説明

高官能性、高分枝または超分枝ポリカーボネートを有する粉末塗料

ジアルキルカーボネートまたはジアリールカーボネート系、またはホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲン系、および脂肪族、脂肪族/芳香族または芳香族ジオールまたはポリオール系の高官能性、高分枝または超分枝ポリカーボネートを含む粉末塗料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアルキルまたはジアリールカーボネート系、またはホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲン系、および脂肪族、脂肪族/芳香族または芳香族ジオールまたはポリオール系の高官能性、高分枝または超分枝ポリカーボネートを含む粉末塗料に関する。
【0002】
ポリカーボネートは、通例、アルコールまたはフェノールとホスゲンとの反応から、あるいはアルコールまたはフェノールとジアルキルまたはジアリールカーボネートとのエステル交換反応から得られる。例えば、ビスフェノールから調製される芳香族ポリカーボネートは、工業的に重要であり、それらの取引量の点では、脂肪族ポリカーボネートは、これまでは小さな役割を果たしてきた。これらの点に関しては、また、Becker/Braun, Kunststoff−Handbuch vol.3/1,"Polycarbonate, Polyacetale, Polyseter, Cellulose ester", Carl−Hanser−Verlag, Munich 1992, pages 118−119および"Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry" 6th Edition, 2000 Electronic Release, Verlag Wiley−VCHを参照されたい。
【0003】
文献に記載の芳香族または脂肪族ポリカーボネートは、一般に、直鎖であるか、あるいは低分枝度だけで構成されている。
【0004】
たとえば、米国特許第3,305,605号には、ポリビニルポリマー用可塑剤としての15000Daを超えるモル質量を有する固体の直鎖脂肪族ポリカーボネートの使用が記載されている。
【0005】
米国特許第4,255,301号には、ポリエステル用光安定剤として直鎖脂環式ポリカーボネートが記載されている。
【0006】
直鎖脂肪族ポリカーボネートは、また、ポリエステル用またはポリウレタンエラストマーまたはポリ尿素−ウレタンエラストマー用熱可塑性樹脂の調製にも好ましく使用され、例えば、これらの点に関しては、また、欧州特許第364052号、同第292772号、同第1018504号または独国特許第10130882号を参照されたい。これらの直鎖ポリカーボネートの一般の特徴は、それらの高い固有粘度である。
【0007】
欧州特許出願公開第896 013号には、ジオールおよび少なくとも3個のOH基を有するポリオールと、有機カーボネート、ホスゲンまたはそれらの誘導体との混合物を反応させることにより得られる架橋ポリカーボネートが開示されている。少なくとも40%のジオールを使用することが好ましい。公報には、方法についての表示を全く含んでおらず、記載の製品から始めて非架橋の超分枝ポリカーボネートをまた調製するかもしれない。
【0008】
既定の構造の高官能性ポリカーボネートは、ほんの少しの間、知られていたにすぎなかった。
【0009】
ファイル・リファレンス10 2005 009 166.0、出願日2005年2月25日の未公開の独国特許出願には、超分枝、高分枝または超分枝ポリカーボネートが記載されており、また、一般に、粉末塗料におけるそれらの使用が記載されている。
【0010】
しかしながら、特定の粉末塗料は、その中に記載されていない。
【0011】
S.P.Rannard and N.J.Davis, J.Am.Chem.Soc. 2000, 122, 11729には、ホスゲン類似体化合物としてのカルボニルビスイミダゾールをビスヒドロキシエチルアミノ−2−プロパノールと反応させることによる完全に分枝したデンドリマー状ポリカーボネートの調製が記載されている。
【0012】
完全なデンドリマーを形成する合成は、多段階手順であるので、コストが集中するため、工業規模への移行には適していない。
【0013】
D.H.Bolton and K.L.Wooley, Macromolecules 1997, 30, 1890には、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタンをカルボニルビスイミダゾールと反応させることによる高硬質で高分子量の超分枝芳香族ポリカーボネートの調製が記載されている。
【0014】
超分枝ポリカーボネートは、また、国際公開第98/50453号に従って調製することができる。その中に記載のプロセスによると、トリオールをカルボニルビスイミダゾールと再度反応させる。初期生成物はイミダゾリドで、これを、さらに分子間反応にかけてポリカーボネートを形成する。記載の方法に従って、ポリカーボネートは、無色または淡黄色のゴム状生成物として得られる。
【0015】
Scheel and coworkers, Macromol. Symp. 2004, 120, 101には、トリエタノールアミン系およびカルボニルビスイミダゾール系のポリカーボネートの調製が記載されているが、この調製により、熱に不安定な生成物がもたらされる。
【0016】
高分枝または超分枝ポリカーボネートが得られる前記合成は、以下の欠点を有する。
a)超分枝生成物は、高融点、ゴム状または熱に不安定なので、その後の処理の可能性を著しく制限する。
b)反応中に放出するイミダゾールを反応混合物から除去しなければならず、これを達成するに費用がかさみ、不都合である。
c)反応生成物は、常に、末端イミダゾリド基を含む。これらの基は不安定で、例えば、二次工程を介して水酸基に変換されなければならない。
d)カルボニルジイミダゾールは、比較的高価な薬品であるため、供給原料のコストを大きく増大させる。
【0017】
改善された流動特性および/または改善された光学的性質を有する粉末塗料を調製することが本発明の目的だった。
【0018】
この目的は、少なくとも1つの高官能性、高分枝または超分枝非架橋ポリカーボネートを含む粉末塗料によって達成された。
【0019】
この目的に用いられる高官能性、高分枝または超分枝ポリカーボネートは、室温(23℃)で固体または液体で、一般に、−70〜50℃、好ましくは−70〜20℃、より好ましくは−50〜+10℃のガラス転移温度を有する。
【0020】
ガラス転移温度Tgは、好ましくは10℃/分の加熱速度でASTM 3418/82に従ってDSC(示差走査熱量測定)法によって決定される。
【0021】
DIN 53240、2部に対するOH価は、通常、100mgKOH/g以上、好ましくは150mgKOH/g以上である。
【0022】
175℃で溶融状態のポリカーボネートのISO 3219に対する粘度は、0〜20000mPas、好ましくは0〜15000mPasである。
【0023】
質量平均分子量Mwは、通常、1000〜15000g/molであり、好ましくは2000〜120000g/molで、数平均分子量Mnは、500〜50000g/mol、好ましくは500〜40000g/molである。
【0024】
ポリカーボネートは、特に、レオロジーを改善する流動助剤として発明の粉末塗料中で利点を発揮する。
【0025】
この発明の目的のために、超分枝ポリカーボネートは、水酸基およびカーボネート基または塩化カルバモイル基(どちらも構造的および分子的に均質でなくてもよい)を含有する非架橋高分子を意味する。一方、それらはデンドリマーに対してと同様に中心分子から始めるが、均質性を欠く分枝の鎖長を用いて合成されてもよい。一方、それらは、また、官能性分枝側基を有する直鎖構造からなっていてもよいし、あるいは2つの端部の組み合わせとして直鎖部分および分枝部分を含んでいてもよい。デンドリマーおよび超分枝ポリマーの定義に関しては、また、P. J. Flory, J. Am. Chem. Soc. 1952, 74, 2718およびH. Frey et al., Chem. Eur. J. 2000, 6, No.14, 2499を参照されたい。
【0026】
本発明の文脈中の「高分枝」および「超分枝」は、分枝度(DB)、すなわち、1分子あたりの樹枝状結合の平均数+末端基の平均数を樹枝状結合の平均数、直鎖結合の平均数および末端基の平均数の合計で割って、100倍したものが10%〜99.9%、好ましくは20%〜99%、より好ましくは20%〜95%であることを意味する。
【0027】
本発明の文脈中の「樹枝状」は、分枝度が99.9%〜100%であることを意味する。「分枝度」の定義に関しては、H. Frey et al., Acta Polym. 1997, 48, 30を参照されたい。
【0028】
非架橋であることが、ポリカーボネートの重要な特徴である。本明細書の目的の「非架橋」とは、ポリマーの不溶性留分によって決定される架橋の広がり度が15質量%未満、より好ましくは10質量%未満であることを意味する。
【0029】
ポリマーの不溶性留分は、残留物を一定の質量まで乾燥し、残存する残留物を秤量することによってどの溶媒がポリマーに対してより良い溶解力を有するかに応じてゲル浸透クロマトグラフィーに使用するのと同じ溶媒、すなわち、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミドまたはヘキサフルオロイソプロパノールを用いて、ソックスレー抽出器中で4時間の抽出によって定量した。
【0030】
高官能性、高分枝または超分枝非架橋ポリカーボネートを得るために使用するプロセスは、好ましくは、
a)
a1)少なくとも1つの一般式RO[(CO)O]nR[式中、Rは、各場合、独立して1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝脂肪族、芳香族/脂肪族または芳香族炭化水素基で、基Rが互いに結合して環、好ましくは5〜6員環を形成することも可能で、nは1〜5の整数である]の有機カーボネート(A)を、少なくとも3個のOH基を含有する少なくとも1つの脂肪族、脂肪族/芳香族または芳香族アルコール(B1)と反応させてアルコールROHを脱離させること
または
a2)ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンを、前記脂肪族、脂肪族/芳香族または芳香族アルコール(B1)と反応させて、塩化水素を放出させること
のいずれかによって1つ以上の縮合生成物(K)を調製する工程、
そして
b)縮合生成物(K)を分子間で反応させて高官能性、高分枝または超分枝ポリカーボネートを得る工程を含み、
反応混合物中のホスゲンまたはカーボネートに対するOH基の割合は、縮合生成物(K)が1個のカーボネート基または塩化カルバモイル基および1個を超えるOH基、または1個のOH基と1個を超えるカーボネート基または塩化カルバモイル基のいずれかを平均して含有するように選択されることを特徴とする。
【0031】
以下に、プロセスの詳細を示す。
【0032】
使用する出発原料は、有機カーボネート(A)を使用するのが好ましいが、ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンであってもよく、これらの中で好ましくはホスゲンであってもよい。
【0033】
一般式RO[(CO)O]nRの有機カーボネート(A)出発原料の基Rは、各場合、互いに独立して1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝脂肪族、芳香族/脂肪族(芳香脂肪族)または芳香族炭化水素基である。2つの基Rは、また、互いに結合して環を形成してもよい。2つの基Rは、同一または異なっていてもよいが、好ましくは同一である。各Rは、1〜5個の炭素原子を有する好ましくは脂肪族炭化水素基、より好ましくは直鎖または分枝アルキル基、または置換または非置換フェニル基である。
【0034】
Rは、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜6個、非常に好ましくは1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝炭化水素基、好ましくは直鎖、脂環式、芳香族/脂肪族または芳香族炭化水素基、好ましくは脂環式または芳香族炭化水素基、より好ましくは脂肪族炭化水素基である。
【0035】
その例として、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−エイコシル、2−エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、フェニル、o−またはp−トリルまたはナフチルが挙げられる。好ましいのは、メチル、エチル、n−ブチルおよびフェニルである。
【0036】
基Rは、同一または異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
【0037】
基Rは、互いに結合して環を形成することもできる。この種の2価の基Rの例として、1,2−エチレン、1,2−プロピレンおよび1,3−プロピレンが挙げられる。
【0038】
一般に、nは、1〜5、好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2の整数である。
【0039】
カーボネートは、好ましくは一般式RO(CO)ORの簡単なカーボネートであってもよく、すなわち、この場合、nは1である。
【0040】
ジアルキルまたはジアリールカーボネートは、例えば、脂肪族、芳香脂肪族または芳香族アルコール、好ましくは一価アルコールとホスゲンとの反応から調製できる。さらに、それらは、また、貴金属、酸素またはNOxの存在下、COによるアルコールまたはフェノールの酸化カルボニル化によって調製できる。ジアリールまたはジアルキルカーボネートの調製方法に関しては、また、"Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry", 6th Edition, 2000 Electronic Release, Wiley−VCHを参照されたい。
【0041】
本発明に関して、カーボネートを調製した方法によって重要な役割が果たされていない。
【0042】
適したカーボネートの例として、エチレンカーボネート、1,2−または1,3−プロピレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ジキシリルカーボネート、ジナフチルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ジベンジルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、ジデシルカーボネートまたはジドデシルカーボネートなどの脂肪族、芳香族/脂肪族または芳香族カーボネートが挙げられる。
【0043】
nが1より大きいカーボネートの例として、ジ(tert−ブチル)ジカーボネートなどのジアルキルジカーボネート、またはジ(tert−ブチル)トリカーボネートなどのジアルキルトリカーボネートが挙げられる。
【0044】
脂肪族カーボネート、特に、基が1〜5個の炭素原子を含むもの、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネートまたはジイソブチルカーボネートなどの使用が好ましい。1つの好ましい芳香族カーボネートは、ジフェニルカーボネートである。
