説明

高層建築物の高圧洗浄設備

【課題】 高層建築物に十分な水圧の高圧洗浄水を簡単に供給することができるようになる高層建築物の高圧洗浄装置を提供する。
【解決手段】 高層建築物1に、地下階3から最上階5に至るまで、ストレート形状の高圧水用メインパイプ7を、ほぼ真っ直ぐに伸びるように配置する。高圧水用メインパイプ7の下端部に、入り口接続パイプ11を形成し、また、高さ方向複数個所で供給口接続パイプ15を設けておく。入り口接続パイプ11から、高圧水用メインパイプ7を通って供給口接続パイプ15に高圧水を導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば30mを超えるような高層建築物に洗浄用の高圧水を供給するための高層建築物の高圧洗浄設備に関する。
【背景技術】
【0002】
高層建築物では、定期的に排水管を上から下まで全長にわたって清掃しなければならない。高層建築物の排水管の清掃には種々の方法が用いられているが、フレキシブルワイヤ清掃工法(例えば特許文献1参照)と高圧洗浄工法(例えば特許文献2参照)とを併用して清掃を行う場合が最も一般的である。フレキシブルワイヤ清掃工法に用いる清掃装置は、比較的軽量であり、建築物内を又は建築物に沿って移動させるのに特に障害が生じるといったことはなく、しかも、建築物内のAC100Vの電源を用いることができるものである。しかしながら、高圧洗浄工法に用いる高圧洗浄装置(例えば高圧洗浄車)は、大型であり重量が重く、安全上の観点から建築物の2階以上の階層に持ち込むことが禁止される場合も多い。しかも、電動モータ駆動の高圧洗浄装置では、一般的にAC200Vの電源が用いられるので、建築物から電源を確保することが困難であり、したがって、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジン駆動の高圧洗浄装置が多く用いられているが、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジンは、騒音及び振動を発生させ、排気ガスを排出する。したがって、高圧洗浄装置は、この観点からも建築物の2階以上の階層に持ち込むことが制約される。
【0003】
そこで、高圧洗浄工法を用いる場合には、高圧洗浄装置を建築物の地下又は1階に設置し、高圧洗浄装置から高圧水ホースを用いて洗浄個所に高圧水を供給している。高圧水ホースは通常、建築物内、例えば建築物内の階段を複雑に湾曲しながら、場合によっては手摺などに巻かれるようにして、高層階に導かれることとなる。
【0004】
【特許文献1】特開平06−240718号公報
【特許文献2】実公平03−55670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建築物の高さが30m程度であれば、高圧洗浄装置から高圧水ホースを通って高圧水を建造物の最上階まで支障なく供給することができるが、建築物の高さが30mを大きく超えるような場合には、高圧水ホースが複雑に湾曲しているために、高圧水ホースの流体抵抗が大きくなり、高層階では洗浄時に必要な水圧を得ることができなくなってしまう。しかも、建築物の高さが高くなると、高圧水ホースの配置作業に長時間を要するようになり、清掃作業を迅速に完了させることが難しくなってしまう。
【0006】
そこで本発明は、高層建築物に十分な水圧の高圧洗浄水を簡単に供給することができるようになる高層建築物の高圧洗浄設備の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明の高層建築物の高圧洗浄設備は、高層建築物の高圧洗浄設備であって、高さ方向に延びるように高層建築物に配置された高圧水用メインパイプと、この高圧水用メインパイプに設けられた、前記高層建築物の洗浄区域に高圧水を供給するための供給口部と、前記高圧水用メインパイプに設けられた、高圧洗浄装置の高圧水送り出し口に連結される高圧水入り口部と、を備え、前記供給口部は、前記高圧水用メインパイプに、高さ方向複数箇所で設けられていて、前記高圧水入り口部は、前記高層建築物の地下階又は地上階の低い階に配置されているものである。高圧水用メインパイプは、ストレートに又はほぼストレートに上方に向かって延びるように、例えば高層建築物内に配置される。したがって、高圧水用メインパイプの流体抵抗は小さい。そこで、高層建築物の地下階又は地上階の低い階に設置され、高圧水入り口部と連結された高圧洗浄装置から、この高圧水用メインパイプを介して、高層建築物の最上階にも、十分高圧な洗浄水を供給口部を通して供給することが可能となる。また、高圧洗浄作業を行う場合に、建築物の低い階から高い階にまでホースを運んで洗浄配管を構成するといった必要はなくなる。高圧水入り口部は、例えば高圧水用メインパイプの下端部に設けられる。供給口部は任意階に設けることができる。
【0008】
本発明の高層建築物の高圧洗浄設備は、特に、高圧洗浄車を用いて、30mを超える高さの高層建築物を高圧洗浄する場合に有効である。
【0009】
高圧水用メインパイプは、複数本のパイプ部材を高さ方向に連結することにより形成することができる。この場合には、パイプ部材間の連結部に、例えばパイプ部材同士を連結するジョイントに、供給口部を設けておけば、パイプ設備を簡単に構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、高圧洗浄装置を、予め配置されている高圧水用メインパイプに接続し、洗浄に必要な高圧水をこの高圧水用メインパイプを介して高層建築物に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明に係る高層建築物の高圧洗浄設備の構成を示す概念図である。
