説明

高所使用器材付きリフター装置

【課題】 監視カメラや照明器のような高所で使用する高所使用器材のリフター装置において、従来のものでは高所使用器材の揚程が伸縮ブームのストローク分しかなく、揚程を大きくすると格納時の全高が高くなり、格納時の全高を低くすると揚程が小さくなる。
【解決手段】 伸縮ブーム2で高所使用器材3を昇降させるようにした高所使用器材付きリフター装置において、高所使用器材3を伸縮ブーム2の上端より下方の下動位置と伸縮ブーム2の上端より上方の上動位置との間で上下変位させ得るように設置している一方、高所使用器材3を下動位置と上動位置との間で上下動させる上下動手段50と、高所使用器材3を下動位置と上動位置とでそれぞれ支持する支持手段60,61とを有していることにより、高所使用器材3を低位置に格納し得るとともに該高所使用器材3の揚程を上下動手段50による昇降分だけ増加せさることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、監視カメラや照明器のような高所で使用される高所使用器材を伸縮ブームにより高所の使用位置と低所の格納位置との間で昇降させ得るようにした高所使用器材付きリフター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外において周囲をカメラで監視したり夜間照明をしたりする場合には、監視カメラや照明器等を高所に設置して行うことが多い。又、それらの器材の不使用時には、周囲の景観を損なったり邪魔になったりすることから、該器材を低所に格納することが行われている。
【0003】
この種の高所使用器材(監視カメラや照明器)を高所の使用位置と低所の格納位置との間で昇降させ得るようにしたものとして、従来から例えば図22に示すような伸縮照明塔が汎用されている。尚、この伸縮照明塔は、本願が対象にしている高所使用器材付きリフター装置に相当するものである。
【0004】
又、この種の伸縮照明塔の公知例としては、例えば実公昭63−46977号公報(特許文献1)、実公平4−47848号公報(特許文献2)、実公平5−4648号公報(特許文献3)等に示されるものがある。
【0005】
図22に示す伸縮照明塔は、基台101上に伸縮ブーム102を立設し、該伸縮ブーム102の先端ブーム123の上端部に照明器132を取付けて構成されている。基台101の下面には4つのキャスター111が取付けられている。伸縮ブーム102は、3段ブームのものが採用されている。又、図22の伸縮照明塔では、照明器132の上端(照明器取付台の上端)132aが伸縮ブーム102の伸縮部上端102aより高さH1(H1=例えば20〜30cm)だけ高位置にある(特許文献2と特許文献3のものも同じ)。
【0006】
そして、図22の伸縮照明塔は、不使用時には伸縮ブーム102を最縮小させて照明器132を低所に位置させ、使用時には伸縮ブーム102を鎖線図示(符号102′)するように最伸長させることで、照明器132を鎖線図示(符号132′)する高所で使用できるようになっている。
【0007】
ところで、この種の伸縮照明塔では、使用時において照明器132を所望の高所(例えば地面から7m程度の高さ)まで持ち上げ得るようにすることが要求されるが、使用時における照明器132の高さを高くするには、伸縮ブーム102の単ブーム1本当たりの長さを長くするか、単ブーム本数を多くすることが考えられる。しかし、単ブーム1本当たりの長さを長くすると、格納状態(伸縮ブームの最縮小状態)でも伸縮照明塔全体の高さ(図22の高さH3)が高くなり、単ブーム本数を多くする(例えば4〜5段ブームにする)と重量が重くなるとともに構成が複雑になる。因に、図22に示すように、伸縮ブーム102として3段ブーム式のものを使用した場合で、伸縮ブーム最伸長状態で照明器132を7m程度の高さ(H2)まで持ち上げ得るようにするには、伸縮ブーム102が最縮小した状態であっても照明器132の上端高さH3が3m程度になる。
【0008】
又、図22の伸縮照明塔を使用場所に搬入するには、トラック荷台上に載せて運搬するが、この伸縮照明塔のトラック荷台への積み降ろしは、クレーンやフォークリフトを使用して行われる。
【0009】
【特許文献1】実公昭63−46977号公報
【特許文献2】実公平4−47848号公報
【特許文献3】実公平5−4648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、図22に示す従来の伸縮照明塔では、次のような各種の問題点がある。
【0011】
(1) 照明器132が先端ブーム123の定位置に上下不変状態で取付けられ、且つ照明器132の上端(照明器取付台の上端)132aが伸縮ブーム102の上端102aより高所に位置しているので、伸縮ブーム102の最縮小状態でも照明器上端132aが地面からかなりの高位置(高さH3=約3m)になる。従って、伸縮ブーム102が最縮小状態(格納状態)であっても、この伸縮照明塔の全体高さH3が高くなって各種の不利が生じる。特に、この伸縮照明塔をトラックで搬送する際に、トラック荷台上に伸縮照明塔を直立姿勢で載せると、トラック荷台高さ(例えば0.8〜1m)に伸縮照明塔の全体高さH3が加わるので、道路運送車輌法による高さ制限(3.8m)を超えるおそれがある。
【0012】
尚、特許文献1(実公昭63−46977号公報)の伸縮照明塔では、照明器を逆L形ブラケットで吊下げて照明器上端を伸縮ブームの伸縮部上端より下方に位置させているが、このように照明器を伸縮ブームの伸縮部上端より下方に位置させたものでは、該照明器が伸縮ブーム上端より上方に突出しないものの、その分、照明器の使用状態(伸縮ブーム最伸長状態)での高さが低くなる。従って、この場合、照明器の揚程を大きくするには伸縮ブームのストロークを大きくする必要があり、結果的に伸縮照明塔の全高が高くなる(あるいは伸縮ブームのブーム段数が増える)。
【0013】
(2) 高所使用器材(照明器や監視カメラ)を伸縮ブーム先端部に固定したものでは、該器材の揚程が伸縮ブームのストローク範囲に制限されるので、器材の揚程を大きくしようとすると、ストロークの長い伸縮ブームを使用しなければならず、従って格納状態における全体高さが高くなる。
【0014】
