説明

高強度の結合及びコーティング混合物

混合物は、ポリカルボシラン骨格を有するケイ素化合物と、複数の個別の粉末粒子を有する粉末とを含み、前記複数の粉末粒子の各々は、実質的に0.05マイクロメートルから50マイクロメートルの間の直径を有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本特許出願は、2009年8月25日に出願され“JOINING TWO MEMBERS BY A THERMAL PYROLYSIS OF CARBON−RICH SILICON COMPOUNDS HAVING POLYCARBOSILANE BACKBONE WITH POWDER MIXTURE”と題された、米国仮特許出願第61/277,362号の利益を主張し、その内容及び教示はその全体が参照によって本明細書に援用される。
[発明の背景]
1.発明の分野
本発明は、一般的に硬化性接着剤に関する。具体的には、本発明は、半導体製造装置において使用される被加工物の接合に関する。
2.先行技術の説明
半導体集積回路及び同様のマイクロ構造アレイを製造する際、バッチ基板処理が用いられる。バッチ処理では、多くのシリコンウェーハ又はその他の種類の基板は、処理チャンバ内でまとめてウェーハ支持体上に置かれ処理される。ほとんどのバッチ処理は、例えば酸化物又は窒化物の平面層を堆積させたり、又は予め堆積させた層や既存層内に注入されたドーパントをアニールしたりする際、長期間高温にさらすことを含んでいる。垂直に配置されたウェーハ・タワー(wafer tower)は、処理チャンバ内で多くのウェーハを上下に互いに支持する支持体の一例である。
【0002】
垂直支持タワーは、石英、炭化ケイ素、及びケイ素を含む様々な材料から作製される。例えば、図1に正投影されたシリコンタワー10は、2つのシリコンベース14にその両端部が接合した3つ以上のシリコン脚部12を含む。各脚部12は、複数のスロットを有するように切り取られ、内側に突出する歯16を形成する。歯16は、上向きに数度傾斜し、その内側先端部20付近に形成された水平支持面18を有する。複数のウェーハ22は、そのうちの1つのみが図示されているが、タワー10の軸に沿って平行な配向で支持面18上において支持される。
【0003】
例えばシリコンタワー10等の垂直支持タワーには、一定の構成要素を接合する必要がある。例えば、シリコンタワー10の作製には、機械加工された脚部12のベース14への接合を伴う。図2に概略的に図示されているように、ほぞ穴24は、貫通していないことが好ましいが貫通していてもよく、各ベース14内に、脚部12の端部26に対応し且つ端部26よりほんの僅かだけ大きい形状で機械加工される。
【0004】
構成要素(例えば、垂直支持タワー10の構成要素)を接合する1つの方法として、スピンオンガラス(SOG)の使用が挙げられる。例えば、脚部12の端部26を各ベース14の穴24の壁部に接着するための1つの方法には、アルコール等で薄くしたSOGの硬化性接着剤としての使用を伴う。SOGは、上記部材の一方又は両方の接合される領域に塗布される。上記部材を組立て、次に600℃以上でアニールし、両部材間の継ぎ目にあるSOGをガラス化する。
【0005】
SOGは、半導体産業で薄い層間誘電体層を形成するのに広く使用されるため、比較的低価格で且つかなり高純度のものが市販されている。SOGは、半導体製造で集積回路上に珪酸塩ガラス層を形成するのに広く使用される化学物質の総称である。市販の業者としては、アライド・シグナル社、ペンシルベニア州バトラーのフィルムトロニクス社、及びダウ・コーニング社が挙げられる。SOG前駆体としては、ケイ素及び酸素の両方並びに水素及び場合によりその他の構成成分を含有する1つ以上の化学物質が挙げられる。このような前駆体の例として、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)もしくはその修飾体、又は例えばシロキサン、又はシルセスキオキサン等のオルガノ−シランがある。集積回路ではSOGはホウ素又はリンを含む場合があるが、接着剤に使用される場合にはホウ素又はリンを含まないことが好ましい。ケイ素及び酸素を含有する化学物質は、例えばアルコール、メチルイソブチルケトン、又は揮発性メチルシロキサン混合物等の蒸発性液体担体中に溶解する。SOG前駆体は、特に高温で化学的に反応し、SiO2の近似組成物を有するシリカネットワークを形成するという点で、シリカ架橋剤として機能する。
