説明

高度化封じ込めシステム

【課題】構造が簡易で費用対効果に優れた、廃棄物等の封じ込めシステムの提供。
【解決手段】対象領域を封じ込める封じ込めシステムであって、複数の平行な管であって、前記複数の平行な管の各々は、少なくとも他の一つの平行な管に隣接して、まとまって前記対象領域の下に位置する水平面を備えている連続バリアを形成する管と、前記複数の平行な管の各々を充填するバリア充填材と、前記連続バリアと協同して、前記対象領域を封じ込める複数の壁とを備え、前記複数の平行な管は複数のトンネルを備え、前記複数のトンネルの各々は、少なくとも他の一つの前記トンネルに連結している封じ込めシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、埋設廃棄物を現地で封じ込めるための方法および装置に関する。とりわけ本発明の実施形態は、埋設廃棄物からの浸出水を確実に封じ込めてこれを管理するための改良したバリア、およびその設置、使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多種の廃棄物の管理および処理は長年に亘る難問である。初期の廃棄物の管理および処理システムは、その当時に適当な処理規制や環境上の規制が無かったため幼稚なものであった。多くの場合、廃棄物をただ単に地下に埋設していた。埋設してきた廃棄物量は途方もない量である。アメリカ合衆国で埋め立て処理されるだけでも300万m3以上の埋設廃棄物を収容していると見積もる専門家もある。更には、埋設廃棄物の多くは、水銀やカドミウムのような重金属、トリクロロエチレンや放射性物質のような発ガン性物質、およびその他有害物質を含んでいる。
【0003】
埋設やこれに類する方法を用いれば、廃棄物を見えないようにして、見た目にはきれいになるが、埋設廃棄物からの廃水は、土壌を徐々に進んで地下水に入ることがまもなく判明した。この過程は一般には浸出として知られている。地下水は飲料用や農業用の主要な水源なので、浸出による地下水の汚染は重大な問題である。
【0004】
しかしながら、埋設廃棄物による汚染は、単に地下水に限ったものではない。地下水には、小川、川および湖のような水路に達して、それら水路を汚染し動植物の生命を害するものが少なくとも幾らかある。明らかに、汚染された水路は人間に対しても同様に脅威となり、とりわけ保養目的および/または飲料水源に使用される水路や水域(bodies of water)の場合には脅威である。
【0005】
地下水を汚染する全ての場合が、廃棄物源から化学物質が浸出して起きるものではない。場合によっては、廃棄物を地下水経路に埋設し、地下水が廃棄物を貫流するにつれて、廃棄物からさまざまな化学物質や毒素を集積し、そしてそれら化学物質や毒素を他の土壌や水路へ移動する。
【0006】
清浄な土壌や地下水は、概して、環境ばかりでなく人間や動植物の生命にとっても重要である。したがって、埋設廃棄物によって生じる問題を解決するために、様々な方法や装置が発明されてきた。これらの救済策は、汚染修復と封じ込めの範疇に大きく分類できる。汚染修復法は、被汚染物質や汚染物質の化学成分を変化させるような方法に注目する一方、封じ込め対策は、汚染物質や被汚染物質を周囲の地域から除去または隔離して汚染の問題を無くそうとする。
【0007】
生物的処理、熱処理、および化学処理のような汚染修復法は、様々な理由のために問題がある。特に、これら汚染修復の手法の多くは、高価であるとともに潜在的な危険をはらんでいる。更には、多くの処理法の有効性を検証するのが難しく、また汚染修復型の方法は全種の被汚染物質に対して適しているとは限らない。結局、とりわけ、そのような処理法を司る規制や手続が非常にこみ入っていることを考慮すると、適切な汚染修復の手法は、それ自体複雑で時間のかかる方法である。
【0008】
封じ込め、バリア、または現場での方法もまた問題がある。周知の封じ込め法の一つに、処置および/または処理するために、単に被汚染土壌を掘って取り除くものがある。この方法は高価であるとともに時間がかかり、また、せいぜい他の場所に問題を移動してしまうだけにすぎないことも多い。他の封じ込め法によれば、埋設廃棄物の周囲に鉛直および/または水平バリアを設置する。この方法は、掘削したりさもなければ埋設廃棄物を撹乱したりしないので、理論的には魅力的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これら封じ込めまたはバリアシステムは、耐久性、連続性、および完全性の欠如を含めて様々な不備がある。これらの不備は、下記を含むがこれらに限らない多くの要因の関数である。すなわち、要因としては、濃縮塩類溶解物や飽和方解石溶解物および石膏溶解物などのような刺激の強い化学物質にさらされること、凍結融解地域で典型的に経験する極端な温度勾配にさらされること、そして地面の移動により生じる応力にさらされることがある。
【0010】
透過係数は、流体や有害物質がバリアを貫流する速度であるが、幾つかのバリアシステムにあっては、それが容認できない程高く、また他の典型的なバリアシステムは、特に、硬岩や砂のような様々な土壌条件には適さない。更なる欠点は、多くのバリアシステムが、設置中および設置後のバリアの完全性を評価する方法を備えていないことであり、これは、封じ込め領域やそこからの浸出水を長期モニタリングする設備を多くのバリアシステムが備えていないことによって、複雑になっている。有害廃棄物を隔離しているバリアシステムを監視できないことは、環境に潜在的な被害を及ぼす可能性があるので、容認できない。周知の封じ込めシステムにおいて耐久性、連続性、および完全性がないことは、封じ込めシステムの性能に重大な影響を及ぼし、それら封じ込めやバリアシステムの有効性を簡単に決定若しくは評価できない。