(3) 上記従来例(図22)の伸縮照明塔は、昇降の対象器材が傘(反射鏡)つきの照明器132であって、使用状態では照明器が一方向に向く固定姿勢であっても支障がないが、対象器材が、例えば全周を照らすカバーなしの照明灯である場合や、周方向の全域を監視する複数個の監視カメラである場合等には、該器材が伸縮ブーム先端部より低位置にあると伸縮ブーム先端部が照明や視界の邪魔になる。
【0015】
尚、そのような周方向全域を照明又は監視する器材を伸縮ブーム先端部より上方位置に設置したものでは、伸縮ブーム先端部が照明や視界の邪魔にならないが、伸縮ブーム先端部上に設置する分、全体高さが高くなる。
【0016】
(4) 図22の伸縮照明塔は、使用時に基台下面の4つのキャスター111,111・・が接地するが、各キャスターで囲われる面積範囲は比較的小さいので、照明器使用状態(伸縮ブーム102を最伸長させた状態)では重心位置が高くなって不安定になる。又、基台101の設置地面が傾斜していたり、キャスター位置の地面が凹状又は凸状になっていると、基台を水平設置できない(伸縮ブーム102が鉛直姿勢にならない)ので、一層不安定になる。
【0017】
(5) 伸縮照明塔をトラック荷台に積み降ろしするのに、クレーンやフォークリフトが必要であり、特に使用現場で伸縮照明塔をトラック荷台に積み降ろすには、クレーン車やフォークリフト車も使用現場まで移送する必要がある。
【0018】
そこで、本願発明は、上記従来例の各種問題点を改善し得るようにした高所使用器材(監視カメラや照明器)付きのリフター装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、監視カメラや照明器のような高所で使用される高所使用器材付きリフター装置を対象にしている。
【0020】
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明の高所使用器材付きリフター装置は、監視カメラや照明器のような高所で使用される高所使用器材を、基台上に立設した伸縮ブームにより低所の格納位置と高所の使用位置との間で昇降させ得るようにしたものである。
【0021】
この高所使用器材付きリフター装置を基台のみで支持するものでは、該基台として使用時の安定性を確保するために適宜の面積を有したものが使用される。又、基台の下面には、4隅付近にそれぞれキャスターを取付けてもよい。
【0022】
本願の高所使用器材付きリフター装置で使用する伸縮ブームとしては、例えば2段伸縮式(3段ブーム)のものが使用できる。又、この伸縮ブームは、1基のみでもよいが、基台上に間隔をもって2基使用してもよい。尚、伸縮ブームを2基使用する場合は、高所使用器材を両伸縮ブーム間に設置するとよい。
【0023】
高所使用器材(監視カメラや照明器)は、伸縮ブームの上端より下方の下動位置と伸縮ブームの上端より上方の上動位置との間で上下変位させ得るように設置している。この高所使用器材は、伸縮ブームの先端ブームに対して縦向きのガイド棒で上下変位可能にガイドしておくとよい。尚、高所使用器材は適宜の取付台に取付けておき、該取付台を介して高所使用器材を上下変位させ得るようにするとよい。
【0024】
本願請求項1の高所使用器材付きリフター装置には、高所使用器材を前記下動位置と前記上動位置との間で上下動させる上下動手段と、高所使用器材を前記下動位置と前記上動位置とでそれぞれ支持する支持手段とを備えている。
【0025】
上下動手段としては、伸縮シリンダやチェーン式リフト等の適宜の昇降装置が使用できる。
【0026】
各支持手段としては、高所使用器材を前記下動位置と前記上動位置とでそれぞれ支持し得るものであれば適宜のものが使用できる。例えば、下動位置用の支持手段としては、高所使用器材の下動を規制するストッパー(ロックピンでもよい)が使用でき、上動位置用の支持手段としてはロックピンが使用できる。
【0027】
そして、この請求項1の高所使用器材付きリフター装置は次のように使用される。
【0028】
まず、高所使用器材の不使用時には、伸縮ブームを最縮小させるとともに高所使用器材を伸縮ブーム上端より下方の下動位置で支持手段(例えばストッパー)により支持しておく。この状態(低所の格納状態)では、伸縮ブームが最縮小し且つ高所使用器材が伸縮ブーム上端より下方に位置しているので、リフター装置全体の高さが低くなっている。
【0029】
他方、高所使用器材の使用時には、高所使用器材を伸縮ブーム上端より上方の上動位置で支持手段(例えばロックピン)により支持した状態で伸縮ブームを最伸長させる。この状態(高所の使用状態)では、伸縮ブームが最伸長し且つ高所使用器材が伸縮ブーム上端より上方に位置しているので、高所使用器材の高さが高所になる。又、この高所使用状態では、高所使用器材が伸縮ブーム上端より上方に位置しているので、高所使用器材の周囲に邪魔物(伸縮ブームの上端部)が存在しない。
【0030】
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明は、上記請求項1の高所使用器材付きリフター装置において、上下動手段を伸縮ブームで共用している。
【0031】
又、この請求項2の発明では、伸縮ブームの伸長により高所使用器材を伸縮ブーム上端とともに上動位置まで上動させた位置で高所使用器材を仮保持できる仮保持手段を有し且つ該仮保持手段で高所使用器材を仮保持させた後、伸縮ブームを縮小させて高所使用器材を伸縮ブーム上端に対して上動位置に位置せしめ、該上動位置にある高所使用器材を上動位置用支持手段で伸縮ブーム上端部に連結し得るように構成している。
【0032】
即ち、この請求項2の発明では、高所使用器材を、伸縮ブーム上端部に連結した状態(高所使用器材が伸縮ブーム上端部とともに上下動する)と仮保持手段で仮保持した状態(高所使用器材が伸縮ブーム上端部に対して自由状態になる)との2形態で支持(載せ変え)できるようになっている。
【0033】
従って、この請求項2の発明の高所使用器材付きリフター装置では、高所使用器材を伸縮ブーム上端に対して下動位置と上動位置とに変更させるのに、仮保持手段の機能により上下動手段として伸縮ブームを利用できるようになっている。
【0034】
本願請求項3の発明
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2の高所使用器材付きリフター装置において、基台の4隅をそれぞれジャッキで昇降自在に支持している。尚、各ジャッキは、同期伸縮できるとともに、伸縮量を個別に調整し得るものである。
【0035】
