説明

高圧流体レール

【課題】大型内燃エンジン用コモンレールシステムのための高圧流体供給装置を提供する。
【解決手段】高圧流体供給装置は、外周面を有するとともに蓄圧器ユニット7の長手方向軸14に略沿って延びるとともに内周面15を有する中央ボアを備える蓄圧器ユニット7を有し、半径方向ボア13が中央ボアから外周面16に延びる。半径方向ボア13は長手方向軸14に垂直な平面で計測された幅22を有し、幅22は外周面16より内周面15において大きく、内周面15から外周面16に連続的に減少する。半径方向ボア13は第1および第2の外側壁18、19を有し、幅22は半径方向ボア13の中心軸を含み長手方向軸14と垂直に配置された平面における第1および第2の外側壁18、19との間の距離として計測される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にピストンエンジンに使用される高圧流体の貯蔵のための高圧流体レールに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンのコモンレール燃料噴射システムでは、燃料は、低圧および高圧ポンプを用いて、高圧アキュムレータまたはいわゆるコモンレール等、高圧燃料貯蔵部に供給される。高圧燃料貯蔵部から、燃料はさらに独立した導管に沿って各シリンダの燃料インジェクタに供給される。燃料インジェクタから燃料がシリンダのそれぞれの燃焼室にエンジンの動作に応じて所望の瞬間に導かれる。幾つかの高圧燃料貯蔵部があり得、それによって燃料が各燃料貯蔵部から2つ以上の噴射ノズルに供給される。
【0003】
高圧燃料貯蔵部の燃料圧力は高く、2000barでさえあり、それによって燃料アキュムレータは、構造材料に、特に燃料貯蔵壁部およびその鋭い縁の断面変化部の開口の領域に進展し得る亀裂をもたらす強い応力にさらされる。
【0004】
最大圧力は典型的には燃料噴射用コモンレールシステムで生じる。2000barまでの高い流体圧力、この高流体圧力の変化によりもたらされる動的荷重が高い応力をもたらすという事実のために、燃料スペースの壁が長期の運転周期に耐えなければならない。特に舶用エンジンでは、レールがエンジンの耐用年数の間に交換または修理されてはならないので、長期の運転期間が保証され得ることが不可欠である。
【0005】
燃料スペースの壁の強さは特に、中央ボアから延びる半径方向ボアにより制限される。これらの半径方向ボアによりもたらされる局部応力は3または4つの要因により増大し得る。
【0006】
特許文献1はピストンエンジン用燃料貯蔵部を開示し、燃料スペースが2つの細長い円筒状ボアで構成される。この2つの細長い円筒状ボアは、断面が部分的に重なりそれによりメインボアを形成するように配置される。Waertsilae RT−flexエンジンのレールのメインボアは、メインボアの断面がピーナッツ形状を有することになる2つの偏心ボアを持って機械加工される。メインボアから、補助ボアが燃料スペースを燃料インジェクタ供給導管に接続する。この補助ボアのための接続穴加工は、2つの偏心ボアの交わり部分に配置される。これによって、ボア間の交差が主要な力の線に直接さらされないので、接続穴加工と2つのメインレール穴加工との間の交差での応力が減少する。
【0007】
特許文献2は、オリフィスの領域の燃料貯蔵部に加えられる応力が減少するように構成された、燃料スペース内へのオリフィス開口を有する燃料貯蔵部を開示する。それにより、燃料スペース本体の構造材料での亀裂の形成のリスクが減少する。したがって、燃料貯蔵部の耐久性が増加する。
【0008】
しかし、特許文献2に提案された解決方法は、かなりの長さの燃料レールでのその使用を阻む幾つかの欠点を持つ。凹部が、中央ボアからを意味する、内部から機械加工されなければならない。凹部を機械加工するための工具が中央ボア内へ短い距離しか突出できないという事実のため、このような解決方法は、少なくとも1メートルの全長を有する一方、最大100mmの中心ボアのボア直径を有する、長く薄い流体スペースに適用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第1413744号
