説明

高圧電装部品設置構造

【課題】高圧電装部品の設置スペースを小さくする。
【解決手段】バッテリ設置構造10では、バッテリ54が凹部24内に一対の前後保護クロス38及び一対の左右保護クロス42に下側から支持された状態で収納されている。このため、凹部24内の水にバッテリ54が浸ることを抑制できる。さらに、凹部24内の下面とバッテリ54との間にバッテリ54の浸水防止のための隙間を設けつつバッテリ54を上側から支持する場合と異なり、バッテリ54の上側に一対の前後保護クロス38及び一対の左右保護クロス42が配置されることがなく、バッテリ54の上下方向における設置スペースを小さくできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に高圧電装部品を設置する高圧電装部品設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧電装部品設置構造としては、車体フロアの収納凹部に高圧機器コンポーネントを配設したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この高圧電装部品設置構造では、収納凹部の車幅方向両側に設けられた一対のクロスメンバ分割部が車幅方向に延設されると共に、高圧機器コンポーネントの上側に固定されたクロスメンバ分割体が車幅方向に延設されており、一対のクロスメンバ分割部がクロスメンバ分割体によって連結されている。このため、車両の側面衝突時の車幅方向への衝突荷重をクロスメンバ分割体が一方のクロスメンバ分割部から他方のクロスメンバ分割部へ伝達することができる。
【0004】
ここで、この高圧電装部品設置構造では、高圧機器コンポーネントの上側にクロスメンバ分割体が固定されると共に、高圧機器コンポーネントと収納凹部の底面との間に隙間が設けられている。このため、高圧機器コンポーネントの設置スペースが上下方向に大きくなる。
【特許文献1】特開2004−345453公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、高圧電装部品の設置スペースを小さくできる高圧電装部品設置構造、及び、車両の前後方向への衝突荷重を適切に伝達できる高圧電装部品設置構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の高圧電装部品設置構造は、車両のフロアパネルに設けられた凹部に設置された高圧電装部品と、前記凹部の底部と前記高圧電装部品との間に配置され、前記高圧電装部品を支持する支持部材と、を備えている。
【0007】
請求項2に記載の高圧電装部品設置構造は、請求項1に記載の高圧電装部品設置構造において、前記凹部の周囲に一対設けられると共に、前記支持部材によって連結され、車両を補強すると共に、前記支持部材が車両の衝突荷重を一方から他方へ伝達可能にされた補強部材を備えた、ことを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の高圧電装部品設置構造は、車両のフロアパネルに設けられた凹部に設置された高圧電装部品と、前記凹部に配置され、車両前後方向に延設された支持部材と、前記凹部の車両前側及び車両後側に設けられると共に、前記支持部材によって連結され、車両を補強すると共に、前記支持部材が車両の衝突荷重を一方から他方へ伝達可能にされた補強部材と、を備えている。
【0009】
請求項4に記載の高圧電装部品設置構造は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の高圧電装部品設置構造において、前記凹部内の水を前記凹部に設けられた排水孔から排水可能にされた、ことを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載の高圧電装部品設置構造は、請求項4に記載の高圧電装部品設置構造において、前記凹部内の水を前記排水孔へ案内する案内手段を備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の高圧電装部品設置構造では、車両のフロアパネルに設けられた凹部に高圧電装部品が設置されており、支持部材が高圧電装部品を支持している。
【0012】
ここで、支持部材が凹部の底部と高圧電装部品との間に配置されている。このため、支持部材が高圧電装部品の上側に配置される場合と異なり、高圧電装部品の設置スペースを小さくすることができる。
【0013】
請求項2に記載の高圧電装部品設置構造では、凹部の周囲に補強部材が一対設けられており、補強部材は車両を補強している。
【0014】
ここで、一対の補強部材が支持部材によって連結されており、車両の衝突荷重を支持部材が一方の補強部材から他方の補強部材へ伝達可能にされている。このため、車両の衝突荷重を適切に伝達することができる。
