説明

高比表面積の銅材を製造するシステムおよび方法

【課題】高比表面積の銅材を製造するシステムおよび方法の提供。
【解決手段】固体銅材を加熱溶融するための加熱装置110と、溶融液を収容し、重力により銅の溶融液が底にある開口部を通って流出することができる排流装置120と、上記排流装置の底にある開口部を通って流出する銅の溶融液を冷却固化し、高比表面積の銅材を形成するための冷却装置130とを備える。また、その製造方法は、固体銅材を加熱溶融して銅の溶融液を形成する工程と、重力により銅の溶融液を、排流装置の底にある開口部を通過させる工程と、上記排流装置の底にある開口部を通って流出する銅の溶融液を高比表面積の銅材に形成するように冷却固化する工程とを含む。高比表面積の銅材は、硫酸銅溶液に優れた溶解性を具するものであり、銅イオンの供給元として銅めっき工程の応用に適し、全体的なめっきシステムにおける銅めっき効果を向上することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅材を製造するシステムおよび方法に関し、特に、高比表面積の銅材を製造するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅めっきは、主に電気化学の作用により電解液中の銅イオンが還元されて金属銅になリ、更にその金属銅は陰極基材の表面を被覆する。その化学反応式は下記の通りである。
陽極:HO → 1/2 O + 2H + 2e-
陰極:CuSO + 2e- → Cu + SO2-
【0003】
金属銅の被覆性能を確保するために、電解液における銅イオンの濃度安定性を維持することが必要である。一般に、業者は強酸で金属銅を溶解し、純粋な酸素又は空気を導入することにより、溶解した銅を酸化させ、電解液に存在する銅イオンの濃度を維持する。その化学反応式は下記の通りである。
Cu + HSO+ 1/2 O → CuSO + HO
【0004】
従って、金属銅を素早く効率的に溶解させて、銅イオンになるようにすることは、電解液中の銅イオン濃度を安定した状態で供給する要件になる。
【0005】
銅イオンを形成するための金属銅の種類及び形状は、溶解速度と直接の関連性がある。一般には、金属銅板の塊を強酸で溶解して酸化反応を行ない、電解銅箔の銅イオン源を提供する場合、金属銅板は強酸溶液との接触面積が限られているため、溶解効率は好ましくない。故に、従来は通常直径10mm以下の裸銅線を使用する。裸銅線は、電線・ケーブル製品の主な原料であり、銅錠、電解銅板、或いは、純銅を溶融モールドし、8.0mmまたは2.6mmなど、各々の線径になるように引き伸ばして製造される。
【0006】
特許文献1では、銅線の伝統的な製造方法として、分離された独立な機構で加熱溶融して、モールドおよび熱間圧延より直径7.94mm銅棒を製造する方法が提案されている。該銅棒は、更に、冷間引き抜き(cold drawing)と定期的アニーリング(annealing)との操作を経て銅線に仕上げられる。ところで、上記の方法は、極めて大量なエネルギーを消耗し、また、多くの労働力およびコストを必要とする。更に、特許文献2によると、製品は、溶融モールドおよび熱間成形(hot forming)作業により、過度に酸化されたり、材料によって潜在的に汚染される問題があった。
【0007】
銅線は、同一重量の銅板に比べて、より大きな反応表面積を有し、電解めっき液の銅イオン元として適しているが、銅板に比べて、銅線はコストが高い。従って、銅板を網状に加工したエキスパンドメタルを銅イオン元の原料として、金属銅の溶解効率を高める方法が提案されているが、網状にした銅のエキスパンドメタルも高価でその供給源も限られているので、その方法も実用的でない。したがって、低コストで迅速且つ効率的に強酸溶液に溶解されて銅イオンを形成し得る電解めっき用高比表面積の銅材を製造する方法が期待されている。
【特許文献1】中華民国特許第438909号
【特許文献2】中華民国特許第242654号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、低コストで高比表面積の銅材を、製造するシステムおよび製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、廃棄物となったリサイクル可能な固体銅材を回収して、高比表面積の銅材を、製造するシステムおよび製造する方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、電解液に溶解され易い高比表面積の銅材を、製造するシステム、および製造する方法を提供することにある。
又、本発明のさらに他の目的は電解めっき用銅系の銅イオン元とする高比表面積の銅材を製造するシステムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、
固体銅材を加熱溶融して銅の溶融液を形成するための加熱装置と、
上記加熱装置により形成された銅の溶融液を収容し、重力により銅の溶融液が底にある開口部を通って流出させることができる排流装置と、