【特許文献2】国際公開第2008/145818号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、このような長く、薄い流体スペースに使用され得る1つまたは複数の補助ボアを有する流体スペースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は請求項1の特徴により達成され得る。本発明の有利な実施形態は従属請求項の対象である。
【0012】
大型内燃エンジン用コモンレールシステムのための高圧流体供給装置は、高圧流体を複数の流体インジェクタに供給するための蓄圧器ユニットを有する。蓄圧器ユニットは、外周面を有するとともに、蓄圧器ユニットの長手方向軸および内周面に沿って実質的に延びる中央ボアに配置される。少なくとも1つの半径方向ボアが中央ボアから蓄圧器ユニットの外周面に延びる。半径方向ボアは、内周面での幅が外周面での幅より大きい蓄圧器ユニットの長手方向軸に垂直な平面で計測された幅を有し、この幅は、内周面から外周面に、好ましくは内周面と外周面との間の距離の少なくとも半分に対して、連続的に減少する。半径方向ボアは第1の外側壁および第2の外側壁を有する。幅は、半径方向ボアの中心軸を含むとともに蓄圧器ユニットの長手方向軸と垂直に配置された平面における半径方向ボアの第1と第2の外側壁との間の距離として計測される。
【0013】
実施形態によれば、連続的な減少は略リニアである。それによって、半径方向ボアの軸を含む蓄圧器ユニットの長手方向軸と垂直と垂直な面に沿う断面では、第1の外側壁および第2の外側壁が直線として表されることが意図される。第1と第2の外側壁との間の開口角度は、10度から75度、好ましくは10度から60度、特に好ましくは10度から45度の範囲である。開口角度は内周面から外周面に一定である。
【0014】
内周面での半径方向ボアの幅は、外周面での幅の少なくとも2倍である。内周面での半径方向ボアの幅は、半径方向ボアの軸方向に見たときに蓄圧器ユニットの長手方向軸を含む平面への投影内で計測される。幅は第1の外側壁から第2の外側壁への距離である。
【0015】
内周面での幅が外周面での幅より著しく大きい場合、したがって外周面での幅の少なくとも2倍である場合、半径方向ボアの周囲の蓄圧器ユニットの内周面に作用する応力は、例えば欧州特許公開1426607号に開示されたような円筒形ボアに比べて著しく広い面上に分散され得る。さらに、内周面と外周面との間に延びる第1の外側壁が一定の傾斜角を有するという事実により、応力はまた、例えば特許文献2に存在するような壁面の急な変化が存在しないことに起因して、特に滑らかな方法で減少される。
【0016】
実施形態では、中央ボアは円形断面を有する。このような中央ボアは特に製造が容易であり、これは2〜3メートルの蓄圧器ユニットの長さが可能であるとともに低コストで製造され得ることを意味する。高圧流体の圧力が600から2000barの範囲であり得るという事実のため、円形断面の中央ボアは圧力分布に対して最も有利な形状である。しかし、楕円形状または特許文献1に開示されたような形状を使用することも可能である。
【0017】
半径方向ボアは、外周面での幅と略同じサイズの厚さを有する。ボアの厚さは幅に垂直な方向に計測される。厚さは蓄圧器ユニットの長手方向軸の方向に計測される。幅および外周面でのボアの厚さを小さく保つことにより、外周面近傍の管壁に作用する応力は減らされる。さらに、最小限の材料が、廃棄されることになり、これは一方においては廃棄物を減少させ、また驚いたことに応力分布に有益な効果も有する。したがって、実施形態では、半径方向ボアは内周面でのある厚さを有し、この厚さは、外周面での厚さから15%以下、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下にずれる。
【0018】
1つの実施形態による高圧流体供給装置は、高圧流体としての燃料またはサーボオイルまたは水に対して有利に使用され得る。
【0019】
高圧流体供給が最も有利に利用される内燃エンジンはシリンダを有する。このシリンダの中に、ピストンが長手方向シリンダ軸に沿って上死点の位置と下死点の位置との間を往復して移動可能に配置される。シリンダの内において、燃焼室が、シリンダカバー、シリンダのシリンダ壁およびピストンのピストン表面によって囲まれる。燃料インジェクタが燃焼室に燃料を噴射するために設けられるとともに、前述の実施形態の1つによる高圧流体供給装置が高圧燃料を燃料インジェクタに供給するために使用され得る。内燃エンジンは、クロスヘッドエンジン、特にクロスヘッド大型ディーゼルエンジン、トランクピストンエンジン、2ストロークまたは4ストローク内燃機関、ディーゼルまたはオットーモードで運転可能な二元燃料エンジン、またはガスエンジンとして構成され得る。
