説明

高濃度の1,25−ジヒドロキシビタミンD3グリコシド及びケルセチングリコシドを含むソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の植物抽出物の調製及び使用

本発明は、高濃度の1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、特にケルセチングリコシドを含むソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮及び平衡化植物抽出物(enriched and equilibrated plant extract)の調製に関する。特に、本発明は、そのような植物抽出物を産業スケール又は実験室スケールのいずれかで調製する方法を記載する。更に、本発明は、そのような植物抽出物又は類似の(合成)組成物の、骨減少症又は骨粗鬆症等の、骨量の減少に関連する疾患を予防及び処置するための、好ましくは家禽の脛骨の軟骨形成不全(Tibial Dyschondroplasia)を予防及び処置するための、好ましくは授乳熱(milk fever)を処置するための、そしてヒト又は獣医が使用するための栄養補助食品としての使用を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高濃度の1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、特にケルセチングリコシドを含むソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮及び平衡化植物抽出物(enriched and equilibrated plant extract)の調製に関する。特に、本発明は、そのような植物抽出物を産業スケール又は実験室スケールのいずれかで調製する方法を記載する。更に、本発明は、そのような植物抽出物又は類似の(合成)組成物の、骨減少症又は骨粗鬆症等の、骨量の減少に関連する疾患を予防及び処置するための、好ましくは家禽の脛骨の軟骨形成不全(Tibial Dyschondroplasia)を予防及び処置するための、好ましくは授乳熱(milk fever)を処置するための、そしてヒト又は獣医が使用するための栄養補助食品としての使用を記載する。
【背景技術】
【0002】
骨の健康は、骨吸収及び骨形成プロセスの微妙なバランスにより成り立っており、それにより骨格は、個体の生涯にわたり変化する要求に対応する。故に、頭蓋骨の成長により視認できるように、骨格は幼年期に成長し、そこでは外側にミネラルが沈着し、そして骨は、脳が成長するための所定のスペースを確保するように、内側が吸収される。成年期では、骨は、スポーツの実施又は重いものの運搬に適応するために、自体が強化され得る。骨のリモデリングは、骨の表面の特定の領域に骨を吸収する破骨細胞が滞在し、そして骨材料の吸収が開始されるという、典型的な機序を有するプロセスである。その結果、小腔あるいはピットが形成される。そのようなピットの上に、骨を形成する骨芽細胞が付着し、その細胞が新たに骨材料を沈着させる。そのようなサイクルを経て、強固な骨構造を有する領域が残る。しかしながら、老人や更年期の女性において、その平衡が骨量の減少の方にシフトする。骨量の減少は、長期間の臥床又は低重力条件下でも起る。図1に示すように、骨量は中年期にピークを迎え、そして次第に低下する。閉経後にエストロゲンホルモンの生産が停止した女性において、骨量減少のリスクが増大する。そのような骨量の減少は、典型的には、骨粗鬆症又は骨減少症(Osteopenia)(前者の軽症型)と診断されるもので、該疾患は、高齢化が進行する集団において、特に西洋文明において、主要な健康上の問題となっている。
【0003】
ヒトの他に動物も、老齢又は幼若個体の両方において、集約的成長(intensive growth)の期間中、骨形成傷害の疾患に罹病する。一例として、動物において、特に急速に成長して食物を生産する動物、例えば家禽等において、下肢脱力及び一つの結果としての脛骨の軟骨形成不全(Tibial Dyschondroplasia)(TD)は、肉質の低下及び劣化を引き起こす主要な問題である。また、動物の福祉の理由からも、脛骨の軟骨形成不全は避けられなければならない(刊行物Tibial Dyschondroplasia, a Poultry Leg Problem. Rath NC, USDA/ARS, Poultry Production and Product Safety Research, Poultry Science Center, University of Arkansas, USA (09/04/2003)を参照されたい)。更に、産卵鶏は、卵殻を形成するために活発にカルシウムのターンオーバーを行う。それらの動物は、カルシウムプールの約10分の1の量のカルシウムを毎日餌から摂取しなければならず、それが骨に保存され、そして数時間以内に卵殻の生産に充てられる。故に、ビタミンDの供給不十分も、産卵鶏の骨粗鬆症を引き起こす。
【0004】
加齢に関連する、及び閉経後の骨量減少を防止するために、多くのアプローチが提案及び推進され、例えば、体力トレーニング及び医薬治療が、骨粗鬆症の治療において選択される方法である。今日、医薬治療/薬物治療は、典型的には、治療的(therapeutic)又は治癒的(curative)アプローチの後に行われ、ここで治療は、既に病的症状が診断されたとき、即ち骨量若しくは骨密度が必要な一定の最低レベルを下回ったとき、又は最悪の場合、既に骨折が生じたとき、開始される。故に、骨量若しくは骨密度が必要最低レベルを下回るのを防ぐことは治療においてより好ましいが、治療は、骨密度がまだ高レベルにあるときに開始されるべきであり、そして治療は、図1に示されているように、長期間行われるべきである。故に、生理的機構を支持する、天然由来の処置は、合成薬物を用いた治癒処置の有益な代替であり得る。
【0005】
今日、抗骨粗鬆症薬物は、典型的には、それらの作用方式に基づいて、それぞれ抗吸収剤、同化剤又はステロイドホルモン、骨形成剤及びその他に分類され得る。あるいは、又は加えて、抗骨粗鬆症薬物は、それらの化学構造に基づいて分類され得て、それらは上記作用方式の1つを補足する。既知の抗骨粗鬆症薬物として、例えばビスホスホネート群、合成エストロゲン、ビタミンD及びその代謝物等が挙げられる。
【0006】
今日、殆どの処方される薬物は、ビスホスホネート群に属し、これは骨吸収破骨細胞に作用して、骨吸収を低下させる(例えばFleisch H. et al, Endocrine Reviews (1998)19(1): 80−100 Bisphosphonates: Mechanisms of Actionを参照されたい)。ビスホスホネート群の薬物を用いた処置の短所として、骨ターンオーバーをブロックすることによる、骨リモデリングの低下が挙げられる。
【0007】
閉経後の著しい骨量減少により証明されるように、女性ホルモンも、骨に強い影響を及ぼす。故に、合成エストロゲンを用いたホルモン置換療法は、骨粗鬆症の処置に有効な場合がある。しかしながら、そのような処置は女性に限定され、そして多くの臨床研究により副作用で乳癌の発生率が増大することが示されたため、現在では推奨されない。
【0008】
更に、上記疾患の予防又は治療のいずれかのために、より生理的で、それ故より有望なアプローチが、処置を受ける患者のカルシウム制御の、そして自然骨のミネラル維持(mineral household)の補助となる。
【0009】
カルシウム制御及び自然骨のミネラル維持に関与する多くの要素が存在する。カルシウムホメオスタシスに作用する因子として、例えば、カルシトニン又は副甲状腺ホルモン等のホルモン及びその誘導体が挙げられる。しかしながら、それらのペプチドホルモンは経口投与できず、注射により、又は鼻腔内スプレーとして投与される必要があり、故にそれを必要とする患者に簡単に投与することが出来ない。
【0010】
動物及びヒトのカルシウム制御(自然骨のミネラル維持等)において最も重要な因子としてカルシウムが挙げられ、典型的には、好ましい可溶性の塩又はCa2+の形態で存在する。上記に加えて、カルシウムは、細胞内シグナル、神経伝達及び筋収縮においても、重要な因子となる(Cashman et al., Novartis Found Symp. 2007, 282:123−38, discussion 138−42, 212−8; and Parfitt AM. Bone. 1987, 8 Suppl. 1: S1−8)。ヒト又は動物の身体中のカルシウム供給が不足すると、カルシウム濃度が低下して、必要最低限の骨量又は骨密度を下回る。一方、有効な制御がなされない場合、ヒト又は動物の身体中のカルシウムの濃度が著しく増大し、細胞内シグナル、神経伝達及び筋収縮が干渉を受け、又は毒性の副作用が引き起こされる場合もある。故に、全ての温血動物は、カルシウム濃度を厳密な制御系の下に置くことにより、身体中のカルシウム濃度が毒性に至るのを防いでいる。
【0011】
自然骨のミネラル維持におけるカルシウム制御の更なる主要な成分は、ビタミンDである。ビタミンDは、くる病の予防及び治癒において見られるように、最適な骨の発達に必須の栄養素であり、ここでは、の天然及び合成のビタミンD誘導体が使用されることが知られている。しかしながら、コレカルシフェロール(ビタミンD)又はエルゴカルシフェロール(ビタミンD)の形態の天然ビタミンDは、生物学的に不活性である。故に、コンセンサス会議で述べられたように、天然のビタミンDは、骨粗鬆症等の緩慢に進行する骨疾患を治癒することが出来ない(Osteoporosis Prevention, Diagnosis, and Therapy. NIH Consens Statement Online 2000 March 27−29; 17(1): 1−36.)。これは、天然のビタミンDが活性を生ずるのに2つの変換ステップを必要とし、その第二のステップが厳密に制御されているからである。第一のステップにおいて、皮膚の中で形成され、摂取により取り込まれたコレカルシフェロール(ビタミンD)は、ヒト及び動物の肝臓内で、貯蔵形態の25−ヒドロキシビタミンD(25(OH)Dとも略される)に変換される。完全なビタミンDの貯蔵は、ヒトにおいて2〜3ヶ月に渡りくる病を防ぐ。しかしながら、該貯蔵形態は、未だ生物学的に活性ではなく、第二のステップにおいて、腎臓の酵素により、活性型ビタミンD、即ち1,25−ジヒドロキシビタミンD(1,25(OH)カルシトリオールとも略される)に活性化されることを必要とする。そして、活性化形態の1,25−ジヒドロキシビタミンDは、感受性組織中の遺伝子産物を活性化する。腸においてはカルビンジン(Calbindin)がこれにあたり、これは、最終的に食物からのカルシウム取り込みを引き起こす、カルシウム結合タンパク質である。形成された1,25−ジヒドロキシビタミンDは、更に腸管におけるカルシウム取込み、並びにカルシウムの骨への沈着、及び骨からの遊離をコントロールする。
【0012】
しかしながら、そのような内性的なコントロール機構は、多くの場合、ヒト又は動物の体内で、特に老齢の個体での、骨粗鬆症等の緩慢に発達する骨疾患を防ぎ、又は家禽の脛骨の軟骨形成不全等の動物における他の疾患を防ぐのに、十分な濃度の活性化代謝産物をもたらすことが出来ない。
【0013】
活性化の原理が最初に発見されて以来、ビタミンDの医療における使用を提供するための様々なアプローチが始められている。なぜなら、ビタミンDは食物中に豊富に含まれていないからである(相当量を含むのはマリンオイル(marine oil)のみ)。ビタミンD又はその代謝物の提供は、上記疾患のいずれかの治療に有効な、必須の基礎及び困難な側面を表す。例えば、US 5,508,392は、合成ビタミンDグリコシド、ビタミンDオルトエステルグリコシド、ビタミンD類似体グリコシド及びビタミンD類似体オルトエステルグリコシドの、骨粗鬆症の処置における使用を開示する。
【0014】
ビタミンD及びその合成類似体の投与の負の難点は、医薬としての治療濃度域(therapeutic window)の極端な狭さ、並びに、異常かつ毒性の血中カルシウム濃度により最終的に軟組織及び腎臓に重度のダメージを生じる、高カルシウム血症のリスクである。これは、推奨日常許容量の100倍超の過剰投与によるビタミンDの中毒(高ビタミンD症)により引き起こされ得る。そのような基本的な難点は、1,25−ジヒドロキシビタミンDにおいて特に知られており、医薬としての狭い濃度域は、有効量の用量と毒性の副作用が発生する用量との間の範囲内に開いており、その比率は2〜5である。一例として、1,25−ジヒドロキシビタミンDの高用量の投与による測定可能な副作用は、家禽においては、顕著な体重増加の低下であった。しかしながら、上記の難点にかかわらず、ビタミンD及びその類似体は、上記治療のいずれかにおいて、なおも魅力的な化合物として使用されていると思われる。
【0015】
とは言え、ある治療が適切か否かは、更なる要素、例えばそこで使用される有効成分の調製にかかるコスト等にも依存する。ビタミンD又はその類似体を使用しての上記疾患の経済的な治療においてボトルネックとなるのは、結局は、ビタミンD代謝物の安価な提供又は調製である。
【0016】
一つの可能性として、ビタミンD代謝物は、立体選択的な化学合成により提供され得る。残念ながら、立体選択的合成は、典型的には労働集約型であり、そして、ビタミンD又はその類似体のエナンチオマー選択的(enantiomerically enriched)な、又は純粋な形態を取得するのに、多くの合成及び精製工程を必要とする。故に、ビタミンDの立体選択的合成は高コストで、多くの合成ビタミンD医薬が認可され、処方されているが、現段階では、上記疾患のいずれかの安価な治療を実現し得ない。更に、化学合成により生産された1,25−ジヒドロキシビタミンDの高濃度の投与は、前述した医薬として極端に狭い治療濃度域の難点を有し、そして高カルシウム血症のリスクを伴う。故に、ビタミンD又はその類似体を提供するのに、他の供給源が好ましい。
【0017】
更に、驚くべきことに、高濃度のビタミンD代謝物を含む植物が見出された。この種類の植物として、例えば、ソラナケア(ナス科のハーブ)のファミリーの種類が挙げられ、特にソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)(ソラヌム・マラコキシロン(Solanum malacoxylon)又はソラヌム・ガラウクム(Solanum glaucum)とも称される)、ソラヌム・トルウム(Solanum torvum)、ソラヌム・エスリアレ(Solanum esuriale)、ソラヌム・ウェルバスキ・フォリウム(Solanum verbasci folium)、ケストルム・ジウルヌム(Cestrum diurnum)等、ニエレムベルギア・ウェイクチイ(Nierembergia veichtii)の種類、並びにグラミネアエ(Gramineae)の種類、特にトリセツム・フラウェスケンス(Trisetum flavescens)等が挙げられる。過去10年の精力的な研究により、トマト植物(ソラナケア(Solanacea)類のリコペルシコン・エスクレンツム(Lycopersicon esculentum))の葉に、25(OH)D and 1,25(OH)−グリコシドの形態のビタミンDが一定量含まれることが明らかになった(Prema and Rhagamulu, 1996, Phytochem. 42(3), 617−620)。同様に、ジャガイモ植物(ソラヌム・ツベロスム(Solanum tuberosum))、ナス植物(ソラヌム・メロンゲナ(Solanum melongena))及びズッキーニ植物(ククビタ・ペポL(Cucurbita pepo L.)亜種 pepo convar. giromontina) (例えばAburjaj et al. 1998, Phytochem. 46(6), 1005−1018)、その他にニコチアナ・グラウカ(Nicotiana glauca)(ソラナケアエ(Solanaceae)類の青緑タバコ(blue green tobacco))(Skliar et al, 2000, Plant Science 156, 193−199)は、顕著なビタミンD含有量を示した。故に、幾つかの植物は、ビタミンD又はその代謝物の供給源となり得る可能性がある。
【0018】
この発見は、これらの植物の葉や他の部分を餌として与えた動物に有利な効果が生じたことに基づく。そのようなカルシノジェニック(calcinogenic)植物の干草の有利な効果の幾つかは、公表されている(例えばBoland et al., Plant Science 00, 1 −13 (2003)を参照されたい)。また、幾つかの特許出願も、これらの植物の抽出物の使用を開示している。例えば、US 5,776,461は、フィトビタミンDを含む美容用組成物、特に選択された水酸化ビタミンD組成物(植物供給源由来のフィトビタミンD)又はそのグリコシドを含む無添加のスキンケア組成物を開示する。
【0019】
ビタミンDの含有量が最も多い植物は、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)であった。特に、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)(以前はソラヌム・マラコキシロン(Solanum malacoxylon)として知られていた)が、ビタミンDを含むことが分かった。ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の一部の種類において、有効成分は、ビタミンD代謝物1,25−ジヒドロキシビタミンとDと同定された(例えばDe Vernejoul et al., La Nouvelle Presse medicale, 7, 22, 1941−43(1978)を参照されたい)。
【0020】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum))中にビタミンD有効成分が存在することを述べた文献は多いが、その植物の他の成分について述べたものは殆ど知られていない。該植物中にアルカロイドのソラソジン(solasodine)が存在することを述べた唯一の文献(Jain and Sahoo, Pharmazie (1986) 41 :820−821)、及び量的な記載は無いがフェノール化合物の存在を記載した1つの文献(Rappapport et al!, Phytochemistry (1977) 16:1 115−6)が存在する。主要な成分1,25−ジヒドロキシビタミンDの他に、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)は、ブタノール抽出により、一群のフェノールゴリコシド、例えばハイドロキノリン(hydroquinone)、ケンフェロール(kaempferol)及びケルセチン(quercetin)等、並びに以下の既知のグリコシド、アルブチン(arbutin)、O−メチルアルブチン、イソケルセチン(isoquercetin)、アビクラリン(avicularin)、ルチン(rutin)、ケンフェロール3−O−ルチノシド、及びイソラムネチン−3−O−ルチノシドが検出された。新規ケルセチンのトリオシドである、化合物ケルセチン3−O−[2G−b−D−アピオシル]ルチノシドも、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)において見出された。これらのフェノール化合物の多くは全ての植物の構成要素であり、Rappaport et al. (1977,同上)の文献において、量的な記載は無い。更に、植物フェノールのサブクラスであるフラボノイドは、典型的には抗酸化剤として取り上げられるが、骨形成において正の活性を有することは、知られておらず、又は議論されていない。更に、骨細胞に対する(植物フェノールのサブクラスである)フラボノール(ケルセチン及びケンフェロール)の効果のみが、これまでに記載されている。例えば、最近のインビトロ実験では、ケルセチン及びルチンにより、破骨細胞前駆細胞の破骨細胞形成及び分化が阻害されることが示されている。Yamaguchiは、ケルセチン及びケンフェロールによる、インビトロでの、骨形成よりも破骨細胞形成及び骨吸収に対する、強力な阻害効果を見出した(Yamaguchi et al, Mol Cell Biochem. 2007 Jun 1 )。遺伝子レベルで、ケルセチン及びそのグルクロニドは、骨シアロタンパク質のmRNAレベルの増大を促進する(Kim et al., J Cell Biochem. 2007 Jun 1 )。他の破骨細胞系列の細胞におけるインビトロでの研究により、骨吸収において重要な決定的段階である破骨細胞分化に対する阻害的な効果が確認されたが、骨形成に対する正の効果は示されなかった(Wattel et al, J Cell Biochem. 2004 May 15; 92(2):285−95)。
【0021】
より高いレベルにおいて、小骨組織培養(Sziklai and Ribari, Acta Otolaryngol. 1995 Mar;115(2):296−9)、及びラット頭蓋冠骨芽細胞(Yang et al., Zhong Yao Cai. 2006 May;29(5):467−70)における実験においても、骨芽細胞に対するケルセチンの阻害的効果が示された。更に、無傷動物を用いた2つの研究において、ケルセチンは、ストレプトズトシン誘導糖尿病マウスにおける、骨ミネラル代謝、生化学強度及び骨構造に有効であり(Kanter et al., Cell Biochem Funct. 2007 Jan 31)、そしてルチンは、ラットの卵巣摘出誘導骨減少症に有効であった(Horcajada−Molteni et al., J Bone Miner Res. 2000 Nov;15(1 1):2251−8. Comment in: J Bone Miner Res. 2001 May;16(5):970−1)。しかしながら、これらの化合物がソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の植物中に生じることが決定されても、上記の如く、従来技術は、疾患の処置においてビタミンDのみが有効成分として取り上げられていた。
【0022】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)中にビタミンD代謝物の1,25−dihydroxyvitamin Dが高度に含まれることが見出された時点で、その植物がヒト及び動物の骨疾患の処置に使用され得るか否かが推測され、そしてその抽出物の生物学的活性が、実験動物において調査された。そのような実験は、ビタミンD活性を証明するため、ビタミンDを消耗した動物が使用された(例えば、De Vernejoul et al., (1978),同上を参照されたい)。Azcona(Azcona et al., Zootechnica Intern. February 1982 p. 12−13)。Morrisは、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の乾燥させた葉を与えた後、卵の殻の強度が向上することを見出した(Morris KML, The Veterinary Record, 101, 502−504 (1977))。Norrdinは、同植物の乾燥させた葉を与えた後のニワトリの骨の骨量及び破壊強度が増大することに気づいた(Norrdin et al., Calcified Tissue International (1979) 28(1):239−243)。更に、水性葉抽出物は、ウシ及びヒツジのルーメン液とインキュベーションした後、ビタミンD活性が増大することが示された(Mello and Habermehl, Dtsch Tierarztl Wochenschr. 1992 Sep;99(9):371−6)。WO 85/05110から、南アメリカの植物であるソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の葉の抽出物が1,25−ジヒドロキシビタミンD及び1,25−ジヒドロキシビタミンDと異なる水溶性成分を含み、そしてルーメン液による処理で、1,25−ジヒドロキシビタミンD及び水溶性炭水化物が得られることも既知であった。該従来技術において、更に、の水溶性中中津物が、1,25−ジヒドロキシビタミンDと類似の生物学的活性を有することが述べられていた。WO 85/05110の約9年後に公開されたAustrian Patent Specification AT 398 372 Bから、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の乾燥させた葉が、実際に件の活性を有するだけでなく、上記既知の高度の毒性という難点を有することが認められる。続いて、Cheng et al. (2004)は、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の乾燥させた葉を与えたブロイラー種のニワトリにおいて、リンの利用性が改善したことを見出した(Cheng et al., Poult Sci. 2004 Mar;83(3):406−13.)。更に、は、ビタミンD及びその代謝物を含む植物から取得したビタミンD及びその代謝物が、食肉処理前にその植物を与えた家畜の肉の柔軟性を改善し得ることを見出した(Foote et al., J Anim Sci. 2004 Jan;82(1 ):242−9)。しかしながら、これらの全ての試みは、上記既知の高度の毒性という難点を有する。
【0023】
更に、前記植物の乾燥させた葉を、甲状腺機能亢進症及び腎臓の機能不全に罹患した患者に、7日に渡り与えた。血漿カルシウムを正常化する効果か観察された(例えばMautalen et al, Calcif Tissue Res. 1977 May;22 Suppl:534−7.; and Herrath et al, Vitamin D, Chemical and Clinical Aspects related to Calcium Met albolism. Pp. 703−708. W. de Gruyter, Berlin, Germany, 1977)。特に、本ケースにおける限定は、典型的には毒性のアルカロイドを含む、未知の活性の未精製抽出物の適用である。
【0024】
これらの試みに共通していることは、使用された材料が特定されておらず、そして全ての実験において、有効成分が測定されていなかったことである。更に、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)において、ビタミンDに類似の効果以外を記載しているものは無かった。
【0025】
