説明

高圧高CO2除去構成および方法

吸収器の底部に流し込まれる二相混合物を形成するために供給ガスを冷却準富溶媒と接触させることにより、本発明の主題による構成および方法において、高圧供給ガスからCO2が除去される。吸収器からの富溶媒はその後、準富溶媒のための冷凍を発生させるために圧力が減少され、希薄溶媒は、準富溶媒を生成するために、吸収器内で部分処理供給ガスと向流的に接触する。その他の利点の中でもとりわけ、減圧富溶媒による供給ガスおよび準富溶媒の冷却は、溶媒の強化された再生を可能にするために富溶媒を加熱し、溶媒の外部冷凍および加熱は完全に回避されることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年9月18日出願の、参照により本明細書に組み込まれる、係属中の米国特許仮出願第61/243969号明細書の優先権を主張する。
【0002】
本発明の分野は、供給ガスからの酸性ガスの除去であり、特に高CO2含有量を有する高圧ガスからの酸性ガス除去、ならびに石油増進回収のためのパイプライン高品質ガスおよび濃縮されたCO2ストリームの生成に関する。
【背景技術】
【0003】
様々なガスストリームからの酸性ガス除去、および特に天然ガスストリームからのCO2の除去は、スイートガス田が枯渇するにつれて、ますます重要になってきた。主にその低燃焼熱および高い資本および運転コストのため、高CO2ガス田は調査されないままであった。しかしながら、近年の天然ガス価格の上昇により、ガス生産業者は、これらの高CO2田を調査し始めた。高CO2ガス田は、アラスカ、メキシコ湾、南アメリカ、および中国南部、特に北アメリカの炭層メタン田を含む、世界中の多くの地域に存在する。これらのガス田のCO2含有量は40モル%以上に及ぶ可能性があり、このため現在の販売用ガスパイプライン仕様、排気規制、およびエネルギー効率に適合するために、従来とは異なるCO2除去技術を必要とする。加えて、これらのガス田から除去されたCO2は、全体的な温室ガス排出量を減少させるために、石油増進回収およびCO2隔離のため高圧で再圧縮されなければならない。さらに、実行可能なCO2除去プロセスは、経済的にも実行可能かつ環境的にも準拠していなければならない。
【0004】
酸性ガス除去のための数多くのプロセスが従来技術において知られており、これらのうちの全てまたはほとんど全てが、3つのカテゴリのうちの1つに分類され得る。第一カテゴリにおいて、酸性ガスと反応して酸性ガスとの(通常は非共有結合の)錯体を形成する化学溶剤が、採用される。酸性ガスと溶剤との間の化学反応を伴うプロセスにおいて、供給ガスは通常、例えば米国特許第3,563,695号明細書に記載の弱無機酸のアルカリ塩溶液を用いて、または例えば米国特許第2,177,068号明細書に記載の有機酸または塩基のアルカリ性溶液を用いて、浄化される。このような化学反応プロセスは一般的に、化学溶剤の熱再生および冷却を必要とし、しばしば大量の化学溶剤の再循環を伴い、こうして高CO2ガス田のための化学溶剤の使用を非経済的にする。
【0005】
第二のカテゴリにおいて、ガス成分の微分透過率に基づいて、ガスストリームからCO2を分離するために、1つ以上の膜が使用される。典型的な膜システムは、前処理スキッドおよび一連の膜モジュールを含む。膜システムは、高CO2含有ガスを処理するのに非常に適している場合が多く、比較的小型であって、海洋用途に特に適応させている。しかしながら、これらは重質炭化水素による劣化の影響を受けやすく、頻繁で高額な交換を必要とする傾向がある。加えて、販売用ガス仕様に適合する比較的低いCO2含有量(2モル%以下)までのCO2除去は通常、多段の膜分離器、および段の間の再圧縮を必要とする。更に問題なのは、メタンもまた高速ガスなので、CO2透過物が相当量のメタンを含むことである。高CO2供給ガスを用いると、膜システムからのメタン脱離が著しくなる可能性があり、これらの用途もまたしばしば非経済的にする。
【0006】
第三のカテゴリにおいて、供給ガスからの酸性ガスの除去に物理的溶媒が採用され、ここで酸性ガスは、相当量が溶媒で吸収される。酸性ガスの物理的吸収は、特定の酸性ガス(例えばCO2またはH2S)の選択的溶解性を有する溶媒の使用に圧倒的に依存し、溶媒の圧力および温度に更に依存する。物理的溶媒の単位操作は主としてヘンリーの法則に従うので、溶媒のCO2充填量は供給ガスのCO2分圧とともに増加し、これは物理的溶媒を、高圧高CO2ガス田における使用にとって理想的なものにする。溶媒再生は、ある程度、フラッシュ再生によって実現され、加熱の必要性を最小化または排除する。しかしながら、物理的溶媒プロセスは、CO2吸収熱の排除において大きな冷却効率を必要とし、溶媒再生のため著しい加熱も必要とする可能性がある。改良された方法および構成を用いないと、物理的プロセスもまた法外に費用がかかる可能性がある。
