説明

高温プロトン交換膜燃料電池において用いるためのポリマーブレンドを含むプロトン交換膜

プロトン交換膜燃料電池におけるプロトン交換膜Mの使用に関し、当該プロトン交換膜Mは、(1)ポリベンズイミダゾールポリマーPBIのモノマー単位の合計量に基づいて少なくとも90モル%の化学式(I)および/または(II)で示されるモノマー単位Uを、重合状態で含んでなる少なくとも一種のポリベンズイミダゾールポリマーPBI
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[化2]


(式中、YはOおよびSから選択される置換元素、またはYは炭素間単結合であり、Zは、二価C−C10アルカンジイル、二価C−C10アルケンジイル、二価C−C15アリール、二価C−C15ヘテロアリール、二価C−C15ヘテロシクリル、二価C−C19アリールスルホンおよび二価C−C19アリールエーテルからなる群より選択され、ポリベンズイミダゾールポリマーPBI中のモノマー単位Uの合計量は、約100〜約10000である。)と、(2)スルホン化ポリマーSPのモノマー単位の合計量に基づいて少なくとも50モル%のモノマー単位U’を、重合状態で含み、モノマー単位U’の少なくとも一つは少なくとも一つの基−SOHを有する少なくとも一種のスルホン化ポリマーSPと、のブレンドを含み、前記プロトン交換膜M(膜Mは、水を実質的に含まず、インピーダンス法で測定した100℃以上、好ましくは100〜250℃の範囲の温度におけるプロトン伝導性が少なくとも10−5S/cmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロトン交換膜燃料電池、特に高温ポリマー電解質膜燃料電池(PEMFC)および直接メタノール型燃料電池(DMFC)において用いるための、ポリベンズイミダゾールポリマーを含んでなるプロトン交換膜、およびそのようなプロトン交換膜を製造する方法に関する。本発明は、さらに、そのようなプロトン交換膜を含んでなるプロトン交換膜燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料(例えば、水素またはメタノール)と酸素含有気体との化学反応を介して電力を発生させる効率的装置である。燃料電池は、燃料電池において用いられる電解質に従って分類することができる。燃料電池のタイプとしては、ポリマー電解質膜燃料電池(PEMFC、直接メタノール型燃料電池(DMFC)を含む)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)および固体酸化物型燃料電池(SOFC)が挙げられる。燃料電池の作用温度およびそれらの構成材料は、電池において用いられる電解質のタイプにより変わる。
【0003】
基本的PEMFCおよびDMFCは、アノード(燃料電極)、カソード(酸化剤電極)、およびアノードとカソードとの間に介在するポリマー電解質膜(以下、プロトン交換膜とも呼ぶ)を含む。アノードは、燃料の酸化を促進するための触媒層を含み、カソードは、酸化剤の還元を促進するための触媒層を含む。アノードに供給することができる燃料としては、例えば水素、水素含有気体、メタノール蒸気と水蒸気との混合物、およびメタノール水溶液が挙げられる。カソードに供給される酸化剤としては、例えば酸素、酸素含有気体および空気が挙げられる。
【0004】
ポリマー電解質膜は、アノードからカソードへのプロトンの移動のためのイオン導電体として作用し、アノードとカソードとの接触を防ぐための隔離板としても作用する。従って、ポリマー電解質膜は、特性として、充分なイオン伝導性、電気化学的安全性、高い機械的強度、および燃料電池の動作温度での熱安定性を含むべきであり、容易に薄層に形成されるべきである。
【0005】
最新式のPEMFCおよびDMFC技術は、電解質としてのスルホン化ポリマー膜(例えば、Nafion(登録商標))に基づく。スルホン化ポリマーは、通常、高い相対湿度および低い温度において、優れた化学的安定性およびプロトン伝導性を示す。しかし、液状水の存在は、PEMFCおよびDMFCの動作温度を大気圧下に100℃未満、典型的には約80℃に制限する、何故なら、プロトンはスルホン化ポリマー膜において液状水(プロトン溶媒)の支援により伝導されるからである。さらに、PEMFCおよびDMFCの両方について、材料(すなわち、貴金属触媒およびパーフルオロスルホン酸膜)の費用、および従来のエネルギー転換システムに対して現在では高い関連システムの費用といった不利益を有する。さらに、DMFCは、現在、ポリマー電解質膜を通過するメタノール交差、およびPt系アノード触媒上での低温における乏しいメタノール電気的酸化動態に悩まされている。
【0006】
低温PEMFCおよびDMFC技術に関わる欠陥の大部分が、高温、すなわち、特に100℃超の温度において動作することにより部分的に解決または回避できることが予測される。可能性のある利点には以下のものがある:(1)両方の電極反応について動態が向上しており、これはDMFCにおけるメタノールの直接酸化に特に重要であること;(2)CO許容性が向上しており、それにより、燃料加工システムから関連成分を除去し得るように、PEMFCが、単純改質装置からの水素を直接用いることが可能になること;(3)高い動作温度(水沸点を超える)および燃料電池スタックと冷却剤の間の増大した温度勾配に起因する、単純な冷却および水管理システム;それにより、全システム効率が著しく改良されること。さらに、高温PEMFC技術の可能性のある利点として、高い信頼性、少ないメンテナンス、およびより優れた過渡応答性能も期待することができる。
【0007】
PEMFCの動作温度を100℃以上に上げるために、PEMFCに加湿装置を提供する方法および加圧条件下に動作する方法を含む種々の方法が提供されてきた。PEMFCを加圧条件下に動作させる場合、水の沸点が上昇し、それにより動作温度を上げることができる。しかし、加圧システムまたは加湿装置の使用は、PEMFCの寸法および重量を増加させ、発電システムの効率を低下させる。
【0008】
結果、加湿することなく高温(典型的には100〜200℃)で満足できる伝導性を維持するプロトン伝導性膜を利用することができれば、熱電併給定置式発電設備および電気自動車にとって非常に興味深いPEMFCおよびDMFCが実現するだろう。
【0009】
高い温度(典型的には100℃以上、例えば100〜200℃)におけるスルホン化ポリマー膜の乏しいプロトン伝導性は、主に、水(プロトン溶媒として作用する)の損失による。従って、高温PEMFCおよびDMFC動作に適したスルホン化ポリマー膜(プロトンドナーとして作用する)への実行可能な手段は、例えば、水と同様にプロトン溶媒(プロトンアクセプター)として作用し得る不溶性かつ不揮発性の材料をスルホン化ポリマー膜に提供することである。水以外の最も効果的なプロトン溶媒は、プロトンドナー基(NH)およびアクセプター基(N)の両方を含むイミダゾール(Im)である。Imのプロトン輸送のための機構を以下に示す。
【0010】
[化14]

【0011】
しかし、高温での比較的高い揮発性および低い熱酸化安定性以外に、これらの低分子量Im化合物(例えば、イミダゾール、アルキルイミダゾール、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールスルホン酸)のもう一つの欠点は、それらの水およびメタノールへの溶解性が高いことである。結果、膜から浸出して触媒を毒し、それにより、低温動作温度であれ高温動作温度であれ、実用的燃料電池用途が不可能になる。
【0012】
本質的に不溶性で、熱酸化安定性で不揮発性のIm含有ポリマーが膜材料として用いられるとすれば、この分野で最も新しい技術は、その化学的構造が以下に示されるポリベンズイミダゾール(PBI;ヘキスト・セラニーズ(Hoechst Celanese)社製のCelazole(登録商標)に基づく。
【0013】
[化15]

【0014】
PBIは水不溶性ポリマーであり、ポリマー鎖中にIm環を含む。PBIの優れた化学的および熱的安定性により、高温燃料電池における適用が容易になる。PBIおよび関連ポリマーの概要については、例えば、非特許文献1を参照されたい。
【0015】
PBIをスルホン化官能膜に導入するもう一つの手段が、非特許文献2に提案されている。この参考文献において、スルホン化ポリマー(Nafion(登録商標))に、8重量%までの水準でPBIがブレンドされている。この手段は、主に、膜の水膨潤を低下させることを意図していた。すなわち、PBIは、Nafion(登録商標)膜のメタノール透過性を低下させるための充填剤として用いられる。プロトン伝導性の測定は、充分に加湿された状態で室温にて行われた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Deborah J. Jones and Jacques Roziere, J. Membrane Science, Vol. 185, Issue 1, 2001,pages41-58
【非特許文献2】R. Wycisk et al., J. of Power Sources, Vol. 163, No. 1, 2005, p. 9-17
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の目的は、従来技術の欠点を少なくとも部分的に克服する、100℃以上の高温で優れたプロトン伝導性を有するPBI系膜を提供することにある。そのようなポリマー電解質膜/プロトン交換膜は、プロトン交換膜燃料電池、特に高温ポリマー電解質膜燃料電池(PEMFC)および直接メタノール型燃料電池(DMFC)において用いるための薄層に容易に形成されるべきである。さらに、膜の特性は、燃料電池の動作温度における高い機械的強度および/または熱安定性を含むべきである。もう一つの局面は、充分な電気化学的安全特性が必要とされることである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的は、100℃以上の温度、低いまたは非常に低い含水量、または膜が実質的に水を含まない状態で動作可能なプロトン交換膜燃料電池において用いるための、少なくとも一種のポリベンズイミダゾールポリマーPBIおよびスルホン化ポリマーSP、および場合により電子不足化合物(アニオンアクセプター)BCのブレンドを含んでなるプロトン交換膜により解決される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を、一般的および特定の態様を参照して、以下により詳しく説明する。しかし、本発明は多くの異なる形態で具体化してよく、ここに記載の態様に限定されると解すべきでない。むしろ、これらの態様は、開示を徹底し、本発明の範囲を当業者に充分に伝えるように提供される。本発明のさらなる特徴を、以下の記載において提示するが、部分的には記載から明らかである、または本発明の実施により学び得る。前記一般的記載および以下の詳細な説明は、例示的かつ説明的であり、特許請求されている本発明をさらに説明するために提供されていると解すべきである。
【0020】
従って、第一の局面において、本発明は、プロトン交換膜燃料電池におけるプロトン交換膜Mの使用に関し、当該プロトン交換膜Mは、
(1)ポリベンズイミダゾールポリマーPBIのモノマー単位の合計量に基づいて少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%および特に好ましくは少なくとも99モル%の化学式(I)および/または化学式(II)で示されるモノマー単位Uを、重合状態で含んでなる少なくとも一種のポリベンズイミダゾールポリマーPBIと、
(2)スルホン化ポリマーSPのモノマー単位の合計量に基づいて少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも75モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%およびより特に好ましくは少なくとも99モル%のモノマー単位U’を、重合状態で含み、モノマー単位U’の少なくとも一つは少なくとも一つの基−SOHを有する少なくとも一種のスルホン化ポリマーSPと、のブレンドを含み、
前記プロトン交換膜Mは、水を実質的に含まず、特にK. Uosaki et al., J. Electroanal. Chem., Vol. 287(1990), 163-167に記載のインピーダンス法で測定した100℃以上、好ましくは100〜250℃の範囲およびより好ましくは100〜200℃の範囲の温度におけるプロトン伝導性が少なくとも10−5S/cm、好ましくは少なくとも2×10−5S/cmおよび最も好ましくは少なくとも5×10−5S/cmである。
【0021】
[化16]

