説明

高性能繊維ブレンドおよびそれから作られた製品

引張破断繊維、好ましくは引張破断高性能繊維で作られた少なくとも1つの成分繊維タイプを持つブレンドヤーンが、ブレンドヤーンを含むマルチ経糸ヤーン、ブレンドヤーンである少なくとも1つの成分を持つ複合ヤーン、およびブレンドされたマルチ経糸ヤーンからまたは複合ヤーンから作られた物品と共に提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
技術分野
本発明は少なくとも1つの高性能繊維と1つ以上の他の繊維とを組み合わせてインティミットブレンド(intimate blend)にして、従来は達成できなかった特性の組み合わせを提供する新たな繊維ブレンドに関する。
【0002】
背景の議論
現在、繊維ブレンドを作る多くの方法がある。しかしながら高性能繊維(例えばアラミド、ガラス、または鎖延長ポリエチレン)の加工が従来の熱可塑性繊維(例えばポリエステル、ナイロン、など)に比べて難しいことにより、種々のアプローチが開発され、高性能繊維と非高性能繊維の両方を含むヤーンに到達している。これらは周囲を1つ以上のヤーンの層/鞘で被覆された芯を持つ複合ヤーンを作製するような方法を含む。このような複合ヤーンの例は、例えば米国特許4,777,789;5,177,948;5,628,172;5,845,476;6,351,932;6,363,703および6,367,290に示されている。
【0003】
これらのタイプの複合材料の製造に用いる代替の方法は、補強繊維(炭素、アラミド、またはガラス)を織って熱可塑性マトリクス繊維のマルチフィラメントを交互にもつマルチフィラメントの形態にすることを含む。この製造技術は多くの欠点を持つ。すなわち乏しいぬれ性、大きな空間率(open−space ratio)、および補強繊維の剥離を含む。
【0004】
他の技術は補強繊維のマルチフィラメントと熱可塑性繊維のマルチフィラメントを混ぜ合わせることからなる。しかしながら、この技術は切断補強繊維の作製における切断操作を必要としない短いステープル長の補強繊維を使用する能力に制限がある。この欠点により、高性能繊維によって与えられる所望の強度特性と組み合わせられた最終製品の所望の質感を得ることは難しい。
【0005】
これらの技術は全て、いくつかの領域で実質的な欠点を持っており、少しも欠点でないのはヤーンを作るコストおよび織りまたは編みの困難性ぐらいである。
【0006】
米国特許5,910,361はクラッキング法で形成された補強繊維と熱可塑性マトリクス繊維との密接な混合物を教示しており、ここで繊維を配列させてフィラメントを全て平行にし、アセンブルされた平行繊維混合物の周囲に熱可塑性繊維のフィラメントを被覆することによって一緒に固定しなければならない。これは高弾性な製品を生み出す一方で、混合繊維の平行配列を保証することに伴う困難性は、とりわけ追加の製造コストを生み出す。
【0007】
発明の概要
したがって、本発明の1つの目的は引張破断(stretch broken)繊維である少なくとも1つの成分を持つブレンドヤーンを与えることである。
【0008】
本発明の他の目的は、織り、編みおよび不織材料の製造に使うことができる一方で、強度のためにかなりの量の高性能繊維を含むブレンドヤーンを与えることである。
【0009】
本発明の他の目的は、少なくとも1つの成分は引張破断高性能繊維であるブレンドヤーンを与えることであって、ブレンドヤーンが高強度を持つ一方で優れた扱いやすさ、加工性および耐洗濯性を維持するようにする。
【0010】
本発明のさらなる目的は複合ヤーンの少なくとも1つの成分がブレンドヤーンである複合ヤーンを与えることである。
【0011】
本発明の他の目的はブレンドヤーンから、または成分としてブレンドヤーンを持つ複合ヤーンから形成される物品を与えることである。
【0012】
