高容量空気力学ゴルフクラブヘッド
【課題】気流の再付着をなるべくフェースに近づけ、また気流がクラウン頂点を越えてからのクラブヘッドへの付着を維持することができて、空気抵抗が低減されるゴルフクラブヘッドを提供する。
【解決手段】クラブヘッド容量が少なくとも400ccであり、前後寸法FBが少なくとも4.4インチであり、ヒールからトウにかけての寸法が前後寸法FBより大きく、クラウン頂点410が基面GPから頂点高さAHに位置し、クラウン頂点410とフェース200との間の部分における曲率半径Ra−fが3インチ未満である。上端部高さTEHは基面GPからのフェース上端部の高さで、下端部高さLEHは基面GPからのフェース下端部の高さである。最大上端部高さTEHは少なくとも2インチであり、頂点高さAHの最大上端部高さTEHに対する頂点比は少なくとも1.13であり、クラブヘッド容量の10%未満が最大上端部高さTEHの高さの上にある。
【解決手段】クラブヘッド容量が少なくとも400ccであり、前後寸法FBが少なくとも4.4インチであり、ヒールからトウにかけての寸法が前後寸法FBより大きく、クラウン頂点410が基面GPから頂点高さAHに位置し、クラウン頂点410とフェース200との間の部分における曲率半径Ra−fが3インチ未満である。上端部高さTEHは基面GPからのフェース上端部の高さで、下端部高さLEHは基面GPからのフェース下端部の高さである。最大上端部高さTEHは少なくとも2インチであり、頂点高さAHの最大上端部高さTEHに対する頂点比は少なくとも1.13であり、クラブヘッド容量の10%未満が最大上端部高さTEHの高さの上にある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスポーツ機器に係り、特に高容量空気力学ゴルフクラブヘッドに係る。
[関連出願]
【0002】
本願は、米国仮特許出願第61/101,919号および第61/080,892号(出願日:2008年10月1日、2008年7月15日)の恩恵をそれぞれ主張する、米国非仮特許出願第12/367,839号(出願日:2009年2月9日)の恩恵を主張する米国仮特許出願第12/409,998号(出願日:2009年3月24日)の恩恵を主張しており、これらの内容全体を参照としてここに組み込む。
[連邦政府後援の研究又は開発に関する記述]
【0003】
本発明は、連邦政府の支援を受けてなされた研究または開発プロジェクトの一部ではない。
【背景技術】
【0004】
現代の高容量ゴルフクラブヘッド(通称ドライバ)では、ゴルフクラブヘッドの空気力学に注意が払われた設計がなされていない。これは、過去のゴルフクラブヘッドの研究において、クラブヘッドの空気力学がゴルフクラブの性能に僅かな影響しか与えないという結果が導き出されたことに起因するところが大きい。
【0005】
殆どの今日のドライバのクラブヘッドの容量は、10年前に最も先進であったクラブヘッドの容量の倍である。実際のところ、現代のドライバの殆ど全てが少なくとも400ccのクラブヘッド容量を有しており、主要なものは現在USGAが定める限界である460ccぎりぎりの容量を有している。しかし依然として、ゴルフクラブ設計業者は、これら大型のゴルフクラブの空気力学に注意を向けておらず、専らオフセンターショットの際のクラブヘッドの捻りに対する耐性を増加させることのみに注力しているようである。
【0006】
現代の、より捻り耐性のあるゴルフクラブヘッド(つまり、より大きな慣性モーメントを有するクラブヘッド)を設計しようという競争により、クラブヘッドは非常に長い前後寸法比を有するに至っている。FB寸法とも称されるゴルフクラブヘッドの前後寸法は、クラブフェースの前縁からクラブヘッドの後縁までの寸法として計測される。目下のところUSGAはクラブヘッド容量の限界に加えて前後寸法(FB)を5インチ、および、クラブヘッドの重心(CG)を通る垂直軸の周りの慣性モーメント(MOLyと称される)を5900g*cm2と定めている。力学の入門クラスを修めた程度の当業者であれば、ここでCGと称される「重心」の意味を理解する。中空である、および/または、不均一な密度であることの多い木製のゴルフクラブに関しては、往々にしてクラブヘッドの全ての均衡点の交点がCGであると考えられている。つまり、ヘッドのフェースで均衡をとり、次にソールで均衡をとると、これら均衡点を通る2つの仮想線によりCGと称される点が定義される、ということである。
【0007】
つい最近まで、大半のドライバには通常「定型(traditional shape)」と称される460ccクラブヘッド容量のものがあった。これら大容量の定型ドライバの前後寸法(FB)は約4.0インチから4.3インチであり、MOIyはおよそ4000−4600g*cm2を達成していた。ゴルフクラブ設計業者がMOIyをなるべく上げようと努力するにつれ、ドライバのFB寸法は、4.3インチから5.0インチの範囲へと上昇し始めた。図1のグラフは、83個の異なるクラブヘッド設計のFB寸法とMOIyとを示したものであり、高いMOIy値が大きなFBの値に相関性を持っていることがよく表されている。
【0008】
FB寸法を大きくすることでより高いMOIy値を達成しようとする試みは論理的ではあるが、FB寸法の大きなクラブには大きな欠点も確認されている。大きな欠点の1つは、クラブヘッドスピードが顕著に落ちることであり、これは多くの産業関係者が見過ごしている。図2のグラフは、FB寸法が3.6インチを超えるドライバを利用したプレーヤの試験データを示す。本グラフは、FB寸法が4.4インチ未満のドライバのクラブヘッドスピードと比べると、FB寸法の大きなドライバのクラブヘッドスピードが顕著に劣っていることを示している。FB寸法が3.8インチ未満のドライバをスイングしたときのクラブヘッドスピードは104.6mphであり、FB寸法が4.8インチを僅かに下回るドライバをスイングしたときのスイングスピードは101.5mphであり、3%を超える低下が見られた。
【0009】
このクラブヘッドスピードの顕著な低下は、FB寸法の大きなゴルフクラブヘッドの空気抵抗が上昇した結果である。風洞テストを広範に行って得たデータは、複数の重要な方位で計測したクラブヘッドのFB寸法および空気抵抗の間の相関性が強いことを示している。まず、「気流−90度」という気流矢印で示す方位1が図11に示されており、図面のグラフでは「ライ90度の方位」として称される。この方位は、シャフト軸(SA)がクラブヘッド設計におけるライ角にある状態で、クラブヘッドが基面(GP)にある状態とみなすことができる(図8参照)。そして100mphの風が基面(GP)に平行に、直接クラブフェース(200)にあてられている(図11の「気流−90度」という気流矢印参照)。
【0010】
第2に、「気流−60度」という気流矢印で示す方位2が図11に示されており、図面のグラフでは「ライ60度の方位」として称される。この方位は、シャフト軸(SA)がクラブヘッド設計におけるライ角にある状態で、クラブヘッドが基面(GP)にある状態とみなすことができる(図8参照)。そして100mphの風を、クラブヘッドのヒール(116)側から、フェース(200)に対する垂直平面に対して30度傾けてあてている(図11の「気流−60度」という気流矢印参照)。
【0011】
第3に、「気流−垂直−0度」という気流矢印で示す方位3が図12に示されており、図面のグラフでは「垂直0度の方位」として称される。この方位では、クラブヘッドがシャフト軸(SA)と垂直方向に逆さまに方向付けられており、水平方向の100mphの風をヒール(116)へと方向付けている(図12の「気流−垂直−0度」という気流矢印参照)。従って、クラブヘッドを図12に示すように配置した状態で、ヒール(116)からトウ(118)へと、図11に示すシャフト軸(SA)が形成する垂直面に平行に気流があてられている。
【0012】
方位1(図11に示す気流矢印「気流−90度」で示す方位)の参照に戻る。6つの異なるクラブヘッドについて収集された正規化空気抵抗データを図5のグラフに示す。なお、ここで言及する空気抵抗の全てが、そうではないと明記しない限りにおいて、120mphの気流速度に正規化された空気抵抗であるということを理解されたい。従って、図示されている空気抵抗値は、示されている気流速度における抵抗の実際の計測値を、基準速度(120mph)の二乗で乗算して、実際の気流速度の二乗で除算した値である。従って、図5に示す正規化空気抵抗は、指定された方位で100mphの風に曝した場合の抵抗の実際の計測値を、基準速度(120mph)の二乗で乗算して、実際の気流速度(100mph)の二乗で除算した値である。
【0013】
さらに図5の参照を続けると、正規化空気抵抗データは、FB寸法が3.8インチという短いクラブヘッドにおける1.2lbfを最低、および、FB寸法が略4.8インチのクラブヘッドにおける2.65lbfを最高として、非線形に増加している。正規化空気抵抗の増加は、FB寸法が1インチに僅かに足りない程度増加するにつれて、120%を超える割合で増加していることが分かり、これは前述したクラブヘッドスピードの顕著な低下に寄与する。
【0014】
方位2(図11に示す気流矢印「気流−60度」で示す方位)においても略同じような結果が導き出される。6つの異なるクラブヘッドについて収集された正規化空気抵抗データを図4のグラフに示す。正規化空気抵抗データは、FB寸法が3.8インチという短いクラブヘッドにおける約1.1lbfを最低、および、FB寸法が略4.8インチのクラブヘッドにおける約1.9lbfを最高として、非線形に増加している。正規化空気抵抗の増加は、FB寸法が1インチに僅かに足りない程度増加するにつれて、73%を超える割合で増加していることが分かり、これもまた、前述したクラブヘッドスピードの顕著な低下に寄与する。
【0015】
またさらに方位3(図12に示す気流矢印「気流−垂直−0度」で示す方位)においても略同じような結果が導き出される。複数の異なるクラブヘッドについて収集された正規化空気抵抗データを図3のグラフに示す。正規化空気抵抗データは、FB寸法が3.8インチという短いクラブヘッドにおける約1.15lbfを最低、および、FB寸法が略4.8インチのクラブヘッドにおける約2.05lbfを最高として、非線形に増加している。正規化空気抵抗の増加は、FB寸法が1インチに僅かに足りない程度増加するにつれて、78%を超える割合で増加していることが分かり、これもまた、前述したクラブヘッドスピードの顕著な低下に寄与する。
【0016】
さらに図6のグラフは、図2のクラブヘッドスピードのプレーヤの試験データを、図3、図4、または図5の各クラブヘッドの正規化空気抵抗の最大値と相関付ける。図6によると、正規化空気抵抗の最大値が1.2lfbと、小さいときのクラブヘッドスピード104.6mphから、正規化空気抵抗の最大値が2.65lfbのときのクラブヘッドスピード101.5mphにまで下がることが分かる。
【0017】
上述したクラブヘッドスピードの低下は、ゴルフボールがクラブフェースに当たってから飛ぶスピード、ひいては、ゴルフボールの飛距離にも大きな影響を与える。実際のところ約100mphのクラブヘッドスピードでは、クラブヘッドスピードが1mph下がる毎に、飛距離はおよそ1%も短くなる。現状のゴルフクラブヘッドについてはこれらの相関関係が分かっており、FB寸法の値が大きなクラブにおけるクラブヘッドスピードの低下の理由、および、ゴルフクラブヘッドの空気抵抗を下げる幾つかの方法が分かっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
請求される空気力学ゴルフクラブヘッドは、FB寸法の値の大きなドライバの空気力学上の性能の悪さの原因が単にFB寸法の大きさだけはなく、むしろFB寸法の大きなドライバで、MOIy値を上げ、重心(CG)の寸法を下げようとするあまり、ゴルフクラブ設計業者が空気力学上非常に形の悪いクラブを一般的に生成してきたことにある、という認識に基づいて得られた。顕著な問題の幾つかとしては、ボディの表面がフラットである点、フェースに続くクラウン領域に気流が再付着(reattachment)することを考慮にいれるような適切な形状ではない点、クラウンの最高点を過ぎてから気流の付着を促進するような適切な形状ではない点、後縁部の設計が適切でない点等が挙げられる。加えて、現状のFB寸法の大きなドライバ設計においては、空気抵抗を上げてしまうゴルフクラブヘッドの前面断面面積が無視されていたり、むしろこれを最大化しようとしたりするように見受けられるものもある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願の空気力学ゴルフクラブヘッドは、これら課題を解決でき、FB寸法が比較的大きいため慣性モーメントの値が良好であり、且つ、他の大容量でFB寸法が大きくMOIの高いゴルフクラブヘッドからは予想だにしなかった優れた空気力学特性を備える高容量空気力学ゴルフクラブヘッドを提供する。本ゴルフクラブヘッドは、固有のクラブヘッド形状を採用して、クラウン頂点を過ぎてからクラブヘッドに気流を保持する目的で頂点をポストにした付着促進領域(post apex attachment promotion region)を含む。
【0020】
一実施形態のクラブヘッドでは、クラウン頂点とクラブヘッドの前面との間の部分を含むクラウンセクションの頂点から前面にかけての曲率半径が3インチ未満である。同様に、クラウン頂点とクラブヘッドの後面との間のクラウンセクションの部分における頂点から後面にかけての曲率半径が3.75インチ未満である。またクラウンセクションの一部における、シャフト軸が形成する垂直平面に対して平行な方向のクラウン頂点におけるヒールからトウにかけての曲率半径が4インチ未満である。このような小さな曲率半径は、従来の高容量ゴルフクラブヘッド設計においては(特にFB寸法が4.4インチ以上の高容量ゴルフクラブヘッドの設計においては)避けられてきた。しかしこのように曲率半径を狭めることによって、なるべくクラブヘッドフェースに近い位置に気流を再付着させることのできるバルブ状のクラウンセクションが形成されるので、空気抵抗を下げてクラブヘッドスピードを上げることができるようになる。
【0021】
別の実施形態のクラブヘッドのクラウンセクションの頂点をポストにした付着促進領域は、クラウン頂点にあり、クラブヘッドの後ろ側に延びている。頂点をポストにした付着促進領域は、クラウン頂点の下のクラウンセクションの比較的フラットな部分であり、且つ、クラブヘッドのフェースの最大高さを越える部分である。この、頂点をポストにした付着促進領域によって、クラウン頂点を越えた後の気流のクラブヘッドへの付着が促進され、これにより、空気抵抗を下げてクラブヘッドスピードを上げることができるようになる。以下に、本願の空気力学ゴルフクラブヘッドの範囲を請求するが、説明においては以下に説明する図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】FB寸法とMOIyとの関係を示すグラフである。
【図2】FB寸法とクラブヘッドスピードとの関係を示すグラフである。
【図3】FB寸法とクラブヘッドの正規化空気抵抗との関係を示すグラフである。
【図4】FB寸法とクラブヘッドの正規化空気抵抗との関係を示すグラフである。
【図5】FB寸法とクラブヘッドの正規化空気抵抗との関係を示すグラフである。
【図6】クラブヘッドの正規化空気抵抗とクラブヘッドスピードとの関係を示すグラフである。
【図7】高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの上部平面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図8】高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの前面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図9】高容量空気力学ゴルフクラブヘッドのトウ側から見た前面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図10】高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの前面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図11】高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの上部平面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図12】シャフト軸が垂直方向である高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの回転前面図である。
【図13】高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの前面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図14】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの上部平面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図15】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの上部平面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図16】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの上部平面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図17】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの上部平面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図18】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの、最上端部平面で切断された部分的等角図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図19】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドのフェースの中心を通る断面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図20】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドのフェースの中心を通る断面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図21】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドのヒール側から見た前面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図22】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドのトウ側から見た前面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図23】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの背面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図24】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの底面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図25】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの上部平面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
