説明

高導電性成形化合物およびこれらの化合物を含有する燃料電池双極プレート

【課題】導電性重合体を提供すること。
【解決手段】導電性重合体が開示されており、これは、−40〜140°Fの範囲の温度で酸性流れを受けたとき、腐食耐性が必要な用途で使用するのに適当であり、非常に複雑で薄い試験片に成形でき、そして不変の導電率、十分な強度および屈曲性、および適当な表面特性を示す。特に、本発明は、不飽和プレポリマー樹脂組成物を成形することを包含し、これは、高い装填量の導電性充填剤を有する。さらに、必要な特性を実現するために、これらの組成物は、レオロジー改質剤およびポリエチレンを含有する。表向きは、これらの改質剤は、見かけ分子量および三次元プレポリマーネットワーク構造を変えるように作用して、レオロジー欠陥を矯正する。この組成物は、電気化学セル(例えば、燃料電池)で使用するように開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、1999年3月19日に出願された米国仮特許出願第60/125,138号に基づいている。
【0002】
(発明の分野)
本発明の分野は、熱硬化性バルク成形組成物を使用する方法のような成形方法に特に有用な高導電性組成物である。これらの成形組成物は、高解像度複合構造に形成できる。例えば、それらは、薄板様試験片(例えば、千分の60〜200インチ)に成形でき、これらは、非常に狭く比較的に滑らかな流路の複雑に模様を付けたネットワークを有する。これらの試験片は、電気化学セル双極プレートとして使用される。これらのプレートは、望ましくは、少なくとも40、50、60、70、80、90または96S/cmのバルク導電率を有する。それらはまた、所望の表面特性;熱、温度、薬品耐性および収縮耐性;強度;および価格を有する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
導電性重合体は、伝統的な導電性材料の代替物を提供する際に用途があり、これらは、しばしば、複雑な部品を製造するのに、多大な労働費が関与している。特に、多量の製品が要求されている場合、重合体の成形費用は、他の材料に対する同程度の機械切削にかかる費用よりも、ずっと費用効率が高いことが判明され得る。しかしながら、過去において、高レベルの導電率および所望の成形特性の両方を達成することは、困難であることが判明している。一般に、十分なレベルの導電率を達成するためには、重合体マトリックス中にて、適当な充填剤の高レベルの重量割合が存在することが必要である。しかしながら、これらの高装填レベルは、得られる組成物の強度、耐久性および成形性に伴う問題を引き起こす。
【0004】
特に、先に言及した強度、耐久性および成形の問題を解決することが有益な1領域には、燃料電池での応用がある。電気化学的燃料電池は、清浄で環境にやさしい潜在的に無限なエネルギー源として、非常に魅力がある。これらの燃料電池は、それに加えて、小規模なエネルギー消費(例えば、家庭での用途)、または工業規模の用途、および商用発電にさえ、適当な規模で、構築できる。それらは、電力の小さい電気器具(例えば、コンピューターまたはキャップ設備)、または自動車および他の輸送形態のための携帯用途を有する。これらの異なる用途は、サイズが異なるものの、その基本的な構造は、1キロワット未満から数千キロワットまでの発電用に対して、同じである。
【0005】
基本的には、燃料電池は、ガルバーニ電池であり、ここで、燃料の化学エネルギーは、電気化学的プロセスによって、直接的に電気エネルギーに変換される。この燃料電池の基本的な成分は、アノードおよびカソードを含む電極、電極触媒、および電解質である。液体および固体の両方の電解質燃料電池を完成する作業が行われており、本発明は、両方の型の燃料電池において、用途が見出され得る。
【0006】
固体電解質には、高分子膜が挙げられ、これらは、典型的には、水素で燃料供給される陽子交換膜として作用する。これらの膜は、通常、過フッ素化スルホン酸高分子膜を含み、これは、2個の触媒化電極(これは、電極触媒として、炭素上に支持された白金を利用し得る)間で挟まれている。水素燃料電池は、反応チャンバを形成し、これは、そのアノードにおいて、水素を消費する。このカソードでは、酸素は、その電極触媒部位において、陽子および電子と反応して、その反応生成物として、水を生じる。この電極の領域では、三相界面が形成され、この電極、電解質および気相の間では、微妙なバランスが維持されなければならない。
【0007】
他の電極の使用が関与しているシステムもまた、研究されている。これらには、アルカリ燃料電池、リン酸燃料電池、溶融炭酸塩燃料電池、および固形酸化物燃料電池が挙げられる。しかしながら、それらの原理は、これらの製品を完成する際の一部の問題と同様に、類似している。
【0008】
燃料電池反応器は、単一電池または複数電池の積み重ねを含み得る。いずれの場合でも、この電池は、少なくとも2枚の非常に導電性の流動フィールドプレートを含み、これには、複数の機能を果たす。これらのプレートは、電流収集器として機能し得、これは、この燃料電池の電圧端子と電極との間で、電気的な連続性を与える。これらはまた、機械的な支持(例えば、その膜/電極のアセンブリに対して)を与える。それに加えて、これらのプレートは、これらの電極へと反応物を輸送するように作用し、先に言及した微妙な相バランスを確立するのに必須である。
【0009】
典型的には、この燃料電池プレートは、薄くて比較的に平らなプレート部材であり、これらは、相互連絡しているチャンネルの非常に複雑なネットワークを含み、このネットワークは、このプレートの流動フィールド領域を形成する。これらのチャンネルの構造は、反応物の正常な流れを維持するために、また、チャンネル形成または停滞領域の形成(これは、燃料電池の性能を悪化させる)を回避するために、非常によく開発されている。これらの反応物の流れを正しく管理すること、およびこれらの電極触媒を反応物の適当なバランスと共に正確に連続的に供給することは、重大である。それゆえ、これらのプレートが、非常にうまく設計した流れ迷路内で、明瞭な流路を規定し維持することは、必須である。さらに、適当な寿命を保証するために、これらのプレートは、種々の条件下において、表面腐食に抵抗できなければならない。例えば、燃料電池は、外部に配置されて外の天候の影響を受け得る。それゆえ、これらの電池は、40〜200°Fの範囲の温度で、応力割れおよび腐食に対して抵抗性でなければならない。さらに、この電池内の状態は、腐食性であるので、これらの電池はまた、これらの温度での種々の腐食物質からの化学的な攻撃に対して抵抗性でなければならない。例えば、これらのプレートは、この燃料電池の型に依存して、脱イオン水、メタノール、ギ酸、ホルムアルデヒド、ヘビーナフサ、フッ化水素酸、テトラフルオロエチレン、およびヘキサフルオロプロピレンの影響を受け得る。さらに、この燃料電池内の状態は、高温(すなわち、150〜200°F)だけでなく、高圧(すなわち、常圧〜30p.s.i.)に至り得る。腐食分解は、この燃料電池内での流動パターンを変えることにより殆ど確実にシステムの故障を引き起こすので、回避されなければならない。
【0010】