これらの本発明のさらなる目的は、個別にまたは全体として、少なくとも2つの異なる繊維のインティミットブレンドを含むブレンドヤーンであって、少なくとも2つの異なる繊維の少なくとも1つが60〜200nmの長さを持つ引張破断繊維、好ましくは引張破断高性能繊維であるブレンドヤーン;少なくとも1つの成分としてブレンドヤーンを持つ複合ヤーン、およびブレンドヤーンまたは複合ヤーンから作られた物品の発見によって満たされる。
【0013】
発明の詳細な説明
ここで用いた用語「繊維」はヤーンおよび織布のアセンブリ内で用いられる基礎的な成分を言う。一般に、繊維はその直径または幅よりもはるかに大きい長さ寸法を持つ成分である。この用語はリボン、ストリップ、ステ−プル、およびチョップされた、カットされた、または不連続な繊維などの他の形態を含み、これらは定型または不定形断面を持つ。「繊維」は上記のいずれか1つの複数、または上記の組み合わせをも含む。
【0014】
ここで用いた用語「高性能繊維」は、10g/denierより大きい靭性を持つ合成または天然の非ガラス繊維を意味し、高い耐磨耗性および/または耐切断性が重要になる応用に適するようになる。典型的に、高性能繊維は最終的な繊維構造において非常に高度な分子配向性および結晶化度を持つ。
【0015】
ここで用いた用語「フィラメント」は、たとえば不定のまたは極端な長さの繊維を言い、天然でシルクに見られる。この用語はとりわけ押出成形方法によって製造される工業繊維のことを言う。繊維を構成する個々のフィラメントは円形、鋸歯状または円鋸歯状、豆形またはその他を含む種々の断面のうち任意の1つを有する。
【0016】
ここで用いた用語「インティミットブレンド(intimate blend)」は、少なくとも2つのタイプの繊維の混合物のことを言い、混合物は各々のタイプの繊維の個々のフィラメントと他のタイプの個々のフィラメントとが実質的に完全に混ぜ合わされるような方法で形成されて実質的に均一な繊維の混合物を与え、十分な絡みを持ち、さらなる加工および使用において完全性を維持する。
【0017】
ここで用いた用語「引張破断(stretch broken)」は、繊維を高温で引伸ばし、破断させ、切断するよりむしろ短い繊維長を生み、切断工程によって生じるいくつかの障害を防止する方法のことを言う。
【0018】
ここで用いた用語「ヤーン」はテキスタイル繊維の、フィラメントの連続ストランドすなわち、編み、織り、またはからみ合わせでテキスタイル織布を形成するのに好適な形態にある材料のことを言う。ヤーンは種々の形態で存在することができ、撚りによって通常お互いに束ねられているステープル繊維からなる紡績糸;多くの連続フィラメントまたはストランドからなるマルチフィラメントヤーン;またはシングルストランドからなるモノフィラメントヤーンを含む。ここで用いた「ブレンドヤーン」は少なくとも2つの異なるタイプの繊維のインティミットブレンドを含むヤーンを言う。
【0019】
ここで用いた用語「経糸」はマルチ経糸ヤーンの作製において使われるシングルヤーンプライを言う。2つ以上の経糸を互いに縒り合わせ結合された経糸の周囲をカバーラップで被覆することによって、または以下に示す空気交絡(air−interlacing)によってまとめてもよい。
【0020】
ここで用いた用語「複合ヤーン」は、2つ以上のヤーンから作製されるヤーンを言い、同種または異種でよい。複合ヤーンは種々の形態で存在することができ、ここで2つ以上のヤーンは互いに関して配向性が異なる。例えば2つ以上のヤーンは平行、一方を他方の周囲に被覆したもの、一緒に撚ったもの、またはこれらのいくつかまたは全ての組み合わせでもよく、ならびに他の配向性でもよく、所望の複合ヤーンの特性に依存する。このような複合ヤーンの例は米国特許4,777,789;5,177,948;5,628,172;5,845,476;6.351,932;6,363,703および6,367,290に与えられ、これらの内容はここで参照によって取り込まれる。
