説明

高標的及び低非標的活性を有する有害生物駆除組成物

本発明の実施態様は、選択的な有害生物駆除のための組成物及び方法に関し、ここで、組成物は併用において選択された標的有害生物に対する第一の活性と選択された非標的有害生物に対する第二の活性を有する活性剤を含み、第一の活性が第二の活性よりも大である。本発明の更なる実施態様は、選択的有害生物駆除組成物と低耐性性有害生物駆除組成物を開発する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願とのクロスリファレンス)
本出願は、その全内容が出典明示によりここに援用される2008年7月22日出願の米国仮特許出願第61/082601号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、標的有害生物種の高度に選択的な駆除を提供し、また標的種による耐性発生の可能性を低減しながら、非標的種への影響を最小にする駆除方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
標的及び非標的種双方に対する駆除剤の毒性効果は、LD50値を使用して評価することができる。LD50は、試験動物(例えば、ラット、魚、マウス、ゴキブリ)の集団の50パーセントを死滅させるのに必要とされる用量を表す。LD50が低くなると、駆除薬はより強力になり、少ない量が標的有害生物を死滅させるのに必要とされる、つまり、10mg/kgのLD50値の駆除薬は、100mg/kgのLD50の駆除薬よりも10倍毒性が強い。駆除薬の非標的毒性は、その使用に伴う潜在的な危険の決定補助において重要であり、好ましくは、特定の駆除薬に対する作用態様は、広い意味(脊椎動物/無脊椎動物)及び狭い意味(有害生物の異なった種間)の双方において、非標的種に対するそのLD50が、非標的種に対するものよりも更に高いようなものである。
【0004】
多くの化学的駆除薬は、多かれ少なかれ、それらが駆除しようとしている有害生物に対して選択的な進化圧を作用させる。よって、所定期間を経て、駆除薬の適用は非耐性有害生物を殺し、耐性のものを残すので、有害生物の耐性系統が現れうる。耐性の発生は、耐性対立遺伝子の頻度と性質、有害生物管理策、野生型に対する耐性株の相対的適応性を含む多くの因子に依存する。これは、その多くの集団と短い世代時間が特定の駆除薬に対する耐性の早い発生を生じうるので、特に昆虫について面倒な場合がある。現在、およそ500種の有害な昆虫が一又は複数の一般的な殺虫剤に対して耐性であり、この数は図1に示されるように増加している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施態様は、少なくとも二種の活性剤を有する選択的有害生物駆除組成物において、併用される活性剤が、選択された標的有害生物に対して第一の活性を有し、かつ併用される該活性剤が選択された非標的有害生物に対して第二の活性を有し、第一の活性が第二の活性よりも大である選択的有害生物駆除組成物を提供する。
【0006】
更なる態様では、第一の活性が第二の活性よりも少なくとも2、10、20、50、又は100倍大きい。
【0007】
更なる態様では、第一の活性は、非標的生物に実質的に存在しない少なくとも一つの生物学的標的との組成物の相互作用から生じる。
【0008】
更なる態様では、非標的生物は、脊椎動物及び植物からなる群から選択される。
【0009】
更なる態様では、非標的生物は、脊椎動物であり、第二の活性に対する第一の活性の比は、LD50(脊椎動物)に対するLD50(標的)の比として表され、該比は0.1未満である。
【0010】
更なる態様では、第一の活性は、非標的生物中に存在する少なくとも一つの生物学的標的との組成物の相互作用から生じる。
【0011】
更なる態様では、生物学的標的がGタンパク質共役型受容体である。
【0012】
更なる態様では、Gタンパク質共役型受容体が、チラミン受容体、オクトパミン受容体、嗅覚受容体Or83b、及び嗅覚受容体43aからなる群から選択される。
【0013】
更なる態様では、活性剤は、標的有害生物において相乗的活性を有している。
【0014】
更なる態様では、活性剤は、非標的生物において非相乗的活性又はアンタゴニスト活性を有している。
【0015】
本発明の更なる実施態様は、少なくとも二種の活性剤を含有する組成物に標的有害生物を接触させることを含み、ここで、併用される活性剤は標的有害生物に対して第一の活性を、非標的生物に対して第二の活性を有し、第一の活性が第二の活性より10倍大きい、選択的有害生物駆除方法を提供する。
【0016】
本発明の更なる実施態様は、組成物による選択的駆除のための標的有害生物と、組成物により実質的に影響を受けない非標的生物を選択し;併用される活性剤が標的有害生物内で相補的効果を有する組成物の少なくとも二種の活性剤を同定し;同定される活性剤が非標的生物内で相補的効果を有さないことを確認し;組成物が非標的生物に対して標的有害生物に選択的であることを樹立する工程を含む選択的有害生物駆除組成物を開発する方法を提供する。
【0017】
更なる態様では、相補的効果は、各活性剤の効果と別個に比較したとき合わせた活性剤の相乗効果を含む。
【0018】
更なる態様では、確認工程は、併用される薬剤がアンタゴニスト効果、非相加的効果、及び相加的効果からなる群から選択される効果を非標的生物において有することを確認することを含む。
【0019】
本発明の更なる実施態様は、標的有害生物であって、少なくとも第一及び第二分子標的を有し、分子標的が遺伝子制御下にある標的有害生物を選択し;第一の活性剤が遺伝子制御下で第一の分子標的と相互作用し、第二の活性剤が遺伝子制御下で第二の分子標的と相互作用する少なくとも二種の活性剤を選択し;製剤において該二種の活性剤を組合せ、該製剤中の薬剤が相補的な形で標的有害生物に作用し、個々の標的有害生物における製剤に対する耐性が有害生物の非耐性集団から二つの別個の遺伝子的病変部を必要とする工程を具備する、標的有害生物に対して低耐性の有害生物駆除製剤を開発する方法を提供する。
【0020】
更なる態様では、第一及び第二分子標的は、別個の遺伝子的要素によってコードされ又は制御された二つの別個の分子を含む。
更なる態様では、第一分子標的は、タンパク質をコードする第一の遺伝子的エレメントにより調節され、第二の分子標的は、タンパク質をコードする第二の遺伝子的エレメントによって調節され、二つの別個の遺伝子的病変部が、第一の遺伝子的エレメント中の病変部と第二の遺伝子的エレメントにおける病変部を含む。
【0021】
更なる態様では、第一分子標的は細胞体で、第二の分子標的は細胞体であり、二つの別個の遺伝子的病変部が、第一の遺伝子的エレメント中の病変部と、第二の遺伝子的エレメント中の病変部を含む。
【0022】
更なる態様では、第一及び第二の分子標的は、単一の遺伝子的エレメントによってコードされ又は調節される単一分子の二つの別個の部分を含み、該二つの別個の部分が、二つの別個の部分の各々の耐性型への転換が単一の遺伝子的エレメント内の二つの別個の遺伝子的病変部を必要とするように、互いに所定の距離にある。
【0023】
更なる態様では、相補的な形には別個に作用する各薬剤と比較した相乗効果を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、様々な殺虫剤のクラスに対する昆虫耐性の経時的な発生を示す。
【図2】図2は、試験組成物での処置後のノミの死亡率を示す。
【図3】図3は、試験組成物での処置後のダニの死亡率を示す。
【図4】図4は、野生型及び変異体ショウジョウバエの双方に対する様々な化学物質の死亡パーセントを示す。
【図5】図5は試験組成物の抗寄生虫効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
有用な十分な駆除活性を有する多くの市販の製品は、哺乳動物、魚、家禽、植物、又は他の非標的種に対して毒性又は有害な効果をまた有している。例えば、有機リン系化合物及びカルバメート類のような一般的な殺虫剤は、全てのクラスの動物においてアセチルコリンエステラーゼの活性を阻害する。クロルジメホルム及び関連のホルムアミジン類は、昆虫のオクトパミン受容体に作用することが知られているが、脊椎動物における潜在的心毒性及び動物における発癌性及び異なった昆虫に対する様々な効果のために市場から排除された。よって、駆除薬の選択性、又は他のものへの影響を最小にしながら所定の種を標的とする能力は非常に重要である。本発明の実施態様に係る組成物は、脊椎動物又は植物への影響を最小にしながら標的種の昆虫を選択的に駆除することができる。同様に、実施態様は、非標的無脊椎動物への影響を最小にしながら標的種の昆虫を選択的に駆除することができる。更に、実施態様は、非標的昆虫種への影響を最小にしながら標的種の昆虫を選択的に駆除することができる。
【0026】
ある実施態様では、有害生物駆除剤に含まれる混合物への暴露が、標的生物内の細胞性カルシウムレベルを乱し、及び/又は有害生物駆除剤への暴露が、標的生物の細胞内のサイクリックAMPレベルを乱す。所定の実施態様では、混合物への暴露が、標的生物の嗅覚カスケードの受容体の結合を生じうる。所定の実施態様では、混合物の一又は複数の成分が標的生物の受容体に対してアゴニスト又はアンタゴニストとして作用しうる。所定の混合物は、少なくとも三種の活性成分、又は少なくとも四種の活性成分を含む。他の実施態様では、混合物への暴露は、受容体を標的化することなく細胞性事象を乱しうる。
【0027】
ここで使用される場合、「有害生物」は、その駆除が望ましい任意の生物を意味しうる。有害生物は、例えば、細菌、真菌類、土壌線虫類、動物及びヒトの寄生虫、例えば条虫類、吸虫類、線虫類等、原虫、植物等を含みうる。
ここで使用される場合、「駆除活性(pesticidal)」は、有害生物の死滅化を意味し、例えば、問題となる有害生物のタイプに応じて、抗菌、抗真菌、抗寄生虫、除草性、殺虫性等を意味する。
【0028】
ここで使用される場合、「生物学的標的」は、活性成分による作用が生じせしめられうる任意の生物学的構造又はプロセスであり、例えば器官、組織、細胞、受容体、細胞性又は細胞外分子、プロセス、カスケート/経路等を含む。
【0029】
ここで使用される場合、「受容体」は、例えば神経伝達物質、ホルモン等のような、特定の分子(リガンド)に結合し得、リガンドに対する細胞応答を開始する細胞膜上又は細胞、細胞質又は細胞核内の物質である。
