説明

高清浄鋼の製造方法

【課題】非金属介在物を低減させた高清浄鋼の製造方法であるESR法により、比較的Si濃度の高い高清浄鋼を安定して製造する製造方法を提供する。
【解決手段】添加元素若しくは不純物元素としてs−Alを含み、少なくとも質量%で1.0〜2.0%のSiを含有する鋼種の製造方法であって、懸下した消耗電極5を金属鋳型2中の溶融スラグ6に上部から降下させていくとともに前記消耗電極5と前記金属鋳型2との間に通電し前記溶融スラグ6上面近傍で前記消耗電極5を溶解させこの溶滴を前記溶融スラグ6中を通過させてから前記金属鋳型2の底部近傍で捕捉して前記鋼種の鋼塊9を得るESR法において、前記溶融スラグ6上面近傍を少なくとも酸素を含む不活性ガスからなる混合ガスで置換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非金属介在物を低減させた高清浄鋼の製造方法に関し、特に、比較的Si濃度の高い高清浄鋼の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非金属介在物を低減させた高清浄鋼を得る製鋼技術として、ESR(Electro Slag Remelting)法が知られている。所定の成分組成を有する棒状の消耗電極を鍛造成形し、これを懸下して徐々に降下させながら金属鋳型中の溶融スラグの上部から浸漬させていく。このとき消耗電極と金属鋳型との間に通電すると、スラグ上面近傍で抵抗加熱により消耗電極の先端が溶解し、生じた溶滴が重力により溶融スラグ中を通過して金属鋳型の底部に堆積していく。溶滴は、溶融スラグ−溶融メタル反応により高清浄化されて堆積するため、高清浄鋼塊を得られるのである。
【0003】
かかるESR法では、一般的に、溶融スラグの酸化や、意図しないガス成分の溶融スラグへの取り込みを防止すべく、溶融スラグの上部に空気よりも重いアルゴンなどの不活性ガスを与えて、溶融スラグが直接、空気と接触しないようにしている。
【0004】
また、ESR法の1手法であるVSR(Vacuum electro Slag Remelting)法は、溶融スラグ上部を覆って外殻を形成し、これを気密空間にすることで該空間内の真空度を高められるように、若しくは、置換雰囲気を与えるとともにその雰囲気を精度良く制御できるようになっている。例えば、特許文献1にはこのような装置が開示されている。ここでは、真空度を100〜600Torrの範囲内に制御できて、スラグのボイリングを実質上生じさせない圧力条件を維持しながら製鋼処理を行なうことを述べている。
【0005】
ところで、製鋼技術においては脱酸工程が重要である。ESR法における脱酸は、主として、消耗電極に脱酸剤として添加されているSi成分の反応による。これについて特許文献2では、スラグ表面において、以下の溶融スラグ−溶融メタル反応:
【数1】

が平衡することから説明をしている。すなわち、溶融メタルとして溶解した消耗電極の溶滴のうち、Si成分は酸素と反応してSiOとなって溶融スラグ側に取り込まれていく。すると、溶滴においては上記反応式が左方向に進み、脱酸が進行するのである。すなわち、Si濃度が高い鋼種については比較的容易に低酸素化が達成可能である。他方、Si濃度が低い鋼種については、逆に低酸素化が困難である。
【0006】
これに対して、特許文献2では、低シリコン・低酸素鋼の製造方法について、ESRの装置全体を密封構造にしてその内部空間内を大気と遮断し、反応系の雰囲気を酸素遮断雰囲気にした上で、Si濃度を0.30重量%以下に調整した鋼種を消耗電極として再溶解し、Si濃度を0.30重量%以下、且つ、酸素濃度を0.002重量%以下に清浄化した低シリコン・低酸素鋼を得られることを開示している。かかるESR法は一種のVSR法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−302954号公報
【特許文献2】特開平7−233426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
