高対流家庭用血液透析/血液濾過および吸着剤システム
【課題】腎置換療法を行うためのシステム、方法および装置を提供すること。
【解決手段】一実施形態では、2つの小型高流量透析装置(20、30)が直列に接続される。制限手段(40)は、透析液流路(962)内の2つの透析装置間に配置される。制限手段は、1つの好ましい実施形態において可変および調節可能である。制限手段は、静脈透析装置内に正圧を形成し、高度の意図的な逆濾過を生じる。この逆濾過によって、高流量静脈膜を通る透析液の著しい流れは、患者の血液中に直接入る。逆濾過された溶液は、その後、動脈透析装置を通して患者から限外濾過される。静脈濾過器内に透析液を拡散させ、動脈透析装置から透析液を除去することによって、患者からの毒素が対流搬送される。さらに、患者の体内に直接拡散せず、代わりに両方の透析装置の膜を横断して流れる透析液は、老廃物の拡散浄化を提供する。
【解決手段】一実施形態では、2つの小型高流量透析装置(20、30)が直列に接続される。制限手段(40)は、透析液流路(962)内の2つの透析装置間に配置される。制限手段は、1つの好ましい実施形態において可変および調節可能である。制限手段は、静脈透析装置内に正圧を形成し、高度の意図的な逆濾過を生じる。この逆濾過によって、高流量静脈膜を通る透析液の著しい流れは、患者の血液中に直接入る。逆濾過された溶液は、その後、動脈透析装置を通して患者から限外濾過される。静脈濾過器内に透析液を拡散させ、動脈透析装置から透析液を除去することによって、患者からの毒素が対流搬送される。さらに、患者の体内に直接拡散せず、代わりに両方の透析装置の膜を横断して流れる透析液は、老廃物の拡散浄化を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年11月5日に出願された米国仮特許出願第60/517,730号「High Convection Home Hemodialysis/Hemofiltration And Sorbent」の利益を主張し、この特許出願の全体の内容は、引用することにより本明細書に援用して信頼する。
【0002】
本発明は、全体として治療法に関する。詳細には、本発明は、腎不全の治療、および鬱血性心不全のための流体除去などの医用流体療法に関する。
【背景技術】
【0003】
血液透析(「HD」)は、一般に、拡散を用いて老廃物を患者の血液から除去する。半透過性透析装置全体に、血液と透析液と呼ばれる電解質溶液との間に生じる拡散勾配は、拡散を生じる。血液濾過(「HF」)は、患者の血液からの毒素の対流搬送に頼る代替腎置換療法である。この治療法は、治療中に補充液または置換液を体外回路に添加することにより行われる(一般に、10〜90リットルのこのような流体)。このような補充液、および患者が治療時に蓄積する流体は、HF治療の過程において限外濾過され、中程度および大きい分子を除去する際に特に有用な対流搬送機構を提供する(血液透析の場合、透析セッション間に得られる流体と共に、少量の老廃物が除去されるが、限外濾過液の除去からの溶質牽引は、対流浄化を形成するには不十分である。
【0004】
血液透析濾過法(「HDF」)は、対流および拡散浄化を結合する治療のモダリティである。HDFは、標準の血液透析と同様、透析装置を貫流する透析液を使用して、拡散浄化を形成する。さらに、補充溶液は体外回路に直接供給されて、対流浄化を形成する。
【0005】
家庭血液透析(「HHD」)は、このモダリティの臨床結果が従来の血液透析より魅力的であるにも関わらず、過去20年間で衰退した。家庭血液透析の欠点の1つは、機器、水道接続および排水を含む専用の水処理が必要なことである。これらの構成要素を設置して使用することは困難かつ厄介な作業であり、患者の家庭を改装する必要がある可能性がある。それにも関わらず、日常的な血液透析療法には、週に2〜3回治療センターを訪れることと比べて利点がある。特に、比較的頻繁に治療を受ける患者は、頻度が比較的少なく、おそらく比較的長時間の治療を受ける患者よりも多くの毒素および老廃物を除去する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の開示
本発明は、患者からの拡散および対流搬送の両方を結合する日常的な腎置換療法を行うシステム、方法および装置を提供する。血液透析の場合、高流量膜は、場合によって、結局、正味流体流量は患者からであるにも関わらず、透析液から血液への流体を逆濾過する可能性がある。逆濾過は、透析装置の特定の領域における血液の入口/出口と透析液の入口/出口との間の圧力差による。本発明は、この現象を利用するものである。
【0007】
一実施形態では、2つの小型高流量透析装置は、カセットに直列に流体的に接続される。透析液および血液は、透析装置および体外回路を通って逆流して流れる。しかし、一実施形態では、透析装置を通る透析液の流れは、代わりに並流する、つまり血液回路を通る血液の流れと同方向に流れる。制限手段は、透析液流路内の2つの透析装置間に配置される。この制限手段は、好ましい一実施形態では可変および調節可能であり、異なる治療条件を考慮に入れるか、または1回の治療時に調節することができる。この制限手段は、別法によると、比較的小さいオリフィスを有するオリフィスプレートなど、単純な固定制限手段である。濾過器間の制限手段により、静脈透析装置内に正圧が形成され、高度の意図的な逆濾過が生じる。透析装置間の制限手段のサイズに応じて、このような逆濾過によって、高流量静脈−膜を通る透析液の著しい流量が直接血液内に流入する。逆濾過された溶液は、その後、動脈透析装置を通して患者から限外濾過される。透析液が静脈濾過器内の血液中に移動し、透析液が動脈透析装置から除去されると、毒素が患者から対流搬送される。さらに、患者の体内に直接移動しないが、代わりに両方の透析装置の膜を横断して流れる透析液は、老廃物の拡散浄化を形成する。
【0008】
したがって、このシステムは、対流浄化および拡散浄化の両方を形成する血液透析濾過システムとして作用する。一実施形態におけるシステムは、家庭用に構成されており、透析液および体外流路の少なくとも一部分は、家庭用揚水装置内に装填されている使い捨てカセット内で殺菌されて提供される。たとえば、このシステムは、一体化された使い捨て流体管理システムまたはカセット、および血液透析療法を行うために減菌され、予めパッケージ化された溶液を使用する携帯デバイスで良い。一実施形態におけるこのシステムは、コンパクトなサイズ、治療準備の容易さ、水処理および透析液配分システムの必要性がないという点で、特に家庭での使用に適している。
【0009】
現在の血液透析機械と違って、患者は、複雑な管集合を管理する必要がない。患者は、カセットを腎不全治療機械内に配置し、溶液バッグを機械に接続し、自動化プライミングシーケンスを開始するだけである。プライミングが完了したら、患者は、血液ラインを患者の身体に接続し、透析療法を開始する。治療の最後に、患者の血液は患者の体内に返される。患者は、単に、限外濾過液(「UF」)廃棄物を処分して、治療が終了し、患者は、複雑な消毒手順を行う必要はない。
【0010】
一実施形態では、カセットベースのシステムは、以下のとおりに動作する。血液ポンプは患者から血液を取り出し、血液を両方の血液透析装置に押し入れ、血液を患者に返す。透析溶液は、透析液源から取り出され、所望の患者の体温まで加熱される。輸液ポンプは、新鮮透析液をバッグから静脈透析装置内に揚送する。制限手段は、透析液流路内の2つの透析装置間に配置され、静脈透析装置を介して、透析液を血液中に逆濾過するのを促進する。制限手段は、可変であることが好ましいが、別法によると固定される。
【0011】
輸液ポンプから流出する流れは、制限手段において流体を押し進め、静脈血液透析装置内に正圧を生成する。高流量膜を使用すると、背圧は、透析液の一部分、たとえば50%以上を患者の血液ライン内に押し入れる。残りの透析液は、動脈透析装置を貫流する。
【0012】
排水ポンプは、輸液ポンプによって供給された当量の流体を流路から除去し、透析間の期間に患者に生じた体液喪失を補填する。次に、使用済み流体および限外濾過液は、排水バッグ内に入れるか、または外部の排水管に廃棄される。
【0013】
カセットベースの透析液は、静脈透析装置に対する透析液流と、動脈透析装置からの透析液流を平衡させて、患者の体液状態を維持するように調節される。その平衡能力によって、同じ量の流体が、静脈透析装置内で体外回路内に逆濾過される場合と同様、動脈血液透析装置内で患者から限外濾過される。この流体を血液から限外濾過すると、溶質牽引作用を生じ、この作用は、血液濾過に類似する毒素の対流搬送を提供する。ある程度の透析液は、静脈内の線維に沿って動脈透析装置に流れるため、毒素も血液から拡散搬送される。
【0014】
気泡検出器、加熱要素、圧力センサ、温度センサなども、患者を安全に治療し、システムを確実に動作させるために必要な場合、透析液の管理面および体外の血液面の両方に関してカセット内に一体化される。
【0015】
最近公表された研究論文には、超高純度透析液は、標準の透析液と比較してより良好な結果を生成することが示されている。予めパッケージ化され、殺菌された透析液を本発明の一実施形態に使用すると、超高純度透析液に比べてさらに良好ではないにしても、同様に良好な結果を生成する。しかし、本発明は、予めパッケージ化された透析液バッグの使用に限定されるのではなく、むしろ、オンラインまたは家庭で生成される透析液を使用することができる。患者にとってのオンラインシステムの利点は、溶液バッグ、および溶液バッグが占める空間をなくすことができる点である。透析液は、殺菌バッグから供給されるか、またはオンラインで生成されるかに関わらず、1つまたは複数の炭または吸着剤カートリッジを使用する1つまたは複数のループ内で再循環させても良い。
【0016】
家庭で生成する1つの好ましいシステムについて、本明細書で説明する。このシステムは、剛性容器内に取り付けられた5リットルの減菌透析液バッグなどの貯槽を使用する。シャントは、洗浄およびプライミングの開始時に透析装置を横断して配置される。治療時、尿素交換または結合尿素を使用して動作する吸着剤カートリッジは、後透析装置または限外濾過器(「UF」)ループ内に配置される。吸着剤は、β2ミクログロブリンまたはリン酸塩など、その他の物質を除去する。一連の輸液ポンプは、同時に、透析液を減菌バッグから取り出し、加熱器、限外濾過器およびシャントを通して吸着剤カートリッジに送る。必要な場合、カルシウム、マグネシウムおよびカリウムを含むγ殺菌注入剤などの注入剤が、透析液貯槽に添加される。
【0017】
溶液が加熱され、治療の準備が整った後、血液治療機械は、使用者にカセットを設置するように促す。血液回路は、動脈血液ラインを介して取り付けられている生理食塩水バッグを使うか、または血液治療静脈濾過器を通して透析液を逆濾過することによりプライミングすることができる。気泡検出器、加熱要素、圧力センサ、温度センサなどは、患者を安全に治療し、システムを確実に動作させるために必要な場合、透析液および体外血液回路の両方に関してカセット内に一体化される。
【0018】
次に、患者は動脈針および静脈針に取り付けられ、治療が開始する。治療を短くするため、透析液の流れは比較的高度、たとえば3時間で毎分300ミリリットル、または8時間以下で毎分100ミリリットルにして良い。透析液/UF流量制御ポンプは、透析装置との間の流れを制御する。流出透析液を動脈透析装置から取り出すポンプの周波数を増加することにより、透析間の期間に患者内に蓄積する流体を除去する。透析液/UF流量制御ポンプの部分は、一実施形態における血液ポンプの部分と共にカセット内に一体化されるか、または別法によると、カセットとは別個に提供され、機械の内部に一体化される。
【0019】
バッグを吊るして保管することは非実際的であるため、溶液バッグベースのシステムは、治療ごとの透析液の実用的な総量に限られる。吸着剤ベースの流体再生システムは、比較的多くの透析液を使用する治療を可能にし、その結果、廃棄物の浄化が強化される。透析液を増量することは、腎臓患者からの老廃物の浄化を有利に強化する。たとえば、吸着剤カートリッジは、透析液の流量が毎分200〜250ミリリットル、または治療全体で約500リットルの場合に、4時間使用することができ、これは、透析液を増量し、血液濾過システム全体により良好に廃棄物を浄化することになるであろう。吸着剤システムは、本明細書に使用する血液濾過システムに適用することもでき、予備希釈HFも可能にする。血液濾過の場合、再利用可能な追加の限外濾過器は、細菌および内毒素の除去の余剰分を維持するために提供される。
【0020】
吸着剤ベースの再生システムは、多数の溶液バッグを保管する必要性をなくし、治療の準備を簡単にし、患者の給水栓に接続する必要性がないため、特に家庭用に適する。また、患者は、管集合を接続する必要がない。患者は、その代わりに、カセットを機械の内部に配置し、減菌透析液の最初の5リットルバッグを貯槽に追加し、自動化プライミングシーケンスを開始する。プライミングが完了したら、患者は、自身を血液回路に接続し、透析療法を開始する。
【0021】
携帯デバイス、予めパッケージ化された溶液またはオンライン流体生成システムの使用、および使い捨て式セットの使用は、それぞれ、従来は腹膜透析患者のみに可能だった融通性および自由度を透析患者に提供する。専用の給水接続部がなく、本発明の機械は小型であるため、患者は、本発明のシステムを使用して移動し、路上で血液治療透析セッションを行うことが可能である。本明細書に記載するシステムおよび方法の多くは、センター内の溶液に使用するように適応させることができ、本発明の多くの態様は家庭での使用に限られない。
【0022】
高対流血液透析は、毒素の拡散搬送のほかに対流浄化を有するため、従来の血液濾過と比較してより効果的であると考えられる。この治療法は、末期腎臓患者の小分子、中分子および大分子の廃棄物も良好に浄化すると予想される。
【0023】
このデバイスは、必要な給水および透析配分システムを利用できない状況で、病院内で急性患者に使用するのに良く適する。本発明のデバイスは、容易に組み立てられ、断続的に急性の状況で容易に使用される。
【0024】
本発明は、体外回路または透析装置に供給される透析液または補充液の量を制御するだけではなく、患者から除去される限外濾過液の量も正確に制御する複数の方法および装置を提供する。様々な代案は、主に3つのタイプに分類することができる。使用される1つのタイプの制御は、ボイルの法則に基づく空気圧制御である。この場合、流体ポンプは、既知量の空気と連通させて配置される。このシステムは、ボイルの法則を使用して、既知の値または測定した値を方程式に入れて、患者に揚送されるポンプチャンバからの流体の量を正確に計算する(たとえば、空気と対比して)。この方法および装置は、生成された流体および空気圧信号を使用して、方程式に入れる数に変換する。この方程式は、ポンプのサイクルまたは行程ごとに揚送される流体の量を与える。一実施形態におけるボイルの法則によるシステムは、最終行程またはポンプサイクル基準で正確な情報を提供するが、必ずしも実時間基準ではない。本発明は、実時間基準で流量データを生成するボイルの法則に基づくシステムおよび方法も含む。
【0025】
容積制御の第2の大きいカテゴリは、平衡デバイスの使用を含む。こうした平衡デバイスを使用する多くの実施形態について、以下で説明する。平衡デバイスの実施形態は、主に2つの小グループに分類される。1つの小グループは、単一の平衡デバイスを使用し、もう1つの小グループは二重平衡デバイスを使用する。
【0026】
本発明は、複数の異なるタイプの平衡デバイスも示唆し、開示する。一実施形態では、このシステムは1つまたは2つの平衡チャンバを使用する。別の実施形態では、このシステムは、1つまたは2つの平衡管を使用する。平衡管は環状筐体を備え、筐体内にピストンまたはボール状の隔離板を有する。隔離板は、平衡チャンバの膜または隔膜と同様に動作する。
【0027】
第3のタイプの平衡デバイスは、1つまたは複数の蛇行経路である。蛇行経路は、一実施形態では、使い捨てカセットによって長形チャネルとして画定される。チャネルの直径または断面積は、新鮮または流出透析液のバルク移動が、蛇行経路内の流体の既存バルクを効率的に移動させることができるように構成される。つまり、バルクの新鮮透析液は、排水管に至る経路内に現在存在する消費または流出透析液のバルクを移動させる。次のサイクルでは、バルクの消費または流出透析液は、導入されたバルクの新鮮な流体を患者または透析装置に至る蛇行経路内に押し入れる。この経路の断面および長さは、流体のバルクの終わりにおける新鮮および消費流体の混合量を最小化するように構成される。
【0028】
様々な容積平衡デバイスは、多くの異なるタイプのポンプ、たとえば蠕動ポンプ、膜ポンプ、ギヤポンプ、またはこれらの組合せと共に使用することができる。単一ポンプは、平衡デバイスと共に使用される。別個の新鮮透析液ポンプおよび使用済み透析液ポンプは、交互に使用される。さらに、別個の限外濾過液ポンプも意図および説明されており、このポンプは、主ポンプを患者との間の当容積の流体の揚送専用にすることを可能にする。
【0029】
第3の主なタイプの流体管理は、重量または重量計を使用して、患者に供給される流体の量、および患者から除去される流体の量を測定する。以下で説明する一実施形態では、流体バッグは、シャフトに結合されたスタンド上に配置される。一方の端部では、シャフトは転動形ダイアフラムに結合する。転動形ダイアフラムは、その他の装置と関連して、閉鎖しているが可変の容積を画定する。流体バッグの重量は変動するため、容積内の圧力も変動する。圧力センサは圧力を感知し、機械の制御装置またはプロセッサは、圧力センサからの信号を処理して、対応する重量信号を展開する。次に、重量信号を使用して、動脈瘤嚢程度の流体が供給されたか、および/または患者から除去されたかが決定される。一実施形態では、新鮮流体バッグおよび使用済み流体バッグは、同じ重量感知デバイスによって測定されるため、システムは、患者から除去された限外濾過液により、長期にわたる正味の全体重量増加を観察することを予測する。この用途には、ロードセルを使用することもできる。
【0030】
以下に詳細に説明するとおり、本発明は、システムのその他の構成要素に関する複数の実施形態および本発明の方法、たとえば流体加熱器、平衡デバイス、使い捨てカセット、バッグ位置決め、および本発明のその他の重要な特徴を提供する。たとえば、本発明は接近切断センサ(「ADS」)を含み、これは、動脈または静脈の針が、治療時に患者から偶発的に取り外された場合に検出することができる。さらに、様々な圧力除去計画、完全性テストなどについて本明細書で説明するが、これは、患者が就寝中に使用する家庭用機械の場合に特に重要である。
【0031】
したがって、本発明の利点は、家庭または臨床環境で使用可能な血液透析、血液濾過または血液透析濾過システムを提供することである。
【0032】
本発明のもう1つの利点は、家庭にいる患者が、減菌血液治療システムを容易に組み立てることを可能にするカセットベースの血液濾過/血液透析濾過システムを提供することである。
【0033】
本発明のもう1つの利点は、腎不全血液治療法の効果を改善することである。
【0034】
さらに、本発明の利点は、対流および拡散モードの浄化を使用する腎不全血液療法を提供することである。
【0035】
さらに、本発明の利点は、拡散および対流浄化モードの両方が提供され、何れのモードの割合も変更することができる腎不全血液療法を提供することである。
【0036】
さらに、本発明の利点は、血液透析、強化対流血液透析、血液濾過または血液透析濾過法を行うために、現場で構成可能なカセットベースの血液療法を提供することである。
【0037】
さらに、本発明の利点は、新鮮透析液の消費量を最適化する1つまたは複数の治療流体循環ループを有する血液治療システムを提供することである。
【0038】
本発明のさらにもう1つの利点は、複数の異なるタイプの治療流体、たとえば溶液バッグ、溶液調合ユニットまたはオンライン透析液生成システムで動作するように構成された家庭用腎不全血液治療法を提供することである。
【0039】
本発明のさらに他の利点は、流体交換量、および患者から除去される流体量または限外濾過液量を正確に制御する多くのタイプのシステムで動作可能な家庭用腎不全治療システムを提供することである。
【0040】
さらに、本発明の利点は、流量制御デバイスを改善することである。
【0041】
本発明は、さらに以下を提供する。
(項目1)
医用流体治療システムであって、
患者に結合されるように構成され、配列される血液ラインと、
該血液ラインに接続されるポンプと、
該血液ラインと連通し、該患者からの血液を収容するように配置される第1透析装置部分と、
該第1透析装置部分からの血液を収容するように配置される第2透析装置部分と、
治療流体源に接続され、第1および第2透析装置部分と流体連通する治療流体ラインと、
該第1透析装置部分と第2透析装置部分間で該治療流体ラインに連通する流量制限手段であって、該制限手段が、該第1透析装置部分および第2透析装置部分の一方で、治療流体の背圧を選択的に増加/減少させるように可変である制限手段と
を備える、医用流体治療システム。
(項目2)
前記第1部分、第2部分および制限手段が1つの筐体内に設けられる、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目3)
前記第1部分および第2部分が別個に収容される、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目4)
流量制限手段に結合されたデバイスを備え、該デバイスが、前記流量制限手段の流量抵抗を変更するように操作可能である、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目5)
前記デバイスが手動または自動で作動される、項目4に記載の医用流体治療システム。
(項目6)
血液ラインおよび治療流体ラインの少なくとも一方の少なくとも一部分が使い捨て式である、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目7)
第1部分、第2部分および流量制限手段の少なくとも1つが使い捨て式である、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目8)
第1部分、第2部分、流量制限手段、血液ライン部分、および治療流体ライン部分の少なくとも1つを含む使い捨てカセットをさらに備える、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目9)
ポンプが第1ポンプであり、治療流体を揚送するように構成および配列された少なくとも1つの追加のポンプを備える、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目10)
追加のポンプが、膜ポンプ、蠕動ポンプ、ピストンポンプ、空気圧作動ポンプ、ピストンポンプ、空気圧付勢ポンプ、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択されるタイプである、項目9に記載の医用流体治療システム。
(項目11)
対向サイクル行程で動作して、治療流体を透析装置部分に供給する1対の追加のポンプを備える、項目9に記載の医用流体治療システム。
(項目12)
透析装置部分の1つに治療流体を供給するように操作可能な少なくとも1つの追加のポンプと、他方の透析装置部分から限外濾過液を除去するように操作可能な少なくとも1つの他の追加のポンプとを備える、項目9に記載の医用流体治療システム。
(項目13)
キャパシタンス流量センサと、理想気体の法則に基づいて作動する流量センサと、蠕動ポンプが行う回転/行程の数を計算するセンサと、重量計と、単一平衡チャンバと、単一平衡管と、単一蛇行経路と、二重平衡チャンバと、二重平衡管と、二重蛇行経路とからなる群から選択されたタイプの少なくとも1つの流量管理装置を備える、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目14)
流体が、第1および第2透析装置部分の一方に達する前に、治療流体を加熱する治療流体ラインと連通する流体加熱器を備える、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目15)
加熱器が、誘導、電気抵抗、対流および放射からなる群から選択される少なくとも1つのタイプである、項目14に記載の医用流体治療システム。
(項目16)
治療流体源が、少なくとも1つの携帯流体容器、治療流体調製モジュール、オンライン治療流体源、およびこれらの任意の組合せを含む、項目1に記載の医用流体治療システム。(項目17)
制限手段が、10〜90%の流体を1つの透析装置を通して血液ラインに逆流させるサイズである、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目18)
少なくとも1つの空気感知および/または除去デバイスを血液ラインに含む、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目19)
血液透析、血液濾過、血液透析濾過法、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される治療を行う、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目20)
血液濾過治療が、前希釈治療、後希釈治療、または前および後希釈治療である、項目19に記載の医用流体治療システム。
(項目21)
治療流体ラインと連通する再循環ループを備え、透析装置の1つから除去される流体が、治療流体ライン内に再導入され、第1および第2透析装置の一方と再び流体的に連通する、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目22)
前記再循環ラインが流体を透析装置に再導入し、該透析装置から流体が除去される、項目21に記載の医用流体治療システム。
(項目23)
流体が、再循環ループの場合、制限手段から下流に位置する透析装置から除去される、項目21に記載の医用流体治療システム。
(項目24)
再循環ループ内に位置する少なくとも1つの浄化デバイスを備え、該デバイスが、治療流体ライン内に再導入される流体を少なくとも部分的に再生するように動作する、項目21に記載の医用流体治療システム。
(項目25)
洗浄デバイスが、活性炭濾過器、吸着剤交換、化学洗浄剤、化学交換、生物学的洗剤、結合吸着剤、酵素(enzomatic)反応剤、機械的洗浄剤、およびこれらの何らかの組合せをからなる群から選択される、項目24に記載の医用流体治療システム。
(項目26)
第1および第2部分を通る治療流体の流れが、血液の流れに逆流する、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目27)
第1および第2部分を通る治療流体の流れが、血液の流れに並流する、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目28)
前記可変制限手段がモータ制御クランプを備える、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目29)
医用流体治療システムであって、
患者に結合されるように構成され、配列される血液ラインと、
該血液ラインに接続されるポンプと、
該血液ラインと連通し、患者からの血液を収容するように配置される第1透析装置部分と、
該第1透析装置部分とは別個に収容される第2透析装置であって、該第1透析装置から血液を収容するように配置され、配列された第2透析装置部分と、
該第1透析装置と第2透析装置との間で治療流体ラインと連通する流量制限手段であって、該制限手段が、該第1および第2透析装置の一方の治療流体の背圧を増加させるように操作可能である流量制限手段、
を備える、医用流体治療システム。
(項目30)
前記制限手段が、背圧を選択的に増加/減少させるように可変である、項目29に記載のシステム。
(項目31)
腎不全治療機械用の使い捨てユニットであって、
該機械内に配置されるように構成され、配列される筐体と、
該筐体に取り付けられる可撓性膜であって、該膜および筐体が、前記機械と協働して、腎不全治療流体の流量を制御するバルブ機能を果たす可撓性膜と、
該筐体によって支持され、患者の血液ラインの少なくとも一部分に操作可能に接続される第1および第2透析装置部分と、
該第1透析装置と第2透析装置との間に配置される流量制限手段であって、透析装置の1つの背圧を増加させるように操作可能な流量制限手段と、
を備える、使い捨てユニット。
(項目32)
前記透析装置部分が別個に収容される、項目31に記載の使い捨てユニット。
(項目33)
血液ラインが、前記機械内に収容された蠕動ポンプと操作可能に結合するように構成されたある長さの管類を備える、項目31に記載の使い捨てユニット。
(項目34)
キャパシタンス流量センサと、理想気体の法則に基づいて作動する流量センサと、蠕動ポンプが行う回転/行程の数を計算するセンサと、重量計と、単一平衡チャンバと、単一平衡管と、単一蛇行経路と、二重平衡チャンバと、二重平衡管と、二重蛇行経路とからなる群から選択されるタイプの少なくとも1つの流量管理装置を備える、項目31に記載の使い捨てユニット。
(項目35)
医用流体治療方法であって、
(a)治療流体を第1および第2透析装置部分に流す工程と、
(b)前記第1部分と第2部分間に可変流量制限手段を配置する工程と、
(c)該流体の望ましい第1部分が、前記透析装置の1つを通って血液ライン内に流入し、該流体の第2部分が、前記第2透析装置内に配置される複数の膜を実質的に横断して流れるように、可変流量制限手段を設定する工程と
を包含する、方法。
(項目36)
前記制限手段の設定によって、該流体の第3部分が、第1透析装置部分内に位置する膜を横断して流れる、項目35に記載の医用流体治療方法。
(項目37)
家庭用医用流体治療機械方法であって、
(a)人が家庭で、使い捨てカセットを機械内に装填することを可能にする工程と、
(b)治療流体を使い捨てカセットに流す工程と、
(c)導電性浄化を行うために、少なくとも25%の流体を向ける工程と、
(d)残りの流体の少なくとも実質的な量が、拡散浄化を行うことを可能にする工程とを含む家庭用医用流体治療機械方法。
(項目38)
導電性浄化を行うための流体の割合を向ける工程が、患者の血液の流れに至る透析装置の膜を通して当該割合の流体に背圧を与えることを含む、項目37に記載の家庭用医用流体治療方法。
(項目39)
限外濾過を行う方法であって、
第1および第2平衡デバイスを提供する工程と、
使用済み治療流体を該第1平衡デバイス内に揚送する工程と、
使用済み治療流体を該第1平衡デバイス内に揚送し、該第2平衡デバイスに流すことによって、治療流体を該第1平衡デバイスから排出することを可能にする工程と、
該排出された治療流体が該第2平衡デバイスに入り、該第2平衡デバイス内に保持されている使用済み治療流体を排水管に排出する工程と
を含む、方法。
(項目40)
前記使用済みおよび排出される治療流体が、透析液および補充液からなる群から選択される、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記平衡デバイスが、平衡チャンバ、平衡管および蛇行経路からなる群から選択される、項目39に記載の方法。
(項目42)
前記第1平衡デバイスから排出される前記治療流体が新鮮な治療流体である、項目39に記載の方法。
(項目43)
入口バルブおよび出口バルブとインラインになるように配置される流体ポンプのバルブ完全性テストであって、
(a)出口バルブを閉鎖し、入口バルブを開放した状態で、流体をポンプ内に揚送する工程と、
(b)入口バルブを閉鎖し、出口バルブを閉鎖状態に維持する工程と、
(c)バルブを閉鎖した状態で、流体をポンプから揚送しようと試みる工程と、
(d)ポンプ内の流体の容量の変化が検出された場合、バルブの少なくとも1つに漏れがあると決定する工程と
を含む、バルブ完全性テスト。
(項目44)
キャパシタンス流量センサを使用して、ポンプ内の容量の変化が生じたか否かを検出する、項目43に記載の完全性テスト。
(項目45)
工程(a)〜(d)を医用流体治療全体で周期的に行うことを含む、項目43に記載の完全性テスト。
(項目46)
血液透析、血液濾過、血液透析濾過法、腹膜透析、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される治療のために、工程(a)〜(c)を行うことを含む、項目43に記載の完全性テスト。
(項目47)
実時間基準で容量を感知する方法であって、
膜ポンプチャンバ内の空気の量と、該ポンプチャンバと連通する一定容積の容器内の空気の量とを含む初期空気総量を取得する工程と、
ポンプチャンバ内の膜を移動させて、流体をポンプチャンバから排出するか、または流体をポンプチャンバ内に引き込む工程と、
初期圧力、および総量が変化した後の時間Tにおける圧力を測定する工程と、
該初期総量、初期圧力および時間Tにおける圧力を使用して、時間Tの総空気量を計算する工程と、
初期空気総量、および時間Tの総空気量を使用して、揚送される量を決定する工程とを含む方法。
(項目48)
一定容積の容器が圧力チャンバである、項目47に記載の方法。
(項目49)
医用流体治療システムであって、
患者に結合するように構成され、配列される血液ラインと、
血液ラインに接続される血液ポンプと、
該血液ラインと連通する血液濾過器であって、患者の血液の液体部分が濾過器を通過して治療流体流路に入ることを可能にするように操作可能な濾過器と、
治療流体を血液ラインに、また治療流体を血液ラインから交互に、実質的に連続して揚送するように配置され、配列される1対の蠕動流体ポンプと、
血液ラインに揚送されるある量の治療流体と、濾過器から揚送されるある量の流体とを制御するように操作可能な少なくとも1つの容量制御デバイスとを含む医用流体治療システム。
(項目50)
蠕動ポンプが、治療流体の交互の、実質的に連続する揚送を行うことができるように操作可能な複数のバルブを備える、項目49に記載の医用流体治療システム。
(項目51)
濾過器の上流または下流にある血液ラインに治療流体を選択的に揚送するように操作可能である、項目49に記載の医用流体治療システム。
(項目52)
治療流体を濾過器に揚送して、対流および/または拡散血液浄化を行うように構成される、項目49に記載の医用流体治療システム。
(項目53)
前記容量制御デバイスが、キャパシタンス流量センサと、理想気体の法則に基づいて動作する流量センサと、蠕動ポンプによって行われる回転/行程の数を計算するセンサと、重量計と、単一平衡チャンバと、単一平衡管と、単一蛇行経路と、二重平衡チャンバと、二重平衡管と、二重蛇行経路とからなる群から選択されるタイプである、項目49に記載の医用流体治療システム。
(項目54)
医用流体治療システムであって、
患者に結合するように構成され、配列される血液ラインと、
該血液ラインに接続される血液ポンプと、
該血液ラインと連通し、患者の血液の液体部分が濾過器を通過して治療流体流路に入ることを可能にするように操作可能な血液濾過器と、
治療流体を血液ラインに揚送するように操作可能な第1ポンプと、
流体を濾過器から揚送するように操作可能な第2ポンプと、
濾過器から揚送される少なくともある程度の流体を、流体再生デバイスを通して血液ライン内に送るように操作可能な再循環経路と
を備える、医用流体治療システム。
(項目55)
前記再生デバイスが活性炭、吸着剤、これらの任意の組合せを含む、項目54に記載の医用流体治療システム。
(項目56)
濾過器の上流または下流にある血液ラインに治療流体を選択的に揚送するように操作可能である、項目54に記載の医用流体治療システム。
(項目57)
治療流体を濾過器にさらに揚送して、拡散血液浄化を行うように構成される、項目54に記載の医用流体治療システム。
【0042】
本発明のさらに他の特徴および利点は、以下の本発明の詳細な説明および図面に記載されており、これらの説明および図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、拡散および対流浄化モードを提供する本発明の腎不全血液治療システムの一実施形態の略図である。
【図2】図2および3は、使い捨てカセット、および本明細書に記載する血液治療法に使用される関連流動構成要素の斜視図である。
【図3】図2および3は、使い捨てカセット、および本明細書に記載する血液治療法に使用される関連流動構成要素の斜視図である。
【図4】図4は、透析液流体精製ユニットで動作する腎不全治療システムの略図である。
【図5】図5は、治療流体再循環ループを有する腎不全血液治療システムの略図である。
【図6】図6は、本発明の家庭用血液濾過システムの一実施形態の略図である。
【図7】図7は、本発明の家庭用血液濾過システムのもう1つの実施形態の略図である。
【図8】図8は、本発明の家庭用血液濾過システムの一実施形態の略図である。
【図9】図9〜図11は、使用済み透析流体、および患者から限外濾過された流体を再生および再利用する再生ユニットを使用する家庭用血液治療法の様々な実施形態を示す。
【図10】図9〜図11は、使用済み透析流体、および患者から限外濾過された流体を再生および再利用する再生ユニットを使用する家庭用血液治療法の様々な実施形態を示す。
【図11】図9〜図11は、使用済み透析流体、および患者から限外濾過された流体を再生および再利用する再生ユニットを使用する家庭用血液治療法の様々な実施形態を示す。
【図12】図12および13は、蠕動ポンプを使用して治療流体を揚送する、別法による血液透析および血液濾過システムである。
【図13】図12および13は、蠕動ポンプを使用して治療流体を揚送する、別法による血液透析および血液濾過システムである。
【図14】図14は、透析液および血液の流れが並流する、別法による血液透析システムである。
【図15】図15および16は、患者から除去される限外濾過液の量を制御するために空気圧制御される方法および装置の一実施形態の略図である。
【図16】図15および16は、患者から除去される限外濾過液の量を制御するために空気圧制御される方法および装置の一実施形態の略図である。
【図17】図17〜22は、単一平衡チャンバを介して患者から除去される限外濾過液の量を制御するための様々な実施形態の略フロー図である。
【図18】図17〜22は、単一平衡チャンバを介して患者から除去される限外濾過液の量を制御するための様々な実施形態の略フロー図である。
【図19】図17〜22は、単一平衡チャンバを介して患者から除去される限外濾過液の量を制御するための様々な実施形態の略フロー図である。
【図20】図17〜22は、単一平衡チャンバを介して患者から除去される限外濾過液の量を制御するための様々な実施形態の略フロー図である。
【図21】図17〜22は、単一平衡チャンバを介して患者から除去される限外濾過液の量を制御するための様々な実施形態の略フロー図である。
【図22】図17〜22は、単一平衡チャンバを介して患者から除去される限外濾過液の量を制御するための様々な実施形態の略フロー図である。
【図23】図23は、単一平衡管を使用する1つの限外濾過液制御方法および装置の様々なステップを示す略フロー図である。
【図24】図24は、患者との間で交換される流体の量、および単一の蛇行経路を使用して、患者から除去される限外濾過液の量を制御するための一実施形態を示す略フロー図である。
【図25】図25および26は、二重平衡チャンバを使用する限外濾過液制御方法および装置に関連する様々な特徴および利点を示す略フロー図である。
【図26】図25および26は、二重平衡チャンバを使用する限外濾過液制御方法および装置に関連する様々な特徴および利点を示す略フロー図である。
【図27A】図27A〜27Dは、患者との間で交換される流体の量、患者から除去される限外濾過液の量を制御するための、二重平衡管を含むもう1つの方法および装置のバルブ動作、および対応する流れの結果を示す略フロー図である。
【図27B】図27A〜27Dは、患者との間で交換される流体の量、患者から除去される限外濾過液の量を制御するための、二重平衡管を含むもう1つの方法および装置のバルブ動作、および対応する流れの結果を示す略フロー図である。
【図27C】図27A〜27Dは、患者との間で交換される流体の量、患者から除去される限外濾過液の量を制御するための、二重平衡管を含むもう1つの方法および装置のバルブ動作、および対応する流れの結果を示す略フロー図である。
【図27D】図27A〜27Dは、患者との間で交換される流体の量、患者から除去される限外濾過液の量を制御するための、二重平衡管を含むもう1つの方法および装置のバルブ動作、および対応する流れの結果を示す略フロー図である。
【図28】図28は、本発明の平衡管容量制御デバイスの1つの別法によるバルブ構成を示す。
【図29】図29は、患者から除去される限外濾過液の量を制御するための、二重の蛇行経路を含むさらにもう1つの実施形態を示す略フロー図である。
【図30】図30および31は、患者との間で交換された流体の量、および患者から除去される限外濾過液の量を制御するための、重量測定システムを備えるさらに他の別法による実施形態を示す。
【図31】図30および31は、患者との間で交換された流体の量、および患者から除去される限外濾過液の量を制御するための、重量測定システムを備えるさらに他の別法による実施形態を示す。
【図32】図32は、本発明の血液透析濾過器の強化対流の一実施形態の立面図である。
【図33】図33は、本発明の二重透析装置間に配置された可変流量制限手段の一実施形態を示す略図である。
【図34】図34は、本発明の透析システムの流動作動構成要素と共に操作可能に構成されたカセットを示す斜視図である。
【図35】図35は、本発明の腎不全治療機械に溶液バッグを操作可能に結合する一実施形態を示す斜視図である。
【図36】図36および37は、溶液バッグを腎不全治療機械に結合するための実施形態の斜視図であり、機械が本発明のカセットを収容することを可能にするための一実施形態も示す。
【図37】図36および37は、溶液バッグを腎不全治療機械に結合するための実施形態の斜視図であり、機械が本発明のカセットを収容することを可能にするための一実施形態も示す。
【図38】図38は、線形管状ポンプを使用して治療流体を揚送するための別法による実施形態を示す斜視図である。
【図39】図39は、線形管状ポンプを使用して溶液バッグをシステムに操作可能に結合するための一実施形態を示す斜視図である。
【図40】図40は、本発明の線形管状ポンプを作動させる本発明のカセットの一実施形態を示す略図である。
【図41】図41は、線形管状ポンプで作動する本発明のカセットのもう1つの実施形態の略図である。
【図42】図42および43は、本発明の流体加熱器の一実施形態の様々な別法による実施例を示す断面斜視図である。
【図43】図42および43は、本発明の流体加熱器の一実施形態の様々な別法による実施例を示す断面斜視図である。
【図44】図44は、平衡チャンバを使い捨てカセット内に組み込むための一実施形態を示す切欠断面図である。
【図45】図45は、本発明の家庭用平衡チャンバのもう1つの実施形態を示す切欠断面図である。図45は、本発明による平衡管の一実施形態の切欠斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
発明の詳細な説明
概要
本発明は、治療時に逆濾過の量を増加および強化する家庭血液透析(「HHD」)療法のための様々な装置および方法を提供する。このシステムは、家庭用に設計されているにも関わらず、病院の急性腎臓治療センター、またはセルフケアセンターでの使用にも適する。このシステムは、使い捨てカセットまたは管組織オーガナイザ(本明細書では、カセットと総称する)を有する使い捨てセットを含む使い捨て流体管理システムを使用する。カセットは、透析液および体外流路の少なくとも一方の少なくとも一部分を収容する。一実施形態では、2つの小型高流量透析装置が、流体的かつ直列にカセットに接続される。一実施形態では、透析液および血液は、透析装置を通って互いに逆流する。制限手段は、透析液流路内の2つの透析装置間に配置される。制限手段は、一実施形態では、異なる治療条件を考慮するか、または1回の治療時に調節できるように可変および調節可能である。制限手段は、別法によると、制限オリフィスを有するオリフィスプレートのように固定される。
【0045】
濾過器間の制限手段によって、静脈透析装置内に正圧が形成され(第1透析装置は透析液を収容し、第2透析装置は、逆流構成で血液を収容する)、意図的に比較的高度の逆濾過を生じる。透析装置間の制限手段のサイズに応じて、この逆濾過によって、透析液の著しい流量(たとえば、総透析液流量の10〜70%)が、高流量静脈膜を通って血液回路に入る。逆濾過された溶液は対流浄化を提供する。一実施形態では、限外濾過液は、動脈透析装置を介して患者から除去される(第1透析装置は血液を収容するが、第2透析装置は、逆流構成で透析液を収容する)。
【0046】
透析液が静脈透析装置内に拡散し、透析液を動脈透析装置から除去すると、毒素が患者から対流搬送される。さらに、直接体外回路内に移動しない透析液(たとえば、他の割合の透析液)は、代わりに両方の透析装置の膜を横断して流れ、老廃物の拡散浄化が行われる。このシステムは、本明細書では、強化対流血液透析(「ECHD」)システムと呼ぶ。血液透析濾過システムと同様、このシステムは、対流および拡散浄化の両方を行う。このシステムは、一実施形態では、家庭用に構成され、透析液および体外流路の少なくとも一部分が殺菌され、複数のポンプ、加熱器、バルブ作動装置などを有する機械に装填される使い捨てセットとして提供される。
【0047】
強化対流血液透析(「ECHD」)
次に、図面、特に図1を参照すると、腎不全治療システム10の一実施形態が示されている。システム10は、2つ以上の高流量血液透析装置、たとえば静脈透析装置20および動脈透析装置30を使用する。一実施形態では、血液透析装置20および30は比較的小型であり、たとえば膜表面積は4分の1〜3メートル2台である。透析装置または血液透析装置20および30は、比較的高流量透析装置であり、たとえば、1ミリメートルHg圧力またはそれ以上で(本明細書で使用する場合)、1時間当たりで拡散する水が8ミリメートルというUF係数を有し、「流量」という用語は上記のUF係数を意味し、膜を通る水の搬送の容易さを評価するもであり、ミリメートル/時間/ミリメートル水銀で表現される。
【0048】
上記のとおり、血液透析装置20および30によって、新鮮透析液の比較的大部分が、静脈透析装置20内で逆濾過する。逆濾過した透析液、および透析間の期間中に蓄積した流体は、動脈透析装置30を介して患者42から限外濾過または除去される。逆濾過されない流体は、動脈30および静脈20透析装置内の半透過性膜を横断して流れ、システム10が、廃棄物を患者の血液から拡散および対流除去することを可能にする。
【0049】
図1に示す1つの家庭用およびセンター内の実施形態では、減菌透析液は、バッグまたは容器14、16および18内に保存される(3つを超える溶液バッグを使用できる)。図示の実施形態のシステム10は、それぞれ個々の容積測定デバイス32、34、36および38で動作するポンプ22、24、26および28を使用する。以下に詳細に説明するとおり、別法によると、本発明のシステムと共に様々な容積測定デバイスが使用される。1つの測定デバイスは、ポンプ22〜28の1つを通って揚送される流体の量を測定するキャパシタンス流量センサである。この測定は、一実施形態では、制御装置またはマイクロプロセッサに、どの程度の流体(または空気)が揚送されたかを知らせる。制御装置またはマイクロプロセッサは、実際の揚送流体量と予想される揚送流体量とを比較し、相応に揚送量を調節して、必要に応じて、透析装置に対する新しい流体の供給量を補充するか、または減少させる。代わりに、またはさらに、容積測定デバイス32〜38は、システム内に比較的多量の容量測定誤差が生じ、たとえば誤差メッセージをトリガした場合に感知することができる(たとえば、空気がシステム内に閉じ込められるか、または行程長さの大部分が失敗した場合)。
【0050】
本発明は、キャパシタンス流量測定に限られず、代わりにその他のタイプの容量測定を使用することができる。さらに、本発明は、容量測定に限られず、代わりに一定量の透析液を透析装置に、透析装置および患者42から揚送する平衡デバイスを使用することができる。さらに、流体ポンプの管理は、質量基準で1つまたは複数の重量計を介して行うことができる。さらに、揚送される流速および容量は、ポンプ行程の数、たとえばステッパモータのステップの数に基づく蠕動ポンプの回転数に基づいて、回転ポンプ作動装置の線形の感知された移動量に基づいて、またはボイルの法則に従って動作するデバイスを介して計算することができる。これらの測定方法は、「容積測定デバイス」という用語に含まれる。容積測定デバイスを使用する制御は、供給される流体の実際の量が監視される閉ループ、または機構がポンプ固有の正確さ、おそらく運動制御フィードバック、たとえばモータを作動させるために送信されるステップパルスの数、線形エンコーダのフィードバック、または回転エンコーダのフィードバックなどの監視に頼っている開ループで良い。
【0051】
図1は、ポンプ集合1の2つのポンプ22および24、並びにポンプ集合2の2つのポンプ26および28を示す。代わりに、各々のポンプ集合の所定の場所に1つのポンプ、たとえば透析装置に透析液を投入するために1つ、透析装置から透析液、患者からUFを除去するために1つのポンプを使用できるが、この構成は、望ましくない拍動または不均一な流れを生じる場合があることに注目することは重要である。図示の構成では、各集合の第1ポンプは、ポンプ集合の源から流体を抜き取り、各集合の第2ポンプは、ポンプ集合の目標方向に流体を押し出す。ポンプ行程のこの集合の後、個々の集合内のポンプの役割は交互に入れ替わり、第1ポンプ(現在、流体が充填されている)は流体をポンプ集合の目標方向に押し出し、第2ポンプ(現在、空)は、ポンプ集合の源から流体を抜き取る。上記のサイクルは、複数回にわたって繰り返される。
【0052】
ポンプ集合1は、新鮮透析液をバッグ14〜18からシステム10に投入し、ポンプ集合2は、ポンプ集合1によって揚送された容量的に等価な流体、および治療の過程で患者42から除去された何らかの流体を除去する。図示のとおり、新鮮透析液は、ポンプ22および24を介して源14、16および18から静脈透析装置20に揚送される。制限手段40は、静脈透析装置20と動脈透析装置30との間に配置される。制限手段40は、静脈透析装置20に圧力を形成し、その結果、静脈透析装置20に入る比較的多量の新鮮透析液は、静脈透析装置内の膜壁を通って体外または血液回路50に強制的に送り出される。静脈透析装置20に入る新鮮透析液のその他の部分は、静脈透析装置内の膜を横断し、制限手段40を貫流して動脈透析装置30内に流入する。
【0053】
対流浄化は、静脈透析装置20を通って逆濾過される流体の容量的に等価な量が、動脈透析装置30から除去される場合に行われる。また、毒素の拡散搬送は、血液回路50と透析液の流れとの間に存在する拡散勾配によって、両方の透析装置20および30を横断して行われる。治療全体では、動脈透析装置30から除去される流体の総量は、静脈透析装置20によって供給される透析液の総量より大きく、治療に処方されるUFの除去量に相当する。
【0054】
実施例
以下の実施例は、本発明の1つの好ましい治療法をさらに示す。この実施例では、ポンプ集合1のポンプ22および24は、2時間にわたる源14、16および18からの18リットルの透析液を押し出す。この容量のうち、毎分100ミリリットルの透析液は、静脈透析装置20の膜壁を通して患者の血液回路50内に逆濾過される。毎分50ミリリットルの透析液は、静脈透析装置20、制限手段40を通過して、静脈透析装置30内に流入する。ポンプ集合2のポンプ26および28は、18リットルの透析液全体をバッグ14、16および18からの18リットルの透析液全体、および任意の所望量の流体を患者から除去する。2時間にわたって、12リットル(毎分100ミリリットルに120分を乗算する)の透析液が、静脈透析装置20を通して患者の血液内に逆濾過される。ポンプ集合2のポンプ26および28は、12リットル、つまり血液回路50内に逆濾過されない6リットルの透析液、および患者から限外濾過される何らかの流体を除去する。
【0055】
2時間の治療で血液回路50に12リットルの透析液を追加し、血液回路50から除去すると、方程式HF stdKt/Vに従って除去される全体の対流は約2になり、これは適切な日常的な量であると報告されている(Jaber BT、Zimmerman DL、Leypoldt JKによる「Adequacy of DailyHemofiltration:Clinical Evaluation of Standard Kt/V(stdKt/V)」、2003年のAbstract Hemodialysis International 第7巻、1号、p80参照)。さらに、2時間の過程では、6リットルの透析液を使用し、透析装置20および30の膜を横断する透析液勾配を介して拡散浄化を行った。透析液の流量、および対流対拡散の割合は、この実施例に使用する割合より多くても少なくても良い。
【0056】
使い捨てカセットの導入
さらに図2および3を参照すると、透析装置20および30、並びに本明細書に記載するその他の多くの流動構成要素が、使い捨てカセットに取り付けられた1つの好ましい実施形態で提供される。使い捨てカセット100aは、さもなければオーガナイザ、ディスポーザブル、使い捨てセットなどと呼ばれる。使い捨てカセット100aは、腎不全の治療用の体外回路50および透析液流路60(図1参照)の少なくとも一部分を含む(たとえば、すべての体外回路50はカセット100a内に一体化されるが、管類は、図2および図3に示すように患者との間に配管される)。使い捨てカセット100aは、以下に説明するように空気圧または機械式で作動する本明細書に記載の多くのポンプおよびバルブの透析液または治療流体流部分を処理するための空間効率的な装置を提供する。したがって、カセット100aは、空間、能力および資源が限られている家庭用に良く適している。
【0057】
