説明

高強度ポリオレフィンリボンの製造方法、それから製造される織物およびエンジニアリングシート材料、および弾丸の衝撃等から保護するための保護体におけるその使用

本発明は、高分子量ポリオレフィンから製造された高弾性率を有する高強度リボンの製造方法に関し、ここに、ポリオレフィン、特にポリプロピレンおよびポリエチレンはスロット付きのノズルを通して押し出され、次いで、85℃〜135℃の温度に少なくとも1秒の持続の間、付され、次いで、フィルムは個々のリボンに切断され、必要であれば、1以上の工程において90℃〜165℃の間の温度で延伸され、圧延され、またはさらに直接的に織物または技術的フレキシブルなシート材料に加工される。リボンは、接着材または接着促進剤を用いることによって多層のフレキシブルなシート材料にラミネートされ、フレキシブルなシート材料は弾丸衝撃からの保護として特に適している。この場合、特に、プレート形状のまたはフレキシブルな複合体の形態である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子量のポリオレフィンから高い係数を有する高強度リボンを製造する方法、この種の方法によって製造されるリボン、およびそれから製造される織物またはエンジニアリングシート材料、およびその使用であって、ピストル、ライフル等の弾丸のような弾丸衝撃に対する、また、爆発または砲弾衝撃の時点でヒトの身体に命中し得る、およびかくしてそのヒトに負傷を引き起こすか、あるいは致命的な効果を有し得る銃弾破片等に対する保護を供するための、成型またはプレート様の複合体における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンが、押出機によって溶融形態にある場合にそれをダイに通し圧力を掛けることによって、単繊維に加工されることが知られている。こうした場合、ダイの出口開口は、一般に輪郭が円形である。しかしながら、円形断面のダイのそれとは異なり、かつ例えば、鋭角的形状の断面、半月断面、三葉断面等を有する断面形状を有するダイも知られている。
【0003】
同様に、広いスリットダイ、および、例えば、平坦なフィルムまたは管状フィルムを製造するのに用いることができるダイも知られている。
【0004】
高分子量のポリオレフィン材料からのテープ(リボン)またはスリット糸の製造も知られている。このように、例えば特許文献1は、例えば、超高分子量ポリエチレンフィルムまたはフィルム様材料をまず延伸し、熱可塑性プラスチック材料のフィルムを有するこのフィルム様材料をそれに上側および/または下側にラミネートする方法を記載し、その熱可塑性フィルムは、着色剤、対候安定剤、帯電防止剤、親水性化剤、接着剤または可染性付与剤を含む。
【0005】
次いで、2以上の層を含むフィルム様材料は延伸され、適当な幅にスリットされるか、分割糸に分割される。この特許文献1の教示の下では、出発物質として作用する超高分子量ポリエチレンのフィルムは、好ましくは、適当なポリエチレン粉末を圧縮することによって製造される。この高分子量ポリエチレンは押出しによってフィルムに加工できることが特定されるが、これをどのようにして行うかについては詳細な方向付けは全くない。
【0006】
また、この特許文献1は、弾丸衝撃等に対する保護を供するのに用いられることが意図される主要部を製造するための、その教示の下で製造される織糸または微細なリボンの使用のいずれのヒントも含有しない。
【0007】
高分子量ポリエチレンの単繊維のようなテープ、リボンおよび綱製品は、例えば特許文献2に記載されている。しかしながら、この特許文献2における先行技術の議論から、この種のテープを製造するのはどれくらい複雑かつ困難であるかは明らかである。溶融押出しによって製造され、次いで、延伸されるテープの可能性を示すものがそこに与えられているのは真実である。しかしながら、特に製造パラメータに関して、この明細書中にいずれの正確な詳細も全くなく、その代わり、特許文献2の教示として開示されているのは、前駆体材料を形成し、かつ特に粉末の圧縮によって製造されたテープが、不揮発性溶媒を用いて擬似ゲル状態とされ、非溶媒は圧縮によって、および揮発性溶媒での抽出によって除去され、次いで、このようにして得られた中間生成物が圧延され、その後延伸される方法である。
【0008】
この種の方法は、もちろん、非常に煩雑であって時間を消費するものである。このようにして得られるテープは、特に、デンタルフロスとして使用するのに適当であるが、釣り糸、帆布用の単繊維、多孔性膜、補強材料、カテーテルおよびバルーン材料として、および、ガラス、カーボン、スチール、窒化ホウ素等と組合せて、良好な衝撃抵抗性を有する製品として、および防弾や弾丸抵抗性材料としての、他の多くの適用にも推奨される。しかしながら、どのようにしてそのような製品を製造するかについての正確な詳細は全くない。
