説明

高変形能チタン及びチタン合金による一体型締め具の調整方法及びその方法によって調整された締め具

【課題】締め具に関する技術には、少なくとも従来のツーピース締め具と同等の強度特性を提供しつつ、取付けをより単純化して短時間での取付けを可能にする一体型締め具のニーズが存在する。
【解決手段】締め具200は冷間加工されたヘッドセクション204、冷間加工されたシャンクセクション212、及び前記冷間加工されたシャンクセクション212から前記締め具200のテールエンド部分210まで延伸する延性シャンクセクション214を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して締め具に関し、より具体的には、局所的に冷間加工されたセクションを有する一体型締め具を調整するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械的締め具は、構造組立品の2つ以上のコンポーネントを結合する際に広く使用されている。例えば、機械的締め具は、機体の構造コンポーネントの結合で広範囲にわたって使用されている。ツーピース締め具は、締め具での引張荷重が比較的大きくなる用途を含む種々の用途で使用されている。このようなツーピース締め具は、孔に挿入されるボルト又はピンと、ボルト又はピンの自由端に形成されるねじ山又はその他の機構に機械的に固定されるねじ込みナット又はスウェージカラーを含むことがある。構造物に対してナット又はカラーを締め付けることによって、構造組立品のコンポーネントを固定することができる。
【0003】
ツーピース締め具は一般的に比較的高い締め付け能力及び耐引張荷重能力を提供するが、ツーピース締め具は総合的な有用性を損なう幾つかの欠点に悩まされている。例えば、ツーピース締め具システムを含むシステムの各コンポーネントを大量に製造、処理、及び保管する必要があるため、調達コストは比較的高くなる。加えて、構造物においてツーピース締め具の取付及び組立に要する時間は比較的長くなり、ツーピース締め具の種々のコンポーネントの構成には個別の特別な工具が必要となるため、製造コストが増大することがある。
【0004】
さらに、各ツーピース締め具システムに関しては2個の別々のピースを扱うことが必要となるため、1つの機体に比較的大量の締め具(例えば、数万個)が取付けされることを考慮すると、総生産時間が増大して好ましくないことがある。しかも、ツーピース締め具は、ピン又はボルトの自由端に形成されるねじ山に十分に係合して、適切な締め付け能力及び耐引張荷重能力を提供するために、はめ込みナット又はカラーに要求されるサイズ又は長さのために、比較的重くなることがある。1つの機体に使用される締め具の容積は大きいため、締め具に関連する重量、コスト、及び時間のわずかな節約が、プログラム期間中に製造される任意の数の航空機全体では大きな節約となりうる。
【0005】
以上のように、締め具に関する技術には、少なくとも従来のツーピース締め具と同等の強度特性を提供しつつ、取付けをより単純化して短時間で取付けできるようにするニーズが存在する。
【発明の概要】
【0006】
ツーピース締め具に関連する上述のニーズは、一実施形態では、ヘッド及びシャフトあるいはヘッドから延伸しテールエンド部分で終わるシャンクを有する一体型締め具システムを提供する本発明によって解決され、軽減される。シャフト又はシャンクは、ヘッドに隣接するように配置される冷間加工されたシャンクセクション及び冷間加工されたシャンクセクションとテールエンド部分との間に延伸する延性シャンクセクションを含むことがある。
【0007】
また、一体型締め具システムを形成する方法も開示されている。この方法は、対向する端部を有する未加工品を提供するステップを含むことがある。未加工品は成形金型のボアに挿入することができる。成形金型は拡張されたボア部分を有することがある。この方法は好ましくは、未加工品に付加的な軸圧縮力を印加し且つ未加工品のヘッドに冷間加工を適用するステップと、成形金型の拡張されたボア部分に対応する未加工品に拡張されたシャフト又はシャンク部分を形成するステップとを含むことができる。公称シャンク部分は拡張されたシャンク部分から延伸することができる。公称シャンク部分は、締め具の最終直径にほぼ等しい直径を有することができる。この方法はさらに、公称シャンク部分を最終縮小金型のボアに挿入するステップと、拡張されたシャンク部分に軸圧縮力を適用するステップを含む。この方法は、最終縮小金型のボアの中に拡張されたシャンク部分を挿入するステップと、未加工品が最終的な締め具の構成で形成されるように、拡張されたシャンク部分の断面積を減少させることによって冷間加工されたシャンクセクションを形成するステップを追加的に含むことができる。
【0008】
本発明はまた、構造物を組み立てる方法も含む。この方法は、テールエンド部分で終わるヘッドとシャンクを有する一体型締め具(例えば、リベット)を提供するステップを含むことができる。ヘッドは冷間加工されたヘッドセクションを含むことができる。シャンクは、冷間加工されたシャンクセクション及び冷間加工されたシャンクセクションからテールエンド部分まで延伸する延性シャンクセクションを含むことがある。冷間加工されたヘッドセクションと冷間加工されたシャンクセクションは、延性シャンクセクションよりも高い強度を有することができる。この方法は、構造物の孔に締め具を取り付けるステップと延性シャンクセクションのテールエンド部分を据え込むステップを追加的に含むことができる。
【0009】
本発明の一態様によれば、締め具は冷間加工されたヘッドセクション、冷間加工されたシャンクセクション、及び冷間加工されたシャンクセクションから締め具のテールエンド部分まで延伸する延性シャンクセクション、冷間加工されていない延性シャンクセクションを含む。有利には、冷間加工されたヘッドセクションと冷間加工されたシャンクセクションは、延性シャンク部分よりも高い強度を有している。有利には、延性シャンクセクションは、冷間加工されたヘッドセクション及び冷間加工されたシャンクセクションよりも高い延性度を有している。有利には、締め具は、アルミニウム、アルミニウム合金のうちの少なくとも1つの材料組成を有する。有利には、締め具は、鉄、鉄合金のうちの少なくとも1つの材料組成を有する。有利には、締め具は、チタン、チタン合金のうちの少なくとも1つの材料組成を有する。有利には、締め具は、超微細粒材料組成を有する。有利には、冷間加工されたヘッドセクション及び冷間加工されたシャンクセクションは、冷間加工プロセスで形成されている。有利には、締め具は、耐腐食性の硬化性有機被覆材で被覆されている。有利には、締め具は、皿頭構成及び丸頭構成のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0010】
本発明の一態様によれば、締め具を形成する方法は、拡張されたボア部分を有する成形金型のボアに未加工品を挿入するステップ、未加工品に軸圧縮力を印加するステップ、冷間加工されたヘッドセクションと拡張されたボア部分に対応する未加工品上の拡張されたシャンク部分、そこから延伸する公称シャンク部分を有する拡張されたシャンク部分を形成するステップ、公称シャンク部分を最終縮小金型のボアに挿入するステップ、拡張されたシャンク部分に軸圧縮力を印加するステップ、拡張されたシャンク部分を最終縮小金型のボアの中に付勢するステップ、さらに拡張されたシャンク部分の断面積を減少させることによって冷間加工されたシャンクセクションを形成するステップを含む。有利には、拡張されたシャンク部分の断面積を減少させるステップは、拡張されたシャンク部分の断面積を約2〜5パーセントだけ減少させるステップを含む。有利には、未加工品を提供するステップは、チタン、及びチタン合金のうちの少なくとも1つの材料組成の未加工品を提供するステップを含む。有利には、この方法は、超微細粒材料組成を有する未加工品を提供するステップをさらに含む。有利には、この方法は、冷間加工されたシャンクセクションと冷間加工されたヘッドセクションの形成前に未加工品を焼きなましするステップ、及び冷間加工されたヘッドセクションと冷間加工されたシャンクセクションの形成後に締め具を焼きなましするステップのうち少なくとも1つをさらに含む。有利には、この方法は、締め具を耐腐食性の硬化性有機被覆材で被覆するステップをさらに含む。
【0011】