この請求項3の発明の高所使用器材付きリフター装置では、設置地面が傾斜していたり凹凸があったりする場合でも、各ジャッキの伸縮量を個別に調整することにより、基台を水平姿勢に維持させた状態で使用できる。
【0036】
又、この請求項3の発明の高所使用器材付きリフター装置では、高所使用器材の揚程として、伸縮ブームの伸縮ストロークとは別にジャッキの伸縮ストローク分を追加することができる。
【0037】
ところで、この高所使用器材付きリフター装置は、トラック荷台に搭載して公道を搬送されるが、公道を走行する場合には道路運送車輌法による高さ制限があって格納状態での高所使用器材付きリフター装置自体の全高を低く抑える必要がある。即ち、高所使用器材付きリフター装置の全高は、道路運送車輌法による高さ制限(3.8m)からトラック荷台の高さ(例えば0.8〜1m)を減じた高さ(例えば2.8〜3m)以内に収める必要がある。このように、高所使用器材付きリフター装置自体の全高を低く抑えるには、伸縮ブームとして単ブーム長さの短いものを使用する必要があり、ブーム段数の少ないもの(例えば3段ブーム)では伸縮ストロークが短くなって十分な揚程を確保できないことがある。尚、伸縮ブームとして多段式のもの(例えば4〜5段ブーム)を使用すると、その分、伸縮ブームの伸縮ストロークが長くなるものの、構造が複雑になり且つ重量が重くなるという欠点がある。
【0038】
そこで、この請求項3の発明の高所使用器材付きリフター装置では、メインの伸縮ブームとは別に基台を昇降させるジャッキを有していることにより、リフター装置自体の全高が制限されるトラック運搬型であっても、ジャッキの伸縮ストローク分だけ伸縮ブームの伸縮ストロークを少なくできる(単ブーム長さを短くできる)。
【0039】
本願請求項4の発明
本願請求項4の発明は、上記請求項3の高所使用器材付きリフター装置において、基台の前後各位置に外筒に対して内筒が左右各側に出没する前後一対のアウトリガを取付けて、各アウトリガ内筒の先端部にそれぞれジャッキ(合計4本)を取付けている。
【0040】
各ジャッキは、このリフター装置を搬送するためのトラック荷台の高さより伸縮ストロークの長いものを使用している。尚、本願のリフター装置を搬送するトラックの荷台高さは例えば0.8〜1m程度であるが、ジャッキとしてリフター装置の基台下面をトラック荷台の上面から余裕をもって浮上させ得る伸長ストローク(例えば1.6m程度の伸長ストローク)を有するものが使用される。
【0041】
又、この請求項4の高所使用器材付きリフター装置では、各アウトリガの格納状態においてリフター装置全体の左右外側面間隔がトラック荷台の幅の範囲内に収まる一方、各アウトリガの最張出状態において左右の各ジャッキのそれぞれ内側面間隔がトラック荷台を幅方向に跨ぐ位置まで拡がるように設定している。尚、この請求項4で使用される高所使用器材付きリフター装置は、アウトリガ格納状態での左右幅(左右外側面間隔)が1.8m程度であり、このリフター装置を搬送するトラックとして、荷台幅がそれより広いものが使用される。
【0042】
そして、この請求項4の高所使用器材付きリフター装置は、次のようにして自力でトラック荷台に対して積み降ろしできるようになっている。
【0043】
即ち、この高所使用器材付きリフター装置をトラック荷台に積み込むには、該リフター装置を地面上に設置した状態(基台が接地)から各アウトリガをそれぞれ左右外方に張り出し→各ジャッキを伸長させて基台をトラック荷台高さより上方まで浮上させ→トラック荷台を後進により基台の下方空間に入れ→各ジャッキを縮小させて基台をトラック荷台上に着座させ→ジャッキ最縮小状態で各アウトリガを格納することで積み込みが完了する。又、トラック荷台上に載せている高所使用器材付きリフター装置を地上に降ろすには、上記積み込み時の動作を逆順序で行えばよい。
【発明の効果】
【0044】
本願請求項1の発明の効果
本願請求項1の高所使用器材付きリフター装置は、高所使用器材(監視カメラや照明器)を伸縮ブーム上端より下方の下動位置と伸縮ブームの上端より上方の上動位置との間で上下変位させ得るように設置し、上下動手段と各支持手段により高所使用器材を下動位置と上動位置とでそれぞれ支持し得るように構成されている。
【0045】
従って、本願請求項1の発明の高所使用器材付きリフター装置には、次のような効果がある。
【0046】
(1) 不使用時に高所使用器材を低所に格納する際には、高所使用器材を下動位置(伸縮ブーム上端より下方)で支持することによりリフター装置全体の高さを低くでき、コンパクト化が達成できる。尚、このように、格納時におけるリフター装置全体の高さを低く抑えると、このリフター装置をトラック荷台に積み込んで公道を走行するときの高さ制限に余裕ができる。
【0047】
(2) 使用時に高所使用器材を高所に持ち上げる際には、高所使用器材を上動位置(伸縮ブーム上端より上方)で支持することにより、高所使用器材を伸縮ブームの伸縮ストローク分とは別に伸縮ブーム上端に対する高所使用器材の上下変位量だけ余分に揚程をとることができる。
【0048】
(3) 高所使用器材が伸縮ブーム先端に対して上動位置にあると、高所使用器材の高所使用状態において、該高所使用器材の周囲に邪魔物(伸縮ブーム上端部)がなくなり、格納状態で高所使用器材が伸縮ブーム上端より下方に位置するものであっても、伸縮ブーム上端部が高所使用器材の視界障害にならない。
【0049】
本願請求項2の発明の効果
本願請求項2の発明は、上記請求項1の高所使用器材付きリフター装置において、上下動手段を伸縮ブームで共用していることにより、高所使用器材を下動位置と上動位置との間で上下変位させるのに伸縮ブームを利用して行える。
【0050】
従って、この請求項2の発明の高所使用器材付きリフター装置では、請求項1の上記効果に加えて、専用の上下動手段が不要となって、コストダウンを図れるとともに軽量化を達成できるという効果がある。
【0051】
本願請求項3の発明の効果
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2の高所使用器材付きリフター装置において、基台の4隅をそれぞれジャッキで昇降自在に支持している。
【0052】
従って、この請求項3の発明の高所使用器材付きリフター装置では、請求項1又は2の上記効果に加えて、次のような効果がある。
【0053】
