説明

高屈折率インプリント材料

【課題】高透過率及び高屈折率を有する膜を形成するインプリント材料を提供する。
【解決手段】(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有するインプリント材料。(A)成分:特定の式で表されるビフェニル(メタ)アクリレート。(B)成分:下記式(2)で表されるフルオレン(メタ)アクリレート及び/又は特定の式で表されるビスフェノール(メタ)アクリレート。


(式中、R及びRは互いに独立して水素原子又はメチル基を表し、A及びAは互いに独立して炭素原子数2又は3のアルキレン基を表し、m及びnは互いに独立して0乃至3の整数を表す。)(C)成分:光重合開始剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント材料、及び当該材料から作製され、パターンが転写された膜に関する。より詳しくは、高透過率及び高屈折率を有する膜を形成するインプリント材料、並びに当該材料から作製され、パターンが転写された膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1995年、現プリンストン大学のチョウ教授らがナノインプリントリソグラフィという新たな技術を提唱した(特許文献1)。ナノインプリントリソグラフィは、任意のパターンを有するモールドを、樹脂膜が形成された基材と接触させ、当該樹脂膜を加圧すると共に、熱又は光を外部刺激として用い、硬化された当該樹脂膜に目的のパターンを形成する技術である。このナノインプリントリソグラフィは、従来の半導体デバイス製造における光リソグラフィ等に比べて簡便・安価にナノスケールの加工が可能であるという利点を有する。したがって、ナノインプリントリソグラフィは、光リソグラフィ技術に代わり、半導体デバイス、オプトデバイス、ディスプレイ、記憶媒体、バイオチップ等の製造への適用が期待されている技術であることから、ナノインプリントリソグラフィに用いる光ナノインプリントリソグラフィ用硬化性組成物について様々な報告がなされている(特許文献2、特許文献3)。
【0003】
しかし、これまでにナノインプリントリソグラフィに用いる材料(以下、本明細書では「インプリント材料」と称する。)として種々の材料が開示されているものの、高透過率(95%以上)及び高屈折率(1.60以上)を有する膜を形成するインプリント材料については報告されていない。一方で、固体撮像装置、太陽電池、LEDデバイス、ディスプレイなどの製品では、その内部又は表面に作製した構造物に対して高透明で1.60以上の屈折率を求められることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5772905号明細書
【特許文献2】特開2008−105414号公報
【特許文献3】特開2008−202022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その解決しようとする課題は、高透過率及び高屈折率を有する膜を形成するインプリント材料を提供することであり、また、当該材料から作製され、パターンが転写された膜を提供することである。具体的には、透過率については、好ましくは95%以上の高い透過率を有する材料の提供を目的とし、屈折率については、1.60以上の高い屈折率を有するインプリント材料の提供を目的とする。とりわけ、本発明の特徴は、透過率及び屈折率の諸特性について全て満足する性能を有する膜を形成するインプリント材料を提供することにある。また、本明細書では、形成されるパターンサイズがナノメートルオーダーに限らず、例えば、マイクロメートルオーダーである場合を含む光ナノインプリント技術を光インプリントと称する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、ビフェニル骨格を有し、かつ重合性基を有する化合物及び光重合開始剤を使用することにより本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有するインプリント材料。
(A)成分:下記式(1)で表されるビフェニル(メタ)アクリレート
【化1】


(式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
(B)成分:下記式(2)で表されるフルオレン(メタ)アクリレート及び/又は下記式(3)で表されるビスフェノール(メタ)アクリレート
【化2】


(式(2)中、R及びRは互いに独立して水素原子又はメチル基を表し、A及びAは互いに独立して炭素原子数2又は3のアルキレン基を表し、m及びnは互いに独立して0乃至3の整数を表す。)
【化3】