【0030】
ここで使用される場合、「チラミン受容体」は、非脊椎動物由来の任意のチラミン受容体を意味しうる。
【0031】
ここで使用される場合、「昆虫駆除」なる用語は、活性成分の存在に起因する虫除け効果、殺虫効果、又は双方を有することを意味する。
【0032】
ここで使用される場合、「虫除け効果」は、組成物で処理されていないコントロール宿主又は領域よりも組成物で処理された宿主又は領域から多くの昆虫が撃退される効果である。幾つかの実施態様では、虫除け効果は、組成物で処理された宿主又は領域から少なくとも約15%の昆虫が撃退される効果である。幾つかの実施態様では、虫除け効果は、組成物で処理された宿主又は領域から少なくとも約90%の昆虫が撃退される効果である。
【0033】
「殺虫効果」は、組成物での処理が少なくとも約1%の昆虫を死滅させる効果である。この点に関して、組成物のLC1からLC100(致死濃度)又はLD1からLD100(致死量)が殺虫効果を生じる。
【0034】
ここで使用される場合、LD50は、試験動物のある集団の50パーセントを殺すのに必要とされる用量を表す。標的有害生物対非標的のLD50は比として表すことができる。例えば.1という非標的のLD50に対する標的有害生物に対するLD50の比は、標的有害生物に対する効果が非標的種に対する効果の10倍であることを示している。
【0035】
ここで使用される場合、「宿主」は植物、ヒト又は他の動物を意味しうる。
【0036】
ここで使用される場合、「組成物」は、単一及び複数成分の混合物を含む。「組成物」は、混合物の個々の成分又は個々の成分の任意のサブセット、例えば当該分野で知られている様々な方法の何れかによって分離される混合物のフラクションを含みうる。
【0037】
ここで使用される場合、「アンタゴニスト活性」は、成分の混合物の駆除活性が混合物の最も活性な成分の個々の活性より少ない場合に示される。
【0038】
ここで使用される場合、「相加以下の活性(sub-additive activity)」は、成分の混合物の駆除活性が、成分の個々の活性の合計よりも少ないが、混合物の最も活性な成分の個々の活性よりも大きいことを意味する。
【0039】
本発明の実施態様では、「相乗性」は、成分の組合せの特定の特徴であり、成分の組合せの例えば相加効果にのみよる任意のバックグラウンドレベルの亢進よりも大きい活性成分の組合せの測定可能な効果によって示される。相乗性を示すために使用されうる効果は、限定しないが、組成物の忌避効果;組成物の駆除効果;細胞メッセージ又は細胞シグナル、例えばカルシウム、サイクリックAMP等の混乱;及び分子標的の活性又は下流効果の減少を含む。
【0040】
様々な実施態様では、実質的な亢進は、相乗係数として表現され得、ここで、該係数は、完全な混合物の測定効果を、比較組成物、典型的には完全な混合物に見出さされる単一の成分又は成分のサブセットの効果で割った比である。所定の実施態様では、相乗係数は、完全な混合物と比較組成物の濃度差に対して調整されうる。
【0041】
所定の実施態様では、1.1、1.2、1.3、1.4又は1.5の相乗係数が実質的であり、商業的に望ましい場合がある。他の実施態様では、相乗効係数は、限定しないが1.8、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0及び4.5を含む約1.6から約5でありうる。他の実施態様では、相乗係数は、限定しないが10、15、20、25、30、35、40及び45を含む約5から50でありうる。他の実施態様では、相乗係数は、限定しないが50、75、100、125、150、200、250、300、350、400及び450を含む約50から約500又はそれ以上でありうる。500を越える相乗係数もまた本発明の実施態様内であると考えられる。
【0042】
広い範囲の相乗効果が本発明の様々な実施態様において見出すことができるので、相乗係数は与えられた数「よりも大きい」と記載され得、よって下限及び上限値を有する範囲の境界内にあることに必ずしも限定されないことが明示的に留意される。同様に、本発明の幾つかの実施態様では、ある低い相乗係数又は範囲の下端が明示的に排除される。従って、幾つかの実施態様では、相乗効果は、かかる実施態様に対する相乗効果の下限を構成する与えられた数「よりも大きい」ものとして表すことができる。例えば、幾つかの実施態様では、相乗係数は25以上である;かかる実施態様で、25より低い全ての相乗係数は、たとえ実質的であっても、明示的に除外される。
【0043】
ある化学物質及び化合物の組合せを含む組成物を、個々の化学物質及び化合物の効果に対して、少なくとも一の化学物質、及び少なくとも一の化合物又は少なくとも一の化合物の混合物の特定の組合せの効果を比較することによって、組成物の殺虫効果に対する相乗効果について試験することができる。
【0044】
ある実施態様では、本発明は所望の環境特性を有する相乗的有害生物駆除製剤を製造する方法を提供する。該方法は、脊椎動物と接触させて使用して一般に安全であることが知られ又は信じられている候補成分群から成分を選択し;無脊椎動物のGタンパク質共役型受容体への結合について該成分をスクリーニングし(つまり、結合は細胞性カルシウム又はサイクリックAMPの測定可能な破壊を生じる);スクリーニングした成分を少なくとも一種の他のスクリーニングした成分と組み合わせる工程を含みうる。のぞましくは、成分は、併用されて、標的生物に対する効果において相乗性である。受容体は、例えば、チラミン受容体、オクトパミン受容体、嗅覚受容体Or83b、嗅覚受容体43a等を含む昆虫嗅覚カスケードの受容体であり得る。用いることができる他の受容体は、セロトニン受容体、Or22a、Or22b、Gr5a、Gr21a、Gr61a、β−アレスチン受容体、GRK2受容体、チラミンβ−ヒドロキシラーゼ受容体等を含む。
【0045】
特定の組成物の相乗効果を決定するために使用することができる例示的方法は、そのそれぞれが出典明示により全体的にここに援用される次の出願に記載されている:米国特許第7541155号、発明の名称「昆虫駆除組成物及び方法」;米国特許出願第11/086615号、発明の名称「オクトパミン受容体に関連した昆虫駆除組成物及び方法」;米国特許出願第11/365426号、発明の名称「チラミン受容体を含む昆虫駆除組成物及び方法;米国特許出願第11/870385号、発明の名称「昆虫駆除組成物及び方法」;及び米国特許出願第12/009220号、発明の名称「有害生物駆除組成物及び方法」。本発明の実施態様は、少なくとも二種の活性成分を含む組成物を提供することを含む、脊椎動物駆除の方法を提供しうる。望ましくは、少なくとも二種の活性成分は標的無脊椎動物におけるGタンパク質共役型受容体のリガンドであり;無脊椎動物と接触されると、組成物が脊椎動物駆除に相乗性を生じる。
【0046】
このスクリーニングは、チラミン受容体の例を使用して簡潔に記載する。しかしながら、記載されえる方法は、本出願に記載される他の受容体の何れにも当業者によって適合化されるであろう。 例えば、ある実施態様では、チラミン又は他のリガンドに対して天然の親和性を有しているかどうかにかかわらず、Gタンパク質共役型受容体(GPCRs)のような他の受容体は、寄生虫感染を処置するのに有用な組成物をスクリーニングする方法で使用されうる。使用することができる受容体の例は、限定しないが、ガンビアハマダラカ(GAN:EAA07468)、ニセアメリカタバコガ(GAN:Q25188)、ヨトウガ(GAN:AAK14402)、コクヌストモドキ(GAN:XP_970290)、ネッタイシマカ(GAN:EAT41524)、オウシマダニ(GAN:CAA09335);マンソン住血吸虫(GAN:AAF73286);及びマンソン住血吸虫(GAN:AAW21822)を含む。他の実施態様では、核内ホルモン受容体スーパーファミリーの受容体は、寄生虫感染を処置するために有用な組成物をスクリーニングする方法で用いられうる。使用することができる受容体の例は、限定されないが、DAF−2及びDAF−12のような核内受容体のDAFファミリーと類似している寄生虫又は無脊椎動物由来の受容体を含む。他の実施態様では、ショウジョウバエ又は他の無脊椎動物由来の核内受容体タンパク質、例えば、サブファミリー1の核内受容体、E78、E75、DHR3、EcR、及びDHR96;サブファミリー2の核内受容体、例えばUSP、DHR78、HNF4、SVP、TLL、DSF、DHR51、又はDHR83;サブファミリー3の核内受容体、例えばERR、サブファミリー4の核内受容体、例えばDHR38;サブファミリー5の核内受容体、例えばFTZ−Fl又はDHR39;又はサブファミリー6の核内受容体、例えばDHR4を用いることができる。他の実施態様では、ある種のヒト核内受容体に類似の無脊椎動物又は寄生虫核内受容体タンパク質、例えば、サブファミリー1の核内受容体、例えばPPAR、RAR、TR、REV−ERB、ROR、FXR、LXR、VDR、SXR、又はCAR;サブファミリー2の核内受容体、例えばRXR、TR2/TR4、HNF4、COUP−TF、TLX,又はPNR;サブファミリー3の核内受容体、例えばERR、ER、又はMR/PR/AR/GR;サブファミリー4の核内受容体、例えばNURRI/NGFIB;サブファミリー5の核内受容体、例えばLRH/SF1;又はサブファミリー6の核内受容体、例えばGCNFを用いることができる。他の実施態様では、その天然リガンドとして天然に生じるホルモンを有する無脊椎動物又は寄生虫核内受容体タンパク質、例えば1a,25(OH)2−ビタミンD3、17p−エストラジオール、テストステロン、プロゲステロン、コルチゾール、アルドステロン、オールトランスレチノイン酸、3,5,3’−L−トリヨードチロニン、cc−エクジソン、又はブラシノライドを用いることができる。
【0047】
該方法で使用される細胞は、チラミン受容体(TyrR)が形質移入され得、これを発現しうる任意の細胞でありうる。細胞の例には、限定されないが、昆虫細胞、例えばショウジョウバエシュナイダー細胞、ショウジョウバエシュナイダー2細胞(S2細胞)、及びヨウトガ細胞(例えば、Sf9又はSf21);又は哺乳動物細胞、例えばヒト胚性腎臓細胞(HEK−293細胞)、アフリカミドリザル腎臓線維芽細胞(COS−7細胞)、HeLa細胞、及びヒトケラチノサイト細胞(HaCaT細胞)が含まれる。
