説明

高度な陸上輸送管理

地理的領域において、陸上輸送を管理するためのシステム、方法および装置が開示される。この発明に従ったシステムは、地理的領域を表わす図形情報システム(GIS)データベースを含み、GISデータベースは、地理的領域内の少なくとも1つの地理位置を表わす少なくとも1つのノードと、地理的領域内の少なくとも1つの街路を表わす少なくとも1つの弧とを含み、システムはさらに、GISデータベースに結合されて外部からのデータをGISデータベースが受入れ可能であるフォーマットに変換するデータ融合コンバータと、GISデータベースに結合される動的ルーティングツールとを含み、動的ルーティングツールはGISデータベースからのデータを受取り、GISデータベースからのデータを用いて地理的領域内の少なくとも1つの車両についての輸送ルートを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連の出願との相互参照
本願は、以下の同時係属中の本願の譲受人に譲渡された特許出願に関し、それらはここに引用により援用されている。
【0002】
ポーリン・ジョー(Pauline Joe)、ケネス・A・コブリー(Kenneth A. Cobleigh)、およびウィリアム・F・ライオンズ(William F. Lyons)による、「動的ルーティングツール(Dynamic Routing Tool)」と題され、本願と同日に提出された米国特許出願番号第xx/xxx,xxx号、代理人整理番号第147.150−US−01)。
【0003】
ダニエル・J・ガドラー(Daniel J. Gadler)による、「AGTM空中偵察機(AGTM Airborne Surveillance)」と題され、本願と同日に提出された米国特許出願番号第xx/xxx,xxx号、代理人整理番号第147.152−US−01。
【0004】
アラン・E・ブルース(Alan E. Bruce)、ケネス・A・コブリー、およびポーリン・ジョーによる、「避難ルート計画ツール(Evacuation Route Planning Tool)」と題され、本願と同日に提出された米国特許出願番号第xx/xxx,xxx号、代理人整理番号第147.153−US−01。
【0005】
ケネス・A・コブリー、ポーリン・ジョー、ダニエル・J・ガドラー、およびスティーブン・F・カスパード(Steven F. Cuspard)による、「動的ルーティングシステムに適用されたジオインフォスフィア(Geo-Infosphere as Applied To Dynamic Routing System)」と題され、本願と同日に提出された米国特許出願番号第xx/xxx,xxx号、代理人整理番号第147.154−US−01。
【0006】
ケネス・A・コブリー、ポーリン・ジョー、ダニエル・J・ガドラー、およびジェームズ・R・ハミルトン(James R. Hamilton)による、「高度な陸上輸送システムのためのデータ融合(Data Fusion for Advanced Ground Transportation System)」と題され、本願と同日に提出された米国特許出願番号第xx/xxx,xxx号、代理人整理番号第147.155−US−01。
【背景技術】
【0007】
発明の背景
1.発明の分野
この発明は一般的に陸上輸送管理に関し、特に、高度な陸上輸送管理のための方法、装置および製造品に関する。
【0008】
2.発明の背景
多くの州および地方の機関は、それらの管轄内の地理的な情報を管理し、計画し、かつ記録するために地理情報システム(Geographical Information System, GIS)データベースを用いる。たとえば、道路および下水道の配設ならびに計画および管理目的で用いる他の市政情報は、GISデータベースに保存される。しかしながら、これらのGISデータベースは、これらの地理的なデータポイントを不動産目的でマッピングするためにしか用いられない。たとえば、修繕のために、どこで公道が終わりどこで私道が始まるかを把握し、どこに下水配管があるかを把握するなどである。各自治体は、典型的には、修繕が着手されて完了されるとこれらのデータベースを更新する。
【0009】
自治体はまた、警察、消防および救急サービスなどの保安部をも運営する。これらの部署には、関連の自治体のGISデータベースへのアクセスが与えられていないので、それらの運営に影響するかまたはそれらが制御する作戦の管理に役立つ可能性のある、データベースにおける何らかの変更に気づかない。たとえば、救急隊員は所与の街路が修繕のために閉鎖されていることに気づかず、事故現場に向かっている途中の救急隊員が閉鎖されている街路を使用しようとしたために、呼出に応じるのが遅れるかもしれない。
【0010】
さらに、現在のルーティングシステムは、静的な速度データに基づいてルーティングを行なう。それらは動的に変化する交通状況を考慮に入れない。せいぜい、それらは単にステータスを報告するだけであって、計画目的で用いるためにGISシステムと統合されていない。多くのマッピングデータベースは、所与のフリーウェイにおいて事故があることを報告するが、その事故が含まれる道路、セグメントまたは区間上の移動時間を判断しない。さらに、これらのルーティングシステムは、1つのデータ入力のみに、すなわち道路閉鎖のみに基づいて、包括的に判断される。これらのシステムは、所与の2点間の、その2点を接続する道路、セグメント、路地などにおける設備のステータスまたは移動時間などのような、他の要因を考慮に入れない。これらのシステムはまた、出来事が生じた後に分析してシステム上の問題を根絶するための、または是正措置を決定するためのデータを保持しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
大きなGISデータベースは、他のサービスおよびデータと組合されたとしても、フリートのおよび個人的な移動日程を管理するために用いる情報を、商業的市場および消費者市場に提供する能力を有しない。そのようなアクセスは燃費の低減、移動時間の短縮およびフリート資源のよりよい管理をもたらすであろう。
【0012】
GISデータベースが既存のサービスと組合されたとしても、GISデータベースを増強するために用いられるセンサおよび他のデータソースの数は、2点間の最適なルートを正確に予測するかまたは決定するのに適切な包含範囲を提供しない。大都市圏においてさえ、センサによって監視される道路の割合は使用されている道路の数のごく一部であるので、利用可能であるデータは、リアルタイムの交通状態の正確なモデルを提供できない。
【0013】
典型的には避難時に実施される緊急管理作戦は、GISデータベースを利用しない。ある領域に迫っているハリケーン、山火事、生物学的攻撃、核攻撃、または化学的攻撃を含む避難の典型的な理由のいくつかは、決まった避難ルートを有しており、異なった種類の緊急事態のすべてに対して同じ避難ルートが使用される。緊急作戦センターは、典型的には、避難のために最適なルートを動的に識別するのに必要なツールへのアクセスを有しない。したがって、所与の時間または所与の緊急事態についてどのルートが最適であるかという動的な判断ではなく、予め定められた道路を「避難ルート」として示す表示が典型的には存在する。山火事やテロリストの攻撃のようなより複雑な出来事は、性質がより動的であって、実際の出来事の前にどのように緊急事態が展開するかについての不確定性のために、最適な避難計画が予測できない。
【0014】
以上により、当該技術分野において、GISデータベースと他のデータソースとの間の相互接続性に対する必要性があることがわかる。また、以上により、当該技術分野において、緊急人員が避難ルートを決定するのに用いるための、市政のスキーマを超えた管理および作戦のための統合されたGISデータベースへのアクセスを提供する必要性が存在することもわかる。また、当該技術分野において、切迫したまたは発生中の緊急事態に基づいて避難ルートを動的に決定するための方法に対する必要性が存在することもわかる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の概要
先行技術における制約を最小化し、この明細書を読みかつ理解すると明らかになるであろう他の制約を最小化するために、この発明は、地理的領域における陸上輸送を管理するためのシステム、方法および装置を記載する。この発明に従ったシステムは、地理的領域を表わす図形情報システム(Graphical Information Systems, GIS)データベースを含み、前記GISデータベースは、前記地理的領域内の少なくとも1つの地理位置を表わす少なくとも1つのノードと、前記地理的領域内の少なくとも1つの街路を表わす少なくとも1つの弧とを含み、前記システムはさらに、前記GISデータベースに結合されて、外部からのデータを前記GISデータベースが受入れ可能なフォーマットに変換するデータ融合コンバータと、前記GISデータベースに結合される動的ルーティングツールとを含み、前記動的ルーティングツールは前記GISデータベースからのデータを受取り、前記GISデータベースからの前記データを用いて前記地理的領域内の少なくとも1つの車両についての輸送ルートを決定する。
【0016】
この発明の一実施例において、GISデータベースは少なくとも4つのデータ層を含む。すなわち、道路、避難領域、人口密度、および安全な目的地である。道路層は、道路ネットワークを記述する。それは道路セグメントの集合とそれらの接続性とを含む。道路セグメントは、長さと、現在の速度と、未来の速度との属性を与えられる。これらの属性はセグメント通過時間の計算を可能にする。交差点での属性は、信号機および曲がり角による交通遅延の計算を可能にする。輸送ルートは、交通のフローを最大化しかつフローの通過時間を最小化することにより決定される。