まず、高所使用器材の揚程として、伸縮ブームの伸縮ストロークとは別にジャッキの伸縮ストローク分を追加することができ、格納状態で全高を低く抑えた構成の高所使用器材付きリフター装置であっても、高所使用器材の揚程を大きくできる。又は、ジャッキによる揚程増加分だけ伸縮ブームの伸縮ストロークを少なくすることができ(単ブーム長さを短くできる)、その結果、格納状態でのリフター装置の全高を一層低くできる。
【0054】
又、高所使用器材の使用時には、各ジャッキの伸縮量を個別に調整することにより、設置地面が傾斜していたり凹凸があったりする場合でも基台を水平姿勢に維持させることができるので、使用姿勢が安定する。
【0055】
本願請求項4の発明の効果
本願請求項4の発明は、上記請求項3の高所使用器材付きリフター装置において、各ジャッキの伸縮ストロークをトラック荷台高さより長くするとともに、各ジャッキをアウトリガでトラック荷台幅を超えて左右に出没させ得るようにしている。
【0056】
従って、この請求項4の発明の高所使用器材付きリフター装置では、請求項3の上記効果に加えて、この高所使用器材付きリフター装置を自力でトラック荷台に積み降ろしできるという効果がある。
【実施例】
【0057】
図1〜図21を参照して本願のいくつかの実施例を説明すると、図1〜図16には第1実施例、図17〜図20には第2実施例、図21には第3実施例の高所使用器材付きリフター装置がそれぞれ示されている。尚、本願で対象にしている高所使用器材は、監視カメラや照明器のような高所において使用されるものであり、第1実施例(図1〜図16)と第2実施例(図17〜図20)では、高所使用器材3としてそれぞれ監視カメラ31が採用されており、第3実施例(図21)では、高所使用器材3として照明器32が採用されている。
【0058】
尚、以下の各実施例において表示した各種寸法は、それぞれ一例であって適宜に設計変更可能である。又、各実施例の説明において、左右とはアウトリガ4,4の出没方向であり、前後とはその水平直交方向のことである。
【0059】
図1〜図16の第1実施例
第1実施例の高所使用器材付きリフター装置は、図1〜図3に示すように、適宜面積を有する矩形平板状の基台1と、該基台1上に前後に間隔をもって立設した2基の伸縮ブーム2,2と、両伸縮ブーム2,2によって昇降せしめられる高所使用器材3(この第1実施例では監視カメラ31)と、基台1の前後各端部において左右各側に出没する一対のアウトリガ(合計4基)4,4・・とを基本構成としている。
【0060】
基台1としては、前後幅が2m程度、左右幅が1.8m程度の大きさのものが使用されている。基台1の下面4隅には、それぞれキャスター11,11・・が取付けられていて、この高所使用器材付きリフター装置を手押し式に移動させ得るようになっている。尚、このキャスター11の高さは30〜35cm程度である。又、各キャスター11,11・・は基台1に対して着脱自在に取付けており、図14〜図16に示すように、この高所使用器材付きリフター装置をトラック荷台81上に搭載して運搬する際には、キャスターを取外した状態(全高が低くなる)で行えるようになっている。
【0061】
各伸縮ブーム2,2は、この実施例では、基端ブーム21と中間ブーム22と先端ブーム23からなる3段ブーム式のものが採用されている。又、各伸縮ブーム2,2は、最縮小状態(図6、図7)での長さが2〜2.2m程度であり、伸縮ストロークとして2.4〜2.8m程度を有している。そして、この各伸縮ブーム2,2は、基台1上の前後各端部寄りで左右中央部の位置において、それぞれ鉛直姿勢で立設されている。
【0062】
高所使用器材3となる監視カメラ31は、この第1実施例では図1に示すように合計4台使用し、上下2台ずつを前後(又は左右)各外向きに配置して、前後各外方を同時に監視できるようにしたものを採用している。この各監視カメラ31,31・・は、取付台33上に一体的に固定している。そして、この各監視カメラ31,31・・は、取付台33を後述する支持台35上に軸受34で支持して、角度90°の範囲で水平回転し得るように設置される。
【0063】
高所使用器材3(監視カメラ31)は、伸縮ブーム2,2によって低所の格納位置(図1、図3)と高所の使用位置(図13)の間で昇降せしめられる一方、後述するように伸縮ブーム2の上端より下方の下動位置A(例えば図1、図3)と伸縮ブーム2の上端より上方の上動位置Bとの間で上下変位せしめられるようになっている。尚、この実施例では、伸縮ブーム2の先端ブーム23上端部に左右外方に張出する張出材24を設けており、該張出材24の上端が伸縮ブーム2の上端となる。
【0064】
この実施例の高所使用器材付きリフター装置には、下動位置Aと上動位置Bとの間で高所使用器材3を上下動させる上下動手段50と、高所使用器材3を下動位置Aと上動位置Bとでそれぞれ支持する各支持手段60,61とを有している。
【0065】
上下動手段50は、この第1実施例では各伸縮ブーム2,2で共用しているが、各伸縮ブーム2,2と高所使用器材3とは以下に説明する構造で連結させている。
【0066】
前後に位置する各伸縮ブーム2,2の各先端ブーム23上端には、それぞれ左右各外方に所定長さ張り出した張出材24,24が取付けられている。この各張出材24,24の左右各端部には、それぞれ下向きに突出するガイド棒51,51(前後一対で合計4本)が固定されている。この実施例では、ガイド棒51,51・・として角パイプ材が使用されておいる。この各ガイド棒51,51・・は、張出材24の下面から1.6〜1.7m程度の長さを有している。尚、前後一対の各ガイド棒51,51の左右間隔(図3、図4の状態)は、50〜60cm程度である。
【0067】
各ガイド棒51,51・・には、それぞれスライド筒52(合計4つ)が上下スライド自在に装着されている。この各スライド筒52の長さは30〜40cm程度である。この4つのスライド筒52,52・・は、高所使用器材3(取付台33)を支持する支持台35で連結されいる。この支持台35上の中央部には、高所使用器材3の取付台33が軸受34で水平回転可能に支持されている。尚、高所使用器材3(監視カメラ31)は、軸受34部分の止めネジを緩めることで取付台33とともに水平回転可能となり、このリフター装置を地上に設置した状態でも高所使用器材3(監視カメラ31)の指向方向を調整し得るようになっている。
【0068】