本発明の一態様によれば、構造物を組み立てる方法は、テールエンド部分で終わるヘッド及びシャンクを有する締め具、冷間加工されたヘッドセクションを有するヘッド、冷間加工されたシャンクセクション及び冷間加工されたシャンクセクションからテールエンド部分まで延伸する延性シャンクセクションを含むシャンク、延性シャンクセクションよりも高い強度を有する冷間加工されたヘッドセクション及び冷間加工されたシャンクセクションを提供するステップと、構造物の孔に締め具を取り付けるステップと、延性シャンクセクションのテールエンド部分を据え込むステップとを含む。有利には、締め具を提供するステップは、チタン、及びチタン合金のうちの少なくとも1つの材料組成の未加工品を提供するステップを含む。有利には、締め具を提供するステップは、超微細粒材料の締め具を提供するステップを含む。有利には、延性シャンクセクションは、冷間加工されたヘッドセクション及び冷間加工されたシャンクセクションの延性度よりも高い延性度を有している。有利には、冷間加工されたヘッドセクション及び冷間加工されたシャンクセクションは、冷間加工プロセスで形成されている。有利には、この方法は、耐腐食性の硬化性有機被覆材で被覆された締め具を提供するステップをさらに含む。有利には、締め具を取付けるステップは、航空機構造物に締め具を取付けるステップを含む。
【0012】
既に説明した特徴、機能及び利点は、本発明の様々な実施形態で独立に実現することが可能であるか、以下の説明及び図面を参照してさらなる詳細が理解されうる、さらに別の実施形態で組み合わせることが可能である。
【0013】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、全体を通して同様の部品が同様の番号で示されている、以下の図面を参照することでより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】冷間加工されたヘッドセクション、冷間加工されたシャンクセクション、及び冷間加工されたシャンクセクションから締め具のテールエンド部分まで延伸する延性シャンクセクションを有する一体型締め具の実施形態の側面概略図である。
【図2】構造物に取付けられた皿頭せん断一体型締め具の側面概略図である。
【図3】構造物に取付けられた皿頭引張一体型締め具の側面概略図である。
【図4】構造物に取付けられた丸頭せん断一体型締め具の側面概略図である。
【図5】構造物に取付けられた丸頭引張一体型締め具の側面概略図である。
【図6】締め具のテールエンド部分の据え込み前に構造物に挿入した半管状の一体型締め具の側面概略図である。
【図7】締め具のテールエンド部分の据え込み後の半管状の一体型締め具の側面概略図である。
【図8】冷間加工されたヘッドセクション、冷間加工されたシャンクセクション、及び延性シャンクセクションを有する一体型締め具を構造物に取付ける方法に含まれることがある一又は複数の作業を図解するフロー図である。
【図9】構造物のコンポーネントを貫通する孔に締め具を取付ける前の、冷間加工されたヘッド及びシャンクセクションを有する一体型締め具の側面概略図である。
【図10】孔に取付けられた一体型締め具と、孔の長さとほぼ同等の長さを有する冷間加工されたヘッド及びシャンクセクションを図解し、さらに取付け前又は据え込み前の状態で孔の外へ延伸する締め具のテールエンド部分で延性シャンクセクションを図解する側面概略図である。
【図11】取付け前又は据え込み途中の状態で締め具を挟んで対向するように配設された工具とバッキングバーを有する一体型締め具の側面概略図である。
【図12】構造物に取付けられた一体型締め具と、据え込み後の状態にある締め具のテールエンド部分を図解する側面概略図である。
【図13】工具とバッキングバーが取り除かれ、構造物に取付けられた一体型締め具と、締め具の延性シャンクセクションを有する締め具の据え込み端部を図解する側面概略図である。
【図14】冷間加工されたヘッドセクション及び冷間加工されたシャンクセクションを有する一体型締め具を形成する方法に含まれることがある一又は複数の作業を図解するフロー図である。
【図15】図16〜23の一連の作業で示されているように、冷間加工されたヘッド及びシャンクセクションを有する皿頭一体型締め具として形成されうる未加工品の斜視図である。
【図16】皿穴及び皿頭の冷間加工に使用する成形ラムを有し、未加工品に拡張されたシャンク部分を形成する成形金型の側面概略図である。
【図17】成形ラムによって未加工品に軸圧縮力を印加する前に、成形金型内に配置された未加工品の側面概略図である。
【図18】軸圧縮力の印加後に成形金型に接触する成形ラムと、未加工品の冷間加工ヘッドセクション及び拡張されたシャンク部分を形成するための成形金型及び成形ラムの形状にほぼ対応する形状を仮定する未加工品の部分を図解する側面該略図である。
【図19】軸圧縮力の印加の結果として形成される拡張されたシャンク部分を有する成形途中の未加工品の側面概略図である。
【図20】未加工品上の拡張されたシャンク部分の冷間加工に使用される皿穴及び縮小ラムを有する最終縮小金型の側面概略図である。
【図21】縮小ラムによって皿頭に軸圧縮力を印加する前に、最終縮小金型内に配置された成形途中の未加工品の側面概略図である。
【図22】軸圧縮力の印加後に最終縮小金型に接触する縮小ラムと、皿頭一体型締め具の冷間加工されたヘッドセクション及び冷間加工されたシャンクセクションを形成するため、拡張されたシャンク部分のサイズの縮小を示す側面概略図である。
【図23】軸圧縮力の印加の結果として形成される冷間加工されたヘッドセ及びシャンクセクションを有する皿頭一体型締め具の最終構成の側面概略図である。
【図24】図25〜32の一連の作業で示されているように、冷間加工されたヘッド及びシャンクセクションを有する丸頭一体型締め具として形成されうる未加工品の斜視図である。
【図25】丸頭の冷間加工及び未加工品上の拡張されたシャンク部分の形成に使用される成形金型と成形ラムの側面概略図である。
【図26】成形ラムによって未加工品に軸圧縮力を印加する前に、成形金型内に配置された未加工品の側面概略図である。
【図27】軸圧縮力の印加後に成形金型に接触する成形ラムと、未加工品の冷間加工ヘッドセクション及び拡張されたシャンク部分を形成するための成形金型及び成形ラムの形状にほぼ対応する形状を仮定する未加工品の部分を図解する側面該略図である。
【図28】軸圧縮力の印加の結果として形成される拡張されたシャンク部分を有する成形途中の未加工品の側面概略図である。
【図29】成形途中の未加工品上の拡張されたシャンク部分の冷間加工に使用される最終縮小金型及び縮小ラムの側面概略図である。
【図30】縮小ラムによって丸頭に軸圧縮力を印加する前に、最終縮小金型内に配置された成形途中の未加工品の側面概略図である。
【図31】軸圧縮力の印加後に最終縮小金型に接触する縮小ラムと、丸頭一体型締め具の冷間加工されたシャンクセクションを形成するため、拡張されたシャンク部分のサイズの縮小を示す側面概略図である。
【図32】軸圧縮力の印加の結果として形成される冷間加工されたヘッド及びシャンクセクションを有する丸頭一体型締め具の最終構成の側面概略図である。
【図33】図2〜9で示されている手順と同様の一連の作業で示されているように、一体型締め具の最終構成の中で未加工品を形成している間に、未加工品の管状中空体を安定させるように実装することができる半管状の未加工品及び挿入工具の斜視図である。
【図34】成形金型内に配置された半管状の未加工品及び未加工品の管状中空体の下に配置された挿入物の側面概略図である。
【図35】成形金型内に配置された半管状の未加工品及び半管状未加工品に軸圧縮力を印加する前に管状中空体に実装された挿入物の側面概略図である。
【図36】冷間加工されたヘッド及びシャンクセクションを有する一体型締め具を形成する方法に含まれることがあり、一又は複数の任意選択の熱処理ステップ及び一体型締め具への有機被覆の適用を含む一又は複数の作業を図解するフロー図である。
【0015】
ここで本発明の好ましい種々の実施形態を示すことを目的とした図面を参照すると、図1には一体型締め具構成で形成された締め具200の実施形態の概略図が示されている。一体型締め具200(例えば、リベット)はヘッド203及びシャフト又はシャンク206を有する。シャンク206はヘッド203から延伸し、テールエンド部分210で終わる。ヘッド203は冷間加工されており、一体型締め具200の冷間加工されたヘッドセクション204を含む。シャンク206は延性シャンクセクション214及び冷間加工されたシャンクセクション212を有する。冷間加工されたシャンクセクション212はまた、冷間加工され、一体型締め具200の冷間加工されたヘッドセクション204に隣接するように配置されることがある。延性シャンクセクション214は、冷間加工されたシャンクセクション212からシャンク206のテールエンド部分210まで延伸することがある。シャンク206は、シャンク206の長さに沿ってほぼ一定のシャンク径208で形成することができるが、シャンク206は成形途中ではシャンク206に沿った種々の位置で、2つ以上の異なる直径(図示せず)で形成されることがある。
【0016】
本発明はリベットとの関連において一体型締め具200について記述しているが、一体型締め具200は、限定しないが、種々の構成の任意の1つで提供されるが、これはリベットの構成に限定されるものではない。さらに、締め具200は一体型締め具200としての使用に限定されていない。例えば、締め具200及びこれに関連する成形ステップは、ツーピース締め具システムなどのマルチピース締め具システムに適用し実装することができる。
