説明

高濃度キトサン−核酸ポリプレックス組成物

本発明は、高濃縮キトサン−核酸ポリプレックス組成物及び分散系を提供し、そして当該組成物及び分散系を製造するための方法を提供する。キトサン−核酸ポリプレックスを混合する方法は、キトサン溶液及び核酸溶液のインライン混合すること、並びに場合により凝集阻害剤と共に、前記キトサン−核酸ポリプレックスの分散系をさらに濃縮することを含む。キトサン−核酸ポリプレックスの直径を変えるための方法をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年9月28日に出願された米国特許出願第60/976,376号の利益を請求し、そして本明細書に参照により完全に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、均質なキトサン−核酸ポリプレックスに関する。本発明は、溶液中においてキトサン−核酸ポリプレックスを濃縮するための方法、及び均質なキトサン−核酸ポリプレックスの高濃縮調製物にさらに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
キトサンは、無毒性である、N−アセチル−D−グルコサミンとD−グルコサミンとの陽イオン性共重合体である。キトサンは、核酸と複合体を形成し得、そして細胞をトランスフェクトするためのDNA送達ビヒクルとして使用されている。
【0004】
キトサン−核酸複合体の濃縮溶液の製造において困難がある。混合溶液中におけるキトサン及び核酸の濃度の増加は、沈澱、及び製造されるキトサン−核酸複合体サイズの所望ではない変動をもたらす。さらに、調製された溶液中におけるキトサン−核酸複合体の濃度の増加は、複合体の凝集、及び溶液からの沈澱をもたらす。
【0005】
DNA及び縮合剤(例えば、ポリカチオン性炭水化物)を含む均質な粒子を製造するための、同時フロー混合(concurrent flow mixing)の使用は、米国特許第6,537,813号明細書に記載されている。かかる粒子を製造するために、DNA溶液及び縮合剤溶液は、混合及び粒子の形成を提供する、スタティック(static)又はダイナミック(dynamic)ミキサーを含むミキサーを通じて液流内へと、同時に及び別々に導入され得る。DNA及び縮合剤の適切な比率を、導入工程及び混合工程を通じて維持することが重要であると報告されており、そして電荷の中性からの著しい逸脱が、当該工程中における不完全な縮合又は粒子凝集のいずれかをもたらし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明者は、研究及び医薬の分野において多くの適用が見出されている、高濃縮キトサン−核酸ポリプレックス組成物を製造する分野における障害を克服した。好ましい実施形態において、当該組成物は、高濃度にもかかわらず凝集又は沈澱しない一定サイズのポリプレックスを含み、そして種々の条件下における安定性を示す。さらに、本発明の好ましい組成物はまた、形成されると等張的(isotonic)である。ポリプレックスの安定性を維持する一方で等張性を達することは、医薬における及び治療における適用のために非常に所望である。さらに、本発明者は、スタティック又はダイナミックミキサーを必要せず、そして当該ミキサーを含まないことによって改善されるインライン混合工程によって、キトサン−核酸ポリプレックスを製造する方法を発見した。さらにこれらの方法は、中性から著しく外れている電荷(すなわち、ゼータ電位)を有する安定なポリプレックスを製造するために使用され得る。驚くべきことに、本発明者はまた、混合溶液中におけるDNAとキトサンとの混合比を変えることなく、又はDNAとキトサンの濃度を実質的に変化させることなく、粒子のサイズ及び均質性が、インライン混合用の供給原料の体積を変化させることによって調節され得ることを見出した。
【0007】
したがって一つの態様において、本発明は、水和したキトサン−核酸ポリプレックスを含む組成物を提供する。当該組成物は、キトサン−核酸ポリプレックスが高濃縮されており、そしてそれは約0.5mg/ml超の核酸濃度を有し、ここで当該組成物は、ポリプレックス沈澱を実質的に含まない。
