説明

高度情報取得システム、高度情報取得装置及びプログラム

【課題】携帯端末装置の高度情報を場所や温度の影響を受けることなく、建物フロア精度で得られるようにする。
【解決手段】携帯端末装置4は、撮影機能、二次元位置(緯度、経度)測定機能、及び仰角検出機能を有する。高度算出サーバ2は、携帯端末装置4から送信された緯度情報、経度情報、仰角情報及び画像情報を用いて携帯端末装置4の高度を算出する。高度算出サーバ2は、三次元地図情報データベースと、携帯端末装置4から送信された撮影画像と一致する照合用画像を三次元地図情報から生成し、照合用画像上に基準点を設定するとともに、基準点の三次元地図情報における高度情報と、携帯端末装置4から送信された緯度情報、経度情報及び仰角情報に基づいて、携帯端末装置4の高度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置の高度情報を取得するシステム、装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末装置の三次元位置(緯度、経度、高度)に応じて、三次元位置に関連付けられた対象物に関する情報を携帯端末装置に提供するシステムがある(特許文献1参照)。このシステムは、カメラ付携帯電話機などのカメラ付携帯端末装置と、通信ネットワークを介してカメラ付携帯端末装置と通信可能なサーバとを有し、カメラ付携帯端末装置は建物の撮影中に三次元位置情報(緯度情報、経度情報、高度情報)及び向き情報をサーバへ送信し、サーバは受信した三次元位置情報及び向き情報に対応する三次元位置に存在する建物内の店舗などに関する情報をカメラ付携帯端末装置へ送信し、カメラ付携帯端末装置では受信した情報を撮影中の建物の画像に付加してディスプレイに表示することで、拡張現実感を実現する。
【0003】
このシステムでは、サーバのデータベースには、建物内に存在する店舗などの対象物に関する情報がその対象物の存在するフロアの三次元位置に関連付けられて保存されており、サーバは、携帯端末装置内蔵のGPS(Global Positioning System)受信機で生成された三次元位置情報、及び方位センサ(地磁気センサや加速度センサ)で生成された向き情報を受信し、それらの情報に対応する位置に存在する建物を特定するとともに、その建物内に存在する対象物に関する情報をデータベースから検索して携帯端末装置へ送信する。携帯端末装置のディスプレイには、撮影中の建物内に存在する対象物に関する情報が対象物の存在するフロアを識別できるように表示される。
【0004】
しかしながら、GPSは水平方向に比べ、垂直方向の測位精度が低いため、正確な高度情報を得ることはできないという問題がある。高度計(気圧計)などを用いれば正確な高度情報が得られるが、搭載デバイスやコストの制限が大きく、実現は困難である。また、温度による誤差が大きく、建物フロア精度の高度情報を得ることは極めて困難である。Wi−Fi基地局位置と電波強度から建物のフロアを認識する技術はあるが、基地局が整備されているエリアが限られているため、実際に使用できる場所は少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−355058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、携帯端末装置の高度情報を場所や温度の影響を受けることなく、建物フロア精度で得られるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、緯度情報、経度情報及び仰角情報の取得機能、並びに撮影機能を有する携帯端末装置と、その携帯端末装置から送信された緯度情報、経度情報、仰角情報及び画像情報を用いて前記携帯端末装置の高度情報を取得する高度情報取得装置とからなる高度情報取得システムであって、前記高度情報取得装置は、三次元地図情報データベースと、前記画像情報により構成される撮影画像と一致する照合用画像を前記三次元地図情報から生成する照合用画像生成手段と、前記照合用画像上に基準点を設定するとともに、該基準点の前記三次元地図情報における高度情報と、前記緯度情報、経度情報及び仰角情報に基づいて、前記携帯端末装置の高度を算出する高度算出手段とを有することを特徴とする高度情報取得システムである。
【0008】
[作用]
