説明

高明度の画像を持つ装飾積層パネル

この発明は、電気製品や自動車に装飾パネルとして用いられ、基板シートを覆うフィルム複合体を有する積層構造、に関する。この積層構造は、縦方向および横方向ともに高明度の画像を有し、これらの比率を1.0に近い値で有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気製品の装飾パネルに関するものである。より具体的には、本発明は、これらの装飾パネルを提供する積層構造の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気製品は、一般的に可視の外部表面を有する。このような表面は、美的目的で、有色の材料で形成されたり、塗装された装飾パネルからなり得る。例えば、食器洗い機、ごみ圧縮機、又は他の台所製品が、装飾的な前面を有し得る。電気製品の前面パネルは、使用者が装飾的外観を変えられるように、取り替え可能であり得る。例えば、異なる色の多数のパネルが電気製品に提供されていると、使用者は所望のパネルを選択して装着することができる。
【0003】
例えば洗濯機やドライヤ、ストーブや冷蔵庫といった、他の種類の電気製品においては、電気製品の正面以外のエリアも覆えるように、パネルは隅部を形成するように加工されうる。これらの他の電気製品のいずれにおいても、特別な視覚的効果を提供するパネルを使用することが時として望ましい。消費者志向の電気製品にとって特に望ましい効果の一つとしては、画像の明度(DOI)がある。
【0004】
画像の明度は、表面で反射した物体の輪郭の鮮明度によって規定される。高いDOI基準(可能な最大値は100)が望まれる完成品の質を示すために、自動車や建築のコーティング製造業者によってこの測定が頻繁に用いられる。加えて、異なる角度から眺めたときに、同じか少なくともほぼ同じDOIであることが望まれる。それ故、表面のDOIを2つの異なる、互いに垂直な方向から測定することが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
典型的な状況において、関心となる対象としては、同一のラインで製造されそれ故に特定可能な縦方向(MD)とこれに垂直な横方向(TD)とを有する、シート材料の種類がある。しばしば、典型的には余白部が大きいため、縦方向のDOIは、横方向のDOIよりも高くなる。これらの測定の相対的な同一性は、TDに対するMDの比率として通常捉えられ、1.0の値が理想的である。TDに対するMDの比率は、表面の種類や、シートのつや出し仕上げを適用するために利用する工程の種類によって、大きく異なり、多くの場合に約1.5またはそれより高い値になり得る。しかしながら、このような高いDOIの比率は、一部の特定市場における製品に対しては、望ましくない。
【0006】
多くの異なる種類の表面仕上げが存在するので、DOIの測定値は大きく異なる。水性コーティングは、環境問題を考えると望ましいが、縦方向及び横方向のいずれにおいてもDOI値を悪化させる傾向がある。溶剤型コーティングでは、DOI値が改善される傾向があるが、環境上の必要性に合わせるために、溶剤を抑制するための措置や処理手順が必要となる。加えて、ローラーコーティング工程に適用された溶剤型コーティングには、TDのDOI値がMDのDOI値より著しく低くなり、完成品の品質が劣ってしまう傾向がある。加えて、水性コーティング又は溶剤型コーティングの複合コーティングによる仕上げでは、典型的に、適用されるコーティングでの粗さや不均一さ、または完成品が受ける表面の粗さ及び/又は欠陥による、欠陥が生じ得る。
【0007】
ドネラン他(Donnelan et al)著、欧州特許第0862514号明細書として発行された、国際公開番号97/11847号明細書には、不透明ポリエステルシートの芯層と、前記芯層の第1表面上の透明ポリエステルの外側層と、前記芯層の第2表面上の熱遮蔽層と、を有する複合体ポリエステルシートが開示されている。前記複合体シートは、缶の製造用の金属シートの積層に好適であると考えられ、前記缶の形成に使用される穿孔機/金型の過剰摩耗、及び/又は缶表面の引っかき傷に関する問題を抑制又は実質的に克服すると考えられる。前記芯層及び/又は透明外側層は、物理的機械的性質を満足させるためには二軸配向であることが好ましいが、これらは一軸配向性であり得る。この特許出願においてはDOIといった光学的性質については何ら言及されていない。
【0008】
消費者製品を製造するために、特に電気製品用の装飾パネルにおいて、高い画像の明度を示し、横方向に対する縦方向の画像の明度の比が1に近い値を示す、電気製品用の金属ベースのシートを提供する必要性が未だに存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一面において、本発明は、積層構造を備える電気製品パネルである。前記構造は、基板シートを備える。前記基板シートは、それに接着する二軸配向のフィルム複合体を有する。前記フィルム複合体は、ポリエステルで構成される透明層に隣接してこれと同サイズの有色ポリエステル層を備える。前記有色ポリエステル層は、基板シート及び透明層の間に介装されてなり、前記積層構造は、縦方向及び横方向に前記フィルム複合体に一致する方向を有する。前記積層構造は、前記電気製品パネルの可視表面を形成し;前記積層構造は、縦方向及び横方向の画像の明度がそれぞれ約80より大きく、横方向に対する縦方向の画像明度の比率は1.30より小さい値となる。
【0010】
