対象物Xの一面に対し高圧の洗浄液が噴射され、図19(b)に示されるような洗浄液体の軌跡を描き、洗浄強度にバラツキのない洗浄作業が遂行される。すなわち、図19(a)に示すように、本実施例ではノズル7nをホルダー7nhに相互に等間隔になるように千鳥状に2列配置し、洗浄面の全面にわたり均一性を保つようにしている。また、各ノズル7nの先端面に対し3つの高圧水噴射孔7nkを等間隔に穿設している。そして、この状態で、各ノズル7nは真円形を描くように回転しながら、各高圧水噴射孔7nkから直線状に高圧水(超純水や薬液など)を噴射するので、図19(b)に示されるような洗浄水の軌跡を描き、洗浄強度にバラツキのない洗浄作業が達成される。
【0045】
なお、本実施例の高圧水噴射洗浄装置1では、洗浄装置本体5(ノズルヘッド部7および中空支持部材6を含む)が真円を描くように旋回し円運動(揺動回転)するので、中空支持部材6を含む洗浄装置本体5自体のバランスおよび中空支持部材6を含む洗浄装置本体5の旋回円運動時の両側支持台3に対するバランスを含む高圧水噴射洗浄装置1全体のバランスを図ることが重要である。そこで、中空支持部材6の厚み方向の中間位置を通る長手方向の中心軸線Mを中心に挟んで、ノズル部7(および高圧水供給路9a・9b)との質量(およびモーメント)のバランスを図るため、フラットバー状のカウンタウエイト21を中空支持部材6の上面に一定間隔をあけて突設した複数のブラケット22に、ボルト22aで取り付けている。
【0046】
また、回転軸偏心部14を挟んで上下の回転軸15に対し、洗浄装置本体5の旋回円運動時に生じるモーメントを打ち消すように半円板体状のカウンタウエイト25をそれぞれ一体回転可能に取り付けている。つまり、回転軸15の中心軸線Sを挟んで洗浄装置本体5の揺動回転方向と対称的な位置に、カウンタウエイト25を取り付けており、左右の回転軸15に対してはカウンタウエイト25は同一方向に配置されている。この結果、回転軸15の回転時に、中心軸線Sを挟んで洗浄装置本体5の旋回方向と相対称位置にカウンタウエイト25が変位し、洗浄装置本体5の旋回円運動時に発生しようとするモーメントの発生を打ち消す。したがって、両側の支持台3を含め高圧水噴射洗浄装置1全体には無用なモーメントが発生せず、振動が生じない。
【0047】
図20〜図22は本発明に係る高圧水噴射洗浄装置の第3実施例を示すもので、以下に説明する。図20は本発明の高圧水噴射洗浄装置の第3実施例を示す、一部を断面で表した正面図で、図21は図20のB−B断面図、図22は図20のC−C断面図である。
【0048】
これらの図に示すように、本実施例の高圧水噴射洗浄装置1”が上記第2実施例の高圧水噴射洗浄装置1’と相違するのは、以下の点である。すなわち、
上記洗浄装置1’では洗浄対象物Xの片面(上面)を洗浄する構成であったが、本実施例の洗浄装置1”では洗浄対象物Xの両面を同時に洗浄する構成としている。このため、洗浄装置本体5’を構成する角筒体状で中空支持部材6の一対を所定間隔をあけて上下に平行にかつ相対向させて配置し、上下の中空支持部材6・6の両側部を板状の接続部材20でそれぞれ一体に接続し、各接続部材20の上下方向の中間位置から側方(外方)へ向けて連結板11を一体に延設している。
【0049】
各連結板11には、円形または長円形の開口11aを設けて軽量化を図っており、それらの一端(外端)にリング状の軸受ハウジング12を一体に連結し、この軸受ハウジング12内に軸受13を介して円柱体状回転軸偏心部14を回転可能に配装している。また、回転軸偏心部14の中心位置から偏心させた位置に、支持台3に軸受ハウジング16を介して回転可能に支持される上下の回転軸15(図14)を一体回転可能に連結し、それぞれサーボモータ17によりほぼ同期させて回転駆動し、洗浄装置本体5を旋回円運動動させることにより、複数の各ノズル7nを真円を描くように旋回させる。
【0050】
上下のホルダー支持部材6・6の相対向面に、ノズル7nをホルダー7nhを介して相互に等間隔に千鳥状に2列配置したノズルヘッド部7を装着している。本例の場合、図20のように上下のノズル7nの先端面間に、洗浄対象物Xが通過しかつ洗浄対象物(図示せず)の両面に対し高圧水を噴射させて洗浄可能な隙間tを設けている。