本発明によれば、高度情報取得装置は、携帯端末装置による撮影画像と一致する照合用画像を三次元地図情報から生成し、照合用画像上に基準点を設定するとともに、基準点の三次元地図情報における高度情報と、携帯端末装置の緯度情報、経度情報及び仰角情報に基づいて、携帯端末装置の高度を算出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、携帯端末装置の高度情報を場所や温度の影響を受けることなく、建物フロア精度で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態の高度情報取得システムを示す図である。
【図2】図1における携帯端末装置のブロック図である。
【図3】図1における高度算出サーバのブロック図である。
【図4】本発明の実施形態の高度情報取得システムの動作を示すフローチャートである。
【図5】図4のフローにおけるカメラ画像と三次元地図画像との照合を説明するための図である。
【図6】図4のフローにおける高度算出手法を示す図である。
【図7】本発明の実施形態の高度情報取得システムを利用した情報提供システムを示す図である。
【図8】図7におけるコンテンツサーバのブロック図である。
【図9】本発明の実施形態の高度情報取得システムを利用した情報提供システムの動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態の高度情報取得システムを利用した情報提供システムの携帯端末装置に表示される画像の例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態の高度情報取得システムを利用した情報提供システムの携帯端末装置に表示される画像の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
[高度情報取得システム]
〈システム構成〉
図1に、本発明の実施形態の高度情報取得システムを示す。このシステムは、インターネットなどのネットワーク1に接続される高度算出サーバ2と、基地局3経由でネットワーク1に接続される携帯端末装置4からなる。携帯端末装置4は、撮影機能、二次元位置(緯度、経度)測定機能、角度(仰角、方位角)検出機能、及び通信機能を有する携帯機器であれば何でもよく、例えばデジタルカメラ、カメラ付の携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、PND(Personal Navigation Device)、携帯ゲーム機などである。携帯端末装置4と高度算出サーバ2とは、基地局3及びネットワーク1を介して通信可能である。
【0012】
〈携帯端末装置の構成〉
図2は携帯端末装置4のブロック図である。この携帯端末装置4は制御部41、操作部42、表示部43、撮影部44、位置測定部45、角度検出部46、無線通信部47、及び記憶部48を備えている。
【0013】
制御部41は携帯端末装置4の各部を制御するためのコントローラであり、CPU(Central Processing Unit)411と、ROM(Read Only Memory)412と、RAM(Random Access Memory)413とを備えている。CPU411はROM412に記憶されたプログラムをRAM413にロードして実行することで、後述する種々の処理を実現する。
【0014】
操作部42は、この携帯端末装置4をユーザが操作するための各種ボタンからなる。表示部43は、この携帯端末装置4の動作状態、撮影部44で取得した画像、操作部42からユーザが入力した情報などを表示するための液晶表示装置などからなる。
【0015】
撮影部44はCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子を備え、画像情報を取得する。位置測定部45はGPS受信機を備え、一定時間(例えば1秒)毎にGPS衛星から送信される電波を受信し、二次元位置(緯度、経度)を測定(測位)する。そして、測位情報である二次元位置情報(緯度情報、経度情報)、及び測位時刻情報をGPS情報として制御部41へ出力する。角度検出部46は地磁気センサや加速度センサを備え、撮像部44の撮影方向(光軸方向前方)の角度(仰角、方位角)を示す角度情報(仰角情報、方位角情報)を生成することができる。
【0016】
無線通信部47は基地局3との間で無線通信を行うための回路である。記憶部48はSDメモリカードなどの不揮発性記憶媒体からなる。
【0017】
〈高度算出サーバの構成〉
高度算出サーバ2は、図3に示すように、制御部21、通信部22、及び記憶部23を備えている。
【0018】