【0008】
好ましい実施形態において、当該組成物は、キトサン−核酸ポリプレックス粒子を含む分散系である。
【0009】
好ましい実施形態において、当該組成物は等張的である。他の実施形態において、当該組成物は高張的又は低張的である。
【0010】
好ましい実施形態において、当該組成物は、少なくとも約0.6mg/mlの、より好ましくは少なくとも約0.75mg/mlの、より好ましくは少なくとも約1.0mg/mlの、より好ましくは少なくとも約1.2mg/mlの、そして最も好ましくは少なくとも約1.5mg/mlの核酸濃度を有する。
【0011】
好ましい実施形態において、当該組成物は凝集阻害剤をさらに含む。好ましい実施形態において、当該凝集阻害剤は、糖、好ましくはショ糖である。
【0012】
好ましい実施形態において、当該組成物は、約80mM未満の、より好ましくは約60mM未満の、より好ましくは約40mM未満の、より好ましくは約20mM未満の対アニオン濃度を含む。好ましくは、対アニオンは酢酸イオンである。
【0013】
好ましい実施形態において、当該組成物のキトサン−核酸ポリプレックスは、約0.5未満の、より好ましくは約0.4未満の、より好ましくは約0.3未満の、より好ましくは約0.2未満の平均の多分散度(polydispersity index)(「PDI」)を有する。
【0014】
好ましい実施形態において、ポリプレックスは、少なくとも約2:1の、より好ましくは少なくとも約5:1の、より好ましくは少なくとも約10:1の、より好ましくは少なくとも約15:1の、より好ましくは少なくとも約20:1のN:P比を有する。
【0015】
好ましい実施形態において、ポリプレックスは、平均で、約3000個未満の、より好ましくは約2000個未満の、より好ましくは約1500個未満の、より好ましくは約1000個未満の、より好ましくは約500個未満の、より好ましくは約100個未満の、より好ましくは約50個未満の、グルコサミンのモノマー単位を有するキトサン分子を含む。
【0016】
好ましい実施形態において、ポリプレックスは、約500kDa未満の、より好ましくは約250kDa未満の、より好ましくは約150kDa未満の、より好ましくは約100kDa未満の、より好ましくは約50kDa未満の、より好ましくは約25kDa未満の平均分子量を有するキトサンを含む。
【0017】
好ましい実施形態において、当該組成物のポリプレックスは、約750nm未満の、より好ましくは約500nm未満の、より好ましくは約250nm未満の、より好ましくは約200nm未満の、そして最も好ましくは約150nm未満の平均直径を有する。
【0018】
好ましい実施形態において、当該組成物は、本質的にキトサン−核酸ポリプレックス及び凝集阻害剤からなる。
【0019】
別の実施形態において、当該組成物は、本質的にキトサン−核酸ポリプレックスからなる。
【0020】
一つの態様において、本発明は、キトサン−核酸ポリプレックスの分散系を濃縮するための方法を提供する。本方法は、キトサン−核酸ポリプレックスの非濃縮分散系を提供し、そして濃縮手段、好ましくはタンジェンシャルフロー濾過を使用して、当該キトサン−核酸ポリプレックスの非濃縮分散系を濃縮し、その結果キトサン−核酸ポリプレックスの濃縮分散系を製造することを含む。好ましくは、当該非濃縮分散系は凝集阻害剤を含む。この濃縮工程は、小分子(例えば、凝集阻害剤)の濃度を実質的に維持しつつ、実質的にキトサン−核酸複合体の濃度を増大させ、その結果キトサン−核酸複合体に濃縮される組成物をもたらす。
【0021】
好ましい実施形態において、当該濃縮手段は、少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも6倍、より好ましくは少なくとも7倍、より好ましくは少なくとも8倍、より好ましくは少なくとも9倍、そして最も好ましくは少なくとも10倍、当該分散系を濃縮する。
【0022】
好ましい実施形態において、当該凝集阻害剤は、糖類、好ましくはショ糖である。
【0023】
