説明

高度不飽和脂肪酸誘導体およびそれを含有する医薬組成物

【課題】PPAR(ペルオキシソーム増殖因子応答性受容体)γ作動活性および/またはPPARα作動活性を示す有用な化合物の提供。
【解決手段】式(I)を有する高度不飽和脂肪酸誘導体、及び類縁誘導体。


R1は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基もしくはハロゲンでR2は水素を表すか、R1とR2が共にハロゲンあるいはアルコキシ基を表すか、R1およびR2が一緒になってカルボニル基を形成し、R3は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基でR4は水素を表すかまたはR3およびR4が一緒になってカルボニル基を形成し、R5は水素、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、アリール基、アシルオキシ基またはアルコキシ基をR6は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはアルコキシ基を表わす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PPARγ(Peroxisome proliferator-activated receptor γ:ペルオキシソーム増殖因子応答性受容体γ)作動活性および/またはPPARα(Peroxisome proliferator-activated receptor α:ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α)作動活性を有する新規な高度不飽和脂肪酸誘導体、および当該化合物を有効成分とする医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本では肥満が増加したことが引き金となって、糖尿病患者が増加している。肥満とは、脂肪細胞が肥大することであるが、肥大化した脂肪細胞は、アディポサイトカインと称される生理活性物質を分泌し、それが生活習慣病の発症の要因になっている。たとえば、肥大脂肪細胞から過剰分泌されるアディポサイトカインであるTNFα、レジスチンや遊離脂肪酸(FFA)は、筋肉や肝臓においてインスリン抵抗性を引き起こして糖尿病の原因になることがわかってきた(非特許文献1を参照)。
【0003】
'83年に、武田薬品工業(株)、三共(株)の両者が、独立して、血糖低下薬としてチアゾリジンジオン(TZD)誘導体を探索したが、その薬理作用が、核内オーファン受容体、PPARγ経由である可能性が報告された(非特許文献2を参照)。TZDによる血糖低下のメカニズムは、2型糖尿病(NIDDM)において、インスリンシグナル破綻によって引き起こされるインスリン抵抗性を、TZDがPPARγを活性化する事によって改善し、TZDが血糖を低下させるという考え方が提案されている。つまり、健常者で、膵β細胞より分泌されるインスリンが、肝臓や末梢骨格筋においてインスリン受容体(IR)と結合し、インスリン受容体基質(IRS)経由で、糖取り込み、糖利用が亢進するが、一方、NIDDM患者では、IRS以降の伝達が弱まり、高血糖を示す。TZDはIRSシグナル伝達を回復し、インスリン抵抗性と耐糖能を改善するという考え方が報告されている(非特許文献3を参照)。
【0004】
PPARγ活性化によるインスリンシグナル正常化を機作として、TZDは血糖を低下させると考えられるが、TZDは強い副作用を引き起こす問題点がある。TZDの1つであるトログリタゾン(ノスカール、三共(株)とグラクソウエルカム)が肝障害を示し発売中止となったが、一方、安全性をうたっていた武田薬品工業(株)のピオグリタゾン(アクトス)も心不全による死亡例が報告された(非特許文献4を参照)。このようにTZDは、肝障害、体重増加などの副作用を持つことから、より安全な副作用のない抗糖尿病薬の開発が望まれている。
【0005】
PPARは脂質代謝を含むエネルギーホメオスタシスに関わる核内ホルモン受容体であるが、PPARγ作動性物質が血糖低下薬として開発されている一方で、他のアイソフォームであるPPARαの作動性物質が高脂血症治療薬として開発されていることでも知られている(非特許文献5を参照)。
【0006】
工業国において高脂血症、動脈硬化症、糖尿病や肥満はそれぞれが独立して発症するのは稀であり、しばしばシンドロームXと呼ばれる代謝異常症の複合的な形態をとる。PPARα(フィブレート)、PPARγ(チアゾリジンジオン、TZD)の両者の合成アゴニストはこういった症状の治療に有用である(非特許文献6、7を参照)。
【0007】
フィブレートは強い高脂血症治療作用を示す。ここ数年、これらの薬剤は頻繁に動脈硬化症の治療に用いられる様になってきている。ゲンフィブロジル、ベザフィブレートやフェノフィブレートはPPARαと高いアフィニティで結合するので、これらの薬剤による薬効の大部分がPPARα経由と信じられている。フィブレートは血清トリグリセリドを顕著に低下させ、高比重リポタンパク質レベルを増加させる。血清グリセリド低下の作用は肝臓での脂肪酸酸化の亢進とアポCII発現の減少によっていると考えられるが、一方、高比重リポタンパク質レベルの増加はアポリポタンパク質AIとアポリポタンパク質AIIの発現誘導によっていると考えられる。フィブレートは血糖値を降下させて抗糖尿病的に作用するかもしれない。そこで、PPARαアゴニストとPPARγアゴニストを比較する事は興味深い。これらは異なる受容体アイソタイプとして作用するものの、両グループの化合物は強い降脂血作用を示す事が降血糖作用の基礎となっているのかもしれない。フィブレートや他種のPPARαアゴニストがII型糖尿病に効くかどうかは更に検討する必要がある。一方、PPARγ作動性を示すTZD骨格を持ったアクトス(ピオグリタゾン、武田薬品工業)が脂質改善作用を示す事が報告されている(非特許文献8を参照)。
【0008】
動脈硬化症は関与する種々の因子によって引き起こされる複合病である。動脈壁における脂質の蓄積(動脈硬化性プラーク)が進行し、このプラークの破綻によって血流が遮断する。動脈壁における慢性的な炎症によって血管内皮が機能不全に陥り血管平滑筋細胞の増殖と泡沫化細胞の形成が動脈硬化の進行に重要な役割を担っている。血清リポタンパク質濃度の調整と同様に、PPARαとγは泡沫化細胞の形成、炎症応答の修飾、プラークの安定性に関与している。PPARαは例えばフィブリノゲンやC反応性タンパク質の様な動脈硬化を進行させるタンパク質の血漿濃度を増加させる(非特許文献9を参照)。同様に、PPARγが細胞分化、インスリン感受性や動脈硬化に重要な役割を担っているし(非特許文献10を参照)、PPARαとγの活性化因子がヒトマクロファージ泡沫化細胞経由でコレステロール除去を促進する(非特許文献11を参照)。
【0009】
1996年にPPARαが炎症に関係しているかもしれないことが、これらがエイコサノイドLTB4に対する核内受容体である事より推測された。PPARα欠損マウスは炎症性の刺激に対して遅延反応を示し、PPARαは抗炎症性である可能性が示唆されている(非特許文献12を参照)。フィブレートはTNFαやインターロイキンの様なサイトカイン産生をPPARα依存性に抑制する事によって炎症を修飾する(非特許文献13を参照)。対照的にフィブレートはマウスにおいて腫瘍壊死因子TNFαをPPARαを経由して増加させるが、げっ歯類において、TNFαの増加はフィブレートの降脂質作用やぺロキソーム増加作用の二次的な反応と考えられている(非特許文献14を参照)。PPARαが炎症過程で重要な役割を担っているのは確かだけれども、その機能の詳細については更に検討が必要である。
【0010】
PPARγも炎症に関与していると考えられている。単球やマクロファージにおいてPPARγは炎症性に作用する転写因子AP-1、STATやNFκの活性を抑制する事を経由してサイトカイン(TNFα、インターロイキン1β)産生を抑える。こういったPPARγによる抗炎症性の作用は動脈硬化の治療に有用であり得る。更に、PPARγはプラークを不安定化させると言われているMMP-9の様なメタロプロテネースの発現を減少させる(非特許文献15を参照)。
【0011】
抗がん作用に関し、PPARαはげっ歯類においてある種のぺロキソーム増殖因子による肝がん化の効果を媒介している。しかしながら、ヒトではぺロキソーム増殖因子は発がん性を示さないのは、おそらくヒト肝臓内PPARα発現がげっ歯類と比較してずっと少ない事、或いは種特異性によっていると考えられる。
【0012】
一方、PPARγは前駆脂肪細胞の増殖や種々の腫瘍細胞の増殖を抑制する。PPARγのリガンドはヒトリポサルコマ細胞の終末分化を in vitroで、或いは進行性のリポサルコマを患った患者で誘導する(非特許文献16を参照)。PPARγのリガンドは、また、 in vitroでの悪性上皮性乳がんの終末分化と乳がん細胞MCF-7を移植したマウスのアポトシス、或いは繊維化を誘導するし、ニトロソメチルウレアで処理したマウスの腫瘍発生率を減少させた(非特許文献17を参照)。PPARγリガンドの抗腫瘍作用はプレステート腫瘍細胞PC-3を導入したマウスでも観察される。残念なことに直腸がんへの作用は明らかではないが、PPARγリガンドが直腸がんを進行させたという報告と抑制したという報告がある。
【0013】
不飽和脂肪酸については、様々な研究が行われているが、中でもDHAは血漿コレステロール値を低下させることが数多く報告されている(非特許文献18および19を参照)。高度精製DHAエステルはラットの血漿コレステロール値を有意に低下させ、またDHA高含有魚油をラットに3週間投与した場合は、対照のコーン油投与群に比較して、血漿総コレステロール、血漿HDL-コレステロールの大幅な低下が認められている(非特許文献20を参照)。コレステロール以外に対する作用については、Cha Seung Hunらが1999年に、魚油(Fish oil:18%DHAを含む)がNIDDMモデルマウスKK-Ayの血糖、総コレステロール、血中トリグリセリドを低下させることを確認しているが(非特許文献21を参照)、彼らの発表後、不飽和脂肪酸がNIDDMに効果的な作用を示すという報告はなされていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】日本薬学会第122回年会要旨集1、p.158
【非特許文献2】'95 Cell 83 p.803
【非特許文献3】'99 Cell. 100 p. 1863
【非特許文献4】厚生大臣および武田薬品工業(株)に対するアクトスの緊急中止、回収等を求める要望書(医薬品・治療研究会、特定非営利活動法人医薬ビジランスセンター)'00年10月10日
【非特許文献5】Curr. Med. Res. Opin. 2002; 18(5); 269-276
【非特許文献6】Nature 405, `00, 421-424
【非特許文献7】Science 294, `01, 1866-1870
【非特許文献8】日本臨床58巻 2号、`00、 96-101(370-375)
【非特許文献9】Blood 93, 2991-2998, `99
【非特許文献10】JBC `01、 276、 37731-37734
【非特許文献11】Nature Medicine `01、 7、 53-58
【非特許文献12】JBC 274, 23341-23348, `99
【非特許文献13】JBC 274, 32048-32054, `99
【非特許文献14】Infect Immun. 67, 3488-3493, `99
【非特許文献15】J. Leukoc Biol 66, 733-739, `99
【非特許文献16】Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 3951-3956, `99
【非特許文献17】Cancer Res. 59, 5671-5673, `99
【非特許文献18】'94 J.Nutr. 124p 1998
【非特許文献19】'94日水誌 60p 635
【非特許文献20】'89 lipid 24p 45
【非特許文献21】'99 BBRC 259p 85
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、すぐれたPPARγ作動活性および/またはPPARα作動活性を有する有用な高度不飽和脂肪酸誘導体を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記高度不飽和脂肪酸誘導体を含有する医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討を行い、種々の高度不飽和脂肪酸誘導体を合成した結果、下記に示す一般式(I)〜(VIII)に示す化合物がすぐれたPPARγ作動活性および/またはPPARα作動活性を示すことを見出し、本発明を完成した。
【0017】
すなわち、本発明は、下記の化学構造式(I)〜(VIII)のいずれかを有する高度不飽和脂肪酸誘導体にある。すなわち、
【0018】
【化1】

【0019】
(式中、R1は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基もしくはハロゲンでR2は水素を表すか、R1とR2が共にハロゲンあるいはアルコキシ基を表すか、R1およびR2が一緒になってカルボニル基を形成し、R3は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基でR4は水素を表すかまたはR3およびR4が一緒になってカルボニル基を形成し、R5は水素、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、アリール基、アシルオキシ基またはアルコキシ基をR6は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはアルコキシ基を表し、
【0020】
【化2】

【0021】
は単結合または二重結合を表し、二重結合の場合はR1、R5は存在しない。また、R1、R5の結合手----は、R1、R5が存在する場合、単結合である。ただし、R1またはR2がハロゲンでR3とR4が一緒になってカルボニル基を形成するとき、R5とR6が同時に水素ではない。);
【0022】
【化3】

【0023】
(式中、R7は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、またはハロゲンでR8は水素を表すかR7とR8が共にハロゲンあるいはアルコキシ基を表すか、またはR7およびR8が一緒になってカルボニル基を形成し、R9は水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルキルカルボニルオキシメトキシ基、置換もしくは無置換アルキルカルバモイルオキシ基もしくはアルキルジチオカルボニルオキシ基をR10は水素、アルキル基を表すか、またはR9とR10が共にハロゲンあるいはアルコキシ基を表すか、またはR9およびR10が一緒になってメチレン基、カルボニル基もしくは
【0024】
【化4】

【0025】
(YはOまたはSであり、nは0または1である)を形成し、あるいはR7とR9とでエポキシ基を形成することができ、あるいはR7とR9とで二重結合を形成し、R11は水素またはヒドロキシル基をR12は水素を表し、R13は水素、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、アリール基、アシルオキシ基、アルコキシ基をR14は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基を表すか、またはR13とR14が共にハロゲンあるいはアルコキシ基を表すか、またはR13およびR14が一緒になってカルボニル基を形成し、Aはカルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシアルキルカルバモイル、アシルオキシメチル基、アルコキシメチル基、アルコキシカルボニルオキシメチル基、アルキルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、モノアルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基または
【0026】
【化5】

【0027】
(mは0、1または2である)を表し、
【0028】
【化6】

【0029】
は単結合または二重結合を表し、二重結合の場合、R7は存在しない、そして当該二重結合はシス形をとることができる。また、R7の結合手----はR7が存在する場合単結合である。ただし、A=COOHのとき、R7=R8=R9=R10=R11=R12=R13=R14=Hでない。また、A=COOMeまたはCOOHのとき、5位が二重結合かつR8=R10=R11=R12=R13=R14=Hであると同時にR9がヒドロキシルであることはない。さらに、A=COOMeのとき、R7=R10=R11=R12=R13=R14=Hであると同時にR7とR9とでエポキシ基を形成することはない);
【0030】
【化7】

【0031】
(式中、R15は水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基でR16は水素を表すか、R15およびR16が共にハロゲン、もしくはアルコキシ基を表すかまたはR15およびR16が一緒になってメチレン基、カルボニル基もしくは
【0032】
【化8】

【0033】
(YはOまたはSであり、nは0または1である)を形成し、R17は水素、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、アリール基、アシルオキシ基またはアルコキシ基をR18は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を表すか、またはR17とR18が共にハロゲン、もしくはアルコキシ基を表し、Aは上記定義した通りである。);
【0034】
【化9】

【0035】
(式中、R19は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基もしくはハロゲンでR20は水素を表すかR19とR20が共にハロゲン、もしくはアルコキシ基を表すかまたはR19およびR20が一緒になってカルボニル基を形成し、Aは上記定義した通りであり、
【0036】
【化10】

【0037】
は単結合または二重結合を表し、二重結合の場合、R19は存在しない。また、R19の結合手----はR19が存在する場合単結合である。ただし、A=COOHのとき、R19はヒドロキシルでない。);
【0038】
【化11】

【0039】
(式中、R21は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基もしくはハロゲンをR22は水素を表すか、R21とR22が共にハロゲン、もしくはアルコキシ基を表すかまたはR21およびR22が一緒になってカルボニル基を形成し、R23は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基もしくはハロゲンをR24は水素を表すか、あるいはR23およびR24が共にハロゲン、もしくはアルコキシ基を表すかまたはR23およびR24が一緒になってカルボニル基を形成し、R25は水素、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、アリール基、アシルオキシ基またはアルコキシ基をR26は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基を表し、Aは上記定義した通りである。ただし、A=COOHのとき、R22=R23=R24=R25=R26=Hであると同時にR21がヒドロキシルであることはない。);
【0040】
【化12】

【0041】
(式中、R23、R24、R25、R26、およびAは上記定義した通りである。ただし、A=COOHのとき、R24=R25=R26=Hであると同時にR23がヒドロキシルであることはない。);
【0042】
【化13】

【0043】
(式中、R27は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基もしくはハロゲンをR28は水素を表すか、あるいはR27とR28が共にアルコキシ基、ハロゲンを表すかまたはR27およびR28が一緒になってカルボニル基を形成し、R29は水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、置換もしくは無置換アルキルカルバモイルオキシ基もしくはアルキルジチオカルボニルオキシ基をR30は水素もしくはアルキル基を表すか、R29とR30が共にハロゲンもしくはアルコキシ基を表すか、またはR29およびR30が一緒になってメチレン基、カルボニル基もしくは
【0044】
【化14】

【0045】
(YはOまたはSであり、nは0または1である)を形成し、あるいはR27とR29とでエポキシ基を形成することができ、R31およびR32は互いに独立して水素またはアルキル基を表し、R33は水素、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、アリール基、アシルオキシ基またはアルコキシ基をR34は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基を表すか、R33とR34が共にハロゲンまたはアルコキシ基を表すか、R33とR34が一緒になってカルボニル基を形成し、Aは上記定義した通りであり、
【0046】
【化15】

【0047】
は単結合または二重結合を表し、二重結合の場合、R27は存在しない、また、R27の結合手----はR27が存在する場合単結合である。そして当該二重結合はシス形をとることができる。ただし、A=COOMeのとき、R27とR29とでエポキシ基を形成できず、しかもR27=R30=R31=R32=R33=Hでない。);および
【0048】
【化16】

【0049】
(式中、R35は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、またはハロゲンをR36は水素を表すか、R35とR36が共にアルコキシ基、またはハロゲンを表し、R37は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基をR38は水素を表すかまたはR37およびR38が一緒になってカルボニル基を形成し、R39は水素、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、アリール基、アシルオキシ基、アルコキシ基をR40は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を表すか、R39とR40が共にハロゲンあるいはアルコキシ基を表し、
【0050】
【化17】

