説明

高尿酸血症治療剤

【課題】 優れた効果を有し、副作用のより少ない高尿酸血症の予防薬または治療薬を提供する。
【解決手段】 抗酸化性置換基、例えば、水酸基を有するジベンゾチエピンまたはジベンゾオキセピン骨格を有する物質、例えば、式1
【化1】


〔式中
Xは、例えば、CH、CH2、CHR(Rは低級アルキル基、または置換低級アルキル基)、CRR’(R、R’は前記Rと同じ意味を表す)であり、
Yは、例えば、CH、CH2、C=Oであり、
Zは、例えば、O、S,S=O,SO2であり、
UはCまたはNであり、
1ないしR4はそれぞれ独立に、例えば水素原子、OR、SR(Rは前記と同じ意味を表す)、または芳香環、置換芳香環、複素環であり、
5ないしR8のうち少なくとも一つは、例えば、OHであり、
5ないしR8の残りはそれぞれ独立に、例えば、水素原子またはOHである。]で表される化合物、その光学異性体、その抱合体またはそれらの薬剤学的に許容される塩を有効成分として含有する高尿酸血症の予防剤または治療剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物を有効成分として含有する高尿酸血症の治療または予防のための組成物、高尿酸血症の治療または予防のための医薬を製造するためのそれらの使用、あるいはそれらの薬理的な有効量を温血動物に投与する高尿酸血症の治療方法または予防方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高尿酸血症とは、血漿中の尿酸が異常に高くなる疾病であり、血液中の尿酸の代謝異常で尿酸値が7.0mg/dl以上の場合をいう。高尿酸血症は血中尿酸濃度が一定値以上になると尿酸ナトリウムとして析出し、関節腔や腎に沈着し、痛風、腎障害、血管障害を引き起こす。高尿酸血症の原因には、尿酸の排泄低下、尿酸の過剰生産、プリン代謝の酵素異常、増血器疾患、腎障害などの他の疾患に伴うものやピラジナミド、サイアザイドなどの薬剤投与などがある。
高尿酸血症としては、例えば痛風(急性痛風関節炎、慢性トーフス性関節炎など)、尿路結石、高尿酸血症性腎症(慢性痛風性腎症、急性高尿酸血症性腎症)、Lesch-Nyhan 症候群などが含まれる。
【0003】
従来、治療法としてはアルコール制限、カロリー摂取量の制限などによる食事療法を行い、それでも不十分な場合は尿酸排泄促進剤または尿酸合成阻害剤を投与する方法が知られている。 薬剤投与による高尿酸血症、特に痛風、の治療法としては、コルヒチンなどの鎮痛発作治療薬、インドメタシンなどの鎮痛抗炎症剤、プロベネシド、スルフィンピラゾン、ケトフェニルブタゾン、ブコローム、ベンズブロマロンなどの尿酸排泄剤、アロプリノールなどの尿酸合成阻害剤などが使用されている。これらのうち、現在、最も多く使用されているアロプリノール、ベンズブロマロンはいずれも肝障害による死者が報告されており、副作用が少なく安心して使用できる薬剤の出現が望まれている。
【0004】
本発明者らは、抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物に抗酸化作用があることを特許文献1に、また、それら化合物に気管平滑筋弛緩作用があることを特許文献2に、さらに、抗喘息作用(平滑筋弛緩作用、抗炎症薬作用、気道過敏性抑制作用)を有することを特許文献3に記載している。しかしながら、これらの化合物が高尿酸血症に有用であるとの報告はない。
【0005】
特許文献4には、置換アミノアルコキシ基を有するジベンゾ[b,f]チエピンおよびジベンゾ[b,f]オキセピン化合物に高尿酸血症治療作用があることが記載されている。
【0006】
【特許文献1】国際公開第96/10021号パンフレット(ファミリーパテント:米国特許第5734067号明細書、欧州特許出願公開0805155号明細書)
【特許文献2】国際公開第97/25985号パンフレット(ファミリーパテント:米国特許第6180659号明細書、米国特許第6495592号、欧州特許出願公開0885610号明細書)
【特許文献3】国際公開第00/75127号パンフレット(ファミリーパテント:米国特許出願公開第2003-0220360号明細書、米国特許第6602898号、欧州特許出願公開1182200号明細書)
【特許文献4】特開平3−41022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
副作用が少なく、安心して使用できる有用な高尿酸血症の治療薬を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物の薬理作用について鋭意研究を行った結果、該化合物が血中の尿酸値を低下させることを見出した。
本発明は、抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物を有効成分として含有する高尿酸血症の治療または予防のための組成物、高尿酸血症の治療または予防のための医薬を製造するためのそれらの使用、それらの薬理的な有効量を温血動物に投与する高尿酸血症の治療方法または予防方法、並びにそれらを含む高尿酸血症の治療用または予防用キットを要旨とする。
(1)すなわち、本発明は、抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物、ジベンゾ[b,f]オキセピン化合物またはこれらの薬剤学的に許容される塩の1種または2種以上を有効成分として含有する高尿酸血症および痛風の予防剤または治療剤を提供する。
(2)また、本発明は、有効量の抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物またはこれらの薬剤学的に許容される塩の1種または2種以上を予防または治療を必要とする温血動物に投与することを含む高尿酸血症および痛風の予防方法または治療方法を提供する。
(3)さらに、本発明は、高尿酸血症および痛風の予防剤または治療剤を製造するための、1種または2種以上の抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物、ジベンゾ[b,f]オキセピン化合物またはこれらの薬剤学的に許容される塩の使用を提供する。
(4)加えて、本発明は、抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物、ジベンゾ[b,f]オキセピン化合物またはこれらの薬剤学的に許容される塩の1種または2種以上、及びアジュバント、希釈剤または担体を含む製剤、並びに使用説明書を含む高尿酸血症および痛風の予防用または治療用キットを提供する。
(5)本発明は、高尿酸血症および痛風の治療または予防のための薬剤組成物、痛風の治療または予防のための薬剤組成物、高尿酸血症および痛風の治療または予防のための医薬を製造するためのそれらの使用、それらの薬理的な有効量を温血動物に投与する高尿酸血症および痛風の治療方法または予防方法、並びにそれらを含む高尿酸血症および痛風の治療用または予防用キットに使用する抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物として一般式(1)
【化1】

