説明

高温材搬送用部材

【課題】耐ビルドアップ性、耐酸化性および耐ヒートクラック性に優れる高温材搬送用部材の提供
【解決手段】母材表面に皮膜を形成した高温材搬送用部材であって、皮膜が、質量%で、0.03〜0.6%のC、0.2〜3%のSi、22〜35%のCrおよび50%を超えるCoを含有するCo基合金粉末と、Cr炭化物の粉末とからなる混合粉末を用いて、プラズマ粉体肉盛法により形成された複合皮膜である高温材搬送用部材。この高温材搬送用部材は、特に1100℃以上のガス雰囲気において優れた耐ビルドアップ性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理などにより加熱される鋼材その他の高温材料を支持、搬送するのに好適な高温材搬送用部材に関し、特に、熱処理炉内の搬送用ローラ、スキッドボタンなどの高温材搬送用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
熱間での継目無管の製造その他の金属材料の熱間加工においては、例えば、熱処理炉内の加工用素材もしくは製品、または、熱処理炉などによって高温に加熱されたこれらの材(以下、「高温材」と総称する。)の搬送には、ローラコンベアなどの搬送用部材が使用されることが多い。
【0003】
高温材の搬送に際し、例えば、高温材と搬送用部材との間でスリップが生じると、高温材と搬送用部材との間で焼き付きが生じることがある。その際、高温材からの剥離物またはその酸化物が高温材または搬送用部材表面に局部的に付着すると(以下、これらの付着物を「ビルドアップ」と称する。)、搬送中の高温材表面に押込み疵が発生し、製品の表面品質および歩留まりを低下させるという問題がある。
【0004】
このような不良を抑制するために、従来、搬送用部材の母材の材質を、例えば、Cr、Ni合金などの耐焼き付き性に優れたものとすることが行われているが、それだけでは、十分な効果が得られないのが実情である。そこで、以下に示すように、母材の表面に皮膜を形成した様々な部材が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、ローラ母材の表面に、3Cr−1Ni−Fe系合金にNbCを30〜50体積%含有させた耐熱材料を肉盛り溶接し、次いで、COガスを含む酸化性雰囲気中で熱処理して、その表面に強固な酸化スケール皮膜を付与する発明が開示されている。この発明によれば、熱間材の搬送に際して熱間材とローラとの2面間に凝着が発生しない、耐摩耗性と耐焼き付き性に優れた熱間搬送ローラを製造できるとされている。
【0006】
特許文献2には、母材表面に、体積比で20〜70%のニオブ炭化物粒子を含む金属−炭化物複合皮膜と、該皮膜の最表面に形成させた酸化物皮膜とからなる二層皮膜を有する熱間工具の焼付き防止技術が開示されている。また、特許文献3には、Cr、W、Fe、C、残部Coからなる合金粉末と20〜70重量%の炭化物系セラミック粉末とからなるプラズマ粉体溶接肉盛用複合溶接材に関する発明が提案され、特許文献4には、クロム系炭化物を20〜60体積%含有するコバルトまたはコバルト基合金から肉盛ロールに関する発明が提案されている。
【0007】
特許文献5には、Co−Cr−Fe合金材料にCrを加えた粉末をプラズマ粉体溶接にて肉盛し、ライニング層を形成する金属部品の表面処理方法に関する発明が開示されている。特許文献6には、炭化物を20〜70体積%含有し、残部が金属からなる金属−炭化物複合皮膜を最表面に構成した耐ビルドアップ性に優れた高温材搬送用ローラに関する発明が開示されている。さらに、特許文献7には、硬化肉盛層における亀裂の発生を抑えるために、溶融した炭素鋼に炭化物または炭窒化物の硬質粒子を一部溶融した未溶融状態で凝固し、さらに焼入れすることが提案されている。特許文献8および9には、Coがそれぞれ25.0〜45.0%、および20〜40%含有する残部Feからなる溶接肉盛用の溶接材に関する発明が開示されている。
【0008】
上記のような肉盛層を形成させる方法の他、溶射法を用いた表面改質に関する技術も提案されている。
【0009】
例えば、特許文献10には、粒径1〜100μmの硬質粒子が10〜50面積%とマトリックス合金相が90〜50面積%からなる溶射皮膜を胴部表面に具備した鋼材処理用溶射ロールに関する発明が開示されている。また、特許文献11には、10〜60wt%の炭化物サーメット粉末と90〜40wt%のC含有ニッケルクロム合金粉末とからなる混合粉末の溶射皮膜中に再析出した炭化物を分散させた電気めっき用コンダクタロールに関する発明が開示されている。
【0010】
