説明

高温耐性フィルムおよび高温耐性フィルムから作製される接着物品

ポリビニリデンフルオリドポリマーフェイスストック(2)およびその表面上の印刷受容層(4)を含む、高温耐性フィルムおよび高温耐性ラベル(10)が、提供される。この高温耐性フィルムおよび高温耐性ラベル(10)は、プリント回路基板の製造プロセスでの使用に特に適切である。本発明のポリビニリデンフルオリド(PVDF)フィルムは、プリント回路基板加工において頻繁に接触する種々の溶媒への曝露にも拘らず、その完全性を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年1月7日出願の仮出願番号第60/438,604号の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、熱的に安定な接着物品、より特別には、高温適用に適切なラベルおよびテープに関する。本発明のラベルおよびテープは、高温条件下およびプリント回路基板製造プロセスにおいて遭遇する厳しい化学環境下での使用に適切である。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
プリント回路基板の表面実装処理は、製造および自動化の効率に関するその重要性のために、有利である。回路基板製造業者が、自動化製造プロセスの過程を介して各基板を導電路作製する(track)ことを可能にするために、バーコードラベルは、この製造プロセスの最初に緑色の基板または「未加工の」基板に適用される。製造業者は、基板独自のバーコードを走査して、基板を特定のモデルに指定された規格に合わせ、それによりこの規格が満たされていると確認することによって、品質管理を維持し得る。しかし、この表面実装処理は、従来のラベルに不適切な条件を含む。回路基板は、450°F以上の温度における焼付けサイクル、ならびに種々の強溶媒中への浸漬および種々の強溶媒の高圧力スプレーへの曝露を受ける。紙、ポリエステルまたはポリビニルクロライドから作製されるフェイスストックから構築される従来のラベルは、これらの環境制約下でラベルの完全性を保持する能力において重篤に限定されることが見出されている。ラベルの湾曲、収縮、巻き上げ、走査能力の欠失および関連の問題が、頻繁に遭遇する障害である。
【0004】
感圧テープは、波形はんだ付けおよびはんだ溶剤再流基板アセンブリ操作に関連し、高温においてプリント回路基板をマスキングするために使用される。マスキングは、電気的接続を作製するために使用されるはんだによる回路基板の所望しない混線(contamination)を防ぐ。例えば、シリコーンベースの接着剤でコーティングされた高温耐性ポリイミドフィルムに基づく自己接着テープの使用によって、このようなマスキングを達成することが公知である。
【0005】
フェイスストックとして高温耐性ポリマーフィルム(例えば、少なくとも500°Fの温度に無制限に耐えるフィルム(例えば、ポリイミドおよびポリスルホン))を利用するラベルおよびテープは、約1983年から市販されている。このような市販されているフィルムの例としては、Victrex(登録商標)ポリエーテルスルホンポリマーから作製されるStabar S100TMおよび非結晶性、非配向性のポリエーテルケトンからなるK200TM(Wilmington,DelawareのICIから入手可能)、ならびにKapton(登録商標)ポリイミドフィルム(Wilmington,DelawareのDuPontから入手可能)が挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このようなフィルムは、比較的高価であり得る。従って、これらの高温フィルムに代わる低コストの代替物が、所望される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、ラベル用途およびマスキングテープ用途に特に適した高温耐性フィルムに関する。本発明のポリビニリデンフルオリド(PVDF)フィルムは、プリント回路基板加工において頻繁に接触する種々の溶媒への曝露にも拘らず、その完全性を維持する。この高温耐性フィルムは、少なくとも1つのポリビニリデンフルオリドポリマーを含むフェイスストックフィルム、ならびに、このフェイスストックフィルム上の、ポリマー結合剤マトリックスおよびこのマトリックス内に分散された粒子を含む印刷受容層から構築される。
【0008】