[式中
X、Yは、
X−Yの結合が単結合である場合は、X、Yそれぞれ独立に(同一または異なって)、CW12(W1、W2はそれぞれ独立に(同一または異なって)、水素原子、ハロゲン、水酸基、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基のいずれかである)、C=O、C=NOW3(W3は水素原子または低級アルキル基)から選ばれる任意のものであり、
X−Yの結合が二重結合の場合は、X、Yそれぞれ独立に(同一または異なって)CW4(W4は水素原子、ハロゲン、水酸基、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルコキシ基、置換低級アルコキシ基、アシルオキシ基のいずれかである)であり、
Zは、
O,S,S=O,SO2から選ばれる任意のものであり、
1ないしR8は、
それぞれ独立に(同一または異なって)、水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、低級アルケニル基、置換低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換低級アルキニル基、ハロゲン基、低級アルキルカルボニル基、置換低級アルキルカルボニル基、トリハロメチル基、V15(V1はO,S、S=O、SO2から選ばれる任意のものであり、W5は水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルキルカルボニル基、置換低級アルキルカルボニル基、アシルオキシ基、トリハロメチル基から選ばれる任意のものである。)、ニトロ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、アシル基、アシルアミノ基、置換アシル基、置換アシルアミノ基、芳香環、置換芳香環、複素環、置換複素環から選ばれる任意のものであり、
1ないしR8の少なくともいずれか1つは水酸基である。]
で表される化合物、その光学異性体、その抱合体またはそれらの薬剤学的に許容される塩を提供する。
【0009】
(6)本発明の一側面によれば、上記(1)〜(4)に記載した本発明において使用する化合物は、(5)に記載の式1において、R1ないしR8の少なくともいずれか2つが水酸基である化合物である。2つの水酸基は、R6とR7、R6とR8、R5とR6のように同じ環上に置換しているものが好ましい。
(7)本発明の別の一側面によれば、上記(1)〜(4)に記載した本発明において使用する化合物として、(5)または(6)において、X−Yが単結合で、XがCW12(W1、W2の少なくとも一方が低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基から選ばれる任意のものである)であるか、X−Yが二重結合で、XがCW(Wは低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基から選ばれる任意のものである)である化合物である。
(8)本発明の更なる一側面によれば、上記(1)〜(4)に記載した本発明において使用する化合物として、上記(5)ないし(7)のいずれか1項において、YがCOである化合物が提供される。
(9)本発明の更なる一側面によれば、上記(1)〜(4)に記載した本発明において使用する化合物として、上記(7)または(8)において、低級アルキル基がメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基のいずれかである化合物が提供される。
(10)本発明の更なる一側面によれば、上記(1)〜(4)に記載した本発明において使用する化合物として、上記(5)または(6)において、R2またはR3が複素環、置換複素環、芳香環、置換芳香環のいずれかである化合物が提供される。
(11)本発明の更なる一側面によれば、上記(1)〜(4)に記載した本発明において使用する化合物として、上記(5)または(6)において、R2またはR3がSW8(W8は低級アルキル基または置換低級アルキル基)または、S(O)W9(W9は低級アルキル基または置換アルキル基)である化合物が提供される。
(12)本発明の更なる一側面によれば、上記(1)〜(4)に記載した本発明において使用する化合物として、上記(11)において、低級アルキル基がメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基のいずれかである化合物が提供される。
(13)本発明の更なる一側面によれば、上記(1)〜(4)に記載した本発明において、抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物が、7,8−ジヒドロキシ−11−エチル−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−10−オン、11−ジエチル−7,8−ジヒドロキシ−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−10−オン、7,9−ジヒドロキシ−2−メチルチオ−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−10−オンから選択された化合物、その光学異性体、その抱合体またはそれらの薬剤学的に許容される塩が提供される。
(14)本発明の更なる一側面によれば、上記(1)ないし(13)のいずれかの抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物を有効成分として含有する高尿酸血症および痛風の治療または予防のための薬剤組成物、高尿酸血症および痛風の治療または予防のための薬剤組成物が提供される。
(15)本発明の更なる一側面によれば、高尿酸血症および痛風の治療または予防のための医薬を製造するための、上記(1)ないし(13)のいずれかの抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物の使用が提供される。
(16)本発明の更なる一側面によれば、上記(1)ないし(13)のいずれかの抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物の薬理的な有効量を温血動物に投与する高尿酸血症および痛風の治療方法または予防方法が提供される。
(17)本発明の更なる一側面によれば、上記(1)ないし(13)のいずれかの抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物含む高尿酸血症および痛風の治療用または予防用キットが提供される。
【0010】
このような抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物としては、例えば以下の化合物を挙げることができる。
(I)国際公開第96/10021号パンフレット(ファミリーパテント:米国特許第
5734067号明細書、欧州特許出願公開0805155号明細書)に記載されている、一般式(2)
【化2】

[式中のX−YはCH2−C=O、CH2−CH2またはCH=CHであり、ZはO、S、S=Oであり、R1〜R8は水素原子、水酸基、ハロゲン基、低級アルキル基、低級アルコキシル基、低級アルキルケトンおよびCF3から選ばれ、且つR5〜R8のうち少なくとも二個は水酸基である。]で表される抗酸化性新規三環性縮合複素環化合物及びその塩。
【0011】
上記一般式2を有する化合物において、好ましい化合物は以下に示される。
6,9-ジヒドロキシ-7-メトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、6,7,9-トリヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、6,9-ジヒドロキシ-7-メトキシ-4-メチル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、4-メチル-6,7,9-トリヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、6,9-ジヒドロキシ-4,7-ジメトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、4,6,7,9-テトラヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、6,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、6,7-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、7,8,9-トリヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、6,7,8-トリヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、7,8-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-2,3-ジオール、3-クロロ-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、7-クロロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、3-クロロ-7,8-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、7-クロロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-2,3-ジオール、2-クロロ-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、8-クロロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、2-クロロ-7,8-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、8-クロロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-2,3-ジオール、3-フルオロ-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、7-フルオロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、3-フルオロ-7,8-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、7-フルオロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-2,3-ジオール、3,4-ジクロロ-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、6,7-ジクロロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、2-フルオロ-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、8-フルオロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、2-フルオロ-7,8-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、8-フルオロジベンゾ[b,f]オキセピン-2,3-ジオール、8-フルオロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-2,3-ジオール、2,4-ジクロロ-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、6,8-ジクロロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、4-クロロ-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、6-クロロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、7,9-ジヒドロキシ-2-トリフルオロメチル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、8-トリフルオロメチル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、2,3,7,9-テトラヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、4-プロピル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、2-プロピル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、7,8-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-10-オン、10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-2,3-ジオール、(±)-2,3-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-5-オキサイド、2-アセチル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、4-アセチル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、4,8-ジアセチル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、1-フルオロ-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、9-フルオロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、1-フルオロ-7,8-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、9-フルオロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-2,3-ジオール。
【0012】
(II)国際公開第97/25985号パンフレット、(ファミリーパテント:米国特許第6180659号明細書、米国特許第6495592号、欧州特許出願公開0885610号明細書)に記載されている、一般式(3)
【化3】