【0006】
構成要素(例えば、垂直支持タワー10の構成要素)を接合する別の方法としては、SOGとケイ素粉末の混合物の使用が挙げられる。例えば、脚部12の端部26を各ベース14の穴24の壁部に接着する別の方法には、SOGとケイ素粉末の混合物の硬化性接着剤としての使用を伴う。SOGは、上記部材の一方又は両方の接合される領域に塗布される。これらの部材は組立てられ、次に400℃以上でアニールされ、両部材間の継ぎ目にあるSOGをガラス化する。混合物中のケイ素粉末により、構造部材間の結合部の純度は、SOGを単独で使用した場合と比べて向上する。
[発明の概要]
残念なことに、上記の従来の2つの被加工物の接合方法には欠点がある。例えば、結合目的でSOGを使用する場合、接合された構造体及び特に結合材料は、依然として特に重金属によって過剰に汚染され得る。シリコンタワーの使用又は洗浄時における非常に高い温度は1300℃を超えるときもあり、このような非常に高い温度が汚染を悪化させ得る。重金属の発生源として考えられる1つの要因は、接合する部材間の継ぎ目を充填するのに使用される比較的大量のSOGである。半導体製造で使用される場合、シロキサンSOGは通常約400℃で硬化し、得られるガラスは通常高温の塩素にさらされない。しかしながら、SOG接着剤を硬化させるのに使用される非常に高い温度により、SOG中の少量ではあるがそれでも相当な量の金属不純物が引き出される可能性がある。
【0007】
さらに、SOG接着剤によって接合された接合部は所望する強度ほど強力ではない。支持タワーは、高温に至るまでと高温後を含むサイクル中に実質的な熱応力を受け、且つ長期間使用するうちに偶発的に機械的衝撃を受ける可能性がある。接合が支持タワーの寿命を決定しないことが望ましい。
【0008】
加えて、ケイ素粉末をSOG中に混合することにより、結合部の純度が向上する。しかしながら、このケイ素粉末とSOGとの混合物により形成された接合部は、依然として所望の強度ほど強力ではない。
【0009】
さらに、上記の従来の接合方法のさらに別の欠点は、導電性か非導電性かが選択的ではないことにある。
上記の従来の2つの被加工物の接合方法とは対照的に、改善された2つの被加工物の結合方法は、ポリカルボシラン骨格を有するケイ素化合物(前駆体)と結合粉末との混合物を使用することを含んでいる。加熱されたときに、ポリカルボシラン骨格を有するケイ素化合物は、フラグメントに分解する。これらのフラグメントは、ケイ素及び/又は炭素の気体原子又は気体ラジカルであり得る。気体ケイ素及び気体炭素が再結合し、続いて縮合することにより、固体状態のSiCが得られる。過剰な炭素により、被加工物及びSiC架橋マトリックスに埋め込まれた粉末の炭素浸透プロセスが生じ、その結果、共有結合力で被加工物の導電性接合又は非導電性接合のいずれかの接合が可能となる。接合の導電性は、混合粉末に依存する。例えば、金属及びドープSi等の導電性粉末は、導電性接合を提供する。
【0010】
例えば、1つの実施形態は、ポリカルボシラン骨格を有するケイ素化合物と、個別の粉末粒子を有する粉末との混合物に関し、複数の粉末粒子の各々は、実質的に0.05マイクロメートルから50マイクロメートルの間の直径を有している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】シリコンウェーハタワーの正投影図である。
【図2】図1のタワーの2つの部材及びその接合方法の正投影図である。
【図3】混合物の図である。
【図4】図3の混合物の構成成分の実施形態の化学式である。
【図5】図3の混合物の構成成分の別の実施形態の化学式である。
【図6】硬化前アセンブリの図である。
【図7】図6の硬化前アセンブリに適用される加熱・冷却サイクルを示すグラフである。
【図8】実施例の混合物の熱分解中の段階図である。
【図9】硬化後アセンブリの図である。
【図10】被加工物と粉末との様々な組み合わせの結合強度及び導電性を比較した表である。
【図11】2つの被加工物の接合方法を示すフローチャートである。