好ましい一実施形態では、使い捨てカセット100aおよび対応して取り付けられる管類は、使用前にγ殺菌されて封止される。別法によると、酸化エチレンまたはeビームによる殺菌が使用される。患者または操作者は、使用前にシールを開放し、カセット100aを治療機械内に挿入し、1回使用してからカセット100aおよび関連する管類を廃棄する。カセット100aおよび流路50および60は、一実施形態では使い捨てすることを意図されているが、カセット100a並びに流路50および60は、適切な消毒および/または殺菌を行って再使用することができる。
【0058】
カセットおよびECHDシステムの結合
図1〜図3を参照すると、患者42の動脈接近手段44aから始まって、体外または血液回路50は、PT1と標識された圧力センサ46を備える。PT1は、別法によると、血液ポンプ48に達する前に血液の流れを停止する能力を有する圧力スイッチである。安全上の対策として、一実施形態のシステム10は多数の電極(図示しない)、たとえば2〜4個の電極を備え、これらの電極は、システム10からの患者42の接近切断を検出するために、半分が動脈ライン44a内、半分が静脈ライン44b内に一体化されている接近切断センサを提供する。偶発的な針の切断を検出するための別法による機構は、導電性ブランケットを患者に接近する下流に使用することである。血液の存在は、ブランケットの導電性を変化させ、警報を発してポンプを停止させる。
【0059】
血液ポンプ48は、一実施形態では蠕動ポンプ48であり、圧力センサPT1と、PT2と標識された一体圧力変換器46を有する点滴チャンバ52aとの間に位置する。別法による実施形態の多数またはすべての点滴チャンバ52a〜52cの1つは、対応するレベルセンサ68a〜68cを備える。これらのセンサは、対応する点滴チャンバに接続されるか、または一体化される。レベルセンサ68a〜68cは、透析装置内の透析液または治療流体のレベルまたは高さを感知および指示する。血液ポンプ48は、別法によると、蠕動ポンプ以外の容量揚送デバイス、たとえばダイアフラムポンプまたは遠心ポンプである。血液ポンプ48は、以下で説明するとおり、システムのプライミングのために双方向でも良い。圧力センサPT246は、別法によると点滴チャンバに結合されず、たとえば、代わりに圧力変換器が使用される。圧力センサPT1およびPT2、点滴チャンバ52a、並びに蠕動ポンプ48用の管類102はすべてカセット100aに接続される。
【0060】
血液は、点滴チャンバ52aの後、カセット100aの筐体104から流出し、比較的小型の高流量透析装置の動脈透析装置30に流入する。図2に示すように、動脈透析装置30および静脈透析装置20は、カセット100aの筐体104の端部に取り付けられる。次に、血液は動脈透析装置30から静脈透析装置20に流れ、カセット100aの筐体104内に逆流して、第2点滴チャンバ52bを通る。点滴チャンバ52bも、PT3と標識された一体圧力センサ46を有する。PT3は、別法によると、たとえばラインに直結する圧力変換器が代わりに使用される場合、点滴チャンバを備えずに提供される。
【0061】
ABDと標識された気泡検出器54は、血液ライン50内の点滴チャンバ52bから下流に位置する。静脈ラインクランプ、またはV1と標識されたバルブ56であって、カセットを利用するか、またはカセット100aの外側に設けられ、検出器54がライン50内で空気を検出した場合に、血液の流れを遮断するバルブ56は、検出器54と動脈接近手段44bとの間に配置され、血液を患者42に返す。点滴チャンバ52b上の空気レベルセンサ(図示しない)は、ABD54の代わりに、またはABD54のほかに使用される。血液中の空気を検出するには、レベル検出機構に、点滴チャンバ52b、またはPT3と標識された圧力伝達器46を代わりに、またはさらに設ける。センサは、センサの送受信位置を通過する血液中の空気の割合に応じて信号を生成する。空気が存在しない通常の動作状態では、点滴チャンバ52b内の血液は比較的安定したレベルで存在するが、レベルの変動は、圧力、揚送される血液の量などによって生じる。チャンバ52b内の血液の閾値レベルは、血液が低下してはならないレベル未満に存在する。血液ライン中に空気が存在する場合、チャンバ52b内の血液レベルは閾値レベルより低く、別法による空気/血液検出器からの警報をトリガする。洗浄、プライミング、または血液のリンスバックによって必要な場合、空気検出器およびラインクランプをライン44a上に使用する点に注目することは重要である。
【0062】
透析液流路60も、主に、オーガナイザまたはカセット100aの筐体内に配置される。透析液は、先ず、透析液または治療流体供給バッグ14、16および18内に供給される。図4および図9〜図11に関連して以下に示す別法による実施形態では、源は、オンライン源またはその他のタイプの予めパッケージ化されていない源である。図1に示す実施形態では、最低1つの注入バッグが設けられ、1つの好ましい実施形態では複数のバッグ、たとえば3つの源14〜18が設けられる。図1は、先ず、システムに空の排水バッグ12が設けられ、排水バッグ12には、最初に使用された供給バッグ14、16または18からの使用済み溶液が充填されることを示す。最初の2つの供給バッグ14、16または18は、排水された後、それぞれ送出および最終溶液バッグの排水バッグになる。この治療法は、結局、投入された流体より多量の流体を除去するため、各々の供給バッグ14〜18は、使用済み流体およびUFを収容するために使用される。バッグの順序は、V8〜V14と標識されたバルブ56で示されるように制御される。
【0063】
透析液または治療溶液は、源14〜18の1つから集合1の容積式ダイアフラムポンプ22および24に流れる。ポンプの容量測定精度は、監視によって確認される。上記のとおり、交互に2種類の溶液供給ポンプ22および24を使用して、拍動流の量の制限することが望ましい。安全上の対策として、ポンプ22〜28の各々のダイアフラムは、漏れがある場合、外側にのみ漏れるように構成される。ポンプ22〜28の外側に収集される漏れは、次に、カセット100a、機械、および/またはカセット/機械インターフェース内に組み込まれた湿度センサ方向に方向転換され、湿度センサは、漏れ、および(i)警報、(ii)ポンプ22〜28および48を遮断し、(iii)その他の適切な動作を行うための信号を感知する。
【0064】
したがって、空気圧および機械式に駆動される適切な医療流体ポンプおよびダイアフラムは、2002年12月31日に出願された本願と同一の所有権者による特許出願第10/335,646「Systems,Methods And Apparatuses For Pumping Cassette−Based Therapies」に記載されており、この特許出願は、引用することにより本明細書に援用する。米国特許第5,431,626号およびその対応特許に具現されており、その示唆するところが引用により本明細書に援用されるHomeChoice(登録商標)シリーズのAPDデバイスに現在使用されているポンプおよび揚送技術も適切であり、様々な揚送技術は、2002年5月24日に出願された本願と同一の所有権者による米国特許出願第10/155,754号「Medical Fluid Pump」に記載されており、その示唆するところは、引用することにより本明細書に援用される。
【0065】
上記のとおり、各々のポンプ22〜28は、容積測定デバイス32〜38で個々に動作する。好ましい一実施形態では、容積測定デバイス32〜38は、関連するキャパシタプレートを表す破線により図1に示されているキャパシタンス流量センサである。キャパシタンスセンサの一実施形態は、2002年1月22日に出願された特許出願第10/054,487号「Capacitance Fluid Volume Measurement」に開示されており、この特許出願は、引用することにより本明細書に援用する。このキャパシタンスセンサは、キャパシタンス測定技術を使用して、チャンバ内部の流体の量を決定する。流体の量が変化すると、キャパシタンスの変化に比例する感知電圧が変化する。したがって、センサは、チャンバが、たとえば空であるか、8分の1充填されているか、4分の1充填されている、半分充填されているか、完全に充填されているか、またはその他の割合で充填されているかを決定することができる。これらの測定の各々は、正確に、たとえば少なくとも公知の重量計または圧力/流量測定によって達成される精度と同程度正確に行うことができる。しかし、キャパシタンスの感知は、比較的単純で非侵襲性、かつ安価であり、連続的な非バッチ方式の揚送タイプの動作と共に操作可能である。
【0066】
一般に、2つのキャパシタプレート間のキャパシタンスは、関数C=k×(S/d)に従って変化し、ここでkは誘電定数、Sは個々のプレートの表面積、dはプレート間の距離である。プレート間のキャパシタンスは、関数1/(R×V)に従って比例的に変化し、ここでRは既知の抵抗、Vは、キャパシタプレートを横断して測定した電圧である。
【0067】
医用流体または透析液の誘電定数は、一般に、空であるか、または排水行程の終わりのポンプチャンバ(たとえば、図1のポンプ22〜28の一部である図2のポンプチャンバ122、124、126および128)を充填している空気の誘電定数よりはるかに高い。一実施形態では、キャパシタンスプレートの1つは、チャンバ122を出入りする流体の量に応じて移動可能であり、プレート間に変化距離Δdを生じ、これは、キャパシタンスを決定する時の要因である。同様に、キャパシタンスプレートの表面積Sも可変である。図1に比喩的に示されている好ましい一実施形態では、キャパシタンスプレート32、34、36および38は互いに一定の距離に固定され、たとえば、カセット100aの筐体104の剛性プラスチックに固定される。この場合、表面積Sも一定であり、誘電定数kの変化は、ポンプチャンバ122〜128に透析液が充填されるか、または透析液が空にされる時のキャパシタンスの変化を表す。
【0068】
チャンバ122〜128内に位置する少なくとも1つの可撓性膜が膨張して、医用流体が充填されると、全体的なキャパシタンスが変化し、つまり増加して、一方が接地され、他方がアクティブなキャパシタプレートを横断して高度のインピーダンスポテンシャルを生じる。こうした高いインピーダンスポテンシャルは、チャンバ122〜128内の流体の量の指標である。感知したポテンシャルが変化しないか、または十分に変化しないが、変化することが予想されている場合、システム制御装置は、このような変化の欠如を、透析液中に閉じ込められた空気として認識し、適切な動作を命令する。
【0069】
キャパシタンス感知回路は、高いインピーダンス信号を増幅して、低いインピーダンスポテンシャルを生成するために設けられる。低いインピーダンスは、キャパシタンスプレート32〜38に返され、敏感な生成キャパシタンス信号が外部の電気的影響によって有効になるのを防止するために使用される。増幅されたポテンシャルは、ディジタル信号に変換され、システム制御装置に送られ、そこで濾過されて合計される。次に、グラフィカルユーザインターフェースを有するビデオモニタを使用して、容量および/または流速の指示をディジタル信号に基づいて、患者または操作者に視覚的に提供することができる。さらに、制御装置は、流速および容量情報を使用して、ポンプ集合2(ポンプ26および28)が、確実に適切な量の流体、つまりポンプ集合1(ポンプ22および24)から揚送される透析液の量に、患者から除去される規定量のUFを動脈透析装置30から取り出すようにする。
【0070】
キャパシタンスプレートまたは容積測定デバイス32〜38のその他の用途は、ポンプバルブV3およびV5、V2およびV4、V15およびV16および/またはV17およびV18を横断する漏れを検出することである。これらのバルブは、それぞれポンプ22、24、26および28の投入および排水行程時に循環および交互に入れ替わり、流体容器のバルブV8〜V14など、システム10内のその他のバルブよりはるかに頻繁に開閉する。したがって、ポンプの値は、他のバルブに比べて漏れに対してより敏感であり、システム10の動作には比較的重要である。
【0071】
ポンプのバルブは、交互の対で動作する。たとえば、流体をポンプ22に供給するには、バルブV3が開放し、バルブV5が閉鎖する。逆に、流体をポンプ22から押し出すには、バルブV3を閉鎖し、バルブV5を開放する。両方のバルブが、ポンプ行程が行われている間に開閉されると、容量測定誤差が生じる。本発明は、容積測定デバイス32〜38を使用して、バルブV3およびV5をテストするための方法および装置を意図する。
【0072】
一実施形態におけるバルブテストは、ポンプが、一定容量のポンプチャンバ間に捲縮された可撓性流体膜を有するという事実を利用する。投入行程が生じると、膜には、膜を膨張させる流体が充填される。次に、対応するポンプ入口バルブ(たとえば、バルブV3)が閉鎖し、可撓性ポンプチャンバ膜内に流体が閉じ込められる。部分的な排水行程は、機械的なピストンまたは正/負空気圧を介して試みられる。加わる圧力は、ポンプの構成要素を損傷するほどではないが十分であるため、入口または出口バルブ(たとえば、V3およびV5)が故障するか、または漏れが生じた場合に、流体が流れ、容積測定デバイス32〜36によって感知されると思われる容量の変化を生じる。
【0073】
バルブが適切に閉鎖し、透析液が非圧縮性であると仮定すると、加わる小さい圧力は流体を移動させず、検出可能な容量の変化を生成しない。漏れが存在する場合、容量の変化が生じて検出され、制御装置が警報条件を発行するか、またはその他の適切な処置を行う。上記のテストは、治療の開始時および/または断続的および周期的に全体的な治療の開始時に、たとえば5分ごとまたは1,000行程ごとに行うことができる。このテストは、評価されるべきであると思うが、少なくともポンプバルブV3およびV5、V2およびV4、V15およびV16またはV17およびV18のどの集合が漏れているかを検出できる。このテストは、すべてのタイプの医用流体システム、たとえば血液治療システム、鬱血性心不全システムおよび腹膜透析装置システムに適用できる。
【0074】
カセット100aのチャンバ122〜128および筐体104は、クラムシェルの第1部分を形成し、第2部分は、腎臓治療機械によって形成される。第1および第2部分は、少なくとも1つの可撓性部材、および透析液が存在する場合は透析液を収容する。これらの部分は剛性であり、好ましい一実施形態では、一定の容量を形成する。これらの部分は、キャパシタプレート32〜38の形状を形成し、これらのキャパシタプレートも収容する。つまり、キャパシタプレートの一方は、カセット100a内に収容され、他方は治療機械の内部に収容される。別法によると、両方のプレートが治療機械内部に収容され、カセットの両側に1つずつ収容される。上記のとおり、カセットまたは機械は(どちらが、設置キャパシタプレートではなく、アクティブキャパシタプレートを収容するとしても)、アクティブキャパシタプレートから送信される高度のインピーダンス信号に雑音防止を提供する追加のガードまたはシールドプレートを収容する。
【0075】
上記のキャパシタンス容量センサの代わりに、ポンプ22〜28を貫流する透析液の容量または質量は、電子重量計または秤を使用するなど、その他の方法を使用して決定することができる。別法によるその他の実施形態では、本明細書に記載する何らかのシステム内を流れる透析液の執拗または容量は、医療グレードの様々なタイプの流量計、オリフィスプレート、質量流量計、またはボイルの法則を使用するその他のデバイスを使って感知することができる。さらに、HomeChoice(登録商標)に使用される流体管理システム(「FMS」)技術も、本発明に使用するのに適しており、この技術は、米国特許第5,431,626号およびその対応特許に具現されており、各々の特許が示唆するところは、引用することにより本明細書に援用する。この技術を使用する空気圧制御システムについて、以下で詳細に説明する。導電性センサは、バルブを横断する導電性状態および非導電性状態も検査し、バルブの漏れの検出は、この方法の場合は容易である。
【0076】
さらに別法によると、たとえば本発明の譲受人に譲渡された米国特許5,486,286号に記載されている流体平衡チャンバまたは適合流量平衡装置が使用され、この特許は、引用することにより本明細書に援用され、やはり本発明の譲受人が製造するSystem1000(登録商標)に使用されている。平衡チャンバまたは流量平衡装置は、一実施形態のカセット内に一体化され、別個のポンプまたは加圧源が必要である。チャンバまたは平衡装置は、ダイアフラムの一方のガイドワイヤの新鮮透析液、およびダイアフラムの他方のガイドワイヤの使用済み透析液を管理して、新鮮な透析液および消費された透析液の体積流量を適合させる。次に、別個のポンプを使用して、患者のセッション間に蓄積された患者42からの流体を限外濾過液する。蠕動ポンプも使用され、これは、透析液を透析装置20および30または本明細書に記載する何らかの血液濾過デバイスに揚送し、等量の流体をこれらのデバイスから揚送して、規定量の限外濾過液を制御して患者から排水する。1つの適切な蠕動ポンプ構成は、図12に関連して以下に示す。平衡チャンバおよびその他の容積制御デバイスを使用するシステムについて、以下に詳細に記載する。
【0077】
さらに図1〜図3を参照すると、V2、V3、V4およびV5と標識されたバルブ56は、ある時点で、どのポンプに透析液を充填し、どのポンプから透析液を排出するかを制御する。これらのバルブ、および本明細書に記載するシステムのすべてのバルブではないとしても殆どのバルブは、電気機械的部分が、血液治療機械、および図2に示す流体流部分156内に収容される。ポンプ22および24を出て行く透析液または腎臓治療流体は加熱器58に入る。加熱器58は、別法によると、容積式ダイアフラムポンプ22および24より前に配置される。加熱器58は、任意の適切なタイプの電気医療流体加熱器、たとえばプレート(電気抵抗)加熱器、赤外線またはその他の放射加熱器、対流加熱器、およびこれらの何らかの組合せで良い。加熱器58は、直列加熱器として示されている。図2に示すように、透析液は、カセット100aの可撓性膜加熱部分158を貫流する。加熱器58に関連する電子回路およびその他のハードウェアは、腎不全治療機械の内部に位置する。加熱器58は、別法によると、溶液バッグ14、16および18をバッチ加熱するように配置される。
【0078】
V6と標識されたバルブ56は迂回路を提供し、この迂回路は、非常に高温または非常に低温の溶液が、ポンプ22および24の上流位置に方向を転換し、非常に高温/低温の溶液が透析装置20および30に達し、最終的に血液回路50に達するのを防止することができる。そのため、T2と標識された温度センサ62は、システム10の制御装置にフィードバックを提供し、加熱器58を出て行く透析液の温度を指示する。温度センサ62は、熱電対またはIRセンサまたはサーミスタで良く、これらは、導電性センサプローブ63内に収容されるか、一体に収容されるか、または直接隣接して収容される。導電性感知は温度に依存するため、2つのセンサ62および63を一緒に配置するか、または互いに直接隣接して配置する。
【0079】
温度センサ/導電性センサの適切な位置は、たとえば、流体が透析装置20および30に達する前に、流体の導電性を感知するセンサの位置T2、T3である。導電性センサ63は、溶液の電解質成分をテストするために使用する。導電性センサまたは電解質センサ63は、特に、使用直前に混合される複数の溶液成分を有する二重チャンババージョンの容器14、16および18を使用する場合に有用である。
【0080】
PT4と標識された圧力センサ46は、静脈透析装置20を流れる流体の圧力を測定し、一実施形態では、V19と標識された通気バルブ64cおよび通気バルブ56を通して空気をパージする追加の点滴チャンバ52cに関連して設けられる。あるいは、センサPT4およびチャンバ52cは、容積式ダイアフラムポンプ22および24より前に配置される。
【0081】
透析液は、次に、静脈透析装置20内に流入する。静脈透析装置内部に収容された膜は、上記のような高流量膜である。透析液流路は、制限手段40を介して静脈20および動脈30透析装置に接続する。制限手段40は、著しい量の透析液を静脈透析装置20の高流量膜から、静脈透析装置20内の膜を貫流する血液中に直接流入させる。制限手段は、血液ラインに至る静脈透析装置20に入る透析液の10〜90%の背圧に設定することができる。上記のとおり、制限手段40は一定または可変で良い。一定の制限手段が望ましい場合、図1に示す2つの透析装置20および30を使用するのではなく、1つの透析装置を使用することができる。図1に示す部品20、30および40の代わりに使用するのに適する内部流量制限手段を有する透析装置は、本願と同一の所有権者による米国特許第5,730,712号「Extracorporeal Blood Treatment Apparatus and Method」に記載されており、この特許は、引用することにより本明細書に援用する。記載されているとおり、この透析装置は、固定オリフィスを有するという制約がある。
【0082】
上記に暗に示したとおり、制限手段40が可変制限手段であることは、多くの点で望ましい。1つの理由として、異なる患者が、比較的対流的であるかまたは比較的拡散的である治療に反応する場合がある。コストおよび製造上の見地から、必要な流量制限手段を取り付けられた「特定用途向け」のユニットではなく、どの患者にも合わせて調節できるユニットであることが望ましい。第2に、患者および医師が、最適な割合の対流浄化対拡散浄化の分類を最初に把握していないために、ある期間の実験および最適化が必要になる可能性が非常に高い。さらに、ある患者が、最初に第1の割合の対流浄化対拡散浄化を使用して、第1の治療を行い、その週の後日、翌日、または同日のうちの後に、第2の治療を行うことが望ましい場合がある。
【0083】
さらに、システム10は、1回の治療セッションまたは処置時に、たとえば段階的増分で、または連続的に対流浄化対拡散浄化の割合を変更する機能を有する。こうした変化は、必要に応じて徐々に、または急速に、必要な範囲で行うことができ、たとえば90%の対流から開始して、90%の拡散で終わることができる。特定サイズもしくは一連のサイズの分子、または特定タイプの分子を治療時のある時点、たとえば治療の開始または終了時に浄化することが望ましいと決定されるかもしれない。可変制限手段40は、1回の治療時に、一定の設定または設定のパターンを繰り返すことも可能にする。
【0084】
本発明は、制限手段40に少なくとも3つのレベルの可変性を考えている。第1レベルは、「半固定」と呼ぶことができる。この場合、制限手段は、固定オリフィス制限手段プレートを使用するが、制限手段40は、異なるサイズのオリフィスを有するプレートをスワップアウトできるように構成および配置される。しかし、このようなスワップアウトは、治療間で行われるであろう。第2レベルの可変性は、「オンザフライ方式手動」と呼ぶことが出来る。この場合、制限手段40は、手動調整を有する背圧調整装置または可変オリフィスバルブであって、患者または操作者が背圧を調節し、ひいては対流対拡散浄化の割合を調節することを可能にするバルブで良い。このような手動調節は、現在の治療時、または治療間に行うことができる。第3レベルの可変性は自動であり、たとえば、空気圧作動背圧調整装置または可変オリフィスバルブを介して行うことができる。このような空気圧作動デバイスは、制御された圧力で空気圧信号を受信し、背圧を相応に設定する。制御装置は、たとえばアナログ信号、たとえば0〜5VDCまたは4〜20mA信号を出力するように構成することができ、信号は、I/P変換器を介して、対応する圧力で圧力信号に変換される。この自動調節は、現在の治療時に、または治療間で行うことができる。
【0085】
さらに、図1〜図3を参照すると、ポンプ26および28を含むポンプ集合2は、出口端部の動脈透析装置30上に存在する。ポンプ構成を含むポンプ集合1に関する上記の様々な実施形態の各々は、ポンプ集合2に適用することができる。ポンプ集合2は、通常、ポンプ集合1の新鮮透析液の投入量に、治療セッション間に患者の血液および組織中に蓄積した過剰な流体を除去するための追加の量が加わった速度で揚送するように構成される。
【0086】
使用済み透析液、および透析間の期間に得られた患者の流体に容量的に等価な流体は、動脈透析装置30をから、V16およびV18と標識されたバルブ56を通り、ポンプ26および28を通り、V15およびV17と標識されたバルブ56を通り、血液漏れ検出器66を通って排水バッグ12〜16に流入し、これらのバッグは、上記のとおり、V9〜V14と標識されたバルブ56を介して選択的に開放される。バルブ56、検出器66およびポンプ26および28の流体接触部分は各々、一実施形態では、カセット100aの筐体部分104内に配置される。廃棄物、および患者のUFに容量的に等価な流体は、別法によると、BLD66の後、許容可能な排水管内に配置された長い管類に経路を指定される。この代案は、平衡重量計システムと連動しない。
【0087】
血液漏れ検出器66は、一実施形態では、光源および光検出器を備える。透析装置20および30を通して濾過されない血液成分は、こうした成分が透析装置の膜壁を通って治療溶液の流路内に移動する場合、検出器66の光検出器に達する光を低下させる。システム10の制御装置は、光検出器を連続的に監視する。血液の漏れが検出されると、音声および/または視覚警報をトリガし、血液ポンプ48を停止して、静脈ラインのバルブV1を閉鎖する。検出器66などの血液センサは、代わりに、またはさらに、静脈透析装置30からポンプ26および28に至る静脈ライン内に配置される。
【0088】
特別なモードでは、ポンプ集合1の輸液ポンプ22および24は、ポンプ集合2のポンプ26および28によって除去されて排水される量より多くの溶液を輸液することができる。たとえば、プライミング時、血液リンスバック時、または適用量を注入する間、輸液ポンプ22および24は、ポンプ26および28によって除去された量より多量の量を注入することができる。この特別なモードでは、システムが流体を充填することを可能にし、治療の終わりにライン50内の血液を患者42にリンスバックするか、または患者42が、溶液の適用量を静脈透析装置を介して、回路50の次の透析装置部分内に収容し、静脈接近手段44bを介して患者42に収容することが可能である。
【0089】
プライミング時、動脈および静脈の針44aおよび44bは、図2に示すように互いに接続される。ポンプ集合1および2のポンプは、空気がシステムからパージされるまで作動させ、透析液のみ(または、実質的に透析液のみ)が透析液流路60を全体に流れるようにする。血液ポンプ48が揚送を開始すると、透析液および/または生理食塩水は、静脈透析装置20から逆濾過されて、血液ライン50内に流入し、体外回路50の残りの部分をプライミングする。プライミングの代わり、プライミングの追加の形式は、生理食塩水のバッグを動脈の接近手段44aに接続することである。
【0090】
一実施形態では、血液は、血液ポンプ48の流動方向を逆転させることによって体内に返され、この場合、追加の空気/血液検出器、およびABD54、およびライン44aのポンプ48と患者42との間に配置されるクランプV1などのクランプが必要になるであろう。血液ポンプ48は、追加の空気血液センサが、ライン44a内血液がないことを検地するまで逆に作動する。ポンプ48は、再び逆転し、流体を通常の方向に流し、静脈ライン44b内で血液が感知されなくなるまで、濾過された透析液および血液を患者42に返す。別法によると、血液リンスバックのこの同じ方法が使用されるが、空気血液センサは、洗浄が予め設定された透析液および/または生理食塩水の容量によって制御される以外、血液が存在しないことを確認するためにのみ使用される。
【0091】
代替源−流体調合モード
次に、図4を参照すると、別法によるシステム110が示されており、これは、上記のシステム10と非常に類似する方法で動作する。当然、図1および図4に示す類似の参照符号の各々は、上記と同じ機能および同じ代替物を有する。システム110は、上記の対流および拡散浄化を行い、治療セッション間に患者42が得た流体の量を除去する。
【0092】
システム110がシステム10と異なる点は、システム110は溶液バッグ14〜18および排水バッグ12を使用せず、代わりに、別個の流体調製モジュール112で動作し、流体調製モジュール112に接続することである。システム110は、患者42が、上記のように、複数の溶液バッグを保存し、溶液バッグに接続し、溶液バッグの接続を断ち、溶液バッグを廃棄する必要がないという点で有利である。システム10および110を比較すると分かるように、システム110は、オンライン透析液生成源112を使用することによって、複数のバルブ56(V9、V10およびV12〜V14)を排除している。
【0093】
家庭用に適する1つの適切な流体調製モジュール112は、PrisMedicalから市販されているが、透析液を調製するために浄水パックおよび電解質カートリッジを有するその他のシステムを使用することができる。システム110は、別法によると、大きい、たとえば約120リットルの充填バッグまたは充填容器(図示しない)を使用し、これらは、調製モジュール112から透析液または治療流体を収容する。また、システム110はセンター内の環境に匹敵し、単独の開存または中心流体調製モジュール112が1つまたは複数のシステム110に供給する。単独の患者または中心比例配分モジュールは、比例配分システムを使用して、透析液または補充液を調製することができる。センター内での使用の場合、カセット100aを使用することは意図せず、代わりに、殺菌して再利用可能な機械を提供する。システム110の上記の実施形態の何れかでは、システムは、使用済み透析液およびUFを使用済み透析液バッグ、廃棄物容器、排水管または廃棄物領域114に揚送する。
【0094】
再生ループの追加
次に、図5を参照すると、別法によるシステム210が示されており、これは、再生ループ212を透析液流路に追加するものである。図4と同様、図1、図4および図5に示す参照符号と同じ参照符号の各々は、上記と同じ機能および代替物を有する。システム210も上記の対流および拡散浄化を行い、治療セッション間に患者42が得た流体または限外濾過液の量を除去する。
【0095】
再生ループ212は、関連する容積測定デバイス216で動作する追加のポンプ214を備える。揚送、流量の測定および流量の制御に関して上記で述べたどの実施形態も、ポンプ214および測定デバイス216に使用することができる。V22、V23およびV26と標識された追加の入口および出口バルブ56は、動脈透析装置30からの使用済み透析液/UFの流れがポンプ214に揚送されるようにするか、または揚送されないようにするために設けられる。図示のとおり、ポンプ214は、再循環吸着剤カートリッジ222または排水管に揚送することができる。V24およびV25と標識された追加の出口バルブ56は、UFポンプ26および28に流体的に接続され、これらのポンプは、排水管または再循環吸着剤カートリッジ222に選択的に揚送することができる。つまり、ポンプ26および28のどの組合せも、治療時に繰り返し、または異なる時に使用して、再循環させるかまたは限外濾過することができる。
【0096】
図示のとおり、図示のポンプ214は、ライン220を介して動脈透析装置30の入口に、使用済み透析液/UFを逆に揚送するように構成される。ライン220は、別法によると静脈透析装置20の入口に達し、再生された流体は透析装置中に再度導入される。さらに、再生流体は、静脈透析装置20および動脈透析装置30の入口の両方に揚送することができる。さらに、動脈透析装置30を出る流体を再生する代わりに、またはそのほかに、静脈透析装置20を出る流体を再生することが可能である。
【0097】
システム210では、UFポンプを通って揚送される総量は、追加の再循環ポンプ214によって変化する。上記の実施例では、ポンプ集合2のポンプ26および28は、治療過程で添加された18リットルの透析液(12リットルは対流浄化に使用され、6リットルの透析液は拡散浄化に使用された)および患者から限外濾過された何らかの流体を除去するということだった。
【0098】
上記の実施例で使用された18リットルをシステム210に適用し、12リットルが対流浄化を生成するために使用されると仮定すると、残りの6リットルおよび再循環ループ212を通って再循環される流体の量は、次に、拡散浄化を精製するために使用される。ポンプ26、28および214が、動脈透析装置30を出る流体全体の3分の1が再循環されるように構成される場合、毎分225ミリリットルが動脈透析装置30から抜き取られ、75ミリリットルが、再循環ループ212を通過し、150ミリリットルが排水バッグ12、14および16内に排出される。拡散浄化は、透析液が1回通過するごとに6リットル、および再循環ループ212の透析液が120分間で毎分25ミリリットル、つまり6リットルに9リットルを加算して、合計15リットルの拡散浄化になる。ポンプ26、28および214が、それぞれ毎分100ミリリットルで動作する場合、動脈透析装置30を出る流体全体の2分の1は、再循環ループ212を通って再循環され、拡散浄化は、6リットルに、120分間で毎分150ミリリットル、つまり6リットルに18リットルを加算して、拡散浄化全体で24リットルになる。
【0099】
浄化の増加に対するトレードオフは、動脈透析装置30から抜き取られて出て行く使用済み透析液/UFを浄化または再生するために、再循環ループ212に吸着剤カートリッジ222が必要なことである。再生流体に必要な量および質に応じて、カートリッジ222は、炭素カートリッジと同様に単純だが、別法によると、ウレアーゼを含む多層カートリッジである(米国特許第3,669,880号および第3,669,878号に記載されているカートリッジに類似し、この特許の示唆するところは、引用することにより本明細書に援用する)。したがって、適切なカートリッジおよび物質は、本願と同一の所有権者による米国特許出願第10/624,150号「Systems And Methods For Performing Peritoneal Dialysis」、および本願と同一の所有権者による米国特許出願第10/623,317号「Systems And Methods For Peritoneal Dialysis」に記載されており、これらの特許出願の示唆するところは、引用により本明細書に援用する。カートリッジ222に使用される吸着剤のタイプに応じて、システム210、および吸着剤を使用する本明細書に記載するその他の何らかのシステムは、吸着剤カートリッジ内で失われる電解質を補充するために、ライン220上に減菌注入剤の添加物616を必要とし、注入に関係なく電解質を測定するために、導電性温度センサ62、63を必要とする。
【0100】
一般に、浄化カートリッジは、使用済み流体から老廃物を除去し、毒素の拡散搬送に関連する際の浄化カートリッジの効率を改善する。吸着剤カートリッジまたは浄化カートリッジ22は、1つまたは複数の異なるタイプの洗浄剤または交換器、たとえば活性炭濾過器、吸着剤交換、化学洗浄剤、化学交換、生物学的洗剤、結合吸収剤、酵素(enzomatic)反応剤、機械的洗浄剤、およびこれらの何らかの組合せを使用することができる。
【0101】
カセットベースの血液濾過システム
次に、図6および図7を参照すると、システム310および410は、それぞれ、カセットベースの家庭用システムが、別法によると純粋な血液濾過を行うように構成することができることを示している。上記のシステム310および410とシステム10、110および210との主な相違点は、純粋血液濾過システムは、静脈透析装置20および制限手段40を使用しないことであり、これらをカセット100aから単に除去するかまたは迂回して、血液濾過システム310または410を形成する。次に、図1の動脈透析装置30は、システム310または410内の血液濾過器312として動作する。したがって、動脈透析装置30/血液濾過器312は、両方の役割を果たすことができるように選択する。
【0102】
システム310の他の部分は、ライン314(図1に示す)を静脈透析装置20(図1)から分離し、そのラインを図6の後希釈ライン316に再接続して構成される。このような分離および接続およびは、カセット100aの筐体104内で行われるか、またはカセット100aに接続された管類を介して行われる。したがって、本発明は、工場で取り付けるか、現場で取り付けるか、または患者が家庭で取り付けて、上記の血液濾過、または逆濾過血液透析濾過(「HDF」)療法を行うことができるカセットの提供を明確に意図する。
【0103】
逆止バルブは、血液がポンプ22および24内に逆流するのを防止するために、ライン314内に配置される。類似の逆止バルブ326は、本明細書に記載する血液濾過またはHDF実施形態、たとえば図6〜図8および図11と同じ場所に使用することができる。任意のシャントライン324、およびV20と標識されたバルブ56は、前希釈および後希釈HFを選択的かつ個々に、またはシステム310および以下に示すその他のシステムと同時に行うことができるように使用することができる。
【0104】
図示のシステム310は、後希釈血液濾過デバイスであり、輸液ポンプ22および24からの流体は、血液濾過器312の下流に位置する後希釈血液ライン316内に直接射出される。別法による一実施形態では、輸液ポンプ22および24からの流体は、血液濾過器312の上流に位置する前希釈血液ライン318内に直接射出される。この場合、好ましい一実施形態における流体は、空気が濾過器312に入るのを防止するために、点滴チャンバ52aに、またはその上流に射出される。前希釈および後希釈は共に、互いに独自の特定の利点を有する。
【0105】
後希釈は、前希釈浄化モードに比べて、1リットルの補充溶液当たりの浄化が改善される。1リットルの補充液当たりの後希釈浄化は、たとえば、前希釈浄化の2倍効果的である可能性がある。しかし、後希釈血液流速の制限は、血液濃縮の危険性によって補充液の総量を制限する。前希釈は、補充液の量が血液濃縮によって制限されないため、比較的高度の浄化が可能である。したがって、ある時間にわたる全体的な浄化は、比較的効率的ではないにも関わらず、後希釈療法に比べて前希釈療法を使用する場合の方が大きい。
【0106】
図7は、本発明の血液濾過システムのもう1つの別法による実施形態を示す。図7のシステム410は、透析液ライン320が後希釈輸液ポンプ22の出力部から延在し、血液濾過器312を出る後希釈ライン316内に直接供給することを示す。
【0107】
第2ライン322は、前希釈ポンプ24の出力部から、血液濾過器312の入力部に延在する前希釈ライン318の真向かいに配置された点滴チャンバ52aに延在する。逆止バルブ326は、両方のライン320および322内に配置され、血液がそれぞれポンプ22および24内に逆流するのを防止する。図6および図7に記載の実施形態は、図1、図4および図5に関連して上記で説明する構成要素と同じ構成要素の多くを有する。これらの構成要素は、同じ参照符号で示され、これらの参照符号に関する上記の特徴および代替物の各々を備える。
【0108】
透析液流路460は、上記の透析液または治療溶液流路とは多少異なるように構成される。図示のとおり、加熱器58は、ポンプ集合1、つまり後希釈ポンプ22および前希釈ポンプ24の前面に移動する。さらに、同様に、点滴チャンバ52cは、ポンプ集合1の輸液ポンプ22および24の前面に移動した。点滴チャンバ52cには、図示のとおり、T1およびT2と標識された2つの温度センサが設けられる。点滴チャンバ52cも、上記のとおり通気口64cで動作する。加熱器58を出る加熱流体は、後希釈および前希釈ポンプ22および24に入る。
【0109】
後希釈ポンプ22を出る流体は、ライン320を介して後希釈ライン316に流れ、そこで、流体は別法による血液回路350に入り、対流浄化を行う。前希釈ポンプ24から揚送される流体は、前希釈ライン322を介して点滴チャンバ52aに流れ、透析液または治療流体は、点滴チャンバ52a内でポンプ48を介して揚送される血液と混合される。血液および透析液または治療流体は、その後、血液濾過器312に流れる。
【0110】
ポンプ22および24が、一定期間に同量の流体を揚送すると仮定すると、透析液または治療流体の50%は後希釈浄化に使用され、他の50%は、殆ど前希釈浄化に使用される。この割合は、ポンプ22および24の周波数を変えることにより変更できることに注意することは重要である。後希釈透析液は、患者42に入った後に血液濾過器312を貫流する。一方、前希釈透析液または治療流体は、血液濾過器312を貫流してから、患者42に達する。
【0111】
透析液の供給に関して本明細書に記載する実施形態は何れも、予めパッケージ化されているか、またはオンラインで調製されるかに関わらず、図6および図7のシステム310および410、並びに本明細書に記載するその他の実施形態の各々に適用することができる。さらに、図2および図3に関連する上記のカセット、および治療機械および供給バッグを構成するために以下に示す実施形態の各々は、さらに図6および図7の血液濾過実施形態で動作可能である。血液濾過システム310および410は、好ましい一実施形態ではカセットを使用しており、家庭用に容易に適用することができる。
【0112】
カセットベースの血液透析濾過システム
次に、図8を参照すると、家庭用血液透析濾過システム510の一実施形態が示されている。上記のシステム10、110および210は、対流および拡散搬送モードが、透析装置部分20および30間に配置された制限手段40によって生じるタイプの血液透析濾過療法を提供する。一方、システム510は、異なる流動構成を介して血液透析濾過システム510を提供する。それにも関わらず、上記の血液透析濾過システム510の流動構成要素の多くは、1回の治療のために血液透析濾過機械内に挿入される使い捨てカセット上に設けられる。
【0113】
血液透析濾過ユニット510の透析液または治療流体流路560は、図7に関連して説明したシステム410および図5に関連して説明したシステム210の複合型流路である。図7と同様に、後希釈輸液ポンプ22は、ライン320を介して透析液を後希釈血液ライン316に直接揚送し、前希釈輸液ポンプ24は、ライン322を介して濾過器20、30内に透析液または治療流体を揚送する。別法による実施形態では、血液透析濾過システム510は、透析液のみを前希釈ライン318および後希釈ライン316内に注入する。
【0114】
図5と同様、システム510も、追加の限外濾過液ポンプ216を有するように示されており、この限外濾過液ポンプは、使用済み透析液の一部分を透析20、30から抜き取り、再循環ライン220および活性炭またはその他の吸収剤カートリッジ222を通してその部分を揚送する。上記のとおり、カートリッジ222は、透析装置20、30からの使用済み透析液および限外濾過液の一部を再生し、最終的に、1リットルの拡散浄化について、容器14〜18からの比較的少ない流体を使用する。カートリッジ222に使用する吸着剤のタイプに応じて、システム210、および吸着剤を使用する本明細書に記載する何らかのその他のシステムは、吸着剤カートリッジ内で失われる電解質を補充するために、ライン220上に減菌注入剤の添加物616を必要とし、注入に関係なく電解質を測定するために、導電性温度センサ62、63を必要とする。しかし、血液透析濾過システム510が再生ループ220またはカートリッジ224を必要としないことは、評価されるべきである。
【0115】
血液透析濾過システム510は、上記のシステム10、110および210に類似する方法で動作する。つまり、両方のシステムとも、対流および拡散浄化モードを提供する。システム510の場合、対流浄化が生じるのは、輸液ポンプからのライン320および322が、透析液または治療流体を血液回路350内に直接搬送するためである。逆止バルブ326は、ライン320および322の両方に配置され、血液がそれぞれポンプ22および24内に逆流するのを防止する。拡散浄化が生じるのも、透析液が、透析装置20、30内部の膜を横断してさらに移動するためである。
【0116】
多くのセンサの少なくとも一部分、ポンプチャンバ、流体加熱経路、バルブ56の流体流部分、およびシステム510のその他の多くの構成要素は、全体的に、または部分的にカセット100aなどのカセット上に設けられる。次に、カセット100aは血液透析濾過機械内に装填されて1回使用された後、廃棄される。したがって、システム510は、家庭用に良く適する。
【0117】
再循環
上記のシステムは、たとえば図1に示すバッグから、またはたとえば図2に示す流体精製パックかの減菌透析液などの流体源を必要とする。図9〜図11は、本明細書に記載する何れかの治療(たとえば、対流および/または拡散浄化モードを使用する)に適用できるシステムを示す。しかし、図9〜図11のシステムは、超高純度透析液源を生成する様々な濾過器を有する再循環吸着剤システムを使用する。
【0118】
次に、図9〜図11を参照すると、様々な吸着剤ベースの再生システムが示されている。図9は、上記のシステム10、110および210で説明した逆濾過対流および拡散を行う吸着剤ベースの再生システム610を示す。図10は、システム(図9の610または図11の710)が、洗浄またはプライミングの開始時にシャントされることを示す。図11のシステム710は、吸着剤ベースの再生を使用する血液濾過システムであり、図8に示す前希釈および後希釈タイプのHFおよびHDFシステム510に適用することができる。
【0119】
図9のシステム610では、患者42は、最初5リットルの減菌透析液バッグを使用し、このバッグは、剛性容器内に取り付けられて、貯槽612を形成する。別法によると、5リットルの水および濃縮粉末または液体は、貯槽612内で混合されて、初期治療溶液を形成する。
【0120】
図10は、処置の開始時に、シャント614が、透析装置20および30を横断して配置されることを示す。吸着剤カートリッジ222は、シャント614の下流にある透析液流路620に配置される。カートリッジ222は、たとえば、図5のシステム210に関連して上記で述べたどのタイプ吸着剤システムでも良い。たとえばカルシウム、マグネシウムおよび/またはカリウムを含む注入剤616は、吸着剤カートリッジ222を介して除去されたイオンを補充する必要に応じて、注入剤ポンプ618を介して貯槽内に揚送される。
【0121】
加熱器58は、貯槽612を出る溶液を加熱する。溶液が加熱された後、システム610は、使用者または患者42が、上記のカセット100aなどの使い捨て式の減菌カセットを取り付けるように促す。気泡検出器54、加熱器58の加熱要素、圧力センサ46、温度センサ62などの少なくとも一部分は、患者の安全の処置、およびシステム610の確実な動作を可能にするために必要に応じて、透析液および体外血液流路の両方においてカセット内に一体化される。血液回路50は、動脈血液ラインに接続された生理食塩水バッグを使って、または静脈透析装置20を通る透析液または生理食塩水の逆濾過を介してプライミングされる。
【0122】
患者は、それぞれ動脈および静脈接近ライン44aおよび44bに接続され、治療が開始する。短時間の治療の場合、透析液の流量は比較的多量であり、たとえば3時間で毎分300ミリリットル、または8時間以下で毎分100ミリリットルである。透析液ポンプ22および24およびUFポンプ26および28は、透析装置20および30との間の流量を制御する。流出透析液を動脈透析装置30から除去するポンプ26および28の揚送量を増加することによって、透析間の期間に患者内に蓄積した流体が除去される。透析液/LTFポンプ22〜28の流体流部分は、一実施形態では体外回路と共にカセット内に一体化される。別法によると、これらの構成要素はカセットとは別個に保持され、機械内に一体化される。
【0123】
図9は、透析液流用の2つの容量デバイス22および24、並びに26および28の2つを示す。別法によると、入力部に1つのポンプを使用し、出力部に1つのポンプを使用するが、この構成は拍動流を生じる可能性があり、あまり望ましくない。
【0124】
新鮮透析液は、最初は静脈血液透析装置20に流れる。透析装置20と30との間に配置された制限手段40は、透析装置20内に背圧を形成し、その結果、比較的多量の透析液が血液回路50内に逆濾過され、透析液の残りの部分は、動脈透析装置30に流れる。システム610は、本明細書に記載するとおり、このようにして拡散および対流浄化を提供する。
【0125】
次に、動脈透析装置30から抜き取られる使用済みの透析液およびUFは、吸着剤カートリッジ222を通って循環される。カートリッジ222は、使用済み透析液/UF流体から老廃物を除去する。浄化された流体は、貯槽/バッグ612に揚送され、そこで、吸着剤カートリッジ222によって除去された電解質を補充するために、注入剤616が添加される。
【0126】
透析液流路620の大部分は、カセット内に位置する。カセットは、ある実施形態では使い捨てだが、別法によると、適切な消毒および/または殺菌を行って再利用される。体外回路50の殆どすべての構成要素は、管類が患者との間に延在する以外、カセット内に一体化される。システム610の体外回路50は、システム10、110および210の上記の回路50に類似する。
【0127】
透析液/注入剤は、貯槽612を出る時に加熱され、温度/導電性センサ62を通過して流れる。溶液が非常に高温であるか、非常に低温であるか、さもなければ画定された生理的範囲外である場合、限外濾過器626が設けられたバイパスバルブ56が閉鎖され、バイパスライン628が開放して、透析装置20および30を迂回する。この迂回の際、注入剤およびUFのポンプ22〜28は共に停止される。この迂回、および貯槽612との間の流体の円滑かつ安定した流れを促進するため、第2循環ポンプ624bが使用される。
【0128】
溶液は、画定された温度/生理的範囲内である場合、再利用可能な限外濾過器626を通過し、限外濾過器626は、細菌を濾過する分子量の遮断を使用する。限外濾過器626は、菌体内毒素も濾過および吸収する。限外濾過器626を含むシステム610の濾過は、できるだけ純粋な形態で透析液を提供するために意図されている。限外濾過器626は、マイクロ濾過器が許容可能な量の細菌および発熱物質を除去することができる場合、マイクロ濾過器でも良い。
【0129】
透析液または治療溶液は、限外濾過器626から輸液ポンプ22および24に揚送される。流量測定デバイス32〜38は、ポンプ22〜28によって揚送される流体の容量を監視する。ポンプ22〜28は、上記のとおり、外部位置に漏れるように構成される。漏れは、漏れの検出後、正しい行動が取られるように、カセットおよび/またはカセット/機械インターフェース内に組み込まれた湿度センサ内に方向転換される。
【0130】
流体は、一実施形態では、輸液ポンプ22および24から、小型の0.2μmマイクロ濾過器630を通って流れる。濾過器630はカセットに一体化され、細菌および菌体内毒素の追加の濾過を行う。透析液は、濾過器630から、高流量膜を使用している静脈透析装置20に流れる。透析液流路620は、2つの透析装置間で制限手段40を介して、静脈および動脈透析装置を接続する。制限手段40は、著しい量の透析液を静脈透析装置20内部の血液回路50内に直接推進するために、背圧を提供する。透析液の残りの部分は、動脈透析装置30に流れる。
【0131】
UFポンプ26および28は、動脈透析装置30の出口側に設けられる。これらのポンプは、通常、新鮮透析液に、治療セッション間に患者の体内に蓄積した流体を除去するための追加の量が加わった速度で揚送するように構成される。使用済み透析流体およびUF流体は、次に、吸着剤カートリッジ222に循環されて浄化された後、貯槽612に戻り、たとえば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、およびおそらく酢酸ナトリウムの注入剤616を収容する。システム10に関連して上記で述べたとおり、ポンプ22〜28は、別様に動作して、プライミング、適用量の注入、または血液リンスバックを行うことができる。
【0132】
図11は、透析装置20および30を血液濾過器312に置き換えるシステム710を示す。システム710は、それぞれバルブ56、並びに前希釈および後希釈流動ライン712および714を介して、前希釈、後希釈または両方のタイプのHF治療を行うように構成される。前希釈および後希釈HFは、抗凝結剤の必要性をなくす。システム710は、冗長性の点で示すとおり、複数の限外濾過器626およびバイパスライン628を使用している。複数の濾過器は、1つの濾過器に障害が生じたか、さもなければ適切に機能しない場合、連続する他の濾過器が順に確実に適切な濾過を行うようになっている。各々の濾過器は、細菌および菌体内毒素の減少に関する定格ログを有する。したがって、細菌レベルが非常に高い点に達した場合、ある程度の細菌は第1濾過器を通って、連続する第2濾過器に搬送されるというように順に行われる。
【0133】
システム610および710は、多くの別法による実施形態を含む。限外濾過器626および/またはマイクロ濾過器630は、再利用可能であってもなくても良い。ポンプ22〜28および流量測定デバイス32〜38は、システム10に関連して上記で述べた代替物の何れか、たとえば、本発明の譲受人が製造するSystem1000(登録商標)などの適合流量平衡装置を含む。代替物の何れかは、少なくとも部分的にカセットと一体化されるか、または透析機械のどこかに設けられる。その他の別法による方法は、ピストンポンプなど、その他の容量揚送技術を使用する(ピストンポンプによっては、ピストンが溶液を空気に暴露した場合、新鮮透析液ループ内のポンプの次に、限外濾過器を配置して、溶液が汚染するのを防止する必要がある)。さらに、容量ポンプの代わりに流量監視装置を使用することができる。この場合、流量センサは流量を測定し、透析装置20、30または血液濾過器312の上流および/または下流に位置する1つまたは複数のポンプに流速をフィードバックする。
【0134】
蠕動ポンプを使用するシステム
次に、図12および図13のシステム810および910をそれぞれ参照すると、蠕動ポンプ820および830を使用して、透析流体をバッグ14、16および18からから揚送し、限外濾過液を血液濾過器から揚送する別法による医用流体治療システムが示されている。図12および図13は、以前のシステムを示す図面に関して単純化されている。これらのシステムの上記に示す構成要素およびデバイスの多くは、必要に応じてシステム810および910にも使用されることが分かるであろう。図12および図13に示すこれらの構成要素およびデバイスの各々を繰り返し含む必要はない。さらに、上記の要素に関して類似する参照符号で示す図12および図13の要素は、上記と同様に動作し、上記の参照符号の代替物の各々を含む。