他の面において、本発明は、パネルを備える電気製品であり、該パネルは積層構造を備えている。前記積層構造は、基板シートを備える。前記基板シートは、これに接着された二軸配向のフィルム複合体を有する。前記フィルム複合体は、ポリエステルで構成される透明層に隣接する同サイズの有色ポリエステル層を備えている。前記有色ポリエステル層は、基板シート及び透明層に介装されてなり、前記積層構造は前記フィルム複合体に一致する縦方向及び横方向を有している。前記積層構造は、前記電気製品パネルの可視表面を形成し;前記積層構造は縦方向及び横方向の画像の明度が約80より大きく、縦方向に対する横方向の画像の明度の比率が1.30より小さい。
【0011】
さらに他の面では、本発明は電気製品の製造方法である。前記方法は、積層構造を提供するステップを備える。前記構造は、基板シートを備え、該基板シートはそこに接着する二軸配向のフィルム複合体を有し、該フィルム複合体は、ポリエステルで構成される透明層に隣接し同一サイズの有色ポリエステル層を備える。前記有色ポリエステル層は基板シートと前記透明層の間にあり、前記積層構造は、前記フィルム複合体に一致する縦方向及び横方向を備える。前記電気製品の可視表面を備える積層構造を形成し;前記積層構造は縦方向及び横方向の画像の明度が約80より大きく、縦方向に対する横方向の画像の明度の比率が1.30より小さい。前記方法はまた、前記電気製品の可視表面を提供する積層構造を形成するステップを備える。
【0012】
さらに他の面では、本発明は、積層構造を備える自動車パネルである。前記構造は基板シートを備える。前記基板シートはそこに接着する二軸配向のフィルム複合体を有し、該フィルム複合体は、ポリエステルで構成される透明層に隣接し同一サイズの有色ポリエステル層を備え、該有色ポリエステル層は基板シートと前記透明層の間にあり、前記積層構造は、前記フィルム複合体に一致する縦方向及び横方向を備えるステップと、前記電気製品の可視表面を備える積層構造を形成するステップとを備え、前記積層構造は縦方向及び横方向の画像の明度が約80より大きく、横方向に対する縦方向の画像の明度の比率が1.30より小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、図面を参照して以下で説明され、全ての図面において同一の符号は同一の部材を示す。これらの図は、限定よりもむしろ例示を目的とするものであり、本発明の説明を容易にするために添付されている。これらの図面は実物大ではなく、設計図面として用いる目的のものではない。
【0014】
図1を参照すると、本発明の典型的な実施形態による、全体的に符号10で指示された積層構造を備えるパネルの一部が示されている。積層構造10は、基板シート11を備え、これには有色層(colored layer)16と透明層(clear layer)18を備えるフィルム複合体12が接着されている。フィルム複合体12は、接着層14によって基板シート11に接着される。透明層18の上部には、耐傷層20(scratch-resistant layer)が任意的に設けられている。積層構造10は、縦方向22と、それに直角な横方向24とを有している。この縦方向は、フィルム複合体12が製造される製造ラインでの搬送方向に対応する。
【0015】
有色層16及び透明層18を結合したときのフィルム複合体12の厚さは、典型的には約5μmから約500μmの間で、好ましくは約12μmから約100μmの間で、さらに好ましくは約23μmから約75μmの間で、与えられる。典型的には、透明層18は、総厚の約1%から約60%、より好ましくは層16及び層18を結合した厚さ全体の約2%から約40%、の厚さをとりうる。一般的には、最良のDOIは、層18の厚さを抑えることにより達成される。
【0016】
有色層16の特定の厚さは、典型的には、不透明度や色といった所望の光学的性質が与えられるように選定される。一般に、有色層16の厚さは、着色顔料や添加物のコストによって最小化される。そして、有色層16及び/又は透明層18は、ラミネート機構の処理に好適なフィルム全体の厚さに最適化して提供されるように調整される。各層の厚さの選定はまた、使用される特定の押出設備における制限内でなければならず、それゆえ変化し得る。
【0017】
有色層16は、それ自体が特有または新規の光学的効果を備えうる共押出構造の多重層であってもよい。例えば、層16は、輝き(sparkling)の光効果を与えるために金属粉体や反射顔料を含有する透明層とともに共押出された着色層を備えていてもよい。あるいは、多様な視覚効果のために、有色層16は、反転印刷されていてもよい。
【0018】
接着層14は、もしそれが共押出のポリエステル(後述する)であれば、フィルム複合体12と接着層14とを合わせた厚さの約5%〜約60%、好ましくは約10%〜40%で構成され得る。もし接着層14が、例えばエチレン酢酸ビニルコポリマーまたは共エステルのようなコーティングされた接着剤であれば、約2〜30g/m、好ましくは約5〜15g/mの荷重レベル(loading level)で用いられ得る。
【0019】
有色層16と透明層18は、いずれもポリマーで構成される。一実施形態においては、いずれの層も、線状ポリエステルで構成される。各層において、線状ポリエステルの固有粘度は、約0.5から約0.8、典型的には約0.6である。層16および層18に用いるための典型的なポリエステルは、二軸配向されたポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムと、二軸配向されたポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムである。
【0020】