【0048】
チラミン受容体(TyrR)は、完全長TyrR、TyrRの機能的断片、又はTyrRの機能的変異体でありうる。TyrRの機能的断片は、参照ポリペプチド、つまり、完全長TyrRと比較してアミノ酸残基が欠失されているが、残りのアミノ酸配列がチラミンに対する参照ポリペプチドの結合親和性を保持しているTyrRである。TyrRの機能的変異体は、アミノ酸挿入、アミノ酸欠失、又は保存的アミノ酸置換を含み、チラミンに対する参照ポリペプチドの結合親和性を保持しているTyrRである。TyrRsの例は、限定しないが、キイロショウジョウバエTyrR(GENBANK(登録商標)受託番号(GAN)CAA38565)、トノサマバッタTyrR(GAN:Q25321)、他の無脊椎動物のTyrRs、及び線虫、例えば回虫のTyrRを含む。
【0049】
チラミン受容体は、例えばキイロショウジョウバエ頭部cDNAファージライブラリーから増幅させうる。ファージDNAは、液体培養溶菌液を使用して既知の方法によってこのライブラリーから精製されうる。ショウジョウバエチラミン受容体(TyrR)のオープンリーディングフレームがPCRによって増幅され得、PCR産物が消化され得、TyrRオープンリーディングフレームが既知の方法を使用して発現ベクター中に挿入され得、形質移入されたシュナイダー細胞クローンが調製されうる。
【0050】
チラミン受容体結合/取り込みを実施して、どの形質移入されたクローンが最も高いレベルの機能的に活性なチラミン受容体タンパク質を有しているかを決定することができ、選択されたクローンを増殖させ、液体窒素中に保存することができる。選択されたクローンのアリコートを、全細胞の結合のため、及び動態及びスクリーニング研究のための細胞膜調製のために増殖される。
【0051】
結合研究では、チラミン受容体を形質移入した細胞(約1×10細胞/ml)を複数ウェルプレートの各ウェルで培養し、結合を、H−チラミン及び未標識チラミンを使用して評価する。最大の特異的結合が約5nMのH−チラミンで生じ、未形質移入細胞は約100μMほど高い濃度ではチラミンに応答しない。飽和結合実験を実施してTyrRに対するBmax及びKd値を決定することができる。TyrRに対する他の神経伝達物質リガンド(例えばオクトパミン、ドーパミン、及びセロトニン)の親和性の更なる研究は、チラミン受容体を発現するシュナイダー細胞が、チラミン受容体と相互作用する組成物の研究及びスクリーニングのモデルとして有効であることを示している。
【0052】
二次メッセンジャーcAMPの評価は、既知の方法によるcAMP結合タンパク質に対する内在性cAMP及びH−cAMP間の競合結合に基づきうる。細胞内カルシウムイオン濃度([Ca2+]i)を、既知の方法による蛍光指示薬fura−2のアセトキシメチル(AM)エステルを使用して測定することができる。細胞懸濁液をFura2/AMと共にインキュベートし、ついで細胞をペレット化し再懸濁させうる。[Ca2+]i変化を、試験化学物質の存在及び不在下で分光蛍光光度計で分析することができる。
【0053】
本出願に明示的に記載されたものを含むある種の植物精油での処理は、チラミン受容体発現細胞における細胞内cAMP又はCa2+レベルの変化を生じ、これが、選択的有害生物駆除組成物又は耐性の発生に至る可能性が少ない有害生物駆除組成物として潜在性を有している組成物を評価するためのスクリーニング法となりうる。
【0054】
本発明の選択的有害生物駆除組成物は、その効果が、非標的生物における、スクリーニング方法で使用される受容体、又は密接に関連した受容体の実質的な不存在に依存しうる。例えば、微量アミン受容体、例えばTyrR又はオクトパミン 受容体は脊椎動物には実質的に不存在である。この文脈で、「実質的に不存在」は、仮にあっても、細胞内二次メッセンジャー混乱及び観察できる効果が、受容体を発現する無脊椎動物で観察される濃度で観察される識別可能な効果が観察されないような低濃度で、受容体が存在していることを意味する。あるいは、本発明の選択的有害生物駆除組成物は、上述のスクリーニング法に用いられるタイプの受容体の両方の無脊椎動物における存在にもかかわらず、異なった無脊椎動物に対して異なった効果を示しうる。これらの効果の差は、異なった種における関連受容体のアミノ酸配列の差から、又は無脊椎動物の問題の受容体の異なった発現パターンから生じうる。
【0055】
本発明の実施態様の幾つかの方法では、駆除は標的有害生物又は無脊椎動物の実質的に全ての忌避を含み、またある場合には、駆除は標的有害生物又は無脊椎動物の実質的に全てのノックダウンを含み、他の場合には、駆除は標的有害生物又は無脊椎動物の実質的に全ての死滅を含む。
【0056】
本発明の一又は複数の実施態様の詳細が提供される。この文献に記載された実施態様の修飾、及び他の実施態様は、この文献で提供される情報の研究後には当業者には明らかであろう。この文献で提供される情報、特に記載された例示的実施態様の特定の詳細が、主として理解の明確化のために提供され、不必要な限定がそれから理解されるべきではない。
【0057】
本発明の実施態様は、昆虫を駆除する組成物及びこれらの組成物を製造し、使用する方法を含みうる。本発明のある実施態様は、一又は複数の精油を含みうる。また、好ましい実施態様では、これらの製剤は、一般に安全と見なされる化合物(GRAS化合物)から構成されうる。
【0058】
本発明の実施態様に係る組成物を、液体、懸濁液、エマルジョン、又は固形物として、それぞれに対する一般的な適用技術によって、適用することができる。
【0059】
本発明のある実施態様では、殺虫組成物は、例えば一又は複数の植物精油を含む組成物、例えば表1に列挙された組成物でありうる。表中、「LFO]はライラックフラワーオイルを示し、「BSO」はブラックシードオイルを示す。
【0060】





















【0061】
本発明は、昆虫を駆除するための組成物及びこれらの組成物を使用するための方法を含む。本発明は、一又は複数の植物精油を含む昆虫駆除のための組成物及びこれらの組成物を使用するための方法を含む。併用されると植物精油は相乗的効果を有しうる。本発明の組成物は、以下に列挙される次の油の何れか、又はその混合物を含みうる:
trans−アネトール ライムオイル ピペロナール
ブラックシードオイル(BSO) d−リモネン ピペロニル
カンフェン アントラニル酸リナリル 酢酸ピペロニル
カルバクロール リナロール ピペロニルアルコール
d−カルボン リンデノール ピペロニルアミン
1−カルボン クエン酸メチル キノン
1,8−シネオール ジヒドロジャスモン酸メチル サビネン
p−シメン ミルセン α−テルピネン
フタル酸ジエチル ペリリルアルコール テルピネン900
オイゲノール フェニルアセトアルデヒド α−テルピネオール
ゲラニオール フェニルエチルアルコール γ−テルピネオール
クエン酸イソプロピル プロピオン酸フェニルエチル 2-tert-ブチル-p-キノン
レモングラスオイル α−ピネン α−ツジョン
ライラックフラワーオイル(LFO) β−ピネン タイムオイル
チモール
【0062】
本発明の組成物は、以下に列挙される次の油の何れか、又はその混合物を含みうる:
硫化アリル ジヒドロタゲトン ミルテナール
三硫化アリル β−エレメン 酢酸ネラルジメチル(Neraldimethyl)
二硫化アリル γ−エレメン ネロリドール
アネトール エルモール(Elmol) ノナノン
アルテミシアアルコール エストラゴール 1−オクタノール
アセテート 2−エチル−2−ヘキセン−l−オール Eオシメノン
酢酸ベンジル 酢酸オイゲノール Zオシメノン
ベンジルアルコール α−ファルネセン 3−オクタノン
ベルガモテン (Z,E)−α−ファルネセン オシメン
β−ビザボレン E−β−ファルネセン 酢酸オクチル
ビサボレンオキサイド フェンコン ペパーミントオイル
α−ビザボロール フォルスコリン ペルメトリン
ビザボロールオキサイド フラノジエン α−フェランドレン
ビザボロールオキサイドβ フラノオイデスマ−1,3−ジエン β−フェランドレン
酢酸ボルニル フラノオイデスマ−1,4−ジエン ピペロナール
β−ブルボネン フラノゲルマクラ1,10(15)−ジエン−6−オン プレナール
α−カジノール フラノセスキテルペン プロパルギット
カンフェン ゲラニオール プレゴン
α−カンフォレン 酢酸ゲラニオール 除虫菊
α−カンフォレンアルデヒド ゲルマクレンD サビネン
カンファー ゲルマクレンB 酢酸サビニル
カルバリル α−グルジュネン α−サンタレン
カリオフィレンオキサイド α−フムレン サンタロール
カムアズレン α−イオノン サティベン(Sativen)
クリサンテム酸エステル β−イオノン δ−セリネン
菊酸 イソボルネオール β−セスキフェランドレン
クリサンテミルアルコール イソフラノゲルマクレン スパツレノール
シンナムアルデヒド イソ−メントン タゲトン
シス−ベルベノール イソ−プレゴン タモキシフェン
シトラールA ジャスモン テブフェノジド
シトラールB シス−ジャスモン α−テルピネン
シトロネラール ラバンダスティン(Lavandustin)A 4−テルピネオール
シトロネロール ライラックフラワーオイル α−テルピノレン
酢酸シトロネリル リモネン 酢酸α−テルピニル
ギ酸シトロネリル リナロール テトラヒドロフルフリルアルコール
α−コパエン 酢酸リナリル α−ツジェン
ハッカ油 リンデストレン チミルメチルエーテル
β−コストール メチル−アリル−トリスルフィド trans−カリオフィレン
クリプトン メントール trans−ピノカルベオール
クルゼレノン 2−メトキシフラノジエン trans−ベルベノール
d−カルボン メントン ベルベノン
l−カルボン 酢酸メンチル ヨモギアルコール
ダバノン サリチル酸メチル ジンギベレン
ジアリルテトラスルフィド ケイ皮酸メチル
ジヒドロピロクルゼレノン サリチル酸メンチル
【0063】
一を越える油を含む組成物において、各油は、組成物混合物の重量の約1%から約99%を構成しうる。例えば、本発明の一組成物は、約1%のチモール及び約99%のゲラニオールを含む。場合によっては、組成物は、非揮発性の無臭の植物油である固定油を更に含みうる。例えば、組成物は、以下に列挙された次の固定油の一又は複数を含みうる:
ヒマシ油 鉱油 ベニバナ油
コーン油 オリーブ油 ゴマ油