燃料電池プレートに対する種々の要件を解決する過去の試行には、金属および機械切削したグラファイトのプレートを使用することが挙げられる。金属プレートを使用すると、1電池あたりの重量が重くなり、機械切削のコストが大きくなり、おそらく、腐食の問題が起こる。機械切削したグラファイトプレートは、この重量および腐食の問題を解決するが、機械切削のコストが高く、特に、非常に薄いプレートとして作製したとき、脆い製品ができる。グラファイト/ポリ(フッ化ビニリデン)プレートが一部で使用されているが、これらは、高価で脆弱であって長いサイクル時間がかかるという特徴がある。
【0011】
特許文献1の内容は、電気化学セルの作業および組成物の教示について、本明細書中で参考として援用されている。特許文献2の内容は、電気化学セル用のグラファイトベースの分離器の教示について、本明細書中で参考として援用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,197,178号明細書
【特許文献2】米国特許第4,301,222号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
過去において、従来公知のバルク成形化合物は、多量の導電性充填剤(例えば、グラファイト)を添加することにより、導電性になるように調節されている。成形中にて、その液体樹脂相は、この充填剤から分離されて、この成形から除外されることが観察された。さらに、この発生は、薄い成形試験片で割れを引き起こす傾向があることが観察された。さらに、これらの試験片内の異なる位置でのバルク導電性の測定は、矛盾していた。本発明に従って、前述の問題を解決する組成物が調合できることが発見された。特に、これらの調合は、高い装填量の導電性充填剤を備えた樹脂マトリックスの使用;種々の追加添加剤(例えば、開始剤、離型剤、およびカーボンブラック);および1種またはそれ以上のレオロジー剤(これは、第II族の酸化物、アルカリ金属酸化物、カルボジアミド、ポリイソシアネート、ポリエチレンおよびポリテトラエチレンフルオロエチレンからなる群から選択される)を含む。この成形剤が作用する機構の1つに考えられる説明には、このプレポリマー(例えば、ビニルエステル樹脂または不飽和ポリエステル樹脂)の見かけ分子量を確立するように作用することがある。あるいは、これらの試薬は、例えば、成形中の剪断を少なくすることにより、流動を促進し得る。これらのレオロジー剤を使用すると、相分離だけでなく、割れおよび矛盾した導電性測定がなくなる。これらの問題は、非常に高濃度の導電性充填剤と共に成形される試験片の複雑な構造の結果であると予想されている。
【0014】
成形および割れの問題を解決することに加えて、他の特性(例えば、熱膨張率、導電率および熱伝導率、収縮抵抗および機械的特性)は、本発明を使用する結果として、さらに均一になるかおよび/または改良され得る。前述の改良に加えて、本発明の樹脂組成物は、高いガラス転移温度を示し、成形部分の熱強度が改良されることが見出された。開始剤の種類および量ならびに禁止剤の種類および量を制御することにより、このプレポリマーに対してゲル化時間および硬化時間の両方を最適化することによって、さらに改良することもまた、可能である。
【0015】
これらの組成物から成形した試験片における前述の改良により、本発明の追加実施態様として、双極プレートの低価格大量生産が可能となる。これらは、固定動力装置だけでなく、携帯型燃料電池に使用できる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1) 組成物であって、以下
a)不飽和プレポリマー樹脂であって、該プレポリマー樹脂は、不飽和ポリエステルおよびビニルエステル樹脂のうちの1種またはそれ以上を含有する;
b)該樹脂と共重合可能な不飽和物質であって、該不飽和物質は、末端エチレン基を含有する;
c)該組成物の全重量の少なくとも50%を占める導電性充填剤;
d)開始剤であって、該開始剤は、該共重合を開始する;ならびに
e)有効量のレオロジー改質剤であって、該レオロジー改質剤は、成形中において、該樹脂と該導電性充填剤との間の相分離を防止し、該レオロジー改質剤は、第II族の酸化物および水酸化物、カルボジアミド、アジリジン、ポリイソシアネート、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロポリエーテル、ポリエチレン、粘土およびヒュームドシリカからなる群から選択される1種またはそれ以上の組成物である、
を含む、組成物。
(項目2) 前記レオロジー改質剤の有効量が該系の全重量の約0.5%〜約15%である、項目1に記載の組成物。
(項目3) 前記導電性充填剤は、粒子状充填剤または薄片状充填剤であり、該導電性充填剤の量は、少なくとも60重量%である、項目2に記載の組成物。
(項目4) 前記導電性充填剤が、グラファイト充填剤であり、該導電性充填剤の量が少なくとも65重量%である、項目3に記載の組成物。
(項目5) 前記レオロジー改質剤が酸化マグネシウムおよび/または酸化カルシウムを含み、前記有効量が該組成物の重量に基づいて約0.1〜約2重量%である、項目1に記載の組成物。
(項目6) 前記レオロジー改質剤がアジリジン、カルボジアミド、およびポリイソシアネートのうちの1つ以上であり、前記有効量が該組成物の重量に基づいて約1重量%〜約10重量%である、項目1に記載の組成物。
(項目7) 前記レオロジー改質剤の有効量が約400psi〜約2000psiの圧力で約0.050インチ〜約0.200インチの厚さに成形される部品の破壊を妨げるのに有効な量である、項目1に記載の組成物。
(項目8) 前記改質剤が、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロポリエーテルのうちの1つ以上を含み、前記有効量が該成形組成物の重量に基づいて約0.1重量%〜約5重量%である、項目1に記載の組成物。
(項目9) 前記レオロジー改質剤がポリイソシアネートであり、前記有効量が該成形組成物の重量に基づいて約2重量%〜約8重量%である、項目1に記載の組成物。
(項目10) 前記導電性充填剤が合成結晶性グラファイト粒子であり、前記不飽和プレポリマー樹脂がエポキシビニル樹脂、ビスフェノールフマレート樹脂、変性ビスフェノールフマレートポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン変性ビニルエステル樹脂、ウレタン変性ビニルエステル樹脂、ビスフェノール−エポキシビニルエステル樹脂、エラストマー変性ビニルエステル樹脂、エポキシノボラックビニルエステル樹脂および不飽和イソシアヌレートビニルエステル樹脂からなる群から選択される1つ以上の樹脂である、項目4に記載の組成物。
(項目11) 前記共重合可能物質が、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、およびメタクリル酸メチル、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種またはそれ以上の単量体である、項目10に記載の組成物。
(項目12) 前記共重合可能物質が、スチレンおよびメタクリル酸メチルからなる群から選択される1種またはそれ以上の単量体である、項目11に記載の組成物。
(項目13) 前記開始剤が遊離ラジカル開始剤である、項目12に記載の組成物。