本発明は、少なくとも1つのポリビニリデンフルオリドポリマーを含むフェイスストックフィルム;このフェイスストックフィルムの第1の表面上の印刷受容層であって、この印刷受容層は、ポリマー結合剤マトリックスおよびこのマトリックス内に分散された粒子を含む、印刷受容層;およびこのフェイスストックフィルムの第2の表面に接着される感圧性接着剤層から構築される、高温耐性接着物品にさらに関する。
【0009】
さらに、本発明は、上記の熱的に安定なフィルムを産生する方法に関する。この方法は、以下の工程を包含する:(a)キャリアフィルムを提供する工程;(b)このキャリアフィルム上に硬化可能な印刷受容コーティング組成物を適用する工程であって、この印刷受容コーティング組成物は、ポリマー性結合剤マトリックスおよびこのマトリックス内に分散された粒子を含む、工程;(c)この印刷受容コーティング組成物を硬化させて印刷受容層を形成する工程;(d)この印刷受容層上に硬化可能なポリビニリデンフルオリドポリマー組成物を適用する工程であって、このポリビニリデンフルオリドポリマー組成物は、少なくとも1つのポリビニリデンポリマーを含む、工程;(e)このポリビニリデンフルオリドポリマー組成物を硬化させてポリビニリデンフルオリド層を形成する工程;および(f)このキャリア層を除去する工程。
【0010】
以下の記載および添付の図面は、本発明の特定の例示的な実施形態を詳細に示す。しかし、これらの実施形態は、本発明の原理が使用され得る種々の方法のうちのほんの数例を示すものである。本発明の他の目的、利点および新規の特徴は、図面と併せて考慮し、以下の本発明の詳細の説明から明らかになる。
【0011】
(発明の詳細な説明)
本発明のフィルムは、感圧性適用(例えば、プリント回路基板のラベリング)、および高温耐性および溶媒耐性が必要とされる、自動化適用、航空宇宙産業の用途、医学的用途および製造適用のために使用され得る。本明細書中で使用される場合、高温耐性とは、フィルムが、燃焼することなく、沸騰することなくまたは粘着性になることなく、5分間300℃の温度への曝露に耐え得ることを意味する。
【0012】
(PVDF)
熱的に安定なフィルムは、少なくとも1種のポリビニリデンフルオリドポリマーから作製される。1つの実施形態において、ポリビニリデンフルオリドベースのフィルムを形成するために使用されるポリビニリデンフルオリドベースのポリマーは、商標KYNAR(登録商標)のもとにElf Atochem North Americaから、および他の世界中の生産業者から入手可能な公知の市販製品である。例えば、「Vinylidene Fluoride Polymers」,Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,第17巻,第2版,532頁,1989,John Wileyを参照のこと。ポリビニリデンフルオリドポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーもしくはテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどのモノマーとの任意の公知のコポリマーもしくはターポリマーであり得る。
【0013】
特に有用な市販のポリビニリデンフルオリドポリマーとしては、以下が挙げられる:Kynar 2821(分散等級の粒子サイズに大気中で粉砕されたポリビニリデンフルオリド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー);Kynar 500 plus(分散等級のポリビニリデンフルオリドホモポリマー);Kynar 2500 Super Flex(ポリビニリデンフルオリド/ヘキサフルオロオプロピレンコポリマー樹脂);およびKynar 301F(分散等級のポリビニリデンフルオリドホモポリマー)。
【0014】
ポリビニリデンフルオリドポリマーを形成し、このポリビニリデンフルオリドポリマーに基づくフィルム(特に、着色化フィルム)の特性を向上させるために使用される、特定のフッ素ベースでないポリマーの混合物が、公知である(米国特許第3,340,222号を参照のこと)。本発明により企画される、ポリビニリデンフルオリドホモポリマーおよびポリビニリデンフルオリドコポリマーと共にポリビニリデンフルオリドベースのポリマーを形成しているアクリルポリマーアロイ、および鋳造または押出しによるポリビニリデンフルオリドベースのポリマーからのポリビニリデンフルオリドポリマーベースのフィルムの形成もまた、周知である。このようなアクリルポリマーの例としては、ICIからのELVACITE 2008およびELVACITE 2043、ならびにRohm & HaasからのアクリロイドB−44が挙げられる。