【0045】
有機カーボネートは、少なくとも3つのOH基を含有する少なくとも1つの脂肪族または芳香族アルコール(B1)、または2つ以上の異なるアルコールの混合物と反応する。
【0046】
アルコール(B1)は、分枝または非分枝、置換または非置換であってもよく、3〜26個の炭素原子を有してもよい。それは、好ましくは脂環式アルコール、より好ましくは脂肪族アルコールである。
【0047】
少なくとも3つのOH基を有する化合物の例として、グリセロール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、1,2,4−ブタントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ポリグリセロール、ビス(トリメチロールプロパン)、トリス(ヒドロキシルメチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシルエチル)イソシアヌレート、フロログルシノール、トリヒドロキシトルエン、トリヒドロキシメチルベンゼン、フロログルシド、ヘキサヒドロキシベンゼン、1,3,5−ベンゼントリメタノール、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、グルコースなどの糖類、例えば、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、スレイトール、エリスリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ダルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルトなどの糖誘導体、3つ以上の官能基を有し、3つ以上の官能基、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドまたはそれらの混合物を有するアルコール系のポリエーテルオール、またはポリエステロールが挙げられる。
【0048】
前記少なくとも3つのOH基を含有するアルコールは、また、適切であれば、アルコキシル化されてもよい。すなわち、それらは、1個の水酸基につき、1〜30個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、非常に好ましくは1〜5個の分子のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドおよび/またはイソブチレンオキシドと反応していてもよい。
【0049】
これに関連して、エチレンオキシド系および/またはプロピレンオキシド系のグリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトールおよびそれらのポリエーテルオールが、特に好ましい。
【0050】
これらの多官能性アルコールは、用いたすべてのアルコールの平均OH官能基がともに2個を超えるという条件で二官能性アルコール(B2)との混合物中で使用することもできる。2個のOH基を有する適した化合物の例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−および1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,2−、1,3−および1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−または1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシメチル)トルエン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ジヒドロキシベンゾフェノン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはそれらの混合物をベースとする二官能性ポリエーテルポリオール、162〜2000の分子量を有するポリテトラヒドロフラン、ポリカプロラクトンまたはジオール系のポリエステロールおよびジカルボン酸が挙げられる。
【0051】
ジオールは、ポリカーボネートの特性を微調整する役割を果たす。二官能性アルコールを使用する場合は、少なくとも三官能性のアルコール(B1)に対する二官能性アルコール(B2)の割合は、ポリカーボネートの所望の特性に従って当業者によって決定される。原則として、1つまたは複数のアルコール(B2)の量は、すべてのアルコール(B1)および(B2)を合わせた総量に対して0〜39.9mol%である。その量は、好ましくは0〜35mol%、より好ましくは0〜25mol%、非常に好ましくは0〜10mol%である。
【0052】
アルコール(B1)および(B2)は、本明細書ではともに(B)として表される。
【0053】
ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンとアルコールまたはアルコール混合物との反応は、一般に、塩化水素の脱離とともに起こり、高官能性の高分枝ポリカーボネートを得るためのカーボネートとアルコールまたはアルコール混合物との反応は、カーボネート分子から単官能性アルコールまたはフェノールの脱離とともに起こる。
【0054】
記載のプロセスによって形成した高官能性の高分枝ポリカーボネートは、反応後、すなわち、さらに変更することなく、水酸基およびカーボネート基または塩化カルバモイル基で終端する。これらは、各種溶媒に容易に溶解する。
【0055】
このような溶媒の例として、芳香族および/または脂環式炭化水素およびそれらの混合物、ハロゲン化炭化水素、ケトン、エステルおよびエーテルが挙げられる。
【0056】
好ましいのは、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、アルキルアルカノエート、ケトン、アルコキシル化アルキルアルカノエートおよびそれらの混合物である。
【0057】
特に好ましいのは、モノまたはポリアルキル化ベンゼンおよびナフタレン、ケトン、アルキルアルカノエートおよびアルコキシル化アルキルアルカノエート、そしてまた、それらの混合物である。
【0058】
好ましい芳香族炭化水素混合物は、主に、芳香族C7〜C14炭化水素を含み、110〜300℃の沸点範囲を含むことができるもので、より好ましくはトルエン、o−、m−またはp−キシレン、トリメチルベンゼン異性体、テトラメチルベンゼン異性体、エチルベンゼン、クメン、テトラヒドロナフタレンおよびそれらを含む混合物である。
【0059】
その例として、ExxonMobil ChemicalのSolvesso(登録商標)グレード、特に、Solvesso(登録商標)100(CAS No.64742−95−6、主に、C9およびC10芳香族化合物、沸点範囲約154〜178℃)、150(沸点範囲約182〜207℃)および200(CAS No.64742−94−5)、そしてまた、ShellのShellsol(登録商標)グレードが挙げられる。パラフィン、シクロパラフィンからなる炭化水素混合物および芳香族化合物は、また、Kristalloel(例えば、Kristalloel 30、沸点範囲約158〜198℃、またはKristalloel 60:CAS No.64742−82−1)、ホワイトスプリット(同様に、例えば、CAS No.64742−82−1)または溶媒ナフサ(軽質:沸点範囲約155〜180℃、重質:沸点範囲約225〜300℃)の名称の下で市販されている。この種の炭化水素混合物の芳香族含有量は、一般に、90質量%を超え、好ましくは95質量%を超え、より好ましくは98質量%を超え、非常に好ましくは99質量%を超える。特に低減したナフサ含有量を有する炭化水素混合物の使用は、理にかなうかもしれない。
【0060】
脂肪族炭化水素の量は、一般に、5質量%未満、好ましくは2.5質量%未満、より好ましくは1質量%未満である。
【0061】
ハロゲン化炭化水素は、例えば、クロロベンゼンおよびジクロロベンゼンまたはその異性体混合物である。
【0062】
エステルは、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸エチル、酢酸1−メトキシプロプ−2−イルおよび酢酸2−メトキシエチルである。
【0063】
エーテルは、例えば、THF、ジオキサン、およびエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールまたはトリプロピレングリコールのジメチル、ジエチルまたはジ−n−ブチルエーテルである。
【0064】
ケトンは、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、ヘキサノン、イソブチルメチルケトン、ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンまたはシクロヘプタノンである。
【0065】
脂環式炭化水素は、例えば、デカリン、アルキル化デカリンおよび直鎖または分枝アルカンおよび/またはシクロアルカンの異性体混合物である。
【0066】
特に、上記に挙げた芳香族炭化水素とともに、酢酸n−ブチル、酢酸エチル、酢酸1−メトキシプロプ−2−イル、酢酸2−メトキシエチル、2−ブタノン、イソブチルメチルケトンおよびそれらの混合物がさらに好ましい。
【0067】
この種の混合物は、5:1〜1:5の体積比で、好ましくは4:1〜1:4の体積比で、より好ましくは3:1〜1:3の体積比で、非常に特に好ましくは2:1〜1:2の体積比で構成することができる。
【0068】
好ましい溶媒は、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル、イソブチルメチルケトン、2−ブタノン、Solvesso(登録商標)グレードおよびキシレンである。
【0069】
例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール、アルコール/水混合物、アセトン、2−ブタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートは、前記カーボネートにさらに適しているかもしれない。
【0070】
この発明の文脈中で、高官能性ポリカーボネートは、ポリマー主鎖を形成するカーボネート基に加えて、さらに少なくとも3個、好ましくは少なくとも6個、より好ましくは少なくとも10個の官能基を末端にあるいは懸垂して有する生成物を意味する。官能基は、カーボネート基または塩化カルバモイル基および/またはOH基である。原則的には、末端または懸垂官能基の数に関して上限はないが、非常に大きな数の官能基を有する生成物は、例えば、高い粘性または低溶解度などの望ましくない特性を示すかもしれない。高官能性ポリカーボネートは、一般に、500個の末端または懸垂官能基しかもたず、好ましくは100個以下の末端または懸垂官能基を有する。
【0071】
高官能性ポリカーボネートの調製には、ホスゲンまたはカーボネート(A)に対するOH含有化合物の割合を、得られる最も簡単な縮合生成物(以下、縮合生成物(K)と呼ぶ)が1個のカーボネート基または塩化カルバモイル基および1個を超えるOH基、または1個のOH基と1個を超えるカーボネート基または塩化カルバモイル基のいずれかを平均して含み、好ましくは1個のカーボネート基または1個の塩化カルバモイル基および少なくとも2個のOH基、または1個のOH基および少なくとも2個のカーボネート基または塩化カルバモイル基のいずれかを平均して含むように設定することが必要である。
【0072】
ポリカーボネートの特性の微調整には、少なくとも1価のカルボニル反応化合物(A1)の使用がさらに理にかなっているかもしれない。これは、2個のカーボネート基および/またはカルボキシル基を含有する化合物を意味する。
【0073】
これに関連して、カルボキシル基は、カルボン酸、塩化カルボニル、無水カルボン酸またはカルボン酸エステル、好ましくは無水カルボン酸またはカルボン酸エステル、より好ましくはカルボン酸エステルであってもよい。
【0074】
このような2価の化合物(A1)を使用する場合は、カーボネートおよび/またはホスゲン(A)に対する(A1)の割合は、ポリカーボネートの所望の特性に従って当業者によって決定される。原則として、1つまたは複数の2価の化合物(A1)の量は、すべてのカーボネート/ホスゲン(A)および化合物(A1)と合わせた総量に対して0〜40mol%である。(A1)の量は、好ましくは0〜35mol%、より好ましくは0〜25mol%、非常に好ましくは0〜10mol%である。
【0075】
化合物(A1)の例として、ジオールのジカーボネートまたは塩化ジカルバモイルが挙げられ、その例として、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,1−ジメチル−エタン−1,2−ジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキピバレート、1,2−、1,3−または1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール、ノルボルナンジオール、ピナンジオール、デカリンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2、4−ジエチル−オクタン−1,3−ジオール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールS、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールが挙げられる。
【0076】
これらの化合物は、例えば、前記ジオールを、過剰の、例えば、上述のカーボネートRO(CO)ORまたはクロロカルボン酸エステルと、このようにして得たジカーボネートが両側で基RO(CO)−によって置換されるように反応させることによって調製してもよい。さらなる可能性は、初めにジオールをホスゲンと反応させてジオールの対応するクロロカルボン酸エステルを得た後、これらのエステルをアルコールと反応させることである。
【0077】
さらなる化合物(A1)は、ジカルボン酸、ジカルボン酸のエステル、好ましくはそのメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルエステルで、より好ましくはそのメチル、エチルまたはn−ブチルエステルである。
【0078】
この種のジカルボン酸の例として、蓚酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、またはテトラヒドロフタル酸、スベリン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、二量体脂肪酸、それらの異性体およびそれらの水素化生成物が挙げられる。
【0079】
例として、カーボネート(A)とジアルコールまたはポリアルコール(B)との反応を用いて説明される縮合生成物(K)の最も簡単な構造は、配列XTmまたはYmX(Xは、カーボネート基またはカルバモイル基で、Yは、水酸基で、mは、一般に、1より大きく6までの整数で、好ましくは1より大きく4までの整数で、より好ましくは1より大きく3までの整数である)を生成する。単一基として結果的に生じる反応性基は、一般に、以下で「焦点基」と呼ばれる。
【0080】
例えば、カーボネートおよび二価アルコールからの最も簡単な縮合生成物(K)の調製において、モル反応比が1:1である場合、平均して得られる生成物は、一般式(I)で示されるXY型の分子である。
【0081】
【化1】

