説明

高圧縮率を有する折り畳みコアおよびそれから製造された物品

本発明は、高圧縮率を有する折り畳みモザイク式コア構造に関する。コア構造は、不織シートと、硬化樹脂および不織シートの合わせた重量の百分率としての硬化樹脂の重量が少なくとも50パーセントであるような量の硬化樹脂とを含む。不織シートは、さらに、少なくとも200グラム/デニール(180グラム/デシテックス)のモジュラスおよび少なくとも10グラム/デニール(9グラム/デシテックス)の靭性を有する繊維を含み、樹脂による含浸の前に、不織シートは、式Dp=K×((dr×(100−%r)/%r)/(1+dr/ds×(100−%r)/%r)から計算される見掛け密度を有し、式中、Dpは含浸前のシートの見掛け密度であり、drは硬化樹脂の密度であり、dsは含浸前のシート中の固体材料の密度であり、%rは最終コア構造中の重量%単位での硬化樹脂含量であり、Kは1.0〜1.5の値を有する数である。さらに、樹脂による含浸前の不織シートのGurley多孔度は、30秒/100ミリリットル以下である。また本発明は、このような折り畳みコアを組み込んだ複合構造にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧縮率の折り畳みコア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高モジュラス高強度の繊維不織シートから得られるサンドイッチパネル用コア構造(大抵はハニカム形態である)は種々の用途で使用されるが、主として、強度対重量比または剛性対重量比が非常に高い値を有する航空宇宙産業で使用される。例えば、米国特許第5,137,768号明細書(Lin)には、50重量%以上のp−アラミド繊維を含む(組成物の残りは、バインダーおよび他の添加剤である)高密度の湿式(wet−laid)不織布から製造されたハニカムコアが記載されている。
【0003】
コア構造を製造するための市販の高モジュラス高強度の繊維不織シートは、E.I.DuPont de Nemours and Company(Wilmington、DE)によって販売されるKEVLAR(登録商標)N636紙である。最軽量グレード(1.4N636)のための紙の密度は、0.68〜0.82g/cm3の範囲である。3つの他のグレード(1.8N636、2.8N636、および3.9N636)のためには、密度範囲は0.78〜0.92g/cm3である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
折り畳みコア構造は、従来のハニカム構造と比較してはるかに経済的な方法で製造することができる。圧縮特性の強化が非常に重要である用途がいくつかある。これは、航空機、列車などの床材で使用されるサンドイッチパネルに特に当てはまる。潜在的に、圧縮率(剛性)および/またはせん断強度について最適化された折り畳みコアは、付加的な重量およびコストの削減を提供することができる。従って、必要とされるのは、改善された圧縮率を有する折り畳みコア構造である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、高圧縮率を有する折り畳みコア構造に関する。コア構造は、複数の折り畳みモザイク式配置を含み、前記モザイク式配置は、不織シートと、硬化樹脂および不織シートの合わせた重量の百分率としての硬化樹脂の重量が少なくとも50パーセントであるような量の硬化樹脂とをさらに含む。不織シートは、さらに、少なくとも200グラム/デニール(180グラム/デシテックス)のモジュラスおよび少なくとも10グラム/デニール(9グラム/デシテックス)の靭性を有する繊維を含み、樹脂による含浸の前に、不織シートは、式Dp=K×((dr×(100−%r)/%r)/(1+dr/ds×(100−%r)/%r)から計算される見掛け密度を有し、式中、Dpは含浸前のシートの見掛け密度であり、drは硬化樹脂の密度であり、dsは含浸前のシート中の固体材料の密度であり、%rは最終コア構造中の重量%単位での硬化樹脂含量であり、Kは1.0〜1.5の値を有する数である。さらに、樹脂による含浸前の不織シートのGurley多孔度は、30秒/100ミリリットル以下である。
【0006】