【0021】
ここで用いた用語「空気交絡」は、ヤーンのマルチプルストランドを空気ジェットに曝してストランドを結合し、したがって単一の、断続的に混ざり合ったストランドを形成することを言う。この処理を「空気タッキング」と呼ぶこともある。この用語は、「混ざり合わせる」または「絡み合わせる」工程を言うためには用いず、この分野ではマルチフィラメントヤーンを空気で圧縮してさらなる加工(特に織り工程)を容易にする方法を言うものと理解されている。混ぜ合わされたヤーンストランドは典型的に他のヤーンと結合されない。むしろ、個々のマルチフィラメントストランドはシングルストランドの範囲内でお互いに絡み合わされる。この空気圧縮をヤーンサイジングの代替として、および向上したピック耐性を与える手段として用いる。この用語は良く知られたシングルまたはマルチプルヤーンストランドの嵩を増すために行われる空気テクスチャリングのことを言わない。複合ヤーンにおける空気交絡の方法およびそれによって適切な装置は、米国特許6,349,531;6,341,483および6,212,914に記述され、その関連した部分はここで参照によって取り込まれる。
【0022】
本発明は少なくとも2つの異なるタイプの繊維のインティミットブレンドを含むブレンドヤーンに関し、ここで少なくとも2つの異なるタイプの繊維の少なくとも1つは引張破断繊維である。各々の繊維タイプは関連する利点と欠点を持つ。例えば、アラミド繊維(DuPontによって販売されているKEVLAR;Akzo Nobelによって販売されているTWARON;またはTeijinによって販売されているTECHNORAのような)は高耐熱性の高強度繊維である。しかしながら、アラミドベースのヤーンで形成された衣服は洗濯にうまく耐えられない。これらの衣服が擦り切れる傾向にあり、典型的に約三回の洗浄にしか耐えられないからである。鎖延長ポリオレフィン(Alliedによって販売されている鎖延長ポリエチレンのSPECTRAまたはDYNEEMAのような)はうまく洗濯することができて高強度特性を持つが、加熱にはよく耐えられない。ナイロンおよびポリエステルのような熱可塑性ポリマーベースの繊維は高い洗浄耐性を持つが、典型的に高性能繊維において認められる強度特性は持っていない。しかしながら、本発明者は種々の繊維、特に1つ以上の高性能繊維をブレンドすることによって、個々の繊維成分の利点を最大化する一方で、欠点を抑えるまたは最小化する最終的なインティミットブレンド紡績糸を得ることを発見した。
【0023】
本発明のブレンドヤーンにおいて、各々の成分繊維タイプはあらゆる所望のレベル、好ましくはブレンドヤーンの10〜90重量%、より好ましくは25〜80重量%で用いることができる。最も好ましくは、高性能繊維成分の少なくとも1つはブレンドヤーンの少なくとも40重量%の量で存在し、繊維の高い性能特性、特に強度、多くの場合、高性能繊維で作られるヤーンの切断耐性を利用する。より好ましい実施形態において、本発明のブレンドヤーンは20〜60重量%のアラミド繊維と、20〜60重量%の鎖延長ポリエチレン繊維と、20〜60重量%のポリエステルを含み、ここで各々の成分の合計パーセンテージは100%に等しい。最も好ましい具体例で、ブレンドヤーンは40重量%のアラミド繊維と、40重量%の鎖延長ポリエチレン繊維と、20重量%のポリエステル繊維を含む。高レベルの高性能繊維を含有する能力のために、結果として生じるブレンドは優れた扱いやすさおよび加工性を持つ一方で非常に高い強度および弾性率を示す。
【0024】