【0017】
全体を通して同じ参照番号が対応の部分を示す図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
好ましい実施例の詳細な説明
以下の説明において、添付の図面を参照するが、これは本明細書の一部をなし、この発明のいくつかの実施例を例示のために示す。この発明の範囲から逸脱せずに、他の実施例を使用しかつ構造的な変更を行ない得ることを理解されたい。
【0019】
概要
多くの州および地方の機関は、それらの管轄内の地理的な情報を管理し、計画し、かつ記録するためにGISを用いる。しかしながら、これらの機関は、車両のルーティングのために動的な態様でデータを用いるのではなく、GISを単にマッピングツールとして用いる。
【0020】
緊急車両、通勤者、および業務のフリート管理サービスはすべて、特定の車両または特定の状況についてルートを最適化するために、動的な態様でGISデータベースを使用できる。限定する目的ではなく、例として、大規模火災の発生のような緊急状況が発生した場合、火災が生じている領域についての最適な避難ルートを決定するためにGISデータベースを使用できる。さらに、データベースは、所与の緊急事態についての最適な避難方向と取るべき最適な避難経路とを動的に決定するために、風向、火の方向および移動速度などの他の情報と組合せることができる。道路が開通するかまたは避難のために修正されると、元のルートよりも他の道路のほうが時間効率がよくなったので、この発明のシステムは交通をこれらの新しい道路へと再びルーティングし得る。
【0021】
必要な避難に応じて、この発明のシステムは、異なったパラメータを入力および考慮に入れること、および、どの領域からの避難が必要かを参酌する。限定する目的ではなく、例として、もし緊急事態が火災であれば、この発明のシステムは、消火活動に干渉せずに
できるだけ早急にその領域から避難するための避難ルートを適切に決定できるように、どの方向に火災が進行しているか、およびどの方向に消防士が消火しようとしているかについての情報を必要とする。
【0022】
同様に、化学的攻撃または生物学的攻撃について、この発明のシステムは、適切な避難領域および安全領域を決定できるように、どの方向に風が吹いているかについての情報を必要とし、ハリケーンの避難については、この発明のシステムは、適切な安全領域が確立されるように、最も可能性の高い上陸領域についての情報を必要とする。すなわち、過去の天候パターンに鑑みると、ハリケーンはその地点から北、南、東または西のどの方向に進行しそうであるか、および、ハリケーンが一旦上陸すればどの方向に進行するかについての情報を必要とする。これらの付加的な災害固有のデータポイントは、この発明のシステムに投入されて、ある領域から最も時間効率のよい態様で人々を避難させる点で緊急管理作戦を支援し、かつ、緊急対応人員が差し迫った災害に対処することを容易にする。
【0023】
環境
図1Aは、この発明の1つ以上の実施例を実現するために用いられる例示的なハードウェアおよびソフトウェア環境である。この発明の実施例は、典型的にはコンピュータ100を用いて実現され、このコンピュータ100は一般的に、特に、ディスプレイ装置102と、データ格納装置104と、カーソル制御装置106と、他の装置とを含む。当業者は、これらの部分の組合せ、または任意の数の異なった部分、周辺機器、および他の装置をコンピュータ100とともに用い得ることを認識するであろう。
【0024】
この発明の1つ以上の実施例は、コンピュータによって実現される地理情報システム(GIS)プログラム108を用いて実現され、GISプログラム108は、ディスプレイ装置102上に表示されるウインドウによって表わされる。この発明の1つ以上の実施例においては、GISプログラム108はESRI社から入手可能であるARCINFOおよびNETWORK ANALYZERを用いる。所望であれば、他の民生品利用の(Commercial Off-the-Shelf、COTS)ソフトウェアパッケージをこの発明の範囲から逸脱することなく用いることができる。
【0025】
一般的に、GISプログラム108は、装置、メディア、キャリアもしくは信号に組込まれているか、またはそれらから読出可能である、論理および/またはデータを含む。当該論理および/またはデータとは、たとえば、コンピュータ100に直接的にまたは間接的に接続された1つ以上の固定されたおよび/または取外し可能なデータ格納装置104、データ通信装置を介してコンピュータ100に結合された1つ以上のリモート装置などである。さらに、GISプログラム108は空間データベースのようなデータベース110を利用し得る。
【0026】
コンピュータ100は、インターネット、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)などを含むネットワーク112を介して他のコンピュータ100(たとえばクライアントまたはサーバコンピュータ)に接続されてもよい。さらに、データベース110は、コンピュータ100内に統合されるか、または、別のコンピュータ100もしくはアクセス可能な装置上のネットワーク112をわたって設置されてもよい。
【0027】
当業者は、図1Aに示される例示的なシステムがこの発明の限定を目的としないことを認識するであろう。実際、当業者はこの発明の範囲から逸脱することなく他の代替的なシステムを用い得ることを認識するであろう。したがって、図1AはGISツールの従来的な能力と、状況に応じた陸上交通ルーティングにおいて用いるための他のデータエントリおよびデータプロパティとを組合せる、統合されたAGTMシステム114を示す。
【0028】
システム概要
図1Bは、限定的ではなく例示的な、この発明の高度な陸上交通管理(Advanced Ground Traffic Management, AGTM)システムの機能図を示す。例示的なAGTMシステム114は、動的ルーティングツール116と、避難ルート計画ツール118と、データ融合コンバータ120と、ジオインフォスフィア122とを含む。システム114は、限定されないが、この発明において用いられるものとは異なったフォーマットで提供され得る、交通信号、天候、カメラ、道路ネットワーク、外部センサ、空中偵察データ収集システム124、インポートされたデータベースなどからのデータのような、他の情報ソースからの入力を受ける。これらのデータセットは、データ融合コンバータ120に入力されて、ジオインフォスフィア122によって格納される。AGTMシステム114はまた、顧客および緊急人員へのおよびそれらからのリンクをも提供する。
【0029】
この発明のAGTMシステム114は、さまざまなタイプのデータをGISデータベースにおいて収集および管理することを可能にするので、すべてのデータを用いて現在および予測される状況下での所与の時間における所与の地理的領域についての最適な交通のフローを判断することが可能になる。基本的なGISデータはユーザのさまざまな入力によって増強されるか、または外部のソースによって供給される新しいデータによって一時的にまたは永久的に置き換えられる。そのようなソースはジオインフォスフィア122に異なったフォーマットでデータを提供し得る。したがって、データ融合コンバータ120は受取ったデータをジオインフォスフィア122に格納し得るフォーマットに変換し、必要に応じてジオインフォスフィア122内のデータを更新する。そのようなリアルタイムのまたはほぼリアルタイムのデータは、こうして動的ルーティングツール116および避難ルート計画ツール118が利用して最適に交通ルートを計算することが可能になる。空中偵察データ収集システム124からのデータは、そのようなデータがある場合には、データ融合コンバータ120を介してジオインフォスフィア122に任意で追加可能である。
【0030】
この発明の一実施例においては、そのようなルートは、セルラー電話システムもしくはたとえばパーソナルコミュニケーションシステム(PCS)など同等の通信システムを用いた無線要求、またはたとえばインターネットまたは他の電話装置を介した電話システム要求である有線のシステム、のいずれかを介した顧客からの要求に応答して、AGTMシステム114によって計算される。
【0031】
この発明の一局面においては、AGTMシステム114にアクセス可能な他のリンクは、AGTMシステム114への優先的アクセスのために緊急人員の専用にされていてもよい。緊急人員は、避難ルートもしくは差し迫ったまたは進行中の緊急事態に対応するための最適なルートを決定しているかもしれないので、AGTMシステム114による優先的対処を必要とし得る。これらのアクセスポイントは、やはり、ハードワイヤードであっても無線によるものであってもよい。
【0032】
AGTMシステム114において、要求に応じてデータはデータ融合コンバータ120によって変換され、ジオインフォスフィア122内に格納される。このデータは避難ルート計画ツール118と動的ルーティングツール116との間で選択的に転送されるので、ツール116および118は所与の状況についての最適なルートを計算することができる。空中偵察データ収集システム124からの追加のデータは、もしそのようなデータがあれば、任意でジオインフォスフィア122に追加されてデータ融合コンバータ120によって変換されることができる。
【0033】
ルートがツール116および118によって計算または再計算されると、ルーティング情報はジオインフォスフィア122から顧客および緊急人員に渡される。ルートの計算に
関連する課金およびアーカイブ情報が保持される。限定目的ではなく、たとえば、ジオインフォスフィア122は特定の顧客について検索するためにその所与の顧客のルートを記録してもよく、それらの決定されたルートを、所与の期間内にまたは新しいデータがデータベース内に格納されていない場合に他の顧客のために用いてもよい。