請求される高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、現在の技術水準から大幅に向上している。クラブヘッド(100)の好適な実施形態は、この向上を、固有の新規な方法で構成した部材および方法の新しい新規な構成により達成しており、今まで利用可能ではなかったが好適且つ望ましい機能を有している。図面を参照しながら以下に示す記載は、クラブヘッド(100)の現在の好適な実施形態の記載にすぎず、クラブヘッド(100)がカスタマイズまたは利用される1つの形態を表す意図しか有さない。記載においては、例示的な実施形態との関連でクラブヘッド(100)を実装する設計、機能、手段、および方法を示す。しかし、本クラブヘッド(100)の精神および範囲内に含まれることが意図される異なる実施形態によっても同じまたは均等の機能および特徴を得ることができることを理解されたい。
【0024】
空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、FB寸法の値の大きなドライバの空気力学上の性能の悪さの原因が単にFB寸法の大きさだけはなく、むしろFB寸法の大きなドライバで、MOIy値を上げ、重心(CG)の寸法を下げようとするあまり、ゴルフクラブ設計業者が空気力学上非常に形の悪いクラブを一般的に生成してきたことにある、という認識に基づいて得られた。主要な問題としては、ボディの表面がフラットである点、フェースに続くクラウン領域に気流が再付着(reattachment)することを考慮にいれるような適切な形状ではない点、後縁部の設計が適切でない点等が挙げられる。加えて、現状のFB寸法の大きなドライバ設計においては、空気抵抗を上げてしまうゴルフクラブヘッドの前面断面面積が無視されていたり、むしろこれを最大化しようとしたりするように見受けられるものもある。空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、これら問題を解決でき、FB寸法が大きくMOIyが高い高容量空気力学ゴルフクラブヘッドを提供する。
【0025】
高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、少なくとも400ccの容量を有する。高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、図11の気流矢印「気流−90度」に関して上述したように、設計されたように方向付けられ、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)の前面(112)に対して、100mphの風を基面(GP)に平行にあてた場合に、フェースを下にした場合の正規化空気抵抗が1.5lbf未満であるという特徴を有する。ここで言及する空気抵抗の全てが、そうではないと明記しない限りにおいて、120mphの気流速度に正規化された空気抵抗であるということは、背景技術セクションでも述べたが本セクションでも繰り返しておく。故に、上述した、100mphの風にあてたときの1.5lbf未満という正規化空気抵抗は、示されている気流速度100mphにおける抵抗の実際の計測値を、基準速度(つまり120mph)の二乗で乗算して、実際の気流速度(100mph)の二乗で除算した値である。
【0026】
図7−図9を参照すると、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、フェース(200)、ソールセクション(300)、およびクラウンセクション(400)を有する中空ボディ(110)を含む。中空ボディ(110)は、さらに、前面(112)、後面(114)、ヒール(116)、およびトウ(118)を有するものとして定義することができる。さらに中空ボディ(110)の前後寸法(FB)は少なくとも4.4インチであることは、前にも触れ、図7にも示されている。
【0027】
高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、FB寸法が比較的大きいため慣性モーメントの値が良好であり、且つ、他の大容量でFB寸法が大きくMOIの高いゴルフクラブヘッドからは予想だにしなかった優れた空気力学特性を備える。特に、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)の一実施形態では、図7に示すように、ゴルフクラブヘッド(100)の重心(CG)を通る垂直軸の周りに、少なくとも4000g*cm2の第1の慣性モーメント(MOIy)が得られる。このMOIyは、フェースのトウ側またはヒール側でボールを打った場合に生じる開閉モーメントに抵抗するゴルフクラブヘッド(100)の慣性モーメントである。さらに本実施形態では、図9に示すような、重心(CG)を通る水平軸の周りに、少なくとも2000g*cm2の第2の慣性モーメント(MOIx)が得られる。このMOIxは、フェースの高いまたは低い位置でボールを打った場合に生じる高低モーメント(lofting and delofting moments)に抵抗するゴルフクラブヘッド(100)の慣性モーメントである。
【0028】
ゴルフクラブヘッド(100)は、固有のクラブヘッド形状を採用することで優れた空気力学上の性能を得る。図8を参照すると、クラウンセクション(400)は、基面(GP)から頂点高さ(AH)分、上に位置するクラウン頂点(410)を有する。頂点高さ(AH)、および、クラウン頂点(410)の位置は、なるべくフェース(200)に近い望ましい気流再付着を行い、クラウンセクション(400)への気流付着を向上させる上で重要な役割を果たす。図9および図10を参照すると、クラウンセクション(400)は、クラブヘッド(100)の空気力学上の性能を向上させる3つの別個の半径を有する。まず図9を参照すると、クラウンセクション(400)の、クラウン頂点(410)と前面(112)との間の部分の頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)は、3インチ未満になっている。この頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)は、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面で計測された値であり、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)は、さらにクラウン(400)上の、曲率半径が最小であるクラウン頂点(410)と前面(112)との間の点においても計測される。ある特定の実施形態では、フェースの上端部(a portion of a face top edge)(210)と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面断面の少なくとも50パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であるという特徴を有する。また別の実施形態では、フェースの上端部(a portion of a face top edge)(210)と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面断面の少なくとも90パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であるという特徴を有する。また別の実施形態では、フェースの上端部(a portion of a face top edge)(210)と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面断面の、フェース(200)の中心とフェース(200)上の最もトウ側の点との間の部分の少なくとも50パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であるという特徴を有する。また別の実施形態では、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面断面(フェースを上にしたときの端部(210)を通る)の、フェース(200)と最もトウ側のフェース(200)上の点との間の部分の少なくとも50パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であるという特徴を有する。
【0029】
フェース(200)の中心は、USGA「ゴルフクラブヘッドの可撓性を計測するプロシージャ」2005年3月25日、改定版2.0に従って定められており、これを参照としてここに組み込む。USGAプロシージャは、ゴルフクラブのフェースの試験対象となるインパクト位置を決定するプロセスを特定しており、ここではフェース中心とも称されている。USGAプロシージャでは、ゴルフクラブのフェースに配置したテンプレートを利用してフェース中心を決定している。
【0030】
第2に、クラウン頂点(410)と中空ボディ(110)の後面(114)との間のクラウンセクション(400)の部分においては、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が3.75インチ未満である。この頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)もまた、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面で計測された値であり、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)は、さらにクラウンセクション(400)上の、曲率半径が最小であるクラウン頂点(410)と後面(114)との間の点においても計測される。ある特定の実施形態では、フェースの上端部(a portion of a face top edge)(210)と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面断面の少なくとも50パーセントにおいて、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が3.75インチ未満であるという特徴を有する。また別の実施形態では、フェースの上端部(a portion of a face top edge)(210)と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面断面の少なくとも90パーセントにおいて、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が3.75インチ未満であるという特徴を有する。また別の実施形態では、フェースの上端部(a portion of a face top edge)(210)と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面断面の、フェース(200)の中心とフェース(200)上の最もトウ側の点との間の部分の100パーセントにおいて、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が3.75インチ未満であるという特徴を有する。
【0031】
最後に図10に示すように、クラウンセクション(400)の、シャフト軸(SA)が形成する垂直平面に平行な方向の、クラウン頂点(410)におけるヒールからトウにかけての曲率半径(Rh−t)は4インチ未満である。さらなる実施形態では、フェース(200)の最もヒール側の点と、フェース(200)の最もトウ側の点との間に位置するクラウンセクション(400)の少なくとも90パーセントで、シャフト軸(SA)が形成する垂直平面に平行な方向の、クラウン頂点(410)におけるヒールからトウにかけての曲率半径(Rh−t)が4インチ未満である。さらなる実施形態では、フェース(200)の最もヒール側の点と、フェース(200)の最もトウ側の点との間に位置するクラウンセクション(400)の少なくとも100パーセントが、シャフト軸(SA)が形成する垂直平面に平行な方向の、クラウン頂点(410)におけるヒールからトウにかけての曲率半径(Rh−t)が4インチ未満である。
【0032】
ここに記載する実施形態に示すような小さな曲率半径は、従来の高容量ゴルフクラブヘッド設計においては(特にFB寸法が4.4インチ以上の高容量ゴルフクラブヘッドの設計においては)避けられてきた。しかしこのように曲率半径を狭めることによって、なるべくフェース(200)に近い位置に気流を再付着させることのできるバルブ状のクラウンセクション(400)が形成されるので、空気抵抗を下げてクラブヘッドスピードを上げることができるようになる。
【0033】
従来の、FB寸法の大きな高容量MOIyゴルフクラブヘッド(例えば米国特許第544,939号明細書および米国特許第543,600号明細書に記載されているもの)は、クラウンセクションが比較的フラットであり、フェースを超えるものが少ない。これら設計は、一見空気を切ることができるように見えるが、実のところはこのような形状は気流再付着特性が乏しく、空気力学的抵抗が高い。クラブヘッド(100)は、フェース(200)に続くクラウンセクションに急速に気流を再付着させるような適切なクラブヘッド形状の重要性を認識して考案され、多くの先行技術によるFB寸法の大きなクラブヘッドのフラットで急勾配のクラウンセクションとは対照的なものとなっている。
【0034】
図10を参照すると、フェース(200)は、上端部(210)と下端部(220)とを有する。さらに図8および図9に示すように、上端部(210)は、基面(GP)から上の上端部(210)の高さである上端部高さ(TEH)を持つ。同様に、下端部(220)は、基面(GP)から上の下端部(220)の高さである下端部高さ(LEH)を持つ。上端部(210)沿いの最高点で、少なくとも2インチの最大上端部高さ(TEH)が生じる。同様に、下端部(220)沿いの最低点が最低下端部高さ(LEH)となる。
【0035】
クラブヘッド(100)の本実施形態の数多くの利点の1つは、ゴルフクラブヘッド(100)のクラウンセクション(400)の気流再付着をなるべくフェース(200)の近くで行うことができる頂点比が設計されることである。言い換えると、気流再付着が行われるとすぐに、空気力学性能が良好になり、空気抵抗が小さくなる。頂点比とは、頂点高さ(AH)の、最大上端部高さ(TEH)に対する比率のことである。前述したように、多くのFB寸法の大きなゴルフクラブヘッドの頂点高さ(AH)は、上端部高さ(TEH)以下である。本実施形態における頂点比は少なくとも1.13とすることで、気流再付着を即座に促進する。
【0036】
さらに、クラブヘッド(100)の本実施形態では、前面断面面積が11平方インチ未満である。前面断面面積は、ゴルフクラブヘッド(100)が基面(GP)に設計ライ角度で配置された場合に直接フェース(200)の前面から見た場合のゴルフクラブヘッド(100)の輪郭が規定する垂直平面で計測された単一平面領域である。前面断面面積は、図13のクロスハッチングされた領域で示されている。
【0037】
さらなる実施形態においては、図11を参照して前述したように、30度オフセットした空気抵抗である第2の空気抵抗が導入される。本実施形態では、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)が基面(GP)に設計された角度で置かれ、100mphの風を基面(GP)に対して平行に、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)のヒール(116)側からフェース(200)に垂直な垂直平面から30度ずらした方向からあてた場合、30度オフセットした正規化空気抵抗は1.3lbf未満である。フェースを下にした正規化空気抵抗を1.5lbf未満とすることに加えて、30度オフセットした正規化空気抵抗を1.3lbf未満とすることにより、大容量でありFB寸法が大きいゴルフクラブヘッドにまつわるクラブヘッドスピードの低下を抑えることができるようになる。
【0038】
また別の実施形態では、図12を参照して前述したヒール正規化空気抵抗と称される第3の空気抵抗を導入する。この特定の実施形態では、ボディ(110)が垂直シャフト軸(SA)を有するよう方向付けられた場合に水平方向の100mphの風をヒール(116)にあてた場合のヒール正規化空気抵抗は1.9lbfとなる。フェースを下にした正規化空気抵抗を1.5lbf未満として、30度オフセットした正規化空気抵抗を1.3lbf未満として、さらに、ヒール正規化空気抵抗を1.9lbf未満とすることにより、大容量でありFB寸法が大きいゴルフクラブヘッドにまつわるクラブヘッドスピードの低下をさらに抑えることができるようになる。
【0039】
また別の実施形態は、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)を、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)より少なくとも25%未満小さくすることにより、クラウンセクション(400)上への気流再付着および好適な気流付着をさらに促す特定の空気力学ゴルフクラブヘッド(100)が生成される、との認識から提供される。また別の実施形態では、さらに頂点高さ(AH)の最大上端部高さ(TEH)に対する頂点比を少なくとも1.2とすることで、迅速な気流再付着を迅速に行うことができるようになる。このコンセプトは、頂点高さ(AH)の最大上端部高さ(TEH)に対する頂点比を1.25とするまた別の実施形態で、さらに強化される。ここでも、これら大きな頂点比によって、気流の再付着をなるべくフェース(200)に近づけることのできるバルブ状のクラウンセクション(400)が形成されるので、空気抵抗を下げてクラブヘッドスピードを上げることができるようになる。
【0040】
頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)より小さく、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)がヒールからトウにかけての曲率半径(Rh−t)より小さいまた別の実施形態では、気流再付着による空気抵抗の低減、また逆に、気流分離の拡張長さの縮小が達成される。この形状は、従来の高容量且つFB寸法の長いゴルフクラブヘッドと反対であるが、依然として特定の空気力学的形状を成す。
【0041】
本実施形態を他の実施形態より優れたものとするには、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が2.85インチ未満であり、ヒールからトウにかけての曲率半径(Rh−t)が3.85インチである高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)とすれば、フェースを下にした空気抵抗が低減する。別の実施形態では、最大上端部高さ(TEH)を少なくとも2インチとすることによりフェース面積が許容レベルを下回らないようにすることで、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)のゴルフプレイにおける性能を考慮する。またさらに、別の実施形態では、最大上端部高さ(TEH)を少なくとも2.15インチとすることにより、さらにゴルファーが小さなストライクフェース(200)でゴルフクラブヘッド(100)を振っているわけではないという自信を持たせる。
【0042】
前述した実施形態は、さらに大きなFB寸法でも利用可能である。例えば、前述した空気力学特性は、前後寸法(FB)が少なくとも4.6インチである実施形態、またさらには、前後寸法(FB)が少なくとも4.75インチである実施形態に組み込むことができる。これらの実施形態によって、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、空気抵抗が過剰であることに起因してクラブヘッドスピードを落とすことなく、さらに高いMOIy値を得ることができる。