上記排流装置の底にある開口部を通って流出する銅の溶融液を冷却固化し、高比表面積の銅材を形成する冷却装置と、
を備える高比表面積の銅材を製造するシステムを提供する。
【0010】
また、本発明は、
固体銅材を加熱溶融して銅の溶融液を形成する工程と、
重力により銅の溶融液を、排流装置の底にある開口部を通過させる工程と、
上記排流装置の底にある開口部を通過して流出する銅の溶融液を高比表面積の銅材に形成する冷却固化工程と、
を含む高比表面積の銅材を製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシステムおよび製造方法により製造された高比表面積の銅材は、硫酸銅溶液中に優れた溶解性を具備するものであり、銅めっき工程の利用に適用し、また、銅イオンの供給源として全体的なめっきシステムでは、銅めっき効果を向上させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明中で高比表面積の銅材を製造するシステムのブロック図である。
本発明におけるシステムは、固体銅材を加熱溶融して銅の溶融液を形成するための加熱装置110と、上記加熱装置110により形成された銅の溶融液を収容し、重力により銅の溶融液が底にある開口部を通って流出することができる排流装置120と、上記排流装置120の底にある開口部を通って流出する銅の溶融液を冷却固化し、高比表面積の銅材を形成する冷却装置130と、を含む。
【0013】
本発明のシステムで使用される固体銅材の実例は、銅の塊、銅錠、電解銅板、板状の銅、銅線、廃棄された銅材またはそれらの混合物に加えて、例えば、不純物を含まない一級廃棄銅箔、不純物含有量が3%以下の二級廃棄銅箔、およびバインダーなどの不純物を含んだ三級廃棄銅箔が挙げられる。それらの固体銅材は、加熱溶融によって、大部分の油成分および有機不純物を除去され得、銅の溶融液を形成する。該銅の溶融液が排流装置に注入されると、重力により排流装置の底にある開口部を通って流出し、且つ真下に排流装置の下方に設けられた冷却装置に流れ込み、冷却装置で固化されて、仮比重1.6〜4.0(好ましくは1.8〜3.5、より好ましくは1.8〜2.6)の高比表面積の銅材(例えば、糸状、線状、粒状、片状またはランダム状;好ましくは茶葉のような形)を形成する。
【0014】
図2は、本発明のシステムにおける第一の具体的な態様を示す。
該具体的な態様においては、本発明のシステムには加熱装置として坩堝210を用い、固体銅材が加熱され、溶融状態となって、少なくとも約1180℃〜1300℃(好ましくは1200℃〜1250℃)の銅の溶融液を形成する。銅の溶融液の温度が1150℃より低いと、銅の溶融液は表面に凝固が発生して膜を形成し、流出が困難となったり、金型の孔を塞ぎ易くなる。
また、排流装置として桶状の金型220を用い、坩堝210の中にある銅の溶融液を収容する。図2aに示すように、該桶状の金型220の底には、複数の開口部222が設けられ、桶状の金型220中の銅の溶融液が重力により底にある開口部を通って桶状の金型から流出する。全般的には、該桶状の金型220の底にある開口部の直径Φは、2.5mm〜20mm(好ましくは3mm〜15mm、より好ましくは5mm〜10mm)の範囲内にある。開口部の直径が小さすぎると、塞ぎが起き易い、桶状の金型220の中にある銅の溶融液が重力により開口部を通って流出することが困難になり、逆に、開口部の直径が大きすぎると、高比表面積の銅材を形成するのに不利である。一般に、開口部の直径が3mmより小さいと、塞ぎが起き易い。該桶状の金型220の底にある開口部の間の距離および開口部の数量を調整することにより、開口部の塞ぎの減少にも役立つ。例えば、該桶状の金型220の底にある開口部の間隔は、10mm〜50mm(好ましくは15mm〜40mm、より好ましくは20mm〜30mm)の範囲内にする。
【0015】
更に、桶状の金型を高温に保持することにより、例えば、電熱で800℃の温度を保持することで、塞ぎを防止することができる。一方、桶状の金型の内部を高温被覆材で被覆して離型効果を高め、粘着を防止する。
図2に示すように、該具体的な態様においては、冷却装置として冷却水槽230を使用する。該冷却水槽230は該桶状の金型220の下方に設けられる。桶状の金型220の中には銅の溶融液が重力により底にある開口部を通って流出し、真下に設置された水の深さが約200mm〜1500mmの冷却水槽230に流れ込み、冷却固化して、糸状、線状、粒状、片状またはランダム状の銅材を形成する。冷却水槽の水温は通常10℃〜35℃(好ましくは28℃〜35℃、より好ましくは29℃〜33℃)の範囲内にある。
【0016】
該具体的な態様では、本発明のシステムにおける冷却水槽の水の表面と該排流装置の底部との距離(高さ)をhとすると、通常、hは500mm〜4500mm(好ましくは1000mm〜4000mm、より好ましくは2000mm〜3500mm)の範囲内にある。一般に、高さの差(例え、1000mm以上)を適宜に保持すると、銅の溶融液が冷却水槽230に流れ込むときに溶融体が跳ね飛ぶのを避けることができる。一方、hが大き過ぎると、仮比重(bulk density)の高すぎる細粒状銅材を形成するようになる。図2bに示すように、本発明のシステムにおいては、冷却水槽230の底部に、更に水を汲み上げるための給水口232が設けられている。よって、水槽における冷却水の波動性を高めることで、高比表面積の銅材を形成することに役立つ。