【0011】
したがって、必要とされているのは、改良した現地封じ込めシステムおよびそのシステムを設置する方法である。具体的には、その封じ込めシステムは、広範囲の土壌の種類や条件に適合できるだけでなく、様々な物理および温度条件下でも完全性と有効性の両方を維持すべく耐久性あるものにすべきである。封じ込めシステムは、化学的に安定にすべきで、また、埋設廃棄物にて概して遭遇する化学物質、化合物、および微生物の攻撃に対して耐性あるものにすべきである。また、封じ込めシステムは、バリアが流体や化学物質を極力通し難くするために、低い透過係数を有するべきであり、また封じ込めシステムは、設置中および設置後の両方においてバリアの完全性を監視すべきである。更には、封じ込めシステムは、封じ込めシステムが囲む領域を長期モニタリングできるようにすべきであり、また対象領域からの浸出水を監視可能にすべきである。また、封じ込めシステムおよびその設置方法の両方とも、比較的簡単で費用対効果が高いものとすべきである。最後に、その設置方法においては、封じ込めシステムが適切に配置され、方向付けられることを確保すべきである。
【0012】
本発明は、現在の技術に答えるべく開発されてきたものであり、とりわけ、現在利用可能な廃棄物封じ込めシステムおよび方法が、十分かつ完全には解決していない、これらの問題や他の問題および必要性に答えるべく開発されてきたものである。
【0013】
したがって、本発明の一つの目的は、簡単ではあるが費用対効果が高い廃棄物封じ込めシステムを提供することである。
【0014】
また、本発明の他の目的は、費用対効果が高い封じ込めシステムの設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
埋設廃棄物の環境への影響は、非常に甚大なものとなる虞があり、前記影響は、埋設廃棄物が位置する領域に限らない。なぜなら、埋設廃棄物によって発生し付随する化学物質、毒素、および他の有害物質は、しばしば地下水に入り、そして周囲の他地域へ運ばれるからである。これらの化学物質およびその他の危険物質は、最後に飲料水、灌漑用水、河川、湖、および他の水源で見つかる虞がある。この意味では、埋設廃棄物は、人間、動植物の健康に悪影響を及ぼし、また環境をも害する。
【0016】
多くの場合、埋設廃棄物の移転は難しく、埋設廃棄物を移転すると、実際には更なる害をもたらす。このような場合には、埋設廃棄物を効果的に隔離するバリアによって埋設廃棄物を取り囲んで、埋設廃棄物を封じ込めるのが望ましい。本発明に係る封じ込めシステムおよびバリアは高度化封じ込めシステムを提供し、この高度化封じ込めシステムは、連続性、耐久性を有し、および様々な地質や環境条件において機能するものである。更には、高度化封じ込めシステムの有効性を長期間に亘って確認することができる。
【0017】
好ましい実施形態にあっては、封じ込めシステムは、一つ以上のバリアを備え、このバリアは、各ケーシングにある連結構造によって長手方向に連結される複数の金属製のケーシング部からなる。バリアは、一つ以上のコンクリート壁と協同して、少なくとも埋設廃棄物の一部分を協働して取り囲む。
【0018】
好ましくは、最初に対象領域の下にバリアを設置する。特に、小型トンネル掘削機(micro-tunneling device)等によって、個々の鋼製ケーシング部からなる列を配置するが、この小型トンネル掘削機は、トンネル掘削が進むにつれて、トンネルを掘削すると同時に、小型トンネル掘削機の後方に、連結するケーシングセグメントを設置する。トンネルの長さは、封じ込めるべき対象領域の大きさから決まる。好ましくは、小型トンネル掘削機は、トンネルおよびケーシング部の正確な配置および向きを確認するためのシステムを備える。各トンネルを掘削し、そしてこのトンネルをケーシング部によって裏打ちし、引き続いて隣接するトンネルを掘削し、そこにケーシング部を配置し、先立って掘削したトンネル内に配されたケーシング部と長手方向に連結し、所期の幅の連続バリアを形成する。
【0019】
ケーシング部およびこれらを連結させる連結部には、強度、耐久性、および不透水性を更に上げるために、グラウト等を充填するのが望ましい。好ましい実施形態にあっては、二つの鉛直バリアを水平バリアの両端部に連結して、一つの水平バリアおよび二つの鉛直バリアによって連続したU若しくは溝形の封じ込めの境界を、対象領域の周囲に協働して形成する。水平および/または鉛直バリアは、同時に設置されるセンサーを備え、設置中および設置後に前記バリアの完全性および性能を監視できることが望ましい。好ましい実施形態にあっては、前記バリアは、また対象領域および付随する浸出水の長期モニタリング用のセンサーを備える。
【0020】
前記溝が完成した後、封じ込め領域の両端にコンクリート壁を設置し、これによって、前記バリアと協同して上部以外の全側面において封じ込め領域を取り囲む。随意、前記バリアの内の少なくとも一つは、集積システム等と流体的に連通する一つ以上の開口を備えて、前記集積システム等によって、前記開口を通って流出する浸出水を監視し、集積し、そして処理することができる。
【0021】
