説明

高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル、その調製方法および該金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル

【課題】高い屈折率と低い光触媒活性を有する金属酸化物微粒子を含む水分散ゾル、その調製方法および該金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾルを提供する。
【解決手段】ルチル型の結晶構造を有する特定のチタン系微粒子の表面を、少なくともシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物で被覆してなる高屈折率の金属酸化物微粒子を含む水分散ゾル、その調製方法および該金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾル。なお、前記金属酸化物微粒子は、高い屈折率を有しているばかりでなく、低い光触媒活性を備えている。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的光散乱法で測定した平均粒子径が15〜60nmのチタン系微粒子の表面を、少なくともシリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物で被覆してなる高屈折率の金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルであって、
(1)前記チタン系微粒子が、ルチル型の結晶構造を有する結晶性微粒子であり、しかも7.5〜14.0nmのX線回折結晶子径と70〜155m2/gの比表面積とを有し、さらにその屈折率が2.2〜2.7の範囲にあり、
(2)前記被覆層が、前記チタン系微粒子の屈折率より0.2以上低い屈折率を有し、しかも該被覆層を設けてなる前記金属酸化物微粒子の屈折率が2.0〜2.5の範囲にあり、さらに
(3)前記水分散ゾルが、1〜30重量%の前記金属酸化物微粒子を含み、しかもその濁度が0.1〜10cm-1の範囲にある
ことを特徴とする高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項2】
前記チタン系微粒子が、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物粒子を焼成して粉砕したものであることを特徴とする請求項1に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項3】
前記シリカ系酸化物が、二酸化ケイ素であることを特徴とする請求項1に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項4】
前記シリカ系複合酸化物が、ケイ素と、ジルコニウム、アンチモン、スズおよびアルミニウムから選ばれた少なくとも1種の金属元素とを含むシリカ系複合酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項5】
前記チタン系微粒子を動的光散乱法で測定したときの粒子径頻度分布において、100nm以上の粒子径を有する比較的粗大なチタン系微粒子の分布頻度が1%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項6】
前記チタン系微粒子のX線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔d1が0.1440〜0.1460nmの範囲にあり、また(301)結晶面の面間隔d2が0.1355〜0.1370nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項7】
前記チタン系微粒子のX線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)が9/100〜20/100の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項8】
前記複合酸化物粒子が、過酸化チタン酸と、スズ酸カリウムおよび/またはケイ素化合物とを含む混合水溶液をオートクレーブに入れて150〜250℃の温度で水熱処理して、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物を生成させ、次いで該複合酸化物を乾燥して粒状にしたものであることを特徴とする請求項2に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項9】
前記ケイ素化合物が、シリカ微粒子、珪酸およびシリコンアルコキシドから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項10】
前記複合酸化物粒子が、前記複合酸化物を含む混合水溶液をスプレードライヤーに供して噴霧乾燥することにより、該複合酸化物の乾燥と粒状化を同時に行ったものであることを特徴とする請求項8〜9のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項11】
前記チタン系微粒子が、前記複合酸化物粒子を酸素含有雰囲気下で300〜800℃の温度にて焼成して、X線回折結晶子径が7.5〜14.0nmの複合酸化物粒子を生成させ、次いで該複合酸化物粒子を粉砕装置に供して粉砕したものであることを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項12】
前記チタン系微粒子が、請求項11において粉砕された複合酸化物微粒子を純水または超純水に分散させたのち、該水分散液を湿式分級装置に供して、動的光散乱法で測定したときの粒子径が100nm以上の粗大粒子を少なくとも分離・除去したものであることを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項13】
前記金属酸化物微粒子が、前記チタン系微粒子を含む水分散液中に、シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物を混合し、次いで該ケイ素化合物を加水分解させて前記チタン系微粒子の表面をシリカ系酸化物で被覆したものであることを特徴とする請求項1〜3および請求項5〜12のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項14】
前記金属酸化物微粒子が、前記チタン系微粒子を含む水分散液中に、シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物と、過酸化ジルコン酸塩、アンチモン酸塩、スズ酸塩およびアルミン酸塩から選ばれた少なくとも1種の金属化合物とを混合し、次いで該ケイ素化合物および該金属化合物を加水分解させて前記チタン系微粒子の表面をシリカ系複合酸化物で被覆したものであることを特徴とする請求項1〜2および請求項4〜12のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項15】
前記シリコンアルコキシドが、テトラメトキシシランもしくはその縮合物、またはテトラエトキシシランもしくはその縮合物であることを特徴とする請求項9および請求項13〜14のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項16】
前記金属酸化物微粒子が、前記チタン系微粒子の重量をCで表し、さらにその被覆層の重量をSで表したとき、その重量比(S/C)が酸化物換算基準で1/100〜50/100の範囲となるように前記チタン系微粒子の表面上に前記シリカ系酸化物または前記シリカ系複合酸化物を被覆したものであることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項17】