【0082】
モル反応比が1:1のカーボネートおよび三価アルコールからの縮合生成物(K)の調製の場合、平均して得られる生成物は、一般式(II)で示されるXY2型の分子である。ここで焦点基は、カーボネート基である。
【0083】
【化2】

【0084】
再度、モル反応比が1:1のカーボネートおよび四価アルコールからの縮合生成物(K)の調製において、平均して得られる生成物は、一般式(III)で示されるXY3型の分子である。ここで、焦点基はカーボネート基である。
【0085】
【化3】

【0086】
式(I)〜(III)中、Rは、初めに定義した通りで、R1は脂肪族基または芳香族基である。
【0087】
縮合生成物(K)は、また、例えば、モル基準で反応比が2:1である、一般式(IV)で示されるカーボネートおよび三価アルコールから調製することもできる。ここで、平均して得られる生成物は、X2Y型の分子で、ここで、焦点基は、OH基である。式(IV)中、RおよびR1の定義は、式(I)〜(III)中の上記と同じ定義である。
【0088】
【化4】

【0089】
二官能性化合物、例えば、ジカーボネートまたはジオールがさらに成分に加えられると、これにより、例えば、一般式(V)に示されるように、炭素鎖の延長が得られる。再度、得られる生成物は、平均してXY型の分子で、焦点基は、カーボネート基である。
【0090】
【化5】

【0091】
式(V)中、R2は、脂肪族基または芳香族基であり、RおよびR1は、上述のように定義される。
【0092】
2つ以上の縮合生成物(K)を合成に使用することもまた可能である。この場合、一方で2つ以上のアルコールおよび/または2つ以上のカーボネートを使用することが可能である。さらに、使用するアルコールとカーボネートまたはホスゲンの割合の選択により、異なる構造を有する異なる縮合生成物の混合物を得ることが可能である。これは、カーボネートと三価のアルコールとの反応を例として挙げて例示してもよい。(II)に表すように、出発生成物を1:1の割合で使用すると、分子XY2が得られる。(IV)に示すように、出発生成物を2:1の割合で使用すると、得られる生成物は、分子X2Yである。1:1〜2:1の間の割合で、分子XY2とX2Yの混合物が得られる。
【0093】
以下に、縮合生成物(K)を形成する(A)と(B)との反応の典型的な反応条件を述べる。
【0094】
成分(A)と(B)の化学量論比は、一般に、得られる縮合生成物(K)が1個のカーボネート基または塩化カルバモイル基および1個を超えるOH基、または1個のOH基と1個を超えるカーボネート基または塩化カルバモイル基のいずれかを平均して含有するように選択される。これは、第1の場合では、1molのカーボネート基:2molを超えるOH基の化学量論比、例えば、1:2.1〜8、好ましくは1:2.2〜6、より好ましくは1:2.5〜4、非常に好ましくは1:2.8〜3.5の化学量論比によって達成される。
【0095】
第2の場合では、1molを超えるカーボネート基:1mol未満のOH基の化学量論比、例えば、1:0.1〜0.48、好ましくは1:0.15〜0.45、より好ましくは1:0.25〜0.4、非常に好ましくは1:0.28〜0.35の化学量論比によって達成される。
【0096】
温度は、アルコールと対応するカルボニル成分との反応に対して十分なものであるべきである。ホスゲンとの反応では、温度は、一般に、−20℃〜120℃、好ましくは0℃〜100℃、より好ましくは20℃〜80℃である。カーボネートを使用する場合、温度は、60〜180℃、好ましくは80〜160℃、より好ましくは100〜160℃、非常に好ましくは120〜140℃でなければならない。
【0097】
適した溶媒は、すでに上記で述べたものである。好ましい実施形態は、溶媒を用いずに反応を行うことである。
【0098】
各成分を加える順序は、一般に、あまり重要ではない。原則として、初めに2つの反応相手の過剰成分を導入し、不足成分を加えることは、理にかなっている。あるいは、反応が始まる前に、2つの成分を互いに混合してから、この混合物を必要な反応温度に加熱することが同様に可能である。
【0099】
式(I)〜(V)に例示する簡単な縮合生成物(K)は、好ましくは分子間で反応して、以下で重縮合生成物(P)と呼ばれる高官能性重縮合生成物を形成する。縮合生成物(K)および重縮合生成物(P)を得る反応は、通常、0〜300℃、好ましくは0〜250℃、より好ましくは60〜200℃、非常に好ましくは60〜160℃の温度で大量に(溶媒なしで)あるいは溶液中で行われる。これに関連して、一般に、各反応物に対して不活性ないかなる溶媒も使用することが可能である。例えば、上記のような有機溶媒、より好ましくはデカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたは溶媒ナフサの使用が好ましい。
【0100】
好ましい一実施形態において、縮合反応は、大量に行われる。反応中に遊離する単官能性アルコールまたはフェノールROHは、反応を促進するために反応平衡から除去され、このような除去は、減圧下で、適切ならば、例えば、蒸留手段によって行われる。
【0101】
アルコールまたはフェノールの分離は、また、反応条件下で実質的に不活性なガス、例えば、窒素、蒸気、二酸化炭素などの流れを反応混合物に通過させること(すなわち、ストリッピング)によって、あるいは、例えば、大気または希薄空気などの酸素含有ガスを混合物に通過させることによって促進することができる。
【0102】
蒸留除去を目的とする場合、原則として、一般的な圧力下で140℃未満の沸点を有するアルコールまたはフェノールROHを反応中に放出するカーボネートを使用することが望ましい。
【0103】
反応を促進するために、また、触媒または触媒混合物を加えることが可能である。適した触媒は、エステル化反応またはエステル交換反応に触媒作用を及ぼす化合物で、その例として、好ましくはナトリウム、カリウムまたはセシウムのアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、第三級アミン、グアニジン、アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物、有機アルミニウム、有機錫、有機亜鉛、有機チタン、有機ジルコニウムまたは有機ビスマス化合物、そしてまた、例えば、独国特許第10138216号または同第10147712号に記載のように、二重金属シアン化物(DMC)触媒として公知の種類の触媒が挙げられる。
【0104】
水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、 ジアザビシクロノネン(DBN)、 ジアザビシクロウンデセン(DBU)、イミダゾール、1−メチルイミダゾールまたは1,2−ジメチルイミダゾールなどのイミダゾール類、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート、ジオクタン酸錫、アセチルアセトン酸ジルコニウムまたはそれらの混合物の使用が好ましい。
【0105】
触媒は、一般に、用いたアルコールまたはアルコール混合物の量に対して50〜10000質量ppm、好ましくは100〜5000質量ppmの量で加えられる。
【0106】
さらに、分子間重縮合反応を制御することは、また、適切な触媒を加えることおよび/または適した温度を選択することのいずれかによって可能である。さらに、ポリマー(P)の平均分子量は、出発成分の組成および滞留時間によって調節することができる。
【0107】
高温で調製された縮合生成物(K)および重縮合生成物(P)は、混濁、沈殿および/または粘度の上昇を示さずに、通常、比較的長期間、例えば、少なくとも6週間、室温で安定している。
【0108】
縮合生成物(K)の性質を考慮して、縮合反応は、分枝を有するが架橋をもたない異なる構造を有する重縮合生成物(P)を結果的に生じる可能性がある。さらに、重縮合生成物(P)は、1個のカーボネート焦点基または塩化カルバモイル焦点基および2個を超えるOH基、あるいは1個のOH焦点基および2個を超えるカーボネート基または塩化カルバモイル基のいずれかを理想的に含有する。反応性基の数は、用いた縮合生成物(K)の性質と重縮合度に左右される。
【0109】
例えば、一般式(II)の縮合生成物(K)は、3回の分子間縮合によって反応して、一般式(VI)および(VII)で再生される2つの異なる重縮合生成物(P)を形成してもよい。
【0110】
【化6】