【0015】
請求項3に記載の高圧電装部品設置構造では、車両のフロアパネルに設けられた凹部に高圧電装部品が設置されており、凹部に配置された支持部材が高圧電装部品を支持している。さらに、凹部の車両前側及び車両後側に設けられた補強部材が車両を補強している。
【0016】
ここで、一対の補強部材が支持部材によって連結されており、車両の衝突荷重を支持部材が一方の補強部材から他方の補強部材へ伝達可能にされている。このため、車両の前後方向への衝突荷重を適切に伝達することができる。
【0017】
請求項4に記載の高圧電装部品設置構造では、凹部に排水孔が設けられており、凹部内の水が排水孔から排水可能にされている。このため、凹部内の水に高圧電装部品が浸ることを適切に抑制できる。
【0018】
請求項5に記載の高圧電装部品設置構造では、凹部内の水を案内手段が排水孔へ案内する。このため、凹部内の水を排水孔から適切に排水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の高圧電装部品設置構造が適用されて構成された第1の実施の形態に係るバッテリ設置構造10が車両左方から見た側面図にて示されており、図2には、バッテリ設置構造10が上方から見た平面図にて示されている。さらに、図3には、バッテリ設置構造10が適用されて構成された車両12が左方から見た側面図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車両右方を矢印RHで示し、上方を矢印UPで示す。
【0020】
本実施の形態における車両12は、所謂ハイブリット車又は電動自動車にされて、電動モータ(図示省略)の出力を使用して、走行されるものにされている。
【0021】
車両12の前後方向中央部には、キャビン14(車室)が設けられている。キャビン14内には、シートとしての前シート16及び後シート18が設けられており、前シート16はキャビン14内の車両前側部分に配置されると共に、後シート18はキャビン14内の車両後側部分に配置されている。
【0022】
キャビン14の床面は、板状のフロアパネル20(フロアパン)によって構成されており、フロアパネル20は略水平に配置されている。フロアパネル20の車両前側端は、板状のダッシュパネル22の下端が結合されており、ダッシュパネル22は、車両前後方向に略垂直に配置されて、キャビン14の車両前側面の下側部分を構成している。
【0023】
フロアパネル20の中央部(車両前後方向中央部かつ車幅方向中央部)には、略直方体状の凹部24(窪み部)が形成されており、凹部24は、前シート16と後シート18との間に配置されている。
【0024】
凹部24の車両前側には、フロアパネル20の下側において、サイドメンバ(フロアメンバ)を構成する補強部材としての一対のフロントサイドメンバ26が設けられており、フロントサイドメンバ26は、上端がフロアパネル20の下面に結合されると共に、略矩形状の閉断面を形成している。一対のフロントサイドメンバ26は、車両右側部及び車両左側部において、それぞれ、車両後側端が凹部24の車両前側壁に結合されると共に、車両12の前端部まで車両前後方向へ延設されており、一対のフロントサイドメンバ26は、車両12の凹部24よりも前側を車両前後方向において補強している。
【0025】
一対のフロントサイドメンバ26間には、ダッシュクロス28が架け渡されている。ダッシュクロス28は、ダッシュパネル22の下端の車両前側面に結合されて、閉断面を形成しており、ダッシュクロス28は、ダッシュパネル22の一対のフロントサイドメンバ26間を車幅方向において補強している。
【0026】
凹部24の車両後側には、フロアパネル20の下側において、サイドメンバ(フロアメンバ)を構成する補強部材としての一対のリヤサイドメンバ30が設けられており、リヤサイドメンバ30は、上端がフロアパネル20の下面に結合されると共に、略矩形状の閉断面を形成している。一対のリヤサイドメンバ30は、車両右側部及び車両左側部において、それぞれ、車両前側端が凹部24の車両後側壁に結合されると共に、それぞれ車両12の後端部まで車両前後方向へ延設されており、一対のフロントサイドメンバ26は、車両12の凹部24よりも後側を車両前後方向において補強している。
【0027】
凹部24の車両右側には、フロアパネル20の下側において、クロスメンバ(フロアメンバ)を構成する補強部材としての一対の右クロスメンバ32(衝突用ガセット)が設けられており、右クロスメンバ32は、上端がフロアパネル20の下面に結合されて、略矩形状の閉断面を形成している。一対の右クロスメンバ32は、凹部24の車両右側の車両前側部及び車両後側部において、それぞれ、車両左側端が凹部24の車両右側壁に結合されると共に、車両12の右側端部まで車幅方向へ延設されており、一対の右クロスメンバ32は、車両12の凹部24よりも右側を車幅方向において補強している。