[式中X、Yは、X、Yの結合が単結合である場合は、XおよびYはそれぞれ独立にCH2、CHW1(ただしW1は、ハロゲン原子、水酸基あるいは低級アルコキシル基である。)、およびC=Oの群から選ばれる任意のものであり、また、X、Yの結合が二重結合である場合は、XおよびYはそれぞれ独立に、CH、COW2(ただしW2は低級アルキル基、低級アルキルカルボニル基)の群から選ばれる任意のものであり、ZはO、S、S=O、またはSO2であり、R1〜R8は各々、水素原子、VR9(VはO、S、S=O、またはSO2であり、R9は水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、低級アシル基、トリハロメチル基、またはカルボキシル低級アルキル基である。)、カルボキシル低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルケニル基、ヒドロキシ低級アルキニル基、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルキルケトン、トリハロメチル基、トリメチルシリルエチニル、ニトロ基、アミノ基、N−カルボニル低級アルキル基、低級アルキルフェニル基およびフェニル基の群から選ばれるものである。]で表される化合物またはその薬理上許容される塩。
【0013】
上記一般式3を有する化合物において、好ましい化合物は以下に示される。
7-ヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、9-ヒドロキシ-7-メトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジグリコール酸、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン、6,7,9-トリメトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、7-メトキシ-6,9,10-トリアセトキシジベンゾ[b,f]オキセピン、6-アセトキシ-9-ヒドロキシ-7-メトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、6,7,9,10-テトラメトキシジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン、2-フルオロ-8-ヒドロキシ-7-メトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、1-フルオロ-7,8-ジメトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、1,7,8-トリフルオロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、7,8-ジメトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-10-オン、8-ヒドロキシ-7-メトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-10-オン、7,8-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン-5,5-ジオキサイド、11-ブロモ-7,8-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、2-フルオロ-7-メトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン-8-イルトリメタンスルフォナート、2-フルオロ-7-メトキシ-8-トリメチルシリルエチニル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、2-ニトロ-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、2-アミノ-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、1,7,9-トリフルオロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、1,7,9-トリフルオロ-10,11-ジヒドロ-10-ヒドロキシジベンゾ[b,f]オキセピン、1,3,9-トリフルオロジベンゾ[b,f]オキセピン、1,3,9-トリフルオロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン、2-プロピオニル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、8-アミノ-1,3-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン、7,8-ジヒドロキシ-2-ニトロ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、9-ヒドロキシ-7-メトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-10-オン、7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-10-オン、10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-1,3-ジオール、2-アセチル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-1,3-ジオール、7,9,10-トリアセトキシジベンゾ[b,f]チエピン、2,4-ジアセチル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-1,3-ジオール、4-アセチル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-1,3-ジオール、8-アセチル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-1,3-ジオール、2-プロピオニル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-1,3-ジオール、4-プロピオニル-1-プロピオキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-3-オール、2,4-ジプロピオニル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-1,3-ジオール、4-プロピオニル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-1,3-ジオール、8-プロピオニル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-1,3-ジオール、8-アセチルジベンゾ[b,f]チエピン-2,3-ジオール、N-アセチル-7-アセトキシ-2-アミノ-9-ヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、N-アセチル-2-アミノ-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、8-アセチル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、8-(1-ヒドロキシエチル)-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-1,3-ジオール、7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-2-酢酸、7,8-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、7,8-ジヒドロキシ-2-メチル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、2-シクロヘキシル-7,8-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、2-(1-ブチル)-7,8-ジメトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、2-(t-ブチル)-7,8-ジメトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、7,8-ジヒドロキシ-1,3-ジメチル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、7,8-ジヒドロキシ-2-フェニル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、7,8-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-10-オン、7,8-ジヒドロキシ-2-メチル-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-10-オン、2-エチル-7,8-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-10-オン、7,8-ジヒドロキシ-2-(2-プロピル)-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン-10-オン、2-チオメチル-9-ヒドロキシ-7-メトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、2-チオメチル-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、2-チオメチル-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン S-オキシド、2-ブロモ-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、2-エチル-9-ヒドロキシ-7-メトキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、2-エチル-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、2-(1-フェニル-2-エチニル)-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、2-(3-ヒドロキシ-1-プロピル)-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、2-(4-ヒドロキシ-1-ブチニル)-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン、2-(5-ヒドロキシ-1-ペンチニル)-7,9-ジヒドロキシ-10,11-ジヒドロジベンゾ[b,f]オキセピン-10-オン。
【0014】
(III)国際公開第00/75127号パンフレット、(ファミリーパテント:米国特許出願公開第2003-0220360号明細書、米国特許第6602898号、欧州特許出願公開1182200号明細書)に記載されている、
(1)一般式(4)
【化4】