本発明のブレンドヤーンは従来のあらゆる繊維ブレンド技術を用いて作製することができる。適切な方法は、(限定されないが)異なる繊維タイプのトップス(tops)のブレンディングを含み、繊維タイプの少なくとも1つが好ましくは引張破断繊維であり、最も好ましくは引張破断繊維が引張破断高性能繊維である。より好ましい実施形態において、少なくとも2つの異なるタイプの繊維は各々引張破断繊維であって、最も好ましくは繊維の全てが引張破断されている。ブレンディングのための出発繊維は、好ましくはブレンディングの際にあるレベルの繊維間のつかみ(grab)を与えるのに十分な、すなわち(ブレンド中に起こる混じり合い/撚り/絡まりの工程の間じゅう)ブレンドがその完全性を十分に維持できる)のに十分な長さのものである。適切な長さは典型的にステープル繊維に関連したもので、より好ましくは個々の繊維各々で長さが3インチオーダー以下である。繊維の成分を、フィラメントまたはトウを切断すること、フィラメントまたはトウを引張破断すること(これらに限定されないが)を含む、あらゆる従来の方法によって適当な長さにすることができる。必ずしも必要ではないが、望まれる場合には、追加の加工工程およびコストを加えるけれども、フィラメントをブレンド内で実質的に平行になるように配列することができる。本発明の文脈内において実質的に平行とは繊維の主な部分が平行である一方、繊維の少なくとも一部を依然として他の繊維と絡ませて、結束フィラメントを必要とせずに構造的な完全性を維持していることを表す。
【0025】
本発明の重要な態様は、繊維の少なくとも1つが引張破断されていなければならないことであり、引張破断繊維の長さは所望のブレンドヤーンの靭性および向上したブレンドの規則性を与えるために重要である。本発明において、引張破断によって製造される繊維の長さは好ましくは60〜250mmであり、より好ましくは60〜180mmであり、最も好ましくは140mmの繊維チャート(fibrous chart)をもつ。引張破断成分はブレンドにおいて使われる任意の繊維タイプでありうる。さらに特殊なブレンドにおいて成分のいくつかまたは全てが引張破断繊維でありうる。好ましくは、本発明の引張破断成分はアラミド、鎖延長ポリオレフィンまたは金属のような高性能繊維である。1より多くの高性能繊維を含有するブレンドにおいて、各々の高性能繊維タイプが上記の長さに引張破断されていることが最も好ましい。これによりブレンドは、ブレンドヤーンのために強度、コンシステンシーおよび規則性の最高の組み合わせとなる。
【0026】
一旦各々の成分のために所望の長さが得られると、繊維成分はブレンドされ、シングル経糸としてブレンド繊維が形成される。次にシングル経糸はそのものとして使用でき、または1つ以上の追加の経糸(形成されたブレンドと同じでも異なっていてもよく、および/またはお互いに同じでも異なっていてもよい)と組み合わせてマルチ経糸ヤーンを与える。複数の経糸が存在する場合、好ましくは、経糸は一方が他方の周囲に巻回され、マルチ経糸ヤーンを与えるものである。代替的に、シングル経糸(またはマルチ経糸ヤーン)を複合ヤーンにおける1つの成分として使用することができる。本発明のブレンドヤーンは、シングル経糸またはマルチ経糸のいずれの形態でも、芯成分または被覆成分(または両方)として複合ヤーンの構造に使用することができる。
【0027】
本発明によりブレンドヤーンの形成が可能になる。すなわちこれが物品または衣装に編まれるか、織られる場合には、強度、切断耐性、洗浄性、扱いやすさ、耐熱性、UV耐性、導電性、その他の独特の組み合わせを与えることができる。ブレンド自身の組成を変えることによって、特性をうまく調整するか、特別に調整して所望の結果を与えることが可能である。
【0028】