【0015】
ポリビニリデンフルオリドベースのポリマーは、1種以上の高温耐性顔料を含み得る。このような顔料は、少なくとも600°Fの処理温度に耐え得る顔料を含む。1つの実施形態において、水酸化アルミニウムおよび無定形シリカで表面処置されているルチル型二酸化チタンが、ポリビニリデンフルオリドポリマーに加えられる。
【0016】
顔料に加えて、PVDFフィルム層は、必要とされる温度において安定であると公知の他の添加剤を含み得る。このような添加剤としては、分散剤、抗酸化剤、溶媒および他の従来の添加剤が挙げられ、これらは当該分野で公知の量で使用され得る。
【0017】
(印刷受容層)
本発明の高温フィルムは、その上面に印刷受容コーティングを含む。印刷受容コーティングは、熱転写、レーザー、インクジェット、フレキソ印刷、およびドットマトリックス印刷によって印刷物(例えば、機械で読み取り可能なバーコード、英数字の識別番号および/または他の同定情報)を受容する。この印刷受容コーティングは、熱転写印刷に特に適切である。
【0018】
特定のプリント回路基板製造適用における使用について、本発明の高温フィルムは、強烈な溶媒および/または磨耗曝露に耐えるように設計された印刷受容コーティングを含み得、本発明の高温フィルムはまた、好ましくは、激しい溶剤(fluxing)、波形はんだ付け環境および印刷スメアリング(print smearing)に対して優れた耐性を実証する。
【0019】
この印刷受容コーティングは、一般的には、結合剤樹脂および粒子状物質を含む。広範な種々の特定の化合物が、粒子状物質として使用され得、この化合物としては、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸アルミニウムおよびケイ酸カリウムアルミニウム)および他の化合物(例えば、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素および炭酸カルシウム)が挙げられる。
【0020】
1つの実施形態において、印刷受容コーティングは、樹脂および樹脂内に分散される導電性粒子を含み、高温フィルムに帯電防止特性を与える。結合剤樹脂内に分散される導電性粒子は、以下から選択され得る:(a)金属粒子または金属コーティングされた粒子;(b)炭素粒子または黒鉛粒子;(c)導電性殻(コアシェル電導性顔料として一般的に公知)を有する無機酸化物粒子;および(d)粒子形態または相互接続ネットワーク形態のいずれかである導電性ポリマー。これらの粒子は、米国特許第5,441,809号に記載され、米国特許第5,441,809号は、本明細書中で参考として援用される。他の帯電防止剤としては、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェンおよびポリピロールが挙げられる。これらの帯電防止剤は、米国特許第4,273,194号および同第5,370,981号に記載される。代表的には、導電性粒子は、結合剤樹脂と導電性粒子とを合わせた重量で少なくとも約30重量%の重量を含む。1つの実施形態において、導電性粒子は、結合剤樹脂と導電性粒子とを合わせた重量で少なくとも約40重量%の重量を含み、そして別の実施形態において、結合剤樹脂と導電性粒子とを合わせた重量で少なくとも約50重量%の重量を含む。
【0021】
好ましい導電性粒子は、非導電性コアを有するコアシェル粒子(通常は、酸化物粒子または鉱物粒子)および導電性物質の薄い外殻を有するコアシェル粒子である。このような導電性粒子の例としては、Spartanburg,South CarolinaのMilliken Chemicalから市販されているZelecブランドの導電性顔料が挙げられ、この導電性顔料において、このコアは、二酸化チタン粒子、雲母薄片またはシリカ球体であり、そしてこの導電性外殻は、アンチモンドープド(doped)酸化スズである。Zelec ECP 2703−Sは、好ましい導電性粒子である。
【0022】