【0028】
凹部24の車両左側には、フロアパネル20の下側において、クロスメンバ(フロアメンバ)を構成する補強部材としての一対の左クロスメンバ34(衝突用ガセット)が設けられており、左クロスメンバ34は、上端がフロアパネル20の下面に結合されて、略矩形状の閉断面を形成している。一対の左クロスメンバ34は、凹部24の車両左側の車両前側部及び車両後側部において、それぞれ、車両右側端が凹部24の車両左側壁に結合されると共に、車両12の左側端部まで車幅方向へ延設されており、一対の左クロスメンバ34は、車両12の凹部24よりも左側を車幅方向において補強している。
【0029】
一対の右クロスメンバ32及び一対の左クロスメンバ34の車幅方向外側端部は、それぞれ長尺略矩形筒状のロッカ36に結合されており、ロッカ36は、フロアパネル20の車幅方向端部が結合されている。ロッカ36は、キャビン14の車幅方向端部の下端において、車両前後方向へ延設されており、ロッカ36は、キャビン14を車両前後方向において補強している。
【0030】
凹部24内には、車両右側部及び車両左側部において、支持部材(荷重伝達部材)としての断面逆U字形長尺板状の前後保護クロス38が一対設けられており、前後保護クロス38は、下端が凹部24内の下面に結合されると共に、略矩形状の閉断面を形成している。前後保護クロス38は、車両前後方向へ延設されて、車両前後方向両端がそれぞれ凹部24の車両前後方向両側壁に結合されており、前後保護クロス38は、凹部24を車両前後方向において補強している。また、一対の前後保護クロス38は、凹部24の車両前側壁を介して一対のフロントサイドメンバ26に結合されると共に、凹部24の車両後側壁を介して一対のリヤサイドメンバ30に結合されている。
【0031】
前後保護クロス38の車両前側部及び車両後側部には、略矩形状の嵌合孔40が貫通形成されており、嵌合孔40は、前後保護クロス38の下端から下方へ開放されて凹部24内の下面に接すると共に、前後保護クロス38の車両右側及び車両左側を車幅方向へ連通している。
【0032】
凹部24内には、車両前側部及び車両後側部において、支持部材(荷重伝達部材)としての断面逆U字形長尺板状の左右保護クロス42が一対設けられており、左右保護クロス42は、一対の前後保護クロス38の嵌合孔40に嵌合された状態で、下端が凹部24内の下面に結合されると共に、略矩形状の閉断面を形成している。左右保護クロス42は、車幅方向へ延設されて、車幅方向両端がそれぞれ凹部24の車幅方向両側壁に結合されており、左右保護クロス42は、凹部24を車幅方向において補強している。また、一対の左右保護クロス42は、凹部24の車両右側壁を介して一対の右クロスメンバ32に結合されると共に、凹部24の車両左側壁を介して一対の左クロスメンバ34に結合されている。
【0033】
これにより、凹部24内は、一対の前後保護クロス38及び一対の左右保護クロス42によって、9つの区画室44に区画されている。
【0034】
前後保護クロス38の車両前後方向中間部には、案内手段を構成する略矩形状の横貫通孔46(案内切欠)が貫通形成されており、横貫通孔46は、前後保護クロス38の下端から下方へ開放されて凹部24内の下面に接すると共に、前後保護クロス38の車両右側及び車両左側を車幅方向へ連通している。
【0035】
左右保護クロス42には、車両右側の前後保護クロス38の車両右側、一対の前後保護クロス38間、及び、車両左側の前後保護クロス38の車両左側において、案内手段を構成する略矩形状の縦貫通孔48(案内切欠)が貫通形成されており、縦貫通孔48は、左右保護クロス42の下端から下方へ開放されて凹部24内の下面に接すると共に、左右保護クロス42の車両前側及び車両後側を車両前後方向へ連通している。
【0036】
これにより、9つの区画室44が、横貫通孔46及び縦貫通孔48によって、互いに連通されている。
【0037】
凹部24の下壁には、車両後側端部かつ車幅方向端部において、排水孔50が貫通形成されている。排水孔50は、逆止弁としてのゴム製のプラグホール52に連通されており、プラグホール52は、凹部24内から車外(キャビン14外)への水及び埃等の排出(排水)を許可すると共に、車外(キャビン14外)から凹部24内への水、埃及び泥等の侵入(浸入)を阻止する。
【0038】
凹部24内には、高圧電装部品としてのバッテリ54(メインバッテリ)が上側から収納されており、バッテリ54は、一対の前後保護クロス38及び一対の左右保護クロス42に支持された状態で、凹部24にボルト及びナット(図示省略)の締結によって組み付けられている。バッテリ54は、直方体形箱状のバッテリケース54Aにバッテリ本体(図示省略)が収納された構成にされており、バッテリ54(バッテリ本体)は上記電動モータに高電圧の電力を供給可能にされている。