【0022】
[化17]

【0023】
式中、YはOおよびSから選択される置換元素、またはYは炭素間単結合;好ましくはYはOまたは炭素間単結合であり、Zは、二価C−C10アルカンジイル、好ましくはC−Cアルカンジイルおよびより好ましくはC−Cアルカンジイル;二価C−C10アルケンジイル、好ましくはC−Cアルケンジイルおよびより好ましくはC−Cアルケンジイル;二価C−C15アリール、好ましくはC−C12アリール;二価C−C15ヘテロアリール、好ましくはC−C12ヘテロアリール;二価C−C15ヘテロシクリル、好ましくは二価C−C12ヘテロシクリル;二価C−C19アリールスルホン、好ましくはC−C12アリールスルホン;および二価C−C19アリールエーテル、好ましくはC−C12アリールエーテルからなる群より選択され、ポリベンズイミダゾールポリマーPBI中のモノマー単位Uの合計量は、約100〜約10000である。
【0024】
本発明の膜Mは高温、即ち100℃超の温度での動作に適用されるため、低温PEMFCおよびDMFC技術に関わる欠点の大部分を部分的に解決または回避することができる。確実な利点を以下にあげる。
(1)両方の電極反応について動態が向上しており、DMFCにおけるメタノールの直接酸化に特に重要である。
(2)CO許容性が、80℃におけるCOの10−20ppmから130℃における1000ppmに、および200℃における30000ppmまで劇的に向上する。この高いCO許容性により、燃料加工システムから関連成分を除去し得るように、PEMFCが、単純改質装置からの水素を直接用いることが可能になる。
(3)燃料電池スタックと冷却剤の間の温度勾配が大きいために、必要な冷却システムが単純で実施可能である。さらに、動作温度が水の沸点を超えているため、水管理システムが必要無い。
このように、全システム効率が著しく向上している。高い信頼性、少ないメンテナンス、およびより優れた過渡応答性能が、高温PEMFC技術のさらなる利点である。
【0025】
理論に拘泥されないが、高温(100℃以上)における本発明による膜Mの良好なプロトン伝導性は、膜M中に用いられるポリベンズイミダゾールポリマーPBIとスルホン化ポリマーSPとの特定の相互作用に起因し得ると考えられる。すなわち、この種のポリマーブレンド膜は、プロトンドナー基(スルホン酸基)およびプロトンアクセプター基(Im環)両方を有するため、水無しでプロトンを伝導することができると考えられる。さらに、プロトン伝導性は、電子不足化合物、特に電子不足ホウ素化合物BCをそのようなブレンド材料に添加することにより著しく向上させることができる。原理上、この種のPBI−SP膜またはPBI−SP−BC膜は、それぞれ、水の存在無しに高温で動作するPEMFCおよびDMFC用の膜として作用すべきである。何故なら、本発明の著者は、膜Mが実質的に水を含まない条件下で高温(100℃以上)にて良好なプロトン伝導性を示す本発明による膜Mを提案しているからである。
【0026】
前記理論(「プロトンドナー−プロトンアクセプター」概念と呼んで良い)に基づく可能なプロトン伝導機構を、スルホン化ポリマーの例としてNafion膜を用いる以下の化学式に示す。
【0027】
[化18]

【0028】
無水条件下にPBIがブレンド膜中、プロトン溶媒として作用すると、水和Nafionの水和領域と同様に、電荷を効果的に分離することにより、キャリアの移動性がさらに向上するはずである。結果、より「自由な」プロトンが、ベンズイミダゾール環を通過して伝導されるだろう。−SO−基は電子に富む基でありルイス塩基として作用し得るため、ルイス酸として作用し得る電子不足化合物(すなわちアニオンレセプター)を用いて複合膜材料を作る手法により前記ブレンド膜の全プロトン伝導性の向上が実現可能である。
【0029】
ホウ素系電子不足化合物を取り込んだ後の、可能なプロトン伝導機構を、スルホン化ポリマーの例としてNafion(登録商標)膜をホウ素系電子不足化合物の例として(CB(トリ(パーフルオロフェニレン)ホウ素、TPFPB)を用いて以下の化学式に示す。
【0030】
[化19]