印刷受容コーティングの結合剤は、アルキルアクリレートポリマーまたはメタクリレートポリマーを含み得る。1つの実施形態において、この結合剤は、Elvacite 2041(メチルメタクリレートポリマー)を含む。
【0023】
印刷受容層の厚さは、通常では約0.4ミクロン〜約10ミクロンの範囲内である。1つの実施形態において、この印刷受容層は、約0.5ミクロン〜約2.0ミクロンの範囲内である。別の実施形態において、印刷受容層の厚さは、約1ミクロンである。
【0024】
(ラベルおよびテープ)
本発明の熱的に安定なフィルムは、ラベルおよびテープのような接着物品を産生するために使用され得る。本発明のラベルの1つの実施形態が、参考として図1に記載される。図示されるラベル10は、熱的に安定なPVDFフェイスストックフィルム2を含み、このPVDFフェイスストックフィルム2は、その上面に薄い印刷受容層4を有し、かつその下面に接着された接着剤層6を有する。印刷受容層4は、ラベル10の表面上への情報の印刷を容易にする。
【0025】
(接着剤)
熱的に安定なフェイスストックフィルムに適用される接着剤は、除去可能な接着剤または永久接着剤であり得る。この接着剤は、一般的には、高温への曝露(例えば、600°Fまで、2〜3分間)に耐え得るべきである。
【0026】
アクリルベース、シリコーンベースおよびゴムベースの感圧性接着剤が、本発明で使用され得る種々の型の接着剤の代表例であるが、温度安定性および高いせん断強度のゆえに、アクリルベースの接着剤が好ましい。米国特許第4,812,541号(本明細書中で参考として援用される)に記載されるようなアクリルエステルベースのモノマーおよび/またはメタクリルエステルベースのモノマー、グリシジルモノマーならびにN−ビニルラクタムモノマーに基づく感圧性接着剤が、アクリルベースの接着剤に特に有用である。
【0027】
高温シリコーンベースの感圧性接着剤(例えば、米国特許第5,096,981号;同第5,441,811号および同第5,506,288号(本明細書中で参考として援用される)に記載されるもの、およびGeneral Electric Companyから市販されているもの)が、本発明において使用され得る。
【0028】
除去可能な接着剤は、ラベルまたはテープが、例えば、電子部品の表面に固定された後、このラベルまたはテープの位置を変えることを可能にする。除去可能なアクリル性接着剤の例としては、H & N ChemicalsからのPolytac 415、Polytac 301およびPolytac 351が挙げられる。
【0029】
この接着剤は、任意の公知の方法によって熱的に安定なフィルムの表面上に直接コーティングされ得る。この方法としては、ナイフコーティング、マイヤーのバーコーティング、押出し型、およびコーティング接着剤についての当該分野で公知の他の従来の手段が挙げられる。1つの実施形態において、この接着剤は、接着剤層および接着剤ライナーからなる転移テープを用いることで熱的に安定なフィルムに積層される。例えば、転移テープ(例えば、FassonからのFasTapeTM 1182 UHA(80ポンド高密度クラフト剥離ライナー上のアクリル性接着剤))が、接着剤を熱的に安定なフィルムに適用するために使用され得る。
【0030】
この接着剤層の厚さは、一般に、約0.5ミル〜約2.5ミルの範囲内である。1つの実施形態において、この接着剤層の厚さは、約1ミル〜約2.0ミルである。
【0031】
(製造プロセス)
概して、本発明の高温フィルムを製造する方法は、以下の工程を含む:(a)キャリアフィルムを提供する工程;(b)このキャリアフィルム上に硬化可能な印刷受容コーティング組成物を適用する工程であって、この印刷受容コーティング組成物は、ポリマー性結合剤マトリックスおよびこのマトリックス内に分散された粒子を含む、工程;(c)この印刷受容コーティング組成物を硬化させて、印刷受容層を形成する工程;(d)この印刷受容層上に硬化可能なポリビニリデンフルオリドポリマー組成物を適用する工程であって、このポリビニリデンフルオリドポリマー組成物は、少なくとも1つのポリビニリデンポリマーを含む、工程;(e)このポリビニリデンフルオリドポリマー組成物を硬化させて、ポリビニリデンフルオリド層を形成する工程;および(f)このキャリア層を除去する工程。
【0032】