【0051】
は単結合または二重結合を表し、二重結合の場合、R39は存在しない。また、R39の結合手----はR39が存在する場合単結合である。)である。
【0052】
さらに本発明は、上記一般式I〜VIIIを有するいずれかの化合物またはその医薬的に許容できる塩を含有する医薬組成物にある。
【0053】
本発明の上記一般式I〜VIIIを有するいずれの化合物もPPARγ作動活性および/またはPPARα作動活性を有する。すなわち、本発明の化合物は、脂肪細胞などの細胞の核内受容体であるPPARγおよび/またはPPARαに作用してこれを活性化することにより、PPARγおよび/またはPPARα作動に関連する種々の疾患を予防または治療することができる。PPARγ作動および/またはPPARα作動に関連する疾患または作用には、2型糖尿病、循環器系疾患、動脈硬化症、高脂血症、炎症性消化器系疾患、特に潰瘍性大腸炎、コレステロール低下作用、抗ガン作用等がある。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、TI11がKK-AyマウスのTGに与える影響を示す図である。
【図2】図2は、TI11がKK-AyマウスのFFAに与える影響を示す図である。
【図3】図3は、TI11がZDFラットのB.G.に与える影響を示す図である。
【図4】図4は、TI11がZDFラットのFFAに与える影響を示す図である。
【図5】図5は、TI11がdb/dbマウスのB.G.に与える影響を示す図である。
【図6】図6は、TI11のPPARγ活性に関与するコアクチベーターの検討を示す図である。
【図7】図7は、TI11がDSS誘発潰瘍性大腸炎モデルラットの大腸粘膜のびらん面積に与える影響を示す図である。
【図8】図8は、TI11がDSS誘発潰瘍性大腸炎モデルラットの大腸短縮に与える影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の上記一般式I〜VIIIの化合物はいずれもPPARγ作動活性および/またはPPARα作動活性を有する有用な化合物である。
【0056】
本発明の上記一般式I〜VIIIのいずれかを有する高度不飽和脂肪酸誘導体は、種々の異性体であるエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、ラセミ体および多形体として存在しうるものであり、このようなすべての形態を含むことを意味する。
【0057】
上記一般式I〜VIIIの化合物でR1〜R40ならびにAの記載中で定義した基は、特記しない限り本発明の技術分野で通常使用されている意味と同じであるが、包括的に記載した置換基の意味は以下の通りである。
【0058】
「アルコキシ基」は、炭素数1〜10個の直鎖または分枝鎖状アルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、2-メチルブトキシ基、ネオペントキシ基、ヘキシルオキシ基、4-メチルペントキシ基、3-メチルペントキシ基、2-メチルペントキシ基、3,3-ジメチルブトキシ基、2,2-ジメチルブトキシ基、1,1-ジメチルブトキシ基、1,2-ジメチルブトキシ基、1,3-ジメチルブトキシ基又は2,3-ジメチルブトキシ基等がある。好適には、炭素数1〜4個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基であり、より好適には、炭素数1〜3個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基であり、更により好適には、炭素数1〜2個のアルコキシ基であり、特に好適には、メトキシ基である。
【0059】
「アシルオキシ基」は、脂肪族カルボニルオキシ基または芳香族カルボニルオキシ基を表す。脂肪族カルボニルオキシ基を構成する脂肪族基は直鎖、分枝鎖状、環状いずれの脂肪族基であっても良く、炭素数5以下であることが好ましい。芳香族カルボニルオキシ基を構成する芳香族基とは、好ましくは5〜7員環のヘテロ原子を含有していても構わない置換または無置換の芳香族基であり、より好ましくは無置換の芳香族基である。炭素数は7以下であることが好ましい。脂肪族カルボニルオキシ基の脂肪族基部分、芳香族カルボニルオキシ基の芳香族基部分は置換基によってさらに置換されていても良い。アシルオキシ基の例としては、アセトキシ、プロピオニルオキシ、アクリロイルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、ヒドロキシブチルカルボニルオキシ、ドデシルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、3,3,3−トリフルオロ−2−メトキシ−2−フェニルプロパノイルオキシ等が挙げられる。芳香族基に置換できる置換基にはメトキシ基、ハロゲン、ニトロ基等がある。
【0060】
「ハロゲン」という用語は、ヨウ素、臭素、塩素、フッ素を意味する。ヨウ素とフッ素が特に好ましい。
【0061】
「アルキル基」は、無置換の炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖状アルキル基、または置換された炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖状アルキル基である。無置換の炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖状アルキル基の場合、炭素数は好ましくは1〜8、いっそう好ましくは1〜6、更にいっそう好ましくは1〜4である。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、並びに直鎖及び分枝鎖状のペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられる。置換された炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝鎖状アルキル基の場合、上記の「無置換の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基」の1以上の水素原子が置換されている基を意味する。置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキルオキシ基、アリール基、アミノ基等が挙げられる。
【0062】
「アルケニル基」という用語は、少なくとも1個の二重結合を含有する不飽和非環状炭化水素基をさす。これには、無置換の炭素数2〜15の直鎖もしくは分枝鎖状アルケニル基、または置換された炭素数2〜15の直鎖もしくは分枝鎖状アルケニル基が含まれる。無置換の炭素数2〜15の直鎖もしくは分枝鎖状アルケニル基の場合、炭素数は好ましくは2〜8、いっそう好ましくは2〜6、更にいっそう好ましくは3〜5である。二重結合の数は1〜3個であることが好ましく、1個あるいは2個であることがさらに好ましく、1個であることが最も好ましい。置換された炭素数2〜15の直鎖もしくは分枝鎖状アルケニル基の場合、上記の「無置換の直鎖もしくは分枝鎖状のアルケニル基」の1以上の水素原子が置換されている基を意味する。置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシル基及び無置換の炭素数1〜4の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基等が挙げられる。適切なアルケニル基の例には、ブテン-3-イル、イソブテニル、ペンテン-4-イル、2-メチルブテン-3-イル、3-メチルブテン-2-イル、ヘキセン-3-イル、3-ヒドロキシヘキセン-5-イル、ヘプテン-3-イル、およびオクテン-3-イルなどが含まれる。
【0063】
「アルキニル基」という用語は、1個またはそれ以上の三重結合を含有する不飽和非環状炭化水素を意味する。これには、無置換の炭素数2〜15の直鎖もしくは分枝鎖状アルキニル基、または置換された炭素数2〜15の直鎖もしくは分枝鎖状アルキニル基が含まれる。無置換の炭素数2〜15の直鎖もしくは分枝鎖状アルケキニル基の場合、炭素数は好ましくは3〜8、いっそう好ましくは3〜6、更にいっそう好ましくは3〜4である。三重結合の数は1〜3個であることが好ましく、1個あるいは2個であることがさらに好ましく、1個であることが最も好ましい。置換された炭素数2〜15の直鎖もしくは分枝鎖状アルキニル基の場合、上記の「無置換の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキニル基」の1以上の水素原子が置換されている基を意味する。置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシル基及び無置換の炭素数1〜4の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基等が挙げられる。適切なアルキニル基の例には、プロピニル、ブチン-2-イル、ブチン-3-イル、ペンチン-3-イル、ペンチン-4-イル、4-メトキシペンチン-2-イル、2-メチルブチン-3-イル、ヘキシン-5-イル、ヘキシン-4-イル、ヘキシン-3-イル、3,3-ジメチルペンチン-4-イル基などが含まれる。
【0064】
「アリール基」という用語は、1、2または3個の環を含有する炭素環式芳香族系を意味し、ここで、そのような環は、一緒に縮合していてもよい。"縮合した"という用語は、第1の環と共通して(すなわち、共有して)2個の隣接原子を有することにより、第2の環が存在していることを意味する。適切なアリール基の例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダンおよびアントラセニル等がある。
【0065】
「置換もしくは無置換アルキルカルバモイルオキシ基」という用語は、酸素原子に置換もしくは無置換アルキルカルバモイル基が結合した基をいう。置換もしくは無置換アルキルカルバモイル基は、カルバモイル基に置換もしくは無置換アルキル基がN-置換した置換基を示す。例えば、無置換アルキルカルバモイルオキシ基には、N-メチルカルバモイルオキシ基、N-エチルカルバモイルオキシ基、N-プロピルカルバモイルオキシ基、N-イソプロピルカルバモイルオキシ基、N-ブチルカルバモイルオキシ基、N-イソブチルカルバモイルオキシ基、N-tert-ブチルカルバモイルオキシ基、N-ペンチルカルバモイルオキシ基、N-ヘキシルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。置換アルキルカルバモイルオキシ基には、[(1R,4aS)-7-イソプロピル-1,4a-ジメチル-1,2,3,4,4a,9,10,10a-オクタヒドロ-1-フェナンスレニル]メチルカルバモイルオキシ基、3-ヒドロキシプロピルカルバモイルオキシ基、4-ヒドロキシヘキシルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。好適な無置換アルキルカルバモイルオキシ基には、N-メチルカルバモイルオキシ基、N-エチルカルバモイルオキシ等があり、好適な置換アルキルカルバモイルオキシ基には、[(1R,4aS)-7-イソプロピル-1,4a-ジメチル-1,2,3,4,4a,9,10,10a-オクタヒドロ-1-フェナンスレニル]メチルカルバモイルオキシ基、3-ヒドロキシプロピルカルバモイルオキシ基等がある。
【0066】
「アルキルジチオカルボニルオキシ基」という用語は、酸素原子にアルキルジチオカルボニル基が結合した基である。アルキルジチオカルボニル基は、アルキルチオ基が結合したチオカルボニル基であり、アルキル基は前記の通りである。例えば、メチルジチオカルボニルオキシ基、エチルジチオカルボニルオキシ基、プロピルジチオカルボニルオキシ基、イソプロピルジチオカルボニルオキシ基、ブチルジチオカルボニルオキシ基、t-ブチルジチオカルボニルオキシ基、ペンチルジチオカルボニルオキシ基又はヘキシルジチオカルボニルオキシ基等がある。好適には、1個の炭素数1〜3個の直鎖又は分枝鎖アルキルチオ基が結合したチオカルボニルオキシ基であり、より好適には、メチルジチオカルボニルオキシ基又はエチルジチオカルボニルオキシ基である。
【0067】
「アルコキシカルボニル基」は、アルコキシ基がカルボニル基に結合した基である。アルコキシ基は前述した通りの基である。例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、s-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、ペントキシカルボニル基、イソペントキシカルボニル基、2-メチルブトキシカルボニル基、ネオペントキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、4-メチルペントキシカルボニル基、3-メチルペントキシカルボニル基、2-メチルペントキシカルボニル基、3,3-ジメチルブトキシカルボニル基、2,2-ジメチルブトキシカルボニル基、1,1-ジメチルブトキシカルボニル基、1,2-ジメチルブトキシカルボニル基、1,3-ジメチルブトキシカルボニル基又は2,3-ジメチルブトキシカルボニル基等があり、好適には、炭素数1〜4個の直鎖又は分枝鎖アルコキシカルボニル基であり、より好適には、炭素数1〜3個の直鎖又は分枝鎖アルコキシカルボニル基であり、更により好適には、炭素数1〜2個のアルコキシカルボニル基であり、特に好適には、メトキシカルボニル基である。
【0068】
「アルキルカルボニル基」は、アルキル基がカルボニル基に結合した基である。アルキル基は上述の通りである。例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n-プロピルカルボニル基、i-プロピルカルボニル基、n-ブチルカルボニル基、s-ブチルカルボニル基、i-ブチルカルボニル基、t-ブチルカルボニル基、並びに直鎖及び分岐鎖状のペンチルカルボニル基、ヘキシルカルボニル基、ヘプチルカルボニル基、オクチルカルボニル基、ノニルカルボニル基、デカニルカルボニル基等が挙げられる。
【0069】
「アルコキシメチル基」は、アルコキシ基がメチル基に結合した基である。アルコキシ基は前述した通りである。例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基、s-ブトキシメチル基、t-ブトキシメチル基、ペントキシメチル基、イソペントキシメチル基、2-メチルブトキシメチル基、ネオペントキシメチル基、ヘキシルオキシメチル基、4-メチルペントキシメチル基、3-メチルペントキシメチル基、2-メチルペントキシメチル基、3,3-ジメチルブトキシメチル基、2,2-ジメチルブトキシメチル基、1,1-ジメチルブトキシメチル基、1,2-ジメチルブトキシメチル基、1,3-ジメチルブトキシメチル基又は2,3-ジメチルブトキシメチル基等である。好ましくは、炭素数1〜4個の直鎖又は分枝鎖状アルコキシメチル基であり、より好ましくは、炭素数1〜3個の直鎖又は分枝鎖状アルコキシメチル基であり、更により好ましくは、炭素数1〜2個のアルコキシメチル基であり、特に好ましくは、メトキシメチル基である。
【0070】
「アルコキシカルボニルオキシメチル基」は、アルコキシ基がカルボニルオキシメチル基に結合した基である。アルコキシ基は前述した通りである。例えば、メトキシカルボニルオキシメチル基、エトキシカルボニルオキシメチル基、プロポキシカルボニルオキシメチル基、イソプロポキシカルボニルオキシメチル基、ブトキシカルボニルオキシメチル基、イソブトキシカルボニルオキシメチル基、s-ブトキシカルボニルオキシメチル基、t-ブトキシカルボニルオキシメチル基、ペントキシカルボニルオキシメチル基、イソペントキシカルボニルオキシメチル基、2-メチルブトキシカルボニルオキシメチル基、ネオペントキシカルボニルオキシメチル基、ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル基、4-メチルペントキシカルボニルオキシメチル基、3-メチルペントキシカルボニルオキシメチル基、2-メチルペントキシカルボニルオキシメチル基、3,3-ジメチルブトキシカルボニルオキシメチル基、2,2-ジメチルブトキシカルボニルオキシメチル基、1,1-ジメチルブトキシカルボニルオキシメチル基、1,2-ジメチルブトキシカルボニルオキシメチル基、1,3-ジメチルブトキシカルボニルオキシメチル基又は2,3-ジメチルブトキシカルボニルオキシメチル基等である。好ましくは、炭素数1〜4個の直鎖又は分枝鎖状アルコキシカルボニルオキシメチル基であり、特に好ましくは、t−ブトキシカルボニルオキシメチル基である。
【0071】
「アルキルカルボニルオキシメトキシカルボニル基」は、アルキル基がカルボニルオキシメトキシカルボニル基結合した基である。アルキル基は前述した通りである。例えば、メチルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、エチルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、n-プロピルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、i-プロピルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、n-ブチルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、s-ブチルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、i-プロピルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、t-ブチルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、並びに直鎖及び分枝鎖状のペンチルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、ヘキシルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、ヘプチルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、オクチルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、ノニルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、デカニルカルボニルオキシメトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0072】
「モノアルキルカルバモイル基」は、一つのアルキル基がカルバモイル基にN-置換した基である。例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、n-プロピルカルバモイル基、i-プロピルカルバモイル基、n-ブチルカルバモイル基、s-ブチルカルバモイル基、i-ブチルカルバモイル基、t-ブチルカルバモイル基、並びに直鎖及び分枝鎖状のペンチルカルバモイル基、ヘキシルカルバモイル基、ヘプチルカルバモイル基、オクチルカルバモイル基、ノニルカルバモイル基、デカニルカルバモイル基等が挙げられる。
【0073】
「ジアルキルカルバモイル基」という用語は、同一でも異なってもよい二つのアルキル基がカルバモイル基にN、N-置換した基である。ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、ジ-n-プロピルカルバモイル基、ジ-i-プロピルカルバモイル基、ジ-n-ブチルカルバモイル基、ジ-s-ブチルカルバモイル基、ジ-i-プロピルカルバモイル基、ジ-t-ブチルカルバモイル基、並びに直鎖及び分岐鎖状のジペンチルカルバモイル基、ジヘキシルカルバモイル基、ジヘプチルカルバモイル基、ジオクチルカルバモイル基、ジノニルカルバモイル基、ジデカニルカルバモイル基等がある。
【0074】
本発明の化学構造式(I)〜(VIII)のうち、下記の置換基を有するものが好ましい。すなわち、化学構造式(I)中、R1が水素、ヒドロキシル基およびアルコキシ基からなる群から選択され、R3が水素またはヒドロキシル基から選択されるかR3およびR4が一緒になってカルボニル基を形成し、R5が水素、ヒドロキシル基およびアルキル基からなる群から選択され、R6が水素またはアルキル基から選択されあるいは場合によりR1またはR5が存在せず二重結合を形成する;
化学構造式(II)中、R7が水素またはR7が存在せず二重結合を形成し、R8が水素であり、R9が水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシメトキシ基、アシルオキシ基、置換アルキルカルバモイルオキシ基およびアルキルジチオカルボニルオキシ基からなる群から選択され、R10が水素であるか、R9およびR10が一緒になってメチレン基、カルボニル基または
【0075】
【化18】

【0076】
(YはOでありnは1である。)であり、R11が水素またはヒドロキシル基であり、R12が水素であり、R13は水素またはアルキル基であり、R14は水素またはアルキル基であり、Aがカルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、ヒドロキシメチル基、アルキルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、ジアルキルカルバモイル基および
【0077】
【化19】

【0078】
(mは1である。)からなる群から選択される;
化学構造式(III)中、R15がハロゲンであるかR15およびR16が一緒になってカルボニル基を形成し、R17が水素またはアルキル基であり、R18が水素またはアルキル基であり、Aがアルコキシカルボニル基、ジアルキルカルバモイル基またはカルボキシル基である;
化学構造式(IV)中、R19がヒドロキシル基またはハロゲンから選択されるか、R19およびR20が一緒になってカルボニル基を形成し、Aがアルコキシカルボニルまたはホルミルから選択される;
化学構造式(V)中、R21がヒドロキシルまたはアルコキシ基から選択され、R22が水素であるか、あるいはR21およびR22が一緒になってカルボニル基を形成し、R23がアルコキシ基またはアシルオキシ基から選択されるか、R23およびR24が一緒になってカルボニル基を形成し、R25が水素またはアルキル基から選択され、R26が水素またはアルキル基から選択され、Aがカルボキシル基またはアルコキシカルボニル基である;
化学構造式(VI)中、R23がアルコキシ基であるか、R23およびR24が一緒になってカルボニル基を形成し、R24が水素であり、R25が水素またはアルキル基から選択され、R26が水素またはアルキル基から選択され、Aがアルコキシカルボニルまたはホルミルから選択される;
化学構造式(VII)中、R27が水素またはヒドロキシル基から選択されるかR27が存在せず二重結合を形成し、R29がヒドロキシル基、ハロゲンおよびアシルオキシ基からなる群から選択され、R30が水素またはアルキル基から選択され、R29およびR30が一緒になってメチレン基または
【0079】
【化20】