【0009】
高強度ポリエチレン繊維を製造する方法は、例えば特許文献3に記載されている。この特許文献3の教示は、少なくとも20,000の数平均分子量Mn、および125,000未満の重量平均分子量Mwを有する高密度ポリエチレンの紡糸に限定される。紡糸および延伸プロセスに関する種々の詳細は、その中に掲げられており、とりわけ、紡糸ダイの下流の加熱チューブの使用も開示されている。しかしながら、この加熱チューブを取り去った後、単繊維は、好ましくは、雰囲気温度にて空気中で冷却される。
【0010】
この明細書において、製造されるリボンまたはテープのヒントはなく、また、その中に記載された繊維、単繊維または織糸を、衝撃に対する保護の手段として作用させることを意図した製品の製造において用いることができることを示すいずれの示唆もない。
【0011】
例えば特許文献4において、フィルムが溶融または固体状態において横方向に延伸される高強度織糸を製造する方法が記載されている。この特許文献4の目的は、いわゆる分割繊維または分割糸に当てはまるように、メッシュ様構造を有するフィルムを製造することにある。これらの織糸から、次いで、不織材料が製造され、個々の不織材料が連結されて、相互の横方向の頂部に置くことによって、より強い不織材料が形成される。
【0012】
しかしながら、開示された本発明のような方法および本発明による製品は、この特許文献4において開示されておらず、または自明でもない。
【0013】
さらに、特に、ポリエチレンおよびポリプロピレンを含めたポリオレフィンを加工する膨大な種類の局面に関連する多数の科学刊行物もあるが、そのいずれも、産業的に利用でき、かつ、ポリマーから出発し、容易に最終製品まで行うことができる使用可能な方法を開示していない。特に、本発明が教示するような方法、特に連続的方法のために、現実に追求することができる明瞭な、曖昧でないかつ完全な提案はなされていない。
【0014】
例えば非特許文献1は、弾丸適用のための局所的材料からの高強度ポリエチレン繊維の開発についての考えを掲示している。本発明のような方法は、それらのいずれによっても教示されていない。このように、それが延伸される前に、いずれのリボンも85℃〜135℃の温度に暴露されるという暗示はない。これが当てはまるが、これは、当業者が、本発明が教示するような方法を見出すことができないもう1つの刊行物である。
【0015】
高強度ポリオレフィンリボン、特にポリプロピレンおよびポリエチレンリボンを製造する多数の方法が知られているが、改良された方法に対する、および対応するリボンに対する、およびこれらのリボンを含有する製品に対する要望も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】カナダ国特許第2166312号公報
【特許文献2】米国特許第5,479,952号公報
【特許文献3】米国特許第4,228,119号公報
【特許文献4】欧州特許公開2007−334690号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Taweechai Amornsakchai et al.は、Development of high strength polyethylene fiber from local materials for ballistic applications:paper read during the “4th Thailand Materials Science Technology Conference”(2006)”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、本発明の目的は、高分子量のポリオレフィン、特にポリプロピレンおよびポリエチレンから、高い弾性率を有する高強度リボンを製造する方法を利用可能とすることにあり、こうした方法は、容易かつ迅速に行うことができ、かつ特に、弾丸衝撃に対して、または爆発においてあるいは砲弾によって生じ得るような銃弾破片に対して保護を提供するのに用いることが可能な、商業ベースにのったリボン、テープおよび織物シート材料および複合体を直接的にもたらす。
【0019】
また、本発明の目的は、強度、延伸性および弾性率に関するポリエチレンおよびポリプロピレンの特性を最適な方法で利用でき、かつ開発することができる方法を利用可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
