説明

高流動水硬性組成物用速硬材及び高流動水硬性組成物

【課題】 減水剤が配合されて流動性が高められた高流動モルタルや高流動コンクリート等の水硬性組成物に対し、高流動性を維持させたまま材料分離を起こすことなく、速硬性を付与させることができる高流動水硬性組成物用速硬材を提供する。
【解決手段】 粒径10μm以下の粒子を含有してなるアルミン酸カルシウムを有効成分とする高流動水硬性組成物用速硬材であって、粒径10μm以下のアルミン酸カルシウムの強熱減量が1〜2重量%である高流動水硬性組成物用速硬材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い流動性を呈するセメントペースト、モルタル又はコンクリート等の水硬性組成物に、速硬性を付与させるために配合使用する高流動水硬性組成物用速硬材に関する。また、速硬性が付与された高流動水硬性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントにアルミン酸カルシウムを加えると、セメントの凝結を大きく促進できることが知られている。(例えば、特許文献1参照。)このため、アルミン酸カルシウムを加えたセメントペースト、モルタル又はコンクリートは、例えば緊急性が高い建築・土木工事等で盛んに使用され、工期の短縮化が図られている。一方で、建築・土木工事では良好な施工作業性を確保する目的から、流動性を高くしたセメントペースト、モルタル又はコンクリートを使用することも多く、このようなセメントペースト、モルタル又はコンクリートでは高流動性を発現させる上で減水剤(分散剤や流動化剤などと称されるものを含む。)の配合添加が不可欠となっている。しかるに、減水剤が含まれた高流動のセメントペースト、モルタルやコンクリートでは、アルミン酸カルシウムを加えると、セメントとアルミン酸カルシウムの水系スラリー中での分散状態に差異が生じる等の理由から、材料分離が発生し易くなるという問題があった。材料分離を防ぐ手段としては一般に増粘剤が使用されている。(例えば、特許文献2参照。)一方で、増粘剤を加えると、高い流動性が得られ難くなり、高い流動性を確保すべく減水剤を大量に配合すると流動性の経時過上昇が生じたり、凝結が遅延化し、速硬性が失われる虞があった。
【特許文献1】特開昭60−108352号公報
【特許文献2】特開平5−9049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、本発明では、減水剤が配合されて流動性が高められたセメント系の水硬性組成物に対し、材料分離を起こすことなく、また高い流動性を減じることなく速硬性を付与させることができる高流動水硬性組成物用速硬材を提供することを課題とする。また、高い流動性を呈し、材料分離を起こすことなく、凝結後は急速に硬化する高流動水硬性組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、前記課題解決のため鋭意検討を重ねた結果、特定の強熱減量の特定粒径のアルミン酸カルシウムを有効成分とする速硬材が、減水剤を配合して高流動化されたセメント系の水硬性組成物に対して、材料分離を生じさせずに、十分な速硬性を付与できるという知見を得、本発明を完成させた。
【0005】
即ち、本発明は、以下の(1)〜(3)で表す高流動水硬性組成物用速硬材、及び(4)〜(5)で表す高流動水硬性組成物である。(1)粒径10μm以下の粒子を含有してなるアルミン酸カルシウムを有効成分とする高流動水硬性組成物用速硬材であって、粒径10μm以下のアルミン酸カルシウムの強熱減量が1〜2重量%である高流動水硬性組成物用速硬材。(2)アルミン酸カルシウムが粒径10μmを超える粒子を含有し、粒径10μmを超えるアルミン酸カルシウムの強熱減量が0.5重量%以下である前記(1)の高流動水硬性組成物用速硬材。(3)さらに、水100gに対する溶解度が2g以上である無機炭酸塩を含有する前記(1)又は(2)の高流動水硬性組成物用速硬材。(4)前記(1)〜(3)何れかの高流動水硬性組成物用速硬材、セメント及び減水剤を含有してなる高流動水硬性組成物。