高所使用器材3と取付台33と支持台35と各スライド筒52,52・・とは、一体化された状態で4本のガイド棒51,51・・にガイドされて水平姿勢のまま上下変位し得るようになっている。尚、以下の説明では、高所使用器材3と取付台33と支持台35と各スライド筒52,52・・とを総称して昇降体ということがある。
【0069】
そして、各スライド筒52が各ガイド棒51の下端位置まで降下した状態では、図1、図3、図4、図6〜図9の各図に示すように、高所使用器材3(監視カメラ31)の上端が伸縮ブーム上端(張出材24の上端)より若干下方の下動位置Aに位置し、他方、図11及び図13に示すように、各スライド筒52が各ガイド棒51の上端位置まで上昇した状態では、高所使用器材3の全体が伸縮ブーム上端(張出材24の上端)より上方にある上動位置Bに位置するようになっている。尚、各スライド筒52(昇降体)の伸縮ブーム上端に対する昇降範囲は約1.3mである。
【0070】
各支持手段60,61は、高所使用器材3を伸縮ブーム2の上端に対して下動位置A(例えば図4、図5)と上動位置B(例えば図11、図12)とでそれぞれ支持するものである。
【0071】
下動位置A用の支持手段60としては、図4及び図5に示すように各ガイド棒51,51の下端部に各スライド筒52,52の下動を規制するストッパーを採用している。このストッパー60は、ガイド棒51の外形より大径のフランジ部を有し、該フランジ部でスライド筒52の下面を受け得るようになっている。尚、この各ストッパー60は、それぞれガイド棒51の下端部にピン結合によって固定している。そして、この下動位置A用の支持手段となる各ストッパー60は、昇降体(高所使用器材3と取付台33と支持台35と各スライド筒52)が各ガイド棒51,51・・に対して最下動した状態で各スライド筒52の下面を支持し、昇降体がそれ以上、下動するのを規制するようになっている。
【0072】
上動位置B用の支持手段61としては、図12に拡大図示するように各ガイド棒51に設けたピン挿通穴68(合計4つ)と、該各ピン挿通穴68にそれぞれ係合する各ピンユニット62(合計4つ)とを採用している。各ピンユニット62は、図5及び図12に示すように、ピンケース63内に収容したハンドル65付きのピン64をスプリング66で突出方向(ロック方向)に付勢している。このピンユニット62は、スライド筒52の側面(前後方向の各内側面)に取付けたブラケット54に対して、ピン64の先端部64aがガイド棒51の左右幅中心に向く位置で横向きに取付けている。尚、この実施例では、スライド筒52におけるピンユニット取付ブラケット54の対向面にピン受け用の補助ブラケット55が取付けられており、該補助ブラケット55にピン先端部64aを挿入させるピン穴55aが形成されている。
【0073】
他方、各ガイド棒51,51・・には、その上部寄り位置に前後方向に貫通するピン挿通穴68が形成されている。この各ピン挿通穴68は、図12に示すようにスライド筒52がガイド棒51の最上動位置付近まで上昇した位置(図10に示すように後述する仮保持手段70のピン先端部74aが基端ブーム21に取付けられたピン受台71上に係止される位置)において、ピンユニット62のピン先端部64aが対面する位置に形成されている。
【0074】
そして、この上動位置B用の支持手段61は、図5又は図12に示すように、各ピンユニット62のピン64が実線図示する没入位置(ロック解除状態)にあるときにはスライド筒52(昇降体全体)がガイド棒51に対して可能となっており、図12に示す上動位置Bにおいてピン64を突出させるとピン先端部64aが鎖線図示(符号64a′)するようにガイド棒51のピン挿通穴68(及び補助ブラケット55のピス穴55a)に挿入されてロック状態となる。
【0075】
この第1実施例の高所使用器材付きリフター装置では、昇降体(高所使用器材3を含む)を昇降させる上下動手段50として伸縮ブーム2,2を共用しているが、この場合、昇降体(各スライド筒52)を上動位置Bで仮保持させるための仮保持手段70が使用される。
【0076】
この仮保持手段70は、図4及び図10に拡大図示するように、各伸縮ブーム2,2の基端ブーム21,21における左右各側面の上部寄り位置にそれぞれ取付けた各ピン受台71(合計4つ)と、該各ピン受台71に係脱自在に係合するピンユニット72(合計4つ)とを有している。
【0077】
仮保持手段70の各ピン受台71は、図4及び図10に示すように、上面にピン受け用の凹入部を設けたもので、図10に示すように基端ブーム21の左右各側面の上部寄り位置におけるスライド筒52に対面する位置に取付けられている。尚、この各ピン受台71は、基端ブーム21の側面に対してアジャスターによって取付高さを微調整し得るようになっている。
【0078】
仮保持手段70の各ピンユニット72は、前記上動位置用支持手段61のピンユニット62と同構造のものが採用されている。即ち、この仮保持手段70の各ピンユニット72は、図5及び図10に示すように、ピンケース73内に収容したハンドル75付きのピン74をスプリング76で突出方向(ロック方向)に付勢したものを使用している。そして、この各ピンユニット72は、前記上動位置用支持手段61の各ピンユニット62を取付けている各ブラケット54に、ピン74の先端部74aがピン受台71側に向く横向き姿勢で取付けている。尚、ピンユニット取付用ブラケット54に対面する位置にある前記補助ブラケット55には、仮保持手段70のピンユニット72のピン先端部74aを挿入させるピン穴55bが形成されている。
【0079】
そして、仮保持手段70の各ピンユニット72は、図10に実線図示するようにピン74が没入する状態ではピン受台71に対して非係合状態となり、スライド筒52を上動位置Bまで上昇させた位置(図8〜図10)でピン74を突出させると、ピン先端部74aが図10に鎖線図示(74a′)するようにピン受台71の上面(凹入部)に係合する(載る)ようになっている。
【0080】
アウトリガ4,4・・は、基台1の前後各端部に左右各向きに一対ずつ(合計4基)設置されている。この各アウトリガ4,4・・は、外筒41に対して内筒42が左右各側に出没するものである。各内筒42の出没ストロークは、片側60〜70cm程度である。
【0081】
各内筒42,42・・の先端部には、それぞれジャッキ43,43・・が取付けられている。この各ジャッキ43,43・・は、1.6m程度の伸縮ストロークを有している。