(項目14) 前記開始剤が過酸化物、ヒドロペルオキシド、レドックス系、ジアゾ化合物、過硫酸塩、および過安息香酸塩からなる群より選択され、該系の全重量に基づいて約0.05重量%〜約5重量%の量で使用される、項目13に記載の組成物。
(項目15) カーボンブラックをさらに含む、項目14に記載の組成物。
(項目16) 強化充填剤をさらに含む、項目14に記載の組成物。
(項目17) 以下を含有する電気化学セル流動フィールドプレート:
成形熱硬化性樹脂組成物であって、該成形樹脂組成物は、約0.050〜約0.200インチの厚さおよび少なくとも55S/cmのバルク導電率を有し、該成形樹脂組成物は、少なくとも、以下の反応生成物である:
a)不飽和プレポリマー樹脂であって、該プレポリマー樹脂は、不飽和ポリエステルおよびビニルエステル樹脂のうちの1種またはそれ以上を含有する;
b)該樹脂と共重合可能な不飽和物質であって、該不飽和物質は、末端エチレン基を含有する;
c)該組成物の全重量の少なくとも50%を占める導電性充填剤;
d)開始剤であって、該開始剤は、該共重合を開始する;ならびに
e)有効量のレオロジー改質剤であって、該レオロジー改質剤は、成形中において、該樹脂と該導電性充填剤との間の相分離を防止し、該レオロジー改質剤は、第II族の酸化物および水酸化物、カルボジアミド、アジリジン、ポリイソシアネート、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロポリエーテル、ポリエチレン、粘土およびヒュームドシリカからなる群から選択される1種またはそれ以上の組成物である、
電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目18) 前記レオロジー改質剤の有効量が該系の全重量の約0.5%〜15%である、項目17に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目19) 前記導電性充填剤は、粒子状充填剤または薄片状充填剤であり、該導電性充填剤の量は、少なくとも60重量%である、項目18に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目20) 前記導電性充填剤が、グラファイト充填剤であり、該導電性充填剤の量が少なくとも65重量%である、項目19に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目21) 前記レオロジー改質剤が酸化マグネシウムおよび/または酸化カルシウムを含み、前記有効量が該組成物の重量に基づいて約0.1〜約2重量%である、項目17に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目22) 前記レオロジー改質剤がアジリジンおよびポリイソシアネートのうちの1つ以上であり、前記有効量が該組成物の重量に基づいて約1〜約10重量%である、項目17に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目23) 前記レオロジー改質剤の有効量が約400psi〜約5000psiの圧力で約0.050インチ〜約0.200インチの厚さに成形される部品の破壊を妨げるのに有効な量である、項目17に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目24) 前記改質剤が、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロポリエーテルのうちの1つ以上を含み、前記有効量が該成形組成物の重量に基づいて約0.1重量%〜約5重量%である、項目17に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目25) 前記レオロジー改質剤がポリイソシアネートであり、前記有効量が該成形組成物の重量に基づいて約2重量%〜約8重量%である、項目17に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目26) 前記導電性充填剤が合成結晶性グラファイト粒子であり、前記不飽和プレポリマー樹脂がエポキシビニル樹脂、ビスフェノールフマレート樹脂、変性ビスフェノールフマレートポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン変性ビニルエステル樹脂、ウレタン変性ビニルエステル樹脂、ビスフェノール−エポキシビニルエステル樹脂、エラストマー変性ビニルエステル樹脂、エポキシノボラックビニルエステル樹脂および不飽和イソシアヌレートビニルエステル樹脂からなる群から選択される1つ以上の樹脂である、項目20に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目27) 前記共重合可能物質が、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、およびメタクリル酸メチル、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種またはそれ以上の単量体である、項目26に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目28) 前記共重合可能物質が、スチレンおよびメタクリル酸メチルからなる群から選択される1種またはそれ以上の単量体である、項目27に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目29) 前記開始剤が遊離ラジカル開始剤である、項目28に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目30) 前記開始剤が過酸化物、ヒドロペルオキシド、レドックス系、ジアゾ化合物、過硫酸塩、および過安息香酸塩からなる群より選択され、該系の全重量に基づいて約0.05重量%〜約5重量%の量で使用される、項目29に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目31) カーボンブラックをさらに含む、項目30に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目32) 強化充填剤をさらに含む、項目30に記載の電気化学セル流動フィールドプレート。
(項目33) 以下のa)、b)、c)、d)およびe)を含有する、導電性成形組成物:
a)100部の不飽和プレポリマー樹脂であって、該不飽和プレポリマー樹脂は、不飽和ポリエステルおよびビニルエステル樹脂の1種またはそれ以上を含有する;
b)不飽和単量体であって、該不飽和単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、およびメタクリル酸メチル、およびそれらの混合物からなる群から選択される;ここで、該単量体と該不飽和プレポリマー樹脂との比は、該a)およびb)の重量基準で、約40:60〜約72:25である;
c)少なくとも約225phrの導電性充填剤であって、該組成物から製造した成形生成物は、ASTM Test No.F1529−97に従って測定したとき、少なくとも約55S/cmのバルク導電率を有する;
d)約0.5〜約4.0phrの開始剤であって、該開始剤は、該共重合を開始する;ならびに