[式中
X、Yは、
X―Yの結合が単結合である場合は、X、Yそれぞれ独立に(同一または異なって)、CW12(W1、W2はそれぞれ独立に(同一または異なって)、水素原子、ハロゲン、水酸基、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基のいずれかである)、C=O、C=NOW3(W3は水素原子または低級アルキル基)から選ばれる任意のものであり、
X―Yの結合が二重結合の場合は、X、Yそれぞれ独立に(同一または異なって)CW4(W4は水素原子、ハロゲン、水酸基、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルコキシ基、アシルオキシ基のいずれかである)であり、
ZはO,S,S=O,SO2から選ばれる任意のものであり、
UはCまたはNであり、
1ないしR4はそれぞれ独立に(同一または異なって)、水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、低級アルケニル基、置換低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換低級アルキニル基、ハロゲン基、低級アルキルカルボニル基、置換低級アルキルカルボニル基、トリハロメチル基、V15(V1はO,S、S=O、SO2から選ばれる任意のものであり、W5は水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルキルカルボニル基、置換低級アルキルカルボニル基、アシルオキシ基、トリハロメチル基から選ばれる任意のものである。)、ニトロ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、アシル基、アシルアミノ基、置換アシル基、置換アシルアミノ基、芳香環、置換芳香環、複素環、置換複素環から選ばれる任意のものであり(UがNの場合、R4は存在しない場合もある)、
5ないしR8はそれぞれ独立に(同一または異なって)、水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルケニル基、置換低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換低級アルキニル基、ハロゲン基、低級アルキルカルボニル基、置換低級アルキルカルボニル基、トリハロメチル基、V27(V2はO,S、S=O、SO2から選ばれる任意のものであり、W7は水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルキルカルボニル基、置換低級アルキルカルボニル基、トリハロメチル基から選ばれる任意のものである。)、ニトロ基、アミノ基、置換アミノ基、アシルアミノ基、芳香環、置換芳香環、複素環、置換複素環から選ばれる任意のものである。
但し、XがCHW0、CW00またはCW0(式中、W0は低級アルキル基、置換低級アルキル基から選ばれる任意のものである)の場合は、R5ないしR8のうち少なくとも一つが水酸基であり(但し、X−YがCH(C25)COのときはR6が単独で水酸基ではない)、XがCHW0、CW00またはCW0(式中、W0は低級アルキル基、置換低級アルキル基から選ばれる任意のものである)以外の場合は、R5ないしR8のうち少なくとも1つは水酸基であり、またそれ以外のR5ないしR8のうち少なくとも1つの基はOR基(式中、Rは水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルキルカルボニル基および置換低級アルキルシリルから選ばれる任意のものである)である。
さらに、X−YがCH2CH2、CHBrCH2、CH2CO、CHBrCO、CH=CH、CH=COCOCH3、CH=COCH3の場合は
1ないしR4の少なくとも一つが芳香環、置換芳香環、複素環、置換複素環であるか(但し、R6およびR7の両方が水酸基の場合はR1ないしR4のいずれもフェニル基ではない)、
1ないしR4の少なくとも一つがSW8(W8は低級アルキル基または置換低級アルキル基)または、S(O)W9(W9は低級アルキル基または置換低級アルキル基)のいずれかであるか(但し、ZがOのときはR7は水素原子でない)、
2が低級アルキル基、または置換低級アルキル基のいずれかであり、かつ、R8は水酸基であるか(但し、ZがOのときは低級アルキル基の炭素数は3以上である)、
1ないしR4の少なくとも一つが低級アルキルカルボニル (但し、低級アルキル基の炭素数は3以上である)、シクロアルキルカルボニルまたはシクロアルケニルカルボニルであり、かつR8が水酸基であるか、
1ないしR4の少なくとも一つがシアノ基であるか、
1ないしR4の少なくとも一つがハロゲンであり、かつ、ZがS,S=OまたはSO2のいずれかであるか、
5およびR6が水酸基であり、かつ、ZがSであるか、
1ないしR4の少なくとも一つが−C(=NOR)CH3(Rは水素原子または低級アルキル基である)
のいずれかである。]
で表される化合物、その光学異性体、その抱合体またはそれらの薬剤学的に許容される塩。
【0015】
上記一般式4を有する化合物において好ましい化合物は以下に示される。
(2)R6が水酸基である(1)記載の化合物。
(3)R6およびR7が水酸基である(1)記載の化合物。
(4)R6およびR8が水酸基である(1)記載の化合物。
(5)R5およびR6が水酸基である(1)記載の化合物。
(6)X−Yが単結合で、XがCW12(W1、W2の少なくとも一方が低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基から選ばれる任意のものである)であるか、X−Yが二重結合で、XがCW(Wは低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基から選ばれる任意のものである)である(1)ないし(5)のいずれか1項記載の化合物。
(7)YがCOである(1)ないし(6)のいずれか1項記載の化合物。
(8)低級アルキル基がメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基のいずれかである(6)または(7)記載の化合物。
(9)R2またはR3が複素環、置換複素環、芳香環、置換芳香環のいずれかであるである(1)ないし(5)のいずれか1項記載の化合物。
(10)複素環が芳香性の複素環である(1)ないし(5)のいずれか1項記載の化合物。
(11)R2またはR3がSW8(W8は低級アルキル基または置換低級アルキル基)または、S(O)W9(W9は低級アルキル基または置換アルキル基)である(1)ないし(5)のいずれか1項記載の化合物。
(12)低級アルキル基がメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基のいずれかである(11)記載の化合物。
(13)ZがSである(1)ないし(12)のいずれか1項記載の化合物。
【0016】
上記の化合物中、特に好ましい化合物の例としては、次の化合物またはその光学異性体、抱合体または塩が挙げられる。
1)C環(R5〜R8)に2個の水酸基が存在し、11位(Xの位置)に低級アルキル基が存在する化合物、具体的には、7,8−ジヒドロキシ−11−エチル−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−10−オン、11−ジエチル−7,8−ジヒドロキシ−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−10−オン、11−メチル−7,8−ジヒドロキシ−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−10−オンなどが例示される。
2)C環(R5〜R8)に2個の水酸基が存在し、A環(R1〜R4)にチオ低級アルキル基が存在する化合物、具体的には、7,9−ジヒドロキシ−2−メチルチオ−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−10−オン、8−メチルチオ−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−1,3−ジオールなどが例示される。
3)C環(R5〜R8)に2個の水酸基が存在し、A環(R1〜R4)に複素環が結合する化合物、具体的には、7,9−ジヒドロキシ−3−(2−フリル)−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−10−オン、7−(2−チエニル)−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−1,3−ジオール、7−(2−フリル)−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−1,3−ジオールなどが例示される。
【0017】
本発明において、抗酸化性置換基とは水酸基、チオール基などである。
本願明細書において、「ハロゲン基」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかの基を意味する。また、本願明細書中で用いられる用語「トリハロメチル基」とは、メチル基の3個の水素原子がハロゲン原子によって置換された形の基を意味し、この3個のハロゲン原子はすべて同一であっても、2個以上の異なるハロゲン原子から構成されていてもよい。
【0018】
本願明細書において、「低級アルキル基」とは、例えば、直鎖状もしくは分枝状のC1-6アルキル基を意味する。C1-6アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルなどが用いられる。該「低級アルキル基」が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、ニトロ、アリール基、置換アリール基、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどのモノ−またはジ−C1-6アルキルアミノなど)、低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ヘキシルオキシなどのC1-6アルコキシなど)、低級アルキルカルボニルオキシ(例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシなどのC1-6アルキル−カルボニルオキシなど)またはハロゲン原子などから選ばれた1個もしくは2個以上が用いられる。なお、「低級アルコキシ基」における、低級アルキル部分は上記「低級アルキル基」について記載された意味を有する。
