説明

高弾性を有するゴム組成物

本発明は、オレフィン二重結合を含有する天然ポリマーおよび/または合成ポリマー、および加硫剤に基づく熱硬化型反応性組成物であって、組成物は、a)20000〜70000の重量平均分子量を有する少なくとも1種の液状 cis−1,4−ポリイソプレン、b)加硫系、c)22℃で液状の少なくとも1種のポリブタジエンを含有し、ここで、上記の液状 cis−1,4−ポリイソプレンa)は、組成物全体の9〜15重量%の範囲の割合を構成し、加硫系b)は、b1)硫黄および1種以上の加硫促進剤、b2)過酸化物加硫系または二硫化物加硫系、b3)キノン類、キノンジオキシム類またはジニトロソベンゼンからなる群から選択され、かつ、22℃で液状のポリブタジエンc)は、組成物全体の16〜29重量%の範囲の割合を構成する、組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチゾル様流動性を示す液状ゴムに基づく、単一成分、熱硬化性組成物に関する。これは、自動車のボディ・イン・ホワイト構築における、フランジシーム接着剤およびフランジシームシーラントの両方としてとして適当であるため、物流および塗布技術が簡素化される。本発明は、さらに、本発明の組成物で、フランジシームを接着結合させた、および/または、封止させた、ここで、組成物は硬化している、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両構築における、特に自動車の車体における、板金部品の接着結合または封止は、仕上げをしていない板金部品で行われることが多い。この目的に使用される接着剤/シーラントは、後で、塗料乾燥炉内で硬化させられる。この前に、接着結合した、あるいは、封止した部品は、洗浄段階、リン酸塩処理段階および浸漬下塗り段階を経る。これらの段階で使用される処理剤によって、接着剤またはシーラントは、接着部から、すすぎ出され得る。これらの要求に応えるあらゆる手法が開示されており、例えば、溶媒含有組成物またはホットメルトの状態で、2成分製品または成形物品として(それらは、通常、手作業で塗布され、塗布時に本来備わっている粘着性を示す)、接着剤を使用する、低粘性、ペースト状接着剤/シーラントの熱/誘導早期硬化である。
【0003】
低粘性、ペースト状接着剤/シーラントは、特に、スプレー塗布またはスポット塗布によって、または押し出し成形方法によって、簡単に使用され得る。したがって、特にプラスチゾルに基づく、このような製品は、ボディ・イン・ホワイト構築においても頻繁に使用される。
【0004】
プラスチゾルは、通常、可塑剤中における有機可塑物の分散体であるとされ、比較的高温に加熱する際にゲル化し、冷却する際に硬化する。現在なお汎用されているプラスチゾルの大半は、液状可塑剤中に分散しペーストを形成する、微細粉末ポリ塩化ビニル(PVC)を含有する。このようなポリ塩化ビニルプラスチゾルは、最も多様な用途がある。用途としては、封止用組成物、例えば金属容器をシームシーリングするための封止用組成物、または金属工業におけるフランジシーム接着剤としての用途、および金属の耐腐食コーティングとして(例えば自動車車両の車体底面シーラントとして)の用途が挙げられる。微細粉末メタクリレートコポリマー(PMMA)またはスチレンコポリマーに基づくプラスチゾルも、現在知られている。特にPVCまたはPMMAに基づく、このようなプラスチゾルは、自動車のボディ・イン・ホワイト構築においても、例えば、ボンネット、トランクリッド、ドアおよび屋根構造などの補強構造を支えるために、フランジシームの接着結合のために、および、他の接合方法により生じた継ぎ目を封止するために、広く使用されている。これらの用途のためにプラスチゾルを使用することの有利な特徴は、特に室温での、好ましい流動性である。自動車車体の製造に含まれる、あらゆる洗浄段階、リン酸塩処理段階および浸漬下塗り段階における耐水性を付与するために、プラスチゾル組成物は、その粘性が、それらに耐水性を付与し、構成要素に初期強度を付与するのに十分高くなるような範囲まで、予備ゲル化工程においてある程度ゲル化されることが多い。
【0005】
本発明の目的に対し、用語「プラスチゾル」は、レオロジー的挙動にのみ関するものであり、ポリマー粉体と可塑剤の組成物に関するものではない。
【0006】
近来、加硫性ゴム混合物に基づく組成物の、別の接着剤またはシーラントおよび封止用コンパウンドとしての提案が増えつつある。欧州特許第97394号には、液状ポリブタジエンゴム、粉末硫黄、有機促進剤および任意に固形ゴムに基づく、接着剤混合物が記載されている。硫黄および促進剤の量を適宜選択することにより、液状ポリブタジエンに基づくこのような接着剤が、軟化させたエポキシ接着剤と同等の強度を実現し得ることが知られている。これらの製剤は、良好な硬化特性および良好な耐劣化性を有し、通常の、油を塗った鋼板において、十分に使用可能な接着を示す一方、それらは、あらゆる種類の亜鉛めっき鋼板においては満足に使用することができない。さらに、これらの高強度ゴム接着剤の破断点伸びは、極めて小さい。それらをスプレーすることはできず、比較的高温で押し出さねばならない。