【0111】
式(VI)および(VII)中のRおよびR1は、上記で定義した通りである。
【0112】
分子間重縮合反応を終了させるにはさまざまな可能性がある。一例として、反応が停止し、縮合生成物(K)または重縮合生成物(P)が保存時に安定である範囲に温度を下げることができる。これは、一般に、60℃以下、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、非常に好ましくは室温の場合である。
【0113】
さらに、基本触媒の場合、例えば、酸性成分、例えば、ルイス酸、または有機または無機プロトン酸を加えることによって触媒を失活させることができる。
【0114】
さらなる可能性は、予め冷却した溶媒で希釈して反応を停止させることである。これは、溶媒を加えることによって反応混合物の粘度を適合させる必要がある場合、特に好ましい。
【0115】
さらなる実施形態において、縮合生成物(K)の分子間反応により所望の重縮合度を有する重縮合生成物(P)が得られるとすぐに、(P)の焦点基に対して反応性のある基を有する生成物を生成物(P)に加えることによって反応を停止することができる。
【0116】
例えば、カーボネート焦点基またはカルバモイル焦点基の場合、例えば、モノ、ジまたはポリアミンを加えることができる。
【0117】
水酸焦点基の場合、縮合生成物(P)を、それに、例えば、モノ、ジまたはポリイソシアネート、エポキシド基を含む化合物、またはOH基と反応性のある酸誘導体に加えることができる。
【0118】
高官能性ポリカーボネートは、一般に、バッチ的、半バッチ的あるいは連続的に運転する反応器または反応器カスケード中、0.1mbar〜20bar、好ましくは1mbar〜5barの圧力範囲で調製される。
【0119】
上記反応条件の設定の結果として、適切なら、適した溶媒の選択の結果として、生成物は、さらに精製されることなく、さらに調製に従って処理することができる。
【0120】
必要なら、例えば、反応混合物を活性化炭素、またはアルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ホウ素またはそれらの混合物などの金属酸化物を用いる処理によって、例えば、0.1質量%〜50質量%、好ましくは0.5質量%〜25質量%、より好ましくは1質量%〜10質量%の量で、例えば、10〜100℃、好ましくは20〜80℃、より好ましくは30〜60℃の温度で脱色にかけることができる。
【0121】
適切なら、また、存在する沈殿物を除去するために反応混合物をろ過することが可能である。
【0122】
さらなる好ましい実施形態において、生成物は、低分子量の揮発性化合物から分離され、すなわち、除去される。この目的のために、所望の転化度に達した後、触媒を任意に失活させることができ、一価アルコール、フェノール、カーボネート、塩化水素または揮発性オリゴマーまたは環状化合物などの低分子量の揮発性構成成分を、適切なら、ガス、好ましくは窒素、二酸化炭素または空気の導入を伴った、適切なら、減圧下の蒸留によって除去することができる。
【0123】
さらなる好ましい実施形態において、ポリカーボネートは、反応によってすでに保持された官能基だけではなく、さらなる官能基を保持してもよい。官能化は、この場合、分子量の増加中あるいはその後、すなわち、実際の重縮合の終了後、起こる。
【0124】
分子量の増加前または増加中に水酸基またはカーボネート基に加えて、さらに官能基または官能要素を所有する成分を加えると、カーボネート基または塩化カルバモイル基および水酸基と異なる不規則に配置する官能基を有するポリカーボネートポリマーが得られる。
【0125】
このような効果は、例えば、重縮合中に水酸基、カーボネート基または塩化カルバモイル基に加えて、メルカプト基、第一級、第二級または第三級アミノ基、エーテル基、カルボン酸基またはその誘導体、スルホン酸基またはその誘導体、ホスホン酸基またはその誘導体、シラン基、シロキサン基、アリール基または長鎖アルキル基などの官能基または官能要素をさらに担持する化合物を加えることによって達成できる。
【0126】
カルバメート基による変更には、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(シクロヘキシルアミノ)エタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−(2’−アミノエトキシ)エタノールまたはアンモニアの高級アルコキシル化生成物、4−ヒドロキシピペリジン、1−ヒドロキシエチルピペラジン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノメタン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンまたはイソホロンジアミンが使用可能である。
【0127】
メルカプト基を用いた変更には、例えば、メルカプトエタノールが使用可能である。例えば、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミンまたはN,N−ジメチルエタノールアミンを組み込むことによって第三級アミン基を生じることができる。例えば、縮合中に2つ以上の官能基を有するポリエーテルオールを組み込むことによってエーテル基を生じることができる。ジカルボン酸、トリカルボン酸、ジメチルテレフタレートなどのジカルボン酸エステルまたはトリカルボン酸エステルを加えることによって、エステル基を生じることが可能である。長鎖アルカノールまたはアルカンジオールとの反応は、長鎖アルキル基を組み込ませることができる。アルキルまたはアリールジイソシアネートとの反応は、アルキル基、アリール基およびウレタン基を含有するポリカーボネートを生じる一方、第一級または第二級アミンの添加は、結果的にウレタン基または尿素基を組み込ませる。
【0128】
その後の官能化は、得られる高官能性高分枝または超分枝ポリカーボネートをさらなるプロセス工程(工程c)でポリカーボネートのOH基および/またはカーボネート基または塩化カルバモイル基と反応することのできる、適した官能化試薬と反応させて達成することができる。
【0129】
水酸基を含む高官能性高分枝または超分枝ポリカーボネートは、例えば、酸基またはイソシアネート基を含む分子を加えることによって変更することができる。酸基を含むポリカーボネートは、例えば、無水物基を含む化合物との反応によって得ることができる。
【0130】
さらに、また、水酸基を含む高官能性ポリカーボネートは、例えば、アルキレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドとの反応によって高官能性ポリカーボネート−ポリエーテルポリオールに転化することができる。
【0131】
これは、例えば、水中での溶解度を増大させるために、あるいは水中での乳化性を得るために、理にかなっているかもしれない。これらの目的のために、水酸基を、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシドおよび/またはスチレンオキシド、好ましくはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド、より好ましくはエチレンオキシドなどの少なくとも1つのアルキレンオキシドと反応させる。この目的のために、各水酸基に対して、1〜200個、好ましくは2〜200個、より好ましくは5〜100個、非常に好ましくは10〜100個、特に20〜50個のアルキレンオキシドが用いられる。
【0132】
本発明の好ましい一実施形態において、ポリカーボネートは、少なくとも1つの単官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールと少なくとも部分的に反応する。これにより改善された水中での乳化性が得られる。
【0133】
単官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、適した出発分子とポリアルキレンオキシドとの反応生成物である。
【0134】
一価のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールの調製に適した出発分子は、チオール化合物、一般式:
5−O−H
のモノヒドロキシ化合物、または一般式:
67N−H
の第二級モノアミンであり、
式中、R5、R6およびR7は、各場合、互いに独立して、C1〜C18アルキル、適切なら、1個以上の酸素および/または硫黄原子によっておよび/または1個以上の置換または非置換イミノ基によって遮られたC2〜C18アルキル、C6〜C12アリール、C5〜C12シクロアルキル、あるいは酸素、窒素および/または硫黄原子を含有する5〜6員複素環で、あるいはR6とR7は、適切なら、1個以上の酸素および/または硫黄原子によっておよび/または1個以上の置換または非置換イミノ基によって遮られる不飽和環、飽和環または芳香環をともに形成し、前記の基の各々を官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子および/または複素環で置換することが可能である。
【0135】
5、R6およびR7は、互いに独立して、好ましくはC1〜C4アルキル、すなわち、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルで、R5、R6およびR7は、より好ましくはメチルである。
【0136】
適した一価の出発分子の例として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、異性体のメチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコールなどの飽和一価アルコール、アリルアルコール、1,1−ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコールなどの不飽和アルコール、フェノールなどの芳香族アルコール、異性体クレゾールまたはメトキシフェノール、ベンジルアルコール、アニシルアルコールまたはシンナミルアルコールなどの芳香脂肪族アルコール、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチルおよびN−エチルシクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミンなどの第二級モノアミン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H−ピラゾールなどの複素環式第二級アミン、そしてまた、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール、2−ジブチルアミノエタノール、3−(ジメチルアミノ)−1−プロパノールまたは1−(ジメチルアミノ)−2−プロパノールなどのアミノアルコールを挙げてもよい。
【0137】
アミンから出発して調製されるポリエーテルの例として、約9:1のプロピレンオキシド(PO)/エチレンオキシド(EO)比と約600のモル質量を有するM−600(XTJ−505)、M−1000(XTJ−506)(PO/EO比3:19、モル質量約1000)、M−2005(XTJ−507)(PO/EO比29:6、モル質量約2000)またはM−2070(PO/EO比10:31、モル質量約2000)などのアミノ官能基を含有するメチルキャップポリアルキレンオキシドであるJeffamine(登録商標)Mシリーズとして公知の製品が挙げられる。
【0138】
アルコキシル化反応に適したアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、ビニルオキシランオキシドおよび/またはスチレンオキシドで、これらは、アルコキシル化反応のためにいかなる順序で使用してもよいし、あるいは混合物中で使用してもよい。
【0139】
好ましいアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびそれらの混合物で、エチレンオキシドが特に好ましい。
【0140】
好ましいポリエーテルアルコールは、上記種類の飽和脂肪族または脂環式アルコールを出発分子として使用して調製されるポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコール系のものである。非常に特に好ましいのは、アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有する飽和脂肪族アルコールを使用して調製されたポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコール系のものである。特に好ましいのは、メタノールから出発して調製されるポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである。
【0141】
一価のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、一般に、少なくとも2個のアルキレンオキシド単位、好ましくは5個のエチレンオキシド単位を、1分子あたり、より好ましくは少なくとも7個、非常に好ましくは少なくとも10個、特に少なくとも15個平均して含有する。
【0142】
一価のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、一般に、50個以下のアルキレンオキシド単位、好ましくはエチレンオキシド単位を、1分子あたり、好ましくは45個以下、より好ましくは40個以下、非常に好ましくは30個以下平均して含有する。
【0143】
一価のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールのモル質量は、好ましくは4000g/mol以下、より好ましくは2000g/mol以下、非常に好ましくは500g/mol以上、特に1000±200g/molである。
【0144】
したがって、好ましいポリエーテルアルコールは、式:
5−O−[−Xi−]k−H
[式中、
5は、上記で定義した通りであり、
kは、5〜40、好ましくは7〜45、より好ましくは10〜40の整数で、
i=1〜kに対する各Xiは、他と独立して、−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−、−CH(CH3)−CH2−O−、−CH2−C(CH32−O−、−C(CH32−CH2−O−、−CH2−CHVin−O−、−CHVin−CH2−O−、−CH2−CHPh−O−および−CHPh−CH2−O−(式中、Phはフェニルで、Vinはビニルである)からなる群、好ましくは−CH2−CH2−O−、−CH2−CH(CH3)−O−および−CH(CH3)−CH2−O−からなる群から選択することができ、より好ましくは−CH2−CH2−O−であることができる]の化合物である。
【0145】
ポリカーボネートの反応を行うために、1:1〜100:1、好ましくは1:1〜50:1、より好ましくは1.5:1〜20:1のカーボネートまたは塩化カルバモイル/OH当量比を監視して、ポリカーボネート(K)および/または(P)を40〜180℃、好ましくは50〜150℃の温度で互いに反応させる。
【0146】
プロセスの大きな利点は、その経済性にある。縮合生成物(K)または重縮合生成物(P)を形成する反応、および他の官能基または官能要素を有するポリカーボネートを形成する(K)または(P)の反応のどちらも1つの反応装置で行うことができ、それが技術的、経済的いずれにも有利な点である。
【0147】
上記プロセスによって形成した高官能性高分枝ポリカーボネートは、反応後、すなわち、さらに変更することもなく、水酸基および/またはカーボネート基または塩化カルバモイル基によって終端される。それらは、さまざまな溶媒、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール、アルコール/水混合物、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル、酢酸メトキシエチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートに容易に溶解する。
【0148】
発明の粉末塗料は、超分枝ポリカーボネートに加えて、少なくとも1つの結合剤(O)および少なくとも1つの架橋剤(V)をさらに含む。任意に、粉末塗料は、特に、顔料などのさらなる添加剤(F)をさらに含んでもよい。
【0149】
適した結合剤成分(O)として、例えば、適切であれば、他の水酸基またはアミノ基含有結合剤とともに、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、ヒドロキシスチリル(メタ)アクリレート、例えば、イソシアネート、ブロックイソシアネート、エポキシドおよび/またはアミノ樹脂、好ましくはイソシアネート、エポキシドまたはアミノ樹脂、より好ましくはイソシアネートまたはエポキシド、非常に好ましくはイソシアネートなどのカルボキシル基および/または水酸基に対して反応性のある架橋化合物とともに、直鎖または分枝ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、メラミン樹脂または尿素ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。
【0150】
本発明は、自動車のOEM仕上げ、組立構造の塗装、外装および内装の両方、ドア、窓および家具の塗装、コイル被覆、コンテナ被覆を含む工業用被覆、および電気部品の含浸および/または被覆、そしてまた、家庭電化製品、ボイラーおよびラジエーターを含む白色商品の被覆のための硬化性粉末塗料の使用をさらに提供する。
【0151】
硬化性粉末塗料は、以下で省略して「粉末塗料」と呼ばれる。
【0152】
粉末塗料は、好ましくは金属基板に粉末状に塗布される熱可塑性または熱硬化性ポリマーの硬化性前駆物質である。これは、上記で述べた会社のパンフレットに記載の粉末被覆単位を使用して典型的に行われる。これに関連して、粉末塗料の2つの基本的な利点が明らかになる。すなわち、完全または実質的に有機溶媒を含まないこと、および粉末被覆上塗りを被覆プロセスに再利用することの容易性である。
【0153】
用いた特定の粉末被覆単位および粉末被覆プロセスに関係なく、粉末塗料を、基板に薄層で塗布し、溶融して連続粉末塗膜を形成し、その後、得られた被膜を冷却する。粉末被覆層の溶融中または溶融後、硬化が起こる。最小の硬化温度は、好ましくは粉末塗料の溶融範囲を超え、その結果、溶融と硬化を互いに分離する。これは、粉末被覆溶融物が比較的低粘度のために、硬化が始まる前に効果的に流出する利点を有する。
【0154】
ポリカーボネートに加えて、硬化性粉末塗料は、粉末塗料の少なくとも1つの機能的構成成分(F)を含む。粉末塗料は、結合剤として少なくとも1つのオリゴマーおよび/またはポリマー構成成分(O)および少なくとも1つの架橋剤(V)をさらに含む。
【0155】
適した機能的構成成分(F)は、(O)または(V)の下に明記した物質以外に、粉末塗料に典型的な全構成成分、そしてまた超分枝ポリカーボネートを含む。
【0156】
適した典型的な粉末被覆構成成分(F)の例として、着色および/または効果顔料、蛍光顔料、導電性顔料および/または磁気シールド顔料、金属粉末、可溶性有機染料、有機および無機の透明または不透明な充填剤および/またはナノ粒子、および/またはUV吸収剤、光安定剤、遊離基捕捉剤、揮発分除去剤、滑剤、重合抑制剤、架橋触媒、熱不安定性遊離基開始剤、光開始剤、熱硬化性反応希釈剤、化学線で硬化可能な反応性希釈剤、接着促進剤、流れ調整剤、塗膜形成助剤、難燃剤、腐食抑制剤、自由流れ助剤、ワックスおよび/または艶消し剤などの助剤および/または添加剤が挙げられる。構成成分(F)は、個別にまたは混合物として用いることができる。
【0157】
本発明のために、化学線は、近赤外線、可視光線、紫外線またはX線、特に、紫外線などの電磁線、または電子線などの微粒子線を意味する。
【0158】
適した効果顔料の例として、例えば、市販の通例のアルミニウム青銅、独国特許出願公開第36 36 183号に従ってクロメート処理したアルミニウム青銅および市販の通例のステンレス青銅、そしてまた、真珠箔顔料および干渉顔料などの非金属効果顔料、桃色から茶褐色の色調を有する酸化鉄系の小板状効果顔料、または液晶効果顔料などの金属フレーク顔料が挙げられる。さらなる詳細については、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag, 1998, pages 176, "Effect pigments" and pages 380 and 381, "metal oxide−mica pigments" to "metal pigments"および独国特許出願公開第36 36 156号、同第37 18 446号、同第37 19 804号、同第39 30 601号、欧州特許出願第0 068 311号、同第0 264 843号、同第0 265 820号、同第0 283 852号、同第0 293 746号、同第0 417 567号、米国特許出願公開第4,828,826号または同第5,244,649号の特許出願および特許を参照されたい。
【0159】
適した無機着色顔料の例として、二酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛またはリトポンなどの白色顔料、カーボンブラック、鉄マンガンブラックまたはスピネルブラックなどの黒色顔料、酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン、コバルトグリーンまたはウルトラマリーングリーン、コバルトブルー、ウルトラマリーンブルーまたはマンガンブルー、ウルトラマリーンバイオレットまたはコバルトおよびマンガンバイオレット、ベンガラ、スルホセレン化カドミウム、モリブデンレッドまたはウルトラマリーンレッドなどの有彩顔料、ブラウン酸化鉄、混合ブラウン、スピネル相およびコランダム相またはクロムオレンジ、またはイエロー酸化鉄、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、硫化亜鉛カドミウム、クロムイエローまたはバナジン酸ビスマスが挙げられる。
【0160】
適した有機着色顔料の例として、モノアゾ顔料、ジサゾ顔料、アントラキノン顔料、ベンズイミダゾール顔料、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、インダントロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、アゾメチン顔料、チオインジゴ顔料、金属錯体顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料またはアニリンブラックが挙げられる。