【0019】
本願明細書において、「シクロアルキル基」とは、例えば、C3-8の環状アルキル基を意味する。C3-8シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが用いられる。該「シクロアルキル基」が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、ニトロ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどのモノ−またはジ−C1-6アルキルアミノなど)、低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ヘキシルオキシなどのC1-6アルコキシなど)、低級アルキルカルボニルオキシ(例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシなどのC1-6アルキル−カルボニルオキシなど)またはハロゲン原子などから選ばれた1個もしくは2個以上が用いられる。
本願明細書において、「シクロアルケニル基」とは、シクロアルキル基の環状部分に二重結合が一つ以上存在するものを意味する。
【0020】
本願明細書において、「低級アルケニル基」とは、例えば、直鎖状もしくは分枝状のC2-6アルケニル基を意味する。C2-6アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、2−メチルアリル、i−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニルなどが用いられる。該「低級アルケニル基」が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、ニトロ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどのモノ−またはジ−C1-6アルキルアミノなど)、低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ヘキシルオキシなどのC1-6アルコキシなど)、低級アルキルカルボニルオキシ(例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシなどのC1-6アルキル−カルボニルオキシなど)またはハロゲン原子などから選ばれた1個もしくは2個以上が用いられる。
【0021】
本願明細書において、「低級アルキニル基」とは、例えば、直鎖状もしくは分枝状のC2-6アルキニル基を意味する。C2-6アルキニル基としては、例えば、エチニル、2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニルなどが用いられる。該「低級アルキニル基」が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、ニトロ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどのモノ−またはジ−C1-6アルキルアミノなど)、低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ヘキシルオキシなどのC1-6アルコキシなど)、低級アルキルカルボニルオキシ(例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシなどのC1-6アルキル−カルボニルオキシなど)、またはハロゲン原子などから選ばれた1個もしくは2個以上が用いられる。
【0022】
本願明細書において、「低級アルキルカルボニル基」における低級アルキル部分は上記「低級アルキル基」について記載された意味を有する。
本願明細書において、「置換アミノ基」における置換基としては、例えば、ヒドロキシ、カルボキシル、モノ−またはジ−低級アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ジメチル、ジエチルなどのモノ−またはジ−C1-6アルキル)、低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ヘキシルオキシなどのC1-6アルコキシなど)、低級アルキルカルボニルオキシ(例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシなどのC1-6アルキル−カルボニルオキシなど)、低級アルキルカルボニル(例えば、アセチルなど)またはハロゲン原子などから選ばれた1個もしくは2個が用いられる。
【0023】
本願明細書において、「アシル基」とは−COR(Rは、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、単環もしくは多環の芳香環または複素環等のいずれかを意味する)で表される基を意味する。本願明細書中で用いられる用語「アシルオキシ基」および「アシルアミノ基」におけるアシル部分も上記アシル基と同じ意味を表す。該「アシル基」および「アシルアミノ基」が有していてもよい置換基とはR上における置換基を意味し、例えば、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、ニトロ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどのモノ−またはジ−C1-6アルキルアミノなど)、低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ヘキシルオキシなどのC1-6アルコキシなど)、低級アルキルカルボニルオキシ(例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシなどのC1-6アルキル−カルボニルオキシなど)またはハロゲン原子などから選ばれた1個もしくは2個以上が用いられる。
【0024】
本願明細書において、「芳香環」とは芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた残りの原子団、すなわち、アリール基を意味する。特に、C6-14のアリール基が好ましい。C6-14アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、トリル、キシリル、ビフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、9−フェナントリル、1−アズレニル、2−アズレニル、4−アズレニル、5−アズレニル、6−アズレニルなどが用いられる。該「芳香環」が有していてもよい置換基としては、例えば、低級アルキル、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、ニトロ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどのモノ−またはジ−C1-6アルキルアミノなど)、低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ヘキシルオキシなどのC1-6アルコキシなど)、低級アルキルカルボニルオキシ(例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシなどのC1-6アルキル−カルボニルオキシなど)、トリハロメタン、トリハロメトキシ、ハロゲン原子またはフェニルなどのアリールなどから選ばれた1個もしくは2個以上が用いられる。
【0025】
本願明細書において、「複素環」とは、例えば、炭素原子以外に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などから選ばれた1ないし4個のヘテロ原子を含んでいてもよい3ないし7員の複素環から水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。複素環は縮合していてもよい。複素環の具体例としては、例えば、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロピラン、ピロール、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、チオフェン、ホモピペリジン、モルホリン、フラン、ピリジン、ベンゾフランあるいはベンゾチオフェンなどが挙げられる。該「複素環」が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシル、ニトロ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノなどのモノ−またはジ−C1-6アルキルアミノなど)、低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ヘキシルオキシなどのC1-6アルコキシなど)、低級アルキルカルボニルオキシ(例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシなどのC1-6アルキル−カルボニルオキシなど)またはハロゲン原子などから選ばれた1個もしくは2個以上が用いられる。
【0026】
本願明細書において、塩としては、とりわけ医薬上あるいは生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩、あるいはアルカリ(例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、ピリジン、トリエチルアミン)との塩などが用いられる。
本願明細書において、抱合体とは、式5で表される化合物、その光学異性体、その塩のグルクロン酸抱合体、硫酸抱合体などである。
【0027】
次に、本発明化合物またはその塩の製造法を述べる。
本発明化合物の三環性縮合複素環化合物は、下記(式6)に示すように、A、B、C3つの環からなる6−7−6三環性化合物である。
【化5】