【0135】
図12のシステム810は、上記のとおり、制限手段40によって分離されるインライン血液透析装置20および30を使用する血液透析濾過システムを示す。血液は、体外回路50の動脈接近ライン44aから蠕動ポンプ48を介して、動脈透析装置30を通り、静脈透析装置20を通って静脈点滴チャンバ52bに流入し、血液漏れ検出器54およびクランプまたはバルブ56および静脈接近ライン44bを通って、患者42に戻る。透析液は、一方のソースバッグ14、16または18から、点滴チャンバ52cを通って加熱器58を通過して流れる。システム810では、蠕動ポンプ820および830は、透析液または治療流体をソースバッグから静脈透析装置20に推進するために使用される。
【0136】
バルブ56a〜56hは、蠕動ポンプ820または蠕動ポンプ830の何れかが、流体注入作業または流体除去作業の何れかを行うように、つまり、流体を静脈透析装置20内に注入するか、または限外濾過液を動脈透析装置30から抜き取るように構成および配置される。蠕動ポンプは、上記の容積式ダイアフラムポンプ、およびその他のタイプのポンプまたは容量デバイス、たとえば平衡チャンバに比べて、本質的に比較的正確ではない。このような不正確さのために、蠕動ポンプは、平衡重量計またはもう1つの平衡方法と結合する必要がある。しかし、蠕動ポンプは、容易に殺菌することができ、注入可能な品質状態を維持し、ポンプは、一般に堅牢かつ堅固であり、ポンプヘッドのピンチが、ヘッド周囲に巻かれた管類を閉鎖したために、ポンプが揚送を停止する場合、内蔵のクランピングも提供する。また、このポンプは、透析団体によって十分に受け入れられている。バルブ56a〜56hのバルブ構成、および蠕動ポンプの使用は、上記の点で有利である。
【0137】
蠕動ポンプに固有の不正確さは、特にポンプが同方向に回転する場合、再現性がある。システム810および910は、二重ポンプ820および830と、開閉するバルブ56a〜56hであって、同じポンプ820および830が、投入行程および排水行程と同じ回数だけ同方向に回転することを可能にするバルブ56a〜56hとを提供する。この特徴は、ポンプに関連する殆どのエラーを取り消す。次に、ポンプは、追加の排水行程を実行して、所望量の限外濾過液を除去する。
【0138】
上記の取消しは、1つのポンプを1方向に適切な行程数だけ作動させ、1つの蠕動ポンプを使って、バルブを交互に順に投入および排水にして、達成することもできる。しかし、こうした構成は拍動流を生じるため、二重ポンプ820および830からの安定した流れに比べると、あまり望ましくない。治療時間は、患者の血液凝縮の可能性と同様に減少する。
【0139】
バルブ56a〜56bは、加熱器58によって加熱された透析液が、蠕動ポンプ820または830に流れることを可能にする。その結果、バルブ56cおよび56dは、流体が、ポンプ820または830から静脈透析装置20に流れることを可能にする。バルブ56eおよび56fは、限外濾過液が動脈透析装置30から抜き取られ、それぞれ蠕動ポンプ820または830に送られることを可能にする。その結果、バルブ56gおよび56hは、透析装置30から抜き取られた限外濾過液が、バルブ820または830を介して、それぞれ排水バッグ12、14または16に揚送されることを可能にする。
【0140】
制限手段40に関連する透析装置20および30の動作は、システム810では、図1のシステム10に関連する上記の動作から変化しない。二重作動ポンプ820および830は、流体の連続的な流れが透析装置20および30に流入し、透析装置20および30から流出することを可能にする。重要なことに、上記の膜ポンプ22〜28と同様に、蠕動ポンプ820および830と共に使用される管類は、γ、eビームまたは酸化エチレンなどの方法で殺菌され、このような殺菌を損なうことなく作動させることができる。
【0141】
各々の流量または容積測定デバイス840および850は、それぞれ個々のポンプ820または830で作動するように設けられる。デバイス840および850は、たとえば、一実施例の蠕動ポンプヘッドの回転速度を測定する回転速度計のフィードバックを提供することができる。もう1つの実施例では、測定デバイス840および850は、蠕動ポンプ820および830のヘッドが生成する行程の数まで計算する。さらに他の実施形態では、超音波、質量流、渦巻き流、またはその他のタイプの流量測定技術は、ポンプ820および830に入るか、またはポンプ820および830から出る量を測定するために使用される。1つまたは複数の平衡チャンバまたは容積制御に関連する蠕動ポンプを示す様々な実施形態について、以下で詳細に説明する。
【0142】
図13のシステム910は、図12に示すシステム810の血液濾過バージョンを示す。システム910は、あらゆる点でシステム810に類似しているが、システム810の血液透析装置20および30および制限手段40は、血液濾過312に置き換えられる点が異なる。また、バルブ56cおよび56dから延在する入口ライン314は、血液濾過器312からシステム910内の静脈点滴チャンバ52bに延在するライン824に接続される。図12のシステム810では、図示のライン314は、代わりに静脈透析装置20の入口に接続される。両方のシステム810および910のライン328は、関連する血液濾過デバイスを出て、バルブ56eまたは56fに流れる。したがって、バルブ56a〜56hの機能は、システム810からシステム910に変化しない。つまり、バルブ56a〜56bは、両方のシステムにおいて入口透析液または補充バルブとして動作する。バルブ56cおよび56dは、両方のシステムにおいて出口透析液バルブとして動作する。バルブ56eおよび56fは、両方のシステムにおいて限外濾過液入口バルブとして動作する。バルブ56gおよび56hは共に、両方のシステムにおいて限外濾過液出口バルブとして動作する。システム910は、任意にバイパスライン828およびシャントバルブ56iを提供し、これらは、上記のとおり、システム910が前希釈または後希釈血液濾過を行うことを可能にする。
【0143】
減菌溶液を提供するか、または上記の使用済み溶液を再生するための別法による実施形態はどれも、システム810および910に適用することができる。さらに、上記の構成要素の各々、たとえばバルブ56、点滴チャンバ52(点滴チャンバ52a、52bおよび52cを総称する)、加熱器58など、またはシステムに使用される流体に接触するこれらの一部分は、システム810および910内の使い捨てカセットとして提供することができる。特に、流動デバイスおよび使い捨てカセットを収容する機械を以下に示す。これらの機械は、蠕動血液ポンプの大部分はこの機械内に位置し、蠕動ポンプのヘッドは機械の外部に位置することを示す。こうした構成は、複数の蠕動ポンプを使用するシステム810および910に適用される。カセットは、患者または操作者が、使用時に、外部に位置する蠕動ポンプの周囲に巻く複数の管類部分を有することができる。
【0144】
並流
次に、図14のシステム950を参照すると、並流を使用する別法による医用流体治療システムが示されている。図14のシステム950は、図1のシステム10に関連して上記で述べたものと同じ構成要素の多くを備える。図14に示す多くの参照符号は、上記の実施形態に示す参照符合と同じである。図14に類似する参照符号は、当該参照符号に関する上記と同様に動作し、上記と同じ各々の代替物を備える。
【0145】
システム950は、図1のシステム10と同様に動作し、何れのシステムも、二重透析装置20および30、並びに透析装置の部分間に配置された制限手段、たとえば可変制限手段40を備える。図1のシステム10は、評価されるべきだと思うが、逆流システムである。つまり、図1の透析液ライン314は、ポンプ22および24から治療流体を収容し、その結果、治療流体を静脈透析装置20内に供給する。流体は、静脈透析装置20、可変制限手段40および動脈透析装置30を貫流する。同時に、血液は、最初に動脈透析装置30内に流れ、次に血液回路50、静脈透析装置20を流れ、最終的に患者42に流入する。一方、図14のシステム950は、図1のライン314の代わりに透析液ライン952を備える。透析液ライン952は、新鮮および加熱治療流体を静脈透析装置20ではなく動脈透析装置30内に搬送する。したがって、システム950内の透析液は、動脈透析装置30から可変制限手段40を通って、静脈透析装置20に流入し、静脈透析装置20を出て限外濾過液ポンプ26および28に流れる。血液漏れ検出器66は、別法によると、図14に示すようにポンプ26および28の上流に配置されるか、または図1に示すように、これらのポンプの下流に配置される。
【0146】
システム950のライン952を介した透析液の並流は、ある点で有利であり、つまり、前希釈血液濾過の場合と同様、透析液は、血液回路50の血液濾過部分の開始時に、動脈透析装置30内に導入され、その結果、患者の血液の血液濃縮を防止するのに役立つからである。可変制限手段40は、動脈透析装置30内の治療流体を体外回路50内に逆濾過するように作動する。その後、血液および治療流体は、血液ライン50を介して静脈透析装置20に流入し、動脈透析装置30から制限手段40を介して静脈透析装置20に流入する非逆濾過透析液を介して、拡散浄化が行われる。透析装置20および30の役割は、図1のシステム10に関してシステム950内に保存され、静脈透析装置20内の浄化モードは主に拡散であり、動脈透析装置30内の浄化モードは主に対流である。
【0147】
システム950の動作は、その他の点では、図1のシステム10に関連して上記で述べた動作と実質的に類似する。システム950は、供給バッグ14〜18および排水バッグ12で動作可能であり、新鮮透析液を供給するための上記の実施形態はどれも、別法によるとシステム950で動作可能である。さらに、システム950は、図5のシステム210に関連して上記で述べた再生吸着剤システムで動作可能である。さらに、並流は、図8の血液透析濾過システム510に関連して設けることができる。さらに、容積式ダイアフラムポンプ22〜28は、図12のシステム810に関連して上記で述べた示唆に従って、蠕動ポンプ820および830に置き換えることができる。
【0148】
限外濾過液の制御−ボイルの法則
次に、図15および図16を参照すると、膜ポンプを通して揚送される量を決定する方法が示されている。上記のポンプ22および24は、一例として示されている。本明細書で説明するとおり、ポンプ22および24は、少なくとも部分的に、カセット100aなどの剛性カセットによって画定されるポンプチャンバを含む。カセットは、可撓性の膜またはシーティングを含む。ポンプチャンバのもう1つの部分は、一実施形態では、内部にカセットが挿入される腎置換治療機械によって画定される。図15および図16では、ポンプ22は膜252を備える。ポンプ24は膜254を備える。正および負のタンク268および270は、必要に応じて、膜252および254を移動させ、バルブ274、276、278および280を通して正圧および負圧によって流体を揚送する。空気圧システムは、基準貯槽256および258も備える。貯槽256は、ポンプ22の膜252の非流体側に存在する空気と連通する。同様に、基準貯槽258は、ポンプ24の膜254の非流対側に存在する空気と連通する。
【0149】
基準貯槽256および258は、一定の既知の容積を有する。以下に記載する方程式では、貯槽256および258の容量は、V1貯槽およびV2貯槽として設計されている。この実施例では、V1貯槽およびV2貯槽を測定する圧力センサの容積は20ミリリットルである。血液療法の治療ユニットも、基準貯槽256および258を測定する圧力センサを有する。図15では、バルブ260および262が閉鎖し、消音機286に至る通気バルブ264および266が開放している場合、貯槽256または258内の圧力は大気圧、つまり約15psiaに達する。図16では、通気バルブ264および266が閉鎖し、貯槽バルブ260および262が開放する場合、ポンプチャンバ1内の圧力は、貯槽256内の圧力と等しくなる。ポンプチャンバ2内の圧力は、貯槽258内の圧力と等しくなる。
【0150】
また、カセットは、血液療法ユニット内に収容される圧力センサが、ポンプ22および24内の初期および最終流体圧力を測定するように構成される。以下に示す方程式では、ポンプ22内の流体圧力はP1チャンバとして指示されている。ポンプ24内の流体圧力は、P2チャンバとして指示されている。これらの流体圧力は、初期圧力から最終圧力まで変化する。同様に、P1およびP2貯槽として指示されている貯槽256および258内の圧力P1およびP2は、それぞれ初期圧力から最終圧力まで変化する。
【0151】
ポンプ22または24の何れか一方の内部の空気の容積(充満すると仮定されるポンプ22の容積V1を一例として示す)は、以下のとおり方程式1により計算される。
【0152】
V1(空気、充満したチャンバ)=((P1貯槽、初期)−(P1貯槽、最終)/(P1チャンバ、最終)−(P1チャンバ、初期))×V1(貯槽)
方程式1
ポンプ22または24の何れか一方の空のチャンバの空気の容積(この実施例では、ポンプ24またはV2に関して示す)は、以下のとおり方程式2に従って計算される。
【0153】
V2(空気、空のチャンバ)=((P2貯槽、初期)−(P2貯槽、最終)/(P2チャンバ、最終)−(P2チャンバ、初期))×V2(貯槽)
方程式2
方程式1に示すポンプ22および24各々のそれぞれの圧力は、適切に配置された変換器を介して測定される。貯槽256および258内の最終空気圧も測定される。チャンバ内の空気の最終圧力は、最終貯槽圧力に等しいはずであり、二重に検査することができる。測定された圧力は、方程式1および2の分子および分母に適合する。上記のとおり、この場合の貯槽V1およびV2の容積は一定および既知である。
【0154】
次に、各々のポンプに関して、方程式3は、以下のとおり、1行程で揚送される量を計算する。
【0155】
ポンプ1または2で揚送される流量=V1またはV2(空気、空のチャンバ)−V1またはV2(空気、充満したチャンバ)
方程式3
ポンプの1行程で揚送される流量は、そのポンプチャンバが空である場合、空気の量に等しいか、またはチャンバに流体が充満すると予想される場合、そのポンプチャンバ内の空気の量を差し引いた流体の空隙に等しい。ボイルの法則から導かれる方程式1および3は、透析液中に存在する気泡を補償し、たとえば、その場合、膜252および254は、それぞれポンプ22および24のポンプチャンバの一方の側または他方の側に完全には移動しない。
【0156】
上記の方法は、ポンプ22および24の何れかによって移動した流体の量を事後に正確に測定する。容積測定で制御されるポンプを使用することによって、流体の正確な量を患者との間で交換することができ、流体入口ポンプ22および24と比べて迅速かつ多量に揚送するように流体除去ポンプ、たとえばポンプ26および28を設定することにより、正確な量の限外濾過液を患者から除去することができる(図1、図4、図6、図7参照)。各行程の容量は計算することができるので、患者から除去される流体の量を加算して制御することができる。
【0157】
上記の方程式1〜3は、膜252および254を機械的に移動させる機械に使用することができる。この場合、正圧および負圧タンク268および270は不要だが、別個の基準貯槽256および258並びにテスト圧力タンク272は必要である。テスト圧力タンク272は本発明の実施形態に使用することもでき、圧力タンク268および270は、容量制御とは関係なく動作する。
【0158】
方程式1〜3に従って揚送される流体の量を計算すると、ポンプ行程当たりどの程度の量が移動したかに関する情報が得られる。これらの方程式は、実際の流量の実時間情報を提供するのではない。つまり、バルブ開閉すると、図15および図16のシーケンスが生じ、バルブ274、276、278および280が閉鎖すると、ポンプは正圧および負圧源から隔離される。ポンプが流体を揚送している場合、基準貯槽256および258はポンプから隔離される。
【0159】
流体の流れが停止するか、または所望の流速より速い流速で発生する場合、空気圧システムは、望ましくない流速が発生する後まで、この状態を検出することはできない。透析、血液濾過または血液透析濾過法などの血液治療システムの場合、循環する血液から取り出される流体が、血液の流量の約30%を超える場合、血液は濃縮し、透析装置または血液濾過器のファイバを閉塞させる場合がある。透析装置または濾過器が閉塞した場合、治療を終了しなければならず、患者は、体外回路内に捕捉された血液の量を失うことになる。
【0160】
しかし、図15および図16に示す装置は、血液の流れ、並びに透析液の注入および除去の両方について、実時間流速データに関する解決方法を提供する。やはり、実時間流速は、ボイルの法則の原理を用いて計算される。上記のとおり、方程式1お2は、ポンプチャンバ22および24が充満しているかまたは空である場合に、これらのチャンバ内の空気の量を計算する。この方法では、貯槽256および258に至るバルブ260および262は閉鎖され、正圧タンク268および負圧タンク270に至る適切なバルブは開放される。たとえば、バルブ274が開放すると、正圧がポンプ22に供給され、そのポンプから流体を押し出す。同時に、バルブ280が開放すると、ポンプ24に真空が生じ、流体がポンプ内に吸引する。ポンプチャンバ内の空気の容量は、方程式1および2から既知であるため、圧力貯槽268および270内の空気の既知の量(たとえば、500ミリリットル)にその量を追加して、全体の初期量を形成する。圧力は、供給された圧力によって膜252および254が移動した時に測定される。経時的な圧力の変化は、流速を生じるある時点の容量の変化に対応する。
【0161】
以下の方程式では、ポンプ22および個々の圧力チャンバ内の全体の初期容量は合計V1、初期=V1チャンバ、初期およびVpos/negタンクである。ポンプ24および個々の圧力チャンバ内の合計量は、合計V2、初期=V2チャンバ、初期およびVpos/negタンクである。正または負タンクで測定したポンプ22システムの圧力は、最初はPpos/neg、タンク、初期である。正または負タンクで測定したポンプ24システムの圧力は、最初はPpos/neg、タンク、初期である。ある時点Tにおける何れかのシステムの圧力は、Ppos/negタンク、時間Tである。したがって、時間Tにおける何れかのポンプ内の容量は、以下のとおりである。
【0162】
合計V1またはV2、時間T=((Ppos/negタンク、初期)/(Ppos/negタンク、時間T)*合計V1またはV2、初期
方程式4
したがって、時間Tにおいて何れかのポンプによって移動する流体は以下のとおりである。
【0163】
ポンプ1または2によって移動したVfluid=合計V1またはV2、時間T−合計V1またはV2、初期
方程式5
時間T、および時間Tにおいてポンプ22または24によって移動した容量を把握すると、実時間基準で流速を計算して表示し、本発明の腎不全治療システムを制御するために使用することができる。
【0164】
限外濾過液制御−単一平衡チャンバ
ポンプ22、24、26および28などの膜ポンプを使用するシステム10、110、210、310、410、510、610、710および950の各々は、一例として上記に示すように、ボイルの法則によって制御することができる流体の正確な量を計量することができる。しかし、製造およびコストの点で、異なるタイプのポンプを使用して、使用済みおよび流出透析液を移動させることが望ましい。たとえば、上記の血液ポンプ48などの蠕動ポンプは、蠕動ポンプの使い捨て部分は本質的に管類のループであるため、使い捨てカセットまたは管集合内に用意に組み込むことができる。しかし、蠕動ポンプの正確度だけでは、規定量の限外濾過液または流出透析液を患者から除去する必要がある血液濾過、血液透析および血液透析濾過法などのシステムにおいて、透析液を揚送するのに十分ではない場合がある。
【0165】
患者42は、透析または血液濾過治療間で、腎臓の喪失および流体の取り入れ程度に応じて水分を取得する。腎臓障害を罹患している多くの人には、排尿力がない。透析治療間に時間が経過すると、こうした患者は流体を蓄積する。患者の全体的な流体重量ゲインは、患者が治療間に蓄積した流体の量、および治療間の時間量に基づいて、様々な治療ごとに変化する可能性がある。したがって、本発明のシステムおよび方法は、家庭での治療時に、どの程度の量の流体を患者から取り出す必要があっても、制御可能かつ正確な除去方法を有する必要がある。家庭における患者は、自身で比較的頻繁に治療することができるため、除去する必要がある流体の量は、センター内治療の場合に比べて一般に少ない。それにも関わらず、家庭用の透析機械は、治療間に蓄積した流体の量を除去することができなければならない。
【0166】
次に、図17〜図22を参照すると、単一平衡チャンバ340を使用する様々なシステム300a〜300f(本明細書では、システム300と総称する)が示されている。システム300a、300b、300c、300dおよび300eは各々、蠕動透析液ポンプ370で動作する。上記のとおり、蠕動ポンプは、カセットベースのシステムに望ましく、つまり、ポンプのカセット部分は、主に腎不全治療機械が収容する揚送ヘッド周囲に適合するループ状管からなるためである。
【0167】
平衡チャンバ340は、上記の膜ポンプによって得られる容量の正確度レベルを提供する。システム300の大部分は、蠕動ポンプ370を使用して透析液を推進し、平衡チャンバ340は、透析装置、血液濾過ラインなどに送られる正確な量の透析液を計量する。その結果、平衡チャンバ340は、加圧量の限外濾過液を透析装置または血液濾過器から計量する。図22のシステム300fは、平衡チャンバ340を新鮮透析液膜ポンプ22または24の一方、および上記の流出透析液膜ポンプ26または28の一方に結合する別法による一実施形態を示す。
【0168】
システム300a〜300dの主な相違の1つは、平衡チャンバ340および蠕動透析液ポンプ370が使用される治療のモダリティまたはタイプである。図17のシステム300aは、1つの透析装置20または30を使用する。システム300aでは、行われる治療のモダリティは、透析装置が、上記のように内部の制限手段を備えていない限り、主に拡散血液透析療法である。しかし、この透析装置は、高流量膜を必要とする。比較的長く狭い透析装置は、逆濾過の割合を増加させる。使用に適する内部流量制限手段、たとえば本願と同一の所有権者による米国特許第5,730,712号「Extracorporeal Blood Treatment Apparatus and Method」に記載されている透析装置も、引用することにより本明細書に援用する。ここで指示されている透析装置は、固定オリフィスを有するように制限されている。図18のシステム300bのモダリティまたは治療法は、進歩した対流血液透析(「ECHD」)治療であり、可変制限手段40によって分離される動脈および静脈高流量透析装置20および30によって個々に提供される。図19のシステム300cによって提供されるモダリティまたは治療法は、対流療法、血液濾過であり、この場合、補充液は静脈ライン44bに直接揚送され、限外濾過液は血液濾過器312を介して除去される。
【0169】
図20のシステム300dは、血液透析濾過法のモダリティと関連して動作する平衡チャンバ340を示す。上記のとおり、血液透析濾過法は、血液透析の拡散浄化と血液濾過の対流浄化とを結合する。図20に示すように、透析装置20または30が設けられる。また、追加の蠕動ポンプ380と結合する別個のライン320は、透析液または補充液を静脈ライン44bに直接供給する。図17〜20は、1つの平衡チャンバ340による限外濾過の容積制御は、多くの異なるタイプのモダリティ、たとえば血液透析、ECHD、血液濾過および血液透析濾過法に行うことができる。この説明の他の部分は、場合によっては、透析またはECHDに固有である。しかし、これらの示唆は、図17〜図20に示すシステム300の各々に適用することができる。
【0170】
システム300の何れかを見ると、流出または使用済み透析液は、透析装置20、30または血液濾過器312から流出ライン328およびバルブV5を通って、蠕動透析液ポンプ370に流れる。好ましい一実施形態のポンプ370は蠕動ポンプであるが、ポンプ370は、別法によると、望ましい何らかの種類、たとえばピストン駆動ダイアフラムポンプ、空気圧ポンプまたはギヤポンプで良い。ポンプ370からの流体の排出量は、バルブV4を介して、平衡チャンバ340の使用済み側342に流れる。膜ポンプ内の可撓性膜と同様、平衡チャンバ340は、可撓性膜346を介して、使用済みコンパートメント342および新鮮コンパートメント344に分離している。本明細書に記載するとおり、バルブV4などのバルブ56は、任意の適切なタイプのバルブ、たとえば標準のソレノイドバルブ、またはHomeChoice(登録商標)システムに使用されるバルブと同じかまたは類似し、特にカセット内に形成されるボルケーノタイプのバルブで良い。
【0171】
平衡チャンバ340は、受動計量デバイスである。同じかまたは実質的に同じ量の流体は、平衡チャンバ340内に収容されたように、平衡チャンバ340から押し出される。流出透析液を使用済みコンパートメント342内に揚送すると、ひいては膜346を押し、等量の新鮮透析液が新鮮コンパートメント344に押し出され、ライン314内のバルV1を通って、使用するモダリティに応じて透析装置20、30または静脈ライン44b内に移動する。図17〜20は、個々のシステム300に結合される流動構成要素の各々を説明することを意図するわけではない。たとえば、平衡チャンバ340が補充液をバルブV1および入口ライン314に押し入れる場合、適切な逆止バルブがライン314内に配置され、このバルブは、血液が平衡チャンバ340内に戻るのを防止する。十分な流出透析液が、バルブV4を介して使用済みチャンバ342に入ると、膜346は、新鮮コンパートメント344のチャンバ壁、遮断されたバルブV1、V4およびV5の方向に全体的に、または実質的に全体的に横断する。
【0172】
図17〜図20は、透析液ポンプ370の入口と出口との間に配置される。一実施形態では、圧力除去装置332は、特定の圧力で亀裂が生じるかまたは解除される。別法によると、圧力除去装置332は、予め設定された値で圧力を緩和するバルブシートを備える。たとえば、ばねの張力は、圧力除去装置332に亀裂を生じさせるか、つまり圧力除去装置332を開放する必要がある圧力除去ライン内の力または圧力の量を制御することができる。システム300が使い捨てカセットと共に使用される場合、バルブまたはシートの開放は、解放された透析液が収集されて、腎不全治療機械内のどの構成要素にも接触しないように構成される。
【0173】
別法による一実施形態では、透析液ポンプ370は、加熱器58の上流に配置される。この場合、圧力除去装置332は、透析液ポンプ370の入口から、バルブV3の上流の新鮮透析液入口ライン334に延在することができる。さらにもう1つの実施形態では、圧力除去装置332は、減菌透析液バッグまたは補充バッグ14〜18を含む。この構成は、インライン加熱器58が、アイドル時に、たとえば限外濾過行程時に、流体を加熱させるのを防止する点で望ましい。
【0174】
流出流体が透析装置または血液濾過器から除去され、新鮮な流体が患者または透析装置に送られるサイクルについて説明した。次のサイクルは、流体を排水管に送る。この場合、供給源14、16または18の1つからの加熱新鮮透析液は、バルブV6、透析液ポンプ370、バルブV3を通って、平衡チャンバ340の透析液コンパートメント344内に流入する。バルブV1、V4およびV5が閉鎖する。新鮮透析液がコンパートメント344内に収容されると、可撓性膜346を押して、等量の使用済みまたは流出透析液が、バルブV2および排水管ライン338を介して排水される。この排水サイクルが生じる治療における時点に応じて、使用済み流出液は、排水バッグ12または使用済み供給バッグ14または16の一方に送ることができる。チャンバ342内のすべての使用済み透析液が、バルブV2および排水管ライン338を介して空になった後、すべてのバルブV1〜V6が遮断される。使用済み流体を充填し、患者に揚送するサイクルは、上記のサイクルを介して繰り返される。
【0175】
上記の2つのサイクルでは、等量の流体が確実に患者に送られ、患者から取り出される。流体が患者から取り出されるが、患者に送られないUFシーケンスについて、以下で説明する。移動する限外濾過液の総量は、図示のシステム300内で容易に計算される。UFサイクルの累積量は、患者から除去される流体の総量を決定するために追加される。
【0176】
一実施形態では、ポンプ370は、透析液が患者から揚送される時より、新鮮透析液が透析装置または患者に揚送される時に比較的低速度で動作する。速度の差は、新鮮透析液が透析装置に流れる時間を増加させる。血液透析の場合、速度の差は、透析液が透析装置内の中空ファイバに沿って流れる時間を増加させることにより、拡散時間を増加させる。時間の増加は、患者のより段階的な限外濾過を生成することにより、HF、HDFおよびECHDの利益にもなる。段階的な限外濾過は、血液濃縮の危険性を減少させる。
【0177】
限外濾過液を除去するため、システム300は、すべてのバルブが閉位置にある状態から開始して、バルブV2、V3およびV5を開放する。ポンプ370によって、流出透析液は新鮮透析液に使用済み透析液を充填させる。この動作は、膜346を移動させ、使用済みチャンバ342内の以前に患者から除去された等量の使用済み流体を、バルブV2およびライン338を介して排水バッグの1つに押し入れる。この量の流体を排水管に押し出すために使用される流体源は使用済み透析液であるため、新鮮コンパートメント344内に揚送される使用済み透析液の量も、限外濾過液として患者から除去される。つまり、このサイクル時に、患者からの流体の少量の正味損失がある。一実施形態では、上記の限外濾過液サイクルは、上記の患者に至る揚送および排水サイクルに至る揚送の際に、治療間に患者内に収集された限外濾過液全体の正味量を除去するように、頻繁に生じるように時間が決められる。正味量は、治療の開始時に機械に流入する。
【0178】
単一平衡チャンバ340および単一透析液ポンプ370の方法に関する1つの潜在的な欠点は、使用済み透析液が透析装置または血液濾過器から抜き取られ、ライン328およびライン336を通り、ポンプ370を介して使用済みチャンバまたはコンパートメント342内に流入する時に、少量の新鮮透析液も使用済みコンパートメント342内に押し入れられる。この少量の新鮮透析液は、バルブV6から通じ、蠕動ポンプ370の周囲で屈曲し、さらにライン328に沿ってバルブV3およびV4方向に延在する管類の内部に残る量である。単一ポンプおよび単一平衡チャンバシステムは、単純で、比較的安価なカセットを有するという見地から望ましいが、特に、バッグに入って殺菌された透析液を使用する場合、新鮮透析液が失われるという点で望ましくない。しかし、透析液がオンラインで調製される場合、この欠点はそれほど問題ではないと考えるべきである。
【0179】
次に、図21を参照すると、システム300は、追加の透析液ポンプ390を備え、このポンプは、使用済みまたは流出流体を透析装置または血液濾過器から除去するために設けられる。その結果、透析液ポンプ370は、新鮮透析液を揚送するために設けられる。一実施形態における透析液ポンプ390は蠕動ポンプだが、ポンプ390は、透析液ポンプ370に関して上記で述べたどのタイプでも良い。さらに、システム300eの別法によるポンプ構成は、分かりやすくするために、単一透析装置20または30と組んで示されているが、システム300eのポンプ構成は、図17〜図20に示すどのモダリティにも適合する。
【0180】
システム300eの別法によるポンプ構成では、ポンプ390は、使用済み流体をライン328、バルブV4を通して、単一平衡チャンバ340の使用済みコンパートメント342内に揚送する。この動作によって、膜346は、等量の新鮮透析液を移動させて、新鮮チャンバ344からバルブV1、ライン314を通して、透析装置または患者に押し入れる。患者への揚送の終わりに、すべてのバルブが遮断する。その後、バルブV2およびV3が開放し、新鮮透析液ポンプ370が新鮮な過熱透析液を供給源の1つから抜き取り、ライン330、バルブV3を通して新鮮コンパートメント344内に供給することを可能にする。この動作によって、膜346は移動し、使用済み透析液を使用済みコンパートメント342から、バルブV2およびライン338を通して排水バッグの1つに押し出す。
【0181】
圧力除去装置332を配置するための別法による構成の各々は、二重透析液ポンプシステム300eに同様に適用することができる。さらに別の実施形態では(図23参照)、圧力除去装置332は、代わりに透析液ポンプ370の出口から加熱器58の入口側に位置する。この場合、圧力除去装置332は、供給バッグ14〜18と加熱器58との間のライン330、並びにポンプ370の下流のライン330に接続する。
【0182】
二重透析液ポンプシステム300eを介して限外濾過液を患者から除去するため、使用済みコンパートメント342に流出透析液を充満させて、バルブV2、V3および5を開放する。使用済み流体ポンプ390は、流出流体をライン328、バルブV5、ライン348およびバルブV3を通してコンパートメント344内に流入させる。こうした動作によって、膜346は移動し、流出流体をコンパートメント342から、バルブV2、ライン338を通して排水バッグの1つに押し出す。平衡チャンバの適合流体源が使用されるため、適合流体の量は、限外濾過液として患者から除去される。
【0183】
限外濾過液行程の後、次の動作は、使用済み流体を透析装置または血液濾過器からバルブV4をして使用済みチャンバ342内に再度揚送することである点を評価するべきである。この動作によって、膜346は移動し、その結果、新鮮コンパートメント344からの使用済み流体に相当する1つの平衡チャンバの量は(以前に、限外濾過液量を押し出すために使用された)、ライン314を通して透析装置または患者の何れかに揚送される。使用済み透析液は、特に、β2Mなどの比較的大きい分子に関して、患者に有利な浄化を提供する。この動作は、一定量の透析液の寿命を延長し、これは、殺菌されてバッグに入れられた流体を使用する家庭用の治療の場合に特に有益である。
【0184】
次に、図22を参照すると、別法による複合システム300fが示されている。システム300fは、透析液充填ポンプ22、24および限外濾過液除去ポンプ26、28と結合した単一平衡チャンバ340を提供する。一実施形態では、充填および情報ポンプは、上記のとおり膜ポンプである。容量ポンプは、追加のバルブV5、および図21の限外濾過液ライン348の必要性をなくす。その他の点では、2つのシステムは非常に類似しており、ポンプ26、28で動作する専用の透析液除去ライン328、および専用ポンプ22、24で動作する専用の透析液充填ライン330を備える。
【0185】
他のシステムと同様、システム300fは、本明細書に記載の何れかのモダリティで動作可能であり、便宜上、単一透析装置20、30と結合した状態で示されている。システム300fの利点は、平衡チャンバにおける新鮮な透析液および消費された透析液の混合がないことである。別個の透析液ポンプ390を有する図21でも、少量の新鮮な溶液は、限外濾過液サイクル時に使用済み透析液と混合されることを理解するべきであり、限外濾過液サイクルでは、ポンプ390が、流体をライン328、バルブV5、ライン348およびライン330の小部分、およびバルブV3を通して鮮コンパートメント344内に押し入れる。図22では、限外濾過は、バルブV6を放し、予め決められた量の使用済み透析液をポンプ26、28から抜き取ることによって行われる。バルブV3および4は開放し、他のすべてのバルブが閉鎖する。この場合、ポンプ26、28は、使用済み透析液をライン328およびバルブV4を通して、単一平衡チャンバ340の用済みコンパートメント342内に押し入れる。この動作によって、膜346は移動し、新鮮透析液は、新鮮コンパートメント344からバルブV3およびライン330を通して押し戻される。その後、すべてのバルブは、瞬間的に閉鎖する。次に、バルブV2および3が開放し、ポンプ22、24は新鮮透析液を新鮮コンパートメント344内に押し入れ、使用済み透析液をコンパートメント342から、排水管ライン338を通して排水バッグの1つに移動させることができる。
【0186】
血液透析などの腎置換療法の場合、様々な理由から、新鮮な溶液の適用量を患者に提供する必要がある。たとえば、患者は、血液量減少状態になった場合(循環する血液の量が異常に減少する)、適用量または多量の流体を必要とする場合がある。溶液の適用量をシステム300fに提供するため、新鮮透析液ポンプ22、24は、予め決められた量の流体を放出し、その際、バルブV3よびV4は開放し、他のすべてのバルブは閉鎖する。新鮮透析液はライン330、バルブV3を通り、平衡チャンバ340の新鮮コンパートメント344内に移動する。この動作によって、または膜346は移動し、流体は、ライン328およびバルブ324を通り、流出透析液ポンプ26、28内に押し戻される。その後、すべてのバルブが閉鎖する。次に、バルブV1およびV4が開放し流出透析液ポンプ26、28が、使用済み透析液を平衡チャンバ340の使用済みチャンバ342に押し入れる。この動作によって、膜346は移動し、新鮮な溶液を新鮮チャンバ344から透析装置内に押し入れる。このサイクルでは限外濾過は除去されないため、透析装置に送られる流体の量は、患者に対する流体の正味ゲインまたは適用量を表す。この過程は、必要な場合、流体の正味ゲイン全体を患者に与えるのに必要な回数だけ繰り返すことができる。
【0187】
前の図21は、流体の適用量を患者に提供するための一実施形態も示す。この場合、追加のライン372およびバルブV6が提供される適用量を提供するため、バルブV3およびV6が開放し、バルブV1、V2、V4およびV5は閉鎖する。新鮮透析液ポンプ370によって、新鮮透析液はバルブV3をって、平衡チャンバ340の新鮮チャンバ344内に充填される。等価な量の使用済み流体は、この動作および膜346によって、平衡チャンバ340から押し出され、ライン352およびバルブV6を通って、ライン314よび透析装置20、30内に流入する。やはり、このサイクルでは限外濾過は除去されないため、透析装置20、30に送られる流体は、流体の正味ゲインまたは適用量を表す。使用済みまたは流出透析液は、さらに減菌され、流体の適用量を患者に提供する目的に適することを理解するべきである。
【0188】
別法による一実施形態では、図21のシステム300eは、バルブV1、V4およびV5を開放することによって、溶液の適用量を提供することができる。バルブV3は閉鎖する。新鮮透析液ポンプ370は、新鮮透析液を使用済みコンパートメント342に揚送する。次に、すべてのバルブが瞬間的に閉鎖する。その後、バルブV3およびV6が開放し、新鮮透析液ポンプ370が透析液を新鮮コンパートメント344内に揚送し、使用済みコンパートメント342内の新鮮な流体は、適用量ライン352、バルブV6およびライン314を通って、透析装置内に流入する。システム300eも、平衡モードに復帰する。
【0189】
多くの別法による実施形態は、システム300a〜300fに使用することができる。本明細書に記載されている何れかの透析装置、たとえば、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,730,712号に開示されている濾過器を使用することができる。さらに、図32に関連して以下に述べる単一透析装置を使用しても良い。一実施形態の動脈ライン44aは、自動血液リンスバックのための空気センサおよびクランプ54を備える。さらに、上記の流体調製および再循環実施形態は、単一平衡チャンバシステム300で実施される。さらに、システム10、110、210などに関する上記の別法による実施形態は何れも、システム300に適用することができる。
【0190】
システム300a〜300fは、接近切断センサ(「ADS」)に使用される電極または接点354および356も備える。ADS接点354および356は、それぞれ、動脈ライン44aおよび静脈ライン44bに組み込まれる。動脈または静脈ラインの一方が患者から取り外されると、電気インピーダンスが変化する。ループの切断が感知されると、血液ポンプ48が停止し、対応するクランプが閉鎖する。偶発的な針の分離を検出するための別法による機構は、患者の接触手段の下側に導電性ブランケットを使用する。血液が溢流すると、ブランケットの導電性が変化して警報が作動し、血液および透析液の揚送を停止する。
【0191】
限外濾過液制御−単一平衡管
図17〜図22に示すシステム300に関する上記の原理は、本発明が意図する様々なタイプの平衡装置に適用される。システム300の各々は、単一平衡チャンバ340を使用する。図23を参照すると、別法によるシステム400は、別法による平衡デバイス360を使用している。平衡管360の一実施形態について、図45に関連して以下に詳細に示して説明する。一般に、平衡管360は、円筒状、さもなければ管状部材を備える。こうした部材の内部には、ピストン、ボールまたはその他の隔離板366が存在し、管または円筒内にぴったり適合する。平衡管360は、新鮮部分362および使用済み部分364を有する管または円筒を備える。隔離板366は、管内にぴったり適合し、管の新鮮側362と使用済み側364との間で前後に移動する。
【0192】
図23のシステム400は、図21のシステム300eと類似の方法で構成される。同じ参照符号で示す各々の構成要素は、同じ機能を果たし、システム300eの上記と同じ代替物の各々を備える。システム400とシステム300eとの主な相違は、平衡チャンバ340と対照的に平衡管360を使用していることである。
【0193】
システム400の透析装置または患者サイクルのポンプに関して、バルブV1およびV4が開放し、バルブV2、V3、V5およびV6が閉鎖する。使用済み透析液ポンプ390は、ライン328およびバルブV4を通して、平衡管360の使用済み側364内に流出透析液を揚送する。この動作によって、隔離板366は、平衡管360の新鮮側362に移動し、同様の量の流体をライン314およびバルブV1をして、透析装置20、30内に、または直接患者に押し入れる(以前のとおり、図23のシステム400は、本明細書に記載するどのモダリティにも適用することができる)。
【0194】
排水サイクルに至るポンプの場合、バルブV2よびV3が開放し、バルブV1、V4、V5およびV6が閉鎖する。新鮮透析液ポンプ370は、新鮮な流体をライン330およびバルブV3から平衡管360の新鮮側に揚送する。この動作によって、隔離板366は、平衡管360の使用済み側364方向に移動させる。同様の量の流体は、使用済み側364から押し出され、排水管ライン338およびバルブV2を通って排水管バッグの1つに入る。
【0195】
システム400の限外濾過サイクルでは、バルブV2、V3およびV5が開放し、バルブV1、V4およびV6が閉鎖する。このサイクルの前、流出透析液は平衡管360内に存在し、隔離板366は、平衡管360の新鮮側362まで全体的に押される。次に、使用済み透析液ポンプ390は、流出透析液を透析装置または血液濾過器から抜き取り、ライン328、限外濾過液ライン348およびバルブV5、充填ライン330およびバルブV3を通して、平衡管360の新鮮側362に送る。この動作によって、隔離板366は使用済み側364方向に移動し、等量の流体をバルブV2よび排水管ライン338を通して、排水バッグの1つに押し入れる。排水管に送られる流体は、透析装置または限外濾過器からの流出透析液と一致するため、排水管に送られる流体は、患者から除去または限外濾過される流体を構成する。
【0196】
患者に対する流体の適用量の場合、バルブV3およびV6が開放し、バルブV1、V2、V4およびV5が閉鎖する。本質的に、透析装置または血液濾過器から流体を取り出すことはできない。代わりに、新鮮透析液ポンプ370は、新鮮透析液をライン330、バルブV3から、平衡管360の鮮透析液側362に揚送する。この動作によって、隔離板366は平衡管360の364側に移動する。同様の量の流体は、平衡管360から押し出され、適用量ライン352およびバルブV6、充填ライン314を通って透析装置20、30内に入るか、または直接静脈ライン44b内に入る。透析装置または患者に供給される流体は、透析装置または血液濾過器から除去される流体の量と一致しないため、透析装置または患者に供給される流体は、患者に対する流体ゲインまたは適用量を構成する。このような手順は、患者が必要量の流体を収容するまで、必要に応じて繰り返される。図21に関連して上記で述べた別法による適用量実施形態はどれも、システム400および平衡管360と共に使用することもできる。システム400に適用することも可能な平衡管360のその他の特徴、たとえば最終行程センサについて、図28に関連して以下で説明する。
【0197】
限外濾過液の制御−単一の蛇行経路
次に、図24を参照すると、システム450によって、さらに他の流量平衡デバイスが示されている。システム450は、単一の蛇行経路470を使用している。システム450は、上記と同じ構成要素の多く、たとえば排水バッグ12、供給バッグ14〜18、新鮮透析液ポンプ370、加熱器58、使用済み透析液ポンプ390および血液ポンプ48を備える。システム450は、可変制限手段40によって分離されたECHD二重透析装置20および30と共に使用するように示されている。システム450は、本明細書に記載するどのモダリティでも作動できることを評価するべきである。類似の参照符号を有するその他の構成要素も示されている。
【0198】
システム450と以前の単一平衡デバイスシステムとの主な相違は、膜または移動ボールもしくはピストンなどの隔離板によって分割された限られた容積とは対照的に、蛇行経路470を使用していることである。システム450の利点は、蛇行経路470をカセット内に配置することが、上記の容量膜ポンプまたは平衡チャンバおよび管の何れかと比較して、比較的単純であることであり、上記の方法の各々は、可撓性のシーティングまたは膜を超音波溶接するか、化学的に付着させるか、さもなければ剛性プラスチックカセットに溶融させる必要がある。
【0199】
図24に示す蛇行経路470は、限外濾過液ライン328および透析液投入ライン330を備える。流体ライン328、330は、流体をできるだけバルク搬送するのに適し、圧力低下を最低限にするようなサイズで構成する。つまり、一実施形態における蛇行経路470は、カセット内のU形、V形または矩形のチャネルであり、比較的長細いか、または小径であるか、または横断面を有する。蛇行経路470の目標は、新鮮透析液などの流体を1回でバルク注入して、流路内に既存のバルク流体を所望の場所、たとえば排水管に至る使用済み透析液に移動できるようにすることである。
【0200】
システム450の蛇行経路470の欠点は、新鮮透析液および使用済み透析液が、バルク流体として移動する場合と対照的に、蛇行経路内で混合することである。経路の構成は、このような混合が最低限になり、できるだけ新鮮透析液と使用済み透析液との間の界面でのみ生じ、何れの流体についても中程度のバルクが比較的混合されず、一貫した状態で残るように改良を加える。このため、両方の流体の流れを層状または乱流状態に維持し、必要に応じて混合を最低限にするように対策をとる。特に本明細書に記載するオンラインシステムの場合、蛇行経路470は、カセットまたは容積制御システムのコストおよび複雑さが減少するように、実行可能な解決方法を提供する。
【0201】
システム450内で透析装置または患者サイクルに充填するために、新鮮透析液は、透析液ポンプ370を介してライン330およびバルブV2を通り、閉鎖バルブV7およびV9に揚送される。次に、バルブV5およびV9が開放し、バルブV2およびV7は閉鎖する。使用済み透析液ポンプ390は、流出透析液を動脈透析装置30から抜き取り、ライン328、バルブV5、蛇行経路のライン328、330を通して、バルブV9に送る。流体のこうしたバルク搬送によって、蛇行経路のライン328、330内に存在する新鮮透析液は押し出され、バルブV9、充填ライン314を通って静脈透析装置20または静脈ライン44b内に入る。
【0202】
充填サイクルが生じた後、蛇行経路のライン328、330には、流出または使用済み透析液が充填される。次に、排水サイクルが行われる。この場合、バルブV5およびV9は閉鎖し、バルブV2およびV7は開放する。新鮮透析液ポンプ370は、新鮮な加熱透析液をバルブV2、ライン330、蛇行経路のライン328、330を通して、バルブV9またはV7の置まで揚送する。その結果、流体のバルク搬送によって、使用済み透析液は排水管ライン338およびバルブV7を通り、排水バッグの1つの内部に押し込まれる。
【0203】
限外濾過液サイクルは、以下のとおりに行われる。蛇行経路のライン328、330に限外濾過液が充填されると、バルブV5およびV7が開放し、バルブV2およびV9が閉鎖する。使用済み透析液ポンプ390は、流体を動脈透析装置30から抜き取り、ライン328、バルブV5をして、蛇行経路のライン328、330に充填する。次に、この量の流体は、バルブV7、ライン338を通って排水管に移動する。排水管に移動した流体の量は、流出または使用済み透析液と少なくとも実質的に一致するため、患者は流体の正味損失または限外濾過を生じる。
【0204】
流体の適用量を患者に提供するため、蛇行経路のライン328、330に新鮮または流出流体を充填させると、バルブV5およびV7が閉鎖し、バルブV2およびV9が開放する。新鮮透析液ポンプ370は、新鮮透析液をライン330を通して揚送し、蛇行経路のライン328、330を充填する。同量または実質的に同量の流体がバルブV9、充填ライン314をって静脈透析装置20内に流入する。患者または透析装置は、ある量の流体を収容しているため、対応する量の流体を動脈透析装置30から抜き取らなくとも、患者42は流体の正味ゲインまたは適用量を得る。
【0205】
限外濾過液制御−二重平衡チャンバ
上記の単一平衡デバイスの実施形態に潜在的な1つの問題は、拍動流である。単一平衡デバイスシステムは、透析装置からの流体の流速と比べて、透析装置に至る新鮮な流体の流速を低下させることにより、流れの拍動性をある程度補償することができる。その他の解決方法は、図25のシステム500および以下に示すその他の二重平衡デバイスによって得られる。これらのシステムは、流れが、透析装置または血液濾過器から除去される時に、透析装置または患者に供給されるように、平行または交互のサイクルで動作する2つの平衡チャンバ、2つの平衡管または2つの蛇行経路を提供する。システム500は、類似する参照符号で示されり上記と同じ構成要素の多くを備えているため、改めて説明する必要はない。さらに、システム500は、ECHD二重高流量透析装置20および30並びに可変制限手段40で動作するように示されている。しかし、上記の説明から、システム500が本明細書に記載するモダリティの何れでも動作できることは、きわめて明らかである。
【0206】
システム500は、第1および第2平衡チャンバ340aおよび340bを備え、これらは、一実施形態では、図17〜図22に関連して上記で述べた平衡チャンバ340とそれぞれ同じである。平衡チャンバ340aおよび340bは、本明細書では流量平衡装置と総称する。
【0207】
図示の実施形態では、透析液ポンプ370および390は蠕動ポンプである。これらのポンプは、別法によると膜ポンプ、または本明細書に記載するその他のタイプのポンプである。新鮮透析液ポンプ370は、加熱器58の上流に示されており、単一平衡デバイス構成とは異なる。何れの構成も、単一および二重平衡デバイスシステムとして可能である。さらに、システム500に使用される各々のバルブはカセット内に構成されるか、または本明細書に記載するどのタイプのバルブでも良い。
【0208】
第1交換サイクルでは、平衡チャンバ340aおよび340bの一方は、新鮮な溶液を充填され、同時に、等量の使用済み透析液を排水管に供給する。同じ第1サイクルで、他方の平衡チャンバ340aおよび340bは流出透析液を充填され、同時に、モダリティに応じて同等の量の新鮮透析液を透析装置20または患者に押し進める。次に、第2サイクルでは、平衡チャンバ340aおよび340bは交互に機能し、以前に新鮮透析液を患者に供給した平衡チャンバは、今度は使用済み透析液を排水管に供給し、以前に使用済み透析液を排水管に供給した平衡チャンバは、今度は新鮮透析液を透析装置または患者に供給する。
【0209】
図17〜図22に関連する平衡チャンバ340の動作に関する上記の説明に基づき、システム500の平衡チャンバ340aおよび340bの各々に関して、バルブの説明を繰り返す必要はない。しかし、識別する重要な面は、各々の交換サイクルの終わりに短時間の一時停止時間があり、すべてのバルブが閉鎖されて、2つの平衡チャンバ304aおよび340bが次のサイクルで確実に同期するようにする点である。
【0210】
流量平衡装置または平衡チャンバ304aおよび340bは、システム500内に別個のUF除去デバイスがないという点で、流量平衡装置を使用するその他のシステムとは別様に使用される。つまり、流量平衡装置または二重平衡チャンバを使用するその他のシステムの場合、平衡チャンバは、ある量の流体を透析装置から除去し、同時に、透析装置に同等の量の流体を充填するために設けられる。一方、システム500は、このために、また正味量の流体または限外濾過液を患者42から除去するために平衡チャンバ304aおよび340bを使用する。流体の正味損失または限外濾過を患者から除去するためのバルブ動作は、バルブV1、V2、V6、V7およびV9を開放し、バルブV3、V4、V5、V8およびV10を閉鎖することを含む。このバルブ構成は、新鮮透析液を平衡チャンバ340bから平衡チャンバ340aに押し進めることにより、流出透析液を排水管に押し進める。
【0211】