【0034】
空中偵察機入力
図1Cは、この発明に従った空中偵察データ収集システム124を示す。
【0035】
航空機データは、写真データまたは放射測定データをAGTMシステム114に提供する航空機から導出される。航空機130は典型的には高空域長期滞空機(High Altitude Long Endurance, HALE)であって、これは通常は無人であるが、所望であれば有人の航空機であってもよい。航空機130は、たとえばミリ波パッシブ・フェーズド・アレイ技術である写真技術または放射測定技術、レーダー、写真データなどを用いて、所与の地理的領域からデータ125を取得する。このデータは次いでダウンリンク127を介して空中偵察機130によって地上制御ステーション129に中継され、ここでデータは処理されるかまたはAGTMシステム114に中継されてもよい。
【0036】
航空機130は特定の飛行経路131を飛行するか、または特定の地理的領域を飛行してもよい。さらに、1つ以上の航空機130を同じまたは異なった飛行経路131を飛行させて、所与の地理的領域の、データ125の所望の包含範囲を得てもよい。飛行経路131の変更は、交通状態、緊急状況、修理のために使用できない航空機材130、または要望に応じて他の状況に基づいて行ない得る。
【0037】
データ125は、パッシブミリ波放射測定撮像カメラを用いて取得できる。そのようなカメラは、静的なバックグラウンドに対する車両からの異なったエネルギ放出を検知することにより、交通パターンを電子的に記録する能力を提供する。パッシブミリ波カメラ機器は、50フィート開口での10フィートの分解能を提供し、これはスパース・フェーズド・アレイ検出器方策を用いて達成することができる。そのようなデータは、HALE航空機130によって得ることができるが、なぜならばHALE航空機130は典型的には、パッシブ・アレイの展開のための大きな翼幅を有するからである。
【0038】
HALE航空機130は、商業的な航空機の典型的な高度の上を飛行させることができるので、大都市圏における空港の操業に干渉しない。さらに、HALE航空機材130が商業的航空機が巡航する高度で飛行していたとしても、商業的航空機は典型的には大都市圏領域の近くで着地または離陸するために、大都市圏領域では典型的には巡航高度にはない。
【0039】
典型的には、航空機130は関連領域上空のレーストラック状のまたはほぼ楕円形の軌道131を飛行するであろう。AGTMシステム114のためのリアルタイムのまたはほぼリアルタイムのデータ取得を維持するために、航空機130は定期的に同じ地理的領域からデータを再取得しなければならない。これには、各航空機130がすべての期間ごとに同じ領域の上空を飛行することか、または多数の航空機130が、1つの航空機130が他の航空機を追尾するというパターンで飛行し、追尾する航空機130が後に遅れずにデータを取得してその更新を地上管制部129に送ることが必要になる。
【0040】
地上管制部129は、通信リンク127を介して航空機130からデータを受信するだけではなく、地上管制部129はまた、航空機130へのアップリンクされたコマンドを介して無人空中偵察機130ユニットの制御も行なうことができる。地上管制部129は、航空機124からの画像を収集し、照合し、かつ処理して、地理的領域内のさまざまな道路上の交通密度および速度のほぼリアルタイムの写真を生成する。そのようなデータは
、以下に説明するようにデータ融合コンバータ120によって用いるためにシステム114に転送されてもよい。
【0041】
地上管制部129は典型的には、大きな画像ファイルを高速で転送し得るように、KuまたはKa帯通信リンク127で動作する。地上管制部129は収集された画像とデジタル街路地図とを相関させて画像データ125を処理し、かつ、所望であれば、関連の道路に焦点を絞ることができる。標的認識ソフトウェアを用いて、道路上の特定の車両を識別し、かつさまざまな異なった航空機130ユニットからの画像データ125を整列させるためのマーカを提供することもできる。地上管制部129は、従来のセルラーもしくは他の電話ネットワークを用いて、または専用のネットワークを有することにより、処理されたデータを要望に応じてユーザまたはAGTMシステム114に転送することができる。
【0042】
データ融合
データ融合コンバータ120は、さまざまなソースから導出された交通データをジオインフォスフィア122に格納するための単一のフォーマットに統合する。さらに、データ融合コンバータ120はさまざまな交通データを処理して、地理的領域内のさまざまな道路上のリアルタイムの速度を判断する。
【0043】
交通のフローの情報は、多数のセンサおよび人間が入力するデータソースから導出される。データ融合コンバータ120は、さまざまな入力からの入力データを、ジオインフォスフィア122データベースと互換性があり、かつその中に格納されるフォーマットに処理して、次いで多数のデータソースからのデータと交通データフローおよび交通量情報とを関連付けて相関させるための計算を行ない、地理的領域内におけるさまざまな道路についてのリアルタイムの道路インピーダンスを導出する。たとえば移動時間、制限速度などである道路インピーダンスを用いて、地理的領域内の2点間の最速ルートが決定される。従来的なシステムは典型的には、1つのデータソースのみを用いるか、または静的な制限速度を用いて、2点間の移動時間を判断した。この発明は、多数のデータソースとそれらのソースに対するリアルタイムの更新とを用いて、所与の領域における予想システムを正確にモデル化する。
【0044】
データ融合コンバータ120に対する個々の入力は、空中偵察データ収集システム124からのデータ、誘導磁界型または他の外部道路センサからのデータ、交通カメラデータ、局所的天候データ、交通信号データ、警察または他の政府職員によって入力される報告、GPS搭載車両からのデータ、歴史的統計などを含む。
【0045】
データ融合コンバータ入力
図1Dは、この発明に関連して用いられるデータ融合コンバータのフロー図を示す。
【0046】
データ融合コンバータ120は、データフォーマッタエンジン126とインピーダンス計算エンジン128とを含む。データ融合コンバータ120は、たとえば、空中偵察機、地中のセンサ、カメラデータ、車両データ、交通信号、コールインデータ、歴史的データなどのさまざまなソースからデータ入力を受け、このデータをジオインフォスフィア122内に格納し得る一貫したフォーマットにデータの書式を設定する。
【0047】
このデータは、それに関連する特定の地理位置情報を有し得る。たとえば、所与のフリーウェイ上の特定の地点にあるセンサは、既知の地理位置を有するので、データが特定のソースから到着したときに、そのソースの地理位置はデータ融合コンバータ120によって判断される必要がない。しかしながら、他のデータは、そのデータソースに関連する既知の地理位置を有さずに、またはそのデータソースに関連の可変の地理位置を有して、データ融合コンバータ120に到着し得る。たとえば、限定されないが、コールインデータ
は、緯度および経度に変換されるべき、街路による住所によって与えられるかもしれないし、または、空中偵察機データは既知の経路を旋回しているソースから到着するがデータ自体は航空機とは異なった地理位置からのものであるかもしれない。したがって、データフォーマッタ126はいくつかのデータ入力について位置的タグを典型的には緯度および経度である共通のフォーマットに変換して、AGTMシステム114がそのデータを使用できるようにしなければならない。
【0048】
同様に、データは、異なった時間基準からの、または互いからずれた計時装置からの、タイムスタンプまたは他の時間的タグを有し得る。データフォーマッタ126は時間差を解消してから、データをともにインピーダンス計算エンジン128またはジオインフォスフィア122に渡す。データフォーマッタ126はまた、データを前処理して、データをエンジン128またはジオインフォスフィア122が用いるための適切なフォーマットにすることも求められる。たとえば、クラスタデータは位置および速度を判断するために処理されなければならないなどである。
【0049】
一旦データフォーマッタ126が入力データについて要求される処理および書式の設定を行なうと、データフォーマッタ126は典型的には、そのデータをともにインピーダンス計算エンジン128に渡す。一旦インピーダンス計算エンジン128が所与の入力データについてのインピーダンス計算を完了すると、インピーダンスデータはジオインフォスフィア122に格納される。
【0050】
これに代えて、データフォーマッタ126からのいくつかのデータは、インピーダンス計算を入力することなく直接ジオインフォスフィア122に入力されてもよい。たとえば、限定されないが、歴史的データはデータフォーマッタ126に入力され得るが、これは所与の場所における道路システムの現在のインピーダンスに影響を与えるものではないので、インピーダンス計算エンジン128を介してルーティングされる必要がなく、直接ジオインフォスフィア122にルーティングされてもよい。
【0051】
インピーダンス計算エンジン128はデータフォーマッタ126からのデータを用いて、所与の道路上のインピーダンスを判断する。インピーダンスは、AGTMシステム114に、2点間のどの道路を使用するべきか決定する方法を与えるために、各道路に割当てられる。複数の交通レーンを有する道路は、単一レーンの道路よりも低いインピーダンスを典型的には有し、したがって、これらの2つの道路によって接続される2点間でルートを選択する場合に典型的には望ましい。しかしながら、もし大きい方の道路で事故が発生すれば、その道路のインピーダンスは変化するであろう。その事故がインピーダンスを変化させる量に応じて、ルーティングツール116および118は異なった道路を選択し得る。要約すると、インピーダンス計算エンジン128は、データフォーマッタ126から受取った入力データを変換して、それが道路上の交通のフローにどのように影響するかを決定する。