本発明は、さらに、折り畳みコア構造を含有する複合パネルに関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】折り畳みコア構造の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、高圧縮率を有する折り畳みコア構造に関する。折り畳みコアは、比較的薄い平面シート材料から折り畳まれた、折り畳み幾何パターンの3次元構造である。折り畳み構造の例は図1に示される。このような折り畳みまたはモザイク式のシート構造は、米国特許第6,935,997B2号明細書および米国特許第6,800,351B1号明細書において議論されている。シェブロン(chevron)は、3次元折り畳みモザイク式コア構造の一般的なパターンである。
【0009】
折り畳みモザイク式コア構造は、熱硬化性樹脂が被覆または含浸された不織繊維シートを含む。
【0010】
本発明の折り畳みコアは、シート材料および樹脂コートの全重量の少なくとも50重量%の樹脂含量を有する。樹脂による含浸前の不織シートの見掛け密度は、式:
Dp=K×((dr×(100−%r)/%r)/(1+dr/ds×(100−%r)/%r)
によって定義され、式中、Dpは含浸前の不織紙シートの見掛け密度であり、drは硬化樹脂の密度であり、dsは含浸前の不織シート中の固体材料の密度であり、%rは最終コア構造中の重量%単位での硬化樹脂含量であり、Kは1〜1.5の値を有する数である。
【0011】
樹脂による含浸の前の不織シートは、30秒/100ミリリットル以下のGurley透気度(air resistance)を有する。
【0012】
シート材料の透過性が高いと、樹脂含浸の過程で樹脂のシート材料内への良好な浸透が可能になるので、被覆後のシートの厚さは、非被覆不織シートの厚さとあまり異ならない。
【0013】
不織シート折り畳みコアの自由体積/空隙含量は、不織シートの見掛け密度および不織シート中の固体材料の密度に基づいて、あるいはシート断面の画像解析によって測定することができる。
【0014】
本発明において使用される不織シートの厚さは折り畳みコアの最終用途または所望の特性に依存しており、いくつかの実施形態では、通常、3〜20ミル(75〜500マイクロメートル)の厚さである。いくつかの実施形態では、不織シートの坪量は、0.5〜6オンス/平方ヤード(15〜200グラム/平方メートル)である。
【0015】
本発明の折り畳みコアにおいて使用される不織シートは、少なくとも200グラム/デニール(180グラム/デシテックス)の初期ヤング率、少なくとも10グラム/デニール(9グラム/デシテックス)の靭性を有する70〜100重量部の高モジュラス高強度繊維と、30重量%以下のバインダーとを含む。
【0016】
最終用途に応じて異なる材料を不織シートバインダーとして使用することができる。好ましいバインダーとしては、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリスルホンアミド(PSA)、ポリ−フェニレンスルフィド(PPS)、およびポリイミドが挙げられる。本発明の折り畳みコアの高モジュラス高強度繊維不織シートにおいて、連続繊維、カット繊維(フロック)、パルプまたはこれらの組み合わせの形態である種々の高モジュラス高強度繊維を使用することができる。好ましいタイプの繊維としては、p−アラミド、液晶ポリエステル、ポリベンゾアゾール、ポリピリダゾール、ポリスルホンアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィン、炭素、ガラスおよびその他の無機繊維、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0017】
本明細書において使用される場合、アラミドという用語は、アミド(−CONH−)結合の少なくとも85%が2つの芳香環に直接付いたポリアミドを意味する。アラミドと共に添加剤を使用することができる。実際、10重量パーセントまでもの他の高分子材料がアラミドとブレンドされ得ること、あるいはアラミドのジアミンの代わりに10パーセントも他のジアミン、またはアラミドの二酸クロリドの代わりに10パーセントもの他の二酸クロリドを有するコポリマーが使用され得ることが分かっている。パラアラミド繊維およびこれらの繊維の種々の形態は、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington、Delaware)から商品名Kevlar(登録商標)で、そしてTeijin,Ltd.