【0007】
接着性を改良するために、独国特許第3834818号には、OH−末端ポリブタジエンを、液状ゴムに使用することが提案されている。欧州特許第441244号によれば、ヒドロキシ官能性ホモポリマーまたはコポリマーに加えて、使用される官能性ゴムポリマーが、チオール基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、無水物基またはアセトキシ基を有してもよいが、硬化した接着剤混合物は、15%を超えない破断点伸びを示す。
【0008】
国際公開第96/23040号には、官能基、固形ゴム、熱可塑性ポリマー粉体および硫黄および加硫促進剤の一部を任意に含有してよい、液状ゴムに基づく、単一成分、熱硬化性構造接着剤が記載されている。これらは、金属部品を接着結合するのに適している。これらは、15MPaより高い引張剪断強度が、15%超の高い破断点伸びと同時に、得られ得る。これらの接着剤は、自動車工業におけるボディ・イン・ホワイト構築において使用するのに、特に適当である。
【0009】
上記に述べた先行技術のゴム組成物は、一般に、自動車製造におけるボディ・イン・ホワイト構築いおいて非常にふさわしい。それらは、耐水性、耐劣化性および必要とされる技術特性に関しても、優れた特性を示す。しかしながら、これらゴムコンパウンドの実質的な欠点は、その粘性が極めて高いことであり、このため、原則として、温められた状態においてのみ塗布することができる。例えばエアレス法などの、従来のスプレー方法により、それらを塗布することはできない。
【0010】
国際公開第2002/048255号には、この状況を改善する熱硬化性ゴム組成物が開示されている。上記の文献は、オレフィン二重結合を含有する天然および/または合成の液状エラストマーおよび加硫剤に基づく、熱硬化型反応性組成物を提供し、この組成物は、20000〜70000の分子量を有する少なくとも1種の液状 cis−1,4−ポリイソプレン、および、硫黄、促進剤およびキノンオキシムから製造した加硫系を含有する。その上、この組成物は、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエンおよび/またはイソプレンとスチレンおよび/またはアクリロニトリルとのコポリマー、アクリル酸エステルとジエンとのコポリマーからなる群から選択される、少なくとも1種のさらなる液状ポリエンを含有してもよく、この液状ポリエンの分子量は、900〜約40000の範囲である。上記の液状ポリエンは、官能基として、末端および/またはランダム分布したカルボキシル基、カルボン酸無水物基、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基またはエポキシ基を、さらに含んでよい。
【0011】
しかしながら、フランジシーム接着剤としておよびフランジシームシーラントとして同時に使用するために必要な、高強度(特に引張剪断強度)と共に兼ね備えられた、高弾性は、上記の文献に開示された組成物では、通常、達成されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第97394号明細書
【特許文献2】独国特許第3834818号明細書
【特許文献3】欧州特許第441244号明細書
【特許文献4】国際公開第96/23040号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2002/048255号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、以下の主題の組合せを達成することである。
・高引張剪断強度(>4MPa)と共に兼ね備えられた、高い伸び(>130%)を有し、優れた耐劣化性を有する、自動車構築用のゴムベースシーリングおよびフランジシーム接着剤の提供。
・例えばボディ・イン・ホワイト構築において使用するためのまたは塗装ラインで使用するための自動車構築における結合部品の、接着結合用および封止用の併用製品として使用できる、所望の製品。
・120〜150℃のボディ・イン・ホワイト加熱炉中、8〜30分で、製品の予備硬化が可能であること。
・スプレーまたは押し出し成形による製品の迅速な塗布。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、オレフィン二重結合を含有する天然および/または合成ポリマー、および加硫剤に基づく熱硬化型反応性組成物によって、この主題の組合せが達成され、ここで、組成物は、以下を含有する。