【0017】
有利には、締め具200の冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212は、以下でさらに詳しく説明するように、ヘッド203及びシャンク206の一部に適用することができる冷間加工プロセスによってもたらされる効果によって、延性シャンクセクション214よりも高い強度を有している。例えば、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212は、延性シャンクセクション214のせん断強度よりも高いせん断強度を有することができる。超微細粒のチタン又はチタン合金を有する締め具200に関しては、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212は、少なくとも95ksiの極限せん断強度、より好ましくは、少なくとも100ksiの極限せん断強度を有することができる。締め具200はまた、以下でさらに詳しく説明するように、ヘッドセクション204及びシャンクセクション212の冷間加工プロセスによって、従来の締め具に対して比較的高い耐引張荷重能力を有することができる。
【0018】
有利には、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212の局所的な強度レベルの上昇が、締め具200の熱処理を行うことなく実現可能である。冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212の比較的高い強度レベルはまた、以下で説明するように、1つには比較的小さな平均粒径を有する締め具材料によるものである。比較的小さな平均粒径は、冷凍粉砕、等角押出成形、又は他の粒径減少プロセスの使用により実現することができる。有利には、冷凍粉砕したチタン又はチタン合金材料などの締め具200の縮小された粒径の使用により、従来のチタン又はチタン合金材料と比較して、強度の改善、成形性の改善、及び昇温安定性の向上が実現される。加えて、還元した超細粒材料などの比較的小さな粒径を有する材料によって提供される機械特性の改善は、その後の熱処理を必要とすることなく実現することができる。
【0019】
本明細書に開示されている締め具200の冷間加工の追加により、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212が得られる。冷凍粉砕された超細粒材料など、比較的小さな粒径材料によって提供された比較的高い材料特性を有する、冷間加工されたヘッドセクション204と冷間加工されたシャンクセクションとの組合せは、従来のツーピース締め具によって提供される張力及び締め付け能力と同等の張力及び締め付け能力を有する一体型締め具200をもたらす。有利には、従来のツーピース締め具の代わりに単純な一体型締め具200を使用できることにより、締め具取付け処理が単純化され、締め具取付けコストが低減される。加えて、本明細書で開示されている一体型締め具200は、同程度の機械特性を有するツーピース締め具の重量よりも少ない重量(例えば、30パーセント軽量)を有することができる。
【0020】
延性シャンクセクション214は有利には、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212の延性度よりも高い延性度を有している。延性シャンクセクション214の高い延性度により、以下に説明するように、適切な変形又は締め具取付け時(例えば、リベット固定又は据え込み作業)の締め具200のテールエンド部分210の据え込みを容易にすることができる。延性シャンクセクション214の高い延性度は、締め具200が形成される未加工品12の延性度とほぼ同程度であることがある。より具体的には、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212の延性度と比較して、延性シャンクセクション214の高い延性度は、締め具200の冷間加工を冷間加工されたヘッドセクション204と冷間加工されたシャンクセクション212に局所的に限定し、シャンク206の残存部分(すなわち、延性シャンクセクション214)の冷間加工を回避したことに由来することがある。一実施形態では、延性シャンクセクション214は、不具合又は他の容認しがたい条件が発生することなく、締め具200のテールエンド部分210の適切な変形を促進する延性度を有することができる。例えば、延性シャンクセクション214は、シャンク206の破砕又は不具合が発生することなく、締め具200の縦軸に沿って少なくとも約10パーセント伸長する延性値を有することができる。延性シャンクセクション214はまた、シャンク206の破砕又は不具合が発生することなく、少なくとも30パーセントの断面積減少によって表わされる延性度を有することができる。
【0021】
延性シャンクセクション214の比較的高い延性度は、締め具200が形成される材料(すなわち、未加工品12)の比較的小さい粒径に由来することがある。有利には、一実施形態で、締め具200は比較的小さな平均粒径を有する超細粒材料から形成されうる。例えば、締め具200は、約10,000ナノメートル(nm)未満(すなわち、約10ミクロン未満)の平均粒径を有する材料から形成することができる。このような超細粒材料は、摩擦攪拌プロセス及び/又は等角押出成形(EAE)、又は他のプロセスによって製造することができる。さらなる実施形態では、締め具200は、約500ナノメートル(nm)未満の平均粒径及び、より好ましくは、約300ナノメートル未満の平均粒径を有する材料から形成することができる。例えば、材料は約100ナノメートルから300ナノメートルまでの平均粒径を有することがある。
【0022】
しかしながら、締め具200を形成する材料は、約10,000ナノメートル未満の平均粒径を有する材料に限定されないが、任意の粒径を有する材料から形成されうる。例えば、締め具200は、約100,000ナノメートルを超える平均粒径を有すると記載される粗粒材料を有する材料で形成することができる。締め具200はまた、約50,000〜75,000ナノメートルなど、約100,000ナノメートル未満の平均粒径を有する細粒として記載される材料で形成することもできる。
【0023】
一実施形態では、未加工品用の材料は摩擦攪拌プロセスを使用して形成することができる。摩擦攪拌プロセスは、チタン又はチタン合金などの粗粒(例えば、100,000nmを超える平均粒径)材料を使用することができる。粗粒金属材料は、攪拌チャンバ(図示せず)及び攪拌ツール(図示せず)を使用して処理することができる。粗粒材料の温度は、粗粒材料が攪拌チャンバを通過するにつれて上昇し、攪拌チャンバ内では攪拌ツールが材料を攪拌し、激しい機械的変形を利用して粒径を減少させ、材料の微細構造の同質性又は均一性を改善する。材料は攪拌チャンバから出るとすぐに固化し、超細粒微細構造を有する比較的同質性の高い材料になる。
【0024】
代替的に、未加工品12が形成される材料の粒径は、等角抽出成形(EAE)プロセスによって減少させることが可能で、材料に力を加えて約90度の屈曲を有する金型を通すことができる。等角抽出成形プロセスでは、材料に力を加えて90度の屈曲に通して、材料の機械的な冷間加工を行うことができる。材料の機械的な冷間加工は、材料の平均粒径を減少させることができる。
【0025】
材料の粒径は冷凍粉砕プロセスを使用して作り出すことも可能で、球形の磨砕機(図示せず)を使用して材料の微細構造の大きさを小さくすることができる。球形の磨砕機を使用して激しい機械的変形を加えることにより、材料を摩滅させて比較的微細な粒子粉体にすることができる。材料は液体水素又は液体窒素又は他の冷却媒体の中で摩滅させることができる。超微細な粒子粉体材料は、熱間等静圧圧縮成形(HIP)プロセス又は他の固化プロセスで、固化することができる。このプロセスにより、超微細なサブミクロン粒子の微細構造を得ることができる。
【0026】
例えば、チタン及び/又はチタン合金粉末は冷凍粉砕プロセスで製造することが可能で、チタン及び/又はチタン合金粉末はあらかじめ定められた量又はパーセンテージで他の合金要素と混合して、冷凍粉砕プロセスを施すことができる。既に述べたように、冷凍粉砕プロセスでは、金属合金粉末混合物は、液体窒素、アルゴン、水素の懸濁液が入ったステンレス鋼のボール又は他の環境を使用する磨砕機型のボールミルによって粉砕することができる。冷凍粉砕プロセス時に、粉末の冶金学的構造に極度の機械的変形を加えることによって、金属合金粉末混合物の化学組成は変化することがある。例えば、冷凍粉砕プロセス時に、冷凍粉砕プロセスの窒素、アルゴン、酸素、又は他のガス雰囲気の結果として、極めて微細な酸化物相や窒化物相が生成されることがある。微細な酸化物相や窒化物相は、得られるサブミクロンの超微細粒径物質の温度安定性を改善することがある。その際、冷凍粉砕プロセスを使用することによって、改善された高強度の安定した超微細な粒径粉体が製造される。チタン粉末は、熱間等静圧圧縮成形(HIP)プロセス、セラコン法鍛造プロセス又は他の固化プロセスを使用することによって、同質性が高く超細粒微細構造を有するチタン又はチタン合金を提供することができる。