(式(3)中、R及びRは互いに独立して水素原子又はメチル基を表し、A及びAは互いに独立して炭素原子数2又は3のアルキレン基を表し、j及びkは互いに独立して2≦(j+k)≦30を満たす正の整数を表す。)
(C)成分:光重合開始剤
【発明の効果】
【0007】
本発明では、高屈折率を与えるビフェニル骨格を有する化合物がインプリント材料に含有されているため、当該インプリント材料から作製され、パターンが転写された膜は、高透過率及び高屈折率を有する。本発明のインプリント材料は、光硬化が可能であり、かつモールドの離型時にパターンの一部の剥がれが生じないため、所望のパターンが正確に形成された膜が得られる。したがって、良好な光インプリントのパターン形成が可能である。また、本発明の高屈折率インプリント材料は、任意の基材上に成膜することができ、インプリント後に形成されるパターンが転写された膜は、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、プリズムレンズ、マイクロレンズ等の各種レンズ、光ファイバーのコア材、クラッド材、光導波路、光配線、ホログラム、ディスプレイ部材等の各種光学材料等の光学用途に有用である。さらに、本発明のインプリント材料は、分子内に少なくとも1個の重合性基を有する化合物の種類を変更することで、硬化速度、動的粘度、膜厚をコントロールすることができる。したがって、本発明のインプリント材料は、製造するデバイス種と露光プロセス及び焼成プロセスの種類に対応した材料の設計が可能であり、プロセスマージンを拡大できるため、光学部材の製造に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、ビフェニル(メタ)アクリレートを用いたインプリント材料から作製される、パターンが転写された膜に、高屈折率という性質を付与した点に特徴がある。すなわち、(A)成分のビフェニル(メタ)アクリレートと、(B)成分のフルオレン(メタ)アクリレート及び/又はビスフェノール(メタ)アクリレートと、(C)成分の光重合開始剤を含有するインプリント材料である。更には、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加えて、(D)成分として溶剤をも含有することのできる高屈折率インプリント材料である。本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。以下、各成分について詳細に説明する。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分であるビフェニル(メタ)アクリレートは、前述のとおり下記式(1)で表される化合物である。
【化4】


(式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
【0010】
本発明では、上記ビフェニル(メタ)アクリレートは、それを含有するインプリント材料から作製される、パターンが転写された膜に、高屈折率という性質を付与することができる。
【0011】
上記ビフェニル(メタ)アクリレートは、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、NK−エステルA−LEN−10(新中村化学工業株式会社)(以下、本明細書では「A−LEN−10」と略称する。)が挙げられる。
【0012】
本発明のインプリント材料における(A)成分の含有量は、当該(A)成分及び後述する(B)成分の合計100質量部に基づいて、好ましくは10乃至95質量部、より好ましくは50質量部以上である。この割合が過少である場合には、屈折率が低下するため、目的とする物性を得ることが困難となる。
【0013】
<(B)成分>
(B)成分であるフルオレン(メタ)アクリレートは、前述のとおり下記式(2)で表される化合物である。フルオレン(メタ)アクリレートと同じ(B)成分であるビスフェノール(メタ)アクリレートは、前述のとおり下記式(3)で表される化合物である。
【化5】


(式(2)中、R及びRは互いに独立して水素原子又はメチル基を表し、A及びAは互いに独立して炭素原子数2又は3のアルキレン基を表し、m及びnは互いに独立して0乃至3の整数を表す。)
【化6】


