説明

高所作業車のウインチ昇降装置

【課題】高所作業車におけるブームの先端部に設けられる従来の一般的なウインチ昇降装置では、外筒と内筒とが共に丸パイプであるので、内筒が外筒に対して不用意に回転することがある(その場合、吊上げている荷物が水平方向に移動して作業がしにくい)。
【解決手段】高所作業車のウインチ昇降装置3において、伸縮ブーム12の先端部12aに連結した丸パイプからなる外筒31と、該外筒31内に内装され上部にウインチ14を取付けた角パイプからなる内筒32と、該内筒32を外筒31に対して昇降させる昇降シリンダ33とを有しているとともに、外筒31の内面に、内筒32の外面に摺接して該内筒32を回転不能状態でガイドするスライドプレートを設けていることにより、比較的簡単な構成で内筒32の回り止め構造を実施することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、高所作業車における作業員搭乗用のバケットの近傍に設けられるウインチをバケットに対して所定高さ範囲で昇降させるためのウインチ昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の高所作業車は、伸縮ブームの先端部に設けたバケットに搭乗して、高架電線の補修やトランスの載せ替え等の高所作業を行えるようにしたものであるが、地上から荷物(例えばトランス)をバケット近傍まで吊り上げるのにウインチを使用している。尚、ウインチからのロープの先端は所定長さのフック吊下げ用アームの先端部まで導き、該アーム先端部のシーブを介してロープ先端にフックを吊下げている。
【0003】
ところで、ウインチで吊上げる荷物が電柱に架設されるトランスのように上下高さの高いものでは、該荷物(トランス)をウインチで最上方位置(フック上限位置)まで吊上げても、該トランスの下端がバケット上面より下方に位置している場合があり(そのままではトランスを電柱に架設しにくい)、従来の高所作業車のなかには、ウインチ昇降装置によりウインチ(アーム先端高さ)をさらに上昇させ得るようにしたものがある。
【0004】
この種のウインチ昇降装置を備えた従来の高所作業車として、例えば図8に示すものがある。尚、図8に示すウインチ昇降装置付きの高所作業車は、実開平3−89093号公報(特許文献1)のものである。
【0005】
図8に示す従来例の高所作業車では、伸縮ブームの先端部112aにウインチ昇降装置103を介してバケット113とウインチ114を設けている。
【0006】
ウインチ昇降装置103は、伸縮ブームの先端部112aに連結された外筒131と、該外筒131内に内装された内筒132と、該内筒132を外筒131に対して昇降させる昇降シリンダ133とを有している。外筒131及び内筒132には、それぞれ丸パイプが使用されている。尚、バケット113は外筒131の外面に固定されており、ウインチ114は内筒132の上端部に取付けられている。
【0007】
ウインチ114部分には、所定長さのアーム117がバケット113の上部側方位置に向けて突出している。そして、ウインチ114から繰り出したロープ115をアーム117の先端部(シーブ)を迂回させ、該ロープ115の先端にフック116を取付けている(該フック116によって荷物(例えばトランス)Yを吊持できる)。尚、アーム117は、図示しない揺動シリンダによって上下に揺動させ得るようになっているが、アーム117を上下に揺動させると、フック116で吊持される荷物Yを上下動させ得るものの該荷物Yが水平方向にも移動してしまい、該荷物Yの取り扱いがしにくくなる。
【0008】
そこで、図8の高所作業車では、最上方位置まで吊り上げた荷物(トランス)Yの下端Yaがバケット113の上面113aより低位置にある場合(電柱へのトランス架設作業がしにくい)に、ウインチ昇降装置103の昇降シリンダ133を伸長させ、鎖線図示(114′、117′、116′)するようにウインチ、アーム、フックを所定高さだけ上動させて、荷物Y′の下端Ya′をバケット上面113aより上まで持ち上げる。このように、荷物Y′の下端Ya′をバケット上面113aより上まで持ち上げると、バケット113内から電柱へのトランス架設作業がし易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平3−89093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、図8に示す従来のウインチ昇降装置103では、外筒131と内筒132とが共に丸パイプで形成されているが、内外両筒131,132が共に丸パイプであると、内筒132が外筒131に対して不用意に回転することがある。このように、内筒132が不用意に回転すると、フック116で吊持している荷物Yがバケット113に対して水平方向に近接又は離間してしまい、荷物Yの処理作業(電柱への架設作業)がしにくくなるとともに、該荷物Yがバケット113や電柱等に干渉(衝突)するおそれが生じる。