【0052】
そのような計算はいくつかの方法で行なうことができる。その計算は指数関数的なものであっても、他のセンサによって測定されてルーティングツール116および118に与えられても、歴史的データに基づいても、これらの任意の組合せまたは他の技術との組合せであってもよい。この発明は、道路のインピーダンスを計算するための方法またはアプローチによって限定されない。
【0053】
他のデータ融合機能
データ融合コンバータ120はまた、たとえば同じ方向に移動する車両の群であるクラスタ情報を生成および解釈し、個々の車両データの記録を取る。クラスタ情報は典型的には、たとえばカメラデータを用いることにより導出される。すなわち、ある1本の道路に
沿って移動する車両の群の写真が既知の期間の間に撮影され、車両が移動した距離が計測され、その道路についての平均の速度が得られる。ベージアンネットワーク、デンプスター−シェーファーネットワーク、アダプティブニューラルネットワークのような統計的もしくは推論方法または他の統計的方法をデータに適用して、その道路についての平均速度またはインピーダンスを得てもよい。
【0054】
さらに、データ融合コンバータ120によって補外法およびフィードバック技術を用いて、予測の精度を保証しかつリアルタイムのデータポイントを提供してもよい。たとえば、限定されないが、カルマンフィルタを用いて所与の1本の道路についての移動時間を予測し、予測された移動時間をGPS搭載車両からのリアルタイムのデータを用いて保証しかつ補正してもよい。タクシー、緊急人員、トラックフリート、または他の道路の使用者から導出された情報のような他のデータソースをも、予測、補正または計算目的でデータ融合コンバータ120に入力してもよい。
【0055】
データ融合コンバータ出力
データ融合コンバータ120は、一貫して書式が設定されたデータをジオインフォスフィア122に出力する。さらに、データ融合コンバータ120はジオインフォスフィア122における入力データおよび他のデータに基づいて計算された道路インピーダンスをインピーダンス計算エンジン128を介して出力する。
【0056】
データはまた、ジオインフォスフィア122からデータフォーマッタ126およびインピーダンス計算エンジン128に転送されてもよい。そのような転送は、ジオインフォスフィア122に既に格納されたデータを更新もしくは改訂するために行なわれるか、またはインピーダンスをリアルタイムで更新または改訂するために行なわれる。これは、データ融合コンバータ120外部からの入力なしに行なわれてもよい。たとえば、データ融合コンバータ120は、時刻およびラッシュアワー交通が開始した時間に基づいてインピーダンスを更新するようにプログラムされてもよい。
【0057】
さらに、データ融合コンバータ120は、緊急人員から入力を受けて、緊急事態に対処するために救急サービスのみによって用いるためのルート、たとえば、救急車のルートを生成してもよい。これらの入力はリアルタイムでの道路インピーダンス更新を提供し、かつ所与の地理的領域についての巨視的および微視的意味の両方での交通のフローのよりよいモデルを提供する。
【0058】
ジオインフォスフィア
この発明の一実施例においては、ジオインフォスフィア122は、さまざまなセンサからの交通データをGISデータベースに格納し、センサデータを使用可能な交通インピーダンスに各道路セグメント(弧)ごとに変換することを要求し、出来事の報告および道路封鎖を記憶および管理し、顧客からのコールの受信と合図発信と記憶とを行ない、課金を扱い、顧客の利用を記録し、かつ顧客にルーティング情報の合図発信と送信とを行なう、対話型通信システムである。
【0059】
ジオインフォスフィアの使用
AGTMシステム114は、互いに重ね合わされて所与の地図を生成する異なったデータの層を典型的には支援する。たとえば、限定されないが、GISによって生成された地図はいくつかの層を有し、層の1つが土地の座標を備え、別のものが道路を備え、別のものが街灯を備え、さらに別のものが建物を備えていてもよい。この発明は、異なったフォーマットにおけるこれらの層を用いて車両のルーティングを支援する。たとえば、基本的な郡の地図は、AGTMシステム114内で別々の層としての陸地、水域および島によって描かれる。次いで、異なった層の上に道路が描かれるが、この層はこれらの道路に関連
する弧およびノードを含む。フリーウェイおよび他の主要な道路は同じ層に異なった色で描かれてもよいし、所望であれば異なった層に異なった色で描かれてもよい。たとえば、限定されないが、フリーウェイを赤で描いて、ハイウェイを青で描き、一般道を黒で描いてもよい。
【0060】
道路の状態が変化するにつれて、その状態または道路の閉鎖に伴う出来事がデータベースに入力されるので、この発明のAGTMシステム114はそのリアルタイム情報を用いて最適のルートを計算することができる。出来事は、住所、街路またはGPS緯度/経度座標によってデータベースに入力可能である事故、火災、停電した送電線、道路閉鎖、道路工事などを含む。
【0061】
これらの出来事のいくつかは、一時的な性質のもの、たとえばラッシュアワーの交通であり得る。ある時間の間に、所与の道路上にさらに車両が存在し得るので、オフピーク時間には達成し得るかもしれない制限速度は、ラッシュアワーの間には達成不可能である。この発明のシステムはグローバルにプログラムされてもよいし、または個々の街路が可変の速度を周期的にもしくはリアルタイムのいずれかで受入れるようにプログラムされて、この発明のシステムが真の最適なルートを計算できるようにしてもよい。
【0062】
しかしながら、いくつかのルートはそれらに関連の断続的な障害または出来事を含むおそれがある。所与の状況においてその特定のルートをどのように用いるべきかを決定する際に、これらを考慮に入れなければならない。たとえば、限定されないが、道路じゅうで送電線が停電するという出来事が暴風雨の中で発生した場合、緊急対応人員およびこの発明のAGTMシステム114は、避難ルートを選択する際にこれを考慮に入れ、一旦出来事が復旧すれば、所与の道路を緊急人員または避難者が使用できるように対応する当事者を決定する。停電した送電線は、警察から緊急作戦センターの管理者に報告され、管理者は適切な場所でジオインフォスフィア122内に障壁を入力する。するとAGTMシステム114は、この出来事がデータベースから消去されるまで、交通または緊急対応チームのためのルートを決定する際にこの道路を使用しない。AGTMシステム114は、周期的に管理者または集中データベースマネージャに問合せて、出来事が解決したかどうかを判断するように設計されて、その出来事が迅速にデータベースから消去されることと、交通および避難ルートを決定する際にすべての利用可能な道路が用いられることとを確実にしてもよい。
【0063】
新しいデータがジオインフォスフィアに入力されると、AGTMシステム114は新しい交通および/または避難ルートを計算する。したがって、入力されたデータは交通および避難者のルーティングに影響を与えるかもしれないが、与えないかもしれない。各データポイントに関連のフローまたはコストにおける変更は、AGTMシステム114によって判断されて、AGTMシステム114はデータと最大フロー/最小コストアプローチとに基づいて避難ルートまたは応答ルートを計算する。
【0064】
AGTMシステム114によって新しいルートが生成されると、これらのルートは、緊急対応人員と、緊急状況下の公衆に広められるように地域のラジオ局および他のメディアの支局とに送信されるか、または顧客の旅行日程を更新するために無線のまたはハードワイヤードのリンクを介して顧客に送信される。そのような新しいルートは、セルラー電話および携帯情報端末(PDA)装置、または、(セルラーもしくは他の無線サービスによる)更新機能を備えた自動車に搭載されたGPSユニットに直接送信されて、それらが新しい経路をユーザに表示してもよい。新しく計算されたルートを運転者に知らせるために、警告を用いて鳴動させるかまたは移動装置上に点滅させてもよい。システムは、そのような新しいルートを受信する車両の位置を考慮に入れて、新しいルートを必要とするものだけがそのようなルートを受信するようにしてもよい。これは、移動体識別番号/電子的
連続番号(MIN/ESN)とMIN/ESNのGPS位置との組合せ、または他の技術によって行なうことが可能である。
【0065】
GISデータベースは、動的ルーティングツール116および避難ルート計画ツール118によって用い得るフォーマットでさまざまな場所からの生の交通データを格納する。データは、道路に埋込まれた交通センサと、法の執行機関、空中偵察センサ、カメラデータ、レーダー、および他のさまざまなデータソースから得られた交通報告ログのような他のデータベースとから導出されて、ルーティングツール116および118によって使用可能なフォーマットにおいて格納される。
【0066】
ジオインフォスフィア122はまた、顧客および緊急人員からのデータ要求を受信し、これらの要求をGISデータベース内に格納しかつ合図を送り、これらがルーティングツール116および118に入力される。さらに、GISデータベースおよび/またはルーティングツール116および118へのアクセスについて料金を課金される団体については、ジオインフォスフィア122は課金料金を調整して、各アクセスまたはAGTMシステム114によって行なわれるサービスに関連の顧客利用を記録する。