【図12a】コーティングを被加工物に結合する改善された方法を示す図である。
【図12b】コーティングを被加工物に結合する改善された方法を示す図である。
【図12c】コーティングを被加工物に結合する改善された方法を示す図である。
【図12d】コーティングを被加工物に結合する改善された方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
本発明の好ましい実施形態を、図1〜12に示す。
図3は、ポリカルボシラン骨格を有するケイ素化合物(前駆体)32と粉末混合物34との混合物30を示している。
【0013】
ケイ素化合物32の例としては、ポリシラメチレノシラン(PSMS)、トリシラアルカン、ジメチルトリシラヘプタン、ジメチルジクロロシラン、環状[−CH2SiCl2−]3、及びこれらの前駆体の混合物が挙げられる。トリシラアルカンの式を図4に示し、PSMSの式を図5に示す。
【0014】
粉末混合物34は、混合物30が塗布される被加工物や、所望される導電性レベルに応じて、複数の異なった材料からなってもよい。例えば、いくつかの配合では、粉末混合物34は、炭化物化合物を形成可能な金属(例えば、Ti、Ta、Mo、W等を含む高融点金属)からなる。加えて、他の配合では、粉末混合物34は、半導体(例えば、Si、ドープSi、SiGe、ドープSiGe、GaAs、SiC等)からなる。他の配合では、粉末混合物34は、炭化物(例えば、SiC、SiGeC、GeC、TiC、TaC等)からなる。さらに他の配合では、粉末混合物34は、炭素又は黒鉛からなる。
【0015】
粉末混合物34の個別の粒子のサイズは、直径0.05μm〜50μmである。加えて、粉末混合物34は、混合物30の容積の70%未満を占める。
使用する際、例えば、混合物30は2つの被加工物を固着するために使用される。被加工物は、セラミック、高融点金属、半導体(例えば、Si、SiGe、SiC、ドープSi、ドープSiGe等)、及び黒鉛を含む様々な材料からなってもよい。
【0016】
図6は、硬化前の第1被加工物38と第2被加工物40とを有する硬化前アセンブリ36を示している。第1被加工物38と第2被加工物40とをそれぞれ第1表面42と第2表面44とで接合するために、混合物30が塗布される。いくつかの配合では、第1表面42及び第2表面44は、混合物30を塗布する前に表面洗浄を受ける。表面洗浄は、場合により硬化工程中に強力な結合の創出を妨げ得るあらゆる不純物も除去するために行われる。
【0017】
第1被加工物38と第2被加工物40との間の結合を形成するには、硬化前アセンブリ36は、図7に示すような加熱・冷却サイクルを受ける。強力な結合は、硬化前アセンブリ36を不活性又は還元環境下で約1,100℃〜1,300℃の温度で長時間硬化させることで形成される。不活性又は還元環境を用いることにより、場合により結合の全体的な強度を弱め得る不必要な酸化反応が生じないようにする。例えば、実質的に純粋なアルゴン雰囲気(即ち、不活性環境)に硬化前アセンブリ36を浸漬する。次に、硬化前アセンブリ36は、(i)900℃の温度に到達するまで200℃/時の速度で加熱され、(ii)約1,100℃〜1,300℃の温度に到達するまで300℃/時の速度で加熱され、約1,100℃〜1,300℃の温度で約10時間維持され、(iii)700℃の温度に到達するまで300℃/時の速度で冷却され、そして、(iv)室温に到達するまで150℃/時の速度で冷却される。上記の加熱・冷却サイクルが完結することにより、硬化前アセンブリ36は硬化後アセンブリ46となる。
【0018】
加熱中、混合物30は熱分解(又は焼結)される。ポリカルボシラン骨格を有するケイ素化合物32は、フラグメントに分解する。これらのフラグメントは、ケイ素及び/又は炭素の気体原子又は気体ラジカルであってもよい。気体のケイ素及び炭素が再結合してから縮合することにより、固体状態のSiCが生成される。過剰な炭素により、被加工物38,40と、新たに形成されたSiC架橋マトリックス内に埋め込まれた粉末34とに炭素浸透(carbon−impregnation)処理を生じさせることができる。したがって、第1被加工物38と第2被加工物40との間に強力な共有結合が形成される。
【0019】