好ましい実施形態において、当該キトサン−核酸ポリプレックスの非濃縮分散系は、対アニオン、好ましくは酢酸イオンを含み、そして当該濃縮手段は、当該対アニオンを選択的に濃縮しない。当該対アニオンの濃縮は、当該濃縮分散系中において、核酸の濃縮ほど大きくはない。好ましくは、当該濃縮分散系は、当該非濃縮分散系の濃度よりも実質的に高くはない対アニオン濃度を有する。
【0024】
好ましい実施形態において、当該濃縮分散系中における核酸濃度は、少なくとも約0.5mg/ml、より好ましくは少なくとも約0.6mg/ml、より好ましくは少なくとも約0.75mg/ml、より好ましくは少なくとも約1.0mg/ml、より好ましくは少なくとも約1.2mg/ml、そして最も好ましくは少なくとも約1.5mg/mlである。
【0025】
好ましい実施形態において、インライン混合が、キトサン−核酸ポリプレックスの非濃縮分散系を調製するために使用される。
【0026】
好ましい実施形態において、当該非濃縮分散系は、少なくとも10mL、より好ましくは少なくとも約50mL、より好ましくは少なくとも約500mL、より好ましくは少なくとも約1L、より好ましくは少なくとも約2L、より好ましくは少なくとも約3L、より好ましくは少なくとも約4L、より好ましくは少なくとも約5L、より好ましくは少なくとも約10Lの体積を有する。
【0027】
好ましい実施形態において、当該非濃縮分散系のキトサン−核酸ポリプレックスは、約0.5未満の、より好ましくは約0.4未満の、より好ましくは約0.3未満の、より好ましくは約0.2未満の平均PDIを有する。
【0028】
より好ましい実施形態において、当該濃縮分散系のキトサン−核酸ポリプレックスは、約0.5未満の、より好ましくは約0.4未満の、より好ましくは約0.3未満の、より好ましくは約0.2未満の平均PDIを有する。
【0029】
好ましい実施形態において、当該ポリプレックスは、少なくとも約2:1の、より好ましくは少なくとも約5:1の、より好ましくは少なくとも約10:1の、より好ましくは少なくとも約15:1の、より好ましくは少なくとも約20:1のN:P比を有する。
【0030】
好ましい実施形態において、当該ポリプレックスは、平均で約3000個未満の、より好ましくは約2000個未満の、より好ましくは約1500個未満の、より好ましくは約1000個未満の、より好ましくは約500個未満の、より好ましくは約100個未満の、より好ましくは約50個未満の、グルコサミンのモノマー単位を含む。
【0031】
好ましい実施形態において、当該ポリプレックスは、約500kDa未満の、より好ましくは約250kDa未満の、より好ましくは約150kDa未満の、より好ましくは約100kDa未満の、より好ましくは約50kDa未満の、より好ましくは約25kDa未満の平均分子量を有する。
【0032】
好ましい実施形態において、当該組成物のポリプレックスは、約750nm未満の、より好ましくは約500nm未満の、より好ましくは約250nm未満の、より好ましくは約200nm未満の、そして最も好ましくは約150nm未満の平均直径を有する。
【0033】
一つの態様において、本発明は、本明細書において開示された方法によって製造されるキトサン−核酸ポリプレックスの濃縮分散系を提供する。
【0034】
一つの態様において、本発明は、キトサン溶液と核酸溶液とを混合することによって形成される、キトサン−核酸ポリプレックスの特性を調節するための方法を提供する。一つの実施形態において、本発明は、キトサン−核酸ポリプレックスの直径を調節するための方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、キトサン−核酸ポリプレックスのゼータ電位を調節するための方法を提供する。本方法は、混合溶液中における核酸とキトサンとの比率、又は核酸及びキトサンの濃度を変えることなく、当該ポリプレックスを製造するために使用されるキトサン又は核酸溶液の体積を変えることに関する。好ましい実施形態において、本発明は、キトサン及び核酸の供給原料溶液のインライン混合に関する。
【0035】
一つの態様において、本発明は、水和したキトサン−核酸ポリプレックスを含み、そして約0.5mg/ml超の核酸濃度を有する医薬組成物を提供し、ここで当該キトサン−核酸ポリプレックスは治療用核酸コンストラクトを含む。