【0082】
そして、各アウトリガ4,4・・を図7に鎖線図示するように全伸長させた状態では、各ジャッキ43,43・・は、前後間隔(図6)が2.2〜2.3m程度、左右間隔(図7)が3.1〜3.2m程度になり、このリフター装置を広面積範囲の4点で支持できる。又、各ジャッキ43,43・・を図6及び図7に示すように最伸長させると、基台1の下面を地面から1.5m程度離間させることができ、基台下面にキャスター11を取付けた状態でも、該キャスター11の下面を地面から1.15〜1.2m程度浮上させることができる。
【0083】
ところで、この第1実施例の高所使用器材付きリフター装置は、図14〜図16に示すように、トラック荷台81に対して自力で積み降ろしできるようになっている。尚、トラック荷台81は、高さが0.8〜1m程度であり、左右幅が2.0〜2.2m程度である。
【0084】
全アウトリガ4,4・・を最縮小させた状態では、図15に実線図示するようにリフター装置全体の左右各外側面の間隔(例えば1.8m)がトラック荷台81の幅より小さくなっている。従って、この高所使用器材付きリフター装置をトラック荷台81の中央部に搭載した状態では、該リフター装置の左右外側面がトラック荷台81の左右幅からはみ出ることがない。他方、全アウトリガ4,4・・を全伸長させたときには、図15に鎖線図示するように左右に位置する各ジャッキ43,43・・の内側面間隔(例えば2.8m程度になる)がトラック荷台81の幅よりかなり大きくなる。従って、全アウトリガ4,4・・を全伸長させた状態では、リフター装置をトラック荷台81上に載せた状態でも各ジャッキ43,43・・を伸縮させることができる。
【0085】
又、各ジャッキ43,43・・の伸縮ストロークは1.6mで、各ジャッキ43を最伸長させると、図16に示すように基台1の下面を地面から1.5m程度浮上させることができる。従って、基台1の下面の下方にトラック荷台81の高さ(0.8〜1m)より高いスペースを確保できる。この場合、図9に示すように基台1の下面にキャスター11を取付けた状態でも、その下方スペース内にトラック荷台81を送込むことができるが、この高所使用器材付きリフター装置をトラック荷台81上に載せて搬送する場合には、基台1下面のキャスター11を取外しておくと、この高所使用器材付きリフター装置の全高が低くなって道路運送車輌法による高さ制限(3.8m)に余裕ができる。
【0086】
この実施例の高所使用器材付きリフター装置では、基台1上の外側部を囲う囲い体12が設けられている。この囲い体12は、基台1上の周囲4面を被覆する各側面部と、格納状態での高所使用器材3及び伸縮ブーム2,2の上部を被覆し得る天面部とを有している。又、囲い体12の右側面部には、側面扉13,13(図2参照)が設けられ、囲い体12の天面部には天面扉14,14(図3参照)が設けられている。
【0087】
囲い体12内の基台1上には、各種操作を行う制御盤15と、各油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ユニット16を設けている。制御盤15は、側面扉13,13がある側に設置されており、該制御盤15の操作は側面扉13,13を開放して行う。又、伸縮ブーム2,2を伸長させたり、高所使用器材3を上動させたりする際には、天面扉14,14を開放して行う。
【0088】
この第1実施例の高所使用器材付きリフター装置は、次のようにして使用される。
【0089】
まず、第1の使用例では、図1〜図3に示すようにキャスター11付きの状態で使用されるが、この場合は、リフター装置を使用位置において手押しにより移動させたり向きを調整できる。この初期状態では、各伸縮ブーム2,2が最縮小し、昇降体(各スライド筒52)が各ガイド棒51に対して最下動位置まで降下した位置で各下動位置用支持手段(ストッパー)60で支持されている。尚、このとき、上動位置用支持手段61の各ピンユニット62のピン64はそれぞれ没入位置(ロック解除位置)にあり、仮保持手段70の各ピンユニット72のピン74もそれぞれ没入位置(非係合位置)にある。
【0090】
そして、リフター装置の使用位置及び向きが決まれば、図7に鎖線図示するように各アウトリガ4,4・・を張り出し、続いて各ジャッキ43,43・・を伸長させて、リフター装置全体を4本のジャッキ43,43で支持する。このとき、使用位置が傾斜地であったり各ジャッキ43の接地部分に凹凸がある場合には、各ジャッキ43,43・・の伸縮量を調整して基台1を水平姿勢に保持する。
【0091】
次に、各伸縮ブーム2,2を第1段伸長させる(図示例では中間ブーム22が伸長する)と、図8及び図9に示すように、4本のガイド棒51,51・・とともに昇降体(高所使用器材3、取付台33、支持台35、各スライド筒52)が上動し、仮保持手段70のピンユニット72のピン74が基端ブーム21側のピン受台71の上面に係合し得る高さまで上動させた位置で、伸縮ブーム2,2の伸長動作を停止させる(図9、図10の状態)。そして、図10に鎖線図示するように、仮保持手段70の各ピンユニット72(4つある)の各ピン74をそれぞれロック位置まで突出させて、各ピン先端部74aを各ピン受台71上に係合させる。このピン先端部74aをピン受台71上に係合させるのに、ピンユニット72のピン74をピン受台71の上面より若干高位置まで上動させた位置で一旦伸縮ブーム2の伸長を停止させ、続いてピン74をロック位置に突出させた後、伸縮ブーム2を縮小させて該ピン74の先端部74aをピン受台71上に係止する(載せる)ようにすると、該ピン74をピン受台71に対して容易に且つ確実に係合させることができる。そして、仮保持手段70による仮保持状態(4つのピン先端部74aがそれぞれ4つのピン受台71上に係合している)では、昇降体(高所使用器材3、取付台取付台、支持台支持台、各スライド筒52)の荷重が4つのピン受台71で支持されている。尚、この状態(図8及び図9の状態)では、昇降体が伸縮ブーム上端に対してまだ下動位置Aにあり、伸縮ブーム2の上部、張出材24、各ガイド棒51等が高所使用器材3と同高さにあり、それらが高所使用器材(監視カメラ)3の視界を妨げる位置にある。
【0092】