動的光散乱法で測定した平均粒子径が15〜60nmのチタン系微粒子の表面を、少なくともシリカ系酸化物で被覆してなる高屈折率の金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルの調製方法であって、
(a)過酸化チタン酸と、スズ酸カリウムおよび/またはケイ素化合物とを含む混合水溶液をオートクレーブに入れて150〜250℃の温度で水熱処理して、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物を生成させる工程、
(b)前記工程(a)で生成された複合酸化物を乾燥して粒状にすることにより、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む平均粒子径1〜80μmの複合酸化物粒子を得る工程、
(c)前記工程(b)で得られた複合酸化物粒子を酸素含有雰囲気下、300〜800℃の温度で焼成して、該複合酸化物粒子の焼成物からなるチタン系粒子を得る工程、
(d)前記工程(c)で得られたチタン系粒子を粉砕して、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が15〜60nmのチタン系微粒子とし、さらに該チタン系微粒子を純水または超純水に分散させてなる水分散ゾルを得る工程、
(e)前記工程(d)で得られた水分散液を必要に応じ湿式分級装置に供して、動的光散乱法で測定したときの粒子径が100nm以上の粗大粒子を少なくとも分離・除去する工程、および
(f)前記工程(d)または前記工程(e)で得られた水分散液中に、(i)シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物を混合して、該ケイ素化合物を加水分解させることにより前記チタン系微粒子の表面をシリカ系酸化物で被覆した金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルを得る工程
を含むことを特徴とする高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項18】
動的光散乱法で測定した平均粒子径が15〜60nmのチタン系微粒子の表面を、少なくともシリカ系複合酸化物で被覆してなる高屈折率の金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルの調製方法であって、
(a)過酸化チタン酸と、スズ酸カリウムおよび/またはケイ素化合物とを含む混合水溶液をオートクレーブに入れて150〜250℃の温度で水熱処理して、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物を生成させる工程、
(b)前記工程(a)で生成された複合酸化物を乾燥して粒状にすることにより、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む平均粒子径1〜80μmの複合酸化物粒子を得る工程、
(c)前記工程(b)で得られた複合酸化物粒子を酸素含有雰囲気下、300〜800℃の温度で焼成して、該複合酸化物粒子の焼成物からなるチタン系粒子を得る工程、
(d)前記工程(c)で得られたチタン系粒子を粉砕して、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が15〜60nmのチタン系微粒子とし、さらに該チタン系微粒子を純水または超純水に分散させてなる水分散ゾルを得る工程、
(e)前記工程(d)で得られた水分散液を必要に応じ湿式分級装置に供して、動的光散乱法で測定したときの粒子径が100nm以上の粗大粒子を少なくとも分離・除去する工程、および
(f)前記工程(d)または前記工程(e)で得られた水分散液中に、(i)シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物と、過酸化ジルコン酸塩、アンチモン酸塩、スズ酸塩およびアルミン酸塩から選ばれた少なくとも1種の金属化合物を混合して、該ケイ素化合物および該金属化合物を加水分解させることにより前記チタン系微粒子の表面をシリカ系複合酸化物で被覆した金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルを得る工程
を含むことを特徴とする高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項19】
前記工程(a)で使用されるケイ素化合物が、シリカ微粒子、珪酸およびシリコンアルコキシドから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項17または18に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項20】
前記工程(a)で得られた混合水溶液のpHを、前記工程(b)に供する前に、3〜10の範囲に調整しておくことを特徴とする請求項17〜19のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項21】
前記工程(b)において、前記工程(a)で得られた混合水溶液をスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥することにより、該混合水溶液中に含まれる複合酸化物の乾燥と粒状化を同時に行うことを特徴とする請求項17〜20のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項22】
前記工程(a)および前記工程(f)で使用されるシリコンアルコキシドが、テトラメトキシシランもしくはその縮合物、またはテトラエトキシシランもしくはその縮合物であることを特徴とする請求項17〜21のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項23】
前記工程(f)で得られた水分散ゾルに、さらに陰イオン交換樹脂および/または陽イオン交換樹脂を添加して撹拌することにより、該水分散ゾル中に含まれるイオン化物質を除去しておくことを特徴とする請求項17〜22のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項24】
請求項1〜16のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子を有機溶媒中に分散してなる高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル。
【請求項25】
前記有機溶媒が、メタノ-ル、エタノ-ル、ブタノール、プロパノール、イソプロピルアルコ-ル等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン等のケトン類から選ばれた有機化合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項24に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル。
【請求項26】
前記有機溶媒分散ゾルが、請求項1〜16のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルを溶媒置換装置に供して、該水分散ゾル中に含まれる水を有機溶媒に置換したものであることを特徴とする請求項24または25に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−168266(P2010−168266A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187055(P2009−187055)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】