特許文献12には、クロム炭化物を50〜90重量%含み、残部はニッケル、コバルトの1種又は2種と、クロム、アルミニウムの1種又は2種を含む合金のサーメット材料を表面に溶射された耐ビルドアップ性、耐熱性、耐摩耗性に優れた炭化物系皮膜を有する熱処理炉内ロールに関する発明を開示している。また、特許文献13には、Crなどの炭化物や硼化物、酸化物、複合酸化物の1種以上を5〜30重量%含有させ、残部Co、CrおよびMoを含有する耐熱性合金からなる繰り返し熱衝撃を受ける摺動摩耗部材に適した溶射皮膜に関する発明が開示されている。
【0011】
特許文献14には、鋼帯熱処理炉の炉内搬送ロール用として、Al、CrおよびYを含有し、残部CoとNiの1種以上からなる合金粉末と、硼化物、炭化物の1種以上からなるセラミック粉末からなる耐ビルドアップ性に優れた溶射被覆用サーメット粉末に関する発明が開示されている。また、特許文献15には、炭化タングステン、炭化クロム、炭化ニオブ等の炭化物あるいは一種以上の金属バインダーによる結合された混合物を10〜50wt%含有し、残部C:0.02〜0.25wt%、Cr:0.5〜15wt%含有自溶合金(Ni基またはCo基)よりなる溶射被覆層が0.5〜3mm形成されている連続鋳造用ロールに関する発明が開示されている。また、特許文献16には、ロール母材表面にセラミックスとニッケル基合金又はコバルト基自溶性合金との混合被覆層を溶射法により被覆すた高温鋼板搬送用ロールに関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5−84570号公報
【特許文献2】特開平6−315704号公報
【特許文献3】特開昭64−18599号公報
【特許文献4】特開平3−207510号公報
【特許文献5】特開平8−13116号公報
【特許文献6】特開2003−340511号公報
【特許文献7】特開2008−763号公報
【特許文献8】特開昭62−134193号公報
【特許文献9】特開昭64−11093号公報
【特許文献10】特開平3−2362号公報
【特許文献11】特開平5−295592号公報
【特許文献12】特開平6−33149号公報
【特許文献13】特開平9−316621号公報
【特許文献14】国際公開第01/34866号
【特許文献15】特開2006−263807号公報
【特許文献16】特開昭63−255352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1および特許文献2で提案された技術は、母材にNbCと合金の複合皮膜を形成させるものであり、焼付きを防止しようとするものである。しかしながら、NbCは耐酸化性に乏しく、特に高温のガス雰囲気では安定に存在できずに耐摩耗性が急激に低下する。特許文献3〜5で提案された技術は、母材にCr炭化物を含めた種々の炭化物と金属の複合皮膜を形成させるものであり、高温における耐摩耗性の改善を目指している。しかしながら、これらは耐摩耗性を高めることを目指した結果、硬く脆い金属組織となりプラズマ粉体肉盛施工における冷却時に亀裂が生じやすくなる。亀裂部では耐摩耗性が低下することから、均一な品質が得られないという問題を抱えている。また、長時間の使用における加熱−冷却の熱履歴を受けることでさらに亀裂が発生し耐摩耗性が損なわれる。
【0014】
特許文献6で提案された皮膜も高硬度の脆弱な金属組織となることから、亀裂の発生を避けることは困難で、亀裂部で酸化物付着が容易となり耐ビルドアップ性は低下する。また、特許文献7に記載の発明では、硬くて脆い肉盛層の亀裂発生を抑えることを目指しているが、炭素鋼からなる溶加材と炭化物からなる皮膜であることから、十分な耐酸化性を得ることができず、その結果、皮膜の表面が変化し耐摩耗性および耐ビルドアップ性も劣化していく。一方、特許文献8および9に記載の発明では、Co含有量を低く抑えた残部Feからなる溶接材であるため、肉盛層の亀裂発生は抑制できるが、耐摩耗性が十分とはいえない。
【0015】
特許文献10〜16に示される溶射により皮膜を形成する方法では、加熱溶融したコーティング材料をガス流にて微粒子状とし基材に衝突、積層することで皮膜を形成する。そのため、一般に皮膜内に気孔が形成されやすく、耐摩耗性、耐ビルドアップ性が十分とは言えない。また、プラズマ粉体肉盛法で形成された皮膜は、基材と溶融接合(化学的結合)するのに対し、溶射皮膜と基材は、物理的結合であるため結合力が弱い。そのため、高温材の搬送用ローラでは形成した皮膜が使用中に剥離し、耐摩耗性、耐ビルドアップ性が急激に低下する。特許文献16に示される混合被覆層はCr含有量が低いため、耐酸化性が不十分であり、特に1100℃以上となる高温材の搬送用ロールに適さない。
【0016】