図8は、実施例の熱分解反応の段階図を示している。本実施例では、ポリカルボシラン骨格を有するケイ素化合物32はジメチルジクロロシランであり、粉末34はタングステン粉末である。混合物30をアルゴン雰囲気中にて約1,100℃〜1,300℃の温度で10時間加熱すると、生成物:WC(粉末)+W(Si)C(粉末)+SiC+副生成物(揮発性ガス)が生成される。
【0020】
図9は、硬化後の第1被加工物38及び第2被加工物40を有する硬化後アセンブリ46を示している。硬化後アセンブリ46は、また、SiC架橋マトリックス48、第1炭化物層50、第2炭化物層52、炭化粒子54、及び炭化物表面層粒子56を含む。
【0021】
SiC架橋マトリックス48(即ち、ナノサイズの「(0<C≦15%の)炭素に富むSiC」)は、ポリカルボシラン骨格を有するケイ素化合物32から、不活性雰囲気(例えば、Ar、N2)中にて1,100℃〜1,300℃で数時間続く高温熱分解(又は焼結)処理により分解される。
【0022】
熱分解処理の後、第1被加工物38とケイ素及び/又は炭素の気体原子又は気体ラジカルとの間の拡散処理により、及び/又は前駆体の分解によって生じる炭素浸透処理により、第1被加工物38の第1表面42とSiC架橋マトリックス48との間に第1炭化物層50が形成される。
【0023】
同様に、熱分解処理の後、第2被加工物40とケイ素及び/又は炭素の気体原子又は気体ラジカルとの間の拡散処理により、及び/又は前駆体の分解によって生じる炭素浸透処理により、第2被加工物40の第2表面44とSiC架橋マトリックス48との間に第2炭化物層52が形成される。
【0024】
熱分解処理の後、より大きな粉末粒子34(即ち、1μmを超える直径を有する粉末粒子34)上に粉末炭化物層58(例えば、SiC、SiGeC、Ti(Si)C、Ta(Si)C、Mo(Si)C、W(Si)C等)が形成され、炭化物表面層粒子56が生成される。粉末炭化物層58は、炭素浸透及び/又は拡散処理により形成される。より小さな粉末粒子34(即ち、1μm未満の直径を有する粉末粒子34)は、炭化粒子54に完全に変換される。炭化粒子54も、炭素浸透及び/又は拡散処理により形成される。
【0025】
第1被加工物38と第2被加工物40との間の強力な結合は、共有結合58によるものである。具体的には、炭化物層50,52と、炭化粒子54と、炭化物表面層粒子56との間の共有結合58によるものである。
【0026】
図10は、ケイ素化合物32としてポリカルボシランを使用した場合の被加工物38,40と粉末混合物34との様々な組み合わせの結合特性及び導電性を示す図である。具体的には、使用されるポリカルボシランは、(i)ジメチルジクロロシラン+溶媒(10%のトルエン)、又は(ii)(ジメチルジクロロシラン+環状[−CH2SiCl2−]3の混合物)+10%のトルエンである。
【0027】
図11は、2つの被加工物38,40の接着方法100を示すフローチャートである。
工程102は、第1被加工物38の表面42を洗浄する。この洗浄は、物理的及び/又は化学的に行ってもよく、表面42の不純物を除去し強力な結合を促進する。
【0028】
工程104は、第1被加工物38の表面42に混合物30を塗布する。混合物30は、ポリカルボシラン骨格を有するケイ素化合物32と、複数の個別の粉末粒子を有する粉末34とを含む。
【0029】
工程106は、第1被加工物38の表面42にコーティングされた混合物30に第2被加工物40の表面44を接合する。
工程108は、第1被加工物38と、第2被加工物40と、混合物30とを、ケイ素化合物32がケイ素及び炭素の気体原子及び気体ラジカルに分解するのに十分な温度まで加熱する。ここで、ケイ素化合物の分解後、ケイ素及び炭素の気体原子及び気体ラジカルは、結合及び凝縮し、(i)炭素に富む炭化ケイ素マトリックス48、(ii)第1被加工物38の第1表面42上、第2被加工物40の第2表面44上、及び複数の粉末粒子34の外面上の炭化層50,52,58、及び(iii)第1被加工物38の第1表面42、第2被加工物40の第2表面44、及び複数の粉末粒子38の外面の炭化層50,52,58を結合する共有結合60を形成する。
【0030】