【0036】
好ましい実施形態において、医薬組成物は、少なくとも約0.6mg/mlの、より好ましくは少なくとも約0.75mg/mlの、より好ましくは少なくとも約1.0mg/mlの、より好ましくは少なくとも約1.2mg/mlの、そして最も好ましくは少なくとも約1.5mg/mlの核酸濃度を有する。
【0037】
好ましい実施形態において、医薬組成物は凝集阻害剤を含む。好ましい実施形態において、当該凝集阻害剤は、糖類、好ましくはショ糖である。
【0038】
好ましい実施形態において、当該医薬組成物は、約80mM未満の、より好ましくは約60mM未満の、より好ましくは約40mM未満の、より好ましくは約20mM未満の対アニオン濃度を有する。好ましくは、当該対アニオンは酢酸イオンである。
【0039】
好ましい実施形態において、当該医薬組成物は等張的である。他の実施形態において、当該医薬組成物は、高張的又は低張的である。
【0040】
一つの態様において、本発明は、濃縮キトサン−核酸ポリプレックス分散系を調製するための方法であって、キトサン溶液と核酸溶液とをインライン混合し、非濃縮キトサン−核酸分散系を形成し、その後当該非濃縮キトサン−核酸分散系をTFFを使用して濃縮し、その結果濃縮キトサン−核酸ポリプレックス分散系を製造することを含む、前記方法を提供する。
【0041】
好ましい実施形態において、TFFは、当該分散系を少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも6倍、より好ましくは少なくとも7倍、より好ましくは少なくとも8倍、より好ましくは少なくとも9倍、そして最も好ましくは少なくとも10倍濃縮する。
【0042】
好ましい実施形態において、当該濃縮分散系中における核酸の濃度は、少なくとも約0.5mg/ml、より好ましくは少なくとも約0.6mg/ml、より好ましくは少なくとも約0.75mg/ml、より好ましくは少なくとも約1.0mg/ml、より好ましくは少なくとも約1.2mg/ml、そして最も好ましくは少なくとも約1.5mg/mlである。
【0043】
好ましい実施形態において、当該濃縮分散系は、約80mM未満の、より好ましくは約60mM未満の、より好ましくは約40mM未満の、より好ましくは約20mM未満の対アニオン濃度を有する。好ましくは、当該対アニオンは酢酸イオンである。
【0044】
好ましくは、当該濃縮分散系は凝集阻害剤を含む。好ましくは、当該凝集阻害剤は糖類、好ましくはショ糖である。
【0045】
好ましくは、当該濃縮分散系は等張的である。他の実施形態において、当該濃縮分散系は高張的又は低張的であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、1Lバッチのキトサン−核酸ポリプレックス分散系を製造し、その後TFF濃縮を行うための、具体的な工程ブロックの計画図を示す。
【図2】図2は、小スケールでのインライン混合工程の計画図を示す。シリンジはポリプロピレンラテックス・フリーであり、そして各々60mLまでスケールアップされ得る。2つの精密シリンジポンプが、当該シリンジを駆動する。チューブは、各々1/16インチIDの白金硬化性シリコーン(platinum−cured silicone)である。示される混合ジャンクションはY字のみならず、T字でもあり得る。構造物の混合ジャンクション材料はポリプロピレンである。
【図3】図3は、10Lの、キトサン−核酸ポリプレックス分散系の調製のための、中等度スケールにおけるインライン混合工程の計画図を示す。全ての容器は、より小さなバッチサイズに従って拡大された。チューブの直径は、0.48cm(3/16インチ)である。ポンプの流速は、DNA:キトサンの混合体積比が2:1となるように適応される。
【図4】図4は、TFF濃縮工程の計画図を示す。
【図5】図5は、中等度スケールの工程で製造され、そして異なる比率で混合されたポリプレックスに関するインビトロでのトランスフェクションの結果のグラフを示す。
【図6】図6は、10%ショ糖を用いた小スケールでの混合、及び高速のTFFによって調製されるポリプレックスに関する、室温における安定性のグラフを示す。