【0020】
いずれかの実施形態のための高圧流体供給装置を製造する方法は、半径方向ボアをミリング加工またはドリル加工するステップを有する。半径方向ボアがドリル加工される場合、ドリル加工は、中央半径方向ボアおよび少なくとも1つのさらなる側部半径方向ボアをドリル加工することにより実行され、中央半径方向ボアおよび側部半径方向ボアのドリル穴は外周面上で同じであるとともに内周面において中央半径方向ボア穴に対して傾斜する。ミリング加工またはドリル加工するステップは、蓄圧器ユニットの外周面から内周面に行われる。この蓄圧器ユニットは中央ボアを含む。驚いたことに、ミリング加工またはドリル加工するステップを蓄圧器ユニットの外周面から行うことができる。これは、特許文献2または欧州特許第2299102号に開示されているような従来技術と比べて予期しない利点である。これらの開示における凹部は中央ボアから機械加工されなければならず、かなり厄介である。さらに、ドリル加工またはミリング加工する工具を単一の長い管としての蓄圧器ユニット内に導入することができない。したがって、短い長さの複数の蓄圧器ユニットが特許文献2に示されるように使用されなければならない。これは、これらの従来技術の蓄圧器ユニットの組立だけでなく、それらの制御もより困難になるとともに時間がかかるようになるという結果になる。
【0021】
したがって、蓄圧器ユニットは細長い管として特に有利に構成され得る。中央ボアの内部の流体スペースは、燃料スペース、サーボ流体スペースであり得るが、ガススペースまたは水噴射のために使用されるスペースでもあり得る。流体スペースは、内周面により囲まれるとともに、少なくとも1つの端部においてボアは閉鎖ストッパにより閉鎖され得る。
【0022】
蓄圧器ユニットの本体の外周面または内周面の少なくとも一方は、円形、楕円形、または、例えば長方形、特に正方形断面、三角形または六角形断面等の多角形の断面を有し得る。さらに、外周面は内周面に同心である必要はない。したがって、中央ボアは、蓄圧器ユニットの本体の長手方向軸と同じではない長手方向軸を有し得る。
【0023】
ポンプを用いて、噴射のための燃料、例えばバルブの駆動のための油圧油、または例えば燃料インジェクタを制御するための作動媒体が、高圧下で流体スペースから所望の用途に供給される。蓄圧器ユニットは、高圧流体を複数の使用するものに供給するためのコモンレールを形成する。このため、複数の半径方向ボアが想定され得る。燃料噴射コモンレールシステムの場合、燃料は、コモンレールにより燃料導管を経由して各シリンダに配置された燃料インジェクタに分配される。燃料インジェクタは、燃料を各シリンダの燃焼室に供給するための燃料噴射ノズルを含む。
【0024】
以下に本発明が添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、大型内燃エンジンのための燃料噴射用コモンレールシステムのための高圧流体供給装置の配置を示す。
【図2】図2は、蓄圧器ユニットの長手方向軸に沿った蓄圧器ユニットの断面を示す。
【図3】図3は、図2のB−B線断面を示す。
【図4】図4は、ドリル加工により製造された半径方向ボアのC方向視を示す。
【図5】図5は、ミリング加工により製造された半径方向ボアのC方向視を示す。
【図6】図6は、蓄圧器ユニットの長手方向軸に垂直な面に沿った蓄圧器ユニットの断面図を示す。
【図7】図7は、蓄圧器ユニットの外周面からの半径方向ボアの図である。
【図8】図8は、別の蓄圧器ユニットの長手方向軸に垂直な面に沿った蓄圧器ユニットの断面図を示す。
【図9】図9は、別の蓄圧器ユニットの長手方向軸に垂直な面に沿った蓄圧器ユニットの断面図を示す。
【図10】図10は、別の蓄圧器ユニットの長手方向軸に垂直な面に沿った蓄圧器ユニットの断面図を示す。
【図11】図11は、別の蓄圧器ユニットの長手方向軸に垂直な面に沿った蓄圧器ユニットの断面図を示す。