一方、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の有効成分を分析し、及び植物抽出物を調製しようとする試みに関する、幾つかの文献が出版されている。例えばPeterlik及びWasserman(1975)は、クロロホルム/メタノール混合物を用いて乾燥させた葉を抽出し(Peterlik and Wasserman, FEBS Letters (1975) 56:16−19)、一方、Mello及びHabermehl(1998)は、温水を用いて乾燥植物材料を抽出した(Mello and Habermehl, Dtsch Tierarztl Wochenschr. 1998 Jan;105(1):25−9)。更なる精製は、Sephadex G15及びSephadex LH20を用いたクロマトグラフィーにより(Vidal et al, Turrialba (1985) 35:65−70)、又は固定相としてシリカ及びC18修飾シリカを使用するカラムを用いた調製HPLCクロマトグラフィーにより(Skliar et al, J Steroid Biochem Mol Biol. 1992 Dec;43(7):677−82)行った。
【0026】
2006年のvon Rosenberg S. J.の文献(Rosenberg S. J., 2006, PhD−thesis, Ludwigs− Maximilians−University, Munich, Germany)及び続いて2007年のvon Rosenberg S. J. et al.の文献(Rosenberg S. J. et al., The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology, Volume 103, Issues 3−5, March 2007, Pages 596−600)は、更に、食品添加物として、又はヒトの治療、特に骨粗鬆症の治療に使用される、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)及びトリセツム・フラウェスケンス(Trisetum flavescens)由来の植物抽出物を開示する。それらの文献で開示される該植物抽出物は、Herbonis AG, Basel, Switzerlandから提供されたものであり、乾燥させた植物の水抽出、続いて該抽出物をマトリックス材料としてSephadexを用いた高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して精製することにより調製された。該抽出は、有効成分として、ビタミンD代謝物の1,25−ジヒドロキシビタミンDのみ含有していた。
【0027】
これまでに幾つかの実験室での抽出方法が公開されているが、上記文献のいずれも、ビタミンD成分を含む植物抽出物を抽出及び/又は精製する、十分に高収量、即ち産業的に利用可能な方法を同様に開示するものではない。使用されている方法は、1,25−ジヒドロキシビタミンDを発見するのに便利であるが、収量を最善化し、そして生産物の毒性を最小化するための検討はなされていない。遊離1,25−ジヒドロキシビタミンDを結合型から分離するのに純水、若しくは水性組成物が使用され、又は遊離1,25−ジヒドロキシビタミンDを水溶性の成分から単離するのに、それ自体毒性の溶媒であるクロロホルムが使用された。有効成分の遊離1,25−ジヒドロキシビタミンDの精製において、シリカ材料又はSephadexゲルを使用するカラムクロマトグラフィーを使用する幾つかの方法が記載されているが、それらの方法は、より多量の抽出物を生産するのに現実的ではない。特に、シリカ材料を使用するクロマトグラフィーのビタミンD代謝物の収量は低いため、大量のビタミンDを得なければならない産業スケールで、更に、上記ビタミンD含有植物抽出物を生産することは出来ない。更に、植物抽出物を取得するための前記のいずれの方法も、高濃度で投与されたときの高度の毒性という難点を部分的にも解決していない。
【0028】
従って、本発明の目的は、上記不利益を克服し、大量に、良好な費用効率で、耐性を改善させたソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)抽出物、特に特に高濃度のビタミンDの毒性により上記制限を阻害しない抽出物を提供することである。
【0029】
本発明は、下記の、及び添付の特許請求の範囲に示した、根本的な目的に対する解決策を提供する。
【0030】
本発明によると、1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、特にケルセチングリコシドの両方を十分な高収量で含む、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮(及び平衡)植物抽出物を生産し、産業スケールに適用可能な新規方法により、前記目的は満足する。
【0031】
驚くべきことに、本発明の発明者らは、1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、特にケルセチングリコシドの両方の濃度を増強したソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の植物抽出物が、上記高度の毒性という難点を示さないことを見出した。即ち、高カルシウム血症のリスクを負わず、従来技術におけるよりも遥かに高濃度でビタミンD代謝物を投与し得る。加えて、そのような濃縮植物抽出物は、1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、特にケルセチングリコシドの両方をより低い濃度で投与しても、なおも測定可能で良好な効果を引き起こし得る。言い換えると、驚くべきことに、本発明の発明者らは、1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、特にケルセチングリコシドの両方を高濃度で含む、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の植物抽出物は、従来技術で知られるビタミンDばかり含む抽出物と異なり、ビタミンD代謝物の医薬としての使用において特に狭かった治療濃度域を顕著に拡張することが出来る。しかし、当該技術分野において、そのような濃縮植物抽出物の抽出を可能とする、又はそのような特性を示す植物抽出物の開示は存在しなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0032】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物の調製及び精製方法
第一の態様において、本発明は、1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、特にケルセチングリコシドが濃縮されたソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮(及び平衡化)植物抽出物の調製及び精製方法を提供し、ここで、該方法は、好ましくは、以下の:
a)アルコールベース溶媒を使用してソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)種の植物体又はその部分を抽出し;そして
b)工程a)で取得した植物抽出物を、好ましくは以下の:
b1)非イオン性ポリマー樹脂を含むカラムに工程a)で取得した植物抽出物をアプライし;
b2)任意で、本明細書中に定義された水及び/又はアルコールベース溶媒で前記カラムを洗浄し;
b3)カラムから前記濃縮植物抽出物を溶出し;そして
b4)任意で、前記濃縮植物抽出物を濃縮及び/又は乾燥する;
工程を含む;
工程を含む。
【0033】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)から濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の精製工程a)において、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)種由来の植物体又はその部分はアルコールベース溶媒を使用して抽出され、その方法は、上記従来技術の方法より優れており、産業スケールに利用することが出来る。対照的に、公開されていた方法は、解析的問題にばかり注視し、産業スケールの実現に注視していない。更に、そのような方法は、純粋なビタミンD3有効成分を取得するためだけに設計されている。加えて、そのような方法は、使用される溶媒の毒性のため、部分的には、ヒト又は獣医的使用に適さない。一例として、クロロホルム−メタノールの使用に基づく従来技術として公開されたソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の抽出方法は、第用量の使用に堪えず、そして毒性の薬剤を含むことになる。更に、水のみを含む公開された抽出方法は、ビタミンDの活性が低い。アルコールベース溶媒を使用することにより驚くべき最良の結果がもたらされるというのが、出願人自身の見解である。故に、本発明に係る調製及び精製方法の抽出工程a)に適したアルコールベース溶媒は、好ましくは、水及びアルコールの混合物、又はアルコール単独を含む群から選択され、ここで、アルコールは、好ましくはメタノール、エタノール、又はイソプロパノールから、より好ましくはエタノール又はメタノールから選択される。他の適切な、及び広く使用される溶媒(例えば水)を使用する、本発明の抽出工程a)におけるソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)種由来の植物体又はその部分の抽出も本明細書中に包含されるが、最適な植物抽出物を得るのには好ましくない。なおもより好ましくは、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の工程a)における溶媒は、エタノール/水の比率(v/v)が約100/0〜about0/100のエタノール/水混合物から選択され、例えば、エタノール/水の比率が、約100/0(v/v)、エタノール/水が約95/5(v/v)、エタノール/水が約90/10(v/v)、エタノール/水が約85/15(v/v)、エタノール/水が約80/20(v/v)、エタノール/水が約75/25(v/v)、エタノール/水が約70/30(v/v)、エタノール/水が約65/35(v/v)、エタノール/水が約60/40(v/v)、エタノール/水が約55/45(v/v)、エタノール/水が約50/50(v/v)、エタノール/水が約45/55(v/v)、エタノール/水が約40/60(v/v)、エタノール/水が約35/65(v/v)、エタノール/水が約30/70(v/v)、エタノール/水が約25/75(v/v)、エタノール/水が約20/80(v/v)、エタノール/水が約15/85(v/v)、エタノール/水が約10/90(v/v)、エタノール/水が約5/95ethanol/water(v/v)、又はエタノール/水が約0/100(v/v)のエタノール/水混合物から選択され得て、又は、上記特定の数値の2つにより形成される領域から選択され得る。そのような混合物は、本発明の濃縮植物抽出物の両方の望ましい成分、即ち1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、特にケルセチングリコシドの両方を最大の収量で取得するという本発明の課題において優れていることが見出された。最も好ましくは、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の抽出工程a)における溶媒は、エタノール/水の比率(v/v)が、約80/20〜約50/50、及び/又は約35/65〜約20/80であるエタノール/水混合物から選択され得る。エタノール/水の具体的な比率(v/v)は、更に、本明細書中に定義された濃縮植物抽出物中の所望の特定の1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシドの量に基づいて選択され得る。そのような具体的なエタノール/水の比率(v/v)は、具体的な抽出及び精製方法、より好ましくは本明細書中に記載の方法に依存して、当業者により選択され得る。
【0034】
あるいは、好ましくないが、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の抽出工程a)における溶媒は、メタノール/水の比率が上記エタノール/水の混合物におけるものと同じであるメタノール/水の混合物から選択され得る。より好ましくは、該メタノール/水の比率は、メタノール/水(v/v)が約90/10〜約25/75から選択され得て、例えば、メタノール/水が約90/10(v/v)、メタノール/水が約85/15(v/v)、メタノール/水が約80/20(v/v)、メタノール/水が約75/25(v/v)、メタノール/水が約70/30(v/v)、メタノール/水が約65/35(v/v)、メタノール/水が約60/40(v/v)、メタノール/水が約55/45(v/v)、メタノール/水が約50/50(v/v)、メタノール/水が約45/55(v/v)、メタノール/水が約40/60(v/v)、メタノール/水が約35/65(v/v)、メタノール/水が約30/70(v/v)、又はメタノール/水が約25/75(v/v)のメタノール/水の混合物から選択され得て、又は、上記特定の数値の2つにより形成される領域、特にメタノール/水の比率(v/v)が約90/10〜約60/40、及び/又は約40/60〜約25/75(v/v)の領域から選択され得る。
【0035】
好ましくないが更なる代替的態様として、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の抽出工程a)における溶媒は、イソプロパノール/水の比率が上記メタノール/水又はエタノール/水の混合物におけるものと同じであるイソプロラノール/水の混合物から選択され得る。
【0036】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)種の(乾燥した)植物体又はその部分の上記アルコールベース溶媒中の濃度は、溶媒中で、使用される溶媒対(乾燥した)植物体又はその部分(薬物)(合計量)が、特定の比率であることが必要な場合もある。該溶媒/薬物の特定の比率(%)は、好ましくは約4〜40(v/w)、より好ましくは約4〜30(v/w)、又は約4〜25(v/w)であり、そしてなおもより好ましくは、使用される抽出方法に依存し得て、例えば浸透(percolation)型抽出においては、約7〜12又は8〜10(v/w)、最も好ましくは約9(v/w)であり、あるいは例えば浸漬(maceration)型抽出においては、3〜7又は4〜6(v/w)、最も好ましくは約5(v/w)である。ここで、透過型抽出及び浸漬型透析は、本発明の方法の抽出工程a)における等価な代替手法と見做されている。
【0037】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の抽出工程a)における溶媒は、更に添加物を含み得る。そのような添加物は、取得される抽出物の質を改善するために添加され得る。一般に、そのような添加物は、意図される目的に適した濃度で、本発明の調製及び精製方法の工程a)における溶媒に含有され、その濃度は、その抽出工程の具体的な要求に従い、当業者により決定され得る。典型的には、そのような添加物は、工程a)による抽出がそれらの化合物に干渉されないが、追加的な安定化及び/又は保護的抗酸化剤効果等を付与する濃度を選択して用いられる。本発明における添加物として、例えば、濃度が約0.01%(w/v)〜約2%(w/v)、好ましくは濃度が約0.05%(w/v)〜約1%(w/v)、そして最も好ましくは濃度が約0.05%(w/v)〜0.5%(w/v)の抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、又は、濃度が約0.02〜約1%(w/v)、より好ましくは濃度が約0.05%(w/v)〜約0.25%(w/v)のトコフェロール若しくはgallert型(E310、E211又はE312)抗酸化剤等が挙げられる。添加物は、更に、好ましくは濃度が約0.05 % (w/v)〜約1 % (w/v)、なおもより好ましくは濃度が約0.1 % (w/v) 〜約0.5 % (w/v)の、適切な酸、好ましくは有機酸、より好ましくは植物由来の酸又は植物中に生じる酸、例えば酢酸、硫酸、クエン酸等を含む。いずれの%(w/v)も、工程a)における抽出に使用される溶媒の総量に基づいて決定される。そのような酸の添加は、抽出及びその後の工程の過程での褐色化(browning)反応を低下するのに好ましい。故に、本発明の抽出工程a)における抽出の過程で、pH値が、約4.0〜約8.0の特定のpH値に、より好ましくは約5.5〜約6.5の特定のpH値に調整され得る。pH値の調整は、適切な量の酸、例えば上記の酸の添加により、又は必要な場合、適切な量の塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の添加により実施され得る。
【0038】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の工程a)における抽出は、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)種の植物体又は部分、例えば葉を破砕(grinding)、浸透及び/又は浸漬する工程を含み得る。該破砕、浸透及び/又は浸漬する工程は、連続的プロセスで、又は非連続的プロセスで実施され得る。
【0039】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の抽出工程a)は、室温〜約85℃、例えば約20℃又は30℃〜約85℃、より好ましくは約30℃〜約70℃の温度範囲内で、そして最も好ましくは、約40℃〜60℃の温度範囲内で、特に約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、又は約60℃の温度で、より好ましくは約50℃、約55℃、又は60℃の温度で、又は前記数値のいずれか2つにより形成される温度範囲内で実施され得る。
【0040】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の工程a)における抽出は、1回以上、好ましくは1〜2回、1〜3回、1〜5回以上繰り返され、好ましくは抽出に使用されたものと同一のアルコールベース溶媒を、(ベッド)体積の約5倍、1〜4倍、1〜3倍、1〜2倍又は1倍用いることにより、抽出される有効成分の収量を増大させられる。該溶媒は、抽出後に組み合わせられ得る。適切な選択は使用される抽出方法、例えば浸漬又は浸透型抽出等に依存し得る。抽出方法として浸漬を使用する場合、抽出工程a)は、好ましくは1〜2回繰り返され、抽出工程a)における最初の抽出に使用されたのと同一のアルコールベース溶液を(ベッド)体積の約2倍〜約5倍用いる。ここで、驚くべきことに、発明者らは、前記植物又はその部分を粉砕しないことが、工程a)における中出の過程で良好な収量を得るのに必須であることを見出し、この点注目に値する。
【0041】
あるいは、又は加えて、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の工程a)における抽出は、特定の時間間隔で実施され得て、ここで該時間間隔、即ち抽出時間は、約1時間〜約48時間、24時間、又は約10時間、好ましくは約6時間〜約48時間、より好ましくは約24時間に渡り得る。
【0042】
抽出工程a)において取得した植物抽出物は、濾過され得る。濾過は、当該技術分野で既知の方法を使用して実施され得る。濾過は、例えばメッシュ幅が40〜60μm、好ましくは50μmのフィルターに前記溶媒をポンプにより通すこと等により行われ得る。抽出工程a)における各抽出工程の後、全ての抽出工程の最後に、抽出工程a)において得られた抽出物は連続的に濾過され得る。
【0043】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の抽出工程a)において取得された抽出物は、適切な方法を使用して濃縮(濾過の前又は後)及び/又は乾燥させられる。本発明の如く、抽出工程a)の過程における濃縮及び/又は乾燥は、一般に、例えば工程a)においてソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)種の植物体又はその部分を浸透又は浸漬等した後に、該植物抽出物の水分又は液体を一定程度減少させることを意味するものと意図される。そのような、抽出工程a)の過程等で取得された植物抽出物の水分又は液体の減少は、好ましくは既存の濃縮及び/又は乾燥手段及び手法を使用して、より好ましくはその主成分、特に1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、特にケルセチングリコシドを分解せずに前記濃縮植物抽出物の水分又は液体を慎重に減少させられる方法を使用して、該抽出物を濃縮することにより実施され得る。濃縮(及び/又は乾燥)方法として、限定されないが、例えば、蒸発、例えば真空下での蒸発、又は滑らかな温度(smooth temperature)を使用する、溶媒の蒸留等が挙げられる。乾燥手法は、既に濃縮された抽出物において使用され得るが、あるいは抽出(及び/又は精製)後に取得された植物抽出物から直接開始される場合もある。そのような乾燥手法として、限定されないが、例えば、スプレー乾燥、バンド乾燥、凍結乾燥等が挙げられ、それらは特に、(中間)植物抽出物を、不揮発成分の分量が約又はほぼ100%となる程度まで乾燥すべきときに採用される。
【0044】
好ましくは、抽出工程a)における植物抽出物の濃縮又は乾燥の過程で、最初に有機溶媒が除去され、それから、溶液が、水及び不揮発成分を特定の分量(%)で含むようになるまで水が除去される。一例として、抽出工程a)において取得された植物抽出物は、水の分量が85−75%かつ不揮発成分の分量が約15−25%、水の分量が約80−70%かつ不揮発成分の分量が約20−30%、水の分量が約75−65%かつ不揮発成分の分量が約25−35%、水の分量が約70−60%かつ不揮発成分の分量が約30−40%、水の分量が約65−55%かつ不揮発成分の分量が約35−45%、水の分量が約60−50%かつ不揮発成分の分量が約40−50%、水の分量が約55−45%かつ不揮発成分の分量が約45−55%、水の分量が約50−40%かつ不揮発成分の分量が約50−60%、水の分量が約45−35%かつ不揮発成分の分量が約55−65%、水の分量が約40−30%かつ不揮発成分の分量が約60−70%、水の分量が約35−25%かつ不揮発成分の分量が約65−75%、水の分量が約30−20%かつ不揮発成分の分量が約70−80%、水の分量が約25−15%かつ不揮発成分の分量が約75−85%、水の分量が約20−10%かつ不揮発成分の分量が約80−90%、水の分量が約15−5%かつ不揮発成分の分量が約85−95%、又は水の分量が約10−0%かつ不揮発成分の分量が約90−100%、好ましくは水の分量が約85−75%かつ不揮発成分の分量が約15−25%、水の分量が約80−70%かつ不揮発成分の分量が約20−30%、水の分量が約75−65%かつ不揮発成分の分量が約25−35%、水の分量が約70−60%かつ不揮発成分の分量が約30−40%、水の分量が約65−55%かつ不揮発成分の分量が約35−45%、そして最も好ましくは、水の分量が75−65%かつ不揮発成分の分量が約25−35%であり、それぞれ濃縮又は乾燥前の、例えば浸透又は浸漬型抽出の直後に得られた植物抽出物の総重量に基づいて決定される。不揮発成分が特定の分量になるように濃縮及び/又は乾燥することにより、工程a)で取得した植物抽出物の様々な濃度の有効成分を特定の濃度に均一化することが出来る。有効成分の濃度が異なる植物抽出物は、例えば、工程a)において抽出を反復した時等、異なる体積の上記(代替的)溶媒を使用した場合に取得される。工程a)において取得される植物抽出物を濃縮又は乾燥して、不揮発成分の分量を約100%にすることにより、追加的に、該抽出物を、必要最小限のスペースで、更なるプロセスに使用するまで保管できる。
【0045】
最後に、工程a)で取得した植物抽出物は、該抽出物の寿命(shelf life)を延長させるために、好ましくは該抽出物の(長期)保存を実現するために、加熱/高温処理に付される。そのような工程は、工程a)で取得した植物抽出物の濃縮及び/又は乾燥の前に、又はそれに続いて行われる。該加熱/高温処理は、当該技術分野で既知の方法を使用して実行され得る。より好ましくは、加熱/高温処理は、穏和な条件で、好ましくは約100℃〜約145℃、例えば最低で約100℃で、好ましくは30〜40秒、又は最高で約145℃、好ましくは約2〜10秒、又はそれらの間の任意の数値、例えば約110℃、115℃、120℃、125℃,130℃、135℃又は約140℃等で実行され得る。
【0046】
特に好ましい態様において、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の抽出工程a)は、研究室スケールで、又は産業スケールで実施され得て、ここで本明細書中に定義される実験室での条件は、産業スケールにも転用され得る。
【0047】
研究室スケールで実行されるとき、調製及び精製のための本発明の方法の抽出工程a)は、典型的には、限定されないが、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)種の植物体又はその部分を、約0.5g〜約1000g、より好ましくは約1g〜約100g、そして最も好ましくは約1g〜約10g使用して開始され、ここで、葉は、前記アルコールベース溶媒中で、粉砕、浸透又は浸漬される。該アルコールベース溶媒は前記の如く選択され得て、より好ましくはエタノール/水の比率(%)が約80/20〜20/80、又はより好ましくは80/20〜65/35、あるいはエタノール/水(%)が35/65〜20/80のエタノール/水混合物から選択され得て、例えば、エタノール/水(%)が約80/20(v/v)、エタノール/水が約75/25(v/v)、エタノール/水が約70/30(v/v)、エタノール/水が約65/35(v/v)、エタノール/水が約60/40(v/v)、エタノール/水が約55/45(v/v)、エタノール/水が約50/50(v/v)、エタノール/水が約45/55(v/v)、エタノール/水が約40/60(v/v)、エタノール/水が約35/65(v/v)、エタノール/水が約30/70(v/v)、エタノール/水が約25/75、又はエタノール/水が約20/80(v/v)のエタノール/水混合物から選択され得て、又はこれらの数値のいずれか2つにより形成される領域から選択され得る。更に、実験室スケールでの抽出プロセスの過程で使用されるpH値及び温度は、一般に上記で定義したように選択され得て、ここで好ましくは、そのような条件は、3以上の抽出効率をもたらすものが選択される(下記表1、実施例1Aを参照されたい)。好ましくは、温度は約40℃〜60℃が採用されて、より好ましくは、温度は約50℃である。上記のように抽出は反復され、好ましくは1〜5回反復される。
【0048】
ここで、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の工程a)における抽出の効率は、以下の式:
【化1】