次に、仮保持手段70で昇降体を仮保持させた状態で各伸縮ブーム2を最縮小させると、図11に示すように4本のガイド棒51がそれぞれ各スライド筒52に対して下動し、昇降体(高所使用器材3)が伸縮ブーム上端に対して上動位置Bに位置する(監視カメラの側周部分に邪魔物がなくなる)。この図11の状態では、図12に示すように上動位置用支持手段61のピンユニット62のピン先端部64aがガイド棒51の上部寄り位置にあるピン挿通穴68に対面しており(4箇所とも)、該ピンユニット62のピン64をロック位置まで突出させることによって、ピン先端部64aがピン挿通穴68に係入される(4箇所とも)。この状態では、各ガイド棒51と各スライド筒52とが一体的に結合されている。
【0093】
尚、この実施例において仮保持手段70による仮保持状態では、各ピン74(ピン先端部74a)を各ピン受台71の上面に載せているだけなので(図10の鎖線図示状態)、その仮保持状態のままでも伸縮ブーム2を伸長させる(昇降体を上動させる)ことが可能となっているが、仮保持手段としてピンをピン穴に挿通させる形式のものを採用したものでは、上記の上動位置用支持手段61(ピン64とピン挿通穴68)をロック状態にした後に、仮保持手段のピンをピン穴に対してロック解除させる。
【0094】
次に、図11の状態(上動位置用支持手段61がロック状態)から、各伸縮ブーム2を伸長させると、伸縮ブーム先端部(張出材24)とともに各ガイド棒51が上動せしめられることにより、昇降体(高所使用器材3〜各スライド筒52)も上動していく。そして、各伸縮ブーム2,2が最伸長した状態では、図13に示すように高所使用器材3をH4(H4=6〜7m)の高さまで持ち上げることができる。尚、図13に示す高所使用状態で安定性に不安がある場合には、四方に控えワイヤー9を張設してもよい。この場合は、伸縮ブームの最縮小状態で張出材24のブラケット部分に控えワイヤー9の上端を連結しておき、高所使用器材3を図13に示す使用高さまで持ち上げた後に該控えワイヤー9の下端をアンカーに連結するようにするとよい。
【0095】
この第1実施例の高所使用器材付きリフター装置では、使用状態において4つのジャッキ43で支持できるので、安定性がよくなり、且つ基台1を正確に水平姿勢に維持した状態で使用できる。又、格納状態においては、伸縮ブーム2,2を最縮小させ且つ高所使用器材3を伸縮ブーム上端より下方の下動位置Aまで降下させることができるので、その格納姿勢での全高を低く抑えることができる。さらに、高所使用器材3の使用状態では、ジャッキ43の伸長量と、下動位置Aから上動位置Bまでの上昇量と、伸縮ブーム2の伸長量の合計ストローク分だけ上昇させることができるので、格納状態で全高を低く抑え得るようにしたものであっても必要揚程を確保できる。
【0096】
又、この第1実施例の高所使用器材付きリフター装置では、上記の第1使用例のように基台1の下面に4つのキャスター11を取付けたままで行っても、このリフター装置を自力でトラック荷台上に積み降ろしできる。即ち、図7に鎖線図示するように、各アウトリガ4をそれぞれ張り出し、各ジャッキ43を最伸長させた状態では、キャスター11の下面と地面との間にトラック荷台を出し入れし得るスペースが確保されるようになっている。従って、このリフター装置をトラック荷台上から地上に降ろすとき、及びリフター装置を地上に設置した状態からトラック荷台上に載せるとき等には、各アウトリガ4及び各ジャッキ43を所定順序で操作することによって、クレーンを使用することなく自力で積み降ろしできる。
【0097】
図14〜図16には、第1実施例の高所使用器材付きリフター装置の第2使用例が示されている。この第2使用例では、このリフター装置をトラック荷台81に載せて搬送するのに適したもので、基台1の下面の各キャスターを取外した状態で行う。
【0098】
この場合(キャスターがない場合)、リフター装置自体で設置姿勢の向きを変えることはできないが、図14に示すようにトラック荷台81上に搭載したときに、キャスターがない分、全高を低く抑えることができる。従って、公道を走行する際の道路運送車輌法による高さ制限(3.8m)に余裕ができる。
【0099】
尚、トラック荷台81上から高所使用器材付きリフター装置を目的位置の地上に降ろすには、まず図14に示すように該リフター装置をトラック荷台81に搭載した状態で目的位置まで搬送し、そこで図15の状態から、まず各アウトリガ4を鎖線図示するように左右各側に張り出し、続いて各ジャッキ43を最伸長させるさせることで、図16に示すように基台1をトラック荷台81の上方に浮上させ、その状態でトラックを退出させればよい。
【0100】
他方、リフター装置を地上に設置した状態からトラック荷台に載せるには、各アウトリガ4を左右各側に張り出し、各ジャッキ43を最伸長させて、図16に示すように基台1の下方に大きなスペースを設ける。そして、トラックを後進させてトラック荷台81を基台1の下方に送込み、各ジャッキ43を最縮小して基台1をトラック荷台81上に着座させ、各アウトリガ4をそれぞれ格納することで図15に示すようにリフター装置をトラック荷台1上に載せることができる。
【0101】
図17〜図20の第2実施例
この第2実施例の高所使用器材付きリフター装置では、高所使用器材3を伸縮ブーム上端に対して下動位置Aと上動位置Bとに変位させる上下動手段50として、伸縮ブーム2とは別体の2本の伸縮シリンダ56,56を使用している。
【0102】
又、この第2実施例では、第1実施例の仮保持手段70に代わるものとして、昇降体側(図示例では支持台35)に前後2つのピンユニット57,57を取付ける一方、各伸縮シリンダ56,56の伸縮側(図示例ではシリンダチューブ)にピンユニット57のピンを係合させるピン受穴59付きのブラケット58を固定している。各ピンユニット57,57は、第1実施例のピンユニット62(又は72)と同構造のものが採用されている。
【0103】
尚、第2実施例の高所使用器材付きリフター装置におけるその他の構成は、上記第1実施例のものと同じであり、重複をさけるためにそれらの構成及び機能の説明は第1実施例のものを援用する。
【0104】