本発明に係る更なる目的および利点は、続く説明に示しており、ある程度は前記説明から明らかであろうし、または本発明を実施することでわかるであろう。本発明の目的および利点は、特に添付の特許請求の範囲内に示した機器や組み合わせによって理解され把握されるであろう。本発明に係るこれらおよび他の目的と機能は、以下の説明、および添付の特許請求の範囲から更に十分明らかになるであろうし、また以降に示すように、本発明を実施することでわかるであろう。
【0022】
上記列挙したことや、本発明に係る他の利点および目的を獲得する方法を更に十分に理解するためには、添付図に示すその具体的な実施形態を参照すれば、本発明に係る更に詳細な説明が示されるだろう。これら添付図は、単に本発明に係る典型的な実施形態を示すだけであり、それ故、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではないことを理解すれば、同じものを製造し使用するための、本発明および本発明に係る現在把握されている最良の形態を、添付図を用いて他の特徴や細部と共に示され、説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】対象領域の下にケーシング部を設置する小型トンネル掘削機の斜視図である。
【図1A】同時に二つのトンネルを掘削する一実施形態の横断面図であって、トンネルの前端に向かって見たものを示すとともに、隣接するトンネル間の相互接続の様子を示している。
【図1B】同時に三つのトンネルを掘削する一実施形態の横断面図であって、トンネルの前端に向かって見たものを示すとともに、隣接するトンネル間の相互接続の様子を示している。
【図1C】隣接するケーシング部同士間の連結構造の一実施形態の横断面図を示す。
【図2】設置した封じ込めシステムの一実施形態の斜視図である。
【図3】浸出水の集積および処理に用いるバリアの一実施形態の図である。
【図4】対象領域およびバリアを監視するための複数のセンサーを備えたケーシング部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
埋設廃棄物によって生じる汚染物質が地下水に達した時から、埋設廃棄物による環境への脅威が始まる。一旦地下水が汚染されると、将来起こりうる被害は甚大である。なぜなら、概して地下水は川や湖へ流れ、そこは、しばしば飲料水や灌漑用水の水源だからである。この意味では、埋設廃棄物により生じる汚染物質は、基本的に動植物や人間にまで到達する。
【0025】
本発明に係る高度化封じ込めシステム(ACS)は、対象領域を隔離することによって、埋設廃棄物のこれらおよびその他の懸念に対処する。そしてそれにより幾つかの大きな利点がある。このACSは、様々な大きさと形状の連続バリアを造ることができる。連続バリアは、飽和している対象領域と飽和していない対象領域の両方に設置できて、また軟質土壌から硬岩に至る様々な地質に設置することができる。ACSによれば、連続バリアを連続的に構築できるとともに、連続バリアの設置状態を検証することができる。また、ACSによれば、連続バリアの水理性能(hydraulic performance)を著しく改善できて、長期間に亘り連続バリアの性能を監視することができる一方、費用効果に優れる。
【0026】
ここで用いるように、「埋設廃棄物」は、材木やコンクリートブロックのような建設材料や取り壊し材料、グラスウールや配管のような実験器材、バルブやイオン交換樹脂や熱交換器のような処理器材、油やグリースのような保全用品、紙やぼろ切れやプラスチックのような浄化材料、有害物質や放射性物質、および地下に埋められる他の任意種類の廃棄物またはゴミをいう。埋設廃棄物という用語は、埋設廃棄物から生じて周囲の土壌や地下水へ浸出する化学物質や他の物質を含む。「対象領域」は、埋設廃棄物を含んでいる地面の面積または体積をいう。封じ込めシステムは、概して対象領域を、周囲の地面や水から隔離するようになっていて、埋設廃棄物や付随する浸出水を地理的に対象領域に閉じ込める。
【0027】
本発明を、図表に関して説明する。このように、本発明を示すために図表を用いることを、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。むしろ、図表は、本発明に係る代表的な実施形態を意図している。更には、図表は、必ずしも一定の縮尺で描いてはいない。
【0028】
概して、本発明は、埋設廃棄物および付随する浸出水を現地にて監視し、制御し、管理するための高度化封じ込めシステムに関する。図1〜図4に、高度化封じ込めシステムに係る現状好ましい様々な実施形態を示す。本発明に係る他の実施形態も利用することができて、このような図に限られるものではない。
【0029】
図1に、封じ込めシステムによって隔離する対象領域100を示す。対象領域100を封じ込めるために、最初に、埋設廃棄物102を含んでいる対象領域100の両側にトレンチ200を掘る(トレンチを一つだけ示す)。それから、小型トンネル掘削機300をトレンチ200内に配置する。トレンチ200によれば、小型トンネル掘削機300を簡単に導入できるが、実施形態の中にはトレンチ200を造らなくても良いものもある。トレンチ200を掘る際に、土壌が汚染されている場合には、これを適宜な認可された方法によって処理する。更に、小型トンネル掘削機300で掘削した全ての土壌もまた、集積し、調査し、同様の方法によって処置する。
【0030】