【0067】
フリート管理顧客については、ジオインフォスフィア122は、トラック、鉄道車両などのフリート資産をトラッキングして記憶し、フリート管理サービスが最適化されるようにそれらの用途を決定し、GISデータベースにトラッキングデータを格納できる。たとえば、限定されないが、全地球測位システム(GPS)レシーバがフリート資産に搭載され、ある期間にわたって、そのような資産の位置の無線送信を介して、これら資産の地理位置がトラッキングされてもよい。こうして、この資産は、この期間をわたってトラッキングされて、どこでそれが用いられたか、およびどれだけの期間その資産が稼動していたかを知ることができるようになる。もし全国的な企業が、米国本土内で物品を輸送する数千台のトラックを有していた場合、ジオインフォスフィア122は、GISデータベースにおける歴史的データまたはリアルタイムデータに基づいて、追加のトラックを使用頻度の高い領域に配置して使用頻度の低い領域から取除くようにフリートを管理することが可能である。
【0068】
動的ルーティングツール
図2は、この発明のノードを用いた実施例を示す。ネットワーク構造は典型的にはノードおよび弧を用いて表わされる。弧は、終点にノードを備えた、接続された線分の組である。この発明の一局面においては、各交差点または場所はノードを表わし、各街路は弧を割当てられる。別の局面においては、各弧は1つ以上の街路または道路を表わし、各ノードは1つ以上の交差点を表わし得る。たとえば、ノードは地区または市街を表わし、弧はこれらの市街を相互接続する道路または街路のすべてを表わし得る。ノードおよび弧は点と点との間の距離を決定するために用いられる。
【0069】
ネットワーク200を規定するノードおよび弧の構造を図2に示す。この発明の一実施例においては、ネットワーク200は所与の地理的領域に関連の地理的情報に基づいて生成されるので、地図上に重ね合わせるか、またはその領域の地図としてディスプレイ装置102上にシステム114のユーザに対して地理的に表示させることができる。しかしながら、この発明のシステム114は、いかなる地理的領域、地図または表示技術にも限定されない。ユーザは、名前とノード202および204とを関連付けるか、番号をノード202および204に割当てるか、または特定の地理的領域もしくはネットワーク200について計画された用途に対して適切である他の何らかの種類の指定方法を用いてもよい。たとえば、限定されないが、あるユーザは所与のノード202に対して場所の名前を用いることを好むかもしれず、他のユーザはノード202に関係のフリーウェイ番号または街路の住所を用いることを所望するかもしれない。そのような割当または表示技術はこの
発明を限定するものではなく、この発明の用途を拡張させるように働くに過ぎないものである。
【0070】
この発明の一実施例においては、動的ルーティングツール116は最短距離または最速時間のいずれかについて最適ルートを生成する。ネットワーク200内の各弧およびノードに関連する品質は、最適化ルーチンの結果に影響を与える。たとえば、ノード202で開始して、ノード204への移動が所望である場合、弧208および210を用いたノード206を通る直接的なルートが、距離を要因として用いた最短距離についての最適なルートであり得る。しかしながら、もし最短時間が所望である場合には、他の属性が考慮される。フリーウェイ速度に関連する弧212および214は、一般道の速度に限定される弧210よりもよいルートであり得る。
【0071】
「最小コスト(Min Cost)」としても知られる最小コストアルゴリズムは、各ノードに割当てられたインピーダンス要因を用いて、2点間の最速ルートを決定する。所与の弧に対するインピーダンス要因は道路の長さであってもよく、この場合最短ルートが計算されるであろう。インピーダンス要因は、弧によって表わされる所与の道路を移動するのにかかる時間であってもよく、これは典型的には、その弧に関連するその道路区域の制限速度に基づくが、時刻、事故などの他の要因または所与の道路を移動するのにかかる時間に影響する他の要因を含めるように調整されてもよい。そのような場合には、必ずしも最短ではないが最速のルートが計算されるであろう。より高い制限速度を有する道路は典型的にはより低いインピーダンスを有するので、最高の制限速度を有するルートが典型的には2点間の最短移動時間を有するが、必ずしもそうとは限らない。この発明における最小コスト経路を決定するために、ダイクストラアルゴリズムが用いられて各弧に関連するコストが比較される。
【0072】
図3Aから図3Eは、動的ルーティングツール116についてのこの発明を図示する。
図3Aは、ディスプレイ装置102上に表示されるスクリーン400を示す。スクリーン400は、始点402および終点404を示し、第2のスクリーン406はルート408の個々の詳細を示す。ユーザは、始点402および終点404ならびに、始点402と終点408との間の最短ルートを求めるコマンドを動的ルーティングツール116に入力することができる。動的ルーティングツール116は、ルート408を計算し、ウインドウ406は、ルート408を含む個々の曲がり角および方向を示す。
【0073】
図3Bは、スクリーン400が最短ルート408だけではなく、ルート408よりも速い代替的なルート410を示し得ることを図示する。ユーザが始点402と終点404との間を移動するための最適なルートを選択できるように、道路のセンサ、空中偵察機124、および他のリアルタイムのまたはほぼリアルタイムの測定技術を用いて計算される道路インピーダンスを用いて、ルート410が決定される。ここでも、最速ルート410についてウインドウ406に方向が示される。
【0074】
図3Cは、道路封鎖などの障壁412が報告されるか、または他の態様でルート410に沿って発見されるのを示し、障壁412は動的ルーティングツール116に報告されて、動的ルーティングツール116によってルート408が再計算される。障壁412によって影響を受ける道路インピーダンスは、他の何らかの計算されたルートもまた適切に決定されるように報告される。
【0075】
出来事414は、ヘルプメニュー416に示されるもののような、異なった種類の障壁に異なった種類のアイコンを用いて、動的ルーティングツール116に配置され得る。緊急人員によって対応されている各種の出来事414は、脅威または要求される対応の種類を表わすように異なったアイコンを有し得る。異なったアイコンの選択は、動的ルーティ
ングツール116内の異なったサブプログラムをトリガし得る。たとえば、生物学的または化学的脅威の選択は、安全な領域および避難領域を決定するために天候データの使用をトリガし得るなどである。たとえば化学的攻撃、生物学的攻撃、放射能による攻撃、爆弾による脅威、都市の火災、山火事、医療緊急事態、強盗、テロリストの攻撃、津波警報、車両事故などの、異なった種類の緊急事態または出来事を図示するために、多くの異なったアイコンを用いてもよい。
【0076】
図3Dは、動的ルーティングツール116によって決定される新しいルート418(点線で示す)を示す。ルートは緊急車両の現在場所、障壁412の場所、および出来事414の場所に基づいて計算される。この発明は、ルートの決定を支援するために追加の入力を用いる。たとえば、限定されないが、緊急車両および他の自動車は、その車両の地理位置を判断する全地球測位システム(GPS)レシーバを搭載する。そのようなGPSデータはその車両の速度および方向を判断するのに用い得る。その車両が道路上にある場合、道路のインピーダンスを判断するのに静的な掲示された制限速度を用いるのではなく、その道路で達成可能である真のリアルタイムの速度を判断し得る。ある場合には、車両の速度は掲示された制限速度よりも高いであろう。別の場合には、車両の速度は低いであろう。このデータは、データベースに入れられて、ルートは掲示された制限速度ではなく、その道路で達成可能である実際の速度に基づいて決定されてもよい。そのようなデータは所与の道路のインピーダンスを変更し、これによりこの発明の動的ルーティングツール116が所与のリアルタイムデータで最適なルートを計算することが可能になる。歴史的データ、空中偵察機によって収集されたデータ、GPSまたは他の受動的もしくは能動的センサからのデータをも、より正確に道路をモデル化するために用いてもよい。
【0077】
この発明の別の実施例は、図3Eに示されるように決まった場所についての最大包含範囲を決定することにある。たとえば、限定されないが、スクリーン420において1つのノードは消防署426であってもよい。この発明の動的ルーティングツール116は、ユーザから照会を受けて、消防署426から所与の時間内または距離内に存在する領域内のすべてのポイントを決定してもよい。この例において、2つの可能な解決策が表示されている。消防署426から発する太線422は、5分以内にサービスを受けられる領域を示す。消防署426から発する点線424は、3分以内にサービスを受けられる領域を示す。この情報は、消防署426についての大まかな応答時間を判断するために用いることができ、緊急事態管理人員が所与の緊急事態に応答するのを支援することができる。
【0078】
避難ルート計画ツール
この発明の一実施例においては、避難ルート計画ツール118は、複数のノードを含む避難領域と、やはり多数のノードからなる安全領域との間の最適なルートを決定する。
【0079】
図4Aから図4Dは、避難ルート計画ツール118についてのこの発明を図示する。
たとえば、図4Aは、領域600内で汚い爆弾が起動された場合のシナリオを示す。爆発物の大きさと風速および風向とに基づいて、オペレータによってリスク領域602および安全領域604が識別される。次いで、避難ルート計画ツール118が、リスク領域から安全領域に避難するためのルートにおいて、最適ルート606および利用可能であるレーンの数を判断する。これを図4Bに示す。ヘルプファイル608は、所与のセグメントについて利用可能であるレーンの数の色分けを提供する。