【0080】
(YはOであり、nは0である。)を形成し、あるいはR28とR29とでエポキシ基を形成し、R31およびR32が互いに独立して水素またはアルキル基から選択され、R33が水素、ヒドロキシル基およびアルキル基からなる群から選択され、R34が水素またはアルキル基から選択され、Aがカルボキシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシアルキルカルバモイル基およびアルコキシメチル基から選択される;
化学構造式(VIII)中、R35が水素、アルコキシ基およびハロゲンからなる群から選択され、R36が水素であり、R37がアルコキシ基であり、R38が水素であり、あるいはR37およびR38が一緒になってカルボニル基を形成し、R39が水素、ヒドロキシル基またはアルキル基から選択されるかR39が存在せず二重結合を形成し、R40が水素またはアルキル基である場合である。
【0081】
本発明の化学構造式(I)〜(VIII)のうち、下記の置換基を有するものがさらに好ましい。すなわち、化学構造式(I)中、R1が水素およびヒドロキシル基からなる群から選択され、R3がヒドロキシル基であるかR3およびR4が一緒になってカルボニル基を形成し、R5が水素およびアルキル基からなる群から選択され、R6が水素およびアルキル基からなる群から選択され、あるいは場合によりR1が存在せず二重結合を形成する;
化学構造式(II)中、R7が水素またはR7が存在せず二重結合を形成し、R8が水素であり、R9が水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、C14のアルコキシ基、C14アルキルカルボニルオキシメトキシ基、C14アシルオキシ基およびC14アルキルジチオカルボニルオキシ基(この場合、R7は存在せず、そして形成された二重結合はシス形である)からなる群から選択され、R10が水素であるか、R9およびR10が一緒になってカルボニル基を形成し、R11、R12、R13およびR14は水素であり、Aがカルボキシル基、C14アルコキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基およびC14アルキルカルボニルオキシメトキシカルボニル基からなる群から選択される;
化学構造式(III)中、R15およびR16が一緒になってカルボニル基を形成し、R17およびR18が水素であり、Aがアルコキシカルボニル基である;
化学構造式(IV)中、R19がヒドロキシル基であり、R20が水素であり、AがC14アルコキシカルボニル基である;
化学構造式(V)中、R21がヒドロキシルであり、R22が水素であり、R23およびR24が一緒になってカルボニル基を形成し、R25およびR26が水素であり、AがC14アルコキシカルボニル基である;
化学構造式(VI)中、R23およびR24が一緒になってカルボニル基を形成し、R25およびR26が水素であり、AがC14アルコキシカルボニルである;
化学構造式(VII)中、R27がヒドロキシル基で、R29がヒドロキシル基であるか、あるいはR27とR29とでエポキシ基を形成し、R30,R31、R32、R33およびR34が水素であり、Aがカルボキシル基である;
化学構造式(VIII)中、R35およびR36が水素であり、R37およびR38が一緒になってカルボニル基を形成し、R39およびR40が水素である場合である。
【0082】
本発明の一般式(I)に属する具体的な化合物には、例えば、5-[(3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-1-ヒドロキシ-3,6,9,12,15-オクタデカペンタエニル]ジヒドロ-2(3H)-フラノン(MT80)、5-[(1E,3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-1,3,6,9,12,15-オクタデカヘキサエニル(3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)]ジヒドロ-2(3H)-フラノン(MT49A)、5-[(3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-3,6,9,12,15-オクタデカペンタエニル]ジヒドロ-2(3H)-フラノン(DA5)、5-[(1E,3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-1,3,6,9,12,15-オクタデカヘキサエニル]テトラヒドロ-2-フラノール(TI91)、3-ヒドロキシ-5-[(3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-1-メトキシ-3,6,9,12,15-オクタデカペンタエニル]ジヒドロ-2(3H)-フラノン、3,3-ジメチル-5-[(1E,3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-1,3,6,9,12,15オクタデカヘキサエニル]ジヒドロ-2(3H)-フラノン、3-メチル-5-[(1E,3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-1,3,6,9,12,15-オクタデカヘキサエニル]テトラヒドロ-2,3-フランジオール、5-[(3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-1-メトキシ-3,6,9,12,15-オクタデカ-ペンタエニル]-2(5H)-フラノン等がある。
【0083】
一般式(II)に属する具体的な化合物には、例えば、メチル(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-(アセチルオキシ)-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサノエート(DA20)、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-(アセチルオキシ)-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(DA13)、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-ヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエンアミド(DA34)、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-1-オキソ-1-(1-ピペリジニル)-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン-4-オール(DA36)、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-N,N-ジエチル-4-ヒドロキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエンアミド(DA38)、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-N-(2-フリルメチル)-4-ヒドロキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエンアミド(DA39)、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-ヒドロキシ-N-[2-(1-メチル-2-ピロリジニル)エチル]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエンアミド(DA40)、(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-N-(2-ヒドロキシエチル)-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエンアミド(DA24)、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[(メチルスルファニル)カルボチオイル]オキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(DA58)、メチル(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[(フェノキシカルボチオイル)オキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(DA67)、メチル(5Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[(フェノキシカルボチオイル)オキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(DA66)、(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-ヒドロキシ-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸(DA21)、メチル(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-オキソ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサノエート(TI11)、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン-1,4-ジオール(TI57)、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-オキソ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(TI72)、[(2,2-ジメチルプロパノイル)オキシ]メチル(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[(2,2-ジメチルプロパノイル)オキシ]メトキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(TI84)、[(2,2-ジメチルプロパノイル)オキシ]メチル(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-ヒドロキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(TI85)、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[(2,2-ジメチルプロパノイル)オキシ]メトキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(TI86)、メチル(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-メトキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(TI100)、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-メトキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(TI101)、(5Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[(メチルスルファニル)カルボチオイル]オキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(DA65)、メチル(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-フルオロ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(DA82)、メチル(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-ハイドロキシ-7,10,13,16,19-ドコサペンタエノエート(DA93)、メチル(4R,5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[([[(1R,4aS)-7-イソプロピル-1,4a-ジメチル-1,2,3,4,4a,9,10,10a-オクタヒドロ-1-フェナンスレニル]メチル]アミノ)カルボニル]オキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(TI109)、メチル(4R,5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[(3,3,3-トリフルオロ-2-メトキシ-2-フェニルプロパノイル)オキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(TI119)、メチル(4S,5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[([[(1R,4aS)-7-イソプロピル-1,4a-ジメチル-1,2,3,4,4a,9,10,10a-オクタヒドロ-1-フェナンスレニル]メチル]アミノ)カルボニル]オキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(TI110)、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-メトキシ-2-メチル-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸、1-[(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-メトキシ-2,2-ジメチル-7,10,13,16,19-ドコサペンタエノイル]ピペリジン、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-2,2-ジメチル-4-オキソ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエナール、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-メトキシ-2-メチル-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン-1-オール、(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-フルオロ-2-メチル-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン-1-オール、メチル(5Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート、メチル(6E,8Z,11Z,14Z,17Z,20Z)-5-フルオロ-3-メチル-6,8,11,14,17,20-トリコサヘキサノエート、(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-N,N-ジエチル-2-メチル-4-オキソ-7,10,13,16,19-ドコサペンタンアミド、(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-4-オキソ-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸、(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-メチル-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン-1,4-ジオール、2,2-ジメチル-3-[[(1E,3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-1,3,6,9,12,15-オクダデカヘキサエニル)1,3ジオキサン-2-イル]]-プロパン酸、(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-2,2-ジメチル-4-メチレン-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン-1-オール等がある。
【0084】
一般式(III)に属する具体的な化合物には、例えば、メチル(6E,8E,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-オキソ-6,8,10,13,16,19-ドコサヘキサノエート(TI13)、(6E,8E,10Z,13Z,16Z,19Z)-N,N-ジエチル-2,2-ジメチル-4-オキソ-6,8,10,13,16,19-ドコサヘキサエンアミド、(6E,8E,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-フルオロ-2,2-ジメチル-6,8,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸等がある。
【0085】
一般式(IV)に属する具体的な化合物には、例えば、メチル(4E,6E,10Z,13Z,16Z,19Z)-8-ヒドロキシ-4,6,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(DA75)、メチル(4E,6E,10Z,13Z,16Z,19Z)-8-フルオロ-4,6,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート、(4E,6E,10Z,13Z,16Z,19Z)-8-オキソ-ドコサ-4,6,10,13,16,19-ヘキサエナール等がある。
【0086】
一般式(V)に属する具体的な化合物には、メチル(5E,7E,9E,13Z,16Z,19Z)-11-ヒドロキシ-4-オキソ-5,7,9,13,16,19-ドコサヘキサノエート(TI63)、メチル(5E,7E,9E,13Z,16Z,19Z)-11-メトキシ-2,2-ジメチル-4-オキソ-5,7,9,13,16,19-ドコサヘキサノエート、メチル(5E,7E,9E,13Z,16Z,19Z)-4,11-ジメトキシ-2-メチル-5,7,9,13,16,19-ドコサヘキサノエート、(5E,7E,9E,13Z,16Z,19Z)-4-(ベンゾイルオキシ)-2,2-ジメチル-11-オキソ-5,7,9,13,16,19-ドコサヘキサエン酸、(5E,7E,9E,13Z,16Z,19Z)-2,2-ジメチル-4,11-ジオキソ-5,7,9,13,16,19-ドコサヘキサエン酸等がある。
【0087】
一般式(VI)に属する具体的な化合物には、例えば、メチル(5E,7E,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-オキソ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(TI12)、メチル(5E,7E,10Z,13Z,16Z,19Z)-2,2-ジメチル-4-オキソ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサノエ―ト、(5E,7E,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-メトキシ-2,2-ジメチル-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエナール等がある。
【0088】
一般式(VII)に属する具体的な化合物には、例えば、4-[3-[(2Z,5Z,8Z,11Z)-2,5,8,11-テトラデカテトラエニル]-2-オキシラニル]ブタン酸(DA103)、(8Z,11Z,14Z,17Z)-5,6-ジヒドロキシ-8,11,14,17-イコサテトラエン酸(DA104)、メチル-2,2-ジメチル-4-[3-[(2Z,5Z,8Z,11Z)-2,5,8,11-テトラデカテトラエニル]-2-オキシラニル]ブタノエート、(8Z,11Z,14Z,17Z)-2,5,6-トリヒドロキシ-イコサ-8,11,14,17-テトラエン酸、(8Z,11Z,14Z,17Z)-1-ヒドロキシ-2-メチル-イコサ-8,11,14,17-テトラエン-5-オン、(2E,4Z,7Z,10Z,13Z)-1-(4-エトキシ-3-メチルブチル)-2,4,7,10,13-ヘキサデカペンタエニルベンゾエート、(8Z,11Z,14Z,17Z)-5-フルオロ-2,2-ジメチル-8,11,14,17-イコサテトラエナール、(6E,8Z,11Z,14Z,17Z)-1-ヒドロキシ-2,2,4-トリメチル-6,8,11,14,17-イコサペンタエン-5-オン、(6E,8Z,11Z,14Z,17Z)-5-エチル-6,8,11,14,17-イコサペンタエン-1,5-ジオール、2,2-ジメチル-4-[2-[(1E,3Z,6Z,9Z,12Z)-1,3,6,9,12-ペンタデカペンタエニル)-1,3-ジオキソラン-2-イル]]-ブタナール、エチル(6E,8Z,11Z,14Z,17Z)-2,2-ジメチル-5-メチレン-6,8,11,14,17-イコサペンタエノエート酸、(2E,4Z,7Z,10Z,13Z)-1-[4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-メチル-4-オキソブチル]-2,4,7,10,13-ヘキサデカペンタエニルアセテート等がある。
【0089】
一般式(VIII)に属する具体的な化合物には、6-[(3Z,6Z,9Z,12Z)-3,6,9,12-ペンタデカテトラエニル]テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン(DA105)、3-ヒドロキシ-6-[(3Z,6Z,9Z,12Z)-1-メトキシ-3,6,9,12-ペンタデカテトラエニル]-3-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、3-ヒドロキシ-3-メチル-6-[(3Z,6Z,9Z,12Z)-3,6,9,12-ペンタデカテトラエニル]テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン、3,3-ジメチル-6-[(3Z,6Z,9Z,12Z)-3,6,9,12-ペンタデカテトラエニル]テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルメチルエーテル、6-[(3Z,6Z,9Z,12Z)-1-ブロモ-3,6,9,12-ペンタデカテトラエニル]-5,6-ジヒドロ-2H-ピラン-2-オン等がある。
【0090】
本発明の一般式(I)〜(VIII)の化合物は目的に応じて塩を形成でき、例えば、本発明の化合物を医薬用途に用いる場合、製薬学的に許容されるものであれば特に制限されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などである。この中でナトリウム塩、カリウム塩などの塩などがあげられる。本発明の化合物の溶媒和物も本発明に包含されるものであり、溶媒和物としてはアセトン、2-ブタノール、2-プロパノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、水などとの溶媒和物があげられる。
【0091】
本発明の一般式(I)〜(VIII)の高度不飽和脂肪酸誘導体は、例えば、下記のようにして合成できる。
化合物I
【0092】
【化21】

【0093】
1の合成
出発原料であるDHAエチルエステルを無水の非プロトン性溶媒に溶解し、-78〜0℃にて不活性ガス(アルゴンあるいは窒素)雰囲気下、求核性のない塩基(リチウムジイソプロピルアミドなど)並びにアルキルハライドと反応させ、モノアルキル化体あるいはジアルキル化体を得る。アルキルハライドの代わりにアルケニルハライド、アルキニルハライド、アリールハライド、を用いることにより、相当するモノあるいはジ置換体が得られる。アルキルハライドの代わりにMoO5・ピリジン・ヘキサメチルホスホルアミド複合体(以下、MoOPH)などの酸化剤を用いると水酸化反応が進行しヒドロキシル体が得られる。ヒドロキシル体から常法によりハロゲン体、アシルオキシ体、アルコキシ体が得られる(R5、R6の導入:ここで、R5およびR6は互いに独立して水素、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、アリール基、アシルオキシ基またはアルコキシ基である。)。
【0094】
2の合成
1を含水有機溶媒中、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を用いて0〜80℃にてアルカリ加水分解し、カルボン酸2を得る。
【0095】
3の合成
2をアセトニトリルなどの有機溶媒中でγ-コリジンなどの塩基の存在下で、ヨウ素などのハロゲンと0〜80℃で反応させることにより、ハロラクトン化が進行し、ハロラクトン3が得られる。
【0096】
4の合成
3をベンゼンなどの非プロトン性溶媒に溶かし、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ-7-セン(DBU)などの脱ハロゲン化水素剤と室温〜80℃で反応させることにより、脱ハロゲン化水素反応が進行し5位に二重結合が導入された4が得られる。一方、3をテトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒に溶かし、水素化トリn-ブチルスズなどの還元剤を加え0℃〜加熱還流することにより、5位のハロゲンが還元され、R1、R2共に水素の化合物4が得られる。また3を含水溶媒中水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物を用いてアルカリ加水分解すると、4,5-エポキシ中間体を経由して生成したと考えられる5-6結合が単結合で5位に水酸基(R1=OH)が導入された4が生成する。この水酸基を常法によりハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基、カルボニル基に変換する(R1、R2の導入)。
【0097】
5の合成
4を無水の非プロトン性溶媒に溶かし、不活性ガス雰囲気下、-78〜0℃にて水素化ジイソブチルアルミニウムなどの還元剤で還元することによりR3がヒドロキシル基の5が生成する。R3がヒドロキシル基の5から常法により相当するアルコキシ体あるいはアシルオキシ体が得られる(R3、R4の導入)。
【0098】
6の合成
5がヒドロキシル基の4を酸触媒にて脱水することにより6を得る。あるいは4のR5のヒドロキシル基をメシル化した後、DBUなどの塩基で処理することにより6を得る。またR5がハロゲンの4をDBUなどの塩基で処理しても6が得られる。
【0099】
7の合成
6を無水の非プロトン性溶媒に溶かし、不活性ガス雰囲気下、-78〜0℃にて水素化ジイソブチルアルミニウムなどの還元剤で還元することによりR3がヒドロキシル基の7が生成する。R3がヒドロキシル基の7から常法により相当するアルコキシ体あるいはアシルオキシ体が得られる(R3、R4の導入)。
化合物II
【0100】
【化22】

【0101】
8の合成
出発原料である4を含水有機溶媒中、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を用いて0〜80℃にてアルカリ加水分解し、8のRが水素のカルボン酸を得る。また4をアルコール(ROH)中、トリエチルアミンなどの3級アミンの存在下で、室温〜加熱還流下、加溶媒分解することにより、溶媒のアルコールに由来するRエステル8が生成する。
【0102】
9の合成
8を無水の非プロトン性溶媒に溶かし、不活性ガス雰囲気下、0℃〜加熱還流にて水素化ジイソブチルアルミニウムなどの還元剤で還元することにより、Aがヒドロキシメチル基、ホルミル基の9が得られる。Aがヒドロキシメチル基の9のヒドロキシル基をアルキル化、アルキルカルボニルオキシメチル化することにより、相当する誘導体が生成する。またトルエンなどの無極性溶媒に溶解したトリメチルアルミニウムと1級アミンあるいは2級アミンの混合溶液に、4を加え-20℃〜加熱還流でアミド化することにより、Aがモノアルキルカルバモイル基あるいはジアルキルカルバモイル基の9を得る。8を無水の非プロトン性溶媒に溶かし、不活性ガス雰囲気下、-78℃〜0℃でアルキル化剤と反応させるとAがアルキルカルボニル基の9が生成する。
【0103】
10の合成
8の4位水酸基を常法により反応させ、R9が水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、置換もしくは無置換アルキルカルバモイルオキシ基もしくはアルキルチオチオカルボニルオキシ基の10を得る。また10の4位水酸基をSwern酸化、またはDess-Martin試薬で酸化することにより、4-カルボニル体を得る。4-カルボニル体から、Wittig反応により、4位にメチレン基を導入する。またエタンジオール、1,3-プロパンジオールを用いて酸触媒下4-カルボニル体のアセタールを生成する。またエタンジチオール、1,3-プロパンジチオールを用いて同様にチオアセタールを生成する(R9、R10の導入)。
【0104】
11の合成
9の4位水酸基を常法により反応させ、R9が水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、置換もしくは無置換アルキルカルバモイルオキシ基もしくはアルキルジチオカルボニルオキシ基の11を得る。また9の4位水酸基をSwern酸化、またはDess-Martin試薬で酸化することにより、4-カルボニル体を得る。このとき、1位に水酸基が存在したなら、1位水酸基のみt−ブチルジメチルシリル基などの保護基で保護をしておく。4-カルボニル体から、Wittig反応により、4位にメチレン基を導入する。またエタンジオール、1,3-プロパンジオールを用いて酸触媒下4-カルボニル体のアセタールを生成する(R9、R10の導入)。または、8から9の合成と同様にして、10から11を得る。
【0105】
12の合成
9及びR10が一緒になったカルボニル基の11から、1の合成で示したMoOPHを用いる方法によりR11がヒドロキシル基の12を得る。R11のヒドロキシル基をアルコールの保護基で保護した後、R9及びR10が一緒になって形成しているカルボニル基を還元するとR9がヒドロキシル基となり、R9のヒドロキシル基を常法により種々の所定の誘導体に導くことができる。
【0106】
化合物III
【0107】
【化23】

【0108】
14の合成
上記13を塩化メチレンなどの非プロトン性溶媒に溶解し、トリエチルアミンなどの塩基存在下0℃〜室温にて数時間攪拌することにより二重結合の異性化生成物14が得られる。
【0109】
15の合成
14を水素化ホウ素ナトリウムなどの緩和な還元剤で還元しR15がヒドロキシル基の15を得る。R15のヒドロキシル基を常法により水素、ハロゲン、アシルオキシ基、アルコキシ基に変換する。また14から、Wittig反応により、4位にメチレン基を導入する。また14からエタンジオール、1,3-プロパンジオールを用いて酸触媒下4-カルボニル体のアセタールを生成する。また、エタンジチオール、1,3−プロパンジチオールを用いて同様にチオアセタールを生成する(R15、R16の導入)。
化合物IV
【0110】
【化24】

【0111】
16の合成法
5−6が二重結合の場合の9を非極性溶媒中、室温にて(ジエチルアミノ)サルファトリフルオリド(DAST)などのフッ素化試薬で10〜24時間攪拌することにより、二重結合が異性化した16が生成する。
【0112】
17の合成法
16の8位ヒドロキシル基は常法により水素、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基に変換される。またSwern酸化、またはDess-Martin試薬で酸化することによりR19及びR20が一緒になってカルボニル基を形成する。また16を酸触媒あるいは塩基触媒で脱水反応させることにより8-9二重結合が形成される。
【0113】
化合物V
【0114】
【化25】

【0115】
18の合成
13を含水有機溶媒中、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物存在下-10〜0℃にて2〜24時間攪拌することにより、酸化生成物18が生成する。
【0116】
19の合成法
18の11位ヒドロキシル基は常法により水素、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基に変換され、相当する19が生成する。また18の11位ヒドロキシル基をSwern酸化、またはDess-Martin試薬で酸化することにより、11-カルボニル体を得る(R21、R22の導入)。
【0117】
20の合成法
18の4位カルボニル基は緩和な還元剤による還元で、R23がヒドロキシル基の20を生成する。
【0118】
21の合成法
20の11位ヒドロキシル基は常法により水素、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基に変換され、相当する21が生成する。(R21、R22の導入)また20の11位ヒドロキシル基をSwern酸化、またはDess-Martin試薬で酸化することにより、11位がカルボニルの21を得る。
【0119】
または、19の4位カルボニル基を常法により水素、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基に変換して相当する21を得る。
化合物VI
【0120】
【化26】

【0121】
22の合成法
13を塩化メチレンなどの有機溶媒に溶かし、1N塩酸など酸性試薬を加え、0℃〜室温で、3〜10時間攪拌することにより二重結合のシス-トランス異性化が起こり、22が生成する。
【0122】
23の合成法
22の4位カルボニル基は緩和な還元剤による還元で、R23がヒドロキシル基の23を生成する。23の4位ヒドロキシル基は常法により水素、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基に変換され、相当する23が生成する(R23、R24の導入)。
【0123】
化合物VII
【0124】
【化27】