この化合物の骨格は、ウルマン反応によるA環とC環の結合およびフリーデル−クラフツ反応または光反応によるA環とC環の結合を組み合わせることにより製造できる。原料や目的化合物によっては炭素増加反応を加える必要がある。さらに必要であれば、置換基導入反応、置換基変換反応を行うことによって目的化合物を得ることができる。
例えば、第1工程として、ウルマン反応によってA環とC環とを結合させる。次いで、第2工程として、B環を7員環にするために、Wの炭素数を増加させる(炭素増加反応)。さらに、第3工程として、フリーデル−クラフツ反応によりB環を形成する。第4工程として、このようにして形成された三環性化合物にハロゲン基、低級アルキル基等の必要な置換基を導入する(置換基導入反応)。
置換基導入は、第1工程の原料に導入しておくことも、第2工程の増炭反応途中に導入することも可能であり、目的とする化合物の種類等を考慮して必要に応じて選択することができる。さらに、必要に応じて、10位のカルボニル基を還元したり、置換基であるOR(例えば、OCH3等)を脱保護反応によりOHに変換する。
【0028】
以下に各工程の反応スキームの1例を示す。
1)ウルマン反応
【化6】

2−1)フリーデル−クラフツ反応
2−2)光反応
【化7】

3)炭素増加反応
【化8】

4)ハロゲンの他の官能基への変換反応
5)アルキル基、アルキルカルボニル基の導入反応
6)10位変換反応
【化9】

7)脱保護反応
【0029】
上記各工程の反応スキームについて以下に説明する。
1)ウルマン反応
必要な官能基を有するA環およびC環に相当する置換ベンゼンをウルマン反応によりカップリング体とする。ウルマン反応の脱離基としては、例えば、ハロゲン(例えば、塩素、臭素、ヨウ素など)、炭素数6から10のアリールスルホニルオキシ(例えば、ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシなど)、炭素数1から4のアルキルスルホニルオキシ(例えば、メタンスルホニルオキシなど)などが用いられ、なかでもハロゲン(例えば、塩素、臭素、ヨウ素など)などが好ましい。求核側としては、例えば、酸素、イオウを含む官能基を有する前駆体を用いることができ、なかでも置換フェノール、置換チオフェノール、置換ジスルフィドなどが好ましい。
【0030】
2)フリーデル−クラフツ反応または光反応
さらにA環とC環を結合させる反応は、フリーデル−クラフツ反応として一般に行われている方法を用いることができる。例えば、“Comprehensive Organic Synthesis: The Intramolecular Aromatic Friedel-Crafts Reaction," Vol. 2,
pp. 753 (1991), J. Org. Chem., 52, 849 (1987), Synthesis, 1257 (1995)の方法またはそれに準じた方法などを用いることができる。また、特開平10-204079に示される光環化反応の方法またはそれに準じた方法などを用いることにより、直接、置換アセトフェノン体から環化体に導くこともできる。また、ウルマン反応とこれらの反応は順序を入れ替えても可能である。
【0031】
3)炭素増加反応
ウルマン反応において、置換フェニル酢酸誘導体を用いた場合は、直接環化体に導くことができるが、置換安息香酸誘導体の場合はB環に相当する部分の炭素増加反応を行う。その際、置換安息香酸誘導体からは置換ベンジルアルコール体、置換ベンジルハロゲン体、置換ベンジルニトリル体を経て置換フェニル酢酸に導くことができる。また、置換ベンジルハロゲン体からは二酸化炭素で、直接、置換フェニル酢酸に導くこともできる。置換アセトフェノン体からはウィルゲロット反応により置換モルホリン体とした後、置換フェニル酢酸に導くことができる。
4)ハロゲン基の他の官能基への変換反応
複素環、置換フェニル環、低級アルキル基の導入反応は、パラジウムを用いて、例えば、Chem. Rev., 95, 2457 (1995),“Organic Reactions," Vol. 50, (1997) の方法またはそれに準じた方法などを用いることができる。
【0032】
5)アルキル基、アルキルカルボニル基の導入反応
エチル基等のアルキル基の導入は、環化体に対して塩基存在下、無水溶媒中ハロゲン化アルキル剤あるいはアルカリ存在下、相関移動触媒とハロゲン化アルキル剤を用いることにより行うことができる。また、アルキル基は、閉環前の炭素増加反応中間体あるいはウルマン反応を行う前の原料にも導入しておくことができる。アルキルカルボニル基の導入はフリーデル−クラフツ反応を用いて行うことができる。
6)10位変換反応
環化体は、カルボニル基をアルコール体に還元した後、脱水反応でオレフィン体とし、接触還元により脱カルボニル体に導くことができる。また、アルコール体について7)の脱保護反応を行うことにより、オレフィン体とし、還元により脱カルボニル体に導くことができる。あるいは、環化体を直接ヴォル−キッシュナ還元により脱カルボニル体に導くこともできる。
【0033】
7) 脱保護反応は、ピリジン塩酸塩あるいはハロゲン化ホウ素により行うことができる。
本発明化合物の製造は溶媒中で行うのが好ましく、この様な溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、アセトニトリル等のニトリル類、N−メチル−2−ピロリドンなど、およびこれらの無水溶媒が用いられる。反応温度は−78℃ないし200℃、反応時間は、30分ないし数日間、反応は窒素、アルゴン気流下で行なうのが有利である。反応生成物は、公知の手段、たとえば溶媒抽出、液性変換、転溶、塩析、晶出、再結晶、クロマトグラフィーなどによって単離精製することができる。
本発明の方法では、置換基がアミノ基の場合には、アミノ基を保護することが好ましく、保護基としてはペプチド化学等の分野で一般に用いられる保護基を用いることができ、例えばホルミル、アセチル、ベンゾイルなどアミドを形成するタイプの保護基;例えばtert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどのカルバメートを形成するタイプの保護基;ジメチルアミノメチレン、ベンジリデン、p−メトキシベンジリデン、ジフェニルメチレンなどのイミノタイプの保護基が用いられる。好ましい保護基としては例えばホルミル、アセチルあるいはジメチルアミノメチレン等が用られる。なお、上記反応において得られた生成物が保護基を有する場合には、常法に基づいて保護基を除去することができ、例えば酸あるいは塩基による加水分解あるいは接触還元等の脱保護操作により保護基を除去することができる。
【0034】
なお、得られた本発明化合物が不斉炭素を有する場合、従来公知の種々の光学分割法、例えば光学異性体分離カラム等を用いることにより光学異性体を得ることができる。
具体的には、本発明の化合物は前掲の特許I〜IIIのいずれか記載の方法で製造入手
することができる。
本発明のキットは、抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物、ジベンゾ[b,f]オキセピン化合物またはこれらの薬剤学的に許容される塩の1種または2種以上、例えば、上記式1の化合物またはこれらの薬剤学的に許容される塩の1種または2種以上、および薬学的に許容される補助剤を含む任意の剤形の製剤、並びに使用説明書を含む高尿酸血症および痛風の予防用または治療用キットである。
【発明の効果】
【0035】
本発明の抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物は、血中の尿酸値を低下させる作用を有し、しかも、中枢への作用にかぎらず、副作用はほとんど認められない。この安全性の高さは、本発明化合物の水酸基が体内で速やかにグルクロン酸抱合体に抱合化されることによると考えられる。本発明化合物は経口投与により速やかに吸収されるが、血中に検出されるのはグルクロン酸抱合体のみであり、未変化体は検出されない。ほぼ100%抱合化されているにもかかわらず薬効を示すのは、グルクロン酸抱合体が局所に存在するβ−グルクロニダーゼにより、局所において脱抱合化され、その未変化体が作用していると考えられる。組織学的な手法を用いたβ−グルクロニダーゼ合成基質による活性染色試験において尿細管上皮にはβ−グルクロニダーゼ活性があることを確認している。したがって、当該化合物は高尿酸血症および高尿酸血症に起因する疾病の予防または治療に極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明において使用される抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物は、種々の形態で投与される。その投与形態としては特に限定はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等に応じて決定される。例えば、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤の場合には経口投与される。また注射剤の場合には、単独で或はぶどう糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更には必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下若しくは腹腔内投与される。坐剤の場合には直腸内投与される。好適には経口投与である。
【0037】
これらの各種製剤は、常法に従って主薬に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、溶解剤、矯味剤、矯臭剤、コーティング剤、甘味剤、着色剤、滑沢剤、安定剤、防腐剤、保存剤等の医薬製剤分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。錠剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ぶどう糖、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ぶどう糖液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン糖の結合剤、乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、澱粉等の保湿剤、澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、硼酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が例示できる。更に、錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠或は二重錠、多層錠とすることができる。
【0038】
丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば、ぶどう糖、乳糖、澱粉、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナランカンテン等の崩壊剤等が例示できる。
坐剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば、ポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を挙げることができる。
注射剤として調製される場合には、液剤及び懸濁剤は殺菌され、且つ血液と等張であるのが好ましく、これら液剤、乳剤及び懸濁剤の形態に成形するに際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されているものを全て使用でき、例えば、水、エチルアルコール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を挙げることができる。なお、この場合、等張性の溶液を調製するに十分な量の食塩、ぶどう糖、或はグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有せしめてもよい。
【0039】
上記医薬製剤中に含まれる有効成分化合物の量は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、通常全組成物中1〜70重量%、好適には、1〜30重量%含まれる量とするのが適当である。本発明において、抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物の投与量は症状、年齢、投与方法等によって異なるが、例えば経口投与の場合には、成人に対して1日あたり1〜1200mg、好ましくは50〜1000mgを1回または数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。静脈内投与の場合には、成人に対して1日当たり、0.01〜500mg、好ましくは、0.1〜200mgを1回または数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。
【0040】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0041】
本発明化合物の1つである7,8−ジヒドロキシ−11−エチル−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−10−オン(以下、CNS-242と称す)の臨床試験において、本発明の化合物が尿酸値を低下させる作用があることが示された。
【0042】
1.単回投与試験
健康な成人男子8名にCNS-242またはプラセボを経口投与し(CNS-242 6名、プラセボ2名)、二重盲検試験を実施した。CNS-242の用量は、200、400、600、800、1200、1600mgの順に段階的に増量した。安全性を確認するための臨床検査測定項目の1つとして血中の尿酸値を測定した。血中尿酸値は、スクリーニング時、投与直前、投与48時間後、投与96時間後に測定した。結果を表1に示す。プラセボ投与群に関しては、各2名ずつのデータを一括して12名のデータとした。尿酸値はUricase法にて測定した。
【0043】
【表1】

【0044】
投与48時間後の尿酸値はプラセボ投与群と比較して、全CNS-242投与群で低下傾向が認められた。800mgと1600mg投与群では、統計的に有意な差が認められた。また、投与96時間後の血中尿酸値には回復が認められた。また、尿酸値以外の臨床検査値にはCNS-242による影響は認められず、特記すべき副作用も認められなかった。
【0045】
2.6日間連続投与試験
健康な成人男子8名にCNS-242またはプラセボを1日1回6日間連続、経口投与し(CNS-242 6名、プラセボ2名)、二重盲検試験を実施した。CNS-242の用量は200、400、600mgの順に段階的に増量した。安全性を確認するための臨床検査測定項目の1つとして血中の尿酸値を測定した。血中尿酸値は、スクリーニング時、投与開始直前、投与3日目、投与6日目、投与9日目、投与15日目に測定した。結果を表2に示す。プラセボ投与群に関しては、各2名ずつのデータを一括して6名のデータとした。
【0046】
【表2】

