説明

高度フィラー入りエチレン/ビニルエステル共重合体

(a)約1〜約15重量%の少なくとも1つのエチレン/ビニルエステル共重合体と、(b)加工オイル、エポキシ化オイル、ポリエステル、ポリエーテル、およびポリエーテルエステルよりなる群から選択された約1〜5重量パーセントの少なくとも1つの可塑剤と、(c)約80〜約90重量%のフィラーと、(d)36〜60個の炭素原子を有するダイマーおよびトリマー酸、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択された約0.05〜約5重量%の少なくとも1つの有機酸または酸誘導体と、任意選択的に(e)0〜約5重量%の粘着性付与剤とより本質的になる、有機酸で変性されたエチレン/ビニルエステル共重合体のフィラー入りおよび可塑化ブレンドであって、すべての重量パーセントが成分(a)〜(e)の総重量を基準とするブレンドが開示される。これらの組成物を含む音響管理シートもまた開示される。これらの組成物を含む裏面コーティングを有する、カーペット、特に自動車カーペットもまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性の防音組成物に関する。より具体的には、本発明は、有機酸で変性されたエチレン/ビニルエステル共重合体の高度フィラー入りおよび可塑化ブレンドならびに消音シートおよび自動車カーペット・バッキングの製造でのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
無機フィラーと組み合わされ、かつ、例えば、有機酸で変性されたある種のエチレン共重合体は、サウンドバリアまたは消音のような音響管理目的のために使用されてきた。一般に、音を最小限にするまたは管理することができる3つの方法がある。音波はブロックすることができ、振動は弱めることができ、または騒音は吸収することができる。これらの様々な方法で音を管理するために、異なる特性の物品が必要とされる。
【0003】
米国特許公報(特許文献1)は、エチレンおよび/またはα−オレフィン/ビニルまたはビニリデン共重合体、特にエチレン/スチレン共重合体と、有機酸とフィラーとの組成物を開示している。
【0004】
米国特許公報(特許文献2)は、(特に)エチレン/ビニルエステルのような、約0〜50重量%のエチレン共重合体と、加工オイル、エポキシ化オイル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエスエルおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択された0〜20重量%の可塑剤と、約40〜90重量%のフィラーと、6〜54個の炭素原子を有する飽和ポリカルボン酸、12〜20個の炭素原子を有する不飽和モノ−およびジカルボン酸、脂環式および芳香族カルボン酸、ならびに前記酸の一価、二価および三価金属塩、エステルおよびアミドよりなる群から選択された約0.05〜約5.0重量%の少なくとも1つの有機酸または酸誘導体とをブレンドすることによって得られたフィラー入り熱可塑性組成物を開示している。
【0005】
米国特許公報(特許文献3)は、(特に)エチレン/ビニルエスエルのような、約0〜50重量%のエチレン共重合体と、加工オイル、エポキシ化オイル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエステルおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択された0〜20重量%の可塑剤と、約40〜90重量%のフィラーと、スルホネート、スルフェート、ホスフェートのような約0.05〜約5.0重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、任意選択的に粘着性付与剤ならびにある種のエチレンおよびプロピレンホモポリマーおよび共重合体のような変性樹脂とをブレンドすることによって得られた類似のフィラー入り熱可塑性組成物を開示している。
【0006】
これらの特許はまた、消音シートと上記組成物の裏面コーティングを有するカーペットとの形での上記組成物を記載している。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,319,969号明細書
【特許文献2】米国特許第4,434,258号明細書
【特許文献3】米国特許第4,430,468号明細書
【特許文献4】米国特許第4,191,798号明細書
【特許文献5】米国特許第3,484,405号明細書
【特許文献6】米国特許第4,386,187号明細書
【特許文献7】米国特許第4,191,798号明細書
【非特許文献1】TAPPI CAレポート(Report)#55、1975年2月、13−20ページ、包括的な、パルプ製紙業界技術協会、ジョージア州アトランタ(Technical Association of the Pulp and Paper Industry,Atlanta,Ga.)の刊行物
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
破断伸び(300%より大きい)および延性のある挙動(脆性の欠如)のような優れた物理的性質を維持しながら増加したフィラー使用量によって、上記のもののような、フィラー入りエチレン共重合体により提供される消音性を改善することが望ましい。
【0009】
従って、本発明は、
約1〜約15重量%の少なくとも1つのエチレン/ビニルエステル共重合体と、
(b)加工オイル、エポキシ化オイル、ポリエステル、ポリエーテル、およびポリエーテルエステルよりなる群から選択された約1〜5重量パーセントの少なくとも1つの可塑剤と、
(c)約80〜約90重量%のフィラーと、