二重平衡チャンバ340aおよび340bを有するシステム500を備える本明細書のシステムは、限外濾過液の除去速度を時間の経過と共に変えることを可能にし、これは、場合によっては、限外濾過液プロファイルと呼ばれる。たとえば、限外濾過液サイクルは、一般に、5回の交換サイクルの各々の後に行われる場合、サイクルの頻度を増減することによって、限外濾過液が患者から除去される速度を変更することができる。その結果、たとえば、治療の第2部よりも第1部においてより多くの流体が除去されることになる。本発明では、腎不全治療機械のプロセッサは、患者がプロファイル、治療時間および除去する全体量を選択することを可能にするアルゴリズムを実行するように構成される。このアルゴリズムは、プロファイルに従って、入力された治療時間で、入力された正味累積限外濾過液量を達成する限外濾過液頻度プロファイルを自動的に計算する。これらのパラメーターは、患者データカードまたは確実なデータ接続を介して入力される。
【0212】
システム500は、必要に応じて、溶液の適用量を患者に提供することもできる。バルブV2、V3、V7、V8およびV10は開放し、バルブV1、V4、V5、V6およびV9は閉鎖する。ポンプ370が動作すると、1つの平衡チャンバは、透析液および/または補充液の適用量を透析装置または患者に供給する。
【0213】
本明細書に記載する実施形態の何れの場合も、システムのバルブが正確に開閉するかどうかを検査することは重要である。一実施形態では、バルブは、導電性感知を使用して、治療全体で終期的に検査される。つまり、流体が、欠陥バルブまたはカセット膜の亀裂を介してシステムから漏れる場合、液体を横断する電気の流れを測定する導電性センサは警報を送信し、適切な動作をトリガすることができる。さらに、カセットの場合、温度感知は、たとえばサーミスタ、IRセンサまたは熱電対をカセットのシーティングの一方の側に適用することにより用いられる。この場合、温度センサは、血液治療機器に取り付けられ、たとえば、透析液の温度を迅速に読み取るように、シーティング膜に接触する。
【0214】
プライミングおよびリンスバック
図26を参照すると、本発明の体外回路は、患者接近ライン44aおよび静脈接近ライン44bを患者に接続する前に、減菌溶液でプライミングする必要がある。そのため、動脈および静脈ラインの終わりは、一緒に接続部358に接続される。一実施形態では、新鮮透析液ポンプ370および流体圧力ポンプ390が動作して、透析液または補充液が透析液回路を充填するまで、平衡チャンバ340aおよび340bを通して(または、本明細書に記載する単一または二重平衡デバイスの何れかを介して)流体を揚送する。次に、血液治療機械は、適用量モードになる。一実施形態では、血液ポンプ48は、静脈点滴チャンバ52に流体が充填されるまで、逆に動作する。ラインおよび点滴チャンバ内の過剰な空気は、点滴チャンバ52を備えるか、点滴チャンバ52を含むか、または点滴チャンバ52と連通する変換器保護装置または通気口64を通して換気される。一実施形態における変換器保護装置または通気口64は、0.2μmの疎水性膜である。
【0215】
本発明のこの第1プライミング法の次のステップでは、血液ポンプ48は、点滴チャンバの容量の半分が移動するまで、その動作方向に動作する。次に、血液ポンプ48、点滴チャンバ52に再び充填されて換気されるまで、再び逆方向に動作する。次に、ポンプは、通常の動作方向における流体に相当する点滴チャンバの容量の半分を移動させるのに十分なだけ、再び通常の動作方向に動作する。各々のサイクルでは、透析液または補充液は、透析装置20、30(または、モダリティが異なる場合は、別の濾過器)を介して逆濾過され、各々のサイクル期間全体における体外回路内の流体の総量を増加させる。第1プライミング方法は、上記のとおり、体外回路に完全に透析液または補充液が充填されるまで、上記のように前後にサイクルする。このプライミング方法は、本明細書に記載するどのモダリティ、本明細書に記載するどのポンプ構成、本明細書に記載するどの容積制御にも適用されることは評価されるべきである。
【0216】
第2のプライミング方法では、別個の生理食塩水またはプライミングリンスバック368が、生理食塩水ライン372を介して体外回路に接続される。図示の実施形態では、生理食塩水ライン372は、血液ポンプ48の上流および下流の2箇所で体外回路にT状に接続する。バルブV11およびV12は、生理食塩水が、血液ポンプ48の上流および下流のT状接続部の一方または両方に選択的に流れることができるように、生理食塩水ライン372内に配置される。動脈接近ライン44aは、再び接続部358を介して静脈接近ライン44bに接続される。
【0217】
本発明の第2のプライミング方法の動作では、ポンプ48の下流に位置するバルブV11が開放して血液ポンプ48が逆に動作し、生理食塩水はバッグ368から生理食塩水ライン372、バルブV11、接近ライン44a、接続部358、接近ライン44bを通り、点滴チャンバ52内に揚送される。血液ポンプ48は、点滴チャンバ52が充填され、空気が通気口64を介してパージされるまで、生理食塩水を揚送する。次に、バルブV11および空気検出器クランプ53が閉鎖し、バルブV12が開放し、血液ポンプ48は、生理食塩水をバッグ368から抜き取り、ポンプ48の下流でその量の流体を通常動作方向に押し進め、空気を通気口64を通して換気する。このサイクルは、体外回路が完全にプライミングされるまで続く。この第2プライミング方法は、本明細書に記載するどのモダリティ、揚送体系および容積制御方法にも同様に適用することができる。
【0218】
第1および第2プライミング方法の何れかの修正は、血液リンスバックを患者42に提供するように行うこともできる。これは、体外ライン内の血液がある場合、血液を患者に返すために、治療の終わりに行われる。血液リンスバックの主な相違は、接近ライン44aおよび44bが、接続部358を介して互いに接続されるのではなく、患者42に接続されることである。たとえば、生理食塩水368またはその他の適切な源を使用すると、バルブV11が開放し、ポンプ48は逆に動作して、血液を動脈ライン44aの予備ポンプ部分にリンスバックする。動脈ライン44aのこの部分の空気検出器54は、血液または生理食塩水中の空気を検出し、このような空気が検出された場合、回路をクランプする。ポンプ48は、血液が、動脈ライン44aの予備ポンプ部分を通って、患者に完全にリンスバックされるように、適切な量の時間だけ動作する。
【0219】
次に、バルブV11が閉鎖して、バルブV12が開放しポンプ48は、生理食塩水を供給源368から抜き取って、通常方向に動作することができる。ポンプ48は、生理食塩水またはその他の適切な流体を源368から、動脈ライン44aの残りの部分、透析装置20、30(モダリティに応じる)、点滴チャンバ52を含む静脈ライン44bを通して揚送する。リンスバックは、血液を体外回路のこれらの部分から患者42に返す。一実施形態では、動脈および静脈ライン44aお44b上の生理食塩水センサは、それぞれ、予め設定した量のリンスバック後に、体外回路が半透明または透明ではない場合に警報を発する。血液が患者に完全にリンスバックされた後、患者は、本発明の腎不全治療システムとの接続を断つように指示される。
【0220】
上記の第1プライミング方法は、血液リンスバックにも適応させることができる。この場合、透析液または生理食塩水は、透析装置またはその他のモダリティの濾過器を通して逆濾過される。血液ポンプ48は、第1プライミング方法に関連して上記で述べた逆方向および順方向サイクルで動作する。ポンプ48は、生理食塩水と血液との混合量を制限するため、血液リンスバックの場合は、比較的低速度で動作する。その結果、血液を患者に完全にリンスバックするために必要な生理食塩水またはその他の溶液は最低限になる。
【0221】
システム500をプライミングするか、または血液を患者にリンスバックするための別法による方法では、体外回路内のラインクランプの1つが閉鎖され、透析液の生理食塩水は、点滴チャンバ52が患者のレベルまで、たとえば4分の3充填まで充填されるまで、透析液ポンプ370および390の一方または両方を介して、体外回路内に揚送される。点滴チャンバ52が予め設定されたレベルまで充填された後、透析液または生理食塩水の注入は停止し、ポンプ370および390は、流体を体外回路内に揚送しなくなる。次に、ラインクランプ54が開放する。血液ポンプ48は、体外回路を通して透析液を循環させる。必要な場合、クランプ54が再びクランプされ、この過程を繰り返す。
【0222】
さらに別法によるプライミングまたはリンスバック実施形態では、生理食塩水バッグ368、供給源または排水バッグからの透析液、生理食塩水ライン372、バルブV12、およびランプ54と血液ポンプ48との間の体外回路に至るライン372の部分が使用される。この場合、図26のバルブV11は不要である。透析液または生理食塩水は、1つまたは複数の透析液ポンプ370および390を介して透析装置20、30に揚送され、血液ポンプ48は逆方向に動作し、バルブV12は閉鎖して、動脈ライン44aをプライミングまたはリンスバックする。次に、バルブV12が開放し、生理食塩水または透析液は、供給バッグ368から抜き取られ、ポンプ48は通常の動作方向に動作して、静脈ライン44bをプライミングまたはリンスバックする。この方法は、透析液回路を通して揚送される透析液または生理食塩水、および体外回路内に直接流れる透析液または生理食塩水源を使用する。この実施形態は、システム500に示すバルブV11をなくす。
【0223】
プライミングまたはリンスバックの上記の各々の方法は、上記のモダリティ、ポンプ構成および容積制御体系の何れにも使用することができる点は評価されるべきである。さらに、当業者は、本発明の装置および方法を使用して、効果的なプライミングおよびリンスバックを達成するため、追加のバルブ操作を決定することができる。
【0224】
限外濾過液制御−二重平衡管
本発明は、平衡デバイスの複数の実施形態を説明しているが、平衡管は、製造の容易さ、コストおよび効果間の良好なトレードオフを示すと考えられる。たとえば図25および図26に関して上記で述べた平衡チャンバは、血液透析などの血液腎不全治療において、限外濾過液を効果的の計量および制御することが、長時間テストされて実証されている。平衡チャンバに関連するシーティングおよびチャンバは、確かに製造可能だが、単にバルブチャンバ、蠕動ポンプ用の管類、および本発明の平衡管用管を有するものに比べて、比較的複雑なカセットを示す。
【0225】
蛇行経路の実施形態は、おそらく最も簡単なカセットを含むが、新鮮透析液の効果的な使用の点で(新鮮および流出透析液が混合する傾向があるため)、あまり望ましくない。やはり、この潜在的な欠点は、透析液をオンラインで調製する場合は、それほど問題ではない。しかし、平衡管は、新鮮透析液バッグを有する家庭用として、最も良い解決方法を提供する。
【0226】
図27A〜27Dを参照すると、二重平衡管を使用する透析液の容積制御に関する異なる流動サイクルが示されている。平衡管360aおよび360bに関連するバルブV1〜V10の配置は、図25および図26の二重平衡チャンバ340aおよび340bに関連するバルブV1〜V10の配置と同じである。したがって、平衡チャンバ340aの代わりに使用される平衡管360a、および図25の平衡チャンバ340bの代わりに使用される平衡管360bは、誰でも容易に想像できる。
【0227】
図27Aに示すサイクルは、第1透析液交換サイクルである。この場合、バルブV1、V4、V5、V8、V9およびV10が開放し、バルブV2、V3、V6およびV7が閉鎖する。このサイクルの開始時に、平衡管360は新鮮透析液を充填され、隔離板366aは、使用済み部分364aの少なくとも実質的に終わりに位置する。また、平衡管360bは流出透析液を充填され、隔離板366bは、平衡管360bの新鮮部分362bの少なくとも実質的に終わりに位置する。この第1サイクルでは、新鮮透析液ポンプ370は、新鮮透析液をライン330、ライン330bおよびバルブV5を通して、平衡管360bの新鮮透析液部分362b内に揚送する。新鮮部分362bに入る流体の力は、隔離板366bを押し、ひいては使用済み透析液を開放バルブV8、ライン338b、多岐管338およびバルブV9を通して一方の排水バッグに入れる。
【0228】
同時に、使用済み透析液ポンプ330は、流出透析液を透析装置または血液濾過器から押し出し、対流搬送、ライン328a、バルブV4を通して、平衡管360aの使用済み部分364aに入れる。平衡管360aの使用済み部分364aに入る流体の力によって、隔離板366aは平衡管360aの新鮮部分362方向に移動する。その結果、新鮮透析液は、バルブV1、ライン314a、多岐管314およびバルブV10を通して、使用するモダリティに応じて透析装置または体外回路に押し入れられる。図27Aのバルブの説明から、一方の平衡チャンバが患者に対する新鮮流体を計量し、他方の平衡チャンバが排水管に対する使用済み流体を計量することが分かるであろう。
【0229】
図27Bは、それぞれ平衡管360aおよび360bの新先端部362aおよび使用済み端部364bにおける隔離板366aおよび366bを示す(図27Aに示すサイクルの移動の終わりにおける)。この瞬間に、すべてのバルブV1〜V10は閉鎖する。すべてのバルブが閉鎖すると、シーケンスは、平衡管360aおよび360bおよびバルブV1およびV10が次の流体搬送サイクルと確実に同期するようにする。
【0230】
次に、図27Cを参照すると、図27Aに示すサイクルと逆の流体搬送サイクルが示されており、このサイクルは図27Bに示すバルブ条件から開始し、つまり、平衡管360aに流出透析液が充填され、平衡管360bに新鮮透析液が充填される。次に、対向する流れが生じ、平衡管360aは排水管に対する使用済み流体を計量し、平衡管360bは透析装置または体外回路に対する新鮮流体を計量する。このサイクルでは、バルブV2、V3、V6、V7、V9およびV10が開放し、バルブV1、V4、V5およびV8は閉鎖する。新鮮透析液ポンプ370は、新鮮透析液を多岐管330、ライン330aおよびバルブV3を通して、平衡管360aの新鮮部分362a内に揚送する。この動作によって、隔離板366aは、使用済み透析液をバルブV2、ライン338a、多岐管338およびバルブV9を通して排水管に押し入れる。同時に、使用済み透析液ポンプ390は、使用済み透析液を透析装置または血液濾過器から、対流搬送、ライン328b、バルブV6を通して、平衡管360bの使用済みまたは流出部分364b内に揚送する。この動作によって、隔離板366bは、新鮮透析液をバルブV7、ライン314b、多岐管314およびバルブV10を通して患者または透析装置に押し入れる。
【0231】
図27Cのサイクルが完了した後、各々のバルブは、平衡管が図27Aに示す状態と同じ状態で閉鎖し、図27A〜図27Cに示す上記の3つサイクルが繰り返される。図27Bのすべてのバルブが閉鎖した状態は、比較的短期間だけ生じるため、患者または透析装置への流体の流れ、および透析装置または血液濾過器からの流体の流れは実質的に拍動しない。このような拍動しない流れは、(i)処置は、より効果的に管理される、(ii)新鮮および使用済み揚送サイクルは、同じで速度で行われるため、患者から非常に多量の流体が抜き取られる危険性を減少させる点で、単一平衡デバイスの比較的拍動する流れに比べて有利である。
【0232】
図27Dを参照すると、本発明の平衡管360aおよび360bで限外濾過を行うための一実施形態が示されている。平衡管360aおよび360b内に保持される隔離板366aおよび366b並びに流体の状態は、図27Aと同じであることを理解するべきである。しかし、交換サイクルを行うのではなく、図27Dに示すバルブ構成を使用する。この場合、バルブV1、V4およびV7〜V9は開放し、バルブV2、V3、V5、V6およびV10は閉鎖する。限外濾過サイクルでは、使用済み透析液ポンプ390のみが作動する。ポンプ370は停止するか、または再循環ライン332を行う。ポンプ390は、流出流体を対流搬送、ライン328aおよびバルブV4を通して揚送し、隔離板366aを平衡管360aの使用済み部分364aから管の新鮮部分362a方向に押す。この動作によって、新鮮透析液はバルブV1、ライン314a、多岐管314、ライン314bおよびバルブV7を通って平衡管360b内に入る。その結果、平衡管360内に入る流体は隔離板366bを押し、流出流体は、バルブV8、ライン338bおよび多岐管338を通り、バルブV9から排水される。排水管に送られる流体は、そのサイクル時に、対応する量の流体が患者または透析装置に送られないため、限外濾過液を表す。
【0233】
この限外濾過液サイクルは、長時間にわたる限外濾過液除去速度を変更するため、流体交換サイクルと相対的に頻度を変更することができる。流体の適用量は、患者に同様の方法で与えられ、入ってくる新鮮透析液は、隔離板を介して流出透析液を一方の平衡管から他方の平衡管に押し、隔離板を他方の平衡管に圧迫して、モダリティに応じて新鮮な溶液を透析装置または体外回路方向に押す。患者または透析装置は、患者からの流体の対応する損失がない状態で流体を取得し、流体の適用量が得られる。
【0234】
次に、図28を参照すると、本発明の平衡管360aの別法によるバルブ構成が示されている。この場合、1対のT形374は、平衡管360aの362aおよび364aに完全に嵌合または封止される。バルブV1〜V4は、図27A〜図27Dに示す管360aの入口および出口に対して同じ構成で配置される。この場合、平衡管360aの各々の端部362aおよび364aに至る通路が1つだけ必要である。図27A〜図27Dと同様、バルブV2は、流出透析液がライン338を介して排水管または排水バッグのどちらに供給されるかを制御する。バルブV4は、透析装置または血液濾過器のどちらからの流出透析液が、ライン328aを介して平衡管360aに入るかを制御する。バルブV2およびV4は共に、平衡管360aの使用済み透析液端部364aに配置される。バルブV3は、供給バッグの一方からの新鮮透析液が、ライン330aを介して平衡管360aに入るかどうかを制御する。バルブV1は、透析液がライン314aを通って平衡管360aから出て行くかどうかを制御する。バルブV1およびV3は共に、平衡管360aの新鮮透析液端部362aに位置する。
【0235】
図28は、隔離板366aが平衡管360aの適切な端部362aまたは364aに移動したことを検出および確認するため、光センサなどの1対のセンサ376が器具内に配置されていることを示す。たとえば、流体が、透析装置からライン328aおよびV4を通って収容されると予測される場合、腎不全治療機械内の論理は、端部362aでセンサ376の光ビームが遮断され、隔離板366aがセンサ376を通過して、行程の終わりに達した後に再度確立されると予測するであろう。光ビームが遮断または再確立されない場合、機械は、隔離板366aが、特定サイクルに適する目的地まで移動しなかったと考え、適切な信号を送信する。別法によるセンサ、たとえば近接、キャパシタンス、ホール効果、超音波などは、図示の光センサ376の代わりに使用することができる。これらのセンサは、バルブ機能を検査するために使用しても良い。この場合、バルブが、閉鎖すると予想されている時に開放したために、隔離板366aが移動すると、バルブは漏れがあると検出される。
【0236】
限外濾過液の制御−二重蛇行経路
次に、図29を参照すると、もう1つの二重平衡デバイス実施形態が示されている。この場合、以前に図25〜図28に示した平衡チャンバおよび平衡管は、蛇行経路470aおよび470bに置き換えられる。蛇行経路470aおよび470bは、やはり図25〜図26に示すように、バルブV1〜V8の間に配置される。当然、図25、図26および図29に示すバルブV1〜V8の動作は、同時に流体を患者に連続的に送り、使用済み流体を排水管に送り、限外濾過液を透析装置または血液濾過器から除去するように作動する。以前のように、二重蛇行経路470aおよび470bは、どのモダリティでも、また本明細書に記載する異なるどのタイプのポンプでも実施できる。新鮮流体を透析装置20、30まで押し進めるため、蛇行経路ライン328a、330aまたはライン328b、330bに新鮮透析液が充填される。蛇行経路470aのV1およびV4、または蛇行経路470bのV6およびV7が開放する。ポンプ390は、使用済み透析液をライン328a、330aまたはライン328b、330bを通して揚送し、対応する多量の新鮮透析液を透析装置まで押し進める。次に、バルブV2およびV3またはバルブV5およびV8が開放し、使用済み流体を排水管に押し進める。
【0237】
1つの好ましい実施形態では、蛇行経路470aおよび470bは交互に入れ替わるため、1つの経路が、1つのサイクル時に透析液を透析装置に供給し、他の蛇行経路が、同じサイクル時に透析液を透析装置に供給する。次に、経路470aおよび470bの役割が逆転する。1つの経路が透析液を透析装置に供給している間、他の経路は、新鮮な溶液を充填され、使用済み透析液を排水管に供給する。蛇行経路470aおよび470bの各々は、新鮮および使用済み流体の混合量が最低限になるような長さおよび直径を有するように構成され、その結果、流体は所望の目的地に多量に移動する傾向がある。
【0238】
限外濾過液を除去するため、ライン328a、330aまたは328b、330bの1つからの新鮮流体が移動して、その結果、他のラインからの使用済み流体を排水管に移動させる。たとえば、蛇行経路470aのバルブV1およびV4が開放され、その結果、使用済み透析液はライン328a、330aに入り、新鮮透析液を開放バルブV7を通して蛇行経路470bのライン328b、330bに移動させる。バルブV6が開放し、使用済み透析液は、ライン572を通って排水管に移動する。必要な場合、バルブが透析液ポンプ390の後に追加され、その結果、使用済み流体は、限外濾過液サイクル時にポンプ390内に逆流しない。
【0239】
図示のとおり、別個の限外濾過液ポンプ570は、システム550または上記システムの何れかに追加される。限外濾過液ポンプ570は、蛇行経路470aおよび470bが連続的に作動して、流体を透析装置または血液濾過器に送り、等量の流体を透析装置または血液濾過器から取り出すことを可能にする。限外濾過液ポンプ570は、透析液を限外濾過液572を通して排水バッグの1つに除去する。限外濾過液機能を蛇行経路470aおよび470bから除去すると、新鮮および使用済み流体の混合を減少させると考えられる。追加の限外濾過液ポンプ570は、ポンプ390と逆に作動して、適用量の流体を必要とする患者に提供することもできる。
【0240】
本明細書に記載するどの二重平衡デバイスシステムも、ADS接点354および356、並びに対応する電子回路を使用して、接近ライン44aまたは44bの一方が治療時に偶発的に患者から外れた場合に検出することができる点は評価するべきである。さらに、どのシステムも、図25、図26および図29に示し、上記で説明した様々な圧力除去装置332の1つまたは複数を使用することができる。さらに、加熱器は、新鮮透析液ポンプ370の前後に配置される。やはり、ポンプは、本明細書に記載する様々なポンプのどれでも良い。さらに、どの二重平衡デバイスも、上記で説明する流体調製モジュール、および再循環ループと共に使用することができる。システムは、使い捨てカセット内の流体の温度を測定するために、非侵襲性の温度測定デバイスを使用する場合もある。
【0241】
限外濾過液制御−重量計
次に、図30および図31を参照すると、交換された透析液および除去された限外濾過液の量を制御するための他の別法による方法は、供給源および排水バッグ12〜18内の流体の重量を測定することによって制御する。便宜上、供給源/排水バッグ14、16および18のみを図30に示す。腎不全治療過程を制御するために、重量を使用することは十分に周知されている。1つの重量計を使用して、失われる新鮮流体と取得した使用済み流体の両方を明らかにすることができる。この場合、流体の正味量が患者から除去または限外濾過されるため、システムは、時間が経過するにつれて重量が増加すると予測する。別法によると、新鮮バッグ用の第1重量計および排水バッグ用の第2重量計が使用される。2つの信号が生成されて加算され、期間内のある時点で蓄積した限外濾過液の量を決定する。しかし、図30および図31のシステムは単一重量計を使用しているが、代わりに二重重量計を使用しても良い。
【0242】
図30および図31の趣旨は、重量計または重量測定デバイスを本明細書に記載する様々なシステム内に実施するための1つの装置を示すことである。図30には、血液治療機械140が示されている。図示の実施形態では、血液機械140は、機械140の前面の傾斜部分であるカセット装填部分142にカセットを収容する。使い捨てカセットを収容し、重量計を使用できる機械のその他の実施形態は、図35〜図39に関して以下で説明する。バッグ14、16および18は、スタンド144上に装填される。スタンド144はシャフト146に結合される。
【0243】
図31は、図30の断面図の拡大図であり、シャフト146、スタンド144およびバッグは、機械140が治療のために配置されているかどうかに関わらず、機械のテーブル上に支持される脚部152によって支持される。シャフト146は、線形軸受け148内で線形に移動可能である。複数の回転防止ピン162を有するキャップ154は、可動シャフト146の端部に取り付けられる。ピン162は、機械140の筐体内に画定された嵌合スロットまたは溝内に存在する。ピン162および嵌合スロットまたは溝は、シャフト146が、機械140に対して線形だが回転しないように移動することができる。
【0244】
シート164は、転動形ダイアフラム168の一方の端部をシートとキャップ154との間に封止する。脚部152および機械の枠に結合された筐体176は、転動形ダイアフラム168の他方の端部を筐体176と機械140の枠との間に封止する。筐体176、転動形ダイアフラム168およびシート164は、閉鎖容量チャンバを形成する。転動形ダイアフラムは、容積を閉鎖状態に維持し、シャフト146が、供給源および排水バッグ内の重量の変化によって上下に変動することも可能にする。転動形ダイアフラム168は、ゴムまたはプラスチックのシーティングなど、任意の適切な変形可能だが、不浸透性の材料から製造される。閉鎖容量チャンバ内の空気の量は、バッグ14〜18および支持装置の重量によって加圧される。圧力の量は、バッグ14〜18ないの液体の量を指示し、液体の量に応じて変化する。
【0245】
圧力センサは、適切なタイプのどのセンサでも良く(図示しない)、たとえば、シート164によって画定される開口部178内に設けられる。圧力センサは、閉鎖容量チャンバ内の圧力を感知する。センサは、信号を機械140内のプロセッサまたは制御装置に送信し、この制御装置は信号を処理して、バッグ14〜18ないの対応する重量を決定する。
【0246】
重量制御システムは、上記の容積制御デバイスの必要性をなくす点で望ましい。機械140のカセットは非常に単純であり、主にバルブ流路を含む。この重量システムの1つの欠点は、患者がバッグをスタンド144上に正しく配置する必要があることである。図30および図31に関連して上記で述べたスタンドおよび組立体も、デバイス全体の重量およびサイズを増加させる。本発明の家庭用腎不全治療機械は、小型かつ軽量であり、人が家庭の内外で、容易にデバイスを移動させるか、または操作できることが望ましい。
【0247】
ECHD濾過器
次に、図32を参照すると、ECHD濾過器の一実施形態が、濾過器600で示されている。上記で組み込んだとおり、適切な1つのECHD濾過器は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,730,712号に記載されている。この特許に記載されている濾過器に類似する濾過器600は、単一ユニットとして設けられる。しかし、濾過器600は、可変制限手段40と共に動作することが可能である点で、この特許の濾過器とは異なる。
【0248】
濾過器600は、静脈透析装置20に対応する筐体602、および動脈透析装置30に対応する筐体602を備える。筐体602は、円筒状の剛性プラスチックなど、任意の適切な材料から製造して良い。ファイバ状の半透過性膜は、静脈分20および動脈部分30内に配置される。これらの膜は、当業者が周知している何らかの方法による注型封入604を介して、筐体602の外側端部に注型封入される。これらの膜は、注型封入606を介して、濾過器600の静脈20および動脈30部分の各々の内側端部に注型封入される。
【0249】
血液入口キャップ608は、筐体602に封止状態で固定され、血液は、血液管を介してキャップ608に入り、キャップ内で分散し、動脈部分30の中空の半透過性ファイバ膜の内部に入る。同時に、血液は、中空ファイバ膜の外側で、注型封入604を介して筐体602に入るのを妨げられる。
【0250】
血液は、濾過器600を通って、図32に示す矢印を経由して移動する。つまり、血液は、濾過器600の動脈部分30を通って上方に移動し、動脈部分30の内部注型封入606から外に出て行く。次に、血液は、中間チャンバ642に入る。中間チャンバ642は、筐体602の内側端部に封止的に固定される結合部またはその他の管である。
【0251】
血液は、次に、濾過器600の静脈部分20内に収容された中空半透過性膜の第2集合に入る。血液は、これらのファイバに入り、静脈部分20の筐体602の内側端部における内部注型封入606を介して、ファイバの外側で静脈部分20の筐体に入るのを防止され、血液は、静脈部分の膜、外側注型封入604を通って、血液出口キャップ632に流入する。その結果、血液出口キャップ632は、血液を濾過器600から体外回路内に搬送する管に封止的に結合される。
【0252】
静脈部分20の筐体602は、透析液入口ポート634および透析液出口ポート636を備える。同様に、動脈部分30の筐体602は、透析液入口ポート638および透析液出口および限外濾過液ポート640を備える。ポート634、636、638および640は、医用流体管類と封止的に嵌合する任意の適切なタイプで良い。ポート634は、透析液を透析液供給源から収容する。ポート640は、患者からの透析液および限外濾過液が、濾過器600の外部に抜き取られることを可能にする。流出透析液の流れは、ポート640を介して濾過器600から出て行く。
【0253】
可変制限手段40は、ポート636および638と連通させて配置される。この制限手段は、比較的多量または比較的少量の新鮮透析液が、静脈部分20の筐体602に配置された中空ファイバ膜内に逆濾過されるように、ある程度制限的に製造される。上記のとおり、濾過器600の浄化は対流または拡散である。濾過器600は、本発明の望ましい1つの目標を達成し、つまり、対流モードと拡散浄化モードの両方によって、患者の老廃物の小分子、中分子または大分子を全体的に効果的に治療する。筐体602、キャップ632、608、注型封入材料、多孔性ファイバ、およびポートは、任意の適切な材料から製造される。
【0254】
可変流量制限手段を提供するための装置
次に、図33を参照すると、可変流量制限手段40の一実施形態が示されている。再現可能かつ正確な可変制限手段を提供するには、多くの類似する異なる方法があると主張されるが、図33の可変制限手段40は1つの適切な構成を提供する。システム40は、結合器958を介してレバーアーム956に結合されるステッパモータ954を備える。ステッパモータは、非常に正確かつ再現性がある位置決め装置として先行技術で公知であり、これは、正確な距離をおそらく所望の加速度および速度で正確な距離を返すように、ステッパモータ954に命令するマイクロプロセッサから信号を受信することができる。図33では、ステッパモータ954は、主に、一定の表面960に対して、レバーアーム956を正確な位置に配置するために使用される。
【0255】
管部分962は、図1、図4、図5、図9、図12および図14にも示されており、透析液の流れを透析装置20と30との間に接続する。図33は、部分956が、ブラケット964によって表面960に対して、所定の場所に保持されていることを示す。図33に示すレバーアーム956は、現在、全流量が管部分962を貫流することが可能な位置にある。つまり、図33に示す構成では、殆どの透析液は、透析装置20または30の一方の膜を通って逆流しない。レバーアーム956は、図33に見られるように反時計方向に回転するので、管部分962は変形して、次第に断面積を減少させ、デバイス40内の制限手段の量を連続的に増加させる。当然、レバーアーム956は、実際上、管部分962を通る全流量を制限し、治療流体全体が、実際上、透析装置20または30の1つの膜を通って体外回路50に入る位置まで回転させることができる。
【0256】
重要なことに、ステッパモータ954は、正確で再現可能である。つまり、ステッパモータ954は、レバーアーム956を、実際上何回も繰り返して同じ位置に回転させるように指示することができる。管部分962は、レバーアーム956および固定表面960に対して、ブラケット964によって同じ位置に保持されるため、レバーアーム956は、アーム956が指示された同じ位置に移動する時に、ライン962を通る同じ量の制限を正確かつ繰り返し生成する。ステッパモータ954のプログラム可能性によって、制限手段40は、患者、医師またはその他の操作者所望する治療持続時間全体で変化する実際上任意の所望の制限プロファイルを有することも可能である。このような可変制限プロファイルは、上記に説明されており、プログラムとして本明細書に記載するシステムの制御装置の記憶デバイス内に記憶して、可変制限プロファイルの1つを呼び出して、所望どおりに実施することができる。
【0257】
カセット、血液治療機械および溶液バッグ間のインターフェース
次に、図34を参照すると、カセット100a(上記の図2および図3に示される)は、血液治療機械の内側に位置する多数の流量デバイスとインターフェースする動作可能位置に示されている。図示のカセット100aは、筐体104を備える。筐体104には、多数の流動構成要素が取り付けられ、これらの構成要素は、カセット100a上またはカセット100a内に、部分的または完全に設けられる。図示のとおり、透析装置20および30は、筐体104に取り付けられる。管類102は、血液蠕動ポンプのポンプヘッド部分周囲にループすることができるように延在し、カセット100aの筐体104に流体的に接続する。動脈および静脈患者ライン44aおよび44bも、それぞれ、カセット100aに取り付けられるか、またはカセット100aと連通する。図33に示すように、患者接近ライン44aおよび44bは、患者接近ライン44aおよび44bは最初に互いに接続され、これらのライン内の殺菌状態を保存する。圧力センサ46などの多数のセンサは、さらにカセット100aと一体化される。
【0258】
参考のため、排水管容器12および溶液バッグ14〜18は、図34にカセット100aに対する可能性ある1つの隣接位置で示されている。バッグ12〜18は、管(図示しない)を介してそれぞれバッグポート132〜138に接続し、カセット100aの筐体104から延在する。ポート132〜138は、図2および図3にも示されている。図2および図3は、多数の追加のポートも示す。たとえば、ポート106は透析装置20および30に接続する。ポート108は、図2および図12に示す蠕動ポンプ102に接続される。図2、図3および図12は、多数の追加のポート116も示し、これらのポートは、図2および図3に関連し記載する濾過器20、30に接続される。ポート116などの追加のポート、およびバルブ部分156は、カセット100aに追加され、図5〜図8の吸着剤カートリッジ222で動作し、このカートリッジと連通する。
【0259】
図34は、血液治療機械内部に収容される多くのデバイスを示す。たとえば、図34は、図2に示すカセットバルブ位置156に動作可能に接続された多数のバルブ56を示す。流体は常に、使い捨て式の減菌カセット100aを貫流する。一方、この機械およびバルブ56の電子回路は、機械の内部に配置され、再利用される。同様に、加熱器58は、図2に示されるカセット100aの流体加熱部分158に動作可能に結合する。図34は、点滴チャンバ52(たとえばチャンバ52a〜52cを総称する)、およびカセット100aで動作可能な温度センサ62も示す。さらに、図12に示されているポンプ22および24の輸液ポンプ作動装置は、図2に示されているように、ポンプチャンバ122および124に動作可能に結合する。同様に、限外濾過液ポンプの作動装置、またはポンプ26および28は、図2に示すポンプチャンバ126および128に動作可能に結合する。
【0260】
次に、図35を参照すると、図34の流動デバイスが示され、この場合は、血液治療機械150内に収容されている。血液治療機械150は、本明細書に記載するシステムおよび治療の何れかを行う機械である。図35は、一実施形態では、排水バッグ12および溶液バッグ14〜18が、動作時に、2×2構成で機械150の上部に格納されることを示す。機械150は、機械150内のカセット100の相対的配置も示す。特に、バッグのポート132〜138は、機械上部から上方に、バッグ12〜18に比較的近接して延在する。ポート116(たとえば、透析装置または血液濾過器、吸着剤カートリッジ、または付随する点滴チャンバ52などに取り付けられる)は、機械150の側部から延在する。
【0261】
図35は、蠕動ポンプの血液ライン102が、機械150の外側に延在し、蠕動ポンプ48の揚送ヘッド部分と嵌合することも示し、蠕動ポンプ48は、主に機械150の内部に収容されるが、管102を受け入れるために、機械150の外側に位置する回転ヘッドを有する)。カセット100aは、機械150の内側のほぼ全体に摺動し、透析装置20および30、蠕動ライン102、患者接近ライン44aおよび44b並びにポート116は、機械150の外側に残される。
【0262】
機械150はグラフィカルユーザインターフェース160を備え、これは、患者42、看護師またはその他の操作者が治療を開始し、治療を監視し、治療から状況メッセージを受け取り、患者の治療の治療後分析および状況に関するデータを収集することを可能にする。グラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)160は、患者42またはその他の操作者が、所望の治療法を選択し、所望または必要な体液喪失またはUF量を治療ごとに調節することを可能にする。GUI160は、メモリカード、フラッシュメモリ、モデム、インターネット接続、またはその他の適切なローカルエリアまたは広域モードのデータ通信を介するパケット化またはチェック済みデータパケットにより、処方エントリを受信する。GUI160を実行する電子回路およびソフトウェアアーキテクチャは、好ましい一実施形態では冗長であるため、何らかの重要な機能の監視および制御は、別個のハードウェアおよびソフトウェアによって実行される。
【0263】
一実施形態におけるGUI160は、患者42または操作者が所望のパラメーターを入力することを可能にするタッチスクリーンを備える。別法による実施形態では、GUI160は、電気機械デバイス、膜スイッチ、音声駆動、メモリカード、または上記の入力デバイスの何らかの組合せを使用する。一実施形態では、GUI160は、管理/代行プロセッサシステムなどの複数のプロセッサを介して実行される。別個のプロセッサは、機械の重要な機能が正しく実行されているかどうかを監視および検査するために設けられる。つまり、1つのプロセッサは、所望の治療を達成するために、システムの流動デバイスを制御するために設けられ、別のプロセッサは、ハードウェアプロセッサおよび対応する流動デバイスが正しく動作していることを検査するために設けられる。
【0264】
図36および図37は、別法による血液治療機械170を示し、これは、主に、排水バッグ12および溶液バッグ14〜18の構成の点で、機械150と異なっている。特に、機械170は、容器12〜18を垂直に下げることを可能にする回転ラックタイプの構成172を使用する。
【0265】
図36は、機械170から取り外されたカセット100aを示す。機械170は、図36に示すスロット174を画定し、このスロットは、図37に示すように、機械170内にカセット100aを挿入することを可能にする。図示のとおり、機械170は、図35に関連して上記で述べたGUI160を使用する。図35〜図37は、複数の方法で溶液バッグ12〜18の支持を構成することが可能であることを示す。
【0266】
次に、図38〜図41を参照すると、別法による血液治療機械180は、こうした流体の搬送のための上記のポンプの代わりに、透析液および血液の一方または両方を移動させる線形チュービングポンプを使用する。当然、透析液流路または患者の血液回路の何れかに、複数の異なるタイプの揚送技術の何れか1つを使用することが可能である。たとえば、図34に示すように、血液回路に使用されるポンプ48などの蠕動ポンプは、透析液流路に関して上記で述べた容量ポンプ22〜28の代わりに使用することができる。蠕動ポンプは、ポンプ48のように、主に血液治療機械の内部に配置され、管102と同様に機械の外側に管を収容するが、透析液または治療流体を揚送する。
【0267】
図38の機械180は類似のタイプの代替物を示し、これは、一連の隣接して配置される円形ドライバフィンガー182を使用し、これらのフィンガーは、別法によるカセット190の内部に位置する透析液または治療用流動管に対してほぼ垂直に並ぶ。線形フィンガー182は、蠕動ポンプ内のローラに類似する方法で透析液管184を順に圧縮し、カセット100bの可撓性透析液管184内で流体を圧縮し、これらの管を通して、流体に関して所望の目的地に移動させる。高流量透析装置20および30は、上記のとおり、別法によるカセット100bに接続し、一実施形態では、図示のとおり機械180の一方の側部から延在する。1つまたは複数のモータ186は、カムを回転させて、規定の順序に従って線形フィンガー182を駆動させるために設けられる。
【0268】
次に、図39を参照すると、線形チュービングシステムの一実施形態が示されている。この場合、排水バッグ12および複数の溶液バッグ14、16、18および188は、テーブルの天板192によって支持される。たとえば管194および196を介したチュービング接続は、別法によるカセット100bとバッグ12〜18および188との間で行われる。カセット100bは、機械180によって画定されるスロット198内に配置される。機械180は、上記のGUI160も備える。
【0269】
次に、図40および図41を参照すると、カセット100bおよび別法によるカセット100cは、線形チュービングポンプで動作するように、本発明のカセットを構成するための様々な実施形態を大まかに、個々に示している。カセット100bおよび100cは共に、排水バッグ12および溶液バッグ14〜18および188で動作する。両方のカセット100bおよび100cは、多くのセンサ、たとえば血液漏れ検出器66、複数の圧力センサ46および複数の空気/水分レベルセンサ68を備える。療法のカセット100bおよび100cは、上記のとおり、外側に取り付けられた高流量透析装置20および30で動作する。制限手段40は、動脈および静脈透析装置間の透析液経路内に配置される。
【0270】
カセット100bおよび100cは共に、図38に関する上記の線形チュービング部分184を備える。図40および図41は、本発明の線形チュービングポンプの1つの利点を示し、つまり、機械180に関連するドライバフィンガー182は、血液および透析液流路の両方に関してカセット100b/100cの線形チュービング部分184で動作可能であり、2つのタイプの揚送システムを有する必要がなくなる。
【0271】
図41のカセット100cは、再循環ライン220に流体的に接続して、活性炭または吸着剤カートリッジ222に至る追加の線形チュービング部分184を備える。再循環ライン220は、カートリッジ222から、透析液投入ラインおよび高流量透析装置30内に延在する。透析液の静脈透析装置20への流れ、および動脈透析装置30からの流れは、一実施形態では、流量測定デバイスを介して線形チュービングポンプに関連して監視され、流量測定デバイスは、静脈透析装置20内に入る投入ライン202における流量を測定し、バッグ14、16、18および188から、どの程度の新鮮透析液が供給されるかを感知する。流量測定デバイスは、漏れ検出器166を介して排水バッグ12に通じるライン204を介して、動脈透析装置30から出る流れも測定する。図41は分岐ライン206を示し、このラインは、使用済み透析液またはUFの一部分が、再循環ライン220を介して活性炭または吸着剤カートリッジ222にシャントされた後、動脈透析装置30内に戻ることを可能にする。
【0272】
誘導加熱器
次に、図42および図43を参照すると、本発明の加熱器58の2つの実施形態が、それぞれ加熱器58aおよび58bで示されている。上記のとおり、加熱器58は、任意の適切なタイプの医療流体加熱器、たとえばプレート加熱器、赤外線、もしくはその他のタイプの放射加熱器、対流加熱器、またはこれらの何らかの組合せで良い。加熱器58aは、誘導加熱器または誘導コイルを有する加熱器である。誘導加熱器58aは、カセット100などの使い捨てカセットに一体に構成されるか、または固定的に接続される。一方、誘導加熱器58bは、1対の管を介して使い捨てカセット100に接続し、カセット100の主本体から離して配置される。
【0273】
図42を参照すると、カセット100の一部分が示されている。カセット100は、流体流路76および流体流路78を画定する。図示の実施形態では、流体流路76は、誘導加熱器58aの入口である。流体流路78は、流体加熱器58aの出口である。つまり、新鮮透析液ポンプは、流体を流路76から、加熱器の筐体72aによって画定される流体チャンバ74a内に揚送することができる。次に、加熱された流体は、流体チャンバ74aから流動チャネル78を通り、たとえば透析装置または容量平衡デバイスに流れる。
【0274】
インライン加熱器58bに関しては、流体は、透析液ポンプを介して、入口ポート82に封止敵に接続された管(図示しない)に流れる。流体は、加熱器58bから、出口ポート84に封止的に接続された管(図示しない)、および使い捨てカセットの主本体上に位置する類似のポートを通って使い捨てカセットに流れる。
【0275】
加熱器58aおよび58bの各々は、加熱要素または誘導コイル80を備える。加熱器要素80は、流量チャネル74aおよび74bの各々の内部に挿入される。一実施形態では、加熱器要素80は、実質的に円筒状であり、実質的に円筒状の筐体72aおよび72b内にそれぞれ配置された場合、加熱器要素80の外側を長手方向に流下し、加熱器要素80の内部を逆流してから、加熱器58aまたは58bを出る環状流体流路を形成する。加熱器要素80は、加熱器58aおよび58bを貫流する流体に関して、加熱要素の表面積を増加するため、波形であるか、さもなければ鰭状構造を有することができる。
【0276】
一実施形態では、加熱器要素80は、変圧器の短絡二次コイルであるか、またはこのようなコイルとして動作する。閉鎖しているか、またはループ状の要素は、電気的にエネルギーを散逸させず、代わりに熱に変換される。機械内に位置する変圧器は、一次コイルである。一次コイルは、AC高周波数電源によって電力を供給される。
【0277】
流体加熱器58aおよび58bは、加熱器を貫流する液体の温度を監視できるように配置された1つまたは複数の温度センサを含む。一実施形態のこの温度センサは、赤外線温度センサである。一実施形態における加熱器要素80は、ステンレス鋼などの非腐食性金属から製造される。
【0278】
動作時、低温または室温の透析液は、加熱器要素80の外側に沿って加熱器要素80の底部周囲に、次に加熱器要素80の内側に沿って誘導加熱器58aまたは58b内に揚送され、最後に加熱器から出て行く。一実施形態では、カセット100などの使い捨てカセットは、筐体72aによって画定された加熱キャビティが、腎臓治療機械内に位置する一次コイル上に直接配置されるように挿入する。一次コイルは、通電されると、磁気的に短絡コイル80に電流を誘導して、要素80および周囲の流体を加熱する。一次コイルは、カセットを腎不全治療機械内で中心に配置して安定させるという二次的な目的に役立つ。
【0279】
一実施例では、要素80の表面積は、毎分約150ミリリットルの流速で透析液を5℃〜30℃加熱するために約10平方インチ以下で良い。加熱器は、直径約1インチ(25.4ミリメートル)×1.5インチ(38.1ミリメートル)の寸法を有する。別法によると、その他のサイズ、形状およびまたは複数のコイル80を使用して良い。
【0280】
平衡チャンバを有するカセット
次に、図44を参照すると、断面で示されているカセット100の一部分は、本発明のカセットベースの平衡チャンバ340を提供するための一実施形態を示す。カセット100(カセット100a〜100cの各々を含む)は、上部部分96、下部部分98、および可撓性シーティング346を含む。一実施形態では、部分96および98は、適切な剛性プラスチックから製造される。一実施形態では、可撓性膜またはダイアフラム346は、適切なプラスチックまたはゴム材料、たとえばPVC,非DEHP PVC、クレイトンポリプロピレン混合物、または類似材料から製造される。
【0281】
シーティング346は、半分96または98に溶接または接着される。過剰なシーティングはトリミングする。次に、この2つの部分は、部分間の嵌合界面で接着する。これで、部分96および98間にシーティング346が得られる。部分96および98は、シーティング346の溶接が、部分96および98間に限られるように構成する。その結果、部分96および98は、カセットの可撓性膜またはダイアフラム346を挟まれる。
【0282】
入口および出口流路に関する図17〜図21と同じ用語を平衡チャンバ340に使用すると、新鮮透析液を収容および分散させる上部部分96は、入口流路334および出口新鮮流体流路314を画定する。同様に、流出透析液を収容および分散させる下部部分98は、入口流出経路336および出口流出338を画定し、および。これらの流体経路は、図17〜図21に示す類似の参照符号を有する流体ラインと連通する。
【0283】
平衡チャンバ340に新鮮な流体が充満している場合、平衡チャンバおよび新鮮流体経路334の上流に位置するバルブが閉鎖する。透析液を患者または透析装置まで押し進めるため、入口流出ライン336と連通するバルブは、新鮮透析液供給ライン314と連通するバルブと同様に開放する。このバルブ構成によって、加圧流出流体は、膜またはダイアフラム346を流出入口336から離して、チャンバ340の上部方向に押し、それによりチャンバ340内の新鮮透析液を透析装置または患者に押しやることができる。
【0284】
平衡チャンバ340は、図示のように水平に向けるか、または垂直に向けることができる。垂直の場合、入口は、空気を流体からより良好に排出するために、出口の下に配置することが好ましい。また、ポートは、平衡管に関する図38の別法によるバルブ構成と同様、各々のチャンバの1つのポートに結合する。1つのポートは、必要に応じて、部分96または98間の界面に比較的近く、または直接隣接させて配置する。
【0285】
もう1つの実施形態では(図示しない)、平衡チャンバを提供するカセット100の部分は、上部および下部の剛性部分96および98を含まない。代わりに、カセット100のこの部分は、3層または3つの別個の可撓性膜を備える。カセットが腎不全治療機械内に装填されると、機械は、2つの外側の膜上に真空を引き、その結果、外側の膜は、平衡チャンバを画定する機械の壁に対して吸収される。この構成は、必要な剛性プラスチックの量を減少させ、容易かつ安価に製造することができると考えられる。別法による構成では、平衡チャンバのキャビティ内の圧力は、シーティングを押してキャビティに適合させるため、真空の必要はない。外側の層は、入口および出口透析液ラインと嵌合するように、この層と一体に成形されるか、または封止的に接続されるポートを有する。
【0286】
平衡管
次に、図45を参照すると、平衡管360の一実施形態が示されている。上記のとおり、同様の用語を使用すると、平衡管360は、平衡チャンバ340の可撓性膜346と同様に機能する隔離板366を含む。図示の実施形態では、隔離板366は、円筒状筐体382内でぴったりした状態で移動するボールまたは球状の物体である。1対のキャップ384および386は、円筒状筐体382の何れかの端部に設けられる。キャップ384および386は、外側のOリング388を介して、円筒状管類382を封止する。隔離板またはボール366は、内側Oリング392を介して、キャップ384および386を封止する。別法による実施形態では、キャップ384および386は、円筒状管382を取り外されないように、または密閉して封止する。ポート394および396は、それぞれキャップ384および386と一体に形成されるか、またはこれらのキャップに取り付けられる。ポート394および396は、当業者が周知している何らかの機構を介して嵌合する管を封止する。
【0287】
一実施形態では、円筒状管382は半透明または透明であるため、光センサは、ボールまたは隔離板366が適切に移動の終わりに達したかどうかを検出することができる。超音波またはその他のタイプのセンサは、代わりに使用することができる。組立体は、嵌合する前に取り付けられる隔離板366と管の中央で嵌合する2ピースの射出成形プラスチックから製造することができる。嵌合は、溶剤結合、超音波、または等業者が周知しているその他の技術によって行われる。管382は、単純な押出し成形品で、成形端部キャップを二次的な作業で適用しても良い。
【0288】
ボールまたは隔離板366は、円筒382の内部にぴったりと、しかも円滑に適合するようなサイズにする。新鮮流体と流出流体との少量の混合は、システムの性能に実質的に影響することなく行われる。別法による実施形態では、円筒ピストンタイプの隔離板が設けられる。何れの場合も、隔離板366は、場合によって、摺動または回転封止を強化するのに役立つワイパーまたは変形可能なフランジなど、追加の封止措置を有する場合がある。
【0289】
平衡管360に関して図45に示す構成要素の各々は、プラスチックまたはその他の適切な材料から製造される。一実施形態では、平衡管360は、カセット100と一体に成形される使い捨て部品であるか、または図42および図43の加熱器58aおよび58bと同様に、管類を介してカセットに取り付けられる。射出成形キャップまたは組立体を使用する場合、Oリングおよび取付具は不要である。さらに、隔離板を位置決めするための超音波または光センサなどのセンサは、管の端部に封止する必要性をなくすことができる。
【0290】