これらの目的は、高分子量のポリオレフィンから高弾性率を有する高強度リボンを製造する方法であって、ポリオレフィンが、その温度がポリオレフィンの融点を少なくとも10℃超えた溶融体として、スリットダイを通して押出され、依然として溶融状態にある発現するフィルムが、調温ゾーンによって少なくとも1秒間85℃〜135℃の温度に暴露され、フィルムが、必要であれば個々のリボンに切断され、次いで15:1〜60:1の合計延伸が達成されるまで90℃および165℃の間の温度にて1以上の段階で延伸し、リボンが、リールに巻かれ、あるいはさらに直接織物またはエンジニアリングシート材料に加工されることを特徴とすることによって達成される。
【0021】
スリットの高さ、供給速度および合計延伸を設定することによって、リボンとして、10μm〜250μm、特に30μm〜80μmの厚みが設定されることが好ましい。
【0022】
フィルムは、延伸される前に、5〜50mm、特に7〜20mmのリボンに切断されることが有利である。
【0023】
特に有利な実施態様において、リボンが、延伸後にニードルローラによって穴が開けられる。
【0024】
フィルムの85℃〜135℃の温度への暴露は、好ましくは85℃〜135℃の温度である1以上の冷却ローラにそれを通すことによって行うことができる。
【0025】
本発明による方法のさらに有利な実施態様において、85℃〜135℃の温度への暴露は、100〜135℃の温度にて、液体またはガス、好ましくは不活性ガスにフィルムを通すことによって行われる。
【0026】
使用されるポリオレフィンは、通常の添加剤、特に好ましくは、0.01〜5重量%の炭酸カルシウムおよび/または0.01〜5重量%のUV−安定化剤および/または0.01〜5重量%の熱安定化剤、または0.1〜5重量%のポリアラミド粉末を含有してもよい。
【0027】
ポリアラミドは,p−フェニルジアミンのような芳香族ジアミン、およびテレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸に基づくアラミドとしても知られたポリアミドである。
【0028】
使用される添加剤は、単独で、または混合物で用いてもよく、添加剤の合計量は5重量%以上ではないことが好ましい。
【0029】
使用される高分子量のポリオレフィンは、高分子量のポリエチレンの場合には、好ましくは、80,000〜500,000の平均分子量Mw、および5,000〜80,000のMnを有するポリエチレン、高分子量のポリプロピレンの場合には、100,000〜130,000の平均分子量Mw、および25,000〜33,000のMnを有するポリプロピレンである。
【0030】
本発明による方法の特別な実施態様において、フィルムは、スリットダイを出て、135℃から押し出されるポリマーの融点までの温度である加熱ゾーンに直接的に通し、しかる後、85℃〜135℃の温度に少なくとも1秒間暴露される。
【0031】
二峰性ポリオレフィンを用いるのが有用である。
【0032】
また、本発明は、先に特定された方法によって製造されたリボンにも関するもので、その強度500MPa〜3000MPaであって、20GPa〜180GPaの弾性率を有し、該弾性率は、23℃の雰囲気温度および65%の相対的湿度にて、0.5%〜1%の間の歪みにて測定された、リボンの応力−歪み曲線と交差する割線から決定されたことを特徴とする。
【0033】
また、本発明は、前記種類の微細なリボンを含む織物およびエンジニアリングシート材料を製造する方法にも関し、その方法は、リボンが接着剤および/または接着促進剤で1以上の側に供され、次いでラミネーションによって接合され、2以上の層を有するシート材料を形成することを特徴とする。
【0034】
好ましくは、リボンが並撚り綿布並撚り綿布または織布として多層シート材料に仕上げられる。
【発明の効果】
【0035】
本発明による多層化シート材料は、弾丸衝撃に対する保護を供するために保護体を供するのにプレート様またはフレキシブルな複合体のラミネートとして特に有利性をもって用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明による方法は、例えば、以下のように行うことができる。
【0037】
ポリプロピレンまたはポリエチレンのようなポリオレフィンは押出機に入れられ、そこで溶融され、これがなされると、使用されるポリオレフィンの融点を少なくとも10℃超えた温度、好ましくは少なくとも50℃超えた温度まで加熱され、かくして、製造された溶融体の粘度を、溶融体がスリットダイをスムーズに通過して押し出されることを可能とする値まで到達させる。
【0038】