【0031】
前記式および以下の式において用いられる変数の定義としては、通常、それぞれの置換基を表す一般名称が挙げられる。
【0032】
用語C−Cにおいて、nおよびmは、それぞれ、置換基の各々におけるまたはそのような置換基の特定部分における炭素原子の可能な数を示す。
【0033】
「二価」という用語は、それぞれの基または部分、例えば、二価アルカンジイルおよび二価アリールアルキルが、2つの区別できる(すなわち異なる)分子部位に前記基または部分を結合させるために利用可能な2の価数を有することを表している。例として、前記化学式(I)の部分−Z−において、−Z−は例えば二価アルカンジイル、すなわち、2つの炭素間単結合により2つの区別できる分子部位に共有結合されるアルキル基であり得る。この場合、「2つの区別できる分子部位」は、(1)化学式(I)で示される第1の単量体単位のベンズイミダゾール環系の2つの窒素原子間の炭素原子と、(2)前記第1の単量体単位に隣接している化学式(I)で示される第2の単量体単位のベンズイミダゾール環系の2つの窒素原子の間の炭素原子である。
ここで、「アルカンジイル」、「二価アルカンジイル」および「二価アルキル」という用語は同意語として用いられ、各々の場合、ここで定義される「二価」の意味を有することに注目すべきである。(二価)ハロアルカンジイル、(二価)アルケンジイル、二価アリール(アリーレンジイルとも呼ぶ)、二価アリールアルキル、二価ヘテロアリール(ヘテロアリーレンジイルとも呼ぶ)、二価アリールスルホン(アリーレンジイルスルホンとも呼ぶ)および二価アリールエーテルを含む、「二価」と定義される他の基および/または部分も同様である。
【0034】
ハロゲン:フッ素、塩素、臭化物およびヨウ化物、特にフッ素、塩素および臭化物、特別にフッ素。
【0035】
アルキル、およびアルキルアリールおよびアルキルスルトンにおけるアルキル基:1〜10個、例えば、2、4、6または8個の炭化水素原子を有する飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基、例えば、C−C10アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、n−オクチル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−ノチル、n−デシル等。
【0036】
ハロゲンアルキル(以下、ハロアルキルと呼ぶ):1〜10個、例えば、2、4、6または8個の炭化水素原子を有する飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基、特に、先に定めたハロゲン原子により前記基の水素原子が完全にまたは部分的に置換されていてよい先に定めたアルキル基:例えば、C−C10ハロアルキル、特にC−C10フルオロアルキル、例えば、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロ−2−フルオロエチル、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロプロプ−2−イル等。
【0037】
アルカンジイル:先に定義したアルキル基のように1〜10個、例えば、2、4、6または8個の炭化水素原子を有する飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基、ここで、(二価)アルカンジイル基は、2つの炭素間単結合を介して2つの区別できる(すなわち、異なる)分子部位に前記基または部分を共有結合させるのに利用可能な2の価数を有する;例えば、C−C10アルカンジイル、例えば、メタンジイル、エタンジイル、n−プロパンジイル、1−メチルエタンジイル、n−ブタンジイル、1−メチルプロパンジイル、2−メチルプロパンジイル、1,1−ジメチルエタンジイル、n−ペンタンジイル、1−メチルブタンジイル、2−メチルブタンジイル、3−メチルブタンジイル、2,2−ジメチルプロパンジイル、1−エチルプロパンジイル、n−ヘキサンジイル、1,1−ジメチルプロパンジイル、1,2−ジメチルプロパンジイル、1−メチルペンタンジイル、2−メチルペンタンジイル、3−メチルペンタンジイル、4−メチルペンタンジイル、1,1−ジメチルブタンジイル、1,2−ジメチルブタンジイル、1,3−ジメチルブタンジイル、2,2−ジメチルブタンジイル、2,3−ジメチルブタンジイル、3,3−ジメチルブタンジイル、1−エチルブタンジイル、2−エチルブタンジイル、1,1,2−トリメチルプロパンジイル、1,2,2−トリメチルプロパンジイル、1−エチル−1−メチルプロパンジイル、1−エチル−2−メチルプロパンジイル、n−ヘプタンジイル、2−メチルヘキサンジイル、3−メチルヘキサンジイル、n−オクタンジイル、2−メチルヘプタンジイル、3−メチルヘプタンジイル、n−ノナンジイル、n−デカンジイル等。
【0038】
ハロゲンアルカンジイル(以下、ハロアルカンジイルと呼ぶ):1〜10個、例えば、2、4、6または8個の炭化水素原子を有する飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基、ここで、アルカンジイル基は、2つの炭素間単結合を介して2つの区別できる(すなわち、異なる)分子部位に前記基または部分を共有結合させるのに利用可能な2の価数を有する;特に、先に定めたハロゲン原子により前記基の水素原子が完全にまたは部分的に置換されていてよい先に定めたアルカンジイル基:例えば、C−C10ハロアルキル、特にC−C10フルオロアルキル、例えば、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロ−メチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロ−2−フルオロエチル、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロプロプ−2−イル等。
【0039】
アルケンジイル:2〜10個、例えば、2〜4個、2〜6個または2〜8個の炭素原子、および炭素原子の鎖の任意の位置に炭素間二重結合を有するモノエチレン性不飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素基:例えば、C−C10アルケンジイル、例えば、エテンジイル、プロペンジイル、1−メチルエテンジイル、1−ブテンジイル、2−ブテンジイル、1−ペンテンジイル、2−ペンテンジイル、3−ペンテンジイル、1−ヘキセンジイル、2−ヘキセンジイル、3−ヘキセンジイル、1−ヘプテンジイル、2−ヘプテンジイル、3−ヘプテンジイル、1−オクテンジイル、2−オクテンジイル、3−オクテンジイル、4−オクテンジイル等。
【0040】
アリール:6〜15個の環員炭素原子、特に6〜12個の環員炭素原子を有する芳香族炭化水素:単、二または三環式、特に、単または二環式炭化水素基であり、前記芳香族環式基は、特に、フェニルおよびビフェニルを含む。
【0041】
アリールアルキル:7〜15個の炭素原子を有し、そのうち6〜12個が環員炭素原子である先に定義したアリール基、ここで、芳香環は、1個以上、例えば、1、2または3個、特に1個の先に定義したアルキル基で置換されている;例えば、C−Cアルキル、特に直鎖C−Cアルキル、例えば、メチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニルおよびブチルフェニル。
【0042】
5〜15個の環員原子を有するヘテロ環、特に、5−または6−員ヘテロ環:窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む単、二または三環式、特に、単または二環式炭化水素基;不飽和(ヘテロシクリル)には、部分的不飽和、例えば、モノ不飽和および芳香族(ヘテロアリール)が含まれ;前記ヘテロ環としては、特に、下記のものが挙げられる:
1、2、3または4個の窒素原子または1、2または3個の窒素原子および1個の硫黄または酸素原子を含む5員ヘテロアリール:炭素原子に加えて、1、2、3または4個の窒素原子または1、2または3個の窒素原子および1個の硫黄または酸素原子を環員として含んでよい5員ヘテロアリール基、例えば、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,2,3−トリアゾール−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、テトラゾリル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イルおよび1,3,4−トリアゾール−2−イル;
1、2、3または4個の窒素原子を含む6−員ヘテロアリール:炭素原子に加えて、1、2、3または4個のまたは1、2または3個の窒素原子を環員として含んでよい6−員ヘテロアリール基、例えば、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,2,3−トリアジニル、1,3,5−トリアジン−2−イルおよび1,2,4−トリアジン−3−イル;
1、2、3または4個の窒素原子または1、2または3個の窒素原子および1個の硫黄または酸素原子を含む5−および6−員ヘテロシクリル:3−ピラゾリジニル、4−ピラゾリジニル、5−ピラゾリジニル、2−ピロリジン−2−イル、2−ピロリジン−3−イル、3−ピロリジン−2−イル、3−ピロリジン−3−イル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、ピリジン(1,2−ジヒドロ)−2−オン−1−イル、2−ピペラジニル、1−ピリミジニル、2−ピリミジニル、モルホリン−4−イルおよびチオモルホリン−4−イル。
【0043】
アリールスルホン:6〜19個の炭素原子、特に、6〜12個の炭素原子を有すると共に少なくとも1個、例えば、1または2個、特に、1個のスルホン基−SOを有する、ここに先に定義されたアリール基(またはアリールアルキル基)、例えば、フェニルスルホン。
【0044】
アリールエーテル:6〜19個の炭素原子、特に、6〜12個の炭素原子を有すると共に少なくとも1個、例えば、1または2個、特に1個のエーテル基−O−を含む、ここに先に定義されたアリール基(またはアリールアルキル基)、例えば、ジフェニルエーテル。
【0045】
通常、ポリベンズイミダゾールポリマーPBIは、例えばメチル、エチルまたはプロピルといった低級アルキル基のようなポリマー鎖を終結させる末端基を除きポリベンズイミダゾールポリマーPBI中のモノマー単位の合計量に基づいて0〜約100モル%の範囲、特に5〜95モル%の範囲、より特に10〜90モル%の範囲および最も特に20〜80モル%の範囲の化学式(I)で示されるモノマー単位Uを、重合状態で含んでよい。ここで、化学式(I)で示されるモノマー単位Uは、先に定義されたような部分YまたはZ、特に部分Yにより互いに結合されていてよい。
【0046】
通常、ポリベンズイミダゾールポリマーPBIは、例えばメチル、エチルまたはプロピルといった低級アルキル基のようなポリマー鎖を終結させる末端基を除きポリベンズイミダゾールポリマーPBI中のモノマー単位の合計量に基づいて0〜約100モル%の範囲、特に5〜95モル%の範囲、より特に10〜90モル%の範囲および最も特に20〜80モル%の範囲の化学式(II)で示されるモノマー単位Uを、重合状態で含んでよい。ここで、化学式(II)で示されるモノマー単位Uは、先に定義されたような部分YまたはZ、特に部分Yにより互いに結合されていてよい。
【0047】
一つの態様において、ポリベンズイミダゾールポリマーPBIは、ポリベンズイミダゾールポリマーPBI中のモノマー単位の合計量に基づいて少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%、より好ましくは少なくとも99モル%および特に好ましくは少なくとも99.9モル%の化学式(I)で示されるモノマー単位Uを、重合状態で含んでよい。この場合、ポリベンズイミダゾールポリマーPBIは、例えばメチル、エチルまたはプロピルといった低級アルキル基のようなポリマー鎖を終結させる末端基は別として、化学式(I)で示されるモノマー単位Uから本質的になる。この態様において、化学式(I)で示されるモノマー単位Uは、先に定義されたような部分YまたはZ、特に部分Yにより互いに結合されていてよい。
【0048】
もう一つの態様において、ポリベンズイミダゾールポリマーPBIは、ポリベンズイミダゾールポリマーPBI中のモノマー単位の合計量に基づいて少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%、より好ましくは少なくとも99モル%および特に好ましくは少なくとも99.9モル%の化学式(II)で示されるモノマー単位Uを、重合状態で含んでよい。この場合、ポリベンズイミダゾールポリマーPBIは、例えばメチル、エチルまたはプロピルといった低級アルキル基のようなポリマー鎖を終結させる末端基は別として、化学式(II)で示されるモノマー単位Uから本質的になる。
【0049】
もう一つの好ましい態様において、Zは、二価C−Cアルカンジイル、例えば、ブタンジイル、ペンタンジイル、ヘキサンジイル、ヘプタンジイルおよびオクタンジイル、より好ましくは直鎖C−Cアルカンジイル;二価C−Cアルケンジイル、より好ましくはC−Cアルケンジイル、特にエテニルおよびプロペニル;二価C−C12アリール、特にフェニル基およびジフェニル基;二価C−C12ヘテロアリール、より好ましくはC−Cヘテロアリール、特にイミダゾール基およびピリジン基;二価C−C12ヘテロシクリル、より好ましくはC−Cヘテロシクリル、特にピペリジン基;二価C−C15アリールスルホン、より好ましくはC−C12アリールスルホン、特にフェニルスルホンおよびジフェニルスルホン;二価C−C15アリールエーテル、より好ましくはC−C12アリールエーテル、特にフェニルエーテルおよびジフェニルエーテルからなる群より選択される。
【0050】
本発明の特に好ましい態様において、Zは、フェニレン、ピリジレン、フリレン、ナフタレン、ビフェニレン、アミレンおよびオクタメチレンからなる群より選択される。
【0051】
本発明の非常に特に好ましい態様において、ポリベンズイミダゾールポリマーPBIは、ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−(ピリジレン−3”,5”)−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−(フリレン−2”,5”)−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−(ナフタレン−1”,6”)−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−(ビフェニレン−4”,4”)−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−アミレン−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−オクタメチレン−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,6’−(m−フェニレン)−ジイミダゾベンゼン、ポリ−(1−(4,4−ジフェニルエーテル)−5−オキシベンズイミダゾール)−ベンズイミダゾール、ポリ−(1−(2−ピリジン)−5−オキシベンズイミダゾール)−ベンズイミダゾール、ポリ−(3−(4−(6−(1−ベンズイミダゾール−5−イルオキシ)−1−ベンズイミダゾール−2−イル)フェニル)−3−フェニルイソベンゾフラン−1(3H)−オン)およびポリベンズイミダゾールから選択される。
【0052】
好ましくは、スルホン化ポリマーSPは、スルホン化ポリマーSP中のモノマー単位の合計量に基づいて少なくとも99.9モル%のモノマー単位U’を、重合状態で含む。この場合、スルホン化ポリマーSPは、例えばメチル、エチルまたはプロピルといった低級アルキル基のようなポリマー鎖を終結させる末端基は別として、モノマー単位U’から本質的になる。
【0053】
もう一つの好ましい態様において、スルホン化ポリマーSPのモノマー単位U’は、下記の基(A)(B)(C)からなる群より選択される二価の基を少なくとも1個、好ましくは1〜30個、より好ましくは1〜5個含む:
(A)二価C−C10アルカンジイル、好ましくはC−Cアルカンジイルおよびより好ましくはC−Cアルカンジイル;二価C−C10アルケンジイル、好ましくはC−Cアルケンジイルおよびより好ましくはC−Cアルケンジイル;
(B)二価C−C15アリール、好ましくはC−C12アリールおよびより好ましくはC−C10アリール;および
(C)二価C−C10シクロアルカンジイル、好ましくはC−Cシクロアルカンジイル;二価C−C10シクロアルケンジイル、好ましくはC−Cシクロアルケンジイル;
(ここで、2個超の炭素原子を有する二価の基A、BおよびCのアルキルまたはアルケニル基は、炭素原子のアルキルまたはアルケニル鎖中に、OおよびSから選択されるヘテロ原子または基−NR−(Rは水素またはC−C11アルキルである)を含んでいてよく、
ここで、二価の基A、BおよびCのシクロアルキル、シクロアルケニルまたはアリール基は、環員原子として、O、SおよびNから各々独立して選択されるヘテロ原子好ましくはNを、1、2、3または4個、好ましくは1、2または3個およびより好ましくは1または2個含んでいてよく、
ここで、二価の基A、BおよびCの定義の前記脂肪族、脂環式、ヘテロ環式および芳香族基は、フッ素により部分的または完全にハロゲン化されていてよい、および/または、同一または異なってよい置換基Lを1、2、3または4個、好ましくは1、2または3個およびより好ましくは1または2個有していてよく、
ここで、Lは、ヒドロキシル;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−C12アリール、好ましくはC−C10アリール、より好ましくはC−Cアリール;C−C12ヘテロアリール、好ましくはC−C10ヘテロアリール、より好ましくはC−Cヘテロアリールからなる群より選択され、Lはフッ素により部分的または完全にハロゲン化されていてよく、Lは二価架橋基−O−により結合されていてよく、2つの近接置換基Lは一緒になって(=O)または(=S)を構成してよく、
ここで、スルホン化ポリマーSPの同じモノマー単位U’にまたは隣接モノマー単位U’に属する2つの隣接二価基A、Bおよび/またはCは、炭素間単結合により、または−O−、−S−、−(C=O)−、−(C=O)O−、−O(C=O)−および−S(=O)−からなる群より選択される二価の架橋基により互いに共有結合されてよい。この態様において、スルホン化ポリマーSPのモノマー単位U’は、好ましくは、少なくとも一つの基−SOHを含む。)。
【0054】
本発明の特に好ましい態様において、スルホン化ポリマーSPのモノマー単位U’は、下記の基(A)(B)からなる群より選択される二価の基を1、2、3、4または5個含む:
(A)二価C−C10アルカンジイル、好ましくはC−Cアルカンジイルおよびより好ましくはC−Cアルカンジイル;および
(B)二価C−C15アリール、好ましくはC−C12アリールおよびより好ましくはC−C10アリール;
(ここで、二価の基AまたはBは先に定義のように修飾されていてよく、ただし、モノマー単位U’の二価の基AまたはBの1、2または3個、好ましくは1または2個が、同一または異なってよい置換基Lを1または2個含んでいてよく、
ここで、Lは、C−Cアルキル、好ましくは直鎖C−Cアルキル、特にメチル、エチル、プロピルおよびブチル;C−Cアリール、好ましくはフェニル;C−Cヘテロアリールからなる群より選択され;Lはフッ素により部分的または完全にハロゲン化されていてよく;Lは二価架橋基−O−により結合されていてよく、
ここで、スルホン化ポリマーSPの同じモノマー単位U’にまたは隣接モノマー単位U’に属する2つの隣接二価基Aおよび/またはBは、炭素間単結合により、または−O−、−S−、−(C=O)−および−S(=O)−からなる群より選択される二価の架橋基により互いに共有結合されてよい。この態様において、スルホン化ポリマーSPのモノマー単位U’は、好ましくは、少なくとも一つの基−SOHを有する。)。
【0055】
本発明のもう一つの特に好ましい態様において、スルホン化ポリマーSPのモノマー単位U’は、二価の基Aを2〜30個、好ましくは2〜25個有する:
(ここで、Aは、二価C−C10アルカンジイル、好ましくはC−Cアルカンジイル、より好ましくはC−Cアルカンジイルであり、
ここで、二価の基Aは先に定義のように修飾されていてよく、ただし、モノマー単位U’の二価の基Aの1、2または3個が、同一または異なってよい置換基Lを1または2個含んでいてよく、
ここで、Lは、C−Cアルキル;C−Cアリール;C−Cヘテロアリールからなる群より選択され;Lはフッ素により部分的または完全にハロゲン化されていてよく;Lは二価架橋基−O−により結合されていてよく、
ここで、スルホン化ポリマーSPの同じモノマー単位U’にまたは隣接モノマー単位U’に属する2つの隣接二価基Aは、炭素間単結合により、または−O−、−S−、−(C=O)−および−S(=O)−からなる群より選択される二価の架橋基により互いに共有結合されてよい。この態様において、好ましくは、スルホン化ポリマーSPのモノマー単位U’の一つのみが、基−SOHを含む。)。
【0056】
非常に特に好ましい態様において、スルホン化ポリマーSPのモノマー単位U’は、二価の基Aを2〜30個、好ましくは2〜25個含む(ここで、Aは、C−Cアルカンジイル、特に、エタンジイル、n−プロパンジイル、i−プロパンジイル、n−ブタンジイル、I−ブタンジイルおよびt−ブタンジイル;特にエタンジイル、n−プロパンジイルおよびi−プロパンジイルである。)。前記二価の基Aは、フッ素により、好ましくは部分的または完全に、より好ましくは完全にハロゲン化されている。好ましくは、モノマー単位U’において、スルホン化ポリマーSPの同じモノマー単位U’に属する少なくとも2つの隣接二価の基Aは、−O−、−S−、−(C=O)−および−S(=O)−からなる群より選択される二価架橋基、好ましくは−O−により互いに共有結合されている。この態様において、好ましくは、スルホン化ポリマーSPのモノマー単位U’の一つのみが、基−SOHを含む。
【0057】
本発明の好ましい態様において、ポリベンズイミダゾールポリマーPBIとスルホン化ポリマーSPとが混和性ブレンドを形成する。従って、特に好ましい態様において、スルホン化ポリマーSPは、本発明で用いられるポリベンズイミダゾールポリマーPBIと混和性のポリマーから選択される。特に、スルホン化ポリマーSPは、パーフルオロスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリ(エーテルエーテルケトン)、スルホン化ポリ(アリーレンエーテルケトン)、スルホン化ポリ(エーテルケトン)、スルホン化ポリ(エーテルケトンケトン)、スルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリ(フェニルキノキサリン)、スルホン化ポリ(2,6−ジフェニル−4−フェニレンオキシド)およびスルホン化ポリフェニレンスルフィドからなる群より選択される。
【0058】
本発明の非常に特に好ましい態様において、スルホン化ポリマーSPは、下記化合物からなる群より選択される。
【0059】
化学式(III)で示されるパーフルオロスルホン酸
【0060】
[化20]