本発明の1つの実施形態において、高温フィルムは、印刷受容コーティングの薄層を用いてポリエステルフィルムキャリア(例えば、ポリエチレンテレフタレート)をコーティングすることによって調製される。この印刷受容コーティングは、任意の適切な方法によって適用され得、この方法としては、グラビアシリンダー、逆グラビア、マイヤーロッド、スロット染色、スプレーコーティングが挙げられる。次いで、この印刷受容コーティングを、乾燥させる。
【0033】
次いで、ポリビニリデンフルオリド層が、印刷受容コーティングに適用される。このポリビニリデンフルオリド層は、スロット染色コーティングを含む任意の適切な方法によって適用され得る。次いで、このポリビニリデンフルオリド層を、約360°Fまでの温度において乾燥させる。このポリビニリデン揺るオライド層の厚さは、一般には約1ミル〜約3ミルの範囲である。1つの実施形態において、ポリビニリデンフルオリド層の厚さは、約1.5ミル〜約2.0ミルの範囲である。
【0034】
次いで、接着物品のためには、感圧性接着剤が、ポリビニリデンフルオリド層の外面に適用される。1つの実施形態において、この接着剤は、支持ライナー上に感圧性接着剤を積層させることによって、ポリビニリデンフルオリド層に適用される。次いで、このキャリアフィルムは、接着物品から除去される。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
白色の熱的に安定なPVDFフィルムを、改変したグラビアシリンダーによって印刷受容コーティングの薄層を1.42ミルPETキャリアフィルム上に最初に適用することによって作製した。この印刷受容コーティングを、以下の処方物から調製した。
【0036】
【表1】

Elvacite 2041アクリル樹脂およびZelec ECP 2701−S導電性顔料を、約130°Fでの加熱の下で溶媒と混合し、溶媒中のアクリル樹脂を溶解した。次いで、このバッチを冷却させた。
【0037】
印刷受容コーティングをPETキャリアに適用して強制空気乾燥機で乾燥させた後、PVDF色層を、スロット染色コーターを用いて適用した。このPVDF色層を、以下の処方物から調製した。
【0038】
【表2】

第1の3つの溶媒を、容器中で事前に混合した。次いで、Kynar 2500 PVDFポリマーおよびSolsperse 17000を容器に加え、Kynar 2500が溶解するまで高速で混合した。次いで、この混合物を、およそ室温(65°F〜85°F)まで冷却し、次いで、Kynar 500を105°Fを超えない温度で、高速で混合しながら加えた。次いで、シクロヘキサン、Exxate 700、ブチロラクトンおよびR960分散剤の事前混合物を調製して、バッチに加えた。R960分散剤を、以下の処方物から調製した。
【0039】
【表3】

PVDFフィルムを溶融させて、複数ゾーンの強制空気乾燥機で約360°Fまでの温度において乾燥させた。
【0040】
(実施例2)
白色の熱的に安定なPVDFフィルムを、PVDF色層を以下の処方物から調製した他は、実質的に実施例1に記載した手順に従って作製した。
【0041】
【表4】

2つの溶媒を、容器中で事前に混合した。Kynar 2821 LVおよびSolsperse 17000を、高速混合しながら容器に加えた。次いで、R960分散剤を加え、Kynar樹脂が均一に分散するまで高速混合した。
【0042】
本発明のPVDFフィルムは、高温耐性ラベルを調製するために使用され得る。1つの実施形態において、図2に図示された、第1のラベル成分20aは、キャリアフィルム22を含み、キャリアフィルム22の上に、印刷受容層24が適用される。PVDFフィルム26は、この印刷受容層24の上に存在する。第2のラベル成分20bは、除去可能な剥離ライナー30に接着された感圧性接着層28からなる。ラベルを調製するために、感圧性接着剤層28が、PVDF層28の上面に積層される。次いで、キャリアフィルム22は、印刷受容層24から除去され得る。
【0043】
1つの実施形態において、除去可能な剥離ライナー上のアクリルベースの永久接着剤が、PVDF層に積層される。
【0044】
本発明のラベルは、オンデマンド印刷用途のために、ラベル上にいかなる印刷物も有すことなく提供され得る。あるいは、ラベルは、ラベルの印刷受容層24にすでに適用された印刷物を有して提供され得る。この印刷物は、印刷受容層/PVDF層を対象に提供されるべきであり、熱耐性および溶媒耐性であるべきである。
【0045】