この発明は、高温ガス雰囲気における耐ビルドアップ性、耐摩耗性および耐酸化性に優れ、かつプラズマ粉体肉盛施工時における亀裂発生を抑制した高温材搬送用部材を提供すること、より具体的には、高温ガス雰囲気、特に1100℃以上のガス雰囲気となる高温中で使用する場合に、優れた耐ビルドアップ性を有し、押込み疵の発生を防止した高温材搬送用部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、高温、特に1100℃以上となる、例えば、熱処理炉内のようなガス雰囲気において、ローラによる搬送に際しても、有効なビルドアップ防止方法を種々研究した結果、以下の知見を得た。
【0018】
a.従来のビルドアップ防止方法は、高温材と搬送用部材との間での焼き付き防止、凝着防止に重点をおいてきた。そのために、搬送用部材表面の酸化スケールによる熱間潤滑作用を活用し、その効果を向上させることを指向してきたが、この防止方法では、ビルドアップによる押込み疵発生の抑制に限界がある。つまり、従来は、例えば、熱間潤滑作用のある酸化スケールを強固にして剥離しにくくすることに重点を置いてきたが、長期間の使用により酸化スケールが薄くなったり、衝撃により剥離したりして、ビルドアップを抑制することはできなかった。
【0019】
b.そこで、本発明者らは、搬送中の高温材の表面における押込み疵発生を有効に抑制するには、搬送用部材の表面に肉盛皮膜を形成し、その皮膜が酸化するときに生成する酸化スケール(A)の密着性を弱める、すなわち、剥離性を高めればよいことに着目した。このような構成にすることで、仮に、搬送材側の酸化スケール(B)が搬送用部材側の酸化スケール(A)上に移着した場合でも、酸化スケール(A)が肉盛皮膜から容易に剥がれるため、酸化スケール(B)が酸化スケール(A)と共に除去されることとなる。その結果、ビルドアップを防止し、搬送する高温材への押込み疵等の表面疵の発生を有効に抑制することができる。
【0020】
c.肉盛皮膜上の酸化スケール(A)の剥離性を高めるには、肉盛皮膜内に密着性を低下させる異材質が分散して存在することが有効と判明した。当該異材質について種々検討を重ねたところ、Cr炭化物が耐ビルドアップ性を抑制することが分かった。特に1100℃以上のガス雰囲気でその効果が顕著である。また、Cr炭化物を分散した合金−Cr炭化物複合皮膜(以下、単に「複合皮膜」とも記す)を備えることで、耐摩耗性を具備しうることを見出した。
【0021】
d.複合皮膜について高温ガス雰囲気における適用検討を進めたところ、上記耐ビルドアップ性、耐摩耗性の他に、長時間使用していく上で耐酸化性も重要であることが判明した。さらに、プラズマ粉体肉盛を施工する際に、亀裂が発生する場合があり、このような欠陥が耐ビルドアップ性や耐摩耗性能を損なうことが判明した。これら課題を解決するために複合皮膜の合金粉末の成分の効果を調べたところ、耐酸化性を高めるためにはCrとSiを所望量含有させることが重要であり、一方、亀裂発生を抑制するためには、C含有量を制限し、複合皮膜の硬度を下げることが重要との知見を得た。
【0022】
e.ところで、合金粉末のC量を制限することで、肉盛施工時に複合皮膜が亀裂発生することを抑制できるが、一方で耐摩耗性が低下しやすいという問題がある。そのため、C含有量を適正に制御する必要がある。さらに、耐摩耗性を確保するために、合金粉末の主成分をNiまたはFeでなく、Coとすることが肝要であると判明した。すなわち、C含有量を0.03〜0.6質量%とし、さらに50%を超えるCoを含有するCo基合金粉末を用いた複合皮膜であれば、耐摩耗性と肉盛施工時の亀裂抑制を同時に実現することができ、かつ優れた耐ビルドアップ性を発揮することができる。上記の条件を満足する搬送用部材は、継目無管用素材などの高温材のスケールが搬送用部材表面に溶着しビルドアップが生じたとしても、それが成長する前に剥離、脱落するので、ビルドアップが大きく成長することがない。これにより、表面疵を発生させることなく、長期間にわたって高温材の搬送をおこなうことができる。
【0023】
上記b〜eの知見に従うことにより、優れた高温材搬送用部材を得ることができるが、本発明者らの更なる研究により、使用条件によっては耐摩耗性、耐ビルドアップ性が低下する場合があり、さらにプラズマ粉体肉盛の施工時に亀裂が発生することが判明した。その要因を慎重に解析した結果、以下の知見を得るに至った。
【0024】
f.亀裂発生については複合皮膜中のCr炭化物の体積率も影響することが判明した。すなわち、Cr炭化物の含有率が少なすぎると耐ビルドアップ性と耐摩耗性を確保できない場合がある一方で、含有率が高すぎると施工時に亀裂が多数発生する場合がある。そのため、Cr炭化物粉末の含有量は、混合粉末全量に対する体積比で20〜70体積%とすることが好ましいことが分かった。