【0061】
式中、xは3〜15、好ましくは3〜10の範囲の整数、yは1、2または3、およびzは0、1、2または3であり、RとRとは同一または異なってよく、フッ素またはトリフルオリンメチルからなる群より選択される。
【0062】
化学式(IV)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリスチレン
【0063】
[化21]

【0064】
式中、nは、100〜10000の範囲の整数である。
【0065】
化学式(V)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリ(エーテルエーテルケトン)
【0066】
[化22]

【0067】
式中、nは、100〜10000の範囲の整数である。
【0068】
化学式(VI)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリ(アリーレンエーテルケトン)
【0069】
[化23]

【0070】
式中、nは、100〜1000の範囲の整数であり、Rは、水素;直鎖C−Cアルキル、特にメタンジイル、エタンジイル、プロパンジイルおよびブタンジイル;およびC−C10アリールアルキル、好ましくはC−Cアルキルを有するフェニル、好ましくは直鎖C−Cアルキル、特に、メチルフェニル、エチルフェニル、n−プロピルフェニルおよびn−ブチルフェニルからなる群より選択される。
【0071】
化学式(VII)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリ(エーテルケトン)
【0072】
[化24]

【0073】
式中、nは、100〜10000の範囲の整数である。
【0074】
化学式(VIII)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリ(エーテルケトンケトン)
【0075】
[化25]

【0076】
式中、nは、100〜10000の範囲の整数である。
【0077】
化学式(IX)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)
【0078】
[化26]

【0079】
式中、nは、100〜10000の範囲の整数である。
【0080】
化学式(X)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリスルホン
【0081】
[化27]

【0082】
式中、nは、100〜10000の範囲の整数である。
【0083】
化学式(XI)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリ(フェニルキノキサリン)
【0084】
[化28]

【0085】
式中、nは、100〜10000の範囲の整数である。
【0086】
化学式(XII)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリ(2,6−ジフェニル−4−フェニレンオキシド)
【0087】
[化29]

【0088】
式中、nは、100〜10000の範囲の整数である。
【0089】
化学式(XIII)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリフェニレンスルフィド
【0090】
[化30]

【0091】
式中、nは、100〜10000の範囲の整数である。
【0092】
もう一つの好ましい態様において、ポリベンズイミダゾールポリマーPBIおよび/またはスルホン化ポリマーSPは、各々独立に、数平均分子量Mが約500〜約1000000の範囲である。もう一つの好ましい態様において、ポリベンズイミダゾールポリマーPBIおよび/またはスルホン化ポリマーSPは、各々独立に、重量平均分子量Mが約500〜約1000000の範囲、好ましくは約800〜約1000000の範囲である。
【0093】
通常、膜Mは、ポリマーPBIおよびSPを一緒にした合計重合に基づいて0.1〜25重量%の範囲、好ましくは0.1〜20重量%の範囲およびより好ましくは1〜20重量%の範囲のポリベンズイミダゾールポリマーPBIを含んでよい。通常、膜Mは、ポリマーPBIおよびSPを一緒にした合計重合に基づいて75〜99.9重量%の範囲、好ましくは80〜99.9重量%の範囲およびより好ましくは80〜99重量%の範囲のスルホン化ポリマーSPを含んでよい。
【0094】
膜Mが、さらに、電子不足化合物、特に少なくとも一種のホウ素系電子不足化合物BCを含むことが有利である。本発明で用いられる電子不足化合物BCとしては、無機および/または有機ホウ素系化合物が挙げられる。
【0095】
好ましくは、ポリベンズイミダゾールポリマーPBI、スルホン化ポリマーSP、および適切な場合、ホウ素系電子不足化合物BCが、混和性ブレンドを形成する。これらのポリマーの混和性は、ポリベンズイミダゾールポリマーの塩基性Im環とスルホン化ポリマーの酸性スルホン酸基との酸−塩基相互作用に起因する。通常、ポリベンズイミダゾールポリマーPBI、スルホン化ポリマーSP、および適切な場合、ホウ素系電子不足化合物BCが、膜Mで用いられるポリマーブレンド中に均一に分配、溶解または充分に分散される。
【0096】
通常、膜Mは、ポリマーPBIおよびSPを一緒にした合計重合に基づいて、0.01〜5重量%の範囲、特に0.01〜1重量%の範囲、より特に0.1〜0.5重量%の範囲のホウ素系電子不足化合物BCを含む。
【0097】
好ましい態様において、膜Mは0.1〜25重量、好ましくは9〜20重量%のポリベンズイミダゾールポリマーPBIを含み;膜Mは75〜99.9重量%、好ましくは80〜91重量%のスルホン化ポリマーSPを含み;および膜Mは0.01〜1重量%の、好ましくは0.1〜0.5重量%のホウ素系電子不足化合物BCを含む(各々の場合、ポリマーPBIおよびSPを一緒にした合計重合に基づく)。
【0098】
前述したように、電子不足化合物は無機ホウ素系電子不足化合物BCであってよい。好ましくは、この場合、BCは、B、HBOおよびBNからなる群より選択される。
【0099】
前述したように、電子不足化合物は有機ホウ素系電子不足化合物BCであってよい。好ましくは、この場合、BCは、(CHO)B、(CFCHO)B、(CCHO)B、[(CFCHO]B、[(CFCO]B、[(CFC(C)O]B、(CO)B、(FCO)B、(FO)B、(FHO)B、(CO)B、(CFO)B、[(CFO]B、(CB、(COB、(C)(C)OB、[(CFC]B(C)、(CF)(C)OB、(CF)(CCF)OB、(CF)[C(CF]OB、(C)(CF)OB、(C)(C)OB、(C)(CCF)OB、(C)[C(CF]OB、[(CFC]B(C)、[(CFC]B(C)、[(CFCH]B(C)、[(CFCH]B(C)および[(CFCH]OB(C)からなる群より選択される。これら有機ホウ素系電子不足化合物の化学式を以下に示す。
【0100】
[化31]