【0080】
第2のシナリオにおいて、領域610は図4Cに示されるように潜在的な水害領域612を規定する。水害被災者のための安全な避難所として用い得る潜在的な学校は、円形614によって表わされる。避難のために許可される時間の量および水害領域にある車両の数がユーザによって選択される。避難ルート計画ツール118は次いで、図4Dに示すように、どの安全領域616が達成可能であるかと、水害領域616からの最適なルート6
18とを計算する。色分けされた凡例620が設けられて、避難の間に道路セグメントがどれだけ占有されているかを示す。
【0081】
図5は、避難ルート計画ツール118によって行なわれる、限定的ではない例示的なプロセスを示す。ボックス500において、地理的領域内の避難領域が識別される。避難領域は少なくとも1つのノードを含む。避難につながる出来事の例は、大規模都市火災、山火事、大量破壊兵器(化学物質の雲(chemical clouds)、生物学的なもの、核によるもの)、津波、ハリケーンなどを含む。ボックス502において、地理的領域内の安全領域が決定される。安全領域は、避難領域外の領域からなる。安全領域は、少なくとも1つのノードを含む。
【0082】
ボックス506において、避難領域と安全領域との間の交通のフローの最大量が評価される。フォードおよびファルカーソン(Ford & Fulkerson)によって開発された、「最大フロー(Max Flow)」としても知られる最大フローアルゴリズムを用いて、1つの領域から他方に移動可能であるかまたは所与の領域から避難させることが可能である、交通のフローの最大量が決定される。フローは典型的には交通レーンの数によって決定されるが、上記からわかるように、事故、道路封鎖、または道路工事などの他の出来事に基づいて修正可能である。各道路が含むことのできるレーンの数が、各弧に割当てられる。たとえば、ネットワーク200において、弧208は各方向に3本の交通レーンを備えたフリーウェイであって、弧210は各方向に1本の交通レーンを備えた街路であり得る。この発明のAGTMシステム114が、ノード202とノード204との間の距離を最小化してから取るべきルートを計算せよというコマンドを与えられると、ルートはおそらく、最小コストアルゴリズムに従って、弧208および210を取るものになるであろう。
【0083】
しかしながら、弧212が各方向に3本の交通レーンを備えたフリーウェイであって、弧214もまた各方向に3本の交通レーンを備えたフリーウェイであり、この発明のAGTMシステム114が、ノード202とノード204との間のフローを最大化せよというコマンドを与えられた場合、最も可能性の高い結果とは、AGTMシステム114が、追加のノード216を通り弧208、弧212、および弧214を用いるルートを選択することである。このルートは、距離の点からはより長くても、ノード202とノード204との間の最大のフローを可能とする。この発明の避難ルート計画ツール118には、道路封鎖、ラッシュアワー交通を判断するための時刻、ネットワーク200内の特定の弧における現在の交通状態、火災の危険、水害避難において用いるためのトポロジーなどのような、他のデータが与えられてもよい。これにより、避難ルート計画ツール118が、与えられた条件を満足するように異なったルートを選択することが可能になる。たとえば、限定されないが、最大の理論的フローがノード202からノード204へのフリーウェイ、すなわち弧208、212、および214を用いるものであったとしても、それはラッシュアワーの間であるかもしれず、フリーウェイは停止状態にあるかもしれない。こうして、フリーウェイにできるだけ短い時間だけ留まることは、ノード202とノード204との間のフローを増大させるので、この発明のAGTMシステム114は、ノード202と204との間のルートを計画する際にこの状況を考慮に入れる。
【0084】
ボックス508において、安全区域までの時間が最小化されるように、避難領域から安全領域へのルートがさらに評価される。道路のインピーダンスが、コストについての要因として用いられる。避難領域と安全領域との間の少なくとも1つの避難ルートが計算される。動的に計算された避難ルートは、少なくとも1つの弧を含むであろう。
【0085】
動的な状況においては、最大フローまたは最小コストだけに焦点を絞ることは、最適な経路の選択を確実にするには不十分である。したがって、この発明は最大フロー/最小コストの組合わせを用い、次いでデータベースにおけるデータに基づいてその解決策をさら
に最適化する。
【0086】
さらに、この発明は、リアルタイムのデータ取得を用いて最大フロー/最小コストアルゴリズムを増強して、現在の状態を最大フロー/最小コスト計算に含める。さらに、緊急状況においては、この発明は異なった避難者について異なったルートを計算し得るが、なぜならばもしすべての避難者が同じ道路に沿って移動するように誘導されれば、選択された道路におけるフローが低減するおそれがあるからである。したがって、システム200内の所与のノードからのフローまたは所与の弧に沿ったフローに焦点を絞るのではなく、緊急避難状況の間に道路におけるフローが判断されるに従って、避難者は所与の領域からのフローを最大化するように他の道路を用いるように再び誘導され得る。
【0087】
この発明を用いた典型的な避難フロー計画を図6Aから図6Cにさらに示す。
図6Aは、避難領域300および安全領域302がAGTMシステム114によって規定された緊急状況を有するネットワーク200を示す。この発明の避難ルート計画ツール118はここで、各ノード304、306、308および310について最適な避難ルートを決定しなければならない。
【0088】
図6Bは、この発明によって初期に決定された避難領域から安全領域へのフローを示す。
【0089】
初期に、最大フローアルゴリズムを用いて、所与の領域から避難させることが可能である交通フローの最大量を決定する。したがって、一旦避難領域300および安全領域302が決定されてネットワーク200のトポロジー上に重ねられると、この発明のプログラム108は、避難領域300と安全領域302との間でどれだけ多くの交通レーンがフローを提供することができるかを判断する。最大フローアルゴリズムは、交通フローを限定する、ネットワーク200におけるボトルネックを判断する。そのようなボトルネックは典型的には河川、湖沼、山地、急傾斜地、鉄道、アクセス制限、または他の地理的なもしくは道路に特定のフロー規制によって生じる。たとえば、限定されないが、避難領域300と安全領域302との間には、弧312、314、および316によって示される道路のフローが3つしかない。ボトルネックはネットワーク200内のどこでも生じ得るのであって、必ずしも所与のノードへの最小のエントリポイントにあるのではない。
【0090】
たとえば、限定されないが、所与のノードに入る、および/またはそこを出ていく弧がいくつかあっても、それらの弧はすべて単一レーンの街路または道路を示し得る。ネットワーク200内の別のノードは2つの弧しか接続されていないが、これらの弧は多数のレーンを備えたフリーウェイを示し得る。2つの弧しか備えていないノードは、そのようなネットワーク200におけるフローまたはコスト分析に対する制限要因に見えるであろうが、結局はいくつかの弧を備えたノードが制限要因であるかもしれない。なぜならば、これらの弧に関連のフローまたはコストは、組合された場合であっても、他方のノードに接続された2つの弧ほど効率的ではないかもしれないからである。
【0091】
ノード304は、弧318、320および312によって安全領域302にルーティングされる。このルートは、ノード304と安全領域302との間の最短ルートであるだけではなく、フローを最大化しかつ時間を最小化するものであって、さらに、避難区域300における時間を最小化するものである可能性が高い。
【0092】
同様の態様で、ノード308が、弧322、324、326および316に沿った直線ルートによって安全領域302にルーティングされる。
【0093】
しかしながら、ノード306および310は、ノード304および308とは非常に異
なってルーティングされる。ノード310は最初にノード306にルーティングされるが、これは弧328に沿って避難区域の中に戻るものである。両方のノードが次いでともに弧330、332、334、336、338、340、342および314に沿って安全区域302にルーティングされる。これはノード306および310と安全区域302との間の最大フローおよび/または最小コストであるかもしれないが、このようなルートは、避難区域300または、ノード306および310からのでたらめに見える交通のルーティングのような、他の要因を考慮に入れないであろう。したがって、この発明は、追加の論理的ステップを追加して、避難区域300および他の要因によって示される非常事態に基づいて、避難区域300からのより効率的な避難ルートを決定する。
【0094】
初期に、最大フローアルゴリズムを用いてボトルネックを求め、次いで最小コストアルゴリズムを適用するそのようなアプローチによって、この発明は避難領域300から安全領域302へのフローのルーティングを最適化する。この発明は、単に交通フローおよび道路のインピーダンスに注目するのではなく、所与の緊急事態について最短時間で安全な避難を最適化する支援をする情報を有する専門データベースにこれらのアルゴリズムを適用する。
【0095】