【0007】
CO2除去のために、例示的な試みが行われてきた。例えば、米国特許第7,273,513号明細書は、ガスストリームおよび液体ストリームを、これらが並流的に接触されて乱流混合状態に曝される第一接触器に供給すること、および第一接触器から第二接触器へ多相流を通過させることを、教示している。このようなプロセスは、アミン溶媒(化学的プロセス)に適した改良型接触装置を提供するが、その一方で、物理的溶媒プロセスの熱除去、溶媒再生、炭化水素脱離、およびCO2生成のための方法および構成を解決することはできない。物理的溶媒を用いる改良型CO2除去プロセスは、国際公開第2004/052511号、米国特許第7,424,808号明細書、および米国特許第7,192,468号明細書に記載されており、ここで再循環/クリーンガス除去または真空除去装置の使用によって超希薄溶媒が生成され、処理ガスから得られる冷凍および溶媒の通流によって供給ガスが冷却される。このようなプロセスは、エネルギー効率を有利に改善するが、それにも関わらず様々な不都合が残る。例えば、吸収器は比較的多数の接触段を必要とし、全体的プロセスは比較的複雑である。国際公開第2010/039785号に記載されている、さらに別の周知のプロセスにおいて、希薄溶媒は、プラント内で発生した廃熱を用いて再生され、供給ガス冷却は処理ガスによって実現される。このようなプロセスは、通常はプラント構成を簡素化するが、その一方で冷却要件が満たされず、希薄溶媒のために別の冷却回路が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,563,695号明細書
【特許文献2】米国特許第2,177,068号明細書
【特許文献3】米国特許第7,273,513号明細書
【特許文献4】国際公開第2004/052511号
【特許文献5】米国特許第7,424,808号明細書
【特許文献6】米国特許第7,192,468号明細書
【特許文献7】国際公開第2010/039785号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
供給ガスから酸性ガスを除去するための様々な構成および方法が知られているものの、それらの全てまたはほとんど全ては、1つ以上の不都合を被っている。とりわけ、処理ガスのCO2レベルが高い場合が多く、物理的溶媒の使用は、著しい溶媒循環および冷凍冷却を必要とする。したがって、効率の良い酸性ガス除去のための改善された方法および構成を提供する必要が、まだある。
【0010】
本発明の主題は、吸収のための冷凍要件および再生のための加熱要件が処理プロセス内から提供される溶媒プロセスを用いて、供給ガスから、最も好ましくは比較的高いCO2含有量(例えば10モル%以上)を有する高圧炭化水素供給ガス(例えば1000psia超)から酸性ガスを除去するシステム、構成、および方法に向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主題の特に好適な態様において、供給ガスからCO2を除去する方法は、富溶媒および部分処理供給ガスを含む二相混合物を生成するために、吸収器の上流の準富溶媒に供給ガスを接触させるステップを含む。別のステップにおいて、準富溶媒および供給ガスは、富溶媒の減圧によって生成される冷凍容量を用いて冷却される。
【0012】
最も好ましくは、二相混合物は吸収器の底部に流し込まれ、そこで部分処理供給ガスはこうして準富溶媒を生成するために、希薄溶媒と向流的に接触させられる。準富溶媒および供給ガスの冷却は、加熱減圧富溶媒から富CO2蒸気を通流させるのに十分な温度まで減圧富溶媒を加熱することが、特に望ましい。富溶媒の減圧は通常、通流蒸気および減圧富溶媒を生成するために、富溶媒を通流するステップを含み、通流蒸気は供給ガスへ再循環される。減圧富溶媒はその後、富CO2蒸気および希薄溶媒を生成するために、さらに通流される。
【0013】