有色層16及び/又は透明層18の製造に特に有用なのは、二軸配向されヒートセット(heatset)されたポリエチレンテレフタラートである。このような材料は当技術分野において良く知られており、参照によってここに編入した、例えばストークス(Stokes)著の米国特許第4、375、494号明細書に記載されている。
【0021】
ポリエチレンテレフタラートポリマー調整技術は、当技術分野の当業者にとって良く知られており、ポリマー科学工業技術事典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering),第二版,第12巻,Wiley,N.Y.,第1−313頁、のような多くの教本に開示されている。ポリマーは、典型的に、適切なジカルボン酸やそれより低アルキル基のジエステルをエチレングリコールで凝縮することで得られる。ポリエチレンテレフタラートは、テレフタル酸やそのエステルから形成され、ポリエチレンナフタレートは、2,7−ナフタレートジカルボン酸やそのエステルから形成される。
【0022】
本発明の他の実施形態において、有色層16及び透明層18のいずれか、またはいずれもが、高成形性を示すポリエステルで構成されていてもよい。このような材料により、フィルムを破損させずに装置パネル中にラミネート構造を形成することが可能となる。この目的のための典型的な材料にはPETのコポリエステルが含まれ、その中のコポリエステル成分は酸性成分やアルコール成分でありうる。酸性成分の例には、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸といった芳香族二塩基酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸そしてデカンジカルボン酸といった脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸といった脂環式ジカルボン酸;等が含まれる。一方、アルコール成分の例には、ブタンジオール、ヘキサンジオールといった脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノールといった脂環式ジオール;等が含まれる。これらは、単独で用いても良く、2つ以上の混合物を用いても良い。
【0023】
共重合成分の比率は、それらの種類によって変化するが、生成されるポリマーの融点が210℃から245℃、好ましくは215℃から240℃、さらに好ましくは220℃から235℃、となる比率である。
【0024】
高成形性の有色層16及び透明層18に使用するのに好適な典型的なコポリエステルは、ジカルボン酸成分全体のうち、テレフタル酸の量を82−100%、そして、2,6−ナフタレンジカルボン酸、または、ナフタレンジカルボン酸と1つ以上の他のジカルボン酸との混合物の量を18−0%、で構成される。
【0025】
他のジカルボン酸の説明例としては、イソフタル酸、フタル酸といった芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、そしてデカンジカルボン酸といった脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸といった脂環式ジカルボン酸を含む。これらは、単独で用いても良く、2つ以上の混合物を用いても良い。
【0026】
高成形性の有色層16及び透明層18に使用するのに好適な他の典型的なコポリエステルは、ジカルボン酸成分全体のうち、エチレングリコールの量を82−100%、そして、シクロヘキサンジメタノール、または、シクロヘキサンジメタノールと1つ以上の他のジオールとの混合物の量を18−0%、で構成される。
【0027】
他のジオールの説明例としては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタネジオールそしてヘキサンジオールといった脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノールといった脂環式ジオール;ビスフェノールAといった芳香族ジオール;そして、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールといったポリアルキレングリコール、を含む。これらは、単独で用いても良く、2つ以上の混合物を用いても良い。
【0028】
特に好ましいのは、コポリエステルにおける全てのジカルボン酸の成分がテレフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸からなるとともに、コポリエステルにおける全てのジオール成分がエチレングリコールからなることである。
【0029】
ポリエステルが有色層16または透明層18の作製に用いられる場合には、ポリエステルの固有粘度は約0.52から約0.80、好ましくは0.54から0.70、特に好ましくは0.57から0.65でありうる。固有粘度が非常に低ければ、他の物理的性質が適正であり基板シートのラミネーションが十分に実行されたとしても、フィルムは脆弱になるおそれがある。固有粘度が約0.80を上回るポリマーを使用することによる性能上の不具合はないように見えるが、このようなポリマーはより高価であり、押出機械における処理が一層困難である。本発明の目的に対しては、ポリエステルの固有粘度は、o-クロロフェノールを溶剤として用いて25℃で測定される。
【0030】