e)約0.5〜約20phrのレオロジー改質剤であって、該レオロジー改質剤は、第II族の酸化物および水酸化物、カルボジアミド、アジリジン、ポリイソシアネート、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロポリエーテル、ポリエチレン、粘土およびヒュームドシリカおよびそれらの混合物からなる群から選択される1種またはそれ以上の組成物である、
導電性成形組成物。
(項目34) 前記プレポリマー樹脂が、エポキシビニル樹脂、ビスフェノールフマレート樹脂、変性ビスフェノールフマレートポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン変性ビニルエステル樹脂、ウレタン変性ビニルエステル樹脂、ビスフェノール−エポキシビニルエステル樹脂、エラストマー変性ビニルエステル樹脂、エポキシノボラックビニルエステル樹脂および不飽和イソシアヌレートビニルエステル樹脂からなる群から選択される、項目33に記載の導電性成形組成物。
(項目35) 前記導電性充填剤は、粒子状充填剤または薄片状充填剤であり、該導電性充填剤の量は、少なくとも250phrである、項目34に記載の導電性成形組成物。
(項目36) 前記導電性充填剤が、グラファイト充填剤であり、該導電性充填剤の量が少なくとも275phrである、項目35に記載の導電性成形組成物。
(項目37) 前記レオロジー改質剤が酸化マグネシウムおよび/または酸化カルシウムを含み、前記有効量が約0.5phr〜約20phrである、項目33に記載の導電性成形組成物。
(項目38) 前記レオロジー改質剤がアジリジン、カルボジアミド、およびポリイソシアネートのうちの1つ以上であり、前記有効量が0.5phr〜20phrである、項目33に記載の導電性成形組成物。
(項目39) 前記改質剤が、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロポリエーテルのうちの1つ以上を含み、前記有効量が約0.5phr〜約20phrである、項目33に記載の導電性成形組成物。
(項目40) 前記レオロジー改質剤がポリイソシアネートであり、前記有効量が約0.5phr〜約20phrである、項目33に記載の導電性成形組成物。
(項目41) 前記共重合可能物質が、スチレンおよびメタクリル酸メチルからなる群から選択される1種またはそれ以上の単量体である、項目33に記載の導電性成形組成物。
(項目42) 前記開始剤が過酸化物、ヒドロペルオキシド、レドックス系、ジアゾ化合物、過硫酸塩、および過安息香酸塩からなる群より選択され、約0.05phr〜約20phrの量で使用される、項目33に記載の導電性成形組成物。
(項目43) カーボンブラックをさらに含む、項目42に記載の導電性成形組成物。
(項目44) 強化充填剤をさらに含む、項目43に記載の導電性成形組成物。
(項目45) 以下のa)、b)、c)、d)およびe)の硬化反応生成物を含む導電性成形品:
a)100部の不飽和プレポリマー樹脂であって、該不飽和プレポリマー樹脂は、不飽和ポリエステルおよびビニルエステル樹脂の1種またはそれ以上を含有する;
b)不飽和単量体であって、該不飽和単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、およびメタクリル酸メチル、およびそれらの混合物からなる群から選択される;ここで、該単量体と該不飽和プレポリマー樹脂との比は、該a)およびb)の重量基準で、約40:60〜約72:25である;
c)少なくとも約225phrの導電性充填剤であって、該組成物から製造した成形生成物は、ASTM Test No.F1529−97に従って測定したとき、少なくとも約55S/cmのバルク導電率を有する;
d)約0.5〜約4.0phrの開始剤であって、該開始剤は、該共重合を開始する;ならびに
e)約0.5〜約20phrのレオロジー改質剤であって、該レオロジー改質剤は、第II族の酸化物および水酸化物、カルボジアミド、アジリジン、ポリイソシアネート、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロポリエーテル、ポリエチレン、粘土およびヒュームドシリカおよびそれらの混合物からなる群から選択される1種またはそれ以上の組成物である、
導電性成形品。
(項目46) 前記開始剤が過酸化物、ヒドロペルオキシド、レドックス系、ジアゾ化合物、過硫酸塩、および過安息香酸塩からなる群より選択され、約0.5phr〜約4phrの量で使用される、項目45に記載の導電性成形品。
(項目47) カーボンブラックをさらに含む、項目46に記載の導電性成形品。
(項目48) 強化充填剤をさらに含む、項目46に記載の導電性成形品。
(項目49) 前記不飽和プレポリマー樹脂がエポキシビニル樹脂、ビスフェノールフマレート樹脂、変性ビスフェノールフマレートポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン変性ビニルエステル樹脂、ウレタン変性ビニルエステル樹脂、ビスフェノール−エポキシビニルエステル樹脂、エラストマー変性ビニルエステル樹脂、エポキシノボラックビニルエステル樹脂および不飽和イソシアヌレートビニルエステル樹脂からなる群から選択される1つ以上の樹脂である、項目45に記載の導電性成形品。
(項目50) 以下a)〜d)
a)不飽和プレポリマー樹脂であって、該プレポリマー樹脂は、1種またはそれ以上の不飽和ポリエステルおよびビニルエステル樹脂を含有する;
b)該樹脂と共重合可能な不飽和物質であって、該不飽和物質は、末端エチレン基を含有する;
c)該組成物の全重量の少なくとも50%を占める導電性充填剤;
d)開始剤であって、該開始剤は、該共重合を開始する、
を含む組成物の反応生成物である高充填ポリマーを成形する方法であって、
該方法が、第II族の酸化物および水酸化物、カルボジアミド、アジリジン、ポリイソシアネート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロポリエーテル(PEPE)、ポリエチレン、粘土およびヒュームドシリカからなる群から選択されるレオロジー剤の硬化の前に添加する工程;および続いて、該組成物を、硬化を開始する熱及び圧力下で成形し、該製品を形成する工程を包含する、方法。
(項目51) 前記成形が、圧縮成形または射出成形のいずれかである、項目50に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、双極電池プレートを利用する燃料電池アセンブリの図示である。
【図2】図2は、本発明に従って製造できる双極燃料電池プレートの図示である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
本発明は、導電性成形組成物での改良に関する。特に、これらの組成物は、圧縮成形プロセスおよび射出成形プロセスで使用できる。さらに、これらの組成物により、高濃度の導電性充填剤を有する薄くて複雑な試験片の製造が可能となる。
【0018】
シート成形組成物およびバルク成形組成物は、米国特許第5,998,510号;第5,342,554号;第5,854,317号;第5,744,816号;および第5,268,400号で記述されている;これらの全ての内容は、当該技術分野で公知の成形組成物の種々の改良に関するそれらの教示について、本明細書中で参考として援用されている。
【0019】