【0043】
また別の実施形態では、曲率半径の要件間のバランスをとることで、クラブヘッド容量の10%未満が最大上端部高さ(TEH)より高くなるようにすることでゴルフクラブヘッドの外見を自然にした高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)を得ることができる。別の実施形態では、本願における目的を、クラブヘッドの容量の5%から10%の間を最大上端部高さ(TEH)の上に設けることで達成する。この範囲とすることで、空気力学的に満足のゆくゴルフクラブヘッド(100)の概観を維持しつつ、望ましい空気抵抗を得るために望ましいクラウン頂点(410)および曲率半径が得られる。
【0044】
クラウン頂点(410)の位置は、ある程度、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)により定まるが、また別の実施形態では、クラウン頂点(410)をフェース(200)の一番前の点の後ろという、図9に示すクラウン頂点セットバック寸法(412)の距離(これはFB寸法の10%より大きくFB寸法の70%未満である)に位置させて、気流が分離する期間をさらに短くすることで、クラウンセクション(400)に所望の気流を生じさせることができる。この範囲の特定の実施形態では、クラウン頂点セットバック寸法(412)を1.75インチ未満とする。また別の実施形態では、重心(CG)を形成する性能質量(performance mass)をフェース(200)の一番前の点からクラウン頂点セットバック寸法(412)よりも離れた位置とすることで、このクラブヘッド(100)に固有の、フェース(200)に向かう容量シフトとゴルフプレイ面の性能との間のバランスをとる。
【0045】
加えて、クラウン頂点(410)のヒールからトウにかけての位置も、空気抵抗に対して大きな役割を果たす。ヒールからトウにかけての方向におけるクラウン頂点(410)の位置は、図8に示すクラウン頂点ht寸法(414)が示している。この図は、さらに、USGA規則に則って計測されたヒールからトウにかけての(HT)寸法も示している。クラウン頂点(410)の位置は、ある程度、ヒールからトウにかけての曲率半径(Rh−t)によりにより定まるが、また別の実施形態では、クラウン頂点(410)の位置を、HT寸法の30%より大きくHT寸法の70%より小さい範囲のクラウン頂点ht寸法(414)となるようにすることで、気流が分離する期間をさらに短くすることができる。また別の実施形態では、クラウン頂点(410)を重心(CG)およびトウ(118)の間で、ヒールからトウにかけての方向に設定する。
【0046】
高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、少なくとも400ccの容量を有する。さらなる実施形態では、上述した実施形態の様々な特徴を含み、クラブヘッド容量を少なくとも440ccに、ひいては現在のUSGAの定める限界である460ccにまで増加させることができる。しかし当業者であれば、空気抵抗のここで示した半径がこれらクラブヘッドサイズへの適用に限定されるわけではなく、より大きなクラブヘッド容量に対しても適用可能であることを理解するであろう。同様に、図8に示すクラブヘッド(100)のヒールからトウにかけての(HT)寸法は、USGA規則に従って計測したFB寸法より大きい。
【0047】
当業者であれば、中空ボディ(110)が重心(CG)を有することを理解する。重心(CG)の位置は、図8に示す原点を参照して説明される。原点とは、シャフト軸(SA)が水平基面(GP)と交わる点のことである。中空ボディ(110)は、シャフト軸(SA)を定義する中心を有するボアを有する。ボアは、従来のホーゼルを有するクラブヘッド、および、ホーゼルのないクラブヘッドの両方に存在する。重心(CG)は、図8が示すように、原点から基面(GP)に直交する方向に、クラウンセクション(400)に向かう垂直方向へと距離Ycg離れて配置される。さらに重心(CG)は、シャフト軸(SA)が定義する垂直平面に平行且つ基面(GP)に平行に、原点からトウ(118)に向かって水平方向に距離Xcg離れた方向にある。最後に、重心(CG)は、図14に示すように、原点からYcgの計測に利用された垂直方向に対して直交する方向であってXcgの計測に利用された水平方向に対して直交する方向に、原点から後面(114)に距離Zcg離れた位置にある。
【0048】
図14から図25に示すような他の実施形態では、図18、19、および22に示す最大上端部平面(MTEP)から高い位置にあるクラウンセクション(400)の表面上にある、頂点をポストにした付着促進領域を含み、この頂点をポストにした付着促進領域(420)は、クラウン頂点(410)からクラブヘッド(100)の後面(114)にかけての部分に相当する。この頂点をポストにした付着促進領域(420)を設けることにより、図14から図25に示すような頂点を超えた付着促進領域(100)を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドが実現される。頂点をポストにした付着促進領域(420)は、クラウン頂点(410)の背後であり、最大上端部平面(MTEP)より上のクラウンセクション(400)の比較的フラットな部分であり、クラウン頂点(410)を流れて過ぎた後も気流をクラブヘッド(100)に付着させ続ける効果を持つ。
【0049】
先の実施形態で説明したように、頂点をポストにした付着促進領域(420)を含む実施形態における最大上端部高さ(TEH)は少なくとも2インチであり、頂点高さ(AH)の、最大上端部高さ(TEH)に対する頂点比は少なくとも1.13である。図14に示すように、クラウン頂点(410)はシャフト軸(SA)が定義する垂直平面に対して平行且つ基面(GP)に対して平行に、原点からトウ(118)に向かってクラウン頂点のx寸法(416)分、離れた位置にある。
【0050】
この特定の実施形態では、クラウンセクション(400)に含まれる頂点をポストにした付着促進領域(420)がクラウンセクション(400)の表面の上にある。前述した実施形態のうちの多くのクラウンセクション(400)の特徴は、クラウン頂点(410)とフェース(200)との間に位置することで、クラブヘッドに対する気流付着を促進し、これにより空気抵抗を低減させていた。頂点をポストにした付着促進領域(420)もまた、クラウンセクション(400)を通り過ぎた気流をクラブヘッド(100)に付着させ続ける効果を持つことで空気抵抗を低減する目的を持つが、頂点をポストにした付着促進領域(420)は、クラウン頂点(410)とクラブヘッド(100)の後面(114)に設けられ、以前として最大上端部高さ(TEH)の上にあり、従って、最大上端部平面(MTEP)の上にある。
【0051】
従来の高容量且つMOIyが高くFB寸法の大きなゴルフクラブヘッドのクラウンセクションに、フェースを超えるものは殆どない。さらにはこれらの従来のクラブのクラウンセクションは、ソールセクションにかけての傾斜が非常に急勾配になっていることが多い。これら設計は、一見空気を切ることができるように見えるが、実のところはこのような形状は気流再付着特性が乏しく、空気力学的抵抗が高い。一方クラブヘッド(100)は、頂点比によってフェース(200)に続くクラウンセクション(400)に急速に気流を再付着させ、頂点比および頂点をポストにした付着促進領域(420)によってクラウン頂点(410)の背後でクラブヘッド(100)に気流を付着させ続けることのできるような適切なクラブヘッド形状の重要性を認識して考案されている。
【0052】
図14から、頂点をポストにした付着促進領域(420)は、クラウンセクション(400)の表面に沿ってシャフト軸(SA)が定義する垂直平面に対して直交する方向に計測した付着促進領域の長さ(422)を持つことが分かる。付着促進領域の長さ(422)は、クラウン頂点セットバック寸法(412)の少なくとも50パーセントの大きさである。頂点をポストにした付着促進領域(420)は、さらに、クラウンセクション(400)の表面に沿ってシャフト軸(SA)が定義する垂直平面に対して平行な方向に計測した付着促進領域の幅(424)を持つ。付着促進領域の幅(424)は、クラウン頂点のx寸法(416)と距離Xcgとの間の差異に少なくとも等しい大きさである。付着促進領域の長さ(422)とクラウン頂点セットバック寸法(412)との間の関係は、クラウン頂点(410)を過ぎてから気流がクラブヘッド(100)から自然に離れようとする摂理を認識したものとなっている。同様に、付着促進領域の幅(424)の、クラウン頂点のx寸法(416)と距離Xcgとの間の差異との間の関係は、フェース(200)から後面(114)へ直接向かう方向以外の方向における、クラウン頂点(410)を過ぎてから気流がクラブヘッド(100)から自然に離れようとする摂理を認識したものとなっている。請求される長さ(422)と幅(424)とを持つ頂点をポストにした付着促進領域(420)を含むことにより、最大上端部平面(MTEP)の上であってクラウン頂点(410)より下のクラブヘッド(100)の部分が生じる。過去においては多くのゴルフクラブヘッドのこの最大上端部平面(MTEP)より上に飛び出るクラブヘッド(100)の量を最小限に抑えよう、または、なくそうと試みてきた。
【0053】
例示した頂点をポストにした付着促進領域(420)は、長さ(422)および幅(424)の両方を有しているが、頂点をポストにした付着促進領域(420)が矩形である必要はない。例えば図16は、頂点をポストにした付着促進領域(420)が楕円であり、長さ(422)および幅(424)が、それぞれ主軸および短軸としてみなされる場合を示す。この頂点をポストにした付着促進領域(420)は、三角形(等辺三角形、不等辺三角形、二等辺三角形、直角三角形、鋭角三角形、鈍角三角形等)、四辺形(台形、平行四辺形、矩形、正方形、ひし形、カイト(kite)等)、多角形、円、楕円、および長円等の、任意の多角形または曲線形のオブジェクトの形状であってよい。頂点をポストにした付着促進領域(420)は、請求された属性を有するクラウンセクション(400)の表面上の領域のことを単に意味しており、当業者であれば、これがクラウンセクション(400)の残りのものと融合して裸眼では見分けがつかない場合もあることを理解する。
【0054】
クラウン頂点(420)の前に空気力学特性を有する前述した実施形態同様に、頂点をポストにした付着促進領域(420)がクラウン頂点(410)の背後に位置する本実施形態においても、既に詳述したように、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、設計されたように方向付けられ、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)の前面(112)に対して、100mphの風を基面(GP)に平行にあてた場合に、フェースを下にした場合の正規化空気抵抗が1.5lbf未満であるという特徴を有する。
【0055】
さらなる実施形態においては、図11を参照して前述したように、30度オフセットした空気抵抗である第2の空気抵抗が導入される。本実施形態では、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)が基面(GP)に設計された方位にあり、100mphの風を基面(GP)に対して平行に、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)のヒール(116)側からフェース(200)に垂直な垂直平面から30度ずらした方向からあてた場合、30度オフセットした正規化空気抵抗は1.3lbf未満である。フェースを下にした正規化空気抵抗を1.5lbf未満とすることに加えて、30度オフセットした正規化空気抵抗を1.3lbf未満とすることにより、大容量でありFB寸法が大きいゴルフクラブヘッドにまつわるクラブヘッドスピードの低下をさらに抑えることができるようになる。
【0056】
また別の実施形態では、図12を参照して前述したヒール正規化空気抵抗と称される第3の空気抵抗を導入する。この特定の実施形態では、ボディ(110)が垂直シャフト軸(SA)を有するよう方向付けられた場合に水平方向の100mphの風をヒール(116)にあてた場合のヒール正規化空気抵抗は1.9lbfとなる。フェースを下にした正規化空気抵抗を1.5lbf未満して、30度オフセットした正規化空気抵抗を1.3lbf未満として、さらに、ヒール正規化空気抵抗を1.9lbf未満とすることにより、大容量でありFB寸法が大きいゴルフクラブヘッドにまつわるクラブヘッドスピードの低下をさらに抑えることができるようになる。
【0057】
頂点をポストにした付着促進領域(420)を含まない実施形態でも、頂点高さ(AH)の最大上端部高さ(TEH)に対する頂点比を比較的大きくすることで、頂点を超えた付着促進領域(420)を含む実施形態と同様の利点を生じることができる。頂点をポストにした付着促進領域(420)が最大上端部平面(MTEP)より上にある、という定義においては、頂点比が1未満である場合には、頂点を超えた付着促進領域が存在しないと解釈される。一方、頂点比が少なくとも1.13であるという場合には、クラウン頂点(410)の高さによって、頂点を超えた付着促進領域(420)を含むことで空気抵抗を低減させることができる。また別の実施形態では、頂点比を少なくとも1.2とすることで、頂点をポストにした付着促進領域(420)に適切な、最大上端部高さ(TEH)の上にあるクラウンセクション(400)における利用可能な面積を増やすことができて、クラウン頂点(410)の背後への気流の付着を促進することができる。クラウン頂点(410)の背後にあり、且つ最大上端部高さ(TEH)の上にあるクラウンセクション(400)の量を増やすことにより、且つ、頂点をポストにした付着促進領域(420)に請求された属性を持たせることにより、クラウン頂点(410)を流れて過ぎた後でも気流をクラブヘッド(100)に付着させ続けることができ、空気抵抗を低減させることができる。
【0058】
図14から図17を参照すると、多くの実施形態のうちの一実施形態では、付着促進領域の長さ(422)が、クラウン頂点セットバック寸法(412)の75パーセントの大きさに少なくとも等しい。付着促進領域の長さ(422)がクラウン頂点セットバック寸法(412)に応じて増加するにつれて、クラウン頂点(410)の背後で分離する気流の量が低下する。さらに、付着促進領域の長さ(422)がクラウン頂点セットバック寸法(412)に応じて増加するにつれて、クラブヘッド(100)の形状が、最大上端部平面(MTEP)より上のクラウンセクション(400)の量の設定に一部基づいて定義されるようになり、クラウン頂点(410)の背後の領域においてクラウンセクション(400)がクラウン頂点(410)からずれるようになる。従ってクラウン頂点(410)の背後のクラウンセクションの少なくとも一部は比較的フラットにする、あるいは、頂点平面(AP)から20度未満ずらして、クラウン頂点(410)の背後の気流の分離量を低減させる必要がある(図22参照)。
【0059】
図15に示すさらなる実施形態では、頂点促進領域の幅(424)は、クラウン頂点のx寸法(416)と距離Xcgとの間の差異の少なくとも2倍である。頂点促進領域の幅(424)が増加するにつれて、クラウン頂点(410)の上から来る気流に頂点をポストにした付着促進領域(420)がより多く曝されることになり、さらにクラウン頂点(410)の背後のクラブヘッド(100)への気流の付着が促進され、空気抵抗が低減される。
【0060】
また別の実施形態では、頂点をポストにした付着促進領域(420)のサイズのみに着目するのではなく、その位置にも着目する。頂点をポストにした付着促進領域(420)の配置のさらなる特徴となる新たな寸法を定義すると有利である。より詳しくは、図17に示すように、中空ボディ(110)が、シャフト軸(SA)が定義する垂直平面に平行且つ基面(GP)に平行な方向に、クラウン頂点(410)から中空ボディ(110)の最もトウ側の点までを計測したクラウン頂点からトウまでの寸法(418)を有する。本実施形態は、クラウン頂点(410)とトウ(118)との間の、頂点をポストにした付着促進領域(420)を含むクラウンセクション(400)の主要な部分を有することの意義を認識して提供される。従って本実施形態では、頂点をポストにした付着促進領域の幅(424)は、クラウン頂点からトウまでの寸法(418)の少なくとも50パーセントである。さらなる実施形態では、クラウン頂点からトウまでの寸法(418)の少なくとも50パーセントは、頂点をポストにした付着促進領域(420)の一部を含む。一般的には、前述したクラブヘッド(100)のホーゼルにまつわる乱気流の問題のために、クラウン頂点(410)からヒール(116)までの領域と比べると、クラウン頂点(410)からトウ(118)までの領域におけるクラウン頂点(410)の背後のクラウンセクション(400)上のクラブヘッドへの気流の付着を促進させ易くなる。
【0061】
別の実施形態では、頂点をポストにした付着促進領域(420)を、図18に示すように、クラブヘッド容量の少なくとも7.5パーセントを、最大上端部平面(MTEP)の上に有することにより構築する。このような容量を最大上端部平面(MTEP)の上に設けることにより、最大上端部高さ(TEH)の上のクラブヘッド(100)の表面積が増え、これにより、頂点をポストにした付着促進領域(420)を促進し、クラウン頂点(410)とクラブヘッドの後面(114)との間の気流の分離が低減される。図19に示す別の実施形態では、この関係を、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に直交する方向におけるフェース(200)の中心における中空ボディ(110)の垂直断面により特徴付けられるクラブヘッド(100)の設計を含むことにより構築し、これは最大上端部平面(MTEP)の上に位置する断面面積の少なくとも7.5パーセントを有する。
【0062】
前述したように、頂点をポストにした付着促進領域(420)を促進するには、クラウンセクション(400)の少なくとも一部が比較的フラットであり、クラウン頂点(410)から基面(GP)にかけての部分に急勾配がついていないことが必要となる。図20に示す一実施形態では、頂点をポストにした付着促進領域(420)の一部の頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が5インチ以上の値となっている。また別の実施形態では、頂点をポストにした付着促進領域(420)の一部の頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)は、フェース(200)のバルジおよびロール両方よりも大きくなっている。またさらなる実施形態の頂点をポストにした付着促進領域(420)の一部の頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)は20インチより大きい。最大上端部平面(MTEP)の上にある、頂点をポストにした付着促進領域(420)のこれらの比較的フラットな部分により、クラウン頂点(410)の背後のクラブヘッド(100)への気流の付着が促進される。
【0063】