本発明の主題を限定するものではないが、富溶媒から希薄溶媒を生成するために必要とされる実質的に全ての熱は、供給ガスおよび準富溶媒の熱容量によって提供されること、および/または供給ガスからのCO2の吸収に必要とされる実質的に全ての冷凍は、富溶媒の減圧によって生成されることが、一般的に好ましい。
【0014】
このため、本発明の主題の別の態様において、供給ガスからCO2を除去する方法は、冷却供給ガスを形成するために、処理ガスの冷凍容量および減圧富溶媒の冷凍容量を用いて供給ガスを冷却するステップを含む。別のステップにおいて、冷却供給ガスは、富溶媒および部分処理供給ガスを含む二相混合物を形成するために、準富溶媒と結合される。さらに別のステップにおいて、二相混合物は吸収器の底部に流し込まれ、その一方で、部分処理供給ガスはこうして準富溶媒および処理ガスを形成するために、吸収器内で希薄溶媒と向流的に接触させられる。最も一般的には、減圧富溶媒は、加熱減圧富溶媒から富CO2蒸気を通流させるのに十分な温度まで、供給ガスおよび準富溶媒によって加熱される。先に述べられたように、富溶媒から希薄溶媒を生成するために必要とされる実質的に全ての熱は、供給ガスおよび準富溶媒の熱容量によって提供されること、および/または供給ガスからのCO2の吸収に必要とされる実質的に全ての冷凍は、富溶媒の減圧および水力タービンの冷却効果によって生成されることが、一般的に好ましい。さらに好適な態様において、冷却供給ガスを準富溶媒と結合させるステップは、静的ミキサを用いて実行され、および/または準富溶媒は、冷却供給ガスを準富溶媒と結合させるステップに先だって、吸収器動作圧力から供給ガス圧力までポンピングされる。考えられる構成および方法は、通常は30°F以上の、希薄溶媒の比較的高い温度を可能にする。
【0015】
別の視点から見ると、供給ガスから酸性ガスを除去するためのプラントは、富溶媒および部分処理供給ガスを含む二相混合物を底部に受容し、希薄溶媒および処理供給ガスから準富溶媒を生成する、吸収器を含むことになる。第一熱交換器は、それによって冷却準富溶媒を生成するために、減圧富溶媒の冷凍容量を用いて準富溶媒を冷却し、第二熱交換器は、それによって冷却供給ガスを生成するために、減圧富溶媒の冷凍容量を用いて供給ガスを冷却する。混合装置(例えば、静的ミキサ)はその後、こうして二相混合物を生成するために、冷却準富溶媒および冷却供給ガスを受け取って混合する。
【0016】
このようなプラントの特に好適な態様において、第一の複数のフラッシュ室は、吸収器と流体的に結合されており、水力タービンまたは減圧弁を用いて減圧富溶媒および通流蒸気を生成し、第二の複数のフラッシュ室は、場合により第一の複数のフラッシュ室と流体的に結合されており、第二の複数のフラッシュ室は、希薄溶媒および富CO2蒸気を生成する。最も一般的には、ポンプが吸収器と流体的に結合され、準富溶媒を受容し、準富溶媒の圧力を吸収器圧力から供給ガス圧力まで上昇させ、および/または硫黄捕捉剤層が吸収器と流体的に結合され、処理供給ガスの少なくとも一部を受容および脱硫する。
【0017】
本発明の様々な目的、特徴、態様、および利点は、以下の本発明の好適な実施形態の詳細な説明より、さらに明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の主題によるプラント向けの物理的溶媒を用いる酸性ガス除去の、例示的模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、供給ガスが第一に冷却準富溶媒と接触させられ、こうして生成された混合物が、富溶媒底部生成物、準富溶媒、および処理供給ガスを生成する吸収器の底部に流し込まれるプロセスにおいて、比較的高い圧力およびCO2含有量を有する供給ガスを物理的溶媒で処理する構成および方法を、対象とする。最も好ましくは、富溶媒はその後、準富溶媒および供給ガスを冷却するのに十分な冷凍容量を有する減圧溶媒を生成するために、水力タービンを用いてより低い圧力まで減圧される。JT効果および/または水力タービンによって生成されるこのような冷却は、外部冷凍の必要性を低減、より一般的には排除さえするのみならず、加熱減圧富溶媒が大気圧以下までさらに通流される、希薄溶媒の再生を可能にする温度まで、減圧富溶媒を加熱することは、特に理解されるべきである。このため、冷凍要件および加熱容量の両方が、プロセス内から提供される。
【0020】