成形樹脂組成物の1成分には、架橋可能プレポリマー(例えば、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂)がある。望ましくは、このプレポリマーは、比較的に低い分子量(例えば、約200〜約5000(重量平均))を有する。それらは、上記特許(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)の実施例で、詳細に記述されている。これらのポリエステル樹脂は、不飽和多塩基酸および/または無水物とポリオール(例えば、ジヒドロキシまたはトリヒドロキシ化合物)との縮合から誘導された縮合生成物である。望ましくは、これらのポリエステル樹脂は、二酸または二酸無水物(これは、一般に、約3個〜約12個の炭素原子、さらに好ましくは、約4個〜約8個の炭素原子を有する)とポリオールまたは環状エーテル(これは、約2個〜約12個の炭素原子、さらに好ましくは、約2個〜約6個の炭素原子を有する)とのエステル化反応生成物である。
【0020】
一般に、使用できるビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂と一官能性エチレン性不飽和カルボン酸との反応生成物である。さらに具体的には、これらのビニルエステル樹脂は、エポキシ末端オリゴマー(例えば、エポキシ官能化ビスフェノールA)とアクリル酸またはメタクリル酸との反応生成物であり、このオリゴマー上でアクリル末端基を形成する。これらのビニルエステルは、大部分は、末端不飽和を有するのに対して、これらの不飽和ポリエステルは、大部分は、内部不飽和を有する。
【0021】
この成形組成物の別の成分は、この樹脂と共重合可能な1種またはそれ以上の不飽和単量体である。望ましくは、この成分は、室温で、この樹脂成分を溶解できる。それゆえ、1実施態様では、この樹脂は、残りの成分と配合する前に、この単量体成分に溶解される。適当な単量体の例には、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、メタクリル酸メチル、およびこれらの混合物があり、好ましい単量体は、スチレンおよびメタクリル酸メチルである。単量体と樹脂との比は、重量基準で、望ましくは、約40:60〜約75:25、好ましくは、約40:60〜約65:35である。
【0022】
この成形組成物の別の成分は、充填剤である。本発明によれば、その主な充填剤は、最終成形品のに導電性を与えるための導電性充填剤である。好ましい充填剤は、グラファイト粒子、特に、合成結晶性グラファイト粒子(例えば、現在、Asbury,New JerseyのAsbury Graphiteにより、Asbury 4012の名称で調達したもの)である。このグラファイトは、直径150ミクロンより大きい粒子を10%未満で有し、直径44ミクロンより小さい粒子を10%未満で有することにより、特徴付けられる。他のグラファイト充填剤には、以下が挙げられる:Ashbury A99、Ashbury
3243、Ashbury変性4012、Ashbury 3285、Ashbury 230U;TimrexR KS 75および150、TimrexR KC 44(全て、WestlakeのTIMCALにより販売されている)、Ohio;およびCalgraph(これは、Valencia, CaliforniaのSGL Technic Incから販売されている)。この充填剤は、少なくとも50重量%の装填量で使用される。他の導電性充填剤(例えば、他の型のグラファイト(グラファイトピッチベースの繊維を含めて)、金属粒子、または金属被覆粒子)は、グラファイト充填剤と共に、または単独でさえ、使用され得る。望ましくは、導電性充填剤は、この成形組成物の少なくとも約50重量%、約60重量%、または約65重量%である。さらに望ましくは、この充填剤は、この成形組成物の約70〜71重量%または約78重量%よりも多い。あるいは、この量は、少なくとも約250phr、さらに好ましくは、少なくとも約275phr、または300phrでさえ、表わすことができる。あるいは、これらの導電性充填剤は、約0.060〜約0.200インチの厚さを有する成形品について、ASTM Test Standard No.F1529−97に従って測定したとき、少なくとも約40、約50、約60、約70、約80、約85、約90または約96S/cmのバルク導電率を生じる有効量で、存在する。燃料電池プレートにおける現在の技術は、少なくとも約55、好ましくは、少なくとも約70のバルク導電率を使用する。
【0023】
開始剤は、この成形組成物の他の成分である。この開始剤は、この樹脂および単量体の共重合を開始する。開始剤には、成形条件下にて、正しい濃度で、ラジカルを形成できる任意の遊離ラジカル開始剤が挙げられる。それらには、過酸化物、ヒドロペルオキシド、レドックス系、ジアゾ化合物、過硫酸塩、過安息香酸塩などが挙げられ得る。これらの開始剤は、典型的には、約0.05〜約5重量%の量、さらに好ましくは、約0.1〜約2重量%の量で、使用される。あるいは、これらの量は、樹脂100重量部あたりの部、すなわち、約0.5〜約4.0phr、好ましくは、約0.7〜約3.0phr、最も好ましくは、約0.8〜約2.25phrで、表わされ得る。あるいは、成形用途には、高温開始剤(例えば、Dicup、例えば、過酸化ジクミル)が使用でき、この場合、さらに高い開始温度が望ましい。
【0024】
この改良成形組成物の必須成分には、レオロジー改質剤があり、これは、例えば、この樹脂プレポリマーの鎖伸長により、その分子量を大きくするように作用し得る。適当な改質剤には、第II族の酸化物および水酸化物(例えば、酸化カルシウムまたはマグネシウム);カルボジアミド;アジリジン;およびポリイソシアネートが挙げられる。前述の改質剤は、カルボキシ部位またはヒドロキシ部位において、その重合体骨格に共に反応させることにより、化学的に作用すると考えられている。他の適当な改質剤には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);パーフルオロポリエーテル(PFPE)、およびポリエチレンが挙げられる。これらの改質剤は、剪断を低くして、それにより、成形中において、この組成物中の流れを促進するように作用し得る。ヒュームドシリカは、物質の一例であり、これは、機械的に作用して、成形粘度を高めるように作用し得、従って、本発明の適当なレオロジー改質剤であり得る。2種またはそれ以上のレオロジー改質剤の組合せは、最適な特性のために、望まれ得る。この用途では、それらは、(特に、この導電性充填剤の高い装填量(すなわち、グラファイトの50重量%を超え、65重量%でさえ)を考慮して)、この導電性充填剤からの樹脂の相分離を防止するために、この樹脂構造を変性するように使用される。これらの改質剤は、さらに、一般に、高解像度の導電性重合体燃料電池プレートが完成できるようにするために、使用される。
【0025】