クミン油 ピーナッツ油 大豆油 キャノーラ油
【0064】
例えば、本発明の一組成物は、約1%のチモール、約50%のゲラニオール及び約49%の鉱油を含む。更に、これらの組成物は、例えばタイムオイル、ゲラニオール、レモングラスオイル、ブラックシードオイル、ライムオイル、オイゲノール、ヒマシ油、及びベニバナ油のような、一般に安全と見なされる化合物(GRAS化合物)から構成されうると考えられる。
【0065】
本発明の実施態様は、また酵素カスケード阻害剤、例えばMAPK細胞外シグナル伝達調節キナーゼ(ERK)キナーゼ(MEK)の阻害剤であるPD98059を含みうる。
【0066】
本発明の幾つかの実施態様は、分散性顆粒、例えばDGライト(TM)等を含みうる。
【0067】
本発明の幾つかの実施態様は、スキンクリーム及び製剤、例えばCAR−01−097、硬化Cresmer RH40等を含みうる。
【0068】
組成物がライラックフラワーオイル(LFO)を含むある種の実施態様では、LFOを次の化合物の一又は複数に置き換えることができる:テトラヒドロリナロール、エチルリナロール、ヘリオトロピン、ヘジオン、ハーコリンD、及びクエン酸トリエチル。組成物がLFOを含むある種の実施態様では、LFOを次の化合物の混合物に置き換えることができる:ミリスチン酸イソプロピル、テトラヒドロリナロールFCC、リナロール、ゲラニオールファインFCC、ピペロナール(アルデヒド)、及びバニリン。組成物がLFOを含むある種の実施態様では、LFOを次の化合物の混合物に置き換えることができる:ミリスチン酸イソプロピル、テトラヒドロリナロール、リナロール、ゲラニオール、ピペロナール(アルデヒド)、バニリン、サリチル酸メチル、及びD−リモネン。
【0069】
組成物がブラックシードオイル(BSO)を含むある種の実施態様では、BSOを次の化合物の一又は複数に置き換えることができる:α−ツジェン;α−ピネン;β−ピネン;p−シメン;リモネン;及びtert−ブチル−p−ベンゾキノン。
【0070】
組成物がタイムオイルを含むある種の実施態様では、タイムオイルを次の化合物の一又は複数に置き換えることができる:チモール、α−ツジョン;α−ピネン、カンフェン、β−ピネン、p−シメン、α−テルピネン、リナロール、ボルネオール、β−カリオフィレン、及びカルバクロール。本発明の例示的組成物を調製するために使用される化合物は、例えば次の供給源から得ることができる:Millennium Chemicals社(Jacksonville, FL)、Ungerer社(Lincoln Park, NJ)、SAFC(Milwaukee, WI)、及びIFF社(Hazlet、NJ)。
【0071】
幾つかの組成物の実施態様では、各々約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%の純度を有している化合物を含むことが望ましい場合がある。例えば、ゲラニオールを含む組成物の幾つかの実施態様では、少なくとも約60%、85%又は95%の純度のゲラニオールを含めることが望ましい場合がある。幾つかの実施態様では、特定のタイプのゲラニオールを含むことが望ましい場合がある。例えば、幾つかの実施態様では、組成物は、ゲラニオール60、ゲラニオール85又はゲラニオール95を含みうる。ゲラニオールがゲラニオール60、ゲラニオール85又はゲラニオール95として得られる場合、油の40パーセント、15パーセント又は5パーセントがネロールでありうる。ネロールは、バラ油、橙花油及びラベンダー油から抽出されうるモノテルペン(C1018O)である。本発明の実施態様は、かかる製剤に通常使用される当該技術分野において認められている成分を含みうる。これらの成分は、例えば消泡剤、抗微生物剤、抗酸化剤、抗再析剤、漂白剤、着色剤、乳化剤、酵素、脂肪、蛍光物質、殺真菌剤、ヒドロトロープ、湿潤剤、蛍光増白剤、香料担体、香料、防腐剤、タンパク質、シリコーン類、防汚剤、可溶化剤、糖誘導体、サンスクリーン、界面活性剤、ビタミンワックス等を含みうる。
【0072】
ある実施態様では、本発明の実施態様は、他のアジュバント又は改変剤、例えば一又は複数の治療的又は化粧品的に活性な成分をまた含有しうる。本発明の組成物に有用な治療的又は化粧品的に活性な成分の例は、例えば殺真菌剤、サンスクリーン剤、日光遮蔽剤、ビタミン、サンタン剤、植物エキス、抗炎症剤、抗酸化剤、ラジカル除去剤、レチノイド、α-ヒドロキシ酸、エモリエント剤、消毒剤、抗生物質、抗菌剤、抗ヒスタミン剤等を含み得、望まれる治療的又は化粧品的な結果を達成するために有効な量で存在しうる。
【0073】
幾つかの実施態様では、この発明の組成物は、抗酸化剤として機能しうる一又は複数の物質、例えば還元剤及びフリーラジカルスカベンジャーを含みうる。抗酸化剤として機能しうる適切な物質は、例えばアセチルシステイン、アスコルビン酸、t−ブチルヒドロキノン、システイン、ジアミルヒドロキノン、エリソルビン酸、フェルラ酸、ヒドロキノン、p-ヒドロキシアニソール、硫酸ヒドロキシルアミン、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビルリン酸マグネシウム、オクトクリレン、フロログルシノール、アスコルビルトコフェリルリン酸カリウム、亜硫酸カリウム、ルチン、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオジグリコール、チオジグリコールアミド、チオグリコール酸、チオサリチル酸、トコフェロール、酢酸トコフェロール、リノール酸トコフェリル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)等を含みうる。
【0074】
本発明の実施態様は、キレート剤として機能して金属イオンと錯化しうる一又は複数の材料をまた含みうる。この作用は、製剤化した組成物の安定性又は外観に対する悪影響を防止する目的で金属イオンを不活化させるのに役立ちうる。この発明の実施態様において使用するのに適したキレート剤は、例えばアミノトリメチレンホスホン酸、βアラニン二酢酸、EDTA二ナトリウムカルシウム、クエン酸、シクロデキストリン、シクロヘキサンジアミン四酢酸、クエン酸二アンモニウム、EDTA二アンモニウム、EDTA二カリウム、アザシクロヘプタンジホスホン酸二ナトリウム、EDTA二ナトリウム、ピロリン酸二ナトリウム、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、グルコン酸、HEDTA(ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸)、メチルシクロデキストリン、三リン酸五カリウム、アミノトリメチレンホスホン酸五ナトリウム、三リン酸五ナトリウム、ペンテト酸、フィチン酸、クエン酸カリウム、グルコン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸ナトリウム、ジヒドロキシエチルグリシン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、フィチン酸ナトリウム、トリエタノールアミン(「TEA」)-EDTA、TEA−ポリホスフェート、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ピロリン酸四カリウム、EDTA四ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、EDTA三カリウム、EDTA三ナトリウム、HEDTA三ナトリウム、リン酸三ナトリウム等を含みうる。
【0075】
本発明の実施態様はまた湿潤剤として機能しうる一又は複数の材料を含みうる。湿潤剤は使用中に水分喪失を遅延させるために組成物に加えられ、その効果は一般にはその中に吸湿性材料が存在することによって達成される。
【0076】
次の表(表2)は本発明の実施態様の例示的組成物を提供する:







【0077】
また、上記リストの成分の何れかを組み合わせた実施態様が特に考えられるが、但し、該成分は表3の行に示された特定の成分の組合せを何れも含まない。更に、表1に列挙された成分の何れかを組み合わせた実施態様が特に考えられるが、但し、該成分は表3の行に示された特定の成分の組合せを何れも含まない。更に、表1の混合物1−126の何れか一つに列挙された成分の何れかを組み合わせた実施態様が特に考えられるが、但し、該成分は表3の行に示された特定の成分の組合せを何れも含まない。最後に、更に、表2に列挙された成分の何れかを組み合わせた実施態様が特に考えられるが、但し、該成分は表3の行に示された特定の成分の組合せを何れも含まない。よって、例えば、これらの成分の何れかを組み合わせた実施態様が考えられるが、但し、該成分はα-テルピネオール又は除虫菊を含まない。
【0078】

【0079】
幾つかの他の実施態様では、各化合物は、組成物の重量(wt/wt%)又は体積(vol/vol%)で約1%から約99%を構成しうる。例えば、本発明の一組成物は、約2%のα-ピネンと約98%のD−リモネンを含む。ここで使用される場合、化合物の重量又は体積によるパーセント量は、化合物の相対量を意味するものと理解されなければならない。しかして、例えば、7%のリナロール、35%のチモール、4%のα‐ピネン、30%のパラ-シメン、及び24%の大豆油(vol/vol%)を含む組成物は、それぞれ(体積で)7対35対4対30対24の比のリナロール、チモール、α‐ピネン、パラ-シメン、及び大豆油を含むということができる。しかして、一の化合物が組成物から除去され、又は更なる化合物もしくは他の成分が組成物に加えられる場合、残りの化合物は同じ相対量で提供されうることが意図される。例えば大豆油が例示的な組成物から除去されれば、得られる組成物はそれぞれ(体積で)7対35対4対40のリナロール、チモール、α‐ピネン、パラ-シメンを含むであろう。この結果として生じる組成物は、9.21%のリナロール、46.05%のチモール、5.26%のα‐ピネン、及び39.48%のパラ-シメン(vol/vol%)を含む。他の例では、サフラワーオイルが元の組成物に加えられて40%(vol/vol)のサフラワーオイルを含む最終組成物が得られるならば、結果として生じる組成物は4.2%のリナロール、21%のチモール、2.4%のα‐ピネン、18%のパラ-シメン、14.4%の大豆油、及び40%のベニバナ油(vol/vol%)を含むであろう。当業者ならば体積百分率は物質の既知の又は測定された比重に基づいて重量百分率に容易に変換されることを理解しているであろう。