【0025】
g.この現象は、特に1200℃を超える温度域で使用した場合にのみ発生しており、超高温の使用環境に特有の現象であった。そこで、複合皮膜の反応性について、DTA(示差熱分析)を用いて調べたところ、使用温度近くで吸熱反応が見られた。この反応の詳細は、不明な点もあるが、複合皮膜が融解し始める状態変化、もしくは炭化物の化学変化が起こった可能性が高い。このような反応が起こることで、複合皮膜の強度が急激に低下し、その結果耐摩耗性および耐ビルドアップ性が低下するのである。合金粉末中の元素の影響を調べたところ、Co基合金の耐酸化性を高めるために含有させるSiおよび耐摩耗性向上のために含有させるCは、いずれも吸熱反応が発生する温度(以下、「吸熱反応温度」と称する。)を下げることが判明した。そこで、SiおよびC含有量を適正に制御する必要がある。また、1200〜1250℃の操業を考えた場合、複合皮膜に見られる吸熱反応温度は、1250℃以上となるよう組織制御することが好ましい。
【0026】
本発明は、このような知見に基づきなされたものであり、下記の(1)〜(6)に示す高温材搬送用部材を要旨とする。
【0027】
(1)母材表面に、プラズマ粉体肉盛法により皮膜を形成した高温材搬送用部材であって、皮膜が、質量%で、0.03〜0.6%のC、0.2〜3%のSi、22〜35%のCrおよび50%を超えるCoを含有するCo基合金粉末と、Cr炭化物の粉末とからなる混合粉末を用いた複合皮膜であることを特徴とする高温材搬送用部材。
【0028】
(2)母材表面に、プラズマ粉体肉盛法により皮膜を形成した高温材搬送用部材であって、皮膜が、質量%で、0.03〜0.6%のC、0.2〜3%のSi、22〜35%のCrおよび50%を超えるCoを含有し、残部が不純物からなるCo基合金粉末と、Cr炭化物の粉末とからなる混合粉末を用いた複合皮膜であることを特徴とする高温材搬送用部材。
【0029】
(3)Co基合金粉末が、さらに、質量%で、下記の<1>から<4>までのグループから選択される1以上のグループに属する元素を1種以上含有することを特徴とする上記(2)に記載の高温材搬送用部材。
<1>Mn:10%以下、Cu:10%以下、Ni:10%以下およびFe:10%以下
<2>Mo:10%以下およびW:10%以下
<3>B:3%以下、Ti:3%以下、V:3%以下、Zr:3%以下、Nb:3%以下およびTa:3%以下
<4>Al:1%以下、Ca:1%以下およびREM:1%以下
【0030】
(4)Cr炭化物粉末の含有量が、混合粉末全量に対する体積比で20〜70体積%であることを特徴とする上記(1)から(3)までのいずれかに記載の高温材搬送部材。
【0031】
(5)皮膜の吸熱反応温度が1250℃以上であることを特徴とする上記(1)から(4)までのいずれかに記載の高温材搬送用部材。
【0032】
(6)1100℃以上のガス雰囲気において優れた耐ビルドアップ性を有することを特徴とする上記(1)から(5)までのいずれかに記載の高温材搬送用部材。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、熱処理炉の炉内のような高温環境下で高温材を搬送しても、長期間にわたりビルドアップが生じず、搬送材への押込み疵が発生することがない。また、その耐久性も優れている。従って、熱間加工製品の品質向上、歩留まり向上に加えて、搬送ローラの寿命延長による製造コスト低減などに大きく寄与するので、その効果は著しい。特に、搬送される材料とロールの接触面積が小さいほど、接触部における圧力が大きくなり、その結果としてビルドアップや磨耗が顕著となることから、本発明は、管形状のような接触面積が小さい金属材料を搬送するロールに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】回転摩擦圧着試験機の構成を示す断面模式図
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明に係る高温材搬送用部材は、母材表面に、Co基合金−Cr炭化物の複合皮膜を有する。この複合皮膜は、Co基合金粉末と、Cr炭化物の粉末とからなる混合粉末を用いて、プラズマ粉体肉盛法により形成されたものである。以下の説明において、特に定めない限り、含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
【0036】
1.Co基合金粉末
C:0.03〜0.6%