望ましくは、これらのレオロジー改質剤は、成形中の相分離を防止する有効量で、使用される。この用途の目的のために、成形は、望ましくは、約400〜約5000psi、好ましくは、約2000〜約3500psi、最も好ましくは、約2500〜約3000psiの圧力でなされる。第II族酸化物(第II族水酸化物およびこれらの化合物の混合物を含めて)の望ましい量は、約0.1〜約1または約2重量%、さらに望ましくは、約0.2または約0.3〜約0.7または約0.8重量%である。これはまた、約0.5〜約4.0phr、好ましくは、約1.0〜約3.0phr、最も好ましくは、約1.5〜約2.5phrとして、表わすことができる。好ましい具体的な化合物には、酸化マグネシウム、または水酸化マグネシウムまたは酸化カルシウムが挙げられる。適当な酸化マグネシウム添加剤の例には、Danver,MAのMorton Thiokolから「Elastomag」の商品名で販売されている99%純粋酸化マグネシウムがある。他の例には、Plasticolorsにより「pg−9033」の商品名で販売されている酸化マグネシウム分散体、および「pg−91146」の商品名でまたPlasticolorsにより販売されている水酸化マグネシウム分散体が挙げられる。別の適当な水酸化マグネシウムには、Barcroftがあり、これは、粉末化した型である。アジリジン化合物の例としては、XAMAの商品名称でEIT,Inc.から調達した多官能性アジリジン(XAMA−2(これは、トリメチロールプロパン−トリス(β−(N−アジリジニル)プロピオネートとして同定されている))、特に、XAMA−7(これは、ペンタエリスリトール−トリス−(β−(アジリジニル)プロピオネート)として同定されている));PFAZ322(これは、三官能性アジリジンとして同定されている)を含めたlonacの商品名のSybron Chemicalsの製品、CX−100を含めたZeneca Resinsの製品(これは、多官能性アジリジンとして同定されている)が挙げられる。アジリジンおよび/またはポリイソシアネート改質剤の望ましい量は、約1〜約10または約15重量%であり、さらに望ましくは、約2または約3〜約8または約9重量%である。これはまた、約0.5〜約20phr、好ましくは、約1〜約17phr、最も好ましくは、約2〜約15phrとして、表わすことができる。ポリイソシアネートは、一般に、米国特許第5,268,400号、6欄、59行〜7欄、17行で、さらに詳細に記述されている。使用できる具体的なジイソシアネートには、ジフェニルメタンジイソシアネート(例えば、「Rubinate」RMF−1780の商品名で、West Deptfold,New JerseyのICI Americasから販売されているもの)がある。それに加えて、適当なジイソシアネートには、Lupranate MP−102(BASF製の溶媒無しのウレタン変性ジフェニルメタンジイソシアネート)がある。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(および/またはパーフルオロポリエーテル(PFPE))の所望量は、約0.5〜約1または約2重量%、さらに好ましくは、約0.6または約0.7〜約1.8または約1.3重量%である。これはまた、約0.5〜約20phr、好ましくは、約3〜約15phr、最も好ましくは、約5〜約12phrとして、表わすことができる。適当な微粒子PTFE粉末(これは、Coulter Counterにより、 ミクロン未満の平均粒径を有する)は、West Chester,PennsylvaniaのMarshall Products Companyから、「Marzon #5」の商品名で販売されている。直鎖状低密度ポリエチレン(例えば、FN510の商品名で、Houston TexasのEquistarから販売されているもの)を使用するのが好ましい。それを、約3〜約20phr、さらに好ましくは、約4〜約17phr、最も好ましくは、約5〜約15phrの量で使用するのが好ましい。ヒュームドシリカは、約0.5〜約20phr、好ましくは、約1〜約10phrで使用できる。
【0026】
成形組成物への他の任意の成分には、ウレタンベースまたはウレタン含有オリゴマーまたは重合体、ポリ酢酸ビニルまたはポリエチレンのような低収縮添加剤;繊維状強化剤(例えば、綿ガラスマイクロファイバーまたはグラファイトマイクロファイバー);可撓化剤;離型剤;保存中または成形の初期段階での早期重合を禁止する重合禁止剤;ヒュームドシリカのような粘度調節剤;およびカルシウム、亜鉛またはマグネシウムのステアリン酸塩のような金型潤滑剤が挙げられる。その表面導電性に影響を及ぼし成形品の外観を変えるために、カーボンブラックが添加され得る。適当なカーボンブラックには、270m2/gの窒素表面積、145m2/gのSTSA表面積、35メッシュで0ppmおよび325メッシュで20ppmのふるい残渣を有する導電性低残渣カーボンブラックが挙げられ、これは、例えば、Jamesburg,NJのColumbia ChemicalsからConductex 975の商品名で販売されている。また、適当な導電性カーボンブラックは、Ketjenblack EC−300JおよびEC−600JDの商品名で、Chicago,IllinoisのAkzo Nobel Chemicalsから調達される。Boston MAのCabot Corporationもまた、導電性カーボンブラックを提供している。ポリエチレンおよびヒュームドシリカは、前述の機能に加えて、レオロジー改質剤として機能できることが注目される。
【0027】
これらの成形組成物は、連続法またはバッチ法のいずれかを含めた種々の混合条件を使用して、また、種々の公知の混合設備を使用して、調合され混合され得る。具体的な例は、実施例の項目で述べる。これらの組成物は、有利には、成形前、適当な時間にわたって保存され得る。これらの組成物は、圧縮成形および射出成形を含めた種々の方法により、成形できる。これらの組成物は、これらの種類の成形に典型的な条件(約400〜約5000psi、好ましくは、約2000〜約3500psi、最も好ましくは、約2500〜約3000psiの圧力、および約225〜約400°Fの温度を含めて)下にて、成形できる。滞留時間は、約70秒間〜約4分間である。これらの組成物は、薄いまたは複雑な導電性製品を含めた複雑な形状(例えば、約0.050〜約0.200インチ、さらに好ましくは、約0.060〜約0.150インチの厚さを有するもの)を成形するのに有用である。これらの組成物は、上で示した厚さで、少なくとも40、50、60、70、80、85、90または96S/cmのバルク導電率を有する製品に有用である。この組成物に由来の製品は、望ましくは、ASTM試験No.D638に従って測定した約1500〜約5000psiの引張り強度およびASTM試験no.D790に従って試験したとき、約2500〜約10,000psiの曲げ弾性率を有する。
【0028】
本発明の組成物から製造した成形品は、複雑な形状、導電性だけでなく強度および腐食耐性が要求される種々の用途に有用である。圧縮成形で製造できる1つの特に有利な製品には、燃料電池で使用する双極プレートがある。このようなプレートの一例は、図1で示されている。このプレートの図面は、本発明の導電性化合物の成形性能を図示することを意図している。それは、必ずしも、最適な、または操作可能なフィールド流動設計を提供する目的ではない。それは、いずれの様式でも、本発明を限定するべきではない。プレート10は、1個またはそれ以上の略平行および/または蛇行したフローチャンネル12を備えた流体流れ面を含む。これらのフローチャンネルは、ポート14および16(これらは、対応する入口と流体連絡しており、マニホルド18および19を出ていく)を通って、流体を受容し移送する。このプレートは、長さおよび幅が1〜20インチで変わる寸法を有し、0.02〜0.3インチの厚さを有し、このフローチャンネルの断面深さは、約0.005〜0.080インチの範囲である。隣接フローチャンネル部分を隔てているランドの断面幅は、0.01〜0.1インチの範囲である。このプレートは、多数の周辺スルーホール20を含み得、これらは、燃料輸送用のマニホルドとして作用する。