たとえば、限定されないが、もし緊急事態が山火事であって、ノード306が火災の中心に近ければ、避難者をノード310からノード306に移動させることが安全ではないかもしれないが、ノード310が谷間にありノード306が高地にあって、緊急事態が洪水警報であれば、安全である。この発明は最大フローおよび最小コストを考慮するだけではなく、各ノード304−310についてのルートを決定する際にこれらの追加の項目をも考慮する。
【0096】
さらに、この発明は緊急対応人員によって用いられるであろうルートを考慮して、これらの道路を避難者が用いることを防止し、それによりこれらの道路を緊急人員による迅速な対応のために確保しておくことができる。この意味において防止は、緊急応答人員のために所望である道路にブロックまたは出来事を入力し、この発明のシステムに、この道路を用いない、避難者のためのルートを生成させることにより行なわれる。
【0097】
この発明はまた、交通信号、フリーウェイ制御信号、および他の交通制御装置に接続されて、特定のルートに沿ったフローを支援してもよい。たとえば、限定されないが、この発明は左折矢印を不能化するか、または交通信号のタイミングを変更して、ある方向におけるフローを許可するか、または別の方向におけるフローを防止してもよい。ある方向における追加のフローは避難者のフローを支援するであろうし、緊急人員はある道路を緊急人員専用に確保することを所望するであろう。
【0098】
この発明の避難ルート計画ツール118は、人口、避難領域300を離れる車両の予測数、避難領域300と安全領域302との間のさまざまな道路の流量などを含む、いくつかの要因をさらに考慮して、避難領域300と安全領域302との間のルートを生成する。プログラム108およびシステム114によって1つ以上の安全領域302が決定されて、もし緊急状況の条件が再決定の根拠となれば、安全領域302は緊急事態の間に再決定される。さらに、安全領域302は、プログラム108またはシステム114による安全領域302の決定をオーバーライドする能力を有する緊急人員によって決定され得る。
【0099】
たとえば、限定されないが、山火事緊急事態に対処している状況を考察する。AGTMシステム114または緊急人員のいずれかによって、避難領域300および安全領域302が初期に決定される。しかしながら、初期の避難の後に、天候に変化が生じて、風向が変化して山火事を安全領域302に向かわせるか、または新しい火災が発生して、安全領域302に設営されている住宅および避難所を脅かす。この発明のプログラム108が新
しい安全領域を決定しても、またはこれに代えて、緊急人員がネットワーク200の別の部分に新しい安全領域302を割当ててもよい。新しい避難領域300がネットワーク200に割当てられて、新しい避難領域300から新しい安全領域302に移動するように避難者のためにルートが決定される。
【0100】
さらに、この発明の避難ルート計画ツール118は、所与の避難領域302から避難させるためにかかる時間量のような、他のデータを緊急人員に提供する。この発明の避難ルート計画ツール118は、人口データと、避難の間に道路上を移動し得る車両の推定数と、ネットワーク200のコストおよびフローデータならびに他の要因と、を与えられて、避難ルート計画ツール118によって領域から避難するのに経過した時間が計算される。そのようなシナリオは計画において有用である、なぜならば実際の緊急事態の出来事が生じる前にシミュレーションまたはデータポイントを収集できるので、緊急人員が潜在的な問題を予め判断して、これらの潜在的な問題を修正する予防的措置を取ることができるからである。
【0101】
図6Cは、この発明の追加の処理ステップを用いて生成されるルートを示す。
図6Bに示すように、ノード308の避難者は、弧322、324、326および316を取り続けて安全区域302に到達し、ノード304の避難者は、弧318、320および312を取り続けて安全区域302に到達する。しかしながら、この発明はノード306および316からの避難者のための新しいルートを計算する。ノード310から弧328に沿って避難者を送るのではなく、この発明の避難ルート計画ツール118は、緊急事態の性質、緊急対応人員によって用いられる道路などの追加の情報を考慮に入れて、最大フロー/最小コスト解決策を計算し、弧328ではなく弧344に沿ってノード310から避難者をルーティングする。さらに、ノード310からの避難者は弧334、346および314に沿って安全区域302に向かい続ける。
【0102】
ノード306からの避難者は、やはり弧330に沿って移動するが、この発明によって弧332ではなく弧348に向かうよう再ルーティングされる。ノード306の避難者もまた、弧338、340、342および314に沿って安全区域302に到達するようルーティングされる。
【0103】
さらに、この発明はルートの決定を支援するために追加の入力を用い得る。たとえば、限定されないが、緊急車両および他の自動車は、その車両の地理位置を判断する全地球測位システム(GPS)レシーバを搭載する。そのようなGPSデータはその車両の速度および方向を判断するのに用い得る。その車両が道路上にある場合、道路のインピーダンスを判断するのに静的な掲示された制限速度を用いるのではなく、その道路で達成可能である真のリアルタイムの速度を判断し得る。ある場合には、車両の速度は掲示された制限速度よりも高いであろう。別の場合には、車両の速度は低いであろう。このデータは、データベースに入れられて、ルートは掲示された制限速度ではなく、その道路で達成可能である実際の速度に基づいて決定されてもよい。そのようなデータは所与の道路のインピーダンスを変更し、これによりこの発明の避難ルート計画ツール118が所与のリアルタイムデータで最適なルートを計算することが可能になる。歴史的データ、空中で収集されたデータ、GPSまたは他の受動的もしくは能動的センサからのデータをも、より正確に道路をネットワーク200内にモデル化するために用いてもよい。
【0104】
この発明の避難ルート計画ツール118に追加の情報が与えられると、ノード304−310についてのルーティングが、初期の計算時にまたは後に動的に変更され得る。たとえば、限定されないが、弧314が時速5マイル未満の移動速度を有するという情報が、道路中のセンサ、GPSシステムまたは他のデータポイントから入り得る。システム114は、これを考慮に入れ、かつ、弧350および316のインピーダンスまたは制限速度
能力に応じて、弧346および/または弧340上を移動する避難者を、弧350および弧316に動的に再ルーティングして、安全区域302に入らせる。この再ルーティングは、所与の時間でのフローを最大化しコストを最小化するように、避難期間の間のいずれの時点で行なわれてもよい。避難の間の追加の情報を考慮に入れることにより、AGTMシステム114が利用可能である新しいまたはより最新の情報に基づいて、ルートを再決定することができる。
【0105】
防止的および予測的用途
この発明のAGTMシステム114によって決定される避難ルートは、所与の地理位置における実際の道路ネットワークの弱点を克服するためにも用い得る。仮定的な状況がAGTMシステム114に入力されて、ルートが仮定的な状況に基づいて計算され得る。渋滞の領域、たとえば最低フローおよび/または最大コストが求められて、これらの領域の避難計画に対する影響を減じるようにこれらの領域の改善が行なわれる。たとえば、限定されないが、仮定的避難区域300と仮定的安全区域302との間で、所与の道路が制限要因であると判断されると、その道路がその避難区域300についての避難プロセスに制限を課さなくなるように、その道路が追加の交通レーンを含むように拡張される。さらに、もしその道路がそのような態様で拡張できなければ、仮定的避難区域300からの追加の道路を建設して所与の道路の負担を減らすように、研究が行なわれる。そのような計画ツールは避難計画のためだけではなく、所与の領域からの、特に、橋やトンネルのような交通渋滞が生じやすい領域、および制限された交通アクセスを有する他の地理的領域からの、全体的な交通フローのために有用である。
【0106】
この発明は、新しい消防署または避難所の建設のような、自治体の他の事業を計画するためにも用い得る。この発明は、利用可能な道路を介して所与の避難領域300から避難させるのにかかる時間の量を判断し得るので、もしその時間が安全性または他の見地から受入れ不可能であれば、AGTMシステム114は、その所与の避難区域300のために、または緊急のために用い得る新しい安全区域302を決定できる。
【0107】
結論
ここに、この発明の好ましい実施例の説明を締めくくる。以下にこの発明を達成するためのいくつかの代替的な実施例を記載する。たとえば、メインフレーム、ミニコンピュータもしくはパーソナルコンピュータのようないかなる種類のコンピュータ、または、時分割メインフレーム、ローカルエリアネットワークもしくはスタンドアローンのパーソナルコンピュータのようないかなる種類のコンピュータ構成をも、この発明とともに用いることができる。
【0108】
この発明は、避難を必要とする特定の領域についての避難ルートを決定するGISに基づくシステムを記載する。避難および安全領域が決定されて、災害に特有の情報と、避難領域と安全領域との間の道路のセクションごとの道路フローおよび予測移動時間に基づいて、避難ルートが図表化される。ルート、避難領域および安全領域は動的に計算されて、リアルタイムデータ、歴史的データまたはシステムに追加される他のデータのいずれかである追加のデータに基づいて再計算されて、最適な初期のルートが計算され、もし緊急状況の変更が生じれば、避難民を再誘導する。
【0109】