本発明の主題の特に好適な一態様において、考えられるプラントおよび方法は、(通常はフラッシュ室として機能し、ほとんどの場合に複数の平衡段を有していない)吸収器の底部分においてその後分離される平衡混合物をこうして形成するために、吸収器圧力を供給ガス圧力までポンピングし、低温供給ガスとの混合(例えば、静的ミキサ、動的ミキサ、ジェットミキサなどで)に先だって冷却される、吸収器からの準富溶媒を使用する。結果的に、供給ガスのこのような混合および事前冷化は、供給ガスのCO2含有量を少なくとも50%減少させ、吸収器の充填高さを著しく減少させることは、理解されるべきである。
【0021】
さらに、考えられる構成および方法は、減圧富溶媒が準富溶媒および供給ガスによって(場合により追加または代替の廃熱源も用いて)加熱された後の複数のフラッシュ段を一般的には用いて、供給ガスからの高圧高CO2ストリームの回収も、可能にする。さらに、吸収器の底部分からの富溶媒の圧力の減少中に生成される通流蒸気は、一般的に炭化水素含有量が高く、供給ガスへ再循環されることになる。このようにして、炭化水素脱離は、5%以下、より一般的には3%以下、最も一般的には1%以下まで、低減される。
【0022】
本発明の態様による一例示的プラント構成は図1に示されている。ここで通常は1315psiaおよび110°Fで、50モル%のCO2を含有する200MMscfdの流量の、供給ガスストリーム1は、脱水ユニット51において乾燥され、これは通常、下流のガス処理設備における水和物形成を回避するために必要である。適切な脱水プロセスは、グリコール脱水および分子篩脱水ユニットを含む。乾燥した供給ガスストリーム2は、再循環ガスストリーム3と混合されて、処理済みガスストリーム9によって交換器52内で約80°Fまで冷却されるストリーム4を形成する。冷却ガスストリーム5は、通流溶媒ストリーム26によって、交換器53内で約30°Fまでさらに冷却される。低温供給ガスストリーム7はその後、静的ミキサ54内で低温準富溶媒ストリーム6と混合され(ポンプ56が準富溶媒の圧力を、通常は吸収器動作圧力から供給ガス圧力まで上昇させる)、二相混合物を形成する。静的ミキサは、混合のための乱流を提供する、複数の接触要素または噴霧ノズルを含んでもよい。静的ミキサ(またはほとんどのその他の混合装置)が、CO2含有量の50%超を除去する1つの平衡段を提供し、吸収器57における充填高さを著しく減少させることは、特筆すべきである。
【0023】
静的ミキサからのストリーム8は、吸収器57の底部40に流入し、通常は400〜900psiaの圧力で動作する。最も一般的には、吸収器は、パッキングまたはトレイ、またはCO2吸収のためのその他の適切な媒体を含む、接触装置を収容する。底部からの通流蒸気は、チムニートレイを通じて上昇し、約4000GPMの希薄溶媒ストリーム12によって接触されて、そのCO2含有量を2モル%以下まで減少させ、ポンプ56によって吸収器圧力から供給ガス圧力までポンピングされる約30°Fの準富溶媒を生成し、通流溶媒17によって交換器55内で冷却され、低温供給ガスストリーム7と混合され、最終的に吸収器の底部まで通流されて、底部を離れる富溶媒ストリーム10を形成する。富溶媒はその後、ストリーム11を形成するために、水力タービン58を通じて400psiaまで圧力を下げられる。ストリーム11は分離器59まで通流され、通流液体ストリーム13および通流蒸気ストリーム19を生成する。蒸気ストリーム19は、再循環圧縮機70の中間段に供給される。通流液体13は、JT弁64を通じて200psiaまで減圧されて、分離器60まで通流されるストリーム14を形成し、通流液体ストリーム16および通流蒸気ストリーム15を生成する。蒸気ストリーム15は、再循環圧縮機70の吸引部に供給され、これは再循環ストリーム3を形成するために冷却器71内で冷却される再循環ストリーム30を生成する。
【0024】
通流液体ストリーム16は、JT弁65内で、約70から100psiaまで減圧され、それによって低温ストリーム17を形成する。この冷却通流溶媒は、交換器55内の準富溶媒および交換器53内の供給ガスへの冷却を提供するために、使用される。通流溶媒は、交換器53内で約15から30°Fまで加熱されて、加熱ストリーム18を形成し、これはその後分離器61内で通流されて、約100psiaの高圧CO2ストリーム19を生成する。通流溶媒20は、分離器62に供給されるストリーム21を形成するために、JT弁66内でさらに減圧され、低圧CO2蒸気22、およびJT弁67内でさらに減圧されて、通常2から5psiaの準大気圧を有するストリーム24を形成する、通流液体23を生成し、これはその後真空分離器63まで通流される。