説明

高屈折率金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルの調製方法、該方法から得られる水分散ゾルおよび前記微粒子を含む有機溶媒分散ゾル並びに塗料組成物

【課題】高い屈折率と低い光触媒活性を有する金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルの調製方法並びにその水分散ゾル、および該金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾル並びに塗料組成物を提供する。
【解決手段】チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子の表面を、シリカ系酸化物またはシリカ系複合酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子集合体を乾燥・焼成し、得られた該集合体の焼結物を水の存在下で粉砕してなる金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルの調製方法並びにその水分散ゾル、および該金属酸化物微粒子を含む有機溶媒分散ゾル並びに塗料組成物。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含むチタン系微粒子の表面を、少なくともシリカ系酸化物で被覆してなる高屈折率金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルの調製方法であって、
(a)過酸化チタン酸と、スズ酸カリウムおよび/またはケイ素化合物とを含む混合水溶液をオートクレーブに入れて150〜250℃の温度で水熱処理して、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子(一次粒子)を生成させる工程、
(b)前記工程(a)で得られたチタン系微粒子を含む混合水溶液中に、シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物を混合して、該ケイ素化合物を加水分解させることにより前記チタン系微粒子の表面をシリカ系酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)を得る工程、
(c)前記工程(b)で得られた表面被覆チタン系微粒子を乾燥して粒状にすることにより表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)を得る工程、
(d)前記工程(c)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体を酸素含有雰囲気下、300〜800℃の温度で焼成して、該表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を得る工程、
(e)前記工程(d)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を水の存在下で粉砕して、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が8〜60nmの金属酸化物微粒子(四次粒子)とし、さらに該金属酸化物微粒子を水に分散させてなる水分散ゾルを得る工程、および
(f)前記工程(e)で得られた水分散液を必要に応じ湿式分級装置に供して、動的光散乱法で測定したときの粒子径が100nm以上の粗大粒子を少なくとも分離・除去する工程
を含むことを特徴とする高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項2】
チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物粒子の表面を、少なくともシリカ系複合酸化物で被覆してなる高屈折率金属酸化物微粒子を含む水分散ゾルの調製方法であって、
(a)過酸化チタン酸と、スズ酸カリウムおよび/またはケイ素化合物とを含む混合水溶液をオートクレーブに入れて150〜250℃の温度で水熱処理して、チタニウムと、スズおよび/またはケイ素とを含む複合酸化物からなるチタン系微粒子(一次粒子)を生成させる工程、
(b)前記工程(a)で得られたチタン系微粒子を含む混合水溶液中に、シリコンアルコキシドおよび珪酸から選ばれた少なくとも1種のケイ素化合物と、過酸化ジルコン酸塩、アンチモン酸塩、スズ酸塩およびアルミン酸塩から選ばれた少なくとも1種の金属化合物とを混合して、該ケイ素化合物および該金属化合物を加水分解させることにより前記チタン系微粒子の表面をシリカ系複合酸化物で被覆してなる表面被覆チタン系微粒子(二次粒子)を得る工程、
(c)前記工程(b)で得られた表面被覆チタン系微粒子を乾燥して粒状にすることにより表面被覆チタン系微粒子集合体(三次粒子)を得る工程、
(d)前記工程(c)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体を酸素含有雰囲気下、300〜800℃の温度で焼成して、該表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を得る工程、
(e)前記工程(d)で得られた表面被覆チタン系粒子集合体の焼成物を水の存在下で粉砕して、動的光散乱法で測定したときの平均粒子径が8〜60nmの金属酸化物微粒子(四次粒子)とし、さらに該金属酸化物微粒子を水に分散させてなる水分散ゾルを得る工程、および
(f)前記工程(e)で得られた水分散液を必要に応じ湿式分級装置に供して、動的光散乱法で測定したときの粒子径が100nm以上の粗大粒子を少なくとも分離・除去する工程
を含むことを特徴とする高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項3】
前記工程(a)で使用されるケイ素化合物が、シリカ微粒子、珪酸およびシリコンアルコキシドから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項4】
前記工程(b)で使用されるシリコンアルコキシドが、テトラメトキシシランもしくはその縮合物、またはテトラエトキシシランもしくはその縮合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項5】
前記工程(b)で得られる表面被覆チタン系微粒子が、前記チタン系微粒子の重量をCで表し、さらにその被覆層の重量をSで表したとき、その重量比(S/C)が酸化物換算基準で1/100〜50/100の範囲となるように前記チタン系微粒子の表面上に前記シリカ系酸化物または前記シリカ系複合酸化物で被覆したものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項6】
前記工程(c)で得られる表面被覆チタン系粒子集合体が、前記表面被覆チタン系微粒子を含む混合水溶液をスプレードライヤーに供して噴霧乾燥することにより、該表面被覆チタン系微粒子の乾燥と粒状化を同時に行ったものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項7】
前記工程(e)で使用される水が、純水または超純水であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項8】
前記工程(e)で使用される水中に、さらに分散安定化剤として作用する無機化合物および/または有機化合物を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項9】
前記無機化合物が、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニアから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項10】
前記有機化合物が、酒石酸、クエン酸およびリンゴ酸から選ばれた少なくとも1種のカルボン酸系化合物、および/またはジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミンおよびテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドから選ばれた少なくとも1種のアミン系化合物であることを特徴とする請求項8に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項11】