小型トンネル掘削機300の一つの典型は、小口径管推進機(micro tunnel boring machine)若しくは小型TBMとして周知である。好ましい実施形態としては、小型トンネル掘削機300は、土壌104を回転掘削するためのオーガヘッド302等を備える。しかしながら、本発明に係るバリアシステムが、任意の異なる種類の土壌や岩、若しくはその組み合わせのものに対して設置しても良いことは考慮されている。したがって、「二重管ダウンザホール」ドリル(double-tube down the hole drills)(硬質土壌や軟岩に好ましい)、回転衝撃式ドリル(rotary percussion drills)(硬岩に好ましい)、多連式トンネル掘削機(Multi-face Tunnel Boring Machine)、多連式シールドトンネル掘削機(Multi-face Shielded Tunnel Boring Machine)、水平な切断スクリューオーガを備えた多連式シールドトンネル掘削機(Multi-face Shielded Tunnel Boring Machine with a Horizontal Cutting Screw Auger)、パイプ推進機(Pipe Propulsion)、曲がりパイプ推進機(Curved Pipe Propulsion)、トレンチ切断機(Trench Cutting)等を含むがこれらに限定されない他の掘削装置によって、封じ込めまたはバリアシステムを設置することは、本発明の範囲内であると考える。軟質土壌にトンネルを構築する速度は約50メートル/日が、硬質土壌/軟岩は約25メートル/日が、また硬岩は8メートル/日が望ましい。
【0031】
対象領域内に埋設廃棄物を封じ込めるために、小型トンネル掘削機300によって、対象領域の下に多数のトンネルを平行に連続して掘る。好ましくは、各トンネルは断面円形状が望ましい。しかしながら、本発明では、広範な様々に異なる断面形状のトンネルも本発明の範囲内として考える。各トンネルはトレンチ200から始まり、対象領域100の反対側のトレンチ200で終わる(図示せず)。掘削が進むにつれて、小型トンネル掘削機300は、各トンネルの内側に管401を形成するように、各トンネルを複数のケーシング部400によって裏打ちする。トンネル掘削中に設置されるケーシング部400の一つの機能としては、既に掘削されたトンネルの部分を支持することである。硬岩のように物理的に支えになる基盤の場合には、ケーシング部400は必要ないであろう。好ましい実施形態としては、ケーシング部400は、鋼等から最適に構成される本体403を備える。しかしながら、鋼の機能性および耐久性を備えるような他のケーシング用の材料も本発明の範囲内として考える。他のケーシング材料はコンクリートやそのようなものを含むが、これに限るものではない。
【0032】
好ましい実施形態において、各トンネルは直径約0.5mである。更にトンネルは、長さが約50mから150mの範囲であることが望ましい。
【0033】
別の実施形態を、図1A中のステップ(i)〜(vi)に示す。この実施形態においては、小型トンネル掘削機300(図示せず)によって、二本の平行な、一部が重なっているトンネル250Aおよび250Bを、それぞれほぼ同時に掘削する(ステップ(i))。一部重なったトンネル250Aおよび250Bは、ほぼ断面円形状が好ましい。しかしながら、本発明にあっては、広範な様々に異なる断面形状のトンネルも本発明の範囲内であると考える。小型トンネル掘削機300は、好ましくは、二連式TBM(double-multiface TBM)等からなる。掘削が進むにつれて、一部重なったトンネル250Aに、バリア充填材252を充填する(ステップ(ii))。バリア充填材252は、グラウト、セメント、コンクリート、ベントナイトベースの材料、改質セメント、ポリシロキサン、アクリルポリマー、またはそのようなものが好ましい。一部重なったトンネル250Aおよび250Bを掘削して、一部重なったトンネル250Aを充填するとほぼ同時に、バリア充填材形成体254を一部重なったトンネル250Bに配置して、図1A(ステップ(ii))に示すようにバリア充填材形成体254のまわりにバリア充填材252を注ぎ込み若しくは注入して、バリア充填材252からなる中空管を形成する。一部重なったトンネル250Bを完全に掘削した後、これをバリア充填材252で埋め戻す(ステップ(iii))。それから、この工程を繰り返して、一部重なったトンネル250Bの一部分を、一部重なったトンネル250A’の掘削の一部として切り取られ(図1Aを参照)、そしてこの掘削順序を必要に応じて繰り返す(ステップ(iv)〜(vi))。この別の実施形態においては、ケーシング部400は必要ない。
【0034】
更に、もう一つの別の実施形態を、図1B中のステップ(i)〜(vi)に示す。この実施形態にあっては、例えば三連式シールド機(triple multiface shielded machine)等のような掘削機(図示せず)によって、三本の平行な、一部重なったトンネル250C、250D、および250Eをそれぞれほぼ同時に掘削する。あるいは、掘削機(図示せず)は二重シールドTBM(two shielded TBMs)からなり、このTBMsは、掘削量や続く充填に要するバリア充填材252の充填量を減らすために、これらの間に配された水平なスロット/オーガカッターを備える。一部重なったトンネル250C、250D、および250Eは、ほぼ断面円形状が好ましい。しかしながら、本発明にあっては、広範な様々に異なる断面形状のトンネルも本発明の範囲内と考える。
【0035】