から商品名Twaron(登録商標)で入手可能である。本発明において有用な市販のポリベンゾアゾール繊維としては、Zylon(登録商標)PBO−AS(ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)繊維、Zylon(登録商標)PBO−HM(ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール))繊維が挙げられ、これらはいずれも東洋紡(Toyobo Co.Inc.)(大阪、日本)から入手可能である。本発明において有用な市販の炭素繊維としては、Toho Tenax America,Inc(Rockwood、TN)から入手可能なTenax(登録商標)繊維が挙げられる。本発明において有用な市販の液晶ポリエステル繊維としては、Kuraray America Inc.(New York、NY)から入手可能なVectran(登録商標)HS繊維が挙げられる。
【0018】
本発明の折り畳みコア構造の不織シートは、より高いモジュラスの繊維とブレンドされたより低い強度およびモジュラスの繊維を含むこともできる。ブレンド中のより低強度の繊維の量は、折り畳みコア構造の所望の強度に応じて個別的に変わり得る。低強度繊維の量が多いほど、折り畳みコア構造の強度は低いであろう。好ましい実施形態では、より低強度の繊維の量は30%以下でなければならない。このようなより低強度の繊維の例としては、メタ−アラミド繊維およびポリ(エチレンテレフタルアミド)繊維が挙げられる。
【0019】
本発明の折り畳みコアの不織シートは少量の無機粒子を含有することができ、代表的な粒子としては、マイカ、バーミキュライトなどが挙げられ、これらの性能強化添加剤の添加は、改善された耐火性、熱伝導率、寸法安定性などの特性を不織シートおよび最終折り畳みコア構造に付与することができる。
【0020】
本発明の折り畳みコアのために使用される好ましいタイプの不織シートは紙または湿式不織布である。しかしながら、ニードルパンチ法、接着結合法、熱結合法、および水流交絡法を含む他の技術によって製造された不織布も使用することができる。本発明の折り畳みコアを製造するために使用される紙(湿式不織布)は、実験用スクリーンから業務用サイズの製紙機械類(長網抄紙機(Fourdrinier)または傾斜ワイヤ抄紙機などの一般に使用される機械を含む)までのどんなスケールの設備でも形成することができる。典型的な方法は、フロックおよび/またはパルプなどの繊維材料ならびにバインダーの水性液体中の分散液を作り、液体を分散液から流し出して湿った組成物をもたらし、湿った紙組成物を乾燥させることを含む。分散液は、繊維を分散させてからバインダーを添加するか、あるいはバインダーを分散させてから繊維を添加するかのいずれかによって作ることができる。また最終分散液は、繊維の分散液をバインダーの分散液と混ぜ合わせることによって作ることもでき、分散液は、場合により、無機材料などの他の添加剤を含んでいてもよい。分散液中の繊維の濃度は、分散液の全重量を基準として0.01〜1.0重量パーセントの範囲であり得る。分散液中のバインダーの濃度は、固体の全重量を基準として30重量パーセントまでであり得る。典型的な方法では、分散液の水性液体は通常水であるが、pH調整材料、形成助剤、界面活性剤、消泡剤などの種々の他の材料を含んでもよい。水性液体は、通常、分散液をスクリーンまたは他の穿孔支持体上に導き、分散された固体を保持し、次に液体を通過させて、湿った紙組成物をもたらすことによって分散液から流れ出される。湿った組成物は、支持体上に形成されたら、通常、真空またはその他の圧力によりさらに脱水され、残りの液体を蒸発させることによりさらに乾燥される。
【0021】
1つの好ましい実施形態では、繊維および高分子バインダーを一緒にスラリー化して混合物を形成することができ、この混合物は、ワイヤスクリーンまたはベルト上で紙へと変形される。種々のタイプの繊維材料および高分子バインダーから紙を形成するための実例となる方法については、米国特許第4,698,267号明細書および米国特許第4,729,921号明細書(Tokarsky)、米国特許第5,026,456号明細書(Heslerら)、米国特許第5,223,094号明細書および米国特許第5,314,742号明細書(Kirayogluら)が参照される。