【0013】
高層建築物1には、地下階3から最上階5に至るまで、ストレート形状の高圧水用メインパイプ7がほぼ真っ直ぐに延びるように配置されていて、この高圧水用メインパイプ7は樹脂製であり、内径12.7mm以上に形成されている。高圧水用メインパイプ7は、高層建築物1のパイプスペース又は他のスペースを利用して配置されているが、高圧水用メインパイプ7の下端部には、地下階3に位置するように、入り口バルブ9を有する入り口接続パイプ11(高圧水入り口部)が設けられている。高圧水用メインパイプ7にはまた、所定の階層に対応して、供給バルブ13を有する供給口接続パイプ15(供給口部)が高さ方向に複数設けられているが、供給口接続パイプ15を地上各階層に対応して設けることもできる。
【0014】
図2は高層建築物1に高圧水を供給する場合を説明するための図である。
【0015】
高層建築物1に高圧洗浄を施す場合には、高層建築物1の地下階3に高圧洗浄車17(高圧洗浄装置)を運び入れる。高圧洗浄車17に搭載された駆動源は、例えばガソリンエンジンとすることができる。そして、高圧洗浄車17の圧送ホース19(圧送ホス19の接続口は高圧水送り出し口に該当)を高圧水用メインパイプ7の入り口接続パイプ11に接続する。また、高圧水用メインパイプ7の、高圧洗浄個所に近い供給口接続パイプ15に供給ホース21を接続する。このようにしてから、入り口接続パイプ11の入り口バルブ9を開放し、かつ、供給ホース21が接続されている供給口接続パイプ15の供給バルブ13を開放して、供給ホース21から高圧洗浄個所に高圧水を供給する。このようにして、例えば器具排水管、排水横管、排水立て管及び排水横主管の清掃を実施することができる。高圧水用メインパイプ7は、50m乃至100mの長さのものを、例えば連結して、使用する。あるいは、10m乃至15mの長さのパイプ部材23を、ジョイント25を介して次々に連結して高圧水用メインパイプ7を形成する。そして、ジョイント25としては、供給口接続パイプ15が設けられているのを用いる。なお、最も上側の供給口接続パイプ15は、高圧水用メインパイプ7の上端に取り付けられた上側栓部材27に設けられ、入り口接続パイプ11は、高圧水用メインパイプ7の下端に取り付けられた下側栓部材29に設けられている。また、高圧水用メインパイプ7の最高使用圧力は、30Mpa以上であることが好ましい。
【0016】
高圧洗浄個所を移動させる場合には、供給ホース21が接続された供給口接続パイプ15の供給バルブ13を閉じ、新たな高圧洗浄個所に近い供給口接続パイプ15に供給ホース21を接続する。そして、この供給口接続パイプ15の供給バルブ13を開放して、供給ホース21から高圧洗浄個所に高圧水を供給する。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の高層建築物の高圧洗浄設備は、高層オフィスビル、高層集合住宅などに構成されて高圧洗浄の適用を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る高層建築物の高圧洗浄設備の構成を示す概念図である。
【図2】高層建築物に高圧水を供給する場合を説明するための図である。
【符号の説明】
【0019】
1 高層建築物
7 高圧水用メインパイプ
11 入り口接続パイプ(高圧水入り口部)
15 供給口接続パイプ(供給口部)
17 高圧洗浄車(高圧洗浄装置)
19 圧送ホース(高圧水送り出し口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高層建築物の高圧洗浄設備であって、
高さ方向に延びるように高層建築物に配置された高圧水用メインパイプと、
この高圧水用メインパイプに設けられた、前記高層建築物の洗浄区域に高圧水を供給するための供給口部と、
前記高圧水用メインパイプに設けられた、高圧洗浄装置の高圧水送り出し口に連結される高圧水入り口部と、を備え、
前記供給口部は、前記高圧水用メインパイプに、高さ方向複数箇所で設けられていて、
前記高圧水入り口部は、前記高層建築物の地下階又は地上階の低い階に配置されている、ことを特徴とする高層建築物の高圧洗浄設備。
【請求項2】
前記高層建築物は30mを超える高さを有し、前記高圧洗浄装置は高圧洗浄車である、ことを特徴とする請求項1記載の高層建築物の高圧洗浄設備。
【請求項3】
前記高圧水用メインパイプは、複数本のパイプ部材を高さ方向に連結することにより形成されていて、
前記供給口部は、前記パイプ部材間の連結部に設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2記載の高層建築物の高圧洗浄設備。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−225993(P2006−225993A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−41377(P2005−41377)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(592185666)管清工業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】