説明

高屈折率のビーズを含有するコーティング組成物

【課題】種々様々な着色剤、特にマゼンタ着色剤における輝度や光沢を高めることができる印刷媒体のためのコーティングを提供する。
【解決手段】チタン、バリウム、カルシウム及び酸素を含むビーズ即ち中空の微小球であって、屈折率が1.9から2.4の微小球を含有する印刷媒体のためのコーティング組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体のためのコーティング組成物に関するものである。更に、本発明は、表面にコーティング組成物を有する改良された印刷支持体及びこの改良された印刷支持体の製造方法に関するものである。改良された印刷支持体によれば、コーティング組成物に加えられた着色剤の輝度や光沢を、特に従来のコーティングを施した印刷媒体又はコーティングされていない印刷媒体に加えられた着色剤の輝度や光沢に比較して大幅に向上することができる。
【背景技術】
【0002】
支持体が着色剤の輝度や光沢に与える影響がきわめて重要になることがある。一般的に、従来の印刷支持体は、それに加えられる着色剤の輝度や光沢を改善する目的で、充填材及び/又は表面コーティング材を使用している。着色剤の輝度や光沢向上させるためにこれまで多くの試みがなされてきたが、その試みにより充分な色品質が得られたとは言い難い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】C.L.McCormic、J.Bock及びD.N.Schultz「水溶性ポリマー」、理工学百科辞典 730-84頁、John Wiley and Sons Publishers (1989年発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
種々様々な着色剤、特にマゼンタ着色剤における輝度や光沢を高めることができる方法や組成物に対するニーズは現在も存在している。同様に、改良された支持体、つまりそれに加えられる着色剤の輝度や光沢を高めることにより、優れた色品質をもたらすことが可能な支持体に対するニーズも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、コーティング組成物と、その組成物でコーティングされた印刷支持体を提供することによって、前述したニーズに応えるものである。コーティング組成物は、約1.9から約2.4の屈折率を有する特異な微小球を含有している。改良された印刷支持体に加えられる着色剤は、従来の印刷支持体に加える場合に比較して、際立った輝度や光沢を示す。更に、本発明は、弾性のあるコーティングを提供するもので、熱が加えられても支持体の硬化を引き起こさない。
【0006】
また、本発明は、前述した組成物及び改良された支持体の製造方法に関するものである。上記改良された支持体と、任意の着色剤組成物、特にインクジェットインクとを組合せることによって、優れた色品質、印刷の鮮やかさ、着色剤の光沢が得られる。
【0007】
これら及びその他の本発明に関する特徴と利点は、以下に開示された実施形態の詳細な説明を吟味することにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は印刷媒体のためのコーティング組成物に関するものである。また、本発明は、基層と、その基層の少なくとも片面上の上記コーティング組成物とを含む改良された印刷支持体に関するものである。この改良された支持体によって、その支持体上のコーティング組成物に加えられた着色剤の輝度や光沢を、特に従来のコーティングを施した印刷媒体又はコーティングされていない印刷媒体に加えられた着色剤の輝度や光沢に比較して大幅に向上することができる。更に、本発明は、表面に上記コーティング組成物を有する改良された印刷支持体及びその改良された印刷支持体の製造方法に関するものである。
【0009】
本発明のコーティング組成物は、中空微小球、即ちビーズを含んでおり、このビーズの屈折率は、約1.9から約2.4である。このビーズはThe Photographic Institute(中国北京)から入手可能で、極めて多量(約1.0重量%よりも多い)のチタン、バリウム、カルシウム及び酸素、及び少量(約1.0重量%よりも少ない)のアルミニウム、鉄、ストロンチウム、亜鉛及びジルコニウムを含有し、更に微量のナトリウム、テルル、及びその他の元素を含んでいる場合もある。ビーズ試料の電子顕微鏡解析によると、以下の表1に示すようなビーズ組成が明らかとなった。
【0010】
表1

【0011】
ビーズ粒径が様々なものとなっても本発明では重大な問題となることはないが、実質的に球状で、粒径が約2ミクロンから約45ミクロンの範囲の市販ビーズを用いるのが望ましい。本明細書で用いられる「実質的に球状」という用語は、完全に球状をなすビーズだけでなく、不完全に球状のビーズ、例えばビーズの長さの方がビーズ幅よりもわずかに大きいか又は小さいものも含んでいることを意味している。本発明の一実施形態において、市販のビーズは、粒径の範囲が比較的狭い試料に機械的に分離される。例えば、ある試料のビーズは、粒径が約27から約45ミクロンの範囲とされる。別の試料ビーズの粒径は、約2から約43ミクロンの範囲とされる。本発明のコーティング組成物は、所望の粒径即ち粒径範囲の市販ビーズ又は選択されたビーズを用いて作ることができる。