有色層16は、例えば製品の視覚的外観を向上するために、粒状添加剤で構成してもよい。不透明な物質を効果的な量でポリマーに混和することにより、層16は実質的に可視光に対して不透性となる不透明体を提供しうる。層16は、例えば二酸化チタンで着色しても良く、この場合には、0.2から1.5の範囲の、より好ましくは0.25から1.25、特に0.35から0.75、そして特別には0.45から0.65の範囲の透過光濃度(TOD)(サクラ濃度計型PDA65,転送方式)を示すことが好ましい。カーボンブラックで着色された場合、着色層16の光濃度は、典型的には著しく高くなる。着色層16のポリマーがポリエステルで構成される場合には、好適な不透明物体は、不溶性樹脂充填剤(incompatible resin filler)、粒状無機充填剤、粒状有機顔料、カーボンブラック、またはこれらの物質の2以上の混合物を含んでいてもよい。
【0031】
「不溶性樹脂」とは、層の押出及び作製の期間に受ける最高温度で、溶解しない、または層を形成するポリマーと実質的に不混和性の、樹脂を意味する。不溶性樹脂の存在により、マイクロボイドが通常発生して、これは、少なくとも別々の独立気泡を所定の割合で含む気泡構造で層が構成されることを意味する。有色層16がポリエステルで構成されている場合には、好適な不溶性樹脂には、ポリイミド及びオレフィンポリマーが含まれていてもよく、特に、有色層16に混和させるために分子中に最大6の炭素原子を含有するモノアルファオレフィン(mono-alpha-olefin)の単独重合体または共重合体が含まれていもよい。好適な材料には、低いまたは高い密度のオレフィン単独重合体、特にポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリ−4−メチルペンテン−1、オレフィン共重合体、特にエチレン−プロピレン共重合体、または、これらの2種以上の混合物、が含まれていてもよい。ランダム共重合体、ブロック共重合体、または、グラフト共重合体も用いられ得る。
【0032】
層16に存在する不溶性樹脂充填剤の量としては、層16のポリマーの重さに対して、2重量%から30重量%の範囲であることが好ましく、3重量%から20重量%であることがより好ましく、特には4重量%から15重量%、そして特別には5重量%から10重量%であることが好ましい。
【0033】
不透明体の有色層16を形成するのに好適な粒状無機充填剤には、一般的な無機顔料や充填剤、そして、アルミナ、シリカ、そしてチタニアといった特に金属または准金属の酸化物、そして、カルシウム及びバリウムの炭酸塩及び硫酸塩といったアルカリ金属塩が含まれる。この粒状無機充填剤は、マイクロボイドが形成される型のもの、または、マイクロボイドが形成されない型のもの、であってもよい。好適な粒状無機充填剤は、均質であり、そして、単独の二酸化チタンや硫酸バリウムといった基本的に単一の充填剤材料または化合物により構成されていてもよい。あるいは、少なくとも所定の割合の添加剤は、異成分から成り、添加された改質成分に関連する主要な添加剤材料であっても良い。例えば、主要な添加剤粒子は、該添加剤が層16のポリマーとの混合度合いを向上または変化させるために、顔料や石けん、物質や他の調整剤を結合する界面活性剤といった表面調整剤で処理されてもよい。
【0034】
有機顔料はまた、着色層16の色付けに用いられてもよく、黒又は白以外の色が要求されているときに特に有用でありうる。このような顔料は当技術分野においてよく知られており、例えば、フタロシアニンやアントラキノンも含む。当技術分野で知られている染料はまた、着色層16の色付けに用いられてもよい。着色層16はまた、当技術分野で良く知られているような、1つ以上の難燃性の添加剤及び/又は紫外線安定剤をも含んでいてもよい。
【0035】
透明層18はまた、成形性を向上させて表面の傷を最小化するために、潤滑剤をも含んでいてもよい。潤滑剤は、有機または無機材料のいずれからなってもよい。無機潤滑剤の例には、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、カルシウム炭酸塩、バリウム硫酸塩、等が含まれ、また、有機潤滑剤の例には、シリコン粒子、ポリテトラフルオロエチレン、オレフィンワックス、等が含まれる。完成したシートのDOIや視覚的外観を損なうおそれのあるフィルム複合体中のピンホールの形成を最小限に抑えるため、そして、表面の曇りや表面粗さを最小限に抑えるために、潤滑剤は、典型的に2.5μmまたはそれ以下の平均粒子直径を有する。
【0036】
接着層14は、フィルム複合体12と基板シート11との接着ボンドを形成できる。典型的な接着層14は、フィルム複合体12における有色層16の表面上に形成される。この複合体は、以下のようにして、実質的に基板シート11に接着される。最初に、層14を軟化させるのに十分な高温ではあるがフィルム複合体12の軟化又は溶融させない程度の温度で、前記フィルム及び/又は基板シートを加熱して、次いで、前記フィルムを金属にゴムロールで挟んで、加圧する。
【0037】
接着層14は、上述した要求に適合する多数の材料のいずれで構成されてもよく、このような材料の多くは、当技術分野で知られており、例えばエチレン酢酸ビニール共重合体がある。本発明の一実施形態においては、接着層14は、ボスティックフィンデリ株式会社(Bostik Findley,Inc.,Middleton,MA)から利用可能なビッテル(Vitel) (登録商標)1200B樹脂、及び/又は、デュポン・オブ・ウィルミントン(DuPont of Wilmington)から利用可能なクリスタル(Crystar)(登録商標)3991樹脂でコーティングした共重合ポリエステル接着剤に基づく溶剤で構成されてもよい。このような接着剤に適用される典型的な溶剤は、テトラヒドロフランとトルエンとの混合物である。
【0038】