(5)さらに凝結遅延剤を含有してなる前記(4)の高流動水硬性組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、例えば高流動モルタルやコンクリートなどの高い流動性の水硬性組成物に、材料分離を発生させずに速硬性を容易に付与させることができるため、安定した品質のモルタルやコンクリートを短期間で得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の高流動水硬性組成物用速硬材に使用するアルミン酸カルシウムは、粒径10μm以下の粒子を必須含有し、かつ該粒子の強熱減量が1〜2重量%の範囲内にあるものとする。ここで、アルミン酸カルシウムとは、CaOとAl23を主要化学成分とする化合物、固溶体、ガラス質若しくはこれらの何れかが混合した物であって、水和活性を有するものであり、例えば、12CaO・7Al23、CaO・Al23、3CaO・Al23、11CaO・7Al23・CaF2、4CaO・3Al23・SO3などを挙げることができ、アルミナセメントも挙げることができる。本発明では、このようなアルミン酸カルシウムのうち、強熱減量が1〜2重量%で粒径10μm以下のものを使用するが、強熱減量が1〜2重量%を呈するようなアルミン酸カルシウムは、例えば水分や二酸化炭素等と反応させることによって好適に得ることができる。粒径10μm以下のアルミン酸カルシウムの強熱減量が1重量%未満のものでは、高流動性を確保する上で減水剤の配合量が増すと流動性の経時上昇を抑えることが困難となり、材料分離が生じ易くなるので好ましくない。また、強熱減量が2重量%を超える粒子では、大気中の水分の影響で微粒子が凝集し易くなることから、アルミン酸カルシウムが凝集粒となって粗大化し、材料分離の抑制が困難になるので好ましくない。
【0008】
本発明の高流動水硬性組成物用速硬材中の前記粒径10μm以下のアルミン酸カルシウム粒子の含有量は、好ましくは20質量%以上(100質量%を含む。)、より好ましくは35質量%以上とする。20質量%未満では材料分離の抑制が困難となることがあるので適当ではない。
【0009】
また、本発明の高流動水硬性組成物用速硬材には、粒径10μmを超えるアルミン酸カルシウムを含有するのが速硬性を付与しつつ高流動性を安定して確保させる上では好ましい。粒径10μmを超えるアルミン酸カルシウムを含有する場合は、その強熱減量が0.5重量%以下のアルミン酸カルシウム粒子を使用する。粒径10μmを超えるアルミン酸カルシウムの強熱減量が0.5重量%を超えるものでは、反応活性が低下し過ぎて速硬性を十分付与できないので好ましくない。強熱減量が0.5重量%以下のアルミン酸カルシウムとしては、例えば製造直後から水分や二酸化炭素等との接触を極力避けたアルミン酸カルシウム等を好適に挙げることができる。粒径10μmを超えるアルミン酸カルシウムの本速硬材中の含有量は、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜65質量%とする。20質量%未満では含有効果が得ら無いことがあり、また80質量%を超えると相対的に前記粒径10μm以下のアルミン酸カルシウム粒子の含有割合が低減し、材料分離の抑制が困難となることがある。
【0010】
また、本発明の高流動水硬性組成物用速硬材には、水100gに対する溶解度が2g以上である無機炭酸塩を含有使用するのが好ましい。より好ましくは水100gに対する溶解度が5〜200gである無機炭酸塩を含有使用する。ここで、溶解度の値は概ね5〜35℃の範囲で充当するものであれば良い。該溶解度を呈する無機炭酸塩であれば特に限定されることなく使用できる。具体的には、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム等を挙げることができる。また、該無機炭酸塩は粒径及び強熱減量とも制限されない。水100gに対する溶解度が2g以上の無機炭酸塩が含有されることにより、速硬性を失うことなく、安定した高流動発現性を保持させることができる。水100gに対する溶解度が2g未満である無機炭酸塩ではこのような作用が殆ど得られない。本発明の高流動水硬性組成物用速硬材中の水100gに対する溶解度が2g未満である無機炭酸塩含有量は、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%とする。0.5質量%未満では含有効果が得ら無いことがあり、また30質量%を超えると高い流動性の確保が困難となるので適当ではない。また、炭酸塩以外の塩では、安定した流動性を確保し難くなったり、凝結性に支障を及ぼす可能性もあるため適当ではない。