【0012】
2種類のビーズ試料の画像解析結果を以下に示す。単位はすべてミクロンである。
試料1

試料2

【0013】
上記データから分るように、粒径は、試料1では約1から約45ミクロンと広い分布を示すが、試料2では、その分布は、約25から約45ミクロンとはるかに狭い。いずれの試料においても、等価サークル直径(面積等価直径)は、粒子の長さ及び幅にきわめて近く、各ビーズがほぼ完全な球状粒子であることを示している。
【0014】
更に、本発明のコーティング組成物は、1種類又は2種類以上のポリマー結合剤を選択的に含有することができる。相応しい結合剤としては、John Wiley and Sons Publishers (1989年) 発行の「理工学百科辞典」730-84頁のC.L.McCormic、J.Bock及びD.N.Schultzによる「水溶性ポリマー」(非特許文献1)に例示されているように、自然に発生するポリマー、自然に発生するポリマーを合成的に変成したもの即ち合成ポリマーが挙げられるが、これに限定されるわけではない。結合剤は、以下のポリマーの1種類又は2種類以上を含むのが望ましい。このポリマーとしては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸及びポリメタクリル酸塩、ポリビニルスルホネート及びポリビニルスルホネート塩、ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸塩、塩化ポリアクリルオキシトリメチルアンモニウム、塩化ポリメタクリルオキシトリメチルアンモニウム、及び塩化ポリジアリルジメチルアンモニウムが挙げられる。その結合剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVOH)又はそれらを組合せたものが含まれるのが望ましい。また、その結合剤には、ポリビニルアルコール(PVOH)が含まれるのが更に望ましい。
【0015】
コーティング組成物は、1種類又は2種類以上のシクロデキストリンを選択的に含むことができる。相応しいシクロデキストリンには、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、δ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン、ヒドロキシエチルβ-シクロデキストリン、ヒドロキシエチルαシクロデキストリン、カルボキシメチルαシクロデキストリン、カルボキシメチルβシクロデキストリン、カルボキシメチルγシクロデキストリン、オクチルコハク酸αシクロデキストリン、オクチルコハク酸βシクロデキストリン、オクチルコハク酸γシクロデキストリン、及び硫酸化βシクロデキストリン及び硫酸化γ-シクロデキストリン(米国インディアナ州HammondのCerestar USA Incorporated社)が含まれるが、これに限定されるわけではない。上記シクロデキストリンは、β-シクロデキストリン(β-CD)、γ-シクロデキストリン(γ-CD)、ヒドロキシエチルβ-シクロデキストリン(he-β-CD)、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン(hp-β-CD)、又はそれらの組合せであることが望ましい。また、シクロデキストリンは、ヒドロキシエチルβ-シクロデキストリン(he-β-CD)であることが更に望ましい。
【0016】
本発明では、コーティング組成物は、約1から約30重量部(pbw)のビーズ、及び約10から約50pbwのポリマー結合剤を含有することができ、更に、約0から約300pbwのシクロデキストリン、及び約100から約500pbwの水も選択的に含有することができる。ある実施形態では、コーティング組成物は、約5から約10重量部(pbw)のビーズ、及び約10から約20pbwのポリマー結合剤を含有することができ、更に、約100から約200pbwのシクロデキストリン、及び約100から約300pbwの水を選択的に含有することができる。コーティング組成物に更に多くのビーズを含有させることはできるが、わずか1pbw程度のビーズから着色剤の有意な輝度や光沢が生じる。
【0017】
ビーズ、ポリマー結合剤及びシクロデキストリンに加え、本発明のコーティング組成物に、付加的な成分を含有させることができる。このような付加的な成分の例としては、荷電運搬体;熱酸化に対する安定剤;粘弾性的特性の調節剤;架橋剤;可塑剤;第4級アンモニウム塩などの電荷調整添加剤;疎水性シリカ、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ポリビニルステアリン酸、ポリエチレン粉などの流動制御添加剤;炭酸カルシウム、クレー及びタルクなどの充填剤;界面活性剤;反粘着付与剤;キレート剤;TINUVIN(商標)化合物;及び当業者に使われている添加剤等が挙げられるが、これらに限られているわけではない。電荷運搬体は、当業者には周知のものであり、通常はポリマーでコーティングされた金属粒子である。