制御部21はCPU211、ROM212、及びRAM213を含み、この高度算出サーバ全体の制御などを行う。CPU211は、ROM212に記憶されたプログラムをRAM213にロードして実行することで、後述する種々の処理を実現する。
【0019】
通信部22はネットワーク1及び基地局3を介して携帯端末装置4と通信を行う。記憶部23はHDD(ハードディスク装置)からなり、加入者情報DB(データベース)231、三次元地図情報DB232、及び地形標高情報DB233が設けられている。
【0020】
加入者情報DB231には、高度算出サーバ2が提供する高度算出サービスの加入者の携帯端末装置4の装置IDなどが格納されている。三次元地図情報DB232には、三次元地図を構成する道路や建物などの構造物の三次元位置情報が格納されている。構造物の設計のためのCAD(Computer Aided Design)データを格納することもできる。地形標高情報DB233には、所定のエリア(例.50m四方)毎の標高情報が格納されている。
【0021】
〈高度情報取得システムの動作〉
以上の構成を有する高度情報取得システムの動作について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。この図のフローは、携帯端末装置4のCPU411がROM412に格納されているプログラムを実行し、高度算出サーバ2のCPU211がROM212に格納されているプログラムを実行することにより行われる。
【0022】
携帯端末装置4のユーザが高度情報取得アプリケーション(以下、高度情報取得アプリと言う)を起動すると、携帯端末装置4は高度算出サーバ2に対し、アクセス要求を送信する(ステップS1)。このアクセス要求には携帯端末装置4の装置IDが含まれている。
【0023】
高度算出サーバ2はアクセス要求を受信すると、加入者情報DB231を参照して装置IDを照合した後、高度情報取得アプリのトップ画面の画像データを記憶部23から読み出し、携帯端末装置4へ送信する(ステップS11)。携帯端末装置4は高度情報取得アプリのトップ画面の画像データを受信し、表示部43に表示する(ステップS2)。
【0024】
次いで携帯端末装置4では、CPU411の制御により、撮影部44、位置測定部45、及び角度検出部46を動作させる。これにより、撮影部44が光軸前方の被写体を撮影して画像情報(撮影画像情報)を生成し、位置測定部45が携帯端末装置4の二次元位置を測定して、二次元位置情報及び測位時刻情報を生成し、角度検出部46が角度情報を生成する(ステップS3)。
【0025】
画像情報はRAM413に読み込まれ、表示部43に送られて表示される。また、画像情報は二次元位置情報(緯度情報、経度情報)及び角度情報とともに高度算出サーバ2へ送信される(ステップS4)。
【0026】
高度算出サーバ2は、画像情報、二次元位置情報及び角度情報を受信すると(ステップS12)、画像認識により携帯端末装置4の高度を算出する(ステップ13)。
【0027】
ステップS13の詳細について図5及び図6を用いて説明する。
まず撮影画像と一致する照合画像を三次元地図情報DB232から検索する。このとき方位角情報を利用する。図5Aは撮影画像の一例であり、図5Bは照合画像の一例である。
【0028】
次に撮影画像及び照合画像の対応する位置に基準点を設定する。基準点は、建物の上縁、看板、横断歩道など、直線的で画像認識しやすい部位が好適である。図5A、Bでは、道路左側遠方のビルの上縁、道路右側遠方のビル上の看板の略中央、横断歩道、及び道路左側の近くのビル一階の入口に基準点が設定されている。基準点の設定は自動、手動どちらも可能である。
【0029】
図5Aにおいて、視点Q(x,y,z)は撮影部44の三次元位置であり、その三次元位置情報の内、x座標の値x、y座標の値yは位置測定部45で測定される既知の値である。一方、z座標の値zは高度算出対象である未知の値である。
【0030】
図5Bにおいて、基準点P〜Pの三次元位置情報(X座標の値X〜X、Y座標の値Y〜Y、Z座標の値Z〜Z)は三次元地図情報DB232上の位置(緯度、経度、高度)を示す既知の値である。また、視点Pは三次元地図情報DB232上のデータを基に照合画像を形成するときに設定した視点であり、その三次元位置情報(X座標の値X、Y座標の値Y、Z座標の値Z)は既知である。
【0031】