熱間工具鋼の一種であり、Si濃度を0.3質量%以下としたDH31(商品名)の如きは、上記したようなESR法やVSR法により高清浄鋼塊を製造し得る。一方、DH31(商品名)よりもSi濃度を約1.0質量%と高くした鋼種では、同様にESR法やVSR法によって高清浄鋼塊を製造しようとしても、機械的特性にムラが生じ易く、特に、衝撃値についてのばらつきが大きくなり易かった。
【0009】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、非金属介在物を低減させた高清浄鋼の製造方法であるESR法により、比較的Si濃度の高い高清浄鋼を安定して製造する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、機械的特性のムラの原因が鋼塊中の粗大なアルミナ粒であることを突き止めた。鋼塊中のアルミニウムは目的をもって添加される以外にもスクラップを用いた場合にあっては不可避的に含まれてしまう。そこで、かかるアルミニウムによる粗大なアルミナ粒の生成を抑止するための方法を発案し、製造方法に導入した。
【0011】
すなわち、本発明による製造方法は、添加元素若しくは不純物元素としてs−Alを含み、少なくとも質量%で0.7〜2.0%のSiを含有する鋼種の製造方法であって、懸下した消耗電極を金属鋳型中の溶融スラグに上部から降下させていくとともに前記消耗電極と前記金属鋳型との間に通電し前記溶融スラグ上面近傍で前記消耗電極を溶解させこの溶滴を前記溶融スラグ中を通過させてから前記金属鋳型の底部近傍で捕捉して前記鋼種の鋼塊を得るESR法において、前記溶融スラグ上面近傍を少なくとも酸素を含む不活性ガスからなる混合ガスで置換することを特徴とする。
【0012】
かかる発明によれば、スラグ上面近傍を少なくとも酸素を含む不活性ガスからなる混合ガスで置換することで、添加元素若しくは不純物元素として含まれるs−Alを酸化させて溶融スラグ側に取り込み得るのである。故に、鋼塊中の粗大なアルミナ粒を抑制できて、比較的Si濃度の高い高清浄鋼を安定して製造できるのである。
【0013】
上記した発明において、前記溶融スラグの上部に閉塞空間を形成し、前記閉塞空間内を前記混合ガスで置換することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、スラグ上面近傍の不活性ガス中の酸素量を安定させ得るため、鋼塊中の粗大なアルミナ粒を確実に抑制でき、比較的Si濃度の高い高清浄鋼を安定して製造できるのである。
【0014】
上記した発明において、前記溶融スラグの上部を不活性ガスで置換するとともに前記閉塞空間内に酸素を与えることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、スラグ上面近傍の不活性ガス中の酸素量を容易に調整できて、鋼塊中の粗大なアルミナ粒を確実に抑制でき、比較的Si濃度の高い高清浄鋼を安定して製造できるのである。
【0015】
上記した発明において、前記溶融スラグの上部に気密空間を形成し、前記気密空間を真空引きした後に、前記混合ガスで置換することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、スラグ上面近傍の不活性ガス中の酸素量を容易に調整できて、鋼塊中の粗大なアルミナ粒を確実に抑制でき、比較的Si濃度の高い高清浄鋼を安定して製造できるのである。
【0016】
上記した発明において、前記鋼種は、質量%で、C:0.35〜0.42%、Si:0.80%〜1.20%、Mn:0.25〜0.50%、Cr:4.80〜5.50%、Mo:1.00〜1.50%、V:0.80〜1.15%、s−Al:0.007%以下を含有し、これ以外の不可避的不純物元素と残部Feとを含む成分組成を有することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、s−Alを確実に酸化させて溶融スラグ側に取り込み得て、鋼塊中の粗大なアルミナ粒を抑制できて、比較的Si濃度の高い高清浄鋼を安定して製造できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の製造方法で使用される製造装置を示す図である。
【図2】本発明の製造方法を示すフロー図である。