(式(3)中、R及びRは互いに独立して水素原子又はメチル基を表し、A及びAは互いに独立して炭素原子数2又は3のアルキレン基を表し、j及びkは互いに独立して2≦(j+k)≦30を満たす正の整数を表す。)
【0014】
前記炭素原子数2又は3のアルキレン基は、エチレン基、トリメチレン基(−CHCHCH−基)又はプロピレン基(−CH(CH)CH−基)である。
【0015】
上記(B)成分は、上記(A)成分と共に含有されることにより、インプリント材料の硬化性を高めるという性質を付与することができる。
【0016】
上記(B)成分であるフルオレン(メタ)アクリレートは、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、オグソール(登録商標)EA−0200、同EA−0500、同EA−1000、同EA−F5003、同EA−F5503(以上、大阪ガスケミカル株式会社)が挙げられる。上記フルオレン(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0017】
さらに、上記(B)成分であるビスフェノール(メタ)アクリレートは、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、NK−エステルABE−300、同A−BPE−4、同A−BPE−6、同A−BPE−10、同A−BPE−20、同A−BPE−30、同BPE−80N、同BPE−100N、同BPE−200N、同BPE−500N、同BPE−900N、同BPE−1300N(以上、新中村化学工業株式会社)、V#700、V#540(以上、大阪有機化学工業株式会社)が挙げられる。上記ビスフェノール(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0018】
<(C)成分>
(C)成分である光重合開始剤としては、例えば、tert−ブチルペルオキシ−iso−ブタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルジオキシ)ヘキサン、1,4−ビス[α−(tert−ブチルジオキシ)−iso−プロポキシ]ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルジオキシ)ヘキセンヒドロペルオキシド、α−(iso−プロピルフェニル)−iso−プロピルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルジオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルジオキシ)バレレート、シクロヘキサノンペルオキシド、2,2’,5,5’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ビス(tert−ブチルペルオキシカルボニル)−4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルジペルオキシイソフタレート等の有機過酸化物、9,10−アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン等のキノン類、ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン誘導体、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−{4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル}−フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)が挙げられるが、光硬化時に使用する光源に吸収をもつものであれば、特に限定されるものではない。
【0019】
上記化合物は、市販品として入手が可能であり、その具体例としては、IRGACURE(登録商標)651、同184、同500、同2959、同127、同754、同907、同369、同379、同379EG、同819、同819DW、同1800、同1870、同784、同OXE01、同OXE02、同250、DAROCUR(登録商標)1173、同MBF、同4265、Lucirin(登録商標)TPO(以上、BASFジャパン株式会社製)、KAYACURE(登録商標)DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA(以上、日本化薬株式会社製)、VICURE−10、同55(以上、STAUFFER社製)、ESACURE(登録商標)KIP150、同TZT、同1001、同KTO46、同KB1、同KL200、同KS300、同EB3、トリアジン−PMS、トリアジンA、トリアジンB(以上、日本シイベルヘグナー株式会社製)、アデカオプトマーN−1717、同N−1414、同N−1606(株式会社ADEKA(旧旭電化工業株式会社)製)が挙げられる。
【0020】
上記光重合開始剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0021】
本発明のインプリント材料における(C)成分の含有量は、上記(A)成分及び上記(B)成分の総質量に対して、0.5phr乃至30phrであることが好ましく、1phr乃至20phrであることがより好ましい。この割合が0.1phr以下の場合には、十分な硬化性が得られず、パターニング特性の悪化および耐擦傷性の低下が起こるからである。ここで、phrとは、(A)成分及び(B)成分の総質量100gに対する、光重合開始剤の質量を表す。
【0022】
<(D)成分>
本発明においては(D)成分として溶剤を含有してもよい。(D)成分である溶剤は、(A)成分であるビフェニル(メタ)アクリレートと、(B)成分であるフルオレン(メタ)アクリレート及び/又はビスフェノール(メタ)アクリレートとの混合物の粘度調整の役割を果たす。
【0023】
上記溶剤としては、例えば、トルエン、p−キシレン、o−キシレン、スチレン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、1−オクタノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−ブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピルケトン、酢酸n−プロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、アリルアルコール、n−プロパノール、2−メチル−2−ブタノール、イソブタノール、n−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチルヘキサノール、1−オクタノール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、トリメチレングリコール、1−メトキシ−2−ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフリフリルアルコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、イソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、N−シクロヘキシル−2−ピロリジンが挙げられ、上記(A)成分と(B)成分との混合物の粘度を調節することができるものであれば、特に限定されるものではない。