【0161】
さらなる詳細については、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag, 1998, pages 180 and 181, "Iron blue pigments" to "Black iron oxide", pages 451 to 453, "Pigments" to "Pigment volume concentration", page 563, "Thioindigo pigments", page 567, "Titanium dioxide pigments", pages 400 and 467, "Naturally occurring pigments", page 459, "Polycyclic pigments", page 52, "Azomethine pigments", "Azo pigments", and page 379, "Metal complex pigments"を参照されたい。
【0162】
蛍光顔料(昼光蛍光顔料)の例として、ビス(アゾメチン)顔料が挙げられる。
【0163】
適した導電性顔料の例として、二酸化チタン/酸化錫顔料が挙げられる。
【0164】
磁気シールド顔料の例として、酸化鉄系または二酸化クロム系の顔料が挙げられる。
【0165】
適した金属粉末の例として、アルミニウム、亜鉛、銅、青銅または黄銅の金属および金属合金の粉末が挙げられる。
【0166】
適した可溶性有機染料は、粉末塗料から、およびそれから調製した被膜から移動する傾向がほとんどないあるいはまったくない耐光性有機染料である。移動傾向は、当業者によってかれらの一般的な技術知識を基にして推定することができ、および/または、例えば、着色試験の一部として簡単な予備距離測定試験によって決定することができる。
【0167】
適した有機および無機充填剤の例として、胡粉、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、雲母またはカオリンなどのケイ酸塩、シリカ、水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムなどの酸化物、またはプラスチック粉末などの有機充填剤、特に、ポリアミドまたはポリアクリロニトリルなどの有機充填剤が挙げられる。さらなる詳細については、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag, 1998, pages 250ff., "Fillers"を参照されたい。
【0168】
目的が粉末塗料から調製した被膜の耐引っ掻き性を改善することであるなら、雲母およびタルクを用いることである。
【0169】
さらに、タルクまたは雲母などの小板状無機充填剤および胡粉、苦灰石、硫酸カルシウムまたは硫酸バリウムなどの非小板状無機充填剤の混合物を使用することは、粘度およびレオロジーを非常に効果的に調節できるので、好都合である。
【0170】
適した透明の充填剤の例として、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウム系のものが挙げられるが、特に、これをベースとするナノ粒子が挙げられる。
【0171】
さらに適した構成成分(F)は、UV吸収剤、光安定剤、遊離基捕捉剤、揮発分除去剤、滑剤、重合抑制剤、架橋触媒、熱不安定性遊離基開始剤、光開始剤、熱硬化性反応希釈剤、化学線で硬化可能な反応性希釈剤、接着促進剤、流れ調整剤、塗膜形成助剤、難燃剤、腐食抑制剤、自由流れ助剤、ワックスおよび/または艶消し剤などの助剤および/または添加剤を含み、これらは、個別にまたは混合物として用いることができる。
【0172】
適した熱硬化性反応希釈剤の例として、独国特許出願公開第198 09 643号、同第198 40 605号または同198 05 421号の特許出願に記載の位置異性体のジエチルオクタンジオールまたは水酸基含有超分枝化合物またはデンドリマーが挙げられる。
【0173】
適した化学線で硬化可能な反応性希釈剤の例として、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York, 1998, on pages 491 in the entry headed "Reactive diluents"に記載のものが挙げられる。
【0174】
適した熱不安定性遊離基開始剤の例として、ジアルキル過酸化物、パーオキシカルボン酸、パーオキシジカーボネート、過酸化エステル、ヒドロペルオキシド、ケトン過酸化物、アゾジニトリルまたはベンズピナコールシリルエーテルなどの有機過酸化物、有機アゾ化合物またはC−C切断開始剤が挙げられる。
【0175】
適した架橋触媒の例として、乳酸ビスマス、クエン酸塩、エチルヘキサノエートまたはジメチロールプロピオネート、ジブチル錫ジラウレート、デカン酸リチウム、オクタン酸亜鉛、アミンブロック有機スルホン酸、第四級アンモニウム化合物、アミン、ベルギー特許第756,693号に記載のイミダゾールおよび2−スチリルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾールおよび2−ブチルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体、または、例えば、米国特許出願公開第3,447,990号または同第3,341,580号の米国特許に記載のヨウ化エチルトリフェニルホスホニウム、塩化エチルトリフェニルホスホニウム、チオシアン酸エチルトリフェニルホスホニウム、酢酸エチルトリフェニルホスホニウム−酢酸錯体、ヨウ化テトラブチルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウムおよび酢酸テトラブチルホスホニウム−酢酸錯体などのホスホニウム触媒が挙げられる。
【0176】
適した光開始剤の例は、Roempp Chemie Lexikon, 9th, expanded and revised edition, Georg Thieme Verlag Stuttgart, Vol.4, 1991またはRoempp Lexikon Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag Stuttgart, 1998, pages 444 to 446に記載されている。
【0177】
適した酸化防止剤の例として、ヒドラジンおよびリン化合物が挙げられる。
【0178】
適した光安定剤の例として、HALS化合物、ベンゾトリアゾールまたはオキサルアニリドが挙げられる。
【0179】
適した遊離基捕捉剤および重合抑制剤の例として、有機亜リン酸塩または2,6−ジ−tert−ブチルフェノール誘導体が挙げられる。
【0180】
適した揮発分除去剤の例として、ジアザジシクロウンデカンまたはベンゾインが挙げられる。
【0181】
上記で挙げた機能的構成成分(F)、そしてまたさらなる機能的構成成分(F)のさらなる例は、"Lackadditive" [Additives for Coatings] by Johan Bieleman, Wiley−VCH, Weinheim, New York, 1998のテキストに詳細に記載されている。
【0182】
適した好ましい架橋剤(V)は、ポリイソシアネートである。
【0183】
ポリイソシアネートは、1分子あたり、少なくとも2.0個、好ましくは2.0個を超える、特に3.0個を超えるイソシアネート基を平均して含む。原則的に、イソシアネート基の数についての上限はないが、本発明に従って、その数が15個、好ましくは12個、より好ましくは10個、非常に好ましくは8.0個、特に6.0個を超えないなら、好都合である。
【0184】
適したポリイソシアネートの例として、イソシアネート基を含有し、ポリオールを過剰のジイソシアネートと反応させることによって調製することができ、好ましくは低粘度であるポリウレタンプレポリマーが挙げられる。
【0185】
適したジイソシアネートの例として、イソホロンジイソシアネート(すなわち、5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン)、5−イソシアナト−1−(2−イソシアナトエチ−1−イル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、5−イソシアナト−1−(3−イソシアナトプロプ−1−イル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、5−イソシアナト−(4−イソシアナトブト−1−イル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトプロプ−1−イル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトエチ−1−イル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(4−イソシアナトブト−1−イル)シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロブタン、1,3−ジイソシアナトシクロブタン、1,2−ジイソシアナトシクロペンタン、1,3−ジイソシアナトシクロペンタン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、エチルエチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネートまたはHenkelにより商標DDI1410の下で販売され、国際公開第97/49745号および同第97/49747号の特許に記載のダイマー脂肪酸から得られるジイソシアネート、特に、2−ヘプチル−3,4−ビス(9−イソシアナトノニル)−1−ペンチル−シクロヘキサンまたは1,2−、1,4−または1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2−、1,4−または1,3−ビス(2−イソシアナトエチ−1−イル)シクロヘキサン、1,3−ビス(3−イソシアナトプロプ−1−イル)シクロヘキサン、1,2−、1,4−または1,3−ビス(4−イソシアナトブト−1−イル)シクロヘキサン、または独国特許出願公開第44 14 032号、英国特許出願公開第1220717号、独国特許出願公開第16 18 795号、独国特許出願公開第17 93 785号の特許出願に記載のトランス/トランス含有量が30質量%以下、好ましくは25質量%以下、特に20質量%以下の液体ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、好ましくはイソホロンジイソシアネート、5−イソシアナト−1−(2−イソシアナトエチ−1−イル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、5−イソシアナト−1−(3−イソシアナトプロプ−1−イル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、5−イソシアナト−(4−イソシアナトブト−1−イル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトプロプ−1−イル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトエチ−1−イル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(4−イソシアナトブト−1−イル)シクロヘキサンまたはHDI、特にHDIが挙げられる。
【0186】
イソシアヌレート、ビウレット、アロファネート、イミノオキサジアジンジオン、ウレタン、尿素、カルボジイミドおよび/またはウレトジオン基を含有し、上記に記載したジイソシアネートから従来の方法で調製されるポリイソシアネートを使用することがまた可能である。適した製法およびポリイソシアネートの例は、例えば、カナダ特許出願公開第2,163,591号、米国特許出願公開第4,419,513号、米国特許出願公開第4,454,317号、欧州特許出願公開第0 646 608号、米国特許出願公開第4,801,675号、欧州特許出願公開第0 183 976号、独国特許出願公開第40 15 155号、欧州特許出願公開第0 303 150号、同第0 496 208号、同第0 524 500号、同第0 566 037号、米国特許出願公開第5,258,482号、同第5,290,902号、欧州特許出願公開第0 649 806号、独国特許出願公開第42 29 183号または欧州特許出願公開第0 531 820号の特許から公知である。
【0187】
適した架橋剤のさらなる例として、ブロックポリイソシアネートが挙げられる。
【0188】
ブロックポリイソシアネートの調製に適したブロック剤の例として、
i)フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、クロロフェノール、エチルフェノール、t−ブチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、この酸のエステルまたは2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエンなどのフェノール類、
ii)ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムまたはβ−プロピオラクタムなどのラクタム類、
iii)マロン酸ジエチル、マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチルまたはアセト酢酸エチルまたはアセチルアセトンなどの活性メチレン化合物、
iv)メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、t−アミルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノール、2−(ヒドロキシエトキシ)フェノール、2−(ヒドロキシプロポキシ)フェノール、グリコール酸、グリコール酸エステル、乳酸、乳酸エステル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、エチレンクロロヒドリン、エチレンブロモヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−シクロヘキシルジメタノールまたはアセトシアノヒドリンなどのアルコール類、
v)ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノールまたはエチルチオフェノールなどのメルカプタン類、
vi)アセトアニリド、アセトアニシジンアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アセトアミド、ステアルアミドまたはベンズアミドなどの酸アミド類、
vii)スクシンイミド、フタルイミドまたはマレイミドなどのイミド類、
viii)ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミンまたはブチルフェニルアミンなどのアミン類、
ix)イミダゾールまたは2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール類、
x)尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素または1,3−ジフェニル尿素などの尿素類、
xi)フェニルN−フェニルカルバメートまたは2−オキサゾリドンなどのカルバメート、
xii)エチレンイミンなどのイミン類、
xiii)アセトンオキシム、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジイソブチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシムまたはクロロヘキサノンオキシムなどのオキシム類、
xiv)重亜硫酸ナトリウムまたは重亜硫酸カリウムなどの亜硫酸の塩類、
xv)ベンジルメタクリロヒドロキサメート(BMH)またはアリルメタクリロヒドロキサメートなどのヒドロキサム酸エステル、
xvi)置換ピラゾール、ケトオキシム、イミダゾールまたはトリアゾール
などの米国特許出願公開第4,444,954号または同第5,972,189号から公知のブロック剤、ならびに、
これらのブロック剤の混合物、特に、ジメチルピラゾールとトリアゾール、マロン酸エステルとアセト酢酸エステル、ジメチルピラゾールとスクシンイミド、またはブチルジグリコールとトリメチルプロパンの混合物が挙げられる。
【0189】
多価イソシアネートとして、1モルあたり、3〜6個、好ましくは3.5〜5個のイソシアネート基の平均官能基を有する脂肪族ポリイソシアネートの混合物を使用することが好ましい。イソシアネートの量は、(共)重合体の水酸基1個につき、1.2〜3個、特に1.5〜2.5個のイソシアネート基が反応し、残りのイソシアネート基がアミンとの反応によって尿素基に変換されるように好ましく選択される。
【0190】
特に適したイソシアネート混合物について挙げてもよい例として、0.1質量%〜10質量%、特に0.3質量%〜8質量%のジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート)、30質量%〜80質量%、特に42質量%〜79質量%のトリイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの三官能性ビウレット)、および20質量%〜60質量%、特に22質量%〜50質量%の4〜10個の官能基を有するイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの対応する高級多官能性ビウレット)の混合物が挙げられる。
【0191】
適した架橋剤のさらなる例として、例えば、ビスフェノールAまたはビスフェノールFをベースとするすべての公知の脂肪族および/または脂環式および/または芳香族の低分子量オリゴマーおよびポリマーのポリエポキシドが挙げられる。適したポリエポキシドの例として、ShellからのEpikote(登録商標)、Denacol EX−411(ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル)、Denacol EX−321(トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル)、Denacol EX−512(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル)およびDenacol EX−521(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル)などのナガセケミカル(株)のDenacol(登録商標)の名称の下で市販されているポリエポキシド、またはトリメリット酸のグリシジルエーテルまたはトリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)が挙げられる。
【0192】
架橋剤として、アルキル基が1〜10個の炭素原子を含むトリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジン(TACT)を使用することがさらに可能である。
【0193】
適したトリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンの例は、米国特許出願公開第4,939,213号、同第5,084,541号または欧州特許出願公開第0 624 577号の特許に記載されている。特に、トリス(メトキシ−、トリス(n−ブトキシ−および/またはトリス(2−エチルヘキシルカルボニルアミノ)トリアジンを使用する。
【0194】
メチルブチル混合エステル、ブチル2−エチルヘキシル混合エステルおよびブチルエステルは、好都合である。これらは、ポリマー溶融物中の溶解度がさらに良い直鎖メチルエステルを超える利点を有し、また、晶出する傾向が小さい。
【0195】
さらに、架橋剤として、例えば、アミノ樹脂、メラミン樹脂を使用することが可能である。これに関連して、透明上塗り塗料または透明塗料に適したアミノ樹脂またはそのようなアミノ樹脂の混合物が使用可能である。メチロール基および/またはメトキシメチル基のいくつかがカルバメート基またはアロファネート基によって官能性を奪われた、通例かつ公知のアミノ樹脂が、特に適している。この種の架橋剤は、米国特許出願公開第4,701,542号または欧州特許第0 245 700号の特許、そしてまた、B.Singh and coworkers, "Carbamylmethylated Melamines, Novel Crosslinkers for the Coatings Industry" in Advanced Organic Coatings Science and Technology Series, 1991, Volume 13, pages 193 to 207の論文に記載されている。アミノ樹脂は、また、結合剤(O)として用いることができる。
【0196】
適した架橋剤のさらなる例として、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)アジパミドまたはN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)アジパミドなどのβ−ヒドロキシアルキルアミドが挙げられる。
【0197】
さらに、カルボン酸、特に、分子中に3〜20個の炭素原子を有する飽和直鎖脂肪族ジカルボン酸、特にドデカン二酸を使用することが可能である。
【0198】
さらに、適した架橋剤の例として、シロキサン、特に少なくとも1個のトリアルコキシ−またはジアルコキシ−シラン基を有するシロキサンが挙げられる。
【0199】
用いる特定の架橋剤は、粉末塗料の結合剤中に存在する相補的反応性官能基によって左右される。
【0200】
本発明に従って使用するために、結合剤および架橋剤の適した相補的反応性官能基の例を以下の概要において整理する。概要において、変数R8は、アクリルまたは環式脂肪族基、芳香族基および/または芳香族−脂肪族(芳香脂肪族)基を表し、変数R9およびR10は、同一または異なる脂肪族基を表し、あるいは互いに結合して脂肪族環またはヘテロ脂肪族環を形成する。
【0201】
【表1】