【0029】
図2は、燃料電池の未組み立て部品を図示している。この燃料電池は、ベースユニット12(これは、改質装置14を受容する陰刻手段を含む)および燃料電池スタック16(これは、複数の双極プレート20から構成されており、これらのプレートは、スタックキャップ22とスタックベース24との間に挟まれている)を有する。この燃料電池は、さらに、熱交換器26を含む。囲壁30は、このユニットに対して、漏れ防止ハウジングを提供する。
【実施例】
【0030】
(実施例)
以下の実施例は、以下で述べる成分を使用する。
【0031】
樹脂Aは、Columbus,OhioのAshland Chemical
Co.から入手できるHetron 922である。それは、低粘度のエポキシビニルエステル樹脂である。それは、約55重量%の固形分および約45重量%の反応性単量体である。
【0032】
樹脂Bは、Research Triangle Park,NCのReichhold Chemicals,Inc.製のAtlac 382ESである。それは、ビスフェノールフマレート樹脂として、特徴付けられる。それを、スチレンで、約55重量%の固形分まで希釈した。
【0033】
樹脂Cは、スチレンで55重量%の固形分まで希釈したDion 6694である。それは、Reichhold Chemicals,Inc.から入手できる。それは、変性ビスフェノールフマレートポリエステルとして特徴付けられる。
【0034】
樹脂Dは、Kansas City,MOのCook Composites
and Polymers製の42−2641である。それは、スチレンで、55重量%の固形分まで希釈した。それは、不飽和ポリエステル樹脂として、特徴付けられる。
【0035】
樹脂Eは、Reichhold Chemicals,Inc.製のATLAC 3581−61である。それは、50重量%のスチレンと組み合わせた19重量%のビニルエステル樹脂、27重量%のポリエステルおよび4重量%のウレタン重合体として、特徴付けられる。それゆえ、それは、スチレンで50重量%の固形分まで希釈した。
【0036】
樹脂Fは、Reichhold Chemicals,Inc.製の580−05である。それは、ウレタン変性ビニルエステル樹脂として、特徴付けられる。それは、スチレンで54重量%の固形分まで希釈した。
【0037】
樹脂Gは、Reichhold Chemicals,Inc.製の9100である。それは、ビスフェノール−エポキシビニルエステルとして、特徴付けられる。それは、スチレンで54〜58重量%の固形分まで希釈した。
【0038】
樹脂Hは、Dow Chemicals,Inc.製のDow Derakane R8084である。それは、エラストマー変性ビニルエステル樹脂として、特徴付けられる。それは、スチレンで50〜60重量%の固形分まで希釈した。
【0039】
樹脂Iは、Reichhold Chemicals,Inc.製の9480−00である。それは、エポキシノボラックビニルエステルとして、特徴付けられる。それは、スチレンで53.5重量%の固形分まで希釈した。
【0040】
樹脂Jは、Reichhold Chemicals,Inc.製のAtlac 31−632である。それは、不飽和イソシアヌレートビニルエステル樹脂である。
【0041】
レオロジー改質剤Aは、Danvers,MAのMorton Thiokol,Inc.製のElastomagである。それは、99%純粋酸化マグネシウムとして、特徴付けられる。
【0042】
レオロジー改質剤Bは、ポリイソシアネートである。これらの実験で使用した物質は、Cook Composites and Polymers製の40−7263である。それは、17.7〜20.9のNCO含量、110〜170の粘度、87°Fの引火点および゜40°Fの結晶化点により、特徴付けられる。
【0043】
レオロジー改質剤Cは、Reichhold,Inc.製のRCI RD THL55(これはまた、RD−1070としても知られている)である。それは、具体的には、ポリウレタン樹脂である。
【0044】
レオロジー改質剤Dは、ICIから入手できるRubinate 1780である。それは、重合体メチレンジフェニルジイソシアネートとして、特徴付けられる。
【0045】
レオロジー改質剤Eは、West Chester,PennsylvaniaのMarshall Products Company製のMarzon #5である。それは、細かく分割した粉末ポリテトラフルオロエチレンとして、特徴付けられる。
【0046】
レオロジー改質剤Fは、FN−510であり、これは、低密度直鎖状ポリエチレンである。
【0047】
開始剤Aは、Dupont,I & B Industrial and Biochemical Dept,Wilmington DEから入手できるVazo(2,2−アゾビスイソブチロニトリル)である。
【0048】
開始剤Bは、Pittsburgh,PAのDurr Marketingから入手できる第三級ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(Triginox BPIC)である。
【0049】
開始剤Cは、Durr Marketingから入手できる過安息香酸t−ブチル(TBPB)である。
【0050】
開始剤Dは、Durr Marketingから入手できる1,3 ジ−t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン触媒(Trig 29B75)である。
【0051】
この離型剤は、ステアリン酸カルシウムである。
【0052】
グラファイトAは、Asbury,NJのAsbury Graphiteから入手できる合成結晶性グラファイトである。それは、直径150ミクロンより大きい粒子を10%未満で有しかつ直径44ミクロンより小さい粒子を10%未満で有することにより、特徴付けられる。それは、4012の名称で入手できる。
【0053】
グラファイトBは、SGL 02の商品名称で、Valencia,CaliforniaのSGL Technicから入手できる非常に細かい導電性微粒子グラファイトである。
【0054】
グラファイトCは、SGLVFINEの商品名称でValencia,CaliforniaのSGL Technicから入手できる導電性微粒子グラファイトである。
【0055】
グラファイトDは、Asbury,NJのAsbury Graphiteから入手できる。それは、改良型の4012製品である。
【0056】
グラファイトEは、3243の商品名称でAsbury,NJのAsbury
Graphiteから入手できる導電性薄片グラファイトである。それは、直径75ミクロンより大きい粒子を18%未満で有しかつ直径44ミクロンより小さい粒子を65%未満で有することにより、特徴付けられる。
【0057】
グラファイトFは、230Uの商品名称でAsbury,NJのAsbury