Cは、高温における硬度を高める働きがあり、この効果を得るためには、0.03%以上含有させる必要がある。一方、0.6%を超えて含有させると、プラズマ粉体肉盛による施工の冷却中に肉盛皮膜内に亀裂が発生し、亀裂部における耐摩耗性および耐ビルドアップ性が著しく低下する。従って、Cの含有量は0.03〜0.6%とする。なお、Cは、吸熱反応温度を下げることから、特に高温で使用する場合には、その上限を0.5%とするのが望ましく、より好ましい上限は0.4%である。また、C含有量は0.05%以上とすることで、上記の効果がより顕著となる。さらに好ましくは0.1%以上である。
【0037】
Si:0.2〜3%
Siは、高温ガス雰囲気における複合皮膜の耐酸化性を高める元素であり、0.2%以上含有させることが必要である。一方、3%を超えてSiを含有させると、耐酸化性の改善効果は小さく、むしろ複合皮膜の吸熱反応温度を低下させ、高温操業における耐ビルドアップ性および耐摩耗性を急激に低下させる。従って、Si含有量は、0.2〜3%とする。耐酸化性の観点からは、その含有量を0.3%以上とするのが好ましい。一方、耐ビルドアップ性および耐摩耗性の点から、その含有量を2%以下にするのが好ましい。特に、1100℃以上のガス雰囲気で使用する場合には、その含有量を1%以下とするのが好ましい。
【0038】
Cr:22〜35%
Crは、耐酸化性を高めるのに有効な元素であり、22%以上含有させることが必要である。一方、35%を超えてCrを含有させると、複合皮膜が硬く脆くなり、肉盛施工時の亀裂を促進させる。また、靭性を低下させるため、部材が操業中に急激な加熱−冷却の負荷を受けた際に亀裂を発生させる。これら亀裂部では、耐ビルドアップ性および耐摩耗性が著しく劣化する。従って、Crの含有量は、22〜35%とする。Cr含有量の好ましい下限は23%であり、好ましい上限は33%である。
【0039】
Co:50%超
Co基合金は、Ni基合金またはFe基合金と比較し高温における硬度を高めることができるため、耐摩耗性に効果を発揮する。従って、本発明においては、複合皮膜の基本成分として50%を超えるCoを含有するCo基合金粉末を用いることとした。耐摩耗性を重視する場合は、その含有量を55%以上とするのが好ましく、より好ましいのは61%以上である。
【0040】
上述の元素以外にも、高温強度や靭性などの特性を改善するべく、必要に応じて、以下に示す元素をそれぞれ適正な量含有させることができる。
【0041】
Mn、Cu、NiおよびFe:それぞれ10%以下
Mn、Cu、NiおよびFeは、組織を安定にするのに有効な元素であるため、必要に応じてこれらの元素の中から選択される一種以上を含有させることができる。しかし、過剰に含有させると、複合皮膜の耐摩耗性が低下する。従って、これらの元素を含有させる場合の含有量は、それぞれ10%以下とするのが好ましい。より好ましい上限の含有量は、それぞれ9%である。なお、上記の元素は微量でも含まれておれば、上記の効果が得られるが、上記の効果が顕著となるのは、それぞれの元素を0.1%以上含有させた場合である。なお、これらの合計含有量については特に定めないが、20%以下とするのが好ましい。
【0042】
MoおよびW:それぞれ10%以下
B、Ti、V、Zr、NbおよびTa:それぞれ3%以下
Mo、W、B、Ti、V、Zr、NbおよびTaは、高温強度を高めるのに有効であるため、必要に応じてこれらの元素の中から選択される一種以上を含有させることができる。しかし、過剰に含有させると、炭化物、窒化物、脆化相などが合金中に析出し、組織が脆くなり、肉盛施工時に亀裂が発生しやすくなる。また、高温操業中の急激な停止冷却で亀裂が発生する危険性を持つ。従って、MoおよびWから選択される一種以上を含有させる場合には、その含有量は、それぞれ10%以下とするのが好ましく、B、Ti、V、Zr、NbおよびTaから選択される一種以上を含有させる場合には、その含有量は、それぞれ3%以下とするのが好ましい。より好ましい上限は、MoおよびWについてはそれぞれ7%であり、B、Ti、V、Zr、NbおよびTaについては、それぞれ1.4%である。なお、上記の元素は微量でも含まれておれば、上記の効果が得られるが、上記の効果が顕著となるのは、Bは0.001%以上、Ti、V、Zr、NbおよびTaについては、それぞれ0.01%以上、MoおよびWについては、それぞれ0.1%以上含有させた場合である。なお、これらの合計含有量については特に定めないが、6%以下とするのが好ましい。
【0043】
Al、CaおよびREM:それぞれ1%以下