(d)36〜60個の炭素原子を有するダイマーおよびトリマー酸、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択された約0.05〜約5重量%の少なくとも1つの有機酸または酸誘導体と、任意選択的に
(e)0〜約5重量%の粘着性付与剤と
より本質的になるフィラー入り熱可塑性組成物であって、
すべての重量パーセントが成分(a)〜(e)の総重量を基準とする組成物を提供する。
【0010】
シートに成形された時に、本発明によるフィラー入り組成物は、騒音の原因になる振動を止めるのに役立つ。従って、本発明はまた、これらの組成物を含む音響管理(すなわち消音)シートを提供する。本発明はさらに、上記組成物を含む裏面コーティングを有する、カーペット、特に自動車カーペットを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書で用いるところでは、用語「より本質的になる」は、名前を挙げられた原料が本質的であるが、本発明の利点が実現されるのを妨げない他の原料もまた含まれ得ることを意味する。
【0012】
「共重合体」は、2つ以上の異なるモノマーを含有するポリマーを意味する。用語「ダイポリマー」および「ターポリマー」は、それぞれ、2つおよび3つだけの異なるモノマーを含有するポリマーを意味する。語句「様々なモノマーの共重合体」などは、その単位が様々なモノマーから誘導された共重合体を意味する。
【0013】
本明細書で用いるところでは、化学物質部分中の炭素原子の数は、nが前記部分中に存在する炭素原子の数を表す表記法Cによって示される。
【0014】
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性組成物は、圧力下に加熱された時に流れることができるポリマー材料である。メルトインデックス(MI)は、温度および圧力の管理条件下で規定のキャピラリーを通ったポリマーの流れの質量速度である。本明細書で報告されるメルトインデックスは、米国材料試験協会(ASTM)1238に従って2160g重量を用いて190℃で測定され、MIの値はグラム/10分の単位で報告される。
【0015】
本発明の組成物に好適なエチレン共重合体は、酸部分が4個以下の炭素原子を有する飽和カルボン酸のビニルエステルよりなる群から選択された少なくとも1つのコモノマーとの共重合体である。エチレンとビニルエステルとの共重合体には、エチレン/酢酸ビニル(EVAと略記される)、エチレン/プロピオン酸ビニルおよびエチレン/ブタン酸ビニルのような共重合体が含まれる。好ましい共重合体は、ビニルエステルが酢酸ビニルであるもの(すなわち、エチレン/酢酸ビニル共重合体)である。
【0016】
共重合体のメルトインデックスは、約0.1〜約400、好ましくは約0.1〜約50の範囲であることができる。物理的性質、主として伸びは、エチレン共重合体メルトインデックスが約50より上である時により低いレベルに低下する。約1〜約10のより低いメルトインデックス範囲が強度を維持するために最も好ましい。
【0017】
共重合体のエチレン含有率は約40〜約95重量%であり、コモノマー含有率は約5〜約60重量%である。好ましいエチレンおよびコモノマー・レベルはそれぞれ、約45〜約91%および約9〜約55重量%である。最も好ましいエチレンおよびコモノマー含有率はそれぞれ、約88〜約72%および約12〜約28%である。2つ以上のエチレン共重合体の混合物は、コモノマー含有率の平均値が上に示された範囲内にある限り、単一共重合体の代わりに本発明のブレンドで使用することができる。
【0018】
28%より上の非エチレン系コモノマー(酢酸ビニルのような)を含有する共重合体を用いると、それらの伸びは増加するが、あまり堅くない、かつ、より低い引張強度を有するブレンドをもたらす。最も好ましいレベルは約12〜28重量パーセントである。12%より下の酢酸ビニルで、ブレンドははるかにより堅くなり、伸びを失い、そしてオイル相溶性問題が発生するかもしれない。非ブリード性オイル入りで製造されたブレンドさえも、ポリエチレン・ホモポリマーが近づけられた時に「油っこく」なる傾向がある。
【0019】
本明細書に記載されるような2つ以上のエチレン共重合体の混合物は、コモノマー含有率の平均値が上に示された範囲内にある限り、単一共重合体の代わりに本発明のブレンドで使用することができる。特に有用な特性は、2つの適切に選択されたエチレン共重合体が本発明のブレンドに使用される時に得ることができる。エチレン/酢酸ビニル共重合体(すなわち、成分(a)の例)が2つの異なるエチレン/酢酸ビニル(EVA)共重合体を含む本発明の組成物は注目すべきである。2つの異なる適切に選択されたEVA共重合体グレードをフィラー、可塑剤、および有機酸と組み合わせることによって、フィラー入り組成物の物理的性質の改質は、単一EVA樹脂グレードのみを含有する組成物と比べて達成することができる。最も注目すべきことには、フィラー入りブレンド中の単一EVAグレードを、置き換えられた単一EVAグレードと同じ重量パーセントの酢酸ビニル含有率およびメルトインデックスを有する、等量の適切に選択された2つのEVAグレードの混合物で置き換えることによって、引張伸びは実質的に増加し得る。
【0020】
(可塑剤)
本発明の組成物で有用な可塑剤成分の第1群は、加工オイルまたはプロセシング・オイルとして公知である。3タイプの加工オイルが公知である:パラフィン系、芳香族系およびナフテン系。これらのどれも純粋ではなく、グレードは、存在する主要なオイルタイプを特定する。
【0021】
パラフィン系オイルはブレンドから「ブリードする」傾向がある。ブリーディングは、普通は望ましくないが、スペシャルティ用途では、例えば、具体的に金型剥離特性が重視される場合には有用であり得る。
【0022】
一方、ナフテン酸および芳香族系オイルは、適切な比で使用された時は非ブリード性であり、従って自動車カーペット裏面コーティングのような用途に好ましい。