【0011】
そこで、本願発明は、上部にウインチを取付けた内筒が伸縮ブームの先端部に連結した外筒に対して昇降するようにしたウインチ昇降装置において、上記内筒を外筒に対して回転不能状態で昇降させ得るようにするとともに、その内筒の回り止めを比較的簡単な構造で実施し得るようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、車輌上の旋回台に伸縮ブームを起伏自在に取付け、該伸縮ブームの先端部にバケットを設けている一方、伸縮ブームの先端部にウインチ昇降装置を介してウインチを設けている高所作業車を対象にしている。
【0013】
そして、本願発明のウインチ昇降装置は、伸縮ブームの先端部に連結した丸パイプからなる外筒と、該外筒内に内装され上部にウインチを取付けた角パイプからなる内筒と、該内筒を外筒に対して昇降させる昇降シリンダとを有している。
【0014】
内筒(角パイプ)は、横断面正方形のものが一般的であるが、横断面長方形のものや、横断面五角形又は六角形程度の多角形のものも採用可能である。
【0015】
昇降シリンダは角パイプからなる内筒の内部に設置されている。尚、内筒に角パイプを用いると、その角パイプ内の角部付近に空所ができ、昇降シリンダに沿って配設される送油配管やその取付部等を角パイプ内の角部空所に配置できる。
【0016】
内筒上部に取付けているウインチへの送油ホースは、内筒が昇降する関係で余裕長さをもたせる必要があるが、該ウインチへの送油ホースは丸パイプである外筒の外周に複数回巻掛けることで、内筒昇降時の余裕長さをもたせるようにするとよい。その場合、該送油ホースをコンパクトに配置できる。
【0017】
又、外筒の内面には、内筒の外面に摺接して該内筒を回転不能状態でガイドするスライドプレートを設けている。このスライドプレートは、内筒外面(角パイプ外面)における周方向の適数箇所に設けている。その場合、各スライドプレートは、内筒外面の各平面部を摺接させるように配置してもよいし、内筒外面の対向する各角部に(角部に隣接する各平面部に跨がる状態で)摺接させるように配置してもよい。
【0018】
ところで、外筒と内筒にそれぞれ角パイプを使用すると、両角パイプ間に特別に回り止め機構が不要となるが、内筒が昇降する関係でウインチ等への送油ホース(余裕長さが必要)を外筒の外周に複数回巻掛けるのに、該外筒が角パイプであると外筒角部に対応するホース部分が局部的に摺接して該摺接部分のホースが傷つき易くなるとともに、外筒平面部に対応するホース部分が外側に大きくはみ出すようになる。そこで、本願発明のように、該送油ホースを巻掛ける外筒を丸パイプにすると、外筒に対して送油ホースが局部的に接触することがなくなるとともに、外筒外面の全周に亘って送油ホースを近接した状態で巻掛けることができる。
【発明の効果】
【0019】
本願発明のウインチ昇降装置によれば、次のような効果がある。
【0020】
(1) 丸パイプからなる外筒内に角パイプからなる内筒を内装し、外筒内面に内筒回り止め用のスライドプレートを取付けているので、内筒を回転不能状態で昇降させることができる。
【0021】
(2) スライドプレートを内筒(角パイプ)の外面に摺接させることで、該内筒を回転不能にできるので、内筒(角パイプ)の回り止め構造が簡単となる。
【0022】
(3) 外筒が丸パイプであるので、ウインチ側への送油ホース(余裕長さがある)を丸パイプからなる外筒の外周に巻掛けて配置することができ、該送油ホースのダメージ(擦過傷や局部的な屈曲部)が生じないとともに、該送油ホースが外筒外周面から大きくはみ出さない(コンパクトに配置できる)。
【0023】
(4) 内筒が角パイプであると、パイプ内部の角部付近に比較的大きな空所ができるので、内筒内に設置した昇降シリンダに沿って配設される送油配管やその取付部等を角パイプ内の角部空所に配置できる(内筒内の角部空所を送油配管等の設置スペースとして有効利用できる)。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本願実施例のウインチ昇降装置を備えた高所作業車の側面図である。
【図2】図1におけるウインチ昇降装置を含む上部部分の拡大図である。
【図3】図2の状態のウインチ昇降装置部分の拡大縦断面である。
【図4】図3のIV−IV拡大断面図である。