【0125】
24の合成
出発原料であるEPAアルキルエステルを無水の非プロトン性溶媒に溶解し、-78〜0℃にて不活性ガス(アルゴンあるいは窒素)雰囲気下、求核性のない塩基(リチウムジイソプロピルアミドなど)並びにアルキルハライドと反応させ、モノアルキル化体あるいはジアルキル化体を得る。アルキルハライドの代わりにアルケニルハライド、アルキニルハライド、アリールハライド、を用いることにより、相当するモノあるいはジ置換体が得られる。アルキルハライドの代わりにMoOPHを用いると水酸化反応が進行しヒドロキシル体が得られる。ヒドロキシル体から常法によりハロゲン体、アシルオキシ体、アルコキシ体が得られる(R33、R34の導入)。またこれら誘導体を加水分解することにより、Rが水素のカルボン酸24を得ることができる。
【0126】
25の合成
24をアセトニトリルなどの有機溶媒中でγ-コリジンなどの塩基の存在下、ヨウ素と室温〜加熱還流にて反応させることにより、ヨードラクトン化が進行し、ヨードラクトン25が得られる。
【0127】
26の合成
25をベンゼンなどの非プロトン性溶媒に溶かし、DBUなどの脱ハロゲン化水素剤と室温〜80℃で反応させることにより、脱ハロゲン化水素反応が進行し6位に二重結合が導入された26が得られる。一方、25をテトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒に溶かし、水素化トリ-n-ブチルスズなどの還元剤を加え0℃〜加熱還流することにより、6位のハロゲンが還元され、R27、R28が水素の化合物26が得られる。また25を含水溶媒中水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物を用いてアルカリ加水分解すると、6-7結合が単結合で6位に水酸基が導入された26が生成する。この水酸化体から常法により相当するハロゲン体、アルコキシ体、アシルオキシ基が生成する(R27、R28の導入)。
【0128】
27の合成
26を含水有機溶媒中、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物を用いて0〜80℃にてアルカリ加水分解し、カルボン酸27を得る。また26をアルコール(ROH)中、トリエチルアミンなどの3級アミン存在下、室温〜加熱還流下、加溶媒分解することにより、溶媒のアルコールに由来するRエステル27が生成する。
【0129】
28の合成
27の5位水酸基を常法により反応させ、R29が水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、置換もしくは無置換アルキルカルバモイルオキシ基もしくはアルキルジチオカルボニルオキシ基の28を得る。また27の5位水酸基をSwern酸化、またはDess-Martin試薬で酸化することにより、5-カルボニル体を得る。5-カルボニル体から、Wittig反応により、5位にメチレン基を導入する。またエタンジオール、1,3-プロパンジオールを用いて酸触媒下5-カルボニル体のアセタールを生成する。(R29、R30の導入)。
【0130】
29の合成
27を無水の非プロトン性溶媒に溶かし、不活性ガス雰囲気下、0℃〜加熱還流にて水素化ジイソブチルアルミニウムなどの還元剤で還元することにより、Aがヒドロキシメチル基、ホルミル基の29が得られる。Aがヒドロキシメチル基の29のヒドロキシ基をアルキル化、アルキルカルボニルオキシメチル化することにより、相当する誘導体が生成する。トルエンなどの無極性溶媒に溶解したトリメチルアルミニウムと1級アミンあるいは2級アミンの混合溶液に、27を加え-20℃〜加熱還流でアミド化することにより、Aがモノアルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基の29を得る。27を無水の非プロトン性溶媒に溶かし、不活性ガス雰囲気下、-78℃〜0℃でアルキル化剤と反応させるとAがアルキルカルボニル基の29が生成する。
【0131】
30の合成
29の5位水酸基を常法により反応させ、R29が水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、置換アルキルカルバモイルオキシ基もしくはアルキルジチオカルボニルオキシ基の30を得る。また29の5位水酸基をSwern酸化、またはDess-Martin試薬で酸化することにより、5-カルボニル体を得る。5-カルボニル体から、Wittig反応により、5位にメチレン基を導入する。またエタンジオール、1,3-プロパンジオールを用いて酸触媒下5-カルボニル体のアセタールを生成する。また、エタンジチオール、1,3−プロパンジチオールを用いて同様にチオアセタールを生成する(R29、R30の導入)。または、27から29を合成するのと同様の方法で28から30を得る。
【0132】
31の合成
29及びR30が一緒になってカルボニル基の30から、MoOPHを用いる1の合成法と同様の方法によりR31がヒドロキシル基の31を得る。R29及びR30が一緒になって形成しているカルボニル基を還元するとR29がヒドロキシル基となり、そのヒドロキシル基を常法により、種々の所定の誘導体に導くことができる(R31、R32の導入)。
化合物VIII
【0133】
【化28】

【0134】
32の合成
26の合成と重複する場合の32の合成法は26の合成法を参照。C(2)-C(3)二重結合は以下の方法により導入する。R33がヒドロキシル基の26を酸触媒にて脱水することにより32を得る。あるいは26のR33のヒドロキシル基をメシル化した後、DBUで処理することにより32を得る。またR33がハロゲンの26をDBUで処理しても32が得られる。
【0135】
33の合成
32を無水の非プロトン性溶媒に溶かし、不活性ガス雰囲気下、-78〜0℃にて水素化ジイソブチルアルミニウムなどの還元剤で還元することによりR37がヒドロキシル基の33が生成する。R37がヒドロキシル基の33から常法によりR37が水素、アルコキシ基あるいはアシルオキシ基の誘導体が得られる。
【0136】
本発明の一般式(I)〜(VIII)の高度不飽和脂肪酸誘導体のいずれもPPARγおよび/またはPPARαに作動する。したがって、PPARγおよび/またはPPARα作動に関連する疾病の治療をするための医薬を提供できる。具体的には、当該高度脂肪酸誘導体を循環器系医薬(動脈硬化症治療薬、高脂血症治療薬、高コレステロール治療薬)または2型糖尿病、炎症性消化器疾患のための治療薬の必須成分として使用した場合、賦形剤などの医薬品の通常の他の成分と配合しても、前記特性が有効に発現することが認められた。
【0137】
本発明に於ける各化合物は経口、または非経口で投与することができ、投与量は医薬品を基準として 0.0001〜100 mg / kg体重/日を1日1回または数回の範囲が好適であるが、投与量は疾患の種類、患者の年齢、体重、症状等により適宜増減することができる。
【0138】
本発明の化合物を医薬として用いるためには、本発明の化合物を当業界で公知の増量剤、結合剤、崩壊剤、pH調節剤、溶解剤などを添加し、公知の製剤技術によって、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、液剤、乳剤、懸濁剤、注射剤などに調製することができる。
【0139】
更に、前記化合物を大豆油、卵黄レシチンなどと混合してリポゲル化製剤として調製することができる。
【実施例】
【0140】
(実施例1)MT49Aの合成
5-[(3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-1-ヨード-3,6,9,12,15-オクタデカペンタエニル]ジヒドロ-2(3H)-フラノン (DA23)の合成
【0141】
【化29】

【0142】
DHA (425 mg、1.30 mmol)のCH3CN (42.5 ml) 溶液にγ-コリジン(685.6 μl、5.19 mmol)を加え、氷冷下I2 (660 mg, 2.60 mmol)を加えAr下、常温で1時間撹拌した。反応溶液をAcOEtで希釈し5%Na2S2O3水溶液を加え抽出、有機層を2N HCl、ブライン洗浄し、MgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲル(20g)カラムクロマトグラフィー(30%AcOEt-ヘキサン)で精製しDA23 (492 mg、83.3%)を得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3)δ: 0.97 (3 H, t, J =7.5 Hz, H-22), 2.08 (3 H, m, H-21,3a), 2.40 (1 H, m, H-3b), 2.56 (1 H, m, H-2b), 2.69 (1 H, m, H-2a), 2.85 (10 H, m, H-6, 9, 12, 15, 18), 4.13 (1 H, m, H-4), 4.25 (1 H, m, H-5), 5.38 (9 H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.55 (1 H, m, H-7); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.6, 20.8, 25.8, 25.9, 26.0, 26.1, 27.6, 28.8, 34.9, 38.0, 81.0, 127.0, 127.3, 127.6, 128.1, 128.2, 128.7, 128.9, 129.0, 131.8, 132.3, 176.4; EIMS m/z (相対強度) 454 (M+, 5), 175 (53), 79 (100), 67 (55)。
【0143】
MT49Aの合成
5-[(1E,3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-1,3,6,9,12,15-オクタデカヘキサエニル]ジヒドロ-2(3H)-フラノン (MT49A)
【0144】
【化30】

【0145】
上記で得たDA23 (280 mg、0.616 mmol)のベンゼン(2.8 ml) 溶液に氷冷下DBU (110.6 μl, 0.740 mmol)を加えAr下,常温で5時間撹拌した。反応溶液をAcOEtで希釈し、2N HCl水溶液で酸性にし抽出、有機層を水洗しMgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲル(15 g)カラムクロマトグラフィー(70%CH2Cl2-ヘキサン)で精製しMT49A (170 mg, 84.6%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 0.97 (3 H, t, J =7.5 Hz, H-22), 2.08 (3 H, m, H-21,3a),2.40 (1 H, m, H-3b), 2.58 (2 H, m, H-2), 2.85 (6 H, m, H-9, 12, 15, 18), 2.97 (2 H, t, J =6.6 Hz, H-9), 5.0 (1 H, dd, J =14.2, 7.3 Hz, H-4), 5.38 (9 H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.68 (1 H, dd, J=15.1, 6.9 Hz, H-5), 6.01 (1 H, t, J =11.0 Hz, H-7), 6.54 (1 H, dd, J =15.1, 11.0 Hz, H-6); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.6, 20.8, 25.9, 26.0 (2 炭素), 26.5, 28.9, 29.2, 53.3, 80.9, 127.3, 127.5 (2 炭素), 128.1, 128.4, 128.7, 128.9, 129.2, 130.3, 132.3, 132.8, 177.1; EIMS m/z (相対強度) 326 (M+, 8), 191 (26), 79 (100), 67 (55); UV(95%EtOH) λmax 238 nm。
【0146】
(実施例2)DA5の合成
5-[(3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-3,6,9,12,15-オクタデカペンタエニル]ジヒドロ-2(3H)-フラノン (DA5)
【0147】
【化31】

【0148】
実施例1で得たDA23 (436 mg, 0.96 mmol)のTHF (12 ml)溶液に、n-Bu3SnH (517 μl, 1.92 mmol))を加えAr下110℃(還流)で5時間撹拌した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲル(20 g)カラムクロマトグラフィー(2.5%AcOEt-ベンゼン)で精製しDA5 (207 mg, 66%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ:0.97 (3 H, t, J =7.5 Hz, H-22), 1.66 (1 H, m, H-3a), 1.87 (2 H, m, H-3b,2b), 2.08 (2 H, m, H-21), 2.22 (2 H, m, H-5), 2.33 (1 H, m, H-2a), 2.54 (2 H, m, H-6), 2.85 (8 H, m, H-9, 12, 15, 18), 4.50 (1 H, m, H-4), 5.38 (10 H, m, H-7, 8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20); EIMS m/z (相対強度) 328 (M+, 14), 228 (10), 175 (63), 79 (100), 67 (57)。
【0149】
(実施例3)TI91の合成
5-[(1E,3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-1,3,6,9,12,15-オクタデカヘキサエニル]テトラヒドロ-2-フラノール(TI91)
【0150】
【化32】

【0151】
窒素雰囲気下、-40 ℃で実施例1で得たMT49A (300 mg, 0.92 mmol) の無水THF (9.2 mL) 溶液にDIBALH (0.95 M)-n-ヘキサン溶液 (1.94 mL, 1.84 mmol) を加え3 時間攪拌した。反応溶液に飽和食塩水10 mLを加え、反応停止後、AcOEt (30 mL) を加えセライトろ過をした。ろ液をAcOEt (10 mL) で抽出、乾燥 (MgSO4)、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲル (15 g)カラムクロマトグラフィー (4%-10% AcOEt/ベンゼン)で精製し、5-[(3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-1,3,6,9,12,15-オクタデカヘキサエニル]テトラヒドロ -2-フラノール(TI91) (146 mg, 48%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.98 (3 H, t, J =7.5 Hz, H-22), 1.57-2.28 (6 H, m, H-2, 3, 21), 2.78-2.89 (6 H, m, H-12, 15, 18), 2.96 (2 H, t, J =6.6 Hz, H-9), 3.05 (1 H, brs, OH), 4.50 および4.73 (total1 H, 各 q, J =7.9 Hz, H-4), 5.28-5.43 (9 H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.51 および5.61 (total1 H, 各brs, H-1), 5.62および5.77 (total1 H, dd, J =15.2, 7.8 Hz, H-5), 5.98 (1H, m, H-7), 6.53 (1H, m, J =10.9 Hz, H-6)。
【0152】
(実施例4)TI57の合成
(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン-1,4-ジオール (TI57)
【0153】
【化33】

【0154】
窒素雰囲気下、実施例1で得たMT49A (300 mg, 0.92 mmol) の無水THF (9.2 mL) 溶液にDIBALH (0.95 M)-n-ヘキサン溶液 (2.90 mL, 2.76 mmol) を0 ℃で加え3時間攪拌した。反応溶液に飽和食塩水10 mLを加え、反応停止後、AcOEt (30 mL) を加えセライトろ過をした。ろ液をAcOEt (10 mL) で抽出、乾燥 (MgSO4)、溶媒留去した。得られた残渣をシリ カゲル (15 g) カラムクロマトグラフィー (10% AcOEt/benzene)で精製し、 (7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン-1,4-ジオール (TI57) (132 mg, 43%) を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.98 (3H, t, J =7.5 Hz, H-22), 1.54-1.73 (4H, m, H-2, 3), 2.07 (2H, m, H-21), 2.79-2.90 (6H, m, H-12, 15, 18), 2.99 (2H, t, J =7.3 Hz, H-9), 3.63-3.73 (2H, m, H-1), 4.24 (1H, m, H-4), 5.28-5.41 (9H, m, H-6, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.72 (1H, dd, J =15.2, 6.7 Hz, H-5), 6.00 (1H, t, J =11.0, H-8), 6.52 (1H, dd, J =15.2, 11.0 Hz, H-7) ; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.5, 20.8, 25.8, 25.9, 25.9, 26.3, 29.0, 34.5, 63.1, 72.8, 125.7, 127.2, 127.8, 128.1, 128.2, 128.2, 128.6, 128.8, 130.6 (2 炭素), 132.3, 136.4。
【0155】
(実施例5)MT80の合成
5-[(3Z,6Z,9Z,12Z,15Z)-1-ヒドロキシ-3,6,9,12,15-オクタデカペンタエニル]ジヒドロ-2(3H)-フラノン (MT80)
【0156】
【化34】

【0157】
実施例1で得たDA23 (86 mg, 0.26 mmol)を 0.2 N LiOH (THF:H2O=3:2, 5 mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、室温で3時間攪拌した。3%塩酸水溶液で中和し、AcOEtで抽出した。有機層を水洗し、乾燥 (MgSO4)後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲル (5 g) カラムクロマトグラフィーで精製し50% AcOEt/ヘキサン溶出部よりジオール体 (64 mg, 72%) を得た。
1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.97 (3H, t, J =7.5 Hz, H-22), 1.83 (2H, m, H-3), 2.08 (2H, m, H-21), 2.33 (2H, t, J =6.5 Hz, H-2), 2.53 (2H, td, J =2.0 Hz, 7.1 Hz, H-6), 2.85 (8H, m, H-9, 12, 15, 18), 3.50 (2H, m, H-4, 5), 5.38 (10H, m, H-7, 8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.5, 20.8, 25.8, 25.9, 26.0, 28.6, 30.0, 30.7, 31.7, 73.4, 74.2, 125.4, 127.3, 127.8, 128.1, 128.2, 128.6, 128.7, 128.8, 131.4, 132.3, 178.9。
【0158】
ジオール体をCDCl3に溶かし、アルゴン雰囲気下、室温にて24時間放置することにより、全てのジオール体がMT80に変換された。溶媒を留去し、残渣をシリカゲル (5 g) カラムクロマトグラフィーで精製し25% AcOEt/ヘキサン溶出部よりMT80 (54 mg) を得た。
1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.97 (3H, t, J =7.5 Hz, H-22), 2.08 (2H, m, H-21), 2.21 (2H, m, H-3), 2.40 (2H, m, H-2), 2.53 および 2.60 (各 1H, m, H-6), 2.85 (8H, m, H-9, 12, 15, 18), 3.63 (1H, m, H-5), 4.47 (1H, t, J =7.2 Hz, H-4), 5.38 (10H, m, H-7, 8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.5, 20.8, 24.3, 25.7 (2C), 25.9, 26.0, 28.8, 31.6, 73.4, 82.2, 124.6, 127.3, 127.8, 128.1, 128.2 (2C), 128.6, 128.8, 131.9, 132.3, 177.6.
EIMS m/z (相対強度) 344 (M+, 10), 229 (11), 175 (73), 79 (100), 67 (55)。
【0159】
(実施例6)DA82の合成
メチル(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-ヒドロキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(MT49B)の合成
【0160】
【化35】

【0161】
実施例1で得たMT49A (170 mg, 0.521 mmol)のMeOH (10.43 ml)溶液に、Et3N (4.3 μl)を加えAr下常温で6時間撹拌した。反応溶液に水を加えAcOEtで抽出、有機層を水洗後、MgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲル(10g)カラムクロマトグラフィー(3%AcOEt-CHCl3)で精製しMT49B (113 mg, 60.6%)、原料MT49A (65 mg, 38.2%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.97 (3 H, t, J =7.5 Hz, H-22), 1.88 (2 H, m, H-3), 2.08 (2 H, m, H-21), 2.45 (2 H, t, J =7.3 Hz, H-2)2.85(6 H, m, H-12,15, 18), 2.97 (2 H, t, J =6.6 Hz, H-9), 3.68 (3 H, s, H-Me), 4.25 (1 H, dd, J =12.6, 6.6 Hz, H-4), 5.3 8(9 H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.68 (1 H, dd, J =15.1, 6.5 Hz, H-5), 6.01 (1 H, t, J =11.0 Hz, H-7), 6.54 (1 H, dd, J =15.1, 11.0 Hz, H-6); EIMS m/z (相対強度) 358 (M+, 5), 192 (24), 79 (100), 67 (53); UV(95%EtOH) λmax 238 nm。
メチル(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-フルオロ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(DA82)
【0162】
【化36】

【0163】
−78℃氷冷下、DAST (54.8μl, 0.418 mmol)のCH2Cl2 (0.5 ml)溶液に、上記で得たMT49B (100 mg, 0.279 mmol)のCH2Cl2 (0.5 ml) 溶液をゆっくり加えAr下,−78℃で10分攪拌後,0℃で30分攪拌した。反応溶液に飽和NaCl溶液を加えAcOEtで抽出、有機層を、2N HCl、飽和NaHCO3、ブライン洗浄し、MgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲル(10g)カラムクロマトグラフィー(3%AnOEt-ヘキサン)で精製し、DA82 (42 mg, 41.8%)を得た。分離精製の際、残渣をシリカゲルに長時間付着させておくことによりDA75(52 mg, 52%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: 0.97 (3 H, t, J =7.5 Hz, H-22), 2.07 (4 H, m, H-3, 21), 2.44 (2 H, m, H-2), 2.85 (6 H, m, H-12, 15, 18), 2.97 (2 H, t, J=6.6 Hz, H-9), 3.68 (3 H, s, H-Me), 4.95, 5.07 (1 H, ddt, 48.6, 6.2, 6.2 Hz, H-4), 5.38 (9 H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.69 (1 H, m, H-5), 6.00 (1 H, t, J =10.8 Hz, H-7), 6.60 (1 H, m, 11.0 Hz, H-6); 19F-NMR (400 MHz, CDCl3)δ: -175.54 (1 F, ddt, 48, 21, 16 Hz, F-4)
UV (95%EtOH) λmax 236 nm。
【0164】
(実施例7)DA75の合成
メチル(4E,6E,10Z,13Z,16Z,19Z)-8-ヒドロキシ-4,6,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(DA75)
【0165】
【化37】

【0166】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.97 (3 H, t, J =7.5 Hz, H-22), 2.07 (2 H, m, H-21), 2.33, 2.41 (6 H, m, H-2, 3, 9), 2.84 (6 H, m, H-12, 15, 18), 3.67 (3 H, s, H-Me), 4.18 (1 H, m, H-8), 5.36 (7 H, m, H-10, 13, 14, 16, 17, 19), 5.53 (1 H, m, H-11), 5.66 (2 H, m, H-4, 7), 6.06 (1 H, dd, J =15.0, 10.5 Hz, H-5), 6.20 (1 H, dd, J =15.0, 10.5 Hz, H-6); 13C-NMR(100 MHz, CDCl3)δ: 14.4, 20.7, 25.7, 25.8, 26.0, 28.0, 33.8, 35.5, 51.8, 53.1, 72.1, 125.1, 127.1, 128.0, 128.6, 128.8, 130.6, 130.7, 131.4, 132.2, 132.8, 134.0, 173.5
UV (95%EtOH) λmax 232 nm。
【0167】
(実施例8)TI100の合成
メチル (5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-メトキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(TI100)
【0168】
【化38】