次いで照合画像の基準点P〜Pの三次元地図情報DB上の三次元位置情報(X〜X、Y〜Y、Z〜Z)と、携帯端末装置4の緯度情報及び経度情報(x,y)と、撮影画像における視点から基準点に対する仰角と、視点から基準点までの距離とから、三角測量により、撮影画像の視点の高度、換言すれば携帯端末装置4の高度を算出する。
【0032】
図6を用いて詳しく説明する。この図において、x軸は紙面上の横方向、y軸は紙面に垂直な方向、z軸は紙面上の縦方向である。照合画像(図5B)の基準点に対応する実空間内の点である実空間基準点をQA(xA,yA,zA)、QB(xB,yB,zB)、QC(xC,yC,zC)とする。Q(x,y,z)、Q(x,y,z)は高度のみ異なる二つの視点である。
【0033】
これらの実空間基準点をQA、B、Cの三次元位置(経度、緯度、高度)は三次元地図DB232上の既知の値である。視点Q(x,y,z)、Q(x,y,z)の三次元位置情報の内、x座標の値x、y座標の値yは前述のように位置測定部45で測定される既知の値である。また、z座標の値z或いはzは高度算出対象である未知の値である。
【0034】
視点の高度は、視点から実空間基準点までの距離と仰角を用いて三角測量により算出する。例えば視点Qについては、基準点QAと、基準点QAから下方に引いた垂線と、その垂線に対して視点Qから引いた水平線との交点をQとし、Q、QA、Qにより形成される直角三角形の底辺の長さLは下記の式〔1〕で表すことができる。また、QA、Q間の長さ、つまり視点Qと基準点をQAとの高度差(z−z)と、Lとの関係は下記の式〔2〕で表すことができる。
【0035】
L=√{(x−x+(y−y+(z−z} …式〔1〕
−z=LtanΘ …式〔2〕
【0036】
ここで、x=x、y=y、z=zであるから、式〔1〕は下記の式〔3〕となる。また、式〔2〕より視点Qの高度zは下記の式〔4〕で表すことができる。
【0037】
L=√{(x−x+(y−y} …式〔3〕
=z−LtanΘ …式〔4〕
【0038】
、x、y、yは既知であるから、Lを算出することができる。また、Θは携帯端末装置4の角度検出部46で検出される。従って、Lの算出値と、Θの検出値を用いることで、視点Q高度を算出することができる。
【0039】
図4の説明に戻る。高度算出サーバ2は、算出した視点の高度情報を携帯端末装置4に送信する(ステップS14)。携帯端末装置4は、高度情報を受信し、RAM413に保持する(ステップS5)。この高度情報を記憶部48に保存することもできる。
【0040】
携帯端末装置4は、ユーザが操作部42から高度情報取得アプリを終了する指示を入力しない間(ステップS6:NO)はステップS3〜S5を繰り返し、高度情報取得アプリを終了する指示を入力したら(ステップS6:YES)、高度算出サーバ2にアクセス解除要求を送信する(ステップS7)。
【0041】
高度算出サーバ2は、アクセス解除要求を受信しない間(ステップS15:NO)はステップS12〜S14を繰り返し、受信したら(ステップS15:YES)、携帯端末装置4のアクセスを解除する(ステップS16)。
【0042】
以上のように、本実施形態の高度算出サーバ2は、携帯端末装置4から送信された画像情報により構成される撮影画像と一致する照合用画像を三次元地図情報から生成し、照合用画像上に基準点を設定するとともに、基準点の三次元地図情報における高度情報と、携帯端末装置から送信された緯度情報、経度情報及び仰角情報に基づいて、携帯端末装置の高度を算出するので、携帯端末装置の高度情報を場所や温度の影響を受けることなく、建物フロア精度で得ることができる。
【0043】
なお、以上の説明は、一台の携帯端末装置に対するリアルタイム処理として記載したが、実際には複数の携帯端末装置に対するバッチ処理で行われる。また、携帯端末装置4により方位角情報の生成及び送信を行わないように構成してもよい。さらに、図4では、携帯端末装置4が高度算出サーバ2にアクセス要求を行い、高度算出サーバ2からトップ画面を受信しているが、携帯端末装置4内でトップ画面を生成するように構成することもできる。また、単体のナビゲーション装置が携帯端末装置4及び高度算出サーバ2の機能を持つように構成することもできる。
【0044】
[情報提供システム]
〈システム構成〉
図7に、本発明の実施形態の高度情報取得システムを利用した情報提供システムを示す。この図において、図1と同一又は対応する部分には図1と同じ参照符号を付した。このシステムは、図1の高度情報取得システムにコンテンツサーバ5を追加したものである。コンテンツサーバ5は、ネットワーク1及び基地局3介して、携帯端末装置4と通信可能である。