さらなる実施形態の頂点をポストにした付着促進領域(420)は、頂点をポストにした付着促進領域(420)を通るシャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な、フェース(200)からクラブヘッド(100)の後面(114)への断面の大半における頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が5インチを超えている。特定の実施形態では、頂点をポストにした付着促進領域(420)を通るシャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面の断面の少なくとも75パーセントの頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が、頂点をポストにした付着促進領域(420)内で5インチを超えることに特徴付けられ、これにより、クラウン頂点(410)とクラブヘッド(100)の後面(114)との間の気流の付着がさらに促進される。
【0064】
別の実施形態では、クラウン頂点(410)の正面、および、クラウン頂点(410)の背後の両方で、気流の付着が促進される。図20の本実施形態においては、前述した、頂点をポストにした付着促進領域(420)を通るシャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面の断面の頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)は3インチ未満であり、頂点をポストにした付着促進領域(420)を通るシャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面の断面の少なくとも50パーセントの頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)の少なくとも50%未満の値であるという特徴を有する。この、クラウン頂点(410)からフェース(200)にかけて非常に湾曲したクラウンセクション(400)、および、クラウン頂点(410)から後面(114)にかけて比較的フラットなクラウンセクション(400)は、両方とも、最大上端部平面(MTEP)の上に位置し、クラウンセクション(400)の上への気流の付着を促進し、空気抵抗を低減させる。また別の実施形態では、この関係により、前述したシャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面の断面の割合を、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面の断面の少なくとも75パーセントに増やすことで、さらにクラブヘッド(100)のクラウンセクション(400)の上への気流の付着を促進する。
【0065】
請求されているクラウンセクション(400)の属性により、クラウンセクション(400)はソールセクション(300)から離れた位置に維持される傾向にある。図21および図22に示す一実施形態には、クラウンセクション(400)の一部をソールセクション(300)に繋ぐスカート部(500)が含まれる。スカート部(500)は、プロファイル領域角(552)が少なくとも45度であるようなクラウン頂点(410)を起点とするプロファイル領域角(552)内に窪んだスカートプロファイル(550)を含む。図21を参照すると、湾曲したスカートプロファイル(550)により、スカートからソールへの遷移領域(510)が形成されており(「SSTR」とも称される)、スカートからソールへの遷移領域(510)は、基面(GP)から、最も後ろ側のSSTR点の高さ(513)の位置にある最も後ろ側のSSTR点(512)を有する。同様に、スカートからクラウンへの遷移領域(520)(「SSCR」とも称される)が、クラウンセクション(400)への繋ぎ目に位置し、スカートからクラウンへの遷移領域(520)は、基面(GP)から、最も後ろ側のSCTR点の高さ(523)の位置にある最も後ろ側のSCTR点(522)を有する。
【0066】
この特定の実施形態では、最も後ろ側のSSTR点(512)、および、最も後ろ側のSCTR点(522)は、互いに垂直方向に位置が対応している必要はないが、両方とも図25のプロファイル領域角(552)内に位置する。図21を参照すると、最も後ろ側のSSTR点(512)、および、最も後ろ側のSCTR点(522)は、頂点高さ(AH)の少なくとも30パーセントである垂直分離距離(530)により垂直方向に分離されており、図23に示すヒールからトウへの水平分離距離(545)によりヒールからトウへの方向に水平方向に分離されており、さらには、図22に示す前後の水平分離距離(540)により前後の水平方向に分離されている。スカート(500)のこれらの部材間の関係の組み合わせによって、クラウンセクション(400)の後面の位置および高さが構築されるので、クラウン頂点(410)からクラブヘッド(100)の後面(114)までのクラウンセクション(400)のプロファイルが促進され、これにより、さらに気流の付着が促進される。さらに、最も後ろ側のSCTR点の高さ(523)の少なくとも25パーセントである最も後ろ側のSSTR点の高さ(513)を含む別の実施形態では、ソールセクション(300)上に気流の付着を促進するソールセクション(300)の曲率が定義される。
【0067】
さらなる実施形態では、図23に最もよく示されているように、最も後ろ側のSCTR点(522)は、クラウン頂点(410)と垂直方向に実質的に位置合わせがされており、クラウンセクション(400)の上の、クラウン頂点(410)を通る垂直断面沿いに、最長の気流の経路が形成されており、クラウンセクション(400)の設計における気流の付着特性を最大化している。別の変形例は、クラウン頂点のx寸法(416)と距離Xcgとの間の差異に相当する値に少なくとも等しい大きさのヒールからトウへの水平分離距離(545)を含む。さらなる実施形態の前後の水平分離距離(540)は、頂点高さ(AH)と最大上端部高さ(TEH)との間の差異の少なくとも30パーセントである。これらのさらなる関係によって、頂点をポストにした付着促進領域(420)の上を通る気流を有する他の気流経路の干渉を低減することにより、クラブヘッド(100)への気流の付着がさらに促進される。
【0068】
この原理をさらに利用する別の実施形態では、最も後ろ側のSSTR点(512)が重心のヒール(116)側に位置し、最も後ろ側のSCTR点(522)が重心のトウ(118)側に位置している(図23参照)。また別の実施形態では、最も後ろ側のSSTR点(512)、および、最も後ろ側のSCTR点(522)が両方とも、重心のトウ(118)側に位置しているが、頂点高さ(AH)と最大上端部高さ(TEH)との間の差異に少なくとも等しい値のヒールからトウへの水平分離距離によりオフセットされている。
【0069】
前述した、クラウンセクション(400)に関する空気力学特性の全てが、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)のソールセクション(300)に同様に適用可能である。言い換えると、当業者であれば、クラウンセクション(400)がクラウン頂点(410)を有するように、ソールセクション(300)もソール頂点を有しうることを理解するであろう。同様に、クラウンセクション(400)が3つの半径を有するように、ソールセクション(300)にも3つの半径があってよい。従って、クラウンセクション(400)に関して記載した全ての実施形態を、ソールセクション(300)に関する参照としても組み込むこととする。
【0070】
ゴルフクラブヘッド(100)の様々な部分は、請求されているクラブヘッド(100)の範囲を逸脱することなく、任意の適切な、または所望の材料(当技術分野で知られており利用されている従来の金属および非金属材料(ステンレス鋼を含む鋼、チタン合金、マグネシウム合金、アルミニウム合金、炭素繊維複合材、ガラス繊維複合材、炭素プレプレグ材料、ポリマー材料等))から形成することができる。クラブヘッド(100)の様々なセクションは、請求されているクラブヘッド(100)の範囲を逸脱することなく、当技術分野で知られており利用されている方法(鋳造法、鍛造法、成型法(射出成型法またはブロー成型法)等)で生成することができる。様々なセクションは、任意の適切または所望の方法(当技術分野で知られており利用されている機械的コネクタ、接着剤、セメント、溶接法、ろう付け、はんだ付け、接合、その他の公知の材料接合技術を含む)で単一構造に統合することができる。さらに、ゴルフクラブヘッド(100)の様々なセクションは、1以上の個々の部材から構成することができ、オプションとしてこれら部材は、請求されているクラブヘッド(100)の範囲を逸脱することなく、異なる密度の異なる材料から形成することができる。
【0071】
当業者であれば、ここに開示した好適な実施形態の変形例、変更例、および修正例を想到し、これら全てを本クラブヘッドの精神および範囲に含むものとして予期可能であったものとしてみなす。例えば、特定の実施形態について詳述してきたが、当業者であれば前述の実施形態および変形例に修正を加えて、様々な種類の置き換えを行ったり、さらなる、または代替的な材料を加えたりすることが可能であり、あるいは、部材の相互配置関係および寸法上の構成を変えたりすることが可能であることに想到するであろう。従って、本クラブヘッドの数少ない変形例のみが本明細書には記載されているが、これら変形例および変更例および均等物の実施についても、以下の請求項で定義されるクラブヘッドの精神および範囲内に含まれることを理解されたい。以下の請求項における全てのミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションに対応する構造、材料、動作、および均等物は、他の請求されている部材との組み合わせにおいて機能を達成する構造、材料、または動作を、特に請求されているものとして含むことが意図される。
[産業上の利用可能性]
【0072】
慣性モーメントの高いゴルフクラブを生成しようというゴルフ産業界の競争においては、クラブの空気力学が往々にして無視されてきた。現状の慣性モーメントの高いゴルフクラブ設計では、前後寸法が高いので、クラブヘッドスピードが遅い。高容量空気力学ゴルフクラブヘッドは、気流の再付着をなるべくフェースに近づけることができ好適であり、気流がクラウン頂点を越えてからのクラブヘッドへの付着を維持することができる。この設計により、空気抵抗が低減される。この抵抗の低減により、クラブヘッドスピードが上がり、結果として、長いゴルフショットを達成することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明はスポーツ機器に係り、特に高容量空気力学ゴルフクラブヘッドに係る。
[関連出願]
【0002】
本願は、米国仮特許出願第61/101,919号および第61/080,892号(出願日:2008年10月1日、2008年7月15日)の恩恵をそれぞれ主張する、米国非仮特許出願第12/367,839号(出願日:2009年2月9日)の恩恵を主張する米国仮特許出願第12/409,998号(出願日:2009年3月24日)の恩恵を主張しており、これらの内容全体を参照としてここに組み込む。
[連邦政府後援の研究又は開発に関する記述]
【0003】
本発明は、連邦政府の支援を受けてなされた研究または開発プロジェクトの一部ではない。
【背景技術】
【0004】
現代の高容量ゴルフクラブヘッド(通称ドライバ)では、ゴルフクラブヘッドの空気力学に注意が払われた設計がなされていない。これは、過去のゴルフクラブヘッドの研究において、クラブヘッドの空気力学がゴルフクラブの性能に僅かな影響しか与えないという結果が導き出されたことに起因するところが大きい。
【0005】
殆どの今日のドライバのクラブヘッドの容量は、10年前に最も先進であったクラブヘッドの容量の倍である。実際のところ、現代のドライバの殆ど全てが少なくとも400ccのクラブヘッド容量を有しており、主要なものは現在USGAが定める限界である460ccぎりぎりの容量を有している。しかし依然として、ゴルフクラブ設計業者は、これら大型のゴルフクラブの空気力学に注意を向けておらず、専らオフセンターショットの際のクラブヘッドの捻りに対する耐性を増加させることのみに注力しているようである。
【0006】
現代の、より捻り耐性のあるゴルフクラブヘッド(つまり、より大きな慣性モーメントを有するクラブヘッド)を設計しようという競争により、クラブヘッドは非常に長い前後寸法比を有するに至っている。FB寸法とも称されるゴルフクラブヘッドの前後寸法は、クラブフェースの前縁からクラブヘッドの後縁までの寸法として計測される。目下のところUSGAはクラブヘッド容量の限界に加えて前後寸法(FB)を5インチ、および、クラブヘッドの重心(CG)を通る垂直軸の周りの慣性モーメント(MOLyと称される)を5900g*cm2と定めている。力学の入門クラスを修めた程度の当業者であれば、ここでCGと称される「重心」の意味を理解する。中空である、および/または、不均一な密度であることの多い木製のゴルフクラブに関しては、往々にしてクラブヘッドの全ての均衡点の交点がCGであると考えられている。つまり、ヘッドのフェースで均衡をとり、次にソールで均衡をとると、これら均衡点を通る2つの仮想線によりCGと称される点が定義される、ということである。
【0007】
つい最近まで、大半のドライバには通常「定型(traditional shape)」と称される460ccクラブヘッド容量のものがあった。これら大容量の定型ドライバの前後寸法(FB)は約4.0インチから4.3インチであり、MOIyはおよそ4000−4600g*cm2を達成していた。ゴルフクラブ設計業者がMOIyをなるべく上げようと努力するにつれ、ドライバのFB寸法は、4.3インチから5.0インチの範囲へと上昇し始めた。図1のグラフは、83個の異なるクラブヘッド設計のFB寸法とMOIyとを示したものであり、高いMOIy値が大きなFBの値に相関性を持っていることがよく表されている。
【0008】
FB寸法を大きくすることでより高いMOIy値を達成しようとする試みは論理的ではあるが、FB寸法の大きなクラブには大きな欠点も確認されている。大きな欠点の1つは、クラブヘッドスピードが顕著に落ちることであり、これは多くの産業関係者が見過ごしている。図2のグラフは、FB寸法が3.6インチを超えるドライバを利用したプレーヤの試験データを示す。本グラフは、FB寸法が4.4インチ未満のドライバのクラブヘッドスピードと比べると、FB寸法の大きなドライバのクラブヘッドスピードが顕著に劣っていることを示している。FB寸法が3.8インチ未満のドライバをスイングしたときのクラブヘッドスピードは104.6mphであり、FB寸法が4.8インチを僅かに下回るドライバをスイングしたときのスイングスピードは101.5mphであり、3%を超える低下が見られた。
【0009】
このクラブヘッドスピードの顕著な低下は、FB寸法の大きなゴルフクラブヘッドの空気抵抗が上昇した結果である。風洞テストを広範に行って得たデータは、複数の重要な方位で計測したクラブヘッドのFB寸法および空気抵抗の間の相関性が強いことを示している。まず、「気流−90度」という気流矢印で示す方位1が図11に示されており、図面のグラフでは「ライ90度の方位」として称される。この方位は、シャフト軸(SA)がクラブヘッド設計におけるライ角にある状態で、クラブヘッドが基面(GP)にある状態とみなすことができる(図8参照)。そして100mphの風が基面(GP)に平行に、直接クラブフェース(200)にあてられている(図11の「気流−90度」という気流矢印参照)。
【0010】
第2に、「気流−60度」という気流矢印で示す方位2が図11に示されており、図面のグラフでは「ライ60度の方位」として称される。この方位は、シャフト軸(SA)がクラブヘッド設計におけるライ角にある状態で、クラブヘッドが基面(GP)にある状態とみなすことができる(図8参照)。そして100mphの風を、クラブヘッドのヒール(116)側から、フェース(200)に対する垂直平面に対して30度傾けてあてている(図11の「気流−60度」という気流矢印参照)。
【0011】
第3に、「気流−垂直−0度」という気流矢印で示す方位3が図12に示されており、図面のグラフでは「垂直0度の方位」として称される。この方位では、クラブヘッドがシャフト軸(SA)と垂直方向に逆さまに方向付けられており、水平方向の100mphの風をヒール(116)へと方向付けている(図12の「気流−垂直−0度」という気流矢印参照)。従って、クラブヘッドを図12に示すように配置した状態で、ヒール(116)からトウ(118)へと、図11に示すシャフト軸(SA)が形成する垂直面に平行に気流があてられている。
【0012】
方位1(図11に示す気流矢印「気流−90度」で示す方位)の参照に戻る。6つの異なるクラブヘッドについて収集された正規化空気抵抗データを図5のグラフに示す。なお、ここで言及する空気抵抗の全てが、そうではないと明記しない限りにおいて、120mphの気流速度に正規化された空気抵抗であるということを理解されたい。従って、図示されている空気抵抗値は、示されている気流速度における抵抗の実際の計測値を、基準速度(120mph)の二乗で乗算して、実際の気流速度の二乗で除算した値である。従って、図5に示す正規化空気抵抗は、指定された方位で100mphの風に曝した場合の抵抗の実際の計測値を、基準速度(120mph)の二乗で乗算して、実際の気流速度(100mph)の二乗で除算した値である。
【0013】
さらに図5の参照を続けると、正規化空気抵抗データは、FB寸法が3.8インチという短いクラブヘッドにおける1.2lbfを最低、および、FB寸法が略4.8インチのクラブヘッドにおける2.65lbfを最高として、非線形に増加している。正規化空気抵抗の増加は、FB寸法が1インチに僅かに足りない程度増加するにつれて、120%を超える割合で増加していることが分かり、これは前述したクラブヘッドスピードの顕著な低下に寄与する。
【0014】
方位2(図11に示す気流矢印「気流−60度」で示す方位)においても略同じような結果が導き出される。6つの異なるクラブヘッドについて収集された正規化空気抵抗データを図4のグラフに示す。正規化空気抵抗データは、FB寸法が3.8インチという短いクラブヘッドにおける約1.1lbfを最低、および、FB寸法が略4.8インチのクラブヘッドにおける約1.9lbfを最高として、非線形に増加している。正規化空気抵抗の増加は、FB寸法が1インチに僅かに足りない程度増加するにつれて、73%を超える割合で増加していることが分かり、これもまた、前述したクラブヘッドスピードの顕著な低下に寄与する。
【0015】
またさらに方位3(図12に示す気流矢印「気流−垂直−0度」で示す方位)においても略同じような結果が導き出される。複数の異なるクラブヘッドについて収集された正規化空気抵抗データを図3のグラフに示す。正規化空気抵抗データは、FB寸法が3.8インチという短いクラブヘッドにおける約1.15lbfを最低、および、FB寸法が略4.8インチのクラブヘッドにおける約2.05lbfを最高として、非線形に増加している。正規化空気抵抗の増加は、FB寸法が1インチに僅かに足りない程度増加するにつれて、78%を超える割合で増加していることが分かり、これもまた、前述したクラブヘッドスピードの顕著な低下に寄与する。
【0016】
さらに図6のグラフは、図2のクラブヘッドスピードのプレーヤの試験データを、図3、図4、または図5の各クラブヘッドの正規化空気抵抗の最大値と相関付ける。図6によると、正規化空気抵抗の最大値が1.2lfbと、小さいときのクラブヘッドスピード104.6mphから、正規化空気抵抗の最大値が2.65lfbのときのクラブヘッドスピード101.5mphにまで下がることが分かる。
【0017】
上述したクラブヘッドスピードの低下は、ゴルフボールがクラブフェースに当たってから飛ぶスピード、ひいては、ゴルフボールの飛距離にも大きな影響を与える。実際のところ約100mphのクラブヘッドスピードでは、クラブヘッドスピードが1mph下がる毎に、飛距離はおよそ1%も短くなる。現状のゴルフクラブヘッドについてはこれらの相関関係が分かっており、FB寸法の値が大きなクラブにおけるクラブヘッドスピードの低下の理由、および、ゴルフクラブヘッドの空気抵抗を下げる幾つかの方法が分かっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