本発明の他の実施形態においては、接着層14は、熱接着ポリエステル樹脂、特に、テレフタル酸、イソフタル酸、及び、ヘキサハイドロテレフタル酸(hexahydroterephthalic acid)といった1種以上の二塩基芳香族カルボン酸、そして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及び、ネオペンチルグリコールといった1種以上のグリコールから得られるコポリエステル樹脂で構成されてもよい。接着層14は、テレフタラート含有のポリエステルで構成されていてもよい。好ましいコポリエステルは、テレフタル酸、及び、イソフタル酸及びヘキサハイドロテレフタル酸(hexahydroterephthalic acid)のいずれかまたはいずれも、そして、1種以上のグリコール、好ましくはエチレングリコールに基づくものである。無定形状態において満足できる接着剤の性質を付与できる典型的なコポリエステルには、エチレンテレフタラート及びエチレンイソフタル酸によるものがあり、特に、モル比で60モル%から90モル%のエチレンテレフタラート、及び、対応するモル比で40モル%から10モル%のエチレンイソフタル酸によるものがある。特に好ましいコポリエステルには、70モル%から85モル%のエチレンテレフタラート、及び、対応する30モル%から15モル%のエチレンイソフタル酸によるものがある。例えば、約80モル%のエチレンテレフタラート、及び、約20モル%のエチレンイソフタル酸とによるものがある。
【0039】
本発明によるラミネート構造の作製に使用するためのフィルム複合体の製造工程において、フィルム複合体12と接着層14とを接着支持フィルム複合体(adhesive-bearing film composite)の形態で一緒に提供することが有利でありうる。このような接着支持フィルム複合体(adhesive-bearing film composite)は、特にこの複合体が二軸配向されヒートセット(heatset)されたポリエチレンテレフタラートまたはポリエチレンナフタレートで構成される場合、フィルム複合体12における有色層16の表面上に接着層の溶剤を鋳造や押出をすることで形成されてもよい。
【0040】
有色層16及び透明層18のいずれもが二軸配向されたポリエチレンテレフタラートで形成され、接着層14が上述したコポリエステル樹脂で形成される場合において、接着支持フィルム複合体(adhesive-bearing film composite)は、例えば、米国特許第3、871、941号明細書に広範に記載されたように、1以上の方向に伸張されることによる分子配向やヒートセッティング(heat setting)に従って、多重オリフィスの金型または複合体の共押出を介した多重押出を含む工程によって簡便に作製されてもよい。共押出のための簡便な工程や装置としては、シングルチャネル共押出(single channel coextrusion)として知られ、米国特許第4、165、210号明細書や独国特許第1、115、007号明細書に記載されているものがある。前記方法は、2つの異なる押出機から第1及び第2の2種のポリエステルの流れを同時に押し出し、該2つの流れを押出金型のマニホールドに導入するチューブ内で一体化し、該2種のポリエステルが混合されずに異なる領域の流れを占めるように、金型を介して該2種のポリエステルを層流状態下で一緒に押し出すことにより、フィルム複合体を製造するように構成されている。上述した好ましい接着支持フィルム複合体(adhesive-bearing film composite)において、前記方法は、接着層14、有色層16、そして透明層18を形成する3つのポリエステルの流れを単一のシートで同時に押し出すように構成されてもよい。
【0041】
フィルム複合体におけるポリエチレンテレフタラートの部分の二軸配向は、典型的には78℃から125℃の範囲の温度で、2つの互いに垂直な方向に前記複合体を順に伸張することによりなされ得る。一般に、前記複合体の伸張に適用される状態は、接着層を部分的に結晶化させるように機能し得るし、そして、このような場合には、フィルム複合体のセットを、接着層の結晶溶融温度より高いが、ポリエチレンテレフタラートの部分の結晶溶融温度よりも低い温度での、温度範囲制限下で加熱することが好ましい。その後、高い結晶化度を有色及び透明な部分で維持している間に本質的に無定形の接着層を提供しつつ、前記複合体は自然に又は強制的に冷却される。それ故、伸張操作は、典型的には150℃から250℃の温度範囲となる範囲制限でのヒートセッティング(heat setting)に従う。伸張及びヒートセッティング(heat setting)における簡便な工程は、米国特許第3、107、139号明細書において記載されている。それ故、本発明の一実施形態において、積層構造10は、異なる材料で作製された3つの層で構成されるが一つのシートフィルムで形成するために、共押出により形成されたフィルムで構成されている。
【0042】
耐傷層20は、積層構造10の一部として選択的に形成されてもよい。このような層を使用することによって、作製、移送、及び前記構造の最終使用の期間における表面の損傷を低減しうる。前記層は、約(0.1)μmから約25μmの範囲の厚さを典型的に有してもよい。前記層は、アクリル、ウレタン、ポリエステル、エポキシ、シリコン、又は他の高分子樹脂で構成されてもよく、紫外線硬化、電子線硬化、又は熱硬化(有機溶剤樹脂及び水性系樹脂)といったコーティングやラミネーティング技術における任意の知られた手段による応用や硬化のために策定されてもよい。前記層は、例えばシリカといった無機粒子、及び/又は、例えばワックス及び/又はポリテトラフルオロエチレン分散液といった潤滑添加物を混和してもよい。