【0023】
加工オイルはまた粘度範囲によってさらに分割される。「薄い」オイルは、100°F(38℃)で100〜500SUS(セイボルト・ユニバーサル・セコンド(Saybolt Universal Seconds))ほどに低いことができる。「重い」オイルは、100°F(38℃)で6000SUSほどに高いことができる。加工オイル、特に100°F(38℃)で約100〜6000SUSの粘度のナフテン系および芳香族系オイルが好ましい。
【0024】
本発明の組成物中に存在する加工オイルのような、可塑剤の量は約1〜約5重量%である。最も好ましくは、炭酸カルシウムのような中程度の密度のフィラーを使用する時は、加工オイルの量は約2〜約5重量%であり、硫酸バリウムのようなより高い密度のフィラーを使用する時は、加工オイルの量は約1〜約4重量%である。
【0025】
加工オイルの選択で、選択されるオイルのタイプおよびその粘度のような他の因子が考慮されなければならない。これらは米国特許公報(特許文献4)で詳細に議論されている。
【0026】
本発明の実施で有用である可塑剤の第2群は、エポキシ化大豆油およびエポキシ化アマニ油のようなエポキシ化オイルを含む群である。
【0027】
有用である可塑剤の第3群は、一般に多塩基酸とポリオールとの液体縮合生成物であるポリエステルである。本発明との関連で用語「液体」は、室温で流し込み得ることを意味するために用いられる。酸成分は最もしばしば、飽和脂肪族二塩基酸または芳香族二塩基酸;アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸、セバシン酸、およびグルタル酸、またはそれらの混合物である。ポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−および1,3−ブタングリコール、ジエチレングリコール、ならびにポリエチレングリコールのような、脂肪族ポリオールまたはポリオキシアルキレンポリオールであることができる。好ましいポリエステル組成物は、その50重量%より多くが脂肪族二塩基である酸成分と、脂肪族ポリオールまたはさらにより好ましくは脂肪族グリコールのポリオール成分とよりなるであろう。最も好ましい組成物は、アジピン酸またはアゼライン酸と、プロピレングリコールまたは1,3−もしくは1,4−ブタングリコールとをベースにする。これらの可塑剤の分子量は、2、3百の低いものから約10,000の高いものまで変わり得る。商業製品の分子量はめったに明記されない。典型的に取引では、製品の分子量範囲は低い、中程度の、または高いと分類される。本発明の目的のために好ましい分子量の範囲は中程度と分類されるものである。
【0028】
ポリエステルと炭化水素オイルとの混合物もまた、本発明で有効な可塑剤である。かかる混合物を使用する一目的は、比較的高いコストのポリエステルの高い効率を炭化水素オイルの低コストと結び付けることである。かかる混合物で可塑化された配合物のコストおよび性能は、特性をより正確に調整することができる、またはフィラーレベルを増やすことができるので、所与の用途のためにかなり改善することができる。
【0029】
単独で使用された時、本発明の組成物中のポリエステル可塑剤の量は、約1〜約5重量%、好ましくは約2〜約5重量%である。
【0030】
ポリエステル可塑剤と炭化水素加工オイルとの混合物が用いられる場合、2成分の相対的な割合は、性能目標に依存して広範囲にわたって変わり得る。50%以下のポリエステルを含有する可塑剤の混合物が経済的理由のために好ましく、20%以下のポリエステルを含有するものが最も好ましい。
【0031】
ポリエーテルおよびポリエーテルエステルもまた、上記のエチレン共重合体とフィラーとのブレンドで可塑剤として有用である。一般に、ポリエーテル可塑剤はアルキレンオキシドのオリゴマーまたは低分子量ポリマーであり、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドのポリマーが商業的に入手可能な最も一般的なタイプである。これらのポリエーテルは、様々なタイプの触媒を用いる、様々な環式エーテルの開環重合によっておよびアルデヒドの重合によって、またはアルキレンオキシドそれ自体の酸もしくは塩基触媒重合によってまたは出発アルコールなどのアルコキシル化によって製造することができる。ポリエーテルは、ヒドロキシル基によって停止されてジオール(グリコール)を、またはアルキレンオキシドと例えばグリセロールとの付加体のケースでは、トリオールなどを形成することができる。ヒドロキシル末端ポリエーテルはまた、酸と反応してエステルを形成することができる。ラウリン酸およびステアリン酸のような脂肪酸が一般に使用され、これらの化合物の最も一般的な例は、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールのモノ−およびジエステルである。ポリエーテルの分子量はハイポリマーに典型的なものまでに及んでもよい。
【0032】
本発明の実施で好ましいポリエーテル組成物は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダムおよび/またはブロック共重合体をベースにするポリオールよりなるものである。共重合体ポリオールは、非常に高いレベルのフィラーを含有する本発明の配合物で効率に関してより良好な性能を提供する。
【0033】
単独で使用された時、本発明の組成物中のポリエーテル可塑剤の量は約1〜約5重量%、好ましくは約2〜約5重量%である。
【0034】
ポリエーテルまたはポリエーテルエステル可塑剤とポリエステル可塑剤か炭化水素加工オイルかどちらかとの混合物もまた、本発明の実施で使用することができる。ポリエーテル/ポリエステル組み合わせの利点は、ポリエーテルがポリエステルより安価であるので、より低コストである。ポリエーテルと加工オイルとの組み合わせもまた、該オイルのより低コストのためにより安価である。