界面活性剤としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム及びカルボキシメチルアミロースなどのC12からC18までの界面活性剤、更にそれ以外にも、TritonX-100及びSURFYNOL(商標) 420などの界面活性剤とするのが望ましいが、これに限定されるわけではない。TINUVIN(商標)化合物は、チバガイギー社によって製造されている化合物の種類で、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール及びヒンダード・アミンが挙げられる。TINUVIN(商標)化合物としては、2-(2’-ヒドロキシ-3’-sec-ブチル-5’-tert-ブチルフェニル)-ベンゾ-トリアゾール、ポリ-(N-β-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシ-ピペリジルコハク酸塩、及び2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾールが望ましいが、これに限定されるわけではない。着色組成物におけるこのような追加的な成分の識別と量に関しては、当業者には周知のものとなっている。通常、コーティング組成物には、上記添加物の1種類又は2種類以上のものが、コーティング組成物の全重量を基準にして約1から14重量%存在する。
【0018】
本発明の印刷支持体を改善するために、様々な支持体にコーティング組成物を塗付することができる。コーティング組成物を塗付するのに適した支持体としては、紙、木材、木材製品又は混合品、織布、不織布、編物、プラスチック、ガラス、金属、箔、又は表面にコーティング組成物を有することによって利点があるあらゆる支持体が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。樹脂製支持体としては、プラスチックフィルム、プラスチック不織布、又はプラスチック織布が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。好ましい支持体は、紙である。現存する又は今後現れる紙又は紙製品は、全て本発明に使用することができる。
【0019】
紙又は紙製品の例としては、印刷用紙及び筆記用紙、包装紙及び産業用紙、ボール紙、またティッシュペーパーが挙げられるが、これに限定されるわけではない。印刷用紙及び筆記用紙の例としては、木材を含有しないコート紙;木材を含有するコート紙;ボンド紙や筆記用紙、封筒、オフセット紙や不透明なチラシ、非カーボン紙、通票、帳票ボンド紙、台帳、謄写版印刷機や複写機用の複写用紙、Fax用紙、感熱紙、工業用の紙、スーパーカレンダー処理した特殊紙のような木材を含まずコーティングを施していない紙;スーパーカレンダー処理した紙、登録簿紙、特殊加工原紙及び出版紙などのコーティングを施されていない木材を含む紙;コーティングの施された厚紙、コーティングの施されていない漂白された厚紙、荷札用紙、コーティングの施された荷札用紙、ファイルホルダー及び作表紙のような厚紙;及び、タバコ用巻紙、聖書用紙、軽量紙、特殊軽量紙、複写用紙、綿繊維紙及び特殊薄紙などの薄紙が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0020】
包装紙と産業用紙の例としては、食料雑貨用袋、輸送袋、包装紙及び加工原紙などの漂白されたクラフト紙;及び、食料雑貨用袋、加工原紙、包装紙及び封筒のような無漂白のクラフト紙が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。板紙の例としては、無漂白の段ボール原紙、漂白された段ボール原紙、中芯原紙、及びチップボール紙や充填用ボール紙のような容器用板紙;硬質の漂白されたサルファイト紙、漂白された厚紙や無漂白の厚紙、コーティングの施された再生ボール紙、コーティングの施された無漂白のクラフト紙、ミルク用、カップ用、皿用等の(コーティングを施した又は施していない)給食用紙料、及び折りたたみボール紙のような折りたたみボール紙/折りたたみカートン用板紙;石膏壁板紙;及び、管/缶やドラム缶用板紙が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。ティッシュペーパーの例としては、トイレットペーパー、化粧紙、ナプキン、タオル、拭取り製品用紙料及び他の衛生用ティッシュペーパーが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0021】
改良された印刷支持体の基層は、前述した層を1つ又はそれ以上備えることができる。その基層は、光沢基材(Photoglossy Base)、艶消し基材(Peresentation Matte Photobase)、高品質艶消し紙(High Quality Matte paper )及び湿潤強さ媒体(Wetsrength Media)のようなコーティングが施されている又は施されていない繊維を含有した支持体;白色不透明フィルム(例えば、KIMDURA(商標), K-C)、透明フィルム(例えば、MELINEX(商標), ICI)、バックリットフィルム、及びビニールのようなフィルム;又はTYVEK(商標)のような不織布とすることが望ましい。基層は、コーティングを施された紙又はコーティングを施されていない紙であることがより望ましい。基層は、ポリエチレンのようなポリマーフィルムで覆われたセルロースシートを含むコート紙とすることが最も望ましい。