請求される空気力学ゴルフクラブヘッドは、FB寸法の値の大きなドライバの空気力学上の性能の悪さの原因が単にFB寸法の大きさだけはなく、むしろFB寸法の大きなドライバで、MOIy値を上げ、重心(CG)の寸法を下げようとするあまり、ゴルフクラブ設計業者が空気力学上非常に形の悪いクラブを一般的に生成してきたことにある、という認識に基づいて得られた。顕著な問題の幾つかとしては、ボディの表面がフラットである点、フェースに続くクラウン領域に気流が再付着(reattachment)することを考慮にいれるような適切な形状ではない点、クラウンの最高点を過ぎてから気流の付着を促進するような適切な形状ではない点、後縁部の設計が適切でない点等が挙げられる。加えて、現状のFB寸法の大きなドライバ設計においては、空気抵抗を上げてしまうゴルフクラブヘッドの前面断面面積が無視されていたり、むしろこれを最大化しようとしたりするように見受けられるものもある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願の空気力学ゴルフクラブヘッドは、これら課題を解決でき、FB寸法が比較的大きいため慣性モーメントの値が良好であり、且つ、他の大容量でFB寸法が大きくMOIの高いゴルフクラブヘッドからは予想だにしなかった優れた空気力学特性を備える高容量空気力学ゴルフクラブヘッドを提供する。本ゴルフクラブヘッドは、固有のクラブヘッド形状を採用して、クラウン頂点を過ぎてからクラブヘッドに気流を保持する目的で頂点をポストにした付着促進領域(post apex attachment promotion region)を含む。
【0020】
一実施形態のクラブヘッドでは、クラウン頂点とクラブヘッドの前面との間の部分を含むクラウンセクションの頂点から前面にかけての曲率半径が3インチ未満である。同様に、クラウン頂点とクラブヘッドの後面との間のクラウンセクションの部分における頂点から後面にかけての曲率半径が3.75インチ未満である。またクラウンセクションの一部における、シャフト軸が形成する垂直平面に対して平行な方向のクラウン頂点におけるヒールからトウにかけての曲率半径が4インチ未満である。このような小さな曲率半径は、従来の高容量ゴルフクラブヘッド設計においては(特にFB寸法が4.4インチ以上の高容量ゴルフクラブヘッドの設計においては)避けられてきた。しかしこのように曲率半径を狭めることによって、なるべくクラブヘッドフェースに近い位置に気流を再付着させることのできるバルブ状のクラウンセクションが形成されるので、空気抵抗を下げてクラブヘッドスピードを上げることができるようになる。
【0021】
別の実施形態のクラブヘッドのクラウンセクションの頂点をポストにした付着促進領域は、クラウン頂点にあり、クラブヘッドの後ろ側に延びている。頂点をポストにした付着促進領域は、クラウン頂点の下のクラウンセクションの比較的フラットな部分であり、且つ、クラブヘッドのフェースの最大高さを越える部分である。この、頂点をポストにした付着促進領域によって、クラウン頂点を越えた後の気流のクラブヘッドへの付着が促進され、これにより、空気抵抗を下げてクラブヘッドスピードを上げることができるようになる。以下に、本願の空気力学ゴルフクラブヘッドの範囲を請求するが、説明においては以下に説明する図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】FB寸法とMOIyとの関係を示すグラフである。
【図2】FB寸法とクラブヘッドスピードとの関係を示すグラフである。
【図3】FB寸法とクラブヘッドの正規化空気抵抗との関係を示すグラフである。
【図4】FB寸法とクラブヘッドの正規化空気抵抗との関係を示すグラフである。
【図5】FB寸法とクラブヘッドの正規化空気抵抗との関係を示すグラフである。
【図6】クラブヘッドの正規化空気抵抗とクラブヘッドスピードとの関係を示すグラフである。
【図7】高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの上部平面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図8】高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの前面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図9】高容量空気力学ゴルフクラブヘッドのトウ側から見た前面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図10】高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの前面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図11】高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの上部平面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図12】シャフト軸が垂直方向である高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの回転前面図である。
【図13】高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの前面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図14】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの上部平面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図15】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの上部平面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図16】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの上部平面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図17】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの上部平面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図18】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの、最上端部平面で切断された部分的等角図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図19】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドのフェースの中心を通る断面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図20】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドのフェースの中心を通る断面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図21】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドのヒール側から見た前面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図22】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドのトウ側から見た前面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図23】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの背面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図24】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの底面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【図25】頂点をポストにした付着促進領域を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの上部平面図である(実際の縮尺率で示されていない)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
請求される高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、現在の技術水準から大幅に向上している。クラブヘッド(100)の好適な実施形態は、この向上を、固有の新規な方法で構成した部材および方法の新しい新規な構成により達成しており、今まで利用可能ではなかったが好適且つ望ましい機能を有している。図面を参照しながら以下に示す記載は、クラブヘッド(100)の現在の好適な実施形態の記載にすぎず、クラブヘッド(100)がカスタマイズまたは利用される1つの形態を表す意図しか有さない。記載においては、例示的な実施形態との関連でクラブヘッド(100)を実装する設計、機能、手段、および方法を示す。しかし、本クラブヘッド(100)の精神および範囲内に含まれることが意図される異なる実施形態によっても同じまたは均等の機能および特徴を得ることができることを理解されたい。
【0024】
空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、FB寸法の値の大きなドライバの空気力学上の性能の悪さの原因が単にFB寸法の大きさだけはなく、むしろFB寸法の大きなドライバで、MOIy値を上げ、重心(CG)の寸法を下げようとするあまり、ゴルフクラブ設計業者が空気力学上非常に形の悪いクラブを一般的に生成してきたことにある、という認識に基づいて得られた。主要な問題としては、ボディの表面がフラットである点、フェースに続くクラウン領域に気流が再付着(reattachment)することを考慮にいれるような適切な形状ではない点、後縁部の設計が適切でない点等が挙げられる。加えて、現状のFB寸法の大きなドライバ設計においては、空気抵抗を上げてしまうゴルフクラブヘッドの前面断面面積が無視されていたり、むしろこれを最大化しようとしたりするように見受けられるものもある。空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、これら問題を解決でき、FB寸法が大きくMOIyが高い高容量空気力学ゴルフクラブヘッドを提供する。
【0025】
高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、少なくとも400ccの容量を有する。高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、図11の気流矢印「気流−90度」に関して上述したように、設計されたように方向付けられ、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)の前面(112)に対して、100mphの風を基面(GP)に平行にあてた場合に、フェースを下にした場合の正規化空気抵抗が1.5lbf未満であるという特徴を有する。ここで言及する空気抵抗の全てが、そうではないと明記しない限りにおいて、120mphの気流速度に正規化された空気抵抗であるということは、背景技術セクションでも述べたが本セクションでも繰り返しておく。故に、上述した、100mphの風にあてたときの1.5lbf未満という正規化空気抵抗は、示されている気流速度100mphにおける抵抗の実際の計測値を、基準速度(つまり120mph)の二乗で乗算して、実際の気流速度(100mph)の二乗で除算した値である。
【0026】
図7−図9を参照すると、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、フェース(200)、ソールセクション(300)、およびクラウンセクション(400)を有する中空ボディ(110)を含む。中空ボディ(110)は、さらに、前面(112)、後面(114)、ヒール(116)、およびトウ(118)を有するものとして定義することができる。さらに中空ボディ(110)の前後寸法(FB)は少なくとも4.4インチであることは、前にも触れ、図7にも示されている。
【0027】
高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、FB寸法が比較的大きいため慣性モーメントの値が良好であり、且つ、他の大容量でFB寸法が大きくMOIの高いゴルフクラブヘッドからは予想だにしなかった優れた空気力学特性を備える。特に、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)の一実施形態では、図7に示すように、ゴルフクラブヘッド(100)の重心(CG)を通る垂直軸の周りに、少なくとも4000g*cm2の第1の慣性モーメント(MOIy)が得られる。このMOIyは、フェースのトウ側またはヒール側でボールを打った場合に生じる開閉モーメントに抵抗するゴルフクラブヘッド(100)の慣性モーメントである。さらに本実施形態では、図9に示すような、重心(CG)を通る水平軸の周りに、少なくとも2000g*cm2の第2の慣性モーメント(MOIx)が得られる。このMOIxは、フェースの高いまたは低い位置でボールを打った場合に生じる高低モーメント(lofting and delofting moments)に抵抗するゴルフクラブヘッド(100)の慣性モーメントである。
【0028】
ゴルフクラブヘッド(100)は、固有のクラブヘッド形状を採用することで優れた空気力学上の性能を得る。図8を参照すると、クラウンセクション(400)は、基面(GP)から頂点高さ(AH)分、上に位置するクラウン頂点(410)を有する。頂点高さ(AH)、および、クラウン頂点(410)の位置は、なるべくフェース(200)に近い望ましい気流再付着を行い、クラウンセクション(400)への気流付着を向上させる上で重要な役割を果たす。図9および図10を参照すると、クラウンセクション(400)は、クラブヘッド(100)の空気力学上の性能を向上させる3つの別個の半径を有する。まず図9を参照すると、クラウンセクション(400)の、クラウン頂点(410)と前面(112)との間の部分の頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)は、3インチ未満になっている。この頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)は、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面で計測された値であり、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)は、さらにクラウン(400)上の、曲率半径が最小であるクラウン頂点(410)と前面(112)との間の点においても計測される。ある特定の実施形態では、フェースの上端部(a portion of a face top edge)(210)と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面断面の少なくとも50パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であるという特徴を有する。また別の実施形態では、フェースの上端部(a portion of a face top edge)(210)と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面断面の少なくとも90パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であるという特徴を有する。また別の実施形態では、フェースの上端部(a portion of a face top edge)(210)と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面断面の、フェース(200)の中心とフェース(200)上の最もトウ側の点との間の部分の少なくとも50パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であるという特徴を有する。また別の実施形態では、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面断面(フェースを上にしたときの端部(210)を通る)の、フェース(200)と最もトウ側のフェース(200)上の点との間の部分の少なくとも50パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であるという特徴を有する。
【0029】
フェース(200)の中心は、USGA「ゴルフクラブヘッドの可撓性を計測するプロシージャ」2005年3月25日、改定版2.0に従って定められており、これを参照としてここに組み込む。USGAプロシージャは、ゴルフクラブのフェースの試験対象となるインパクト位置を決定するプロセスを特定しており、ここではフェース中心とも称されている。USGAプロシージャでは、ゴルフクラブのフェースに配置したテンプレートを利用してフェース中心を決定している。
【0030】
第2に、クラウン頂点(410)と中空ボディ(110)の後面(114)との間のクラウンセクション(400)の部分においては、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が3.75インチ未満である。この頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)もまた、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面で計測された値であり、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)は、さらにクラウンセクション(400)上の、曲率半径が最小であるクラウン頂点(410)と後面(114)との間の点においても計測される。ある特定の実施形態では、フェースの上端部(a portion of a face top edge)(210)と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面断面の少なくとも50パーセントにおいて、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が3.75インチ未満であるという特徴を有する。また別の実施形態では、フェースの上端部(a portion of a face top edge)(210)と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面断面の少なくとも90パーセントにおいて、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が3.75インチ未満であるという特徴を有する。また別の実施形態では、フェースの上端部(a portion of a face top edge)(210)と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面断面の、フェース(200)の中心とフェース(200)上の最もトウ側の点との間の部分の100パーセントにおいて、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が3.75インチ未満であるという特徴を有する。