【図7】図7は、ポリプレックスの直径及びPDIに対する、DNA及びキトサン供給原料の体積変更の効果を示すグラフを示す。体積比の調節は、粒子サイズを調節する。組成物は、表10に記載されている。全ての最終製造物はN40−c75であった。
【発明を実施するための形態】
【0047】
詳細な説明
「キトサン−核酸ポリプレックス」、「キトサン−核酸ポリプレックス粒子」、又は「ポリプレックス」は、複数のキトサン分子(各々、グルコサミンモノマーのポリマー)、及び複数の核酸分子を含む複合体を意味する。キトサンモノマーは、リガンドと結合したキトサンを含む誘導体を含む。「誘導体」は、高範囲のカテゴリーの、共有結合性修飾されたN−アセチル−D−グルコサミン、及び/又はD−グルコサミンユニットを含むキトサン系(chitosan−based)ポリマー、及び他のユニットと結合した、又は他の部位と結合したキトサン型ポリマーを含むものとして理解されるだろう。誘導体は、グルコサミンのヒドロキシル基又はアミノ基の修飾に基づくものが多い。キトサン誘導体の例は、限定されないが、トリメチル化キトサン、PEG化されたキトサン、チオール化されたキトサン、ガラクトシル化されたキトサン、アルキル化されたキトサン、PEIの結合したキトサン、アルギニン修飾されたキトサン、ウロン酸修飾されたキトサンなどを含む。キトサン誘導体に関するさらなる教示は、例えば「Non−viral Gene Therapy」,K.Taira,K.Kataoka,T.Niidome(editors),Springer−Verlag Tokyo,2005,ISBN4−431−25122−7;Zhu et al.,Chinese Science Bulletin,December 2007,vol.52(23),pp.3207−3215;及びVarma et al.,Carbohydrate Polymers 55(2004)77−93を参照。
【0048】
本明細書において使用される、キトサンポリマーの「平均重量」は、平均分子量の重量のことである。
【0049】
「対アニオン」は、荷電したキトサンアミンと静電相互作用を行うことができる陰イオンのことを意味する。好ましい対アニオンは、酢酸イオン及び塩化物イオンを含む。
【0050】
キトサンは、参照によりその全体において本明細書中に明確に援用される、2007年3月30日に出願された、米国特許出願番号第11/694,852号に開示されたとおりに調製され得る。リガンド部位を含むキトサン誘導体を含む、キトサン誘導体が同様に使用され得る。
【0051】
キトサン−核酸ポリプレックス組成物
【0052】
一つの態様において、本発明は、水和したキトサン−核酸ポリプレックスを含む、キトサン−核酸ポリプレックス組成物を提供する。当該組成物は、約0.5mg/ml超の核酸濃度を有する、キトサン−核酸ポリプレックスに高濃縮される。当該組成物は、ポリプレックスの沈澱を実質的に含まない。本明細書において使用される、ポリプレックスの沈澱を「実質的に含まない」とは、当該組成物において、外観検査において観測され得る粒子が実質的に存在しないことを意味する。
【0053】
好ましい実施形態において、当該キトサン−核酸ポリプレックス組成物は、少なくとも約0.6mg/mlの、より好ましくは少なくとも約0.75mg/mlの、より好ましくは少なくとも約1mg/mlの、より好ましくは少なくとも約1.2mg/mlの、そして最も好ましくは少なくとも約1.5mg/mlの核酸濃度を有する。好ましい実施形態において、当該組成物は、複合化されていない核酸を実質的に含まない。
【0054】
好ましい実施形態において、当該キトサン−核酸ポリプレックス組成物は分散系である。好ましい実施形態において、当該分散系は等張的である。ポリプレックスの安定性を維持しつつ、等張性を達成することは、医薬組成物の製剤化において非常に好ましく、そしてこれらの好ましい組成物は、医薬製剤及び治療適用に対して非常に好適である。
【0055】
他の実施形態において、当該組成物は、高張的又は低張的であり得る。
【0056】