掘削が進むにつれて、一部重なったトンネル250Cおよび250Eにバリア充填材252をほぼ充填する。一部重なったトンネル250C、250D、および250Eを掘削して、一部重なったトンネル250Cおよび250Eを充填するとほぼ同時に、バリア充填材形成体254’を一部重なったトンネル250Dに配置し、そして図1B中のステップ(ii)に示すように、バリア充填材形成体254’の周りにバリア充填材252を注ぎ込み若しくは注入する。一部重なったトンネル250Dを完全に掘削した後、図1C中のステップ(iii)に示すように、これをバリア充填材252で埋め戻す。または、トンネル250Dは空洞のままでも良い。それから、図1B中のステップ(iv)〜(vi)に示すように、この工程を繰り返して、一部重なったトンネル250Eの一部分を一部重なったトンネル250C’の掘削の一部として切り取って、そしてこの掘削順序を必要に応じて繰り返す。この別の実施形態にあっては、ケーシング部400は必要ない。
【0036】
続いて図1を参照すると、小型トンネル掘削機300は、好ましくは正確な掘削を確実にするための制御システム(図示せず)を備える。最初に掘削するトンネルの位置合わせおよび方向付けは重要である。なぜなら、この最初のトンネルを基準にしてその次以降の全トンネルを掘るからである。特に、その次のトンネルを掘ってこのトンネルをケーシング部400によって裏打ちする際には、その次に掘削したトンネル内に設置された各ケーシング部400は、先立って掘削されて裏打ちされたトンネル内の隣接するケーシング部400に長手方向に連結され、よって、図1に示すように連続バリアセグメント500Aを形成する。好ましい実施形態としては、バリアセグメント500Aはほぼ水平である。
【0037】
隣接するケーシング部400に連結するように改造した、補完的な連結構造402Aおよび402Bの一実施形態を図1Cに示す。補完連結構造402Aおよび402Bには、隣接するケーシング部400に確実に連結する点において二つの利点がある、そして、一度最初のトンネルを掘削するとともに、このトンネルをケーシング部400によって裏打ちすれば、補完連結構造402Bによって、隣接するケーシング部400の補完連結構造402Aを正確かつ確実に正しい位置へ案内する、よって、これらケーシング部400やバリアセグメント500Aの全体としての正確な配置および方向付けを確実に行える。補完連結構造402Aおよび402Bが、本発明の教示に従って実施可能な構造の一つの実施形態のみを表していることには注目すべきであり、そうすれば、本発明がこれらに限るものであるとは考えられない。補完連結構造402Aおよび402Bの機能を達成するために、任意の様々な構造配列を有利に用いることができるだろうと考える。したがって、それらの構造配列もまた本発明の範囲内であると考える。前述した代替可能な二つの連結配列を図1Aおよび図1Bにそれぞれ示す。
【0038】
一度バリアセグメント500Aを設置すれば、小型トンネル掘削機300(図示せず)によって同じ要領でバリアセグメント500Cおよび500Bを設置して、図2に示すようなU形形状を形成する。特にバリアセグメント500Bは、端部のケーシング502にて、補完連結構造402Aおよび402Bを介してバリアセグメント500Aと連結し、そして、その次以降のトンネルの掘削および裏打ちは、端部のケーシング502からほぼ鉛直上方へ向けて、バリアセグメント500Bが所期高さになるまで続く。同様にバリアセグメント500Cは、補完連結構造402A等を用いて、バリアセグメント500Aの補完連結構造402B等に端部ケーシング504にて連結し、その次以降のトンネルの掘削および裏打ちは、端部のケーシング504からほぼ鉛直上方へ向けて、バリアセグメント500Cが所期高さになるまで続く。好ましい実施形態として、三枚のバリアセグメント500A、500B、および500Cにて形成されるほぼU形バリア500を示しているけれども、本発明はU形と同じ機能を有する、V形形状のような他のバリアも本発明の範囲として含むが、これに限るものではないことに注意すべきである。
【0039】
バリアセグメント500A、500B、および500Cを設置する際には、図2に示すように、ケーシング部400および連結の隙間404にバリア充填材252を充填するのが望ましく、バリア充填材252は、グラウト、セメント、コンクリート、ベントナイトベース材料、改質セメント、ポリシロキサン、アクリルポリマー等である。充填すれば、連結の隙間404は、ケーシング部400を充填した場合のケーシング部400と同じ完全性、性能、および機能性を有する連結部となる。したがって、バリア充填材252は鋼製ケーシング部400と協同してバリア500を造り、このバリア500は、たとえ、方解石、石膏、およびそのようなもので飽和した溶解物にさらされた場合でも化学的に安定である。更には、バリア500は高水準の連続性を有し、また化学物質、微生物等による攻撃に耐える。その上、結果としてできたバリア500は、低い透過係数K、好ましくはK≦10−7cm/secを有し、そのためバリア500は、埋設廃棄物102により生じる浸出水106に対しほぼ不浸透である。結果、このようにしてできたバリア500は熱的に安定であり、地盤移動や高い温度勾配を含む広範な様々の物理および熱条件下でも完全性と有効性を保つ。バリア500は、特に凍結融解状態や、降雨量が多く高水準の地下水流が生じる状況に用いるのに適している。
【0040】
ここで挙げたバリアセグメント500A、500B、および500Cの機能を奏する様々な手段を有益に使用して良いことには注意すべきである。バリアセグメント500A、500B、および500Cは、浸出水の流動を抑えるための、および対象領域内に埋設廃棄物を封じ込めるためのバリア手段の一例である。したがって、ここで開示した構造は、単にこれらの機能を奏することができる構造の一実施形態を表しているに過ぎない。本構造は、単に一例という目的で示しており、いかなる方法においても、本発明の範囲を狭めるものとして解釈すべきではないことを理解すべきである。