Graphiteから入手できる導電性薄片グラファイトである。それは、直径44ミクロンより小さい粒子を100%有することにより、特徴付けられる。
【0058】
グラファイトGは、商品名称A99でAsbury,NJのAsbury Graphiteから入手できる合成グラファイトである。それは、直径44ミクロンより大きい粒子を3%未満で有しかつ直径44ミクロンより小さい粒子を99%未満で有することにより、特徴付けられる。
【0059】
グラファイトHは、KS 75の名称でTimrex America,Inc.から入手できる合成グラファイトである。それは、直径96ミクロンより大きい粒子を95%未満で有しかつ直径75ミクロンより小さい粒子を95%未満で有することにより、特徴付けられる。
【0060】
グラファイトIは、KS 150の名称でTimrex America,Inc.から入手できる合成グラファイトである。それは、直径180ミクロンより小さい粒子を少なくとも95%で有することにより、特徴付けられる。
【0061】
グラファイトJは、KC 44の名称でTimrex America,Inc.から入手できる合成グラファイトである。それは、直径48ミクロンより小さい粒子を少なくとも90%で有することにより、特徴付けられる。
【0062】
カーボンブラックBは、270m2/gの窒素表面積、145m2/gのSTSA表面積、35メッシュで0ppmおよび325メッシュで20ppmのふるい残渣を有する電気的導電性低残渣カーボンブラックとして特徴付けられ、これは、Jamesburg,NJのColumbia ChemicalsからConductex 975の商品名で販売されている。
【0063】
カーボンブラックCは、Black Pearlsの商品名でBoston,MAのCabot Corporationから調達した導電性カーボンブラックであるのに対して、グラファイトDは、商品XC−72でこの企業から調達した。
【0064】
カーボンブラックEは、Ketjenblack EC−300JおよびEC−600JDの商品名でChicago,IllinoisのAkzo Nobel Chemicalsから調達した導電性カーボンブラックである。EC−300Jは、740〜840mg/gのヨウ素吸収;310〜345cm3/100gの細孔容量および125〜145kg/m3の見かけバルク密度を有する。EC−600JDは、1000〜1150mg/gのヨウ素吸収;480〜510cm3/100gの細孔容量および100〜120kg/m3の見かけバルク密度を有する。
【0065】
それらのガラス繊維は、Owens−Corning Fiberglass製であり、特定長にハンマー製粉された連続ガラスフィラメントとして特徴付けられ、強化充填剤媒体として使用される。
【0066】
その禁止剤は、2,6−ジ−第三級ブチル−p−クレゾール(ビニルトルエン中で25%)であった。
【0067】
これらの成形組成物は、一般に、この樹脂、単量体開始剤、禁止剤、離型剤およびレオロジー改質剤(もし存在するなら)を高剪断カウ(cowels)調合器に添加して2分間ブレンドすることにより、調製される。Baker Perkin Mixerにて、この混合物に、この導電性充填剤を添加し、そして15分間混合する。混合が完了すると、この組成物を適当なバリアバッグに入れ、そして成形前、およそ1日間にわたって、熟成させる。
【0068】
これらの成形組成物の成形パラメータは、以下のようである:飾り板用には、成形温度は、295°Fであり、3分間の成形時間および173gの充填重量
であった。新型双極プレートの成形温度は、290°Fであり、3分間の成形時間および300gの充填重量であった。種々のレオロジー添加剤(濃厚剤)と組み合わせて導電性充填剤と共に特定の熱硬化性樹脂を使用すると、電気化学的(例えば、燃料電池双極)プレートの大量生産で使用できる製品を有することに関して、双極プレート組成物を改良することが認められた。
【0069】
その調合を変えた成果には、割れのない成形化合物、金型からの良好な熱強度、低い製造コスト、短いサイクル時間、良好な全体的電気的導電率、高い機械的特性、および良好なレオロジー特性が挙げられる。
【0070】
表1Aでは、Control L−23012は、プレートの成形中に割れを受け、そして成形中に導電性充填剤が相分離するために、このプレートの表面に沿って不均一な導電率および抵抗率を有した。Samples L−23185、L−23120、L−23119およびL−23126は、所望の特性を有していた。
【0071】
表1Bでは、Samples L−23125、L−23186、L−23039は、所望の特性を有していた。Samples L−23184およびL−23022は、最適なバルク導電率よりも低い導電率および最適な抵抗率よりも高い抵抗率を有していた。
【0072】
表1Cでは、Samples L−23023、L−23063、L−23024、L−323027およびL23026は、最適なバルク導電率よりも低い導電率および最適な抵抗率よりも高い抵抗率を有していた。
【0073】
表1Dでは、Samples L−23209およびL−23215は、良好な特性を有していた。Samples L−23028、L−23210およびL−23211は、最適なバルク導電率よりも低い導電率および最適な抵抗率よりも高い抵抗率を有していた。
【0074】
【表1A】

【0075】
【表1B】

【0076】
【表1C】

【0077】
【表1D】

【0078】
【表2A】

【0079】
【表2B】

【0080】
【表2C】

【0081】
【表2D】

【0082】
【表3A】

【0083】
【表3B】

【0084】
【表3C】

【0085】
【表3D】

【0086】
【表4A】

【0087】
【表4B】

【0088】
【表4C】

【0089】
【表4D】

【0090】
【表5A】

【0091】
【表5B】

【0092】
【表5C】

【0093】
【表5D】

【0094】
【表6A】

【0095】
【表6B】

【0096】
【表6C】

【0097】
【表6D】

【0098】
【表7A】

【0099】
【表7B】

【0100】
【表7C】

【0101】
【表7D】

【0102】
【表8A】

【0103】
【表8B】

【0104】
【表8C】

【0105】
【表8D】

特許規則に従って、最良の様式および好ましい実施形態が示されてきたが、本発明の範囲は、それに限定されず、むしろ添付の特許請求の範囲によって制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−99108(P2011−99108A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288956(P2010−288956)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【分割の表示】特願2000−607294(P2000−607294)の分割
【原出願日】平成12年3月17日(2000.3.17)
【出願人】(501369813)クアンタム コンポサイツ, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】