【0035】
ポリエーテルとポリエステルとの組み合わせでの2成分の相対的な割合は、特性要件およびコストに基づいたシステムの効率に従って調節することできる。主としてポリエステルをベースにするものは、例えば、主としてポリエーテルまたはポリエーテルエステルをベースにするものほど堅くなく、それより高価であろう。
【0036】
ポリエーテルまたはポリエーテルエステルと炭化水素オイルとの混合物が用いられる場合、用いられる相対的な割合は、再びコストおよび特性要件に依存するであろう。ポリエーテルは加工オイルより高価であるので、50%以下のポリエーテルを含有する可塑剤混合物が好ましい。
【0037】
上に言及されたように、一方で加工オイルと、他方でエポキシ化オイル、ポリエステルまたはポリエーテルもしくはポリエーテルエステル、またはそれらの任意の組み合わせとの混合物もまた、本発明の組成物のための可塑剤として使用することができる。
【0038】
可塑剤の混合物が使用される場合、可塑剤の量は約1〜約5重量%、好ましくは約2〜約5重量%の範囲であってもよい。最も好ましくは、炭酸カルシウムのような中程度の密度のフィラーを使用する時は、可塑剤の量は約2〜約5重量%であり、硫酸バリウムのようなより高い密度のフィラーを使用する時は、可塑剤の量は約1〜約4重量%である。
【0039】
加工オイルを含む可塑剤が好ましい。
【0040】
(フィラー)
本発明の組成物の第3の本質的な原料は、密度を変えて消音に影響を及ぼすフィラーである。本発明の組成物中に含まれ得るフィラーの重量基準の百分率は、第一に、フィラーの密度の関数である。フィラーの粒度および形状もまた、ブレンドの特性に影響を有するであろう。細かい粒度のフィラーは一般に、より高いブレンド粘度をもたらす傾向を有し、それらはまたより高価でもある。No.9ホワイティング(Whiting)(約95%が325メッシュ通過)は、粗さ、入手可能性、およびコストの点で存続可能な中点を表す。より好ましいフィラーは炭酸カルシウムおよび硫酸バリウムであり、炭酸カルシウムが最も好ましい。本発明の組成物中に存在するフィラーの量は約80〜約90重量%である。最も好ましくは、炭酸カルシウムのような中程度の密度のフィラーを使用する時は、フィラーの量は約80〜約85重量%であり、硫酸バリウムのようなより高い密度のフィラーを使用する時は、フィラーの量は約85〜約90重量%である。
【0041】
(有機酸)
本発明の組成物のための最後の絶対必要な原料は適切なタイプの有機酸である。36〜60個の炭素原子を有するいわゆる「ダイマー」および「トリマー」酸(より単純な直鎖形のダイマーおよびトリマー)が伸びを高めるのに、および特に本発明の非常に高いフィラー使用量でメルトインデックスを増やすのに非常に有効である。これらのダイマーおよびトリマー酸はモノ−またはポリ−不飽和酸から誘導され、該不飽和酸でモノマー酸分子のオレフィン結合の1つまたは複数が他のモノマー酸分子のオレフィン結合の1つまたは複数と反応して非環式、環式、芳香族または多環式ダイマーおよび/またはトリマーを形成する。典型的には構造物の混合物が生成し、環式付加生成物が優勢である。リノール酸のようなC18脂肪酸から誘導されたダイマー酸(CAS番号61788−89−4)およびトリマー酸(CAS番号68937−90−6)が特に注目すべきである。二量化または三量化後に残る不飽和結合は水素化されて完全に飽和のダイマー(CAS番号68783-41-5)または完全に飽和のトリマーを提供することができる。ダイマーおよびトリマー酸は、ユニダイム(Unidyme)(登録商標)商品名でアリゾナ・ケミカル・カンパニー、フロリダ州パナマ・シティ(Arizona Chemical Company,Panama City,FL)から入手することができる。
【0042】
上述の酸の混合物は、本発明の組成物に用いることができる。ユニダイム(登録商標)60としてアリゾナ・ケミカル・カンパニー、フロリダ州パナマ・シティから入手される少なくとも51%、典型的には55%トリマー酸(ガスクロマトグラフィーで測定されて)を含有する、上記のような、ダイマーおよびトリマー酸の混合物は特に注目すべきである。
【0043】
これらの有機酸の一価、二価および三価の金属塩、特にカルシウムおよび亜鉛塩もまた、本発明の目的を実施するのに有効である。
【0044】
記載されるタイプの有機酸を本発明の組成物に使用する際に、量は約0.05〜約5重量%、好ましくは約0.1〜約2%である。最も好ましくは、量は約0.12%〜約0.65%である。
【0045】
上に言及されたもの以外のポリマー、ホモポリマーおよび共重合体の両方もまた、本発明によって得られる利点を著しく妨げることなく上に明記されたポリマーと組み合わせてある程度使用することができる。これらには、エチレン/一酸化炭素およびエチレン/二酸化硫黄のようなポリマーが含まれるが、それらに限定されない。同様に、他の原料もまた、コストの低減、または物理的性質の向上のような、幾つかの所望の効果を得るために配合者によって本発明の組成物に加えられ得る。従って、特にホットメルトで広く使用される増量材樹脂、ワックス、発泡剤、架橋剤、酸化防止剤などは、本発明の組成物に含むことができる。幾つかの特別な添加剤のおよび潜在的に望ましい樹脂原料の説明に役立つ実例は下に与えられる。
【0046】