【0101】
もう一つの好ましい態様において、本発明による膜Mの厚さは、膜Mが実質的に水を含まない条件下で、約20μm〜約200μm、より好ましくは約50μm〜約100μmである。
【0102】
本発明によれば、膜Mは、膜Mが実質的に水を含まない条件下(無水状態とも呼ぶ)で、著しい伝導性を示す。通常、無水状態(特に、膜Mの製造直後)での膜Mの含水量は、膜Mの合計重量に基づいて0.5重量%未満、特に0.1重量%未満である。しかし、燃料電池の動作中、無水状態は、通常、反応気体を加湿することなく、高温(100℃超)にて膜Mから水が蒸発することを意味する。この場合、膜Mは、通常、燃料電池動作中に電気化学的に発生した水により、特に130℃より低い温度において、完全には脱水(すなわち、無水化)されない。典型的には、この文脈において、「実質的に水を含まない」というのは、膜Mの含水量が、膜Mの合計重量に基づいて10重量%以下であることを意味する。好ましい態様において、本発明の膜Mは、膜Mが実質的に水を含まない条件下で、膜Mの合計重量に基づいて含水量が5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。この文脈において、本発明のプロトン交換膜燃料電池に供給される反応気体は加湿されない、または、反応気体は、反応気体の合計体積に基づいてせいぜい20体積%、特にせいぜい10体積%程度にしか加湿されないと解される。
【0103】
もう一つの局面において、本発明は、膜Mが実質的に水を含まない条件下で100℃以上、好ましくは100〜250℃の範囲、より好ましくは100〜225℃の範囲および最も好ましくは100〜200℃の範囲の温度で作用するように設計され、前記温度において、インピーダンス法により測定された膜Mのプロトン伝導性が少なくとも10−5S/cm、好ましくは少なくとも2×10−5S/cmおよびより好ましくは少なくとも5×10−5S/cmであるここに記載のプロトン交換膜Mを含んでなる、プロトン交換膜燃料電池、特にポリマー電解質膜燃料電池(PEMFC)または直接メタノール型燃料電池(DMFC)に関する。
【0104】
そのようなPEMFCおよびDMFCプロトン交換膜燃料電池は、典型的には、本発明によるプロトン交換膜M(ポリマー電解質膜とも呼ばれる)に加えて、アノード(燃料電極)およびカソード(酸化剤電極)を含む。膜Mは、アノードとカソードの間に介在する。アノードは、通常、燃料の酸化を促進する触媒層を含み、カソードは、通常、酸化剤の還元を促進する触媒層を含む。アノードに供給可能な燃料としては、例えば、水素、水素含有気体、メタノール蒸気と水蒸気との混合物、およびメタノール水溶液が挙げられる。カソードに供給される酸化剤としては、例えば、酸素、酸素含有気体および空気が挙げられる。この文脈において、本発明のプロトン交換膜燃料電池に供給される反応気体は加湿されない、または、反応気体は、反応気体の合計体積に基づいてせいぜい20体積%、特にせいぜい10体積%程度にしか加湿されないと解される。
【0105】
本発明の膜Mが提供されたPEMFCは、少なくとも170℃までの温度で動作可能であり、燃料蒸気中の少なくとも3体積%までの一酸化炭素を許容可能であるため、燃料改質装置からの水素に富む気体を発電のために直接用いることができる。本発明の膜Mが提供されたDMFCは、少なくとも150℃までの温度で動作可能であり、Nafion膜に比べて優れた性能を示す。
【0106】
もう一つの局面において、本発明は、各々の場合、ポリマーPBIおよびSPを一緒にした合計重合に基づいて0.1〜30重量%、例えば0.1〜20重量%、好ましくは5〜25重量%のポリベンズイミダゾールポリマーPBIを含むと共に70〜99.9重量%、例えば80〜99.9重量%、好ましくは75〜95重量%のスルホン化ポリマーSPを含んでなる、本発明による使用に提案されたプロトン交換膜Mに関する。好ましくは、膜Mは、各々の場合、ポリマーPBIおよびSPを一緒にした合計重合に基づいて9〜25重量%、より好ましくは9〜20重量%のポリベンズイミダゾールポリマーPBIを含むと共に75〜91重量%、より好ましくは80〜91重量%のスルホン化ポリマーSPを含む。
【0107】
好ましい態様において、本発明の膜Mは、さらに、ポリマーPBIおよびSPを一緒にした合計重合に基づいて0.01〜1.5重量%、より好ましくは0.05〜1重量%、さらにより好ましくは0.05〜0.5重量%および最も好ましくは0.1〜0.5重量%のホウ素系電子不足化合物BCを含む。
【0108】
さらにもう一つの局面において、本発明は、本発明のプロトン交換膜Mを製造する方法に関する。
【0109】
膜Mの製造において出発材料として用いられるポリベンズイミダゾールポリマーPBIは、当該技術分野で既知の方法により調製することができる。
【0110】
ここに記載の調製方法において出発化合物として用いられるポリベンズイミダゾールポリマーPBIは、ポリベンズイミダゾールおよび関連する化合物群である(例えば、米国特許第4,814,399号;5,525,436号および5,599,639号を参照されたい)。典型的には平均分子量が1000〜100000であるポリベンズイミダゾールのより具体的な例として、ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−(ピリジレン−3”,5”)−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−(フリレン−2”,5”)−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−(ナフタレン−1”,6”)−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−(ビフェニレン−4”,4”)−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−アミレン)−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−オクタメチレン−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,6’−(m−フェニレン)ジイミダゾベンゼン、ポリ−(1−(4,4’−ジフェニルエーテル)−5−オキシベンズイミダゾール)−ベンズイミダゾール、ポリ−(1−(2−ピリジン)−5−オキシベンズイミダゾール)−ベンズイミダゾール、ポリ−(3−(4−(6−(1−ベンズイミダゾール−5−イルオキシ)−1−ベンズイミダゾール−2−イル)フェニル)−3−フェニルイソベンゾフラン−1(3H)−オン)およびポリベンズイミダゾールが挙げられる。これらのポリマーは、前記米国特許に記載の芳香族二酸および芳香族テトラミンから調製することができる。
【0111】
最も好ましいポリマーは、ヘキスト・セラニーズ(Hoechst Celanese)社から提供されるCelazole(商標)として知られているポリ2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンズイミダゾール産物、PBIである。このポリベンズイミダゾールは、ガラス転移温度が425−436℃であるアモルファス熱可塑性ポリマーである。
【0112】
膜Mの製造において出発材料として用いられるスルホン化ポリマーSPは、Nafion(登録商標)のように市販されている、および/または、溶液重合およびエマルジョン重合といった重合法のような当該技術分野で既知の方法により調製することができる。
【0113】
特に、以下のようなスルホン化ポリマーSPのための合成法が参照される。
- perfluorosulfonic acid, e.g. as described in Fermandez, R.E. In Polymer Data Handbook; Mark, J.E., Ed.; Oxford University Press: New York, 1999; p 233;
- sulfonated polystyrene, e.g. as described in J.P. Shin, B.J. Chang, J.H. Kim, S.B. Lee, D.H. Suh, J. Membrane Science, 251 (1-2) (2005) 247;
- sulfonated poly(ether ether ketone), e.g. as described in Bauer, B.; Jones, D. J.; Roziere, J.; Tchicaya, L; Alberti, G.; et. al. J. New Mater. Electrochem. Syst. 3 (2000) 93;
- sulfonated poly(arylene ether ketone), e.g. as described in Rikukawa, M.; Sanui, K. Prog. Polym. Sci. 25 (2000) 1463;
- sulfonated poly(ether ketone), e.g. as described in Ise, M.; Kreuer, K.D.; Maier, J. Solid State Ionics 125 (1999) 213;
- sulfonated poly(ether ketone ketone), e.g. as described in Jin, X.; Bishop, M. T.; Ellis, T.S.; Karasz, F.E. Br. Polymer J. 17 (1985) 4;
- sulfonatedpoly(4-phenoxybenzoyl-1 ,4-phenylene), e.g. as described in Kobayashi, T.; Rikukawa, M.; Sanui, K.; Ogata, N. Solid State Ionics 106 (1998) 219;
- sulfonated polysulfones, e.g. as described in Chen, M.H.; Chiao, T.; Tseng, T. W. J. Appl. Polym. Sci. 61 (1996) 1205;
- sulfonated poly(phenylquinoxalines), e.g. as described in Kopitzke, R.W.; Linkous, C.A.; Nelson, G.L J. Polym. Sci. 36 (1998) 1197;
- sulfonatedpoly(2,6-diphenyl-4-phenylene oxide), e.g. as described in Kosmala, B.; Schauer, J. J. Appl. Polym. Sci. 85 (2002) 1118;
- sulfonated polyphenylenesulfidee.g. as described in Miyatake, K.; lyotani, H.; Yamamoto, K.; Tscuchida, E. Macromolecules 29 (1996) 6969.
【0114】
膜Mの製造において出発材料として用いられるホウ素系電子不足化合物BCは市販されている。BCのより具体的な例として、B、HBO、BN、(CHO)B、(CFCHO)B、(CCHO)B、[(CFCHO]B、[(CFCO]B、[(CFC(C)O]B、(CO)B、(FCO)B、(FO)B、(FHO)B、(CO)B、(CFO)B、[(CFO]B、(CB; (COB、(C)(C)OB、[(CFC]B(C)、(CF)(C)OB、(CF)(CCF)OB、(CF)[C(CF]OB、(C)(CF)OB、(C)(C)OB、(C)(CCF)OB、(C)[C(CF]OB、[(CFC]B(C)、[(CFC]B(C)、[(CFCH]B(C)、[(CFCH]B(C)および[(CFCH]OB(C)が挙げられる。
【0115】
本発明の膜Mを製造する方法において、典型的には、ポリマー電解質用の膜を調製する前に、ポリベンズイミダゾールポリマーPBIの粉末(例えば、約100メッシュの粒子寸法)を、Ν,Ν−ジメチルアセトアミド(DMAc)、Ν,Ν−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の適切な有機溶媒と混合する。得られた混合物は、通常、混合物の合計重量に基づいて1〜25重量%、好ましくは5〜20重量%のポリベンズイミダゾールポリマーPBIを含む。好ましくは、得られた混合物は、ステンレス鋼ボンブ反応器のような密閉反応器中に配される。典型的には、塩化リチウムのような安定化剤が添加される。例えば、アルゴンのような不活性気体を混合物に吹き込むことにより、混合物から酸素を排除することが好ましい。反応器は、均一化のために閉じて回転炉内に置くことが有利である。通常、次に、混合物は、特に、150〜300℃の範囲、好ましくは200〜250℃の範囲の温度に加熱される。前記温度での加熱は、通常、例えば0.5〜20時間、好ましくは1〜10時間およびより好ましくは3〜5時間行われる。場合により、得られた混合物を、スルホン化ポリマーSPと混合する前に希釈して、ポリベンズイミダゾールポリマーPBIの所望の含量が達成されるようにしてもよい。希釈用の適切な溶媒として、Ν,Ν−ジメチルアセトアミド(DMAc)、Ν,Ν−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。スルホン化ポリマーSPとの混合に用いられる得られた混合物は、通常、ポリベンズイミダゾールポリマーPBIを、混合物の合計重量に基づいて1〜15重量%、好ましくは5〜10重量%含む。
【0116】
スルホン化ポリマーSPは、典型的には、Ν,Ν−ジメチルアセトアミド(DMAc)、Ν,Ν−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の適切な有機溶媒に溶解される。ポリベンズイミダゾールポリマーPBIとの混合に用いられる得られた混合物は、通常、スルホン化ポリマーSPを、混合物の合計重量に基づいて1〜15重量%、好ましくは5〜10重量%含む。
【0117】
ホウ素系電子不足化合物BCは、適切な場合、典型的には、Ν,Ν−ジメチルアセトアミド(DMAc)、Ν,Ν−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の適切な有機溶媒に分散または溶解される。ポリベンズイミダゾールポリマーPBIおよびスルホン化ポリマーSPとの混合に用いられる得られた混合物は、通常、化合物BCを、混合物の合計重量に基づいて0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜2重量%含む。
【0118】
次に、ポリベンズイミダゾールポリマーPBI、スルホン化ポリマーSP、および適切な場合、ホウ素系電子不足化合物BCの溶液を、所望の比で、例えば、1:99:0.01〜30:70:1、好ましくは2:98.9:0.1〜25:75:1およびより好ましくは9:91:0.1〜20:80:0.5の範囲の比で混合する。
【0119】
次に、得られた溶液またはその所定量を、典型的には、基材に、特に平坦基材に塗布する。例えば、溶液を、ガラス底を有するTeflon(登録商標)皿に注ぐ。その上に溶液が塗布された基材を、例えば、50〜150℃、特に80〜120℃の範囲の温度に加熱する。加熱は、好ましくは真空下に、溶媒が完全に蒸発するまで、所定時間、例えば、約10〜約20時間行われる。場合により、更なる加熱を、より高い温度で、酸素の存在下に、例えば空気中、130〜180℃、特に140〜160℃の範囲で行うことができる。通常、更なる加熱は、5分〜5時間、特に約2時間行うことができる。
【0120】
得られた膜フィルムを、H等の酸化剤で、例えば、Hの5重量%溶液の状態の酸化剤で処理することが有利である。続いて、得られた膜フィルムを、HSO等の無機酸で、例えば、1M HSO溶液の状態の無機酸で処理する。好ましくは、前記処理は、各々の場合、高温、例えば、50〜120℃、特に60〜100℃の範囲の温度で行われる。通常、前記処理は、各々の場合、5分〜2時間、特に約半時間行うことができる。
【0121】
残留している溶媒および/または安定化塩を除去するために、膜を、脱イオン水等の精製溶媒中、例えば、沸騰脱イオン水中で加熱することが有利である。通常、前記加熱は、5分〜2時間、特に約半時間行うことができる。最後に、得られた膜を、場合により真空下に、例えば周囲温度で乾燥する。
【0122】
本発明の好ましい態様において、ここに記載のプロトン交換膜Mを製造する方法は、以下の工程を含む:
(i)先に定義されたポリベンズイミダゾールポリマーPBI、先に定義されたスルホン化ポリマーSP、および場合により先に定義されたホウ素系電子不足化合物BCを、PBI:SPの重量比が1:99〜20:80である、好ましくは2:98〜20:80である、または適切な場合、PBI:SP:BCの重量比が1:99:0.01〜25:75:1である、好ましくは2:98:0.1〜20:80:0.5であるように、有機溶媒OS中に含む溶液を提供し、それにより反応混合物RMを得る工程、
(ii)工程(i)で得た反応混合物RMを基材S、好ましくは平坦基材に塗布する工程、および
(iii)工程(ii)で得た基材Sを、基材S上に塗布された反応混合物RMから実質的に全ての溶媒が蒸発するように、場合により真空下に、少なくとも50℃、好ましくは50〜120℃の範囲の温度に加熱して、膜フィルムMFを得、続いて、このように得られた膜フィルムMFを少なくとも130℃、好ましくは130〜180℃の範囲、より好ましくは140〜160℃の範囲の温度に、好ましくは空気中で加熱する工程。
【0123】
本発明の特に好ましい態様において、ここに記載のプロトン交換膜Mを製造するための前記方法は、さらに、以下の工程を含む:
(iv)工程(iii)で得た膜フィルムMFをH等の酸化剤で処理し、続いてHSO等の無機酸で処理し、好ましくはいずれの場合も高温で処理し、膜フィルムMF’を得る工程。