【0024】
上記溶剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0025】
<(E)成分>
本発明においては(E)成分として界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、得られる塗膜の製膜性を調整する役割を果たす。
【0026】
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、商品名エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成株式会社製)、商品名メガファック(登録商標)F171、同F173、同R−08、同R−30(DIC株式会社製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム株式会社製)、商品名アサヒガード(登録商標)AG710、サーフロン(登録商標)S−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子株式会社製)等のフッ素系界面活性剤、及びオルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業株式会社製)、BYK(登録商標)−302、同−307、同−322、同−323、同−330、同−333、同−370、同−375、同−378、同−UV3500、同−UV3570(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を挙げることができる。
【0027】
上記界面活性剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。界面活性剤が使用される場合、その割合は、上記(A)成分及び上記(B)成分の総質量に対して、好ましくは0.001phr乃至40phr、より好ましくは0.01phr乃至10phrである。
【0028】
本発明のインプリント材料は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、エポキシ化合物、光酸発生剤、光増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、密着補助剤及び離型性向上剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含有することができる。
【0029】
上記エポキシ化合物は、エポキシ基又はオキシラン環を有する化合物であり、例えば、エポリード(登録商標)GT−401、同PB3600、セロキサイド(登録商標)2021P、同2000、同3000、EHPE3150、同EHPE3150CE、サイクロマー(登録商標)M100(以上、ダイセル化学工業株式会社製)、EPICLON(登録商標)840、同840−S、同N−660、同N−673−80M(以上、DIC株式会社製)が挙げられる。
【0030】
上記光酸発生剤としては、例えば、IRGACURE(登録商標)PAG103、同PAG108、同PAG121、同PAG203、同CGI725(以上、BASFジャパン株式会社製)、WPAG−145、WPAG−170、WPAG−199、WPAG−281、WPAG−336、WPAG−367(以上、和光純薬工業株式会社製)、TFE−トリアジン、TME−トリアジン、MP−トリアジン、ジメトキシトリアジン、TS−91、TS−01(株式会社三和ケミカル製)が挙げられる。
【0031】
上記光増感剤としては、例えば、チオキサンテン系、キサンテン系、ケトン系、チオピリリウム塩系、ベーススチリル系、メロシアニン系、3−置換クマリン系、3,4−置換クマリン系、シアニン系、アクリジン系、チアジン系、フェノチアジン系、アントラセン系、コロネン系、ベンズアントラセン系、ペリレン系、メロシアニン系、ケトクマリン系、フマリン系、ボレート系が挙げられる。
【0032】
上記光増感剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。当該光増感剤を用いることによって、UV領域の波長を調整することもできる。
【0033】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、TINUVIN(登録商標)PS、同99−2、同109、同328、同384−2、同400、同405、同460、同477、同479、同900、同928、同1130、同111FDL、同123、同144、同152、同292、同5100、同400−DW、同477−DW、同99−DW、同123−DW、同5050、同5060、同5151(以上、BASFジャパン株式会社)が挙げられる。
【0034】
上記紫外線吸収剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。当該紫外線吸収剤を用いることによって、光硬化時に膜の最表面の硬化速度を制御することができ、離型性を向上できる場合がある。
【0035】
上記酸化防止剤としては、例えば、IRGANOX(登録商標)1010、同1035、同1076、同1135、同1520L(以上、BASFジャパン株式会社製)が挙げられる。
【0036】
上記酸化防止剤は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することができる。当該酸化防止剤を用いることで、酸化によって膜が黄色に変色することを防止することができる。
【0037】
上記密着補助剤としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。当該密着補助剤を用いることによって、基材との密着性が向上する。当該密着補助剤の含有量は、上記(A)成分及び上記(B)成分の総質量に対して、好ましくは0.1phr乃至20phr、より好ましくは0.1phr乃至10phrである。
【0038】