混合物30には、被加工物38,40を接合する以外の他の用途がある。いくつかの実施形態において、混合物30は、例えば半導体製造工程等で見られるような過酷な状況にさらされる対象物の保護コーティングとして使用される。例えば、半導体製造工程では、例えばワード線、ビット線、及びレジスタ等の導体を作製するのにポリシリコンフィルムが必要とされる。低圧化学蒸着(LPCVD)装置を使って、これらのポリシリコンフィルムが生成される。加えて、LPCVD装置は、外側管として石英ベルジャーを使用し、雰囲気を制御する。LPCVD装置の作動中に、石英ベルジャーの内面上にポリシリコンが堆積する。ポリシリコンフィルムの厚さが増すにつれ、(ポリシリコンと石英との間の熱膨張係数の差により)堆積したフィルムの歪みが最終的にその耐力強度を超え、フィルムが剥離し微粒子を生成する。
【0031】
被加工物38,40の接合に関して、被加工物38の表面(例えば、石英ベルジャーの内面)に混合物30を塗布し、上述と同じ方法で高温にて焼結することにより、フィルムが剥離する問題は低減される。コーティングは、被加工物を覆う「ナノ構造のSiCベースのコーティング」であり、熱処理中に前駆体からのケイ素及び炭素のラジカルが混合粉末及び被加工物表面と反応するため、コーティングの結合強度は非常に高い。この化学反応は、粉末、架橋マトリックス、及び被加工物表面の間に共有結合を生じさせる。そのため、コーティングがフィルム応力に適合するため、コーティングにより、石英ベルジャー等の被加工物は頻繁に洗浄しなくても済むであろう。
【0032】
コーティング30の粘着力を増加させるため、一定の表面処理を行って接線角が90度より小さい凹部を設け、コーティングが被加工物38内に固着できるようにする。
図12aで明らかなように、接線角が90度より小さい凹部を生成する1つの方法は、被加工物38の表面から角度θ(即ち、90度未満)でレーザー掘削することによる。コーティング30は、硬化すると、被加工物38に共有結合されるのに加えて、被加工物38内に機械的に引っかかる。
【0033】
図12bで明らかなように、接線角が90度より小さい凹部を生成する別の方法は、被加工物38の表面から90度未満の角度でSiCビードブラストすることによる。コーティング30は、硬化すると、被加工物38に共有結合されるのに加えて、被加工物38内に機械的に引っかかる。
【0034】
図12cで明らかなように、接線角が90度より小さい凹部を生成する別の方法は、被加工物38の表面から複数の方向へのSiCビードによって分岐構造を生成することである。コーティング30は、硬化すると、被加工物38に共有結合されるのに加えて、被加工物38内に機械的に引っかかる。
【0035】
図12dで明らかなように、接線角が90度より小さい凹部を生成するさらに別の方法は、被加工物38の表面から90度未満の角度で化学的に処理することによる。例えば、最初にエッチマスク(10nm〜100nm)としてSiO2を成長又は堆積させる。次に、リソグラフィ処理又はレーザー掘削によりパターンを生成する。次に、被加工物38をKOH中に浸漬し、ケイ素を分解する(エッチ選択性:Si:SiO2=100〜500:1)。最後に、HF中に浸漬してSiO2を除去する。コーティング30は、硬化すると、被加工物38に共有結合されるのに加えて、被加工物38内に機械的に引っかかる。
【0036】
混合物30をコーティングとして使用する場合、混合物を結合のために使用する場合と同様に導電性を事前に選択してもよい。例えば、非導電性の被加工物の場合は、金属性である粉末34を選択して導電性の被加工物に変更してもよい。この作業により、例えば、絶縁性セラミックス上に導電性コーティングが生成され、プラズマ装置又はイオン注入装置における「帯電」を消失させる。
【0037】
別の用途として、被加工物のパッシベーションがある。ベース材料は、化学的に不活性材料でHF及びKOH中で溶解しないSiCである。このため、コーティング上に堆積したケイ素フィルムは、KOH溶液中に浸漬することにより除去することができ、被加工物に再利用することができる。
【0038】