【0011】
また、本発明の高流動水硬性組成物用速硬材には、本発明の効果を実質喪失させない限り、前記以外の成分が含有されても良い。
【0012】
また、本発明の高流動水硬性組成物は、前記何れかの高流動水硬性組成物用速硬材、セメント及び減水剤を含有してなるものである。
【0013】
本発明の高流動水硬性組成物に使用する高流動水硬性組成物用速硬材は、前述の発明による高流動水硬性組成物用速硬材の何れか1種を使用する。その配合量はセメント100質量部に対し、5〜100質量部が好ましい。5質量部未満では速硬性が付与され難くなり、また100質量部を超えると流動性が低下することがあるので適当ではない。
【0014】
本発明の高流動水硬性組成物に使用するセメントは、何れの水硬性セメントでも良い。具体的には普通、早強、超早強、中庸熱、低熱等の各種ポルトランドセメント、高炉セメントやシリカセメント等の各種混合セメント、白色セメントやエコセメント等の特殊セメントを例示することができる。さらに、2種以上の異なるセメントを併用しても良く、その場合一方がアルミン酸カルシウムが主成分であるアルミナセメントであっても良い。
【0015】
本発明の高流動水硬性組成物に使用する減水剤は、特に限定されず、何れもモルタルやコンクリートに使用できる高性能減水剤、高性能AE減水剤、AE減水剤、分散剤、流動化剤と称されるものでも良く、また液体でも可溶性粉体からなる減水剤でも良い。このような減水剤の成分としては、例えばナフタレンスルホン酸ホルマリン高縮合物塩を有効成分とするもの、ナフタレンスルホン酸ソーダのホルマリン縮合物を有効成分とするもの、ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩ホルマリン重縮合物を有効成分とするもの、高縮合芳香族スルホン酸を有効成分とするもの、変性リグニンと高縮合芳香族スルホン酸複合体を有効成分とするもの、アルキルアリルスルホン酸を有効成分とするもの、アルキルアリルスルホン酸塩を有効成分とするもの、アルキルアリルスルホン酸高縮合物を有効成分とするもの、アルキルアリルスルホン酸塩高縮合物を有効成分とするもの、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物を有効成分とするもの、ナフタレンスルホン酸変性リグニン縮合物を有効成分とするもの、ナフタレンスルホン酸変性リグニン縮合物とリグニンを有効成分とするもの、変性リグニンとアルキルアリルスルホン酸と活性持続ポリマーの複合物を有効成分とするもの、ポリアルキルスルホン酸と反応性高分子を有効成分とするもの、アルキルアリルスルホン酸高縮合物とカルボキシル基含有多価ポリマーを有効成分とするもの、アルキルアリルスルホン酸塩変性リグニン共縮合物と変性リグニンを有効成分とするもの、リグニン誘導体とアルキルアリルスルホン酸塩を有効成分とするもの、ポリアルキルアリルスルホン系界面活性剤を有効成分とするもの、アルキルアリルスルホン酸ホルマリン縮合物を有効成分とするもの、ポリアルキルアリルスルホン酸化合物を有効成分とするもの、メラミンスルホン酸系縮合物を有効成分とするもの、メラミンスルホン酸系化合物を有効成分とするもの、メラミンスルホン酸系化合物とポリオール複合体を有効成分とするもの、高縮合トリアジン系化合物を有効成分とするもの、トリアジン環系高縮合物塩の界面活性剤を有効成分とするもの、メチロールメラミン縮合物を有効成分とするもの、変性メチロールメラミン縮合物を有効成分とするもの、変性メチロールメラミン縮合物とカルボン酸系化合物を有効成分とするもの、スルホン化メラミン高縮合物塩を有効成分とするもの、ポリカルボン酸又はその塩を有効成分とするもの等を挙げることができ、これら2種以上を併用しても良い。減水剤の含有量は、セメント100質量部に対し、固型分換算で0.02〜2質量部が好ましい。0.02質量部未満では高い流動性が得られないことがあり、また2質量部を超えると材料分離が生じたり、速硬性の発現が低下することがあるので適当ではない。