本明細書に記載する現時点で好ましい実施形態に対する様々な変更および修正は、当業者にとっては明らかであると考えるべきである。このような変更および修正は、本発明の精神および範囲を逸脱せず、また意図する利点を減少させずに行うことができる。したがって、こうした変更および修正は、添付の請求の範囲に含むことを意図する。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年11月5日に出願された米国仮特許出願第60/517,730号「High Convection Home Hemodialysis/Hemofiltration And Sorbent」の利益を主張し、この特許出願の全体の内容は、引用することにより本明細書に援用して信頼する。
【0002】
本発明は、全体として治療法に関する。詳細には、本発明は、腎不全の治療、および鬱血性心不全のための流体除去などの医用流体療法に関する。
【背景技術】
【0003】
血液透析(「HD」)は、一般に、拡散を用いて老廃物を患者の血液から除去する。半透過性透析装置全体に、血液と透析液と呼ばれる電解質溶液との間に生じる拡散勾配は、拡散を生じる。血液濾過(「HF」)は、患者の血液からの毒素の対流搬送に頼る代替腎置換療法である。この治療法は、治療中に補充液または置換液を体外回路に添加することにより行われる(一般に、10〜90リットルのこのような流体)。このような補充液、および患者が治療時に蓄積する流体は、HF治療の過程において限外濾過され、中程度および大きい分子を除去する際に特に有用な対流搬送機構を提供する(血液透析の場合、透析セッション間に得られる流体と共に、少量の老廃物が除去されるが、限外濾過液の除去からの溶質牽引は、対流浄化を形成するには不十分である。
【0004】
血液透析濾過法(「HDF」)は、対流および拡散浄化を結合する治療のモダリティである。HDFは、標準の血液透析と同様、透析装置を貫流する透析液を使用して、拡散浄化を形成する。さらに、補充溶液は体外回路に直接供給されて、対流浄化を形成する。
【0005】
家庭血液透析(「HHD」)は、このモダリティの臨床結果が従来の血液透析より魅力的であるにも関わらず、過去20年間で衰退した。家庭血液透析の欠点の1つは、機器、水道接続および排水を含む専用の水処理が必要なことである。これらの構成要素を設置して使用することは困難かつ厄介な作業であり、患者の家庭を改装する必要がある可能性がある。それにも関わらず、日常的な血液透析療法には、週に2〜3回治療センターを訪れることと比べて利点がある。特に、比較的頻繁に治療を受ける患者は、頻度が比較的少なく、おそらく比較的長時間の治療を受ける患者よりも多くの毒素および老廃物を除去する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の開示
本発明は、患者からの拡散および対流搬送の両方を結合する日常的な腎置換療法を行うシステム、方法および装置を提供する。血液透析の場合、高流量膜は、場合によって、結局、正味流体流量は患者からであるにも関わらず、透析液から血液への流体を逆濾過する可能性がある。逆濾過は、透析装置の特定の領域における血液の入口/出口と透析液の入口/出口との間の圧力差による。本発明は、この現象を利用するものである。
【0007】
一実施形態では、2つの小型高流量透析装置は、カセットに直列に流体的に接続される。透析液および血液は、透析装置および体外回路を通って逆流して流れる。しかし、一実施形態では、透析装置を通る透析液の流れは、代わりに並流する、つまり血液回路を通る血液の流れと同方向に流れる。制限手段は、透析液流路内の2つの透析装置間に配置される。この制限手段は、好ましい一実施形態では可変および調節可能であり、異なる治療条件を考慮に入れるか、または1回の治療時に調節することができる。この制限手段は、別法によると、比較的小さいオリフィスを有するオリフィスプレートなど、単純な固定制限手段である。濾過器間の制限手段により、静脈透析装置内に正圧が形成され、高度の意図的な逆濾過が生じる。透析装置間の制限手段のサイズに応じて、このような逆濾過によって、高流量静脈−膜を通る透析液の著しい流量が直接血液内に流入する。逆濾過された溶液は、その後、動脈透析装置を通して患者から限外濾過される。透析液が静脈濾過器内の血液中に移動し、透析液が動脈透析装置から除去されると、毒素が患者から対流搬送される。さらに、患者の体内に直接移動しないが、代わりに両方の透析装置の膜を横断して流れる透析液は、老廃物の拡散浄化を形成する。
【0008】
したがって、このシステムは、対流浄化および拡散浄化の両方を形成する血液透析濾過システムとして作用する。一実施形態におけるシステムは、家庭用に構成されており、透析液および体外流路の少なくとも一部分は、家庭用揚水装置内に装填されている使い捨てカセット内で殺菌されて提供される。たとえば、このシステムは、一体化された使い捨て流体管理システムまたはカセット、および血液透析療法を行うために減菌され、予めパッケージ化された溶液を使用する携帯デバイスで良い。一実施形態におけるこのシステムは、コンパクトなサイズ、治療準備の容易さ、水処理および透析液配分システムの必要性がないという点で、特に家庭での使用に適している。
【0009】
現在の血液透析機械と違って、患者は、複雑な管集合を管理する必要がない。患者は、カセットを腎不全治療機械内に配置し、溶液バッグを機械に接続し、自動化プライミングシーケンスを開始するだけである。プライミングが完了したら、患者は、血液ラインを患者の身体に接続し、透析療法を開始する。治療の最後に、患者の血液は患者の体内に返される。患者は、単に、限外濾過液(「UF」)廃棄物を処分して、治療が終了し、患者は、複雑な消毒手順を行う必要はない。
【0010】
一実施形態では、カセットベースのシステムは、以下のとおりに動作する。血液ポンプは患者から血液を取り出し、血液を両方の血液透析装置に押し入れ、血液を患者に返す。透析溶液は、透析液源から取り出され、所望の患者の体温まで加熱される。輸液ポンプは、新鮮透析液をバッグから静脈透析装置内に揚送する。制限手段は、透析液流路内の2つの透析装置間に配置され、静脈透析装置を介して、透析液を血液中に逆濾過するのを促進する。制限手段は、可変であることが好ましいが、別法によると固定される。
【0011】
輸液ポンプから流出する流れは、制限手段において流体を押し進め、静脈血液透析装置内に正圧を生成する。高流量膜を使用すると、背圧は、透析液の一部分、たとえば50%以上を患者の血液ライン内に押し入れる。残りの透析液は、動脈透析装置を貫流する。
【0012】
排水ポンプは、輸液ポンプによって供給された当量の流体を流路から除去し、透析間の期間に患者に生じた体液喪失を補填する。次に、使用済み流体および限外濾過液は、排水バッグ内に入れるか、または外部の排水管に廃棄される。
【0013】
カセットベースの透析液は、静脈透析装置に対する透析液流と、動脈透析装置からの透析液流を平衡させて、患者の体液状態を維持するように調節される。その平衡能力によって、同じ量の流体が、静脈透析装置内で体外回路内に逆濾過される場合と同様、動脈血液透析装置内で患者から限外濾過される。この流体を血液から限外濾過すると、溶質牽引作用を生じ、この作用は、血液濾過に類似する毒素の対流搬送を提供する。ある程度の透析液は、静脈内の線維に沿って動脈透析装置に流れるため、毒素も血液から拡散搬送される。
【0014】
気泡検出器、加熱要素、圧力センサ、温度センサなども、患者を安全に治療し、システムを確実に動作させるために必要な場合、透析液の管理面および体外の血液面の両方に関してカセット内に一体化される。
【0015】
最近公表された研究論文には、超高純度透析液は、標準の透析液と比較してより良好な結果を生成することが示されている。予めパッケージ化され、殺菌された透析液を本発明の一実施形態に使用すると、超高純度透析液に比べてさらに良好ではないにしても、同様に良好な結果を生成する。しかし、本発明は、予めパッケージ化された透析液バッグの使用に限定されるのではなく、むしろ、オンラインまたは家庭で生成される透析液を使用することができる。患者にとってのオンラインシステムの利点は、溶液バッグ、および溶液バッグが占める空間をなくすことができる点である。透析液は、殺菌バッグから供給されるか、またはオンラインで生成されるかに関わらず、1つまたは複数の炭または吸着剤カートリッジを使用する1つまたは複数のループ内で再循環させても良い。
【0016】
家庭で生成する1つの好ましいシステムについて、本明細書で説明する。このシステムは、剛性容器内に取り付けられた5リットルの減菌透析液バッグなどの貯槽を使用する。シャントは、洗浄およびプライミングの開始時に透析装置を横断して配置される。治療時、尿素交換または結合尿素を使用して動作する吸着剤カートリッジは、後透析装置または限外濾過器(「UF」)ループ内に配置される。吸着剤は、β2ミクログロブリンまたはリン酸塩など、その他の物質を除去する。一連の輸液ポンプは、同時に、透析液を減菌バッグから取り出し、加熱器、限外濾過器およびシャントを通して吸着剤カートリッジに送る。必要な場合、カルシウム、マグネシウムおよびカリウムを含むγ殺菌注入剤などの注入剤が、透析液貯槽に添加される。
【0017】
溶液が加熱され、治療の準備が整った後、血液治療機械は、使用者にカセットを設置するように促す。血液回路は、動脈血液ラインを介して取り付けられている生理食塩水バッグを使うか、または血液治療静脈濾過器を通して透析液を逆濾過することによりプライミングすることができる。気泡検出器、加熱要素、圧力センサ、温度センサなどは、患者を安全に治療し、システムを確実に動作させるために必要な場合、透析液および体外血液回路の両方に関してカセット内に一体化される。
【0018】
次に、患者は動脈針および静脈針に取り付けられ、治療が開始する。治療を短くするため、透析液の流れは比較的高度、たとえば3時間で毎分300ミリリットル、または8時間以下で毎分100ミリリットルにして良い。透析液/UF流量制御ポンプは、透析装置との間の流れを制御する。流出透析液を動脈透析装置から取り出すポンプの周波数を増加することにより、透析間の期間に患者内に蓄積する流体を除去する。透析液/UF流量制御ポンプの部分は、一実施形態における血液ポンプの部分と共にカセット内に一体化されるか、または別法によると、カセットとは別個に提供され、機械の内部に一体化される。
【0019】
バッグを吊るして保管することは非実際的であるため、溶液バッグベースのシステムは、治療ごとの透析液の実用的な総量に限られる。吸着剤ベースの流体再生システムは、比較的多くの透析液を使用する治療を可能にし、その結果、廃棄物の浄化が強化される。透析液を増量することは、腎臓患者からの老廃物の浄化を有利に強化する。たとえば、吸着剤カートリッジは、透析液の流量が毎分200〜250ミリリットル、または治療全体で約500リットルの場合に、4時間使用することができ、これは、透析液を増量し、血液濾過システム全体により良好に廃棄物を浄化することになるであろう。吸着剤システムは、本明細書に使用する血液濾過システムに適用することもでき、予備希釈HFも可能にする。血液濾過の場合、再利用可能な追加の限外濾過器は、細菌および内毒素の除去の余剰分を維持するために提供される。
【0020】
吸着剤ベースの再生システムは、多数の溶液バッグを保管する必要性をなくし、治療の準備を簡単にし、患者の給水栓に接続する必要性がないため、特に家庭用に適する。また、患者は、管集合を接続する必要がない。患者は、その代わりに、カセットを機械の内部に配置し、減菌透析液の最初の5リットルバッグを貯槽に追加し、自動化プライミングシーケンスを開始する。プライミングが完了したら、患者は、自身を血液回路に接続し、透析療法を開始する。
【0021】
携帯デバイス、予めパッケージ化された溶液またはオンライン流体生成システムの使用、および使い捨て式セットの使用は、それぞれ、従来は腹膜透析患者のみに可能だった融通性および自由度を透析患者に提供する。専用の給水接続部がなく、本発明の機械は小型であるため、患者は、本発明のシステムを使用して移動し、路上で血液治療透析セッションを行うことが可能である。本明細書に記載するシステムおよび方法の多くは、センター内の溶液に使用するように適応させることができ、本発明の多くの態様は家庭での使用に限られない。
【0022】
高対流血液透析は、毒素の拡散搬送のほかに対流浄化を有するため、従来の血液濾過と比較してより効果的であると考えられる。この治療法は、末期腎臓患者の小分子、中分子および大分子の廃棄物も良好に浄化すると予想される。
【0023】
このデバイスは、必要な給水および透析配分システムを利用できない状況で、病院内で急性患者に使用するのに良く適する。本発明のデバイスは、容易に組み立てられ、断続的に急性の状況で容易に使用される。
【0024】
本発明は、体外回路または透析装置に供給される透析液または補充液の量を制御するだけではなく、患者から除去される限外濾過液の量も正確に制御する複数の方法および装置を提供する。様々な代案は、主に3つのタイプに分類することができる。使用される1つのタイプの制御は、ボイルの法則に基づく空気圧制御である。この場合、流体ポンプは、既知量の空気と連通させて配置される。このシステムは、ボイルの法則を使用して、既知の値または測定した値を方程式に入れて、患者に揚送されるポンプチャンバからの流体の量を正確に計算する(たとえば、空気と対比して)。この方法および装置は、生成された流体および空気圧信号を使用して、方程式に入れる数に変換する。この方程式は、ポンプのサイクルまたは行程ごとに揚送される流体の量を与える。一実施形態におけるボイルの法則によるシステムは、最終行程またはポンプサイクル基準で正確な情報を提供するが、必ずしも実時間基準ではない。本発明は、実時間基準で流量データを生成するボイルの法則に基づくシステムおよび方法も含む。
【0025】
容積制御の第2の大きいカテゴリは、平衡デバイスの使用を含む。こうした平衡デバイスを使用する多くの実施形態について、以下で説明する。平衡デバイスの実施形態は、主に2つの小グループに分類される。1つの小グループは、単一の平衡デバイスを使用し、もう1つの小グループは二重平衡デバイスを使用する。
【0026】
本発明は、複数の異なるタイプの平衡デバイスも示唆し、開示する。一実施形態では、このシステムは1つまたは2つの平衡チャンバを使用する。別の実施形態では、このシステムは、1つまたは2つの平衡管を使用する。平衡管は環状筐体を備え、筐体内にピストンまたはボール状の隔離板を有する。隔離板は、平衡チャンバの膜または隔膜と同様に動作する。
【0027】
第3のタイプの平衡デバイスは、1つまたは複数の蛇行経路である。蛇行経路は、一実施形態では、使い捨てカセットによって長形チャネルとして画定される。チャネルの直径または断面積は、新鮮または流出透析液のバルク移動が、蛇行経路内の流体の既存バルクを効率的に移動させることができるように構成される。つまり、バルクの新鮮透析液は、排水管に至る経路内に現在存在する消費または流出透析液のバルクを移動させる。次のサイクルでは、バルクの消費または流出透析液は、導入されたバルクの新鮮な流体を患者または透析装置に至る蛇行経路内に押し入れる。この経路の断面および長さは、流体のバルクの終わりにおける新鮮および消費流体の混合量を最小化するように構成される。
【0028】
様々な容積平衡デバイスは、多くの異なるタイプのポンプ、たとえば蠕動ポンプ、膜ポンプ、ギヤポンプ、またはこれらの組合せと共に使用することができる。単一ポンプは、平衡デバイスと共に使用される。別個の新鮮透析液ポンプおよび使用済み透析液ポンプは、交互に使用される。さらに、別個の限外濾過液ポンプも意図および説明されており、このポンプは、主ポンプを患者との間の当容積の流体の揚送専用にすることを可能にする。
【0029】
第3の主なタイプの流体管理は、重量または重量計を使用して、患者に供給される流体の量、および患者から除去される流体の量を測定する。以下で説明する一実施形態では、流体バッグは、シャフトに結合されたスタンド上に配置される。一方の端部では、シャフトは転動形ダイアフラムに結合する。転動形ダイアフラムは、その他の装置と関連して、閉鎖しているが可変の容積を画定する。流体バッグの重量は変動するため、容積内の圧力も変動する。圧力センサは圧力を感知し、機械の制御装置またはプロセッサは、圧力センサからの信号を処理して、対応する重量信号を展開する。次に、重量信号を使用して、動脈瘤嚢程度の流体が供給されたか、および/または患者から除去されたかが決定される。一実施形態では、新鮮流体バッグおよび使用済み流体バッグは、同じ重量感知デバイスによって測定されるため、システムは、患者から除去された限外濾過液により、長期にわたる正味の全体重量増加を観察することを予測する。この用途には、ロードセルを使用することもできる。
【0030】
以下に詳細に説明するとおり、本発明は、システムのその他の構成要素に関する複数の実施形態および本発明の方法、たとえば流体加熱器、平衡デバイス、使い捨てカセット、バッグ位置決め、および本発明のその他の重要な特徴を提供する。たとえば、本発明は接近切断センサ(「ADS」)を含み、これは、動脈または静脈の針が、治療時に患者から偶発的に取り外された場合に検出することができる。さらに、様々な圧力除去計画、完全性テストなどについて本明細書で説明するが、これは、患者が就寝中に使用する家庭用機械の場合に特に重要である。
【0031】
したがって、本発明の利点は、家庭または臨床環境で使用可能な血液透析、血液濾過または血液透析濾過システムを提供することである。
【0032】
本発明のもう1つの利点は、家庭にいる患者が、減菌血液治療システムを容易に組み立てることを可能にするカセットベースの血液濾過/血液透析濾過システムを提供することである。
【0033】
本発明のもう1つの利点は、腎不全血液治療法の効果を改善することである。
【0034】
さらに、本発明の利点は、対流および拡散モードの浄化を使用する腎不全血液療法を提供することである。
【0035】
さらに、本発明の利点は、拡散および対流浄化モードの両方が提供され、何れのモードの割合も変更することができる腎不全血液療法を提供することである。
【0036】
さらに、本発明の利点は、血液透析、強化対流血液透析、血液濾過または血液透析濾過法を行うために、現場で構成可能なカセットベースの血液療法を提供することである。
【0037】
さらに、本発明の利点は、新鮮透析液の消費量を最適化する1つまたは複数の治療流体循環ループを有する血液治療システムを提供することである。
【0038】
本発明のさらにもう1つの利点は、複数の異なるタイプの治療流体、たとえば溶液バッグ、溶液調合ユニットまたはオンライン透析液生成システムで動作するように構成された家庭用腎不全血液治療法を提供することである。
【0039】
本発明のさらに他の利点は、流体交換量、および患者から除去される流体量または限外濾過液量を正確に制御する多くのタイプのシステムで動作可能な家庭用腎不全治療システムを提供することである。
【0040】
さらに、本発明の利点は、流量制御デバイスを改善することである。
【0041】
本発明は、さらに以下を提供する。
(項目1)
医用流体治療システムであって、
患者に結合されるように構成され、配列される血液ラインと、
該血液ラインに接続されるポンプと、
該血液ラインと連通し、該患者からの血液を収容するように配置される第1透析装置部分と、
該第1透析装置部分からの血液を収容するように配置される第2透析装置部分と、
治療流体源に接続され、第1および第2透析装置部分と流体連通する治療流体ラインと、
該第1透析装置部分と第2透析装置部分間で該治療流体ラインに連通する流量制限手段であって、該制限手段が、該第1透析装置部分および第2透析装置部分の一方で、治療流体の背圧を選択的に増加/減少させるように可変である制限手段と
を備える、医用流体治療システム。
(項目2)
前記第1部分、第2部分および制限手段が1つの筐体内に設けられる、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目3)
前記第1部分および第2部分が別個に収容される、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目4)
流量制限手段に結合されたデバイスを備え、該デバイスが、前記流量制限手段の流量抵抗を変更するように操作可能である、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目5)
前記デバイスが手動または自動で作動される、項目4に記載の医用流体治療システム。
(項目6)
血液ラインおよび治療流体ラインの少なくとも一方の少なくとも一部分が使い捨て式である、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目7)
第1部分、第2部分および流量制限手段の少なくとも1つが使い捨て式である、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目8)
第1部分、第2部分、流量制限手段、血液ライン部分、および治療流体ライン部分の少なくとも1つを含む使い捨てカセットをさらに備える、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目9)
ポンプが第1ポンプであり、治療流体を揚送するように構成および配列された少なくとも1つの追加のポンプを備える、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目10)
追加のポンプが、膜ポンプ、蠕動ポンプ、ピストンポンプ、空気圧作動ポンプ、ピストンポンプ、空気圧付勢ポンプ、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択されるタイプである、項目9に記載の医用流体治療システム。
(項目11)
対向サイクル行程で動作して、治療流体を透析装置部分に供給する1対の追加のポンプを備える、項目9に記載の医用流体治療システム。
(項目12)
透析装置部分の1つに治療流体を供給するように操作可能な少なくとも1つの追加のポンプと、他方の透析装置部分から限外濾過液を除去するように操作可能な少なくとも1つの他の追加のポンプとを備える、項目9に記載の医用流体治療システム。
(項目13)
キャパシタンス流量センサと、理想気体の法則に基づいて作動する流量センサと、蠕動ポンプが行う回転/行程の数を計算するセンサと、重量計と、単一平衡チャンバと、単一平衡管と、単一蛇行経路と、二重平衡チャンバと、二重平衡管と、二重蛇行経路とからなる群から選択されたタイプの少なくとも1つの流量管理装置を備える、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目14)
流体が、第1および第2透析装置部分の一方に達する前に、治療流体を加熱する治療流体ラインと連通する流体加熱器を備える、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目15)
加熱器が、誘導、電気抵抗、対流および放射からなる群から選択される少なくとも1つのタイプである、項目14に記載の医用流体治療システム。
(項目16)
治療流体源が、少なくとも1つの携帯流体容器、治療流体調製モジュール、オンライン治療流体源、およびこれらの任意の組合せを含む、項目1に記載の医用流体治療システム。(項目17)
制限手段が、10〜90%の流体を1つの透析装置を通して血液ラインに逆流させるサイズである、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目18)
少なくとも1つの空気感知および/または除去デバイスを血液ラインに含む、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目19)
血液透析、血液濾過、血液透析濾過法、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される治療を行う、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目20)
血液濾過治療が、前希釈治療、後希釈治療、または前および後希釈治療である、項目19に記載の医用流体治療システム。
(項目21)
治療流体ラインと連通する再循環ループを備え、透析装置の1つから除去される流体が、治療流体ライン内に再導入され、第1および第2透析装置の一方と再び流体的に連通する、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目22)
前記再循環ラインが流体を透析装置に再導入し、該透析装置から流体が除去される、項目21に記載の医用流体治療システム。
(項目23)
流体が、再循環ループの場合、制限手段から下流に位置する透析装置から除去される、項目21に記載の医用流体治療システム。
(項目24)
再循環ループ内に位置する少なくとも1つの浄化デバイスを備え、該デバイスが、治療流体ライン内に再導入される流体を少なくとも部分的に再生するように動作する、項目21に記載の医用流体治療システム。
(項目25)
洗浄デバイスが、活性炭濾過器、吸着剤交換、化学洗浄剤、化学交換、生物学的洗剤、結合吸着剤、酵素(enzomatic)反応剤、機械的洗浄剤、およびこれらの何らかの組合せをからなる群から選択される、項目24に記載の医用流体治療システム。
(項目26)
第1および第2部分を通る治療流体の流れが、血液の流れに逆流する、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目27)
第1および第2部分を通る治療流体の流れが、血液の流れに並流する、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目28)
前記可変制限手段がモータ制御クランプを備える、項目1に記載の医用流体治療システム。
(項目29)
医用流体治療システムであって、
患者に結合されるように構成され、配列される血液ラインと、
該血液ラインに接続されるポンプと、
該血液ラインと連通し、患者からの血液を収容するように配置される第1透析装置部分と、
該第1透析装置部分とは別個に収容される第2透析装置であって、該第1透析装置から血液を収容するように配置され、配列された第2透析装置部分と、
該第1透析装置と第2透析装置との間で治療流体ラインと連通する流量制限手段であって、該制限手段が、該第1および第2透析装置の一方の治療流体の背圧を増加させるように操作可能である流量制限手段、
を備える、医用流体治療システム。
(項目30)
前記制限手段が、背圧を選択的に増加/減少させるように可変である、項目29に記載のシステム。
(項目31)
腎不全治療機械用の使い捨てユニットであって、
該機械内に配置されるように構成され、配列される筐体と、
該筐体に取り付けられる可撓性膜であって、該膜および筐体が、前記機械と協働して、腎不全治療流体の流量を制御するバルブ機能を果たす可撓性膜と、
該筐体によって支持され、患者の血液ラインの少なくとも一部分に操作可能に接続される第1および第2透析装置部分と、
該第1透析装置と第2透析装置との間に配置される流量制限手段であって、透析装置の1つの背圧を増加させるように操作可能な流量制限手段と、
を備える、使い捨てユニット。
(項目32)
前記透析装置部分が別個に収容される、項目31に記載の使い捨てユニット。
(項目33)
血液ラインが、前記機械内に収容された蠕動ポンプと操作可能に結合するように構成されたある長さの管類を備える、項目31に記載の使い捨てユニット。
(項目34)
キャパシタンス流量センサと、理想気体の法則に基づいて作動する流量センサと、蠕動ポンプが行う回転/行程の数を計算するセンサと、重量計と、単一平衡チャンバと、単一平衡管と、単一蛇行経路と、二重平衡チャンバと、二重平衡管と、二重蛇行経路とからなる群から選択されるタイプの少なくとも1つの流量管理装置を備える、項目31に記載の使い捨てユニット。
(項目35)
医用流体治療方法であって、
(a)治療流体を第1および第2透析装置部分に流す工程と、
(b)前記第1部分と第2部分間に可変流量制限手段を配置する工程と、
(c)該流体の望ましい第1部分が、前記透析装置の1つを通って血液ライン内に流入し、該流体の第2部分が、前記第2透析装置内に配置される複数の膜を実質的に横断して流れるように、可変流量制限手段を設定する工程と
を包含する、方法。
(項目36)
前記制限手段の設定によって、該流体の第3部分が、第1透析装置部分内に位置する膜を横断して流れる、項目35に記載の医用流体治療方法。
(項目37)
家庭用医用流体治療機械方法であって、
(a)人が家庭で、使い捨てカセットを機械内に装填することを可能にする工程と、
(b)治療流体を使い捨てカセットに流す工程と、
(c)導電性浄化を行うために、少なくとも25%の流体を向ける工程と、
(d)残りの流体の少なくとも実質的な量が、拡散浄化を行うことを可能にする工程とを含む家庭用医用流体治療機械方法。
(項目38)
導電性浄化を行うための流体の割合を向ける工程が、患者の血液の流れに至る透析装置の膜を通して当該割合の流体に背圧を与えることを含む、項目37に記載の家庭用医用流体治療方法。
(項目39)
限外濾過を行う方法であって、
第1および第2平衡デバイスを提供する工程と、
使用済み治療流体を該第1平衡デバイス内に揚送する工程と、
使用済み治療流体を該第1平衡デバイス内に揚送し、該第2平衡デバイスに流すことによって、治療流体を該第1平衡デバイスから排出することを可能にする工程と、
該排出された治療流体が該第2平衡デバイスに入り、該第2平衡デバイス内に保持されている使用済み治療流体を排水管に排出する工程と
を含む、方法。
(項目40)
前記使用済みおよび排出される治療流体が、透析液および補充液からなる群から選択される、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記平衡デバイスが、平衡チャンバ、平衡管および蛇行経路からなる群から選択される、項目39に記載の方法。
(項目42)
前記第1平衡デバイスから排出される前記治療流体が新鮮な治療流体である、項目39に記載の方法。
(項目43)
入口バルブおよび出口バルブとインラインになるように配置される流体ポンプのバルブ完全性テストであって、
(a)出口バルブを閉鎖し、入口バルブを開放した状態で、流体をポンプ内に揚送する工程と、
(b)入口バルブを閉鎖し、出口バルブを閉鎖状態に維持する工程と、
(c)バルブを閉鎖した状態で、流体をポンプから揚送しようと試みる工程と、
(d)ポンプ内の流体の容量の変化が検出された場合、バルブの少なくとも1つに漏れがあると決定する工程と
を含む、バルブ完全性テスト。
(項目44)
キャパシタンス流量センサを使用して、ポンプ内の容量の変化が生じたか否かを検出する、項目43に記載の完全性テスト。
(項目45)
工程(a)〜(d)を医用流体治療全体で周期的に行うことを含む、項目43に記載の完全性テスト。
(項目46)
血液透析、血液濾過、血液透析濾過法、腹膜透析、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される治療のために、工程(a)〜(c)を行うことを含む、項目43に記載の完全性テスト。
(項目47)
実時間基準で容量を感知する方法であって、
膜ポンプチャンバ内の空気の量と、該ポンプチャンバと連通する一定容積の容器内の空気の量とを含む初期空気総量を取得する工程と、
ポンプチャンバ内の膜を移動させて、流体をポンプチャンバから排出するか、または流体をポンプチャンバ内に引き込む工程と、
初期圧力、および総量が変化した後の時間Tにおける圧力を測定する工程と、
該初期総量、初期圧力および時間Tにおける圧力を使用して、時間Tの総空気量を計算する工程と、
初期空気総量、および時間Tの総空気量を使用して、揚送される量を決定する工程とを含む方法。
(項目48)
一定容積の容器が圧力チャンバである、項目47に記載の方法。
(項目49)
医用流体治療システムであって、
患者に結合するように構成され、配列される血液ラインと、
血液ラインに接続される血液ポンプと、
該血液ラインと連通する血液濾過器であって、患者の血液の液体部分が濾過器を通過して治療流体流路に入ることを可能にするように操作可能な濾過器と、
治療流体を血液ラインに、また治療流体を血液ラインから交互に、実質的に連続して揚送するように配置され、配列される1対の蠕動流体ポンプと、
血液ラインに揚送されるある量の治療流体と、濾過器から揚送されるある量の流体とを制御するように操作可能な少なくとも1つの容量制御デバイスとを含む医用流体治療システム。
(項目50)
蠕動ポンプが、治療流体の交互の、実質的に連続する揚送を行うことができるように操作可能な複数のバルブを備える、項目49に記載の医用流体治療システム。
(項目51)
濾過器の上流または下流にある血液ラインに治療流体を選択的に揚送するように操作可能である、項目49に記載の医用流体治療システム。
(項目52)
治療流体を濾過器に揚送して、対流および/または拡散血液浄化を行うように構成される、項目49に記載の医用流体治療システム。
(項目53)
前記容量制御デバイスが、キャパシタンス流量センサと、理想気体の法則に基づいて動作する流量センサと、蠕動ポンプによって行われる回転/行程の数を計算するセンサと、重量計と、単一平衡チャンバと、単一平衡管と、単一蛇行経路と、二重平衡チャンバと、二重平衡管と、二重蛇行経路とからなる群から選択されるタイプである、項目49に記載の医用流体治療システム。
(項目54)
医用流体治療システムであって、
患者に結合するように構成され、配列される血液ラインと、
該血液ラインに接続される血液ポンプと、
該血液ラインと連通し、患者の血液の液体部分が濾過器を通過して治療流体流路に入ることを可能にするように操作可能な血液濾過器と、
治療流体を血液ラインに揚送するように操作可能な第1ポンプと、
流体を濾過器から揚送するように操作可能な第2ポンプと、
濾過器から揚送される少なくともある程度の流体を、流体再生デバイスを通して血液ライン内に送るように操作可能な再循環経路と
を備える、医用流体治療システム。
(項目55)
前記再生デバイスが活性炭、吸着剤、これらの任意の組合せを含む、項目54に記載の医用流体治療システム。
(項目56)
濾過器の上流または下流にある血液ラインに治療流体を選択的に揚送するように操作可能である、項目54に記載の医用流体治療システム。
(項目57)
治療流体を濾過器にさらに揚送して、拡散血液浄化を行うように構成される、項目54に記載の医用流体治療システム。
【0042】
本発明のさらに他の特徴および利点は、以下の本発明の詳細な説明および図面に記載されており、これらの説明および図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、拡散および対流浄化モードを提供する本発明の腎不全血液治療システムの一実施形態の略図である。
【図2】図2および3は、使い捨てカセット、および本明細書に記載する血液治療法に使用される関連流動構成要素の斜視図である。
【図3】図2および3は、使い捨てカセット、および本明細書に記載する血液治療法に使用される関連流動構成要素の斜視図である。
【図4】図4は、透析液流体精製ユニットで動作する腎不全治療システムの略図である。
【図5】図5は、治療流体再循環ループを有する腎不全血液治療システムの略図である。
【図6】図6は、本発明の家庭用血液濾過システムの一実施形態の略図である。
【図7】図7は、本発明の家庭用血液濾過システムのもう1つの実施形態の略図である。
【図8】図8は、本発明の家庭用血液濾過システムの一実施形態の略図である。
【図9】図9〜図11は、使用済み透析流体、および患者から限外濾過された流体を再生および再利用する再生ユニットを使用する家庭用血液治療法の様々な実施形態を示す。
【図10】図9〜図11は、使用済み透析流体、および患者から限外濾過された流体を再生および再利用する再生ユニットを使用する家庭用血液治療法の様々な実施形態を示す。
【図11】図9〜図11は、使用済み透析流体、および患者から限外濾過された流体を再生および再利用する再生ユニットを使用する家庭用血液治療法の様々な実施形態を示す。
【図12】図12および13は、蠕動ポンプを使用して治療流体を揚送する、別法による血液透析および血液濾過システムである。
【図13】図12および13は、蠕動ポンプを使用して治療流体を揚送する、別法による血液透析および血液濾過システムである。
【図14】図14は、透析液および血液の流れが並流する、別法による血液透析システムである。
【図15】図15および16は、患者から除去される限外濾過液の量を制御するために空気圧制御される方法および装置の一実施形態の略図である。
【図16】図15および16は、患者から除去される限外濾過液の量を制御するために空気圧制御される方法および装置の一実施形態の略図である。
【図17】図17〜22は、単一平衡チャンバを介して患者から除去される限外濾過液の量を制御するための様々な実施形態の略フロー図である。
【図18】図17〜22は、単一平衡チャンバを介して患者から除去される限外濾過液の量を制御するための様々な実施形態の略フロー図である。
【図19】図17〜22は、単一平衡チャンバを介して患者から除去される限外濾過液の量を制御するための様々な実施形態の略フロー図である。
【図20】図17〜22は、単一平衡チャンバを介して患者から除去される限外濾過液の量を制御するための様々な実施形態の略フロー図である。
【図21】図17〜22は、単一平衡チャンバを介して患者から除去される限外濾過液の量を制御するための様々な実施形態の略フロー図である。
【図22】図17〜22は、単一平衡チャンバを介して患者から除去される限外濾過液の量を制御するための様々な実施形態の略フロー図である。
【図23】図23は、単一平衡管を使用する1つの限外濾過液制御方法および装置の様々なステップを示す略フロー図である。
【図24】図24は、患者との間で交換される流体の量、および単一の蛇行経路を使用して、患者から除去される限外濾過液の量を制御するための一実施形態を示す略フロー図である。
【図25】図25および26は、二重平衡チャンバを使用する限外濾過液制御方法および装置に関連する様々な特徴および利点を示す略フロー図である。
【図26】図25および26は、二重平衡チャンバを使用する限外濾過液制御方法および装置に関連する様々な特徴および利点を示す略フロー図である。
【図27A】図27A〜27Dは、患者との間で交換される流体の量、患者から除去される限外濾過液の量を制御するための、二重平衡管を含むもう1つの方法および装置のバルブ動作、および対応する流れの結果を示す略フロー図である。
【図27B】図27A〜27Dは、患者との間で交換される流体の量、患者から除去される限外濾過液の量を制御するための、二重平衡管を含むもう1つの方法および装置のバルブ動作、および対応する流れの結果を示す略フロー図である。
【図27C】図27A〜27Dは、患者との間で交換される流体の量、患者から除去される限外濾過液の量を制御するための、二重平衡管を含むもう1つの方法および装置のバルブ動作、および対応する流れの結果を示す略フロー図である。
【図27D】図27A〜27Dは、患者との間で交換される流体の量、患者から除去される限外濾過液の量を制御するための、二重平衡管を含むもう1つの方法および装置のバルブ動作、および対応する流れの結果を示す略フロー図である。
【図28】図28は、本発明の平衡管容量制御デバイスの1つの別法によるバルブ構成を示す。
【図29】図29は、患者から除去される限外濾過液の量を制御するための、二重の蛇行経路を含むさらにもう1つの実施形態を示す略フロー図である。
【図30】図30および31は、患者との間で交換された流体の量、および患者から除去される限外濾過液の量を制御するための、重量測定システムを備えるさらに他の別法による実施形態を示す。
【図31】図30および31は、患者との間で交換された流体の量、および患者から除去される限外濾過液の量を制御するための、重量測定システムを備えるさらに他の別法による実施形態を示す。
【図32】図32は、本発明の血液透析濾過器の強化対流の一実施形態の立面図である。
【図33】図33は、本発明の二重透析装置間に配置された可変流量制限手段の一実施形態を示す略図である。
【図34】図34は、本発明の透析システムの流動作動構成要素と共に操作可能に構成されたカセットを示す斜視図である。
【図35】図35は、本発明の腎不全治療機械に溶液バッグを操作可能に結合する一実施形態を示す斜視図である。
【図36】図36および37は、溶液バッグを腎不全治療機械に結合するための実施形態の斜視図であり、機械が本発明のカセットを収容することを可能にするための一実施形態も示す。
【図37】図36および37は、溶液バッグを腎不全治療機械に結合するための実施形態の斜視図であり、機械が本発明のカセットを収容することを可能にするための一実施形態も示す。
【図38】図38は、線形管状ポンプを使用して治療流体を揚送するための別法による実施形態を示す斜視図である。
【図39】図39は、線形管状ポンプを使用して溶液バッグをシステムに操作可能に結合するための一実施形態を示す斜視図である。
【図40】図40は、本発明の線形管状ポンプを作動させる本発明のカセットの一実施形態を示す略図である。
【図41】図41は、線形管状ポンプで作動する本発明のカセットのもう1つの実施形態の略図である。
【図42】図42および43は、本発明の流体加熱器の一実施形態の様々な別法による実施例を示す断面斜視図である。
【図43】図42および43は、本発明の流体加熱器の一実施形態の様々な別法による実施例を示す断面斜視図である。
【図44】図44は、平衡チャンバを使い捨てカセット内に組み込むための一実施形態を示す切欠断面図である。
【図45】図45は、本発明の家庭用平衡チャンバのもう1つの実施形態を示す切欠断面図である。図45は、本発明による平衡管の一実施形態の切欠斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
発明の詳細な説明
概要
本発明は、治療時に逆濾過の量を増加および強化する家庭血液透析(「HHD」)療法のための様々な装置および方法を提供する。このシステムは、家庭用に設計されているにも関わらず、病院の急性腎臓治療センター、またはセルフケアセンターでの使用にも適する。このシステムは、使い捨てカセットまたは管組織オーガナイザ(本明細書では、カセットと総称する)を有する使い捨てセットを含む使い捨て流体管理システムを使用する。カセットは、透析液および体外流路の少なくとも一方の少なくとも一部分を収容する。一実施形態では、2つの小型高流量透析装置が、流体的かつ直列にカセットに接続される。一実施形態では、透析液および血液は、透析装置を通って互いに逆流する。制限手段は、透析液流路内の2つの透析装置間に配置される。制限手段は、一実施形態では、異なる治療条件を考慮するか、または1回の治療時に調節できるように可変および調節可能である。制限手段は、別法によると、制限オリフィスを有するオリフィスプレートのように固定される。
【0045】
濾過器間の制限手段によって、静脈透析装置内に正圧が形成され(第1透析装置は透析液を収容し、第2透析装置は、逆流構成で血液を収容する)、意図的に比較的高度の逆濾過を生じる。透析装置間の制限手段のサイズに応じて、この逆濾過によって、透析液の著しい流量(たとえば、総透析液流量の10〜70%)が、高流量静脈膜を通って血液回路に入る。逆濾過された溶液は対流浄化を提供する。一実施形態では、限外濾過液は、動脈透析装置を介して患者から除去される(第1透析装置は血液を収容するが、第2透析装置は、逆流構成で透析液を収容する)。
【0046】
透析液が静脈透析装置内に拡散し、透析液を動脈透析装置から除去すると、毒素が患者から対流搬送される。さらに、直接体外回路内に移動しない透析液(たとえば、他の割合の透析液)は、代わりに両方の透析装置の膜を横断して流れ、老廃物の拡散浄化が行われる。このシステムは、本明細書では、強化対流血液透析(「ECHD」)システムと呼ぶ。血液透析濾過システムと同様、このシステムは、対流および拡散浄化の両方を行う。このシステムは、一実施形態では、家庭用に構成され、透析液および体外流路の少なくとも一部分が殺菌され、複数のポンプ、加熱器、バルブ作動装置などを有する機械に装填される使い捨てセットとして提供される。
【0047】
強化対流血液透析(「ECHD」)
次に、図面、特に図1を参照すると、腎不全治療システム10の一実施形態が示されている。システム10は、2つ以上の高流量血液透析装置、たとえば静脈透析装置20および動脈透析装置30を使用する。一実施形態では、血液透析装置20および30は比較的小型であり、たとえば膜表面積は4分の1〜3メートル2台である。透析装置または血液透析装置20および30は、比較的高流量透析装置であり、たとえば、1ミリメートルHg圧力またはそれ以上で(本明細書で使用する場合)、1時間当たりで拡散する水が8ミリメートルというUF係数を有し、「流量」という用語は上記のUF係数を意味し、膜を通る水の搬送の容易さを評価するもであり、ミリメートル/時間/ミリメートル水銀で表現される。
【0048】
上記のとおり、血液透析装置20および30によって、新鮮透析液の比較的大部分が、静脈透析装置20内で逆濾過する。逆濾過した透析液、および透析間の期間中に蓄積した流体は、動脈透析装置30を介して患者42から限外濾過または除去される。逆濾過されない流体は、動脈30および静脈20透析装置内の半透過性膜を横断して流れ、システム10が、廃棄物を患者の血液から拡散および対流除去することを可能にする。
【0049】
図1に示す1つの家庭用およびセンター内の実施形態では、減菌透析液は、バッグまたは容器14、16および18内に保存される(3つを超える溶液バッグを使用できる)。図示の実施形態のシステム10は、それぞれ個々の容積測定デバイス32、34、36および38で動作するポンプ22、24、26および28を使用する。以下に詳細に説明するとおり、別法によると、本発明のシステムと共に様々な容積測定デバイスが使用される。1つの測定デバイスは、ポンプ22〜28の1つを通って揚送される流体の量を測定するキャパシタンス流量センサである。この測定は、一実施形態では、制御装置またはマイクロプロセッサに、どの程度の流体(または空気)が揚送されたかを知らせる。制御装置またはマイクロプロセッサは、実際の揚送流体量と予想される揚送流体量とを比較し、相応に揚送量を調節して、必要に応じて、透析装置に対する新しい流体の供給量を補充するか、または減少させる。代わりに、またはさらに、容積測定デバイス32〜38は、システム内に比較的多量の容量測定誤差が生じ、たとえば誤差メッセージをトリガした場合に感知することができる(たとえば、空気がシステム内に閉じ込められるか、または行程長さの大部分が失敗した場合)。
【0050】
本発明は、キャパシタンス流量測定に限られず、代わりにその他のタイプの容量測定を使用することができる。さらに、本発明は、容量測定に限られず、代わりに一定量の透析液を透析装置に、透析装置および患者42から揚送する平衡デバイスを使用することができる。さらに、流体ポンプの管理は、質量基準で1つまたは複数の重量計を介して行うことができる。さらに、揚送される流速および容量は、ポンプ行程の数、たとえばステッパモータのステップの数に基づく蠕動ポンプの回転数に基づいて、回転ポンプ作動装置の線形の感知された移動量に基づいて、またはボイルの法則に従って動作するデバイスを介して計算することができる。これらの測定方法は、「容積測定デバイス」という用語に含まれる。容積測定デバイスを使用する制御は、供給される流体の実際の量が監視される閉ループ、または機構がポンプ固有の正確さ、おそらく運動制御フィードバック、たとえばモータを作動させるために送信されるステップパルスの数、線形エンコーダのフィードバック、または回転エンコーダのフィードバックなどの監視に頼っている開ループで良い。
【0051】
図1は、ポンプ集合1の2つのポンプ22および24、並びにポンプ集合2の2つのポンプ26および28を示す。代わりに、各々のポンプ集合の所定の場所に1つのポンプ、たとえば透析装置に透析液を投入するために1つ、透析装置から透析液、患者からUFを除去するために1つのポンプを使用できるが、この構成は、望ましくない拍動または不均一な流れを生じる場合があることに注目することは重要である。図示の構成では、各集合の第1ポンプは、ポンプ集合の源から流体を抜き取り、各集合の第2ポンプは、ポンプ集合の目標方向に流体を押し出す。ポンプ行程のこの集合の後、個々の集合内のポンプの役割は交互に入れ替わり、第1ポンプ(現在、流体が充填されている)は流体をポンプ集合の目標方向に押し出し、第2ポンプ(現在、空)は、ポンプ集合の源から流体を抜き取る。上記のサイクルは、複数回にわたって繰り返される。
【0052】
ポンプ集合1は、新鮮透析液をバッグ14〜18からシステム10に投入し、ポンプ集合2は、ポンプ集合1によって揚送された容量的に等価な流体、および治療の過程で患者42から除去された何らかの流体を除去する。図示のとおり、新鮮透析液は、ポンプ22および24を介して源14、16および18から静脈透析装置20に揚送される。制限手段40は、静脈透析装置20と動脈透析装置30との間に配置される。制限手段40は、静脈透析装置20に圧力を形成し、その結果、静脈透析装置20に入る比較的多量の新鮮透析液は、静脈透析装置内の膜壁を通って体外または血液回路50に強制的に送り出される。静脈透析装置20に入る新鮮透析液のその他の部分は、静脈透析装置内の膜を横断し、制限手段40を貫流して動脈透析装置30内に流入する。
【0053】
対流浄化は、静脈透析装置20を通って逆濾過される流体の容量的に等価な量が、動脈透析装置30から除去される場合に行われる。また、毒素の拡散搬送は、血液回路50と透析液の流れとの間に存在する拡散勾配によって、両方の透析装置20および30を横断して行われる。治療全体では、動脈透析装置30から除去される流体の総量は、静脈透析装置20によって供給される透析液の総量より大きく、治療に処方されるUFの除去量に相当する。
【0054】
実施例
以下の実施例は、本発明の1つの好ましい治療法をさらに示す。この実施例では、ポンプ集合1のポンプ22および24は、2時間にわたる源14、16および18からの18リットルの透析液を押し出す。この容量のうち、毎分100ミリリットルの透析液は、静脈透析装置20の膜壁を通して患者の血液回路50内に逆濾過される。毎分50ミリリットルの透析液は、静脈透析装置20、制限手段40を通過して、静脈透析装置30内に流入する。ポンプ集合2のポンプ26および28は、18リットルの透析液全体をバッグ14、16および18からの18リットルの透析液全体、および任意の所望量の流体を患者から除去する。2時間にわたって、12リットル(毎分100ミリリットルに120分を乗算する)の透析液が、静脈透析装置20を通して患者の血液内に逆濾過される。ポンプ集合2のポンプ26および28は、12リットル、つまり血液回路50内に逆濾過されない6リットルの透析液、および患者から限外濾過される何らかの流体を除去する。
【0055】
2時間の治療で血液回路50に12リットルの透析液を追加し、血液回路50から除去すると、方程式HF stdKt/Vに従って除去される全体の対流は約2になり、これは適切な日常的な量であると報告されている(Jaber BT、Zimmerman DL、Leypoldt JKによる「Adequacy of DailyHemofiltration:Clinical Evaluation of Standard Kt/V(stdKt/V)」、2003年のAbstract Hemodialysis International 第7巻、1号、p80参照)。さらに、2時間の過程では、6リットルの透析液を使用し、透析装置20および30の膜を横断する透析液勾配を介して拡散浄化を行った。透析液の流量、および対流対拡散の割合は、この実施例に使用する割合より多くても少なくても良い。
【0056】
使い捨てカセットの導入
さらに図2および3を参照すると、透析装置20および30、並びに本明細書に記載するその他の多くの流動構成要素が、使い捨てカセットに取り付けられた1つの好ましい実施形態で提供される。使い捨てカセット100aは、さもなければオーガナイザ、ディスポーザブル、使い捨てセットなどと呼ばれる。使い捨てカセット100aは、腎不全の治療用の体外回路50および透析液流路60(図1参照)の少なくとも一部分を含む(たとえば、すべての体外回路50はカセット100a内に一体化されるが、管類は、図2および図3に示すように患者との間に配管される)。使い捨てカセット100aは、以下に説明するように空気圧または機械式で作動する本明細書に記載の多くのポンプおよびバルブの透析液または治療流体流部分を処理するための空間効率的な装置を提供する。したがって、カセット100aは、空間、能力および資源が限られている家庭用に良く適している。
【0057】
好ましい一実施形態では、使い捨てカセット100aおよび対応して取り付けられる管類は、使用前にγ殺菌されて封止される。別法によると、酸化エチレンまたはeビームによる殺菌が使用される。患者または操作者は、使用前にシールを開放し、カセット100aを治療機械内に挿入し、1回使用してからカセット100aおよび関連する管類を廃棄する。カセット100aおよび流路50および60は、一実施形態では使い捨てすることを意図されているが、カセット100a並びに流路50および60は、適切な消毒および/または殺菌を行って再使用することができる。
【0058】
カセットおよびECHDシステムの結合
図1〜図3を参照すると、患者42の動脈接近手段44aから始まって、体外または血液回路50は、PT1と標識された圧力センサ46を備える。PT1は、別法によると、血液ポンプ48に達する前に血液の流れを停止する能力を有する圧力スイッチである。安全上の対策として、一実施形態のシステム10は多数の電極(図示しない)、たとえば2〜4個の電極を備え、これらの電極は、システム10からの患者42の接近切断を検出するために、半分が動脈ライン44a内、半分が静脈ライン44b内に一体化されている接近切断センサを提供する。偶発的な針の切断を検出するための別法による機構は、導電性ブランケットを患者に接近する下流に使用することである。血液の存在は、ブランケットの導電性を変化させ、警報を発してポンプを停止させる。
【0059】