【0022】
紙が形成されたら、これを所望の密度までカレンダー加工するか、あるいは標的の最終密度によってはそのままカレンダー加工しない。
【0023】
後者の場合、形成テーブルの真空および湿式プレスの圧力を最適化することによって、密度のいくらかの調整を形成中に行うことができる。
【0024】
フロックは、一般に、連続紡績フィラメントを特定の長さの断片に切断することによって製造される。フロックの長さが2ミリメートル未満であれば、一般に、適切な強度の紙を提供するには短すぎであり、フロックの長さが25ミリメートルよりも長ければ、均一な湿式ウェブを形成するのが非常に困難である。5マイクロメートル未満、特に3マイクロメートル未満の直径を有するフロックは、適切な断面の均一性および再現性を備えて製造するのが困難であり、フロック直径が20マイクロメートルよりも大きければ、軽〜中程度の坪量を有する均一な紙を形成するのが非常に困難である。
【0025】
「パルプ」という用語は、本明細書で使用される場合、茎と通常そこから延出するフィブリルとを有する繊維材料の粒子を意味する。ここで、茎は一般に円柱状であり、直径が約10〜50マイクロメートルであり、フィブリルは、通常茎に付いた微細な毛髪様部材であり、直径が1マイクロメートルのわずか何分の一または数マイクロメートル、長さが約10〜100マイクロメートルである。アラミドパルプを製造するための実例となる1つの可能な方法は、米国特許第5,084,136号明細書に概略的に開示されている。
【0026】
本発明の湿式不織布のための好ましいタイプのバインダーの1つはフィブリッド(fibrid)である。
【0027】
「フィブリッド」という用語は、本明細書で使用される場合、およそ100〜1000マイクロメートルの長さおよび幅と、およそ0.1〜1マイクロメートルの厚さとを有する小さい薄膜状の本質的に2次元の粒子の非常に微粉化されたポリマー生成物を意味する。フィブリッドは、通常、ポリマー溶液を溶液の溶媒と非混和性の液体の凝固浴内に流し込むことによって製造される。ポリマー溶液の流れは、ポリマーが凝固する際に激しいせん断力および乱流を受ける。
【0028】
本発明におけるフィブリッドのために好ましいポリマーとしては、アラミド(ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド))が挙げられる。
【0029】
ウェブ基板を折り畳みコア構造に変形させるための方法は、米国特許第6,913,570B2号明細書および米国特許第7,115,089B2号明細書ならびに米国特許出願公開第2007/0141376号明細書に記載されている。
【0030】
通常、折り畳みコアの製造方法は、a)未処理のウェブ材料に折り目の繰り返しパターンを形成するステップと、b)折り畳みの形成を開始するステップと、c)折り畳みをさらに形成するステップと、d)3次元の折り畳み配置を安定化するステップとを含む。
【0031】
不織シート上の樹脂含浸は、折り畳みコア形状を形成する前に適用されてもよいし、あるいはコアの折り畳みが完了した後に適用されてもよい。形状の形成前に樹脂の一部が不織シート内に含浸され、形状の形成後に残りが含浸される2段階含浸方法を使用することもできる。不織シートの樹脂含浸が形状の形成前に行われる場合、樹脂は部分的に硬化されるのが好ましい。B−ステージングとして知られるこのような部分硬化法は、複合材料産業では周知である。B−ステージとは、樹脂が熱で軟化し、可塑性および溶融性であるが、完全には溶解または溶融しない、重合反応における中間段階を意味する。B−ステージ後の基板は、まだ、所望の折り畳みコア形状にさらに加工することができる。
【0032】
コアが折り畳まれた後に樹脂の含浸が行われる場合、通常、浸漬、その後の溶媒除去、および樹脂の硬化という一連の繰り返しステップで行われる。このような含浸法は、ハニカムコア構造を製造するために使用されるものと同様である。好ましい最終コア密度(不織シートおよび樹脂)は、20〜150kg/m3の範囲である。樹脂含浸の過程で、樹脂は不織シート内に吸収され、不織シート上に被覆される。
【0033】