上記の基本的ブレンドは本質的に周囲温度で表面粘着性がない。たとえ「ブリード性」タイプのパラフィン系オイルを使って製造されたとしても、最終シートは、周囲温度で、タッチに対してツルツルしているかもしれないが粘着性ではないであろう。(勿論、温度が200°F〜250°Fレベルまで上がるにつれて、ブレンドは徐々に軟化し、多くの基材にうまく接着するであろう。)時々、配合者らはおそらく、高められた表面粘着性または接着性のシート材料を製造したいであろう。これは、調合物に粘着性付与樹脂を組み入れることによって本発明に記載されるブレンドで行うことができる。粘着性付与剤は、米国特許公報(特許文献5)にリストされているもののような当該技術で一般に公知の任意の好適な粘着性付与剤であってもよい。かかる粘着性付与剤には、様々な天然樹脂および合成樹脂ならびにロジン材料が含まれる。用いることができる樹脂は、液体、半固体〜固体、一般に、何の明確な融点も、結晶化する傾向も持たない有機化合物の混合物の形での複雑な非晶質材料である。かかる樹脂は水に不溶性であり、植物または動物起源のものであることができ、または合成樹脂であることができる。樹脂は、組成物の実質的なおよび改善された粘着性を提供することができる。好適な粘着性付与剤には、下に議論される樹脂が含まれるが、それらに必ずしも限定されない。
【0047】
その粘着性付与剤組成物として用いることができる樹脂成分のクラスは、パラ−クマロン−インデン樹脂のような、クマロン−インデン樹脂である。一般に、用いることができるクマロン−インデン樹脂は、約500〜約5,000の範囲である分子量を有する。商業的に入手可能であるこのタイプの樹脂の例には、「ピッコ(Picco)」−25および「ピッコ」−100として市販されるそれらの材料が挙げられる。
【0048】
本発明で有用な粘着性付与剤として用いることができる別のクラスの樹脂は、スチレン化テルペンも含む、テルペン樹脂である。これらのテルペン樹脂は、約600〜6,000の分子量範囲を有することができる。このタイプの典型的な商業的に入手可能な樹脂は、「ピッコライト(Piccolyte)」S−100として、水素化ロジンのグリセロール・エステルである「ステイベライト・エステル(Staybelite Ester)」#10として、およびポリテルペン樹脂である「ウィングタック(Wingtack)」95として市販されている。
【0049】
粘着性付与剤として用いることができる第3のクラスの樹脂は、約500〜約5,000の範囲の分子量を有するブタジエン−スチレン樹脂である。このタイプの典型的な商品は、「ブトン(Buton)」100、約2,500の分子量を有する液体ブタジエン−スチレン共重合体樹脂として市販されている。本発明で粘着性付与剤として用いることができる第4のクラス樹脂は、約500〜約5,000の範囲の分子量を有するポリブタジエン樹脂である。このタイプの商業的に入手可能な製品は、「ブトン」150、約2,000〜2,500の分子量を有する液体ポリブタジエン樹脂として市販されているものである。
【0050】
粘着性付与剤として用いることができる第5のクラスの樹脂は、石油の精製で得られる選択された留分の触媒重合によって製造される、約500〜約5,000の分子量範囲を有する、いわゆる炭化水素樹脂である。かかる樹脂の例は、「ピッコペイル(Piccopale)」−100として、ならびに「アモコ(Amoco)」および「ベルシコル(Velsicol)」樹脂として市販されているものである。同様に、イソブチレンの重合から得られるポリブテンも粘着性付与剤として含まれてもよい。
【0051】
粘着性付与剤にはまた、ロジン材料、「ピッコラスチック(Piccolastic)」A−75として市販されている材料のような低分子量スチレン硬質樹脂、不均化されたペンタエリスリトールエステル、ならびに「ベルシコル」WX−1232として市販されているタイプの芳香族および脂肪族モノマーシステムの共重合体が含まれてもよい。本発明で用いられてもよいロジンは、ゴム、桐油またはトール油ロジンであってもよいが、好ましくはトール油ロジンである。またロジン材料は、二量化ロジン、水素化ロジン、不均化ロジン、またはロジンのエステルのような変性ロジンであってもよい。エステルは、ロジンを2〜6個のアルコール基を含有する多価アルコールでエステル化することによって製造することができる。
【0052】
本発明で用いることができる粘着性付与剤のより包括的なリストは、商業的に入手可能である200をはるかに上回る粘着性付与剤をリストしている(非特許文献1)に提供される。
【0053】
使用に当たって、配合者は一般に、相互に相溶性であるエチレン−ベース共重合体と粘着性付与剤樹脂とを選択したいであろうし、相溶性を示すであろう化学的類似性を指針として用いることができる。超最新タック、迅速スティックブレンドのような、2、3の非常に特殊な用途向けには、配合者は、非相溶性システムを用いることを上手に選んでもよい。最後に、逆効果が追求されてもよく、非常にツルツルした表面が望ましい場合には、アーミッド(Armid)Oのような少量のスリップ助剤の組み入れが有益だと分かるかもしれない。
【0054】
粘着性付与剤樹脂を使用する際に、本発明の組成物で使用される量は、ブレンドの0〜約5重量%である。
【0055】
上記の教示は、広く変わる樹脂またはポリマータイプからの可能な寄与を概説するために「個々の原料」基準で幾つかの異なる潜在的ポリマー原料を取り扱ってきた。例えば、配合者がEVAの一部を接着力のための少量の粘着性付与剤で置き換えることによって簡単な4成分組成物(すなわち、EVA/オイル/フィラー/有機酸)を変性することを選んでもよいように上記タイプのポリマー原料を勿論混合できることが強調されなければならない。さらに、オイルの一部は、より低い総量の可塑剤で非常に有効な可塑化を達成するためにポリエステルまたはポリエーテル−タイプの添加剤で置き換えることができる。従って、熟練した配合者に利用できる可能な組み合わせおよび順列は無限であり、それにもかかわらず本発明の精神および意図内に留まるであろう。
【0056】
本発明のブレンドは事実上熱可塑性であり、それ故、加工後にリサイクルすることができる。リサイクルされる材料はまた、最終製品(例えば、裏面コートされた自動車カーペット)の製造中に得られたトリム中に存在する布地繊維、ジュートなどを含有してもよい。