【0047】
投与3日目及び6日目にプラセボ投与群と比較して、全投与群で血中尿酸値の低下傾向が認められた。400mg投与群の6日目と600mg投与群の3日目及び6日目では、統計的に有意差が認められた。また、投与後9及び15日目には、血中尿酸値の回復が認められた。また、尿酸値以外の臨床検査値にはCNS-242による影響は認められず、特記すべき副作用も認められなかった。
【0048】
3.28日間連続投与試験
ボランティア74名にCNS-242 600mgまたはプラセボを1日1回28日間連続経口投与し(CNS-242 35名、プラセボ39名)、二重盲検試験を実施した。安全性を確認するための臨床検査測定項目の1つとして血中の尿酸値を測定した。血中尿酸値は、スクリーニング時、投与開始直前、投与14日目、投与28日目、投与終了後7日目に測定した。結果を表3に示す。
【0049】
【表3】

【0050】
CNS-242投与群の投与14日目及び28日目の血中尿酸値には、プラセボ投与群と比較して、統計的に有意な低下が認められた。また、投与終了後7日目には、血中尿酸値は回復しており、薬物の効果の消失に伴い低下していた尿酸値が上昇したと考えられる。また、尿酸値以外の臨床検査値にはCNS-242による影響は認められず、特記すべき副作用も認められなかった。
【実施例2】
【0051】
本発明の抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物またはその薬理上許容される塩を有効成分として含有する製剤は、例えば次の方法により製造することができる。
【0052】
1.錠剤
表4に示す成分を混合し、公知の方法により錠剤を調製した。
【表4】

【0053】
2.カプセル
CNS-242の粉末200mgを3号の乾燥ゼラチンカプセルに充填し、200mgカプセルを調製した。
【試験例1】
【0054】
1.単回静脈内投与・経口投与毒性試験
雌雄各5匹ずつ4群のCrj:CD(SD)IGSラットにCNS-242をNaOHに溶解し、生理食塩水で希釈して0、84、100、120、144、172mg/kgずつ静脈内投与、あるいは、CNS-242を0、500、1000、2000mg/kgずつ0.5%w/vCMC-Na溶液に懸濁させて経口投与し、投与後14日間の観察を行った。結果は表5に示した。
【表5】

【0055】
2.4週間反復経口投与毒性試験
雌雄各10匹ずつ4群のCrj:CD(SD)IGSラットにCNS-242を0、80、400、2000mg/kg/dayを0.5%w/vCMC-Na溶液に懸濁させて1日1回28日間経口投与し、投与後14日目まで観察、検査を行い、観察期間終了時に動物を屠殺し、臓器及び組織を肉眼により検査した。
いずれのCNS-242 投与群においても死亡はみられなかった。一般症状、体重、摂餌量、眼検査、尿検査、血液学的検査、血液生化学検査、剖検、臓器重量及び病理組織学的検査においてCNS-242の投与と関連性のある変化は見られなかった。
【0056】
3.26週間反復経口投与毒性試験
雌雄各12匹(+6匹;投与後観察用)ずつ4群のCrj:CD(SD)IGSラットにCNS-242を0、40、200、1000mg/kg/dayを0.5%w/vCMC-Na溶液に懸濁させて1日1回26週間経口投与し、投与後5週間目まで観察、検査を行い、投与終了時と観察期間終了時に動物を屠殺し、臓器及び組織を肉眼により検査した。
CNS-242 投与によると考えられる毒性変化は認められず、本試験におけるCNS-242の非毒性用量は雌雄ともに1000mg/kg/dayであった。
【0057】
4.一般薬理試験
1群6〜8匹の雄Crj: CD (SD) ラットにCNS-242を250、500、1000 または 2000 mg/kg の濃度で10 ml/kg の0.5% CMC-Naに懸濁させ、胃管により経口投与した。
一般行動: 被験物質を投与前及び投与10、30、60、120、240 分及び24 時間後にIrwinによる方法(Irwin、1968)を用いて観察した。泌尿器系: 被験物質を経口投与後直ちに2.5 ml/100 gの生理食塩水を経口投与した。その後6時間にわたり尿を採取し、 尿量及び尿中の Na+、K+ 、Cl-濃度を測定した。消化器系: 約24時間絶食させた動物に被験物質を経口投与し、60分後に活性炭の5%懸濁液0.5 ml を経口投与した。20 分後に動物を屠殺、小腸を摘出し、活性炭の移動率を算出した。
一般症状及び行動に変化は無く、尿量または尿中電解質への影響も、ラットの小腸内活性炭輸送に対する影響も認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0058】
高尿酸血症あるいは高尿酸血症に起因する疾病、例えば痛風の予防薬または治療薬を提供することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物、ジベンゾ[b,f]オキセピン化合物またはこれらの薬剤学的に許容される塩の1種または2種以上を有効成分として含有する高尿酸血症の予防剤または治療剤。
【請求項2】
抗酸化性置換基が水酸基である請求項1の高尿酸血症の予防剤または治療剤。
【請求項3】
抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物が一般式(1)
【化1】

[式中
X、Yは、
X−Yの結合が単結合である場合は、X、Yそれぞれ独立に(同一または異なって)、CW12(W1、W2はそれぞれ独立に(同一または異なって)、水素原子、ハロゲン、水酸基、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基のいずれかである)、C=O、C=NOW3(W3は水素原子または低級アルキル基)から選ばれる任意のものであり、
X−Yの結合が二重結合の場合は、X、Yそれぞれ独立に(同一または異なって)CW4(W4は水素原子、ハロゲン、水酸基、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルコキシ基、置換低級アルコキシ基、アシルオキシ基のいずれかである)であり、
Zは、
O,S,S=O,SO2から選ばれる任意のものであり、
1ないしR8は、
それぞれ独立に(同一または異なって)、水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、低級アルケニル基、置換低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換低級アルキニル基、ハロゲン基、低級アルキルカルボニル基、置換低級アルキルカルボニル基、トリハロメチル基、V15(V1はO,S、S=O、SO2から選ばれる任意のものであり、W5は水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルキルカルボニル基、置換低級アルキルカルボニル基、アシルオキシ基、トリハロメチル基から選ばれる任意のものである。)、ニトロ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、アシル基、アシルアミノ基、置換アシル基、置換アシルアミノ基、芳香環、置換芳香環、複素環、置換複素環から選ばれる任意のものであり、
1ないしR8の少なくともいずれか1つは水酸基である。]
で表される化合物、その光学異性体、その抱合体またはそれらの薬剤学的に許容される塩である請求項1の高尿酸血症の予防剤または治療剤。
【請求項4】
1ないしR8の少なくともいずれか2つが水酸基である請求項3の高尿酸血症の予防剤または治療剤。
【請求項5】
6およびR7が水酸基である請求項3の高尿酸血症の予防剤または治療剤。
【請求項6】
6およびR8が水酸基である請求項3の高尿酸血症の予防剤または治療剤。
【請求項7】
5およびR6が水酸基である請求項3の高尿酸血症の予防剤または治療剤。
【請求項8】
X−Yが単結合で、XがCW12(W1、W2の少なくとも一方が低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基から選ばれる任意のものである)であるか、X−Yが二重結合で、XがCW(Wは低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基から選ばれる任意のものである)である請求項3ないし7いずれかの高尿酸血症の予防剤または治療剤。
【請求項9】
YがCOである請求項3ないし8のいずれかの高尿酸血症の予防剤または治療剤。
【請求項10】
低級アルキル基がメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基のいずれかである請求項8または請求項9の高尿酸血症の予防剤または治療剤。
【請求項11】
2またはR3が複素環、置換複素環、芳香環、置換芳香環のいずれかであるである請求項3ないし7のいずれかの高尿酸血症の予防剤または治療剤。
【請求項12】
2またはR3がSW8(W8は低級アルキル基または置換低級アルキル基)または、S(O)W9(W9は低級アルキル基または置換アルキル基)である請求項1ないし5のいずれかの高尿酸血症の予防剤または治療剤。
【請求項13】
低級アルキル基がメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基のいずれかである請求項12の高尿酸血症の予防剤または治療剤。
【請求項14】
抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物が、7,8−ジヒドロキシ−11−エチル−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−10−オン、11−ジエチル−7,8−ジヒドロキシ−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−10−オン、7,9−ジヒドロキシ−2−メチルチオ−10,11−ジヒドロジベンゾ[b,f]チエピン−10−オンから選択された化合物、その光学異性体、その抱合体またはそれらの薬剤学的に許容される塩である請求項1の高尿酸血症の予防剤または治療剤。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14いずれかの抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物を有効成分として含有する高尿酸血症に起因する疾病の予防剤または治療剤。
【請求項16】
請求項1ないし請求項14いずれかの抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物を有効成分として含有する痛風の予防剤または治療剤。
【請求項17】
有効量の抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物またはこれらの薬剤学的に許容される塩の1種または2種以上を予防または治療を必要とする温血動物に投与することを含む高尿酸血症の予防方法または治療方法。
【請求項18】
抗酸化性置換基が水酸基である請求項17の高尿酸血症の予防方法または治療方法。
【請求項19】
抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物が一般式(1)
【化2】