【図3】本発明の製造方法で使用される他の製造装置を示す図である。
【図4】本発明の製造方法を示す他のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施例1〕
本発明の1つの実施例による非金属介在物を低減させた高清浄鋼の製造方法であって、特に、比較的Si濃度の高い高清浄鋼の製造方法について説明する。まず、かかる製造方法において使用されるESR装置1(図1参照)について説明する。
【0019】
図1に示すように、ESR装置1は、水冷式の金属鋳型2と、これに接続される電源3と、電源3に接続される電極保持部4と、不活性ガス源10からバルブ11を介して金属鋳型2内の空間の上部に通じる不活性ガス供給路12とを備える。ESR装置1は、さらに、金属鋳型2の内部に消耗電極5を囲むように仕切板7を備えている。仕切板7によって、金属鋳型2の内部の空間は、上部の空間2aと下部の閉塞空間2bとに仕切られている。金属鋳型2には、さらに、酸素源13からバルブ14を介して閉塞空間2bに通じる酸素供給路15が接続されている。つまり、上記したように、ESR装置1は、通常のESR装置に仕切板7を新たに設け、これにより分割された上部の空間2aと下部の閉塞空間2bとに酸素の供給を可能としたものである。
【0020】
次に、上記したESR装置1を使用した高清浄鋼の製造方法について説明する。なお、本実施例での製造に適した鋼種は、添加元素若しくは不純物元素としてs−Alを質量%で0.007%以下の範囲内で含むとともに、少なくとも質量%で0.7〜2.0%のSiを含む鋼である。例えば、質量%で、C:0.35〜0.42%、Si:0.80%〜1.20%、Mn:0.25〜0.50%、Cr:4.80〜5.50%、Mo:1.00〜1.50%、V:0.80〜1.15%の成分組成を有するDHA1−A(商品名)などの鋼である。
【0021】
消耗電極5として使用する鋼は、上記した鋼種と同様の成分組成であり、精錬時の脱酸等の効果を考慮して微調整を行うことが好ましい。消耗電極5は、このような鋼からなる鍛造丸棒であるが、スクラップを原料として用いているため、不可避的にアルミニウムを含有している。そこで、得られる鋼塊の粗大なアルミナ粒の生成を容易に抑制できるよう、消耗電極5においてs−Alの含有量は質量%で0.010%以下とすることが好ましい。また、スラグには、例えば、CaF2、Al23、CaOなどを主成分とする一般的な塩基性スラグを用いることができる。本実施例においては、質量%で、CaF2:70%、Al23:30%のスラグを用いた。
【0022】
図2に図1を併せて参照すると、金属鋳型2の底部にスラグを載置する(S1)。電極保持部4から消耗電極5を懸下させ、その下端をスラグに接触させるように位置させる(S2)。
【0023】
これとともにバルブ11を開いて、金属鋳型2内の空間2a及び閉塞空間2bを不活性ガスでパージする。本実施例において、不活性ガスはアルゴンガスである。仕切板7と消耗電極5の間には隙間があるため閉塞空間2b内も不活性ガスによりパージされる。さらに、バルブ14を開いて、酸素を閉塞空間2b内に供給する。すなわち、閉塞空間2bを不活性ガスと所定の分圧を有する酸素との混合ガスでパージする(S3)。このように、仕切板7を設けることで閉塞空間2b内の酸素量を安定させ、酸素量の調整を容易とすることができる。なお、不活性ガス供給路12を閉塞空間2bに通じるようにして、閉塞空間2bに不活性ガスを供給してもよい。
【0024】
電源を投入して所定の電圧を消耗電極5とスラグとの間に印加させ、スラグをその抵抗加熱により溶融させる(S4)。これによって溶融した溶融スラグ6の抵抗加熱により消耗電極5の下端が溶解される。消耗電極5の溶解に伴い、消耗電極5を上部から徐々に降下させて、消耗電極5の先端を常に溶融スラグ6の表層近傍に浸漬させるように電極保持部4の位置を制御する(S5)。消耗電極5の溶解に伴い生成した溶滴は溶融スラグ6内を通過しつつ精錬される。精錬された溶滴は、溶融スラグ6の下側に形成される溶融プール8に捕捉され、その下端及び周囲から金属鋳型2に冷却されて凝固し、鋼塊9を徐々に形成する(S6)。
【0025】