好ましい実施形態において、当該キトサン−核酸ポリプレックス組成物は、凝集阻害剤をさらに含む。当該凝集阻害剤は、ポリプレックスの凝集及び/若しくは沈澱を、部分的に又は完全に減少させ、そして濃縮手段による、好ましくはタンジェンシャルフロー濾過(「TTF」)を通じた、キトサン−核酸ポリプレックスの濃縮を提供する。ショ糖以外の凝集阻害剤、例えばポリプレックス沈澱を減少させることができ、そして濃縮キトサン−核酸ポリプレックスを提供する他の糖類が使用され得るが、非常に好ましい凝集阻害剤はショ糖である。他の凝集阻害剤の例は、限定されないが、トレハロース、グリセロール、フルクトース、グルコース、及び他の還元糖及び非還元糖を含む。
【0057】
好ましい実施形態において、使用される凝集阻害剤はショ糖である。キトサン−核酸ポリプレックス分散系中におけるショ糖の濃度は、好ましくは約3重量%〜20重量%である。最も好ましくは、ショ糖濃度は、等張性組成物を提供する。
【0058】
キトサン−核酸ポリプレックス組成物は、好ましくはポリプレックス・サイズの観点において均質である。したがって、好ましい実施形態において、当該組成物のキトサン−核酸ポリプレックスは、低い平均の多分散度(「PDI」)を有する。特に好ましい実施形態において、キトサン−核酸ポリプレックス分散系は、約0.5未満の、より好ましくは約0.4未満の、より好ましくは約0.3未満の、より好ましくは約0.2未満のPDIを有する。
【0059】
キトサン−核酸ポリプレックスは、好ましくは組成物中において実質的に安定なサイズである。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、室温にて6時間、より好ましくは12時間、より好ましくは24時間、より好ましくは48時間で、平均直径が100%未満、より好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満増加するポリプレックスを含む。
【0060】
当該キトサン−核酸ポリプレックスは、好ましくは冷却条件下において実質的に安定なサイズである。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、摂氏2〜8℃にて6時間、より好ましくは12時間、より好ましくは24時間、より好ましくは48時間で、平均直径が100%未満、より好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満増加するポリプレックスを含む。
【0061】
組成物のキトサン−核酸ポリプレックスは、好ましくは凍結融解条件下において実質的に安定なサイズである。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、摂氏−20℃〜−80℃での凍結から融解された後、室温にて6時間、より好ましくは12時間、より好ましくは24時間、より好ましくは48時間で、平均直径が100%未満、より好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満増加するポリプレックスを含む。
【0062】
当該キトサン−核酸ポリプレックスは、核酸成分及びキトサン成分を含む。幾つかの場合において、代替骨格又は任意の種々の目的のために、例えば安定性及び保護の目的のために結合された他の修飾若しくは部位を有し得る核酸類縁体が含まれ得るが、本発明の核酸は、一般的にホスホジエステル結合を含むだろう。他の考えられる核酸類縁体は、非リボース骨格を有するものを含む。さらに、天然に存在する核酸、類縁体及びその両方の混合物が製造され得る。核酸は、一本鎖若しくは二本鎖であり得、又は二重鎖配列若しくは一本鎖配列の両方の部分を含む。核酸は、限定されないが、DNA、RNA、並びに、核酸がデオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドの任意の組み合わせを含有し、及びウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン(xathanine)、ヒポキサンチン(hypoxathanine)、イソシトシン、イソグアニンなどを含む、塩基の任意の組み合わせを含むハイブリッドを含む。核酸は、三重鎖、二重鎖、又は一本鎖、アンチセンス、siRNA、リボザイム、デオキシリボザイム、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、キメラ、及びそれらの誘導体を含む、任意の形態のDNA及び任意の形態のRNAを含む。