本発明のブレンドヤーンを作製するために使われる繊維はあらゆるタイプの天然または合成繊維でもよい。適切なタイプの繊維は(限定されないが)高性能繊維を含み、これらは例えばアラミド(例えばKEVLAR、TWARONまたはTECHNORA)、鎖延長ポリオレフィン(例えばSPECTRAおよびDYNEEMA)、セラミック繊維、炭素繊維、鉱物ベース繊維、例えば繊維ガラス;金属繊維、例えば鋼、銅、ステンレス鋼、チタン;熱可塑性繊維、例えばナイロン、ポリエステル、ビスコース、アクリルおよびポリエチレンのような;天然繊維、例えば綿および羊毛である。本発明のブレンドヤーンは2つ以上のあらゆるこれらの繊維タイプを含有することができ、好ましくは1つ以上の高性能繊維を含み、繊維に関連した高性能特性のブレンドヤーンを与える。最も好ましい組み合わせはアラミド、鎖延長ポリオレフィンおよびナイロンやポリエステルのような熱可塑性繊維のブレンドを含む。本発明のブレンドヤーンに使われる繊維は、好ましくは各々が0.9〜50dtex、より好ましくは1.7〜5のヤーン番手を持つ。最終的なブレンドヤーンは好ましくは90〜9000、より好ましくは180〜750の総デニール(denier)値を持つ。しかしながら、ブレンドの総デニール(denier)値を、所望されるかまたは必要ならばブレンド工程の原料供給速度および出力を制御することによってこの範囲の外に変更することができる。
【0029】
本発明によって与えられる1つの向上は、あらゆるタイプの繊維および多くのタイプの繊維を1つのブレンドヤーンにブレンドする能力である。
【0030】
ブレンドヤーンにおいて使われる少なくとも1つのタイプの繊維は引張破断された長さを持つ引張破断繊維でなければならない。ブレンドを構成する残りの繊維は引張破断されるかまたは切断されてブレンドに必要な長さを形成してもよく、またはブレンドに適切な長さの(または所望に応じてこのような長さに切断された)天然繊維、例えば綿または羊毛でもよい。より好ましい実施形態において、本発明のブレンドヤーンは全てが引張破断繊維のブレンドを含む。最も好ましい実施形態において、ブレンドヤーンは少なくとも1つのポリエステルまたはナイロンのような熱可塑性非高性能繊維とともに、引張破断アラミドおよび鎖延長ポリエチレンのインティミットブレンドを含む。
【0031】
本発明のブレンドヤーンの好ましい実施形態を作製するにあたり、高性能繊維が先述した長さに引張破断されることが好ましい。引張破断工程は所望の長さの繊維を作り、個々の繊維を配列し、高性能繊維のカーディングを受ける必要なくブレンディングを可能にする。加えて、引張破断工程は連続フィラメントを破断することによって得られる長い繊維をもたらし、連続フィラメントの弱い個所を除いて強く長いステープルヤーンを得る。次に引張破断繊維を他の繊維のトップスと混合し、ブレンドを製造する。所望されるか、または必要ならば非引張破断繊維を混合に先立ってカーディングしてもよい。
【0032】
いくつかの典型的な実施形態は以下のものを含む。
【0033】
(これらの好ましい実施形態において、アラミド、鎖延長ポリエチレン、ステンレス鋼ワイヤーおよび繊維ガラス成分は、好ましくは全て60〜200mmの長さに引張破断される)
ブレンドヤーンの実施形態1:
アラミド 40%
鎖延長ポリエチレン 40%
ポリエステル(PET) 20%
ブレンドヤーンの実施形態2:
アラミド 40%
鎖延長ポリエチレン 40%
ナイロン−6,6 20%
ブレンドヤーンの実施形態3:
アラミド 40%
ステンレス鋼ワイヤー 40%
ポリエステル(PET) 20%
ブレンドヤーンの実施形態4:
繊維ガラス 40%
アラミド 40%
綿 20%
複合ヤーンの実施形態1:
芯:上述のブレンドヤーンの実施形態1
第1被覆:ZまたはEのいずれかの方向に被覆された200デニールのポリエステル
第2被覆:第1被覆と反対の方向に被覆された200デニールのポリエステル
複合ヤーンの実施形態2:
芯:上述のブレンドヤーンの実施形態3
第1被覆:ZまたはEのいずれかの方向に被覆された250デニールのSPECTRA(鎖延長ポリエチレン)
第2被覆:第1被覆と反対の方向に被覆された200デニールのナイロン−6,6
第3被覆:第2被覆と反対の方向に被覆された200デニールのナイロン−6,6
注:複合ヤーンの場合、被覆層は下層の成分の被覆率を提供するのに必要で、ヤーンのバランスおよび完全性を維持するのに十分な巻数で被覆される(上記した米国特許において用語「複合ヤーン」の定義として開示されているように)。