【0043】
耐傷層20は、当技術分野において知られている任意の標準的なコーティング工程によって、典型的に透明層18にコーティングされる。このようなコーティング工程としては、例えばグラビアコーティング(ダイレクトコーティング、オフセットコーティング、リバースコーティング)、スロットダイコーティング、ディップコーティング、又は他の方法がある。
【0044】
本発明により所望の高明度の画像性能の特性を付与されたフィルム複合体はまた、メントス他(Mientus et al.)著の米国特許第6、403、005号明細書で記載されているような工程によって、共押出された溶融熱可塑性フィルム材料を鏡面仕上げされた鋳造ロール上に固定することで、獲得され得る。この方法で製造される溶融熱可塑性フィルムは、優れた表面つや仕上げが得られ、縦方向における画像明度に対する横方向における画像明度の比率として、1.3:1から1.0:1の範囲を有する。
【0045】
基板シート11は、アルミニウム、銅、鉄、軟鋼、電気亜鉛めっき鋼又は溶融亜鉛めっき炭素鋼、そしてステンレス鋼を含むがこれらに限定されない多数の金属のいずれであってもよい。基板シート11は、電気製品や他の完成製品の製造で一般に使用されるような金属コイルの形式であってもよく、またはこのような装置または他の完成製品の一部であってもよい。加えて、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート等といったプラスチックシートが使用され得る。
【0046】
基板シート11が例えば金属コイルの場合、積層構造10は、水性または溶剤型の接着剤をフィルム複合体12表面の前記コイル鋼及び/又は有色層16表面に適用し、次いでこの両者を互いに接着することで、形成され得る。このような接着剤に用いて部材を結合するための的確な手段及び製剤は、要素の数に依存する場合によって異なり、そして当技術分野において良く知られた基準に従う特定の状態での必要性によって選択され得る。
【0047】
本発明の一実施形態では、接着層14は、上述した種類のコポリエステルのような熱ボンド材料で構成されてもよく、上述もした接着支持フィルム複合体(adhesive-bearing film composite)の一部として配設されてもよい。基板シート11にこのような構造の適用は、当技術分野で良く知られ、多くのサプライヤーから得られるような、製列した熱ラミネート設備を使用して、実現され得る。このような設備は、典型的に、前記複合体を基板シートに効果的に接着させるために、約140から200℃の範囲の温度で加圧ローラを介して基板シート11及びフィルム複合体の通路を容易する。
【0048】
基板シートにラミネーションをする前に、上述した二軸配向されたポリエステルで構成されたフィルム複合体は、縦方向及び横方向ともに高いDOIを示し、両方の値が典型的に約80以上である、ことが見出されている。より典型的には、このMD値(縦方向のDOI値)は約90以上であり、TD値(横方向のDOI値)は約85以上である。
【0049】
このようなフィルム複合体の基板シート11へのラミネーションでは、得られるパネルは、縦方向及び横方向のいずれにおいても依然として高いDOIを示し、両者の値は典型的に約80以上である。より典型的には、このMD値は約83以上であり、このTD値は約82以上である。さらに、本発明の際だった特徴は、縦方向のDOIと横方向のDOIの比率が1に近い、典型的には約1.3以下となる表面を提供しうる。より典型的には、この比率は約1.15以下である。
【0050】
前記積層構造は、高いDOIを備える完成品を提供する、電気製品の可視表面の少なくとも一部として用いられるように構成されるパネルを形成する。図2は、本発明の他の実施形態における、正面にパネル32を備える食器洗い機30を示す。前記パネル32は、積層構造10を備え、透明層18を外側に配設している。言い換えれば、前記透明層18は、少なくとも前記電気製品の可視表面の少なくとも一部を構成している。本実施形態では、透明層18を最外層である場合を示しているが、上述したように、付加的な耐傷層20を透明層18の頂部に備えていても良い。パネル32は、例えば製品ロゴやその類似物といった、前記積層構造に接続される付加的な機能的又は装飾的な品(図示せず)を構成してもよい。
【0051】
本発明における電気製品は、図2においてそれぞれ上部パネル34及び下部パネル36で示されるような、積層構造を構成する一つ以上のパネルを備えていても良い。前記パネルのいずれにも、例えば図2において上部パネル34上に38及び40で示されるような、制御機器を収容するための開口部が形成されていても良い。加えて、本発明におけるパネルは、例えば、一つの使用される要素(図示せず)における電気製品の正面及び側面の隅部を覆うことで、曲げられ又は一以上の表面を覆うように形成されていても良い。このような構造は、洗濯機やドライヤといった品物に特に好適であり、本発明におけるパネルによって正面だけでなく側面や上面も好ましい良好な完成品が得られる。
【0052】
本発明における他の非限定的な例の好適な電気製品には、冷蔵庫、冷凍庫、電子レンジが含まれる。自動車に使用されるパネルもまた、本発明により提供され得る。装飾仕上げが必要な他の金属表面もまた、本発明により作製され得ることが理解されるであろう。典型的には、本発明によって作製された電気製品及び他の完成製品は、上述したように積層構造に変換させて、曲げ加工、ドリル加工、切断加工のような手段、及び金属加工技術において既知の他の手段により仕上げ形状に変換させた、金属コイルにより形成される。