を用いて計算され、ここで[VDM]及び[Qu]は、抽出物1gあたりの値として計算される。要素[ef]は、コスト、エコロジー及び該抽出物の品質(例えば溶解度)として、経験的要素(empirical factor)を推定する(weight)。本発明の驚くべき結果として、抽出の効率を表すyfは3以上で、十分に良好で、公知の抽出手段を上回り、そして本発明の基準を満たす。従って、本発明の方法の抽出工程a)の好ましい態様は、yf>2、より好ましくはyf>2.5、なおもより好ましくはyf>3となる抽出物を提供する。
【0049】
産業スケールで実施されるとき、本発明の調製及び精製方法の抽出工程a)は、典型的には、限定されないが、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)種を、約1000g以上、好ましくは約10又は100kg以上、より好ましくは約250kg以上、なおもより好ましくは約500kg以上、約1000kg以上、又は約2500kg以上、約3000kg以上、約4000kg以上、約5000kg以上使用して開始される。ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の植物体又はその部分の量は、例えば使用される工場、実際に処理される量等の具体的な要件に基づき、当業者により選択され得る。ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)種の植物体又はその部分、例えば葉等は、上記で定義したアルコールベース溶媒中で、粉砕され、浸透及び/又は浸漬される。粉砕、浸透及び/又は浸漬は、抽出工程a)において使用され得る。
【0050】
例えば、浸透は、当該技術分野で公知の任意の方法により行われ得る。好ましくは、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)種の植物体又はその部分、例えば葉等を、1つ以上のベセル(vessel)に詰め(工場の型によっては、限定されないが、1つ以上、又は2、3、4、5個又はそれ以上の(繰り返し充填される(cyclically filled))ベセルが使用され得る)、上記で定義した溶媒を添加する。該して抽出工程a)用の上記で定義したアルコールベース溶媒が選択され得る。好ましくは、浸透用の溶媒は、追加的に、抽出工程a)用の上記で広く定義した添加物を含み得る。更に、産業スケールにおける抽出プロセスの過程で採用されるpH値及び温度は、上記で広く定義したように選択され、そのような条件は、好ましくは、3を上回る抽出の効率をもたらすものが選択され得る(下記表1、実施例1Aに対応する)。好ましくは、採用されるpHの値は、約4.0〜約8.0、より好ましくは約5.5〜約6.5の特定のpH値である。好ましくは、前記混合物は上記の温度まで加熱され、好ましくは約40℃〜約75℃、より好ましくは約40℃〜約60℃で加熱される。浸透のプロセスは、1つ以上のベセルに特定の流速でアルコールベース溶媒をポンプ/流動させる、連続的プロセスとして、半連続的プロセスとして、又は他の更なるプロセスとして実施され得る。好ましくは、そのような流速は毎時約500〜1500リットル、好ましくは約800〜1200リットル/時間、そして最も好ましくは約1000リットル/時間である。抽出時間は上記に定義したように様々で、例えば約6〜約48時間、そして好ましくは約24時間である。浸透により取得される抽出物は、上記のように、濾過、濃縮及び/又は乾燥させられ得る。
【0051】
特に好ましい態様において、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の工程a)における抽出は、産業スケールで実施される場合、浸透型抽出であり、そして以下の特定の副工程群(抽出プロセスEP):
EP1)1つ以上(繰り返し充填される)のベセル(vessel)に、ソラリウム・グラウコフィルム(Solarium glaucophyllum)種の植物体又はその部分を充填し;
EP2)アルコールベース溶媒を添加し、ここでアルコールベース溶媒は、好ましくは上記で定義されたエタノール/水の混合物であり、例えば約25/75、あるいは約75/25の比率(%)のエタノール/水(v/v)の混合物、ここで溶媒/薬物の比率は上記に定義されたもので、例えば約7〜12(v/w)、最も好ましくは約9(v/w)であり;
EP3)上記で定義したように、任意でpHを5.5〜6.5に調整し;
EP4)800〜1200リットル/時間、より好ましくは1000リットル/時間の流速で;好ましくは6〜48時間、より好ましくは24時間、エタノールベース溶媒中で、前記ソラリウム・グラウコフィルム(Solarium glaucophyllum)種の植物体又は部分を抽出し;
EP5)上記で定義したように、抽出中の該混合物を、約40〜75℃、より好ましくは40〜60℃の温度で加熱し;
EP6)上記で定義したように、任意で、水を約75〜65%含み、不揮発成分を約25〜35%含む溶液となるまで、先ず有機溶媒を蒸発させ、続いて水分を蒸発させることにより、工程P4及びP5の植物抽出物を減圧下で濃縮し;そして
EP7)該(濃縮した)植物抽出物を、任意で、スプレー乾燥、バンド乾燥、又は凍結乾燥する
特定の副工程群を含む。
【0052】
あるいは、上記の浸漬は、典型的には、混合装置又は混合ユニット及び好ましくは加熱システムを含むリアクターベセルを使用して実施される。更に、浸漬は、好ましくは上記抽出時間制限並びに上記温度及びpH値の中で、前記葉をベセルに充填し、前記で定義したアルコールベース溶媒を添加し、そして該(ベセル中の)混合物を加熱及び混合することにより実施される。好ましくは、浸漬用のアルコールベース溶媒は、追加的に、抽出工程a)用の上記で広く定義した添加物を含み得る。該アルコールベース溶媒は、更に、抽出工程a)用の上記一定の比率(%)のエタノール/水(v/v)が広く選択され得る。更に、更に、産業スケールでの抽出プロセスにおいて採用されるpH値及び温度は、上記で広く定義したように選択され得る。それらの条件は、好ましくは、3を上回る抽出の効率をもたらすものが選択される(下記表1、実施例1Aに対応する)。好ましくは、pH値は、約4.0〜8.0、より好ましくは約5.5〜約6.5のpH値が採用され得る。好ましくは、前記温度は55℃で、24時間維持される。浸漬により取得された抽出物は、前記で定義したように、濾過、洗浄、濃縮及び/又は乾燥させられ得る。
【0053】
特に好ましい態様において、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanumglaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の工程a)における抽出は、産業スケールで実施されるとき、浸漬型抽出であり、以下の特定の副工程群(抽出プロセスEM):
EM1)1つ以上の、好ましくは混合装置及び加熱装置を取り付けたベセルに、ソラリウム・グラウコフィルム(Solarium glaucophyllum)種の植物体又はその部分を充填し;
EM2)上記アルコールベース溶媒を添加し、ここで該アルコールベース溶媒は、好ましくは、上記で定義したエタノール/水の混合物から選択され、例えばエタノール/水(v/v)の比率は約65/35(%)であり、溶媒/薬物の比率は、好ましくは、上記で定義したように、例えば約4〜6(v/w)、最も好ましくは約5(v/w)であり;該アルコールベース溶媒は、上記で定義した、例えば0.1%アスコルビン酸等の添加物を追加的に含有し;
EM3)上記で定義したように、任意でpHを約5.5〜6.5、好ましくは約5.5に調整し;
EM4)上記で定義した温度及び時間で、好ましくは約55℃の温度で約24時間、エタノールベース溶媒中で、前記ソラリウム・グラウコフィルム(Solarium glaucophyllum)種の植物体又は部分を抽出し;
EM4)前記ベセルから植物抽出物を取り出し、これを、例えば50μmメッシュ幅のフィルターにポンプにより通して濾過し;
EM5)任意で、工程M4及びM5の抽出で残った固体を、上記のエタノール/水混合物と同じ、好ましくは溶媒/薬物の比率が約3の溶媒で1回又は2回洗浄し;
EM6)任意で、水分を約75〜65%含み、不揮発成分を約25〜35%含む溶液となるまで、先ず有機溶媒を蒸発させ、続いて水分を蒸発させることにより、減圧下で該植物抽出物を濃縮し;そして
EM7)任意で、該(濃縮した)植物抽出物を、スプレー乾燥、バンド乾燥、又は凍結乾燥する;
特定の副工程群を含む。
【0054】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の植物抽出物の調製及び精製における本発明の方法は、更に、抽出工程a)において取得された抽出物を精製するために、精製工程b)を含む。そのような精製工程b)は、本発明の方法において、本発明の植物抽出物の主成分、即ち1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、特にケルセチングリコシドを良好な収量で取得するのに不可欠である。最も驚くべき結果は、精製工程b)における良好な収量が、主に非イオン性ポリマー樹脂を含むカラムへの前記抽出物のアプライに依存していたことであり、これは、先行技術に基づいて、当業者が予測し得ないことであった。そのような非イオン性ポリマー樹脂を使用した場合にのみ、本発明のソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物の2つの主成分の効果的な濃縮が可能となり、そして、これらの有効成分、即ち1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、特にケルセチングリコシドの両方の顕著な高収量が実現される。そのような両方の有効成分の濃縮は、他のカラム材料を使用した場合、不可能である。本明細書の導入部で示唆したように、技術的サイズでの当該技術分野で既知の植物成分の単離方法は、蒸留、溶媒−溶媒(向流(counter−current))抽出を最初に選択し、続いてカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法を行う。そのようなクロマトグラフィープロセスは、典型的には、限られた場合、例えば所望の生産物が、液体−液体抽出又は蒸留等を使用するのみで十分に精製された生産物を得られるという特殊な物理化学的性質を有する場合等にのみ省略され得る。しかしながら、当該技術分野において、既知の精製の試みは全て、純粋な活性ビタミンD生産物を得ることを目標としており、上記2つの有効成分を得ることを目標としていない。更なる精製においてクロマトグラフィーが必要な場合、当業者は、植物抽出物のクロマトグラフィー精製用の材料として、常に、文献において見出される、シリカ材料及びSephadexを選択する(上記参照)。シリカ材料及びSephadexの両方とも、本発明の発明者らが見出したように、上記両有効成分を共に精製するのに、顕著な難点を有する。即ち、シリカ材料を用いたクロマトグラフィーは1,25−ジヒドロキシビタミンDの収量が低く、一方Sephadexクロマトグラフィーは、1,25−ジヒドロキシビタミンDのみ濃縮されるが、フラボノールは峻別される。図6のレーン9を参照されたい。故に、それらの材料は、僅かに異なる物理化学的性質を有する前記2つの有効成分を同時に精製するのに適さない。これに関連して、フラボノールは、処置に重要なものであると見做されておらず、また、両方の有効成分を含む植物抽出物を精製しようという試みもなされていない。よって、当業者は、常に、上記のように、主成分としてビタミンD代謝物を含む植物抽出物を精製するために、シリカ材料又はSephadexに基づく方法を選択する。また、本発明の発明者らは、イオン性ポリマー樹脂(de Boland et al.同上参照)は、溶出にイオン性の塩が必要であるところ、植物抽出物中の塩の量が、カラムの容量をオーバーフローさせてしまうため、適切な代替とならないことを見出した。
【0055】
当業者により予想される結果と対照的に、本発明者らは、驚くべきことに、非イオン性ポリマー樹脂が、一般に、与えられた目標、即ち前記2つの有効成分、即ち1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、特にケルセチングリコシドの組み合わせであり、これらの有効成分の分量が最適に近く、そしてアルカロイドの分量が最小に近い抽出物を提供する方法を達成するのに適していることを見出した。
【0056】
従って、工程a)で取得した植物抽出物精製する精製工程b)は、以下の:
b1)非イオン性ポリマー樹脂を含むカラムに工程a)で取得した植物抽出物をアプライし;
b2)必要に応じて上記で定義した水及び/又はアルコールベース溶媒で前記カラムを洗浄し;
b3)カラムから前記濃縮植物抽出物を溶出し;そして
b4)必要に応じて前記濃縮植物抽出物を乾燥する
工程を含む。
【0057】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の精製工程b)の副工程b1)において、該抽出物は、非イオン性ポリマー樹脂を含むカラムに充填される。本発明において、工程b)の副工程b1)に適した非イオン性ポリマー樹脂は、(多孔質又は非多孔質)非イオン性ポリマー樹脂であり、限定されないが、ポリスチレン、スチレンジビニルベンゼンコポリマー、アクリルエステルコポリマー、及びポリフェノール樹脂等であり得る。より好ましくは、前記(多孔質又は非多孔質)非イオン性材料は、Amberlite XAD−1、XAD−2、XAD−4、XAD−5(これらは商標で、米国Rohm and Haas Co.製で、これらの樹脂はスチレンジビニルベンゼンコポリマーで構成される)、及びDiaion HP10、HP20、HP30、HP40、HP50(これらは商標で、日本国Mitsubishi Chemical Co.製で、これらの樹脂はスチレンジビニルベンゼンコポリマーで構成される)、Amberlite XAD−7、XAD−7HP、XAD−8、又はXAD−1180(アクリルエステルポリマーで構成される吸着材の商標で、Rohm and Haas Co.製である)、及びDuolite S−30(フェノール樹脂で構成される吸着財の商標で、米国Chemical Process Co.製である)、又は上記で特に挙げたものと同等の非イオン性ポリマー樹脂、例えば他の供給元の同等の樹脂から選択される。なおもより好ましくは、本発明の方法の工程b)に適した(多孔質又は非多孔質)非イオン性材料は、Amberlite XAD−樹脂、例えばAmberlite XAD−1、XAD−2、XAD−4、XAD−5、及びAmberlite XAD−7、XAD−7HP、XAD−8又はXAD−1180から選択され、そして最も好ましくは、Amberlite XAD−7、XAD−7HP、XAD−8又はXAD−1180から選択され、あるいは上記で特に挙げたものと同等の非イオン性ポリマー樹脂、例えば他の供給元の同等の樹脂から選択される。
【0058】
更に、精製工程b)の副工程b1)に適した前記非イオン性材料は、好ましくはデキストランベースの樹脂を含むべきではなく、より好ましくはSephadex又はSuperdex樹脂材料を含むべきではなく、そしてなおもより好ましくは、非イオン性Sephadex又はSuperdex樹脂材料を含むべきではなく、好ましくは、それらは、本発明の対象である工程b)に適した非イオン性材料から明示的に除外される。
【0059】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の精製工程b)の副工程b1)において、カラムへの前記植物抽出物のアプライは、当該技術分野の任意の適切な方法を使用して実行され得る。限定されないが、そのような方法として、本発明の方法を実験室スケールで行う場合、シリンジの使用等が挙げられ、又は本発明の方法を産業スケールで行う場合、ポンプの使用等が挙げられる。好ましくは、植物抽出物をアプライするカラムは、長さ/幅の比率が約2〜6である。該カラムは、使用前に、本明細書中に定義した溶媒で、好ましくは上記で定義した溶媒で、及び/又は水及び/又はアセトンで、使用前に予め洗浄され得る。該カラムは、更に、好ましくは水、又は上記で定義したアルコールベース溶媒で、使用前に平衡化され得て、該カラムは、平衡化の過程で乾燥させられない。精製工程b)の副工程b1)に従い植物抽出物をカラムにアプライするとき、該植物抽出物(上記に定義した溶媒が含まれているため水溶液である)は、好ましくは1、2、3、4、5又はそれ以上のベッド体積分、好ましくは3ベッド体積分のスピードで、カラムの上端にアプライ又はポンプ注入される。抽出工程a)において取得したのと同じ植物抽出物を、該カラムに、数回、例えば1回、2回、3回、4回、5回、又はそれ以上の回数アプライされ得て、カラムの最初の(典型的には透明の)溶出物は、捨てられル場合がある。
【0060】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の精製工程b)の任意の副工程b2)において、植物抽出物がアプライされたカラムは、必要に応じて、上記で定義した水及び/又はアルコールベース溶媒で洗浄される。アルコールベース溶媒が使用される場合、アルコールベース溶媒は、上記で挙げた任意のアルコールベース溶媒であり、好ましくは、カラムから濃縮植物抽出物又はその任意の成分が短時間で溶出するのを防ぐために、典型的には20%(v/v)を越える量のアルコールを含まないアルコールベース溶媒である。特に適切なアルコールベース溶媒は、限定されないが、エタノール/水(v/v)の比率(%)が約0/100〜20/80のエタノール/水混合物から選択され、例えば、エタノール/水が約0/100(v/v)、エタノール/水が約5/95(v/v)、エタノール/水が約10/90(v/v)、エタノール/水が約15/85(v/v)又はエタノール/水が約20/80(v/v)のエタノール/水混合物、より好ましくはエタノール/水が約5/95(v/v)、エタノール/水が約10/90(v/v)又はエタノール/水が15/85(v/v)のエタノール/水混合物から選択され得る。あるいは、好ましくないが、本発明の方法の精製工程b)の任意の副工程b2)のアルコールベース溶媒は、上記エタノール/水混合物の場合と同じメタノール/水の比率を有するメタノール/水混合物から選択され得る。ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の精製工程b)の副工程b2)の任意の洗浄工程は、1回以上、好ましくは1〜2回、任意で1〜3回、1〜4回、1〜5回、又はそれ以上実施される場合がある。本発明の方法の精製工程b)の副工程b2)における洗浄は、特定の順番の水及び/又はアルコールベース溶媒による洗浄を続けて行う場合がある。例えば、前記カラムは、第一段階で、1回以上、水又は上記アルコールベース溶媒で、好ましくは水で、例えば1回、2回、3回等、例えば水で1回等、洗浄され得る。水又は他の溶媒による第一の洗浄は、好ましくは、溶出液が無色になるまで行われる。続いて、第二の任意の洗浄工程において、異なる溶媒、即ち上記で定義した水又はアルコールベース溶媒、好ましくは上記で特に挙げた濃度のアルコールベース溶媒を使用して、更なる洗浄の手順が続けられ得る。前記カラムは、好ましくは、第二の工程で、1回以上、2回、1〜3回、1〜4回、1〜5回、又はそれ以上、好ましくは1〜3回、上記で定義したアルコールベース溶媒で洗浄され得る。前記アルコールベース溶媒は、好ましくは、上記で定義したものである。そのような第二の任意の洗浄は、好ましくは、1、2、3、4、5(1〜2、1〜3、1〜4、1〜5)、又はそれ以上の(カラムの)ベッド体積分、好ましくは1〜3(カラムの)ベッド体積分を使用して実行される。
【0061】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の精製工程b)の任意の副工程b3)において、濃縮植物抽出物は、カラムから溶出させられる。カラムからの溶出のために、上記の溶媒は、アルコール、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノール、好ましくはエタノール又はメタノール、又はケトン、例えばアセトン、又は上記で定義した適切なアルコールベース溶媒から選択される。適切なアルコールベース溶媒として、上記で定義した任意のアルコールベース溶媒、例えば、限定されないが、エタノール/水(v/v)の比率(%)が約100/00〜70/30、例えばエタノール/水(v/v)の比率(%)が約100/00 、エタノール/水(v/v)の比率(%)が約 95/5 、エタノール/水(v/v)の比率(%)が約 90/10 、エタノール/水(v/v)の比率(%)が約 85/15 、エタノール/水(v/v)の比率(%)が約 80/20 、エタノール/水(v/v)の比率(%)が約 75/25、又はエタノール/水(v/v)の比率(%)が約70/30のエタノール/水混合物が挙げられる。より好ましくは、前記エタノール/水混合物は、エタノール/水(v/v)の比率(%)が約100/00〜95/5、最も好ましくはエタノール/水(v/v)の比率(%)が約95/5、96/4、97/3、98/2、99/1又は100/0のエタノール/水混合物から選択され得る。あるいは、好ましくないが、本発明の方法の精製工程b)の副工程b3)のアルコールベース溶媒は、メタノール/水の比率が上記エタノール/水の混合物におけるものと同じであるメタノール/水混合物、又はイソプロパノール/水の比率が上記エタノール/水の混合物におけるものと同じであるイソプロパノール/水混合物から選択される。精製工程b)の副工程b3)におけるカラムからの濃縮植物抽出物の溶出において、前記溶媒は、1、2、3、4、5(1〜2、1〜3、1〜4、1〜5)、又はそれ以上の(カラムの)ベッド体積分、好ましくは2〜5(カラムの)ベッド体積分を使用してアプライされる。
【0062】
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の精製工程b)の任意の副工程b4)において、濃縮植物抽出物は、任意で、上記抽出工程a)に記載したように乾燥させられる場合がある。好ましくは、植物抽出物は、限定されないが、スプレー乾燥、バンド乾燥、凍結乾燥等により乾燥させられ、好ましくは不揮発成分の分量が100%に近く、例えば水の分量が約10〜0%、不揮発成分が約90〜100%で、それぞれの値は乾燥させられる前の植物抽出物、例えば、溶出の後、精製工程b)の任意の副工程b3)に従い取得される植物抽出物の総量に基づいて決定される。
【0063】
上記調製及び精製する本発明の方法の精製工程b)の任意の副工程b4)における植物抽出物の乾燥は、更に、その後の加熱/高温処理と組み合わせられ得る。該加熱/高温処理は、a)において定義されたもので、濃縮植物抽出物の寿命を延長させるために、好ましくは、例えば該抽出物が使用前に保存される場合、該濃縮植物抽出物の保存を可能とするために行われる。
【0064】
一つの好ましい態様において、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の精製工程b)における精製は、好ましくは、それが実験室スケールで行われる場合、以下の特定の特徴(精製プロセス:PL):
PL1)工程a)において取得された植物抽出物を、非イオン性ポリマー樹脂、好ましくはAmberlite XAD−7 HP若しくはXAD−1180、又は他の供給元の同等の樹脂を含むカラムにアプライし;
PL2)該カラムを、1回、好ましくは2回以上、任意で3回水で、好ましくは溶出液が無色になるまで洗浄し;そして該カラムを、1回以上、上記で定義した比率(%)の、例えばエタノール/水(v/v)が約0/100、エタノール/水(v/v)が約10/90、より好ましくはエタノール/水(v/v)が約5/95のエタノール/水混合物で洗浄し;そして
PL3)上記で定義したアルコールベース溶媒、好ましくはエタノール/水混合物、より好ましくは上記で定義した比率(%)の、例えばエタノール/水(v/v)が約95/5〜100/0、最も好ましくはエタノール/水(v/v)が約96/4のエタノール/水混合物を、好ましくは2〜5ベッド体積分使用して、濃縮植物抽出物を溶出し、
PL4)必要に応じて、工程PL3)において取得した濃縮植物抽出物を乾燥させる;
特定の特徴を含む。
【0065】
特に好ましい態様において、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の精製工程b)における精製は、好ましくは、それが産業スケールで行われる場合、以下の特定の特徴(精製プロセス:PF):
PF1)好ましくは浸透(型抽出)プロセス(工程EP1〜EP7を含むプロセス)を使用して、より好ましくはエタノール/水(v/v)の比率(%)が約25/75のエタノール/水の混合物を用いた浸透プロセスを使用して、工程a)で取得した植物抽出物を、好ましくはAmberlite XAD−7 HP若しくはXAD−1180又は他の供給元の同等の製品から選択される、非イオン性ポリマー樹脂を含むカラムにアプライし;そしてカラム透過液をそのカラムに再アプライし、好ましくはこれを3回繰り返し;
PF2)該カラムを、1回以上、好ましくは透過液が無色になるまで水で洗浄し;そして該カラムを、1回以上、好ましくはベッド体積の2倍の、エタノール/水の比率(%)が約10/90〜約0/100(v/v)のエタノール/水の混合物で洗浄し;そして
PF3)エタノール/水の比率(%)が約95/5〜約100/0(v/v)の、好ましくは約96/4、97/3、98/2、99/1又は100/0(v/v)の、最も好ましくは約96/4(v/v)の、エタノール/水の混合物を使用して、該カラムから前記濃縮植物抽出物を溶出し;
PF4)必要に応じて、工程PF3)において取得した濃縮植物抽出物を乾燥させる;
特定の特徴を含む。
【0066】
特に一層好ましい態様において、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の精製工程b)における精製は、好ましくは、それが産業スケールで実施されるとき、工程b)が、以下の特定の特徴(精製プロセスPS):
PS1)好ましくは浸漬(型抽出)プロセス(工程EP1〜EP7を含むプロセス)を使用して、より好ましくはエタノール/水(v/v)の比率が約65/35のエタノール/水の混合物を用いて、工程a)で取得した植物抽出物を、好ましくはAmberlite XAD−7 HP若しくはXAD−1180、又は他の供給元の同等の樹脂から選択される、非イオン性ポリマー樹脂を含むカラムにアプライし、カラム透過液をそのカラムに再アプライし、好ましくはこれを3回繰り返し;
PS2)該カラムを、1回以上、好ましくは透過液が無色になるまで水で洗浄し、そして該カラムを、1回以上、好ましくはベッド体積の2倍の、エタノール/水の比率(%)が約10/90〜約0/100(v/v)のエタノール/水の混合物で洗浄し;そして
PS3)エタノール/水の比率(%)が約95/5〜約100/0(v/v)の、好ましくは約96/4、97/3、98/2、99/1又は100/0(v/v)の、最も好ましくは96/4(v/v)の、エタノール/水の混合物を使用して、該カラムから前記濃縮植物抽出物を溶出する
特定の特徴を含む。
【0067】
上記に挙げたいずれかの代替的手段は、互いに組み合わせられる場合がある。特に、産業的抽出プロセスEP又はEM(又は実験室抽出プロセス)は、適宜、産業的精製プロセスPF又はPSと組み合わせられ得る。
【0068】
濃縮植物抽出物
本発明は、更に、上記ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法の直接生産物としてのソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物、即ち上記本発明の方法により取得された、又は取得され得るソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物に関する。そのような濃縮植物抽出物は、特に、その特定の及び有利な組成に特徴付けられ、該組成は、上記本発明の方法における特定の特徴を使用した場合にのみ実現され得る。より具体的には、上記本発明の方法を使用して直接取得された、又は取得され得る、そのような本発明に係る濃縮植物抽出物は、好ましくは、以下の組成を示す。
【0069】
有効成分
ビタミンD代謝物は、好ましくは活性ビタミンDの濃度が300μg/g以上、好ましくは500μg/g超、なおもより好ましくは2000μg/g超で、好ましくは全体として1,25−ジヒドロキシビタミンDと解析的に決定され、好ましくは1,25−ジヒドロキシビタミンDのグリコシド又は異なるグリコシドの混合物で、又はより好ましくは、1,25−ジヒドロキシビタミンD−1β−グルコピラノシドであり、以下の式(I):
【化2】