a)20000〜70000の重量平均分子量を有する少なくとも1種の液状 cis−1,4−ポリイソプレン(特に、組成物の高弾性に好ましい影響を有する)、
b)加硫系、
c)22℃で液状の少なくとも1種のポリブタジエン、
ここで、
・上記の液状 cis−1,4−ポリイソプレンa)は、組成物全体の9〜15重量%の範囲の割合を構成し、
・上記の加硫系b)は、
b1)硫黄および1種以上の加硫促進剤、
b2)過酸化物加硫系または二硫化物加硫系、
b3)キノン類、キノンジオキシム類またはジニトロソベンゼン
からなる群から選択され、かつ
・22℃で液状のポリブタジエンc)は、組成物全体の16〜29重量%の範囲の割合を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、引裂き試験を行うために使用する試験試料を示す図(mm寸法)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、上記の本発明の主題が、適当な成分を特定の量範囲で選択することによって達成され得るという認識に基づき、少なくとも成分c)に関しては、国際公開第2002/048255号に開示されている量の範囲外にある。
【0017】
本発明の課題のために、重量平均分子量(Mw)は、標準としてポリスチレンを用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定され得る。成分が22℃で液状であるという記載は、大気圧に関する。重量%で示される量は、常に、組成物全体に対する。
【0018】
22℃で液状のポリブタジエンc)において、60〜90%の二重結合が cis−1,4二重結合の形態をとることが好ましい。その重量平均分子量は、1500〜3000の範囲であることが好ましい。
【0019】
本発明の組成物は、さらなる成分d)として、40〜60%の範囲の1,2−ビニル含量を有し、1500〜3000の範囲の重量平均分子量を有する、22℃で液状の立体特異的なポリブタジエンを、組成物全体に対して0.5〜3.5重量%、追加的に含有することが好ましい。この成分の添加により、組成物をフランジシームシーラントおよびフランジシーム接着剤の両方として適するものにさせる、硬化後の組成物の特性の所望する組合せを確立することが容易になる。このポリマーは、特に、組成物に必要な強度をもたらす。
【0020】
本発明の組成物が、さらなる成分e)として、カルボン酸基またはカルボン酸無水物基を有し1500〜3000の範囲の重量平均分子量を有する、22℃で液状のポリブタジエンを、組成物全体に対して2〜8重量%含有する場合、本発明の組成物の金属性基材への接着が改善される。したがって、これは、本発明の好ましい態様である。必要であれば、さらなる粘着付与剤および/またはカップリング剤を、追加的に添加してよい。例えば、炭化水素樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂またはその誘導体、変性または未変性樹脂酸またはエステル(アビエチン酸誘導体)、ポリアミン、ポリアミノアミド、無水物および無水物含有コポリマーが、この目的に適当である。少量のポリエポキシ樹脂を添加することも、多くの基材に対する接着性が改善され得る。粘着付与剤またはカップリング剤を使用する場合、それらの種類および量は、ポリマー組成物および組成物を塗布する基材によって異なる。通常の粘着付与樹脂(粘着付与剤)、例えばテルペン−フェノール樹脂または樹脂酸誘導体を、5〜20重量%の濃度で使用し、一方、通常のカップリング剤、例えばポリアミン、ポリアミノアミドまたはフェノール樹脂またはレゾルシノール誘導体を、0.1〜10重量%の範囲で使用する。
【0021】
本発明の組成物は、超微粒子の熱可塑性ポリマー粉体を、任意に、追加的に含有してよい。適当な熱可塑性ポリマーの例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、熱可塑性ポリウレタン、メタクリレートコポリマー、スチレンコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、特にポリ酢酸ビニル、およびそれらのコポリマー、例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマーである。ポリマー粉体の粒径または粒度分布は、特に重要ではないと思われるが、平均粒径は、1mm以下、好ましくは350μm以下にすべきである。任意に添加した熱可塑性ポリマー粉体の量は、0〜20重量%、好ましくは2〜10重量%である。
【0022】