【0063】
一つの実施形態において、核酸成分は、治療用核酸(therapeutic nucleic acid)を含む。治療用核酸は、哺乳動物細胞において治療効果を及ぼすことが可能であるRNA分子である、治療用RNAを含む。治療用RNAは、アンチセンスRNA、siRNA、ショートヘアピンRNA、及び酵素性RNAを含む。治療用核酸は、三重鎖分子、タンパク質結合性核酸、リボザイム、デオキシリボザイム、及び小核酸分子を形成することが意図された核酸を含む。
【0064】
治療法核酸はまた、細胞障害性タンパク質及びプロドラッグ;リボザイム;アンチセンス若しくはその補完物;又は他のかかる分子を含む、治療用タンパク質をコードする核酸を含む。
【0065】
好ましい実施形態において、核酸成分は、治療用核酸コンストラクトを含む。当該治療用核酸コンストラクトは、治療効果を及ぼすことが可能である核酸コンストラクトである。治療用核酸コンストラクトは、治療用タンパク質をコードする核酸、及び治療用RNAである転写産物を製造する核酸を含み得る。治療用RNAは、哺乳動物細胞中において治療効果を及ぼすことが可能であるRNA分子である。治療用RNAは、アンチセンスRNA、siRNAs、ショートヘアピンRNA、及び酵素性RNAを含む。治療用核酸は、三重鎖分子、タンパク質結合性核酸、リボザイム、デオキシリボザイム、及び小核酸分子を形成することを意図された核酸を含む。治療用核酸は、欠陥遺伝子の置き換え又は増強に役立つことによって、遺伝子治療に影響を及ぼすために、或いは治療用製造物をコードすることによって、特定の遺伝子産物の欠如を補てんするために使用され得る。治療用核酸はまた、内因性遺伝子の発現を阻害し得る。治療用核酸は、翻訳産物の全部又は一部をコードし得、そして細胞中に既に存在するDNAと組み換えられ、それにより遺伝子の欠陥部分と置き換わることによって機能し得る。それはまた、タンパク質の一部分をコードし得、そして遺伝子産物のコサプレッション(co−suppression)によってその効果を及ぼし得る。好ましい実施形態において、当該治療用核酸は、米国特許出願番号第11/694,852号に開示されたものから選択される。
【0066】
好ましい実施形態において、ポリプレックスは、平均で約3000個未満の、より好ましくは約2000個未満の、より好ましくは約1500個未満の、より好ましくは約1000個未満の、より好ましくは約500個未満の、より好ましくは約100個未満の、より好ましくは約50個未満のグルコサミンモノマー単位を有するキトサン分子を含む。
【0067】
好ましい実施形態において、ポリプレックスは、約500kDa未満の、より好ましくは約250kDa未満の、より好ましくは約250kDa未満の、より好ましくは約150kDa未満の、より好ましくは約100kDa未満の、より好ましくは約50kDa未満の、より好ましくは約25kDa未満の平均重量を有するキトサンを含む。
【0068】
好ましい実施形態において、当該組成物のポリプレックスは、750nm未満の、より好ましくは500nm未満の、より好ましくは約250nm未満の、より好ましくは約200nm未満の、そして最も好ましくは約150nm未満の平均直径を有する。
【0069】
一つの実施形態において、キトサン成分は、3kDa〜250kDaの平均分子量を有する。
【0070】
一つの実施形態において、キトサン成分は、250kDa以上の平均分子量を有する。
【0071】
一つの実施形態において、キトサン成分は、3kDa以下の平均分子量を有する。
【0072】
一つの実施形態において、当該キトサン−核酸ポリプレックスは、約2:1〜約100:1の、より好ましくは約5:1〜約90:1の、より好ましくは約10:1〜約90:1のN:P比を有する。
【0073】
一つの実施形態において、当該キトサン−核酸ポリプレックスは、90:1以上のN:P比を有する。