【0053】
[実施例]
実施例1、2は、ウィルミントン(Wilmington)、デラウエア(DE)のデュポン・テイジン・フィルム(DuPont Teijin Films)社から入手可能な、メリネックス(Melinex)(商標登録)427からのフィルム複合体の区分である。このフィルムは、厚さ72ミクロンの有色層を有し、0.58の固有粘度の均質なポリエステルで構成され、2重量%のカーボンブラックを含有し、厚さ3ミクロンの共押出の透明層を有し、0.58の固有粘度の均質な無添加のポリエステルで構成される。
【0054】
複合体は、デュポン・テイジン・フィルム(DuPont Teijin Films)社から入手可能な、メリネックス(Melinex)(商標登録)3426である。これらの区分は、厚さ48ミクロンの有色層及び、厚さ2ミクロンの共押出の透明層を有し、さらに厚さ2ミクロンのアクリル接触プライマが前記透明層の上を覆っている。DOIの決定は、ASTM法E430−97に従いハンターラボ(Hunterlab)社のドリゲンIIを使用して行った。これらの決定の結果は、表1で与えられる。
【0055】
【表1】

【0056】
実施例1−2及び3−5で使用した同一のロールフィルムからのフィルム複合体のセクションでは、テーブル2で実施例6及び7として示されている積層構造を形成するためのポリエステル接着層を使用して300°Fで加熱したニップローラーで2軸方向のポリエステルフィルムシートの300ミクロンのシートに熱的に積層されている。実施例6は、実施例1及び2で用いたメリネックス427の同一ロールのセクションから準備されている。実施例7は、実施例3−5で使用されたメリネックス3426の同一ロールのセクションで作製されている。これらの積層構造で決定されたDOI値は、表2で示されている。
【0057】
実施例8は、3層フィルム複合体で作製された積層構造である。この有色層は厚さ83ミクロンであり、共押出された二層構造で構成されており、第1のポリエステル層は厚さ42ミクロンで2%のカーボンブラックを含有しており、透明のポリエステル層は厚さ42ミクロンである。共押出された透明層も厚さ42ミクロンであり、無添加の固有粘度0.58のポリマー均質層で構成されている。生成される3層の、二つの透明層の間に黒色層を備える125ミクロンの複合体は、実施例6及び7で300ミクロンのポリエステルシートに熱的に積層されている。
【0058】
実施例9は、有色層が厚さ50ミクロンであり、黒色層及び透明層がそれぞれ厚さ25ミクロンであり、共押出透明層も厚さ25ミクロンである点を除き、実施例8と同様の積層構造である。実施例8及び9は、良好なDOI結果が得られた(表2)。
【0059】
【表2】

【0060】
本発明は特定の実施形態を参照してここに例示及び説明したが、示された詳細説明に本発明を限定する意図ではない。むしろ、本発明から離れることなく、特許請求の範囲と透過な範囲と視点の範囲内で、多様な修正が詳細な説明で行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の典型的な実施形態による、積層構造を備えるパネルの部分斜視図である。
【図2】本発明の典型的な実施形態による、フロントパネルを備える皿洗い機の正面図である。
【符号の説明】
【0062】
10 積層構造
11 基板シート
12 フィルム複合体
14 接着層
16 有色層
18 透明層
20 耐傷層
22 縦方向
24 横方向
30 食器洗い機
32 パネル
34 上部パネル
36 下部パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板シートを備える積層構造を備え、
前記基板シートは、これに接着する二軸配向のフィルム複合体を有し、
前記フィルム複合体は、ポリエステルで構成される透明層に隣接する同サイズの有色ポリエステル層を備え、
前記有色ポリエステル層は基板シートと透明層との間に形成され、積層構造は縦方向及び横方向に前記フィルム複合体に一致する方向を有し;
電気製品パネルの可視表面を形成する前記積層構造は、縦方向の画像の明度が約80より大きく、横方向の画像の明度が約80より大きく、横方向の画像の明度に対する縦方向の画像の明度の比率は1.30より小さい、電気製品パネル。
【請求項2】
前記有色ポリエステル層及び前記透明層のそれぞれが、ポリエチレンテレフタラートを備える、請求項1に記載の電気製品パネル。
【請求項3】
それぞれの前記有色ポリエステル層及び前記透明層は、約210℃から約245℃の溶融点を有するコポリエステルを備える、請求項1に記載の電気製品パネル。
【請求項4】
前記透明層は、平均粒子直径2.5μm以下である潤滑剤を備える、請求項1に記載の電気製品パネル。
【請求項5】
前記有色ポリエステル層は、顔料を備える、請求項1に記載の電気製品パネル。
【請求項6】
前記有色ポリエステル層は、マイクロボイドを備える、請求項1に記載の電気製品パネル。
【請求項7】
前記有色ポリエステル層は、染料を備える、請求項1に記載の電気製品パネル。
【請求項8】
前記有色層と前記基板シートとの間に、これらに隣接して同サイズの接着層をさらに備える、請求項1に記載の電気製品パネル。
【請求項9】
前記接着層は、前記透明層及び前記有色ポリエステル層のいずれのガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有する材料を備える、請求項8に記載の電気製品パネル。
【請求項10】
前記接着層は、約60モル%から約90モル%のエチレンテレフタラートと、これに対応する約40モル%から約10モル%のエチレンイソフタラートとからなる、非晶性コポリエステルを備える、請求項8に記載の電気製品パネル。