【0169】
窒素雰囲気下、実施例6で得たMT49B (100 mg, 0.279 mmol)のCH3CN (280 μL) 溶液にAg2O (129 mg, 0.558 mmol) 存在下、MeI (200 mg, 0.581 mmol) を室温で加え18時間攪拌した後、AcOEt (3 mL) を加え水(1 mL) で洗浄し、乾燥 (MgSO4)、 溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲル(10 g)カラムクロマトグラフィー (4% AcOEt/ヘキサン)で精製し、メチル(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-メトキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノ エート(TI100)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.98 (3H, t, J =7.5 Hz, H-22), 1.79-1.93 (2H, m, H-3), 2.08 (2H, quint, J =7.4 Hz, H-21), 2.39 (2H, t, J =7.5 Hz, H-2), 2.79-2.90 (6H, m, H-12, 15, 18), 2.97 (2H, t, J =6.5 Hz, H-9), 3.26 (3H, s, MeO), 3.64 (1H, q, J =6.7 Hz, H-4), 3.67 (3H, s, CO2Me), 5.28-5.46 (9H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.50 (1H, dd, J =15.2, 7.8 Hz, H-5), 6.01 (1H, t, J =10.9 Hz, H-7), 6.49 (1H, dd, J =15.2, 10.9 Hz, H-6); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.5, 20.8, 25.8, 25.9, 26.3, 30.2, 30.8, 51.8, 56.5, 81.3, 127.2, 127.8, 128.0 (2 炭素), 128.2, 128.6, 128.8 (2 炭素), 128.9, 130.7, 132.3, 133.6, 174.2。
【0170】
(実施例9)TI101の合成
(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-メトキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(TI101)
【0171】
【化39】

【0172】
窒素雰囲気下、実施例8で得たTI100 (31.2 mg, 84 μmol) の5% KOH (H2O : MeOH-1 : 19) (0.91 mL) 溶液を0 ℃ で加え3 時間攪拌した。反応溶液を2N HCl水溶液で中和しAcOEt (2 x 1 mL)で抽出、乾燥 (MgSO4) し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲル (5 g) カラムクロマトグラフィー (20-60% AcOEt/ヘキサン)で精製し (7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-メトキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(TI101) (26.2 mg, 87%) を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.97 (3H, t, J =7.5 Hz, H-22), 1.79-1.93 (2H, m, H-3), 2.08 (2H, quint, J =7.4 Hz, H-21), 2.45 (2H, t, J =7.5 Hz, H-2), 2.80-2.88 (6H, m, H-12, 15, 18), 2.97 (2H, t, J =6.6 Hz, H-9), 3.27 (3H, s, MeO), 3.64 (1H, q, J =6.7 Hz, H-4), 5.28-5.46 (9H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.50 (1H, dd, J =15.2, 7.8 Hz, H-5), 6.01 (1H, t, J =10.9 Hz, H-7), 6.50 (1H, dd, J =15.2, 10.9 Hz, H-6); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.5, 20.8, 25.8, 25.9, 26.3, 30.3, 30.5, 56.5, 81.3, 127.2, 127.7, 128.0, 128.0, 128.1, 128.1, 128.2, 128.6, 128.8, 128.9, 130.9, 132.3, 133.2, 179.5。
【0173】
(実施例10)TI11の合成
メチル(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-オキソ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサノエート(TI11)
【0174】
【化40】

【0175】
窒素雰囲気下、-78 ℃ で塩化オキサリル (97 μL, 1.12 mmol) の無水 CH2Cl2 (10 mL) 溶液に、DMSO (158 μL, 2.24 mmol) の無水CH2Cl2溶液(1 mL)を滴下し、同温度で10分間攪拌した。ついで反応溶液に -78 ℃ で実施例6で得た MT49B (200 mg, 0.559 mmol) の CH2Cl2 (4 mL) 溶液を加えた後、同温度で Et3N (640 μL, 4.47 mmol) を加え 0 ℃ まで昇温しながら 1時間攪拌した。反応溶液に氷水 (2 mL) を加え、ヘキサン(30 mL) で希釈し、水洗 (3 x 6 mL)、乾燥 (MgSO4)し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲル (6 g) カラムクロマトグラフィー (10% AcOEt/ヘキサン)で精製し、TI11 (146 mg, 73%) を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.97 (3H, t, J =7.5 Hz, H-22), 2.07 (2H, m, H-21), 2.66 (2H, t, J =6.7 Hz, H-2), 2.77-2.88 (6H, m, H-12, 15, 18), 2.92 (2H, t, J =6.7 Hz, H-3), 3.01 (2H, t, J =7.3 Hz, H-9), 3.69 (3H, s, CO2Me), 5.28-5.49 (8H, m, H-10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.87 (1H, m, H-6), 6.15 (1H, d, J =11.4 Hz, H-8), 6.20 (1H, d, J =15.5 Hz, H-5), 7.56 (1H, dd, J =15.5, 11.4 Hz, H-7); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.3, 20.6, 25.6, 25.7, 25.8, 26.7, 28.0, 35.5, 51.9, 126.4, 127.0, 127.1, 127.7, 128.6, 128.7, 129.5, 129.7, 132.1, 137.1, 140.1, 173.4 (C-1), 198.3 (C-4); UV(95%EtOH) λmax 280 nm。
【0176】
(実施例11)TI72の合成
(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-ヒドロキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(MT53)の合成
【0177】
【化41】

【0178】
実施例1で得たMT49A (93 mg, 0.285 mmol)に5%KOH(H2O/MeOH=5/95, 2.85 ml)を加え、Ar下、50℃に加熱し1時間撹拌した。反応溶液に氷を加え、2N HCl水溶液で中和しAcOEtで抽出、有機層を水洗後、MgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲル(10 g)カラムクロマトグラフィー(40%AcOEt-ヘキサン)で精製しMT53 (91 mg, 92.8%)を得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3) δ:0.97 (3 H, t, J =7.5 Hz, H-22), 1.88 (2 H, m, H-3), 2.08 (2 H, m, H-21), 2.48 (2 H, t, J =7.3 Hz, H-2), 2.85 (6 H, m, H-12, 15, 18), 2.97 (2 H, t, J =6.6 Hz, H-9), 4.25 (1 H, dd, J =12.6, 6.6 Hz, H-4), 5.38 (9 H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.68 (1 H, dd, J =15.1, 6.5 Hz, H-5), 6.01(1 H, t, J =11.0 Hz, H-7), 6.54 (1 H, dd, J =15.1, 11.0 Hz, H-6); FABMS m/z (相対強度) 345 (M+ + H, 1), 327 (9), 281 (5), 79 (100), 67 (88); UV(95%EtOH) λmax 238 nm。
(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-オキソ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(TI72)の合成
【0179】
【化42】

【0180】
窒素雰囲気下、室温でDess-Martin Periodinane(Aldrich社) (370 mg, 0.872 mmol)のCH2Cl2 (5.8 mL) 溶液にEt3N (484 μl, 3.49 mmol) 存在下、上記で得たMT53 (200 mg, 0.581 mmol) を加え30 min 攪拌した後、水 (2 mL) を加えCH2Cl2 (5 mL) で抽出し、乾燥 (MgSO4)、 溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲル (20 g) カラムクロマトグラフィー (10% AcOEt/hexane)で精製し、第一画分よりMT49A (51 mg, 27%)を、第二画分より(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-オキソ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(TI72) (51 mg, 26%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.97 (3H, t, J =7.5 Hz, H-22), 1.79-1.93 (2H, m, H-3), 2.08 (2H, quint, J =7.4 Hz, H-21), 2.45 (2H, t, J =7.4 Hz, H-2), 2.80-2.88 (6H, m, H-12, 15, 18), 2.97 (2H, t, J =6.6 Hz, H-9), 3.27 (3H, s, MeO), 3.64 (1H, q, J =6.7 Hz, H-4), 5.28-5.46 (9H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.50 (1H, dd, J =15.2, 7.8 Hz, H-5), 6.01 (1H, t, J =10.9 Hz, H-7), 6.50 (1H, dd, J =15.2, 10.9 Hz, H-6); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.5, 20.8, 25.7, 25.8, 25.9, 26.3, 30.3, 30.5, 56.5, 81.3, 127.2, 127.9, 128.0, 128.1, 128.2, 128.8, 128.9, 130.9, 132.3, 133.2, 179.5。
【0181】
(実施例12)TI63の合成
メチル(5E,7E,9E,13Z,16Z,19Z)-11-ヒドロキシ-4-オキソ-5,7,9,13,16,19-ドコサヘキサノエート(TI63)
【0182】
【化43】

【0183】
実施例10で得たTI11 (50 mg, 141 μmol) の 5% H2O/MeOH (1.0 mL) 溶液にKOH (7.9 mg, 141 μmol) を0 ℃ で加え18 時間攪拌した。反応溶液に飽和食塩水 (14 mL) を加えた後、AcOEt (2 x 1 mL)で抽出、乾燥 (MgSO4) し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲル (5 g) カラムクロマトグラフィー (33% AcOEt/ヘキサン)で精製し、メチル(5E,7E,9E,13Z,16Z,19Z)-11-ヒドロキシ-4-オキソ-5,7,9,13,16,19- ドコサヘキサノエート(TI63) (9.0 mg, 17%) を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.98 (3H, t, J =7.5 Hz, H-22), 2.08 (2H, quint, J =7.4, H-21), 2.39 (2H, t, J =6.8 Hz, H-12), 2.65 (2H, t, J =6.8, H-2), 2.78-2.89 (4H, m, H-15, 18), 2.91 (2H, t, J =6.8 Hz, H-3), 3.69 (3H, s, CO2Me), 4.29 (1H, dd, J =12.1, 6.4 Hz, H-4), 5.28-5.45 (5H, m, H-14, 16, 17, 19, 20), 5.62 (1H, m, H-13), 5.97 (1H, dd, J =15.2, 5.8 Hz, H-10), 6.21 (1H, d, J =15.5 Hz, H-5), 6.35 (1H, dd, J =14.9, 11.2 Hz, H-7), 6.39 (1H, dd, J =15.3, 10.8 Hz, H-6) 6.61 (1H, dd, J =14.9, 10.8 Hz, H-8), 7.23 (1H, dd, J =15.5, 11.2 Hz, H-6); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.5, 20.8, 25.8, 26.0, 28.2, 35.3, 35.5, 52.0, 71.7, 124.6, 127.1, 127.7, 129.1, 129.2, 129.6, 130.8, 132.2, 132.4, 140.6, 141.1, 142.8, 173.6, 198.2。
【0184】
(実施例13)TI13の合成
メチル(6E,8E,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-オキソ-6,8,10,13,16,19-ドコサヘキサノエート(TI13)
【0185】
【化44】

【0186】
空気雰囲気下、実施例10で得たTI11 (100 mg, 0.279 mmol) の CH2Cl2 (10 mL) 溶液にEt3N (272 μl, 1.95 mmol) を0 ℃ で加えた後、同温度で5時間攪拌した。ヘキサン(30 mL) で希釈し、水洗 (3 x 6 mL)、乾燥 (MgSO4)、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲル (6 g) カラムクロマトグラフィー (8.5% AcOEt-ヘキサン)で精製し、TI13 (65 mg, 65%) を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.98 (3H, t, J =7.5 Hz, H-22), 2.08 (2H, m, H-21), 2.59 (2H, t, J =6.6 Hz, H-2), 2.77 (2H, t, J =6.6 Hz, H-3), 2.80-2.88 (4H, m, H-15, 18), 2.99 (2H, t, J =6.7 Hz, H-12), 3.27 (2H, d, J =13.3 Hz, H-5), 3.67 (3H, s, CO2Me), 5.30-5.46 (8H, m, H-10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.77 (1H, m, H-6), 6.03 (1H, t, J =11.0 Hz, H-9), 6.20 (1H, q, J =13.8 Hz, H-7), 6.48 (1H, t, J =13.8, H-8); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.4, 20.7, 25.7, 25.8, 26.3, 27.8, 36.8, 46.9, 51.9, 125.4, 127.1, 127.7, 127.8, 127.9, 128.8 (3 炭素), 130.6, 132.2, 132.4, 134.6, 173.3, 206.7。
【0187】
(実施例14)TI12の合成
メチル (5E,7E,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-オキソ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキノエート (TI12)
【0188】
【化45】

【0189】
空気雰囲気下、実施例10で得たTI11 (100 mg, 0.279 mmol) の CH2Cl2 (10 mL) 溶液に1N HCl (10 mL)を0 ℃ で加えた後、同温度で3時間攪拌した。ヘキサン (30 mL) で希釈し、水洗 (3 x 6 mL)、乾燥 (MgSO4)し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲル (6 g) カラムクロマトグラフィー (8% AcOEt-ヘキサン)で精製し、TI12 (51 mg, 51%) を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.97 (3H, t, J =7.5 Hz, H-22), 2.07 (2H, m, H-21), 2.64 (2H, t, J =6.7 Hz, H-2), 2.77-2.88 (6H, m, H-12, 15, 18), 2.90 (2H, t, J =6.7 Hz, H-3), 2.97 (2H, t, J =6.7 Hz, H-9), 3.68 (3H, s, CO2Me), 5.28-5.55 (8H, m, H-10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 6.11 (1H, d, J =15.5 Hz, H-5), 6.12-6.20 (2H, m, H-7, 8), 7.19 (1H, dd, J =15.5, 9.9 Hz, H-6)。
【0190】
(実施例15)TI84、TI85、TI86の合成
【0191】
【化46】

【0192】
窒素雰囲気下、実施例1で得たMT49A (200 mg, 0.613 mmol) の 5% H2O/EtOH (1.84 mL) 溶液にNaOH (74 mg, 1.84 mmol) を室温で加え20分間攪拌し、溶媒を留去した。得られた残渣のDMF (5 mL) 溶液に窒素雰囲気下0 ℃で ピバル酸オキシメチルクロリド (450 μL, 3.13 mmol)を加え、同温度で30分間攪拌しさらに室温で2 時間攪拌した。反応溶液にAcOEt (70 mL) を加え水洗 (4 x 10 mL)、乾燥 (MgSO4)し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲル (10 g) カラムクロマトグラフィー (4-33% AcOEt/ベンゼン)で精製し、第一画分より[(2,2-ジメチルプロパノイル)オキシ]メチル (7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[(2,2-ジメチルプロパノイル)オキシ]メトキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキ サノエート(TI84) (75.5 mg, 21%) を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.97 (3H, t, J =7.5 Hz, H-22), 1.20 (9H, s, H-4-Piv), 1.21 (9H, s, H-1-Piv), 1.88 (2H, m, H-3), 2.08 (2H, quint, J =7.4 Hz, H-21), 2.44 (2H, m, H-2), 2.77-2.89 (6H, m, H-12, 15, 18), 2.97 (2H, t, J =6.9 Hz, H-9), 4.12 (1H, dd, J =13.2, 7.5 Hz, H-4), 5.19 (1H, 1/2ABq, J =6.4, 4-OCH2O), 5.32 (1H, d, J =6.4, 4-OCH2O), 5.27-5.48 (9H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.52 (1H, dd, J =15.2, 7.8 Hz, H-5), 5.74 (1H, q, J =5.5, 1-OCH2O), 5.99 (1H, t, J =10.9 Hz, H-7), 6.52 (1H, dd, J =15.2, 10.9 Hz, H-6); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.4, 20.7, 25.7, 25.8, 25.8, 27.0 (3 炭素), 27.2 (3 炭素), 30.0, 30.5, 38.9, 39.0, 79.1, 79.7, 87.1 (H-4), 127.2, 127.6, 127.8, 128.0, 128.1, 128.4, 128.6, 128.8, 128.9, 131.5, 132.1, 132.2, 172.0, 177.3, 178.0。
【0193】
第二画分より[(2,2-ジメチルプロパノイル)オキシ]メチル (7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-ヒドロキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサノエート (TI85) (35.2 mg, 13%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.97 (3H, t, J =7.3 Hz, H-22), 1.21 (9H, s, H-1-Piv), 1.88 (3H, m, H-3, OH), 2.08 (2H, quint, J =7.4 Hz, H-21), 2.49 (2H, t, J =7.4, H-2), 2.78-2.88 (6H, m, H-12, 15, 18), 2.97 (2H, t, J =6.9 Hz, H-9), 4.24 (1H, dd, J =12.6, 6.3 Hz, H-4), 5.28-5.48 (9H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.67 (1H, dd, J =15.6, 9.0 Hz, H-5), 5.75 (1H, s, 1-OCH2O), 5.99 (1H, t, J =11.0 Hz, H-7), 6.53 (1H, dd, J =15.2, 11.0 Hz, H-6); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.5, 20.7, 25.7, 25.8, 25.8, 26.3, 27.0 (3 炭素), 30.2, 31.9, 71.7 (H-4), 79.7, 126.1, 127.2, 127.7, 127.9, 128.0, 128.1, 128.6, 128.8, 128.9, 131.0, 132.3, 135.4, 172.6, 177.4。
【0194】
第三画分よりより(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[(2,2-ジメチルプロパノイル)オキシ]メトキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサ-ヘキサン酸(TI86) (14.4 mg, 5%) を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.97 (3H, t, J =7.5 Hz, H-22), 1.21 (9H, s, H-4-Piv), 1.88 (2H, m, H-3), 2.08 (2H, quint, J =7.4 Hz, H-21), 2.43 (2H, td, J =9.5, 2.6, H-2), 2.78-2.88 (6H, m, H-12, 15, 18), 2.97 (2H, t, J =6.6 Hz, H-9), 4.14 (1H, dd, J =13.2, 7.5 Hz, H-4), 5.20 (1H, d, J =6.3, 4-OCH2O), 5.34 (1H, 1/2d, J =6.3, 4-OCH2O), 5.27-5.48 (9H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.53 (1H, dd, J =15.2, 7.8 Hz, H-5), 5.99 (1H, t, J =11.0 Hz, H-7), 6.52 (1H, dd, J =15.2, 11.0 Hz, H-6); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.5, 20.8, 25.7, 25.8, 25.9, 26.3, 27.2 (3 炭素), 29.9, 30.6, 39.1, 79.1, 87.2 (H-4), 127.2, 127.6, 127.8, 128.0, 128.1, 128.4, 128.6, 128.8, 129.0, 131.6, 132.3, 132.3, 178.2, 178.8。
【0195】
(実施例16)DA13の合成
(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-(アセチルオキシ)-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(DA13)
【0196】
【化47】

【0197】
実施例11で得たMT53 (10 mg, 0.029 mmol) のピリジン (200 μL) 溶液に氷冷下Ac2O (50 μL) を加えAr下、0℃で1時間撹拌した。反応溶液をAcOEtで希釈し、2N HCl水溶液で酸性にし抽出、有機層を水洗しMgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲル (7.8 g) カラムクロマトグラフィー(20% AcOEt-ヘキサン) で精製しDA13 (2 mg, 20%) を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.97(3H, t, J =7.5Hz, H-22), 2.00(2H, m, H-3), 2.05(5H, m, H-21, OAc), 2.40(2H, t, J =7.5Hz, H-2), 2.85(6H, m, H-12, 15, 18), 2.97(2H, t, J =6.6Hz, H-9), 5.38(10H, m, H-4, 8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.59(1H, dd, J =15.1, 7.2Hz, H-5), 5.96(1H, t, J =10.9Hz, H-7), 6.55(1H, dd, J =15.1, 11.0Hz, H-6)。
【0198】
(実施例17)DA20の合成
メチル(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-(アセチルオキシ)-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサノエート(DA20)
【0199】
【化48】