実施例1および実施例2のフィルムを、Zebra 170Xii熱転移プリンターを用いてバーコードをフィルムの印刷受容層上に印刷することによって、化学耐性について試験した。このフィルムを、24時間置いておいた。有機溶媒有機溶剤、イソプロピルアルコールおよびハロゲンを含まない溶剤に対する耐性を各フィルムについて試験した。選択した有機溶媒に浸漬した小さなナイロンブラシで、フィルムのいたるところにブラシをかけた。印刷物またはフィルムを損傷するのに必要とされたブラシの往復運動の数を記録した。印刷物に対する最小限の損傷は許容し得るが、この印刷物は、読みやすさおよびバーコードの走査能力を維持しなければならない。有意の損傷なしの100回のブラシの往復運動が、化学耐性試験を通過するために必要とされる。
【0046】
本発明のフィルムを、実施例1および実施例2のフィルムを5分間300℃の温度に加熱することによって、熱耐性について試験した。このフィルムは、いかなる気泡または歪曲も示さなかった。
【0047】
本発明は、その好ましい実施形態に関して説明されているが、これらの種々の変更は、本明細書を読むことで当業者に明らかになることが理解されるべきである。従って、本明細書中に開示される本発明は、添付の特許請求の範囲内のこのような変更を網羅すると意図されることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
添付の図面において、この縮尺である必要はない。
【図1】図1は、本発明のラベルの断面図である。
【図2】図2は、本発明のラベルを作製する方法の1つの実施形態の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温耐性フィルムであって、以下:
第1の主表面および第2の主表面を有し、そして少なくとも1つのポリビニリデンフルオリドポリマーを含む、フェイスストックフィルム;および
該フェイスストックフィルムの該第1の主表面上の印刷受容層であって、該印刷受容層は、ポリマー性結合剤マトリックスおよび該マトリックス内に分散された粒子を含む、印刷受容層、
を含む、高温耐性フィルム。
【請求項2】
前記ポリビニリデンフルオリドポリマーが、ポリビニリデンフルオリドとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーを含む、請求項1に記載の高温耐性フィルム。
【請求項3】
前記フェイスストックフィルムが、ポリビニリデンホモポリマーおよびポリビニリデンフルオリドとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーを含む、請求項1に記載の高温耐性フィルム。
【請求項4】
前記フェイスストックフィルムが、分散された顔料をさらに含む、請求項1に記載の高温耐性フィルム。
【請求項5】
前記フェイスストックフィルムが、アクリルポリマーをさらに含む、請求項1に記載の高温耐性フィルム。
【請求項6】
前記印刷受容層の前記ポリマー性結合剤マトリックスが、アクリルポリマーを含む、請求項1に記載の高温耐性フィルム。
【請求項7】
前記マトリックス内に分散された前記粒子が、導電性粒子を含む、請求項1に記載の高温耐性フィルム。
【請求項8】
前記導電性粒子が、導電性顔料を含む、請求項7に記載の高温耐性フィルム。
【請求項9】
前記フェイスストックフィルムの厚さが、約1ミル〜約3ミルである、請求項1に記載の高温耐性フィルム。
【請求項10】
前記印刷受容層の厚さが、約0.4ミクロン〜約10ミクロンである、請求項1に記載の高温耐性フィルム。
【請求項11】
請求項1に記載の高温耐性フィルムであって、該高温耐性フィルムは、5分間で300℃の温度まで温められ、そして有機溶媒で接触された後に、印刷物の読みやすさおよび光学的走査能力を維持することが可能である、請求項1に記載の高温耐性フィルム。
【請求項12】
高温耐性接着物品であって、以下:
第1の主表面および第2の主表面を有し、そして少なくとも1つのポリビニリデンフルオリドポリマーを含む、フェイスストックフィルム;
該フェイスストックフィルムの該第1の主表面上の印刷受容層であって、該印刷受容層は、ポリマー性結合剤マトリックスおよび該マトリックス内に分散された粒子を含む、印刷受容層;および
該フェイスストックフィルムの該第2の主表面に接着される、感圧性接着剤層、
を含む、高温耐性接着物品。
【請求項13】