【0031】
最後に図10に示すように、クラウンセクション(400)の、シャフト軸(SA)が形成する垂直平面に平行な方向の、クラウン頂点(410)におけるヒールからトウにかけての曲率半径(Rh−t)は4インチ未満である。さらなる実施形態では、フェース(200)の最もヒール側の点と、フェース(200)の最もトウ側の点との間に位置するクラウンセクション(400)の少なくとも90パーセントで、シャフト軸(SA)が形成する垂直平面に平行な方向の、クラウン頂点(410)におけるヒールからトウにかけての曲率半径(Rh−t)が4インチ未満である。さらなる実施形態では、フェース(200)の最もヒール側の点と、フェース(200)の最もトウ側の点との間に位置するクラウンセクション(400)の少なくとも100パーセントが、シャフト軸(SA)が形成する垂直平面に平行な方向の、クラウン頂点(410)におけるヒールからトウにかけての曲率半径(Rh−t)が4インチ未満である。
【0032】
ここに記載する実施形態に示すような小さな曲率半径は、従来の高容量ゴルフクラブヘッド設計においては(特にFB寸法が4.4インチ以上の高容量ゴルフクラブヘッドの設計においては)避けられてきた。しかしこのように曲率半径を狭めることによって、なるべくフェース(200)に近い位置に気流を再付着させることのできるバルブ状のクラウンセクション(400)が形成されるので、空気抵抗を下げてクラブヘッドスピードを上げることができるようになる。
【0033】
従来の、FB寸法の大きな高容量MOIyゴルフクラブヘッド(例えば米国特許第544,939号明細書および米国特許第543,600号明細書に記載されているもの)は、クラウンセクションが比較的フラットであり、フェースを超えるものが少ない。これら設計は、一見空気を切ることができるように見えるが、実のところはこのような形状は気流再付着特性が乏しく、空気力学的抵抗が高い。クラブヘッド(100)は、フェース(200)に続くクラウンセクションに急速に気流を再付着させるような適切なクラブヘッド形状の重要性を認識して考案され、多くの先行技術によるFB寸法の大きなクラブヘッドのフラットで急勾配のクラウンセクションとは対照的なものとなっている。
【0034】
図10を参照すると、フェース(200)は、上端部(210)と下端部(220)とを有する。さらに図8および図9に示すように、上端部(210)は、基面(GP)から上の上端部(210)の高さである上端部高さ(TEH)を持つ。同様に、下端部(220)は、基面(GP)から上の下端部(220)の高さである下端部高さ(LEH)を持つ。上端部(210)沿いの最高点で、少なくとも2インチの最大上端部高さ(TEH)が生じる。同様に、下端部(220)沿いの最低点が最低下端部高さ(LEH)となる。
【0035】
クラブヘッド(100)の本実施形態の数多くの利点の1つは、ゴルフクラブヘッド(100)のクラウンセクション(400)の気流再付着をなるべくフェース(200)の近くで行うことができる頂点比が設計されることである。言い換えると、気流再付着が行われるとすぐに、空気力学性能が良好になり、空気抵抗が小さくなる。頂点比とは、頂点高さ(AH)の、最大上端部高さ(TEH)に対する比率のことである。前述したように、多くのFB寸法の大きなゴルフクラブヘッドの頂点高さ(AH)は、上端部高さ(TEH)以下である。本実施形態における頂点比は少なくとも1.13とすることで、気流再付着を即座に促進する。
【0036】
さらに、クラブヘッド(100)の本実施形態では、前面断面面積が11平方インチ未満である。前面断面面積は、ゴルフクラブヘッド(100)が基面(GP)に設計ライ角度で配置された場合に直接フェース(200)の前面から見た場合のゴルフクラブヘッド(100)の輪郭が規定する垂直平面で計測された単一平面領域である。前面断面面積は、図13のクロスハッチングされた領域で示されている。
【0037】
さらなる実施形態においては、図11を参照して前述したように、30度オフセットした空気抵抗である第2の空気抵抗が導入される。本実施形態では、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)が基面(GP)に設計された角度で置かれ、100mphの風を基面(GP)に対して平行に、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)のヒール(116)側からフェース(200)に垂直な垂直平面から30度ずらした方向からあてた場合、30度オフセットした正規化空気抵抗は1.3lbf未満である。フェースを下にした正規化空気抵抗を1.5lbf未満とすることに加えて、30度オフセットした正規化空気抵抗を1.3lbf未満とすることにより、大容量でありFB寸法が大きいゴルフクラブヘッドにまつわるクラブヘッドスピードの低下を抑えることができるようになる。
【0038】
また別の実施形態では、図12を参照して前述したヒール正規化空気抵抗と称される第3の空気抵抗を導入する。この特定の実施形態では、ボディ(110)が垂直シャフト軸(SA)を有するよう方向付けられた場合に水平方向の100mphの風をヒール(116)にあてた場合のヒール正規化空気抵抗は1.9lbfとなる。フェースを下にした正規化空気抵抗を1.5lbf未満として、30度オフセットした正規化空気抵抗を1.3lbf未満として、さらに、ヒール正規化空気抵抗を1.9lbf未満とすることにより、大容量でありFB寸法が大きいゴルフクラブヘッドにまつわるクラブヘッドスピードの低下をさらに抑えることができるようになる。
【0039】
また別の実施形態は、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)を、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)より少なくとも25%未満小さくすることにより、クラウンセクション(400)上への気流再付着および好適な気流付着をさらに促す特定の空気力学ゴルフクラブヘッド(100)が生成される、との認識から提供される。また別の実施形態では、さらに頂点高さ(AH)の最大上端部高さ(TEH)に対する頂点比を少なくとも1.2とすることで、迅速な気流再付着を迅速に行うことができるようになる。このコンセプトは、頂点高さ(AH)の最大上端部高さ(TEH)に対する頂点比を1.25とするまた別の実施形態で、さらに強化される。ここでも、これら大きな頂点比によって、気流の再付着をなるべくフェース(200)に近づけることのできるバルブ状のクラウンセクション(400)が形成されるので、空気抵抗を下げてクラブヘッドスピードを上げることができるようになる。
【0040】
頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)より小さく、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)がヒールからトウにかけての曲率半径(Rh−t)より小さいまた別の実施形態では、気流再付着による空気抵抗の低減、また逆に、気流分離の拡張長さの縮小が達成される。この形状は、従来の高容量且つFB寸法の長いゴルフクラブヘッドと反対であるが、依然として特定の空気力学的形状を成す。
【0041】
本実施形態を他の実施形態より優れたものとするには、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が2.85インチ未満であり、ヒールからトウにかけての曲率半径(Rh−t)が3.85インチである高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)とすれば、フェースを下にした空気抵抗が低減する。別の実施形態では、最大上端部高さ(TEH)を少なくとも2インチとすることによりフェース面積が許容レベルを下回らないようにすることで、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)のゴルフプレイにおける性能を考慮する。またさらに、別の実施形態では、最大上端部高さ(TEH)を少なくとも2.15インチとすることにより、さらにゴルファーが小さなストライクフェース(200)でゴルフクラブヘッド(100)を振っているわけではないという自信を持たせる。
【0042】
前述した実施形態は、さらに大きなFB寸法でも利用可能である。例えば、前述した空気力学特性は、前後寸法(FB)が少なくとも4.6インチである実施形態、またさらには、前後寸法(FB)が少なくとも4.75インチである実施形態に組み込むことができる。これらの実施形態によって、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、空気抵抗が過剰であることに起因してクラブヘッドスピードを落とすことなく、さらに高いMOIy値を得ることができる。
【0043】
また別の実施形態では、曲率半径の要件間のバランスをとることで、クラブヘッド容量の10%未満が最大上端部高さ(TEH)より高くなるようにすることでゴルフクラブヘッドの外見を自然にした高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)を得ることができる。別の実施形態では、本願における目的を、クラブヘッドの容量の5%から10%の間を最大上端部高さ(TEH)の上に設けることで達成する。この範囲とすることで、空気力学的に満足のゆくゴルフクラブヘッド(100)の概観を維持しつつ、望ましい空気抵抗を得るために望ましいクラウン頂点(410)および曲率半径が得られる。
【0044】
クラウン頂点(410)の位置は、ある程度、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)により定まるが、また別の実施形態では、クラウン頂点(410)をフェース(200)の一番前の点の後ろという、図9に示すクラウン頂点セットバック寸法(412)の距離(これはFB寸法の10%より大きくFB寸法の70%未満である)に位置させて、気流が分離する期間をさらに短くすることで、クラウンセクション(400)に所望の気流を生じさせることができる。この範囲の特定の実施形態では、クラウン頂点セットバック寸法(412)を1.75インチ未満とする。また別の実施形態では、重心(CG)を形成する性能質量(performance mass)をフェース(200)の一番前の点からクラウン頂点セットバック寸法(412)よりも離れた位置とすることで、このクラブヘッド(100)に固有の、フェース(200)に向かう容量シフトとゴルフプレイ面の性能との間のバランスをとる。
【0045】
加えて、クラウン頂点(410)のヒールからトウにかけての位置も、空気抵抗に対して大きな役割を果たす。ヒールからトウにかけての方向におけるクラウン頂点(410)の位置は、図8に示すクラウン頂点ht寸法(414)が示している。この図は、さらに、USGA規則に則って計測されたヒールからトウにかけての(HT)寸法も示している。クラウン頂点(410)の位置は、ある程度、ヒールからトウにかけての曲率半径(Rh−t)によりにより定まるが、また別の実施形態では、クラウン頂点(410)の位置を、HT寸法の30%より大きくHT寸法の70%より小さい範囲のクラウン頂点ht寸法(414)となるようにすることで、気流が分離する期間をさらに短くすることができる。また別の実施形態では、クラウン頂点(410)を重心(CG)およびトウ(118)の間で、ヒールからトウにかけての方向に設定する。
【0046】
高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、少なくとも400ccの容量を有する。さらなる実施形態では、上述した実施形態の様々な特徴を含み、クラブヘッド容量を少なくとも440ccに、ひいては現在のUSGAの定める限界である460ccにまで増加させることができる。しかし当業者であれば、空気抵抗のここで示した半径がこれらクラブヘッドサイズへの適用に限定されるわけではなく、より大きなクラブヘッド容量に対しても適用可能であることを理解するであろう。同様に、図8に示すクラブヘッド(100)のヒールからトウにかけての(HT)寸法は、USGA規則に従って計測したFB寸法より大きい。
【0047】
当業者であれば、中空ボディ(110)が重心(CG)を有することを理解する。重心(CG)の位置は、図8に示す原点を参照して説明される。原点とは、シャフト軸(SA)が水平基面(GP)と交わる点のことである。中空ボディ(110)は、シャフト軸(SA)を定義する中心を有するボアを有する。ボアは、従来のホーゼルを有するクラブヘッド、および、ホーゼルのないクラブヘッドの両方に存在する。重心(CG)は、図8が示すように、原点から基面(GP)に直交する方向に、クラウンセクション(400)に向かう垂直方向へと距離Ycg離れて配置される。さらに重心(CG)は、シャフト軸(SA)が定義する垂直平面に平行且つ基面(GP)に平行に、原点からトウ(118)に向かって水平方向に距離Xcg離れた方向にある。最後に、重心(CG)は、図14に示すように、原点からYcgの計測に利用された垂直方向に対して直交する方向であってXcgの計測に利用された水平方向に対して直交する方向に、原点から後面(114)に距離Zcg離れた位置にある。
【0048】
図14から図25に示すような他の実施形態では、図18、19、および22に示す最大上端部平面(MTEP)から高い位置にあるクラウンセクション(400)の表面上にある、頂点をポストにした付着促進領域を含み、この頂点をポストにした付着促進領域(420)は、クラウン頂点(410)からクラブヘッド(100)の後面(114)にかけての部分に相当する。この頂点をポストにした付着促進領域(420)を設けることにより、図14から図25に示すような頂点を超えた付着促進領域(100)を有する高容量空気力学ゴルフクラブヘッドが実現される。頂点をポストにした付着促進領域(420)は、クラウン頂点(410)の背後であり、最大上端部平面(MTEP)より上のクラウンセクション(400)の比較的フラットな部分であり、クラウン頂点(410)を流れて過ぎた後も気流をクラブヘッド(100)に付着させ続ける効果を持つ。
【0049】
先の実施形態で説明したように、頂点をポストにした付着促進領域(420)を含む実施形態における最大上端部高さ(TEH)は少なくとも2インチであり、頂点高さ(AH)の、最大上端部高さ(TEH)に対する頂点比は少なくとも1.13である。図14に示すように、クラウン頂点(410)はシャフト軸(SA)が定義する垂直平面に対して平行且つ基面(GP)に対して平行に、原点からトウ(118)に向かってクラウン頂点のx寸法(416)分、離れた位置にある。
【0050】
この特定の実施形態では、クラウンセクション(400)に含まれる頂点をポストにした付着促進領域(420)がクラウンセクション(400)の表面の上にある。前述した実施形態のうちの多くのクラウンセクション(400)の特徴は、クラウン頂点(410)とフェース(200)との間に位置することで、クラブヘッドに対する気流付着を促進し、これにより空気抵抗を低減させていた。頂点をポストにした付着促進領域(420)もまた、クラウンセクション(400)を通り過ぎた気流をクラブヘッド(100)に付着させ続ける効果を持つことで空気抵抗を低減する目的を持つが、頂点をポストにした付着促進領域(420)は、クラウン頂点(410)とクラブヘッド(100)の後面(114)に設けられ、以前として最大上端部高さ(TEH)の上にあり、従って、最大上端部平面(MTEP)の上にある。
【0051】
従来の高容量且つMOIyが高くFB寸法の大きなゴルフクラブヘッドのクラウンセクションに、フェースを超えるものは殆どない。さらにはこれらの従来のクラブのクラウンセクションは、ソールセクションにかけての傾斜が非常に急勾配になっていることが多い。これら設計は、一見空気を切ることができるように見えるが、実のところはこのような形状は気流再付着特性が乏しく、空気力学的抵抗が高い。一方クラブヘッド(100)は、頂点比によってフェース(200)に続くクラウンセクション(400)に急速に気流を再付着させ、頂点比および頂点をポストにした付着促進領域(420)によってクラウン頂点(410)の背後でクラブヘッド(100)に気流を付着させ続けることのできるような適切なクラブヘッド形状の重要性を認識して考案されている。
【0052】
図14から、頂点をポストにした付着促進領域(420)は、クラウンセクション(400)の表面に沿ってシャフト軸(SA)が定義する垂直平面に対して直交する方向に計測した付着促進領域の長さ(422)を持つことが分かる。付着促進領域の長さ(422)は、クラウン頂点セットバック寸法(412)の少なくとも50パーセントの大きさである。頂点をポストにした付着促進領域(420)は、さらに、クラウンセクション(400)の表面に沿ってシャフト軸(SA)が定義する垂直平面に対して平行な方向に計測した付着促進領域の幅(424)を持つ。付着促進領域の幅(424)は、クラウン頂点のx寸法(416)と距離Xcgとの間の差異に少なくとも等しい大きさである。付着促進領域の長さ(422)とクラウン頂点セットバック寸法(412)との間の関係は、クラウン頂点(410)を過ぎてから気流がクラブヘッド(100)から自然に離れようとする摂理を認識したものとなっている。同様に、付着促進領域の幅(424)の、クラウン頂点のx寸法(416)と距離Xcgとの間の差異との間の関係は、フェース(200)から後面(114)へ直接向かう方向以外の方向における、クラウン頂点(410)を過ぎてから気流がクラブヘッド(100)から自然に離れようとする摂理を認識したものとなっている。請求される長さ(422)と幅(424)とを持つ頂点をポストにした付着促進領域(420)を含むことにより、最大上端部平面(MTEP)の上であってクラウン頂点(410)より下のクラブヘッド(100)の部分が生じる。過去においては多くのゴルフクラブヘッドのこの最大上端部平面(MTEP)より上に飛び出るクラブヘッド(100)の量を最小限に抑えよう、または、なくそうと試みてきた。
【0053】
例示した頂点をポストにした付着促進領域(420)は、長さ(422)および幅(424)の両方を有しているが、頂点をポストにした付着促進領域(420)が矩形である必要はない。例えば図16は、頂点をポストにした付着促進領域(420)が楕円であり、長さ(422)および幅(424)が、それぞれ主軸および短軸としてみなされる場合を示す。この頂点をポストにした付着促進領域(420)は、三角形(等辺三角形、不等辺三角形、二等辺三角形、直角三角形、鋭角三角形、鈍角三角形等)、四辺形(台形、平行四辺形、矩形、正方形、ひし形、カイト(kite)等)、多角形、円、楕円、および長円等の、任意の多角形または曲線形のオブジェクトの形状であってよい。頂点をポストにした付着促進領域(420)は、請求された属性を有するクラウンセクション(400)の表面上の領域のことを単に意味しており、当業者であれば、これがクラウンセクション(400)の残りのものと融合して裸眼では見分けがつかない場合もあることを理解する。
【0054】
クラウン頂点(420)の前に空気力学特性を有する前述した実施形態同様に、頂点をポストにした付着促進領域(420)がクラウン頂点(410)の背後に位置する本実施形態においても、既に詳述したように、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)は、設計されたように方向付けられ、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)の前面(112)に対して、100mphの風を基面(GP)に平行にあてた場合に、フェースを下にした場合の正規化空気抵抗が1.5lbf未満であるという特徴を有する。
【0055】