要約すると、この発明の実施例は、地理的領域における地上輸送を管理するためのシステム、方法および装置を提供する。この発明に従ったシステムは、地理的領域を表わす図形情報システム(GIS)データベースを含み、GISデータベースは、地理的領域内の少なくとも1つの地理位置を表わす少なくとも1つのノードと、地理的領域内の少なくとも1つの街路を表わす少なくとも1つの弧とを含み、システムはさらに、GISデータベースに結合されて外部からのデータをGISデータベースが受入れ可能であるフォーマッ
トに変換するデータ融合コンバータと、GISデータベースに結合される動的ルーティングツールとを含み、動的ルーティングツールはGISデータベースからのデータを受取り、GISデータベースからのデータを用いて地理的領域内の少なくとも1つの車両について輸送ルートを決定する。
【0110】
上記のこの発明の好ましい実施例の説明は、例示および説明目的で提示された。これは、網羅的であること、またはこの発明を開示される厳密な形式に限定することを意図しない。上記の教示に鑑みて、多くの修正および変形が可能である。この発明の範囲は、この詳細な説明ではなく、添付の特許請求の範囲およびその等価物によって限定されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1A】この発明の1つ以上の実施例を実現するために用いられる例示的なハードウェアおよびソフトウェア環境である。
【図1B】この発明の高度な陸上交通管理システムの概要を示す図である。
【図1C】この発明のためのデータソースを提供する空中偵察データ収集システムについての動作の概念を示す図である。
【図1D】この発明によって用いるために、情報の多数のソースをコヒーレントな画像に併合する、例示的なデータ融合コンバータプロセスのフロー図である。
【図2】この発明の実施例のノードによるアプローチを示す図である。
【図3A】この発明を備えた動的ルーティングツールの例示的なグラフィカルユーザインターフェイスを示す図である。
【図3B】この発明を備えた動的ルーティングツールの例示的なグラフィカルユーザインターフェイスを示す図である。
【図3C】この発明を備えた動的ルーティングツールの例示的なグラフィカルユーザインターフェイスを示す図である。
【図3D】この発明を備えた動的ルーティングツールの例示的なグラフィカルユーザインターフェイスを示す図である。
【図3E】この発明を備えた動的ルーティングツールの例示的なグラフィカルユーザインターフェイスを示す図である。
【図4A】この発明を備えた避難ルート計画ツールの例示的な図示によるシナリオを示す図である。
【図4B】この発明を備えた避難ルート計画ツールの例示的な図示によるシナリオを示す図である。
【図4C】この発明を備えた避難ルート計画ツールの例示的な図示によるシナリオを示す図である。
【図4D】この発明を備えた避難ルート計画ツールの例示的な図示によるシナリオを示す図である。
【図5】避難ルート計画ツールによって行なわれる例示的なプロセスのフロー図である。
【図6A】この発明を用いた典型的な避難フロー計画を示す図である。
【図6B】この発明を用いた典型的な避難フロー計画を示す図である。
【図6C】この発明を用いた典型的な避難フロー計画を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地理的領域における陸上輸送を管理するためのシステムであって、
地理的領域を表わす図形情報システム(Graphical Information Systems, GIS)データベースを含み、前記GISデータベースは、前記地理的領域内の少なくとも1つの地理位置を表わす少なくとも1つのノードと、前記地理的領域内の少なくとも1つの街路を表わす少なくとも1つの弧とを含み、前記システムはさらに、
前記GISデータベースに結合されて、外部からのデータを前記GISデータベースが受入れ可能なフォーマットに変換するデータ融合コンバータと、
前記GISデータベースに結合される動的ルーティングツールとを含み、前記動的ルーティングツールは前記GISデータベースからのデータを受取り、前記GISデータベースからの前記データを用いて前記地理的領域内の少なくとも1つの車両についての輸送ルートを決定する、システム。
【請求項2】
前記GISデータベースからのデータは、前記輸送ルートに沿った交通フローを最大化するように最適化される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記交通フローは、決定された輸送ルートにおいて用いられる弧の上で可能な交通レーンの数によって決定される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記GISデータベースからのデータは、前記輸送ルートに沿ったコストを最小化するように最適化される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コストは、決定された輸送ルートにおいて用いられる弧に関連する道路のインピーダンスである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記GISデータベースに結合されて緊急避難ルートを決定する避難ルート計画ツールをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記避難ルート計画ツールは、緊急人員のための対処ルートをさらに決定する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
第2のユーザのための新しい避難ルートが、第1のユーザから収集されたデータを用いて決定される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記データ融合コンバータに結合されて、航空機によって収集されたデータを前記GISデータベースに提供する空中偵察データ収集システムをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記輸送ルートは、時刻と、道路センサと、空中で収集されたデータとのうちの1つ以上に基づいて決定される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
地理的領域を表わす地理情報システム(Geographical Information Systems, GIS)データベースを用いて緊急状況についての避難ルートを決定するための装置であって、前記GISデータベースは、前記地理的領域内の少なくとも1つの地理位置を表わす少なくとも1つのノードと、前記地理的領域内の少なくとも1つの街路を表わす少なくとも1つの弧とを含み、前記装置は、
メモリおよびデータ格納装置を結合されたコンピュータシステムと、
コンピュータによって実行される1つ以上のプログラムとを含み、前記プログラムは、
外部からのデータを前記データ格納装置が受入れ可能なフォーマットに変換し、
前記データ格納装置からのデータを用いて、前記地理的領域内の少なくとも1つの車両についての輸送ルートを決定する、装置。
【請求項12】
前記コンピュータによって実行される前記プログラムは、緊急避難ルートをさらに決定する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記コンピュータによって実行される前記プログラムは、緊急人員のための対処ルートをさらに決定する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記コンピュータによって実行される前記プログラムは、第1のユーザから収集されたデータを用いて第2のユーザのための新しい避難ルートをさらに決定する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記データ格納装置は、航空機によって収集されたデータを前記データ格納装置に提供する空中偵察データ収集システムからのデータを受取る、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記輸送ルートは、時刻と、道路センサと、空中で収集されたデータとのうちの1つ以上に基づいて決定される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記データ格納装置からのデータは、前記輸送ルートに沿ったコストを最小化するように最適化される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記コストは、決定された輸送ルートにおいて用いられる弧に関連する道路のインピーダンスである、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記データ格納装置からのデータは、前記輸送ルートに沿った交通フローを最大化するように最適化される、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記交通フローは、決定された輸送ルートにおいて用いられる弧の上で可能な交通レーンの数によって決定される、請求項19に記載のシステム。

【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図1A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2008−539427(P2008−539427A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508873(P2008−508873)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/011989
【国際公開番号】WO2006/115696
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】