【0080】
ある実施態様では、化合物の天然に生じる形態又は合成の形態を含むことが望ましい場合がある。ある例示的な組成物においては、米国食品化学物質規格(FCC)を満たすことが示されている化合物、例えばゲラニオール・ファインFCC又はテトラヒドロリナロールFCCを含めることが望ましい場合があり、これらの化合物は例えばミレニアム・ケミカルズ社から得ることができる。
【0081】
ある実施態様では、ここに記載された昆虫駆除混合物を、ピレスロイド化合物、ニトログアニジン化合物又はクロロニコチニル化合物のような合成殺虫剤と組み合わせることが好ましい場合がある。例えば、ある実施態様では、混合物をデルタメトリン、クロチアニジン又はイミダクロプリド、又はそれらの組合せと組み合わせることが望ましい場合がある。デルタメトリンは例えばAgrEvoエンバイロンメンタルヘルス社(Montvale, NJ)から入手でき、クロチアニジン及びイミダクロプリドはBayer・CropScience・LP(Research Triangle Park, North Carolina)から入手できる。
【0082】
植物由来の化合物の少なくとも一の混合物を含む本発明の実施態様では、植物由来の化合物は、例えば高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析(MS)、ガスクロマトグラフィー等を使用してその正確な化学組成について試験することができる。
【0083】
「約」又は「およそ」なる用語は、当業者によって決定される特定の値に対する許容可能な誤差範囲内であることを意味し、これは、部分的には値が如何にして測定されるか決定されるか、つまり、測定システムの限界、つまり例えば医薬製剤のような特定の目的に必要とされる精度に依存する。例えば、「約」は、当該分野の実務によれば、1以内又は1以上の標準偏差を意味しうる。あるいは、「約」は、与えられた値の20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%まで、より好ましくは更に1%までの範囲を意味しうる。あるいは、特に生物系又は過程に関して、該用語は、値の好ましくは5倍内、より好ましくは2倍内の桁数内を意味しうる。特定の値が出願及び特許請求の範囲に記載されている場合、別段の記載がない限り、「約」なる用語は特定の値に対する許容可能な誤差範囲内を意味する。
【0084】
ここで使用される「実質的」なる用語は、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも約99%、例えば少なくとも約99.9%を意味する。幾つかの実施態様では、「実質的」なる用語は、完全に又は約100%を意味しうる。
【0085】
ここで使用される「実質的に影響されない」なる用語は、参照生物、例えば標的有害生物がこのような効果を示す用量レベルで悪い影響を示さないことを意味する。
【0086】
「相補的効果」なる用語は、相乗効果を含む。
【0087】
本発明の実施態様は、例えば「上質(Superior)オイル」、「高度に精製されたオイル」等のような少なくとも一種の油を含みうる。
【0088】
動物、ヒト又は非ヒトの場合、宿主は、経口的に送達される組成物の製剤を使用して直接的に処理されうる。例えば、組成物は液体カプセル内に封入され消化されうる。
【0089】
ある領域は、本発明の組成物によって、例えば、噴霧製剤、例えばエアゾール又はポンプ噴霧、又は燃焼製剤、例えばロウソク又は香料含有組成物の片等を用いて、処理することができる。もちろん、様々な処理方法を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、使用することができる。例えば組成物は、家庭用品、例えば、空気清浄機(昆虫忌避物質が、例えば電気的に又は燃焼による加熱時に放出される加熱空気浄化機を含む);硬表面クリーナー;又はランドリー製品(例えば洗濯用洗浄剤含有組成物、コンディショナー)等に含めることができる。
【0090】
ある実施態様では、害虫駆除組成物は、組成物への耐性の発生を遅延させ又は防止しながら標的種の害虫を選択的に駆除することができる。急性毒性の殺虫剤に対する害虫における耐性の発生は、一般に、殺虫剤に対して生存しうる個体の集団における選択によって生じる。それは事前適応的であり、変異的影響ではない。これは、それが遺伝的形質であることを意味している。殆どの市販の殺虫剤は、変異原性に乏しいように設計され、その使用は、遺伝子的改変をもたらすものではないが、事前適応した(つまり、耐性の)個体の生存を許容する強い化学的選択(高用量、高毒性)を生じる。種は行動的に(致死量への暴露を避けるように行動する)又は生理学的に(正常に致死量に対して生存する方法を生じせしめることによって)耐性になりうる。
【0091】
生理学的耐性が生じうる多くの異なった機序が存在する。機序は、(角質を通過する殺虫剤の)浸透の減少、標的部位耐性(つまり、標的部位が殺虫剤によりもはや影響をうけない)、(エステラーゼ、オキシダーゼ、又はグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)のレベル亢進又は活性改変の結果として除薬が、標的部位に達する前に解毒されるような)代謝的解毒の増加、駆除薬の隔離(つまり、有害ではない体内に保存される)及び消化された駆除薬の排泄の増加可能性を含みうる。害虫の集団では、耐性の全体的な発現を大きく生じせしめるのはしばしば要因の組合せである。
【0092】
本発明の実施態様は、これらの耐性機序を多くの方式で緩和しうる。本発明のある実施態様では、害虫駆除組成物が嗅覚受容体を介して標的に達することができるので、角質浸透は効果的な害虫駆除に必要ではない。
【0093】
加えて、本発明の組成物及びその成分は標的種への即座の細胞性効果を生じ得、よって増加した分泌又は隔離を緩和する。
【0094】
ある実施態様では、本発明のある実施態様の組成物は、組成物の成分が受容体リガンドアナログとして作用しうるので、酵素的分解に耐性である。他の実施態様では、本発明の組成物は、複数の標的部位に作用し得、よって、任意の単一の標的部位への選択圧を減少させ、よって標的有害生物における耐性発生の機会を最小にする。
【0095】
例えば、本発明の実施態様の低耐性有害生物駆除組成物が作用する複数の標的は、二以上の受容体又は他の分子標的に同時に作用する。これらは、例えばチラミン受容体、オクトパミン受容体、嗅覚受容体O83b、嗅覚受容体43a、セロトニン受容体、Or22a、Or22b、GrSa、Gr21a、Gr61a、β−アレスチン受容体、GRK2受容体、チラミンβ−ヒドロキシラーゼ受容体、DAF−2、DAF−12、E78、E75、DHR3、EcR、DHR96、USP5 DHR78、HNF4、SVP、TLL、DSF、DHR51、DHR83;ERR、DHR38;FTZ−Fl、DHR39;DHR4、PPAR、RAR、TR、REV−ERB、ROR、FXR、LXR、VDR、SXR、CAR;RXR、TR2/TR4、HNF4、COUP−TF、TLX、PNR;ERR、ER、MR/PR/AR/GR、NURRI/NGFIB、LRH/SF1、及びGCNFを含む。
【0096】
他の実施態様では、標的は、その天然リガンドとして天然に生じるホルモン、例えばIa,25(OH)2−ビタミンD3、17p−エストラジオール、テストテスロン、プロゲステロン、コルチゾール、アルドステロン、オール−トランスレチノイン酸、3,5,3’−L−トリヨードチロニン、cc−エクジソン、又はブラシノライドをとりわけ有する無脊椎動物又は寄生虫核内受容体タンパク質を含みうる。
【0097】
本発明の実施態様が作用する他の標的は、シアリダーゼ、セリンリッチ赤痢アメーバタンパク質(SREHP)、アメーバ性ガラクトース特異的レクチン、ガラクトース/N−アセチル−D−ガラクトサミン阻害性レクチン(Gal−レクチン)、KERPl、ピルビン酸リン酸ジキナーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、及び140kDaFN結合分子(EhFNR)(全て例えば赤痢アメーバ及び他の生物に見出されたもの);オーロラキナーゼ、α14−Giardin(アネキシンEl)、ダイナミン関連タンパク質(G1DRP)、ニトロレダクターゼ(GlNRl)、及びUDP−N−アセチルグルコサミン4’−エピメラーゼ(全て例えばランブル鞭毛虫及び他の生物に見出されたもの);CM250(例えばCryptosporidium muris及び他の生物に見出されたもの);トロンボスポンジン関連タンパク質CpMICl(CpTSP8)、p30、及びCpal35(全て例えばCryptosporidium parvum及び他の生物に見出されたもの);TcRBP19、モノクローナル抗体3F6により定まるgp82、TcPINl、及びメタカスパーゼTcMCA3及びTcMCAS(全て例えばTrypanosomatidae cruzi及び他の生物に見出されたもの);OP−Tb(全て例えばLeishmania brucei及び他の生物に見出されたもの)、主要表面プロテアーゼ(MSP)、UDP−ガラクトピラノースムターゼ(GLF)、及び表面メタロプロテアーゼ(leishmanolysin)(例えばLeishmania spp.に見出されたもの);rhoptryタンパク質(ROPs)、MIC2、アシル担体タンパク質(ACP)(全て例えばToxoplasma gondii及び他の生物に見出されたもの);トロンボスポンジン関連スポロゾイトタンパク質(TRSP)、スポロゾイト周囲タンパク質(CSP)、及びダッフィ結合様赤血球結合タンパク質(DBL−EBP)(例えばPlasmodium spp.に見出されたもの);トロンボスポンジン関連接着タンパク質(TRAPs)(例えばBabesiaに見出されたもの);システインプロテアーゼ(CPs)及びAP65(例えばTrichomonas vaginalis及び他の生物に見出されたもの);Ste20グループセリン/スレオニンキナーゼ(例えばSchistosoma spp.に見出されたもの);条虫接着ファミリー(TAF)(例えばTaenia spp.に見出されたもの);フロチリン−1(例えばEimeria spp.に見出されるもの);排出性分泌性産物(ESP)(例えばFasciola spp.に見出されるもの);細胞倍弱毒性タンパク質(avrs)(例えばCladosporium spp.に見出されたもの);pH応答性PacC/RimlOl転写調節因子、ClaSSDl、及びSTE12様遺伝子(例えばColletotrichum spp.に見出されたもの);NcAMAl(例えばNeospora spp.に見出されたもの);ヌクレオシド三リン酸ヒドロラーゼ(NTPase)(SnNTPl)(例えばSarcocystis spp.に見出されたもの);ferl、fer2、及びbizl(例えばUstilago maydisに見出されたもの);snodprotlファミリー(例えば、MSPl)及びABCトランスポーター(ABCl)(例えば、Magnaporthe griseaに見出されるもの);分泌リパーゼ(FGLl)及びデオキシニバレノール生合成に関与する標的(TRI14,TRIM)(例えばFusarium spp.に見出されるもの);及び細胞外ヒドロラーゼ(例えば、エンドポリガラクツロナーゼP2c)、gliP、及びAsp−ヘモリジン(例えばAspergillus spp.に見出されるもの)を含む。これらの標的に関する更なる情報は、その全体が出典明示によりここに援用される国際特許出願第PCT/US08/088342号に見出すこそができる。