さらなる実施形態においては、図11を参照して前述したように、30度オフセットした空気抵抗である第2の空気抵抗が導入される。本実施形態では、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)が基面(GP)に設計された方位にあり、100mphの風を基面(GP)に対して平行に、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)のヒール(116)側からフェース(200)に垂直な垂直平面から30度ずらした方向からあてた場合、30度オフセットした正規化空気抵抗は1.3lbf未満である。フェースを下にした正規化空気抵抗を1.5lbf未満とすることに加えて、30度オフセットした正規化空気抵抗を1.3lbf未満とすることにより、大容量でありFB寸法が大きいゴルフクラブヘッドにまつわるクラブヘッドスピードの低下をさらに抑えることができるようになる。
【0056】
また別の実施形態では、図12を参照して前述したヒール正規化空気抵抗と称される第3の空気抵抗を導入する。この特定の実施形態では、ボディ(110)が垂直シャフト軸(SA)を有するよう方向付けられた場合に水平方向の100mphの風をヒール(116)にあてた場合のヒール正規化空気抵抗は1.9lbfとなる。フェースを下にした正規化空気抵抗を1.5lbf未満して、30度オフセットした正規化空気抵抗を1.3lbf未満として、さらに、ヒール正規化空気抵抗を1.9lbf未満とすることにより、大容量でありFB寸法が大きいゴルフクラブヘッドにまつわるクラブヘッドスピードの低下をさらに抑えることができるようになる。
【0057】
頂点をポストにした付着促進領域(420)を含まない実施形態でも、頂点高さ(AH)の最大上端部高さ(TEH)に対する頂点比を比較的大きくすることで、頂点を超えた付着促進領域(420)を含む実施形態と同様の利点を生じることができる。頂点をポストにした付着促進領域(420)が最大上端部平面(MTEP)より上にある、という定義においては、頂点比が1未満である場合には、頂点を超えた付着促進領域が存在しないと解釈される。一方、頂点比が少なくとも1.13であるという場合には、クラウン頂点(410)の高さによって、頂点を超えた付着促進領域(420)を含むことで空気抵抗を低減させることができる。また別の実施形態では、頂点比を少なくとも1.2とすることで、頂点をポストにした付着促進領域(420)に適切な、最大上端部高さ(TEH)の上にあるクラウンセクション(400)における利用可能な面積を増やすことができて、クラウン頂点(410)の背後への気流の付着を促進することができる。クラウン頂点(410)の背後にあり、且つ最大上端部高さ(TEH)の上にあるクラウンセクション(400)の量を増やすことにより、且つ、頂点をポストにした付着促進領域(420)に請求された属性を持たせることにより、クラウン頂点(410)を流れて過ぎた後でも気流をクラブヘッド(100)に付着させ続けることができ、空気抵抗を低減させることができる。
【0058】
図14から図17を参照すると、多くの実施形態のうちの一実施形態では、付着促進領域の長さ(422)が、クラウン頂点セットバック寸法(412)の75パーセントの大きさに少なくとも等しい。付着促進領域の長さ(422)がクラウン頂点セットバック寸法(412)に応じて増加するにつれて、クラウン頂点(410)の背後で分離する気流の量が低下する。さらに、付着促進領域の長さ(422)がクラウン頂点セットバック寸法(412)に応じて増加するにつれて、クラブヘッド(100)の形状が、最大上端部平面(MTEP)より上のクラウンセクション(400)の量の設定に一部基づいて定義されるようになり、クラウン頂点(410)の背後の領域においてクラウンセクション(400)がクラウン頂点(410)からずれるようになる。従ってクラウン頂点(410)の背後のクラウンセクションの少なくとも一部は比較的フラットにする、あるいは、頂点平面(AP)から20度未満ずらして、クラウン頂点(410)の背後の気流の分離量を低減させる必要がある(図22参照)。
【0059】
図15に示すさらなる実施形態では、頂点促進領域の幅(424)は、クラウン頂点のx寸法(416)と距離Xcgとの間の差異の少なくとも2倍である。頂点促進領域の幅(424)が増加するにつれて、クラウン頂点(410)の上から来る気流に頂点をポストにした付着促進領域(420)がより多く曝されることになり、さらにクラウン頂点(410)の背後のクラブヘッド(100)への気流の付着が促進され、空気抵抗が低減される。
【0060】
また別の実施形態では、頂点をポストにした付着促進領域(420)のサイズのみに着目するのではなく、その位置にも着目する。頂点をポストにした付着促進領域(420)の配置のさらなる特徴となる新たな寸法を定義すると有利である。より詳しくは、図17に示すように、中空ボディ(110)が、シャフト軸(SA)が定義する垂直平面に平行且つ基面(GP)に平行な方向に、クラウン頂点(410)から中空ボディ(110)の最もトウ側の点までを計測したクラウン頂点からトウまでの寸法(418)を有する。本実施形態は、クラウン頂点(410)とトウ(118)との間の、頂点をポストにした付着促進領域(420)を含むクラウンセクション(400)の主要な部分を有することの意義を認識して提供される。従って本実施形態では、頂点をポストにした付着促進領域の幅(424)は、クラウン頂点からトウまでの寸法(418)の少なくとも50パーセントである。さらなる実施形態では、クラウン頂点からトウまでの寸法(418)の少なくとも50パーセントは、頂点をポストにした付着促進領域(420)の一部を含む。一般的には、前述したクラブヘッド(100)のホーゼルにまつわる乱気流の問題のために、クラウン頂点(410)からヒール(116)までの領域と比べると、クラウン頂点(410)からトウ(118)までの領域におけるクラウン頂点(410)の背後のクラウンセクション(400)上のクラブヘッドへの気流の付着を促進させ易くなる。
【0061】
別の実施形態では、頂点をポストにした付着促進領域(420)を、図18に示すように、クラブヘッド容量の少なくとも7.5パーセントを、最大上端部平面(MTEP)の上に有することにより構築する。このような容量を最大上端部平面(MTEP)の上に設けることにより、最大上端部高さ(TEH)の上のクラブヘッド(100)の表面積が増え、これにより、頂点をポストにした付着促進領域(420)を促進し、クラウン頂点(410)とクラブヘッドの後面(114)との間の気流の分離が低減される。図19に示す別の実施形態では、この関係を、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に直交する方向におけるフェース(200)の中心における中空ボディ(110)の垂直断面により特徴付けられるクラブヘッド(100)の設計を含むことにより構築し、これは最大上端部平面(MTEP)の上に位置する断面面積の少なくとも7.5パーセントを有する。
【0062】
前述したように、頂点をポストにした付着促進領域(420)を促進するには、クラウンセクション(400)の少なくとも一部が比較的フラットであり、クラウン頂点(410)から基面(GP)にかけての部分に急勾配がついていないことが必要となる。図20に示す一実施形態では、頂点をポストにした付着促進領域(420)の一部の頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が5インチ以上の値となっている。また別の実施形態では、頂点をポストにした付着促進領域(420)の一部の頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)は、フェース(200)のバルジおよびロール両方よりも大きくなっている。またさらなる実施形態の頂点をポストにした付着促進領域(420)の一部の頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)は20インチより大きい。最大上端部平面(MTEP)の上にある、頂点をポストにした付着促進領域(420)のこれらの比較的フラットな部分により、クラウン頂点(410)の背後のクラブヘッド(100)への気流の付着が促進される。
【0063】
さらなる実施形態の頂点をポストにした付着促進領域(420)は、頂点をポストにした付着促進領域(420)を通るシャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な、フェース(200)からクラブヘッド(100)の後面(114)への断面の大半における頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が5インチを超えている。特定の実施形態では、頂点をポストにした付着促進領域(420)を通るシャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面の断面の少なくとも75パーセントの頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が、頂点をポストにした付着促進領域(420)内で5インチを超えることに特徴付けられ、これにより、クラウン頂点(410)とクラブヘッド(100)の後面(114)との間の気流の付着がさらに促進される。
【0064】
別の実施形態では、クラウン頂点(410)の正面、および、クラウン頂点(410)の背後の両方で、気流の付着が促進される。図20の本実施形態においては、前述した、頂点をポストにした付着促進領域(420)を通るシャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面の断面の頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)は3インチ未満であり、頂点をポストにした付着促進領域(420)を通るシャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面の断面の少なくとも50パーセントの頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)の少なくとも50%未満の値であるという特徴を有する。この、クラウン頂点(410)からフェース(200)にかけて非常に湾曲したクラウンセクション(400)、および、クラウン頂点(410)から後面(114)にかけて比較的フラットなクラウンセクション(400)は、両方とも、最大上端部平面(MTEP)の上に位置し、クラウンセクション(400)の上への気流の付着を促進し、空気抵抗を低減させる。また別の実施形態では、この関係により、前述したシャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面の断面の割合を、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な垂直平面の断面の少なくとも75パーセントに増やすことで、さらにクラブヘッド(100)のクラウンセクション(400)の上への気流の付着を促進する。
【0065】
請求されているクラウンセクション(400)の属性により、クラウンセクション(400)はソールセクション(300)から離れた位置に維持される傾向にある。図21および図22に示す一実施形態には、クラウンセクション(400)の一部をソールセクション(300)に繋ぐスカート部(500)が含まれる。スカート部(500)は、プロファイル領域角(552)が少なくとも45度であるようなクラウン頂点(410)を起点とするプロファイル領域角(552)内に窪んだスカートプロファイル(550)を含む。図21を参照すると、湾曲したスカートプロファイル(550)により、スカートからソールへの遷移領域(510)が形成されており(「SSTR」とも称される)、スカートからソールへの遷移領域(510)は、基面(GP)から、最も後ろ側のSSTR点の高さ(513)の位置にある最も後ろ側のSSTR点(512)を有する。同様に、スカートからクラウンへの遷移領域(520)(「SSCR」とも称される)が、クラウンセクション(400)への繋ぎ目に位置し、スカートからクラウンへの遷移領域(520)は、基面(GP)から、最も後ろ側のSCTR点の高さ(523)の位置にある最も後ろ側のSCTR点(522)を有する。
【0066】
この特定の実施形態では、最も後ろ側のSSTR点(512)、および、最も後ろ側のSCTR点(522)は、互いに垂直方向に位置が対応している必要はないが、両方とも図25のプロファイル領域角(552)内に位置する。図21を参照すると、最も後ろ側のSSTR点(512)、および、最も後ろ側のSCTR点(522)は、頂点高さ(AH)の少なくとも30パーセントである垂直分離距離(530)により垂直方向に分離されており、図23に示すヒールからトウへの水平分離距離(545)によりヒールからトウへの方向に水平方向に分離されており、さらには、図22に示す前後の水平分離距離(540)により前後の水平方向に分離されている。スカート(500)のこれらの部材間の関係の組み合わせによって、クラウンセクション(400)の後面の位置および高さが構築されるので、クラウン頂点(410)からクラブヘッド(100)の後面(114)までのクラウンセクション(400)のプロファイルが促進され、これにより、さらに気流の付着が促進される。さらに、最も後ろ側のSCTR点の高さ(523)の少なくとも25パーセントである最も後ろ側のSSTR点の高さ(513)を含む別の実施形態では、ソールセクション(300)上に気流の付着を促進するソールセクション(300)の曲率が定義される。
【0067】
さらなる実施形態では、図23に最もよく示されているように、最も後ろ側のSCTR点(522)は、クラウン頂点(410)と垂直方向に実質的に位置合わせがされており、クラウンセクション(400)の上の、クラウン頂点(410)を通る垂直断面沿いに、最長の気流の経路が形成されており、クラウンセクション(400)の設計における気流の付着特性を最大化している。別の変形例は、クラウン頂点のx寸法(416)と距離Xcgとの間の差異に相当する値に少なくとも等しい大きさのヒールからトウへの水平分離距離(545)を含む。さらなる実施形態の前後の水平分離距離(540)は、頂点高さ(AH)と最大上端部高さ(TEH)との間の差異の少なくとも30パーセントである。これらのさらなる関係によって、頂点をポストにした付着促進領域(420)の上を通る気流を有する他の気流経路の干渉を低減することにより、クラブヘッド(100)への気流の付着がさらに促進される。
【0068】
この原理をさらに利用する別の実施形態では、最も後ろ側のSSTR点(512)が重心のヒール(116)側に位置し、最も後ろ側のSCTR点(522)が重心のトウ(118)側に位置している(図23参照)。また別の実施形態では、最も後ろ側のSSTR点(512)、および、最も後ろ側のSCTR点(522)が両方とも、重心のトウ(118)側に位置しているが、頂点高さ(AH)と最大上端部高さ(TEH)との間の差異に少なくとも等しい値のヒールからトウへの水平分離距離によりオフセットされている。
【0069】
前述した、クラウンセクション(400)に関する空気力学特性の全てが、高容量空気力学ゴルフクラブヘッド(100)のソールセクション(300)に同様に適用可能である。言い換えると、当業者であれば、クラウンセクション(400)がクラウン頂点(410)を有するように、ソールセクション(300)もソール頂点を有しうることを理解するであろう。同様に、クラウンセクション(400)が3つの半径を有するように、ソールセクション(300)にも3つの半径があってよい。従って、クラウンセクション(400)に関して記載した全ての実施形態を、ソールセクション(300)に関する参照としても組み込むこととする。
【0070】
ゴルフクラブヘッド(100)の様々な部分は、請求されているクラブヘッド(100)の範囲を逸脱することなく、任意の適切な、または所望の材料(当技術分野で知られており利用されている従来の金属および非金属材料(ステンレス鋼を含む鋼、チタン合金、マグネシウム合金、アルミニウム合金、炭素繊維複合材、ガラス繊維複合材、炭素プレプレグ材料、ポリマー材料等))から形成することができる。クラブヘッド(100)の様々なセクションは、請求されているクラブヘッド(100)の範囲を逸脱することなく、当技術分野で知られており利用されている方法(鋳造法、鍛造法、成型法(射出成型法またはブロー成型法)等)で生成することができる。様々なセクションは、任意の適切または所望の方法(当技術分野で知られており利用されている機械的コネクタ、接着剤、セメント、溶接法、ろう付け、はんだ付け、接合、その他の公知の材料接合技術を含む)で単一構造に統合することができる。さらに、ゴルフクラブヘッド(100)の様々なセクションは、1以上の個々の部材から構成することができ、オプションとしてこれら部材は、請求されているクラブヘッド(100)の範囲を逸脱することなく、異なる密度の異なる材料から形成することができる。
【0071】
当業者であれば、ここに開示した好適な実施形態の変形例、変更例、および修正例を想到し、これら全てを本クラブヘッドの精神および範囲に含むものとして予期可能であったものとしてみなす。例えば、特定の実施形態について詳述してきたが、当業者であれば前述の実施形態および変形例に修正を加えて、様々な種類の置き換えを行ったり、さらなる、または代替的な材料を加えたりすることが可能であり、あるいは、部材の相互配置関係および寸法上の構成を変えたりすることが可能であることに想到するであろう。従って、本クラブヘッドの数少ない変形例のみが本明細書には記載されているが、これら変形例および変更例および均等物の実施についても、以下の請求項で定義されるクラブヘッドの精神および範囲内に含まれることを理解されたい。以下の請求項における全てのミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションに対応する構造、材料、動作、および均等物は、他の請求されている部材との組み合わせにおいて機能を達成する構造、材料、または動作を、特に請求されているものとして含むことが意図される。
[産業上の利用可能性]
【0072】
慣性モーメントの高いゴルフクラブを生成しようというゴルフ産業界の競争においては、クラブの空気力学が往々にして無視されてきた。現状の慣性モーメントの高いゴルフクラブ設計では、前後寸法が高いので、クラブヘッドスピードが遅い。高容量空気力学ゴルフクラブヘッドは、気流の再付着をなるべくフェースに近づけることができ好適であり、気流がクラウン頂点を越えてからのクラブヘッドへの付着を維持することができる。この設計により、空気抵抗が低減される。この抵抗の低減により、クラブヘッドスピードが上がり、結果として、長いゴルフショットを達成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高容量空気力学ゴルフクラブヘッドであって、
A)クラブヘッド容量が少なくとも400ccであり、フェースと、ソールセクションと、クラウンセクションと、前面と、後面と、ヒールと、トウとを有し、前後寸法(FB)が少なくとも4.4インチであり、ヒールからトウにかけての寸法(HT)は前記前後寸法より大きい中空ボディと、
B)クラウン頂点が基面(GP)から頂点高さ(AH)分、上に位置しており、前記クラウンセクションの、前記クラウン頂点と前記フェースとの間の部分における、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満である前記クラウンセクションと、
C)上端部と下端部とを有する前記フェースと
を備え、
上端部高さ(TEH)は、前記基面(GP)より上の前記上端部の高さであり、下端部高さ(LEH)は、前記基面(GP)より上の前記下端部の高さであり、最大上端部高さ(TEH)は少なくとも2インチであり、前記頂点高さ(AH)の前記最大上端部高さ(TEH)に対する頂点比は少なくとも1.13であり、
前記クラブヘッド容量の10%未満が前記最大上端部高さ(TEH)の前記高さの上にある