【0200】
実施例6で得たMT49B (10 mg, 0.028 mmol) のピリジン (200 μL) 溶液に氷冷下Ac2O(50 μL) を0℃で加えAr下、6時間撹拌した。反応溶液を冷AcOEtで希釈し、2N HCl水溶液で酸性にして抽出し、有機層を水洗しMgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲル(8g)カラムクロマトグラフィー(10%AcOEt-ヘキサン) で精製しDA20 (9 mg, 90%) を得た。
1H-NMR ( 400 MHz, CDCl3) δ: 0.97(3H, t, J =7.5Hz, H-22), 1.98(2H, m, H-3), 2.05(2H, m, H-21, OAc), 2.36(2H, t, J =7.3Hz, H-2), 2.85(6H, m, H-12, 15, 18), 2.97(2H, t, J =6.6Hz, H-9), 3.67(3H, s, H-Me), 5.38(9H, m, H-4, 8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.55(1H, dd, J =15.1, 6.5Hz, H-5), 5.96(1H, t, J =11.0Hz, H-7), 6.55(1H, dd, J =15.1, 11.0Hz, H-6); EIMS m/z (相対強度) 400 (M+, 1), 369 (M+ -MeOH, 4), 340 (M+ -OAc, 66), 192 (73), 91 (100), 79 (90); UV (95%EtOH) λmax 238 nm。
【0201】
(実施例18)DA93の合成
メチル(7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-ヒドロキシ-7,10,13,16,19-ドコサペンタノエート(DA93)
【0202】
【化49】

【0203】
実施例2で得たDA5 ( 842 mg, 2.567 mmol) のMeOH ( 12.83 mL) 溶液に、Et3N ( 3.56 mL, 25.67 mmol) を加え、Ar下、常温で18時間撹拌した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲル(30g) カラムクロマトグラフィー (1% AcOEt-CHCl3) で精製しDA93 (157 mg, 17%) を得た。
1H-NMR ( 400 MHz, CDCl3) δ: 0.97(3H, t, J =7.5Hz, H-22), 1.53(2H, m, H-5), 1.73, 1.82(2H, m, H-3), 2.07(2H, m, H-21), 2.19(2H, m, H-6), 2.46(2H, t, 7.4Hz, H-2), 2.85(8H, m, H-9, 12, 15, 18), 3.64(1H, m, H-4), 3.68(3H, s, H-Me), 5.38(10H, m, 7, 8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20)。
【0204】
(実施例19)DA24の合成
(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-N-(2-ヒドロキシエチル)-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエンアミド(DA24)
【0205】
【化50】

【0206】
0℃氷冷下、DHA (50 mg, 0.152 mmol) のCH2Cl3溶液に、DMF ( 11.8 μL, 0.152 mmol)、塩化オキサリルを加え、Ar下、0℃で20分間撹拌後NH2(CH2)2OH ( 8 μL, 0.132 mmol) を加え、常温で20分間撹拌した。反応溶液をCH2Cl2 (3 mL) で希釈し、有機層をブライン洗浄後、MgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー ( 100%AcOEt) で精製しDA24 ( 27 mg, 47.8%) を得た。
1H-NMR ( 400 MHz, CDCl3) δ: 0.97(3H, t, J =7.5Hz, H-22), 2.08(2H, m, H-21), 2.27(2H, t, J =7.4, H-2), 2.43(2H, m, H-3), 2.62(1H, s, H-OH), 2.85(10H, m, H-6, 9, 12, 15, 18), 3.42(2H, dd, J =5.5, 10.1Hz, H-N(1)), 3.71(2H, dd, J =4.7, 9.5Hz, H-N(2)), 5.38(12H, m, H-4, 5, 7, 8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.94(1H, s, H-NH);EIMS m/z (相対強度) 371 (M+, 10), 353 (17), 284 (13), 85 (100)。
【0207】
(実施例20)DA34の合成
(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-ヒドロキシ-N-(2-ヒドロキシエチル)-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエンアミド (DA34)
【0208】
【化51】

【0209】
-20℃に冷却下、Me3Al/トルエン ( 13.6 μL、0.276 mmol)、トルエン( 100 μL) の混合溶液に、NH2(CH2)2OH ( 11.2 μL、0.184 mmol) をゆっくり滴下し、Ar下、-20℃で20分間撹拌後、常温で25分間撹拌した。ここに、実施例1で得たMT49A ( 30 mg、0.092 mmol) のトルエン( 100 μL) 溶液をゆっくり滴下し、Ar下、70℃で2.5時間撹拌後、常温で15時間撹拌した。反応溶液をAcOEtで希釈し、2N HCl水溶液で酸性にして抽出し、有機層をブライン洗浄後、MgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100%AcOEt、50%EtOH-AcOEt) で精製しDA34 ( 15 mg、42%) を得た。
1H-NMR ( 400 MHz, CDCl3) δ: 0.97(3H, t, J =7.5Hz, H-22), 1.85(1H, m, H-3a), 1.95(1H, m, H-3b), 2.07(2H, m, H-21), 2.37(2H, m, H-2), 2.67(1H, s, H-OH(N(2))), 2.85(6H, m, H-12, 15, 18), 2.97(3H, m, H-9, OH(C4)), 3.42(2H, m, H-N(1)), 3.73(2H, m, H-N(2)), 4.27(1H, m, H-4), 5.38(9H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.68(1H, dd, J =6.2, 15.2Hz, H-5), 6.00(1H, t, J =11.0Hz, H-7), 6.16(1H, s, H-NH), 6.56(1H, dd, J =11.2, 15.2Hz, H-6); EIMS m/z (相対強度) 387 (M+, 9), 370 (10), 326 (13), 300 (9), 228 (19), 198 (95) 137 (99), 62 (100)。
【0210】
(実施例21)DA36の合成
(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-1-オキソ-1-(1-ピペリジニル)-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン-4-オール (DA36)
【0211】
【化52】

【0212】
-20℃に冷却下、Me3Al/ トルエン ( 13.6 μL, 0.276 mmol)、トルエン(100 μL) の混合溶液に、ピペリジン( 18.2 μL, 0.184 mmol) をゆっくり滴下し、Ar下、-20℃で20分間撹拌後、常温で25分間撹拌した。ここに、実施例1で得たMT49A (30 mg、0.092 mmol) のトルエン(100 μL) 溶液をゆっくり滴下し、Ar下, 常温で15時間撹拌後, 70℃で1時間撹拌し, 更にMe3Al/トルエン ( 13.6 μL、0.276 mmol)、ピペリジン( 18.2 μL, 0.184 mmol) を加え, Ar下, 常温で68時間撹拌した。反応溶液をAcOEtで希釈し、2N HCl水溶液で酸性にし抽出、有機層をブライン洗浄後、MgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (50% AcOEt-ヘキサン)で精製しDA36 ( 14 mg, 38.7%) を得た。
1H-NMR ( 400 MHz, CDCl3) δ: 0.97(3H, t, J =7.5Hz, H-22), 1.64, 1.88(6H, m, H-N(2)(3)(4)), 1.85, 1.95(2H, m, H-3), 2.08(2H, m, H-21), 2.50(2H, m, H-2), 2.85(6H, m, H-12, 15, 18), 2.97(2H, m, H-9, ), 3.40, 3.56(5H, m, H-N(1)(5), OH(C4)), 4.27(1H, m, H-4), 5.38(9H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.68(1H, dd, J =15.1, 6.5Hz, H-5), 6.01(1H, t, J =11.0Hz, H-7), 6.54(1H, dd, J =15.1, 11.0Hz, H-6); EIMS m/z (相対強度) 411 (M+, 7), 341 (9), 213 (11), 138 (46), 69 (100)。
【0213】
(実施例22)DA38の合成
(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-N,N-ジエチル-4-ヒドロキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエンアミド (DA38)
【0214】
【化53】

【0215】
-20 ℃に冷却下、Me3Al/ トルエン( 32.6 μL、0.662 mmol)、トルエン(100 μL) の混合溶液に、ジエチルアミン ( 45.7 μL, 0.441 mmol) をゆっくり滴下し、 Ar 雰囲気下、同温度で20分間撹拌後、常温で25分間撹拌した。ここに、実施例1で得たMT49A (36 mg、0.110 mmol) のトルエン( 100 μL) 溶液をゆっくり滴下し、Ar下、常温で16時間撹拌後、50 ℃で3時間撹拌し, ジエチルアミン ( 45 μL, 0.441 mmol)を加えた。1時間撹拌し、更にMe3Al/トルエン ( 65 μL, 1.324 mmol)、ジエチルアミン( 45 μL, 0.441 mmol) を加え1時間撹拌後、常温で16時間撹拌した。反応溶液をAcOEtで希釈し、2N HCl水溶液で酸性にし抽出、有機層をブライン洗浄後、MgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50% AcOEt-ヘキサン) で精製しDA38 (10 mg、22.7%) を得た。
1H-NMR ( 400 MHz, CDCl3) δ: 0.97(3H, t, J =7.5Hz, H-22), 1.12(3H, t, J =7.1, H-N(2)), 1.18(3H, t, J =7.1, H-N(2)')1.85, 1.95(2H, m, H-3), 2.08(2H, m, H-21), 2.52(2H, m, H-2), 2.85(6H, m, H-12, 15, 18), 2.97(2H, m, H-9, ), 3.32, 3.38(4H, m, H-N(1)(1)'), 3.79(1H, s, OH(C4)), 4.28(1H, m, H-4), 5.38(9H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.72(1H, dd, J =15.1, 6.5Hz, H-5), 6.01(1H, t, J =11.0Hz, H-7), 6.57(1H, dd, J =15.1, 11.0Hz, H-6); EIMS m/z (相対強度) 399 (M+, 3), 381 (17), 272 (5), 100 (100)。
【0216】
(実施例23)DA39の合成
(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-N-(2-フリルメチル)-4-ヒドロキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエンアミド (DA39)
【0217】
【化54】

【0218】
-20℃に冷却下、Me3Al/ トルエン(13.6 μL、0.276 mmol)、トルエン(100 μL) の混合溶液に、フルフリルアミン(16.2 μL、0.184 mmol) をゆっくり滴下し、Ar下、-20℃で20分間撹拌後、常温で25分間撹拌した。ここに、実施例1で得たMT49A(30 mg、0.092 mmol) のトルエン (100 μL) 溶液をゆっくり滴下し、Ar下、70℃で1時間撹拌した。反応溶液をAcOEtで希釈し、2N HCl水溶液で酸性にし抽出、有機層をブライン洗浄後、MgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー ( 50%AcOEt-ヘキサン) で精製しDA39 ( 20 mg、51.4%) を得た。
1H-NMR ( 400 MHz, CDCl3) δ: 0.97(3H, t, J =7.5Hz, H-22), 1.85, 1.95(2H, m, H-3), 2.08(2H, m, H-21), 2.35(2H, m, H-2), 2.84(7H, m, H-12, 15, 18, OH(C4)), 2.96(2H, m, H-9), 4.26(1H, m, H-4), 4.44(2H, d, J =5.49HzH-N(1)), 5.38(9H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.70(1H, dd, J =15.1, 6.5Hz, H-5), 5.91(1H, s, H-NH), 5.99(1H, t, J =11.0Hz, H-7), 6.22(1H, dd, J =3.1, 0.6Hz, H-N(4)), 6.32(1H, dd, J =3.2, 2.0Hz, H-N(3)), 6.56(1H, dd, J =15.1, 11.0Hz, H-6), 7.35(1H, dd, J =1.9, 0.9Hz, H-N(5); EIMS m/z (相対強度) 423 (M+, 2), 326 (4), 256 (4), 234 (13), 81 (100)。
【0219】
(実施例24)DA40の合成
(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-ヒドロキシ-N-[2-(1-メチル-2-ピロリジニル)エチル]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエンアミド(DA40)
【0220】
【化55】

【0221】
-20℃に冷却下、Me3Al/ トルエン(14 μL、0.285 mmol)、トルエン (100 μL) の混合溶液に、2-(2-アミノエチル)-1-メチル-ピロリジン (28.22 μL, 0.190 mmol)をゆっくり滴下し、Ar下、-20℃で20分間撹拌後、常温で25分間撹拌した。ここに、実施例1で得たMT49A (31 mg, 0.095 mmol) のトルエン(100 μL) 溶液をゆっくり滴下し、Ar下, 70℃で2時間撹拌後、更にMe3Al/ トルエン( 14 μL、0.285 mmol)、2-(2-アミノエチル)-1-メチル-ピロリジン(28.22 μL, 0.190 mmol) を加え、70℃で2時間撹拌した。反応溶液をAcOEtで希釈し、2N HCl水溶液で酸性にし抽出、有機層をブライン洗浄後、MgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をAl2O3 (10g) カラムクロマトグラフィー (3% EtOH-CHCl3) で精製しDA40 (21.5 mg, 51.5%)を得た。
1H-NMR ( 400 MHz, CDCl3) δ: 0.97(3H, t, J =7.5Hz, H-22), 1.65, 1.74, 1.91(8H, m, H-3, N(2)(4)(5)), 2.07(2H, m, H-21), 2.21(1H, m, H-N(3)), 2.33(7H, m, s, H-2, N(6), Me), 2.84(7H, m, H-12, 15, 18, OH(C4)), 2.96(2H, m, H-9), 3.08, 3.45(2H, m, H-N(1)), 4.26(1H, m, H-4), 5.38 (9H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.72(1H, dd, J =15.1, 6.5Hz, H-5), 6.01(1H, t, J =11.0Hz, H-7), 6.57(1H, dd, J =15.1, 11.0Hz, H-6), 6.95(1H, s, H-NH); EIMS m/z (相対強度) 454 (M+, 7), 436 (12), 265 (7), 170 (4), 155 (4), 84(100)。
【0222】
(実施例25)DA58およびDA65の合成
(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[(メチルスルファニル)カルボチオイル]オキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(DA58)
(5Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[(メチルスルファニル)カルボチオイル]オキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(DA65)
【0223】
【化56】

【0224】
実施例6で得たMT49B (100 mg, 0.280 mmol) のTHF (1.5 mL) 溶液に NaH (50 mg, 1.257 mmol), イミダゾール (10 mg, 0.140 mmol) を加え Ar 雰囲気下、常温で20分間攪拌後、CS2 (250 μL, 4.20 mmol) 加え、さらに30分間攪拌し、MeI を加え1.5時間攪拌した。反応溶液に水を加え、2N HCl水溶液で酸性にしAcOEtで抽出、有機層を水洗後 MgSO4で 乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲル (10g) カラムクロマトグラフィー (5%AcOEt-ベンゼン) で精製しDA58 (65 mg, 51%) を得た。これをさらにシリカゲル (10g) カラムクロマトグラフィー (5%AcOEt-ベンゼン) で精製しDA65 (23 mg, 18%) を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ: 0.97(3H, t, J =7.5Hz, H-22), 2.08(2H, m, H-21), 2.40(7H, s, m, H-Me(S), 2, 3), 2.86(6H, m, H-12, 15, 18, ), 2.94(2H, t, J =6.6Hz, H-9), 5.11(1H, dd, J =6.9, 9.5Hz, H-6), 5.38(11H, m, H-5, 7, 8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.67(1H, m, H-4); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ: 13.2, 14.5, 20.7, 25.7, 25.8 (2), 26.2, 27.4, 33.5, 44.9, 126.9, 127.2, 127.3, 128.1, 128.2, 128.5, 128.8, 129.1, 129.6, 130.8, 131.3, 132.2, 178.4, 188.7
UV (95%EtOH) λmax 244 nm。
【0225】
(実施例26)DA67およびDA66の合成
メチル(5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[(フェノキシカルボチオイル)オキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(DA67)
メチル(5Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[(フェノキシカルボチオイル)オキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(DA66)
【0226】
【化57】

【0227】
0℃に氷冷下、実施例6で得たMT49B (40 mg, 0.112 mmol) の乾燥ピリジン(200 μL)、乾燥CH2Cl2 (400 μL) 溶液にフェニルクロロチオノホルメートを加えAr雰囲気下0℃で4時間攪拌後、常温で1時間攪拌した。反応溶液に飽和NaCl溶液を加えAcOEtで抽出、有機層をブライン洗浄し、MgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲル (10g) カラムクロマトグラフィー(3% AcOEt-ベンゼン)で精製しDA67 (7 mg, 12.6%), DA66 (18 mg, 32.5%) を得た。
DA67: 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.97(3H, t, J =7.5Hz, H-22), 2.11(4H, m, H-3, 21), 2.45(2H, t, J =6.6Hz, H-2), 2.83(6H, m, H-12, 15, 18), 2.96(2H, m, H-9), 3.69(3H, s, H-Me), 5.37(9H, m, H-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.51(1H, m, H-4)5.65(1H, dd, J =15.2, 7.8Hz, H-5), 6.00(1H, t, J =11.0Hz, H-7), 6.65(1H, dd, J =15.2, 11.1Hz, H-6), 7.16, 7.22, 7.37(5H, m, H-ph)
UV (95%EtOH) λmax 237 nm;
DA66: 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.97(3H, t, J =7.5Hz, H-22), 2.08(2H, m, H-21), 2.38(4H, m, H-2, 3), 2.84(6H, m, H-12, 15, 18, ), 2.94(2H, m, H-9), 3.66(3H, s, H-Me), 4.88(1H, dd, J =7.1, 8.9Hz, H-6), 5.37(11H, m, H-5, 7, 8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.71(1H, m, H-4), 7.15, 7.26, 7.37(5H, m, H-ph)。
【0228】
(実施例27)DA21の合成
(7Z, 10Z, 13Z, 19Z)-4-ヒドロキシ-7, 10, 13, 16, 19-ドコサペンタエン酸 (DA21)
【0229】
【化58】

【0230】
DA5 (77mg,0.235mmol) に5%KOH (H2O/MeOH=5/95)(1.56ml)を加え、 Ar 雰囲気下、 50 ℃ で1h撹拌した。反応溶液に氷水を加え、2N HCl水溶液で中和しAcOEtで抽出、有機層を水洗後、MgSO4で乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲル(10g)カラムクロマトグラフィー(50%AcOEt-hexane)で精製しDA21 (42mg, 52%)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl3)
δ: 0.97 (3H, t, J = 7.5 Hz, H-22), 1.73 (2H, m, H-5), 1.84 (2H, m, H-3), 2.08 (2H, m, H-21), 2.20 (2H, m, H-6), 2.53 (2H, t, J = 7.2 Hz, H-2), 2.85 (8H, m, H-3, 12, 15, 18), 3.69 (1H, m, H-4), 5.38 (10H, m, H-7,8,10,11,13,14,16,17,19,20).
(実施例28)TI109およびTI110の合成
メチル (4R,5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[([[(1R,4aS)-7-イソプロピル-1,4a-ジメチル -1,2,3,4,4a,9,10,10a-オクタヒドロ-1-フェナンスレニル]メチル]アミノ)カルボニル]オキ シ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(TI109)
メチル (4S,5E,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[([[(1R,4aS)-7-イソプロピル-1,4a-ジメチル -1,2,3,4,4a,9,10,10a-オクタヒドロ-1-フェナンスレニル]メチル]アミノ)カルボニル]オキ シ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(TI110)
【0231】
【化59】