【0022】
コーティング組成物は、ロッドコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、グラビアコーティング、ナイフコーティング、スロットコーティング及びローラーコーティングを含む従来のコーティング方法によって基層の上にコーティングされるが、その方法はここに挙げたものに限定されるわけではない。望ましくは、コーティング組成物の槽から、コーティング組成物が槽の中に延びるローラー上に送られ、次に基層のうちの少なくとも片面に送られるという方法で、コーティング組成物は基層に塗付される。選択的に、基層の上記と同じ面又はその裏面に、同様のコーティング又は異なるコーティングを施すことができる。次に、コーティングの施された基層は、基層からの余剰コーティングを計るロッドの下又は上を通過する。コーティングが施された後、一般的なオーブン又は当業者に周知な他の方法によって、基層を乾燥する。
【0023】
基層の表面に塗付されるコーティング組成物の量は、用いられる基層の種類と最終的な製品の用途によって変わってくる。例えば、コーティングの施されない紙を基層とする場合、基層の気孔率が増加するため、コート紙又はフィルムの形態の基層に比べてより多くのコーティング組成物が必要とされる。コーティング組成物は、基層の表面積に関し、約3.0から60.0 g/m2のコーティング重量となるように基層に塗付するのが望ましい。ある実施形態では、コーティング重量は、基層の表面積に関し、約9.0から23.0 g/m2とされる。別の実施形態では、コーティング重量は、基層の表面積に関し、約15.0から20.0 g/m2とされる。
【0024】
また、コーティング組成物の厚さも、用いられる基層の種類と最終的製品の用途によって変わってくる。望ましくは、コーティング組成物は、厚さ約0.1から約5.0ミルである。ある実施形態では、コーティング組成物の厚さは、約0.5から約2.0ミルとされる。別の実施形態では、コーティング組成物の厚さは、約1.0から約1.5ミルとされる。
【0025】
以下に示す例により、本発明を更に説明する。しかし、このような例は本発明の精神及び範囲のいずれをも如何なる形でも限定するものとは解釈されるべきでない。特に記載のない限り、部とはすべて重量部のことを意味する。
【0026】
(例1)
ビード/PVOH組成物の調製
コーティング組成物は、前記表1に示した組成のビーズ0.1gと、10%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(AIRVOL(商標) 523, Air Products)1.0gとを混合することによって作成された。加熱板上で5分間かき混ぜると、その溶液は弾性ゴムのような物質に変化した。この物質は、約3フィート引き伸ばしても破断しなかった。この弾性物質によって紙シートの表面をコーティングし、空気乾燥させた。このコーティングを施したシートに、マゼンタインクを加えた。また、コーティングされていない第2のシート即ち紙にも、マゼンタインクを加えた。コーティングの施された紙のマゼンタインクは、コーティングされていない紙のマゼンタインクに比較すると極めて明るかった。
【0027】
(例2(比較例))
TiO2/PVOH組成物の調製
実施例1のコーティング組成物と比較するために、TiO2粉末(TITANDIOXID P25, DEGUSSA)0.1gと10%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(AIRVOL(商標) 523, Air Products)1.0gとを混合して、コーティング組成物を作成した。加熱板上で5分間かき混ぜると、その溶液の濃度は高くなったが、弾性ゴムにような物質にはならなかった。
【0028】
(例3)
ビード/PVOH/シクロデキストリン組成物の調製
コーティング組成物は、ビーズ0.1g、10%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(AIRVOL(商標) 523, Air Products)1.0g、γ-シクロデキストリン1.0g、γ-CD、(Cerestar)及び水1.0gを混合することによって作成された。この組成物をビーカーに入れ、室温で5分間かき混ぜると、弾性ゴムのような物質になった。この弾性物質の試料を、No.40ロッドを用いて、光沢のある紙のシートに塗付した結果、乾燥後、表面に織目のある、非常に反射性の高いコーティングになった。
【0029】
(例4)
ビード/PVOH組成物の調製
コーティング組成物は、ビーズ0.5g、10%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(AIRVOL (商標)523, Air Products)3.0g、及び水1.0gを混合することによって作成された。この組成物をビーカーに入れ、室温で5分間かき混ぜると、弾性ゴムのような物質になった。この弾性物質の試料を室温に約5分間保管すると、透明なゴム材となった。