【図12】図12は、別の蓄圧器ユニットの長手方向軸に垂直な面に沿った蓄圧器ユニットの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、幾つかのシリンダを有するディーゼルエンジン、特に大型ディーゼルエンジンの燃料供給装置1を示す。大型ディーゼルエンジンは本明細書では、例えば、船舶または電力および/または熱の生産のための発電所の主または補助エンジンとして使用され得るようなエンジンを言う。燃料が燃料タンク2からポンプ4によりパイプ3に沿って高圧燃料貯蔵部5に供給される。高圧燃料貯蔵部5は蓄圧器ユニット7として構成される。
【0027】
ポンプの流量は、燃料インジェクタ8により必要な燃料の量に基づいて電子制御ユニット20により調整され得る。電子制御ユニットは、エンジンの負荷またはエンジン速度等のエンジンパラメータに基づいて燃料インジェクタ8の動作のタイミングを提供する。さらに、制御ユニットは、蓄圧器ユニット7に取り付けられた圧力センサ21からの入力を受け取る。圧力センサ21は蓄圧器ユニット7内の流体圧力を検出する。検出された圧力値に基づいて、ポンプの動作が、例えばポンプモータ24の回転速度を制御することにより制御される。
【0028】
代替実施形態によれば、複数の高圧ポンプ4が設けられ得る。各ポンプは制御バルブおよびピストン部材(図示せず)を備え得る。ピストン部材は、エンジンのカムシャフトのカム部材から案内を受け得る。必要な場合、各カム部材はいくつかのカムを含み、したがって、高圧ポンプ4が蓄圧器ユニット7に単位時間あたり一定の容積の流量を提供するとき、ポンプの外形寸法はそれぞれ、より小さく保持され得るとともに、結果的に、ポンプにより蓄圧器ユニットにもたらされる圧力衝撃はより小さい。
【0029】
蓄圧器ユニット7は、今度は、独立した燃料噴射導管9により各シリンダの燃料インジェクタ8に接続される。蓄圧器ユニット7はしたがって、2つ以上の燃料インジェクタ8に接続される。
【0030】
蓄圧器ユニット7内の燃料圧力は少なくとも600bar、典型的には1000−2000barである。高圧ポンプ4の動作および使用される噴射圧力は、エンジンの負荷、運転速度または、このように知られた方法の他のパラメータにしたがって制御され得る。
【0031】
図1は、本実施例において長手方向掃気クロスヘッド大型ディーゼルエンジンである内燃エンジンのための本発明による燃料噴射装置を持つ本発明によるシリンダ装置100を概略図で示す。図1によるシリンダ装置100は、ピストン103が長手方向シリンダ軸107に沿って上死点の位置と下死点の位置との間を往復して移動可能に配置されたシリンダ101を含む。シリンダ101内には、燃焼室104がシリンダカバー102、シリンダ101のシリンダ壁105およびピストン103のピストン表面106によって画定される。ここでは出口バルブであるただ1つのチャージサイクルバルブ109がシリンダカバー102のガス交換開口110に設けられ、ガス交換開口110は、ガス供給導管111を介してそれ自体知られた方法で図示されないターボチャージャ組立体に接続される。チャージサイクルバルブ109は、チャージサイクルバルブ109の閉鎖位置において燃焼室104がガス供給導管111に対してシールされるような方法で、ガス交換開口110のバルブシート113と動作状態において協働するバルブディスク112を含み、チャージサイクルバルブ109の開放位置において、燃焼ガスは燃焼室104を出てターボチャージャ組立体に供給され得る。
【0032】
図2は、蓄圧器ユニット7の長手方向軸に沿った蓄圧器ユニット7の断面を示す。蓄圧器ユニット7は、加圧された燃料のための細長い燃料スペースを持つ本体10を有する。燃料スペースは、円筒形状の中央ボア11を有する。図6に示すように、中央ボア11の断面は円形である。中央ボア11は、蓄圧器ユニット7の長手方向軸に沿って延びる。典型的には、ボアの直径は20から100mmの範囲である。加えて、本体10は、パイプ3からの供給路(図2には示されていない)を有する。この供給路は燃料スペースに開口している。加圧された燃料は、高圧ポンプ4からパイプ3に沿って供給路を通って燃料スペースに導かれる。さらに、本体10は放出路を有する。この放出路は、燃料スペースに開口し、この放出路を通って燃料が燃料スペースから放出されるとともに燃料インジェクタ8(図1参照)の噴射ノズルに導かれる。独立した放出路が各噴射ノズルに想定され、この噴射ノズルは蓄圧器ユニット7と流体接続する。半径方向ボア13が各放出路に対して想定される。半径方向ボアは、中央ボア11の内周面15から本体10の外周面16に延びる。それぞれの半径方向ボア13は長手方向軸17を有する。