高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記頂点高さ(AH)の前記最大上端部高さ(TEH)に対する前記頂点比は少なくとも1.2である請求項1に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記前後寸法(FB)は少なくとも4.6インチである請求項1または2に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記クラブヘッド容量の5%以上が前記最大上端部高さ(TEH)の前記高さの上にある請求項1から3の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記クラウン頂点は、前記フェースの一番前の、クラウン頂点セットバック寸法の距離の点の後ろに位置し、前記クラウン頂点セットバック寸法は1.75インチ未満である請求項1から4の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
重心(CG)の前記基面(GP)への垂直投影は、クラウン頂点セットバック寸法よりも、前記基面(GP)の前記フェースの、前の一番前の点の第2の垂直投影から遠い請求項1から5の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
フェースの中心と、前記フェースの最もトウ側の点との間の前記フェースの上端部の一部と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な複数の垂直ゴルフクラブヘッド断面の少なくとも50パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満である請求項1から6の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
フェースの中心と、前記フェースの最もトウ側の点との間の前記フェースの上端部の一部と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な複数の垂直ゴルフクラブヘッド断面の少なくとも75パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満である請求項1から7の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
高容量空気力学ゴルフクラブヘッドであって、
A)クラブヘッド容量が少なくとも400ccであり、フェースと、ソールセクションと、クラウンセクションと、前面と、後面と、ヒールと、トウとを有し、前後寸法(FB)が少なくとも4.4インチである中空ボディと、
B)クラウン頂点が基面(GP)から頂点高さ(AH)分、上に位置しており、前記クラウンセクションの、前記クラウン頂点と前記フェースとの間の部分における頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であり、前記フェースの中心と、前記フェースの最もトウ側の点との間の前記フェースの上端部の一部と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な複数の垂直ゴルフクラブヘッド断面の少なくとも50パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であるという特徴を有する、前記クラウンセクションと、
C)上端部と下端部とを有する前記フェースと
を備え、
上端部高さ(TEH)は、前記基面(GP)より上の前記上端部の高さであり、下端部高さ(LEH)は、前記基面(GP)より上の前記下端部の高さであり、最大上端部高さ(TEH)は少なくとも2インチであり、前記頂点高さ(AH)の前記最大上端部高さ(TEH)に対する頂点比は少なくとも1.13であり、
D)前記高容量空気力学ゴルフクラブヘッドにおいては、
i)前記高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの重心(CG)を通る垂直軸の周りの第1の慣性モーメントが少なくとも4000g*cm2であり、
ii)前記重心(CG)を通る水平軸の周りの第2の慣性モーメントが少なくとも2000g*cm2であり、
前記クラブヘッド容量の10%未満が前記最大上端部高さ(TEH)の前記高さの上にある高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記クラウンセクションの、前記クラウン頂点と前記中空ボディの前記後面との間の部分には、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)があり、前記頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)は、前記頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)の少なくとも25%未満の値である請求項1から9の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記頂点高さ(AH)の前記最大上端部高さ(TEH)に対する前記頂点比は少なくとも1.25である請求項1から10の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記クラウンセクションの、前記クラウン頂点と前記中空ボディの前記後面との間の部分には、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)があり、前記クラウンセクションの一部は、前記クラウン頂点におけるヒールからトウにかけての曲率半径を有し、前記頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)は、前記頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−f)未満であり、前記頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)は前記ヒールからトウにかけての曲率半径未満である請求項1から11の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が2.85インチ未満である請求項1から12の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前面断面面積が11平方インチ未満である請求項1から13の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
高容量空気力学ゴルフクラブヘッドであって、
A)クラブヘッド容量が少なくとも400ccであり、フェースと、ソールセクションと、クラウンセクションと、前面と、後面と、ヒールと、トウとを有し、前後寸法(FB)が少なくとも4.4インチである中空ボディと、
B)クラウン頂点が基面(GP)から頂点高さ(AH)分、上に位置しており、前記クラウンセクションの、前記クラウン頂点と前記フェースとの間の部分における頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であり、前記フェースの中心と、前記フェースの最もトウ側の点との間の前記フェースの上端部の一部と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な複数の垂直ゴルフクラブヘッド断面の少なくとも75パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であるという特徴を有する、前記クラウンセクションと、
C)上端部と下端部とを有する前記フェースと
を備え、
上端部高さ(TEH)は、前記基面(GP)より上の前記上端部の高さであり、下端部高さ(LEH)は、前記基面(GP)より上の前記下端部の高さであり、最大上端部高さ(TEH)は少なくとも2インチであり、前記頂点高さ(AH)の前記最大上端部高さ(TEH)に対する頂点比は少なくとも1.13であり、
D)前記高容量空気力学ゴルフクラブヘッドにおいては、
i)前記高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの重心(CG)を通る垂直軸の周りの第1の慣性モーメントが少なくとも4000g*cm2であり、
ii)前記重心(CG)を通る水平軸の周りの第2の慣性モーメントが少なくとも2000g*cm2であり、
前記クラブヘッド容量の10%未満が前記最大上端部高さ(TEH)の前記高さの上にある高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項1】
高容量空気力学ゴルフクラブヘッドであって、
A)クラブヘッド容量が少なくとも400ccであり、フェースと、ソールセクションと、クラウンセクションと、前面と、後面と、ヒールと、トウとを有し、前後寸法(FB)が少なくとも4.4インチであり、ヒールからトウにかけての寸法(HT)は前記前後寸法より大きい中空ボディと、
B)クラウン頂点が基面(GP)から頂点高さ(AH)分、上に位置しており、前記クラウンセクションの、前記クラウン頂点と前記フェースとの間の部分における、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満である前記クラウンセクションと、
C)上端部と下端部とを有する前記フェースと
を備え、
上端部高さ(TEH)は、前記基面(GP)より上の前記上端部の高さであり、下端部高さ(LEH)は、前記基面(GP)より上の前記下端部の高さであり、最大上端部高さ(TEH)は少なくとも2インチであり、前記頂点高さ(AH)の前記最大上端部高さ(TEH)に対する頂点比は少なくとも1.13であり、
前記クラブヘッド容量の10%未満が前記最大上端部高さ(TEH)の前記高さの上にある
高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記頂点高さ(AH)の前記最大上端部高さ(TEH)に対する前記頂点比は少なくとも1.2である請求項1に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記前後寸法(FB)は少なくとも4.6インチである請求項1または2に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記クラブヘッド容量の5%以上が前記最大上端部高さ(TEH)の前記高さの上にある請求項1から3の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記クラウン頂点は、前記フェースの一番前の、クラウン頂点セットバック寸法の距離の点の後ろに位置し、前記クラウン頂点セットバック寸法は1.75インチ未満である請求項1から4の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
重心(CG)の前記基面(GP)への垂直投影は、クラウン頂点セットバック寸法よりも、前記基面(GP)の前記フェースの、前の一番前の点の第2の垂直投影から遠い請求項1から5の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
フェースの中心と、前記フェースの最もトウ側の点との間の前記フェースの上端部の一部と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な複数の垂直ゴルフクラブヘッド断面の少なくとも50パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満である請求項1から6の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
フェースの中心と、前記フェースの最もトウ側の点との間の前記フェースの上端部の一部と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な複数の垂直ゴルフクラブヘッド断面の少なくとも75パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満である請求項1から7の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
高容量空気力学ゴルフクラブヘッドであって、
A)クラブヘッド容量が少なくとも400ccであり、フェースと、ソールセクションと、クラウンセクションと、前面と、後面と、ヒールと、トウとを有し、前後寸法(FB)が少なくとも4.4インチである中空ボディと、
B)クラウン頂点が基面(GP)から頂点高さ(AH)分、上に位置しており、前記クラウンセクションの、前記クラウン頂点と前記フェースとの間の部分における頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であり、前記フェースの中心と、前記フェースの最もトウ側の点との間の前記フェースの上端部の一部と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な複数の垂直ゴルフクラブヘッド断面の少なくとも50パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であるという特徴を有する、前記クラウンセクションと、
C)上端部と下端部とを有する前記フェースと
を備え、
上端部高さ(TEH)は、前記基面(GP)より上の前記上端部の高さであり、下端部高さ(LEH)は、前記基面(GP)より上の前記下端部の高さであり、最大上端部高さ(TEH)は少なくとも2インチであり、前記頂点高さ(AH)の前記最大上端部高さ(TEH)に対する頂点比は少なくとも1.13であり、
D)前記高容量空気力学ゴルフクラブヘッドにおいては、
i)前記高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの重心(CG)を通る垂直軸の周りの第1の慣性モーメントが少なくとも4000g*cm2であり、
ii)前記重心(CG)を通る水平軸の周りの第2の慣性モーメントが少なくとも2000g*cm2であり、
前記クラブヘッド容量の10%未満が前記最大上端部高さ(TEH)の前記高さの上にある高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記クラウンセクションの、前記クラウン頂点と前記中空ボディの前記後面との間の部分には、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)があり、前記頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)は、前記頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)の少なくとも25%未満の値である請求項1から9の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記頂点高さ(AH)の前記最大上端部高さ(TEH)に対する前記頂点比は少なくとも1.25である請求項1から10の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記クラウンセクションの、前記クラウン頂点と前記中空ボディの前記後面との間の部分には、頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)があり、前記クラウンセクションの一部は、前記クラウン頂点におけるヒールからトウにかけての曲率半径を有し、前記頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)は、前記頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−f)未満であり、前記頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)は前記ヒールからトウにかけての曲率半径未満である請求項1から11の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
前記頂点から後面にかけての曲率半径(Ra−r)が2.85インチ未満である請求項1から12の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
前面断面面積が11平方インチ未満である請求項1から13の何れか1項に記載の高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
高容量空気力学ゴルフクラブヘッドであって、
A)クラブヘッド容量が少なくとも400ccであり、フェースと、ソールセクションと、クラウンセクションと、前面と、後面と、ヒールと、トウとを有し、前後寸法(FB)が少なくとも4.4インチである中空ボディと、
B)クラウン頂点が基面(GP)から頂点高さ(AH)分、上に位置しており、前記クラウンセクションの、前記クラウン頂点と前記フェースとの間の部分における頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であり、前記フェースの中心と、前記フェースの最もトウ側の点との間の前記フェースの上端部の一部と交わる、シャフト軸(SA)を通る垂直平面に垂直な複数の垂直ゴルフクラブヘッド断面の少なくとも75パーセントにおいて、頂点から前面にかけての曲率半径(Ra−f)が3インチ未満であるという特徴を有する、前記クラウンセクションと、
C)上端部と下端部とを有する前記フェースと
を備え、
上端部高さ(TEH)は、前記基面(GP)より上の前記上端部の高さであり、下端部高さ(LEH)は、前記基面(GP)より上の前記下端部の高さであり、最大上端部高さ(TEH)は少なくとも2インチであり、前記頂点高さ(AH)の前記最大上端部高さ(TEH)に対する頂点比は少なくとも1.13であり、
D)前記高容量空気力学ゴルフクラブヘッドにおいては、
i)前記高容量空気力学ゴルフクラブヘッドの重心(CG)を通る垂直軸の周りの第1の慣性モーメントが少なくとも4000g*cm2であり、
ii)前記重心(CG)を通る水平軸の周りの第2の慣性モーメントが少なくとも2000g*cm2であり、
前記クラブヘッド容量の10%未満が前記最大上端部高さ(TEH)の前記高さの上にある高容量空気力学ゴルフクラブヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
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【図24】
【図25】
【公開番号】特開2013−63301(P2013−63301A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−265732(P2012−265732)
【出願日】平成24年12月4日(2012.12.4)
【分割の表示】特願2011−518784(P2011−518784)の分割
【原出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(599169704)アダムス ゴルフ アイピー リミテッド パートナーシップ (3)
【氏名又は名称原語表記】ADAMS GOLF IP,L.P.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月4日(2012.12.4)
【分割の表示】特願2011−518784(P2011−518784)の分割
【原出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(599169704)アダムス ゴルフ アイピー リミテッド パートナーシップ (3)
【氏名又は名称原語表記】ADAMS GOLF IP,L.P.
【Fターム(参考)】
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