【0202】
【表2】

【0203】
本発明の粉末塗料中での使用に特に適した相補的反応性官能基は、
− 一方のカルボキシル基と他方のエポキシ基および/またはβ−ヒドロキシアルキルアミノ基、そしてまた
− 一方の水酸基と他方のブロックおよび非ブロックイソシアネート基またはウレタン基またはアルコキシメチルアミノ基
である。
【0204】
結合剤(O)として、所望のオリゴマー樹脂またはポリマー樹脂を用いることが可能である。オリゴマーは、その分子中に少なくとも2〜15個のモノマー単位を含む樹脂を意味する。本発明の目的のために、ポリマーは、その分子中に少なくとも10個のモノマー繰り返し単位を含む樹脂である。これらの用語の更なる詳細については、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York, 1998, "Oligomers", page 425を参照されたい。
【0205】
適した構成成分(O)の例として、エチレン不飽和モノマーの不規則な交互および/またはブロックの直鎖および/または分枝および/または櫛形(共)重合体、または重付加樹脂および/または重縮合樹脂が挙げられる。これらの用語の更なる詳細については、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York, 1998, page 457, "Polyaddition" and "Polyaddition resins (polyadducts)", および pagese 463 and 464, "Polycondensates", "Polycondensation", and "Polycondensation resins", および pages 73 and 74, "Binders"を参照されたい。
【0206】
適した(共)重合体の例として、(メタ)アクリレート(共)重合体または部分加水分解したポリビニルエステル、とりわけ、特にビニル芳香族化合物との(メタ)アクリレート共重合体が挙げられる。
【0207】
適した重付加樹脂および/または重縮合樹脂の例として、ポリエステル、アルキド、アミノ樹脂、ポリウレタン、ポリラクトン、ポリカーボネート、ポリエーテル、エポキシ樹脂−アミン付加物、ポリ尿素、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタンまたはポリエステル−ポリエーテル−ポリウレタン、特にポリエステル−ポリウレタンが挙げられる。
【0208】
構成成分(O)は、非架橋的または物理架橋的に熱可塑性熱自己架橋または外部架橋していてもよい。さらに、それらは、熱的におよび/または化学線で硬化可能であってもよい。熱硬化および化学線での硬化を組み合わせた適用は、また、当業者によって二重硬化と呼ばれている。
【0209】
熱硬化性粉末塗料および二重硬化性粉末塗料の自己架橋結合剤(O)は、それ自体の種類の基または相補的反応性官能基との架橋反応を始めることができる反応性官能基を含む。外部架橋結合剤は、架橋剤中に存在する相補的反応性官能基と架橋反応を始めることができる反応性官能基を含む。本発明に従った使用に適した相補的反応性官能基の例として、上述のものが挙げられる。この場合、成分(O)および(V)は、1つの化合物に合体する。
【0210】
自己架橋および/または外部架橋構成成分(O)の上述の反応性官能基に対する官能性は、非常に広範に変動してもよく、特に、各場合に用いる架橋剤の目標架橋密度および/または官能性によって誘導される。一例として、カルボキシル基含有構成成分(O)の場合、酸価は、好ましくは10〜100mgKOH/g、より好ましくは15〜80mgKOH/g、非常に好ましくは20〜75mgKOH/g、非常に特に好ましくは25〜70mgKOH/g、特に35〜65mgKOH/gである。あるいは、水酸基含有構成成分(O)の場合、酸価は、好ましくは15〜300mgKOH/g、より好ましくは20〜250mgKOH/g、非常に好ましくは25〜200mgKOH/g、非常に特に好ましくは30〜150mgKOH/g、特に35〜120mgKOH/gである。あるいは、エポキシド基を含有する構成成分(O)の場合、エポキシド当量は、好ましくは400〜2500、より好ましくは420〜2200、非常に好ましくは430〜2100、非常に特に好ましくは440〜2000、特に440〜1900である。
【0211】
上記の相補的反応性官能基は、ポリマー化学の通例かつ公知の方法に従って、結合剤に組み込むことができる。これは、例えば、対応する反応性官能基を担持するモノマーの組み込みおよび/またはポリマー類似反応の助けにより行うことができる。
【0212】
適した反応性官能基を有するオレフィン性不飽和モノマーの例として、
c1)
− 酸でエステル化されるアルキレングリコールから得られる、またはα、β−オレフィン性不飽和カルボン酸を、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドと反応させて得られるアクリル酸、メタクリル酸または別のα、β−オレフィン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、特に、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキプロピル、3−ヒドロキシブチルおよび4−ヒドロキシブチルアクリレート、メタクリレート、エタクリレート、クロトネート、マレエート、フマレートまたはイタコネートなどのヒドロキシアルキル基が20個以下の炭素原子を含むアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸のヒドロキシアルキルエステル;または1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン−ジメタノールまたはメチルプロパンジオールモノアクリレート、モノメタクリレート、モノエタクリレート、モノクロトネート、モノマレエート、モノフマレートまたはモノイタコネートなどのヒドロキシシクロアルキルエステル;例えば、ε−カプロラクトンなどの環状エステルの反応生成物およびこれらのヒドロキシルアルキルまたはヒドロキシシクロアルキルエステル、
− アリルアルコールなどのオレフィン性不飽和アルコール、
− トリメチロールプロパンモノアリルまたはジアリルエーテルまたはペンタエリスリトールモノアリル、ジアリルまたはトリアリルエーテルなどのポリオール類、
− アクリル酸および/またはメタクリル酸と、1分子あたり、5〜18個の炭素原子を有するα−分枝モノカルボン酸、特にVersatic(登録商標)酸のグリシジルエーテルとの反応生成物、またはこの反応生成物の代わりに、重合反応中または重合反応後に、1分子あたり、5〜18個の炭素原子を有するα−分枝モノカルボン酸、特にVersatic(登録商標)酸のグリシジルエステルと反応する当量のアクリル酸および/またはメタクリル酸、
− アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、アリルアミノまたはN−メチルイミノエチルアクリレート、
− N,N−ジ(メトキシメチル)アミノエチルアクリレートまたはメタクリレート、またはN,N−ジ(ブトキシメチル)アミノプロピルアクリレートまたはメタクリレート、
− (メタ)アクリルアミド、N−メチル−、N−メチロール−、N,N−ジメチロール−、N−メトキシメチル−、N,N−ジ(メトキシメチル)−、N−エトキシメチル−および/またはN,N−ジ(エトキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、
− アクリロイルオキシ−またはメタクリロイルオキシエチル、−プロピルまたは−ブチルカルバメートまたはアロファネート
などの1分子あたり、少なくとも1個の水酸基、アミノ基、アルコキシメチルアミノ基、カルバメート基、アロファネート基またはイミノ基を担持するモノマー(カルバメート基を含む、適したモノマーのさらなる例は、米国特許出願公開第3,479,328号、同第3,674,838号、同第4,126,747号、同第4,279,833号または同第4,340,497号の特許に記載されている)、
c2)
− アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸、
− オレフィン性不飽和スルホン酸またはオレフィン性不飽和ホスホン酸またはそれらの部分エステル、
− モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルマレエート、スクシネートまたはフタレート
あるいは
− ビニル安息香酸(すべての異性体)、α−メチルビニル安息香酸(すべての異性体)またはビニルベンゼンスルホン酸(すべての異性体)
などの、1分子あたり少なくとも1個の酸基を担持するモノマー、
c3)アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸のグリシジルエステルまたはアリルグリシジルエーテルなどのエポキシド基を含むモノマー
が挙げられる。
【0213】
それらは、好ましい(メタ)アクリレート共重合体、特にグリシジル基を含有する(メタ)アクリレート共重合体の調製に好ましく使用される。
【0214】
上述の種類の高級多官能性モノマーは、一般に、少量で使用される。本発明の目的のために、少量の高級多官能性モノマーは、特定の目的が、架橋ポリマー微粒子を調製することではないなら、共重合体、特に(メタ)アクリレート共重合体の架橋またはゲル化を引き起こさない量である。
【0215】
反応性官能基をポリエステルまたはポリエステル−ポリウレタンに導入するのに適したモノマー単位の例として、ケトンでブロックされ、得られるケトオキシム基が組み込まれた後、再度、加水分解される2,2−ジメチロールエチル−または−プロピルアミン、またはジヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロールペンタノン酸、ジアミノ吉草酸、3,4−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエンスルホン酸または2,4−ジアミノジフェニルエーテルスルホン酸などの2個の水酸基または2個の第一級および/または第二級アミノ基、そしてまた少なくとも1個の酸基、特に、少なくとも1個のカルボキシル基および/または少なくとも1個のスルホン酸基を含む化合物が挙げられる。
【0216】
ポリマー類似反応による反応性官能基の導入の一例は、クロロホルメート基を含む樹脂が結果的に生じる、水酸基を含む樹脂とホスゲンとの反応、およびカルバメート基を含む樹脂が得られる、クロロホルメート基を含む樹脂とアンモニアおよび/または第一級および/または第二級アミンとのポリマー類似反応である。この種の適した方法のさらなる例は、米国特許出願公開第4,758,632号、同第4,301,257号または同第2,979,514号の特許から公知である。
化学線または二重硬化によって架橋可能な構成成分(O)は、化学線で活性化できる、1分子あたり少なくとも1つの結合を有する少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個の基を平均して含む。
【0217】
本発明の目的のために、化学線で活性化できる結合は、化学線で照射されると、その種の他の活性化結合と反応するようになり、遊離基および/またはイオン機構に従って進行する重合反応および/または架橋反応を始める結合である。適した結合の例として、炭素−水素単結合または炭素―炭素単結合または二重結合、炭素−酸素結合、炭素−窒素結合、炭素−リン結合または炭素−ケイ素結合が挙げられる。これらのなかで、炭素―炭素二重結合が特に、好都合なので、非常に特に好ましく使用される。略して、それらは、以下で「二重結合」と呼ばれる。
【0218】
したがって、好ましい基は、1つの二重結合または2つ、3つまたは4つの二重結合を含む。1つを超える二重結合を使用すると、二重結合を共役できる。それは、ここで問題の基中で、特に、各末端に二重結合を分離すると、好都合である。本発明によると、2つ、特に1つの二重結合を使用するのが好都合である。
【0219】
1分子あたり、化学線で活性化できる1つを超える基を平均して用いる場合、基は、互いに構造的に異なるか、あるいは同一の構造からなる。
【0220】
それらが互いに構造的に異なる場合、これは、本発明の目的のために、2つ、3つ、4つ以上、特に2つのモノマーの種類から得られる、化学線で活性化できる2つ、3つ、4つ以上、特に2つの基を使用することを意味する。
【0221】
適した基の例として、(メタ)アクリレート、エタクリレート、クロトネート、シンナメート、ビニルエーテル、ビニルエステル、ジシクロペンタジエニル、ノルボルネニル、イソプレニル、イソプロペニル、アリルまたはブテニル基;ジシクロペンタジエニルエーテル、ノルボルネニルエーテル、イソプレニルエーテル、イソプロペニルエーテル、アリルエーテルまたはブテニルエーテル基;またはジシクロペンタジエニルエステル、ノルボルネニルエステル、イソプレニルエステル、イソプロペニルエステル、アリルエステルまたはブテニルエステル基が挙げられるが、特に、アクリレート基が挙げられる。
【0222】
これらの基は、ウレタン、尿素、アロファネート、エステル、エーテルおよび/またはアミド基によって、しかし、特にエステル基によって構成成分(O)の各親構造に好ましく結合される。典型的に、これは、例えば、懸垂グリシジル基と酸基を含む上記オレフィン性不飽和モノマーとの反応、懸垂水酸基とこれらのモノマーのハロゲン化物との反応、水酸基と、ビニルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネートおよび/または1−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−3−(1−メチルエテニル)ベンゼン(CYTECのTMI(登録商標))などの二重結合を含むイソシアネートとの反応、またはイソシアネート基と水酸基を含有する上記モノマーとの反応などの通例かつ公知のポリマー類似反応によって行われる。