【0098】
本発明の実施態様が作用する他の標的は、以下の表4に示した受容体及び他の分子標的を含む。該表において、a、b及びgはそれぞれギリシア文字α、β及びγに対応する。




【0099】
本発明を詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲に定めた発明の範囲を逸脱しないで変更、変形及び均等な実施態様が可能であることは明らかであろう。更に、本開示の全ての実施例は非限定的な実施例として提供されることが理解されなければならない。
【実施例】
【0100】
本発明を更に例証するために次の非限定的実施例が提供される。以下の実施例に開示された技術は、当業者が発明の実施において良好に機能することを見出したアプローチであり、よってその実施の態様の例を構成すると考えられると当業者には理解されなければならない。しかしながら、当業者は、本開示に鑑みて、多くの変更を開示された特定の実施態様においてなすことができ、本発明の精神及び範囲から逸脱しないで類似又は同様の結果をなお得ることができることを理解するであろう。
【0101】
実施例1
昆虫駆除組成物を、次に従って調製した:

【0102】
コラーゲン膜(1000sq.ft当たり1ガロン)へ様々な濃度の組成物を添加し、ついで膜の上にノミを配する(n=ぞれぞれ5匹のノミを3組)ことにより、ノミに対する昆虫駆除の潜在性について組成物を試験した。ノミ死亡率を図2に示した時点で測定した。
【0103】
次に、コラーゲン膜(1000sq.ft当たり1ガロン)へ様々な濃度の組成物を添加し、ついで膜の上にノミを配する(n=ぞれぞれ5匹のダニを3組)ことにより、ダニに対する昆虫駆除の潜在性について組成物を試験した。ダニ死亡率を図3に示した時点で測定した。
【0104】
データは、ノミに対する死亡率パーセントは30分の時点でのダニの死亡率パーセントより500%高かったので、試験組成物の選択性を反映している。
【0105】
実施例2
(野生型ショウジョウバエに対して決定した)試験した化学物質のLD50値は野生型及びチラミン受容体変異体(TyrRneo30)株に対して局所的に適用された。死亡率は、処理後24時間に決定された。データは、3組の試験の平均で、1組当たり5匹のハエであった。この実験は5回繰り返した。
【0106】
データ(図4)は、化学物質がチラミン受容体の変異型を発現するショウジョウバエに影響を及ぼさなかったので、チモール及びカルバクロール試験化学物質の選択性を示している。
【0107】
実施例3
寄生虫駆除試験組成物を表1に従って調製した。
マウスを、様々な用量レベルで様々な時間の間、試験組成物で処理した(図5を参照)。簡単に述べると、試験組成物を、3日又は3週の何れかの期間の間、様々な量で(1、10、又は100mg/kg体重)マウスに投与し、ついで各動物にH.nanaの200の生存卵を感染させた。感染後の2週間のインキュベーション期間中に、動物を様々な試験量の混合物組成物で処理し続けた。感染後三週目の間に、処理し感染させたマウスの糞を調べ、ついで三週目の終わりに屠殺して治癒率を確認した。バックグラウンド感染数は、未処置の動物にH.nanaの200の生存卵を感染させることにより樹立した。
【0108】
得られたデータは、H.nana寄生虫に対する組成物の効能にかかわらず、血液、糞便稠度、水取り込みの変化、食物取り込みの変化、又は体重変化に関して処理及び未処理動物間に有意な差はなかったことを示している。更に、何れの感染/処理動物においても内出血は見られなかったし、処理及び未処理動物間で肝臓又は腎臓機能に如何なる有意な差異はなかった。このデータは、寄生虫に対する組成物の効能をまた示しながら脊椎動物に対する組成物の安全性を証明している。
【0109】
実施例4
連邦食品医薬品化粧品法(FDCA)の食物添加物改正が1958年に実施されたとき、
長い使用歴があるある種の食品添加物が、市場導入前評価及び食品添加物に必要とされる承認過程から適用除外された。このような化合物は、その意図された使用条件下で、一般に安全と見なされる化合物(GRAS化合物)と標識された。しかしながら、任意の食品添加物は、(科学的トレーニング及び経験から資格のある)科学的専門家の間でその意図される使用条件下で一般に安全であると認識されている限り、GRASであると考えることができる。
【0110】
FDAは、21CFRのパート182、184、及び186にGRASと考える化合物を公式に列挙している。680を越える物質が与えられている。しかしながら、リストは全てのGRAS物質を含んではいない。FDAは、全てのそのような物品を列挙することは現実的ではないことを認識しており、それがGRASであると考えることができる化合物の一部に過ぎないことを強調している。例えば、これらの680+の化合物に加えて、フレーバー・エキス製造者会(「FEMA」)は独立して2000の化合物をGRASと認めた。FDAは、FEMAのGRASレビュープロセスをFDCAで定めた基準と一致していることを認めており、FEMAのリストを、GRASフレーバー剤の実質的に公式のFDA承認リストとして本質的に採用している。21CFRパート182、184、及び186に列挙された成分及びFEMAのGRASリスト3から24に列挙されたものが本発明の実施態様での使用に考えられ、その文献が出典明示によりここに援用される。
【0111】
例えば、本発明の一組成物は、約1%のチモール、約50%のゲラニオール及び約49%の鉱油を含む。また、これらの組成物は、一般的に安全とみなされる(GRAS)化合物、例えば、タイムオイル、ゲラニオール、レモングラスオイル、ライラックフラワーオイル、ブラックシードオイル、ライムオイル、オイゲノール、ヒマシ油、鉱油、及びベニバナ油から構成されうると考えられる。
【0112】
実施例5
キャベツの葉(Brassica oleracea)は、所望の濃度の表1及び2に記載されたものから選択される試験組成物中に浸漬することによって処理し、葉がまだ湿っている間にそれらの上にアブラナの甲虫幼虫(Phaedon cochleariae)を配する。
【0113】
所望の時間後に、死亡率パーセントを虫について決定し、あらゆる植物毒性効果を同様にして定量して、非標的種に対する試験組成物の効果を決定する。データは、試験組成物が、キャベツの葉に少しか全く影響を及ぼさないで、アブラナ甲虫幼虫に対して強い殺虫効果を有していることを示している。
【0114】
実施例6
大豆の芽(glycine max)を、所望の濃度の試験組成物に浸漬することにより処理し、葉が尚湿っている間にHeliothis armigera毛虫を定植させる。
【0115】
所望される期間後に、死亡率パーセントを虫について決定し、あらゆる植物毒性効果を同様にして定量して、非標的種に対する試験組成物の効果を決定する。データは、試験組成物が、大豆の芽に少しか全く影響を及ぼさないで、毛虫に対して強い殺虫効果を有していることを示している。
【0116】
実施例7
試験組成物を、表面処理食餌試験で様々な虫に対する活性について評価する。この試験において、1mLの溶融(65〜70℃)小麦胚芽人工食餌を4×6(24ウェル)の多ウェルプレート(ID# 430345−15.5mm直径×17.6mm深さ;Corning Costar Corp., One Alewife Center, Cambridge, Mass. 02140)の各ウェルにピペットで入れる。試験組成物での処置の前に食餌を雰囲気温度まで冷却する。
【0117】
殺虫活性の決定のために、表1に係る試験組成物を、Packard 204DTマイクロプローブRTM.ロボットシステム(Packard Instrument Company, 800 Research Parkway, Meriden, Conn. 06450)を使用する試験のために調製し、該ロボットは、最初に試験組成物の標準溶液を1:7の水/アセトンに対する原液の比で1:1の水/アセトン溶液(V/V)で希釈する。ロボットは続いて24多ウェルプレート中の3つのウェルの各々において食餌の表面上に溶液の40uLをピペットで移す。ひとたび処理されると、多ウェルプレートの内容物を乾燥させ、試験化合物の0.25mmolを食餌の表面に残し、又は0.25ミリモルの濃度にする。食餌表面にDMSOのみを含む適切な未処理のコントロールをまたこの試験に含める。
【0118】
様々な適用割合での試験組成物の殺虫活性の評価について、複数以下の候補殺虫剤の標準的50ミリモルのDMSO溶液を使用して、試験を上述のようにして樹立する。例えば、標準的50ミリモル溶液をロボットによってDMSOで希釈し、5、0.5、0.05、0.005、0.0005ミリモル、又は試験組成物のより希釈された溶液を得る。これらの評価では、各プレートにおいて全体で4つの割合の試験組成物の適用に対して、24の多ウェルプレートの食餌表面に各適用割合の6組が配される。
【0119】