本発明の折り畳みコアの最終用途に応じて、異なる樹脂を使用して、不織シートを被覆および含浸することができる。このような樹脂には、フェノール、エポキシ、ポリエステル、ポリアミド、およびポリイミド樹脂が含まれる。フェノールおよびポリイミド樹脂が好ましい。フェノール樹脂は、通常、United States Military Specification MIL−R−9299Cに適合する。これらの樹脂の組み合わせも使用され得る。適切な樹脂は、Hexion Specialty Chemicals(Columbus、OH)またはDurez Corporation(Detroit、MI)などの会社から入手可能である。
【0034】
上記の本発明の折り畳みコアは、折り畳みコア構造の少なくとも1つの外部表面に結合されたフェースシートを有する複合パネルを製造するために使用することができる。フェースシート材料は、プラスチックシートもしくはプレート、繊維強化プラスチック(プリプレグ)、または金属であり得る。フェースシートは、接着剤フィルムによって、あるいはプリプレグ中の樹脂から、圧力下で、通常は熱によりコア構造に取り付けられる。硬化は、プレス、オーブンまたはオートクレーブ内で行われる。このような技法は、当業者には十分に理解される。
【0035】
試験方法
不織シートの見掛け密度は、約50kPaの圧力でASTM D645−97により測定される不織シートの厚さと、ASTM D646−96により測定される坪量とを用いて計算した。繊維デニールは、ASTM D1907−07を用いて測定した。
【0036】
不織シートのGurley透気度(多孔度)は、TAPPI T460に従い、1.22kPaの圧力差を用いて、約6.4平方センチメートルの紙の円形領域について、シリンダー変位100ミリリットルあたりの秒数で透気度を測定することによって決定した。
【0037】
折り畳みコアの密度は、ASTM C271−61に従って決定した。
【0038】
コアの圧縮強度および圧縮率は、ASTM C365−57に従って決定した。
【0039】
コアの比圧縮強度(specific compression strength)および比圧縮率(specific compression modulus)は、圧縮強度および圧縮率の値をコアの密度で割って計算した。
【実施例】
【0040】
実施例1
81重量%のp−アラミドフロックおよび19重量%のメタ−アラミドフィブリッドを含む高モジュラス高強度の繊維不織シートを従来の製紙装置で形成した。パラアラミドフロックは、1.5デニール/フィラメント(1.7デシテックス/フィラメント)の公称フィラメント線密度、6.4mmのカット長、24グラム/デニールの靭性および960グラム/デニールのモジュラスを有するKevlar(登録商標)49であった。このような繊維は、E.I.DuPont de Nemours and Company(Wilmington、DE)から入手可能である。メタ−アラミドフィブリッドは、米国特許第3,756,908号明細書(Gross)に記載されるように作製した。
【0041】
次に、不織シートをカレンダー加工して、0.50g/cm3の見掛け密度、坪量2.5オンス/平方ヤード(85グラム/平方メートル)、および2秒/100ミリリットルのGurley多孔度を有する最終シートを生じた。式:
Dp=K×((dr×(100−%r)/%r)/(1+dr/ds×(100−%r)/%r)
に基づいて、最終コア中約65重量%の樹脂含量に対して0.50g/cm3の不織シート見掛け密度を目標とした。上記式中、Dpは含浸前の不織シートの見掛け密度であり、drは硬化樹脂の密度(1.25g/cm3)であり、dsは含浸前の不織シート中の固体材料の密度(1.4g/cm3)であり、%rは最終コア中の重量%単位でのマトリックス樹脂含量であり、Kは1.0〜1.5の値を有する数である。
【0042】
35重量%の固体含量および70mPa*sec.の粘度を有するレゾール型フェノール樹脂によって、カレンダー加工された不織シートを含浸させ、溶媒(メタノール/Dowanol PM)を蒸発させ、樹脂をB−ステージに部分的に硬化させ、こうして、樹脂含浸不織シート(プリプレグ)を生じた。次に、この予め含浸されたB−ステージ材料から、米国特許第6,913,570号明細書(Kehrle)に従って折り畳みコアを形成した。図1に示されるようなジグザグ折り畳みパターンを作った。コアの幾何パターンはI1=15.00mm、I3=5.00mm、psi=18度、S=4.20mm、L=10.42mm、高さ=29.95mmであった。最終コアを180℃で1.5時間熱処理することによって樹脂を完全に硬化させた。完成折り畳みコア構造は、47.9kg/m3の密度および全コア重量の68%の樹脂含量を有した。比圧縮強度は0.0189(N/mm2)/(kg/m3)であり、比圧縮率は1.14(N/mm2)/(kg/m3)であった。重要なデータは表1に要約される。