【0039】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0040】
以上の構成のバッテリ設置構造10では、車両12の前面衝突又は後面衝突の際に、フロントサイドメンバ26又はリヤサイドメンバ30へ入力された衝突荷重が前後保護クロス38を介してリヤサイドメンバ30又はフロントサイドメンバ26へ車両前後方向に伝達される。さらに、車両12の右側面衝突又は左側面衝突の際に、車両右側又は車両左側のロッカ36から右クロスメンバ32又は左クロスメンバ34へ入力された衝突荷重が左右保護クロス42を介して左クロスメンバ34又は右クロスメンバ32へ車幅方向に伝達される。
【0041】
このため、車両12の衝突荷重を、凹部24の存在に拘らず、適切に伝達することができ、キャビン14の変形を抑制することができると共に、バッテリ54の損傷を抑制できる。
【0042】
また、バッテリ54が、凹部24内に一対の前後保護クロス38及び一対の左右保護クロス42に支持された状態で収納されて、凹部24内の下面に比し高い位置に配置されている。このため、乗員等によってキャビン14内に持ち込まれて凹部24内に入った水(特に寒冷地における雪融け水等)に、バッテリ54が浸ることを抑制できる。しかも、バッテリ54に上側から到来する水及び埃等は、バッテリケース54Aによってバッテリケース54A内に浸入することが抑制される。これにより、バッテリ54を保護することができる。
【0043】
しかも、凹部24内に入った水及び埃等は、各区画室44から前後保護クロス38の横貫通孔46及び左右保護クロス42の縦貫通孔48の少なくとも一方によって、排水孔50へ案内されて、プラグホール52を介して車外へ排出される。また、プラグホール52は、車外から凹部24内への水、埃及び泥等の侵入を阻止する。このため、バッテリ54を確実に保護することができる。
【0044】
さらに、バッテリ54が凹部24内の一対の前後保護クロス38及び一対の左右保護クロス42に下側から支持された状態で収納されている。このため、凹部24内の下面とバッテリ54との間にバッテリ54の浸水防止のための隙間を設けつつバッテリ54を上側から支持する場合と異なり、バッテリ54の上側に一対の前後保護クロス38及び一対の左右保護クロス42が配置されることがなく、バッテリ54の上下方向における設置スペースを小さくすることができて、キャビン14内を広くすることができる。
【0045】
また、バッテリ54が凹部24内に上側から収納されて組み付けられている。このため、バッテリ54がフロアパネル20に下側から吊り下げられた状態に組み付けられる場合と異なり、フロアパネル20を一時的に上下に反転にさせた状態でバッテリ54をフロアパネル20に組み付けたり、バッテリ54を作業台等に一旦載置した後に持ち上げてフロアパネル20に組み付けたりする必要がない。これにより、バッテリ54を容易に組み付けることができる。
【0046】
さらに、上述の如く、バッテリ54が凹部24内に支持されて組み付けられている。このため、バッテリ54がフロアパネル20に吊り下げられた状態で組み付けられる場合と異なり、バッテリ54の吊り下げ、車両12走行時の振動防止及び車両12衝突時のバッテリ54の損傷防止のためにフロアパネル20、サイドメンバ(フロントサイドメンバ26及びリヤサイドメンバ30)及びクロスメンバ(右クロスメンバ32及び左クロスメンバ34)を補強する必要がなく、かつ、バッテリ54を吊り下げるための部品も必要なく、部品点数及び質量の増加を防止することができる。
【0047】
また、上述の如く、バッテリ54が凹部24内に収納されている。このため、バッテリ54がフロアパネル20に吊り下げられた状態で組み付けられた場合と異なり、バッテリケース54Aが機密性を有しなくても、車外からの水、埃及び泥等のバッテリ54(バッテリケース54A)内への侵入を阻止することができる。これにより、バッテリ54の構成を複雑にしなくても、バッテリ本体が発生する熱をバッテリケース54A外へ逃がすことができるため、コスト及び質量の増加を防止することができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、前後保護クロス38に横貫通孔46を1つ形成すると共に左右保護クロス42に縦貫通孔48を3つ形成して9つの区画室44を互いに連通した構成としたが、前後保護クロス38及び左右保護クロス42にそれぞれ形成する横貫通孔46及び縦貫通孔48は9つの区画室44を互いに連通する構成であればよい。