かかる精錬において、空間2aは不活性ガスで満たされて大気に対して金属鋳型2内を遮断し、また閉塞空間2bは所定の分圧で酸素を含む混合ガスで満たされて溶融スラグ6の上面に所定量の酸素を供給できる。
【0026】
溶融スラグ6は、混合ガスから酸素を供給され、通過する溶滴に含まれるs−Alを酸化させて取込むことができる。これにより、不活性ガスでパージされている場合に比べて、より多くのs−Alを溶融スラグ6に取込むことができるので、鋼塊9の粗大なアルミナ粒の生成を抑制することができる。よって、鋼塊9の機械的特性、特に衝撃値を安定させることができて、比較的Si濃度の高い高清浄鋼を安定して製造できるのである。
【0027】
〔実施例2〕
続いて、本発明の他の実施例による非金属介在物を低減させた高清浄鋼の製造方法において使用されるVSR装置21について説明する。
【0028】
図3に示すように、VSR装置21は、水冷式の金属鋳型22と、これに接続される電源23と、電源23に接続される電極保持部24と、金属鋳型22の内部に密閉空間22aを形成するようその上部に固定されつつ電極保持部24の上下動を可能とする炉体上部22’とを備える。また、不活性ガス源30からバルブ31を介して密閉空間22aに通じるよう炉体上部22’に接続されるガス供給路32と、油回転ポンプ40及びルーツ形真空ポンプ41によりコントロールバルブ42及びダストセパレータ43を介して密閉空間22aを減圧する真空経路44を備える。ガス供給路32には、さらにバルブ34を介して酸素源33が接続されている。つまり、上記したように、VSR装置21は、減圧下でESRを行う通常のVSR装置において、酸素の供給を可能としたものである。
【0029】
次に、VSR装置21による鋼の製造方法について説明する。なお、本実施例での製造に適した鋼種は、添加元素若しくは不純物元素としてs−Alを質量%で0.007%以下の範囲内で含むとともに、少なくとも質量%で0.7〜2.0%のSiを含む鋼である。例えば、実施例1と同様にDHA1−A(商品名)などの高清浄鋼である。
【0030】
消耗電極25として使用する鋼は、上記した鋼種と同様の成分組成であり、精錬時の脱酸等の効果を考慮して微調整を行うことが好ましい。消耗電極25は、このような鋼からなる鍛造丸棒である。また、実施例1と同様に、消耗電極25においてs−Alの含有量は質量%で0.010%以下とすることが好ましい。また、実施例1と同様に、スラグには、例えば、CaF2、Al23、CaOなどを主成分とする一般的な塩基性スラグを用いることができる。本実施例においては、質量%で、CaF2:70%、Al23:30%のスラグを用いた。
【0031】
図4に図3を併せて参照すると、まず、金属鋳型22の底部にスラグを載置する(S1)。炉体上部22’をその内部を密閉するように金属鋳型22に固定した上で、電極保持部24から消耗電極25を懸下させ、その下端をスラグに接触させるように位置させる(S2)。
【0032】
続いて、コントロールバルブ42を通して油回転ポンプ40によって金属鋳型22の内部の密閉空間22aから空気を排出して減圧し、ルーツ形真空ポンプ41によりさらに減圧する(S3a)。
【0033】
続いてバルブ31を開いて、金属鋳型22内の密閉空間22aを不活性ガスでパージする。本実施例において、不活性ガスはアルゴンガスである。さらに、バルブ34を開いて、酸素を密閉空間22a内に供給し、密閉空間22aを不活性ガスと所定の分圧を有する酸素との混合ガスでパージする(S3b)。このように、一旦真空を引いた後に混合ガスでパージすることで、密閉空間22a内の酸素量の調整を容易とする。
【0034】
続いて、電源を投入して消耗電極25を溶解させて溶滴を生成させ、溶融スラグ26を通過する溶滴の精錬を行いつつ鋼塊29を形成させる(S4、S5、S6)。詳細については実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0035】
かかる精錬において、密閉空間22aは酸素を含む混合ガスで満たされて溶融スラグ26の上面に所定量の酸素を供給できる。
【0036】