【0041】
一度バリアセグメント500A、500B、および500Cを設置してバリア充填材252で充填すると、図2に示すように複数のコンクリート壁600(わかりやすくするために略し一つの壁のみ示す)を、バリアセグメント500A、500B、および500Cに隣接するように、トレンチ200(わかりやすくするために略し一つのみ示す)内に設置して位置させる。よって、壁600は、バリア500と協同して封じ込めシステムを形成し、この封じ込めシステムは、対象領域100を封じ込めて、そして埋設廃棄物102および付随する浸出水106が対象領域100から漏れ出ないようにする。
【0042】
壁600は、コンクリート、グラウト、ベントナイトベースの材料等を備えることが望ましい。別の実施形態にあっては、バリアセグメントは500A(図1および図2)だけを設置して、壁600(図2)をバリアセグメント500Bおよび500Cに代えて設置する。または、バリアセグメント500Aを、その両端が対象領域の上に延長するように曲げて、この場合、壁600は不要になる。更には、バリアセグメントや壁の様々な組み合わせや配列は本発明の範囲内のものであり、ここで述べた他の組み合わせや配列を含むがこれに限るものではないものと考える。
【0043】
別の実施形態にあっては、図3に例示するように、埋設廃棄物102により生じる浸出水106の集積および処理を容易にするように、バリアセグメント500Aを構成している。特に、少なくとも幾つかのケーシング部400は未充填のままになっている。すなわちバリア充填材252で充填されず、複数の穴508が開いていて、これら穴508は、まとまって開口または「窓」を形成しており浸出水106をケーシング部400に流入させる。そして、このケーシング部400にて浸出水を集積して蓄積タンク700等に送水し、この蓄積タンク700にて保持し処理システム800によってその次の処理をする。好ましい実施形態としては、蓄積タンク700は、様々なパラメータを監視するための複数のセンサー702等を備え、パラメータには、蓄積タンクの浸出水の液位を含むがこれに限るものではない。好ましい実施形態としては、処理システム800は、任意の様々な周知の方法によって、前記浸出水を分析および/または処理して、化学物質、ミネラル、金属、および他の所期材料を抽出する。本発明の範囲内であると考えられる周知の方法には、ろ過等を含むがこれに限るものではない。
【0044】
最後に、本発明に係る封じ込めシステムの重要な機能は、封じ込めシステムの完全性と性能を監視できることである。また、監視システムは、予測能力も持っていて、それにより封じ込めシステムにおいて潜在的に問題のある範囲と欠陥を予測することができる。更には、本発明の監視システムは、対象範囲100からの浸出水106の排出および流出を検出する。浸出水106や他の排出液の監視は重要である。なぜなら、とりわけ、それによって、対象領域100の状態と組成とを現場作業者が評価できるからである。
【0045】
図4に示すように、「スマート」ケーシング部400Aは、前記機能を奏する様々な埋め込みセンサーを内蔵することが考えられる。ここで用いるように、「埋め込みセンサー」は、ケーシング部400Aの内側に、および/またはケーシング部400Aの外側表面408に位置するそれらセンサーをいう。スマートケーシング部400Aの好ましい実施形態にあっては、内側センサーおよび外側センサーの両方とも考慮する。最初に、外側センサーに関しては、存在/濃度センサー406が、スマートケーシング部400Aの外側表面408の凹部に置かれており、浸出水106中にあろうと土壌104中にあろうと、汚染物質108の種類や濃度を両方とも測定する。同じやり方で、分布センサー410が、スマートケーシング部400Aの外側表面408の凹部に置かれており、土壌104中の汚染物質108および/または浸出水106の空間分布を測定する。同様に、放射線検出測定センサー(「RDM」)412が、スマートケーシング部400Aの外側表面408の凹部に置かれており、対象領域100での放射能を監視するとともに報告する。好ましい実施形態にあっては、存在/濃度センサー(presence/concentration sensor)406、分布センサー410、およびRDMセンサー412を、補完連結構造402Aおよび402Bから遠く離れた位置のスマートケーシング部400Aに設ける。
【0046】
これらそれぞれの検出機能に加えて、存在/濃度センサー406、分布センサー410、およびRDMセンサー412は、処理し解析するための実時間データ管理システム414へデータを送信するように構成されている。好ましくは、実時間データ管理システム414は、コンピュータベースのアプリケーションからなり、ハードウェア、ソフトウェア、センサー出力端子、測位情報部、およびデータ解析機能部をまとめてなるものである。
【0047】