【0057】
成分(a)が2つの異なるエチレン/酢酸ビニル共重合体を含み、成分(b)の可塑剤が加工オイルであり、成分(c)のフィラーがCaCOであり、そして成分(d)の有機酸がダイマーおよびトリマー酸、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択される本発明の組成物が好ましい。
【0058】
本発明の組成物は、例えば、着色剤またはフィラーとして使用されるカーボンブラック、増白剤またはフィラーとして使用される二酸化チタン、他の顔料、染料、蛍光増白剤、界面活性剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤、および加水分解安定剤のような安定剤;帯電防止剤、難燃剤、滑剤;ガラス繊維およびフレークのような強化材;ブロッキング防止剤、剥離剤、加工助剤、および/またはそれらの混合物をはじめとするポリマー材料中に使用される通常の添加剤のような他の任意の添加剤を含んでもよい。
【0059】
商業的サイズのバッチ−タイプのバンバリー(Banbury)または同等の強烈ミキサーが本発明の組成物を調製するのに好適である。ファレル(Farrel)連続ミキサー(「FCM」)もまた好適な混合装置である。どちらの場合にも、乾燥原料はお決まりのやり方で装入される。このタイプの装置で広く用いられる慣行によって可塑剤成分を直接どちらかの装置の混合室中へ注入することがほとんどのケースで便利である。2つ以上の可塑剤が使用される時、かつ、可塑剤の任意の1つが少量(全可塑剤混合物の約10重量パーセント未満)で存在する場合、可塑剤は、フィラー入り組成物に使用される他の原料への添加前にブレンドされるべきである。これは、最終組成物での各可塑剤成分の一様な分配を容易にし、こうして最適特性が得られることを確実にするであろう。同様に、用いられる有機酸の量は非常に少ない(多くのケースについて1%未満)ので、有機酸が最終ブレンド中へ十分に混合されていることが確実であることは重要である。これが行われない場合、物理的性質について非常に一貫性のない値が生じるかもしれない。従って、有機酸を他の原料の1つの一部中へ前もって混合することはしばしば役立つかもしれず、例えば、液体有機酸は加工オイルと前もって混合されてもよいし、または固体有機酸はフィラーのアリコートと前もって混合されてもよい。必要ならば、共重合体および可塑剤は、好適な強烈混合装置(例えば、バンバリー・ミキサーまたはスクリュー押出機)で「マスターバッチ」として前もって配合することができる。この「マスターバッチ」は次にフィラーおよび他の残りの原料と配合して最終組成物を生み出すことができる。約3分の混合サイクルは、典型的に約325°F〜約375°Fの範囲の運転温度でバンバリー・ミキサーにとって一般に十分である。FCM装置についての運転速度は一般に、ファレル・カンパニー、コネチカット州アンソニア(Farrel Company,Ansonia,Conn.)により作成された文献によって予測される範囲内に入るであろう。ここで、典型的に約325°F〜約425°Fの範囲の温度が有効である。両ケースで、非常に低い可塑剤レベル、例えば約1〜3%はより高い温度を必要とするかもしれない。評価されていないが、粘性のある混合物(0.1〜20のMI)を取り扱うための他の装置は完全に満足できるはずであると予期される。
【0060】
一般に、最終混合物が均質性を達成するために十分に流動化されるという条件で、原料の添加順序の変更が重要であることは分かっていない。
【0061】
いったんブレンドが混合されると、ペレット形で最終組成物を製造するために、水中溶融物切断プラス乾燥またはシート化プラスチョップ化法の使用のような、お決まりの商慣行が用いられてもよい。あるいはまた、熱い混合物はまた、最終形、例えばシート、成形品などへ直ちに二次加工されてもよい。
【0062】
本明細書に記載される高度フィラー入り組成物は、当業者に周知の標準二次加工法を用いることによって最終シート、フィルムまたは三次元固形へ工業的に加工されてもよい。このように、押出、カレンダー掛け、射出またはロトモールド、押出コーティング、シート積層、シート熱成形などのような二次加工法はすべて、本発明の組成物を成形するための実用的手段である。
【0063】
シート品は典型的には1段階で押し出され、しばしば、例えば米国特許公報(特許文献6)に記載されているような、熱成形にかけられる。フィルム品は押出および熱成形、またはキャスティングによっても製造することができる。
【0064】
本発明のブレンドは、自動車カーペット、フォーム、布もしくはスクリム材料のような基材上へ容易に押し出すことができ、または支持されていないフィルムもしくはシートとして押し出すもしくはカレンダー掛けすることができる。用いられる装置、および用いられる配合技術に依存して、20ミルより下から約100ミルより上まで、広範囲のフィルム厚さを押し出すことが可能である。従って、これは、フィルム厚さ、ブレンドの密度、フィラー使用量対バインダーの比、および当該技術で周知の類似の技術を変えることによって、達成されるべき消音の量を変える機会を業界に提供する。
【0065】
音響管理物品として、高度フィラー入り組成物は、自動車向けの消音部品および他の用途で有用である。これらのブレンドが物理的性質の受け入れられない低下なしにバインドすることができるフィラーのレベルは、特により高温で、多くの他のポリマーより著しく高い。
【0066】