図3は、本発明のシステムでの第二の具体的な態様を示す。第一の具体的な態様と同じように、本発明の具体的な態様においては、加熱装置として坩堝310を用い、固体銅材を加熱し、溶融状態として、銅の溶融液を形成する。底に複数の開口部が設けられた桶状の金型320に、坩堝310中の銅の溶融液を収容し、桶状の金型320中の銅の溶融液が重力により底にある開口部を通して流出して真下に該桶状の金型320の下方にある冷却水槽330に流れ込む。
【0017】
本発明の具体的な態様においては、該桶状の金型320の底部と冷却水槽330の水平面との間にhの高さの差を設けている。桶状の金型320の底部と冷却水槽330の水平面の間には、更に送風管340が設けられ、銅の溶融液が桶状の金型320から流出する方向に対して垂直方向より冷風を送り出し、桶状の金型320の底部から流出する銅の溶融液を冷風により初期的に降温させ、更に、冷却水槽330に流れ込ませ、固化させて、高比表面積の銅材を形成する。
【0018】
図3に示すように、桶状の金型320の底部と冷却水槽330との間にある送風管340は、更に複数の送風口340a、340b、340cを備え、銅の溶融液が該桶状の金型320から流出する方向に対し垂直方向より60℃〜100℃の熱風、20℃〜30℃の常温風および15℃〜20℃の冷風を送り出し、桶状の金型320の底部から流出する銅の溶融液は徐々に温度を下げていき、冷却水槽330に流れ込んで固化されて、高比表面積の銅材が形成される。
【0019】
図4は、本発明のシステムでの第三の具体的な態様を示す。第一の具体的な態様と同じように、本発明の具体的な態様においては、加熱装置として坩堝410を用い、これに固体銅材を入れて加熱し、固体銅材を溶融状態として、銅の溶融液を形成する。底に複数の開口部が設けられた桶状の金型420に坩堝410中の銅の溶融液を収容し、桶状の金型420中の銅の溶融液が重力により底にある開口部を通って流出し、該桶状の金型420の下方にある冷却水槽430に流れ込む。
【0020】
本発明の具体的な態様においては、該桶状の金型420の底部と冷却水槽430の水平面との間に所定の高さがあり、冷却水槽430の一側面近傍に複数のノズル440を有する水管を立てて、銅の溶融液が該桶状の金型420から流出する方向と直交する方向から連続的に霧化された水を噴出させ、それによって、桶状の金型420の底部から流出する銅の溶融液が、該霧化された水によって冷却される。該溶融液は、冷却水槽430に流れ込んで固化し、高比表面積の銅材が形成される。
【0021】
図5は、本発明のシステムでの第四の具体的な態様を示す。本発明の第4の実施態様のシステムにおいては、加熱装置として坩堝510を用いており、固体銅材が加熱され、溶融状態となって、銅の溶融液を形成する。底部に複数の開口部522が設けられたシュート状の金型520が、排流装置として用いられ、水平面に対して90度以下の傾斜角で冷却水槽530の水面の上に設けられる。坩堝510中の銅の溶融液を該傾斜金型520に流すと、銅の溶融液がシュート状の金型520に沿って流れると同時に、重力により該傾斜金型520の底部にある開口部522を通って、図5に示すように、柱状になって下方の冷却水槽530に流れ込み、固化して高比表面積の銅材が形成される。
【0022】
本発明は、高比表面積の銅材を製造する方法も提供する。図6に示すように、本発明の方法は、固体銅材を加熱溶融して銅の溶融液を形成する加熱工程S610と、重力により銅の溶融液を排流装置の底にある開口部に通させる排流工程S620と、上記排流装置の底にある開口部を通って流出する銅の溶融液を高比表面積の銅材を形成するように冷却固化する冷却工程S630とを含む。
【0023】
具体的な実施形態においては、固体銅材を坩堝中にて加熱工程を行ない、加熱溶融して、銅の溶融液を形成させる。更に、必要におうじて1分〜4分程度静置し、再度坩堝中にある銅の溶融液を底に複数の開口部が設けられた該排流装置に注入し、或いは、坩堝中にある銅の溶融液を直接に該排流装置に注入する。次いで、該排流装置にある銅の溶融液が重力により底にある開口部を通って流出して、該排流装置の下方に設置された冷却装置に流れ込み、更に、冷却装置中にある冷却水で固化し、糸状、線状、粒状、片状またはランダム状の高比表面積の銅材が形成される。一方、該排流装置の底にある開口部から流出する銅の溶融液を、先ず、冷風で第一次に降温させた後、更に冷却水槽および/または先に霧化された水にて降温させ、更に冷却水槽に流れ込ませ固化させて、高比表面積の銅材を形成することができる。
【実施例】
【0024】
以下に、具体的な実施例により本発明の特徴および効果をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0025】