上記離型性向上剤としては、シリコーンユニット含有化合物又はフッ素含有化合物が挙げられる。シリコーンユニット含有化合物としては、例えば、X−22−164、X−22−164AS、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−164E、X−22−163、X−22−169AS、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−9002、X−22−2475、X−22−4952、KF−643、X−22−343、X−22−2046(以上、信越化学工業株式会社製)が挙げられる。フッ素含有化合物としては、例えば、R−5410、R−1420、M−5410、M−1420、E−5444、E−7432、A−1430、A−1630(以上、ダイキン工業株式会社製)が挙げられる。
【0039】
本発明のインプリント材料の調製方法は、特に限定されないが、(A)成分、(B)成分、(C)成分、並びに任意成分である(D)成分及び(E)成分が均一に混合した状態であればよい。また、(A)成分乃至(E)成分を混合する際の順序は、均一な溶液が得られるなら問題なく、特に限定されない。当該調製方法としては、例えば、(A)成分に(B)成分を所定の割合で混合する方法が挙げられる。また、これに更に(C)成分、(D)成分及び(E)成分を混合し、均一な溶液とする方法等も挙げられる。さらに、この調製方法の適当な段階において、必要に応じて、その他の添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
【0040】
また、(D)成分である溶剤を用いる場合には、光照射前の被膜及び光照射後の被膜の少なくとも一方に対し、溶剤を蒸発させる目的で、焼成してもよい。焼成機器としては、特に限定されるものではなく、例えば、ホットプレート、オーブン、ファーネスを用いて、適切な雰囲気下、すなわち大気、窒素等の不活性ガス、真空中等で焼成することができるものであればよい。焼成温度は、溶媒を蒸発させる目的では、特に限定されないが、例えば、40℃乃至200℃で行うことができる。
【0041】
本発明のインプリント材料は、基材に塗布し光硬化することで所望の被膜を得ることができる。塗布方法としては、公知又は周知の方法、例えば、スピンコート法、ディップ法、フローコート法、インクジェット法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法を挙げることができる。
【0042】
本発明のインプリント材料を塗布するための基材としては、例えば、シリコンウエハ、インジウム錫酸化物(ITO)が成膜されたガラス(ITO基板)、シリコンナイトライド(SiN)が成膜されたガラス(SiN基板)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)が成膜されたガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、アクリル、プラスチック、ガラス、石英、セラミックスを挙げることができる。また、可撓性を有するフレキシブル基材を用いることも可能である。
【0043】
本発明のインプリント材料を硬化させる光源としては、特に限定されないが、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrFエキシマーレーザー、ArFエキシマーレーザー、Fエキシマーレーザー、電子線(EB)、極端紫外線(EUV)を挙げることができる。また、波長は、一般的には、436nmのG線、405nmのH線、365nmのI線、又はGHI混合線を用いることができる。さらに、露光量は、好ましくは、30乃至2000mJ/cm、より好ましくは30乃至1000mJ/cmである。
【0044】
光インプリントを行う装置は、目的のパターンが得られれば、特に限定されないが、例えば、東芝機械株式会社のST50、Obducat社製のSindre(登録商標)60、明昌機構株式会社製のNM−0801HB等の市販されている装置を用いることができる。
【0045】
本発明で用いる光インプリント用に使用するモールド材としては、例えば、石英、シリコン、ニッケル、アルミナ、カルボニルシラン、グラッシーカーボンを挙げることができるが、目的のパターンが得られるなら、特に限定されない。また、モールドは、離型性を高めるために、その表面にフッ素系化合物等の薄膜を形成する離型処理を行っても良い。離型処理に用いる離型剤としては、例えば、ダイキン工業株式会社製のオプツールHD(登録商標)が挙げられるが、目的のパターンが得られるなら、特に限定されない。
【0046】
光インプリントのパターンは、目的の電子デバイスに適合したパターンを選択すればよく、パターンサイズもこれに準ずる。パターンサイズは、例えば、ナノメートルオーダー及びマイクロメートルオーダーである。
【実施例】
【0047】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
【0048】
[被膜形成用塗布液の調製]
<実施例1>
(A)成分であるA−LEN−10(新中村化学工業株式会社製)3.0gに、(B)成分であるオグソール(登録商標)EA−0200(大阪ガスケミカル株式会社製)(以下、「オグソール」と略称する。)2.0g及び(C)成分であるDAROCUR(登録商標)1173(BASFジャパン株式会社製)0.25gを加え、本発明のインプリント材料EX−1を調製した。
【0049】
<実施例2>
(A)成分であるA−LEN−10(新中村化学工業株式会社製)3.0gに、(B)成分であるA−BPE−4(新中村化学株式会社製)2.0g及び(C)成分であるDAROCUR(登録商標)1173(BASFジャパン株式会社製)0.25gを加え、本発明のインプリント材料EX−2を調製した。
【0050】
<実施例3>
(A)成分であるA−LEN−10(新中村化学工業株式会社製)3.0gに、(B)成分であるオグソール2.0g及びA−BPE−4(新中村化学株式会社製)、並びに(C)成分であるDAROCUR(登録商標)1173(BASFジャパン株式会社製)0.25gを加え、本発明のインプリント材料EX−3を調製した。
【0051】
<実施例4>
実施例1で得られたインプリント材料EX−1に(D)成分であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と略称する。)を5.2g加えて、本発明のインプリント材料EX−4を調製した。
【0052】
<実施例5>
実施例2で得られたインプリント材料EX−2に(D)成分であるPGMEAを5.2g加えて、本発明のインプリント材料EX−5を調製した。
【0053】
<実施例6>
実施例3で得られたインプリント材料EX−3に(D)成分であるPGMEAを5.2g加えて、本発明のインプリント材料EX−6を調製した。
【0054】
<比較例1>
(A)成分であるA−LEN−10(新中村化学工業株式会社製)5gに(C)成分であるDAROCUR(登録商標)1173(BASFジャパン株式会社製)0.25gを加えて、インプリント材料EX−aを調製した。