ポリエチレンの場合に特に満足することが判明したのは、その溶融体の流量(ISO1133(190℃/2.16kg)下のMFR)が0.3および1.5g/10minの間であるタイプである。ポリプロピレンの場合に特に満足することが判明したのは、その溶融体の流量(ISO1133(190℃/2.16kg)下のMFR)が1.0および3g/10minの間であるタイプである。
【0039】
分子量は、公知の方法、すなわち、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)方法によって決定される。このために用いられたのは、Polymer Laboratoriesによって製造されたGP220装置であり;「Pigel guard plus 2x mixed bed−B」、30cm、10μmのカラムを用いた。用いた溶媒は、抗酸化剤を含有する1,2,4−トリクロロベンゼンであった。流量は1.0ml/minであった。温度は160℃であり、検出器として用いたのは屈折率であった。
【0040】
ダイとして用いられるものは、その幅が300mm〜2800mmの範囲となる広いスリットダイを含む通常のスリットダイである。
【0041】
依然として溶融状態にあるフィルムは、ダイを出ると、溶融体の構造を均一化するように働く調温ゾーンを通ってガイドされる。これは、特に、次いで起こる結晶化に対して有利な効果を有する。
【0042】
調温ゾーンにおいて、フィルムは85℃〜135℃の温度に少なくとも1秒間暴露される。このゾーンにおいて、ポリマーの有利な結晶化が起こる。結晶化は、最良には、フィルムの不透明化から続けられることである。
【0043】
調温化と85℃〜135℃の温度における処理の間の相互作用は、延伸性に対して、そしてさらに、強度や弾性率のような優れた機械的特性の達成に対して、好ましい予備的条件を生じさせる。
【0044】
85℃〜135℃の温度における処理の後、リボンは90℃〜165℃の温度にて1以上の段階で延伸され、この場合に合計延伸によって意味するところは、延伸の個々の段階における延伸量の総和であり、および可能性として存在し得るいわゆる紡糸ラインの歪みの量の総和である。紡糸ラインの歪みが意味すると理解されるべきなのは、ダイからの出口速度とリボンが85℃〜135℃のゾーンを出る速度の間の差である。
【0045】
本発明によると、得られるリボンの特性が、一方では紡糸ラインの歪みおよび他方では引き続いての延伸を変化させることによって作用されるのが可能である。
【0046】
延伸された後、リボンはより小さな幅、例えば、最少0.6mm〜50mmまでの幅まで切断することができる。しかしながら、リボンが、例えば、50cmまたは1mの、その元の幅においておくのも可能である。次いで、リボンはリールに巻かれ、より後の時点においてさらなる処理の手段に供給され得る。しかしながら、それらは直接的にさらなる処理の手段に供給され得る。
【0047】
本発明の特別な実施態様において、延伸された後に、ニードルローラによってリボンに穴が開けられる。
【0048】
この穴開けは、特に、公平に見て重要な幅のリボンについて、有利に行われる。なぜならば、この手段によって、それには、とりわけ、特に柔軟性が与えられ、織物またはエンジニアリングシート材料において非常に有利であることが判明するからである。微細なリボンや、特に、かなり狭い幅のそれらは、非常に有利には、さらに織物またはエンジニアリングシート材料に、特に、織布、並撚り綿布に加工することができる。
【0049】
次いで、これらの織布または並撚り綿布は、有利にラミネートされて多層シート材料を形成し、個々の層に、片側よりは1以上の側に接着剤および/または接着促進剤が供され、次いで、ラミネーションによって複合体に合わせられるのが有利である。
【0050】
織布または並撚り綿布と同様、複合体は、例えば、可塑性のプラスチック材料または熱硬化性物質のような他の媒体を含むこともでき、かくして、その特別な硬さが顕著であるプレート形態の複合体、または必要であればフレキシブルな複合材料さえ得られるのを可能とするのは言うまでもない。
接着剤または接着促進系として用いられるのは、特に、その融点が、リボンを製造するのに用いたポリマーの融点の5〜30℃未満である媒体である。
【0051】
本発明を、2つの実施例を挙げて説明し、詳細は表から分かる。
【0052】
【表1】

【0053】