ゴム組成物の架橋反応または硬化反応は、封止機能および接着作用における決定的な影響を有し得る。したがって加硫系を、特に注意して選択し、調整すべきである。適当な加硫系は、元素硫黄と組み合わせた非常に多くの加硫剤だけでなく、硫黄を含まない加硫系も含む。後者は、例えばチウラムジスルフィド、有機過酸化物、多官能性アミン、キノン類、キノンジオキシム類、例えばp−ベンゾキノンジオキシム、p−ニトロソベンゼンおよびジニトロソベンゼンなどの二硫化物、ならびに(ブロック化)ジイソシアネート架橋したものに基づく加硫系を含む。
【0023】
しかしながら、きわめて好ましい加硫系は、元素硫黄、酸化亜鉛および有機亜鉛化合物を含む有機加硫促進剤に基づくものである。ここで、粉末状硫黄を、組成物全体に対して4〜10重量%の量で使用することが好ましい。6〜8重量%の量が、特に好ましく使用される。適当な有機促進剤は、(そのアンモニウム塩または金属塩の形態における)ジチオカルバメート、キサントゲナート、チウラム化合物(モノスルフィドおよびジスルフィド)、チアゾール化合物、アルデヒド/アミン促進剤(例えばヘキサメチレンテトラミン)およびグアニジン促進剤である。ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、その亜鉛塩(ZMBT)またはジフェニルグアニジンおよび亜鉛ジベンジルジチオカルバメート(ZBEC)が、きわめて好ましい。本発明によれば、特に有利な加硫特性および硬化したゴム組成物の最終的な性質は、元素硫黄の加硫系と、例えば脂肪酸の亜鉛塩、亜鉛ジチオカルバメート、塩基性炭酸亜鉛、特に超微粒子酸化亜鉛などの、促進剤として作用する亜鉛化合物とを組み合わせて選択することにより得られる。酸化亜鉛、ZBECおよびZMBTの促進剤系が、特に好ましい。酸化亜鉛および上記の有機化合物(特に有機亜鉛化合物)の合計含量は、0.25〜20重量%の範囲であることが好ましい。ここで、それぞれの場合に組成物全体に対して、酸化亜鉛を3〜7重量%、特に3.5〜6重量%の量で、ZBECを、0.5〜2重量%、特に0.7〜1.5重量%の量で、ZMBTを、0.2〜1重量%、特に0.3〜0.7重量%の量で使用することが好ましい。
【0024】
本発明の組成物は、さらに好ましくは、充填剤を含有する。充填剤は、複数の物質から選択してよい。白亜、自然のまたは粉末状の炭酸カルシウム、カルシウム−マグネシウム炭酸塩、ケイ酸塩、滑石、バライト粉およびカーボンブラックまたはグラファイトが、特に挙げられ得る。少なくとも一部のフィラーが、表面前処理されていることが、任意に好都合でありうる。特に種々の炭酸カルシウムまたは白亜について、取り込まれる水分を減らすために、および、硬化した組成物の水分に対して影響を受けやすい性質を減らすために、ステアリン酸コーティングを施すことが、好都合であることがわかっている。組成物は、脂肪酸で部分的に被覆されていてよい、炭酸アルカリ土類金属塩、好ましくは(特に白亜の形態における)炭酸カルシウムを、組成物全体に対して25〜55重量%含有することが好ましい。
【0025】
所望であれば、水分に対して影響を受けやすい性質をさらに減らすために、本発明の組成物は、組成物全体に対して8重量%以下、好ましくは3〜5重量%の酸化カルシウムを、さらに含有してよい。
【0026】
本発明の組成物は、酸化亜鉛を、組成物全体に対して8重量%以下の量で含有することがさらに好ましく、好ましくは2〜6重量%の酸化亜鉛が、特に好ましい。
【0027】
本発明の組成物の構成要素としての、酸化カルシウムおよび酸化亜鉛の組合せは、同様に好ましい。
【0028】
本発明の組成物は、さらに好ましくは、カーボンブラックおよび/またはグラファイトを、組成物全体に対して12重量%以下、好ましくは5〜9重量%含有する。
【0029】
本発明のさらに好ましい態様において、組成物は、組成物全体に対して5重量%以下のシリカ、好ましくは0.5〜3重量%のシリカを含有する。この態様の目的のために、好ましくは100nm未満の平均粒径を有する、超微粒子シリカを使用することが特に有利であることがわかっている。
【0030】
本発明の組成物が、酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよびグラファイトを組み合わせて含有することが有利であることがさらにわかっている。本発明の組成物は、酸化カルシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウムおよびグラファイトを組み合わせて含有することが特に有利である。本発明の組成物が酸化カルシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、シリカおよびグラファイトを含有することが、きわめて好ましい。
【0031】
所望の接着強度を得るために、組成物が、組成物全体に対して10重量%未満、好ましくは5重量%未満、特に2重量%未満の22℃で液状の有機化合物(例えばエクステンダー油、ホワイトオイルまたは可塑剤)を含有することが有利であり、それらは、硬化反応の間に、得られるポリマーネットワーク中に非化学的に導入される。このような化合物が好ましくは0.5重量%以下で存在すること、特にこのような化合物が存在しないことが、特に好ましい。