【0027】
締め具200を形成する材料はチタン及びチタン合金との関連において本明細書に記載されているが、締め具200(すなわち、未加工品12)の材料は、例えば、限定しないが、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス鋼などの鉄合金、及び他の種々の材料組成のうちの任意の1つを含む任意の材料組成で提供することができるが、これに限られるわけではない。このような材料構成は、好ましくは上述のように比較的平均粒径を有していてもよい。
【0028】
さらに図1を参照して、締め具200の冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212は、冷間加工プロセスで形成することが可能で、締め具200の前記未加工品12(図15)は冷間加工されてもよい。一実施形態では、冷間加工プロセスは、冷間加工されたヘッドセクション204を形成し、同時に成形途中の未加工品13(図19)の拡張されたシャンク部分32(図19)を形成するため、未加工品12を冷間加工するステップを含むことができる。冷間加工プロセスは、以下でさらに詳しく説明するように、締め具200の冷間加工されたシャンクセクション212を形成するため、拡張されたシャンク部分32の断面積を局所的に減少させるステップをさらに含むことがある。一実施形態では、拡張されたシャンク部分32の断面積は、以下でさらに詳しく説明するように、約2〜5パーセントだけ減少させることができる。しかしながら、冷間加工プロセスは、拡張されたシャンク部分32の断面積を約2パーセント未満だけ又は約5パーセント以上減少させるステップを含むことがある。一実施形態では、冷間加工プロセスは、拡張されたシャンク部分32の断面積を約3.5パーセントだけ減少させるステップを含むことができる。その際、成形途中の未加工品13(図19)の拡張されたシャンク径34は、締め具200の最終シャンク径208のおおよその直径まで冷間加工で減少させることができる。
【0029】
ヘッド203及びシャンク206(図1)の局所的な冷間加工により、結果的に得られる冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212(図1)で強度を局所的に高めることが実現可能で、一方、シャンク206の残存部分(すなわち、延性シャンクセクション214)は比較的高い延性度(すなわち、成形性)と締め具200(図1)の取付け時の効率向上を促進する耐久性を保持している。例えば、シャンク206を局所的に冷間加工することにより、締め具200の冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212内部又は隣接部のせん断強度及び引張強度は、延性シャンクセクション214(図1)の強度と比較して、局所的に高めることができる。逆に、局所的に冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212への冷間加工を限定することにより、シャンク206の延性シャンクセクション214(すなわち、シャンク206の残存部分)は、材料の粒径が比較的小さいことによる結果として、比較的高い延性度、成形性、及び耐久性を保持している。
【0030】
有利には、図1に示すリベットなどの一体型締め具200の構成に関しては、延性シャンクセクション214の延性度が高いため、伸長度の向上によるリベットのテールエンド部分210の操作性又は据え込みの改善を実現することによって、締め具200の取付けが改善され、これによって締め具200によって締め付けられる2つ以上のコンポーネント252、254(図2)の間での結合が有意に向上する。冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212の比較的高い強度は、有利には熱処理プロセスなしで実現可能であり、これによって締め具200の製造コスト及び締め具200の製造時間が有意に低減可能である。しかしながら、以下に説明するように、締め具200の冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212を強化又は安定させるため、及び/又は冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212のせん断強度の向上などの締め具200の機械特性をさらに改善するため、締め具200の形成プロセスには一又は複数の熱処理が含まれることがある。
【0031】
締め具200(図1)の性能の付加的な改善は、締め具200に耐腐食性有機被覆202(図1)を適用することによって実現することができる。被覆202は締め具200の潤滑性を改善して、締め具200の取付けに役立てることができる。被覆202による潤滑性の向上によって、締め具の湿式実装に伴う煩雑さ、時間及び費用を回避することができる。被覆202はまた、環境(例えば、湿気)腐食、電解腐食、及び/又は応力腐食に対して、締め具200の腐食保護を高めることができる。一実施形態では、被覆202は、以下で説明する締め具200の形成前、形成中、及び/又は形成後の任意の時点で、締め具200に大して溶液で塗布することが可能な耐腐食性の硬化性有機被覆材を含むことができる。
【0032】
一実施形態では、被覆202(図1)は、一又は複数の可塑剤と混合可能なフェノール樹脂を含むことができる。被覆202はまた、ポリテトラフルオロエチレンなどの有機成分を含んでいてもよい。アルミニウム粉及び/又はクロム酸ストロンチウムなどの無機添加剤が含まれていてもよい。このような被覆成分及び添加剤は、被覆202の塗布を容易にするため溶媒に溶けるものであってもよい。溶媒はエタノール、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、及び/又は他の溶媒を含んでいてもよい。一実施形態では、被覆202は、溶媒として約30パーセント(質量百分率)のエタノール、約7パーセント(質量百分率)のトルエン、及び約45パーセント(質量百分率)のメチルエチルケトン(MEK)と、約2パーセント(質量百分率)のクロム酸ストロンチウム、約2パーセント(質量百分率)アルミニウム粉を有する溶液で提供することができる。被覆組成の残りの部分は被覆材としてフェノール樹脂と可塑剤を含むことがあり、比較的少量のポリテトラフルオロエチレンが含まれることもある。被覆202は、Hi‐Shear Corporation(本社:カリフォルニア州トーランス)のLisi Aerospace部門からHi−Kote(商標)1として市販されている。
【0033】
以下で記載されるように、被覆202(図1)は、吹き付け、浸し塗り、はけ塗り、又は他の方法などの種々の方法のうちの任意の1つによって締め具200(図1)に塗布され、時間に応じて種々の温度で硬化される。前述のように、被覆202(図1)は、締め具200の取付け時の潤滑剤又は湿式封止剤の必要性を低減又は排除することができる。被覆202はまた、構造物250(図2)を締め具200で密閉することもできる。加えて、被覆202は、構造物250への取付けに先立って、取付けられた締め具200又は締め具200のヘッド204にその後塗布されることがある塗料又は他の被覆の密着を高めることができる。
【0034】
ここで図2〜7を参照すると、本明細書で開示されている冷間加工プロセスによって形成され、構造物250に取付け可能な締め具200の多種多様な実施形態のいくつかが示されている。図2は、構造物250の第1コンポーネント252を第2コンポーネント254に締結するため構造物250に取付けられる皿頭せん断締め具220を図解したものである。皿頭せん断締め具220は、締め具220の延性シャンクセクション220bまで延伸する冷間加工されたヘッドセクション220d及び冷間加工されたシャンクセクション220aを有する。冷間加工されたヘッドセクション220d及び冷間加工されたシャンクセクション220aは、皿頭せん断締め具220のせん断強度を高める。皿頭せん断締め具220のテールエンド部分220cは、皿頭せん断締め具220の延性シャンクセクション220bに含まれる。皿頭せん断締め具220のテールエンド部分220cは、コンポーネント252、254のうちの1つの表面256に対して、適切に変形または据え込みされる。
【0035】