【0223】
あるいは、加熱によってのみ硬化可能な構成成分(O)と、単に化学線によって硬化可能な構成成分(O)の混合物を用いることが可能である。
【0224】
適した構成成分または結合剤(O)は、
− 米国特許出願公開第4,268,542号または同第5,379,947号の米国特許、および独国特許出願公開第27 10 421号、同第195 40 977号、同第195 18 392号、同第196 17 086号、同第196 13 547号、同第196 18 657号、同第196 52 813号、同第196 17 086号、同第198 14 471号、同第198 41 842号または同第198 41 408号、独国特許第199 08 018号または同第199 08 013号の特許出願、または欧州特許出願公開第0 652 264号の欧州特許に記載され、熱的におよび/または化学線で硬化可能な粉末透明塗料スラリー中での使用に考えられるすべての結合剤、
− 独国特許出願公開第198 35 296号、同第197 36 083号または同第198 41 842号の特許出願に記載され、二重硬化透明塗料中での使用に考えられるすべての結合剤、
− 独国特許出願公開第42 22 194号の独国特許出願、BASF Lacke+Farben AG Product information material "Pulverlacke", 1990またはBASF Coatings AG comapany brochure "Pulverlacke, Pulverlacke fuer industrielle Anwendungen", January, 2000に記載され、熱硬化性粉末透明塗料中での使用目的であるすべての結合剤、
あるいは
− 欧州特許出願公開第0 928 800号、同第0 636 699号、同第0 410 242号、同第0 783 534号、同第0 650 978号、同第0 650 979号、同第0 650 985号、同第0 540 884号、同第0 568 967号、同第0 054 505号または同第0 002 866号の欧州特許出願、独国特許出願公開第197 09 467号、同第42 03 278号、同第33 16 593号、同第38 36 370号、同第24 36 186号または独国特許第20 03 579号の独国特許出願、国際公開第97/46549号または同第99/14254号の国際特許出願、または米国特許出願公開第5,824,373号、同第4,675,234号、同第4,634,602号、同第4,424,252号、同第4,208,313号、同第4,163,810号、同第4,129,488号、同第4,064,161号または同第3,974,303号の米国特許に記載され、UV硬化性透明塗料および粉末透明塗料中での使用目的であるすべての結合剤
を含む。
【0225】
構成成分(O)の調製は、方法論的特異性をもたないが、その代りに、例えば、上記の特許に詳細に記載されるポリマー化学の通例かつ公知の方法によって行われる。
【0226】
(メタ)アクリレート共重合体(O)の適した調製方法のさらなる例は、欧州特許出願公開第0 767 185号の欧州特許出願、独国特許第22 14 650号または同第27 49 576号の独国特許、米国特許出願公開第4,091,048号、同第3,781,379号、同第5,480、493号、同第5,475,073号または同第5,534,598号の米国特許、またはHouben−Weyl, Methoden der organischen Chemie, 4th edition, Volume 14/1, pages 24 to 255, 1961の標準テキストに記載されている。共重合の適した反応器として、例えば、独国特許第1 071 241号、欧州特許出願公開第0 489 583号または独国特許出願公開第198 28 742号の特許および特許出願、またはK.Kataoka in Chemical Engineering Science, Volume 50, No.9, 1995, pages 1409 to 1416の論文に記載の通例かつ公知の攪拌槽、攪拌槽カスケード、管状反応器、環状反応器またはテイラー反応器が挙げられる。
【0227】
ポリエステルおよびアルキド樹脂(O)の調製は、さらに、例えば、Ullmanns Encyklopaedie der technischen Chemie, 3rd edition, Volume 14, Urban & Schwarzenberg, Munich, Berlin,1963, pages 80 to 89 and pages 99 to 105の標準テキスト、そしてまた、以下の書物"Resines Alkydes−Polyesters" by J.Bourry, Paris, Verlag Dunod, 1952, "Alkyd Resins" by C.R.Martens, Reinhold Publishing Corporation, New York, 1961, および "Alkyd Resin Technology" by T.C.Patton, Interscience Publishers, 1962に記載されている。
【0228】
ポリウレタンおよび/またはアクリル化ポリウレタン(O)の調製は、さらに、例えば、欧州特許出願公開0 708 788号、独国特許出願第44 01 544号または同第195 34 361号の特許出願に記載されている。
【0229】
特に適した構成成分(O)の例として、欧州特許出願公開第0 299 420号、独国特許第22 14 650号、同第27 49 576号、米国特許出願公開第4,091,048号または同第3,781,379号の特許および特許出願に記載の、好ましくは400〜2500、より好ましくは420〜2000、非常に好ましくは430〜2100、非常に特に好ましくは440〜2000、特に440〜1900のエポキシド当量、好ましくは2000〜20000、特に3000〜10000の数平均分子量(ポリスチレン標準物質を使用するゲル浸透クロマトグラフィーで定量)、好ましくは30〜80℃、より好ましくは40〜70℃、特に40〜60℃のガラス転移温度(Tg)(示差走査熱量測定法(DSC)によって測定)を有するエポキシド基を含有する(メタ)アクリレート共重合体が挙げられる。
【0230】
ポリカーボネートを結合剤またはレオロジー調整剤として使用することができる塗料は、本質的に無溶媒かつ無水の固形下塗り塗料(粉末塗料および顔料粉末塗料)または適切なら、着色した実質的に無溶媒の粉末塗料分散液(粉末スラリー状下塗り塗料)である。それらは、放射線または二重硬化機構によって熱的に硬化されてもよいし、自己架橋または外部架橋していてもよい。粉末塗料は、下塗り塗料、透明塗料または上塗り塗料であってもよい。
【0231】
粉末塗料は、多くの場合、スクリーンニングに続くドライブレンドプロセス、または粉砕およびスクリーンニングに続く出発材料の溶融均質化のいずれかで調製される。両プロセスは、多数の工程を含む。したがって、まず熱可塑性樹脂の粗粉砕を行うことが必要である。その後、顔料などの添加剤または粉末塗料を代表する添加剤を互いに混合し、その組成物を特殊目的の押出成形機で押出成形する。押出成形物を放出し、例えば、冷却ベルト上で冷却する。押出成形物の断片を予分別し、最終的に粉砕し、ふるい分け(大きすぎるものは、細かいミルに戻す)、その後、得られた熱可塑性粉末塗料を量り分け、充填する。このプロセスによって調製した熱可塑性粉末塗料の組成は、単に、初期質量によって左右され、その後の組成に対する補正は、不可能である。
【0232】
好ましい一実施形態において、本発明の粉末塗料は、以下のように調製される。
【0233】
各成分を投入容器中で合わせて、例えば、回転式ミキサー、鋤刃ミキサー、ヘンシェルミキサーまたはオーバーヘッドミキサー中で強力な物理的予混合および予備分別にかける。
【0234】
このようにして得た予混合物を、例えば、80〜120℃の高温の押出成形機中で好ましく溶融してから、混合および混錬要素の結果として、その成分を互いに非常に密に接触させる。この操作は、原料の強力な混合を伴い、充填剤を結合剤で被覆し、顔料を分散して細かく分離し、結合剤と硬化剤を密に接触させる。この接触は、具体的には、粉末塗料を焼成した後、効果的な塗膜形成を得るために必要である。
【0235】
溶融均質混合物は、一般に、押出成形機を約100℃の状態に放置し、現時点の熱反応性材料の早期反応をできるだけ防ぐために、非常に急激に室温に冷却しなければならない。この目的のために、多くの場合、押出成形物をチルロール上で細長い薄片に圧延して、冷却ベルトに移動し、そこで1分未満に室温に冷却する。それから、操作の次工程に最適な計量を確保するために、材料を予備分別してチップを形成する。
【0236】
次に、衝撃微粉砕の原理に従って、分級機ミル中で粉末塗料チップを仕上げ粉末塗料に粉砕する。DIN 55990−2に対する目標粒径は、10〜150μm、できるだけ30〜70μmである。適切なら、大きすぎるおよび/または小さすぎる粒子の除去には、ふるい分け工程がさらに必要である。
【0237】
発明の粉末塗料は、特にプラスチック表面などの基板、ガラス、セラミック、皮革、セメント成形品および繊維セメント板などの鉱物建築材料、特に木材およびMDF、特に、被覆金属および非被覆金属の両方の被覆に適している。
【0238】
特に、粉末塗料は、管(配管)、全種の針金製品、内装および外装使用のフランジおよび取付具、壁取付け洋服ダンスおよびベッドフレーム、フェンス支柱、庭園家具、交通障壁、実験室機器、針金格子、食器洗い機用インサート、買物かご、機械部品、電気機械、回転子、固定子、電気コイル、絶縁箱、ボイラー、ブレーキシリンダー、化学装置または道路標識の被膜の調製に役立つ。
【0239】
被覆の目的のために、被覆は、典型的に、本発明の粉末塗料を用いて従来の方法で行われ、その後、存在する溶媒を除去するために乾燥を行い、被膜を硬化する。
【0240】
基板の被覆は、当業者に公知の典型的なプロセスに従って行われ、ここでは、少なくとも1つの粉末塗料を被覆する基板に対して所望の厚さで塗布し、揮発構成成分を除去する。この操作は、必要なら、1回以上繰り返すことができる。基板への塗布は、例えば、噴射塗装、スプレー塗装、ナイフ塗装、ブラシ塗装、ロールまたはローラー塗装、特に静電塗装によるなどの公知の方法で行ってもよい。被膜の厚さは、一般に、約3〜1000g/m2、好ましくは10〜200g/m2の範囲内にある。
【0241】
それらは、好ましくは流動床焼結として公知のプロセスによって塗布される。この目的のために、予熱した加工物を、空気流によって流動化された粉末塗料で満たした塗料槽に数秒間「浸漬」する。浸漬後、その上で焼結した粉末は、数秒以内に溶融して連続皮膜を形成する。全側面から焼結した比較的均質な粉末表面は、加工物をすぐに取り囲む。塗膜の厚みは、250〜700μmであってもよい。流動床焼結粉末は、50〜300μmの粒径を有する。そのため、それらは、粒径が一般に1〜200μmである静電粉末より粗い。しかしながら、原則的に、流動床焼結粉末は、また、静電粉末塗装に適用できるような方法で、さらに細かい微粉砕によって調合してもよい。
【0242】
本発明は、さらに、発明の粉末塗料を所望の方法で製品に塗布し、DIN 55990−4に従って100℃〜220℃、好ましくは145℃〜175℃の基板温度で、3秒〜20分、好ましくは10〜15分の保持時間かけて焼成することによる製品の被覆方法を提供する。基板温度は、少なくとも100℃、好ましくは110℃、より好ましくは少なくとも120℃、非常に好ましくは少なくとも125℃であるべきである。
【0243】
基板温度は、塗膜中の結合剤をそこで完全に架橋させるために、被覆製品が焼成炉中で到達しなければならない温度である。一定の予熱時間後に初めて基板温度に到達し、基板温度は、一般に、循環空気の温度より低い。基板温度は、一般に、炉の過程で試料上の熱電対で測定される。
【0244】
臨界温度、言い換えると、最小温度あるいは開始温度、すなわち、成分の化学架橋が始まる温度は、一般に、焼成温度、言い換えると、特定の焼成時間で粉末塗料の完全硬化に必要な温度より約10〜20℃低い。粉末塗料は、一般に、過焼成に対して反応しない。
【0245】
以下の実施例の目的は、本発明を説明することである。
【0246】
一般操作手順:
多官能性アルコール、ジエチルカーボネート、および触媒としての0.15質量%の炭酸カリウム(アルコール量に基づいた量)を第1表のバッチ量に従って攪拌器、還流冷却器および内部温度計を備えた3つ口フラスコに投入し、その混合物を140℃に加熱し、この温度で2時間攪拌した。反応時間の進行とともに、放出されたエタノールによる蒸発冷却の開始により反応混合物の温度低下があった。次に、還流冷却器を下降冷却器に取り換えて、1当量の触媒に対して1当量のリン酸を加え、エタノールを留去し、反応混合物の温度をゆっくり160℃に上昇させた。蒸留によって除去したアルコールを冷却した丸底フラスコに収集し、秤量し、転化率を理論的に可能な完全転化率の百分率としてこのようにして定量した(第1表参照)。
【0247】
続いて、なお存在するモノマーの残留量を除去するために160℃で1時間の間、乾燥窒素を反応混合物に通過させた。その後、反応混合物を室温に冷却した。
【0248】
生成物を被膜調合物に純粋な形態で導入した。
【0249】
発明のポリカーボネートの分析:
検出器として屈折計を使用してゲル透過クロマトグラフィーによりポリカーボネートを分析した。使用した移動相は、ジメチルアセトアミドで、分子量の定量に使用した標準物質は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)だった。
【0250】
DIN 53240、2部に従ってOH価を定量した。
【0251】
第1表:出発材料および最終生成物
【表3】