【0049】
[第2の実施の形態]
図4には、本発明の高圧電装部品設置構造が適用されて構成された第2の実施の形態に係るバッテリ設置構造60が車両左方から見た側面図にて示されており、図5には、バッテリ設置構造60が上方から見た平面図にて示されている。
【0050】
本実施の形態に係るバッテリ設置構造60は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0051】
本実施の形態に係るバッテリ設置構造60では、一対の右クロスメンバ32と一対の左クロスメンバ34とが、それぞれクロスメンバ(フロアメンバ)を構成する一対の連結クロスメンバ62によって連結されており、連結クロスメンバ62は凹部24の下側に配置されている。連結クロスメンバ62は、凹部24の外周面に結合されており、連結クロスメンバ62は、略矩形状の閉断面を形成している。一対の連結クロスメンバ62は、凹部24の車両前側部及び車両後側部において、それぞれ車幅方向へ延設されており、一対の連結クロスメンバ62は、凹部24を車幅方向において補強している。
【0052】
前後保護クロス38には、上記第1の実施の形態における嵌合孔40が形成されておらず、凹部24内には、上記第1の実施の形態における左右保護クロス42が設けられていない。これにより、凹部24内は、一対の前後保護クロス38によって、3つの区画室44に区画されており、3つの区画室44は、前後保護クロス38の横貫通孔46によって、互いに連通されている。
【0053】
バッテリ54は、一対の前後保護クロス38に支持された状態で、凹部24内にボルト及びナット(図示省略)の締結によって組み付けられている。
【0054】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0055】
[第3の実施の形態]
図6には、本発明の高圧電装部品設置構造が適用されて構成された第3の実施の形態に係るバッテリ設置構造70が車両左方から見た側面図にて示されており、図7には、バッテリ設置構造70が上方から見た平面図にて示されている。
【0056】
本実施の形態に係るバッテリ設置構造70は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0057】
本実施の形態に係るバッテリ設置構造70では、一対のフロントサイドメンバ26と一対のリヤサイドメンバ30とが、それぞれサイドメンバ(フロアメンバ)を構成する一対の連結サイドメンバ72によって連結されており、連結サイドメンバ72は凹部24の下側に配置されている。連結サイドメンバ72は、凹部24の外周面に結合されており、連結サイドメンバ72は、略矩形状の閉断面を形成している。一対の連結サイドメンバ72は、凹部24の車両右側部及び車両左側部において、それぞれ車両前後方向へ延設されており、一対の連結サイドメンバ72は、凹部24を車両前後方向において補強している。
【0058】
凹部24内には、上記第1の実施の形態における前後保護クロス38が設けられておらず、凹部24内は、一対の左右保護クロス42によって、3つの区画室44に区画されている。左右保護クロス42には縦貫通孔48が1つのみ形成されており、縦貫通孔48によって3つの区画室44が互いに連通されている。
【0059】
バッテリ54は、一対の左右保護クロス42に支持された状態で、凹部24内にボルト及びナット(図示省略)の締結によって組み付けられている。
【0060】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0061】
[第4の実施の形態]
図8には、本発明の高圧電装部品設置構造が適用されて構成された第4の実施の形態に係るバッテリ設置構造80の主要部が車両左斜め後方から見た斜視図にて示されている。
【0062】
本実施の形態に係るバッテリ設置構造80は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0063】
本実施の形態に係るバッテリ設置構造80では、前後保護クロス38に横貫通孔46が形成されないと共に、左右保護クロス42に縦貫通孔48が形成されていない。
【0064】
凹部24内の下面には、案内手段としての凹状の案内溝82が形成されている。案内溝82には、縦溝82Aが設けられており、縦溝82Aは、車両左側の前後保護クロス38の車両左側において車両前後方向に延設されると共に、排水孔50に連通されている。案内溝82には、3つの横溝82Bが設けられており、3つの横溝82Bは、車両前側の左右保護クロス42の車両前側、一対の左右保護クロス42間、及び、車両後側の左右保護クロス42の車両後側において車幅方向に延設されると共に、縦溝82Aに連通されている。
【0065】