試験プレートの各ウェルに一匹の試験昆虫を配する。数種の種を使用する。昆虫を各ウェルに配した後、プレートを透明なポリフィルム接着テープでシールする。各ウェル上のテープに孔をあけて十分な空気の供給を確保する。ついで、プレートを、25℃及び60%の相対湿度で5日間、グロースチャンバーに保持する(光14時間/日)。
【0120】
5日の暴露期間後、試験組成物の各適用割合に対する殺虫活性を、未処理コントロールからの昆虫の重量に対する昆虫重量の阻害パーセント、及び外寄生された昆虫の全数と比較したときの死亡率パーセントとして評価する。これらの結果は、様々な昆虫種間の試験組成物の効能の比較を可能にし、また非標的種への害を最小にしながら、標的昆虫種に選択的に影響を及ぼしうる組成物を設計するために使用することができるデータを提供する。
【0121】
実施例8
有機リン酸系及びカルバメート系化学物質に対して耐性を有する飼育したグリーンピーチアブラムシ(Myzus persicae)を、苗当たり約200の割合で15cmの素焼きの植木鉢で栽培した約20cm長さのナス(black elongate variety)の苗に接種する。接種後一日目に、予め定まった濃度の試験組成物の水希釈物を、スプレーガンによって十分な量を噴霧する。噴霧後、植木鉢を28℃に維持した温室に配する。噴霧から24時間後に、死亡率パーセントを計算する。上記試験を二組で実施する。得られたデータを、試験組成物の効能が、有機リン酸系及びカルバメート系化学物質に対する昆虫耐性には影響されないことを示しており、試験組成物によって用いられる作用機序が有機リン酸系及びカルバメート系化学物質によって用いられるものとは異なることを証明している。作用機序の差のため、試験組成物は、標的有害生物における耐性発生を最小化するように設計された有害生物駆除計画の効果的な成分である。更に、耐性発生の典型的な態様は、本発明の組成物に対する耐性を生じる可能性が少ないので、これらの組成物が、標的有害生物における耐性発生を遅延させ、最小化し、防止しうる。
【0122】
実施例9
試験組成物は、CO加圧型リュック式噴霧器を使用して作物に塗布する。塗布方法は、スプレータンク、加圧ポンプ及びノズルを有するスプレーリグを備えたスプレートラクターで通常は実施される作物保護産物の商業的地上散布をシミュレートするように設計される。
【0123】
試験組成物を、二つの中空のコーンノズルを通して適切な量の試験組成物を送達するように較正されたスプレーを用いて2−3の本葉成長期の綿(植物の芽)に適用する。一つのプロット(A)はコントロールとして未処理のままとする。各試験区画は、65ft長の段の作物からなり、各処理はランダム化された完全なブロック設計で4回複製される。各試験アザミウマを無作為で各試験区画から10の綿植物を集めることによって処理後1−9日で計数する。集めた植物を水と実験室の洗浄剤プラス漂白液で洗浄する。ついで、水をコーヒーフィルターに注ぎ、それからアザミウマを濾過紙上ですすぎ、視野下で計数する。植物毒性をまたこの時点で集める。データは、試験組成物が、綿植物に効果が少ないか全くないがアザミウマへは強い殺虫効果を有していることを示している。
【0124】
実施例10
使用したHeliothis zea(アメリカタバコガ幼虫)、Heliothis virescens(ニセアメリカタバコガ)及びピレスロイド耐性Heliothis virescens幼虫は、研究室のコロニーから得る。ピレスロイド耐性H.virescensはPEG株から誘導されている。
【0125】
綿の葉を試験組成物の溶液又は試験組成物の組合せの溶液中に約3秒の間、浸漬する。浸漬後、葉を2−3時間空気乾燥させる。複数の片ガラスのウェル(4.0×4.0×2.5cm)を含むプラスチックのバイオアッセイトレーを、試験活動領域として使用する。処理した葉の切断部分、湿った綿の歯科用芯及び単一の初齢幼虫を各ウェルに配し、接着剤通気式透明プラスチックシートで覆い、予め定まった時間の間、約27℃の一定の蛍光下に保持する。幼虫死亡率/罹患率を処理から5日目に評価する。全ての処理を、一処理当たり16−32の幼虫を用いた無作為化された完全なブロック設計で4−5倍複製する。一般的なログ−プロビット解析を使用して、各処理のLC50を決定する。これらの結果は、様々な昆虫種間の試験組成物の効能の比較を可能にし、また非標的種への害を最小にしながら、標的昆虫種に選択的に影響を及ぼしうる組成物を設計するために使用することができるデータを提供する。得られたデータは、試験組成物の効能が、ピレスロイドへの昆虫耐性によって影響されないことを示しており、試験組成物によって用いられる作用機序がピレスロイドによって用いられるものと異なっていることを裏付けている。作用機序の差のため、試験組成物は、標的有害生物における耐性発生を最小化するように設計された有害生物駆除計画の効果的な成分である。更に、耐性発生の典型的な態様は、本発明の組成物に対する耐性を生じる可能性が少ないので、これらの組成物が、標的有害生物における耐性発生を遅延させ、最小化し、防止しうる。
【0126】
実施例11
試験組成物を土壌と密に混合する。処理した土壌を250mlの植木鉢に満たし、植木鉢に、前もって発芽させたソラマメを植える。このようにして、活性化合物を、植物の根によって土壌から取り上げ、葉に移すことができる。根浸透性効果を証明するために、7日後に葉に試験昆虫を配する。更に7日後に、試験を、試験昆虫に対する死亡率パーセントを決定することにより評価する。データは、試験組成物が、ソラマメに効果が少ないか全くないが試験昆虫へは強い殺虫効果を有していることを示している。これらの結果は、様々な昆虫種間の試験組成物の効能の比較を可能にし、また非標的種への害を最小にしながら、標的昆虫種に選択的に影響を及ぼしうる組成物を設計するために使用することができるデータを提供する。
【0127】
実施例12
3週間の栽培後、トマト植物に、試験組成物から調製した水性スプレー混合物をポイント状にドリップさせて噴霧し、24時間後に、真菌懸濁物で感染させる(ウドンコ病)。真菌攻撃の評価は感染から5日目になし、その時間の間、90から100%の相対湿度と20℃の温度の条件を維持する。植物毒性データをまた集める。データは、試験組成物がトマト植物へ悪い効果を生じないでウドンコ病に対して効果的であることを示している。
【0128】
実施例13
3週間の栽培後、試験組成物から調製された水性スプレー混合物を大豆植物に注ぐ。スプレー混合物が地上の上に出ている植物の部分に接触しないように注意する。48時間後、植物を真菌懸濁物で感染させる(大豆さび病)。真菌攻撃の評価は感染から5日目になし、その時間の間、90から100%の相対湿度と20℃の温度の条件を維持する。植物毒性データをまた集める。データは、試験組成物が大豆植物へ悪い効果を生じないで大豆さび病に対して効果的であることを示している。
【0129】
実施例14
植え付けから6日後に、小麦植物に、試験組成物から調製した水性スプレー混合物をポイント状にドリップさせて噴霧し、24時間後に、真菌懸濁物で感染させる(黒穂病)。48時間のインキュベーション後(条件:20℃で95から100%の相対湿度)、植物を感染の12日後に温室に配し、真菌攻撃を評価する。植物毒性データをまた集める。データは、試験組成物が小麦植物へ悪い効果を生じないで黒穂病に対して効果的であることを示している。
【0130】
実施例15
植え付けから5日後に、試験組成物から調製した水性スプレー混合物を、小麦植物を囲む土壌に注ぐ。スプレー混合物が地上の上に出ている植物の部分に接触しないように注意する。48時間後、植物を真菌懸濁物で感染させる(黄サビ病)。48時間のインキュベーション後(条件:20%で95から100%の相対湿度)、植物を感染の12日後に温室に配し、真菌攻撃を評価する。植物毒性データをまた集める。データは、試験組成物が小麦植物へ悪い効果を生じないで黄サビ病に対して効果的であることを示している。
【0131】
実施例16
若いインゲンマメにTetranychus urticae(ナミハダニ)の混合集団をコロニー形成させ、様々な濃度の試験組成物を含む水性エマルジョンを一日後に噴霧する。続いて、植物を25℃で6日間インキュベートした後、評価する。集団の減少パーセント(応答%)を、処理した植物上の死んだ卵、幼虫、及び成虫の全数を未処理植物上のものと比較することによろ決定する。データは、試験組成物が、インゲンマメに悪い効果を生じないでTetranychus urticaeに対して効果的であることを示している。
【0132】
実施例17
2葉期のツルナシインゲンマメにTetranychus cinnabarinusの殺虫剤耐性株の混合集団(卵、幼虫/若虫)をコロニー形成させる。感染から24時間後、試験組成物を自動スプレーキャニスターから植物に適用する。物質は即時処方し、適当な用量に水で希釈する。試験は、卵、幼虫/若虫及び成虫の死亡率パーセントによって適用から2及び7日後に評価する。データは、試験組成物が、ツルナシインゲンマメに効果が少ないか全くないがTetranychus cinnabarinusの殺虫剤耐性株へは強い殺虫効果を有していることを示している。これらの結果は、様々な昆虫種間の試験組成物の効能の比較を可能にし、また非標的種への害を最小にしながら、標的昆虫種に選択的に影響を及ぼしうる組成物を設計するために使用することができるデータを提供する。
【0133】
実施例18
数多くの試験組成物を以下に記載の病気に対するインビボでの殺真菌活性について試験する。化合物は、アセトン及びメタノールの1:1混合物又はN,N−ジメシルホルムアミドに溶解させ、水、アセトン、及びメタノールの2:1:1混合物(体積基準)又は水でそれぞれ希釈して適切な濃度を達成する。溶液を植物に噴霧し、乾燥させる(2時間)。ついで、植物に菌類胞子を接種する。各試験は、適切な溶媒混合物を噴霧し接種するコントロール植物を使用する。これらの保護試験のために、植物を試験組成物で処理した後、一日目に植物に接種する。特定の標的種のそれぞれに対する技術の残りを以下に記載する。
【0134】
小麦葉のサビ(WLR)