前記ポリビニリデンフルオリドポリマーが、ポリビニリデンフルオリドとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーを含む、請求項12に記載の高温耐性接着物品。
【請求項14】
前記フェイスストックフィルムが、ポリビニリデンホモポリマーおよびポリビニリデンフルオリドとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーを含む、請求項12に記載の高温耐性接着物品。
【請求項15】
前記フェイスストックフィルムが、分散された顔料をさらに含む、請求項12に記載の高温耐性接着物品。
【請求項16】
前記フェイスストックフィルムが、アクリルポリマーをさらに含む、請求項12に記載の高温耐性接着物品。
【請求項17】
前記印刷受容層の前記ポリマー性結合剤マトリックスが、アクリルポリマーを含む、請求項12に記載の高温耐性接着物品。
【請求項18】
前記マトリックス内に分散された前記粒子が、導電性粒子を含む、請求項12に記載の高温耐性接着物品。
【請求項19】
前記導電性粒子が、導電性顔料を含む、請求項18に記載の高温耐性接着物品。
【請求項20】
前記フェイスストックフィルムの厚さが、約1ミル〜約3ミルである、請求項12に記載の高温耐性接着物品。
【請求項21】
前記印刷受容層の厚さが、約0.4ミクロン〜約10ミクロンである、請求項12に記載の高温耐性接着物品。
【請求項22】
前記接着物品フィルムが、5分間で300℃の温度まで温められ、そして有機溶媒で接触された後に、印刷物の読みやすさおよび光学的走査能力を維持することが可能である、請求項12に記載の高温耐性接着物品。
【請求項23】
前記感圧性接着剤が、永久接着剤を含む、請求項12に記載の高温耐性接着物品。
【請求項24】
前記感圧性接着剤が、除去可能な接着剤を含む、請求項12に記載の高温耐性接着物品。
【請求項25】
前記感圧性接着剤が、アクリルベースの接着剤を含む、請求項23に記載の高温耐性接着物品。
【請求項26】
高温フィルムを製造する方法であって、該方法は、以下の工程:
キャリアフィルムを提供する工程;
該キャリアフィルム上に硬化可能な印刷受容コーティング組成物を適用する工程であって、該印刷受容コーティング組成物は、ポリマー性結合剤マトリックスおよび該マトリックス内に分散された粒子を含む、工程;
該印刷受容コーティング組成物を硬化させて印刷受容層を形成する工程;
該印刷受容層上に硬化可能なポリビニリデンフルオリドポリマー組成物を適用する工程であって、該ポリビニリデンフルオリドポリマー組成物は、少なくとも1つのポリビニリデンフルオリドポリマーを含む、工程;
該ポリビニリデンフルオリドポリマー組成物を硬化させてポリビニリデンフルオリド層を形成する工程;および
該キャリア層を除去する工程、
を包含する、方法。
【請求項27】
前記印刷受容コーティング組成物が、ポリマー性結合剤マトリックス、該マトリックス内に分散された導電性顔料、および少なくとも1つの溶媒を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリビニリデンフルオリドポリマー組成物が、少なくとも1つのポリビニリデンフルオリドポリマー、少なくとも1つの顔料、および少なくとも1つの溶媒を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリビニリデンフルオリドポリマー組成物が、ポリビニリデンフルオリドホモポリマーおよびポリビニリデンフルオリドとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーを含む、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−514890(P2006−514890A)
【公表日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566576(P2004−566576)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/040633
【国際公開番号】WO2004/063302
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(594177391)エーブリー デニソン コーポレイション (26)
【氏名又は名称原語表記】Avery Dennison Corporation
【Fターム(参考)】