本発明の組成物は、サウンドバリア層用途で用いられる時、しばしばフォームまたは繊維フェルトの分断層と併せて使用される。本発明の組成物の高密度はそれだけで音振動の伝達に対するバリアとしての機能を果たす。さらに、分断層の使用は(前記高密度バリア層と併せて)バリア層を通って基材からの音振動の直接伝達(それは、サウンドバリア層が基材に直接付けられた場合に起こるであろう)を防ぐ。サウンドバリア層は通常1.5〜2.6g/cmの密度を有する。本発明のサウンドバリア組成物は、車両、器具またはそれが付けられる他の構造物の輪郭にフィットするように熱成形する前にカレンダー掛けするまたはシートへ押し出すことができる。バリア層は次にフォームまたは繊維層で積層されてもよく、そしてしばしばまた、カーペットまたは他の装飾層で層にされる。基材は、音響管理が必要とされる物品の構築の材料であり、典型的には金属、プラスチック、ガラス、天然繊維、合成繊維、および木材から選択された1つまたは複数の材料を含む。
【0067】
本発明の組成物の主たる用途はおそらく、シート材料分野において、特に低コスト、高密度の消音構造物向けであろう。押し出されたシート材料の改善された「手触り」、「ドレープ性」、減少した剛性、より高い伸びおよび減少した厚さのような際立った特性は、本発明の組成物によってもたらされる。
【0068】
本発明のフィラー入り熱可塑性組成物は、自動車、オートバイ、バス、トラクター、列車、トラム、飛行機などのような輸送システムをはじめとする消音用途で成形可能なサウンドバリアとして使用されるための押出シートを含むが、それに限定されない多くの音響管理用途を有する。本発明の組成物を含む消音シートは様々なやり方で使用されてもよい。
【0069】
自動車カーペットに適用された時、記載されたブレンドは、カーペット用の成形可能なサポートとしてもまた同時に役立ちながら、消音するための有効で経済的な手段である。カーペット、特に自動車カーペットでの本発明の組成物の適用は、米国特許公報(特許文献7)で既に記載されている方法と本質的に全く同じである。
【0070】
シート形で使用された時、特に布上へコートされた時、ブレンドは、サイドパネル、ドアパネル、屋根材区域、ヘッドライナーおよびダッシュ絶縁体のような、自動車、トラック、バスなどの他の区域に設置することができる。本発明の組成物はまた、自動車ドアおよびトラックライナー、後部座席ストレーナー、車輪格納部カバー、カーペット床板下敷、ダッシュマット、音減衰自動車囲い、例えばオイルパン、ディスクブレーキパッド、マフラーなどで使用されてもよい。
【0071】
シート形では、高度フィラー入りブレンドは、織機、鍛造プレス、コンベアベルトおよび物質移動システムなどのような工場施設の騒々しい構成要素を遮断するためのまたは取り囲むための掛け布またはカーテンとして使用されてもよい。
【0072】
本発明の組成物は、食器洗い機、冷蔵庫、エアコンなど;ブレンダー・ハウジング、動力工具、真空掃除機などのような家庭用品;落ち葉集め機、除雪機、芝刈り機などのような芝生および庭園用品;船外機挺モーター、ウォータージェット水上バイクなどのようなボート用途で用いられる小さなエンジンをはじめとする、小さいおよび大きい器具で消音のために使用されてもよい。追加の用途には、ドラム、拡声器システム、音響減衰ディスクドライブ・システムなどの音を修正するための装置が含まれる。
【0073】
建築および建物業界で、本発明の組成物は、壁紙/覆い、複合音響壁、熱成形可能な音響マット組成物、振動−減衰拘束層建造物、および遮音成形可能カーペットとして使用されてもよい。積層シート形では、別の材料に面したブレンドは、オープン構成オフィスでの分割パネルのような、装飾的および機能的用途の両方を達成するために使用することができる。
【0074】
好ましい消音シートおよび好ましいカーペットは上記の好ましい組成物を含む。
【0075】
他の用途は可能である。本発明のブレンドの利点は、フィラーがポリマーに添加される時に典型的には低下する、柔軟性および強靱性のような、ある種の物理的性質が本明細書に記載される非常に高いフィラー濃度でさえも有用な限度内に維持され得ることである。このように、本発明のブレンドは、様々な電子、電気通信および類似の分野でのワイヤおよびケーブル部品の、様々な成形品の、シーラントおよび隙間封止材の製造に、または低コストのフィラーの組み入れによって通常達成される経済性に加えて、柔軟性、強靱性および耐熱性が望まれる他の用途で使用することができよう。
【0076】
次の実施例は、本発明の様々な態様および特徴をより十分に実証し、さらに例示するために提示される。そのようなものとして、本提示は、本発明の違いおよび利点をさらに例示することを意図するが、不当に限定的であることを意味しない。
【0077】
(実施例のための一般手順)
次に続く実施例は本発明を例示する目的のために与えられる。すべての部および百分率は特に明記しない限り重量による。
【0078】
すべての実施例で、原料を、1ガロン(約3.8リットル)缶中で内容物を手動で約0.5分間振盪することによって前もって混合した。(液体脂肪酸を用いる場合、均質性に速やかに達することを確実にするために、液体を1ガロン缶に加える前に、別々に、非常に少量の酸をはるかにより大容量の液体可塑剤中へ前もって混合することがしばしば好ましい)。原料を次にバンバリー・タイプ実験室サイズの強烈な高剪断ミキサーに加えた。用いた混合条件は、約325°F〜約375°F(約160℃〜約190℃)の範囲の温度で3分間の可塑化であった。
【0079】
(実施例のための試験クライテリア)
メルトインデックス(MI)は、ASTM D−1238、条件Eに従って、2160グラム重量を使用して、190℃で測定し、MIの値をグラム/10分の単位で報告する。密度はASTM D−792に従って測定した。DSC融点(m.p.)はASTM D−3418に従って測定した。ビカー(Vicat)軟化点はASTM D−1525に従って測定した。ショア(Shore)A硬度はASTM D−2240に従って測定した。リングおよびボール(Ring and Ball)軟化点はASTM E28−67(77)に従って測定した。
【0080】