【0124】
本発明の非常に特に好ましい態様において、ここに記載のプロトン交換膜Mを製造するための前記方法は、さらに、以下の工程を含む:
(v)工程(iv)で得た膜フィルムMF’を高温にて精製溶媒、好ましくは精製HOで処理し、続いて、膜フィルムMF’を、好ましくは高真空下に乾燥し、膜Mを得る工程。
【0125】
工程(i)における適切な有機溶媒OSとしては、Ν,Ν−ジメチルアセトアミド(DMAc)、Ν,Ν−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)およびジメチルスルホキシド(DMSO)並びにそれらの混合物が挙げられる。通常、有機溶媒OSは、純粋等級品質で用いられる。すなわち、有機溶媒OS中の残留含水量は、有機溶媒OSの合計重量に基づいて、通常、0.1重量%未満である。
【0126】
工程(iii)における溶媒OSの蒸発は、真空、特に高真空を適用することにより有利に達成することができる。
【0127】
膜フィルムMFを少なくとも130℃の温度に加熱するための工程(iii)における適切な加熱時間は約2時間である。
【0128】
工程(iv)における適切な無機酸としては、HSO、HClおよびHPOが挙げられる。
【0129】
工程(iv)における高温は、典型的には、60℃〜120℃、特に80℃〜100℃の範囲である。
【0130】
工程(v)における高温は、典型的には、80℃〜120℃、特に80℃〜100℃の範囲である。
【0131】
工程(v)における膜フィルムMF’の乾燥は、真空、特に高真空を適用することにより行うことが有利である。
【0132】
本発明は、ポリベンズイミダゾールポリマーPBI/スルホン化ポリマーSPブレンド膜、特にポリベンズイミダゾールポリマーPBI/スルホン化ポリマーSP/ホウ素系電子不足化合物BCブレンド膜を提供する。得られるPBI/SPブレンド膜は、通常、膜Mの合計重量に基づいて1〜20重量%のポリベンズイミダゾールポリマーPBIおよび80〜99重量%のスルホン化ポリマーSPを含む。得られるPBI/SP/BCブレンド膜は、通常、膜Mの合計重量に基づいて0.1〜0.5重量%のホウ素系電子不足化合物BCを含む。最終的に得られた膜M(膜の製造直後)の残留含水量は、通常、膜Mの合計重量に基づいて0.5重量%未満、特に0.25重量%未満、さらに0.1重量%未満である。本発明のPBI/SPおよびPBI/SP/BCポリマーブレンド膜は、高温(100〜200℃)および無水状態において比較的高いプロトン伝導性(5×10−5〜5×10−3S/cm)を示す。本発明のPBI/SPおよびPBI/SP/BCポリマーブレンドは、実質的に水を含まず高温において高いプロトン伝導性を有するため、高温PEMFCおよびDMFCにおけるプロトン交換膜として用いるのに特に充分に適している。従って、反応気体を最小限に加湿してまたは加湿させることなく、燃料電池を動作することができる。典型的には、この文脈において、「実質的に水を含まない」というのは、膜Mの含水量が、膜Mの合計重量に基づいて10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下であることを意味する。さらに、この文脈において、本発明のプロトン交換膜燃料電池に供給される反応気体は加湿されない、または、反応気体は、反応気体の合計体積に基づいてせいぜい20体積%、特にせいぜい10体積%程度にしか加湿されないと解される。
【0133】
結果として、加湿することなく高温(典型的に100〜200℃)で満足できる伝導性を維持するプロトン伝導性膜を利用することができれば、熱電併給定置式発電設備および電気自動車にとって非常に興味深いPEMFCおよびDMFCが実現するだろう。
【0134】
当業者は、他の適切なスルホン化ポリマーを容易に選択し得る。混和性マトリクスが形成されるようにスルホン化ポリマーをポリベンズイミダゾールポリマーとブレンドし得るのであれば、本発明は、スルホン化ポリマーの選択に制限されない。
【実施例】
【0135】
以下の実施例は、例示的PBIポリマーとしての市販のポリベンズイミダゾール(2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンズイミダゾール、ヘキスト・セラニーズ社から提供されるCelazole(商標)として知られている)および例示的ホウ素系電子不足化合物BCとしての(CB(TPFPB)を用いて、本発明の好ましい組成物および方法を説明する。実施例12〜22において、化合物BCの重量%は、典型的には、PBIポリマーとスルホン化化合物SPの合計重合に基づいて約0.1〜約0.5重量%の範囲で変化する。プロトン伝導性値は、典型的には、100℃〜200℃の温度範囲において得られる。以下の実施例において、プロトン伝導性値は、典型的には、膜Mが実質的に水を含まない条件下で少なくとも約5×10−5S/cm、多くの場合、約10−4〜約5×10−3S/cmの範囲で変化する。これらの実施例は、説明のみのためであり、本発明の範囲を制限することを意図していない。
【0136】
〔実施例1〕
本発明の例示的PBI/Nafion(登録商標)(式IIIを参照、x=10、y=1およびz=0)ブレンド膜を以下のように調製する。5重量%PBI/DMAc溶液を、5重量%Nafion(登録商標)/DMAc溶液と、10:90の重量比で混合する。この溶液の所定量を、ガラス底を有するTeflon皿に注ぎ、溶媒が完全に蒸発するまで80℃で約10時間、真空炉中に配する。次に、膜を、空気中にて160℃で2時間加熱する。次に、Nafion(登録商標)/PBIブレンド膜を、5重量%H溶液および1M HSO溶液中で、それぞれ80℃で半時間処理する。最後に、膜を、沸騰脱イオン水中で半時間加熱して残留している溶媒および安定化塩を除去し、次に、周囲温度で乾燥する。
【0137】
〔実施例2〕
本発明の例示的PBI/スルホン化ポリ(エーテルエーテルケトン)(SPEEK、式Vを参照、n=5000)ブレンド膜を、溶液流涎法により調製する。5重量%PBI/DMAc溶液を、5重量%SPEEK/NMP溶液と、10:90の重量比で混合する。この溶液の所定量を、ガラス底を有するTeflon皿に注ぎ、溶媒が完全に蒸発するまで60℃で約15時間、真空炉中に配する。次に、膜を、空気中にて100℃で半時間加熱する。次に、SPEEK/PBIブレンド膜を、5重量%H溶液および1M HSO溶液中で、それぞれ80℃で半時間処理する。最後に、膜を、沸騰脱イオン水中で半時間加熱して残留している溶媒および安定化塩を除去し、次に、周囲温度で乾燥する。
【0138】
〔実施例3〕
DMF中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリ(アリーレンエーテルケトン)(SPAEK、式VIを参照、n=10000)溶液と、15:85の重量比で混合する。PBI/SPAEKブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。溶媒が完全に蒸発した後、ポリマー膜を80℃にて蒸留水で洗い、残留している溶媒および安定化塩を除去する。
【0139】
〔実施例4〕
DMSO中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリ(エーテルケトン)(SPEK、式VIIを参照、n=5000)溶液と、20:80の重量比で混合する。PBI/SPEKブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。溶媒が完全に蒸発した後、ポリマー膜を80℃にて蒸留水で洗い、残留している溶媒および安定化塩を除去する。
【0140】
〔実施例5〕
DMAc中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリ(エーテルケトンケトン)(SPEKK、式VIIIを参照、n=2000)溶液と、15:85の重量比で混合する。PBI/SPEKKブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。溶媒が完全に蒸発した後、ポリマー膜を80℃にて蒸留水で洗い、残留している溶媒および安定化塩を除去する。
【0141】
〔実施例6〕
NMP中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリスルホン(SPSF、式Xを参照、n=5000)溶液と、10:90の重量比で混合する。PBI/SPSFブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。
【0142】
〔実施例7〕
DMF中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)(SPPBP、式IXを参照、n=5000)溶液と、12:88の重量比で混合する。PBI/SPPBPブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。
【0143】
〔実施例8〕
DMSO中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリ(フェニルキノキサリン)(SPPQ、式XIを参照、n=10000)溶液と、15:85の重量比で混合する。PBI/SPPQブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。
【0144】
〔実施例9〕
DMAc中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリフェニレンスルフィド(SPPS、式XIIIを参照、n=1000)溶液と、5:95の重量比で混合する。PBI/SPPSブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。
【0145】
〔実施例10〕
DMF中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリスチレン(SPS、式IVを参照、n=8000)溶液と、10:90の重量比で混合する。PBI/SPSブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。
【0146】
〔実施例11〕
DMAc中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリ(2,6−ジフェニル−4−フェニレンオキシド)(SPDPO、式XIIを参照、n=4000)溶液と、15:85の重量比で混合する。PBI/SPDPOブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。
【0147】
〔実施例12〕
本発明の例示的PBI/Nafion(登録商標)/TPFPB(Nafion(登録商標):式IIIを参照、x=10、y=1およびz=0)ブレンド膜を以下のように調製する。5重量%PBI/DMAc溶液を、5重量%Nafion(登録商標)/DMAc溶液および1重量%TPFPB/DMAcと、9:91:0.5の重量比で混合する。この溶液の所定量を、ガラス底を有するTeflon皿に注ぎ、溶媒が完全に蒸発するまで80℃で約10時間、真空炉中に配する。次に、膜を、空気中にて160℃で2時間加熱する。次に、Nafion(登録商標)/PBI/TPFPBブレンド膜を、5重量%H溶液および1M HSO溶液中で、それぞれ80℃で半時間処理する。最後に、膜を、沸騰脱イオン水中で半時間加熱して残留している溶媒および安定化塩を除去し、次に、周囲温度で乾燥する。
【0148】
〔実施例13〕
本発明の例示的PBI/スルホン化ポリ(エーテルエーテルケトン)(SPEEK、式Vを参照、n=5000)/TPFPBブレンド膜を、溶液流涎法により調製する。5重量%PBI/DMAc溶液を、5重量%SPEEK/NMP溶液および1重量%BC/NMP溶液と、10:90:0.1の重量比で混合する。この溶液の所定量を、ガラス底を有するTeflon皿に注ぎ、溶媒が完全に蒸発するまで60℃で約15時間、真空炉中に配する。次に、膜を、空気中にて100℃で半時間加熱する。次に、SPEEK/PBI/TPFPBブレンド膜を、5重量%H溶液および1M HSO溶液中で、それぞれ80℃で半時間処理する。最後に、膜を、沸騰脱イオン水中で半時間加熱して残留している溶媒および安定化塩を除去し、次に、周囲温度で乾燥する。
【0149】
〔実施例14〕
DMF中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリ(アリーレンエーテルケトン)(SPAEK、式VIを参照、n=10000)溶液および1重量%TPFPB/DMF溶液と、15:85:0.2の重量比で混合する。PBI/SPAEK/TPFPBブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。溶媒を完全に蒸発させた後、ポリマー膜を80℃にて蒸留水で洗い、残留している溶媒および安定化塩を除去する。
【0150】
〔実施例15〕
DMSO中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリ(エーテルケトン)(SPEK、式VIIを参照、n=5000)溶液および1重量%TPFPB/DMSO溶液と、20:80:0.3の重量比で混合する。PBI/SPEK/TPFPBブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。溶媒を完全に蒸発させた後、ポリマー膜を80℃にて蒸留水で洗い、残留している溶媒および安定化塩を除去する。
【0151】
〔実施例16〕
DMAc中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリ(エーテルケトンケトン)(SPEKK、式VIIIを参照、n=2000)および1重量%TPFPB/DMAc溶液と、15:85:0.4の重量比で混合する。PBI/SPEKK/TPFPBブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。溶媒を完全に蒸発させた後、ポリマー膜を80℃にて蒸留水で洗い、残留している溶媒および安定化塩を除去する。
【0152】
〔実施例17〕
NMP中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリスルホン(SPSF、式Xを参照、n=5000)溶液および1重量%TPFPB/NMP溶液と、10:90:0.5の重量比で混合する。PBI/SPSF/TPFPBブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。
【0153】
〔実施例18〕
DMF中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)(SPPBP、式IXを参照、n=5000)溶液および1重量%TPFPB/DMF溶液と、12:88:0.3の重量比で混合する。PBI/SPPBP/TPFPBブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。
【0154】
〔実施例19〕
DMSO中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリ(フェニルキノキサリン)(SPPQ、式XIを参照、n=10000)溶液および1重量%TPFPB/DMSO溶液と、15:85:0.2の重量比で混合する。PBI/SPPQ/TPFPBブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。
【0155】
〔実施例20〕
DMAc中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリフェニレンスルフィド(SPPS、式XIIIを参照、n=1000)溶液および1重量%TPFPB/DMAc溶液と、5:95:0.4の重量比で混合する。PBI/SPPS/TPFPBブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。
【0156】
〔実施例21〕
DMF中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリスチレン(SPS、式IVを参照、n=8000)溶液および1重量%TPFPB/DMF溶液と、10:90:0.1の重量比で混合する。PBI/SPS/TPFPBブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。
【0157】
〔実施例22〕
DMAc中の5重量%PBI溶液を、5重量%スルホン化ポリ(2,6−ジフェニル−4−フェニレンオキシド)(SPDPO、式XIIを参照、n=4000)溶液および1重量%TPFPB/DMAc溶液と、15:85:0.2の重量比で混合する。PBI/SPDPO/TPFPBブレンド膜を、実施例1に記載のように溶液流涎法により調製する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトン交換膜燃料電池におけるプロトン交換膜Mの使用に関し、当該プロトン交換膜Mは、
(1)ポリベンズイミダゾールポリマーPBIのモノマー単位の合計量に基づいて少なくとも90モル%の化学式(I)および/または(II)で示されるモノマー単位Uを、重合状態で含んでなる少なくとも一種のポリベンズイミダゾールポリマーPBIと、
(2)スルホン化ポリマーSPのモノマー単位の合計量に基づいて少なくとも50モル%のモノマー単位U’を、重合状態で含み、モノマー単位U’の少なくとも一つは少なくとも一つの基−SOHを有する少なくとも一種のスルホン化ポリマーSPと、
のブレンドを含み、
前記プロトン交換膜Mは、水を実質的に含まず、インピーダンス法で測定した100℃以上、好ましくは100〜250℃の範囲の温度におけるプロトン伝導性が少なくとも10−5S/cmである、
プロトン交換膜燃料電池におけるプロトン交換膜Mの使用。
[化1]