【0032】
従来の安定剤または酸化防止剤、例えば立体障害フェノールまたはアミン誘導体を、熱、熱酸化または本発明の組成物のオゾン分解に対して、これらの安定剤に通常の量範囲である0.1〜5重量%で使用してよい。
【0033】
既知のゴムベース接着剤およびシーラントおよび封止剤と比較すると、本発明の組成物は、固形ゴムが存在しない点で区別される。(知られるように、固形ゴムは100000より大きい分子量を有する。)これは、硬化後のレオロジー的挙動および機械的特性に、好ましい影響を有する。さらに、固形ゴムが存在しないと、素練りのための混合装置としてニーダーを使用する必要ないため、製造が容易になる。単純な分散機、プラネタリーミキサーまたはバーミキサーで十分である。
【0034】
本発明の本質は、本発明の組成物が、フランジシームシーラントおよびフランジシーム接着剤の両方として、同時に適することである。したがって、本発明のさらなる態様は、特に車両構築における、フランジシームシーラントとしての、本発明の組成物の使用に関し、さらなる態様は、特に車両構築における、フランジシーム接着剤としての、本発明の組成物の使用に関する。特に、本発明の組成物は、フランジシームシーラントおよびフランジシーム接着剤の両方として、同時に使用される。したがって、本発明のさらなる態様は、フランジシームが、本発明の組成物で接着結合され、および/または、封止されている(後者は一度硬化されている)、車両に関する。
【0035】
先行技術、すなわちプラスチゾル様流動性を有するゴムベース製品との比較において、上記のゴムベース製品は、高強度(引張剪断強度>4MPa)と共に兼ね備わった、極めて高弾性(>130%)を示す。その上、良好な耐劣化性が、PVCおよび/またはPMMAプラスチゾルに対する、主要な利点である。
【0036】
上述の高弾性値および高強度値のために、より高品質を得ることが可能であり、すなわち、より安定かつ劣化耐性の結合部品、例えばドア、ボンネットおよびテールゲートなどを得ることができ、フランジシームシーラントとしての使用における製品のより高い弾性のために、改善された劣化性および使用中の構成要素の耐久性がもたらされる。フランジシーム接着剤として製品を使用する間における、より高い強度(引張剪断強度またはアングル剥離強さ)は、構成要素の安定性に対し、本質的に貢献する。
【0037】
本発明は、さらに、以下の利点を生じさせる。
・上述の製品を、(表面的に)結合したシーラント/フランジシーム接着剤製品として使用する際に、物流の複雑さが低減されるため、使用者にコスト削減がもたらされる。(例えばロボット利用に対する主なコスト削減、シーラントおよびフランジシーム接着剤を1つのロボットで塗布してよいため)。
・続く、低温での構成要素の取り扱いのための、製品の予備硬化性。
・上述の組成物のフランジシーム接着剤およびフランジシームシーラントとしての複合使用は、同じ成分における、2つの適用剤の間に不適合性がなく、次に、フランシームを、完全に継ぐか、覆ってよいという利点をもたらす。
【実施例】
【0038】
特記しない限り、実施例に記載する量は、重量パーセントである。
【0039】
以下の表1に示す原料を、共に混合し、適用特性および硬化後の接着特性を、それぞれ表IIおよびIIIにしたがって、測定した。
【0040】
製剤V1およびV2は、それぞれ、フランジシームシーラントおよびフランジシーム接着剤の比較例である。特に、比較例に対して、本発明の製剤E1〜E8は、高い引裂き強度および引張剪断強度と共に兼ね備えられた、明らかに高い破断点伸びを示し、このため、硬化した化合物は、フランジシーム接着剤およびフランジシームシーラントの両方として適する。
【0041】
図1は、引裂き試験を行うために使用する試験試料を示す図(mm寸法)である。
【0042】
〔引張剪断強度試験測定条件〕
2つの100×25×0.8mm(合金化溶融亜鉛めっき)鋼試料を湿らせて、得られた接着剤で、25×25mmの重なり領域および1.0mmのフィルム厚(スペーサー:ガラスビーズ)で、接着結合させた。その後、試料を170℃で20分間硬化させた。室温で24時間後、接着剤の引張剪断強度を、DINEN 1465で、50mm/分の速さで試験した。
【0043】
〔T型剥離試験測定条件〕
2つの200×25×0.8mm(合金化溶融亜鉛めっき)鋼試料を湿らせて、得られた接着剤で、25×100mmの重なり領域および0.15mmの層厚(スペーサー:ガラスビーズ)で、接着結合させた。その後、試料を170℃で20分間硬化させた。
【0044】
24時間後、接着剤の剥離強さ(T型剥離)を、DIN EN ISO 11339で、200mm/分の速さで試験した。
【表1】

【表2】