さらなる詳細なしに、先行説明を利用する当業者は本発明を最大限活用することができると考えられる。それ故、次の実施例は、たかが例示的なものであるに過ぎず、何であれ決して本開示を限定するものではないと解釈されるべきである。
【実施例】
【0081】
(実施例および比較例)
(使用した材料)
EVA−1:0.07のMI、0.940g/cmの密度、ならびに223℃のリングおよびボール軟化点を有するエチレン/18%酢酸ビニル共重合体。
【0082】
EVA−2:6のMI、0.955g/cmの密度、および46℃のビカー軟化点を有するエチレン/28%酢酸ビニル共重合体。
【0083】
ステアリン酸(オクタデカン酸)、モノカルボン酸、CH(CH16COOH、284.49の分子量、0.94g/cmの密度、70℃の融点、クロンプトン・コーポレーション(Crompton Corporation)から商品名インダストレーネ(Industrene)(登録商標)Bで入手可能な商用銘柄。
【0084】
ダイマー/トリマー酸ブレンド、上記のような、ユニダイム(登録商標)60としてアリゾナ・ケミカル・カンパニー、フロリダ州パナマ・シティから入手可能な少なくとも51%、典型的には55%のトリマー酸(ガスクロマトグラフィーで測定して)を含有する。
【0085】
H3000オイル、エルゴン(Ergon)から入手可能な、210°Fで128(セイボルト・ユニバーサル・セコンド)のSUS粘度(SUS Viscosity)、510°Fの引火点、830°Fの初留点および80%のフォード・フォッグ値(Ford Fog Value)を有するナフテン系加工オイル。
【0086】
BLK CON、商品名ポリワン(PolyOne)(登録商標)2447で入手可能な、着色剤として使用される、ポリエチレン中に分散されたカーボンブラック。
【0087】
CaCO、フィラー、100.9の分子量、密度2.93g/cm、約825℃の分解温度、商用銘柄。
【0088】
実施例1は本発明のブレンドである。比較例C1は、酸成分としてステアリン酸を使用する、79%CaCO(商業的に入手可能な最高フィラーレベル)で充填されたブレンドの商用銘柄である。比較例C2は、酸成分としてステアリン酸を使用する、82%CaCOで充填された実験ブレンドである。表1の値はブレンド中の成分の重量%である。
【0089】
【表1】

【0090】
表2は表1のブレンドの機械的性質をまとめる。
【0091】
【表2】

【0092】
79重量%のCaCO入りの、有機酸成分としてステアリン酸を使用する比較例C1について表2にまとめた特性の精査は、このブレンドが良好な伸びおよび強度を呈することを示す。対照的に、82重量%のCaCO入りの、有機酸成分としてステアリン酸を使用する比較例C2は、不十分な破断伸びおよび強度特性を有する。このように、有機酸成分として脂肪酸を使用して、79%より上にフィラー使用量を増やすと、本明細書に記載される消音物品への加工に好適である特性を提供しない。
【0093】
実施例1、本発明のブレンドの特性は、有機酸成分として脂肪酸の代わりにダイマー/トリマー酸ブレンドの使用がかかる高度フィラー入り組成物に優れた伸び、良好な柔軟性および良好な強度を提供することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約1〜約15重量%の少なくとも1つのエチレン/ビニルエステル共重合体と、
(b)加工オイル、エポキシ化オイル、ポリエステル、ポリエーテル、およびポリエーテルエステルよりなる群から選択された約1〜5重量パーセントの少なくとも1つの可塑剤と、
(c)約80〜約90重量%のフィラーと、
(d)36〜60個の炭素原子を有するダイマーおよびトリマー酸、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択された約0.05〜約5重量%の少なくとも1つの有機酸または酸誘導体と、任意選択的に
(e)0〜約5重量%の粘着性付与剤と
より本質的になるフィラー入り熱可塑性組成物であって、
すべての重量パーセントが成分(a)〜(e)の総重量を基準とすることを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記ビニルエステルが酢酸ビニルであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(a)が2つの異なるエチレン/酢酸ビニル共重合体を含むことを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記可塑剤が加工オイルを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
成分(a)が2つの異なるエチレン/酢酸ビニル共重合体を含み、成分(b)の可塑剤が加工オイルであり、成分(c)のフィラーがCaCOであり、そして成分(d)の有機酸がダイマーおよびトリマー酸、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物を含むことを特徴とする消音シート。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物を含む裏面コーティングを有することを特徴とするカーペット。

【公表番号】特表2007−502889(P2007−502889A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523938(P2006−523938)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/026283
【国際公開番号】WO2005/017022
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】