[化2]

(式中、
YはOおよびSから選択される置換元素、またはYは炭素間単結合であり、
Zは、二価C−C10アルカンジイル、二価C−C10アルケンジイル、二価C−C15アリール、二価C−C15ヘテロアリール、二価C−C15ヘテロシクリル、二価C−C19アリールスルホンおよび二価C−C19アリールエーテルからなる群より選択され、
ポリベンズイミダゾールポリマーPBI中のモノマー単位Uの合計量は、約100〜約10000である。)
【請求項2】
前記プロトン交換膜Mが、さらに、少なくとも一種のホウ素系電子不足化合物BCを含む請求項1に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項3】
前記ホウ素系電子不足化合物BCが無機化合物、好ましくはB、HBOおよびBNからなる群より選択される無機化合物である請求項2に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項4】
前記ホウ素系電子不足化合物BCが有機化合物、好ましくは、(CHO)B、(CFCHO)B、(CCHO)B、[(CFCHO]B、[(CFCO]B、[(CFC(C)O]B、(CO)B、(FCO)B、(FO)B、(FHO)B、(CO)B、(CFO)B、[(CFO]B、(CB、(COB、(C)(C)OB、[(CFC]B(C)、(CF)(C)OB、(CF)(CCF)OB、(CF)[C(CF]OB、(C)(CF)OB、(C)(C)OB、(C)(CCF)OB、(C)[C(CF]OB、[(CFC]B(C)、[(CFC]B(C)、[(CFCH]B(C)、[(CFCH]B(C)および[(CFCH]OB(C)からなる群より選択される有機化合物である請求項2に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項5】
前記ポリベンズイミダゾールポリマーPBIおよび前記スルホン化ポリマーSP、並びに適切な場合には前記ホウ素系電子不足化合物BCが混和性ブレンドを形成する請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項6】
前記プロトン交換膜Mが、各々の場合、前記ポリベンズイミダゾールポリマーPBIおよび前記スルホン化ポリマーSPを一緒にした合計重合に基づいて、0.1〜20重量%の前記ポリベンズイミダゾールポリマーPBIおよび80〜99.9重量%の前記スルホン化ポリマーSPを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項7】
前記プロトン交換膜Mが、前記ポリベンズイミダゾールポリマーPBIおよび前記スルホン化ポリマーSPを一緒にした合計重合に基づいて、0.01〜1重量%の前記ホウ素系電子不足化合物BCを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項8】
前記ポリベンズイミダゾールポリマーPBIが、前記ポリベンズイミダゾールポリマーPBI中のモノマー単位の合計量に基づいて少なくとも90モル%の化学式(I)で示されるモノマー単位Uを、重合状態で含んでなり、化学式(I)で示されるモノマー単位Uが、請求項1に定義された基YまたはZにより互いに独立して結合されていてよい請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項9】
前記ポリベンズイミダゾールポリマーPBIが、前記ポリベンズイミダゾールポリマーPBI中のモノマー単位の合計量に基づいて少なくとも90モル%の化学式(II)で示されるモノマー単位Uを、重合状態で含む請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項10】
YがOまたは炭素間単結合である請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項11】
Zが、フェニレン、ピリジレン、フリレン、ナフタレン、ビフェニレン、アミレンおよびオクタメチレンからなる群より選択される請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項12】
前記ポリベンズイミダゾールポリマーPBIが、ポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−(ピリジレン−3”,5”)−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−(フリレン−2”,5”)−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−(ナフタレン−1”,6”)−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−(ビフェニレン−4”,4”)−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−アミレン−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,2’−オクタメチレン−5,5’−ビベンズイミダゾール、ポリ−2,6’−(m−フェニレン)−ジイミダゾベンゼン、ポリ−(1−(4,4’−ジフェニルエーテル)−5−オキシベンズイミダゾール)−ベンズイミダゾール、ポリ−(1−(2−ピリジン)−5−オキシベンズイミダゾール)−ベンズイミダゾール、ポリ−(3−(4−(6−(1−ベンズイミダゾール−5−イルオキシ)−1−ベンズイミダゾール−2−イル)フェニル)−3−フェニルイソベンゾフラン−1(3H)−オン)およびポリベンズイミダゾールから選択される請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項13】
前記スルホン化ポリマーSPのモノマー単位U’が、下記の基(A)(B)(C)からなる群より選択される少なくとも一つの二価の基を含む請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロトン交換膜Mの使用。
(A)二価C−C10アルカンジイル;二価C−C10アルケンジイル;
(B)二価C−C15アリール;および
(C)二価C−C10シクロアルカンジイル;
(ここで、2個超の炭素原子を有する二価の基A、BおよびCのアルキルまたはアルケニル基は、炭素原子のアルキルまたはアルケニル鎖中に、OおよびSから選択されるヘテロ原子または基−NR−(Rは水素またはC−C11アルキル)を含んでいてよく、
ここで、二価の基A、BおよびCのシクロアルキル、シクロアルケニルまたはアリール基は、環員原子として、O、SおよびNから各々独立して選択されるヘテロ原子を、1、2、3または4個含んでいてよく、
ここで、二価の基A、BおよびCの定義の前記脂肪族、脂環式、ヘテロ環式および芳香族基は、フッ素により部分的または完全にハロゲン化されていてよい、および/または、同一または異なってよい置換基Lを1、2、3または4個有していてよく、
ここで、Lは、ヒドロキシル;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−C12アリール;C−C12ヘテロアリールからなる群より選択され、Lはフッ素により部分的または完全にハロゲン化されていてよく、Lは二価架橋基−O−により結合されていてよく、2つの近接置換基Lは一緒になって(=O)または(=S)を構成してよく、
ここで、前記スルホン化ポリマーSPの同じモノマー単位U’にまたは隣接モノマー単位U’に属する2つの隣接二価基A、Bおよび/またはCは、炭素間単結合により、または−O−、−S−、−(C=O)−、−(C=O)O−、−O(C=O)−および−S(=O)−からなる群より選択される二価の架橋基により互いに共有結合されてよい。)
【請求項14】
前記スルホン化ポリマーSPのモノマー単位U’が少なくとも一つの基−SOHを有すると共に下記の基(A)(B)からなる群より選択される二価の基を1、2、3、4または5個含む請求項13に記載のプロトン交換膜Mの使用。
(A)二価C−C10アルカンジイル;および
(B)二価C−C15アリール;
(ここで、二価の基AまたはBは請求項13に定義のように修飾されていてよく、ただし、モノマー単位U’の二価の基AまたはBの1、2または3個が、同一または異なってよい置換基Lを1または2個含んでいてよく、
ここで、Lは、C−Cアルキル;C−Cアリール;C−Cヘテロアリールからなる群より選択され;Lはフッ素により部分的または完全にハロゲン化されていてよく;Lは二価架橋基−O−により結合されていてよく、
ここで、前記スルホン化ポリマーSPの同じモノマー単位U’にまたは隣接モノマー単位U’に属する2つの隣接二価基Aおよび/またはBは、炭素間単結合により、または−O−、−S−、−(C=O)−および−S(=O)−からなる群より選択される二価の架橋基により互いに共有結合されてよい。)
【請求項15】
前記スルホン化ポリマーSPのモノマー単位U’が二価の基(A)を2〜30個含み、(A)は二価C−C10アルカンジイルである請求項13に記載のプロトン交換膜Mの使用。
(ここで、二価の基Aは請求項13に定義のように修飾されていてよく、ただし、モノマー単位U’の二価の基Aの1、2または3個が、同一または異なってよい置換基Lを1または2個含んでいてよく、
ここで、Lは、C−Cアルキル;C−Cアリール;C−Cヘテロアリールからなる群より選択され;Lはフッ素により部分的または完全にハロゲン化されていてよく;Lは二価架橋基−O−により結合されていてよく、
ここで、前記スルホン化ポリマーSPの同じモノマー単位U’にまたは隣接モノマー単位U’に属する2つの隣接二価基Aは、炭素間単結合により、または−O−、−S−、−(C=O)−および−S(=O)−からなる群より選択される二価の架橋基により互いに共有結合されてよい。)
【請求項16】
前記スルホン化ポリマーSPが、パーフルオロスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、スルホン化ポリ(エーテルエーテルケトン)、スルホン化ポリ(アリーレンエーテルケトン)、スルホン化ポリ(エーテルケトン)、スルホン化ポリ(エーテルケトンケトン)、スルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリ(フェニルキノキサリン)、スルホン化ポリ(2,6−ジフェニル−4−フェニレンオキシド)およびスルホン化ポリフェニレンスルフィドからなる群より選択される請求項1〜15のいずれか一項に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項17】
前記スルホン化ポリマーSPが、下記からなる群より選択される請求項16に記載の膜Mの使用:
化学式(III)で示されるパーフルオロスルホン酸
[化3]