で表され;並びに
活性ケルセチングリコシドは、100mg/g以上、より好ましくは150mg/g以上、そして最も好ましくは200mg/g以上で、加水分解後ケルセチンと決定される。
【0070】
不活性成分
任意で、本発明の方法により取得される本発明の濃縮植物抽出物は、更に、以下の内容量により特徴付けられる:
−無機成分:好ましくは最大で6%(Ca、K、Mg及びSの元素を0.1〜1%含み、そしてBr、Cl、P、Si、Al、Na、Cu、Fe、Znの元素を0.1%未満含む);
−炭水化物:好ましくは50〜75%;
−タンパク質:好ましくは2%未満(アレルギー発生の可能性を顕著に低下させる);
−脂肪:好ましくは2%未満;
【0071】
毒性成分
加えて、本発明の方法により取得される本発明の濃縮植物抽出物は、アルカロイドのレベルが低いことも特徴であり得る。ソラヌム(Solanum)属は毒性アルカロイドを含むこと、特にソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)がソラソジンを含むことが知られているため、該特徴は顕著かつ有利である。故に、本発明により取得される本発明の濃縮植物抽出物は、アルカロイド(特にソラソジン)が検出限界の10μg/gを下回ることを、追加的な特徴とし得る。
【0072】
上記のソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法により取得される本発明の濃縮植物抽出物は、従来の抽出物と比べて、とりわけ、以下の特徴を有する:
・前記両有効成分:1,25−ジヒドロキシビタミンD及びフラボノールのケルセチン(いずれもグリコシド結合形態)の内容量が増大している。
・本来的に水溶性であるため、単純な(複雑ではない)製剤化が可能であり、界面活性剤の添加を必要としない。
・褐色化/変色し難い(褐色化/変色反応は、フラボノール等の植物フェノールの内容量を低下させるので望ましくない)。
【0073】
本発明の方法により取得される濃縮植物抽出物は、とりわけ、従来の抽出物と比較して、以下の如き優位の生物学的特徴を有する。
【0074】
・最も有効な成分の1,25−ジヒドロキシビタミンDのみにより、ビタミンD活性が高い。
【0075】
・グリコシド構造(内性活性ビタミンD代謝物の1,25−ジヒドロキシビタミンDのプロドラッグ形態として振舞う)により、元の化合物の1,25−ジヒドロキシビタミンDよりも上記式(I)の1,25−ジヒドロキシビタミンD−1β−グルコピラノシドの方が生物学的耐性に優れている。
【0076】
・ビタミンD単独の場合と比較して治療効果のエントリーが早くなる。
【0077】
・本発明の濃縮植物抽出物において、前記両骨有効成分の、1,25−ジヒドロキシビタミンD及びフラボノール、特にケルセチンの内容量が増大して存在していることにより、治療濃度域が顕著に拡張されるため、高カルシウム血症のリスクが低下する。
【0078】
・本発明の植物抽出物は、食肉用の動物において、歩行障害の緩和及び骨強度の改善に優位な効果を示す。
【0079】
・本発明の植物抽出物は、卵殻の質の改善に高度に作用する。
【0080】
・本発明の植物抽出物は、出産の過程での血中カルシウムの低下(授乳熱)の防止に高度に作用する。
【0081】
・更に、本発明の植物抽出物は、FDAに認可されたヒト骨粗鬆症における前臨床ラットモデルで高度に活性であった。一つの実験において、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の未精製抽出物を、卵巣を摘出した雌ラット(ヒト女性の閉経後骨粗鬆症を模す動物モデル)に適用すると、抗骨粗鬆症効果を示したが、軟組織中にカルシウムの沈着も起こった。しかし、上記の如き本発明の方法により取得された同一のビタミンD内容量の精製抽出物は、抗骨粗鬆症効果を示したが、軟組織の石灰化は認められなかった。
【0082】
上記驚くべき結果に基づき、本発明の一つの態様は、好ましくは以下の成分を含む、(合成)植物抽出組成物にも関する:
a)有効成分のビタミンDであり、好ましくは1−α−ヒドロキシ置換ビタミンD代謝物、又はより好ましくは1,25−ジヒドロキシビタミンDで、天然の、又は合成した、遊離又はグリコシド結合形態のもの、好ましくは全体として1,25−ジヒドロキシビタミンDと解析的に決定され、より好ましくは1,25−ジヒドロキシビタミンDのグリコシド、若しくは異なるグリコシドの混合物、又はより好ましくは1,25−ジヒドロキシビタミンD−1β−グルコピラノシドであり、以下の式(I):
【化3】