本明細書では、本発明の好ましい実施形態について説明してきたが、上記の説明は例示にすぎない。本明細書に開示される本発明の更なる変更は、各技術に精通した人であれば思いつくものであり、すべてのそのような変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であると見なされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカルボシラン骨格を有するケイ素化合物と、
複数の個別の粉末粒子を有する粉末であって、前記複数の粉末粒子の各々は、実質的に0.05マイクロメートルから50マイクロメートルの間の直径を有している粉末と
を備える混合物。
【請求項2】
請求項1に記載の混合物であって、
前記ポリカルボシラン骨格を有するケイ素化合物は、ポリシラメチレノシラン、トリシラアルカン、ジメチルトリシラヘプタン、ジメチルジクロロシラン、及び環状[−CH2SiCl2−]3からなる群から選択される
ことを特徴とする混合物。
【請求項3】
請求項1に記載の混合物であって、
前記粉末は、炭化物化合物を形成可能な金属であり、チタン、タンタル、モリブデン、及びタングステンからなる群から選択される
ことを特徴とする混合物。
【請求項4】
請求項1に記載の混合物であって、
前記粉末は、半導体であり、ケイ素、ドープケイ素、ケイ素−ゲルマニウム、ドープケイ素−ゲルマニウム、及びヒ化ガリウムからなる群から選択される
ことを特徴とする混合物。
【請求項5】
請求項1に記載の混合物であって、
前記粉末は、炭化物であり、炭化ケイ素、ケイ素−ゲルマニウム炭化物、ゲルマニウム炭化物、チタン炭化物、及びタンタル炭化物からなる群から選択される
ことを特徴とする混合物。
【請求項6】
請求項1に記載の混合物であって、
前記粉末は、黒鉛である
ことを特徴とする混合物。
【請求項7】
第1の被加工物を第2の被加工物に接着する方法であって、
前記第1の被加工物は、第1の表面を画定し、
前記第2の被加工物は第2の表面を画定し、
前記方法は、
混合物を前記第1の被加工物の前記第1の表面と前記第2の被加工物の前記第2の表面との間に適用することを含み、
前記混合物は、
ポリカルボシラン骨格を有するケイ素化合物と、
複数の個別の粉末粒子を有する粉末と
を含み、
前記複数の粉末粒子の各々は、実質的に0.05マイクロメートルから50マイクロメートルの間である直径を有し、
前記方法は、
前記第1の被加工物、前記第2の被加工物、及び前記混合物を、前記ケイ素化合物がケイ素及び炭素の気体原子及び気体ラジカルに分解するのに十分な温度まで加熱することを含み、
前記加熱することは、不活性環境と還元環境とのいずれか1つで生じ、
前記ケイ素化合物の分解後、前記ケイ素及び炭素の気体原子及び気体ラジカルは、結合及び凝縮し、(i)炭素に富む炭化ケイ素マトリックス、(ii)前記第1の被加工物の前記第1の表面上、前記第2の被加工物の前記第2の表面上、及び前記複数の粉末粒子の外面上の各炭化層、及び(iii)前記第1の被加工物の前記第1の表面、前記第2の被加工物の前記第2の表面、及び前記複数の粉末粒子の前記外面の前記各炭化層を連結する共有結合を形成する
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記ポリカルボシラン骨格を有する前記ケイ素化合物は、ポリシラメチレノシラン、トリシラアルカン、ジメチルトリシラヘプタン、ジメチルジクロロシラン、及び環状[−CH2SiCl2−]3からなる群から選択される
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、
前記粉末は、炭化物化合物を形成可能な金属であり、チタン、タンタル、モリブデン、及びタングステンからなる群から選択される
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、
前記粉末は、半導体であり、ケイ素、ドープケイ素、ケイ素−ゲルマニウム、ドープケイ素−ゲルマニウム、及びヒ化ガリウムからなる群から選択される
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項7に記載の方法であって、
前記粉末は、炭化物であり、炭化ケイ素、ケイ素−ゲルマニウム炭化物、ゲルマニウム炭化物、チタン炭化物、及びタンタル炭化物からなる群から選択される
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項7に記載の方法であって、