[式中
X、Yは、
X−Yの結合が単結合である場合は、X、Yそれぞれ独立に(同一または異なって)、CW12(W1、W2はそれぞれ独立に(同一または異なって)、水素原子、ハロゲン、水酸基、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基のいずれかである)、C=O、C=NOW3(W3は水素原子または低級アルキル基)から選ばれる任意のものであり、
X−Yの結合が二重結合の場合は、X、Yそれぞれ独立に(同一または異なって)CW4(W4は水素原子、ハロゲン、水酸基、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルコキシ基、置換低級アルコキシ基、アシルオキシ基のいずれかである)であり、
Zは、
O,S,S=O,SO2から選ばれる任意のものであり、
1ないしR8は、
それぞれ独立に(同一または異なって)、水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、低級アルケニル基、置換低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換低級アルキニル基、ハロゲン基、低級アルキルカルボニル基、置換低級アルキルカルボニル基、トリハロメチル基、V15(V1はO,S、S=O、SO2から選ばれる任意のものであり、W5は水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルキルカルボニル基、置換低級アルキルカルボニル基、アシルオキシ基、トリハロメチル基から選ばれる任意のものである。)、ニトロ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、アシル基、アシルアミノ基、置換アシル基、置換アシルアミノ基、芳香環、置換芳香環、複素環、置換複素環から選ばれる任意のものであり、
1ないしR8の少なくともいずれか1つは水酸基である。]
で表される化合物、その光学異性体、その抱合体またはそれらの薬剤学的に許容される塩である請求項17の高尿酸血症の予防方法または治療方法。
【請求項20】
高尿酸血症の予防剤または治療剤を製造するための、1種または2種以上の抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物、ジベンゾ[b,f]オキセピン化合物またはこれらの薬剤学的に許容される塩の使用。
【請求項21】
抗酸化性置換基が水酸基である請求項20の使用。
【請求項22】
抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物が一般式(1)
【化3】

[式中
X、Yは、
X−Yの結合が単結合である場合は、X、Yそれぞれ独立に(同一または異なって)、CW12(W1、W2はそれぞれ独立に(同一または異なって)、水素原子、ハロゲン、水酸基、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基のいずれかである)、C=O、C=NOW3(W3は水素原子または低級アルキル基)から選ばれる任意のものであり、
X−Yの結合が二重結合の場合は、X、Yそれぞれ独立に(同一または異なって)CW4(W4は水素原子、ハロゲン、水酸基、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルコキシ基、置換低級アルコキシ基、アシルオキシ基のいずれかである)であり、
Zは、
O,S,S=O,SO2から選ばれる任意のものであり、
1ないしR8は、
それぞれ独立に(同一または異なって)、水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、低級アルケニル基、置換低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換低級アルキニル基、ハロゲン基、低級アルキルカルボニル基、置換低級アルキルカルボニル基、トリハロメチル基、V15(V1はO,S、S=O、SO2から選ばれる任意のものであり、W5は水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルキルカルボニル基、置換低級アルキルカルボニル基、アシルオキシ基、トリハロメチル基から選ばれる任意のものである。)、ニトロ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、アシル基、アシルアミノ基、置換アシル基、置換アシルアミノ基、芳香環、置換芳香環、複素環、置換複素環から選ばれる任意のものであり、
1ないしR8の少なくともいずれか1つは水酸基である。]
で表される化合物、その光学異性体、その抱合体またはそれらの薬剤学的に許容される塩である請求項20の使用。
【請求項23】
抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物、ジベンゾ[b,f]オキセピン化合物またはこれらの薬剤学的に許容される塩の1種または2種以上、および薬学的に許容される補助剤を含む製剤、並びに使用説明書を含む高尿酸血症の予防用または治療用キット。
【請求項24】
抗酸化性置換基が水酸基である請求項23のキット。
【請求項25】
抗酸化性置換基を有するジベンゾ[b,f]チエピン化合物またはジベンゾ[b,f]オキセピン化合物が一般式(1)
【化4】

[式中
X、Yは、
X−Yの結合が単結合である場合は、X、Yそれぞれ独立に(同一または異なって)、CW12(W1、W2はそれぞれ独立に(同一または異なって)、水素原子、ハロゲン、水酸基、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基のいずれかである)、C=O、C=NOW3(W3は水素原子または低級アルキル基)から選ばれる任意のものであり、
X−Yの結合が二重結合の場合は、X、Yそれぞれ独立に(同一または異なって)CW4(W4は水素原子、ハロゲン、水酸基、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルコキシ基、置換低級アルコキシ基、アシルオキシ基のいずれかである)であり、
Zは、
O,S,S=O,SO2から選ばれる任意のものであり、
1ないしR8は、
それぞれ独立に(同一または異なって)、水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、低級アルケニル基、置換低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換低級アルキニル基、ハロゲン基、低級アルキルカルボニル基、置換低級アルキルカルボニル基、トリハロメチル基、V15(V1はO,S、S=O、SO2から選ばれる任意のものであり、W5は水素原子、低級アルキル基、置換低級アルキル基、低級アルキルカルボニル基、置換低級アルキルカルボニル基、アシルオキシ基、トリハロメチル基から選ばれる任意のものである。)、ニトロ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、アシル基、アシルアミノ基、置換アシル基、置換アシルアミノ基、芳香環、置換芳香環、複素環、置換複素環から選ばれる任意のものであり、
1ないしR8の少なくともいずれか1つは水酸基である。]
で表される化合物、その光学異性体、その抱合体またはそれらの薬剤学的に許容される塩である請求項23のキット。



【公開番号】特開2007−230866(P2007−230866A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−45009(P2004−45009)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【出願人】(000004189)日本水産株式会社 (119)
【Fターム(参考)】