分離器63からの通流蒸気25は、真空ポンプ68によって昇圧され、CO2圧縮機73に供給する前に結合ストリーム28を形成するために、低圧CO2ストリーム22と混合されるストリーム27を形成する。圧縮されたCO2ストリーム35はその後、隔離されるかまたは石油増進回収に使用される。通流希薄溶媒ストリーム14はポンプ69によってポンピングされ、吸収器に供給されるストリーム12を形成して、溶媒回路を完成させる。吸収器からの処理ガスストリーム9は、通常1.2モル%のCO2および約6ppmvのH2Sを含有している。4ppmvのH2S販売用ガス仕様に適合するために、処理ガス31の少なくとも一部分32は硫黄捕捉剤層72において(必要に応じて)さらに処理され、その一方で別の部分33は層72を迂回し、こうして結合処理ガスストリーム34を形成する。全体的なプラントバランスは、表1に示される。
【表1】

【0025】
本明細書において考えられるプラントおよび方法は、上部充填部および底部通流部を含む吸収器を採用し、吸収器の底部は、富溶媒、および後に上部の希薄溶媒と(チムニートレイを通過した後に)向流的に接触させられる蒸気を生成し、これが準富溶媒を生成することが、特に好ましい。あるいは、二相混合物は、富溶媒が部分処理供給ガスから分離される分離高圧フラッシュ室内で通流されてもよい。
【0026】
公知の物理的溶媒プロセスとは異なり、希薄溶媒はより高温で作用し、結果的に30°F以上の、およびより一般的には35°F以上の、さらに高い温度で準富溶媒を生成し、これはその後通流溶媒によって冷却されることが可能であり、熱交換器における温度交差を回避することも、理解されるべきである。結果的に、事前冷化、混合、および通流動作は、約0°Fで減圧富溶媒を生成する。結果的に、従来の物理的溶媒プロセスとは異なり、本明細書に提示されるプロセス冷却は実質的に完全に(すなわち総冷凍要件の20%未満、およびより一般的には10%未満の量の外部冷凍を必要とする)、およびほとんどの場合に専ら、減圧溶媒の冷凍容量を用いて実現されることは、認識されるべきである。
【0027】
供給ガスおよび準富溶媒の冷却は、溶媒再生を強化するために、比較的高温まで減圧富溶媒を加熱することになることも、認識されるべきである。このため、減圧富溶媒から希薄溶媒を生成するために必要とされる実質的に全ての熱(すなわち必要とされる総熱量の少なくとも80%、より一般的には90%)は、供給ガスおよび準富溶媒の熱容量によって提供される。
【0028】
考えられるプラントおよび方法は、吸収器へ再循環される富炭化水素フラッシュガスを分離する、多段フラッシュ室も使用し、炭化水素含有量の少なくとも95%、およびより一般的には少なくとも98%を回収する。加熱減圧富溶媒は、酸性ガスが豊富であり、酸性ガスの生成のため、少なくとも1つの分離器まで、より低い圧力まで減圧される。このため、このような構成および方法を用いると、CO2蒸気ストリームは、比較的高圧で(および付加的に中圧および/または低圧で)生成されることが可能であり、これはCO2圧縮機の圧縮要件を有利に低減する。
【0029】
このような構成において、水力タービンは、仕事(例えば、溶媒循環ポンプの駆動または発電など)を提供するために軸仕事を提供しながら、酸性ガス含有量を膨張および通流することによって冷凍冷却を生じるので、エネルギー効率の良い装置を動作させることは、認識されるべきである。多段分離器は、効率をさらに改善するために使用されることが可能であり、描画空間フットプリントおよび設備費を最小化するために積み重ね分離器として構成されてもよく、結果的にさらに効率の良い設計をもたらすことも、認識されるべきである。
【0030】
適切な供給ガスに関して、このようなガスの圧力は大幅に異なる可能性があること、ならびにガスの性質は少なくとも部分的に圧力を決定するようになることは、理解されるべきである。供給ガスは、少なくとも400psig、より一般的には少なくとも1000psig、さらに一般的には少なくとも1200psigの圧力を有することが、特に好ましい。同様に、溶媒の性質も大幅に異なる可能性があり、全ての物理的溶媒およびその混合物は、本明細書における使用に適していると見なされる。数多くの物理的溶媒が当技術分野において知られており、例示的な好ましい物理的溶媒は、FLUOR SOLVENT(TM)(炭酸プロピレン)、NMP(ノルマルメチルピロリドン)、SELEXOL(TM)(ポリエチレングリコールのジメチルエーテル)、およびTBP(リン酸トリブチル)、および/または様々なポリエチレングリコールジアルキルエーテルを含む。あるいは、物理的溶媒と類似の挙動を有する、強化3級アミン(例えばピペラジン)またはその他の溶媒または溶媒の混合物を含む他の溶媒が採用されてもよい。