【図5】図2の状態からウインチを上昇させたときの状態変化図である。
【図6】図5の状態のウインチ昇降装置部分の拡大縦断面である。
【図7】本願の他の実施例で採用される送油ホースの結束方法説明図である。
【図8】公知の高所作業車におけるウインチ昇降装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0025】
図1〜図7を参照して本願実施例を説明すると、図1には本願実施例のウインチ昇降装置を備えた高所作業車を示し、図2〜図6には第1実施例のウインチ昇降装置を示し、図7にはウインチ昇降装置における送油ホース4の変形例(第2実施例)を示している。
【0026】
図1には、第1実施例のウインチ昇降装置3を備えた高所作業車を示しているが、この高所作業車は、車輌1上に旋回台11を設け、該旋回台11に伸縮ブーム12を起伏自在に取付けている。
【0027】
伸縮ブーム12の先端部12aには、ウインチ昇降装置3を介して作業員搭乗用のバケット13が取付けられている。又、該伸縮ブーム12の先端部12aには、その上部にウインチ14が設けられている。
【0028】
ウインチ昇降装置3は、図2〜図4に示すように、丸パイプからなる外筒31と、該外筒31内に内装された角パイプからなる内筒32と、該内筒32を外筒31に対して昇降させる昇降シリンダ33とを有している。
【0029】
外筒31の下端部は、伸縮ブーム12の先端部12aに軸20で枢支されている。又、この外筒31は、レベリングシリンダ21により伸縮ブーム12の起伏角度にかかわらず、常に鉛直姿勢に維持されるようになっている。
【0030】
内筒32は、この実施例では図4に示すように四角パイプ(横断面正方形のもの)が使用されている。尚、他の実施例では、内筒32として、横断面長方形のものや、横断面五角形又は六角形程度の多角形のものも採用可能である。
【0031】
外筒31の内面には、その上部寄り位置の4箇所(図4参照)に、該外筒31に固定されていて内筒32の外面を摺接させるスライドプレート34,34・・がそれぞれ取付けられている。尚、この実施例では、各スライドプレート34,34・・は、四角パイプからなる内筒32の各平面部が対応する位置に設置されている。
【0032】
このように、丸パイプからなる外筒31内に各スライドプレート34,34・・を介して四角パイプからなる内筒32を内装すると、該内筒32を回転不能状態で昇降させることができる。又、このように丸パイプからなる外筒31と角パイプからなる内筒32間にスライドプレート34を介設したものでは、内筒32の回り止めを比較的簡単に構造で実施することができる。
【0033】
昇降シリンダ33は、そのチューブ33aが上でロッド33bが下になる倒立姿勢で内筒32内に設置している。尚、このように昇降シリンダ33を倒立姿勢で設置すると、作動油を給排するチューブ33aが上になり、昇降シリンダ33への送油ホースの継手36a,36aを上部側に設置できる。
【0034】
この昇降シリンダ33は、ロッド33bの下端を外筒31の下端部にピン固定しているとともに、チューブ33aの上端を内筒32の上端部にピン固定している。
【0035】
そして、このウインチ昇降装置3は、昇降シリンダ33を縮小させると、図3に示すように内筒32を外筒31に対して下動させる一方、昇降シリンダ33を伸長させると、図6に示すように内筒32を外筒31に対して上動させるようになっている。
【0036】
昇降シリンダ33を角パイプからなる内筒32内に設置すると、内筒32内の角部付近に比較的大きな空所ができる。特に、この実施例では、図4に示すように、昇降シリンダ33を角パイプからなる内筒32の中心からやや1つの平面部側に偏位した位置(図4では左側に偏位した位置)に設置しているので、内筒32内における昇降シリンダ33の設置位置とは反対側の各角部付近(2箇所)に比較的大きな空所ができている。そして、図4に示すように、内筒32内の各角部空所に、昇降シリンダ33に沿って配設されている送油配管36,36やその取付部37,37等を設置すると、それらの送油配管等(36,37)を余裕をもって配置できるとともに、該各角部空所を送油配管等(36,37)の設置スペースとして有効利用できる。
【0037】
バケット13は、ウインチ昇降装置3の外筒31にバケット取付台22を介して固定されている。尚、他の実施例では、該バケット13を外筒31に対して関節アームを介して水平揺動自在に取付けるようにしてもよい。
【0038】