【0016】
また、本発明の高流動水硬性組成物は、好ましくは凝結遅延剤を含有する。特に、凝結遅延作用が殆ど無い減水剤を含有使用する場合は、安定した流動性を所望期間確保し続ける上で含有使用することが推奨される。凝結遅延剤は、モルタルやコンクリートに使用できるものなら何れのものでも良く、例えば、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、ヘプトン酸、リン酸、硼酸、リグニンスルホン酸又はこれらの塩類等を挙げることができる。凝結遅延剤のの含有量は、セメント100質量部に対し、0.02〜2質量部が好ましい。0.02質量部未満では含有効果が得られないことがあり、また2質量部を超えると材料分離が生じたり、凝結が遅延しすぎる虞があるので適当ではない。
【0017】
また、本発明の高流動水硬性組成物は、本発明の効果を実質喪失させない範囲で、前記の高流動水硬性組成物用速硬材、セメント及び減水剤以外の材料を含むものであっても良い。含有可能な材料として、例えば、何れもモルタルやコンクリートに使用できる膨張材、石膏、収縮低減剤、消泡剤、凝結促進剤、保水剤、防錆剤、白華防止剤、撥水剤、抗菌剤、ポゾラン反応性微粉、顔料、珪石粉、石灰石粉、ポリマーディスパージョン、再乳化粉末樹脂、繊維、骨材等を挙げることができる。
【0018】
また、本発明の高流動水硬性組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、モルタルやグラウトミキサーに使用材料を一括投入し、水を加えて混練すれば製造することができる。水の添加量は特に制限されないが、高流動性を得るためには、セメント100質量部に対し、概ね20〜100質量部が推奨される。これより少ない添加量では所望の高流動が得難くなることがあり、またこれより多い添加量では材料分離や強度発現性が低下することがある。
【実施例】
【0019】
以下、実施例により本発明を具体的に詳しく説明するが、本発明はここで表す実施例に限定されるものではない。
【0020】
<アルミン酸カルシウムの調整>
アルミン酸カルシウム源としてアルミナセメントクリンカ(主要化学成分含有質量として、Al23;52%、CaO;38%、SiO2;4%、Fe23;2%)を粉砕・分級し、10μm篩目通過分の粒子を採集した。この採集粒子を所定の強熱減量になるまで室内大気中に放置した後、密封容器に保管した。ここで、強熱減量の測定は、JIS R 2522「耐火物用アルミナセメントの化学分析方法」により行った。この手法により、強熱減量が2.2重量%、1.8重量%、1.1重量%及び0.6重量%の4種類の粒径10μm以下のアルミン酸カルシウムを調整した。該アルミン酸カルシウムを以下、A1(強熱減量2.2重量%のもの)、A2(強熱減量1.8重量%のもの)、A3(強熱減量1.1重量%のもの)及びA4(強熱減量0.6重量%のもの)で表す。また、同様の手法により、アルミナセメントクリンカ粉砕物で10μm篩目を通過できなかった篩上残留粒子も採集し、強熱減量が1.1重量%、0.8重量%、0.3重量%及び0.1重量%の4種類の粒径10μmを超えるアルミン酸カルシウムも調整した。該アルミン酸カルシウムを以下、A5(強熱減量1.1重量%のもの)、A6(強熱減量0.8重量%のもの)、A7(強熱減量0.3重量%のもの)及びA8(強熱減量0.1重量%のもの)で表す。
【0021】
<速硬材の作製>
前記アルミン酸カルシウムA1〜A8及び次に表すB1〜B2(何れも市販試薬)から選定される材料を、表1に表した配合量となるよう高速流動型混合容器に投入し、温度約20℃の環境下で1分間混合し、速硬材(本発明品S1〜S11、参考品S12〜S15)を作製した。
【0022】