Al、CaおよびREMは、酸素との親和力が強いため、肉盛施工時の酸素固定のために含有させてもよい。しかし、過剰に含有させると、粗大な酸化物が合金中に生成し、肉盛溶接施工性を阻害する。従って、これらの元素から選択される一種以上を含有させる場合には、その含有量をそれぞれ1%以下とするのが好ましい。Al含有量は、0.3%以下とするのがより好ましく、CaおよびREMの含有量は、それぞれ0.1%以下とするのがより好ましい。ただし、本件明細書において「REM」とは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量は上記元素の合計含有量を指す。また、上記の元素は、微量でも含まれておれば、上記の効果が得られるが、上記の効果が顕著となるのは、Alは0.005%以上、Caは0.001%以上、REMは0.01%以上含有させた場合である。なお、これらの合計含有量については特に定めないが、2%以下とするのが好ましい。
【0044】
なお、Co基合金粉末には、不純物としてP、S、N、Oなどの元素が含まれる場合がある。また、これらの元素を積極的に含有させることで強度を高めることも可能である。不純物とは、合金材を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料その他の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
【0045】
2.Cr炭化物
Cr炭化物は、高温での耐酸化性を確保しながら、高温硬度を高める効果を有している。そのため、合金粉末との複合皮膜において優れた耐酸化性と耐摩耗性を発揮する。特に1100℃以上のガス雰囲気において有効である。Cr炭化物としては、Cr、Cr、Cr23などが挙げられる。また、これらの炭化物が複合されていてもよい。Cr炭化物の含有量は、特に規定しないが、搬送用部材の複合皮膜上での酸化スケール(A)の剥離性を高めるために、混合粉末全量に対する体積比で20体積%以上とすることが好ましい。さらに好ましいのは30体積%以上である。一方、Cr炭化物の含有量が70体積%を超えると、耐ビルドアップ性向上作用が飽和するうえ、合金の比率が低下して炭化物の保持力が低下し、複合皮膜の形成が困難となる場合がある。また、プラズマ粉体肉盛施工時の亀裂を助長することがある。このため、複合皮膜におけるCr炭化物の含有量は、70体積%以下とするのが好ましい。
【0046】
ここで、Cr炭化物の大きさについては、特に制限はないが、マトリックス中に均一に分散させるのに有効であることから、炭化物粒子の平均直径で50〜200μmの範囲のものを用いるのが好ましい。炭化物の形状は球形、楕円形、棒状などであっても構わず、これらが混合されていてもよい。
【0047】
3.複合皮膜の形成方法
本発明に係る高温材搬送用部材における複合皮膜の形成方法は、電極と母材との間に発生させたプラズマ中に上記混合粉末を送給して母材表面に溶融肉盛する方法、即ち、プラズマ粉体肉盛法を用いる。この方法によれば、プラズマ溶射などに比べ気孔率が少なく、また基材との密着性も高く剥離による損傷が低減できる。さらに簡便に皮膜を形成できるうえ、製作コストの面でも有利である。
【0048】
複合皮膜の厚さには、特に制限はないが、常温から高温におよぶ範囲で十分な表面強度を確保するためには0.3mm以上の厚みを有することが好ましい。特に1100℃以上のガス雰囲気で使用する場合には、0.5mm以上の厚みを有することが好ましく、1mm以上の厚みであれば、なお良い。
【0049】
4.吸熱反応温度
Co基合金粉末とCr炭化物との混合粉末をプラズマ粉体肉盛法により、肉盛施工した複合皮膜は、高温での反応に伴う組織状態が変化しないことが重要である。皮膜の吸熱反応温度が1250℃未満の場合、たとえば、1200℃超〜1250℃といった高温の熱処理炉の搬送用部材として、十分な耐ビルドアップ性および耐摩耗性を維持することができないおそれがある。そのため、吸熱反応温度を1250℃以上とすることが好ましい。なお、反応が開始する温度は、複合皮膜の合金粉末の組成、硬質粒子種およびこれらの混合比などにより制御される。吸熱温度は、複合皮膜より試験片を切り出し、例えばTG−DTA(示差熱天秤)等により起電力を測定し、吸熱に伴う起電力の変化から求めることができる。
【0050】
5.高温材搬送用部材の母材
本発明に係る高温材搬送用部材の母材としては、従来から搬送用ローラなどに用いられている公知の鋼を使用できる。特に、高温の炉内(高温雰囲気中)で使用する場合は、繰り返し熱応力による変形やクラックの進展による割損などが生じないことが必要であり、被加工材の温度や変形抵抗、使用条件等を考慮して、適宜選択すればよい。例えば、ステンレス鋳鋼、耐熱鋳鋼等を使用すればよい。搬送される高温材の形状は何れでもよいが、特に金属管を搬送するローラに用いることで、本発明の持つ耐ビルドアップ性および耐摩耗性が効果を発揮する。
【0051】