【0051】
その他の構成については、上記第2実施例に係る高圧水噴射洗浄装置1’と共通するので、共通の部材については同一の符号を用いて図面に示し、説明を省略する。
【0052】
以上に、本発明に係る高圧水噴射洗浄装置について3つの実施例を示したが、これらに限定されるものではなく、例えば、下記のように実施することができる。
【0053】
・上記実施例では、各ノズル7nに3つの高圧水噴射孔7nkを設けたが、洗浄対象物xの移動速度が、例えば80mm/秒から100mm/秒程度に上昇する場合には、各ノズル7nの高圧水噴射孔7nkの数を2つにしても十分に対応できる。高圧水噴射孔7nkが2つであれば、ノズル7nの外径を5mm程度に小さくできる。
【0054】
・本願発明に係る高圧水噴射洗浄装置1’または1”と、本発明に係る高圧水噴射装置1とを組み合わせて高圧水噴射洗浄装置を構成することもできる。
【0055】
図20に示す洗浄軌跡は、各ノズル7nの旋回速度が1800rpmで、洗浄対象物の移動速度が120mm/秒の場合を表している。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の高圧水噴射洗浄装置の第1実施例を示す、側面視断面図およびA方向矢視図である。
【図2】図2(a)は従来の洗浄装置に使用されている高圧水噴射ノズルnを示す正面図および断面図で、図2(b)は本発明の実施例に係る洗浄装置1に使用する高圧水噴射ノズルnの一例を示す正面図、図2(c)は同断面図である。
【図3】図3(a−1)〜図3(a−3)は3つの高圧水噴射孔nkを一定の方向に揃えるための実施例を示す説明図、図3(b−1)〜図3(b−3)は同じく他の実施例を示す説明図である。
【図4−a】ホルダーに高圧水噴射孔が1つの6個のノズルを装着した洗浄装置における定位置で旋回して円運動させた状態を示す洗浄水の軌跡図である。
【図4−b】ホルダーに高圧水噴射孔が1つの6個のノズルを装着した洗浄装置におけるホルダーを400rpmで旋回円運動させ、洗浄装置を相対的に4m/minで移動している状態を示す洗浄水の軌跡図である。
【図5−a】ホルダーに高圧水噴射孔が1つの6個のノズルを装着した洗浄装置においてホルダーの円運動速度を上げた洗浄水の軌跡を示すもので、相対移動速度を4m/minに保ってホルダーの旋回円運動速度を800rpmに上げた状態を示す洗浄水の軌跡図である。
【図5−b】ホルダーに高圧水噴射孔が1つの6個のノズルを装着した洗浄装置において相対移動速度を4m/minに保ってホルダーの旋回円運動速度を1200rpmに上げた状態を示す軌跡図である。
【図6−a】ホルダーに高圧水噴射孔が1つの12個のノズルを装着した洗浄装置においてホルダーの円運動速度を上げた洗浄水の軌跡を示すもので、相対移動速度を4m/minに保ってホルダーの旋回円運動速度を800rpmに上げた状態を示す洗浄水の軌跡図である。
【図6−b】ホルダーに高圧水噴射孔が1つの12個のノズルを装着した洗浄装置において相対移動速度を4m/minに保ってホルダーの旋回円運動速度を1200rpmに上げた状態を示す軌跡図である。
【図7】図7(a)はホルダー71に装着されるノズル72の数が6個の場合を示す説明図、図7(b)は12個に増やした場合を示す説明図、図7(c)は18個に増やした場合を示す説明図である。
【図8−a】図2(c)の高圧水噴射ノズルnによる定位置でホルダーの旋回円運動速度を400rpmにした洗浄水の軌跡図である。
【図8−b】図2(c)の高圧水噴射ノズルnによる相対移動速度を4000mm/minに保ってホルダーの旋回円運動速度を400rpmにした洗浄水の軌跡図である。
【図9】6個の高圧水噴射ノズルnで高圧水噴射孔nkの数が3つでランダムな場合の洗浄水の軌跡図である。
【図10−a】図2(b)の高圧水噴射ノズルnによる定位置でホルダーの旋回円運動速度を400rpmにした洗浄水の軌跡図である。
【図10−b】図2(b)の高圧水噴射ノズルnによる相対移動速度を4000mm/minに保ってホルダーの旋回円運動速度を400rpmにした洗浄水の軌跡図であ