【0055】
<比較例2>
(A)成分であるA−LEN−10(新中村化学工業株式会社製)3gに、ネオペンチルグリコールジアクリレート(日本化薬株式会社製)2g及び(C)成分であるDAROCUR(登録商標)1173(BASFジャパン株式会社製)0.25gを加えて、インプリント材料EX−bを調製した。
【0056】
<比較例3>
比較例1で得られたインプリント材料EX−aに(D)成分であるPGMEAを5.2g加えて、インプリント材料EX−cを調製した。
【0057】
<比較例4>
比較例2で得られたインプリント材料EX−aに(D)成分であるPGMEAを5.2g加えて、インプリント材料EX−dを調製した。
【0058】
[光インプリント用被膜の作製]
実施例1で得たインプリント材料EX−1を石英基板上にスピンコートし、光インプリント用被膜EX−1Fを作製した。
【0059】
実施例2で得たインプリント材料EX−2を石英基板上にスピンコートし、光インプリント用被膜EX−2Fを作製した。
【0060】
実施例3で得たインプリント材料EX−3を石英基板上にスピンコートし、光インプリント用被膜EX−3Fを作製した。
【0061】
実施例4で得たインプリント材料EX−4を石英基板上にスピンコートし、100℃のホットプレートで1分間仮焼成を行い、光インプリント用被膜EX−4Fを作製した。
【0062】
実施例5で得たインプリント材料EX−5を石英基板上にスピンコートし、100℃のホットプレートで1分間仮焼成を行い、光インプリント用被膜EX−5Fを作製した。
【0063】
実施例6で得たインプリント材料EX−6を石英基板上にスピンコートし、100℃のホットプレートで1分間仮焼成を行い、光インプリント用被膜EX−6Fを作製した。
【0064】
比較例1で得たインプリント材料EX−aを石英基板上にスピンコートし、光インプリント用被膜EX−aFを作製した。
【0065】
比較例2で得たインプリント材料EX−bを石英基板上にスピンコートし、光インプリント用被膜EX−bFを作製した。
【0066】
比較例3で得たインプリント材料EX−cを石英基板上にスピンコートし、100℃のホットプレートで1分間仮焼成を行い、光インプリント用被膜EX−cFを作製した。
【0067】
比較例4で得たインプリント材料EX−dを石英基板上にスピンコートし、100℃のホットプレートで1分間仮焼成を行い、光インプリント用被膜EX−dFを作製した。
【0068】
[光インプリント]
ナノインプリント装置は、NM−0801HB(明昌機構株式会社製)を使用した。実施例1乃至実施例6及び比較例1乃至比較例4で得たインプリント材料から作製された各光インプリント用被膜をパターニング試験した。用いたモールドはシリコン製であり、パターンは120nmのラインアンドスペースとした。モールドは、事前にオプツール(登録商標)HD(ダイキン工業株式会社製)に浸漬し、温度が90℃、湿度が90RH%の高温高湿装置を用いて1時間処理し、純水でリンス後、エアーで乾燥させたものを使用した。
【0069】
実施例1で得たインプリント材料EX−1から作製された光インプリント用被膜EX−1Fにシリコン製モールドを接着させた状態で、光インプリント装置に設置した。光インプリントは、常時23℃の条件で、a)10秒間かけて1000Nまで加圧、b)高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmの露光、c)10秒間かけて除圧、d)モールドと基板を分離して離型、というシーケンスで行った。光インプリントの結果を表1に示す。
【0070】
さらに、実施例2乃至実施例6及び比較例1乃至比較例4で得たインプリント材料から作製された各光インプリント用被膜を用いた以外は上記と同様の方法で、光インプリントを行った。光インプリントの結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
表1において、「光硬化」とは露光後に膜が硬化したかどうかの評価をいい、“○”は硬化した、“×”は硬化しなかった、を表す。「剥がれ」とは、離型時にパターンの一部がモールドに付着する等により剥がれたかどうかの評価をいい、“○”は剥がれなかった、“×”は剥がれがみられた、を表す。「形状」とは、離型後の膜にモールドのパターンが良好に転写されたかどうかの評価をいい、“○”は良好に転写された、“×”は良好に転写されなかった、を示す。
【0073】
表1の結果から、実施例1乃至実施例6は、良好な光インプリントにおけるパターン形成が可能であった。一方、比較例1乃至比較例4は、露光により膜が硬化したが、いずれも離型時にパターンの一部が剥がれ、離型後の膜にモールドのパターンが良好に転写されなかった。
【0074】
以上の結果から、良好な光インプリントが可能な本発明のインプリント材料の構成は、(A)成分のビフェニル(メタ)アクリレート、(B)成分のフルオレン(メタ)アクリレート及び/又はビスフェノール(メタ)アクリレート、及び(C)成分の光重合開始剤が必須であることが明らかとなった。さらに、(D)成分の溶剤を含有してもよいことが明らかとなった。
【0075】
[透過率の測定]
透過率測定は、UV−2550 UV−VISIBLE SPECTROPHOTOMETER(株式会社島津製作所製)を使用し、波長400nmにおけるサンプル膜厚1μmでの透過率を算出した。
【0076】
実施例1で得たインプリント材料EX−1を石英基板上にスピンコートし、その上に別の石英基板を被せて常時23℃の条件で、a)10秒間かけて1000Nまで加圧、b)高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmの露光、c)10秒間かけて除圧、d)被せた石英基板を下側の石英基板より分離して離型、というシーケンスで石英基板上に光硬化膜を作製し、透過率測定を行った。結果を表2に示す。
【0077】
実施例2、実施例3、比較例1及び比較例2で得た各インプリント材料を使用した以外は上記と同様の方法で石英基板上に光硬化膜を作製し、透過率測定を行った。結果を表2に示す。
【0078】
実施例4で得たインプリント材料EX−4を石英基板上にスピンコートし、100℃のホットプレートで1分間仮焼成を行った。その後、別の石英基板を被せて常時23℃の条件でa)10秒間かけて1000Nまで加圧、b)高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmの露光、c)10秒間かけて除圧、d)被せた石英基板を下側の石英基板より分離して離型、というシーケンスで石英基板上に光硬化膜を製作した後、透過率測定を行った。結果を表2に示す。
【0079】
実施例5、実施例6、比較例3及び比較例4で得た各インプリント材料を使用した以外は上記と同様の方法で石英基板上に光硬化膜を作製し、透過率測定を行った。結果を表2に示す。
【0080】
【表2】