Pucciitia recoitdita(コムギ赤さび病菌)を温室で12日の期間にわたって7日齢の小麦(cultivar Fielder)で培養する。アルミフォイル上に積もらせて胞子を葉から集める。胞子を、250ミクロンの開口のスクリーンを通して篩をして洗浄し、乾燥した状態で保存する。乾燥した胞子は一ヶ月以内に使用する。胞子懸濁物を、ソルトロールオイル1mL当たり20mg(950万胞子)を添加して乾燥夏胞子堆から調製する。懸濁物は、油噴霧器に取り付けたゼラチンカプセル(0.7mL容量)中に分配する。7日齢の小麦植物cultivar Fielderの20の2インチ平方の区画のフラット当たり一つのカプセルを使用する。小麦の葉から油が蒸発するのを少なくとも15分待った後、植物を暗いミストチャンバー(18−20℃及び100%の相対湿度)に24時間配する。ついで、植物を温室に配し、12日後に病気について評価する。データは、試験組成物が小麦植物に悪い効果を生じないで、Pucciitia recoitditaに対して効果的であることを示している。
【0135】
小麦葉斑(SNW)
Septoria nodorumの培養物を20℃のインキュベーター中においてCzapek−Dox V−8ジュース寒天プレート上に維持し、12時間の光と12時間の暗所を交互にするのを2週間続ける。胞子の水懸濁液は、脱イオン水中の真菌材料と共にプレートの一部を振り、チーズクロスを通して濾過することによって得る。胞子含有懸濁水を1mL当たり3×10の胞子の胞子濃度まで希釈する。接種材料は、試験組成物が先に噴霧された1週齢のFielder小麦植物に対してDeVilbiss噴霧器によって分散させる。接種した植物を20℃での湿潤キャビネットに配し、12時間の光と12時間の暗所を交互にするのを7日間続ける。ついで、接種した苗を20日のインキュベーションのために20℃の制御された環境の部屋に移す。病気のコントロールをコントロールパーセントとして記録する。データは、試験組成物が小麦植物に悪い効果を生じないで、Septoria nodorumに対して効果的であることを示している。
【0136】
小麦ウドンコ病(WPM)
Erysiphe graminis(コムギウドンコ病菌)を、18℃の温度制御室において小麦の苗cultivar Fielder上で培養する。ウドンコ病胞子を、試験組成物を先に噴霧した7日齢の小麦の苗上に培養植物から振ってかける。接種した苗を18℃の温度制御室に維持し、地中から水を注ぐ。接種から7日目にコントロールに対する病気のパーセントを評価する。データは、試験組成物が小麦植物に悪い効果を生じないで、Erysiphe graminisに対して効果的であることを示している。
【0137】
キュウリウドンコ病(CPM)
Sphaerotheca fulgineaを温室中でキュウリ植物cultivar Bush Championに維持する。接種材料を、100mL当たり一滴のTween80を含む500mLの水を含むガラスジャー中に5から10の119の重度のウドンコ病のキュウリの葉を配することによって調製する。液体と葉を振った後、接種材料を、チーズクロスを通して濾過し、噴射ボトル噴霧器で植物上に噴霧する。胞子の数は約100000胞子/mLである。ついで、植物を感染とインキュベーションのために温室に配する。植物は接種の7日後に評価する。コントロールに対する病気の値をコントロールパーセントとして評価する。データは、試験組成物がキュウリ植物に悪い効果を生じないで、Sphaerotheca fulgineaに対して効果的であることを示している。
【0138】
実施例19
試験組成物及び一般的な駆除薬を比較して有害生物種の連続した世代にわたって殺虫効果を維持するその各濃度を決定する。例えば、大腸菌の野生型株をペニシリン(グループ1)と表1又は表2の試験組成物(グループ2)の双方で処理する。MIC(最小阻害濃度;一晩のインキュベーション後に微生物の可視できる増殖を阻害する抗微生物の最も低い濃度)値を、双方のグループに対して処理後1週目で決定し、適切なMIC量を双方の試験集団に適用する。これを4週間繰り返す。試験データは、試験集団が化合物に対する耐性を生じるので、グループ1に対するMIC値は経時的に増加することを示している。これに対して、グループ2に対するMIC値は静的なままであり、グループ2の集団の間での耐性の発生の欠如を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二種の活性剤を有する選択的有害生物駆除組成物において、併用される活性剤が、選択された標的有害生物に対して第一の活性を有し、かつ併用される該活性剤が選択された非標的有害生物に対して第二の活性を有し、第一の活性が第二の活性よりも大である選択的有害生物駆除組成物。
【請求項2】
第一の活性が第二の活性より少なくとも2倍大きい請求項1に記載の選択的有害生物駆除組成物。
【請求項3】
第一の活性が第二の活性より少なくとも10倍大きい請求項1に記載の選択的有害生物駆除組成物。
【請求項4】
第一の活性が第二の活性より少なくとも20倍大きい請求項1に記載の選択的有害生物駆除組成物。
【請求項5】
第一の活性が第二の活性より少なくとも50倍大きい請求項1に記載の選択的有害生物駆除組成物。
【請求項6】
第一の活性が第二の活性より少なくとも100倍大きい請求項1に記載の選択的有害生物駆除組成物。
【請求項7】
第一の活性が、非標的生物に実質的に存在しない少なくとも一つの生物学的標的との組成物の相互作用から生じる請求項1に記載の選択的有害生物駆除組成物。
【請求項8】
非標的生物が、脊椎動物及び植物からなる群から選択される請求項1に記載の選択的有害生物駆除組成物。
【請求項9】
非標的生物は、脊椎動物であり、第二の活性に対する第一の活性の比が、LD50(脊椎動物)に対するLD50(標的)の比として表され、該比は0.1未満である請求項8に記載の選択的有害生物駆除組成物。
【請求項10】
第一の活性が、非標的生物中に存在する少なくとも一つの生物学的標的との組成物の相互作用から生じる請求項1に記載の選択的有害生物駆除組成物。
【請求項11】
生物学的標的がGタンパク質共役型受容体である請求項7又は10に記載の選択的有害生物駆除組成物。
【請求項12】
Gタンパク質共役型受容体が、チラミン受容体、オクトパミン受容体、嗅覚受容体Or83b、及び嗅覚受容体43aからなる群から選択される請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
活性剤が、非標的生物において相乗的活性を有している請求項1から10の何れか一項に記載の選択的有害生物駆除組成物。
【請求項14】
活性剤が、非標的生物において非相乗的活性を有している請求項1から10の何れか一項に記載の選択的有害生物駆除組成物。
【請求項15】
活性剤が、非標的生物においてアンタゴニスト活性を有している請求項1から10の何れか一項に記載の選択的有害生物駆除組成物。
【請求項16】
少なくとも二種の活性剤を含有する組成物に標的有害生物を接触させることを含み、併用される活性剤が、標的有害生物に対して第一の活性を、非標的生物に対して第二の活性を有し、第一の活性が第二の活性より10倍大きい、選択的有害生物駆除方法。
【請求項17】
選択的有害生物駆除組成物の開発方法において、
組成物による選択的駆除のための標的有害生物と、組成物により実質的に影響を受けない非標的生物を選択し;
併用される活性剤が標的有害生物内で相補的効果を有する組成物の少なくとも二種の活性剤を同定し;
同定される活性剤が非標的生物内で相補的効果を有さないことを確認し;
組成物が非標的生物に対して標的有害生物に選択的であることを樹立する
工程を含む方法。
【請求項18】
相補的効果が、各活性剤の効果と別個に比較したとき合わせた活性剤の相乗効果を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
確認工程が、併用される薬剤がアンタゴニスト効果、非相加的効果、及び相加的効果からなる群から選択される効果を非標的生物において有することを確認することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
標的有害生物に対して低耐性の有害生物駆除製剤を開発する方法において、
標的有害生物であって、少なくとも第一及び第二分子標的を有し、分子標的が遺伝子制御下にある標的有害生物を選択し;

;第一の活性剤が遺伝子制御下で第一の分子標的と相互作用し、第二の活性剤が遺伝子制御下で第二の分子標的と相互作用する少なくとも二種の活性剤を選択し;
製剤において該二種の活性剤を組合せ、該製剤中の薬剤が相補的な形で標的有害生物に作用し、個々の標的有害生物における製剤に対する耐性が有害生物の非耐性集団から二つの別個の遺伝子的病変部を必要とする
工程を具備する方法。
【請求項21】
第一及び第二分子標的が、別個の遺伝子的要素によってコードされ又は制御された二つの別個の分子を含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
第一分子標的が、タンパク質をコードする第一の遺伝子的エレメントにより調節され、第二の分子標的は、タンパク質をコードする第二の遺伝子的エレメントによって調節され、二つの別個の遺伝子的病変部が、第一の遺伝子的エレメント中の病変部と第二の遺伝子的エレメントにおける病変部を含む請求項20に記載の方法。
【請求項23】
第一分子標的が細胞体で、第二の分子標的が細胞体であり、二つの別個の遺伝子的病変部が、第一の遺伝子的エレメント中の病変部と、第二の遺伝子的エレメント中の病変部を含む請求項21に記載の方法。
【請求項24】
第一及び第二の分子標的が、単一の遺伝子的エレメントによってコードされ又は調節される単一分子の二つの別個の部分を含み、該二つの別個の部分が、二つの別個の部分の各々の耐性型への転換が単一の遺伝子的エレメント内の二つの別個の遺伝子的病変部を必要とするように、互いに所定の距離にある請求項20に記載の方法。
【請求項25】
相補的な形には別個に作用する各薬剤と比較した相乗効果を含む請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−529068(P2011−529068A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520181(P2011−520181)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/051457
【国際公開番号】WO2010/011787
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(509018568)タイラテック, インク. (6)
【Fターム(参考)】