【0033】
高い燃料圧力が燃料スペース内に行き渡るため、材料の疲労に起因する亀裂および破壊が、本体10の材料に、特に放出路のための半径方向ボア13の領域に進展し得る。このような蓄圧器ユニットに対する損傷を防ぐために、半径方向ボア13は、蓄圧器ユニット7の長手方向軸14に垂直な平面で計測された幅を有する。この幅は、外周面16での幅より内周面15での幅が大きいとともに、図3乃至7に示されるように、内周面15から外周面16に連続的に減少する。図3または6によれば、半径方向ボアは、第1の外側壁18および第2の外側壁19を有する。
【0034】
図3は、図2のB−B線断面を示す。図3に示された半径方向ボア13は、ドリル加工法により製造される。ドリル加工は、中央半径方向ボア25並びに第1および第2の側部半径方向ボア26、27をドリル加工することにより実行される。中央半径方向ボア25ならびに第1および第2の側部半径方向ボア26、27の中央ドリル穴28は、本体10の外周面16上で同じである。第1および第2の側部半径方向ボア26、27は、中央半径方向ボア25に対して傾斜する。したがって、第1および第2の側部半径方向ボア26、27の第1および第2の側部ドリル穴29、30は内周面15で中央半径方向ボア25に部分的にしか重ならない。
【0035】
図4は、ドリル加工により製造された半径方向ボアのC方向視を示し、これは基本的に図3に示された半径方向ボアである。第1および第2の側壁31、32は、第1と第2の外側壁18、19との間に延びる。ドリルの円形状のために、中央半径方向ボア、第1および第2の側部半径方向ボアのそれぞれは円筒形状である。内周面15の高さにおいて、中央半径方向ボア、第1および第2の側部半径方向ボアがもはや完全に重ならないという事実により、第1および第2の側壁31、32は突出部および凹部を含む。内周面での半径方向ボアの厚さは、第1と第2の側壁31、32との間の最大の距離として定義される。この最大の距離は、中央半径方向ボア、第1および第2の側部半径方向ボアの1つの直径に対応する。したがって、内周面15でのボア13の厚さ23は、外周面16でのボア13の厚さ23と略等しい。この実施形態では、内周面15での厚さが外周面16での厚さを超える場所は無い。
【0036】
図5は、ミリング加工により製造された半径方向ボア13のC方向視を示す。この場合、側壁31、32は如何なる突出部または凹部も有さない。ボア13の厚さ23はボア13の直径に対応する。したがって、内周面15でのボア13の厚さ23は、外周面16でのボア13の厚さと略等しい。
【0037】
しかし、内周面15での厚さが少なくとも1箇所において外周面16での厚さよりやや大きいことも可能である。ボアの厚さ23が外周面での厚さから15%以下、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下にずれる場合に、応力の有利な分布も観察され得る。
【0038】
図6は、蓄圧器ユニット7の長手方向軸14に垂直な面に沿った蓄圧器ユニット7の断面図を示す。半径方向ボア13の幅22は、半径方向ボア13の中心軸17を含むとともに蓄圧器ユニット7の長手方向軸14と垂直に配置された平面内の半径方向ボアの第1と第2の外側壁18、19との間の距離として計測される。幅は、外周面16でのものより内周面15でのものが大きく、内周面15から外周面16に連続的に減少する。幅の減少は漸進的に生じ、したがって略リニア(線形、直線状)である。図6に示された断面では、減少は直線として示される。
【0039】
図7は、蓄圧器ユニットの外周面からの半径方向ボアの図である。内周面15での半径方向ボア13の幅22は、外周面16での半径方向ボア13の幅の少なくとも2倍である。
【0040】
