説明

高圧水銀ランプ

【課題】簡素な構造及び製造方法でランプ後方からの光漏れの防止および発光管封止部溶接点の冷却ならびに電力供給用Niリード線の溶接強度の向上を容易かつ低コストで実現できるランプ構造を提供する。
【解決手段】一対の電極を有する発光管内に少なくとも水銀とハロゲンと共に希ガスが封入された発光管1を有する反射鏡付高圧水銀ランプにおいて、前記高圧水銀ランプの反射鏡に接着されている封止部側から突出したリード線と、外部からの電力供給線である外部リード線との結線が、金属製漏斗状部材7を介して溶接され、前記金属製漏斗状部材7の大きな開口部が前記発光管1の封止部端部を覆っていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶プロジェクタの光源装置等に用いられる高圧水銀ランプについて、ランプの設計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、こうした光源装置は、主にプロジェクタや映写機などに使用されており、最近では、ホームシアターやプロジェクションTV等へ使用されて一般家庭へ普及し始めている。これらに使われているランプは、明るさ、色味等を良くする為に、非常に高い圧力となるように水銀が封入された石英ガラス製の発光管と発光管から放射される光を反射させるリフレクタを組み合わせた構造となっている。しかしながら、近年市場価格の急激な低下に伴い、ランプの低コスト化の要求が非常に強くなってきている。このような動向に対応するため、従来は発光管後端に金属製の口金を固着した後にリフレクタと固着させる構造をとっていたが、発光管と口金を固着させずにリフレクタと直接固着し、発光管と口金の固着工程を省き生産コストを極力抑えるような構造が主流となってきている。また、従来はランプとプラグの接続を口金に備えてあるネジ溝を使用して接続していたが、発光管から伸びているランプ後方のMoリード線にNiリードを介してプラグ線を接続して使用したりしている。
【0003】
一方、従来構造では口金により遮光されていた発光管後端からの光漏れによりランプハウス壁面の温度上昇および紫外線による劣化が問題となるようになってきている。このような問題点を解決するための構成として、特許文献1にはランプ後方の発光管封止部を遮光性の接着剤や塗料で覆い、ランプ後方への光漏れを抑える方法が開示されている。
また、従来は金属製口金の放熱・伝熱作用により冷却効率が高くなっていたため、口金を外すと封止部溶接点の温度が上昇し、発光管封止部の信頼性に問題が発生し易くなってきている。
プラグ線との結線に利用する電力供給用Niリード5は発光管の電流供給用Moリード線4と溶接する際に、電力供給用Niスリーブ5を介することにより、溶接強度の向上や安定性を得られ易い。
【0004】
【特許文献1】特開2005−259678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明においては、簡素な構造及び製造方法でランプ後方からの光漏れの防止および発光管封止部溶接点の冷却ならびに電力供給用Niリード線の溶接強度の向上を容易かつ低コストで実現できるランプ構造を提供するものである。
【0006】
特許文献1の構成とすることにより、ランプ後方への光漏れを防止することができるが、発光管の封止部が接着剤や塗料で覆われるために冷却性能が落ちるとともに、光が散乱や吸収されるため、発光管封止部の溶接点温度が上昇して、信頼性に悪影響を与え易くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、一対の電極と、少なくとも水銀ならびにハロゲンと共に希ガスが封入された発光管を有する反射鏡付高圧水銀ランプにおいて、前記高圧水銀ランプの反射鏡に接着されている前記発光管の封止部側から突出したリード線と、外部からの電力供給線である外部リード線との結線が、金属製漏斗状部材を介して溶接され、前記金属製漏斗状部材の大きな開口部が前記発光管の封止部端部を覆っていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本考案の構成によれば、反射鏡の後方で発光管からのリード線と外部からの電力供給線とが漏斗状の大きな開口部が反射鏡の開口部と同じ向きに設けられた金属部材にて結線されるため、発光管封止部からランプ後方への光漏れを防止することができ、また、前記リード線と電力供給線とが熱伝導性の良い漏斗状の大きな金属部材にて結線されているため、発光管封止部内の溶接点温度の上昇を抑え、溶接点の酸化を防ぐことができ、Moリード線とNiリード線のどちらにも溶接性の良い、大きな金属部材を用いることで、電力供給用Niリード線と発光管からのリード線との溶接強度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本例では、反射鏡の後方で発光管からのリード線と外部からの電力供給線とが漏斗状の大きな開口部が反射鏡の開口部と同じ向きに設けられた金属部材にて結線されている。以下、実施例について図1を用いて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は一つの実施例のランプ側面図である。
発光管1はリフレクタ2に固着されており、反射鏡の開口部と反対側の反射鏡後方の発光管封止部から伸びるMoリード線4には、Ni製の金属製漏斗状部材7が溶接されている。また外部からの電力供給用Niリード5は金属製漏斗状部材7を介してMoリード線4に溶接されている。
【0011】
ランプ点灯電力250Wで、従来構成の口金があるタイプの発光管(図示せず、従来構成1)と口金が無いタイプの発光管(図2、従来構成2)と、本発明の構成を用いた発光管(図1、本発明構成)との比較を行なった結果を、表1に示す。
表1.

従来構成1では、ランプ後方への光漏れは無いが、製造コスト上の問題がある。図2の従来構成2では、発光管封止部の端面より図中の矢印のごとく光漏れがある。
本発明の構成とすることにより、製造コストを比較的安価に抑えつつ、ランプ後方への
光漏れを抑えることができ、また熱伝導性の良い漏斗状の大きな金属部材により冷却効率が高まるため、発光管封止部溶接点温度が低く抑えられ、酸化による不具合発生が心配ない温度とすることが可能となる。
【0012】
金属製の漏斗状部材はNi以外の金属、例えば、銅、アルミ、ステンレス等を用い、ニッケル線とモリブ線との溶接を行うことによっても、同様の効果が得られる。
また、電力供給用のNiリードは金属製漏斗状部材のどの部分に溶接されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明の活用は、主にプロジェクターやプロジェクションTV、映写機などに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るランプ構造の一実施例の模式図
【図2】従来のランプ構造の模式図
【符号の説明】
【0015】
1・・・発光管
2・・・リフレクタ
3・・・封止部内溶接点
4・・・Moリード線
5・・・電力供給用Niリード
6・・・プラグ
7・・・金属製漏斗状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極と、少なくとも水銀ならびにハロゲンと共に希ガスが封入された発光管を有する反射鏡付高圧水銀ランプにおいて、前記高圧水銀ランプの反射鏡に接着されている側の前記発光管封止部から突出したリード線と、外部からの電力供給線である外部リード線との結線が、金属製漏斗状部材を介して溶接され、前記金属製漏斗状部材の大きな開口部が前記発光管の封止部端部を覆っていることを特徴とする高圧水銀ランプ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−234951(P2008−234951A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71770(P2007−71770)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】