図3及び図6に示すように、内筒(角パイプ)32の上部には所定高さの丸パイプ35が固定されている。又、この丸パイプ35の外側には、別の丸パイプからなる外パイプ26が遊嵌状態(回転可能状態)で配置されている。この外パイプ26には、ウインチ14を取付けるためのウインチ支持台23が固定されている。この外パイプ26は、その内側の丸パイプ35に対して所定小角度ずつ変位させた複数箇所でそれぞれ固定できるようになっている。即ち、この実施例では、図3に示すように丸パイプ35の周面に所定小角度間隔(例えば角度30°間隔)をもって複数の穴27,27・・を設けている一方、外パイプ26には丸パイプ35の複数の穴27,27・・の少なくとも1個の穴に対応する穴28を設けており、後述するカバー体5の外面側から外パイプ26の穴28及び丸パイプ35の複数の穴27,27・・のうちの適宜の穴27に止め具(例えばピン又はボルト)29を係入させることによって、ウインチ支持台23(後述のフック吊下げ用アーム17)を所望の向きに位置決めした状態で外パイプ26を丸パイプ35に固定できる。
【0039】
ウインチ支持台23には、ウインチ14を取付けた基台24の基端部が軸25により枢支されている。又、ウインチ基台24には、所定長さを有するフック吊下げ用のアーム17が取付けられている。
【0040】
フック吊下げ用のアーム17は、ウインチ基台24をアーム揺動シリンダ18で前後に揺動させることによって、上下に揺動させることができる。
【0041】
ウインチ14に巻掛けているロープ15の先端は、フック吊下げ用アーム17の先端部(シーブ)を介して下方に垂れ下げており、該ロープ先端にフック16を取付けている。このフック16には、荷物(例えばトランス)Yが吊持される。
【0042】
ところで、フック16で荷物Yを吊持した状態でフック吊下げ用のアーム17を上下に揺動させると、該荷物Yを上下動させることができるものの該荷物Yが水平方向にも移動してしまい、該荷物Yの取り扱いがしにくくなる。そこで、該荷物(例えばトランス)Yをウインチ14で最上方位置(フック上限位置)まで吊上げても図1及び図2に示すように該荷物Yの下端Yaがバケット上面13aより下方に位置している場合(電柱への架設作業がしにくい)には、ウインチ昇降装置3の昇降シリンダ33を伸長させることにより該荷物Yを鉛直方向に上動させるようにする(例えば図5に示すように、荷物Yの下端Yaの高さをバケット上面13aより若干高くまで上動させる)。
【0043】
この高所作業車では、ウインチ14やアーム揺動シリンダ18への作動油はバケット取付台22側から個別ホース41,41・・で給排されるが、該ウインチ14やアーム揺動シリンダ18が内筒32とともに昇降する関係で、該各個別ホース41,41・・に余裕長さをもたせている。
【0044】
そして、第1実施例では、図3及び図4に示すように、複数本(図示例では合計7本)の個別ホース41,41・・の余裕長さ部分を束ねてその外側を単一のホース被覆チューブ42(可撓性がある)で被覆して1本の送油ホース4とし、該送油ホース4を丸パイプからなる外筒31の外周に複数回巻掛けて配置している。この場合、ホース巻掛け対象となる外筒31が丸パイプであると、該送油ホース4が過度に屈曲することがなく、しかもホース巻掛け部分が上下に移動しても該送油ホース4にダメージ(擦過傷)が生じないとともに、送油ホース4が外筒31の外周面から大きくはみ出さない(コンパクトに設置できる)。
【0045】
又、各個別ホース41,41・・を束ねて可撓性のあるホース被覆チューブ42で被覆して1本の送油ホース4としていると、該送油ホース4部分の個別ホース41,41・・がバラバラにならず、且つ剛性が増すので過度に撓まず、しかも剛性が増すことによりスプリング性がでる。従って、送油ホース4が上下に動くときに各個別ホース41,41・・がバラバラに動いて他の構造物に引っ掛かることがない。又、図5及び図6に示すように内筒32が上動して送油ホース4の巻掛け部分が上下に長い間隔をもった状態から、図2及び図3に示すように内筒32が下動して送油ホース4の巻掛け部分が下方に収束するときに、該送油ホース4部分が外方にさほど膨らむことがないとともに、送油ホース4に剛性によるスプリング性がでることによりその巻掛け部分が毎回きれいに収束するようになる。
【0046】
又、この第1実施例では、送油ホース4の巻掛け部分の外側をカバー体5で被覆している。このカバー体5は、図3及び図4に示すように、バケット取付台22の上端部に固定した筒状の内カバー51と、内筒32の上部に固定した筒部を有する外カバー52と、内外両カバー51,52間に配置した筒状の中間カバー53とを有した内外三重のカバーで構成されている。中間カバー53は、内外両カバー51,52に対して上下にフリー状態で配置されている。
【0047】