図3は構造物250に取付けられた皿頭引張締め具222を図解したものである。皿頭引張締め具222の冷間加工されたヘッドセクション222dは、皿頭せん断締め具220の冷間加工されたヘッドセクション220dよりも大きなサイズを有する。皿頭引張締め具222の冷間加工されたヘッドセクション222dのより大きなサイズは、図2に示した皿頭せん断締め具220の冷間加工されたシャンクセクション220aの長さと比較して、皿頭引張締め具222の冷間加工されたシャンクセクション222aの長さを減少させる。しかしながら、冷間加工されたヘッドセクション222dの大きなサイズは、従来の締め具の耐引張荷重能力と比較して、締め具222の耐引張荷重能力を高めているが、これは、以下で説明するように、冷間加工されたヘッドセクション222dの形成プロセス時に、冷間加工されたヘッドセクション222dに付与される冷間加工によるものである。締め具222のテールエンド部分222cは、延性シャンクセクション222bを含み、取付け時に構造物250に対して据え込みされる。
【0036】
図4〜5は丸頭締め具224を図解したものである。図4は構造物250に取付けられた丸頭せん断締め具226を図解したものである。冷間加工されたヘッドセクション226dならびに孔258の長さ260(図9)又は第1及び第2コンポーネント252、254の厚みとほぼ同等の長さを有する冷間加工されたシャンクセクション226aを有し、締め具224の耐せん断荷重能力を最大化することができる、丸頭せん断締め具226が表示されている。締め具226の延性シャンクセクション226bは、コンポーネント252、254のうちの1つの表面256に対して据え込みされた状態で示されているテールエンド部分226cを含む。
【0037】
図5は構造物250に取り付けられた丸頭引張締め具228を図解したもので、丸頭引張締め具228はまた、冷間加工されたヘッドセクション228d及び構造物250の厚みとほぼ同等の長さを有する冷間加工されたシャンクセクション228aを有する。図5の丸頭引張締め具228の冷間加工されたヘッドセクション228dは、図4の丸頭せん断締め具226の冷間加工されたヘッドセクション226dよりも大きく、これにより耐引張荷重能力が高まる結果となっている。締め具228の延性シャンクセクション228bはテールエンド部分228cを含み、コンポーネント252、254のうちの1つの表面256に対して据え込みされた状態で示されている。
【0038】
図6〜7は構造物250に取付けられた半管状の締め具230を図解したものである。図6は半管状締め具230のテールエンド部分230cを据え込む前の半管状締め具230を図解したものである。冷間加工されたヘッドセクション230dならびに第1及び第2コンポーネント252、254の厚みとほぼ同等の長さを有する冷間加工されたシャンクセクション230aを有する、半管状締め具230が表示されている。図7はテールエンド部分230cを据え込んだ後の半管状締め具230を図解したものである。半管状締め具230は概して、締め具230のテールエンド部分230cを据え込むのに要する力の量を低減するため、中空の管状空洞230dを有する。半管状の締め具230の延性シャンクセクション230bはテールエンド部分230cを含み、コンポーネント252、254のうちの1つの表面256に対して据え込みされた状態で示されている。有利には、締め具230の材料の粒径が比較的小さいことにより、比較的大きな粒径を有する従来の一体型締め具と対比して、テールエンド部分230cの据え込みに要する力の量が低減される。前述のよう、図2〜7は本明細書で開示されている冷間加工プロセスによって形成可能な締め具200の多種多様な実施形態のいくつかを示している。
【0039】
図9〜13を追加参照しながら図8を参照すると、構造物250(図9)に締め具200(図9)を取り付ける方法300の実施形態を説明するフロー図が図8に示されており、ここで締め具200は冷間加工されたヘッドセクション204(図9)及び冷間加工されたシャンクセクション212(図9)及び延性シャンクセクション214(図9)を有している。
【0040】
図8の方法300のステップ302は、締め具200を提供するステップを含む。図9に示される実施形態では、締め具200は上述のように皿頭締め具220を含む。構造物250は第1のコンポーネント252と第2のコンポーネント254を含む。第1のコンポーネント252は、皿頭締め具220に対して相補的に形成されうる皿穴262を有する。シャンク206は、冷間加工されたヘッドセクション204に隣接するように配置された冷間加工されたシャンクセクション212を含み、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212からテールエンド部分210まで延伸する延性シャンクセクション214をさらに含む。前述のように、冷間加工されたヘッドセクション204と冷間加工されたシャンクセクション212は、延性シャンクセクション214よりも高い強度を有していることがある。例えば、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212は、延性シャンクセクション214のせん断強度よりも高いせん断強度を有することができる。延性シャンクセクション214は、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212よりも高い延性度を有することができる。
【0041】
図8の方法300のステップ304は、図10に示したように、構造物250で形成された孔258に締め具200を取付けるステップを含むことがある。冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212は、構造物250に対してヘッドを着座したとき、孔258の長さ260(図9)とほぼ同等の長さを有することができる。このように、締め具200の耐せん断荷重能力は最大化される。図10はさらに、締め具200のヘッドに対して配設されたリベットガンなどの工具272及び締め具200のテールエンド部分210に対して配設されたバッキングバー270を図解している。テールエンド部分210は、工具272及びバッキングバー270によって締め具200に据え込み力274を印加する前の据え込み前状態264で示されている。
【0042】
図8の方法300のステップ306は、締め具200に据え込み力274を印加することによって、締め具200のテールエンド部分210を据え込むステップを含むことがある。図11を参照すると、据え込み力274はリベットガンによって提供される一連の衝撃によって印加することができる。図11には据え込み途中の状態266が図解されているが、衝撃は、構造物250の表面256に対してテールエンド部分210の塑性変形を連続的に増大させるような大きさであることが好ましい。図10〜12は、リベットガンなどの工具272及びバッキングバー270によって実施されるテールエンド部分210の据え込みを図解しているが、テールエンド部分210の据え込みには、リベット圧縮工具、リベット圧接工具、又は他の手動又は自動の工具又は装置を含む任意の装置、又はプロセスが使用可能であるが、これらに限定されるわけではない。
【0043】
図12を参照すると、最終的な据え込み状態268に変形された締め具200のテールエンド部分210が表示されている。有利には、延性シャンクセクション214の比較的高い延性度により、テールエンド部分210の据え込みに要する力の量は低減されるが、これは締め具200の取付けに必要となる再加工の量又は時間の減少に対応する。図13は締め具200の最終的な取付けを示したもので、工具(例えば、リベットガン)及びバッキングバー270は取り除かれている。
【0044】
図15〜32を追加参照しながら図14を参照すると、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212及び延性シャンクセクション214を有する締め具200を形成する方法400の実施形態を説明するフロー図が図14に示されている。冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212は、図16、20、25、及び29に示され、以下で説明される金型50、50a、100、100a及びラム80、130を含みうるシステム10を使用して形成することができる。締め具200を形成する方法400は、図15〜23に図解されている皿頭締め具218の形成との関連、及び図24〜32に図解されている丸頭締め具224の形成との関連において説明されている。
【0045】
図14の方法400のステップ402は、図15及び24に示したように対向する第1及び第2の端部14、16を有する未加工品12を提供するステップを含むことがある。未加工品12は、ロッド又は一般的に細長い円筒形の部材として提供されることがある。概して立体18の構成を有するように示されているが、未加工品12は任意選択により、図33に示し、以下でより詳細に説明するように、未加工品12の中に少なくとも部分的に延伸する管状空洞22を有する半管状の未加工品20として提供されることがある。未加工品12は概して、未加工品12の長さに沿って延伸する一定の公称シャンク径30(図15)を有することができる。しかしながら、未加工品12は、未加工品12の長さに沿って変動するシャンク径208を有するように提供されることがある。