【0045】
〈コンテンツサーバの構成〉
コンテンツサーバ5は、図8に示すように、制御部51、通信部52、及び記憶部53を備えている。
【0046】
制御部51はCPU511、ROM512、及びRAM513を含み、このコンテンツサーバ5全体の制御などを行う。また、CPU511は、ROM512に記憶されたプログラムをRAM513にロードして実行することで、後述する種々の処理を実現する。
【0047】
通信部52はネットワーク1及び基地局3を介して携帯端末装置4と通信を行う。記憶部53はHDD(ハードディスク装置)からなり、加入者情報DB531、及び三次元位置付コンテンツDBが設けられている。
【0048】
加入者情報DB531には、コンテンツサーバ5が提供する情報提供サービスの加入者の携帯端末装置4の装置IDなどが格納されている。三次元位置付コンテンツDB532には、建物内に存在する店舗などの対象物に関する情報がその対象物の存在するフロアの三次元位置(緯度、経度、高度)に関連付けられて保存されている。
【0049】
〈情報提供システムの動作〉
以上の構成を有する情報提供システムにおいて、携帯端末装置4と高度算出サーバ2との関連動作は前述した高度情報取得システムと同じであるから説明を省略し、携帯端末装置4とコンテンツサーバ5との関連動作について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。この図のフローは、携帯端末装置4のCPU411がROM413に格納されているプログラムを実行し、コンテンツサーバ5のCPU511がROM512に格納されているプログラムを実行することにより行われる。
【0050】
携帯端末装置4のユーザが情報提供アプリケーション(以下、情報提供アプリと言う)を起動すると、携帯端末装置4はコンテンツサーバ5に対し、アクセス要求を送信する(ステップS21)。このアクセス要求には携帯端末装置4の装置IDが含まれている。
【0051】
コンテンツサーバ5はアクセス要求を受信すると、加入者情報DB531を参照して装置IDを照合した後、情報提供アプリのトップ画面の画像データを記憶部53から読み出し、携帯端末装置4へ送信する(ステップS31)。携帯端末装置4は情報提供アプリのトップ画面の画像データを受信し、表示部43に表示する(ステップS22)。
【0052】
次いで携帯端末装置4では、CPU411の制御により、撮影部44、位置測定部45、及び角度検出部46を動作させる。これにより、撮影部44が光軸前方の被写体を撮影して画像情報(撮影画像情報)を生成し、位置測定部45が携帯端末装置4の二次元位置を測定して、二次元位置情報及び測位時刻情報を生成し、角度検出部46が撮影部44の光軸前方の方位角を示す方位角情報を生成する(ステップS23)。なお、情報提供アプリは、高度情報取得アプリと並行して動作させることが可能(それが好適)であり、並行動作を行っている場合、図4のステップS3で生成した各情報を用いることで、ステップS23を省略することができる。
【0053】
画像情報はRAM413に読み込まれ、表示部43に送られて表示される。二次元位置情報は高度情報とともに三次元位置情報とされ、方位角情報とともに高度算出サーバ2へ送信される(ステップS24)。高度情報は図4のステップS5で受信され、RAM413により保持或いは記憶部48に保存されているものである。
【0054】
コンテンツサーバ5は、三次元位置情報及び方位角情報を受信する(ステップS32)。そして、三次元位置付コンテンツDB532にアクセスし、携帯端末装置4の二次元位置(緯度、経度)から所定の距離(例えば500m)以内であり、かつ方位角情報の示す光軸方向から所定の画角内に存在する対象物に関するコンテンツを検索して取得する(ステップS33)。
【0055】
次に取得したコンテンツを携帯端末装置4の高度情報及びコンテンツに対応する対象物の三次元位置情報に応じて携帯端末装置4の表示部43に表示させるための表示制御情報を生成し(ステップS34)、コンテンツとともに携帯端末装置4へ送信する(ステップS35)。
【0056】
携帯端末装置4は、コンテンツ及び表示制御情報を受信し(ステップS25)、コンテンツに対応する対象物の三次元位置情報に応じて、撮影画像にコンテンツを合成し、表示部43で表示する(ステップS26)。
【0057】