又、中間カバー53の上端部には、外向きに小突出する外向きフランジ53aが設けられている一方、外カバー52の下端部には内向きに小突出する内向きフランジ52aが形成されている。外カバー52の内向きフランジ52aは、中間カバー53の外向きフランジ53aに対して下方から係合する大きさとなっている。
【0048】
この内外三重カバー51,52,53からなるカバー体5は、ウインチ昇降装置3の昇降シリンダ33が縮小状態では、図2及び図3に示すように内カバー51の外側に中間カバー53と外カバー52とが径方向にほぼ完全重合している。そして、ウインチ昇降装置3の昇降シリンダ33が伸長すると、内筒32と共に外カバー52が上動して、まず外カバー下端部の内向きフランジ52aが中間カバー53の外向きフランジ53aに下方から係合した後、外カバー52で中間カバー53が引き上げられ、図5及び図6に示すように昇降シリンダ33が最伸長した状態では、内カバー51と中間カバー53と外カバー52とが順次小高さづつラップした状態(隙間のない状態)で上下に連続している。尚、中間カバー53の上下長さは、昇降シリンダ33が最伸長した状態でも下側の内カバー51と上側の外カバー52との間の間隔を埋め得る長さを有している。
【0049】
このように、内カバー51と中間カバー53と外カバー52からなる三重のカバー体5で送油ホース4の巻掛け部分の外側を被覆していると、該送油ホース4に外部の部材が干渉することがないとともに、内筒32が最上動(昇降シリンダ33が最伸長)した状態でも、該送油ホース4が外部から見えない(見栄えが悪くならない)。
【0050】
図7に示す第2実施例の送油ホース4では、複数本の個別ホース41,41・・における外筒巻掛け部分を、ホース長さ方向に小間隔(例えば50〜100mm間隔)をもって多数の結束バンド43,43・・で結束している。
【0051】
ところで、上記第1実施例の送油ホース4のように、各個別ホース41,41・・(7本)を単一のホース被覆チューブ42内に挿通させたものでは、その各個別ホース41,41・・のチューブ内挿通作業がかなり面倒であるが、この第2実施例(図7)のように各個別ホース41,41・・を集合させた状態で、その外側を各結束バンド43,43・・で結束するようにすると、各個別ホースの束ね作業が容易となる。尚、このように、各個別ホース41,41・・を束ねた状態でその長さ方向に小間隔をもって多数の結束バンド43,43・・で結束した送油ホース4では、各個別ホース41,41・・が大径の1本物のようになるので、撓みに対する剛性及びスプリング性が増すようになるとともに、多数の結束バンド43,43・・がホース長さ方向に小間隔で配置されているので、個別ホース41に他の部材が直接干渉しにくくなる。
【符号の説明】
【0052】
1は車輌、3はウインチ昇降装置、4は送油ホース、5はカバー体、11は旋回台、12は伸縮ブーム、12aは伸縮ブームの先端部、13はバケット、14はウインチ、31は外筒(丸パイプ)、32は内筒(角パイプ)、33は昇降シリンダ、34はスライドプレート、36は送油配管、37は送油配管の取付部、41は個別ホース、42はホース被覆チューブ、43は結束バンド、51は内カバー、52は外カバー、53は中間カバーである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌(1)上の旋回台(11)に伸縮ブーム(12)を起伏自在に取付け、該伸縮ブーム(12)の先端部(12a)にバケット(13)を設けている一方、前記伸縮ブーム(12)の先端部(12a)にウインチ昇降装置(3)を介してウインチ(14)を設けている高所作業車において、
前記ウインチ昇降装置(3)は、前記伸縮ブーム(12)の先端部(12a)に連結した丸パイプからなる外筒(31)と、該外筒(31)内に内装され上部に前記ウインチ(14)を取付けた角パイプからなる内筒(32)と、該内筒(32)を前記外筒(31)に対して昇降させる昇降シリンダ(33)とを有しているとともに、
前記外筒(31)の内面に、前記内筒(32)の外面に摺接して該内筒(32)を回転不能状態でガイドするスライドプレート(34)を設けている、
ことを特徴とする高所作業車のウインチ昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−235240(P2010−235240A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83847(P2009−83847)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【Fターム(参考)】