で表され、好ましくは活性ビタミンDの濃度が、300μg/g以上、好ましくは500μg/g超、なおもより好ましくは2000μg/g超である。
b)100 mg/g以上、より好ましくは150 mg/g以上、そして最も好ましくは 200 mg/g以上の濃度の、1つ以上の(活性)フラボノール。
【0083】
本発明において、本発明の(合成)植物抽出組成物中に含有されるフラボノールは、当該技術分野で既知の任意のフラボノール又はそれらのグリコシドから、好ましくは骨の成長に有益な治療効果を有することが知られているフラボノール又はそれらのグリコシドから選択され得る。そのようなフラボノールは、ミリセチン(myricetin)、ケルセチン、ケンフェロール(kaempferol)、フィセチン(fisetin)、イソハムネチン(isohamnetin)、パキポドール(pachypodol)、ラムナジン(rhamnazin)、パツレチン(patuletin)、ユーパリチン(eupalitin)、ユーパトリチン(eupatolitin)、5−ヒドロキシフラボン、6−ヒドロキシフラボン、7−ヒドロキシフラボン、5−ヒドロキシ−7−メトキシフラボン、7−ヒドロキシ−5−メトキシフラボン、又はそれらのグリコシド等の化合物から選択され得る。より好ましくは、本発明の(合成)植物組成物中に含有されるフラボノールは、上記フラボノールのグリコシドから、例えばミリセチン、ケルセチン、ケンフェロール、フィセチン、イソハムネチン、パキポドール、ラムナジン、パツレチン、ユーパリチン、ユーパトリチン、5−ヒドロキシフラボン、6−ヒドロキシフラボン、7−ヒドロキシフラボン、5−ヒドロキシ−7−メトキシフラボン、7−ヒドロキシ−5−メトキシフラボン等のグリコシドから選択され、特に好ましくはケルセチン及びそのグリコシドから選択され得る。
【0084】
医薬組成物
他の特定の態様において、本発明は:
(a)上記本発明の濃縮植物抽出物又は上記(合成)植物組成物(又は植物抽出物の成分、特に上記で定義した、1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、より具体的にはケルセチングリコシド);及び
(b)任意で医薬として許容される担体及び/又はビヒクル
を含む医薬組成物にも関する。
【0085】
本発明の医薬組成物は、(a)上記本発明の(合成)植物組成物、又はその成分を、好ましくは上記濃度で含み得る。
【0086】
本発明の医薬組成物は、更に、(b)医薬として許容される担体及び/又はビヒクルを含み得る。本発明において、本発明の医薬組成物の医薬として許容される担体又はビヒクルは、典型的には、一緒に製剤化される前記植物抽出物の成分、特に1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、より具体的にはケルセチングリコシドの薬理活性を破壊しない非毒性の担体又はビヒクルをさす。
【0087】
本発明の医薬組成物に使用され得る医薬として適切な単体又はビヒクルは、典型的には、固体又は液体の担体又はビヒクルに分類され得る。ここで、具体的な定量法は、使用される各担体又はビヒクルの粘性に依存し得る。
【0088】
ここで、固体の担体及びビヒクルは、典型的には、例えば、限定されないが、イオン交換体、アルミナ、アルミニウムステアレート、レシチン、及び固体の形態で提供される塩、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、又はポリビニルピロリドン、蝋、ポリエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、羊毛脂、糖類、例えばラクトース、グルコース及びスクロース;賦形剤、例えばマルトデキストリン、キシリトール、澱粉、例えばコーンスターチ又はポテトスターチ;又はセルロースベースの物質、例えばセルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロース;微細化トラガカント;麦芽;ゼラチン;獣脂;(固体)滑剤、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム;着色料;香料;薬物(活性薬剤)の担体;錠剤形成剤;安定化剤;抗酸化剤;保存料;コーティング剤等である。
【0089】
例えば水性又は油性の懸濁物用の液体の担体又はビヒクルは、典型的には、限定されないが、例えば、水;パイロジェンフリー水;イオン交換体の溶液、例えばアルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、又は血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン;アルギン酸;等張生理食塩水溶液又はリン酸緩衝溶液、リンゲル溶液、等張塩化ナトリウム溶液等、又は可溶化形態で提供される塩又は電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸塩、例えばリン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、又は(他の)緩衝物質、例えばグリシン、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム;ポリオールの液体溶液、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、1,3−ブタンジオール、ソルビトール、マンニトール;滅菌固定油、任意の適切な無味の固定油、例えば合成モノ−又はジ−グリセリド、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、脂肪酸、例えばオレイン酸及びそのグリセリド誘導体、天然の医薬として許容される油、例えば植物油、例えば落花生油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油及びテオブロマ(Theobroma)の油;オリーブ油又はヒマシ油、特にそれらがポリオキシエチル化したものである。これらの液体の担体又はビヒクルは、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤、例えばカルボキシメチルセルロース又は類似の分散剤、又は通常使用される界面活性剤又は乳化剤、例えばTween(登録商標)、Spans、及び他の乳化剤、又は液体の形態で提供される生体利用可能性亢進剤等を含む場合もある。
【0090】
本発明の医薬組成物は、経口投与、直腸投与、リザーバー移植、又は任意の非経口投与により投与され得る。
【0091】
好ましくは、上記本発明の医薬組成物は、経口(直腸)投与可能な剤形で経口(直腸)等よされ得て、限定されないが、カプセル、錠剤、水性懸濁液又は溶液であり得る。経口用の錠剤の場合、通常使用される担体は、ラクトース及びコーンスターチである。滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムも、典型的には添加される。必要に応じて、幾つかの甘味料、香料又は着色料が添加される場合もある。カプセルの形態で経口投与される場合、使用される希釈剤として、ラクトース及び乾燥コーンスターチが挙げられる。カプセルの調製において特に担体及びビヒクルが使用され得て、好ましくは賦形剤として、マルトデキストリン、キシリトール、澱粉、例えばコーンスターチ又はポテトスターチ等から選択される。錠剤の調製において、特に担体及びビヒクルが使用され得て、好ましくは滑剤、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム;賦形剤、例えばマルトデキストリン、キシリトール、澱粉、例えばコーンスターチ又はポテトスターチ;及び錠剤に適したコーティング剤等から選択されるこれらの錠剤及びカプセルの徐放型、即ち有効成分を持続的に放出する型も想定され得て、該徐放型は、好ましくは上記有効成分を含み、これが生分解性生体ポリマー中に埋め込まれ、又は上記有効成分は被覆材で包まれ(遅延放出用)ることにより、有効成分の分散をコントロールできる。水性懸濁液が経口使用を要するとき、前記有効成分は、例えば乳化剤及び懸濁材と組み合わせられ得る。そのような製剤は、直腸投与にも、又は移植したリザーバーを介した投与にも使用され得る。
【0092】
本発明の医薬組成物は、典型的には、「安全かつ有効な量の」1つ以上の前記両有効成分、即ち上記1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、より具体的にはケルセチングリコシドを含む。本明細書中で使用されるとき、「安全かつ有効な量の」とは、これらの主成分が、本明細書中の疾患又は症状の正の改変を顕著に誘導するのに十分な量を意味する。一方、同時に、「安全かつ有効な量の」とは、深刻な副作用を避けるのに十分な少量であり、即ち、利益とリスクとが妥当なバランスを取っていることを意味する。これらの限度の決定は、典型的には、妥当な医師の判断の範囲内にある。前記両有効成分、即ち上記1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、より具体的にはケルセチングリコシドの「安全かつ有効な量」は、処置が行われる条件に応じて、また処置を受ける患者の年齢及び健康状態、体重、総体的健康、性別、食生活、投与の時間、排出の速度、薬物の組み合わせ、採用した特定の自己抗原タンパク質及び/又は抗体、症状の重症度、処置の期間、付随する治療の性質、使用される具体的な医薬として許容される担体、並びに医師の知識と経験の中での類似の要素との関係で、更に変化し得る。本発明の医薬組成物は、ヒトに使用され得て、及び獣医学的目的にも使用され得る。
【0093】
本発明のソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)植物抽出物及び本発明の医薬組成物
本発明の医薬組成物、上記本発明のソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)濃縮植物抽出物を調製及び精製する方法により取得された、又は取得され得る、本発明の濃縮植物抽出物、本発明の(合成)植物抽出組成物、又は本発明の濃縮植物抽出物又は本発明の(合成)植物抽出組成物の2つの主成分、即ち上記1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、より具体的にはケルセチングリコシドの両方は、本明細書中に定義した疾患のいずれかを処置するためにそれを必要とするヒト又は動物に投与され得る。
【0094】
前記疾患は、特に、骨量減少に関連する疾患、例えば骨減少症、又は特に人類の(加齢又は閉経後)骨粗鬆症であり得る。
【0095】
前記疾患は、特に、好ましくは家禽、より好ましくはニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ及びアヒルにおける、脛骨の軟骨形成不全、及び他の骨に関連し、石灰化に関連する四肢の問題であり得る。
【0096】
前記疾患は、特に、乳を生産する動物、特に乳牛及び他の乳を生産する動物の、分ぺん不全麻痺としても知られる出産期の低カルシウム血症麻痺、又は授乳熱であり得る。また、乳牛及び他の乳を生産する動物における分ぺん中の血漿カルシウムの減少に関連する任意の疾患であってもよい。ここで、授乳熱は、出産期に、母親の血液中に循環するカルシウムを使い果たしたときに発症する、乳を生産する動物における代謝疾患である。内性的なカルシウムのホメオスタシスは、食物又は骨から、血中カルシウムの低下を防ぐのに十分なカルシウムを動員することが出来ない。場合によっては、カルシウム濃度が低いと、筋肉の麻痺が引き起こされる。現在の処置は、出産期に大量のカルシウムを投与するものである(The Merck Veterinary Manual, Parturient Paresis in Cows参照)が、これは、本発明の植物抽出物の投与に劣っている。
【0097】
本明細書に定義する疾患のいずれかに対する投与は、本発明の医薬組成物において、特に投与方法及び投与されるべき安全かつ有効な量が求められる。
【0098】
故に、本発明の更なる態様は、本明細書中に定義した疾患又は症状を予防又は処置するための本発明の医薬組成物を調製するための、特に上記で定義したソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法により取得された、又は取得され得る本発明の濃縮植物抽出物の使用、本発明の(合成)植物抽出組成物、又は本発明の濃縮植物抽出物又は本発明の(合成)植物抽出組成物の2つの主成分、即ち上記1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、より具体的にはケルセチングリコシドの両方の使用にも関する。特に、該医薬組成物は、骨量減少に関連する疾患、例えば骨減少症、又は特にヒトの(加齢又は閉経後)骨粗鬆症の予防及び処置、特に成人の骨減少症の予防及び処置、又はペットの骨減少症の予防及び処置;好ましくは家禽、より好ましくはニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ及びアヒルの脛骨の軟骨形成不全及び他の骨に関連し石灰化に関連する四肢の問題の予防又は処置、例えば骨量及び破壊強度の改善;家禽の卵殻の強度及び厚さの改善;家禽及びブタのカルシウム及びリンの取り込みを改善することによる、尿及び堆肥へのリンの排出(の増大)の減少又は防止;乳を生産する動物の分ぺん不全麻痺としても知られる出産期の低カルシウム血症麻痺又は授乳熱の予防又は処置に使用され得る。また、該医薬組成物は、乳牛及び他の乳を生産する動物の出産期の血漿カルシウムの減少に関連する任意の疾患の予防又は処置にも使用され得る。
【0099】
本発明の他の態様は、ヒト又は獣医が使用するための栄養補助食品としての、上記で定義したソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法により取得された、又は取得され得る本発明の濃縮植物抽出物の使用、本発明の(合成)植物抽出組成物、又は本発明の濃縮植物抽出物又は本発明の(合成)植物抽出組成物の2つの主成分、即ち上記1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、より具体的にはケルセチングリコシドの両方の使用に関する。そのような食品添加物は、上記で挙げた疾患、特に骨量の減少に関連する疾患、例えば骨減少症又は骨粗鬆症、脛骨の軟骨形成不全、乳を生産する動物の分ぺん不全麻痺又は授乳熱等のいずれの症状も発生又は検出されていない時点で投与される。即ち、非治療的理由で、あるいは上記疾患の予防手段として投与される。
【0100】
最後に、本発明は、上記で定義したソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)濃縮植物抽出物を調製及び精製する本発明の方法により取得された、又は取得され得る本発明の濃縮植物抽出物、本発明の(合成)植物抽出組成物、又は本発明の濃縮植物抽出物又は本発明の(合成)植物抽出組成物の2つの主成分、即ち上記1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びフラボノール、より具体的にはケルセチングリコシドの両方、及び/又は本発明の医薬組成物、及び任意で技術指示又は取扱説明書を含む、好ましくは上記で挙げたいずれかの使用、処置又は治療のための、キット、特にキットの部分にも関する。
【0101】
本発明の利点
本発明は、上記で定義したソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)濃縮植物抽出物を調製及び精製する方法を提供する点で有利であり、これにより、個別の2つの有効成分、即ち1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド(1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド−β−グルコピラノシドを含む)及びフラボノール、より具体的にはケルセチングリコシドの分量が増大(濃縮)した前記植物抽出物を取得できる。上記で定義したソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)濃縮植物抽出物は、科学的に受け入れられているヒト閉経後骨粗鬆症の前臨床モデルにおいて、驚異的に活性であることが証明された。また、本質的に活性のビタミンD代謝物の濃縮を補助し得るため、腎臓に機能障害を有する対象に適している。また、本発明の濃縮植物抽出物は、動物におけるカルシウム及びリン酸の取り込み、骨量及び破壊強度の改善、家禽の脛骨の軟骨形成不全の予防、及び乳を生産する動物における分ぺん不全麻痺として知られる乳牛の出産期の血漿カルシウムの低下の防止に、驚異的に活性である。特に、本発明の濃縮植物組成物は、2つの有効成分、即ち1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド(1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド−β−グルコピラノシドを含む)及びフラボノール、より具体的にはケルセチングリコシドの分量が増大(濃縮)していることにより、1,25−ジヒドロキシビタミンDにおいて知られている本来極めて狭い治療濃度域を驚異的に拡張する点で有利である。これにより、本発明の濃縮植物抽出物は、遊離ビタミンD単独よりも驚くほど良好な耐容性を有する。更に、単独で使用される前記化合物1,25−ジヒドロキシビタミンDと比較して、高カルシウム血症のリスクが低下し、臨床使用においてより低濃度で使用され、故に、元の化合物単独よりもヒトにとって安全であり得る。本発明の量有効成分の生物学的応答の発生がビタミンD単独と比較して早いことも見出され、これは、本発明の濃縮植物抽出物中の1,25−ジヒドロキシビタミンD及び1,25−ジヒドロキシビタミンD−β−グルコピラノシドの存在によると考えられる。最後に、前記植物の生の材料に含まれる毒性の成分は、本発明の濃縮植物組成物中に、検出可能な量で存在しない。上記本発明のソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物は、変色の程度が低く、そして、タンパク質の分量が低いため、アレルギー性も低い。
【0102】
以下の図は、本発明を更に説明することを意図する。それらは、本発明の対象をそれらの範囲内に限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】雌雄間で骨粗鬆症時における骨量に対する影響を測定したものを示す。図1に示されているように、全生涯にわたり、栄養は、最も重要な要素である。特定の医薬は、45歳超の年齢の患者において重要な役割を果たす。
【0104】
【図2】精製した抽出物を解析用Sephadex G25カラムを用いてのクロマトグラフィー分離にかけることによる、本発明の濃縮植物抽出物の特徴付けを示す。サンプルの一部を加水分解し、1,25−ジヒドロキシビタミンDを測定した。分子量マーカーとして、1400、4300及び6800Daltonの水溶性ポリスチレンを使用した。図2に示されているように、1,25−ジヒドロキシビタミンDは本発明の濃縮植物抽出物の主要な成分である。
【0105】
【図3】精製した抽出物を解析用Superdex−30カラムを用いての異なる種類のクロマトグラフィー分離にかけることによる、本発明の濃縮植物抽出物の特徴付けを示す。サンプルの一部を加水分解し、1,25−ジヒドロキシビタミンDを測定した。分子量マーカーとして、1355Daltonのコバラミンを使用した。図3に示されているように、1,25−ジヒドロキシビタミンDは本発明の濃縮植物抽出物の主要な成分である。
【0106】
【図4】以下の式で計算される前記抽出の効率を示す: yf=VDM(抽出物).[Qu(抽出物)/1000].ef実験室での実験の結果、良好性の要素は2つの最適値をとり、それらは産業スケールのプロセスにも適用できる。
【0107】
【図5】UV−、H−NMR及び13C−NMRスペクトルにより明らかにされた成分1,25−ジヒドロキシビタミンDの構造を示す。
【0108】
【図6】前記取得された調製物の高効率薄層クロマトグラフィーによる特徴付け、並びにスタンダード並びにイチョウ及びサンザシ抽出物との比較を示す(実施例3(iii)参照)。以下の条件で行った:プレート:UVインジケーター付きシリカゲルG 10x10cm Merck(Camag AG, Muttenz Switzerland)溶媒:酢酸エチル/蟻酸/酢酸/水(100+11+11+26)。プレコンディション45分、ランタイム45分。検出:Naturstoff−Reagent(Camag AG, Muttenz Switzerland)アプライレーン1:ケルセチン(rf0.88;0.56μg);ハイペロシド(hyperosid)(rf0.55;1.25μg);クロロゲン酸(rf0.42;1.2μg);ルチン(rf0.37;0.73μg)レーン2:ケンフェロール(rf0.90;0.25μg);イソケルシトリン(rf0.57;1.25μg);ハイペロシド(rf0.54;1.25μg);レーン3:コーヒー酸(rf0.82;0.1μg);イソケルシトリン(rf0.57;1.25μg)レーン4:精製抽出物(Batch 1;41μg;ケルセチン及びケルセチングリコシドを指示する)レーン5:精製抽出物(Batch 2;41μg;ケルセチン及びケルセチングリコシドを指示する)レーン6:ギンコ・ビロバ(ginkgo biloba)抽出物(市販品;10μl)レーン7:サンザシ抽出物(市販品;201μg)レーン8:レーン1と同じスタンダードレーン9:従来技術で取得した比較用精製抽出物(Sephadex G−10によるクロマトグラフィー)(Sephadex G−10で精製した抽出物の比較用サンプル。ビタミンD活性の増大率が高度である(2000μg/g)一方、フラボノールが殆ど存在しない)
【0109】
【図7】出産期の血漿カルシウムの進行(分ぺん不全麻痺)を示す。第一の柱は、本発明の精製植物抽出物(精製抽出物)、第二の柱はカルシウム塩のボーラス適用による処置(Bovicalc, Boehringer Ingelheim, Germany、取扱説明書に従い適用した)。本図に示されているように、いずれの処置も等しく血漿カルシウムの低下を防止することが出来る(カルシウムスタンダードを用いた場合よりも、本発明の精製植物抽出物(精製抽出物)を用いた場合の方が、僅かにカルシウムレベルが良好である)。図7に示されているように、処置をしない場合、血漿カルシウムの顕著な低下は免れない。各柱は、以下の条件を指す。a.p:分ぺん後24時間、pp:分ぺん時点(出産);plus−12:出産後12時間;plus−72:出産後72時間。
【0110】
【図8】未処理のウシにおける出産期の血漿カルシウムレベルの変化を描いている。
【0111】
【図9】骨粗鬆症のラットモデルを6ヶ月処置した後の右脛骨の骨量を示す(実施例4も参照されたい)。本図に示されているように、本発明の組成物による処置は、卵巣摘出により誘導される骨量の減少を防止しただけでなく、本組成物は、偽手術(sham− operated)コントロールの脛骨の骨量をも増大させた。
【実施例】
【0112】
以下の実施例は、本発明を更に解説することを意図する。それらは、本発明の対象を限定するそれらに限定することを意図しない。
【0113】
実施例1−抽出
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)における公知の抽出方法では、クロロホルム−メタノールを用いた抽出が最も効率的な手法であるが、この方法は、体積が大きくなり、そして毒性の試薬が混入するので、利用できない。他の公知の抽出方法として水を用いるものがあるが、ビタミンDの活性が低いので、これも本発明の方法に劣る。対照的に、本発明は、実施例1に記載されるように、毒性の試薬を使用しない、顕著に高収量の、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)植物の好ましくは乾燥葉を抽出及び精製するための、技術的に最適化した、及びエコロジカルなプロセスを提供する。
【0114】
実施例1A−実験室スケールの抽出(プロセスL)
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の粉砕した葉1gを、ASE−100装置(Dionex, USA)中で自動的に溶媒抽出にかけた。溶媒として、以下のアルコールベース溶媒を使用し、そして質量を取得した(表1参照)。
【0115】
【表1】