本発明によって、優れたリボンがポリプロピレンおよびポリエチレンから製造されるのが可能であったのは特に驚くべきことであった。本発明による方法は、一続きに、すなわち、遮られることなく、ポリマーから仕上げられたリボンまで行うことができ、それはいかなる複雑性もなく操作され、速くかつ反復可能である。リボンから製造された織物またはエンジニアリングシート材料は、優れた特性を有することが顕著であり、特に、弾丸衝撃に対する保護を供するための主要部として適切である。従って、特に、保護服の製造に、また、安全に作成された構造のために建築材料として用いることもできるプレート形態の複合体の製造に用いられる。
【0054】
特に有利なのは、織布または並撚り綿布の複数の層を含む織物およびエンジニアリング複合体である。
【0055】
例えば、織布を用いて多層複合体を製造する場合、これが意味するのは、例えば、1つの織布の層が縦方向の縦糸繊維の方向にあり、次の層の縦糸繊維が、その下方または上方に位置する層の縦糸繊維に対して、例えば、少なくとも10°の角度であることである。このようにして、衝撃を妨げ、阻止するのに特に適した複合体または織物ラミネートを得るのが可能である。なぜならば、エネルギーの吸収は、これらの複合体において特に高く、すなわち、弾丸は対応する速度および鋭さでもって停止されるからである。
【0056】
また、90°までの角度を選択することも可能である。例えば、縦糸繊維すなわち縦糸を形成するリボンが縦方向にある1以上の層は、その縦糸繊維が、縦糸繊維が縦方向に配向している織布の縦糸繊維に対して一定角度となっている、織布と合わせることができる。この目的について、一方では、縦方向に伸び、縦糸繊維が縦の織物に対して10〜90°の角度である部分で被覆される織物についても可能である。
【0057】
ポリエチレンの場合には80,000〜500,000の分子量の範囲、およびポリプロピレンについてはこれに対応する範囲の、本発明のポリオレフィンを用いて、1GPaを超える強度のものであって、2〜6の範囲の破壊での低い伸度を有するリボンが得られるのは、特に驚くべきことであった。該リボンは、高速で製造することができ、250m/minまでの出口速度が可能であり、これは全て一気に、すなわち、ダイから最後の延伸ローラの速度まで可能であり、次いで、この後者の速度はリールへの巻き取りのための速度として採用することができる。
【0058】
20〜120GPaの弾性率であるように、合計延伸1:15〜1:60とすることができる。より低い範囲の分子量である慣用的な微細なポレオレフィンリボンの場合には、弾性率は最大20GPaであって、延伸は、通常、最大1:20である。超高分子量のポリオレフィンのゲル紡糸においては、または粉末が圧縮される成型プロセスにおいては、操作を行うことができる最大出口速度は60m/minである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子量のポリオレフィンから高弾性率を有する高強度リボンを製造する方法であって、ポリオレフィンが、その温度がポリオレフィンの融点を少なくとも10℃超えた溶融体として、スリットダイを通して押出され、依然として溶融状態にある発現するフィルムが、調温ゾーンによって少なくとも1秒間85℃〜135℃の温度に暴露され、フィルムが、必要であれば個々のリボンに切断され、次いで15:1〜60:1の合計延伸が達成されるまで90℃および165℃の間の温度にて1以上の段階で延伸し、リボンが、リールに巻かれ、あるいはさらに直接織物またはエンジニアリングシート材料に加工されることを特徴とする方法。
【請求項2】
スロットの高さ、供給速度および合計延伸を設定することによって、リボンとして、10μm〜250μmの厚みが設定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フィルムとして、30μm〜80μmの厚みが設定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
延伸される前に、フィルムが0.6〜50mmの幅に切断されることを特徴とする請求項1〜3の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項5】
リボンが5〜20mmの幅に切断されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
延伸される前に、ニードルローラによってフィルムに穴が開けられることを特徴とする請求項1〜5の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項7】
フィルムは、85℃〜135℃の温度である1以上の冷却ローラに通過させることによって、85℃〜135℃の温度に暴露することを特徴とする請求項1〜6の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項8】