(式中、xは3〜15の範囲の整数、yは1、2または3、およびzは0、1、2または3であり、RとRとは同一または異なってよく、フッ素またはトリフルオリンメチルからなる群より選択される)、
化学式(IV)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリスチレン
[化4]

(式中、nは、100〜10000の範囲の整数である)、
化学式(V)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリ(エーテルエーテルケトン)
[化5]

(式中、nは、100〜10000の範囲の整数である)、
化学式(VI)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリ(アリーレンエーテルケトン)
[化6]

(式中、nは、100〜1000の範囲の整数であり、Rは、水素、直鎖C−CアルキルおよびC−C10アリールアルキルからなる群より選択される)、
化学式(VII)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリ(エーテルケトン)
[化7]

(式中、nは、100〜10000の範囲の整数である)、
化学式(VIII)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリ(エーテルケトンケトン)
[化8]

(式中、nは、100〜10000の範囲の整数である)、
化学式(IX)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)
[化9]

(式中、nは、100〜10000の範囲の整数である)、
化学式(X)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリスルホン
[化10]

(式中、nは、100〜10000の範囲の整数である)、
化学式(XI)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリ(フェニルキノキサリン)
[化11]

(式中、nは、100〜10000の範囲の整数である)、
化学式(XII)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリ(2,6−ジフェニル−4−フェニレンオキシド)
[化12]

(式中、nは、100〜10000の範囲の整数である)および
化学式(XIII)で示されるモノマー単位を有するスルホン化ポリフェニレンスルフィド
[化13]

(式中、nは、100〜10000の範囲の整数である)。
【請求項18】
前記ポリベンズイミダゾールポリマーPBIおよび/または前記スルホン化ポリマーSPが、各々独立に、数平均分子量Mが約500〜約1000000の範囲である請求項1〜17のいずれか一項に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項19】
前記プロトン交換膜Mが実質的に水を含まない条件下で膜Mの厚さが約20〜約200mmの範囲である請求項1〜18のいずれか一項に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項20】
前記プロトン交換膜Mの含水量が膜Mの合計重量に基づいて5wt%以下である請求項1〜19のいずれか一項に記載のプロトン交換膜Mの使用。
【請求項21】
前記プロトン交換膜Mが、各々の場合、前記ポリベンズイミダゾールポリマーPBIおよび前記スルホン化ポリマーSPを一緒にした合計重合に基づいて、0.1〜20重量%の前記ポリベンズイミダゾールポリマーPBIおよび80〜99.9重量%の前記スルホン化ポリマーSPを含む、請求項23に記載のプロトン交換膜燃料電池において用いるための請求項1〜20のいずれか一項に定義されたプロトン交換膜M。
【請求項22】
前記プロトン交換膜Mが、さらに、ホウ素系電子不足化合物BCを、好ましくは前記ポリベンズイミダゾールポリマーPBIおよび前記スルホン化ポリマーSPを一緒にした合計重合に基づいて0.1〜0.5重量%含む請求項21に記載のプロトン交換膜M。
【請求項23】
前記プロトン交換膜Mが実質的に水を含まない条件下で100℃以上、好ましくは100〜250℃の範囲の温度で作用するように設計され、前記温度において、インピーダンス法により測定された前記プロトン交換膜Mのプロトン伝導性が少なくとも10−5S/cmである、請求項1〜20のいずれか一項に定義されたまたは請求項21もしくは22に記載のプロトン交換膜Mを含んでなる、プロトン交換膜燃料電池、特にポリマー電解質膜燃料電池または直接メタノール型燃料電池。
【請求項24】
請求項1〜20のいずれか一項に定義されたまたは請求項21もしくは22に記載のプロトン交換膜Mを製造する方法であって、
(i)請求項1〜20のいずれか一項に定義されたポリベンズイミダゾールポリマーPBI、請求項1〜20のいずれか一項に定義されたスルホン化ポリマーSP、および場合により請求項2〜20のいずれか一項に定義されたホウ素系電子不足化合物BCを、PBI:SPの重量比が1:99〜20:80である、または適切な場合、PBI:SP:BCの重量比が1:99:0.1〜20:80:0.5であるように、有機溶媒OS中に含む溶液を提供し、それにより反応混合物RMを得る工程と、
(ii)工程(i)で得た反応混合物RMを基材S、好ましくは平坦基材に塗布する工程と、
(iii)工程(ii)で得た基材Sを、基材S上に塗布された反応混合物RMから実質的に全ての溶媒が蒸発するように、場合により真空下に、少なくとも50℃の温度に加熱して、膜フィルムMFを得、続いて、このように得られた膜フィルムMFを少なくとも130℃の温度に、好ましくは空気中で加熱する工程と、を含むプロトン交換膜Mを製造する方法。
【請求項25】
さらに以下の工程、
(iv)工程(iii)で得た膜フィルムMFを酸化剤で、続いて無機酸で、好ましくはいずれの場合も高温で処理し、それにより膜フィルムMF’を得る工程と、
(v)工程(iv)で得た膜フィルムMF’を高温にて精製溶媒で処理し、続いて、膜フィルムMF’を、好ましくは高真空下に乾燥し、プロトン交換膜Mを得る工程と、
を含む請求項24に記載のプロトン交換膜Mを製造する方法。
【請求項26】
工程(i)で用いられる有機溶媒OSが、Ν,Ν−ジメチルアセトアミド、Ν,Ν−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドおよびそれらの混合物からなる群より選択される請求項24または25に記載のプロトン交換膜Mを製造する方法。

【公表番号】特表2013−506234(P2013−506234A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530131(P2012−530131)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006904
【国際公開番号】WO2011/035795
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512076014)エーヴェーエー・フォルシュングスツェントルム・フュア・エネルギーテヒノロギー・エー・ファウ (1)
【Fターム(参考)】