抽出:1)Diones Instruments, Olten SwitzerlandのASE−100モデルを使用して、温度50℃、5サイクルの条件で行った。
収量:2)乾燥抽出物mg/生の材料g
VDM:3)解析により決定された加水分解後の1,25−ジヒドロキシビタミンD測定値
Qu:4)Ph. Eur.に従う、酸加水分解後ケルセチングリコシド
ef:5)経験的プロセス要素(empirical process factor)
yf:6)推定されるプロセスの良好性であり、式yf=VDM*(Qu/1000)*efで求められる。
【0116】
前記抽出の効率は、以下の式により計算された:
yf=VDM(抽出物).[Qu(抽出物)/1000].ef
ここで、[VDM]及び[Qu]は、抽出物1gあたりの値として計算される。要素[ef]は、コスト、エコロジー及び該抽出物の品質(例えば溶解度)として、経験的要素(empirical factor)を推定する。実験室での実験の結果、取得される良好性の要素は、図4のグラフとして表現される。
【0117】
上記関数による図4のグラフで見られる2つのピークは、本発明の基準を満たし、満足させるもので、そして公知の抽出方法を上回る、本プロセスのメリットを表す。他の適切かつ広く使用される溶媒を用いた抽出は、最適な組成の生産物を取得するのに好ましくない。
【0118】
エタノール/水が25/75の溶媒混合物のピークは特に興味深く、乾燥抽出物が優秀な水溶性を有し、そのような抽出物は任意の経口投与に適し、例えば、乳化剤の添加(通常の脂溶性ビタミンにおけるように)を要さずに飲料水に混入して投与することが出来る。エタノール/水が65/35の溶媒を使用して取得した抽出物の水溶性は低いので、例えば乳化剤を用いた場合は例えば不溶性製剤等に、乳化剤を必要とせずに、錠剤、カプセル等の他の形態で使用され得る。
【0119】
本実験の結果、抽出の効率のyfが3以上で、満足させるもので、既知の抽出方法を上回り、そして本発明の基準を満たす。他の適切かつ広く使用されている溶媒を用いた抽出は、最適な組成の生産物を取得するのに好ましくない。
【0120】
実験室プロセスELで取得された抽出物の精製から取得されたデータを以下に示す。
【表2】

【0121】
表1B−産業スケールでの抽出
ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の乾燥葉(含水量5〜15%)100kgを、安定化剤として0.1%アスコルビン酸を含む、25〜75%のエタノール−水(w/w)混合物15〜30’000リットル(好ましくは25’000リットル)を用いて抽出した。浸透は、4個の繰り返し充填されるベセル中、55℃で、1サイクル24時間で、最新式のプラント中、流速1.000リットル/時間で実行された。取得される液体のpHはコントロールされ、最終的には、酢酸の添加によりpH5.5〜6.5に調整される。取得される抽出物が回収され、そして減圧下で、不揮発成分の分量が35%になるまで濃縮させられた。上記のように、乾燥処理が実行された。プロセスEPで取得された抽出物の精製から取得されたデータを以下に示す。
【表3】

【0122】
(ii)プロセスEM
浸透に代えて、浸漬プロセスも使用され得る。1000kgの乾燥葉を、混合装置及びダブルジャケット加熱システムを備えた適切なステンレススチールのリアクター中に充填した。9’000リットルのエタノール−水(40〜80%w/w、0,1%アスコルビン酸を含む)を添加した。該混合物を、攪拌しながら、40〜75℃(好ましくは55℃)で6〜48時間(好ましくは24時間)加熱し、続いてフィルタープレス中で液体/固体を分離する。単離された葉は、8’000リットルの溶媒混合物を使用して、同じ手順により、2回目の抽出に供された。該抽出物は濾過され、pHが酢酸で5.5〜6.5に調整され、そして2段階減圧蒸発ユニット中で、不揮発成分の分量が25〜50%になるまで濃縮させられた。上記のように、高温処理が実行された。プロセスRMで取得されたデータを、以下に示す。
【表4】

【0123】
(iii)プロセスEP+EM
(i)及び(ii)(プロセスEP+EM)の濃縮抽出物を両方とも上記で定義した高温処理に付し、それらを直接以降の工程に使用し、又はスプレー乾燥、バンド乾燥又は凍結乾燥させられた。
【0124】
実施例2−精製
実施例2A−実験室スケールでの精製(プロセスPL)
約300mgの生の抽出物を1mlの水に溶解し(約30%(w/v)の溶液)、これをベッド体積9mlの、試験される樹脂を充填したカラム(該カラムは仕様書に従いプレコンディションした)にアプライした。全ての溶液は、流速約0.3ベッド体積/分でアプライされる。該カラムは、3ベッド体積の水で洗浄される。溶出は、95/05(v/v)のエタノール/水を3ベッド体積使用して行われ、溶出物は、解析のために回収された。カラムは3ベッド体積のアセトンで再生させられる。3つのフラクション、即ち洗浄に用いた水(D105/1A)、エタノール溶出液(D105/1B)、及び再生用のアセトン(D105/1C)の全てが回収され、乾燥するまで蒸発させられ、そして解析に付された。カラムは、再利用させられる前に、2ベッド体積のエタノール、2ベッド体積の50%エタノール及び4ベッド体積の水でコンディショニングさせられた。
【0125】
実験室プロセス精製(PL)。この表は、以下の4つの試行において取得された全ての実験データを記載する:
・試行1:エタノール/水が25/75(v/v)の溶媒及びカラムAmberlite XAD 1180を使用して取得した抽出物
・試行2:エタノール/水が25/75(v/v)の溶媒及びカラムAmberlite XAD7HPを使用して取得した抽出物
・試行3:エタノール/水が65/35(v/v)の溶媒及びカラムAmberlite XAD 1180を使用して取得した抽出物
・試行4:エタノール/水が65/35(v/v)の溶媒及びカラムAmberlite XAD7HPを使用して取得した抽出物
全ての試行において、上記方法に従い、3つのフラクション:洗浄用の水(A)、溶出物(B)及び再生用の液体(C)が回収された。
【0126】
プロセスPLにおいて取得されたデータを、以下に示す。
【表5】