図8に示されるさらなる実施形態では、平坦面32が外周面16上に機械加工され得る。したがって、蓄圧器ユニット7の本体10の一部分が除去され得る。それによって、本体10の外周面16が半径方向ボア13の位置において平らにされる。有利には、部分の最大の厚さは、内周面と外周面との間の距離の30%以下、好ましくは距離の25%以下、特に好ましくは15%以下である。最大の厚さは、平坦面から90度の角度で測定した機械加工する前の未加工の外周面から平坦面への距離である。言い換えると、最大の厚さは、平坦面と未加工の外周面への接平面を形成する平行面との間の最短距離である。
【0041】
ボアはまた、外周面16上に凹部を配置され得る。このような凹部の2つの例が図9および図10に示される。このような凹部は、半径方向ボア13を離れる高圧導管のためのアダプタ要素を取り付けるために使用され得る。図9によれば、凹部34は円錐形状である。図10によれば、凹部35は円筒形状である。有利には、凹部の深さは、内周面と外周面との間の距離の30%以下、好ましくは距離の25%以下、凹部が未加工の外周面に直接機械加工される場合には特に好ましくは15%以下である。
【0042】
図9および図10に示されるように凹部が平坦面と組み合わせることが想定される場合、平坦面32を得るために除去された部分の深さおよび凹部34、35の深さの組み合わせは、内周面15と外周面16との間の距離の30%以下、好ましくは距離の25%以下、特に好ましくは15%以下であるべきである。
【0043】
図11による実施形態では、蓄圧器ユニット7の本体10を通る断面が示される。外周面16は内周面15に同心である必要はない。したがって、中央ボア11は、蓄圧器ユニット7の本体10の長手方向軸14に一致しない長手方向軸36を有する。図11に示されるように、長手方向軸14は長手方向軸36に平行であり得るが、長手方向軸14と長手方向軸36とが、例えば、互いにある角度で配置される等、ねじれ形の配置(staggered arrangement)を形成する。
【0044】
図12では、さらなる実施形態の蓄圧器ユニット7の本体10を通る断面が示される。この場合、外周面は正方形である。内周面15は円である。あるいは、外周面16および内周面15の少なくとも一方は、例えば三角形、長方形または六角形断面等の多角形の断面を有し得る。
【0045】
上記から、本発明がどんな形でも図による実施形態に限定されると解釈されるべきではない。本発明は、本発明の思想および添付の特許請求の範囲内の多くの異なる実施形態で実施され得る。図中の参照符号は同じ機能を有する部品に対して同じである。
【0046】
圧力の高い違いに起因してまたはシステム内の動的な圧力変動と通じて生じる、コモンレールシステムの圧力リザーバの基本的な本体内の張力は、本発明を用いて単純な方法で明確に減少され得る。特に、高圧下にある媒質が引き出され得る、貫通ボアの領域では、圧力リザーバの壁における応力の増加が大幅に下げられる。このようにして、圧力リザーバの基本的な本体が造られる材料の与えられた疲労強度に関して、許容内部圧力および動的圧力変動の変動幅が大幅に上げられ得るおよび/または、例えば、基本的な本体の壁が薄く作られ得るので、圧力リザーバの外形寸法、特に直径が、減らされ得る。したがって、動作状態におけるスペースの著しい増大および数100キロまでの重量の相当な削減だけでなく、圧力リザーバがかなり安く製造され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧流体を複数の流体インジェクタに供給するための蓄圧器ユニットを有し、前記蓄圧器ユニットは外周面を有するとともに前記蓄圧器ユニットの長手方向軸に略沿って延びるとともに内周面を有する中央ボアを備え、少なくとも1つの半径方向ボアが前記中央ボアから前記蓄圧器ユニットの前記外周面に延びる、大型内燃エンジン用コモンレールシステムのための高圧流体供給装置であって、
前記半径方向ボアは、前記蓄圧器ユニットの前記長手方向軸に垂直な平面で計測された幅を有し、
前記幅は、前記外周面より前記内周面において大きく、前記内周面から前記外周面に、好ましくは前記内周面と前記外周面との間の距離の少なくとも半分に対して、連続的に減少し、
前記半径方向ボアは第1の外側壁および第2の外側壁を有し、
前記幅は、前記半径方向ボアの中心軸を含むとともに前記蓄圧器ユニットの前記長手方向軸と垂直に配置された平面における、前記半径方向ボアの前記第1の外側壁と前記第2の外側壁との間の距離として計測される、
高圧流体供給装置。