【図11】図11(a)は本発明の高圧水噴射洗浄装置の第2実施例を示す、一部を断面で表した正面図、図11(b)は図11(a)のA−A断面図、図11(c)は図11(a)のC−C矢視図である。
【図12】本発明の高圧水噴射洗浄装置の第2実施例を示す平面図である。
【図13】本発明の高圧水噴射洗浄装置の第2実施例を示す底面図である。
【図14】図14(a)は図11の向かって左側の支持台とその近傍を拡大して示す正面図、図14(b)は回転軸偏心部と上下の回転軸とを取り出して概略的に示す説明図、図14(c)は図14(c)は図14(b)に示す回転軸の平面図である。
【図15】図14(a)の平面図である。
【図16】図11(a)の洗浄装置本体の一部を拡大して示す中央縦断面図である。
【図17】図16のA−A断面図である。
【図18】図12のC−C断面図である。
【図19】図19(a)は高圧水噴射孔7nkが3つのノズル7nをホルダー7nhに相互に等間隔になるように千鳥状に2列配置した状態を模式的に表した底面図、図19(b)は同ノズルヘッド部7による洗浄水の軌跡図である。
【図20】本発明の高圧水噴射洗浄装置の第3実施例を示す、一部を断面で表した正面図である。
【図21】図20のB−B断面図である。
【図22】図20のC−C断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1・1’・1”高圧水噴射洗浄装置
2 機枠
3 支持台
3a支柱
3bブラケット
3c支持板
3d・3eボルト
5・5’洗浄装置本体
6 ホルダー支持部材(中空支持部材)
7 ノズルヘッド部
7nノズル
7nhノズルホルダー
7nk高圧水噴射孔
8 取付ブラケット
8aボルト
9a・9b 高圧水供給路
10 金属製配管(金属製高圧水チューブ)
10a高圧水タンク
11 連結板
11a開口
12 軸受ハウジング(軸受ハウジング部・軸受部)
13 軸受
14 回転軸偏心部
15 回転軸(偏心回転軸)
16 軸受ハウジング
17 サーボモータ
17a回転駆動軸
18 横桁
19 保護枠
20 接続部材
21・25 カウンタウエイト
22 ブラケット
22aボルト
23 駆動モータ
26 軸受
27 支持軸
28 ロータ部材
29 自動調心玉軸受
30 ホルダー
30aホルダー30の先端面
30b給水部
30c高圧水通路
31 高圧水チューブ
31a高圧水継手
32 開閉弁
32aバネ(スプリング)
32bスプール
32c高圧水通路
32dポペット
33 ケーシング
33a把持部
34・35 ベベルギヤ
36 噴射レバー
40 ローラコンベヤ
n 高圧水噴射ノズル
n1 ノズル本体
n2 チップ孔
n3 ノズルチップ
n4・nk 高圧水噴射孔
n5 ストレート孔
n6 テーパー孔
n7 孔部
n8 ホルダー
n9 ピン孔部
n10 孔部
n11 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の高圧水噴射ノズルを洗浄対象物に向けかつ相互に間隔をあけて共通のホルダーに配列するとともに、前記各高圧水噴射ノズルを前記ホルダーを介して一体的に旋回円運動させながら各高圧水噴射孔から高圧水を前記洗浄対象物に対し一本の直線状に噴射させて洗浄する高圧水噴射洗浄装置において、
前記高圧水噴射ノズルに、複数の高圧水噴射孔を設けたことを特徴とする高圧水噴射洗浄装置。
【請求項2】
前記高圧水噴射洗浄装置が、
ケーシングの先端に高圧水噴射ノズルを設けたホルダーを備え、前記ケーシングの内部に回転自在に支持した支持軸を設け、この支持軸の先端側に軸心のずれた偏心部を形成し、この偏心部と前記支持軸とに軸受面が揺動可能な軸受を設け、この軸受に前記ホルダーの基部側を回転自在に支持し、前記ホルダーに高圧水チューブを連結した高圧水噴射洗浄装置であることを特徴とする請求項1記載の高圧水噴射洗浄装置。
【請求項3】
前記高圧水噴射洗浄装置が、洗浄対象物を洗浄装置本体に対し一定速度で移動させながら、前記洗浄装置本体の高圧水噴射ノズルから高圧水を前記洗浄対象物に噴射させて洗浄する高圧水噴射洗浄装置であって、
前記洗浄対象物を横切る長さ以上の長さを有する共通のホルダー支持部材の一面に、複数の高圧水噴射ノズルをホルダーを介して前記洗浄対象物に向けかつ相互に間隔をあけて配列し、