【0043】
比較例1
高モジュラス高強度の繊維不織シートを実施例1のように形成したが、0.85g/cm3の見掛け密度および2.5オンス/平方ヤード(85グラム/平方メートル)の坪量までカレンダー加工した。シートのGurley多孔度は約5秒であった。
【0044】
次に、不織シートを実施例1のように折り畳みコア構造に変形させた。このコアの幾何パラメータは、高さが30.13mmであることを除いて実施例1と全く同じであった。完成折り畳みコア構造は、50.9kg/m3の密度および全コア重量の70%の樹脂含量を有した。比圧縮強度は0.0197(N/mm2)/(kg/m3)であり、比圧縮率は0.58(N/mm2)/(kg/m3)であった。重要なデータは表1に要約される。
【0045】
表1

【0046】
表1の要約から分かるように、本発明に従って見掛け密度および不織シートへの樹脂浸透について最適化された不織シートを有する実施例1の折り畳みコア構造は、従来技術を代表するより高密度の不織シートから製造された比較例1の折り畳みコア構造と比較して、2倍の圧縮率(剛性)を与えた。両方のコアの圧縮強度は同様であった。このことによって、折り畳みコア構造を製造するために使用された不織シートの密度および不織シート内に含浸された樹脂含量の両方の最適化は、圧縮率の著しい改善をもたらすことが確認される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の折り畳みモザイク式配置を含むコア構造であって、前記折り畳みモザイク式配置が、さらに、
(a)少なくとも200グラム/デニール(180グラム/デシテックス)のモジュラスおよび少なくとも10グラム/デニール(9グラム/デシテックス)の靭性を有する繊維を含む不織シートと、
(b)硬化樹脂および不織シートの合わせた重量の百分率としての硬化樹脂の重量が少なくとも50パーセントであるような量の硬化樹脂と
を含み、樹脂による含浸の前に、
(1)前記不織シートが、式Dp=K×((dr×(100−%r)/%r)/(1+dr/ds×(100−%r)/%r)(式中、Dpは含浸前の前記不織シートの見掛け密度であり、drは前記硬化樹脂の密度であり、dsは含浸前の前記不織シート中の固体材料の密度であり、%rは最終コア構造中の重量%単位での前記硬化樹脂含量であり、Kは1.0〜1.5の値を有する数である)から計算される見掛け密度を有し、
(2)前記不織シートが、30秒/100ミリリットル以下のGurley多孔度を有する
コア構造。
【請求項2】
前記不織シートが、70〜100重量%の繊維および0〜30重量%のバインダーを含む請求項1に記載のコア構造。
【請求項3】
前記不織シートが、湿式不織シートである請求項2に記載のコア構造。
【請求項4】
前記バインダーが、m−アラミドフィブリッドを含む請求項2に記載のコア構造。
【請求項5】
前記繊維が、p−アラミド繊維を含む請求項2に記載のコア構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のコア構造と、前記コア構造の少なくとも1つの外部表面に取り付けられた少なくとも1つのフェースシートとを含む複合パネル。
【請求項7】
前記フェースシートが、樹脂が含浸された繊維、プラスチックまたは金属から製造される請求項6に記載の構造パネル。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2012−500864(P2012−500864A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524021(P2011−524021)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/054581
【国際公開番号】WO2010/022311
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】