様々な異なる種類のセンサーが、存在/濃度センサー406、分布センサー410、およびRDMセンサー412の機能を奏するものとして考えられる。特に存在/濃度センサー406の機能は、フーリエ変換赤外線分光計(Fourier transform infrared spectrometry)(FTIR)、時間領域電磁気(time domain electromagnetics)等によるばかりでなく、表面弾性波(SAW)若しくは、電界効果トランジスターのようなソリッドステートセンサー(solid state sensor)によってなされるのが望ましい。時間領域電磁気は、それらの設置位置の導電率や媒体の誘電性の差異を測定することによって、汚染物質の存在、位置および濃度を測定するものであり、この時間領域電磁気もまた、空間分布を測定する分布センサー410の機能を好適に奏する。RDMセンサー412による放射線検出測定機能は、ガンマ線分光計、プラスチックシンチレータ、シンチレーティングファイバー(scintillating fibers)、小型チャンバー検出器(miniature chamber detectors)等によってなされるのが望ましい。本発明は、ここで示した機能を奏する様々な他種のセンサーも本発明の範囲内であると考えることに注意すべきである。
【0048】
図4に示すように、スマートケーシング部400Aは、また様々な内側センサーも備え、スマートケーシング部400Aの完全性にかかわる多くの別の機能を奏する。これらセンサーは、スマートケーシング部400Aの内側にあるので、設置が行われている間でも、様々な設置中の様子を監視することができる。連続するスマートケーシング部400Aの間の連結部は、浸出水106や汚染物質108の漏出路になる可能性があるので、それら連結部の完全性は特に重要である。したがって、連結部用完全性センサー418によって、連続するスマートケーシング部400A間の連結部の完全性を評価する。すなわち、連結部用完全性センサー418は、連結部に、浸出水106および/または汚染物質108が漏れ出し得るような亀裂、空隙、または他の欠陥があるかどうかを測定し、そして連結部用完全性センサー418は、亀裂や空隙の発生や進展も検出する。存在/濃度センサー406、分布センサー410、およびRDMセンサーと同様に、連結部用完全性センサー418は、処理および分析をするための実時間データ管理システム414へデータを送信する構成になっている。
【0049】
連結部の完全性は、幾つかの別の方法で評価することができる。この機能を奏する好ましいセンサーには、可聴音/超音波時間領域反射率センサー(acoustic/ultrasonic time domain reflectometry sensors)があり、これは、スマートケーシング部400Aのような構造物中の亀裂や大きな空隙を検出する。また、周知の光ファイバーセンサーは、光ファイバーの原理を用いて、スマートケーシング部400Aの歪みを測定し、それによって、スマートケーシング部400A中の空隙や亀裂の発生および成長を検出する。連結部の完全性は、様々な別の方法で有意義な評価ができるので、本発明は、直接的若しくは間接的に連結部完全性を測定、評価するのに適した任意の種類のセンサーも本発明の範囲内であると考える。また、前記種類のセンサーは、スマートケーシング部400A自体の構造部の完全性を評価するのに同じく適しており、すなわち、それらを単に連結部の完全性の評価だけに用いるわけではないことに注意すべきである。
【0050】
スマートケーシング部400Aの構造部および連結部の完全性を評価するためのセンサーに加えて、本発明に係るバリアのスマートケーシング部400Aは、浸出水106や汚染物質108の流動や漏出を検出するための流動センサー420も備える。好ましい実施形態にあっては、流動センサー420は、光ファイバーを内蔵するセンサーを備えており、この光ファイバーは、例えば、揮発性有機化合物(VOCs)、これは本発明に係るバリアのスマートケーシング部400Aから漏出するおそれがあるものであるが、これを測定する光波分光学(optical spectroscopy)機能が加えられている。しかしながら、化学物質の移行(chemical migration)、VOCsの排出等の測定に適した他の流動センサーは、本発明の範囲内であると考える。図4に示すように、流動センサー420は、処理や分析をするための実時間データ管理システム414へデータを送信するように構成されているのが望ましい。
【0051】
スマートケーシング部400Aの好ましい実施形態は、また一つ以上の予測センサー422を備え、それにより、バリア充填材252および/またはスマートケーシング部400A中の破損の前兆を確認する。好ましい予測センサー422の一つとして、バリア充填材252の誘電透過率(dielectric permeability)および/または誘電率の変化を測定するセンサーがある。誘電透過率および/または誘電率の変化は、概して、バリア充填材252の性能における巨視的変化の前兆であり、これ故、封じ込めシステム全体としての変化の前兆である。別の実施形態においては、予測センサー422は電源とアンテナアレー(図示せず)とからなり、これらを、バリア充填材252の抵抗率変化を測定するために用いる。設置時に測った基準線からの抵抗率の変化によって、バリア充填材252の割れや空洞(pocket)がわかるであろう。
【0052】
予測センサー422は、好ましくは犠牲陰極等を備え、スマートケーシング部400Aを通る伝導経路を検出する。スマートケーシング部400Aを通る伝導経路があると、ついにはスマートケーシング部400Aに欠陥が生じるであろうということがわかる。電気化学的な作用は、伝導経路が存在する時だけ生じるので、犠牲陰極での電気化学作用によって、スマートケーシング部400Aの破損を予測できる。図4に示すように、予測センサー422は、処理や分析をするための実時間データ管理システム414へデータを送信するように構成されるのが望ましい。本発明は、類似の予測能力を有する任意のセンサーも、本発明の範囲内であると考え、よって、本発明がここで挙げて述べたそれら実施形態に限られるものであると解釈すべきではないことに注意すべきである。