この第2実施例の高所使用器材付きリフター装置では、図17の格納状態において、各ピンユニット57,57のピンをそれぞれ各伸縮シリンダ56,56のブラケット58,58の各ピン受穴59,59に係合させ、その状態で各伸縮シリンダ56,56を伸長させると、図18に示すように昇降体(高所使用器材3〜各スライド筒52)が4本のガイド棒51にガイドされて、上動位置用の支持手段61が機能する位置まで上動せしめられる。この状態では、図12と同様に、各ピンユニット62のピンが各ガイド棒51に設けたピン挿通穴68に係合可能となっており、該各ピンを各ピン挿通穴68に係合させることによって昇降体を伸縮ブーム2の上端(張出材24)に各ガイド棒51を介して連結できる。その後、支持台35側の各ピンユニット57,57をロック解除すれば、図19に示すように各伸縮シリンダ56,56を縮小させることができる。尚、この状態では、昇降体は、上動位置Bにおいて各支持手段61で支持されている。
【0105】
そして、図19の状態から、各伸縮ブーム2,2を最伸長させると、図20に示すように高所使用器材3を高所の使用位置まで持ち上げることができる。
【0106】
この第2実施例の場合は、上下動手段50として伸縮シリンダ56,56が必要であるが、昇降体を下動位置Aと上動位置Bとに載せ代えるのに際して、第1実施例のように伸縮ブーム2,2の伸長及び縮小操作が不要となり、作業工程が簡単になる。
【0107】
尚、この第2実施例の高所使用器材付きリフター装置でも、第1実施例のほとんどの機能を有している。
【0108】
図21の第3実施例
この第3実施例の高所使用器材付きリフター装置では、高所使用器材3として監視カメラに代えて照明器32を採用しているが、その他の構成は第1実施例のものと同じであり、それらの構成及び機能の説明は第1実施例のものを援用する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本願第1実施例の高所使用器材付きリフター装置の格納状態図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の左側面図である。
【図4】図3の一部拡大図である。
【図5】図4のV−V拡大断面図である。
【図6】図1からのアウトリガ及びジャッキ作動説明図である。
【図7】図6の左側面図である。
【図8】第1実施例の第1使用例で、図6からの作動変化図である。
【図9】図8の左側面図である。
【図10】図9のX−X拡大断面図である。
【図11】図9からの作動変化図である。
【図12】図11のXII−XII拡大断面図である。
【図13】図11からの作動変化図(使用状態図)である。
【図14】第1実施例の第2使用例を示す正面図である。
【図15】図14の右側面図である。
【図16】図15からの作動変化図である。
【図17】本願第2実施例の高所使用器材付きリフター装置の格納状態図である。
【図18】図17からの作動変化図である。
【図19】図18からの作動変化図である。
【図20】図19からの作動変化図である。
【図21】本願第3実施例の高所使用器材付きリフター装置の格納状態図である。
【図22】従来例の伸縮照明塔の説明図である。
【符号の説明】
【0110】
1は基台、2は伸縮ブーム、3は高所使用器材、4はアウトリガ、21は基端ブーム、23は先端ブーム、24は張出材、31は監視カメラ、32は照明器、41は外筒、42は内筒、43はジャッキ、50は上下動手段、51はガイド棒、52はスライド筒、56は伸縮シリンダ、60は下動位置用の支持手段(ストッパー)、61は上動位置用の支持手段、62はピンユニット、68はピン挿通穴、70は仮保持手段、71はピン受台、72はピンユニット、Aは下動位置、Bは上動位置である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラや照明器のような高所で使用される高所使用器材(3)を、基台(1)上に立設した伸縮ブーム(2)により低所の格納位置と高所の使用位置との間で昇降させ得るようにした高所使用器材付きリフター装置であって、
高所使用器材(3)は、伸縮ブーム(2)の上端より下方の下動位置(A)と伸縮ブーム(2)の上端より上方の上動位置(B)との間で上下変位させ得るように設置している一方、
高所使用器材(3)を前記下動位置(A)と前記上動位置(B)との間で上下動させる上下動手段(50)と、高所使用器材(3)を前記下動位置(A)と前記上動位置(B)とでそれぞれ支持する支持手段(60,61)とを備えている、
ことを特徴としている高所使用器材付きリフター装置。
【請求項2】
請求項1において、
上下動手段(50)を伸縮ブーム(2)で共用する一方、
伸縮ブーム(2)の伸長により高所使用器材(3)を伸縮ブーム上端とともに上動位置(B)まで上動させた位置で高所使用器材(3)を仮保持できる仮保持手段(70)を有し且つ仮保持手段(70)で高所使用器材(3)を仮保持させた後、伸縮ブーム(2)を縮小させて高所使用器材(3)を伸縮ブーム上端に対して上動位置(B)に位置せしめ、上動位置(B)にある高所使用器材(3)を上動位置用支持手段(61)で伸縮ブーム上端部に連結し得るように構成している、
ことを特徴としている高所使用器材付きリフター装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
基台(1)の4隅をそれぞれジャッキ(43,43・・)で昇降自在に支持している、
ことを特徴としている高所使用器材付きリフター装置。
【請求項4】
請求項3において、
基台(1)の前後各位置に外筒(41)に対して内筒(42)が左右各側に出没する前後一対のアウトリガ(4,4・・)を取付けて、各内筒(42,42・・)の先端部にそれぞれジャッキ(43,43・・)を取付け、
各ジャッキ(43,43・・)は、それぞれトラック荷台(81)の高さより伸縮ストロークが長いものを使用しているとともに、
各アウトリガ(4,4・・)の格納状態においてリフター装置全体の左右外側面間隔がトラック荷台(81)の幅の範囲内に収まる一方、各アウトリガ(4,4・・)の最張出状態において左右の各ジャッキ(43,43)のそれぞれ内側面間隔がトラック荷台(81)を幅方向に跨ぐ位置まで拡がるように設定している、
ことを特徴としている高所使用器材付きリフター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−157386(P2007−157386A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347919(P2005−347919)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(393008360)株式会社タダノエンジニアリング (15)
【Fターム(参考)】