【0232】
窒素雰囲気下、0 ℃で (+)-デヒドロアビエチルアミン (100 mg, 0.350 mmol) の無水トルエン (1.7 mL) 溶液にトリホスゲン (34.7 mg, 0.117 mmol) を加えた後Et3N (146 μl, 1.05 mmol) を加え1時間攪拌した。反応溶液をセライトろ過し、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲル (10 g) カラムクロマトグラフィー (10% AcOEt/ヘキサン)で精製し(4α)-18-イソシアナートアビエタ -8,11,13-トリエン (TI108) (80.0 mg, 73%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.92 (3H, s, H-18), 1.21 (3H, s, H-20), 1.22 (6H, d, J =7.0 Hz, H-16, 17), 1.38-1.82 (8H, m, アビエタ-1, 2, 3, 6), 2.29 (1H, dt, J =12.9, 3.1 Hz, H-5), 2.79-2.92 (3H, m, H-7, 15), 3.03 (1H, 1/dd, J =13.9, 6.9, H-19), 3.29 (1H, 1/2dd, J =12.8, H-19), 6.89 (1H, s, H-14), 7.00 (1H, d, J =8.2, 1.4 Hz, H-12), 7.18 (1H, d, J =8.2 Hz, H-11 ); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 18.4, 18.8, 19.0, 24.2 (2 炭素), 25.3, 30.3, 33.7, 36.2, 37.6, 37.8, 38.4, 45.1, 54.5, 121.8, 124.2, 124.5, 127.7, 134.7, 145.9, 147.0.。
【0233】
【化60】

【0234】
窒素雰囲気下、封管中 実施例6で得たMT49B (500 mg, 1.40 mmol) と前述の TI108 (1.31 g, 4.20 mmol) のCH2Cl2 (4.2 mL) 溶液に DMAP (342 mg, 2.80 mmol) を加え20時間攪拌した後、溶媒を留去した。(0.5 mL) を加え得られた残渣をシリカゲル (60 g) カラムクロマトグラフィー (10% AcOEt/hexane)で精製し第一画分よりTI108を回収 (451 mg) し、第二画分よりジアステレオマー混合物 (TI109 : TI110 =1 :1) (850 mg, 91%) を得た。得られたジアステレオマー混合物をシリカゲル(270 g)カラムクロマトグラフィー (5.0-8.5% AcOEt/ヘキサン)で注意深く精製し第一画分よりメチル(4R,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[([[(1R,4aS)-7-イソ プロピル-1,4a-ジメチル-1,2,3,4,4a,9,10,10a-オクタヒドロ-1-フェナントレニル]メチル]アミノ)カルボニル]オキ シ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサノエート(TI109) (120 mg, 28%)を得た。このものは下記実施例29により、4R体であることが確認された。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.92 (3H, s, アビエタ-18), 0.97 (3H, t, J =7.5 Hz, DHA-22), 1.21 (3H, s, アビエタ-20), 1.22 (6H, d, J =7.5 Hz, アビエタ-16, 17), 1.22-1.99 (8H, m, アビエタ-1, 2, 3, 6), 1.93 (2H, dd, J =14.4, 7.3 Hz, DHA-3), 1.97 (2H, m, DHA-21), 2.29 (1H, d, J =12.9 Hz, アビエタ-5), 2.34 (2H, dd, J =8.6, 6.7 Hz, DHA-2), 2.74-2.96 (11H, m, DHA-9, 12, 15, 18, アビエタ-7, 15), 3.08 (2H, ddd, J =30.3, 13.8, 7.0, アビエタ-19), 3.63 (3H, s, CO2Me), 4.65 (1H, t, J =6.4 Hz, NH), 5.20 (1H, q, J =7.3 Hz, DHA-4), 5.29-5.44 (9H, m, DHA-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.56 (1H, dd, J =15.2, 7.0 Hz, DHA-5), 5.95 (1H, t, J =10.8 Hz, DHA-7), 6.52 (1H, dd, J =15.2, 11.4 Hz, DHA-6), 6.89 (1H, s, アビエタ-14), 6.99 (1H, d, J =8.0 Hz, アビエタ-12), 7.29 (1H, d, J =8.0 Hz, アビエタ-11 ); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 14.5, 18.7, 18.8, 19.1, 20.8, 24.1 (2 炭素), 25.5, 25.8, 25.9, 26.3, 30.0, 30.1, 30.4, 33.7, 36.2, 37.6, 37.6, 38.6, 45.5, 51.8, 51.9, 74.2, 124.1, 124.4, 127.1, 127.2, 128.0, 128.1, 128.2, 128.6, 128.8, 128.9, 131.4, 131.5, 132.3, 134.9, 145.9, 147.3, 156.3, 173.8。
【0235】
第二画分よりメチル(4S,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[([[(1R,4aS)-7-イソプロピル-1,4a-ジメチル -1,2,3,4,4a,9,10,10a-オクタヒドロ-1-フェナントレニル]メチル]アミノ)カルボニル]オキ シ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサノエート(TI110) (111 mg, 26%)を得た。このものは下記実施例29により、4S体であることが確認された。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.92 (3H, s, アビエタ-18), 0.97 (3H, t, J =7.5 Hz, DHA-22), 1.21 (3H, s, アビエタ-20), 1.22 (6H, d, J =7.5 Hz, アビエタ-16, 17), 1.22-1.99 (8H, m, アビエタ-1, 2, 3, 6), 1.93 (2H, dd, J =14.4, 7.3 Hz, DHA-3), 1.97 (2H, m, DHA-21), 2.29 (1H, d, J =12.9 Hz, アビエタ-5), 2.34 (2H, dd, J =8.6, 6.7 Hz, DHA-2), 2.77-2.96 (11H, m, DHA-9, 12, 15, 18, アビエタ-7, 15), 2.99 (1H, 1/2dd, J =13.9, 6.9, アビエタ-19), 3.15 (1H, 1/2dd, J =13.9, 6.9, アビエタ-19), 3.64 (3H, s, CO2Me), 4.66 (1H, t, J =6.4 Hz, NH), 5.19 (1H, q, J =7.3 Hz, DHA-4), 5.29-5.44 (9H, m, DHA-8, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.56 (1H, dd, J =15.2, 7.0 Hz, DHA-5), 5.93 (1H, t, J =10.8 Hz, DHA-7), 6.54 (1H, dd, J =15.2, 11.4 Hz, DHA-6), 6.87 (1H, s, アビエタ-14), 6.99 (1H, d, J =8.0 Hz, アビエタ-12), 7.29 (1H, d, J =8.0 Hz, アビエタ-11 ); 13C NMR (100 MHz, CDCl3)δ14.7, 19.0 (2 炭素), 19.2, 21.0, 24.4 (2 炭素), 25.7, 25.9, 26.0, 26.1, 26.5, 30.2, 30.3, 30.6, 33.8, 36.4, 37.8, 38.8, 45.5, 52.0, 52.1, 74.4, 124.2, 124.6, 127.3, 127.4, 128.0, 128.1, 128.2, 128.3 (2 炭素), 128.4, 128.8, 129.0, 129.1, 131.5,131.6, 132.5, 135.2, 146.0, 147.5, 156.5, 173.8。
【0236】
【化61】

【0237】
窒素雰囲気下、上記のようにして得たTI109 (115 mg, 172 μmol) の無水ベンゼン (1.7 mL) 溶液にEt3N (120 μL, 0.859 mmol) 存在下トリクロロシラン (43 μL, 0.430 mmol) の無水ベンゼン (0.86 mL) 溶液を室温で加え2.5時間攪拌した。反応溶液に水2〜3滴を加えた後、シリカゲル(2 g)カラムクロマトグラフィー (100% AcOEt)を通過させ溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲル (15 g)カラムクロマトグラフィー(12-20% AcOEt/ヘキサン)で精製し、メチル(4R,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-ヒドロキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキ サノエート[(R)-(-)-MT49B] (37.5 mg, 61%) を得た。[α]20D -7.0 (c 2, CHCl3)。 1H NMRはMT49Bのものと一致した。このものは、下記実施例29によりR体であることが確認された。
【0238】
【化62】

【0239】
窒素雰囲気下、室温で上記のようにして得たTI110 (111 mg, 166 μmol) の無水ベンゼン (1.7 mL) 溶液にEt3N (115 μL, 0.830 mmol) 存在下トリクロロシラン (42 μL, 0.415 mmol) の無水ベンゼン (0.86 mL) 溶液を加え2.5時間攪拌した。反応溶液に水2〜3滴を加えた後、シリカゲル(2 g)カラムクロマトグラフィー (100% AcOEt)を通過させ溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲル (15 g) カラムクロマトグラフィー (12-20% AcOEt/ヘキサン)で精製し、メチル(4S,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-ヒドロキシ-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキ サノエート [(S)-(+)-MT49B]を得た。[α]20D +7.0 (c 2, CHCl3). 1H NMRはMT49Bのものと一致した。このものは、下記実施例29によりS体であることが確認された。したがって、MT49BのR体またはS体を使用して、TI100、TI101、DA20、DA58、DA65、DA67、DA66等の対応する光学異性体を合成できる。
【0240】
(実施例29)絶対配置の決定(TI119およびTI120の合成)
メチル(4R,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[(2S)-3,3,3-トリフルオロ-2-メトキシ-2-フェニルプロピル]オキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(TI119)
メチル(4R,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[(2R)-3,3,3-トリフルオロ-2-メトキシ-2-フェニルプロピル]オキシ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート(TI120)
絶対配置は以下に示すMTPAエステル法を適用して決定した。
【0241】
【化63】

【0242】
窒素雰囲気下、0 ℃ で上記のようにして得た(-)-MT49B (4 mg, 12μmol) の無水 CH2Cl2 (250μL) 溶液に、Et3N (7.8μL, 56μmol)、DMAP (7.7 mg, 63μmol) 及び (R)-(-)-MTPACl (10.5μL, 56μmol) 加え、室温で15分間攪拌した。ついで反応溶液をAcOEt (2 mL) で希釈し、水洗 (2 x 1 mL)、乾燥 (MgSO4)、 溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲル(2 g)カラムクロマトグラフィー (20% AcOEt/ヘキサン)で精製し、TI119 (メチル(4R,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[(2S)-3,3,3-トリフルオロ-2-メトキシ-2-フェニルプロピル]オキ シ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート), 84%}を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.97 (3H, t, J =7.5 Hz, H-22), 1.98-2.12 (4H, m, H-2, 21), 2.37 (2H, td, J =7.7, 3.1 Hz, H-3), 2.78-2.87 (6H, m, H-12, 15, 18), 2.91 (2H, t, J =7.3 Hz, H-9), 3.53 (3H,brs, MTPA), 3.68 (3H, s, CO2Me), 5.30-5.60 (11H, m, H-4, 5, 6, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.94 (1H, t, J =11.0 Hz, H-8), 6.59 (1H, dd, J =14.3, 11.3 Hz, H-7), 7.34-7.43 (3H, m, MTPA), 7.45-7.56 (2H, m, MTPA)。
【0243】
同様に窒素雰囲気下、0 ℃ で上記のようにして得た(-)-MT49B (4 mg, 12μmol) の無水 CH2Cl2 (250μL) 溶液に、Et3N (7.8μL, 56μmol)、DMAP (7.7 mg, 63μmol) 及び (S)-(+)-MTPACl (10.5μL, 56μmol) 加え、室温で15分間攪拌した。ついで反応溶液をAcOEt (2 mL) で希釈し、水洗 (2 x 1 mL)、乾燥 (MgSO4)、 溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲル(2 g)カラムクロマトグラフィー(20% AcOEt/ヘキサン)で精製し、TI120 (メチル(4R,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)-4-[[(2R)-3,3,3-トリフルオロ-2-メトキシ-2-フェニルプロピル]オキ シ]-5,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエノエート), 84%}を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.97 (3H, t, J =7.5 Hz, H-22), 1.98-2.12 (4H, m, H-2, 21), 2.25 (2H, dt, J =15.3, 7.7 Hz, H-3), 2.78-2.87 (6H, m, H-12, 15, 18), 2.94 (2H, t, J =7.3 Hz, H-9), 3.54 (3H,brs, MTPA), 3.66 (3H, s, CO2Me), 5.30-5.60 (11H, m, H-4, 5, 6, 10, 11, 13, 14, 16, 17, 19, 20), 5.98 (1H, t, J =11.0 Hz, H-8), 6.67 (1H, dd, J =14.1, 11.3 Hz, H-7), 7.34-7.43 (3H, m, MTPA), 7.45-7.56 (2H, m, MTPA)。
【0244】
ここで(-)-MT49B のMTPA (RとS)エステルの両ジアステレオマー(TI119とTI120)の1H NMR のケミカルシフトを比較した。(-)-MT49BはR配置であり、(+)-MT49BはS配置であると決定した。
【0245】
【化64】

【0246】
(実施例30) DA103の合成
4-[3-[(2Z,5Z,8Z,11Z)-2,5,8,11-テトラデカテトラエニル]-2-オキシラニル]ブタン酸(DA103)
【0247】
【化65】

【0248】
アラキドン酸のヨードラクトン化反応により得た6-[(3Z,6Z,9Z,12Z)-1-ヨード-3,6,9,12-ペンタデカテトラエニル]テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オンDA96(3.0 g, 7.0 mmol)の5% LiOH (H2O / MeOH = 5 / 95, 60 mL)(DA96)を室温で30 分 攪拌した。反応溶液に氷を加え2N HCl水溶液で中和しAcOEtで抽出、有機層を水で洗浄、乾燥(MgSO4)溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲル (60g) カラムクロマトグラフィー (30% AcOEt-hexane) で精製しDA103 (1.56 g, 70%) を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
δ: 0.98 (3H, t, J = 7.5 Hz, H-20), 1.45-1.85 (2H, m, H-3), 1.88 (2H, m, H-4), 2.08 (2H, quint, J = 7.5 Hz, H-19), 2.25 (1H, m, H-5), 2.35-2.51 (3H, m, H-2, 6), 2.78-3.02 (8H, m, H-7, 10, 13, 16), 2.80-2.99 (8H, m, H-8, 9, 11, 12, 14, 15, 17, 18)
(実施例31) DA104の合成
(8Z,11Z,14Z,17Z)-5,6-ジヒドロキシ-8,11,14,17-イコサテトラエン酸(DA104)
【0249】
【化66】

【0250】
実施例30で得られたDA103(1.0 g, 3.14 mmol)の5% LiOH (H2O / MeOH = 5 / 95, 20 mL)を50 ℃ で6 h 攪拌した。反応溶液に氷を加え2N HCl水溶液で中和しAcOEtで抽出、有機層を水で洗浄、乾燥(MgSO4)溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲル (20g) カラムクロマトグラフィー (50% AcOEt-hexane) で精製しDA104 (792 mg, 75%) を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
δ: 0.98 (3H, t, J = 7.5 Hz, H-20), 1.50-1.90 (4H, m, H-3, 4), 2.08 (2H, m, H-19), 2.41 (2H, t, J = 7.2 Hz, H-2), 2.77-2.93 (9H, m, H-5, 7, 10, 13, 16), 4.16 (1H, td, J = 2.80-2.99 (8H, m, H-8, 9, 11, 12, 14, 15, 17, 18)。
【0251】
(実施例32) DA105の合成
6-[(3Z,6Z,9Z,12Z)-3,6,9,12-ペンタデカテトラエニル]テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン(DA105)
【0252】
【化67】

【0253】
EPA (2.7 g, 9.0 mmol) のCH3CN (270 mL) 溶液にg-collidine(4.8 mL, 36.4 mmol) を加え氷冷下I2(4.61 g, 18.2 mmol) を加えAr 雰囲気下, 室温で1h撹拌した。反応溶液をAcOEtで希釈し、5% Na2S2O3 水溶液を加え抽出の後有機層を2N HCl水溶液、飽和食塩水で洗浄、乾燥 (MgSO4) 溶媒を留去した。得られた残渣のTHF (120 mL) 溶液にn-Bu3SnH (4.85 mL, 18.0 mmol)を加えAr雰囲気下加熱還流を5 h行った後溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲル (60g) カラムクロマトグラフィー (10% AcOEt-hexane) で精製しDA105 (1.49 g, 55% from EPA) を得た。
【0254】
1H-NMR (400 MHz, CDCl3)
δ: 0.97 (3H, t, J = 7.5 Hz, H-20), 1.75-2.10 (4H, m, H-3, 4), 2.25 (2H, m, H-5), 2.44-2.78 (4H, m, H-2, 19), 2.75−2.99 (8H, m, H-7, 10, 13, 16), 4.25 (1H, dt, J = 11.1, 4.1, H-5), 5.31-5.73 (8H, m, H-8, 9, 11, 12, 14, 15, 17, 18)。
【0255】
(実施例33)PPARγ作動性試験
アフリカミドリザル腎臓由来のCOS-7細胞を5%FCS存在下DMEM中で培養した。24ウェルプレートを用い、1ウェルあたり2x104個の細胞を播いた。24時間培養した後、リポフェクション法により次の3つのプラスミド[ヒトPPARγのリガンド結合領域とGa14−DBDの融合タンパクをコードしたpSG5−GAL−hPPARγ(0.05μg)、Ga14結合サイトを4コピー持ったルシフェラーゼレポータープラスミドTK−MH100x4−LUC(0.2μg)、インターナルコントロール用プラスミドpRL−CMV(0.02μg)]をトランスフェクトした。4時間インキュベーションした後、メディウムを新鮮な1%FCS含有DMEMに変え培養した。翌日、リガンドを加え18時間培養した後、ルシフェラーゼ活性を測定した。リガンドの濃度は5μMで行った。
【0256】
実験の結果、TI11は5μM濃度にて陰性対照比約6.6倍にPPARγ転写活性を上昇させた。また、TI72は陰性対照比約7.6倍、MT49Aは陰性対照比約2.5倍、TI91は陰性対照比約4.0倍、TI57は陰性対照比約4.7倍、TI63は陰性対照比約3.5倍、MT80は陰性対照比約1.4倍、DA21は陰性対照比約2.0倍、DA75は陰性対照比約4.3倍、TI13は陰性対照比約2.1倍、TI12は陰性対照比約2.8倍、DA104は陰性対照比約1.7倍、DA105は陰性対照比約1.9倍、陽性対照として用いた15デオキシ-Δ12,14-プロスタグランジンJ2は陰性対照比約5.9倍、アクトス(ACTOS)は陰性対照比約6.9倍のPPARγ転写活性を示した(表1参照)。
【0257】
【表1】