【0034】
したがって、本発明のブレンドヤーンをそれ自身でシングル経糸製品として使用することもでき、他の繊維や他の繊維タイプを含むヤーン製品の一部ともなり得る。好ましくは、本発明のブレンドヤーンをシングル経糸またはマルチ経糸で使用することも、成分ヤーンの1つ以上の成分として使用することもできる。本発明のブレンドヤーンを含むシングル経糸、マルチ経糸または成分ヤーンを用い、(限定されないが)不織製造工程ばかりでなく編み、織りを含むあらゆる従来の工程を用いて所望のあらゆる物品を与えることができる。本発明のブレンドヤーンを用いて作製される好ましい物品(シングル経糸、マルチ経糸または成分ヤーンであろうと)は、(限定されないが)手袋、靴下、ボディースーツ、パンツ、シャツおよび帽子を含む。
【0035】

原料の連続フィラメントはトウの形で供給される。トウが市場で入手できない場合は、トウを従来の織布工程を用いて作製することができる。引張破断工程の間、トウはその破断点まで機械的に引伸ばされる。各々の原料に関連し、かつ当業者によって容易に決定される特殊な方法で、トウは種々の長さをもつ不連続繊維が得られるまで異なった抗張力を受ける。得られる繊維チャート/ダイアグラムは原料の技術的な特長およびそれが受けた引張の記録に関係する。引張破断工程の結果、一定重量のスライバーとなる。ブレンド工程の間、要求されるパーセンテージに関係する可変量のスライバーが用いられる。従来の織物ブレンド機械で、実質的に均一に融合されたトップス(インティミットブレンド)が得られるまでスライバーは互いに混ぜ合わされる。トップスの組成はブレンドのパーセンテージと全く同一である。トップスに含まれる繊維の長さは最初に使われた繊維から得られる繊維ダイアグラムの平均/中間に対応する。この点から、ブレンドを従来の紡糸工程に進ませることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの異なる繊維タイプのインティミットブレンドを含むブレンドヤーンであって、前記少なくとも2つの異なる繊維タイプの少なくとも1つが引張破断繊維であり、前記引張破断繊維は60〜200mmの長さを持つ繊維を含むブレンドヤーン。
【請求項2】
請求項1のブレンドヤーンであって、前記引張破断繊維は1つの高性能繊維であるブレンドヤーン。
【請求項3】
請求項2のブレンドヤーンであって、前記高性能繊維がアラミド繊維、鎖延長ポリオレフィン、金属繊維、および繊維ガラスからなる群より選択される要素であるブレンドヤーン。
【請求項4】
請求項1のブレンドヤーンであって、前記少なくとも2つの異なる繊維の少なくとも1つが天然繊維または合成繊維であるブレンドヤーン。
【請求項5】
請求項4のブレンドヤーンであって、前記天然繊維または合成繊維が綿、羊毛、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィンおよびアクリルからなる群より選択される要素であるブレンドヤーン。
【請求項6】
請求項1のブレンドヤーンであって、前記少なくとも2つの異なる繊維は少なくとも3つの異なる繊維であるブレンドヤーン。
【請求項7】
請求項1のブレンドヤーンであって、前記少なくとも2つの異なる繊維は少なくとも4つの異なる繊維であるブレンドヤーン。
【請求項8】
請求項1のブレンドヤーンであって、ブレンドヤーンは1〜50dtexのヤーン番手を持つブレンドヤーン。
【請求項9】
請求項1のブレンドヤーンであって、アラミド繊維と、鎖延長ポリオレフィン繊維と、ポリエステル繊維とのインティミットブレンドを含むブレンドヤーン。
【請求項10】
請求項9のブレンドヤーンであって、前記インティミットブレンドは(a)20〜60%のアラミド繊維と、(b)20〜60%の鎖延長ポリオレフィン繊維と、(c)20〜60%のポリエステル繊維と含み、(a)、(b)および(c)の総計が100%であるブレンドヤーン。