85℃〜135℃の温度への暴露が、85〜135℃の温度の、液体または気体、好ましくは不活性気体にフィルムを通過させることによって行われることを特徴とする請求項1〜6の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項9】
使用されるポレオレフィンが、0.01〜5重量%の炭酸カルシウムを含有することを特徴とする請求項1〜8の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項10】
使用されるポリオレフィンが、0.01〜5重量%のUV−安定化剤を含有することを特徴とする請求項1〜9の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項11】
使用されるポリオレフィンが、0.01〜5重量%のアラニド、および好ましくは、ポリアラミド粉末を含有することを特徴とする請求項1〜10の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項12】
高分子量のポリオレフィンとして用いられるものが、80,000〜500,000の平均分子量Mw、および5,000〜80,000のMnを有する高分子量のポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜11の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項13】
高分子量のポリオレフィンとして用いられるのが、100,000〜130,000の平均分子量Mw、および25,000〜33,000のMnを有する高分子量のポリプロピレンであることを特徴とする請求項1〜11の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項14】
フィルムが、スリットダイを出る際に、かつ調温ゾーンの上流にて、135℃から、押し出されるポリマーの融点の温度までの温度の加熱ゾーンを直接的に通って、少なくとも1秒の間供給されることを特徴とする請求項1〜13の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項15】
ニ峰性ポリオレフィンが用いられることを特徴とする請求項1〜12および14の少なくとも1つに記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜15の少なくとも1つに記載の方法によって製造されたリボンであって、その強度500MPa〜3000MPaであって、20GPa〜180GPaの弾性率を有し、該弾性率は、23℃の雰囲気温度および65℃の相対湿度にて、0.5%および1%の間の歪みにて測定された、該リボンの応力―歪み曲線と交差する割線から決定されることを特徴とするリボン。
【請求項17】
請求項1〜16の少なくとも1つに記載の微細なリボンを含む織物またはエンジニアリングシート材料を製造する方法であって、該リボンが、1以上の側に、接着剤および/または接着促進剤が供され、次いで、ラミネーションによって結合されて、2以上の層を有するシート材料を形成することを特徴とする方法。
【請求項18】
前記リボンが、並撚り綿布または織布として多層シート材料に加工されることを特徴とする請求項17記載のシート材料を製造する方法。
【請求項19】
請求項17または18に記載のシート材料であって、シート材料の個々の層が、それを含むフィルムまたはリボンの延伸の方向が、その上方または下方に位置する織布または並撚り綿布におけるリボンの延伸の方向に対して少なくとも10°の角度となるように構成されるように、前記並撚り綿布または織布が相互にラミネートされることを特徴とするシート材料。
【請求項20】
請求項19記載のラミネートの使用であって、該並撚り綿布または織布がプレート様またはフレキシブルな複合体にて使用されることを特徴とする、弾丸衝撃に対する保護を供するための保護体を製造するためのラミネートの使用。

【公表番号】特表2010−523837(P2010−523837A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502463(P2010−502463)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002887
【国際公開番号】WO2008/125298
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(501078281)テイジン モノフィラメント ジャーマニイ ゲー・エム・ベー・ハー (11)
【Fターム(参考)】