前記工程(f)で得られた水分散ゾルをオートクレーブに入れて、さらに150〜250℃の温度条件下で水熱処理することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項12】
前記工程(f)で得られた水分散ゾルに、さらに陰イオン交換樹脂および/または陽イオン交換樹脂を添加して撹拌することにより、該水分散ゾル中に含まれるイオン化物質を除去しておくことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルの調製方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の調製方法から得られる高屈折率の金属酸化物微粒子の水分散ゾルであって、
(1)前記金属酸化物微粒子を構成するチタン系微粒子が、ルチル型の結晶構造を有する結晶性粒子であり、しかも7.5〜14.0nmのX線回折結晶子径を有し、さらにその屈折率が2.2〜2.7の範囲にあり、
(2)前記金属酸化物微粒子を構成する被覆層が、前記チタン系微粒子の屈折率より0.2以上低い屈折率を有し、しかも
(3)前記金属酸化物微粒子が、8〜60nmの平均粒子径と70〜200m2/gの比表面積を有し、さらにその屈折率が2.0〜2.5の範囲にあり、また
(4)前記水分散ゾルが、1〜30重量%の前記金属酸化物微粒子を含み、しかもその濁度が0.1〜10cm-1の範囲にある
ことを特徴とする高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項14】
前記チタン系微粒子が、X線回折から求められる、(310)結晶面の面間隔d1が0.1440〜0.1460nmの範囲にあり、また(301)結晶面の面間隔d2が0.1355〜0.1370nmの範囲にあることを特徴とする請求項13に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項15】
前記チタン系微粒子が、X線回折から求められる、(310)結晶面のピーク強度P1と(110)結晶面のピーク強度P2との相対ピーク強度比(P1/P2)が9/100〜20/100の範囲にあることを特徴とする請求項13〜14のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項16】
前記被覆層が、実質的に二酸化ケイ素からなるシリカ系酸化物であることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項17】
前記被覆層が、ケイ素と、ジルコニウム、アンチモン、スズおよびアルミニウムから選ばれた少なくとも1種の金属元素とを含むシリカ系複合酸化物であることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項18】
前記金属酸化物微粒子が、動的光散乱法で測定したときの粒子径頻度分布において、100nm以上の粒子径を有する比較的粗大なチタン系微粒子の分布頻度が1%以下であることを特徴とする請求項13〜17のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾル。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子を有機溶媒中に分散してなる高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル。
【請求項20】
前記有機溶媒が、メタノ-ル、エタノ-ル、ブタノール、プロパノール、イソプロピルアルコ-ル等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン等のケトン類から選ばれた有機化合物の少なくとも1種であることを特徴とする請求項19に記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル。
【請求項21】
前記有機溶媒分散ゾルが、請求項13〜18のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の水分散ゾルを溶媒置換装置に供して、該水分散ゾル中に含まれる水を有機溶媒に置換したものであることを特徴とする請求項19〜20のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子の有機溶媒分散ゾル。
【請求項22】
請求項13〜18のいずれかに記載の高屈折率金属酸化物微粒子とバインダー成分を含む塗料組成物。
【請求項23】
前記バインダー成分が、有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項22に記載の塗料組成物。
【請求項24】
前記有機ケイ素化合物が、下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物および/またはその加水分解物であることを特徴とする請求項23に記載の塗料組成物。
1a2bSi(OR34-(a+b) (I)
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基を含有する炭素数8以下の有機基、エポキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メタクリロキシ基を含有する炭素数8以下の有機基、メルカプト基を含有する炭素数1〜5の有機基またはアミノ基を含有する炭素数1〜5の有機基であり、R2は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基またはアリル基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基、アルキレン基またはシクロアルキル基である。また、aは0または1の整数、bは0、1または2の整数である。)
【請求項25】
前記有機ケイ素化合物が、該有機ケイ素化合物をSiO2基準に換算した重量をXで表し、前記高屈折率金属酸化物微粒子の重量をYで表したとき、その重量比(X/Y)が30/70〜90/10となるような割合で含まれることを特徴とする請求項23〜24のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項26】
前記バインダー成分が、熱硬化性有機樹脂または熱可塑性有機樹脂であることを特徴とする請求項22に記載の塗料組成物。
【請求項27】
前記熱硬化性有機樹脂が、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂およびメラミン系樹脂から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項26に記載の塗料組成物。
【請求項28】
前記熱可塑性有機樹脂が、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂およびエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項26に記載の塗料組成物。
【請求項29】
前記熱硬化性有機樹脂または熱可塑性有機樹脂が、該樹脂化合物の重量をAで表し、前記高屈折率金属酸化物微粒子の重量をBで表したとき、その重量比(A/B)が90/10〜30/70となるような割合で含まれることを特徴とする請求項26〜28のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項30】
前記塗料組成物が、光学基材用塗料組成物であることを特徴とする請求項22〜29のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項31】
前記光学基材用塗料組成物が、ハードコート層膜形成用塗料組成物であることを特徴とする請求項30に記載の塗料組成物。
【請求項32】
前記光学基材用塗料組成物が、プライマー層膜形成用塗料組成物であることを特徴とする請求項30に記載の塗料組成物。

【公開番号】特開2011−132484(P2011−132484A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14698(P2010−14698)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】