【0046】
図15及び24の未加工品12は、有利には既に説明したように比較的小さな粒径を有する材料で形成することができる。例えば、未加工品12は、約10,000ナノメートル未満の平均粒径、又はより好ましくは、約100〜300ナノメートルなど約300ナノメートル未満の平均粒径など、超細粒を有するチタン材料又はチタン合金材料で形成することができる。しかしながら、未加工品12は、比較的粗い粒径(例えば、約100,000ナノメートル超)又は細粒径(例えば、約10,000ナノメートル未満)を有する材料で形成することができる。既に述べたように、材料はまた任意選択により、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、ステンレス鋼、及びチタン又はチタン合金材料などの任意の金属材料を含むことができるが、これらに限定されるわけではない。
【0047】
図16を参照すると、未加工品12に皿頭締め具218(図1〜3)を形成するための皿頭36を与えるように、システム10の成形金型50及び成形ラム80を提供することができる。成形金型50は、対向する第1及び第2の端部52、54を有することがある。図16では、成形金型50は、未加工品12に対応する皿頭36(図19)を形成するための成形金型皿穴60を有する成形金型空洞58を含むことがある。図25は、未加工品12に丸頭38(図28)を形成するための成形金型52a及び成形ラム80を図解している。成形金型50aは、対向する第1及び第2の端部52a、54aを有することがある。図25に示すように、形成金型50aは成形金型空洞58aを含むことがあり、この空洞は、成形金型50aが丸頭締め具224(図4〜7)の形成に使用できるように皿穴60を欠いていることがある。
【0048】
図16及び25では、成形金型50、50a及び成形ラム80は、未加工品12の材料組成と互換性がある比較的強度の高い材料で形成してもよい。成形金型50、50aは成形金型空洞58、58aを有していてもよい。成形金型空洞58、58aは、成形金型50、50aに形成されるボア62、62aを含んでいてもよい。ボア62、62aは、拡張されたボア径70、70aを有する拡張されたボア部分68、68aまで移行しうる公称ボア径66、66aを有する公称ボア部分64、64a(図16及び25)を含んでいてもよい。公称ボア部分64、64aは、拡張されたボア皿穴72、72aを介して拡張されたボア部分68、68aまで移行することがある。
【0049】
拡張されたボア部分68、68aは公称ボア部分64、64aと同心であってもよく、また成形金型50、50aの1端部上に開いていてもよい。公称ボア部分64、64aは、拡張されたボア部分68、68aの端部に対向する成形金型50、50aの端部に空けられることがある。しかしながら、公称ボア部分64、64aは、成形金型50、50aの内部で終わることもでき、必ずしも成形金型50、50aの端部まで延伸する必要はない。成形金型50、50aの公称ボア部分64、64aは、未加工品12(図15)の公称シャンク径30(図15)に実質的に対応する、又はほぼ同等となりうる公称ボア径66、66aを有することができる。未加工品12の公称シャンク径30は、冷間加工シャンクセクション212(図23及び32)及び延性シャンクセクション214(図23及び32)における締め具200(図23及び32)の最終シャンク径208(図23及び32)とほぼ同等であってもよい。
【0050】
図16及び25に示した成形ラム80は、未加工品12(図17及び26)の端部を受け止めるように構成されたラム空洞82を有することができる。ラム空洞82は図示するように凹面であってもよく、又はラム空洞82は代替的な形状で提供されることがある。成形ラム80は、成形金型50、50aの合わせ面56、56aに接触するように構成された面84を有することがある。しかしながら、成形金型50、50a及び成形ラム80には、合わせ面に代わる形状が提供されることがあり、互いに接触するように構成される面に限定されない。一実施形態では、成形金型50、50a及び成形ラム80は、互いに接触することなく未加工品12を形成するように構成されることがある。
【0051】
図14の方法400のステップ404は、図17及び26に示すように成形金型50、50aの公称ボア部分64、64a(図17及び26)に未加工品12(図17及び26)を挿入するステップを含むことがある。ここに示した実施形態では、成形金型50、50aはバッキング装置88上で支持されることがある。未加工品12は、未加工品12が公称ボア部分64、64aに挿入され、未加工品12がバッキング装置88(図17及び26)に接触するとき、未加工品12が成形金型50、50aの拡張されたボア部分68、68a(図17及び26)から突出するような長さを有していてもよい。
【0052】
図14の方法400のステップ406は、図17及び26に示すように未加工品12に軸圧縮力86を印加するステップを含むことがある。成形ラム80は、成形金型から突出する未加工品12の一部に軸圧縮力86を印加することができる。未加工品12は、軸圧縮力86を印加する間にバッキング装置88によって支持することができる。
【0053】
図14の方法400のステップ408は、成形ラム80を成形金型50、50aに接触させるステップ、並びに図18及び27に示すようにラム空洞82と拡張されたボア部分68、68aを未加工品12の一部で実質的に満たすステップを含むことがある。その際、軸圧縮力86(図17)の印加によって、未加工品12の一部が、ラム空洞82と拡張されたボア部分68、68a(図18)とを組み合わせた形状に実質的に対応する形状を想定できるようにすることができる。
【0054】
図14の方法400のステップ410は、成形途中の未加工品13に軸圧縮力86(図18及び27)を適用することに対応して、図19及び28に示すように、成形途中の未加工品13にヘッド40及び拡張されたシャンク部分32を形成するステップを含むことがある。その際、成形途中の未加工品13は、拡張されたシャンク部分32から延伸する公称シャンク部分28を有する冷間加工されたヘッドセクション204に隣接して配置される拡張されたシャンク部分32を含むことがある。既に示したように、公称シャンク部分28は図15に示す円筒形の未加工品12の元の直径とほぼ同等であってもよい。
【0055】
図20及び29を参照すると、成形途中の未加工品13(図19及び28)を、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212(図23及び32)を有する締め具200に成形するための最終縮小金型100、100a及び縮小ラム130が示されている。縮小ラム130(図20)は対向する第1及び第2端部102、102a、104、104aを有することがあり、且つ最終縮小金型100、100aを経由して完全に又は部分的に延伸するボア112、112aを有する最終縮小金型空洞108、108aを含むことがある。成形ラム130は、最終縮小金型100、100aの合わせ面106、106aに接触するように構成された面134を有することがある。縮小ラム130は、成形ラム80(図16及び25)のラム空洞82(図16及び25)の形状を補完するように形成されることがあるラム空洞132を有することがある。縮小ラム130は成形途中の未加工品13の端部を受け止めるように構成されることがある。最終縮小金型100(図20)は、成形金型50(図16)に形成される成形金型皿穴60(図16)に対応する最終縮小金型皿穴110(図20)を含むことがある。図20及び29に示す最終縮小金型100、100aの各々のボア112、112aは、図15及び24に図解した未加工品12の公称シャンク部分28の公称シャンク径30と実質的に同等のボア径114、114aを含むことがある。図20及び29の縮小ラム130は、図17及び26に図解し既に説明した成形ラム80と実質的に同等に構成されることがある。
【0056】
図14の方法400のステップ412は、図21及び30に示したように最終縮小金型100、100aのボア112、112aに、成形途中の未加工品13の公称シャンク部分28を挿入するステップを含むことがある。最終縮小金型100、100aは、バッキング装置138(図22及び31)上で支持されることがある。拡張されたシャンク部分32は、最終縮小金型ボア112、112aの直径114、114aよりも大きくなることがある拡張されたシャンク径34(図19及び28)を有することがある。拡張されたシャンク部分32は、最終縮小金型100、100aのボア112、112aの上方に配置することができる。成形途中の未加工品13は、以下で説明するように、最終縮小金型100、100aのボア112、112aへの拡張されたシャンク部分32の挿入を容易にするため、公称シャンク部分28と拡張されたシャンク部分32との間に先が細くなった移行部分を含むことがある。