【0031】
同様に、富溶媒の通流は、数多くの装置を用いて実行されてもよく、全ての減圧装置が本明細書における使用に適していることは一般的に考えられている。しかしながら、減圧量に関して、(仕事および/または冷却を提供した後の)富溶媒は、約20から70%のメタン含有量を有する通流蒸気を放出するのに十分な圧力まで、その圧力が減圧されることは、一般的に好ましい。これらの蒸気は吸収器へ再循環され、メタン脱離を5%未満に、より好ましくは3%未満に、最も好ましくは1%未満に、押さえる。
【0032】
結果的に、本発明の態様による構成は、アミンまたはその他の物理的溶媒または膜を含む、従来の酸性ガス除去プロセスと比較して、高CO2除去の全体的なエネルギー消費および資本コストを著しく低減することは、認識されるべきである。さらに、考えられる構成およびプロセスは、通常は外部熱源を必要とせず、もし必要であっても熱源は冷凍および/または供給ガス圧縮システムのいずれかからの供給ガスまたは圧縮熱によって供給され、エネルギー消費および環境への影響をさらに低減する。さらに、石油増進回収計画は、供給ガスの酸性ガス含有量の、通常60%に上る増加に、しばしば遭遇する。考えられる構成およびプロセスは、これらの変化を、本質的に同じ溶媒循環に適合させることができる。
【0033】
このように、CO2除去の特定の組成および方法が開示されてきた。しかしながら、すでに記載されたもの以外に多くのさらなる変形例が、本明細書の発明概念から逸脱することなく可能であることは、当業者にとって自明である。したがって、本発明の主題は、添付請求項の精神を除いては、限定されない。さらに、明細書および請求項の両方を解釈するにあたり、全ての用語は、文脈に適合するように、可能な限り広い意味で解釈されるべきである。具体的には、「含む(“comprise”および“comprising”」という用語は、要素、部品、またはステップを非限定的に示すように解釈されるべきであり、言及された要素、部品、またはステップは明確に言及されていないその他の要素、部品、またはステップと共に存在、または利用、または組み合わせられてもよいことを示している。さらに、参照によって本明細書に組み込まれる、参考文献における用語の定義または用法が、本明細書において提供される用語の定義と一致しないかまたは反対である場合には、本明細書において提供されるその用語の定義が適用され、参考文献におけるその用語の定義は適用されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給ガスからCO2を除去する方法であって、
富溶媒および部分処理供給ガスを含む二相混合物を生成するために、吸収器の上流の準富溶媒に供給ガスを接触させるステップと、
富溶媒の減圧によって生成される冷凍容量を用いて準富溶媒および供給ガスを冷却するステップと、を含む方法。
【請求項2】
二相混合物は吸収器の底部に流し込まれ、こうして準富溶媒を生成するために部分処理供給ガスが、吸収器内で希薄溶媒と向流的に接触させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
準富溶媒および供給ガスの冷却が、加熱減圧富溶媒から富CO2蒸気を通流させるのに十分な温度まで減圧富溶媒を加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
富溶媒の減圧が、富溶媒を通流するステップを含み、それによって通流蒸気および減圧富溶媒を生成し、通流蒸気が供給ガスと結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
減圧富溶媒が、富CO2蒸気および希薄溶媒を生成するためにさらに通流される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
富溶媒から希薄溶媒を生成するために必要とされる実質的に全ての熱が、供給ガスおよび準富溶媒の熱容量によって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
供給ガスからのCO2の吸収に必要とされる実質的に全ての冷凍が、富溶媒の減圧によって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