実施例1
銅の塊6.5kg重を坩堝の中に入れ、加熱して溶融状態にして、約1200℃の銅の溶融液を形成した。銅の溶融液を底に6個の直径5mmの開口部が設けられた桶状の金型に注ぎ込み、重力により桶状の金型の底にある開口部を通して該桶状の金型から流出させた。桶状の金型の下方に冷却水槽を設け、水槽の水の深さ1300mm、水温28.7℃、底部には水を供給するための給水口を設けた。水面と桶状の金型の底部との距離を2600mmとした。該桶状の金型より流出した銅の溶融液が、重力により複数の柱状になって真下の冷却水槽に流れ込み、冷却固化されて、重さ6.3kg、仮比重約2.5の銅材試料が形成された。
【0026】
実施例2〜5
表1の内容により、実施例1の工程を行ない、出来上がった銅材試料の仮比重を表1に記入した。
【0027】
実施例6〜12
表1の内容により、桶状の金型の底にある開口部の数を変更し、実施例1の工程を行ない、出来上がった銅材試料の仮比重を表1に記入した。
【0028】
実施例13〜14
表1の内容により、冷却水の水温を変更し、実施例1の工程を行ない、出来上がった銅材試料の仮比重を表1に記入した。
【0029】
【表1】

【0030】
実施例13(Lot 69)
銅の塊6.5kg重を坩堝の中に入れ、加熱して溶融状態にして、約1200℃の銅の溶融液を形成した。銅の溶融液を、底に13個の直径5mmの開口部が設けられた桶状の金型に注ぎ込み、重力により桶状の金型の底にある開口部を通って該桶状の金型から流出させた。該桶状の金型の下方に冷却水槽を設け、水槽の水の深さを1300mm、水温31.0℃とし、底部には給水するための供水口を設け、水面と桶状の金型の底部との距離を3700mmとした。複数のノズルを有する水管を桶状の金型の下方に金型の底部と500mm離れる所に立て、桶状の金型より流出する銅の溶融液を霧化された水より初期的に冷却し、重力により真下にある冷却水槽に流して、冷却固化して重さ6.3kg、仮比重約3.0の銅材試料を形成した。
【0031】
実施例14(Lot 71)
銅の塊6.5kg重を坩堝の中に入れ、加熱して溶融状態にし、約1200℃の銅の溶融液を形成した。銅の溶融液を、底に13個の直径5の開口部が設けられた桶状の金型に注ぎ込み、重力により桶状の金型の底にある開口部を通して該桶状の金型から流出させた。該桶状の金型の下方に冷却水槽を設け、水槽の水の深さを1300mm、水温を31.0℃とし、底部には給水するための給水口を設け、水面を桶状の金型の底部との距離を700mmとした。該桶状の金型より流出した銅の溶融液を、重力により真下にある冷却水槽に流し、冷却固化して、重さ6.0kg、仮比重約3.5の銅材試料を形成した。
【0032】
試験例1
仮比重約2.3の60kgの銅材試料1と、仮比重0.8の長さ2.6mmの銅線とを、それぞれに硫酸銅電解液(硫酸の濃度は130g/L)の中に置き、94時間溶解試験を行った。実験終了後、残った銅線及び銅材試料1を取出し、脱イオン水で洗浄した。更にオーブンで乾燥させ、水分を除いて、重さを測り、溶解速度を計算して、それらの結果を表2に記入した。
【0033】
試験例2
仮比重約1.6の30kgの銅材試料2と、仮比重3.5の8mm長さの銅線をそれぞれに硫酸銅電解液(硫酸の濃度は130g/L)の中に置き、19.5時間溶解試験を行った。実験終了後、残った銅線及び銅材試料2を取出し、脱イオン水で洗浄した。更にオーブンで乾燥させ、水分を除いて、重さを測り、溶解速度を計算して、それらの結果を表2に記入した。
【0034】
【表2】

【0035】
表2の結果によると、本発明によって作られた高比表面積の銅材は、より良い溶解率を備え、銅イオンの供給源として銅めっき工程の応用に適し、全体的なめっきシステムにおける銅めっき効果を向上させることができたことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明中で高比表面積の銅材を製造するシステムのブロック図である。
【図2】図2は、本発明のシステムにおける第一の具体的な態様を示す。
【図2a】図2aは、本発明の第一の具体的な態様における桶状の金型を示す。
【図2b】図2bは、本発明の第一の具体的な態様における冷却水槽を示す。
【図3】図3は、本発明のシステムにおける第二の具体的な態様を示す。
【図4】図4は、本発明のシステムにおける第三の具体的な態様を示す。
【図5】図5は、本発明のシステムにおける第四の具体的な態様を示す。
【図6】図6は、本発明中で高比表面積の銅材を製造する方法のフルーチャートである。
【符号の説明】
【0037】
110 加熱装置
120 排流装置
130 冷却装置
210、310、410、510 坩堝
220、320、420、520 排流装置とする金型
222、522 開口部
230、330、430、530 冷却水槽
232 給水口
340 送風管
340a、340b、340c 送風口
440 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体銅材を加熱溶融して銅の溶融液を形成するための加熱装置と、