母材表面に複合皮膜を形成した後は、そのまま製品として使用することができる。また、応力除去焼鈍や外表面の切削加工などを適宜施しても構わない。
【実施例1】
【0052】
まず、表1に示す化学組成を有する合金粉末および炭化物粉末を混合して得た混合粉末(試番1〜14)と、合金粉末(試番15)を用意した。これらの粉末を用い、プラズマ粉体肉盛法によりNi−Cr合金からなる母材表面に0.7〜4.5mm厚さの皮膜を形成し、供試材とした。これらの供試材について、本発明の効果を確認するべく、下記の試験を行った。
【0053】
[ビルドアップ試験]
上記の各供試材から、被膜を形成した面が試験片の端面となるように直径20mm、長さ50mmの円柱状試験片(試験材A)を切り出し、一方、SUS304鋼から、直径20mm、長さ50mmの円柱状試験片(試験材B)を切り出し、図1に示す試験機を用いて、ビルドアップ試験に供した。
【0054】
図1は、ビルドアップの発生を模擬する回転摩擦圧着試験機の構成を示す断面模式図である。この試験機は、熱処理炉内でローラコンベアなどの搬送用部材で高温材を搬送する場合に発生するビルドアップ模擬した実験装置である。図1において、符号1は高温材搬送用部材を模した円柱状試験材A、符号2は試験材Aの端面に形成した皮膜、符号3は搬送される材料を模した円柱状の試験材B、符号4は高周波加熱用コイル、符号5aおよび5bは試験材支持具、符号6は加熱室をそれぞれ示している。
【0055】
試験材を試験装置の上下に支持具に設置した後、加熱室を閉じ、高周波加熱用コイルに通電し、1時間保持して、試験材Aを大気中で1250℃にまで加熱した。当初、試験材B(符号3)は、図1に示すように試験材Aの上方待機位置で停止させた。次いで、試験材Bを回転させつつ、下降させて、その端面を試験材Aの複合皮膜の表面に圧接した。このとき、試験材Bに負荷した荷重Pは98N、回転数は5rpm、1サイクルの圧接作業における圧接時間は6秒とした。圧接終了後、試験材Bを上方の待機位置に戻し、これを1サイクルの圧接作業とした。この圧接作業を100サイクル繰り返した後に降温し、試験材Aを支持具より取り外し、目視観察によりビルドアップの発生状況を調査した。この作業をビルドアップが発生するまで繰り返した。ビルドアップが発生したサイクル数を表1に示した。
【0056】
なお、試験材Bの下降開始から圧接開始までの時間および圧接終了から上昇完了までの時間はいずれも15秒であり、100サイクルが終了するまでの時間は約1時間であり、その後、約1時間かけて常温付近まで冷却した。ビルドアップが500サイクル以降で発生したものを耐ビルドアップ性に優れると判断した。
【0057】
[磨耗試験]
上記の供試材の皮膜を含めて、厚さ5mm、幅25mm、長さ50mmの試験片を切り出した。この試験片について、大越式磨耗試験機を用いて複合皮膜の磨耗量を調べた。試験は、相手材にSUJ−2を用い、荷重12.75kg、試験距離200m、常温で実施した。試験後の磨耗量(mm)を求め、表1に示した。なお、磨耗量が0.2mm以下のものを耐摩耗性に優れると判断した。
【0058】
[高温酸化試験]
上記の供試材の皮膜を形成した部分から、厚さ2mm、幅10mm、長さ15mmの試験片を切り出した。この試験片を脱脂した後、20%O−5%HO−bal.Nのガス雰囲気下の加熱炉にて1250℃×50時間の酸化試験を行った。その後、各試験片を取り出し、常温まで空冷した後、試験片に生成した酸化スケールを除去し、減肉厚さをマイクロメータにて任意の5箇所測定し、その平均を求め、表1に示した。
なお、減肉厚さが200μm以下のものを耐酸化性に優れると判断した。
【0059】
[ヒートクラック試験]
厚さ20mm、幅70mm、長さ100mmのNi−Cr合金上に皮膜を3mm厚さで肉盛形成した後、皮膜を備えた厚さ20mm、幅40mm、長さ40mmの試験片を切り出した。1250℃の加熱炉に試験片を挿入し、1時間保持後に常温まで空冷する作業を1サイクルとし、10サイクルまで実施した。その後、外観観察および浸透探傷試験にて亀裂発生を評価した。亀裂発生の有無を表1に示した。
【0060】
【表1】

【0061】
なお、表1中の「膜厚」は、ビルドアップ試験および高温酸化試験に用いた試験片の皮膜厚さを示している。ヒートクラック試験の試験片の皮膜厚さは、いずれも3mmである。
【0062】