供給ガスからCO2を除去する方法であって、
冷却供給ガスを形成するために、処理ガスの冷凍容量および減圧富溶媒の冷凍容量を用いて供給ガスを冷却するステップと、
富溶媒および部分処理供給ガスを含む二相混合物を形成するために、冷却供給ガスを準富溶媒と結合させるステップと、
二相混合物を吸収器の底部に流し込むステップと、
こうして準富溶媒および処理ガスを形成するために、吸収器内で部分処理供給ガスを希薄溶媒と向流的に接触させるステップと、を含む方法。
【請求項9】
減圧富溶媒が、加熱減圧富溶媒から富CO2蒸気を通流させるのに十分な温度まで、供給ガスおよび準富溶媒によって加熱される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
富溶媒から希薄溶媒を生成するために必要とされる実質的に全ての熱が、供給ガスおよび準富溶媒の熱容量によって提供される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
供給ガスからのCO2の吸収に必要とされる実質的に全ての冷凍が、富溶媒の減圧によって生成される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
冷却供給ガスを準富溶媒と結合させるステップが、静的ミキサを用いて実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
準富溶媒が、冷却供給ガスを準富溶媒と結合させるステップに先だって供給ガス圧力までポンピングされる、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
希薄溶媒が、少なくとも30°Fの温度を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
供給ガスから酸性ガスを除去するためのプラントであって、
富溶媒および部分処理供給ガスを含む二相混合物を底部に受容するように構成され、希薄溶媒および処理供給ガスから準富溶媒を生成するようにさらに構成されている、吸収器と、
それによって冷却準富溶媒を生成するために、減圧富溶媒の冷凍容量を用いて準富溶媒の冷却を可能にするように構成されている、第一熱交換器と、
それによって冷却供給ガスを生成するために、減圧富溶媒の冷凍容量を用いて供給ガスの冷却を可能にするように構成されている、第二熱交換器と、
こうして二相混合物を生成するために、冷却準富溶媒および冷却供給ガスを受け取って混合するように構成されている、混合装置と、を含むプラント。
【請求項16】
吸収器と流体的に結合され、減圧富溶媒および通流蒸気の生成を可能にするように構成されている、第一の複数のフラッシュ室をさらに含む、請求項14に記載のプラント。
【請求項17】
第一の複数のフラッシュ室と流体的に結合されている第二の複数のフラッシュ室をさらに含み、第二の複数のフラッシュ室が、希薄溶媒および富CO2蒸気の生成を可能にするように構成されている、請求項14に記載のプラント。
【請求項18】
準富溶媒を受容するために吸収器と流体的に結合されているポンプをさらに含み、ポンプが準富溶媒の圧力を吸収器圧力から供給ガス圧力まで上昇させるように構成されている、請求項14に記載のプラント。
【請求項19】
吸収器と流体的に結合され、処理供給ガスの少なくとも一部を受容するように構成されている、硫黄捕捉剤層をさらに含む、請求項14に記載のプラント。
【請求項20】
混合装置が静的ミキサである、請求項14に記載のプラント。

【図1】
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【公表番号】特表2013−505123(P2013−505123A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529892(P2012−529892)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/049058
【国際公開番号】WO2011/034993
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(506354434)フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (35)
【Fターム(参考)】