上記加熱装置により形成された銅の溶融液を収容し、重力により銅の溶融液が底にある開口部を通って流出することができる排流装置と、
上記排流装置の底にある開口部を通って流出する銅の溶融液を冷却固化し、高比表面積の銅材を形成するための冷却装置と、
を備えることを特徴とする、高比表面積の銅材を製造するシステム。
【請求項2】
上記固体銅材が、銅の塊、銅錠、電解銅板、板状銅、銅線、廃棄された銅材、および/または、それらの混合物からなる群より選択されるものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記排流装置の底にある開口部の直径Φが2.5mm〜20mmの範囲内にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
上記冷却装置が水を入れた冷却水槽である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
上記冷却水槽が上記排流装置の下方に設けられている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
上記冷却水槽内の水の表面から上記排流装置の底部までの距離が、500mm〜4500mmである、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
上記冷却水槽内の水の深さが200mm〜1500mmである、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
上記冷却水槽の底部には、給水するための給水口が設けられている、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
上記冷却装置が、更に、上記冷却水槽と上記排流装置の間に設けられた送風管を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
上記冷却装置が、更に、上記冷却水槽と上記排流装置の間に設けられた複数のノズルを有する水管を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
固体銅材を加熱溶融して銅の溶融液を形成する工程と、
重力により銅の溶融液を、排流装置の底にある開口部を通過させる工程と、
上記排流装置の底にある開口部を通過して流出する銅の溶融液を、高比表面積の銅材に形成するように冷却固化する工程と、
を含むことを特徴とする、高比表面積の銅材を製造する方法。
【請求項12】
上記固体銅材が、銅の塊、銅錠、電解銅板、板状銅、銅線、廃棄された銅材、および、それらの混合物からなる群より選択されるものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記排流装置の底にある開口部の直径Φが2.5mm〜20mmの範囲内にある、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
上記排流装置の底にある開口部を通って流出する銅の溶融液を冷却装置で冷却固化して、高比表面積の銅材を製造する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
上記冷却水槽が上記排流装置の下方に設けられた、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
上記冷却水槽内の水の表面から上記排流装置の底部までの距離が500mm〜4500mmである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記冷却水槽の水の深さが200mm〜1500mmである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
上記冷却水槽の底部には、給水のための給水口が設けられている、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
上記排流装置の底にある開口部を通って流出する銅の溶融液を、先ず、冷風で初期的に降温させた後、更に、上記冷却水槽に流し込んで固化させ、高比表面積の銅材を形成する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
上記排流装置の底にある開口部を通って流出する銅の溶融液に、先ず、霧化にした水を噴射することにより、初期的に銅の溶融液を降温させた後、更に、上記冷却水槽に流し込んで固化させて、高比表面積の銅材を形成する、請求項15に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−160654(P2009−160654A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179635(P2008−179635)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(591057290)長春石油化學股▲分▼有限公司 (5)