【0081】
表2の結果から、実施例1乃至実施例6及び比較例1乃至比較例4のいずれについても高透過率を達成した。
【0082】
[屈折率の測定]
屈折率測定は、n&k Technology 1512RT(n&k Technology, Inc製)を使用し、波長633nmの屈折率を測定した。
【0083】
実施例1で得たインプリント材料EX−1をシリコンウエハ上にスピンコートし、その上に石英基板を被せて常時23℃の条件で、a)10秒間かけて1000Nまで加圧、b)高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmの露光、c)10秒間かけて除圧、d)石英基板とシリコンウエハを分離して離型、というシーケンスでシリコンウエハ上に光硬化膜を作製し、屈折率測定を行った。結果を表3に示す。
【0084】
実施例2、実施例3、比較例1及び比較例2で得た各インプリント材料を使用した以外は上記と同様の方法でシリコンウエハ上に光硬化膜を作製し、屈折率測定を行った。結果を表3に示す。
【0085】
実施例4で得たインプリント材料EX−4をシリコンウエハ上にスピンコートし、100℃のホットプレートで1分間仮焼成を行った。その後、その上に石英基板を被せて常時23℃の条件でa)10秒間かけて1000Nまで加圧、b)高圧水銀ランプを用いて500mJ/cmの露光、c)10秒間かけて除圧、d)石英基板とシリコンウエハを分離して離型、というシーケンスでシリコンウエハ上に光硬化膜を作製した後、屈折率測定を行った。結果を表3に示す。
【0086】
実施例5、実施例6、比較例3及び比較例4で得た各インプリント材料を使用した以外は上記と同様の方法でシリコンウエハ上に光硬化膜を作製し、屈折率測定を行った。結果を表3に示す。
【0087】
【表3】