溶融スラグ26は、混合ガスから酸素を供給され、通過する溶滴に含まれるs−Alを酸化させて取込むことができる。これにより、不活性ガスのみによりパージされている場合に比べて、より多くのs−Alを溶融スラグ26に取込むことができるので、鋼塊29において粗大なアルミナ粒の生成を抑制することができる。よって、鋼塊29の機械的特性、特に衝撃値を安定させることができて、比較的Si濃度の高い高清浄鋼を安定して製造できるのである。
【0037】
上記したような、比較的Si濃度の高い鋼種においては、溶融スラグ中において脱酸を速やかに進行できるが、これにより溶融スラグ中の溶融スラグ−溶融メタル反応に使用できる酸素が不足しがちである。混合ガスから積極的に溶融スラグに酸素を供給することで、不足しがちな溶融スラグ中の酸素を補い、溶融スラグを通過する溶滴中のs−Alを積極的に酸化させることができると考えられる。このようにして生成したアルミナはサイズが大きく、浮上しやすいため、溶融スラグに容易に取込むことができたものと考えられる。
【0038】
なお、溶融スラグに過剰に酸素を供給すると得られる鋼塊において酸化物を過剰に生成してしまい、一方で、少な過ぎるとs−Alを溶融スラグへ取り込む効果を得られなくなると考えられるため、混合ガスの酸素量は、適宜、調整される。
【0039】
また、酸素は予め不活性ガスと混合させた上で、閉塞空間2b又は密閉空間22aに供給するようにすることもできる。
【0040】
ここまで本発明による代表的実施例及びこれに基づく変形例について説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるだろう。
【符号の説明】
【0041】
1 ESR装置
5、25 消耗電極
6、26 溶融スラグ
9、29 鋼塊
13、33 酸素源
21 VSR装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
添加元素若しくは不純物元素としてs−Alを含み、少なくとも質量%で0.7〜2.0%のSiを含有する鋼種の製造方法であって、
懸下した消耗電極を金属鋳型中の溶融スラグに上部から降下させていくとともに前記消耗電極と前記金属鋳型との間に通電し前記溶融スラグ上面近傍で前記消耗電極を溶解させこの溶滴を前記溶融スラグ中を通過させてから前記金属鋳型の底部近傍で捕捉して前記鋼種の鋼塊を得るESR法において、前記溶融スラグ上面近傍を少なくとも酸素を含む不活性ガスからなる混合ガスで置換することを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記溶融スラグの上部に閉塞空間を形成し、前記閉塞空間内を前記混合ガスで置換することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記溶融スラグの上部を不活性ガスで置換するとともに前記閉塞空間内に酸素を与えることを特徴とする請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
前記溶融スラグの上部に気密空間を形成し、前記気密空間を真空引きした後に、前記混合ガスで置換することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
前記鋼種は、質量%で、
C:0.35〜0.42%、
Si:0.80%〜1.20%、
Mn:0.25〜0.50%、
Cr:4.80〜5.50%、
Mo:1.00〜1.50%、
V:0.80〜1.15%、
s−Al:0.007%以下を含有し、これ以外の不可避的不純物元素と残部Feとを含む成分組成を有することを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つからなる製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−44046(P2013−44046A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184725(P2011−184725)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000003713)大同特殊鋼株式会社 (916)
【Fターム(参考)】