【0127】
考察:
文献に記載されていたように、Amberlite XAD−1180及びAmberlite XAD−7HPによる精製は、シリカゲル及びSephadex材料によるクロマトグラフィーより優れている(データ無し)。
【0128】
Amberlite XAD−1180を用いたソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の生抽出物のクロマトグラフィーで、溶解度が高く、薄い色の生産物が得られる。しかしながら、Amberlite XAD−7PHのクロマトグラフィーで回収される生産物は、高質量及び高VDMであるが、ケルセチンの収量は僅かに低い。純度は、いずれの樹脂も同程度であった。
【0129】
エタノール/水が25/75よりも65/35の比率の混合物で抽出を行った方がVDM/ケルセチンの商は大きくなったが、回収量は減少した。
【0130】
アプライされた条件下で取得した抽出物は、1 ,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びケルセチングリコシドのみ含む(HPLCにより証明された)(図6、レーン4)。
【0131】
エタノール/水が96/04(v/v)の比率の混合物を用いた抽出条件で取得されるVDEの収量は最適となる。
【0132】
実施例2B−産業スケールでの精製
(i)産業精製プロセス(実施例PF)
生抽出物(プロセスEPにより取得される(実施例1B(i)))0.4kgを、容積4LのAmberlite XAD−7HPカラムにアプライした。精製生産物64gには、ビタミンD代謝物(VDM、1,25−ジヒドロキシビタミンDと解析的に決定された)が229ppm、そしてフラボノール(酸加水分解後ケルセチンと決定された)が17.7%含まれていた。該精製された生産物は、加水分解後フラボノール成分としてケルセチンのみ含む。
【0133】
プロセスPFにおいて取得されたデータを、以下に示す。
【表6】

【0134】
(ii)産業精製プロセス(実施例PS)
30%の生抽出溶液(プロセスEMにより取得される(実施例1B(ii)))9.1リットルを、容積35LのAmberlite XAD−1180カラムにアプライした。精製生産物575gには、ビタミンD代謝物(VDM、1,25−ジヒドロキシビタミンDと解析的に決定された)が322ppm、そしてフラボノール(酸加水分解後ケルセチンと決定された)が15.9%含まれていた。該精製された生産物は、加水分解後フラボノール成分としてケルセチンのみ含む。
【0135】
プロセスPSにおいて取得されたデータを、以下に示す。
【表7】

【0136】
上記精製工程(i)又は(ii)のいずれかを用いて取得した本発明の濃縮植物抽出物は、標準化された分量の、ゴリコシド結合した形態の、活性ビタミンD代謝物の1,25−ジヒドロキシビタミンD、並びに最適かつ均一な分量の骨活性フラボノールの、同じくグリコシド結合した形態のケルセチンを含む組成物である。
【0137】
実施例3−濃縮植物抽出物の性状の特徴付け
(i)濃縮植物抽出物の一般的な特徴付け:
取得された調製物を解析し、有効成分、不活性の成分、及び毒性成分に関して特徴付けられ、ここで該生産物は毒性成分の分量が最小となり、そして製造工程における褐色化/変色が最小となるように最適化される。特に、前記濃縮植物抽出物、即ち上記調製(実施例1及び2)により取得された生産物は、以下の特性について特徴付けられた:
【表8】

【0138】
(ii)ビタミンD有効成分による特徴付け
組成物、即ち上記で調製された本発明の濃縮植物抽出物は、更に、分子量分布が596.8(416.6+180.2)〜4500ダルトンの、有効成分1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシドの存在により特徴付けられる(前記精製抽出物の解析用Sephadex G25カラムを用いたクロマトグラフィー分離の結果を、図2に示す。フラクションの一部を加水分解し、1,25−ジヒドロキシビタミンDを測定した。1400、4300及び6800ダルトンの水溶性ポリスチレンを、分子量マーカーとして使用した。前記精製抽出物の解析用Superdex−30カラムを用いたクロマトグラフィー分離の結果を、図3に示す。前記フラクションの一部を加水分解し、1,25−ジヒドロキシビタミンDを測定した。1355ダルトンのコバラミンを分子量マーカーに使用した)。更に、LC−MS−、UV−、H−NMR及び13C−NMRスペクトルにより明らかにされるように、前記組成物は、1,25−ジヒドロキシビタミンD−1β−グルコピラノシドの存在により特徴付けられる(図5も参照されたい)。
【化4】

【0139】
本発明の濃縮植物抽出物の更なる特徴は、遊離1,25−ジヒドロキシビタミンD及び25−ジヒドロキシビタミンDの不在である。
【0140】
主成分である1,25−ジヒドロキシビタミンD−1β−グルコピラノシドの解析データを、以下に示す。
【0141】
【表9】

【0142】
故に、1,25−ジヒドロキシビタミンD−1β−グルコピラノシドは、明らかに同定された。
【0143】
(iii)植物フラボノールによる特徴付け
前記組成物、即ち上記で調製された本発明の濃縮植物抽出物は、更に、唯一の生物活性フラボノイドとしてグリコシド形態のフラボノールケルセチンが存在することにより特徴付けられる。ケルセチングリコシドの組成は表2に記載されており、図6の高効率薄層クロマトグラフィー後のフィンガープリントとして特徴付けられる。高効率薄層クロマトグラフィーによる特徴付けは、前記で取得された調製物、並びにスタンダード、イチョウ抽出物及びサンザシ抽出物を使用して実施された(実施例3(iii)参照)。条件は、以下に示される:
プレート:UVインジケーター付きシリカゲルG 10x10cm Merck(Camag AG, Muttenz Switzerland)
溶媒:酢酸エチル/蟻酸/酢酸/水(100+11+11+26)。プレコンディション45分、ランタイム45分。
検出:Naturstoff−Reagent(Camag AG, Muttenz Switzerland)
アプライ
レーン1:ケルセチン(rf0.88;0.56μg);ハイペロシド(rf0.55;1.25μg);クロロゲン酸(rf0.42;1.2μg);ルチン(rf0.37;0.73μg)(レーンにFluka AG, Buchs Switzerlandの参照スタンダードが含まれる);
レーン2:ケンフェロール(rf0.90;0.25μg);イソケルシトリン(rf0.57;1.25μg);ハイペロシド(rf0.54;1.25μg)(レーンにFluka AG, Buchs Switzerlandの参照スタンダードが含まれる);
レーン3:コーヒー酸(rf0.82;0.1μg);イソケルシトリン(rf0.57;1.25μg)(レーンにFluka AG, Buchs Switzerlandの参照スタンダードが含まれる);
レーン4:精製抽出物(Batch 1;41μg)、
本発明の濃縮植物抽出物41μgがアプライされている。ケルセチン、ケルセチングリコシド、並びにコーヒー酸及びクロロゲン酸等の偏在二次植物抽出物が分離され得る(図6参照);
レーン5:精製抽出物(Batch 2;41μg)
同様に、本発明の濃縮植物抽出物41μgがアプライされている。ケルセチン、ケルセチングリコシド、並びにコーヒー酸及びクロロゲン酸等の偏在二次植物抽出物が分離され得る(図6参照);
レーン4及び5は、僅かなバッチ間の相異を示す;
レーン6:ギンコ・ビロバ(ginkgo biloba)抽出物(市販品;10μl)(市販ギンコ・ビロバ(ginkgo biloba)抽出物(Ceres AG, Switzerland))
レーン7:サンザシ抽出物(市販品;201μg)(市販サンザシ抽出物(Zeller AG, Romanshorn, Switzerland)。両レーン6及び7は、明確に異なる組成物である。
レーン8:レーン1と同じスタンダード(Fluka AG, Buchs Switzerland);
レーン9:従来技術で取得した比較用精製抽出物(Sephadex G−10によるクロマトグラフィー)(Sephadex G−10で精製した抽出物の比較用サンプル。ビタミンD活性の増大率が高度である(2000μg/g)一方、フラボノールが殆ど存在しない)。
【0144】
高効率薄層クロマトグラフィーによる特徴付けの解析により、以下の結果が導かれた(表2参照):
【表10】

【0145】
図5のレーン9において見られるように、Sephadex樹脂を用いたクロマトグラフィーによる精製で取得される生産物は、1,25−ジヒドロキシビタミンD分量が高いが、フラボノールを殆ど含まない点に注目されたい。
【0146】
実施例3−本発明の濃縮植物抽出物の生物活性の試験
(i)日本うずらにおけるバイオアッセイによるビタミンD活性の評価(実験1)
Rambeckら(Rambeck et al, Ann. Nutr. Metab. 30, 9−14, (1986)参照)によると、ウズラ卵殻アッセイが、ビタミンD活性を評価するための単純なバイオアッセイとして使用されることは公知である。このアッセイにおいて、産卵期の日本うずら(コツルニクス・ジャポニカ(Coturnix japonica))の産卵効率が>80%の個体に、ビタミンDを欠くが他の栄養分は最適量含む餌を与えた。約8日後、最も敏感なマーカーの産卵効率は、10%を下回った。そして、試験動物はランダムに10羽の群に分けられ、同一の餌に試験される物質を添加して与えた。21日間、産卵効率を、他のビタミンD代謝マーカー、例えば結晶中のアルカリホスファターゼ及びカルシウム等と共にモニタリングした。
【0147】
実験1において、3つのうずらの群に、餌1kgあたり100、200及び400国際単位のビタミンDを与え、5つの群に精製植物抽出物2、8、32、128及び514mg/kgを与え、そして1つの群に合成1,25−ジヒドロキシビタミンD(1μg/餌1kg)を与え、他の1つの群に、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の粉砕した乾燥葉(1000mg/餌1kg)を与えた。
【0148】
【表11】

【0149】
卵殻の重量のプロビット解析による評価で、精製抽出物のビタミンD活性が約10,000 IUD/gを示した一方、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の葉におけるビタミンD活性は、約200 IUD/gであった(1国際単位(IU)のビタミンDは、0.025μgのコレカルシフェロール/エルゴカルシフェロールと生物学的に同等である)。故に、前記取得された組成物は、基礎となる生材料の50倍のビタミンD活性を有する。
【0150】
ビタミンD活性の決定に加えて、前記実験は、前記精製抽出物が、広い投与範囲にわたり良好な寛容性を有することを明らかにした。合成1,25−ジヒドロキシビタミンDは、ニワトリにおいて治療濃度域が2〜5(同上Rambeck et al.参照)であった一方、前記精製抽出物は、産卵効率を低下させることなく、32mg/餌1kg(効果が出始める)〜512mg/餌1kgの投与範囲にわたり、良好な耐容性を示した(表3のESW)。
【0151】
更に、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の精製抽出物を用いた処置の開始後の産卵の発現(onset)は、ビタミンDを用いた処理よりも早く、その時間は、産卵効率が50%を越えた時間により見積もられ得る。前記精製抽出物を用いた処置では24〜48時間で、ビタミンDを用いた処置では48〜72時間であった。
【0152】
更なる発見は、前記精製抽出物を与えた群における卵の重量が、400 IUD/餌1kgを与えたスタンダードの群と比較して、顕著に増大していたことである。
【表12】

【0153】
(ii)ブロイラーを用いた肢の奇形の実験(実験2)
実験2において、1日齢の雄のブロイラーニワトリに、1,000 IUD/餌1kgのビタミンDをを含む市販の餌を不断給餌した。コントロール群では添加物を入れない餌が与えられ、他の2つの群では、それぞれ32mg/kg及び128mg/kgの前記精製抽出物(1,25−ジヒドロキシビタミンDではそれぞれ4.3及び76.8μgに相当する)が加えられた餌が与えられた(抽出物のインビトロ加水分解後に決定された)。表5は、市販のブロイラーニワトリの、本発明のソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の精製抽出物による処置後の、脛骨の軟骨形成不全(TD)及び他の肢の奇形の減少を示す。
【表13】