【0057】
図14の方法400のステップ414は、図22及び31に示すように成形途中の未加工品13に軸圧縮力136を印加するステップを含むことがある。図22及び31にそれぞれ示す最終金型100、100aは、任意選択により、軸圧縮力136の印加時にバッキング装置88(図22及び31)上で支持されることがある。縮小ラム130は、成形途中の未加工品13のヘッド40に軸圧縮力136を印加することができる。
【0058】
図14の方法400のステップ416は、図22及び31に示すように最終縮小金型100、100aのボア112、112aに、拡張されたシャンク部分32を挿入又は推し進めるステップを含むことがある。軸圧縮力136は、縮小ラム130が最終縮小金型100、100aに接触するまで、成形途中の未加工品13に印加することができる。
【0059】
図14の方法400のステップ418は、拡張されたシャンク部分32の断面積を図22及び31に示すように最終縮小金型ボア112、112aの断面積まで縮小することによって、冷間加工されたシャンクセクション212を形成するステップを含むことがある。その際、この方法は、拡張されたシャンク部分32に力を加えて最終縮小金型ボア112、112aまで縮小するステップに対応して、成形途中の未加工品13の拡張されたシャンク部分32の直径を、最終縮小金型ボア112、112aの直径114、114aまで縮小するステップを含むことがある。このように、ステップ418は、図22及び31の成形途中の未加工品13を、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212(図23及び32)及び延性シャンクセクション214(図23及び32)を有する締め具200(図23及び32)に成形するステップを含むことがある。延性シャンクセクション214は、締め具200の冷間加工されたシャンクセクション212からテールエンド部分210(図23及び32)まで延伸することがある。成形途中の未加工品13は、図23の皿頭締め具218に成形されることがある。代替的に、成形途中の未加工品13は、図32の丸頭締め具200に成形されることがある。
【0060】
図33〜35を参照すると、半管状未加工品20を半管状締め具200(図6)に成形するための準備ステップが示されている。図33は、少なくとも未加工品12の端部まで部分的に延伸する一般的に中空の管状空洞22を有する半管状の未加工品20を図解している。中空の管状空洞22を補完するように形成されるシャフトを有する挿入工具24は、半管状未加工品20を安定させるために提供されることがある。挿入工具24は、半管状未加工品20を、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212(図6)を有する半管状締め具200に成形する工程時のつぶれ又は変形から、半管状の未加工品20の中空の管状空洞22を安定させることができる。
【0061】
図34は、成形金型50に取付けられた半管状未加工品20、及び半管状未加工品20の管状空洞22の下に配置された挿入工具24を示している。挿入工具24は任意選択により、挿入工具24から延伸するボス26を含むことができる。ボス26は挿入工具24を取り扱うために提供されることがある。
【0062】
図35は、成形金型50に取付けられた未加工品12、及び未加工品12に軸圧縮力86を印加する前に管状空洞22に取付けられた挿入工具24を示している。半管状の未加工品20(図33)を、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212(図6)を有する半管状締め具200(図6)に加工する際に、中空の管状空洞22を安定化させるため未加工品12への軸圧縮力86の印加中に、挿入工具24は機械的に位置を保つことができる。
【0063】
次に図36を参照すると、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212(図23)を有する締め具200(図23)を形成するための方法500のさらなる実施形態が示されている。方法500は、未加工品12(図15)を締め具200に成形するステップに関して上述の一又は複数のステップを含むことがあり、且つ締め具200の性能及び強度特性を改善するための付加的なステップを含むことができる。
【0064】
図36の方法500のステップ502は、所望の粒径を有する未加工品12(図15)を提供するステップを含むことがある。例えば、ステップ502は、既に述べたように大きめの粒径材料が使用されることがあるものの、約10,000ナノメートル未満の粒径を有する超細粒材料組成を有する未加工品12を提供するステップを含むことがある。
【0065】
図36の方法500のステップ504は、冷間加工されたヘッドセクション204及び成形途中の未加工品13(図19)の拡張されたシャンク部分32を形成するステップを含むことがあり、形成ステップ時に成形途中の未加工品13を冷間加工するステップを含むことがある。冷間加工されたヘッドセクション204及び拡張されたシャンク部分32の形成に加えて、ステップ504は、図18及び27に示すように成形プロセス中に行われた冷間加工によって、改善された引張強度などのように、冷間加工されたヘッドセクション204で強度を改善するステップを含むことがある。
【0066】
図36の方法500のステップ506は、冷間加工したシャンクセクション212(図22)を形成する前に、任意選択により成形途中の未加工品13(図21)を焼きなましするステップを含むことがある。焼きなましするステップは、成形途中の未加工品13を事前に設定した温度まで加熱するステップ、及びその温度を事前に設定した時間だけ保持するステップを含むことがある。焼きなましは任意選択により、成形途中の未加工品13の残留応力を低減又は取り除くため、及び/又は成形途中の未加工品13の強度特性など、成形途中の未加工品13の一又は複数の特性を改善するため、実施することができる。
【0067】
図36の方法500のステップ508は、成形途中の未加工品13の局所領域(例えば、拡張されたシャンク部分32―図19)冷間加工して、既に説明し図23及び32で図解したように冷間加工されたシャンクセクション212を有する締め具200(図23)に成形するステップを含む。一実施形態では、冷間加工プロセスは、拡張されたシャンク部分32の断面積を減少させて、冷間加工したシャンクセクション212を形成するステップを含むことができる。有利には、冷間加工されたヘッドセクション204と冷間加工されたシャンクセクション212は、延性シャンクセクション214よりも高い強度を有していることがある。延性シャンクセクション214は、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212よりも高い延性度を有することができる。
【0068】
図36の方法500のステップ510は、冷間加工されたヘッドセクション204(図23)及び冷間加工されたシャンクセクション212(図23)を締め具200(図23)に形成した後に、締め具200を焼きなましする任意選択のステップを含むことがある。焼きなましステップは、冷間加工プロセス時に締め具200に発生しうる残留応力を低減又は取り除くための手段として、締め具200を事前に設定した高温まで加熱し、その温度を事前に設定した時間だけ保持することによって締め具200を熱処理するステップをさらに含むことがある。焼きなましのステップはまた、締め具200の機械特性を改善することがある。
【0069】
図36の方法500のステップ512は、締め具200(図23)に耐腐食性被覆材202(図23)を適用するステップを含むことがある。既に述べた一実施形態では、被覆202は耐腐食性の硬化性有機被覆材を含むことがある。被覆202は、吹き付け、はけ塗り、又は代替的な方法を使用して締め具200に塗布することができる。被覆202材は、他の厚さの被覆202でも可能であるが、硬化後に約0.0003〜0.0005インチの厚さを有することが好ましい。
【0070】
図36の方法500のステップ514は、事前に設定した硬化温度まで、被覆した締め具200の環境温度を上昇させ、事前に設定した時間だけ保持することになどによって塗布した被覆材を硬化させるステップを含むことがある。被覆202の温度の上昇は、塗布した被覆材から溶媒の蒸発を引き起こすことができる。
【0071】
図36の方法500のステップ516は、締め具200の強度特性を高めるため、事前に設定した温度形態で事前に定められた時間だけ、締め具200(図23)を最終的に熱処理する任意選択のステップを含むことがある。一実施形態では、締め具200の熱処理は、締め具200を製造するための総時間及び総コストを低減するため被覆材の硬化と同時に実施することができる。ステップ516は、塗布した被覆材の硬化し、締め具200を熱処理するステップ514と任意選択により結合してもよい。