【0258】
(実施例34)NIDDMモデル動物に対する作用1
日本クレア(株)より購入した遺伝的NIDDMマウスKK-Ayマウス(9週齢、雄)を用いて、TI11がKK-Ayマウスの体重(B.W. gain)、白色脂肪量(WAT/B.W.)、血糖値(B.G.)、血中トリグリセリド(TG)、血中遊離脂肪酸(FFA)、血中総コレステロール(TC)、レベルに及ぼす作用を検討した。
【0259】
陰性対照群として5%アラビアゴム溶液(Vehicle)を、陽性対照群として、武田薬品工業(株)から購入したアクトス(Actos)を乳鉢で粉砕して、5%アラビアゴム溶液にボルテックスミキサーでよく撹拌したものを100 mg/kg強制経口経路にて投与した。TI11に関しては、5%アラビアゴム溶液にボルテックスミキサーと超音波でよく撹拌し、懸濁液としたものを10 mg/kg(低用量群)、30 mg/kg(高用量群)強制経口経路にて投与した。また各群6匹のKK-Ayマウスを用いた。
【0260】
この結果TI11がTGを高用量と低用量にて有意に、FFAを高用量と低用量にて有意に改善することが観察された(図1,2参照)。また陽性対照として用いたアクトスは体重を増加させる副作用を有するが、TI11にはその副作用は認められなかった。
【0261】
(実施例35)NIDDMモデル動物に対する作用2
クレア(株)より購入した遺伝的NIDDMラットZucker diabetic fatty rat(ZDFラット)(6週齢、雄)を用いて、TI11がZDFラットのB.W. gain、WAT/B.W.、B.G.、TG、FFA、TCレベルに及ぼす作用を検討した。
【0262】
陰性対照群として5%アラビアゴム溶液(Vehicle)を、陽性対照群として、武田薬品工業(株)から購入したアクトス(Actos)を乳鉢で粉砕して、5%アラビアゴム溶液にボルテックスミキサーでよく撹拌したものを30mg/kg強制経口経路にて投与した。TI11に関しては、5%アラビアゴム溶液にボルテックスミキサーと超音波でよく撹拌し、懸濁液としたものを3 mg/kg(低用量群)、30 mg/kg(高用量群)強制経口経路にて投与した。また各群6匹のZDFラットを用いた。
【0263】
この結果TI11が高用量と低用量にて有意にB.G.とFFAを減少させることが観察された(図3,4参照)。また陽性対照として用いたアクトスは体重を増加させる副作用を有するが、TI11にはその副作用は認められなかった。
【0264】
(実施例36)NIDDMモデル動物に対する作用3
クレア(株)より購入した遺伝的NIDDMマウスdb/dbマウスを用いて、TI11がdb/dbマウス(8週齢、雄)のB.W. gain、WAT/B.W.、B.G.、TG、FFA、TCレベルに及ぼす作用を検討した。
【0265】
陰性対照群として5%アラビアゴム溶液(Vehicle)を、陽性対照群として、武田薬品工業(株)から購入したアクトス(Actos)を乳鉢で粉砕して、5%アラビアゴム溶液にボルテックスミキサーでよく撹拌したものを100 mg/kg強制経口経路にて投与した。TI11に関しては、5%アラビアゴム溶液にボルテックスミキサーと超音波でよく撹拌し、懸濁液としたものを30 mg/kg(低用量群)、100 mg/kg(高用量群)強制経口経路にて投与した。また各群6匹のdb/dbマウスを用いた。
【0266】
この結果、TI11がB.G.を有意に減少させることが確認された(図5参照)。また陽性対照として用いたアクトス(Actos)は過剰な体重増加を誘発したが、TI11にその作用は認められなかった。WAT/B.W.、TG、FFA、TCレベルへの影響は確認されなかった。
【0267】
(実施例37)PPARγ活性化に関与するコアクチベーターの検討
TI11によるPPARγ活性化に関与するコアクチベーターの検索をmamalian-two-hybrid法によって実施した('00 J.B.C. 275, p.333201)。
【0268】
培養株化上皮細胞COS-1にlipofection法を用いて、GAL4(酵母転写アクチベーター)-SRC-1融合タンパク質発現プラスミド、又はGAL4-TIF2融合タンパク質発現プラスミド、又はGAL4-TRAP220融合タンパク質発現プラスミド(エフェクタープラスミド)とpVP-PPARγとレポータープラスミド17M2-Luc(GAL4応答配列+β-globin プロモーター+ルシフェラーゼ cDNA)とを併せて導入した後、Opti MEM (Gibco(株))に被験物質を添加し、16時間後にルシフェラーゼ(Luc)アッセイに処し、Luc活性を測定した(図6参照)。
【0269】
実験の結果、TI11は10μM濃度でTIF2 two-hybridにてPPARγ活性を増強した。このことから、TI11のPPARγ活性化にはコアクチベーターTIF2が関与することが示唆された。
【0270】
(実施例38)正常ラットに対する作用
オリエンタルバイオサービス関東(株)より購入したSD系ラット(5週齢、雄)を用いて、TI11がSD系ラットのB.W. gain、B.G.、TG、FFA、TC、血中リン脂質、血中クレアチニン、血中尿素窒素、血中クロール、血中カリウム、血中ナトリウム、血中総蛋白、血中ビリルビン、CPK、GOT、GPT、LDH、ALPレベル、臓器重量に及ぼす作用を検討した。
【0271】
陰性対照群として5%アラビアゴム溶液(Vehicle)を投与した。TI11に関しては、5%アラビアゴム溶液にボルテックスミキサーと超音波でよく撹拌し、懸濁液としたものを40 mg/kg(低用量群)、200 mg/kg(中用量群)、1000 mg/kg(高用量群)強制経口経路にて投与した。また各群3匹のSD系ラットを用いた。
【0272】
この結果、TI11が各測定項目に与える影響は確認されなかったことからTI11の毒性は低いものと考えられた。
【0273】
(実施例39)潰瘍性大腸炎モデルラットに対する作用
ラットのデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発潰瘍性大腸炎モデル(Cancer Research, 61,p2424-2428, March15,2001)を用い、TI11の7日間反復直腸内投与による治療効果を検討した。DSS誘発潰瘍性大腸炎モデルラットの作製については、日本チャールス・リバー株式会社より購入したSD系ラット(7週齢、雄)に3% DSS水溶液を自由摂取させ、血便が観察されたものをDSS誘発潰瘍性大腸炎モデルラットとして用いた。
【0274】
陰性対照群として0.5%CMC-Na水溶液(vehicle)を、陽性対照群としてAldrich Chemical Company から購入した5-アミノサリチル酸(5-aminosalicylic acid:5-ASA))を0.5%CMC-Na水溶液に溶解したものを100 mg/kg/日直腸内投与した。TI11に関しては、0.5%CMC-Na水溶液にボルテックスミキサーと超音波でよく撹拌し、懸濁液としたものを20 mg/kg/日(低用量群)、100 mg/kg/日(中用量群)、500 mg/kg/日(高用量群)、直腸内投与にて行った。また各群8匹のSD系ラットを用い、試験期間中は1% DSS水溶液を自由摂取させた。
【0275】
この結果、TI11の500 mg/kg/日の直腸内投与は、大腸粘膜のびらん面積を有意に縮小し、100及び500 mg/kg/日の直腸内投与は、大腸短縮を有意に改善することが観察された(図7、8参照)。
【0276】
(実施例40)PPARα作動性試験
培養株化上皮細胞COS-1細胞を5%FCS存在下DMEM中で培養した。24ウェルプレートを用い、1ウェルあたり2x104個の細胞を播いた。24時間培養した後、培養株化上皮細胞COS-1にリポフェクション法を用いて、GAL 4(酵母転写アクチベーター)-PPARα融合タンパク質発現プラスミド(エフェクタープラスミド)0.02μgと併せてレポータープラスミド17M2-Luc(GAL4応答配列+β-globin プロモーター+ルシフェラーゼ cDNA)0.08μg、インターナルコントロール用プラスミドpRL-CMV0.8ngとを併せて導入した後、Opti MEM (Gibco(株))に被験物質を混合したものを添加し、16時間後にルシフェラーゼ(Luc)アッセイに処し、PPARα転写活性を算出した。実験の結果、TI11は3μM濃度にて陰性対照比約1.5倍にPPARα転写活性を上昇させた。また、TI72は陰性対照比約1.9倍、TI91は陰性対照比約2.0倍、TI57は陰性対照比約1.4倍、TI63は陰性対照比約1.6倍、MT80は陰性対照比約1.3倍、DA21は陰性対照比約1.4倍、TI85は陰性対照比約1.5倍、TI86は陰性対照比約1.5倍、DA65は陰性対照比約2.5倍、DA75は陰性対照比約1.9倍、DA82は陰性対照比約2.2倍、DA93は陰性対照比約1.5倍、TI100は陰性対照比約2.6倍、TI101は陰性対照比約2.6倍、DA5は陰性対照比約1.4倍、DA20は陰性対照比約1.5倍、陽性対照として用いた5,9,11,14-エイコサテトラエン酸,8-ヒドロキシ-,〔S-(E,Z,Z,Z)〕−(8(S)−HETE)は3μM濃度にて陰性対照比約2.6倍、のPPARα転写活性を示した。
【0277】
【表2】

【0278】
本発明の化合物は、PPARαに作用するため脂質代謝改善、高脂血症改善、降コレステロールの作用を示しうることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学構造式(I)〜(VIII)のいずれかを有する高度不飽和脂肪酸誘導体。
【化1】

(式中、R1は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基もしくはハロゲンでR2は水素を表すか、R1とR2が共にハロゲンあるいはアルコキシ基を表すか、R1およびR2が一緒になってカルボニル基を形成し、R3は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基でR4は水素を表すかまたはR3およびR4が一緒になってカルボニル基を形成し、R5は水素、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、アリール基、アシルオキシ基またはアルコキシ基をR6は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはアルコキシ基を表し、
【化2】

は単結合または二重結合を表し、二重結合の場合はR1、R5は存在しない。また、R1、R5の結合手----は、R1、R5が存在する場合、単結合である。ただし、R1またはR2がハロゲンでR3とR4が一緒になってカルボニル基を形成するとき、R5とR6が同時に水素ではない。);
【化3】

(式中、R7は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、またはハロゲンでR8は水素を表すかR7とR8が共にハロゲンあるいはアルコキシ基を表すか、またはR7およびR8が一緒になってカルボニル基を形成し、R9は水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルキルカルボニルオキシメトキシ基、置換もしくは無置換アルキルカルバモイルオキシ基もしくはアルキルジチオカルボニルオキシ基をR10は水素、アルキル基を表すか、またはR9とR10が共にハロゲンあるいはアルコキシ基を表すか、またはR9およびR10が一緒になってメチレン基、カルボニル基もしくは
【化4】

(YはOまたはSであり、nは0または1である)を形成し、あるいはR7とR9とでエポキシ基を形成することができ、あるいはR7とR9とが結合して二重結合を形成し、R11は水素またはヒドロキシル基をR12は水素を表し、R13は水素、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、アリール基、アシルオキシ基、アルコキシ基をR14は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基を表すか、またはR13とR14が共にハロゲンあるいはアルコキシ基を表すか、またはR13およびR14が一緒になってカルボニル基を形成し、Aはカルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシアルキルカルバモイル、アシルオキシメチル基、アルコキシメチル基、アルコキシカルボニルオキシメチル基、アルキルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、モノアルキルカルバモイル基、ジアルキルカルバモイル基または
【化5】

(mは0、1または2である)を表し、
【化6】

は単結合または二重結合を表し、二重結合の場合、R7は存在しない、そして当該二重結合はシス形をとることができる。また、R7の結合手----はR7が存在する場合単結合である。ただし、A=COOHのとき、R7=R8=R9=R10=R11=R12=R13=R14=Hでない。また、A=COOMeまたはCOOHのとき、5位が二重結合かつR8=R10=R11=R12=R13=R14=Hであると同時にR9がヒドロキシルであることはない。さらに、A=COOMeのとき、R7=R10=R11=R12=R13=R14=Hであると同時にR7とR9とでエポキシ基を形成することはない);
【化7】

(式中、R15は水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基でR16は水素を表すか、R15およびR16が共にハロゲン、もしくはアルコキシ基を表すかまたはR15およびR16が一緒になってメチレン基、カルボニル基もしくは
【化8】

(YはOまたはSであり、nは0または1である)を形成し、R17は水素、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、アリール基、アシルオキシ基またはアルコキシ基をR18は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を表すか、またはR17とR18が共にハロゲン、もしくはアルコキシ基を表し、Aは上記定義した通りである。);
【化9】

(式中、R19は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基もしくはハロゲンでR20は水素を表すかR19とR20が共にハロゲン、もしくはアルコキシ基を表すかまたはR19およびR20が一緒になってカルボニル基を形成し、Aは上記定義した通りであり、
【化10】

は単結合または二重結合を表し、二重結合の場合、R19は存在しない。また、R19の結合手----はR19が存在する場合単結合である。ただし、A=COOHのとき、R19はヒドロキシルでない。);
【化11】

(式中、R21は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基もしくはハロゲンをR22は水素を表すかR21とR22が共にハロゲン、もしくはアルコキシ基を表すかまたはR21およびR22が一緒になってカルボニル基を形成し、R23は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基もしくはハロゲンをR24は水素を表すか、あるいはR23およびR24が共にハロゲン、もしくはアルコキシ基を表すかまたはR23およびR24が一緒になってカルボニル基を形成し、R25は水素、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、アリール基、アシルオキシ基またはアルコキシ基をR26は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基を表し、Aは上記定義した通りである。ただし、A=COOHのとき、R22=R23=R24=R25=R26=Hであると同時にR21がヒドロキシルであることはない。);
【化12】

(式中、R23、R24、R25、R26、およびAは上記定義した通りである。ただし、A=COOHのとき、R24=R25=R26=Hであると同時にR23がヒドロキシルであることはない。);
【化13】

(式中、R27は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基もしくはハロゲンをR28は水素を表すか、あるいはR27とR28が共にアルコキシ基、ハロゲンを表すかまたはR27およびR28が一緒になってカルボニル基を形成し、R29は水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、置換もしくは無置換アルキルカルバモイルオキシ基もしくはアルキルジチオカルボニルオキシ基をR30は水素もしくはアルキル基を表すか、R29とR30が共にハロゲンもしくはアルコキシ基を表すか、またはR29およびR30が一緒になってメチレン基、カルボニル基もしくは
【化14】

(YはOまたはSであり、nは0または1である)を形成し、あるいはR27とR29とでエポキシ基を形成することができ、R31およびR32は互いに独立して水素またはアルキル基を表し、R33は水素、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、アリール基、アシルオキシ基またはアルコキシ基をR34は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基を表すか、R33とR34が共にハロゲンまたはアルコキシ基を表すか、R33とR34が一緒になってカルボニル基を形成し、Aは上記定義した通りであり、
【化15】

は単結合または二重結合を表し、二重結合の場合、R27は存在しない、また、R27の結合手----はR27が存在する場合単結合である。そして当該二重結合はシス形をとることができる。ただし、A=COOMeのとき、R27とR29とでエポキシ基を形成できず、しかもR27=R30=R31=R32=R33=Hでない。)
;および
【化16】

(式中、R35は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、またはハロゲンをR36は水素を表すか、R35とR36が共にアルコキシ基、またはハロゲンを表し、R37は水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基もしくはアシルオキシ基をR38は水素を表すかまたはR37およびR38が一緒になってカルボニル基を形成し、R39は水素、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、アリール基、アシルオキシ基、アルコキシ基をR40は水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を表すか、R39とR40が共にハロゲンあるいはアルコキシ基を表し、
【化17】

は単結合または二重結合を表し、二重結合の場合、R39は存在しない。また、R39の結合手----はR39が存在する場合単結合である。)
【請求項2】
化学構造式(I)中、R1が水素、ヒドロキシル基およびアルコキシ基からなる群から選択され、R3が水素またはヒドロキシル基から選択されるかR3およびR4が一緒になってカルボニル基を形成し、R5が水素、ヒドロキシル基およびアルキル基からなる群から選択され、R6が水素またはアルキル基から選択されあるいは場合によりR1またはR5が存在せず二重結合を形成する;
化学構造式(II)中、R7が水素またはR7が存在せず二重結合を形成し、R8が水素であり、R9が水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシメトキシ基、アシルオキシ基、置換アルキルカルバモイルオキシ基およびアルキルジチオカルボニルオキシ基からなる群から選択され、R10が水素であるか、R9およびR10が一緒になってメチレン基、カルボニル基または
【化18】

(YはOでありnは1である。)であり、R11が水素またはヒドロキシル基であり、R12が水素であり、R13は水素またはアルキル基であり、R14は水素またはアルキル基であり、Aがカルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、ヒドロキシメチル基、アルキルカルボニルオキシメトキシカルボニル基、ジアルキルカルバモイル基および
【化19】

(mは1である。)からなる群から選択される;
化学構造式(III)中、R15がハロゲンであるかR15およびR16が一緒になってカルボニル基を形成し、R17が水素またはアルキル基であり、R18が水素またはアルキル基であり、Aがアルコキシカルボニル基、ジアルキルカルバモイル基またはカルボキシル基である;
化学構造式(IV)中、R19がヒドロキシル基またはハロゲンから選択されるか、R19およびR20が一緒になってカルボニル基を形成し、Aがアルコキシカルボニルまたはホルミルから選択される;
化学構造式(V)中、R21がヒドロキシルまたはアルコキシ基から選択され、R22が水素であるか、あるいはR21およびR22が一緒になってカルボニル基を形成し、R23がアルコキシ基またはアシルオキシ基から選択されるか、R23およびR24が一緒になってカルボニル基を形成し、R25が水素またはアルキル基から選択され、R26が水素またはアルキル基から選択され、Aがカルボキシル基またはアルコキシカルボニル基である;
化学構造式(VI)中、R23がアルコキシ基であるか、R23およびR24が一緒になってカルボニル基を形成し、R24が水素であり、R25が水素またはアルキル基から選択され、R26が水素またはアルキル基から選択され、Aがアルコキシカルボニルまたはホルミルから選択される;
化学構造式(VII)中、R27が水素またはヒドロキシル基から選択されるかR27が存在せず二重結合を形成し、R29がヒドロキシル基、ハロゲンおよびアシルオキシ基からなる群から選択され、R30が水素またはアルキル基から選択され、R29およびR30が一緒になってメチレン基または
【化20】

(YはOであり、nは0である。)を形成し、あるいはR27とR29とでエポキシ基を形成し、R31およびR32が互いに独立して水素またはアルキル基から選択され、R33が水素、ヒドロキシル基およびアルキル基からなる群から選択され、R34が水素またはアルキル基から選択され、Aがカルボキシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシアルキルカルバモイル基およびアルコキシメチル基から選択される;
化学構造式(VIII)中、R35が水素、アルコキシ基およびハロゲンからなる群から選択され、R36が水素であり、R37がアルコキシ基であり、R38が水素であり、あるいはR37およびR38が一緒になってカルボニル基を形成し、R39が水素、ヒドロキシル基またはアルキル基から選択されるかR39が存在せず二重結合を形成し、R40が水素またはアルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化学構造式(I)中、R1が水素およびヒドロキシル基からなる群から選択され、R3がヒドロキシル基であるかR3およびR4が一緒になってカルボニル基を形成し、R5が水素およびアルキル基からなる群から選択され、R6が水素またはアルキル基であり、あるいは場合によりR1が存在せず二重結合を形成する;
化学構造式(II)中、R7が水素またはR7が存在せず二重結合を形成し、R8が水素であり、R9が水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、C14のアルコキシ基、C14アルキルカルボニルオキシメトキシ基、C14アシルオキシ基およびC14アルキルジチオカルボニルオキシ基(この場合、R7は存在せず、そして形成された二重結合はシス形である)からなる群から選択され、R10が水素であるか、R9およびR10が一緒になってカルボニル基を形成し、R11、R12、R13およびR14は水素であり、Aがカルボキシル基、C14アルコキシカルボニル基、ヒドロキシメチル基およびC14アルキルカルボニルオキシメトキシカルボニル基からなる群から選択される;
化学構造式(III)中、R15およびR16が一緒になってカルボニル基を形成し、R17およびR18が水素であり、Aがアルコキシカルボニル基である;
化学構造式(IV)中、R19がヒドロキシル基であり、R20が水素であり、AがC14アルコキシカルボニル基である;
化学構造式(V)中、R21がヒドロキシルであり、R22が水素であり、R23およびR24が一緒になってカルボニル基を形成し、R25およびR26が水素であり、AがC14アルコキシカルボニル基である;
化学構造式(VI)中、R23およびR24が一緒になってカルボニル基を形成し、R25およびR26が水素であり、AがC14アルコキシカルボニルである;
化学構造式(VII)中、R27がヒドロキシル基で、R29がヒドロキシル基であるか、あるいはR27とR29とでエポキシ基を形成し、R30,R31、R32、R33およびR34が水素であり、Aがカルボキシル基である;
化学構造式(VIII)中、R35およびR36が水素であり、R37およびR38が一緒になってカルボニル基を形成し、R39およびR40が水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
PPARγおよび/またはPPARα作動活性を有する請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の化合物またはその医薬的に許容できる塩を含む医薬組成物。
【請求項6】
PPARγおよび/またはPPARα作動に関連する疾病を治療するための請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
2型糖尿病を治療するための請求項5または6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
循環器系疾患を治療するための請求項5または6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
動脈硬化症を治療するための請求項5または6に記載の医薬組成物。
【請求項10】
高脂血症を治療するための請求項5または6に記載の医薬組成物。
【請求項11】
コレステロール低下のために使用する請求項5または6に記載の医薬組成物。
【請求項12】
炎症性消化器系疾患を治療するための請求項5または6に記載の医薬組成物。
【請求項13】
炎症性消化器系疾患が潰瘍性大腸炎である請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
ガンを治療するための請求項5または6に記載の医薬組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−111692(P2010−111692A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221(P2010−221)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【分割の表示】特願2003−283858(P2003−283858)の分割
【原出願日】平成15年7月31日(2003.7.31)
【出願人】(508266258)プロノヴァ・バイオファーマ・ノルゲ・アーエス (2)
【Fターム(参考)】