【0154】
(iii)出産期の血中カルシウムの減少の防止における活性(実験3)
授乳熱は、乳を生産する動物の出産期の代謝疾患であり、乳の生産の際に母親の血中を循環するカルシウムが消耗する。内性的なカルシウムのホメオスタシスは、血中カルシウムの顕著な減少を防ぐために、食物又は骨から十分なカルシウムを動員することが出来ない。場合によっては、カルシウム濃度の低下は、筋肉の麻痺を誘導する。従来の処置は、出産期に多量のカルシウムを投与することからなる(The Merck Veterinary Manual, Parturient Paresis in Cowsを参照されたい)。
【0155】
本実験における妊娠乳牛は、2つの処置レジームにランダムに分けられた。1つの群には、投与ボーラスあたり42gのカルシウムを含む市販の生産物を与えた。供給者の推奨に従い、出産期に4ボーラスを投与した。本発明の生産物は、分ぺん前72時間〜24時間の間に、5gが単発で投与された。倫理的理由により、無処置群は設けなかった;出産期における血漿カルシウムの低下はよく記載されている(Figure 7, Goff JP, Horst RL. J Dairy Sci. 1997 Jan;80(1):176−86. Effects of the addition of potassium or sodium, but not calcium, to prepartum ratios on milk fever in dairy cows.を参照されたい)。
【0156】
結果として、本発明の組成物の単発投与は、図7に示されているように、出産期にカルシウムを43g適用したのと同程度に、血漿カルシウムの低下を防止することが出来た。
【0157】
(iv)ヒト骨粗鬆症の動物モデルにおける活性(実験4)
天然のマトリックス中に、両有効成分、即ち1 ,25−ジヒドロキシビタミンD(1,25−ジヒドロキシビタミンD−1β−グルコピラノシド)及びフラボノイドケルセチンを含む、本発明の濃縮植物抽出物の活性は、ヒト閉経期骨粗鬆症のモデル、骨粗鬆症の前臨床モデルである、卵巣摘出誘導ラットにおいて試験された。
【0158】
卵巣を摘出した雌のラット及び偽手術をした同腹子で体重120gの個体をCharles River Labs, L’Arbresle, Franceから調達し、それらを複数の群に分けた。順化の後、それらにコントロール飼料を与え(偽及びovx群)、又は試験生産物(溶液及びアレンドロネート)を含む同一の飼料を与えた。アレンドロネートは、実験を確認するための陽性コントロールとして試験された。アレンドロネートは、ヒトの抗骨粗鬆症治療において導入される。実験の過程で、血液及び尿が回収され、そして骨のターンオーバー及び形成のマーカーが評価された。6ヶ月後、実験が終了し、そして骨灰及び脛骨のX線トモグラフィーを測定した。
【0159】
本発明の組成物のケルセチン成分の活性を決定するためのインビトロ実験は、陽性コントロールとして、遊離ケルセチン及び遊離1,25−ジヒドロキシビタミンDを含む骨細胞培養液中で行われた
【0160】
全体の結果として、本発明の濃縮植物組成物において、予想外の強力な効果が見出され、それは、1,25−ジヒドロキシビタミンD及びケルセチンの協調的な作用により表され得る。故に、本発明の組成物を用いた処理は、卵巣摘出により誘導される骨の減少を防止するだけでなく、該組成物は、偽手術コントロールの脛骨の骨量を増大させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高濃度の1,25−ジヒドロキシビタミンDグリコシド及びケルセチングリコシドを含むソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物(enriched plant extract)を調製及び精製する方法であり、以下:
a)アルコールベース溶媒を使用してソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)種の植物体又はその部分を抽出し;そして
b)工程a)で取得した植物抽出物を、以下の:
b1)非イオン性ポリマー樹脂を含むカラムに工程a)で取得した植物抽出物をアプライし;
b2)必要に応じて水及び/又はアルコールベース溶媒で前記カラムを洗浄し;
b3)カラムから前記濃縮植物抽出物を溶出し;そして
b4)必要に応じて前記濃縮植物抽出物を濃縮及び/又は乾燥する
工程を使用して精製する
工程を含む、前記方法。
【請求項2】
工程a)が、ソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)種の植物体又はその部分を、破砕(grinding)、浸透(percolating)及び/又は浸漬(macerating)する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルコールベース溶媒が、水及びアルコールの混合物、又はアルコールからなる群から選択され、該アルコールが、好ましくはメタノール、エタノール又はイソプロパノールから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルコールベース溶媒が、エタノール/水の混合物であり、エタノールと水の比率(%)が、エタノール/水(v/v)で約100/0〜約0/100であり、エタノールと水の比率(%)が、エタノール/水(v/v)で約100/0、エタノール/水(v/v)で約95/5、エタノール/水(v/v)で約90/10、エタノール/水(v/v)で約85/15、エタノール/水(v/v)で約80/20、エタノール/水(v/v)で約75/25、エタノール/水(v/v)で約70/30、エタノール/水(v/v)で約65/35、エタノール/水(v/v)で約60/40、エタノール/水(v/v)で約55/45、エタノール/水(v/v)で約50/50、エタノール/水(v/v)で約45/55、エタノール/水(v/v)で約40/60、エタノール/水(v/v)で約35/65、エタノール/水(v/v)で約30/70、エタノール/水(v/v)で約25/75、エタノール/水(v/v)で約20/80、エタノール/水(v/v)で約15/85、エタノール/水(v/v)で約10/90、エタノール/水(v/v)で約5/95、エタノール/水(v/v)で約0/100であるものを含み、又は上記の特定の2つの比率により形成される領域から、又は上記比率のメタノール/水、若しくはイソプロパノールの混合物から選択される場合もある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記アルコールベース溶媒が、エタノール/水の混合物であり、浸透型の抽出に使用される場合、エタノール/水の比率(%)が、エタノール/水(v/v)で、約80/20〜約50/50のものから、及び/又はエタノール/水の比率(%)が、エタノール/水(v/v)で、約35/65〜約20/80のものから、好ましくはエタノール/水の比率(%)が、エタノール/水(v/v)で、約75/25又は約25/75のものから選択され、あるいは、浸漬型の抽出に使用される場合、好ましくはエタノール/水の比率(%)が、エタノール/水(v/v)で、約65/35のものから選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
浸透型の抽出に使用される場合、前記溶媒/薬物の比率(%)が、約4〜40(v/w)、より好ましくは約4〜30(v/w)、又は約4〜25(v/w)、なおもより好ましくは約7〜12又は8〜10(v/w)、最も好ましくは約9(v/w)であり、あるいは浸漬型の抽出に使用される場合、約3〜7又は4〜6(v/w)、最も好ましくは約5(v/w)である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記アルコールベース溶媒が、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、トコフェロール及びガレート型(gallert type)酸化防止剤、例えばE310、E211若しくはE312等から、並びに/又は有機酸、例えば酢酸、硫酸、クエン酸等から選択される添加物を追加的に含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
約0.01%(w/v)〜約2%(w/v)、好ましくは約0.05%(w/v)〜約1%(w/v)、そして最も好ましくは約0.05%(w/v)〜約0.5%(w/v)の濃度のアスコルビン酸が存在し、約0.02〜約1%(w/v)、より好ましくは約0.05%(w/v)〜約0.25%(w/v)の濃度のトコフェロール若しくはガレート型酸化防止剤(E310、E211又はE312)が存在し、及び/又は約0.05%(w/v)〜約1%(w/v)、なおもより好ましくは約0.1%(w/v)〜約0.5%(w/v)の濃度の酸が存在する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程a)が、20又は30℃ 〜約 85℃の温度範囲内で、より好ましくは約30℃ 〜約 70℃の温度範囲内で、そして最も好ましくは約40℃ 〜約 60℃の温度範囲内で、特に約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、又は約60℃、より好ましくは約50℃、約55℃又は約60℃で、あるいは前記数値のいずれかにより形成される範囲内で行われる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程a)の溶媒が、約4.0〜約8.0の特定のpH値に、より好ましくは約5.5〜約6.5の特定のpH値に調整される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
工程a)の抽出が、1回以上、好ましくは1〜2回、1〜3回、1〜5回、又はそれ以上繰り返され得る、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程a)及び/又は工程b)で取得した抽出物が濾過され得る、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
工程a)及び/又は工程b)で取得した抽出物を、水分約85〜75%及び不揮発成分約15〜25%、水分約80〜70%及び不揮発成分約20〜30%、水分約75〜65%及び不揮発成分約25〜35%、水分約70〜60%及び不揮発成分約30〜40%、又は水分約65〜55%及び不揮発成分約35〜45%を含有するように濃縮又は乾燥させる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
工程a)及び/又は工程b)で取得した抽出物を、スプレー乾燥、バンド乾燥又は凍結乾燥させる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程a)で取得した抽出物を、加熱−/高温処置に付する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
産業スケールで実施されるとき、工程a)が浸透型抽出であり、以下の副工程群(抽出プロセスEP):
EP1)1つ以上(繰り返し充填される(cyclically filled))のベセル(vessel)に、ソラリウム・グラウコフィルム(Solarium glaucophyllum)種の植物体又はその部分を充填し;
EP2)アルコールベース溶媒を添加し、ここでアルコールベース溶媒は、好ましくは、約25/75、あるいは約75/25の比率(%)のエタノール/水(v/v)の混合物から選択され、溶媒/薬物の比率は、約7〜12(v/w)、好ましくは約9(v/w)であり;
EP3)任意でpHを5.5〜6.5に調整し;
EP4)800〜1200リットル/時間、より好ましくは1000リットル/時間の流速で、好ましくは6〜48時間、より好ましくは24時間、エタノールベース溶媒中で、前記ソラリウム・グラウコフィルム(Solarium glaucophyllum)種の植物体又は部分を抽出し;
EP5)抽出中の該混合物を、約40〜75℃、より好ましくは40〜60℃の温度で加熱し;
EP6)任意で、水を約75〜65%含み、不揮発成分を約25〜35%含む溶液となるまで、先ず有機溶媒を蒸発させ、続いて水分を蒸発させることにより、工程P4及びP5の植物抽出物を減圧下で濃縮し;そして
EP7)該(濃縮した)植物抽出物を、任意で、スプレー乾燥、バンド乾燥、又は凍結乾燥する
副工程群を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
産業スケールで実施されるとき、工程a)が浸漬型抽出であり、以下の副工程群(抽出プロセスEM):
EM1)1つ以上の、好ましくは混合装置及び加熱装置を取り付けたベセルに、ソラリウム・グラウコフィルム(Solarium glaucophyllum)種の植物体又はその部分を充填し;
EM2)上記アルコールベース溶媒を添加し、ここで該アルコールベース溶媒は、好ましくは、約65/35の比率(%)のエタノール/水(v/v)の混合物から選択され、溶媒/薬物の比率は、約4〜6(v/w)であり、そして、該アルコールベース溶媒は、請求項7及び8のいずれかに記載の添加物を追加的に含有し;
EM3)任意でpHを約5.5〜6.5、好ましくは約5.5に調整し;
EM4)約55℃の温度で約24時間、エタノールベース溶媒中で、前記ソラリウム・グラウコフィルム(Solarium glaucophyllum)種の植物体又は部分を抽出し;
EM4)前記ベセルから抽出物を取り出し、これを、好ましくは50μmメッシュ幅のフィルターにポンプにより通して濾過し;
EM5)任意で、工程M4及びM5の抽出で残った固体を、上記のエタノール/水混合物と同じ溶媒で1回又は2回洗浄し;
EM6)任意で、水分を約75〜65%含み、不揮発成分を約25〜35%含む溶液となるまで、先ず有機溶媒を蒸発させ、続いて水分を蒸発させることにより、減圧下で該植物抽出物を濃縮し;そして
EM7)任意で、該(濃縮した)植物抽出物を、スプレー乾燥、バンド乾燥、又は凍結乾燥する
副工程群を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記非イオン性ポリマー樹脂が、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、アクリル性エステルポリマー、及びポリフェノール樹脂等の(多孔質又は非多孔質)非イオン性ポリマー樹脂から選択される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記非イオン性ポリマー樹脂が、Amberlite XAD−1、XAD−2、XAD−4、XAD−5、Diaion HP10、HP20、HP30、HP40、HP50、Amberlite XAD−7、XAD−7HP、XAD−8又はXAD−1180、及びDuolite S−30から、好ましくは、Amberlite XAD−1、XAD−2、XAD−4、XAD−5、XAD−7、XAD−7HP、XAD−8又はXAD−1180等のAmberlite XADシリーズから、そしてより好ましくは、Amberlite XAD−7、XAD−7HP、XAD−8又はXAD−1180樹脂から選択される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
精製工程bの副工程b2)において、抽出物を、水、及び/又は、水/エタノールが約0/100〜約20/80(v/v)の比率(%)の混合物であり、水/エタノールが例えば約0/100(v/v)、5/95(v/v)、10/90(v/v)、15/85(v/v)、若しくは20/80(v/v)等である前記混合物で洗浄する、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
精製工程b)の副工程b)が、1回、好ましくは1〜2回、あるいは1〜3回、1〜4回、1〜5回以上実施される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
工程b)の副工程b2)の洗浄が、水で1回以上、続いて請求項20に記載のアルコールベース溶媒で1回以上実施される、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
精製工程bの副工程b2)において、抽出物が、アルコール又はアルコール/水の混合物で溶出され、ここで該アルコールが、エタノール、メタノール、イソプロパノールから選択される、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記アルコール/水の混合物が、エタノール/水が約100/0〜約70/30(v/v)の比率(%)の混合物であり、例えばエタノール/水が約100/0(v/v)、約95/5(v/v)、約90/10(v/v)、約85/15(v/v)、約80/20(v/v)、約75/25(v/v)、及び約70/30(v/v)等であり、好ましくは、エタノール/水が約95/5〜約100/0(v/v)であり、より好ましくは、エタノール/水が、約96/4、97/3、98/2、99/1若しくは100/0(v/v)であり、そして最も好ましくは、エタノール/水が96/4(v/v)である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
産業スケールで実施されるとき、工程b)が、以下の特定の工程群(精製プロセスPF):
PF1)好ましくはエタノール/水(v/v)の比率が約25/75のエタノール/水の混合物を用いた浸透プロセス(工程EP1〜EP7を含むプロセス)を使用して、工程a)で取得した植物抽出物を、好ましくはAmberlite XAD−7 HP若しくはXAD−1180又は他の供給元の同等の製品から選択される、非イオン性ポリマー樹脂を含むカラムにアプライし、カラム透過液をそのカラムに再アプライし、好ましくはこれを3回繰り返し;
PF2)該カラムを、1回以上、好ましくは透過液が無色になるまで水で洗浄し、そして該カラムを、1回以上、好ましくはベッド体積の2倍の、エタノール/水の比率(%)が約10/90〜約0/100(v/v)のエタノール/水の混合物で洗浄し;そして
PF3)エタノール/水の比率(%)が約95/5〜約100/0(v/v)の、好ましくは約96/4、97/3、98/2、99/1又は100/0(v/v)の、最も好ましくは96/4(v/v)の、エタノール/水の混合物を使用して、該カラムから前記濃縮植物抽出物を溶出する
特定の工程群を含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
産業スケールで実施されるとき、工程b)が、以下の特定の工程群(精製プロセスPS):
PS1)好ましくはエタノール/水(v/v)の比率が約65/35のエタノール/水の混合物を用いた浸漬プロセス(工程EP1〜EP7を含むプロセス)を使用して、工程a)で取得した植物抽出物を、好ましくはAmberlite XAD−7 HP若しくはXAD−1180から選択される、非イオン性ポリマー樹脂を含むカラムにアプライし、カラム透過液をそのカラムに再アプライし、好ましくはこれを3回繰り返し;
PS2)該カラムを、1回以上、好ましくは透過液が無色になるまで水で洗浄し、そして該カラムを、1回以上、好ましくはベッド体積の2倍の、エタノール/水の比率(%)が約10/90〜約0/100(v/v)のエタノール/水の混合物で洗浄し;そして
PS3)エタノール/水の比率(%)が約95/5〜約100/0(v/v)の、好ましくは約96/4、97/3、98/2、99/1又は100/0(v/v)の、最も好ましくは96/4(v/v)の、エタノール/水の混合物を使用して、該カラムから前記濃縮植物抽出物を溶出する
特定の工程群を含む、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか1項に記載のソラリウム・グラウコフィルム(Solarium glaucophyllum)の濃縮植物抽出物を調製及び精製する方法により取得された、又は取得可能な、ソラリウム・グラウコフィルム(Solarium glaucophyllum)の濃縮植物抽出物。
【請求項28】
請求項27に記載の濃縮植物抽出物であり、成分として:
a)活性ビタミンDの濃度が300μg/g以上、より好ましくは500μg/g超、なおもより好ましくは2000μg/g超であり、好ましくは全体で1,25−ジヒドロキシビタミンDと解析的に決定され、好ましくは1,25−ジヒドロキシビタミンDのグリコシド若しくは複数の異なるグリコシドの混合物として存在し、又はより好ましくは以下の式(I):
【化1】

で表される1,25−ジヒドロキシビタミンD−1β−グルコピラノシドである、ビタミンD代謝物:
b)100mg/g以上、より好ましくは150mg/g以上、そして最も好ましくは200mg/g以上の、酸加水分解後ケルセチン(quercetin)と決定される、活性ケルセチングリコシド
を含む、前記濃縮植物抽出物。
【請求項29】
更に:
c)無機物質:最高で6%;
d)炭水化物:50〜75%;
e)タンパク質:2%未満;
f)脂肪:2%未満;
を含む、請求項27又は28に記載の濃縮植物抽出物。
【請求項30】
アルカロイドの含有量が検出限界の10μg/gを下回ることを追加的な特徴とする、請求項27〜29のいずれか1項に記載の濃縮植物抽出物。
【請求項31】
合成植物抽出物であり、以下の成分:
a)活性ビタミンDの濃度が300μg/g以上、より好ましくは500μg/g超、なおもより好ましくは2000μg/g超であり、好ましくは全体で1,25−ジヒドロキシビタミンDと解析的に決定され、好ましくは1,25−ジヒドロキシビタミンDのグリコシド若しくは複数の異なるグリコシドの混合物として存在し、又はより好ましくは以下の式(I):
【化2】

で表される1,25−ジヒドロキシビタミンD−1β−グルコピラノシドである、ビタミンD代謝物:
b)100mg/g以上、より好ましくは150mg/g以上、そしてなおもより好ましくは200mg/g以上の濃度の1つ以上のフラボノール
を含む、前記合成植物抽出物。
【請求項32】
前記1つ以上のフラボノールが、ミリセチン(myricetin)、ケルセチン、ケンフェロール(kaempferol)、フィセチン(fisetin)、イソハムネチン(isohamnetin)、パキポドール(pachypodol)、ラムナジン(rhamnazin)、パツレチン(patuletin)、ユーパリチン(eupalitin)、ユーパトリチン(eupatolitin)、5−ヒドロキシフラボン、6−ヒドロキシフラボン、7−ヒドロキシフラボン、5−ヒドロキシ−7−メトキシフラボン、7−ヒドロキシ−5−メトキシフラボン、又はそれらのグリコシドから選択される、請求項31に記載の合成植物組成物。
【請求項33】
前記1つ以上のフラボノールが、ケルセチン又はそのグリコシドから選択される、請求項31又は32に記載の合成植物抽出組成物。
【請求項34】
医薬組成物であり:
a)請求項1〜30のいずれか1項に記載のソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物、又は請求項31〜33のいずれか1項に記載の(合成)植物組成物;及び
b)任意で、医薬として許容される担体及び/又はビヒクル
を含む、前記医薬組成物。
【請求項35】
ヒト又は動物の骨減少症又は骨粗鬆症を含む骨量の減少に関連する疾患を予防又は処置するための、請求項1〜30のいずれか1項に記載のソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物、又は請求項31〜33のいずれか1項に記載の(合成)植物抽出組成物の使用。
【請求項36】
好ましくは家禽の脛骨の軟骨形成不全(Tibial Dyschondroplasia)を予防又は処置する医薬組成物を調製するための、請求項1〜30のいずれか1項に記載のソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物、又は請求項31〜33のいずれか1項に記載の(合成)植物抽出組成物の使用。
【請求項37】
乳を生産する動物の分ぺん不全麻痺(parturient paresis)又は授乳熱(milk fever)を予防又は処置する医薬組成物を調製するための、請求項1〜30のいずれか1項に記載のソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物、又は請求項31〜33のいずれか1項に記載の(合成)植物抽出組成物の使用。
【請求項38】
ヒト又は動物への栄養補助に使用される医薬組成物を調製するための、請求項1〜30のいずれか1項に記載のソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物、又は請求項31〜33のいずれか1項に記載の(合成)植物抽出組成物の使用。
【請求項39】
請求項1〜30のいずれか1項に記載のソラヌム・グラウコフィルム(Solanum glaucophyllum)の濃縮植物抽出物、請求項31〜33のいずれか1項に記載の(合成)植物抽出組成物、及び/又は請求項34に記載の医薬組成物、並びに技術指示若しくは取り扱い説明書を含む構成のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−518201(P2011−518201A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505365(P2011−505365)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003191
【国際公開番号】WO2009/129818
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(510279066)ヘルボニス アクチェンゲゼルシャフト (2)
【Fターム(参考)】