前記粉末は、黒鉛である
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
被加工物に保護コーティングを施す方法であって、
前記被加工物は表面を画定し、
前記方法は、
混合物を前記被加工物の前記表面に適用することを含み、
前記混合物は、
ポリカルボシラン骨格を有するケイ素化合物と、
複数の個別の粉末粒子を有する粉末と
を含み、
前記複数の粉末粒子の各々は、実質的に0.05マイクロメートルから50マイクロメートルの間である直径を有し、
前記方法は、
前記被加工物及び前記混合物を、前記ケイ素化合物がケイ素及び炭素の気体原子及び気体ラジカルに分解するのに十分な温度まで加熱することを含み、
前記加熱することは、不活性環境と還元環境とのいずれか1つで生じ、
前記ケイ素化合物の分解後、前記ケイ素及び炭素の気体原子及び気体ラジカルは、結合及び凝縮し、(i)炭素に富む炭化ケイ素マトリックス、(ii)前記被加工物の前記表面上と、前記複数の粉末粒子の外面上の各炭化層、及び(iii)前記被加工物の前記表面と前記複数の粉末粒子の前記外面との前記各炭化層を連結する共有結合を形成する
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
さらに、
前記混合物を前記被加工物の前記表面に塗布する前に、前記被加工物の前記表面上に凹部を提供することを含み、
前記凹部は、90度よりも小さな接線角を有し、前記炭素に富む炭素ケイ素マトリックスが前記被加工物内に引っかかることが可能に構成及び配置される、
方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記被加工物の前記表面上に前記凹部を提供することは、レーザー掘削、シリコンビードブラスト、及びリソグラフィ工程の1つによってなされる
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、
前記ポリカルボシラン骨格を有する前記ケイ素化合物は、ポリシラメチレノシラン、トリシラアルカン、ジメチルトリシラヘプタン、ジメチルジクロロシラン、及び環状[−CH2SiCl2−]3からなる群から選択される
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、
前記粉末は、炭化物化合物を形成可能な金属であり、チタン、タンタル、モリブデン、及びタングステンからなる群から選択される
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法であって、
前記粉末は、半導体であり、ケイ素、ドープケイ素、ケイ素−ゲルマニウム、ドープケイ素−ゲルマニウム、及びヒ化ガリウムからなる群から選択される
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法であって、
前記粉末は、炭化物であり、炭化ケイ素、ケイ素−ゲルマニウム炭化物、ゲルマニウム炭化物、チタン炭化物、及びタンタル炭化物からなる群から選択される
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法であって、
前記粉末は、黒鉛である
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図12d】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−506035(P2013−506035A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531069(P2012−531069)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/050200
【国際公開番号】WO2011/038229
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(503093316)フェローテック(ユーエスエー)コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】