【請求項2】
前記連続的な減少は略リニアである、
請求項1に記載の高圧流体供給装置。
【請求項3】
前記内周面での前記半径方向ボアの前記幅は、前記外周面での前記半径方向ボアの前記幅の少なくとも2倍である、
請求項1または2に記載の高圧流体供給装置。
【請求項4】
前記中央ボアは円形断面を有する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高圧流体供給装置。
【請求項5】
前記高圧流体の圧力は600から2000barの範囲である、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高圧流体供給装置。
【請求項6】
前記半径方向ボアは、前記外周面において前記外周面での前記幅と略同じサイズの厚さを有する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高圧流体供給装置。
【請求項7】
前記半径方向ボアは、前記内周面において、前記外周面における前記厚さから15%以下、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下にずれる厚さを有する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高圧流体供給装置。
【請求項8】
前記高圧流体は燃料である、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の高圧流体供給装置。
【請求項9】
前記高圧流体は、サーボオイルまたは水である、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の高圧流体供給装置。
【請求項10】
ピストンが長手方向シリンダ軸に沿って上死点の位置と下死点の位置との間を往復して移動可能に配置される、シリンダを含み、前記シリンダ内において、燃焼室が、シリンダカバー、前記シリンダのシリンダ壁および前記ピストンのピストン表面によって囲まれるとともに、燃料インジェクタが前記燃焼室に燃料を噴射するために設けられ、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の高圧流体供給装置を含む、
内燃エンジン。
【請求項11】
前記内燃エンジンは、クロスヘッドエンジン、特にクロスヘッド大型ディーゼルエンジン、トランクピストンエンジン、2ストロークまたは4ストローク内燃機関、ディーゼルまたはオットーモードで運転可能な二元燃料エンジン、またはガスエンジンである、
請求項10に記載の内燃エンジン。
【請求項12】
前記半径方向ボアをミリング加工するステップを有する、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の高圧流体供給装置を製造する方法。
【請求項13】
前記半径方向ボアをドリル加工するステップを有する、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の高圧流体供給装置を製造する方法。
【請求項14】
前記ドリル加工は、中央半径方向ボアおよび少なくとも1つのさらなる側部半径方向ボアをドリル加工することにより実行され、前記中央半径方向ボアおよび前記側部半径方向ボアのドリル穴は前記外周面上で同じであるとともに前記内周面において前記中央半径方向ボア穴に対して傾斜する、
請求項13に記載の高圧流体供給装置を製造する方法。
【請求項15】
前記ミリング加工または前記ドリル加工するステップは、前記蓄圧器ユニットの前記外周面から前記内周面に行われ、前記蓄圧器ユニットは前記中央ボアを含む、
請求項12乃至14のいずれか1項に記載の高圧流体供給装置を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−225342(P2012−225342A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89732(P2012−89732)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【出願人】(510210678)ヴェルツィラ シュヴェイツ アーゲー (18)
【Fターム(参考)】