B1;炭酸ナトリウム(水100gに対する20℃での溶解度;22g)
B2;炭酸カリウム(水100gに対する20℃での溶解度;112g)
【0023】
【表1】

【0024】
<速硬モルタルの作製>
前記作製した速硬材(S1〜S15)と次に表すC〜Jから選定される材料及び水を、表2に表した配合量となるように、先ずセメント(C)と細骨材(G)及び水をホバートミキサに投入し、温度約20℃下で1分間混練してベースモルタルを作製した。引き続き、速硬材を始めとする他の材料をこのベースモルタルに加え、さらに約1分間混練してモルタルを作製した。
【0025】
C;普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)
D;ポリカルボン酸系高性能減水剤(商品名「コアフローNF−200」、太平洋マテリアル株式会社製)
E;ナフタレンスルフォン酸系高性能減水剤(商品名「マイティ100」、花王株式会社製)
F;無水石膏(市販品)
G;細骨材(JIS R 5201で規定されたセメントの強さ試験用標準砂)
H;炭酸リチウム(市販試薬)
I;セルロースエーテル系増粘剤(商品名「90SH−4000」、信越化学工業株式会社製)
J;クエン酸(市販試薬)
【0026】
【表2】

【0027】
<モルタルの性状評価>
作製したモルタルについて、流動性、材料分離及び速硬性の評価を以下の方法で行った。
【0028】
<流動性の評価>
土木学会基準JSCE−F521−1999に準じた手法で、作製直後のモルタルのロート流下時間を20℃の恒温度に保った試験室内にて測定し、流動性の評価指標とした。その測定結果を表3に表す。
【0029】
<材料分離の評価>
土木学会基準JSCE−F532−1999に準じた手法で、作製したモルタルのブリーディング発生状況を目視で観察した。即ち、前記作製した速硬モルタルを20℃の温度に保った試験室内に静置し、速硬モルタル作製直後から1時間経過後までに、全くブリーディング発生が見られなかったものをでブリーディング発生「無し」と判断し、僅かでもブリーディング発生が見られたものをブリーディング発生「有り」と判断した。その結果を表3に表す。
【0030】
<速硬性の評価>
20℃の温度に保った試験室内で、作製した直後のモルタルを、内寸直径5cmで高さ10cmの円柱形型枠に充填して静置した。充填完了から5時間経過時点で型枠内のモルタル表面を指で強く押し、少しでも変形するものを「×」、変形しなかったものを「○」とした。その結果を表3に表す。
【0031】
【表3】

【0032】
表3の結果から、本発明の速硬材は、高い流動性のモルタルに使用しても、当該モルタルの流動性を殆ど低下させること無く、材料分離を十分抑制でき、かつ短時間で変形等が極めて起こり難い強固な硬化体が得られることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径10μm以下の粒子を含有してなるアルミン酸カルシウムを有効成分とする高流動水硬性組成物用速硬材であって、粒径10μm以下のアルミン酸カルシウムの強熱減量が1〜2重量%である高流動水硬性組成物用速硬材。
【請求項2】
アルミン酸カルシウムが粒径10μmを超える粒子を含有し、粒径10μmを超えるアルミン酸カルシウムの強熱減量が0.5重量%以下である請求項1記載の高流動水硬性組成物用速硬材。
【請求項3】
さらに、水100gに対する溶解度が2g以上である無機炭酸塩を含有する請求項1又は2記載の高流動水硬性組成物用速硬材。
【請求項4】
請求項1〜3何れか記載の高流動水硬性組成物用速硬材、セメント及び減水剤を含有してなる高流動水硬性組成物。
【請求項5】
さらに凝結遅延剤を含有してなる請求項4記載の高流動水硬性組成物。

【公開番号】特開2008−201605(P2008−201605A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37395(P2007−37395)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)
【Fターム(参考)】