血液ポンプ48は、一実施形態では蠕動ポンプ48であり、圧力センサPT1と、PT2と標識された一体圧力変換器46を有する点滴チャンバ52aとの間に位置する。別法による実施形態の多数またはすべての点滴チャンバ52a〜52cの1つは、対応するレベルセンサ68a〜68cを備える。これらのセンサは、対応する点滴チャンバに接続されるか、または一体化される。レベルセンサ68a〜68cは、透析装置内の透析液または治療流体のレベルまたは高さを感知および指示する。血液ポンプ48は、別法によると、蠕動ポンプ以外の容量揚送デバイス、たとえばダイアフラムポンプまたは遠心ポンプである。血液ポンプ48は、以下で説明するとおり、システムのプライミングのために双方向でも良い。圧力センサPT246は、別法によると点滴チャンバに結合されず、たとえば、代わりに圧力変換器が使用される。圧力センサPT1およびPT2、点滴チャンバ52a、並びに蠕動ポンプ48用の管類102はすべてカセット100aに接続される。
【0060】
血液は、点滴チャンバ52aの後、カセット100aの筐体104から流出し、比較的小型の高流量透析装置の動脈透析装置30に流入する。図2に示すように、動脈透析装置30および静脈透析装置20は、カセット100aの筐体104の端部に取り付けられる。次に、血液は動脈透析装置30から静脈透析装置20に流れ、カセット100aの筐体104内に逆流して、第2点滴チャンバ52bを通る。点滴チャンバ52bも、PT3と標識された一体圧力センサ46を有する。PT3は、別法によると、たとえばラインに直結する圧力変換器が代わりに使用される場合、点滴チャンバを備えずに提供される。
【0061】
ABDと標識された気泡検出器54は、血液ライン50内の点滴チャンバ52bから下流に位置する。静脈ラインクランプ、またはV1と標識されたバルブ56であって、カセットを利用するか、またはカセット100aの外側に設けられ、検出器54がライン50内で空気を検出した場合に、血液の流れを遮断するバルブ56は、検出器54と動脈接近手段44bとの間に配置され、血液を患者42に返す。点滴チャンバ52b上の空気レベルセンサ(図示しない)は、ABD54の代わりに、またはABD54のほかに使用される。血液中の空気を検出するには、レベル検出機構に、点滴チャンバ52b、またはPT3と標識された圧力伝達器46を代わりに、またはさらに設ける。センサは、センサの送受信位置を通過する血液中の空気の割合に応じて信号を生成する。空気が存在しない通常の動作状態では、点滴チャンバ52b内の血液は比較的安定したレベルで存在するが、レベルの変動は、圧力、揚送される血液の量などによって生じる。チャンバ52b内の血液の閾値レベルは、血液が低下してはならないレベル未満に存在する。血液ライン中に空気が存在する場合、チャンバ52b内の血液レベルは閾値レベルより低く、別法による空気/血液検出器からの警報をトリガする。洗浄、プライミング、または血液のリンスバックによって必要な場合、空気検出器およびラインクランプをライン44a上に使用する点に注目することは重要である。
【0062】
透析液流路60も、主に、オーガナイザまたはカセット100aの筐体内に配置される。透析液は、先ず、透析液または治療流体供給バッグ14、16および18内に供給される。図4および図9〜図11に関連して以下に示す別法による実施形態では、源は、オンライン源またはその他のタイプの予めパッケージ化されていない源である。図1に示す実施形態では、最低1つの注入バッグが設けられ、1つの好ましい実施形態では複数のバッグ、たとえば3つの源14〜18が設けられる。図1は、先ず、システムに空の排水バッグ12が設けられ、排水バッグ12には、最初に使用された供給バッグ14、16または18からの使用済み溶液が充填されることを示す。最初の2つの供給バッグ14、16または18は、排水された後、それぞれ送出および最終溶液バッグの排水バッグになる。この治療法は、結局、投入された流体より多量の流体を除去するため、各々の供給バッグ14〜18は、使用済み流体およびUFを収容するために使用される。バッグの順序は、V8〜V14と標識されたバルブ56で示されるように制御される。
【0063】
透析液または治療溶液は、源14〜18の1つから集合1の容積式ダイアフラムポンプ22および24に流れる。ポンプの容量測定精度は、監視によって確認される。上記のとおり、交互に2種類の溶液供給ポンプ22および24を使用して、拍動流の量の制限することが望ましい。安全上の対策として、ポンプ22〜28の各々のダイアフラムは、漏れがある場合、外側にのみ漏れるように構成される。ポンプ22〜28の外側に収集される漏れは、次に、カセット100a、機械、および/またはカセット/機械インターフェース内に組み込まれた湿度センサ方向に方向転換され、湿度センサは、漏れ、および(i)警報、(ii)ポンプ22〜28および48を遮断し、(iii)その他の適切な動作を行うための信号を感知する。
【0064】
したがって、空気圧および機械式に駆動される適切な医療流体ポンプおよびダイアフラムは、2002年12月31日に出願された本願と同一の所有権者による特許出願第10/335,646「Systems,Methods And Apparatuses For Pumping Cassette−Based Therapies」に記載されており、この特許出願は、引用することにより本明細書に援用する。米国特許第5,431,626号およびその対応特許に具現されており、その示唆するところが引用により本明細書に援用されるHomeChoice(登録商標)シリーズのAPDデバイスに現在使用されているポンプおよび揚送技術も適切であり、様々な揚送技術は、2002年5月24日に出願された本願と同一の所有権者による米国特許出願第10/155,754号「Medical Fluid Pump」に記載されており、その示唆するところは、引用することにより本明細書に援用される。
【0065】
上記のとおり、各々のポンプ22〜28は、容積測定デバイス32〜38で個々に動作する。好ましい一実施形態では、容積測定デバイス32〜38は、関連するキャパシタプレートを表す破線により図1に示されているキャパシタンス流量センサである。キャパシタンスセンサの一実施形態は、2002年1月22日に出願された特許出願第10/054,487号「Capacitance Fluid Volume Measurement」に開示されており、この特許出願は、引用することにより本明細書に援用する。このキャパシタンスセンサは、キャパシタンス測定技術を使用して、チャンバ内部の流体の量を決定する。流体の量が変化すると、キャパシタンスの変化に比例する感知電圧が変化する。したがって、センサは、チャンバが、たとえば空であるか、8分の1充填されているか、4分の1充填されている、半分充填されているか、完全に充填されているか、またはその他の割合で充填されているかを決定することができる。これらの測定の各々は、正確に、たとえば少なくとも公知の重量計または圧力/流量測定によって達成される精度と同程度正確に行うことができる。しかし、キャパシタンスの感知は、比較的単純で非侵襲性、かつ安価であり、連続的な非バッチ方式の揚送タイプの動作と共に操作可能である。
【0066】
一般に、2つのキャパシタプレート間のキャパシタンスは、関数C=k×(S/d)に従って変化し、ここでkは誘電定数、Sは個々のプレートの表面積、dはプレート間の距離である。プレート間のキャパシタンスは、関数1/(R×V)に従って比例的に変化し、ここでRは既知の抵抗、Vは、キャパシタプレートを横断して測定した電圧である。
【0067】
医用流体または透析液の誘電定数は、一般に、空であるか、または排水行程の終わりのポンプチャンバ(たとえば、図1のポンプ22〜28の一部である図2のポンプチャンバ122、124、126および128)を充填している空気の誘電定数よりはるかに高い。一実施形態では、キャパシタンスプレートの1つは、チャンバ122を出入りする流体の量に応じて移動可能であり、プレート間に変化距離Δdを生じ、これは、キャパシタンスを決定する時の要因である。同様に、キャパシタンスプレートの表面積Sも可変である。図1に比喩的に示されている好ましい一実施形態では、キャパシタンスプレート32、34、36および38は互いに一定の距離に固定され、たとえば、カセット100aの筐体104の剛性プラスチックに固定される。この場合、表面積Sも一定であり、誘電定数kの変化は、ポンプチャンバ122〜128に透析液が充填されるか、または透析液が空にされる時のキャパシタンスの変化を表す。
【0068】
チャンバ122〜128内に位置する少なくとも1つの可撓性膜が膨張して、医用流体が充填されると、全体的なキャパシタンスが変化し、つまり増加して、一方が接地され、他方がアクティブなキャパシタプレートを横断して高度のインピーダンスポテンシャルを生じる。こうした高いインピーダンスポテンシャルは、チャンバ122〜128内の流体の量の指標である。感知したポテンシャルが変化しないか、または十分に変化しないが、変化することが予想されている場合、システム制御装置は、このような変化の欠如を、透析液中に閉じ込められた空気として認識し、適切な動作を命令する。
【0069】
キャパシタンス感知回路は、高いインピーダンス信号を増幅して、低いインピーダンスポテンシャルを生成するために設けられる。低いインピーダンスは、キャパシタンスプレート32〜38に返され、敏感な生成キャパシタンス信号が外部の電気的影響によって有効になるのを防止するために使用される。増幅されたポテンシャルは、ディジタル信号に変換され、システム制御装置に送られ、そこで濾過されて合計される。次に、グラフィカルユーザインターフェースを有するビデオモニタを使用して、容量および/または流速の指示をディジタル信号に基づいて、患者または操作者に視覚的に提供することができる。さらに、制御装置は、流速および容量情報を使用して、ポンプ集合2(ポンプ26および28)が、確実に適切な量の流体、つまりポンプ集合1(ポンプ22および24)から揚送される透析液の量に、患者から除去される規定量のUFを動脈透析装置30から取り出すようにする。
【0070】
キャパシタンスプレートまたは容積測定デバイス32〜38のその他の用途は、ポンプバルブV3およびV5、V2およびV4、V15およびV16および/またはV17およびV18を横断する漏れを検出することである。これらのバルブは、それぞれポンプ22、24、26および28の投入および排水行程時に循環および交互に入れ替わり、流体容器のバルブV8〜V14など、システム10内のその他のバルブよりはるかに頻繁に開閉する。したがって、ポンプの値は、他のバルブに比べて漏れに対してより敏感であり、システム10の動作には比較的重要である。
【0071】
ポンプのバルブは、交互の対で動作する。たとえば、流体をポンプ22に供給するには、バルブV3が開放し、バルブV5が閉鎖する。逆に、流体をポンプ22から押し出すには、バルブV3を閉鎖し、バルブV5を開放する。両方のバルブが、ポンプ行程が行われている間に開閉されると、容量測定誤差が生じる。本発明は、容積測定デバイス32〜38を使用して、バルブV3およびV5をテストするための方法および装置を意図する。
【0072】
一実施形態におけるバルブテストは、ポンプが、一定容量のポンプチャンバ間に捲縮された可撓性流体膜を有するという事実を利用する。投入行程が生じると、膜には、膜を膨張させる流体が充填される。次に、対応するポンプ入口バルブ(たとえば、バルブV3)が閉鎖し、可撓性ポンプチャンバ膜内に流体が閉じ込められる。部分的な排水行程は、機械的なピストンまたは正/負空気圧を介して試みられる。加わる圧力は、ポンプの構成要素を損傷するほどではないが十分であるため、入口または出口バルブ(たとえば、V3およびV5)が故障するか、または漏れが生じた場合に、流体が流れ、容積測定デバイス32〜36によって感知されると思われる容量の変化を生じる。
【0073】
バルブが適切に閉鎖し、透析液が非圧縮性であると仮定すると、加わる小さい圧力は流体を移動させず、検出可能な容量の変化を生成しない。漏れが存在する場合、容量の変化が生じて検出され、制御装置が警報条件を発行するか、またはその他の適切な処置を行う。上記のテストは、治療の開始時および/または断続的および周期的に全体的な治療の開始時に、たとえば5分ごとまたは1,000行程ごとに行うことができる。このテストは、評価されるべきであると思うが、少なくともポンプバルブV3およびV5、V2およびV4、V15およびV16またはV17およびV18のどの集合が漏れているかを検出できる。このテストは、すべてのタイプの医用流体システム、たとえば血液治療システム、鬱血性心不全システムおよび腹膜透析装置システムに適用できる。
【0074】
カセット100aのチャンバ122〜128および筐体104は、クラムシェルの第1部分を形成し、第2部分は、腎臓治療機械によって形成される。第1および第2部分は、少なくとも1つの可撓性部材、および透析液が存在する場合は透析液を収容する。これらの部分は剛性であり、好ましい一実施形態では、一定の容量を形成する。これらの部分は、キャパシタプレート32〜38の形状を形成し、これらのキャパシタプレートも収容する。つまり、キャパシタプレートの一方は、カセット100a内に収容され、他方は治療機械の内部に収容される。別法によると、両方のプレートが治療機械内部に収容され、カセットの両側に1つずつ収容される。上記のとおり、カセットまたは機械は(どちらが、設置キャパシタプレートではなく、アクティブキャパシタプレートを収容するとしても)、アクティブキャパシタプレートから送信される高度のインピーダンス信号に雑音防止を提供する追加のガードまたはシールドプレートを収容する。
【0075】
上記のキャパシタンス容量センサの代わりに、ポンプ22〜28を貫流する透析液の容量または質量は、電子重量計または秤を使用するなど、その他の方法を使用して決定することができる。別法によるその他の実施形態では、本明細書に記載する何らかのシステム内を流れる透析液の執拗または容量は、医療グレードの様々なタイプの流量計、オリフィスプレート、質量流量計、またはボイルの法則を使用するその他のデバイスを使って感知することができる。さらに、HomeChoice(登録商標)に使用される流体管理システム(「FMS」)技術も、本発明に使用するのに適しており、この技術は、米国特許第5,431,626号およびその対応特許に具現されており、各々の特許が示唆するところは、引用することにより本明細書に援用する。この技術を使用する空気圧制御システムについて、以下で詳細に説明する。導電性センサは、バルブを横断する導電性状態および非導電性状態も検査し、バルブの漏れの検出は、この方法の場合は容易である。
【0076】
さらに別法によると、たとえば本発明の譲受人に譲渡された米国特許5,486,286号に記載されている流体平衡チャンバまたは適合流量平衡装置が使用され、この特許は、引用することにより本明細書に援用され、やはり本発明の譲受人が製造するSystem1000(登録商標)に使用されている。平衡チャンバまたは流量平衡装置は、一実施形態のカセット内に一体化され、別個のポンプまたは加圧源が必要である。チャンバまたは平衡装置は、ダイアフラムの一方のガイドワイヤの新鮮透析液、およびダイアフラムの他方のガイドワイヤの使用済み透析液を管理して、新鮮な透析液および消費された透析液の体積流量を適合させる。次に、別個のポンプを使用して、患者のセッション間に蓄積された患者42からの流体を限外濾過液する。蠕動ポンプも使用され、これは、透析液を透析装置20および30または本明細書に記載する何らかの血液濾過デバイスに揚送し、等量の流体をこれらのデバイスから揚送して、規定量の限外濾過液を制御して患者から排水する。1つの適切な蠕動ポンプ構成は、図12に関連して以下に示す。平衡チャンバおよびその他の容積制御デバイスを使用するシステムについて、以下に詳細に記載する。
【0077】
さらに図1〜図3を参照すると、V2、V3、V4およびV5と標識されたバルブ56は、ある時点で、どのポンプに透析液を充填し、どのポンプから透析液を排出するかを制御する。これらのバルブ、および本明細書に記載するシステムのすべてのバルブではないとしても殆どのバルブは、電気機械的部分が、血液治療機械、および図2に示す流体流部分156内に収容される。ポンプ22および24を出て行く透析液または腎臓治療流体は加熱器58に入る。加熱器58は、別法によると、容積式ダイアフラムポンプ22および24より前に配置される。加熱器58は、任意の適切なタイプの電気医療流体加熱器、たとえばプレート(電気抵抗)加熱器、赤外線またはその他の放射加熱器、対流加熱器、およびこれらの何らかの組合せで良い。加熱器58は、直列加熱器として示されている。図2に示すように、透析液は、カセット100aの可撓性膜加熱部分158を貫流する。加熱器58に関連する電子回路およびその他のハードウェアは、腎不全治療機械の内部に位置する。加熱器58は、別法によると、溶液バッグ14、16および18をバッチ加熱するように配置される。
【0078】
V6と標識されたバルブ56は迂回路を提供し、この迂回路は、非常に高温または非常に低温の溶液が、ポンプ22および24の上流位置に方向を転換し、非常に高温/低温の溶液が透析装置20および30に達し、最終的に血液回路50に達するのを防止することができる。そのため、T2と標識された温度センサ62は、システム10の制御装置にフィードバックを提供し、加熱器58を出て行く透析液の温度を指示する。温度センサ62は、熱電対またはIRセンサまたはサーミスタで良く、これらは、導電性センサプローブ63内に収容されるか、一体に収容されるか、または直接隣接して収容される。導電性感知は温度に依存するため、2つのセンサ62および63を一緒に配置するか、または互いに直接隣接して配置する。
【0079】
温度センサ/導電性センサの適切な位置は、たとえば、流体が透析装置20および30に達する前に、流体の導電性を感知するセンサの位置T2、T3である。導電性センサ63は、溶液の電解質成分をテストするために使用する。導電性センサまたは電解質センサ63は、特に、使用直前に混合される複数の溶液成分を有する二重チャンババージョンの容器14、16および18を使用する場合に有用である。
【0080】
PT4と標識された圧力センサ46は、静脈透析装置20を流れる流体の圧力を測定し、一実施形態では、V19と標識された通気バルブ64cおよび通気バルブ56を通して空気をパージする追加の点滴チャンバ52cに関連して設けられる。あるいは、センサPT4およびチャンバ52cは、容積式ダイアフラムポンプ22および24より前に配置される。
【0081】
透析液は、次に、静脈透析装置20内に流入する。静脈透析装置内部に収容された膜は、上記のような高流量膜である。透析液流路は、制限手段40を介して静脈20および動脈30透析装置に接続する。制限手段40は、著しい量の透析液を静脈透析装置20の高流量膜から、静脈透析装置20内の膜を貫流する血液中に直接流入させる。制限手段は、血液ラインに至る静脈透析装置20に入る透析液の10〜90%の背圧に設定することができる。上記のとおり、制限手段40は一定または可変で良い。一定の制限手段が望ましい場合、図1に示す2つの透析装置20および30を使用するのではなく、1つの透析装置を使用することができる。図1に示す部品20、30および40の代わりに使用するのに適する内部流量制限手段を有する透析装置は、本願と同一の所有権者による米国特許第5,730,712号「Extracorporeal Blood Treatment Apparatus and Method」に記載されており、この特許は、引用することにより本明細書に援用する。記載されているとおり、この透析装置は、固定オリフィスを有するという制約がある。
【0082】
上記に暗に示したとおり、制限手段40が可変制限手段であることは、多くの点で望ましい。1つの理由として、異なる患者が、比較的対流的であるかまたは比較的拡散的である治療に反応する場合がある。コストおよび製造上の見地から、必要な流量制限手段を取り付けられた「特定用途向け」のユニットではなく、どの患者にも合わせて調節できるユニットであることが望ましい。第2に、患者および医師が、最適な割合の対流浄化対拡散浄化の分類を最初に把握していないために、ある期間の実験および最適化が必要になる可能性が非常に高い。さらに、ある患者が、最初に第1の割合の対流浄化対拡散浄化を使用して、第1の治療を行い、その週の後日、翌日、または同日のうちの後に、第2の治療を行うことが望ましい場合がある。
【0083】
さらに、システム10は、1回の治療セッションまたは処置時に、たとえば段階的増分で、または連続的に対流浄化対拡散浄化の割合を変更する機能を有する。こうした変化は、必要に応じて徐々に、または急速に、必要な範囲で行うことができ、たとえば90%の対流から開始して、90%の拡散で終わることができる。特定サイズもしくは一連のサイズの分子、または特定タイプの分子を治療時のある時点、たとえば治療の開始または終了時に浄化することが望ましいと決定されるかもしれない。可変制限手段40は、1回の治療時に、一定の設定または設定のパターンを繰り返すことも可能にする。
【0084】
本発明は、制限手段40に少なくとも3つのレベルの可変性を考えている。第1レベルは、「半固定」と呼ぶことができる。この場合、制限手段は、固定オリフィス制限手段プレートを使用するが、制限手段40は、異なるサイズのオリフィスを有するプレートをスワップアウトできるように構成および配置される。しかし、このようなスワップアウトは、治療間で行われるであろう。第2レベルの可変性は、「オンザフライ方式手動」と呼ぶことが出来る。この場合、制限手段40は、手動調整を有する背圧調整装置または可変オリフィスバルブであって、患者または操作者が背圧を調節し、ひいては対流対拡散浄化の割合を調節することを可能にするバルブで良い。このような手動調節は、現在の治療時、または治療間に行うことができる。第3レベルの可変性は自動であり、たとえば、空気圧作動背圧調整装置または可変オリフィスバルブを介して行うことができる。このような空気圧作動デバイスは、制御された圧力で空気圧信号を受信し、背圧を相応に設定する。制御装置は、たとえばアナログ信号、たとえば0〜5VDCまたは4〜20mA信号を出力するように構成することができ、信号は、I/P変換器を介して、対応する圧力で圧力信号に変換される。この自動調節は、現在の治療時に、または治療間で行うことができる。
【0085】
さらに、図1〜図3を参照すると、ポンプ26および28を含むポンプ集合2は、出口端部の動脈透析装置30上に存在する。ポンプ構成を含むポンプ集合1に関する上記の様々な実施形態の各々は、ポンプ集合2に適用することができる。ポンプ集合2は、通常、ポンプ集合1の新鮮透析液の投入量に、治療セッション間に患者の血液および組織中に蓄積した過剰な流体を除去するための追加の量が加わった速度で揚送するように構成される。
【0086】
使用済み透析液、および透析間の期間に得られた患者の流体に容量的に等価な流体は、動脈透析装置30をから、V16およびV18と標識されたバルブ56を通り、ポンプ26および28を通り、V15およびV17と標識されたバルブ56を通り、血液漏れ検出器66を通って排水バッグ12〜16に流入し、これらのバッグは、上記のとおり、V9〜V14と標識されたバルブ56を介して選択的に開放される。バルブ56、検出器66およびポンプ26および28の流体接触部分は各々、一実施形態では、カセット100aの筐体部分104内に配置される。廃棄物、および患者のUFに容量的に等価な流体は、別法によると、BLD66の後、許容可能な排水管内に配置された長い管類に経路を指定される。この代案は、平衡重量計システムと連動しない。
【0087】
血液漏れ検出器66は、一実施形態では、光源および光検出器を備える。透析装置20および30を通して濾過されない血液成分は、こうした成分が透析装置の膜壁を通って治療溶液の流路内に移動する場合、検出器66の光検出器に達する光を低下させる。システム10の制御装置は、光検出器を連続的に監視する。血液の漏れが検出されると、音声および/または視覚警報をトリガし、血液ポンプ48を停止して、静脈ラインのバルブV1を閉鎖する。検出器66などの血液センサは、代わりに、またはさらに、静脈透析装置30からポンプ26および28に至る静脈ライン内に配置される。
【0088】
特別なモードでは、ポンプ集合1の輸液ポンプ22および24は、ポンプ集合2のポンプ26および28によって除去されて排水される量より多くの溶液を輸液することができる。たとえば、プライミング時、血液リンスバック時、または適用量を注入する間、輸液ポンプ22および24は、ポンプ26および28によって除去された量より多量の量を注入することができる。この特別なモードでは、システムが流体を充填することを可能にし、治療の終わりにライン50内の血液を患者42にリンスバックするか、または患者42が、溶液の適用量を静脈透析装置を介して、回路50の次の透析装置部分内に収容し、静脈接近手段44bを介して患者42に収容することが可能である。
【0089】
プライミング時、動脈および静脈の針44aおよび44bは、図2に示すように互いに接続される。ポンプ集合1および2のポンプは、空気がシステムからパージされるまで作動させ、透析液のみ(または、実質的に透析液のみ)が透析液流路60を全体に流れるようにする。血液ポンプ48が揚送を開始すると、透析液および/または生理食塩水は、静脈透析装置20から逆濾過されて、血液ライン50内に流入し、体外回路50の残りの部分をプライミングする。プライミングの代わり、プライミングの追加の形式は、生理食塩水のバッグを動脈の接近手段44aに接続することである。
【0090】
一実施形態では、血液は、血液ポンプ48の流動方向を逆転させることによって体内に返され、この場合、追加の空気/血液検出器、およびABD54、およびライン44aのポンプ48と患者42との間に配置されるクランプV1などのクランプが必要になるであろう。血液ポンプ48は、追加の空気血液センサが、ライン44a内血液がないことを検地するまで逆に作動する。ポンプ48は、再び逆転し、流体を通常の方向に流し、静脈ライン44b内で血液が感知されなくなるまで、濾過された透析液および血液を患者42に返す。別法によると、血液リンスバックのこの同じ方法が使用されるが、空気血液センサは、洗浄が予め設定された透析液および/または生理食塩水の容量によって制御される以外、血液が存在しないことを確認するためにのみ使用される。
【0091】
代替源−流体調合モード
次に、図4を参照すると、別法によるシステム110が示されており、これは、上記のシステム10と非常に類似する方法で動作する。当然、図1および図4に示す類似の参照符号の各々は、上記と同じ機能および同じ代替物を有する。システム110は、上記の対流および拡散浄化を行い、治療セッション間に患者42が得た流体の量を除去する。
【0092】
システム110がシステム10と異なる点は、システム110は溶液バッグ14〜18および排水バッグ12を使用せず、代わりに、別個の流体調製モジュール112で動作し、流体調製モジュール112に接続することである。システム110は、患者42が、上記のように、複数の溶液バッグを保存し、溶液バッグに接続し、溶液バッグの接続を断ち、溶液バッグを廃棄する必要がないという点で有利である。システム10および110を比較すると分かるように、システム110は、オンライン透析液生成源112を使用することによって、複数のバルブ56(V9、V10およびV12〜V14)を排除している。
【0093】
家庭用に適する1つの適切な流体調製モジュール112は、PrisMedicalから市販されているが、透析液を調製するために浄水パックおよび電解質カートリッジを有するその他のシステムを使用することができる。システム110は、別法によると、大きい、たとえば約120リットルの充填バッグまたは充填容器(図示しない)を使用し、これらは、調製モジュール112から透析液または治療流体を収容する。また、システム110はセンター内の環境に匹敵し、単独の開存または中心流体調製モジュール112が1つまたは複数のシステム110に供給する。単独の患者または中心比例配分モジュールは、比例配分システムを使用して、透析液または補充液を調製することができる。センター内での使用の場合、カセット100aを使用することは意図せず、代わりに、殺菌して再利用可能な機械を提供する。システム110の上記の実施形態の何れかでは、システムは、使用済み透析液およびUFを使用済み透析液バッグ、廃棄物容器、排水管または廃棄物領域114に揚送する。
【0094】
再生ループの追加
次に、図5を参照すると、別法によるシステム210が示されており、これは、再生ループ212を透析液流路に追加するものである。図4と同様、図1、図4および図5に示す参照符号と同じ参照符号の各々は、上記と同じ機能および代替物を有する。システム210も上記の対流および拡散浄化を行い、治療セッション間に患者42が得た流体または限外濾過液の量を除去する。
【0095】
再生ループ212は、関連する容積測定デバイス216で動作する追加のポンプ214を備える。揚送、流量の測定および流量の制御に関して上記で述べたどの実施形態も、ポンプ214および測定デバイス216に使用することができる。V22、V23およびV26と標識された追加の入口および出口バルブ56は、動脈透析装置30からの使用済み透析液/UFの流れがポンプ214に揚送されるようにするか、または揚送されないようにするために設けられる。図示のとおり、ポンプ214は、再循環吸着剤カートリッジ222または排水管に揚送することができる。V24およびV25と標識された追加の出口バルブ56は、UFポンプ26および28に流体的に接続され、これらのポンプは、排水管または再循環吸着剤カートリッジ222に選択的に揚送することができる。つまり、ポンプ26および28のどの組合せも、治療時に繰り返し、または異なる時に使用して、再循環させるかまたは限外濾過することができる。
【0096】
図示のとおり、図示のポンプ214は、ライン220を介して動脈透析装置30の入口に、使用済み透析液/UFを逆に揚送するように構成される。ライン220は、別法によると静脈透析装置20の入口に達し、再生された流体は透析装置中に再度導入される。さらに、再生流体は、静脈透析装置20および動脈透析装置30の入口の両方に揚送することができる。さらに、動脈透析装置30を出る流体を再生する代わりに、またはそのほかに、静脈透析装置20を出る流体を再生することが可能である。
【0097】
システム210では、UFポンプを通って揚送される総量は、追加の再循環ポンプ214によって変化する。上記の実施例では、ポンプ集合2のポンプ26および28は、治療過程で添加された18リットルの透析液(12リットルは対流浄化に使用され、6リットルの透析液は拡散浄化に使用された)および患者から限外濾過された何らかの流体を除去するということだった。
【0098】
上記の実施例で使用された18リットルをシステム210に適用し、12リットルが対流浄化を生成するために使用されると仮定すると、残りの6リットルおよび再循環ループ212を通って再循環される流体の量は、次に、拡散浄化を精製するために使用される。ポンプ26、28および214が、動脈透析装置30を出る流体全体の3分の1が再循環されるように構成される場合、毎分225ミリリットルが動脈透析装置30から抜き取られ、75ミリリットルが、再循環ループ212を通過し、150ミリリットルが排水バッグ12、14および16内に排出される。拡散浄化は、透析液が1回通過するごとに6リットル、および再循環ループ212の透析液が120分間で毎分25ミリリットル、つまり6リットルに9リットルを加算して、合計15リットルの拡散浄化になる。ポンプ26、28および214が、それぞれ毎分100ミリリットルで動作する場合、動脈透析装置30を出る流体全体の2分の1は、再循環ループ212を通って再循環され、拡散浄化は、6リットルに、120分間で毎分150ミリリットル、つまり6リットルに18リットルを加算して、拡散浄化全体で24リットルになる。
【0099】
浄化の増加に対するトレードオフは、動脈透析装置30から抜き取られて出て行く使用済み透析液/UFを浄化または再生するために、再循環ループ212に吸着剤カートリッジ222が必要なことである。再生流体に必要な量および質に応じて、カートリッジ222は、炭素カートリッジと同様に単純だが、別法によると、ウレアーゼを含む多層カートリッジである(米国特許第3,669,880号および第3,669,878号に記載されているカートリッジに類似し、この特許の示唆するところは、引用することにより本明細書に援用する)。したがって、適切なカートリッジおよび物質は、本願と同一の所有権者による米国特許出願第10/624,150号「Systems And Methods For Performing Peritoneal Dialysis」、および本願と同一の所有権者による米国特許出願第10/623,317号「Systems And Methods For Peritoneal Dialysis」に記載されており、これらの特許出願の示唆するところは、引用により本明細書に援用する。カートリッジ222に使用される吸着剤のタイプに応じて、システム210、および吸着剤を使用する本明細書に記載するその他の何らかのシステムは、吸着剤カートリッジ内で失われる電解質を補充するために、ライン220上に減菌注入剤の添加物616を必要とし、注入に関係なく電解質を測定するために、導電性温度センサ62、63を必要とする。
【0100】
一般に、浄化カートリッジは、使用済み流体から老廃物を除去し、毒素の拡散搬送に関連する際の浄化カートリッジの効率を改善する。吸着剤カートリッジまたは浄化カートリッジ22は、1つまたは複数の異なるタイプの洗浄剤または交換器、たとえば活性炭濾過器、吸着剤交換、化学洗浄剤、化学交換、生物学的洗剤、結合吸収剤、酵素(enzomatic)反応剤、機械的洗浄剤、およびこれらの何らかの組合せを使用することができる。
【0101】
カセットベースの血液濾過システム
次に、図6および図7を参照すると、システム310および410は、それぞれ、カセットベースの家庭用システムが、別法によると純粋な血液濾過を行うように構成することができることを示している。上記のシステム310および410とシステム10、110および210との主な相違点は、純粋血液濾過システムは、静脈透析装置20および制限手段40を使用しないことであり、これらをカセット100aから単に除去するかまたは迂回して、血液濾過システム310または410を形成する。次に、図1の動脈透析装置30は、システム310または410内の血液濾過器312として動作する。したがって、動脈透析装置30/血液濾過器312は、両方の役割を果たすことができるように選択する。
【0102】
システム310の他の部分は、ライン314(図1に示す)を静脈透析装置20(図1)から分離し、そのラインを図6の後希釈ライン316に再接続して構成される。このような分離および接続およびは、カセット100aの筐体104内で行われるか、またはカセット100aに接続された管類を介して行われる。したがって、本発明は、工場で取り付けるか、現場で取り付けるか、または患者が家庭で取り付けて、上記の血液濾過、または逆濾過血液透析濾過(「HDF」)療法を行うことができるカセットの提供を明確に意図する。
【0103】
逆止バルブは、血液がポンプ22および24内に逆流するのを防止するために、ライン314内に配置される。類似の逆止バルブ326は、本明細書に記載する血液濾過またはHDF実施形態、たとえば図6〜図8および図11と同じ場所に使用することができる。任意のシャントライン324、およびV20と標識されたバルブ56は、前希釈および後希釈HFを選択的かつ個々に、またはシステム310および以下に示すその他のシステムと同時に行うことができるように使用することができる。
【0104】
図示のシステム310は、後希釈血液濾過デバイスであり、輸液ポンプ22および24からの流体は、血液濾過器312の下流に位置する後希釈血液ライン316内に直接射出される。別法による一実施形態では、輸液ポンプ22および24からの流体は、血液濾過器312の上流に位置する前希釈血液ライン318内に直接射出される。この場合、好ましい一実施形態における流体は、空気が濾過器312に入るのを防止するために、点滴チャンバ52aに、またはその上流に射出される。前希釈および後希釈は共に、互いに独自の特定の利点を有する。
【0105】
後希釈は、前希釈浄化モードに比べて、1リットルの補充溶液当たりの浄化が改善される。1リットルの補充液当たりの後希釈浄化は、たとえば、前希釈浄化の2倍効果的である可能性がある。しかし、後希釈血液流速の制限は、血液濃縮の危険性によって補充液の総量を制限する。前希釈は、補充液の量が血液濃縮によって制限されないため、比較的高度の浄化が可能である。したがって、ある時間にわたる全体的な浄化は、比較的効率的ではないにも関わらず、後希釈療法に比べて前希釈療法を使用する場合の方が大きい。
【0106】
図7は、本発明の血液濾過システムのもう1つの別法による実施形態を示す。図7のシステム410は、透析液ライン320が後希釈輸液ポンプ22の出力部から延在し、血液濾過器312を出る後希釈ライン316内に直接供給することを示す。
【0107】
第2ライン322は、前希釈ポンプ24の出力部から、血液濾過器312の入力部に延在する前希釈ライン318の真向かいに配置された点滴チャンバ52aに延在する。逆止バルブ326は、両方のライン320および322内に配置され、血液がそれぞれポンプ22および24内に逆流するのを防止する。図6および図7に記載の実施形態は、図1、図4および図5に関連して上記で説明する構成要素と同じ構成要素の多くを有する。これらの構成要素は、同じ参照符号で示され、これらの参照符号に関する上記の特徴および代替物の各々を備える。
【0108】
透析液流路460は、上記の透析液または治療溶液流路とは多少異なるように構成される。図示のとおり、加熱器58は、ポンプ集合1、つまり後希釈ポンプ22および前希釈ポンプ24の前面に移動する。さらに、同様に、点滴チャンバ52cは、ポンプ集合1の輸液ポンプ22および24の前面に移動した。点滴チャンバ52cには、図示のとおり、T1およびT2と標識された2つの温度センサが設けられる。点滴チャンバ52cも、上記のとおり通気口64cで動作する。加熱器58を出る加熱流体は、後希釈および前希釈ポンプ22および24に入る。
【0109】
後希釈ポンプ22を出る流体は、ライン320を介して後希釈ライン316に流れ、そこで、流体は別法による血液回路350に入り、対流浄化を行う。前希釈ポンプ24から揚送される流体は、前希釈ライン322を介して点滴チャンバ52aに流れ、透析液または治療流体は、点滴チャンバ52a内でポンプ48を介して揚送される血液と混合される。血液および透析液または治療流体は、その後、血液濾過器312に流れる。
【0110】
ポンプ22および24が、一定期間に同量の流体を揚送すると仮定すると、透析液または治療流体の50%は後希釈浄化に使用され、他の50%は、殆ど前希釈浄化に使用される。この割合は、ポンプ22および24の周波数を変えることにより変更できることに注意することは重要である。後希釈透析液は、患者42に入った後に血液濾過器312を貫流する。一方、前希釈透析液または治療流体は、血液濾過器312を貫流してから、患者42に達する。
【0111】
透析液の供給に関して本明細書に記載する実施形態は何れも、予めパッケージ化されているか、またはオンラインで調製されるかに関わらず、図6および図7のシステム310および410、並びに本明細書に記載するその他の実施形態の各々に適用することができる。さらに、図2および図3に関連する上記のカセット、および治療機械および供給バッグを構成するために以下に示す実施形態の各々は、さらに図6および図7の血液濾過実施形態で動作可能である。血液濾過システム310および410は、好ましい一実施形態ではカセットを使用しており、家庭用に容易に適用することができる。
【0112】
カセットベースの血液透析濾過システム
次に、図8を参照すると、家庭用血液透析濾過システム510の一実施形態が示されている。上記のシステム10、110および210は、対流および拡散搬送モードが、透析装置部分20および30間に配置された制限手段40によって生じるタイプの血液透析濾過療法を提供する。一方、システム510は、異なる流動構成を介して血液透析濾過システム510を提供する。それにも関わらず、上記の血液透析濾過システム510の流動構成要素の多くは、1回の治療のために血液透析濾過機械内に挿入される使い捨てカセット上に設けられる。
【0113】
血液透析濾過ユニット510の透析液または治療流体流路560は、図7に関連して説明したシステム410および図5に関連して説明したシステム210の複合型流路である。図7と同様に、後希釈輸液ポンプ22は、ライン320を介して透析液を後希釈血液ライン316に直接揚送し、前希釈輸液ポンプ24は、ライン322を介して濾過器20、30内に透析液または治療流体を揚送する。別法による実施形態では、血液透析濾過システム510は、透析液のみを前希釈ライン318および後希釈ライン316内に注入する。
【0114】
図5と同様、システム510も、追加の限外濾過液ポンプ216を有するように示されており、この限外濾過液ポンプは、使用済み透析液の一部分を透析20、30から抜き取り、再循環ライン220および活性炭またはその他の吸収剤カートリッジ222を通してその部分を揚送する。上記のとおり、カートリッジ222は、透析装置20、30からの使用済み透析液および限外濾過液の一部を再生し、最終的に、1リットルの拡散浄化について、容器14〜18からの比較的少ない流体を使用する。カートリッジ222に使用する吸着剤のタイプに応じて、システム210、および吸着剤を使用する本明細書に記載する何らかのその他のシステムは、吸着剤カートリッジ内で失われる電解質を補充するために、ライン220上に減菌注入剤の添加物616を必要とし、注入に関係なく電解質を測定するために、導電性温度センサ62、63を必要とする。しかし、血液透析濾過システム510が再生ループ220またはカートリッジ224を必要としないことは、評価されるべきである。
【0115】
血液透析濾過システム510は、上記のシステム10、110および210に類似する方法で動作する。つまり、両方のシステムとも、対流および拡散浄化モードを提供する。システム510の場合、対流浄化が生じるのは、輸液ポンプからのライン320および322が、透析液または治療流体を血液回路350内に直接搬送するためである。逆止バルブ326は、ライン320および322の両方に配置され、血液がそれぞれポンプ22および24内に逆流するのを防止する。拡散浄化が生じるのも、透析液が、透析装置20、30内部の膜を横断してさらに移動するためである。
【0116】
多くのセンサの少なくとも一部分、ポンプチャンバ、流体加熱経路、バルブ56の流体流部分、およびシステム510のその他の多くの構成要素は、全体的に、または部分的にカセット100aなどのカセット上に設けられる。次に、カセット100aは血液透析濾過機械内に装填されて1回使用された後、廃棄される。したがって、システム510は、家庭用に良く適する。
【0117】
再循環
上記のシステムは、たとえば図1に示すバッグから、またはたとえば図2に示す流体精製パックかの減菌透析液などの流体源を必要とする。図9〜図11は、本明細書に記載する何れかの治療(たとえば、対流および/または拡散浄化モードを使用する)に適用できるシステムを示す。しかし、図9〜図11のシステムは、超高純度透析液源を生成する様々な濾過器を有する再循環吸着剤システムを使用する。
【0118】
次に、図9〜図11を参照すると、様々な吸着剤ベースの再生システムが示されている。図9は、上記のシステム10、110および210で説明した逆濾過対流および拡散を行う吸着剤ベースの再生システム610を示す。図10は、システム(図9の610または図11の710)が、洗浄またはプライミングの開始時にシャントされることを示す。図11のシステム710は、吸着剤ベースの再生を使用する血液濾過システムであり、図8に示す前希釈および後希釈タイプのHFおよびHDFシステム510に適用することができる。
【0119】
図9のシステム610では、患者42は、最初5リットルの減菌透析液バッグを使用し、このバッグは、剛性容器内に取り付けられて、貯槽612を形成する。別法によると、5リットルの水および濃縮粉末または液体は、貯槽612内で混合されて、初期治療溶液を形成する。
【0120】
図10は、処置の開始時に、シャント614が、透析装置20および30を横断して配置されることを示す。吸着剤カートリッジ222は、シャント614の下流にある透析液流路620に配置される。カートリッジ222は、たとえば、図5のシステム210に関連して上記で述べたどのタイプ吸着剤システムでも良い。たとえばカルシウム、マグネシウムおよび/またはカリウムを含む注入剤616は、吸着剤カートリッジ222を介して除去されたイオンを補充する必要に応じて、注入剤ポンプ618を介して貯槽内に揚送される。
【0121】
加熱器58は、貯槽612を出る溶液を加熱する。溶液が加熱された後、システム610は、使用者または患者42が、上記のカセット100aなどの使い捨て式の減菌カセットを取り付けるように促す。気泡検出器54、加熱器58の加熱要素、圧力センサ46、温度センサ62などの少なくとも一部分は、患者の安全の処置、およびシステム610の確実な動作を可能にするために必要に応じて、透析液および体外血液流路の両方においてカセット内に一体化される。血液回路50は、動脈血液ラインに接続された生理食塩水バッグを使って、または静脈透析装置20を通る透析液または生理食塩水の逆濾過を介してプライミングされる。
【0122】
患者は、それぞれ動脈および静脈接近ライン44aおよび44bに接続され、治療が開始する。短時間の治療の場合、透析液の流量は比較的多量であり、たとえば3時間で毎分300ミリリットル、または8時間以下で毎分100ミリリットルである。透析液ポンプ22および24およびUFポンプ26および28は、透析装置20および30との間の流量を制御する。流出透析液を動脈透析装置30から除去するポンプ26および28の揚送量を増加することによって、透析間の期間に患者内に蓄積した流体が除去される。透析液/LTFポンプ22〜28の流体流部分は、一実施形態では体外回路と共にカセット内に一体化される。別法によると、これらの構成要素はカセットとは別個に保持され、機械内に一体化される。
【0123】
図9は、透析液流用の2つの容量デバイス22および24、並びに26および28の2つを示す。別法によると、入力部に1つのポンプを使用し、出力部に1つのポンプを使用するが、この構成は拍動流を生じる可能性があり、あまり望ましくない。
【0124】
新鮮透析液は、最初は静脈血液透析装置20に流れる。透析装置20と30との間に配置された制限手段40は、透析装置20内に背圧を形成し、その結果、比較的多量の透析液が血液回路50内に逆濾過され、透析液の残りの部分は、動脈透析装置30に流れる。システム610は、本明細書に記載するとおり、このようにして拡散および対流浄化を提供する。
【0125】
次に、動脈透析装置30から抜き取られる使用済みの透析液およびUFは、吸着剤カートリッジ222を通って循環される。カートリッジ222は、使用済み透析液/UF流体から老廃物を除去する。浄化された流体は、貯槽/バッグ612に揚送され、そこで、吸着剤カートリッジ222によって除去された電解質を補充するために、注入剤616が添加される。
【0126】
透析液流路620の大部分は、カセット内に位置する。カセットは、ある実施形態では使い捨てだが、別法によると、適切な消毒および/または殺菌を行って再利用される。体外回路50の殆どすべての構成要素は、管類が患者との間に延在する以外、カセット内に一体化される。システム610の体外回路50は、システム10、110および210の上記の回路50に類似する。
【0127】
透析液/注入剤は、貯槽612を出る時に加熱され、温度/導電性センサ62を通過して流れる。溶液が非常に高温であるか、非常に低温であるか、さもなければ画定された生理的範囲外である場合、限外濾過器626が設けられたバイパスバルブ56が閉鎖され、バイパスライン628が開放して、透析装置20および30を迂回する。この迂回の際、注入剤およびUFのポンプ22〜28は共に停止される。この迂回、および貯槽612との間の流体の円滑かつ安定した流れを促進するため、第2循環ポンプ624bが使用される。
【0128】
溶液は、画定された温度/生理的範囲内である場合、再利用可能な限外濾過器626を通過し、限外濾過器626は、細菌を濾過する分子量の遮断を使用する。限外濾過器626は、菌体内毒素も濾過および吸収する。限外濾過器626を含むシステム610の濾過は、できるだけ純粋な形態で透析液を提供するために意図されている。限外濾過器626は、マイクロ濾過器が許容可能な量の細菌および発熱物質を除去することができる場合、マイクロ濾過器でも良い。
【0129】
透析液または治療溶液は、限外濾過器626から輸液ポンプ22および24に揚送される。流量測定デバイス32〜38は、ポンプ22〜28によって揚送される流体の容量を監視する。ポンプ22〜28は、上記のとおり、外部位置に漏れるように構成される。漏れは、漏れの検出後、正しい行動が取られるように、カセットおよび/またはカセット/機械インターフェース内に組み込まれた湿度センサ内に方向転換される。
【0130】
流体は、一実施形態では、輸液ポンプ22および24から、小型の0.2μmマイクロ濾過器630を通って流れる。濾過器630はカセットに一体化され、細菌および菌体内毒素の追加の濾過を行う。透析液は、濾過器630から、高流量膜を使用している静脈透析装置20に流れる。透析液流路620は、2つの透析装置間で制限手段40を介して、静脈および動脈透析装置を接続する。制限手段40は、著しい量の透析液を静脈透析装置20内部の血液回路50内に直接推進するために、背圧を提供する。透析液の残りの部分は、動脈透析装置30に流れる。
【0131】
UFポンプ26および28は、動脈透析装置30の出口側に設けられる。これらのポンプは、通常、新鮮透析液に、治療セッション間に患者の体内に蓄積した流体を除去するための追加の量が加わった速度で揚送するように構成される。使用済み透析流体およびUF流体は、次に、吸着剤カートリッジ222に循環されて浄化された後、貯槽612に戻り、たとえば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、およびおそらく酢酸ナトリウムの注入剤616を収容する。システム10に関連して上記で述べたとおり、ポンプ22〜28は、別様に動作して、プライミング、適用量の注入、または血液リンスバックを行うことができる。
【0132】
図11は、透析装置20および30を血液濾過器312に置き換えるシステム710を示す。システム710は、それぞれバルブ56、並びに前希釈および後希釈流動ライン712および714を介して、前希釈、後希釈または両方のタイプのHF治療を行うように構成される。前希釈および後希釈HFは、抗凝結剤の必要性をなくす。システム710は、冗長性の点で示すとおり、複数の限外濾過器626およびバイパスライン628を使用している。複数の濾過器は、1つの濾過器に障害が生じたか、さもなければ適切に機能しない場合、連続する他の濾過器が順に確実に適切な濾過を行うようになっている。各々の濾過器は、細菌および菌体内毒素の減少に関する定格ログを有する。したがって、細菌レベルが非常に高い点に達した場合、ある程度の細菌は第1濾過器を通って、連続する第2濾過器に搬送されるというように順に行われる。
【0133】
システム610および710は、多くの別法による実施形態を含む。限外濾過器626および/またはマイクロ濾過器630は、再利用可能であってもなくても良い。ポンプ22〜28および流量測定デバイス32〜38は、システム10に関連して上記で述べた代替物の何れか、たとえば、本発明の譲受人が製造するSystem1000(登録商標)などの適合流量平衡装置を含む。代替物の何れかは、少なくとも部分的にカセットと一体化されるか、または透析機械のどこかに設けられる。その他の別法による方法は、ピストンポンプなど、その他の容量揚送技術を使用する(ピストンポンプによっては、ピストンが溶液を空気に暴露した場合、新鮮透析液ループ内のポンプの次に、限外濾過器を配置して、溶液が汚染するのを防止する必要がある)。さらに、容量ポンプの代わりに流量監視装置を使用することができる。この場合、流量センサは流量を測定し、透析装置20、30または血液濾過器312の上流および/または下流に位置する1つまたは複数のポンプに流速をフィードバックする。
【0134】
蠕動ポンプを使用するシステム
次に、図12および図13のシステム810および910をそれぞれ参照すると、蠕動ポンプ820および830を使用して、透析流体をバッグ14、16および18からから揚送し、限外濾過液を血液濾過器から揚送する別法による医用流体治療システムが示されている。図12および図13は、以前のシステムを示す図面に関して単純化されている。これらのシステムの上記に示す構成要素およびデバイスの多くは、必要に応じてシステム810および910にも使用されることが分かるであろう。図12および図13に示すこれらの構成要素およびデバイスの各々を繰り返し含む必要はない。さらに、上記の要素に関して類似する参照符号で示す図12および図13の要素は、上記と同様に動作し、上記の参照符号の代替物の各々を含む。
【0135】
図12のシステム810は、上記のとおり、制限手段40によって分離されるインライン血液透析装置20および30を使用する血液透析濾過システムを示す。血液は、体外回路50の動脈接近ライン44aから蠕動ポンプ48を介して、動脈透析装置30を通り、静脈透析装置20を通って静脈点滴チャンバ52bに流入し、血液漏れ検出器54およびクランプまたはバルブ56および静脈接近ライン44bを通って、患者42に戻る。透析液は、一方のソースバッグ14、16または18から、点滴チャンバ52cを通って加熱器58を通過して流れる。システム810では、蠕動ポンプ820および830は、透析液または治療流体をソースバッグから静脈透析装置20に推進するために使用される。
【0136】