TMP=トリメチロールプロパン
EO=エチレンオキシド
PO=プロピレンオキシド
表中の記号「TMP×1.2PO」は、各モルのトリメチロールプロパンに対して平均1.2molのプロピレンオキシドと反応した生成物を表し、同様に、「TMP×12EO」は、1モルのトリメチロールプロパンにつき、平均12molのエチレンオキシドと反応した生成物である。
【0252】
塗料の調製:
粉末塗料の成分を第2表の量に従って混合し、その混合物を長さ:直径の比が40の押出成形機/配合機に導入した。押出成形条件を第3表にまとめた。
【0253】
第2表:塗料成分
【表4】

【0254】
顔料を以下の割合で混合した。
Kronos InternationalのTitanium rutile 2310顔料 96%
Degussa社のLamp black−101粉末 2%
Lanxess Deutschland社のBayferrox(登録商標)180 1.25%
Bayer社のBayferrox(登録商標)316 0.75%
第3表:押出成形条件
【表5】

【0255】
続いて、押出成形材料をミル中で50μmの平均粒径に粉砕した。
【0256】
得られた粉末塗料の測定から以下の結果を得た。
【0257】
【表6】

【0258】
試験方法:
ゲル時間:硬化中の粘度の増加に関する測定を行う。規定温度のホットプレート上に200〜500mgの規定量で仕上がった粉末塗料を置く。粉末が溶融し、架橋が始まる。固形物体をそれが垂れ下がったままの状態になるまで浸漬する。
試験は2つのことを示す。すなわち、1.同一材料に対して同じ回数を測定するので、材料の同一性が簡単に調べられる。2.ゲル時間が長いほど、流動性が良いという流動特性を示す。
【0259】
垂れ試験:粉末塗料を焼成温度に加熱し、垂直面上を移動する距離を測定する。高い値は、より良い流動性を示す。
【0260】
たわみ:金属薄板を縁部のまわりに90°曲げ、その間に塗膜が損傷してはいけない。
【0261】
光沢度:BYK−Gardenerのmicro−tri−glossを用いた光沢度測定。光沢度は、目に見える感覚である。反射した光が多くの方向性をもつほど、光沢度は、より顕著となる。これは、測定した光沢度単位が高いほど、表面が滑らかであることを意味する。
【0262】
60°の形状を有する中央光沢度領域および20°の形状を有する高光沢度領域で測定を行う。
【0263】
Wavescan DOI:BYK−GardenerのWavescan DOIを用いた分析:長波/短波値および曇り度に関する情報。この値が小さいほど、外観がよくなる。
【0264】
DSC測定:TA instrumentsのQ1000を使用(一般に、動的示差熱測定計を使用)。(変数:10℃/分の加熱勾配、窒素雰囲気、第2運転の評価)。非架橋粉末および架橋粉末のガラス転移温度に関する情報。発熱架橋シグナル、すなわち架橋反応が起こる温度および架橋反応のエンタルピーに関する情報。
【0265】
粘度温度測定:Anton PaarのMCR500を使用(一般に、空気封入レオメーターを使用する)。(変数:2℃/分の加熱速度、振動数1Hz、変形1%)。情報:曲線の最小値の粘度が低いほど、そしてゾル/ゲル温度(G’=G’’)が高いほど、外観が良くなる。
【0266】
一般に、高官能性ポリカーボネートの使用は、流動特性および粉末塗料の外観の向上につながる。測定値の差は、著しい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの高官能性、高分枝または超分枝非架橋ポリカーボネートを含む粉末塗料。
【請求項2】
ポリカーボネートが、50℃未満のASTM 3418/82に対するガラス転移温度を有する、請求項1に記載の粉末塗料。
【請求項3】
ポリカーボネートが、100mgKOH/g以上のDIN 53240、2部に対するOH価を有する、請求項1または2に記載の粉末塗料。
【請求項4】
ポリカーボネートが、1000〜150000の質量平均分子量Mwを有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の粉末塗料。
【請求項5】
− 少なくとも1つの機能的構成成分(F)
− 結合剤としての少なくとも1つのオリゴマーおよび/またはポリマー構成成分(O)、および
− 少なくとも1つの架橋剤(V)
をさらに含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の粉末塗料。
【請求項6】
機能的構成成分が、着色および/または効果顔料、蛍光顔料、導電性顔料および/または磁気シールド顔料、金属粉末、可溶性有機染料、有機および無機の透明または不透明な充填剤および/またはナノ粒子、UV吸収剤、光安定剤、遊離基捕捉剤、揮発分除去剤、滑剤、重合抑制剤、架橋触媒、熱不安定性遊離基開始剤、光開始剤、熱硬化性反応希釈剤、化学線で硬化可能な反応性希釈剤、接着促進剤、流れ調整剤、塗膜形成助剤、難燃剤、腐食抑制剤、自由流れ助剤、ワックスおよび艶消し剤からなる群から選択される、請求項5に記載の粉末塗料。
【請求項7】
結合剤(O)が、10〜100mgKOH/gの酸価を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の粉末塗料。
【請求項8】
結合剤(O)が、15〜300mgKOH/gのOH価を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の粉末塗料。
【請求項9】
結合剤(O)が、400〜2500のエポキシド当量を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の粉末塗料。
【請求項10】
架橋剤(V)が、イソシアネート、ブロックイソシアネート、エポキシド、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンおよびアミノ樹脂からなる群から選択される、請求項1から9までのいずれか1項に記載の粉末塗料。
【請求項11】
プラスチック表面、ガラス、セラミック、皮革、セメント成形品および繊維セメント板などの鉱物建築材料、木材、MDF、金属および被覆金属を被覆するための請求項1から10までのいずれか1項に記載の粉末塗料の使用。
【請求項12】
管(配管)、全種の針金製品、内装および外装使用のフランジおよび取付具、壁取付け洋服ダンスおよびベッドフレーム、フェンス支柱、庭園家具、交通障壁、実験室機器、針金格子、食器洗い機用インサート、買物かご、機械部品、電気機械、回転子、固定子、電気コイル、絶縁箱、ボイラー、ブレーキシリンダー、化学装置または道路標識を被覆するための請求項1から10までのいずれか1項に記載の粉末塗料の使用。
【請求項13】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の粉末塗料を所望の方法で製品に塗布し、DIN 55990−4に従って100℃〜220℃の基板温度で、3秒〜20分の保持時間をかけて焼成することによる製品の被覆方法。
【請求項14】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の粉末塗料で被覆した製品。

【公表番号】特表2009−537673(P2009−537673A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511367(P2009−511367)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004210
【国際公開番号】WO2007/134736
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】