【請求項11】
請求項1のブレンドヤーンであって、前記少なくとも2つの異なる繊維の各々が引張破断繊維であるブレンドヤーン。
【請求項12】
請求項2のブレンドヤーンであって、前記高性能繊維のみが引張破断繊維であるブレンドヤーン。
【請求項13】
請求項1のブレンドヤーンであって、前記少なくとも2つの異なる繊維が撚られているか、または撚られていないブレンドヤーン。
【請求項14】
請求項1のブレンドヤーンであって、90〜9000のヤーンデニールを持つブレンドヤーン。
【請求項15】
複合ヤーンであって、芯と、前記芯の周囲に被覆された少なくとも1つの被覆ストランドを含み、前記芯と前記少なくとも1つの被覆ストランドのいずれかまたは両方が請求項1によるブレンドヤーンである複合ヤーン。
【請求項16】
マルチ経糸ヤーンであって、2つ以上の経糸を含み、前記2つ以上の経糸の少なくとも1つが請求項1によるブレンドヤーンであるマルチ経糸ヤーン。
【請求項17】
マルチ経糸ヤーンであって、2つ以上の経糸を含み、前記2つ以上の経糸の各々が請求項1によるブレンドヤーンであるマルチ経糸ヤーン。
【請求項18】
請求項1のブレンドヤーンから作られた物品。
【請求項19】
請求項18の物品であって、前記ブレンドヤーンは編まれて物品を形成している物品。
【請求項20】
請求項18の物品であって、前記ブレンドヤーンは織られて物品を形成している物品。
【請求項21】
請求項18の物品であって、物品はブレンドヤーンから作られる不織物品である物品。
【請求項22】
請求項18の物品であって、前記物品が手袋、靴下、ボディースーツ、パンツ、シャツおよび帽子からなる群より選択される要素である物品。
【請求項23】
請求項15の複合ヤーンから作られた物品。
【請求項24】
請求項23の物品であって、前記ブレンドヤーンは編まれて物品を形成している物品。
【請求項25】
請求項23の物品であって、前記ブレンドヤーンは織られて物品を形成している物品。
【請求項26】
請求項23の物品であって、前記物品が手袋、靴下、ボディースーツ、パンツ、シャツおよび帽子からなる群より選択される要素である物品。
【請求項27】
請求項16のマルチ経糸ヤーンから作られた物品。
【請求項28】
請求項27の物品であって、前記ブレンドヤーンは編まれて物品を形成している物品。
【請求項29】
請求項27の物品であって、前記ブレンドヤーンは織られて物品を形成している物品。
【請求項30】
請求項27の物品であって、前記物品が手袋、靴下、ボディースーツ、パンツ、シャツおよび帽子からなる群より選択される要素である物品。
【請求項31】
請求項17のマルチ経糸ヤーンから作られた物品。
【請求項32】
請求項30の物品であって、前記ブレンドヤーンは編まれて物品を形成している物品。
【請求項33】
請求項30の物品であって、前記ブレンドヤーンは織られて物品を形成している物品。
【請求項34】
請求項30の物品であって、前記物品が手袋、靴下、ボディースーツ、パンツ、シャツおよび帽子からなる群より選択される要素である物品。

【公表番号】特表2008−530384(P2008−530384A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555138(P2007−555138)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/003762
【国際公開番号】WO2006/086216
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(506148361)スプリーム・エラスティック・コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】