【0072】
図36の方法500のステップ518は、既に説明し図9〜13で図解したように、構造物250に締め具200(図23)を取付けるステップを含むことがある。締め具200は、冷間加工されたヘッドセクション204(図9)と構造物250(図9)の総厚みにほぼ等しい長さを有する冷間加工されたシャンクセクション212(図9)とを有する皿頭締め具218(図9)として形成することができる。代替的に、締め具200は、構造物250(図9)の総厚みにほぼ等しい長さを有する冷間加工されたシャンクセクション226a(図4)を有する丸頭締め具224(図4)として形成することができる。丸頭締め具224は、締め具224の取付けによって形成される構造結合部に最大のせん断耐力を提供することができる。
【0073】
図36の方法500のステップ520は、図10〜12の一連のステップで図解したように、構造物250に対して延性シャンクセクション214のテールエンド部分210を据え込みするステップを含むことがある。テールエンド部分210は、テールエンド部分210の据え込み時に、構造物250のコンポーネントに対して適切に変形させることができる。有利には、延性シャンクセクション214の延性度が高いため、締め具200のテールエンド部分210の操作性又は据え込みの改善が実現され、これによって締め具の取付け品質及び締め具200によって締結されるコンポーネントの締め付けが改善される結果となる。締め付けが改善されることによって、締め具200の取付けによって形成される構造結合部の結合疲労及び引張強度を改善することができる。
【0074】
冷間加工されたヘッド及びシャンクセクション204、212を有する締め具200を形成するプロセスは、冷間加工されたヘッドセクション204及び冷間加工されたシャンクセクション212を形成するための一連の金型(すなわち、成形金型50及び最終縮小金型100)の使用に関連して既に説明されているが、他の方法も実装可能であるという点に注意すべきである。例えば、冷間加工されたヘッド及びシャンクセクション204、212は、押出、圧延、据え込み、又は所望のレベルの局所的な冷間加工を与える他の操作(例えば、断面積の2〜5パーセントの縮小)によって形成することができる。
【0075】
上述の説明及び関連する図面に示した教示の利点を有するこのような発明に関連する当業者であれば、本明細書に記載した多数の変形例および他の実施形態が想起される。本明細書に記載した実施形態は、例示することを意図したものであって、限定的又は網羅的であることを意図していない。本明細書では特定の用語を使用しているが、単に一般的かつ説明のために使用したものであり、限定を目的とするものではない。
【符号の説明】
【0076】
10 システム
12、13 未加工品
14、16 端部
18 立体
20 半管状の未加工品
22 管状空洞
24 挿入工具
26 ボス
28 公称シャンク部分
30 公称シャンク径
32 シャンク部分
34 シャンク径
36 皿頭
38 丸頭
40 ヘッド
50、50a 成形金型
52、52a、54、54a 端部
56、56a 合わせ面
58、58a 成形金型空洞
60 成形金型皿穴
62、62a ボア
64、64a 公称ボア部分
66、66a 公称ボア径
68、68a 拡張されたボア部分
70、70a ボア径
72、72a ボア皿穴
80 成形ラム
82 ラム空洞
84 面
86 軸圧縮力
88 バッキング装置
100、100a 最終縮小金型
102、102a、104、104a 端部
106、106a 合わせ面
108、108a 最終縮小金型空洞
110 最終縮小金型皿穴
112、112a ボア
114、114a ボア径
130 縮小ラム
132 ラム空洞
134 面
136 軸圧縮力
138 バッキング装置
200 締め具
202 耐腐食性被覆材
203 ヘッド
204 ヘッドセクション
206 シャンク
208 シャンク径
210 テールエンド部分
212 シャンクセクション
214 延性シャンクセクション
218 皿頭締め具
220 皿頭せん断締め具
220a シャンクセクション
220b 延性シャンクセクション
220c テールエンド部分
220d ヘッドセクション
222 皿頭引張締め具
222a シャンクセクション
222b 延性シャンクセクション
222c テールエンド部分
222d ヘッドセクション
224 丸頭締め具
226 丸頭せん断締め具
226a シャンクセクション
226b 延性シャンクセクション
226c テールエンド部分
226d ヘッドセクション
228 丸頭引張締め具
228a シャンクセクション
228b 延性シャンクセクション
228c テールエンド部分
228d ヘッドセクション
230 半管状締め具
230a シャンクセクション
230b 延性シャンクセクション
230c テールエンド部分
230d ヘッドセクション
250 構造物
252、254 コンポーネント
256 表面
258 孔
260 孔の長さ
264 据え込み前の状態
266 据え込み途中の状態
268 最終的な据え込み状態
270 バッキングバー
272 工具
274 据え込み力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷間加工されたヘッドセクション(204)と、
冷間加工されたシャンクセクション(212)と、
前記冷間加工されたシャンクセクション(212)から前記締め具(200)のテールエンド部分(210)まで延伸する延性シャンクセクション(214)であって、冷間加工されていない延性シャンクセクション(214)と
を含む締め具。
【請求項2】
前記冷間加工されたヘッドセクション(204)と前記冷間加工されたシャンクセクション(212)は、前記延性シャンクセクション(214)よりも高い強度を有している
請求項1に記載の締め具。
【請求項3】
前記延性シャンクセクション(214)は、冷間加工されたヘッドセクション(204)及び前記冷間加工されたシャンクセクション(212)よりも高い延性度を有している
請求項1又は2に記載の締め具。
【請求項4】
前記締め具(200)は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、チタン、及びチタン合金のうちの少なくとも1つの材料組成を有する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の締め具。
【請求項5】
前記締め具(200)は、超微細粒材料組成を有する
請求項1〜4のいずれか一項に記載の締め具。
【請求項6】
構造物を組み立てる方法であって、
テールエンド部分(210)で終わるヘッド(203)及びシャンク(206)を有する締め具(200)、冷間加工されたヘッドセクション(204)を有する前記ヘッド(203)、冷間加工されたシャンクセクション(212)及び前記冷間加工されたシャンクセクション(212)から前記テールエンド部分(210)まで延伸する延性シャンクセクション(214)を含む前記シャンク(206)、前記延性シャンクセクション(214)よりも高い強度を有する前記冷間加工されたヘッドセクション(204)及び前記冷間加工されたシャンクセクション(212)を提供するステップと、
前記構造物(250)の孔(258)に前記締め具(200)を取り付けるステップと、
前記延性シャンクセクション(214)の前記テールエンド部分(210)を据え込むステップと
を含む方法。
【請求項7】
前記締め具を提供する前記ステップが、
チタン、及びチタン合金のうちの少なくとも1つの材料組成の前記締め具(200)を提供するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記締め具を提供する前記ステップが、
超微細粒材料の前記締め具(200)を提供するステップを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記延性シャンクセクション(214)は、前記冷間加工されたヘッドセクション(204)及び前記冷間加工されたシャンクセクション(212)の延性度よりも高い延性度を有している
請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記締め具を取付ける前記ステップが、
航空機構造物の前記締め具を取付けるステップを含む、請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2013−108624(P2013−108624A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−252251(P2012−252251)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】