【請求項11】
前記透明層は、前記有色ポリエステル層に隣接する第1表面と、該第1表面の反対側に第2表面とを備え、
前記構造は、前記第2表面に隣接して同一サイズの耐傷層をさらに備える、請求項1に記載の電気製品パネル。
【請求項12】
前記基板シートは、金属を備える、請求項1に記載の電気製品パネル。
【請求項13】
前記基板シートは、鋼鉄を備える、請求項1に記載の電気製品パネル。
【請求項14】
前記基板シートは、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された金属を備える、請求項1に記載の電気製品パネル。
【請求項15】
パネルを備える電気製品であり;
該パネルは、基板シートを備える積層構造を備え、
前記基板シートは、これに接着する二軸配向のフィルム複合体を有し、
前記フィルム複合体は、ポリエステルで構成される透明層に隣接する同サイズの有色ポリエステル層を備え、
前記有色ポリエステル層は基板シートと透明層との間に形成され、積層構造は縦方向及び横方向に前記フィルム複合体に一致する方向を有し;
前記電気製品パネルの可視表面を形成する前記積層構造は、縦方向の画像の明度が約80より大きく、横方向の画像の明度が約80より大きく、横方向の画像の明度に対する縦方向の画像の明度の比率は1.30より小さい、電気製品。
【請求項16】
前記有色ポリエステル層及び前記透明層のそれぞれは、ポリエチレンテレフタラートを備える、請求項15に記載の電気製品。
【請求項17】
前記有色ポリエステル層及び前記透明層のそれぞれは、約210℃から約245℃の溶融点を有するコポリエステルを備える、請求項15に記載の電気製品。
【請求項18】
前記透明層は、平均粒子直径が2.5μmより小さい潤滑剤を備える、請求項15に記載の電気製品。
【請求項19】
前記有色ポリエステル層は、顔料を備える、請求項15に記載の電気製品。
【請求項20】
前記有色ポリエステル層は、マイクロボイドを備える、請求項15に記載の電気製品。
【請求項21】
前記有色ポリエステル層は、染料を備える、請求項15に記載の電気製品。
【請求項22】
前記有色層と前記基板シートとの間に、これらに隣接して同サイズの接着層をさらに備える、請求項15に記載の電気製品。
【請求項23】
前記接着層は、前記透明層及び前記有色ポリエステル層のいずれよりも低いガラス転移温度を有する材料を備える、請求項22に記載の電気製品。
【請求項24】
前記接着層は、約60モル%から約90モル%のエチレンテレフタラートと、これに対応する約40モル%から約10モル%のエチレンイソフタラートとからなる、非晶性コポリエステルを備える、請求項22に記載の電気製品。
【請求項25】
前記透明層は、前記有色ポリエステル層に隣接する第1表面と、該第1表面の反対側の第2表面とを備え、
前記構造は、前記第2表面に隣接する同一サイズの耐傷層をさらに備える、請求項15に記載の電気製品。
【請求項26】
前記基板シートは、金属を備える、請求項15に記載の電気製品。
【請求項27】
前記基板シートは、鋼鉄を備える、請求項15に記載の電気製品。
【請求項28】
前記基板シートは、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、及びこれらの組み合わせで構成される群から選択された金属を備える、請求項15に記載の電気製品。
【請求項29】
電気製品を製造する方法であって、該方法は;
基板シートを備え、該基板シートはそこに接着する二軸配向のフィルム複合体を有し、該フィルム複合体は、ポリエステルで構成される透明層に隣接し同一サイズの有色ポリエステル層を備え、該有色ポリエステル層は基板シートと前記透明層の間にあり、前記フィルム複合体に一致する縦方向及び横方向を備える、積層構造を提供するステップと、
前記電気製品の可視表面を備える積層構造を形成するステップとを備え、
前記積層構造は、縦方向の画像の明度が約80より大きく、横方向の画像の明度が約80より大きく、横方向の画像の明度に対する縦方向の画像の明度の比率が1.30より小さい、方法。
【請求項30】
基板シートを備える積層構造を備え、
前記基板シートは、これに接着する二軸配向のフィルム複合体を有し、
前記フィルム複合体は、ポリエステルで構成される透明層に隣接する同サイズの有色ポリエステル層を備え、
前記有色ポリエステル層は基板シートと透明層との間に形成され、積層構造は縦方向及び横方向に前記フィルム複合体に一致する方向を有し;
前記積層構造は、自動車パネルの可視表面を形成し、
前記可視表面を形成する前記積層構造は、縦方向の画像の明度が約80より大きく、横方向の画像の明度が約80より大きく、横方向の画像の明度に対する縦方向の画像の明度の比率は1.30より小さい、自動車パネル。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−511385(P2007−511385A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533244(P2006−533244)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/015822
【国際公開番号】WO2004/106062
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(505077426)デュポン・テイジン・フィルムズ・ユー・エス・リミテッド・パートナーシップ (9)
【Fターム(参考)】