バルブ56a〜56hは、蠕動ポンプ820または蠕動ポンプ830の何れかが、流体注入作業または流体除去作業の何れかを行うように、つまり、流体を静脈透析装置20内に注入するか、または限外濾過液を動脈透析装置30から抜き取るように構成および配置される。蠕動ポンプは、上記の容積式ダイアフラムポンプ、およびその他のタイプのポンプまたは容量デバイス、たとえば平衡チャンバに比べて、本質的に比較的正確ではない。このような不正確さのために、蠕動ポンプは、平衡重量計またはもう1つの平衡方法と結合する必要がある。しかし、蠕動ポンプは、容易に殺菌することができ、注入可能な品質状態を維持し、ポンプは、一般に堅牢かつ堅固であり、ポンプヘッドのピンチが、ヘッド周囲に巻かれた管類を閉鎖したために、ポンプが揚送を停止する場合、内蔵のクランピングも提供する。また、このポンプは、透析団体によって十分に受け入れられている。バルブ56a〜56hのバルブ構成、および蠕動ポンプの使用は、上記の点で有利である。
【0137】
蠕動ポンプに固有の不正確さは、特にポンプが同方向に回転する場合、再現性がある。システム810および910は、二重ポンプ820および830と、開閉するバルブ56a〜56hであって、同じポンプ820および830が、投入行程および排水行程と同じ回数だけ同方向に回転することを可能にするバルブ56a〜56hとを提供する。この特徴は、ポンプに関連する殆どのエラーを取り消す。次に、ポンプは、追加の排水行程を実行して、所望量の限外濾過液を除去する。
【0138】
上記の取消しは、1つのポンプを1方向に適切な行程数だけ作動させ、1つの蠕動ポンプを使って、バルブを交互に順に投入および排水にして、達成することもできる。しかし、こうした構成は拍動流を生じるため、二重ポンプ820および830からの安定した流れに比べると、あまり望ましくない。治療時間は、患者の血液凝縮の可能性と同様に減少する。
【0139】
バルブ56a〜56bは、加熱器58によって加熱された透析液が、蠕動ポンプ820または830に流れることを可能にする。その結果、バルブ56cおよび56dは、流体が、ポンプ820または830から静脈透析装置20に流れることを可能にする。バルブ56eおよび56fは、限外濾過液が動脈透析装置30から抜き取られ、それぞれ蠕動ポンプ820または830に送られることを可能にする。その結果、バルブ56gおよび56hは、透析装置30から抜き取られた限外濾過液が、バルブ820または830を介して、それぞれ排水バッグ12、14または16に揚送されることを可能にする。
【0140】
制限手段40に関連する透析装置20および30の動作は、システム810では、図1のシステム10に関連する上記の動作から変化しない。二重作動ポンプ820および830は、流体の連続的な流れが透析装置20および30に流入し、透析装置20および30から流出することを可能にする。重要なことに、上記の膜ポンプ22〜28と同様に、蠕動ポンプ820および830と共に使用される管類は、γ、eビームまたは酸化エチレンなどの方法で殺菌され、このような殺菌を損なうことなく作動させることができる。
【0141】
各々の流量または容積測定デバイス840および850は、それぞれ個々のポンプ820または830で作動するように設けられる。デバイス840および850は、たとえば、一実施例の蠕動ポンプヘッドの回転速度を測定する回転速度計のフィードバックを提供することができる。もう1つの実施例では、測定デバイス840および850は、蠕動ポンプ820および830のヘッドが生成する行程の数まで計算する。さらに他の実施形態では、超音波、質量流、渦巻き流、またはその他のタイプの流量測定技術は、ポンプ820および830に入るか、またはポンプ820および830から出る量を測定するために使用される。1つまたは複数の平衡チャンバまたは容積制御に関連する蠕動ポンプを示す様々な実施形態について、以下で詳細に説明する。
【0142】
図13のシステム910は、図12に示すシステム810の血液濾過バージョンを示す。システム910は、あらゆる点でシステム810に類似しているが、システム810の血液透析装置20および30および制限手段40は、血液濾過312に置き換えられる点が異なる。また、バルブ56cおよび56dから延在する入口ライン314は、血液濾過器312からシステム910内の静脈点滴チャンバ52bに延在するライン824に接続される。図12のシステム810では、図示のライン314は、代わりに静脈透析装置20の入口に接続される。両方のシステム810および910のライン328は、関連する血液濾過デバイスを出て、バルブ56eまたは56fに流れる。したがって、バルブ56a〜56hの機能は、システム810からシステム910に変化しない。つまり、バルブ56a〜56bは、両方のシステムにおいて入口透析液または補充バルブとして動作する。バルブ56cおよび56dは、両方のシステムにおいて出口透析液バルブとして動作する。バルブ56eおよび56fは、両方のシステムにおいて限外濾過液入口バルブとして動作する。バルブ56gおよび56hは共に、両方のシステムにおいて限外濾過液出口バルブとして動作する。システム910は、任意にバイパスライン828およびシャントバルブ56iを提供し、これらは、上記のとおり、システム910が前希釈または後希釈血液濾過を行うことを可能にする。
【0143】
減菌溶液を提供するか、または上記の使用済み溶液を再生するための別法による実施形態はどれも、システム810および910に適用することができる。さらに、上記の構成要素の各々、たとえばバルブ56、点滴チャンバ52(点滴チャンバ52a、52bおよび52cを総称する)、加熱器58など、またはシステムに使用される流体に接触するこれらの一部分は、システム810および910内の使い捨てカセットとして提供することができる。特に、流動デバイスおよび使い捨てカセットを収容する機械を以下に示す。これらの機械は、蠕動血液ポンプの大部分はこの機械内に位置し、蠕動ポンプのヘッドは機械の外部に位置することを示す。こうした構成は、複数の蠕動ポンプを使用するシステム810および910に適用される。カセットは、患者または操作者が、使用時に、外部に位置する蠕動ポンプの周囲に巻く複数の管類部分を有することができる。
【0144】
並流
次に、図14のシステム950を参照すると、並流を使用する別法による医用流体治療システムが示されている。図14のシステム950は、図1のシステム10に関連して上記で述べたものと同じ構成要素の多くを備える。図14に示す多くの参照符号は、上記の実施形態に示す参照符合と同じである。図14に類似する参照符号は、当該参照符号に関する上記と同様に動作し、上記と同じ各々の代替物を備える。
【0145】
システム950は、図1のシステム10と同様に動作し、何れのシステムも、二重透析装置20および30、並びに透析装置の部分間に配置された制限手段、たとえば可変制限手段40を備える。図1のシステム10は、評価されるべきだと思うが、逆流システムである。つまり、図1の透析液ライン314は、ポンプ22および24から治療流体を収容し、その結果、治療流体を静脈透析装置20内に供給する。流体は、静脈透析装置20、可変制限手段40および動脈透析装置30を貫流する。同時に、血液は、最初に動脈透析装置30内に流れ、次に血液回路50、静脈透析装置20を流れ、最終的に患者42に流入する。一方、図14のシステム950は、図1のライン314の代わりに透析液ライン952を備える。透析液ライン952は、新鮮および加熱治療流体を静脈透析装置20ではなく動脈透析装置30内に搬送する。したがって、システム950内の透析液は、動脈透析装置30から可変制限手段40を通って、静脈透析装置20に流入し、静脈透析装置20を出て限外濾過液ポンプ26および28に流れる。血液漏れ検出器66は、別法によると、図14に示すようにポンプ26および28の上流に配置されるか、または図1に示すように、これらのポンプの下流に配置される。
【0146】
システム950のライン952を介した透析液の並流は、ある点で有利であり、つまり、前希釈血液濾過の場合と同様、透析液は、血液回路50の血液濾過部分の開始時に、動脈透析装置30内に導入され、その結果、患者の血液の血液濃縮を防止するのに役立つからである。可変制限手段40は、動脈透析装置30内の治療流体を体外回路50内に逆濾過するように作動する。その後、血液および治療流体は、血液ライン50を介して静脈透析装置20に流入し、動脈透析装置30から制限手段40を介して静脈透析装置20に流入する非逆濾過透析液を介して、拡散浄化が行われる。透析装置20および30の役割は、図1のシステム10に関してシステム950内に保存され、静脈透析装置20内の浄化モードは主に拡散であり、動脈透析装置30内の浄化モードは主に対流である。
【0147】
システム950の動作は、その他の点では、図1のシステム10に関連して上記で述べた動作と実質的に類似する。システム950は、供給バッグ14〜18および排水バッグ12で動作可能であり、新鮮透析液を供給するための上記の実施形態はどれも、別法によるとシステム950で動作可能である。さらに、システム950は、図5のシステム210に関連して上記で述べた再生吸着剤システムで動作可能である。さらに、並流は、図8の血液透析濾過システム510に関連して設けることができる。さらに、容積式ダイアフラムポンプ22〜28は、図12のシステム810に関連して上記で述べた示唆に従って、蠕動ポンプ820および830に置き換えることができる。
【0148】
限外濾過液の制御−ボイルの法則
次に、図15および図16を参照すると、膜ポンプを通して揚送される量を決定する方法が示されている。上記のポンプ22および24は、一例として示されている。本明細書で説明するとおり、ポンプ22および24は、少なくとも部分的に、カセット100aなどの剛性カセットによって画定されるポンプチャンバを含む。カセットは、可撓性の膜またはシーティングを含む。ポンプチャンバのもう1つの部分は、一実施形態では、内部にカセットが挿入される腎置換治療機械によって画定される。図15および図16では、ポンプ22は膜252を備える。ポンプ24は膜254を備える。正および負のタンク268および270は、必要に応じて、膜252および254を移動させ、バルブ274、276、278および280を通して正圧および負圧によって流体を揚送する。空気圧システムは、基準貯槽256および258も備える。貯槽256は、ポンプ22の膜252の非流体側に存在する空気と連通する。同様に、基準貯槽258は、ポンプ24の膜254の非流対側に存在する空気と連通する。
【0149】
基準貯槽256および258は、一定の既知の容積を有する。以下に記載する方程式では、貯槽256および258の容量は、V1貯槽およびV2貯槽として設計されている。この実施例では、V1貯槽およびV2貯槽を測定する圧力センサの容積は20ミリリットルである。血液療法の治療ユニットも、基準貯槽256および258を測定する圧力センサを有する。図15では、バルブ260および262が閉鎖し、消音機286に至る通気バルブ264および266が開放している場合、貯槽256または258内の圧力は大気圧、つまり約15psiaに達する。図16では、通気バルブ264および266が閉鎖し、貯槽バルブ260および262が開放する場合、ポンプチャンバ1内の圧力は、貯槽256内の圧力と等しくなる。ポンプチャンバ2内の圧力は、貯槽258内の圧力と等しくなる。
【0150】
また、カセットは、血液療法ユニット内に収容される圧力センサが、ポンプ22および24内の初期および最終流体圧力を測定するように構成される。以下に示す方程式では、ポンプ22内の流体圧力はP1チャンバとして指示されている。ポンプ24内の流体圧力は、P2チャンバとして指示されている。これらの流体圧力は、初期圧力から最終圧力まで変化する。同様に、P1およびP2貯槽として指示されている貯槽256および258内の圧力P1およびP2は、それぞれ初期圧力から最終圧力まで変化する。
【0151】
ポンプ22または24の何れか一方の内部の空気の容積(充満すると仮定されるポンプ22の容積V1を一例として示す)は、以下のとおり方程式1により計算される。
【0152】
V1(空気、充満したチャンバ)=((P1貯槽、初期)−(P1貯槽、最終)/(P1チャンバ、最終)−(P1チャンバ、初期))×V1(貯槽)
方程式1
ポンプ22または24の何れか一方の空のチャンバの空気の容積(この実施例では、ポンプ24またはV2に関して示す)は、以下のとおり方程式2に従って計算される。
【0153】
V2(空気、空のチャンバ)=((P2貯槽、初期)−(P2貯槽、最終)/(P2チャンバ、最終)−(P2チャンバ、初期))×V2(貯槽)
方程式2
方程式1に示すポンプ22および24各々のそれぞれの圧力は、適切に配置された変換器を介して測定される。貯槽256および258内の最終空気圧も測定される。チャンバ内の空気の最終圧力は、最終貯槽圧力に等しいはずであり、二重に検査することができる。測定された圧力は、方程式1および2の分子および分母に適合する。上記のとおり、この場合の貯槽V1およびV2の容積は一定および既知である。
【0154】
次に、各々のポンプに関して、方程式3は、以下のとおり、1行程で揚送される量を計算する。
【0155】
ポンプ1または2で揚送される流量=V1またはV2(空気、空のチャンバ)−V1またはV2(空気、充満したチャンバ)
方程式3
ポンプの1行程で揚送される流量は、そのポンプチャンバが空である場合、空気の量に等しいか、またはチャンバに流体が充満すると予想される場合、そのポンプチャンバ内の空気の量を差し引いた流体の空隙に等しい。ボイルの法則から導かれる方程式1および3は、透析液中に存在する気泡を補償し、たとえば、その場合、膜252および254は、それぞれポンプ22および24のポンプチャンバの一方の側または他方の側に完全には移動しない。
【0156】
上記の方法は、ポンプ22および24の何れかによって移動した流体の量を事後に正確に測定する。容積測定で制御されるポンプを使用することによって、流体の正確な量を患者との間で交換することができ、流体入口ポンプ22および24と比べて迅速かつ多量に揚送するように流体除去ポンプ、たとえばポンプ26および28を設定することにより、正確な量の限外濾過液を患者から除去することができる(図1、図4、図6、図7参照)。各行程の容量は計算することができるので、患者から除去される流体の量を加算して制御することができる。
【0157】
上記の方程式1〜3は、膜252および254を機械的に移動させる機械に使用することができる。この場合、正圧および負圧タンク268および270は不要だが、別個の基準貯槽256および258並びにテスト圧力タンク272は必要である。テスト圧力タンク272は本発明の実施形態に使用することもでき、圧力タンク268および270は、容量制御とは関係なく動作する。
【0158】
方程式1〜3に従って揚送される流体の量を計算すると、ポンプ行程当たりどの程度の量が移動したかに関する情報が得られる。これらの方程式は、実際の流量の実時間情報を提供するのではない。つまり、バルブ開閉すると、図15および図16のシーケンスが生じ、バルブ274、276、278および280が閉鎖すると、ポンプは正圧および負圧源から隔離される。ポンプが流体を揚送している場合、基準貯槽256および258はポンプから隔離される。
【0159】
流体の流れが停止するか、または所望の流速より速い流速で発生する場合、空気圧システムは、望ましくない流速が発生する後まで、この状態を検出することはできない。透析、血液濾過または血液透析濾過法などの血液治療システムの場合、循環する血液から取り出される流体が、血液の流量の約30%を超える場合、血液は濃縮し、透析装置または血液濾過器のファイバを閉塞させる場合がある。透析装置または濾過器が閉塞した場合、治療を終了しなければならず、患者は、体外回路内に捕捉された血液の量を失うことになる。
【0160】
しかし、図15および図16に示す装置は、血液の流れ、並びに透析液の注入および除去の両方について、実時間流速データに関する解決方法を提供する。やはり、実時間流速は、ボイルの法則の原理を用いて計算される。上記のとおり、方程式1お2は、ポンプチャンバ22および24が充満しているかまたは空である場合に、これらのチャンバ内の空気の量を計算する。この方法では、貯槽256および258に至るバルブ260および262は閉鎖され、正圧タンク268および負圧タンク270に至る適切なバルブは開放される。たとえば、バルブ274が開放すると、正圧がポンプ22に供給され、そのポンプから流体を押し出す。同時に、バルブ280が開放すると、ポンプ24に真空が生じ、流体がポンプ内に吸引する。ポンプチャンバ内の空気の容量は、方程式1および2から既知であるため、圧力貯槽268および270内の空気の既知の量(たとえば、500ミリリットル)にその量を追加して、全体の初期量を形成する。圧力は、供給された圧力によって膜252および254が移動した時に測定される。経時的な圧力の変化は、流速を生じるある時点の容量の変化に対応する。
【0161】
以下の方程式では、ポンプ22および個々の圧力チャンバ内の全体の初期容量は合計V1、初期=V1チャンバ、初期およびVpos/negタンクである。ポンプ24および個々の圧力チャンバ内の合計量は、合計V2、初期=V2チャンバ、初期およびVpos/negタンクである。正または負タンクで測定したポンプ22システムの圧力は、最初はPpos/neg、タンク、初期である。正または負タンクで測定したポンプ24システムの圧力は、最初はPpos/neg、タンク、初期である。ある時点Tにおける何れかのシステムの圧力は、Ppos/negタンク、時間Tである。したがって、時間Tにおける何れかのポンプ内の容量は、以下のとおりである。
【0162】
合計V1またはV2、時間T=((Ppos/negタンク、初期)/(Ppos/negタンク、時間T)*合計V1またはV2、初期
方程式4
したがって、時間Tにおいて何れかのポンプによって移動する流体は以下のとおりである。
【0163】
ポンプ1または2によって移動したVfluid=合計V1またはV2、時間T−合計V1またはV2、初期
方程式5
時間T、および時間Tにおいてポンプ22または24によって移動した容量を把握すると、実時間基準で流速を計算して表示し、本発明の腎不全治療システムを制御するために使用することができる。
【0164】
限外濾過液制御−単一平衡チャンバ
ポンプ22、24、26および28などの膜ポンプを使用するシステム10、110、210、310、410、510、610、710および950の各々は、一例として上記に示すように、ボイルの法則によって制御することができる流体の正確な量を計量することができる。しかし、製造およびコストの点で、異なるタイプのポンプを使用して、使用済みおよび流出透析液を移動させることが望ましい。たとえば、上記の血液ポンプ48などの蠕動ポンプは、蠕動ポンプの使い捨て部分は本質的に管類のループであるため、使い捨てカセットまたは管集合内に用意に組み込むことができる。しかし、蠕動ポンプの正確度だけでは、規定量の限外濾過液または流出透析液を患者から除去する必要がある血液濾過、血液透析および血液透析濾過法などのシステムにおいて、透析液を揚送するのに十分ではない場合がある。
【0165】
患者42は、透析または血液濾過治療間で、腎臓の喪失および流体の取り入れ程度に応じて水分を取得する。腎臓障害を罹患している多くの人には、排尿力がない。透析治療間に時間が経過すると、こうした患者は流体を蓄積する。患者の全体的な流体重量ゲインは、患者が治療間に蓄積した流体の量、および治療間の時間量に基づいて、様々な治療ごとに変化する可能性がある。したがって、本発明のシステムおよび方法は、家庭での治療時に、どの程度の量の流体を患者から取り出す必要があっても、制御可能かつ正確な除去方法を有する必要がある。家庭における患者は、自身で比較的頻繁に治療することができるため、除去する必要がある流体の量は、センター内治療の場合に比べて一般に少ない。それにも関わらず、家庭用の透析機械は、治療間に蓄積した流体の量を除去することができなければならない。
【0166】
次に、図17〜図22を参照すると、単一平衡チャンバ340を使用する様々なシステム300a〜300f(本明細書では、システム300と総称する)が示されている。システム300a、300b、300c、300dおよび300eは各々、蠕動透析液ポンプ370で動作する。上記のとおり、蠕動ポンプは、カセットベースのシステムに望ましく、つまり、ポンプのカセット部分は、主に腎不全治療機械が収容する揚送ヘッド周囲に適合するループ状管からなるためである。
【0167】
平衡チャンバ340は、上記の膜ポンプによって得られる容量の正確度レベルを提供する。システム300の大部分は、蠕動ポンプ370を使用して透析液を推進し、平衡チャンバ340は、透析装置、血液濾過ラインなどに送られる正確な量の透析液を計量する。その結果、平衡チャンバ340は、加圧量の限外濾過液を透析装置または血液濾過器から計量する。図22のシステム300fは、平衡チャンバ340を新鮮透析液膜ポンプ22または24の一方、および上記の流出透析液膜ポンプ26または28の一方に結合する別法による一実施形態を示す。
【0168】
システム300a〜300dの主な相違の1つは、平衡チャンバ340および蠕動透析液ポンプ370が使用される治療のモダリティまたはタイプである。図17のシステム300aは、1つの透析装置20または30を使用する。システム300aでは、行われる治療のモダリティは、透析装置が、上記のように内部の制限手段を備えていない限り、主に拡散血液透析療法である。しかし、この透析装置は、高流量膜を必要とする。比較的長く狭い透析装置は、逆濾過の割合を増加させる。使用に適する内部流量制限手段、たとえば本願と同一の所有権者による米国特許第5,730,712号「Extracorporeal Blood Treatment Apparatus and Method」に記載されている透析装置も、引用することにより本明細書に援用する。ここで指示されている透析装置は、固定オリフィスを有するように制限されている。図18のシステム300bのモダリティまたは治療法は、進歩した対流血液透析(「ECHD」)治療であり、可変制限手段40によって分離される動脈および静脈高流量透析装置20および30によって個々に提供される。図19のシステム300cによって提供されるモダリティまたは治療法は、対流療法、血液濾過であり、この場合、補充液は静脈ライン44bに直接揚送され、限外濾過液は血液濾過器312を介して除去される。
【0169】
図20のシステム300dは、血液透析濾過法のモダリティと関連して動作する平衡チャンバ340を示す。上記のとおり、血液透析濾過法は、血液透析の拡散浄化と血液濾過の対流浄化とを結合する。図20に示すように、透析装置20または30が設けられる。また、追加の蠕動ポンプ380と結合する別個のライン320は、透析液または補充液を静脈ライン44bに直接供給する。図17〜20は、1つの平衡チャンバ340による限外濾過の容積制御は、多くの異なるタイプのモダリティ、たとえば血液透析、ECHD、血液濾過および血液透析濾過法に行うことができる。この説明の他の部分は、場合によっては、透析またはECHDに固有である。しかし、これらの示唆は、図17〜図20に示すシステム300の各々に適用することができる。
【0170】
システム300の何れかを見ると、流出または使用済み透析液は、透析装置20、30または血液濾過器312から流出ライン328およびバルブV5を通って、蠕動透析液ポンプ370に流れる。好ましい一実施形態のポンプ370は蠕動ポンプであるが、ポンプ370は、別法によると、望ましい何らかの種類、たとえばピストン駆動ダイアフラムポンプ、空気圧ポンプまたはギヤポンプで良い。ポンプ370からの流体の排出量は、バルブV4を介して、平衡チャンバ340の使用済み側342に流れる。膜ポンプ内の可撓性膜と同様、平衡チャンバ340は、可撓性膜346を介して、使用済みコンパートメント342および新鮮コンパートメント344に分離している。本明細書に記載するとおり、バルブV4などのバルブ56は、任意の適切なタイプのバルブ、たとえば標準のソレノイドバルブ、またはHomeChoice(登録商標)システムに使用されるバルブと同じかまたは類似し、特にカセット内に形成されるボルケーノタイプのバルブで良い。
【0171】
平衡チャンバ340は、受動計量デバイスである。同じかまたは実質的に同じ量の流体は、平衡チャンバ340内に収容されたように、平衡チャンバ340から押し出される。流出透析液を使用済みコンパートメント342内に揚送すると、ひいては膜346を押し、等量の新鮮透析液が新鮮コンパートメント344に押し出され、ライン314内のバルV1を通って、使用するモダリティに応じて透析装置20、30または静脈ライン44b内に移動する。図17〜20は、個々のシステム300に結合される流動構成要素の各々を説明することを意図するわけではない。たとえば、平衡チャンバ340が補充液をバルブV1および入口ライン314に押し入れる場合、適切な逆止バルブがライン314内に配置され、このバルブは、血液が平衡チャンバ340内に戻るのを防止する。十分な流出透析液が、バルブV4を介して使用済みチャンバ342に入ると、膜346は、新鮮コンパートメント344のチャンバ壁、遮断されたバルブV1、V4およびV5の方向に全体的に、または実質的に全体的に横断する。
【0172】
図17〜図20は、透析液ポンプ370の入口と出口との間に配置される。一実施形態では、圧力除去装置332は、特定の圧力で亀裂が生じるかまたは解除される。別法によると、圧力除去装置332は、予め設定された値で圧力を緩和するバルブシートを備える。たとえば、ばねの張力は、圧力除去装置332に亀裂を生じさせるか、つまり圧力除去装置332を開放する必要がある圧力除去ライン内の力または圧力の量を制御することができる。システム300が使い捨てカセットと共に使用される場合、バルブまたはシートの開放は、解放された透析液が収集されて、腎不全治療機械内のどの構成要素にも接触しないように構成される。
【0173】
別法による一実施形態では、透析液ポンプ370は、加熱器58の上流に配置される。この場合、圧力除去装置332は、透析液ポンプ370の入口から、バルブV3の上流の新鮮透析液入口ライン334に延在することができる。さらにもう1つの実施形態では、圧力除去装置332は、減菌透析液バッグまたは補充バッグ14〜18を含む。この構成は、インライン加熱器58が、アイドル時に、たとえば限外濾過行程時に、流体を加熱させるのを防止する点で望ましい。
【0174】
流出流体が透析装置または血液濾過器から除去され、新鮮な流体が患者または透析装置に送られるサイクルについて説明した。次のサイクルは、流体を排水管に送る。この場合、供給源14、16または18の1つからの加熱新鮮透析液は、バルブV6、透析液ポンプ370、バルブV3を通って、平衡チャンバ340の透析液コンパートメント344内に流入する。バルブV1、V4およびV5が閉鎖する。新鮮透析液がコンパートメント344内に収容されると、可撓性膜346を押して、等量の使用済みまたは流出透析液が、バルブV2および排水管ライン338を介して排水される。この排水サイクルが生じる治療における時点に応じて、使用済み流出液は、排水バッグ12または使用済み供給バッグ14または16の一方に送ることができる。チャンバ342内のすべての使用済み透析液が、バルブV2および排水管ライン338を介して空になった後、すべてのバルブV1〜V6が遮断される。使用済み流体を充填し、患者に揚送するサイクルは、上記のサイクルを介して繰り返される。
【0175】
上記の2つのサイクルでは、等量の流体が確実に患者に送られ、患者から取り出される。流体が患者から取り出されるが、患者に送られないUFシーケンスについて、以下で説明する。移動する限外濾過液の総量は、図示のシステム300内で容易に計算される。UFサイクルの累積量は、患者から除去される流体の総量を決定するために追加される。
【0176】
一実施形態では、ポンプ370は、透析液が患者から揚送される時より、新鮮透析液が透析装置または患者に揚送される時に比較的低速度で動作する。速度の差は、新鮮透析液が透析装置に流れる時間を増加させる。血液透析の場合、速度の差は、透析液が透析装置内の中空ファイバに沿って流れる時間を増加させることにより、拡散時間を増加させる。時間の増加は、患者のより段階的な限外濾過を生成することにより、HF、HDFおよびECHDの利益にもなる。段階的な限外濾過は、血液濃縮の危険性を減少させる。
【0177】
限外濾過液を除去するため、システム300は、すべてのバルブが閉位置にある状態から開始して、バルブV2、V3およびV5を開放する。ポンプ370によって、流出透析液は新鮮透析液に使用済み透析液を充填させる。この動作は、膜346を移動させ、使用済みチャンバ342内の以前に患者から除去された等量の使用済み流体を、バルブV2およびライン338を介して排水バッグの1つに押し入れる。この量の流体を排水管に押し出すために使用される流体源は使用済み透析液であるため、新鮮コンパートメント344内に揚送される使用済み透析液の量も、限外濾過液として患者から除去される。つまり、このサイクル時に、患者からの流体の少量の正味損失がある。一実施形態では、上記の限外濾過液サイクルは、上記の患者に至る揚送および排水サイクルに至る揚送の際に、治療間に患者内に収集された限外濾過液全体の正味量を除去するように、頻繁に生じるように時間が決められる。正味量は、治療の開始時に機械に流入する。
【0178】
単一平衡チャンバ340および単一透析液ポンプ370の方法に関する1つの潜在的な欠点は、使用済み透析液が透析装置または血液濾過器から抜き取られ、ライン328およびライン336を通り、ポンプ370を介して使用済みチャンバまたはコンパートメント342内に流入する時に、少量の新鮮透析液も使用済みコンパートメント342内に押し入れられる。この少量の新鮮透析液は、バルブV6から通じ、蠕動ポンプ370の周囲で屈曲し、さらにライン328に沿ってバルブV3およびV4方向に延在する管類の内部に残る量である。単一ポンプおよび単一平衡チャンバシステムは、単純で、比較的安価なカセットを有するという見地から望ましいが、特に、バッグに入って殺菌された透析液を使用する場合、新鮮透析液が失われるという点で望ましくない。しかし、透析液がオンラインで調製される場合、この欠点はそれほど問題ではないと考えるべきである。
【0179】
次に、図21を参照すると、システム300は、追加の透析液ポンプ390を備え、このポンプは、使用済みまたは流出流体を透析装置または血液濾過器から除去するために設けられる。その結果、透析液ポンプ370は、新鮮透析液を揚送するために設けられる。一実施形態における透析液ポンプ390は蠕動ポンプだが、ポンプ390は、透析液ポンプ370に関して上記で述べたどのタイプでも良い。さらに、システム300eの別法によるポンプ構成は、分かりやすくするために、単一透析装置20または30と組んで示されているが、システム300eのポンプ構成は、図17〜図20に示すどのモダリティにも適合する。
【0180】
システム300eの別法によるポンプ構成では、ポンプ390は、使用済み流体をライン328、バルブV4を通して、単一平衡チャンバ340の使用済みコンパートメント342内に揚送する。この動作によって、膜346は、等量の新鮮透析液を移動させて、新鮮チャンバ344からバルブV1、ライン314を通して、透析装置または患者に押し入れる。患者への揚送の終わりに、すべてのバルブが遮断する。その後、バルブV2およびV3が開放し、新鮮透析液ポンプ370が新鮮な過熱透析液を供給源の1つから抜き取り、ライン330、バルブV3を通して新鮮コンパートメント344内に供給することを可能にする。この動作によって、膜346は移動し、使用済み透析液を使用済みコンパートメント342から、バルブV2およびライン338を通して排水バッグの1つに押し出す。
【0181】
圧力除去装置332を配置するための別法による構成の各々は、二重透析液ポンプシステム300eに同様に適用することができる。さらに別の実施形態では(図23参照)、圧力除去装置332は、代わりに透析液ポンプ370の出口から加熱器58の入口側に位置する。この場合、圧力除去装置332は、供給バッグ14〜18と加熱器58との間のライン330、並びにポンプ370の下流のライン330に接続する。
【0182】
二重透析液ポンプシステム300eを介して限外濾過液を患者から除去するため、使用済みコンパートメント342に流出透析液を充満させて、バルブV2、V3および5を開放する。使用済み流体ポンプ390は、流出流体をライン328、バルブV5、ライン348およびバルブV3を通してコンパートメント344内に流入させる。こうした動作によって、膜346は移動し、流出流体をコンパートメント342から、バルブV2、ライン338を通して排水バッグの1つに押し出す。平衡チャンバの適合流体源が使用されるため、適合流体の量は、限外濾過液として患者から除去される。
【0183】
限外濾過液行程の後、次の動作は、使用済み流体を透析装置または血液濾過器からバルブV4をして使用済みチャンバ342内に再度揚送することである点を評価するべきである。この動作によって、膜346は移動し、その結果、新鮮コンパートメント344からの使用済み流体に相当する1つの平衡チャンバの量は(以前に、限外濾過液量を押し出すために使用された)、ライン314を通して透析装置または患者の何れかに揚送される。使用済み透析液は、特に、β2Mなどの比較的大きい分子に関して、患者に有利な浄化を提供する。この動作は、一定量の透析液の寿命を延長し、これは、殺菌されてバッグに入れられた流体を使用する家庭用の治療の場合に特に有益である。
【0184】
次に、図22を参照すると、別法による複合システム300fが示されている。システム300fは、透析液充填ポンプ22、24および限外濾過液除去ポンプ26、28と結合した単一平衡チャンバ340を提供する。一実施形態では、充填および情報ポンプは、上記のとおり膜ポンプである。容量ポンプは、追加のバルブV5、および図21の限外濾過液ライン348の必要性をなくす。その他の点では、2つのシステムは非常に類似しており、ポンプ26、28で動作する専用の透析液除去ライン328、および専用ポンプ22、24で動作する専用の透析液充填ライン330を備える。
【0185】
他のシステムと同様、システム300fは、本明細書に記載の何れかのモダリティで動作可能であり、便宜上、単一透析装置20、30と結合した状態で示されている。システム300fの利点は、平衡チャンバにおける新鮮な透析液および消費された透析液の混合がないことである。別個の透析液ポンプ390を有する図21でも、少量の新鮮な溶液は、限外濾過液サイクル時に使用済み透析液と混合されることを理解するべきであり、限外濾過液サイクルでは、ポンプ390が、流体をライン328、バルブV5、ライン348およびライン330の小部分、およびバルブV3を通して鮮コンパートメント344内に押し入れる。図22では、限外濾過は、バルブV6を放し、予め決められた量の使用済み透析液をポンプ26、28から抜き取ることによって行われる。バルブV3および4は開放し、他のすべてのバルブが閉鎖する。この場合、ポンプ26、28は、使用済み透析液をライン328およびバルブV4を通して、単一平衡チャンバ340の用済みコンパートメント342内に押し入れる。この動作によって、膜346は移動し、新鮮透析液は、新鮮コンパートメント344からバルブV3およびライン330を通して押し戻される。その後、すべてのバルブは、瞬間的に閉鎖する。次に、バルブV2および3が開放し、ポンプ22、24は新鮮透析液を新鮮コンパートメント344内に押し入れ、使用済み透析液をコンパートメント342から、排水管ライン338を通して排水バッグの1つに移動させることができる。
【0186】
血液透析などの腎置換療法の場合、様々な理由から、新鮮な溶液の適用量を患者に提供する必要がある。たとえば、患者は、血液量減少状態になった場合(循環する血液の量が異常に減少する)、適用量または多量の流体を必要とする場合がある。溶液の適用量をシステム300fに提供するため、新鮮透析液ポンプ22、24は、予め決められた量の流体を放出し、その際、バルブV3よびV4は開放し、他のすべてのバルブは閉鎖する。新鮮透析液はライン330、バルブV3を通り、平衡チャンバ340の新鮮コンパートメント344内に移動する。この動作によって、または膜346は移動し、流体は、ライン328およびバルブ324を通り、流出透析液ポンプ26、28内に押し戻される。その後、すべてのバルブが閉鎖する。次に、バルブV1およびV4が開放し流出透析液ポンプ26、28が、使用済み透析液を平衡チャンバ340の使用済みチャンバ342に押し入れる。この動作によって、膜346は移動し、新鮮な溶液を新鮮チャンバ344から透析装置内に押し入れる。このサイクルでは限外濾過は除去されないため、透析装置に送られる流体の量は、患者に対する流体の正味ゲインまたは適用量を表す。この過程は、必要な場合、流体の正味ゲイン全体を患者に与えるのに必要な回数だけ繰り返すことができる。
【0187】
前の図21は、流体の適用量を患者に提供するための一実施形態も示す。この場合、追加のライン372およびバルブV6が提供される適用量を提供するため、バルブV3およびV6が開放し、バルブV1、V2、V4およびV5は閉鎖する。新鮮透析液ポンプ370によって、新鮮透析液はバルブV3をって、平衡チャンバ340の新鮮チャンバ344内に充填される。等価な量の使用済み流体は、この動作および膜346によって、平衡チャンバ340から押し出され、ライン352およびバルブV6を通って、ライン314よび透析装置20、30内に流入する。やはり、このサイクルでは限外濾過は除去されないため、透析装置20、30に送られる流体は、流体の正味ゲインまたは適用量を表す。使用済みまたは流出透析液は、さらに減菌され、流体の適用量を患者に提供する目的に適することを理解するべきである。
【0188】
別法による一実施形態では、図21のシステム300eは、バルブV1、V4およびV5を開放することによって、溶液の適用量を提供することができる。バルブV3は閉鎖する。新鮮透析液ポンプ370は、新鮮透析液を使用済みコンパートメント342に揚送する。次に、すべてのバルブが瞬間的に閉鎖する。その後、バルブV3およびV6が開放し、新鮮透析液ポンプ370が透析液を新鮮コンパートメント344内に揚送し、使用済みコンパートメント342内の新鮮な流体は、適用量ライン352、バルブV6およびライン314を通って、透析装置内に流入する。システム300eも、平衡モードに復帰する。
【0189】
多くの別法による実施形態は、システム300a〜300fに使用することができる。本明細書に記載されている何れかの透析装置、たとえば、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,730,712号に開示されている濾過器を使用することができる。さらに、図32に関連して以下に述べる単一透析装置を使用しても良い。一実施形態の動脈ライン44aは、自動血液リンスバックのための空気センサおよびクランプ54を備える。さらに、上記の流体調製および再循環実施形態は、単一平衡チャンバシステム300で実施される。さらに、システム10、110、210などに関する上記の別法による実施形態は何れも、システム300に適用することができる。
【0190】
システム300a〜300fは、接近切断センサ(「ADS」)に使用される電極または接点354および356も備える。ADS接点354および356は、それぞれ、動脈ライン44aおよび静脈ライン44bに組み込まれる。動脈または静脈ラインの一方が患者から取り外されると、電気インピーダンスが変化する。ループの切断が感知されると、血液ポンプ48が停止し、対応するクランプが閉鎖する。偶発的な針の分離を検出するための別法による機構は、患者の接触手段の下側に導電性ブランケットを使用する。血液が溢流すると、ブランケットの導電性が変化して警報が作動し、血液および透析液の揚送を停止する。
【0191】
限外濾過液制御−単一平衡管
図17〜図22に示すシステム300に関する上記の原理は、本発明が意図する様々なタイプの平衡装置に適用される。システム300の各々は、単一平衡チャンバ340を使用する。図23を参照すると、別法によるシステム400は、別法による平衡デバイス360を使用している。平衡管360の一実施形態について、図45に関連して以下に詳細に示して説明する。一般に、平衡管360は、円筒状、さもなければ管状部材を備える。こうした部材の内部には、ピストン、ボールまたはその他の隔離板366が存在し、管または円筒内にぴったり適合する。平衡管360は、新鮮部分362および使用済み部分364を有する管または円筒を備える。隔離板366は、管内にぴったり適合し、管の新鮮側362と使用済み側364との間で前後に移動する。
【0192】
図23のシステム400は、図21のシステム300eと類似の方法で構成される。同じ参照符号で示す各々の構成要素は、同じ機能を果たし、システム300eの上記と同じ代替物の各々を備える。システム400とシステム300eとの主な相違は、平衡チャンバ340と対照的に平衡管360を使用していることである。
【0193】
システム400の透析装置または患者サイクルのポンプに関して、バルブV1およびV4が開放し、バルブV2、V3、V5およびV6が閉鎖する。使用済み透析液ポンプ390は、ライン328およびバルブV4を通して、平衡管360の使用済み側364内に流出透析液を揚送する。この動作によって、隔離板366は、平衡管360の新鮮側362に移動し、同様の量の流体をライン314およびバルブV1をして、透析装置20、30内に、または直接患者に押し入れる(以前のとおり、図23のシステム400は、本明細書に記載するどのモダリティにも適用することができる)。
【0194】
排水サイクルに至るポンプの場合、バルブV2よびV3が開放し、バルブV1、V4、V5およびV6が閉鎖する。新鮮透析液ポンプ370は、新鮮な流体をライン330およびバルブV3から平衡管360の新鮮側に揚送する。この動作によって、隔離板366は、平衡管360の使用済み側364方向に移動させる。同様の量の流体は、使用済み側364から押し出され、排水管ライン338およびバルブV2を通って排水管バッグの1つに入る。
【0195】
システム400の限外濾過サイクルでは、バルブV2、V3およびV5が開放し、バルブV1、V4およびV6が閉鎖する。このサイクルの前、流出透析液は平衡管360内に存在し、隔離板366は、平衡管360の新鮮側362まで全体的に押される。次に、使用済み透析液ポンプ390は、流出透析液を透析装置または血液濾過器から抜き取り、ライン328、限外濾過液ライン348およびバルブV5、充填ライン330およびバルブV3を通して、平衡管360の新鮮側362に送る。この動作によって、隔離板366は使用済み側364方向に移動し、等量の流体をバルブV2よび排水管ライン338を通して、排水バッグの1つに押し入れる。排水管に送られる流体は、透析装置または限外濾過器からの流出透析液と一致するため、排水管に送られる流体は、患者から除去または限外濾過される流体を構成する。
【0196】
患者に対する流体の適用量の場合、バルブV3およびV6が開放し、バルブV1、V2、V4およびV5が閉鎖する。本質的に、透析装置または血液濾過器から流体を取り出すことはできない。代わりに、新鮮透析液ポンプ370は、新鮮透析液をライン330、バルブV3から、平衡管360の鮮透析液側362に揚送する。この動作によって、隔離板366は平衡管360の364側に移動する。同様の量の流体は、平衡管360から押し出され、適用量ライン352およびバルブV6、充填ライン314を通って透析装置20、30内に入るか、または直接静脈ライン44b内に入る。透析装置または患者に供給される流体は、透析装置または血液濾過器から除去される流体の量と一致しないため、透析装置または患者に供給される流体は、患者に対する流体ゲインまたは適用量を構成する。このような手順は、患者が必要量の流体を収容するまで、必要に応じて繰り返される。図21に関連して上記で述べた別法による適用量実施形態はどれも、システム400および平衡管360と共に使用することもできる。システム400に適用することも可能な平衡管360のその他の特徴、たとえば最終行程センサについて、図28に関連して以下で説明する。
【0197】
限外濾過液の制御−単一の蛇行経路
次に、図24を参照すると、システム450によって、さらに他の流量平衡デバイスが示されている。システム450は、単一の蛇行経路470を使用している。システム450は、上記と同じ構成要素の多く、たとえば排水バッグ12、供給バッグ14〜18、新鮮透析液ポンプ370、加熱器58、使用済み透析液ポンプ390および血液ポンプ48を備える。システム450は、可変制限手段40によって分離されたECHD二重透析装置20および30と共に使用するように示されている。システム450は、本明細書に記載するどのモダリティでも作動できることを評価するべきである。類似の参照符号を有するその他の構成要素も示されている。
【0198】
システム450と以前の単一平衡デバイスシステムとの主な相違は、膜または移動ボールもしくはピストンなどの隔離板によって分割された限られた容積とは対照的に、蛇行経路470を使用していることである。システム450の利点は、蛇行経路470をカセット内に配置することが、上記の容量膜ポンプまたは平衡チャンバおよび管の何れかと比較して、比較的単純であることであり、上記の方法の各々は、可撓性のシーティングまたは膜を超音波溶接するか、化学的に付着させるか、さもなければ剛性プラスチックカセットに溶融させる必要がある。
【0199】
図24に示す蛇行経路470は、限外濾過液ライン328および透析液投入ライン330を備える。流体ライン328、330は、流体をできるだけバルク搬送するのに適し、圧力低下を最低限にするようなサイズで構成する。つまり、一実施形態における蛇行経路470は、カセット内のU形、V形または矩形のチャネルであり、比較的長細いか、または小径であるか、または横断面を有する。蛇行経路470の目標は、新鮮透析液などの流体を1回でバルク注入して、流路内に既存のバルク流体を所望の場所、たとえば排水管に至る使用済み透析液に移動できるようにすることである。
【0200】
システム450の蛇行経路470の欠点は、新鮮透析液および使用済み透析液が、バルク流体として移動する場合と対照的に、蛇行経路内で混合することである。経路の構成は、このような混合が最低限になり、できるだけ新鮮透析液と使用済み透析液との間の界面でのみ生じ、何れの流体についても中程度のバルクが比較的混合されず、一貫した状態で残るように改良を加える。このため、両方の流体の流れを層状または乱流状態に維持し、必要に応じて混合を最低限にするように対策をとる。特に本明細書に記載するオンラインシステムの場合、蛇行経路470は、カセットまたは容積制御システムのコストおよび複雑さが減少するように、実行可能な解決方法を提供する。
【0201】
システム450内で透析装置または患者サイクルに充填するために、新鮮透析液は、透析液ポンプ370を介してライン330およびバルブV2を通り、閉鎖バルブV7およびV9に揚送される。次に、バルブV5およびV9が開放し、バルブV2およびV7は閉鎖する。使用済み透析液ポンプ390は、流出透析液を動脈透析装置30から抜き取り、ライン328、バルブV5、蛇行経路のライン328、330を通して、バルブV9に送る。流体のこうしたバルク搬送によって、蛇行経路のライン328、330内に存在する新鮮透析液は押し出され、バルブV9、充填ライン314を通って静脈透析装置20または静脈ライン44b内に入る。
【0202】
充填サイクルが生じた後、蛇行経路のライン328、330には、流出または使用済み透析液が充填される。次に、排水サイクルが行われる。この場合、バルブV5およびV9は閉鎖し、バルブV2およびV7は開放する。新鮮透析液ポンプ370は、新鮮な加熱透析液をバルブV2、ライン330、蛇行経路のライン328、330を通して、バルブV9またはV7の置まで揚送する。その結果、流体のバルク搬送によって、使用済み透析液は排水管ライン338およびバルブV7を通り、排水バッグの1つの内部に押し込まれる。
【0203】
限外濾過液サイクルは、以下のとおりに行われる。蛇行経路のライン328、330に限外濾過液が充填されると、バルブV5およびV7が開放し、バルブV2およびV9が閉鎖する。使用済み透析液ポンプ390は、流体を動脈透析装置30から抜き取り、ライン328、バルブV5をして、蛇行経路のライン328、330に充填する。次に、この量の流体は、バルブV7、ライン338を通って排水管に移動する。排水管に移動した流体の量は、流出または使用済み透析液と少なくとも実質的に一致するため、患者は流体の正味損失または限外濾過を生じる。
【0204】
流体の適用量を患者に提供するため、蛇行経路のライン328、330に新鮮または流出流体を充填させると、バルブV5およびV7が閉鎖し、バルブV2およびV9が開放する。新鮮透析液ポンプ370は、新鮮透析液をライン330を通して揚送し、蛇行経路のライン328、330を充填する。同量または実質的に同量の流体がバルブV9、充填ライン314をって静脈透析装置20内に流入する。患者または透析装置は、ある量の流体を収容しているため、対応する量の流体を動脈透析装置30から抜き取らなくとも、患者42は流体の正味ゲインまたは適用量を得る。
【0205】
限外濾過液制御−二重平衡チャンバ
上記の単一平衡デバイスの実施形態に潜在的な1つの問題は、拍動流である。単一平衡デバイスシステムは、透析装置からの流体の流速と比べて、透析装置に至る新鮮な流体の流速を低下させることにより、流れの拍動性をある程度補償することができる。その他の解決方法は、図25のシステム500および以下に示すその他の二重平衡デバイスによって得られる。これらのシステムは、流れが、透析装置または血液濾過器から除去される時に、透析装置または患者に供給されるように、平行または交互のサイクルで動作する2つの平衡チャンバ、2つの平衡管または2つの蛇行経路を提供する。システム500は、類似する参照符号で示されり上記と同じ構成要素の多くを備えているため、改めて説明する必要はない。さらに、システム500は、ECHD二重高流量透析装置20および30並びに可変制限手段40で動作するように示されている。しかし、上記の説明から、システム500が本明細書に記載するモダリティの何れでも動作できることは、きわめて明らかである。
【0206】
システム500は、第1および第2平衡チャンバ340aおよび340bを備え、これらは、一実施形態では、図17〜図22に関連して上記で述べた平衡チャンバ340とそれぞれ同じである。平衡チャンバ340aおよび340bは、本明細書では流量平衡装置と総称する。
【0207】
図示の実施形態では、透析液ポンプ370および390は蠕動ポンプである。これらのポンプは、別法によると膜ポンプ、または本明細書に記載するその他のタイプのポンプである。新鮮透析液ポンプ370は、加熱器58の上流に示されており、単一平衡デバイス構成とは異なる。何れの構成も、単一および二重平衡デバイスシステムとして可能である。さらに、システム500に使用される各々のバルブはカセット内に構成されるか、または本明細書に記載するどのタイプのバルブでも良い。
【0208】
第1交換サイクルでは、平衡チャンバ340aおよび340bの一方は、新鮮な溶液を充填され、同時に、等量の使用済み透析液を排水管に供給する。同じ第1サイクルで、他方の平衡チャンバ340aおよび340bは流出透析液を充填され、同時に、モダリティに応じて同等の量の新鮮透析液を透析装置20または患者に押し進める。次に、第2サイクルでは、平衡チャンバ340aおよび340bは交互に機能し、以前に新鮮透析液を患者に供給した平衡チャンバは、今度は使用済み透析液を排水管に供給し、以前に使用済み透析液を排水管に供給した平衡チャンバは、今度は新鮮透析液を透析装置または患者に供給する。
【0209】
図17〜図22に関連する平衡チャンバ340の動作に関する上記の説明に基づき、システム500の平衡チャンバ340aおよび340bの各々に関して、バルブの説明を繰り返す必要はない。しかし、識別する重要な面は、各々の交換サイクルの終わりに短時間の一時停止時間があり、すべてのバルブが閉鎖されて、2つの平衡チャンバ304aおよび340bが次のサイクルで確実に同期するようにする点である。
【0210】
流量平衡装置または平衡チャンバ304aおよび340bは、システム500内に別個のUF除去デバイスがないという点で、流量平衡装置を使用するその他のシステムとは別様に使用される。つまり、流量平衡装置または二重平衡チャンバを使用するその他のシステムの場合、平衡チャンバは、ある量の流体を透析装置から除去し、同時に、透析装置に同等の量の流体を充填するために設けられる。一方、システム500は、このために、また正味量の流体または限外濾過液を患者42から除去するために平衡チャンバ304aおよび340bを使用する。流体の正味損失または限外濾過を患者から除去するためのバルブ動作は、バルブV1、V2、V6、V7およびV9を開放し、バルブV3、V4、V5、V8およびV10を閉鎖することを含む。このバルブ構成は、新鮮透析液を平衡チャンバ340bから平衡チャンバ340aに押し進めることにより、流出透析液を排水管に押し進める。
【0211】
二重平衡チャンバ340aおよび340bを有するシステム500を備える本明細書のシステムは、限外濾過液の除去速度を時間の経過と共に変えることを可能にし、これは、場合によっては、限外濾過液プロファイルと呼ばれる。たとえば、限外濾過液サイクルは、一般に、5回の交換サイクルの各々の後に行われる場合、サイクルの頻度を増減することによって、限外濾過液が患者から除去される速度を変更することができる。その結果、たとえば、治療の第2部よりも第1部においてより多くの流体が除去されることになる。本発明では、腎不全治療機械のプロセッサは、患者がプロファイル、治療時間および除去する全体量を選択することを可能にするアルゴリズムを実行するように構成される。このアルゴリズムは、プロファイルに従って、入力された治療時間で、入力された正味累積限外濾過液量を達成する限外濾過液頻度プロファイルを自動的に計算する。これらのパラメーターは、患者データカードまたは確実なデータ接続を介して入力される。
【0212】
システム500は、必要に応じて、溶液の適用量を患者に提供することもできる。バルブV2、V3、V7、V8およびV10は開放し、バルブV1、V4、V5、V6およびV9は閉鎖する。ポンプ370が動作すると、1つの平衡チャンバは、透析液および/または補充液の適用量を透析装置または患者に供給する。
【0213】