表1に示すように、合金粉末におけるC含有量の低い試番7、C含有量が高く吸熱反応温度が低い試番8、Co含有量の低い試番9、Si含有量が高く吸熱反応温度が低い試番12、硬質粒子としてNb炭化物の粉末を用いた試番14、Co基合金粉末のみで肉盛皮膜を形成した試番15はいずれも200サイクル以下の短時間でビルドアップが発生し、耐ビルドアップ性に劣っていた。Cr炭化物の体積率が低い試番13は300サイクルでビルドアップが発生し、耐ビルドアップ性に劣っていた。合金粉末におけるC含有量の低い試番7、Co含有量の低い試番9、Si含有量が高い試番12、Cr炭化物の体積率が低い試番13、Co基合金粉末のみで肉盛皮膜を形成した試番15は、いずれも磨耗量が大きく、耐摩耗性が劣っていた。
【0063】
また、合金粉末におけるCr含有量の低い試番10、Si含有量が低い試番11、Nb炭化物を用いた試番14は、いずれも高温酸化試験における減肉厚さが大きく、耐酸化性が劣っていた。
【0064】
さらに、C含有量が高い試番8、Si含有量が高く吸熱反応温度が低い試番12は、ヒートクラック試験において亀裂が発生しており、耐ヒートクラック性に劣っていた。
【0065】
一方、本発明の試番1〜6は、耐ビルドアップ性、耐摩耗性、耐酸化性および耐ヒートクラック性のいずれにおいても優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、熱処理炉の炉内のような高温環境下で高温材を搬送しても、長期間にわたりビルドアップが生じず、搬送材への押込み疵が発生することがない。また、その耐久性も優れている。従って、熱間加工製品の品質向上、歩留まり向上に加えて、搬送ローラの寿命延長による製造コスト低減などに大きく寄与するので、その効果は著しい。
【符号の説明】
【0067】
1:円柱状試験材A(高温材搬送用部材を模した試験材)
2:皮膜
3:円柱状試験材B(搬送される材料を模した試験材)
4:高周波加熱用コイル
5a:試験材支持具(回転、昇降機構付き)
5b:試験材支持具
6:加熱室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材表面に、プラズマ粉体肉盛法により皮膜を形成した高温材搬送用部材であって、皮膜が、質量%で、0.03〜0.6%のC、0.2〜3%のSi、22〜35%のCrおよび50%を超えるCoを含有するCo基合金粉末と、Cr炭化物の粉末とからなる混合粉末を用いた複合皮膜であることを特徴とする高温材搬送用部材。
【請求項2】
母材表面に、プラズマ粉体肉盛法により皮膜を形成した高温材搬送用部材であって、皮膜が、質量%で、0.03〜0.6%のC、0.2〜3%のSi、22〜35%のCrおよび50%を超えるCoを含有し、残部が不純物からなるCo基合金粉末と、Cr炭化物の粉末とからなる混合粉末を用いた複合皮膜であることを特徴とする高温材搬送用部材。
【請求項3】
Co基合金粉末が、さらに、質量%で、下記の<1>から<4>までのグループから選択される1以上のグループに属する元素を1種以上含有することを特徴とする請求項2に記載の高温材搬送用部材。
<1>Mn:10%以下、Cu:10%以下、Ni:10%以下およびFe:10%以下
<2>Mo:10%以下およびW:10%以下
<3>B:3%以下、Ti:3%以下、V:3%以下、Zr:3%以下、Nb:3%以下およびTa:3%以下
<4>Al:1%以下、Ca:1%以下およびREM:1%以下
【請求項4】
Cr炭化物粉末の含有量が、混合粉末全量に対する体積比で20〜70体積%であることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の高温材搬送部材。
【請求項5】
皮膜の吸熱反応温度が1250℃以上であることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の高温材搬送用部材。
【請求項6】
1100℃以上のガス雰囲気において優れた耐ビルドアップ性を有することを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の高温材搬送用部材。

【図1】
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【公開番号】特開2011−125885(P2011−125885A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285188(P2009−285188)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【特許番号】特許第4517008号(P4517008)
【特許公報発行日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【出願人】(390001801)大阪富士工業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】