【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン二重結合を含有する天然ポリマーおよび/または合成ポリマー、および、加硫剤に基づく熱硬化型反応性組成物であって、該組成物は、
a)20000〜70000の重量平均分子量を有する少なくとも1種の液状 cis−1,4−ポリイソプレン
b)加硫系
c)22℃で液状の少なくとも1種のポリブタジエン
を含有し、
ここで、
・該液状 cis−1,4−ポリイソプレンa)は、組成物全体の9〜15重量%の範囲の割合を構成し、
・該加硫系b)は、
b1)硫黄および1種以上の加硫促進剤、
b2)過酸化物加硫系または二硫化物加硫系、
b3)キノン類、キノンジオキシム類またはジニトロソベンゼン
からなる群から選択され、
・22℃で液状のポリブタジエンc)は、組成物全体の16〜29重量%の範囲の割合を構成する、
組成物。
【請求項2】
22℃で液状のポリブタジエンc)において、二重結合の60〜90%が、cis−1,4二重結合の形態をとる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
22℃で液状のポリブタジエンc)は、1500〜3000の範囲の重量平均分子量を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
さらなる成分として、
d)40〜60%の範囲の1,2−ビニル含量を有し、1500〜3000の範囲の重量平均分子量を有する、22℃で液状の立体特異的なポリブタジエン、組成物全体に対して0.5〜3.5重量%
を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
さらなる成分として、
e)カルボキシル基またはカルボン酸無水物基を有し、1500〜3000の範囲の重量平均分子量を有する、22℃で液状のポリブタジエン、組成物全体に対して2〜8重量%
を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
加硫系b)として、
硫黄、組成物全体に対して4〜10重量%、および
好ましくは酸化亜鉛および硫黄含有有機化合物、特に有機亜鉛化合物から選択される、加硫促進剤、0.25〜20重量%
を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
f)脂肪酸で部分的にコートされていてよい、アルカリ土類金属炭酸塩、好ましくは炭酸カルシウム、組成物全体に対して25〜55重量%
を追加的に含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
g)酸化カルシウム、組成物全体に対して8重量%以下、好ましくは3〜5重量%
を追加的に含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
h)カーボンブラックおよび/またはグラファイト、組成物全体に対して合計12重量%以下、好ましくは5〜9重量%
を追加的に含有する、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
硬化反応の間に、得られるポリマーネットワーク中に非化学的に導入される、22℃で液状の有機化合物を、組成物全体に対して10重量%以下、好ましくは5重量%以下、特に2重量%以下含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
固形ゴムを含有しない、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
特に車両構築における、フランジシームシーラントとしての、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項13】
特に車両構築における、フランジシーム接着剤としての、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれかに記載の組成物で、フランジシームを接着結合させた、および/または、封止させた、ここで、該組成物は硬化している、車両。

【図1】
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【公表番号】特表2013−502471(P2013−502471A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525120(P2012−525120)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061484
【国際公開番号】WO2011/020714
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】