【0030】
(例5)
ビード/PVOH/シクロデキストリン組成物の調製
コーティング組成物は、ビーズ0.3g、10%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(AIRVOL(商標) 523, Air Products)1.0g、γ-シクロデキストリン1.0g、γ-CD、(Cerestar)及び水1.0gを混合することによって作成された。この組成物をビーカーに入れ、室温で5分間かき混ぜると、弾性ゴムのような物質になった。この弾性物質の試料を室温で約10分間保管すると、ラテックスゴム材となった。
【0031】
(例6)
ビード/PVOH/シクロデキストリン組成物の調製
コーティング組成物は、ビーズ0.11g、10%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(AIRVOL(商標)523, Air Products)1.0g、ヒドロキシエチルβ-シクロデキストリンhe-β-CD,(Cerestar)1.0g、及び水1.0gを混合することによって作成された。このPVOH、he-β-CD及び水をビーカーに入れ、室温で5分間かき混ぜた。この混合物にビーズをゆっくりと加え、3分間かき混ぜて、加熱板上で5分間加熱した。冷却中に、この混合物は非常に弾性のあるゴムのような物質になった。この弾性物質の試料をNo.7のロッド(rod)を用いて光沢のある紙シートに塗付した結果、乾燥後に、非常に滑らかな表面の反射性の高いコーティングになった。
【0032】
(例7)
ビード/PVOH/シクロデキストリン組成物の調製
コーティング組成物は、ビーズ0.05g、10%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(AIRVOL(商標)523, Air Products)1.0g、ヒドロキシエチルβ-シクロデキストリンhe-β-CD,(Cerestar)2.0g、及び水1.0gを混合することによって作成された。このPVOH、he-β-CD及び水をビーカーに入れ、室温で5分間かき混ぜた。この混合物にビーズをゆっくりと加え、3分間かき混ぜて、加熱板上で5分間加熱した。この混合物は、冷却中に濃度が高くなったが、注目に値するような伸展性のある弾性ゴムのような物質にならなかったのは、シクロデキストリンの濃度が高いことによるものと思われる。
【0033】
(例8)
ビード/PVOH/シクロデキストリン組成物の調製
コーティング組成物は、ビーズ0.05g、10%ポリビニルアルコール(PVOH)溶液(AIRVOL(商標)523, Air Products)1.0g、ヒドロキシエチルβ-シクロデキストリンhe-β-CD,(Cerestar)3.0g、及び水1.0gを混合することによって作成された。このPVOH、he-β-CD及び水をビーカーに入れ、室温で5分間かき混ぜた。この混合物にビーズをゆっくりと加え、3分間かき混ぜて、加熱板上で5分間加熱した。この混合物は、冷却中に濃度が高まり、その伸展性は実施例7よりも低いものであった。
【0034】
以上のように本発明を説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変更及び修正が可能であることは、当業者にとって明らかな所であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体のためのコーティング組成物であって、
屈折率が1.9から2.4の中空の微小球を含有し、
前記微小球は、0.1重量%超のチタン、0.1重量%超のバリウム、0.1重量%超のカルシウム、及び0.1重量%超の酸素を含有することを特徴とするコーティング組成物。
【請求項2】
前記微小球は、アルミニウム、鉄、ストロンチウム、亜鉛、及びジルコニウムを更に含有することを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記微小球は、以下の組成を有することを特徴とする請求項2に記載のコーティング組成物。

【請求項4】
前記微小球は、実質的に球状であって、2から45ミクロンの範囲の粒径を有することを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記微小球は、27から45ミクロンの範囲の粒径を有することを特徴とする請求項4に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記微小球は、2から43ミクロンの範囲の粒径を有することを特徴とする請求項4に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