図10に表示画像を示す。ここで、図10Aは視点の高度を3階にした場合であり、図10Bは視点の高度を1階にした場合である。「a」〜「i」はコンテンツであり、例えば店舗名などである。「a」〜「i」を囲む枠の表示位置は、コンテンツに対応する対象物の三次元位置(緯度、経度、高度)、即ち例えば店舗が存在するフロアの三次元位置に対応する。
【0058】
例えばコンテンツ「f」は撮影画像における左側のビルの3階に存在する店舗などに関するものであるため、図10Aでは画面の左部の略中央の高度に表示され、図10Bでは画面の左部の上の方に表示される。同じフロアに複数の対象物に関するコンテンツが関連付けられている場合は、緯度情報、経度情報に基づいて左右や前後の表示位置が制御される。
【0059】
図9の説明に戻る。携帯端末装置4は、ユーザが操作部42から情報提供アプリを終了する指示を入力しない間(ステップS27:NO)はステップS23〜S26を繰り返し、情報提供アプリを終了する指示を入力したら(ステップS27:YES)、コンテンツサーバ5にアクセス解除要求を送信する(ステップS28)。
【0060】
コンテンツサーバ5は、アクセス解除要求を受信しない間(ステップS36:NO)はステップS32〜S35を繰り返し、受信したら(ステップS36:YES)、携帯端末装置4のアクセスを解除する(ステップS37)。
【0061】
以上のように、本実施形態の情報提供システムによれば、携帯端末装置4は内蔵の位置測定部45で取得した緯度情報及び経度情報と、高度算出サーバ2から取得した高度情報とをコンテンツサーバ5に送信することで、コンテンツサーバ5から送信されたコンテンツを自分の高度及びコンテンツに対応する対象物の三次元位置に応じて、撮影画像に合成し、表示することができる。
【0062】
なお、図9のフローでは、コンテンツ(例えば図10の「a」〜「i」)と、その表示制御情報(例えば「a」〜「i」を囲む枠の表示位置を示す情報)とをコンテンツサーバ5から携帯端末装置4へ送信しているが、コンテンツが三次元位置に応じて配置された画像(例えば図10に示す画像から撮影画像を除いた画像)を構成するための画像情報をコンテンツサーバ5から携帯端末装置4へ送信するように構成してもよい。
【0063】
また、図10にはビル内の店舗などに関するコンテンツの表示例を示したが、山岳や星座などの自然を対象としたコンテンツを表示させることもできる。図11に山岳名及び登山ルートの表示例を示す。
【符号の説明】
【0064】
2…高度算出サーバ、4…携帯端末装置、5…コンテンツサーバ、21,41,51…制御部、44…撮影部、45…位置測定部、46…角度検出部、232…三次元地図情報DB、532…三次元位置付コンテンツ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緯度情報、経度情報及び仰角情報の取得機能、並びに撮影機能を有する携帯端末装置と、その携帯端末装置から送信された緯度情報、経度情報、仰角情報及び画像情報を用いて前記携帯端末装置の高度情報を取得する高度情報取得装置とからなる高度情報取得システムであって、
前記高度情報取得装置は、三次元地図情報データベースと、前記画像情報により構成される撮影画像と一致する照合用画像を前記三次元地図情報から生成する照合用画像生成手段と、前記照合用画像上に基準点を設定するとともに、該基準点の前記三次元地図情報における高度情報と、前記緯度情報、経度情報及び仰角情報に基づいて、前記携帯端末装置の高度を算出する高度算出手段とを有することを特徴とする高度情報取得システム。
【請求項2】
携帯端末装置から送信された緯度情報、経度情報、仰角情報及び画像情報を用いて前記携帯端末装置の高度情報を取得する高度情報取得装置であって、
三次元地図情報データベースと、前記画像情報により構成される撮影画像と一致する照合用画像を前記三次元地図情報から生成する照合用画像生成手段と、前記照合用画像上に基準点を設定するとともに、該基準点の前記三次元地図情報における高度情報と、前記緯度情報、経度情報及び仰角情報に基づいて、前記携帯端末装置の高度を算出する高度算出手段とを有することを特徴とする高度情報取得装置。
【請求項3】
コンピュータを請求項2に記載された高度情報取得装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−217207(P2011−217207A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84612(P2010−84612)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】