【0088】
表3の結果から、実施例1乃至実施例6のインプリント材料は、1.60以上の屈折率を有する膜の形成が可能であった。
【0089】
以上の結果から、本発明のインプリント材料から得られる膜は、光インプリント性が良好であり、かつ高屈折率及び高透過率を有する。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明のインプリント材料から得られる膜は、固体撮像装置(例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ)、太陽電池、LEDデバイス、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ)などの、光学部材を使用する電子デバイスに好適に用いることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有するインプリント材料。
(A)成分:下記式(1)で表されるビフェニル(メタ)アクリレート
【化1】


(式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
(B)成分:下記式(2)で表されるフルオレン(メタ)アクリレート及び/又は下記式(3)で表されるビスフェノール(メタ)アクリレート
【化2】


(式(2)中、R及びRは互いに独立して水素原子又はメチル基を表し、A及びAは互いに独立して炭素原子数2又は3のアルキレン基を表し、m及びnは互いに独立して0乃至3の整数を表す。)
【化3】


(式(3)中、R及びRは互いに独立して水素原子又はメチル基を表し、A及びAは互いに独立して炭素原子数2又は3のアルキレン基を表し、j及びkは互いに独立して2≦(j+k)≦30を満たす正の整数を表す。)
(C)成分:光重合開始剤
【請求項2】
更に(D)成分として溶剤を含有する、請求項1に記載のインプリント材料。
【請求項3】
前記(A)成分の含有量は、当該(A)成分及び前記(B)成分の合計100質量部に基づいて10質量部乃至95質量部である、請求項1又は請求項2に記載のインプリント材料。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載のインプリント材料から作製され、パターンが転写された膜。
【請求項5】
請求項4に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた光学部材。
【請求項6】
請求項4に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた固体撮像装置。
【請求項7】
請求項4に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた太陽電池。
【請求項8】
請求項4に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えたLEDデバイス。
【請求項9】
請求項4に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えたディスプレイ。
【請求項10】
請求項4に記載のパターンが転写された膜を基材上に備えた電子デバイス。


【公開番号】特開2013−95833(P2013−95833A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239372(P2011−239372)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】