【0053】
図1Aおよび図1Bに示す本発明に係る別の実施形態にあっては、掘削および/または埋め戻しを行う時に、ここで示した幾つか若しくは全てのセンサーを配置しても良い。
【0054】
また、封じ込めシステムは、複数の層を有するバリアの利益も得ることができる。コンクリートや他の適材にて金属ケーシングを充填すれば、少なくとも三層の封じ込めとなる。第一層はケーシングの上部からなる。第二層は、連結構造部と同様にケーシング部にも充填するコンクリート若しくは他の適材からなる。封じ込めの第二層が生じることに加えて、コンクリートによってバリアの強度は更に高まる。第三層はケーシングの下部からなる。第一層の完全性と連続性とを指示する前記センサーを、第二層および第三層に設けることもできる。結果としてできたバリアは、連続的で耐久性があり検証することが可能であって、そして長期に亘って有効にその完全性および性能を測定することができるように計装することができる。
【0055】
本発明を埋設廃棄物の面から説明してきたが、本発明のシステムおよび方法は他に応用できる。例えば、穴のあいたケーシングを備えるバリアを、採掘原料を集積する採鉱作業に使用しても良い。採掘した原料を所定量集積したら、この集積物を穴のあいたケーシング内の集積器から簡単に取り出せる。他の応用としては、穴のあいたバリアを農業用途に使用することも挙げられる。例えば、農業区画に引くための水は、概して特定の場所に流れ込む。穴のあいたケーシングを備えた封じ込めバリアを排水区画に設置することができる。スマートケーシングに、灌漑用水から肥料や殺虫剤のような汚染物質を除去するように作動する機構を設けても良い。
【0056】
本発明を、本発明の精神や必須の特徴にもとることなく、他の具体的形態にて具現化しても良い。説明した実施形態は、全ての点において、例示としてだけ考えて、制限するものと考えるべきではない。それ故、本発明の範囲は、前述した説明よりもむしろ添付の特許請求の範囲に示されている。特許請求の範囲と同等の意味や範囲内の全ての変形は、これらの範囲内に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域を封じ込める封じ込めシステムであって、
(a)複数の平行な管であって、前記複数の平行な管の各々は、少なくとも他の一つの平行な管に隣接して、まとまって前記対象領域の下に位置する水平面を備えている連続バリアを形成する管と、
(b)前記複数の平行な管の各々を充填するバリア充填材と、
(c)前記連続バリアと協同して、前記対象領域を封じ込める複数の壁と、
を備え、
前記複数の平行な管は複数のトンネルを備え、前記複数のトンネルの各々は、少なくとも他の一つの前記トンネルに連結している、
封じ込めシステム。
【請求項2】
前記複数の平行な管の各々は補完連結構造を備え、当該補完連結構造によって前記複数の平行な管は互いに連結され、前記複数の平行な管が連結される際に生じる連結の隙間を前記バリア充填材が充填している、請求項1に記載の封じ込めシステム。
【請求項3】
前記複数の壁は四つの壁を有し、各前記壁は、前記連続バリアと協同して前記対象領域を封じ込めるように、前記連続バリアの対応する縁に垂直にかつ隣接して設けられている、請求項1に記載の封じ込めシステム。
【請求項4】
前記連続バリアは端部が開放されている溝(an open-ended channel)の形状に形成されており、前記複数の壁は二つの壁を備え、前記複数の壁が前記連続バリアと協同して前記対象領域を封じ込めるように、各前記壁は前記溝の開放されている前記端部に隣接して設けられる、請求項1に記載の封じ込めシステム。
【請求項5】
対象領域を封じ込める封じ込めシステムの設置方法であって、
(a)前記対象領域に隣接する複数の平行な管を据え付けるステップと、
(b)前記平行な管の各々を、少なくとも一つの隣接する前記平行な管と連結して、前記複数の平行な管によって、まとまって連続バリアを形成するステップと、
(c)前記連続バリアにバリア充填材を充填するステップとを備え、
前記対象領域に隣接する複数の平行な管を据え付けるステップは、複数の平行なトンネルを掘削する工程と、前記複数の平行な管の各々を対応する前記平行なトンネルへ据え付ける工程とを備える、封じ込めシステムの設置方法。
【請求項6】
複数の壁が前記連続バリアと協同して前記対象領域を封じ込めるように、前記対象領域に隣接する複数の壁を据え付ける、請求項5に記載の設置方法。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−167685(P2011−167685A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54065(P2011−54065)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【分割の表示】特願2001−542644(P2001−542644)の分割
【原出願日】平成12年12月4日(2000.12.4)
【出願人】(501445988)バテル エナジー アライアンス,エルエルシー (14)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】