前記ホルダー支持部材の両側延長端部を、それぞれ同ホルダー支持部材の前記一面またはその延長面に直交する偏心回転軸および軸受部を介して偏心回転可能に支持するとともに、前記偏心回転軸を駆動装置にて回転させることにより前記ホルダー支持部材が旋回円運動するように構成し、
前記各高圧水噴射ノズルに高圧水を供給し、定速移動する前記洗浄対象物に対し旋回円運動する各高圧水噴射ノズルの複数の高圧水噴射孔から高圧水を噴射させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の高圧水噴射洗浄装置。
【請求項4】
前記高圧水噴射洗浄装置が、洗浄対象物を洗浄装置本体に対し一定速度で移動させながら、前記洗浄装置本体の高圧水噴射ノズルから高圧水を前記洗浄対象物の両面に噴射させて洗浄する高圧水噴射洗浄装置であって、
前記洗浄対象物を横切る長さ以上の長さを有し、前記装置本体の厚み方向の中心軸線を挟んで平行に配置される一対のホルダー支持部材の対向面に、それぞれ複数の高圧水噴射ノズルをホルダーを介して相対向させかつ相互に間隔をあけて配列し、
前記各ホルダー支持部材の両端部を一体に結合するとともに、両端結合部からそれぞれ前記装置本体の中心軸線に沿って両側方へそれぞれ連結板を延設し、
前記各連結板の端部を、その一面に直交する偏心回転軸および軸受部を介して偏心回転可能に支持するとともに、前記偏心回転軸を駆動装置にて回転させることにより前記ホルダー支持部材が旋回円運動するように構成し、
前記各高圧水噴射ノズルに高圧水を供給し、定速移動する前記洗浄対象物の両面に対し旋回円運動する各高圧水噴射ノズルの複数の前記噴射孔から高圧水を噴射させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の高圧水噴射洗浄装置。
【請求項5】
前記ホルダーに3個の高圧水噴射ノズルを設け、各高圧水噴射ノズルに設ける複数の高圧水噴射孔の向きを一定の方向に揃えたことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の高圧水噴射装置。
【請求項6】
前記各高圧水噴射ノズルに3つの高圧水噴射孔をほぼ等間隔に設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高圧水噴射洗浄装置。
【請求項7】
3つの高圧水噴射孔を設けたノズル本体の円形の一部を直線状に切除し、このノズル本体の形状に対応する孔部をホルダーに形成して前記ノズル本体をホルダーに埋設するか、前記ノズル本体の形状に対応する孔部をホルダーに形成するとともに,同孔部の内周の一部にて内向きの突出部を設け、この突出部に対応する凹部をノズル本体の周囲の一部に形成して前記ノズル本体の凹部をホルダーの突出部に嵌め込み埋設するかしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高圧水噴射洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4−a】
image rotate

【図4−b】
image rotate

【図5−a】
image rotate

【図5−b】
image rotate

【図6−a】
image rotate

【図6−b】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8−a】
image rotate

【図8−b】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10−a】
image rotate

【図10−b】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2009−277933(P2009−277933A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128542(P2008−128542)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(308007505)カワサキプラントシステムズ株式会社 (51)
【Fターム(参考)】