1種類又は2種類以上のポリマー結合剤を更に含有することを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記1種類又は2種類以上のポリマー結合剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸塩、ポリビニルスルホネート、ポリビニルスルホネート塩、ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸塩、塩化ポリアクリルオキシトリメチルアンモニウム、塩化ポリメタクリルオキシトリメチルアンモニウム、塩化ポリジアリルジメチルアンモニウム、又はそれらを組合せたものを含むことを特徴とする請求項7に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
前記1種類又は2種類以上のポリマー結合剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVOH)又はそれらを組合せたものを含むことを特徴とする請求項7に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
1種類又は2種類以上のシクロデキストリンをさらに含み、前記1種類又は2種類以上のシクロデキストリンは、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、δ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン、ヒドロキシエチルβ-シクロデキストリン、ヒドロキシエチルαシクロデキストリン、カルボキシメチルαシクロデキストリン、カルボキシメチルβシクロデキストリン、カルボキシメチルγシクロデキストリン、オクチルコハク酸αシクロデキストリン、オクチルコハク酸βシクロデキストリン、オクチルコハク酸γシクロデキストリン、硫酸化βシクロデキストリン、硫酸化γ-シクロデキストリン、又はそれらを組合せたものを含むことを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記1種類又は2種類以上のシクロデキストリンは、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ヒドロキシエチルβ-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン、又はそれらを組合せたものを含むことを特徴とする請求項10に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
前記組成物は、1から30重量部(pbw)の微小球、10から50pbwの1種類又は2種類以上のポリマー結合剤、最大300pbwまでの1種類又は2種類以上のシクロデキストリン、及び100から500pbwの水を含有することを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
前記組成物は、5から10重量部(pbw)の微小球、10から20pbwの1種類又は2種類以上のポリマー結合剤、100から200pbwの1種類又は2種類以上のシクロデキストリン、及び100から300pbwの水を含有することを特徴とする請求項12に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
請求項1に記載されたコーティング組成物でコーティングされた支持体。
【請求項15】
前記支持体は、紙、木材、織布、不織布、編物、プラスチック、ガラス、金属、箔、又はそれらを組合せたものからなることを特徴とする請求項14に記載の支持体。
【請求項16】
前記支持体は、紙であることを特徴とする請求項15に記載の支持体。
【請求項17】
前記コーティング組成物は、コーティングに形成された状態で、3.0から60.0g/m2のコーティング重量となるように、支持体に塗付されることを特徴とする請求項14に記載の支持体。
【請求項18】
前記コーティング組成物は、コーティングに形成された状態で、9.0から23.0g/m2のコーティング重量となるように、支持体に塗付されることを特徴とする請求項17に記載の支持体。
【請求項19】
前記コーティング組成物は、15.0から20.0g/m2のコーティング重量となるように、支持体に塗付されることを特徴とする請求項17に記載の支持体。
【請求項20】
請求項14乃至19の何れかに記載の支持体を含むことを特徴とする物品。
【請求項21】
請求項1に記載のコーティング組成物からなるコーティングに着色を施すことを特徴とする着色剤の輝度及び光沢を高める方法。
【請求項22】
請求項20に記載の物品の表面に着色を施す工程を含むことを特徴とする着色剤の輝度及び光沢を高める方法。

【公開番号】特開2010−111872(P2010−111872A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287542(P2009−287542)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【分割の表示】特願2000−540006(P2000−540006)の分割
【原出願日】平成11年1月20日(1999.1.20)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】