本明細書に記載する実施形態の何れの場合も、システムのバルブが正確に開閉するかどうかを検査することは重要である。一実施形態では、バルブは、導電性感知を使用して、治療全体で終期的に検査される。つまり、流体が、欠陥バルブまたはカセット膜の亀裂を介してシステムから漏れる場合、液体を横断する電気の流れを測定する導電性センサは警報を送信し、適切な動作をトリガすることができる。さらに、カセットの場合、温度感知は、たとえばサーミスタ、IRセンサまたは熱電対をカセットのシーティングの一方の側に適用することにより用いられる。この場合、温度センサは、血液治療機器に取り付けられ、たとえば、透析液の温度を迅速に読み取るように、シーティング膜に接触する。
【0214】
プライミングおよびリンスバック
図26を参照すると、本発明の体外回路は、患者接近ライン44aおよび静脈接近ライン44bを患者に接続する前に、減菌溶液でプライミングする必要がある。そのため、動脈および静脈ラインの終わりは、一緒に接続部358に接続される。一実施形態では、新鮮透析液ポンプ370および流体圧力ポンプ390が動作して、透析液または補充液が透析液回路を充填するまで、平衡チャンバ340aおよび340bを通して(または、本明細書に記載する単一または二重平衡デバイスの何れかを介して)流体を揚送する。次に、血液治療機械は、適用量モードになる。一実施形態では、血液ポンプ48は、静脈点滴チャンバ52に流体が充填されるまで、逆に動作する。ラインおよび点滴チャンバ内の過剰な空気は、点滴チャンバ52を備えるか、点滴チャンバ52を含むか、または点滴チャンバ52と連通する変換器保護装置または通気口64を通して換気される。一実施形態における変換器保護装置または通気口64は、0.2μmの疎水性膜である。
【0215】
本発明のこの第1プライミング法の次のステップでは、血液ポンプ48は、点滴チャンバの容量の半分が移動するまで、その動作方向に動作する。次に、血液ポンプ48、点滴チャンバ52に再び充填されて換気されるまで、再び逆方向に動作する。次に、ポンプは、通常の動作方向における流体に相当する点滴チャンバの容量の半分を移動させるのに十分なだけ、再び通常の動作方向に動作する。各々のサイクルでは、透析液または補充液は、透析装置20、30(または、モダリティが異なる場合は、別の濾過器)を介して逆濾過され、各々のサイクル期間全体における体外回路内の流体の総量を増加させる。第1プライミング方法は、上記のとおり、体外回路に完全に透析液または補充液が充填されるまで、上記のように前後にサイクルする。このプライミング方法は、本明細書に記載するどのモダリティ、本明細書に記載するどのポンプ構成、本明細書に記載するどの容積制御にも適用されることは評価されるべきである。
【0216】
第2のプライミング方法では、別個の生理食塩水またはプライミングリンスバック368が、生理食塩水ライン372を介して体外回路に接続される。図示の実施形態では、生理食塩水ライン372は、血液ポンプ48の上流および下流の2箇所で体外回路にT状に接続する。バルブV11およびV12は、生理食塩水が、血液ポンプ48の上流および下流のT状接続部の一方または両方に選択的に流れることができるように、生理食塩水ライン372内に配置される。動脈接近ライン44aは、再び接続部358を介して静脈接近ライン44bに接続される。
【0217】
本発明の第2のプライミング方法の動作では、ポンプ48の下流に位置するバルブV11が開放して血液ポンプ48が逆に動作し、生理食塩水はバッグ368から生理食塩水ライン372、バルブV11、接近ライン44a、接続部358、接近ライン44bを通り、点滴チャンバ52内に揚送される。血液ポンプ48は、点滴チャンバ52が充填され、空気が通気口64を介してパージされるまで、生理食塩水を揚送する。次に、バルブV11および空気検出器クランプ53が閉鎖し、バルブV12が開放し、血液ポンプ48は、生理食塩水をバッグ368から抜き取り、ポンプ48の下流でその量の流体を通常動作方向に押し進め、空気を通気口64を通して換気する。このサイクルは、体外回路が完全にプライミングされるまで続く。この第2プライミング方法は、本明細書に記載するどのモダリティ、揚送体系および容積制御方法にも同様に適用することができる。
【0218】
第1および第2プライミング方法の何れかの修正は、血液リンスバックを患者42に提供するように行うこともできる。これは、体外ライン内の血液がある場合、血液を患者に返すために、治療の終わりに行われる。血液リンスバックの主な相違は、接近ライン44aおよび44bが、接続部358を介して互いに接続されるのではなく、患者42に接続されることである。たとえば、生理食塩水368またはその他の適切な源を使用すると、バルブV11が開放し、ポンプ48は逆に動作して、血液を動脈ライン44aの予備ポンプ部分にリンスバックする。動脈ライン44aのこの部分の空気検出器54は、血液または生理食塩水中の空気を検出し、このような空気が検出された場合、回路をクランプする。ポンプ48は、血液が、動脈ライン44aの予備ポンプ部分を通って、患者に完全にリンスバックされるように、適切な量の時間だけ動作する。
【0219】
次に、バルブV11が閉鎖して、バルブV12が開放しポンプ48は、生理食塩水を供給源368から抜き取って、通常方向に動作することができる。ポンプ48は、生理食塩水またはその他の適切な流体を源368から、動脈ライン44aの残りの部分、透析装置20、30(モダリティに応じる)、点滴チャンバ52を含む静脈ライン44bを通して揚送する。リンスバックは、血液を体外回路のこれらの部分から患者42に返す。一実施形態では、動脈および静脈ライン44aお44b上の生理食塩水センサは、それぞれ、予め設定した量のリンスバック後に、体外回路が半透明または透明ではない場合に警報を発する。血液が患者に完全にリンスバックされた後、患者は、本発明の腎不全治療システムとの接続を断つように指示される。
【0220】
上記の第1プライミング方法は、血液リンスバックにも適応させることができる。この場合、透析液または生理食塩水は、透析装置またはその他のモダリティの濾過器を通して逆濾過される。血液ポンプ48は、第1プライミング方法に関連して上記で述べた逆方向および順方向サイクルで動作する。ポンプ48は、生理食塩水と血液との混合量を制限するため、血液リンスバックの場合は、比較的低速度で動作する。その結果、血液を患者に完全にリンスバックするために必要な生理食塩水またはその他の溶液は最低限になる。
【0221】
システム500をプライミングするか、または血液を患者にリンスバックするための別法による方法では、体外回路内のラインクランプの1つが閉鎖され、透析液の生理食塩水は、点滴チャンバ52が患者のレベルまで、たとえば4分の3充填まで充填されるまで、透析液ポンプ370および390の一方または両方を介して、体外回路内に揚送される。点滴チャンバ52が予め設定されたレベルまで充填された後、透析液または生理食塩水の注入は停止し、ポンプ370および390は、流体を体外回路内に揚送しなくなる。次に、ラインクランプ54が開放する。血液ポンプ48は、体外回路を通して透析液を循環させる。必要な場合、クランプ54が再びクランプされ、この過程を繰り返す。
【0222】
さらに別法によるプライミングまたはリンスバック実施形態では、生理食塩水バッグ368、供給源または排水バッグからの透析液、生理食塩水ライン372、バルブV12、およびランプ54と血液ポンプ48との間の体外回路に至るライン372の部分が使用される。この場合、図26のバルブV11は不要である。透析液または生理食塩水は、1つまたは複数の透析液ポンプ370および390を介して透析装置20、30に揚送され、血液ポンプ48は逆方向に動作し、バルブV12は閉鎖して、動脈ライン44aをプライミングまたはリンスバックする。次に、バルブV12が開放し、生理食塩水または透析液は、供給バッグ368から抜き取られ、ポンプ48は通常の動作方向に動作して、静脈ライン44bをプライミングまたはリンスバックする。この方法は、透析液回路を通して揚送される透析液または生理食塩水、および体外回路内に直接流れる透析液または生理食塩水源を使用する。この実施形態は、システム500に示すバルブV11をなくす。
【0223】
プライミングまたはリンスバックの上記の各々の方法は、上記のモダリティ、ポンプ構成および容積制御体系の何れにも使用することができる点は評価されるべきである。さらに、当業者は、本発明の装置および方法を使用して、効果的なプライミングおよびリンスバックを達成するため、追加のバルブ操作を決定することができる。
【0224】
限外濾過液制御−二重平衡管
本発明は、平衡デバイスの複数の実施形態を説明しているが、平衡管は、製造の容易さ、コストおよび効果間の良好なトレードオフを示すと考えられる。たとえば図25および図26に関して上記で述べた平衡チャンバは、血液透析などの血液腎不全治療において、限外濾過液を効果的の計量および制御することが、長時間テストされて実証されている。平衡チャンバに関連するシーティングおよびチャンバは、確かに製造可能だが、単にバルブチャンバ、蠕動ポンプ用の管類、および本発明の平衡管用管を有するものに比べて、比較的複雑なカセットを示す。
【0225】
蛇行経路の実施形態は、おそらく最も簡単なカセットを含むが、新鮮透析液の効果的な使用の点で(新鮮および流出透析液が混合する傾向があるため)、あまり望ましくない。やはり、この潜在的な欠点は、透析液をオンラインで調製する場合は、それほど問題ではない。しかし、平衡管は、新鮮透析液バッグを有する家庭用として、最も良い解決方法を提供する。
【0226】
図27A〜27Dを参照すると、二重平衡管を使用する透析液の容積制御に関する異なる流動サイクルが示されている。平衡管360aおよび360bに関連するバルブV1〜V10の配置は、図25および図26の二重平衡チャンバ340aおよび340bに関連するバルブV1〜V10の配置と同じである。したがって、平衡チャンバ340aの代わりに使用される平衡管360a、および図25の平衡チャンバ340bの代わりに使用される平衡管360bは、誰でも容易に想像できる。
【0227】
図27Aに示すサイクルは、第1透析液交換サイクルである。この場合、バルブV1、V4、V5、V8、V9およびV10が開放し、バルブV2、V3、V6およびV7が閉鎖する。このサイクルの開始時に、平衡管360は新鮮透析液を充填され、隔離板366aは、使用済み部分364aの少なくとも実質的に終わりに位置する。また、平衡管360bは流出透析液を充填され、隔離板366bは、平衡管360bの新鮮部分362bの少なくとも実質的に終わりに位置する。この第1サイクルでは、新鮮透析液ポンプ370は、新鮮透析液をライン330、ライン330bおよびバルブV5を通して、平衡管360bの新鮮透析液部分362b内に揚送する。新鮮部分362bに入る流体の力は、隔離板366bを押し、ひいては使用済み透析液を開放バルブV8、ライン338b、多岐管338およびバルブV9を通して一方の排水バッグに入れる。
【0228】
同時に、使用済み透析液ポンプ330は、流出透析液を透析装置または血液濾過器から押し出し、対流搬送、ライン328a、バルブV4を通して、平衡管360aの使用済み部分364aに入れる。平衡管360aの使用済み部分364aに入る流体の力によって、隔離板366aは平衡管360aの新鮮部分362方向に移動する。その結果、新鮮透析液は、バルブV1、ライン314a、多岐管314およびバルブV10を通して、使用するモダリティに応じて透析装置または体外回路に押し入れられる。図27Aのバルブの説明から、一方の平衡チャンバが患者に対する新鮮流体を計量し、他方の平衡チャンバが排水管に対する使用済み流体を計量することが分かるであろう。
【0229】
図27Bは、それぞれ平衡管360aおよび360bの新先端部362aおよび使用済み端部364bにおける隔離板366aおよび366bを示す(図27Aに示すサイクルの移動の終わりにおける)。この瞬間に、すべてのバルブV1〜V10は閉鎖する。すべてのバルブが閉鎖すると、シーケンスは、平衡管360aおよび360bおよびバルブV1およびV10が次の流体搬送サイクルと確実に同期するようにする。
【0230】
次に、図27Cを参照すると、図27Aに示すサイクルと逆の流体搬送サイクルが示されており、このサイクルは図27Bに示すバルブ条件から開始し、つまり、平衡管360aに流出透析液が充填され、平衡管360bに新鮮透析液が充填される。次に、対向する流れが生じ、平衡管360aは排水管に対する使用済み流体を計量し、平衡管360bは透析装置または体外回路に対する新鮮流体を計量する。このサイクルでは、バルブV2、V3、V6、V7、V9およびV10が開放し、バルブV1、V4、V5およびV8は閉鎖する。新鮮透析液ポンプ370は、新鮮透析液を多岐管330、ライン330aおよびバルブV3を通して、平衡管360aの新鮮部分362a内に揚送する。この動作によって、隔離板366aは、使用済み透析液をバルブV2、ライン338a、多岐管338およびバルブV9を通して排水管に押し入れる。同時に、使用済み透析液ポンプ390は、使用済み透析液を透析装置または血液濾過器から、対流搬送、ライン328b、バルブV6を通して、平衡管360bの使用済みまたは流出部分364b内に揚送する。この動作によって、隔離板366bは、新鮮透析液をバルブV7、ライン314b、多岐管314およびバルブV10を通して患者または透析装置に押し入れる。
【0231】
図27Cのサイクルが完了した後、各々のバルブは、平衡管が図27Aに示す状態と同じ状態で閉鎖し、図27A〜図27Cに示す上記の3つサイクルが繰り返される。図27Bのすべてのバルブが閉鎖した状態は、比較的短期間だけ生じるため、患者または透析装置への流体の流れ、および透析装置または血液濾過器からの流体の流れは実質的に拍動しない。このような拍動しない流れは、(i)処置は、より効果的に管理される、(ii)新鮮および使用済み揚送サイクルは、同じで速度で行われるため、患者から非常に多量の流体が抜き取られる危険性を減少させる点で、単一平衡デバイスの比較的拍動する流れに比べて有利である。
【0232】
図27Dを参照すると、本発明の平衡管360aおよび360bで限外濾過を行うための一実施形態が示されている。平衡管360aおよび360b内に保持される隔離板366aおよび366b並びに流体の状態は、図27Aと同じであることを理解するべきである。しかし、交換サイクルを行うのではなく、図27Dに示すバルブ構成を使用する。この場合、バルブV1、V4およびV7〜V9は開放し、バルブV2、V3、V5、V6およびV10は閉鎖する。限外濾過サイクルでは、使用済み透析液ポンプ390のみが作動する。ポンプ370は停止するか、または再循環ライン332を行う。ポンプ390は、流出流体を対流搬送、ライン328aおよびバルブV4を通して揚送し、隔離板366aを平衡管360aの使用済み部分364aから管の新鮮部分362a方向に押す。この動作によって、新鮮透析液はバルブV1、ライン314a、多岐管314、ライン314bおよびバルブV7を通って平衡管360b内に入る。その結果、平衡管360内に入る流体は隔離板366bを押し、流出流体は、バルブV8、ライン338bおよび多岐管338を通り、バルブV9から排水される。排水管に送られる流体は、そのサイクル時に、対応する量の流体が患者または透析装置に送られないため、限外濾過液を表す。
【0233】
この限外濾過液サイクルは、長時間にわたる限外濾過液除去速度を変更するため、流体交換サイクルと相対的に頻度を変更することができる。流体の適用量は、患者に同様の方法で与えられ、入ってくる新鮮透析液は、隔離板を介して流出透析液を一方の平衡管から他方の平衡管に押し、隔離板を他方の平衡管に圧迫して、モダリティに応じて新鮮な溶液を透析装置または体外回路方向に押す。患者または透析装置は、患者からの流体の対応する損失がない状態で流体を取得し、流体の適用量が得られる。
【0234】
次に、図28を参照すると、本発明の平衡管360aの別法によるバルブ構成が示されている。この場合、1対のT形374は、平衡管360aの362aおよび364aに完全に嵌合または封止される。バルブV1〜V4は、図27A〜図27Dに示す管360aの入口および出口に対して同じ構成で配置される。この場合、平衡管360aの各々の端部362aおよび364aに至る通路が1つだけ必要である。図27A〜図27Dと同様、バルブV2は、流出透析液がライン338を介して排水管または排水バッグのどちらに供給されるかを制御する。バルブV4は、透析装置または血液濾過器のどちらからの流出透析液が、ライン328aを介して平衡管360aに入るかを制御する。バルブV2およびV4は共に、平衡管360aの使用済み透析液端部364aに配置される。バルブV3は、供給バッグの一方からの新鮮透析液が、ライン330aを介して平衡管360aに入るかどうかを制御する。バルブV1は、透析液がライン314aを通って平衡管360aから出て行くかどうかを制御する。バルブV1およびV3は共に、平衡管360aの新鮮透析液端部362aに位置する。
【0235】
図28は、隔離板366aが平衡管360aの適切な端部362aまたは364aに移動したことを検出および確認するため、光センサなどの1対のセンサ376が器具内に配置されていることを示す。たとえば、流体が、透析装置からライン328aおよびV4を通って収容されると予測される場合、腎不全治療機械内の論理は、端部362aでセンサ376の光ビームが遮断され、隔離板366aがセンサ376を通過して、行程の終わりに達した後に再度確立されると予測するであろう。光ビームが遮断または再確立されない場合、機械は、隔離板366aが、特定サイクルに適する目的地まで移動しなかったと考え、適切な信号を送信する。別法によるセンサ、たとえば近接、キャパシタンス、ホール効果、超音波などは、図示の光センサ376の代わりに使用することができる。これらのセンサは、バルブ機能を検査するために使用しても良い。この場合、バルブが、閉鎖すると予想されている時に開放したために、隔離板366aが移動すると、バルブは漏れがあると検出される。
【0236】
限外濾過液の制御−二重蛇行経路
次に、図29を参照すると、もう1つの二重平衡デバイス実施形態が示されている。この場合、以前に図25〜図28に示した平衡チャンバおよび平衡管は、蛇行経路470aおよび470bに置き換えられる。蛇行経路470aおよび470bは、やはり図25〜図26に示すように、バルブV1〜V8の間に配置される。当然、図25、図26および図29に示すバルブV1〜V8の動作は、同時に流体を患者に連続的に送り、使用済み流体を排水管に送り、限外濾過液を透析装置または血液濾過器から除去するように作動する。以前のように、二重蛇行経路470aおよび470bは、どのモダリティでも、また本明細書に記載する異なるどのタイプのポンプでも実施できる。新鮮流体を透析装置20、30まで押し進めるため、蛇行経路ライン328a、330aまたはライン328b、330bに新鮮透析液が充填される。蛇行経路470aのV1およびV4、または蛇行経路470bのV6およびV7が開放する。ポンプ390は、使用済み透析液をライン328a、330aまたはライン328b、330bを通して揚送し、対応する多量の新鮮透析液を透析装置まで押し進める。次に、バルブV2およびV3またはバルブV5およびV8が開放し、使用済み流体を排水管に押し進める。
【0237】
1つの好ましい実施形態では、蛇行経路470aおよび470bは交互に入れ替わるため、1つの経路が、1つのサイクル時に透析液を透析装置に供給し、他の蛇行経路が、同じサイクル時に透析液を透析装置に供給する。次に、経路470aおよび470bの役割が逆転する。1つの経路が透析液を透析装置に供給している間、他の経路は、新鮮な溶液を充填され、使用済み透析液を排水管に供給する。蛇行経路470aおよび470bの各々は、新鮮および使用済み流体の混合量が最低限になるような長さおよび直径を有するように構成され、その結果、流体は所望の目的地に多量に移動する傾向がある。
【0238】
限外濾過液を除去するため、ライン328a、330aまたは328b、330bの1つからの新鮮流体が移動して、その結果、他のラインからの使用済み流体を排水管に移動させる。たとえば、蛇行経路470aのバルブV1およびV4が開放され、その結果、使用済み透析液はライン328a、330aに入り、新鮮透析液を開放バルブV7を通して蛇行経路470bのライン328b、330bに移動させる。バルブV6が開放し、使用済み透析液は、ライン572を通って排水管に移動する。必要な場合、バルブが透析液ポンプ390の後に追加され、その結果、使用済み流体は、限外濾過液サイクル時にポンプ390内に逆流しない。
【0239】
図示のとおり、別個の限外濾過液ポンプ570は、システム550または上記システムの何れかに追加される。限外濾過液ポンプ570は、蛇行経路470aおよび470bが連続的に作動して、流体を透析装置または血液濾過器に送り、等量の流体を透析装置または血液濾過器から取り出すことを可能にする。限外濾過液ポンプ570は、透析液を限外濾過液572を通して排水バッグの1つに除去する。限外濾過液機能を蛇行経路470aおよび470bから除去すると、新鮮および使用済み流体の混合を減少させると考えられる。追加の限外濾過液ポンプ570は、ポンプ390と逆に作動して、適用量の流体を必要とする患者に提供することもできる。
【0240】
本明細書に記載するどの二重平衡デバイスシステムも、ADS接点354および356、並びに対応する電子回路を使用して、接近ライン44aまたは44bの一方が治療時に偶発的に患者から外れた場合に検出することができる点は評価するべきである。さらに、どのシステムも、図25、図26および図29に示し、上記で説明した様々な圧力除去装置332の1つまたは複数を使用することができる。さらに、加熱器は、新鮮透析液ポンプ370の前後に配置される。やはり、ポンプは、本明細書に記載する様々なポンプのどれでも良い。さらに、どの二重平衡デバイスも、上記で説明する流体調製モジュール、および再循環ループと共に使用することができる。システムは、使い捨てカセット内の流体の温度を測定するために、非侵襲性の温度測定デバイスを使用する場合もある。
【0241】
限外濾過液制御−重量計
次に、図30および図31を参照すると、交換された透析液および除去された限外濾過液の量を制御するための他の別法による方法は、供給源および排水バッグ12〜18内の流体の重量を測定することによって制御する。便宜上、供給源/排水バッグ14、16および18のみを図30に示す。腎不全治療過程を制御するために、重量を使用することは十分に周知されている。1つの重量計を使用して、失われる新鮮流体と取得した使用済み流体の両方を明らかにすることができる。この場合、流体の正味量が患者から除去または限外濾過されるため、システムは、時間が経過するにつれて重量が増加すると予測する。別法によると、新鮮バッグ用の第1重量計および排水バッグ用の第2重量計が使用される。2つの信号が生成されて加算され、期間内のある時点で蓄積した限外濾過液の量を決定する。しかし、図30および図31のシステムは単一重量計を使用しているが、代わりに二重重量計を使用しても良い。
【0242】
図30および図31の趣旨は、重量計または重量測定デバイスを本明細書に記載する様々なシステム内に実施するための1つの装置を示すことである。図30には、血液治療機械140が示されている。図示の実施形態では、血液機械140は、機械140の前面の傾斜部分であるカセット装填部分142にカセットを収容する。使い捨てカセットを収容し、重量計を使用できる機械のその他の実施形態は、図35〜図39に関して以下で説明する。バッグ14、16および18は、スタンド144上に装填される。スタンド144はシャフト146に結合される。
【0243】
図31は、図30の断面図の拡大図であり、シャフト146、スタンド144およびバッグは、機械140が治療のために配置されているかどうかに関わらず、機械のテーブル上に支持される脚部152によって支持される。シャフト146は、線形軸受け148内で線形に移動可能である。複数の回転防止ピン162を有するキャップ154は、可動シャフト146の端部に取り付けられる。ピン162は、機械140の筐体内に画定された嵌合スロットまたは溝内に存在する。ピン162および嵌合スロットまたは溝は、シャフト146が、機械140に対して線形だが回転しないように移動することができる。
【0244】
シート164は、転動形ダイアフラム168の一方の端部をシートとキャップ154との間に封止する。脚部152および機械の枠に結合された筐体176は、転動形ダイアフラム168の他方の端部を筐体176と機械140の枠との間に封止する。筐体176、転動形ダイアフラム168およびシート164は、閉鎖容量チャンバを形成する。転動形ダイアフラムは、容積を閉鎖状態に維持し、シャフト146が、供給源および排水バッグ内の重量の変化によって上下に変動することも可能にする。転動形ダイアフラム168は、ゴムまたはプラスチックのシーティングなど、任意の適切な変形可能だが、不浸透性の材料から製造される。閉鎖容量チャンバ内の空気の量は、バッグ14〜18および支持装置の重量によって加圧される。圧力の量は、バッグ14〜18ないの液体の量を指示し、液体の量に応じて変化する。
【0245】
圧力センサは、適切なタイプのどのセンサでも良く(図示しない)、たとえば、シート164によって画定される開口部178内に設けられる。圧力センサは、閉鎖容量チャンバ内の圧力を感知する。センサは、信号を機械140内のプロセッサまたは制御装置に送信し、この制御装置は信号を処理して、バッグ14〜18ないの対応する重量を決定する。
【0246】
重量制御システムは、上記の容積制御デバイスの必要性をなくす点で望ましい。機械140のカセットは非常に単純であり、主にバルブ流路を含む。この重量システムの1つの欠点は、患者がバッグをスタンド144上に正しく配置する必要があることである。図30および図31に関連して上記で述べたスタンドおよび組立体も、デバイス全体の重量およびサイズを増加させる。本発明の家庭用腎不全治療機械は、小型かつ軽量であり、人が家庭の内外で、容易にデバイスを移動させるか、または操作できることが望ましい。
【0247】
ECHD濾過器
次に、図32を参照すると、ECHD濾過器の一実施形態が、濾過器600で示されている。上記で組み込んだとおり、適切な1つのECHD濾過器は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,730,712号に記載されている。この特許に記載されている濾過器に類似する濾過器600は、単一ユニットとして設けられる。しかし、濾過器600は、可変制限手段40と共に動作することが可能である点で、この特許の濾過器とは異なる。
【0248】
濾過器600は、静脈透析装置20に対応する筐体602、および動脈透析装置30に対応する筐体602を備える。筐体602は、円筒状の剛性プラスチックなど、任意の適切な材料から製造して良い。ファイバ状の半透過性膜は、静脈分20および動脈部分30内に配置される。これらの膜は、当業者が周知している何らかの方法による注型封入604を介して、筐体602の外側端部に注型封入される。これらの膜は、注型封入606を介して、濾過器600の静脈20および動脈30部分の各々の内側端部に注型封入される。
【0249】
血液入口キャップ608は、筐体602に封止状態で固定され、血液は、血液管を介してキャップ608に入り、キャップ内で分散し、動脈部分30の中空の半透過性ファイバ膜の内部に入る。同時に、血液は、中空ファイバ膜の外側で、注型封入604を介して筐体602に入るのを妨げられる。
【0250】
血液は、濾過器600を通って、図32に示す矢印を経由して移動する。つまり、血液は、濾過器600の動脈部分30を通って上方に移動し、動脈部分30の内部注型封入606から外に出て行く。次に、血液は、中間チャンバ642に入る。中間チャンバ642は、筐体602の内側端部に封止的に固定される結合部またはその他の管である。
【0251】
血液は、次に、濾過器600の静脈部分20内に収容された中空半透過性膜の第2集合に入る。血液は、これらのファイバに入り、静脈部分20の筐体602の内側端部における内部注型封入606を介して、ファイバの外側で静脈部分20の筐体に入るのを防止され、血液は、静脈部分の膜、外側注型封入604を通って、血液出口キャップ632に流入する。その結果、血液出口キャップ632は、血液を濾過器600から体外回路内に搬送する管に封止的に結合される。
【0252】
静脈部分20の筐体602は、透析液入口ポート634および透析液出口ポート636を備える。同様に、動脈部分30の筐体602は、透析液入口ポート638および透析液出口および限外濾過液ポート640を備える。ポート634、636、638および640は、医用流体管類と封止的に嵌合する任意の適切なタイプで良い。ポート634は、透析液を透析液供給源から収容する。ポート640は、患者からの透析液および限外濾過液が、濾過器600の外部に抜き取られることを可能にする。流出透析液の流れは、ポート640を介して濾過器600から出て行く。
【0253】
可変制限手段40は、ポート636および638と連通させて配置される。この制限手段は、比較的多量または比較的少量の新鮮透析液が、静脈部分20の筐体602に配置された中空ファイバ膜内に逆濾過されるように、ある程度制限的に製造される。上記のとおり、濾過器600の浄化は対流または拡散である。濾過器600は、本発明の望ましい1つの目標を達成し、つまり、対流モードと拡散浄化モードの両方によって、患者の老廃物の小分子、中分子または大分子を全体的に効果的に治療する。筐体602、キャップ632、608、注型封入材料、多孔性ファイバ、およびポートは、任意の適切な材料から製造される。
【0254】
可変流量制限手段を提供するための装置
次に、図33を参照すると、可変流量制限手段40の一実施形態が示されている。再現可能かつ正確な可変制限手段を提供するには、多くの類似する異なる方法があると主張されるが、図33の可変制限手段40は1つの適切な構成を提供する。システム40は、結合器958を介してレバーアーム956に結合されるステッパモータ954を備える。ステッパモータは、非常に正確かつ再現性がある位置決め装置として先行技術で公知であり、これは、正確な距離をおそらく所望の加速度および速度で正確な距離を返すように、ステッパモータ954に命令するマイクロプロセッサから信号を受信することができる。図33では、ステッパモータ954は、主に、一定の表面960に対して、レバーアーム956を正確な位置に配置するために使用される。
【0255】
管部分962は、図1、図4、図5、図9、図12および図14にも示されており、透析液の流れを透析装置20と30との間に接続する。図33は、部分956が、ブラケット964によって表面960に対して、所定の場所に保持されていることを示す。図33に示すレバーアーム956は、現在、全流量が管部分962を貫流することが可能な位置にある。つまり、図33に示す構成では、殆どの透析液は、透析装置20または30の一方の膜を通って逆流しない。レバーアーム956は、図33に見られるように反時計方向に回転するので、管部分962は変形して、次第に断面積を減少させ、デバイス40内の制限手段の量を連続的に増加させる。当然、レバーアーム956は、実際上、管部分962を通る全流量を制限し、治療流体全体が、実際上、透析装置20または30の1つの膜を通って体外回路50に入る位置まで回転させることができる。
【0256】
重要なことに、ステッパモータ954は、正確で再現可能である。つまり、ステッパモータ954は、レバーアーム956を、実際上何回も繰り返して同じ位置に回転させるように指示することができる。管部分962は、レバーアーム956および固定表面960に対して、ブラケット964によって同じ位置に保持されるため、レバーアーム956は、アーム956が指示された同じ位置に移動する時に、ライン962を通る同じ量の制限を正確かつ繰り返し生成する。ステッパモータ954のプログラム可能性によって、制限手段40は、患者、医師またはその他の操作者所望する治療持続時間全体で変化する実際上任意の所望の制限プロファイルを有することも可能である。このような可変制限プロファイルは、上記に説明されており、プログラムとして本明細書に記載するシステムの制御装置の記憶デバイス内に記憶して、可変制限プロファイルの1つを呼び出して、所望どおりに実施することができる。
【0257】
カセット、血液治療機械および溶液バッグ間のインターフェース
次に、図34を参照すると、カセット100a(上記の図2および図3に示される)は、血液治療機械の内側に位置する多数の流量デバイスとインターフェースする動作可能位置に示されている。図示のカセット100aは、筐体104を備える。筐体104には、多数の流動構成要素が取り付けられ、これらの構成要素は、カセット100a上またはカセット100a内に、部分的または完全に設けられる。図示のとおり、透析装置20および30は、筐体104に取り付けられる。管類102は、血液蠕動ポンプのポンプヘッド部分周囲にループすることができるように延在し、カセット100aの筐体104に流体的に接続する。動脈および静脈患者ライン44aおよび44bも、それぞれ、カセット100aに取り付けられるか、またはカセット100aと連通する。図33に示すように、患者接近ライン44aおよび44bは、患者接近ライン44aおよび44bは最初に互いに接続され、これらのライン内の殺菌状態を保存する。圧力センサ46などの多数のセンサは、さらにカセット100aと一体化される。
【0258】
参考のため、排水管容器12および溶液バッグ14〜18は、図34にカセット100aに対する可能性ある1つの隣接位置で示されている。バッグ12〜18は、管(図示しない)を介してそれぞれバッグポート132〜138に接続し、カセット100aの筐体104から延在する。ポート132〜138は、図2および図3にも示されている。図2および図3は、多数の追加のポートも示す。たとえば、ポート106は透析装置20および30に接続する。ポート108は、図2および図12に示す蠕動ポンプ102に接続される。図2、図3および図12は、多数の追加のポート116も示し、これらのポートは、図2および図3に関連し記載する濾過器20、30に接続される。ポート116などの追加のポート、およびバルブ部分156は、カセット100aに追加され、図5〜図8の吸着剤カートリッジ222で動作し、このカートリッジと連通する。
【0259】
図34は、血液治療機械内部に収容される多くのデバイスを示す。たとえば、図34は、図2に示すカセットバルブ位置156に動作可能に接続された多数のバルブ56を示す。流体は常に、使い捨て式の減菌カセット100aを貫流する。一方、この機械およびバルブ56の電子回路は、機械の内部に配置され、再利用される。同様に、加熱器58は、図2に示されるカセット100aの流体加熱部分158に動作可能に結合する。図34は、点滴チャンバ52(たとえばチャンバ52a〜52cを総称する)、およびカセット100aで動作可能な温度センサ62も示す。さらに、図12に示されているポンプ22および24の輸液ポンプ作動装置は、図2に示されているように、ポンプチャンバ122および124に動作可能に結合する。同様に、限外濾過液ポンプの作動装置、またはポンプ26および28は、図2に示すポンプチャンバ126および128に動作可能に結合する。
【0260】
次に、図35を参照すると、図34の流動デバイスが示され、この場合は、血液治療機械150内に収容されている。血液治療機械150は、本明細書に記載するシステムおよび治療の何れかを行う機械である。図35は、一実施形態では、排水バッグ12および溶液バッグ14〜18が、動作時に、2×2構成で機械150の上部に格納されることを示す。機械150は、機械150内のカセット100の相対的配置も示す。特に、バッグのポート132〜138は、機械上部から上方に、バッグ12〜18に比較的近接して延在する。ポート116(たとえば、透析装置または血液濾過器、吸着剤カートリッジ、または付随する点滴チャンバ52などに取り付けられる)は、機械150の側部から延在する。
【0261】
図35は、蠕動ポンプの血液ライン102が、機械150の外側に延在し、蠕動ポンプ48の揚送ヘッド部分と嵌合することも示し、蠕動ポンプ48は、主に機械150の内部に収容されるが、管102を受け入れるために、機械150の外側に位置する回転ヘッドを有する)。カセット100aは、機械150の内側のほぼ全体に摺動し、透析装置20および30、蠕動ライン102、患者接近ライン44aおよび44b並びにポート116は、機械150の外側に残される。
【0262】
機械150はグラフィカルユーザインターフェース160を備え、これは、患者42、看護師またはその他の操作者が治療を開始し、治療を監視し、治療から状況メッセージを受け取り、患者の治療の治療後分析および状況に関するデータを収集することを可能にする。グラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)160は、患者42またはその他の操作者が、所望の治療法を選択し、所望または必要な体液喪失またはUF量を治療ごとに調節することを可能にする。GUI160は、メモリカード、フラッシュメモリ、モデム、インターネット接続、またはその他の適切なローカルエリアまたは広域モードのデータ通信を介するパケット化またはチェック済みデータパケットにより、処方エントリを受信する。GUI160を実行する電子回路およびソフトウェアアーキテクチャは、好ましい一実施形態では冗長であるため、何らかの重要な機能の監視および制御は、別個のハードウェアおよびソフトウェアによって実行される。
【0263】
一実施形態におけるGUI160は、患者42または操作者が所望のパラメーターを入力することを可能にするタッチスクリーンを備える。別法による実施形態では、GUI160は、電気機械デバイス、膜スイッチ、音声駆動、メモリカード、または上記の入力デバイスの何らかの組合せを使用する。一実施形態では、GUI160は、管理/代行プロセッサシステムなどの複数のプロセッサを介して実行される。別個のプロセッサは、機械の重要な機能が正しく実行されているかどうかを監視および検査するために設けられる。つまり、1つのプロセッサは、所望の治療を達成するために、システムの流動デバイスを制御するために設けられ、別のプロセッサは、ハードウェアプロセッサおよび対応する流動デバイスが正しく動作していることを検査するために設けられる。
【0264】
図36および図37は、別法による血液治療機械170を示し、これは、主に、排水バッグ12および溶液バッグ14〜18の構成の点で、機械150と異なっている。特に、機械170は、容器12〜18を垂直に下げることを可能にする回転ラックタイプの構成172を使用する。
【0265】
図36は、機械170から取り外されたカセット100aを示す。機械170は、図36に示すスロット174を画定し、このスロットは、図37に示すように、機械170内にカセット100aを挿入することを可能にする。図示のとおり、機械170は、図35に関連して上記で述べたGUI160を使用する。図35〜図37は、複数の方法で溶液バッグ12〜18の支持を構成することが可能であることを示す。
【0266】
次に、図38〜図41を参照すると、別法による血液治療機械180は、こうした流体の搬送のための上記のポンプの代わりに、透析液および血液の一方または両方を移動させる線形チュービングポンプを使用する。当然、透析液流路または患者の血液回路の何れかに、複数の異なるタイプの揚送技術の何れか1つを使用することが可能である。たとえば、図34に示すように、血液回路に使用されるポンプ48などの蠕動ポンプは、透析液流路に関して上記で述べた容量ポンプ22〜28の代わりに使用することができる。蠕動ポンプは、ポンプ48のように、主に血液治療機械の内部に配置され、管102と同様に機械の外側に管を収容するが、透析液または治療流体を揚送する。
【0267】
図38の機械180は類似のタイプの代替物を示し、これは、一連の隣接して配置される円形ドライバフィンガー182を使用し、これらのフィンガーは、別法によるカセット190の内部に位置する透析液または治療用流動管に対してほぼ垂直に並ぶ。線形フィンガー182は、蠕動ポンプ内のローラに類似する方法で透析液管184を順に圧縮し、カセット100bの可撓性透析液管184内で流体を圧縮し、これらの管を通して、流体に関して所望の目的地に移動させる。高流量透析装置20および30は、上記のとおり、別法によるカセット100bに接続し、一実施形態では、図示のとおり機械180の一方の側部から延在する。1つまたは複数のモータ186は、カムを回転させて、規定の順序に従って線形フィンガー182を駆動させるために設けられる。
【0268】
次に、図39を参照すると、線形チュービングシステムの一実施形態が示されている。この場合、排水バッグ12および複数の溶液バッグ14、16、18および188は、テーブルの天板192によって支持される。たとえば管194および196を介したチュービング接続は、別法によるカセット100bとバッグ12〜18および188との間で行われる。カセット100bは、機械180によって画定されるスロット198内に配置される。機械180は、上記のGUI160も備える。
【0269】
次に、図40および図41を参照すると、カセット100bおよび別法によるカセット100cは、線形チュービングポンプで動作するように、本発明のカセットを構成するための様々な実施形態を大まかに、個々に示している。カセット100bおよび100cは共に、排水バッグ12および溶液バッグ14〜18および188で動作する。両方のカセット100bおよび100cは、多くのセンサ、たとえば血液漏れ検出器66、複数の圧力センサ46および複数の空気/水分レベルセンサ68を備える。療法のカセット100bおよび100cは、上記のとおり、外側に取り付けられた高流量透析装置20および30で動作する。制限手段40は、動脈および静脈透析装置間の透析液経路内に配置される。
【0270】
カセット100bおよび100cは共に、図38に関する上記の線形チュービング部分184を備える。図40および図41は、本発明の線形チュービングポンプの1つの利点を示し、つまり、機械180に関連するドライバフィンガー182は、血液および透析液流路の両方に関してカセット100b/100cの線形チュービング部分184で動作可能であり、2つのタイプの揚送システムを有する必要がなくなる。
【0271】
図41のカセット100cは、再循環ライン220に流体的に接続して、活性炭または吸着剤カートリッジ222に至る追加の線形チュービング部分184を備える。再循環ライン220は、カートリッジ222から、透析液投入ラインおよび高流量透析装置30内に延在する。透析液の静脈透析装置20への流れ、および動脈透析装置30からの流れは、一実施形態では、流量測定デバイスを介して線形チュービングポンプに関連して監視され、流量測定デバイスは、静脈透析装置20内に入る投入ライン202における流量を測定し、バッグ14、16、18および188から、どの程度の新鮮透析液が供給されるかを感知する。流量測定デバイスは、漏れ検出器166を介して排水バッグ12に通じるライン204を介して、動脈透析装置30から出る流れも測定する。図41は分岐ライン206を示し、このラインは、使用済み透析液またはUFの一部分が、再循環ライン220を介して活性炭または吸着剤カートリッジ222にシャントされた後、動脈透析装置30内に戻ることを可能にする。
【0272】
誘導加熱器
次に、図42および図43を参照すると、本発明の加熱器58の2つの実施形態が、それぞれ加熱器58aおよび58bで示されている。上記のとおり、加熱器58は、任意の適切なタイプの医療流体加熱器、たとえばプレート加熱器、赤外線、もしくはその他のタイプの放射加熱器、対流加熱器、またはこれらの何らかの組合せで良い。加熱器58aは、誘導加熱器または誘導コイルを有する加熱器である。誘導加熱器58aは、カセット100などの使い捨てカセットに一体に構成されるか、または固定的に接続される。一方、誘導加熱器58bは、1対の管を介して使い捨てカセット100に接続し、カセット100の主本体から離して配置される。
【0273】
図42を参照すると、カセット100の一部分が示されている。カセット100は、流体流路76および流体流路78を画定する。図示の実施形態では、流体流路76は、誘導加熱器58aの入口である。流体流路78は、流体加熱器58aの出口である。つまり、新鮮透析液ポンプは、流体を流路76から、加熱器の筐体72aによって画定される流体チャンバ74a内に揚送することができる。次に、加熱された流体は、流体チャンバ74aから流動チャネル78を通り、たとえば透析装置または容量平衡デバイスに流れる。
【0274】
インライン加熱器58bに関しては、流体は、透析液ポンプを介して、入口ポート82に封止敵に接続された管(図示しない)に流れる。流体は、加熱器58bから、出口ポート84に封止的に接続された管(図示しない)、および使い捨てカセットの主本体上に位置する類似のポートを通って使い捨てカセットに流れる。
【0275】
加熱器58aおよび58bの各々は、加熱要素または誘導コイル80を備える。加熱器要素80は、流量チャネル74aおよび74bの各々の内部に挿入される。一実施形態では、加熱器要素80は、実質的に円筒状であり、実質的に円筒状の筐体72aおよび72b内にそれぞれ配置された場合、加熱器要素80の外側を長手方向に流下し、加熱器要素80の内部を逆流してから、加熱器58aまたは58bを出る環状流体流路を形成する。加熱器要素80は、加熱器58aおよび58bを貫流する流体に関して、加熱要素の表面積を増加するため、波形であるか、さもなければ鰭状構造を有することができる。
【0276】
一実施形態では、加熱器要素80は、変圧器の短絡二次コイルであるか、またはこのようなコイルとして動作する。閉鎖しているか、またはループ状の要素は、電気的にエネルギーを散逸させず、代わりに熱に変換される。機械内に位置する変圧器は、一次コイルである。一次コイルは、AC高周波数電源によって電力を供給される。
【0277】
流体加熱器58aおよび58bは、加熱器を貫流する液体の温度を監視できるように配置された1つまたは複数の温度センサを含む。一実施形態のこの温度センサは、赤外線温度センサである。一実施形態における加熱器要素80は、ステンレス鋼などの非腐食性金属から製造される。
【0278】
動作時、低温または室温の透析液は、加熱器要素80の外側に沿って加熱器要素80の底部周囲に、次に加熱器要素80の内側に沿って誘導加熱器58aまたは58b内に揚送され、最後に加熱器から出て行く。一実施形態では、カセット100などの使い捨てカセットは、筐体72aによって画定された加熱キャビティが、腎臓治療機械内に位置する一次コイル上に直接配置されるように挿入する。一次コイルは、通電されると、磁気的に短絡コイル80に電流を誘導して、要素80および周囲の流体を加熱する。一次コイルは、カセットを腎不全治療機械内で中心に配置して安定させるという二次的な目的に役立つ。
【0279】
一実施例では、要素80の表面積は、毎分約150ミリリットルの流速で透析液を5℃〜30℃加熱するために約10平方インチ以下で良い。加熱器は、直径約1インチ(25.4ミリメートル)×1.5インチ(38.1ミリメートル)の寸法を有する。別法によると、その他のサイズ、形状およびまたは複数のコイル80を使用して良い。
【0280】
平衡チャンバを有するカセット
次に、図44を参照すると、断面で示されているカセット100の一部分は、本発明のカセットベースの平衡チャンバ340を提供するための一実施形態を示す。カセット100(カセット100a〜100cの各々を含む)は、上部部分96、下部部分98、および可撓性シーティング346を含む。一実施形態では、部分96および98は、適切な剛性プラスチックから製造される。一実施形態では、可撓性膜またはダイアフラム346は、適切なプラスチックまたはゴム材料、たとえばPVC,非DEHP PVC、クレイトンポリプロピレン混合物、または類似材料から製造される。
【0281】
シーティング346は、半分96または98に溶接または接着される。過剰なシーティングはトリミングする。次に、この2つの部分は、部分間の嵌合界面で接着する。これで、部分96および98間にシーティング346が得られる。部分96および98は、シーティング346の溶接が、部分96および98間に限られるように構成する。その結果、部分96および98は、カセットの可撓性膜またはダイアフラム346を挟まれる。
【0282】
入口および出口流路に関する図17〜図21と同じ用語を平衡チャンバ340に使用すると、新鮮透析液を収容および分散させる上部部分96は、入口流路334および出口新鮮流体流路314を画定する。同様に、流出透析液を収容および分散させる下部部分98は、入口流出経路336および出口流出338を画定し、および。これらの流体経路は、図17〜図21に示す類似の参照符号を有する流体ラインと連通する。
【0283】
平衡チャンバ340に新鮮な流体が充満している場合、平衡チャンバおよび新鮮流体経路334の上流に位置するバルブが閉鎖する。透析液を患者または透析装置まで押し進めるため、入口流出ライン336と連通するバルブは、新鮮透析液供給ライン314と連通するバルブと同様に開放する。このバルブ構成によって、加圧流出流体は、膜またはダイアフラム346を流出入口336から離して、チャンバ340の上部方向に押し、それによりチャンバ340内の新鮮透析液を透析装置または患者に押しやることができる。
【0284】
平衡チャンバ340は、図示のように水平に向けるか、または垂直に向けることができる。垂直の場合、入口は、空気を流体からより良好に排出するために、出口の下に配置することが好ましい。また、ポートは、平衡管に関する図38の別法によるバルブ構成と同様、各々のチャンバの1つのポートに結合する。1つのポートは、必要に応じて、部分96または98間の界面に比較的近く、または直接隣接させて配置する。
【0285】
もう1つの実施形態では(図示しない)、平衡チャンバを提供するカセット100の部分は、上部および下部の剛性部分96および98を含まない。代わりに、カセット100のこの部分は、3層または3つの別個の可撓性膜を備える。カセットが腎不全治療機械内に装填されると、機械は、2つの外側の膜上に真空を引き、その結果、外側の膜は、平衡チャンバを画定する機械の壁に対して吸収される。この構成は、必要な剛性プラスチックの量を減少させ、容易かつ安価に製造することができると考えられる。別法による構成では、平衡チャンバのキャビティ内の圧力は、シーティングを押してキャビティに適合させるため、真空の必要はない。外側の層は、入口および出口透析液ラインと嵌合するように、この層と一体に成形されるか、または封止的に接続されるポートを有する。
【0286】
平衡管
次に、図45を参照すると、平衡管360の一実施形態が示されている。上記のとおり、同様の用語を使用すると、平衡管360は、平衡チャンバ340の可撓性膜346と同様に機能する隔離板366を含む。図示の実施形態では、隔離板366は、円筒状筐体382内でぴったりした状態で移動するボールまたは球状の物体である。1対のキャップ384および386は、円筒状筐体382の何れかの端部に設けられる。キャップ384および386は、外側のOリング388を介して、円筒状管類382を封止する。隔離板またはボール366は、内側Oリング392を介して、キャップ384および386を封止する。別法による実施形態では、キャップ384および386は、円筒状管382を取り外されないように、または密閉して封止する。ポート394および396は、それぞれキャップ384および386と一体に形成されるか、またはこれらのキャップに取り付けられる。ポート394および396は、当業者が周知している何らかの機構を介して嵌合する管を封止する。
【0287】
一実施形態では、円筒状管382は半透明または透明であるため、光センサは、ボールまたは隔離板366が適切に移動の終わりに達したかどうかを検出することができる。超音波またはその他のタイプのセンサは、代わりに使用することができる。組立体は、嵌合する前に取り付けられる隔離板366と管の中央で嵌合する2ピースの射出成形プラスチックから製造することができる。嵌合は、溶剤結合、超音波、または等業者が周知しているその他の技術によって行われる。管382は、単純な押出し成形品で、成形端部キャップを二次的な作業で適用しても良い。
【0288】
ボールまたは隔離板366は、円筒382の内部にぴったりと、しかも円滑に適合するようなサイズにする。新鮮流体と流出流体との少量の混合は、システムの性能に実質的に影響することなく行われる。別法による実施形態では、円筒ピストンタイプの隔離板が設けられる。何れの場合も、隔離板366は、場合によって、摺動または回転封止を強化するのに役立つワイパーまたは変形可能なフランジなど、追加の封止措置を有する場合がある。
【0289】
平衡管360に関して図45に示す構成要素の各々は、プラスチックまたはその他の適切な材料から製造される。一実施形態では、平衡管360は、カセット100と一体に成形される使い捨て部品であるか、または図42および図43の加熱器58aおよび58bと同様に、管類を介してカセットに取り付けられる。射出成形キャップまたは組立体を使用する場合、Oリングおよび取付具は不要である。さらに、隔離板を位置決めするための超音波または光センサなどのセンサは、管の端部に封止する必要性をなくすことができる。
【0290】
本明細書に記載する現時点で好ましい実施形態に対する様々な変更および修正は、当業者にとっては明らかであると考えるべきである。このような変更および修正は、本発明の精神および範囲を逸脱せず、また意図する利点を減少させずに行うことができる。したがって、こうした変更および修正は、添付の請求の範囲に含むことを意図する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載のシステム。
【請求項1】
本明細書中に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【公開番号】特開2011−206597(P2011−206597A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163710(P2011−163710)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【分割の表示】特願2007−258028(P2007−258028)の分割
【原出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【分割の表示】特願2007−258028(P2007−258028)の分割
【原出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]