これにより、9つの区画室44が案内溝82によって互いに連通されており、凹部24内に入った水及び埃等が、各区画室44から案内溝82によって、排水孔50へ案内されて、プラグホール52を介して車外へ排出される。
【0066】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0067】
なお、本実施の形態では、案内溝82に縦溝82Aを1つ設けると共に横溝82Bを3つ設けた構成としたが、案内溝82に設ける縦溝82A及び横溝82Bは9つの区画室44を互いに連通する構成であればよい。
【0068】
また、本実施の形態における案内溝82を上記第2の実施の形態及び第3の実施の形態に適用した構成としてもよい。この場合、案内溝82は、3つの区画室44を互いに連通すると共に排水孔50に連通される構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るバッテリ設置構造を示す車両左方から見た側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るバッテリ設置構造を示す上方から見た平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るバッテリ設置構造が適用されて構成された車両を示す左方から見た側面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るバッテリ設置構造を示す車両左方から見た側面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るバッテリ設置構造を示す上方から見た平面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るバッテリ設置構造を示す車両左方から見た側面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るバッテリ設置構造を示す上方から見た平面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るバッテリ設置構造の主要部を示す車両左斜め後方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
10 バッテリ設置構造(高圧電装部品設置構造)
12 車両
20 フロアパネル
24 凹部
26 フロントサイドメンバ(補強部材)
30 リヤサイドメンバ(補強部材)
32 右クロスメンバ(補強部材)
34 左クロスメンバ(補強部材)
38 前後保護クロス(支持部材)
42 左右保護クロス(支持部材)
46 横貫通孔(案内手段)
48 縦貫通孔(案内手段)
50 排水孔
54 バッテリ(高圧電装部品)
60 バッテリ設置構造(高圧電装部品設置構造)
70 バッテリ設置構造(高圧電装部品設置構造)
80 バッテリ設置構造(高圧電装部品設置構造)
82 案内溝(案内手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネルに設けられた凹部に設置された高圧電装部品と、
前記凹部の底部と前記高圧電装部品との間に配置され、前記高圧電装部品を支持する支持部材と、
を備えた高圧電装部品設置構造。
【請求項2】
前記凹部の周囲に一対設けられると共に、前記支持部材によって連結され、車両を補強すると共に、前記支持部材が車両の衝突荷重を一方から他方へ伝達可能にされた補強部材を備えた、ことを特徴とする請求項1記載の高圧電装部品設置構造。
【請求項3】
車両のフロアパネルに設けられた凹部に設置された高圧電装部品と、
前記凹部に配置され、前記高圧電装部品を支持する支持部材と、
前記凹部の車両前側及び車両後側に設けられると共に、前記支持部材によって連結され、車両を補強すると共に、前記支持部材が車両の衝突荷重を一方から他方へ伝達可能にされた補強部材と、
を備えた高圧電装部品設置構造。
【請求項4】
前記凹部内の水を前記凹部に設けられた排水孔から排水可能にされた、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の高圧電装部品設置構造。
【請求項5】
前記凹部内の水を前記排水孔へ案内する案内手段を備えた、ことを特徴とする請求項4記載の高圧電装部品設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−331719(P2007−331719A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169225(P2006−169225)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】