【0074】
一つの実施形態において、当該キトサン−核酸ポリプレックスは、10:1以下のN:P比を有する。
【0075】
一つの実施形態において、当該キトサン−核酸ポリプレックスは、pH5において、+30mV〜+50mVの平均ゼータ電位を有する。
【0076】
一つの実施形態において、当該キトサン−核酸ポリプレックスは、pH5において、+30mV以下の平均ゼータ電位を有する。
【0077】
一つの実施形態において、当該キトサン−核酸ポリプレックスは、pH5において、+50mV以上の平均ゼータ電位を有する。
【0078】
一つの実施形態において、当該キトサン−核酸ポリプレックスは、225nm未満の平均直径を有する。
【0079】
一つの実施形態において、当該キトサン−核酸ポリプレックスは、225nm以上の平均直径を有する。
【0080】
一つの実施形態において、当該組成物は、6.5未満の、より好ましくは6.0未満の、そして最も好ましくは4.5〜5.5のpHを有する。
【0081】
一つの実施形態において、当該組成物は、6.5以上のpHを有する。
【0082】
一つの実施形態において、当該組成物は、4.5以下のpHを有する。
【0083】
一つの実施形態において、ポリプレックスのキトサン分子は、約70%超の、より好ましくは約75%超の、より好ましくは約80%超の、より好ましくは約85%超の、より好ましくは約90%超の、より好ましくは約95%超の、そして最も好ましくは少なくとも98%の脱アセチル化度を有する。
【0084】
一つの実施形態において、ポリプレックスのキトサン分子は、70%以下の脱アセチル化度を有する。
【0085】
一つの実施形態において、当該組成物は、本質的にキトサン−核酸ポリプレックス及び凝集阻害剤からなる。かかる組成物は、対アニオン及び他の賦形剤、例えばパラベンを含み得る。
【0086】
別の実施形態において、当該組成物は、本質的にキトサン−核酸ポリプレックスからなる。かかる組成物は、対アニオン及び他の賦形剤、例えばパラベンを含み得る。
【0087】
特に好ましい実施形態において、キトサン−核酸ポリプレックスは、米国特許出願番号第11/694,852号において開示されたものから選択される。
【0088】
製造方法
【0089】
好ましい実施形態において、本発明の高濃度キトサン−核酸ポリプレックス複合体は、キトサン−核酸ポリプレックスの非濃縮分散系を濃縮することによって製造される。
【0090】
非濃縮キトサン−核酸ポリプレックス組成物は、好ましくは、0.5mg/ml未満の核酸濃度を有する。
【0091】
キトサン−核酸ポリプレックスの非濃縮分散系は、他の方法、例えば核酸又はキトサン溶液を他方へと滴下することによって混合溶液を形成する方法が使用され得るが、好ましくはインライン混合によって調製される。しかし、インライン混合は、好ましくは0.5未満の、より好ましくは約0.4未満の、より好ましくは約0.3未満の、より好ましくは約0.2未満の平均PDIを有する、大容量の均質なキトサン−核酸ポリプレックスの製造を提供する。
【0092】
インライン混合は、2つの(またはそれ以上の)流体の流れが一つの流れへと統合される周知の工程である。インライン混合は以下に例示される。インライン混合に関する更なる開示は、例えば、米国特許第6,251,599号明細書及び第6,537,813号明細書を参照(それらの各々は、参照によりそれ全体において本明細書に完全に援用される)。
【0093】
ミキサー、例えばスタティックミキサー及びダイナミックミキサーが使用され得るが、かかる装置は本発明の方法により形成される複合体のPDIの増大をもたらす。したがって、本発明の好ましい実施形態において、インライン混合はかかるミキサーの使用をせずになされる。
【0094】
本発明において、タンジェンシャルフロー濾過(「TFF」)は、キトサン−核酸ポリプレックスの非濃縮分散系を濃縮するための好ましい手段である。TFFの操作において、液体の一部を、膜へと強制的に押し込むために圧力が膜へと適用されるが、キトサン−核酸ポリプレックス分散系が、半透膜の表面を横切ってポンプを使用して押し込まれる。膜孔よりも小さい分子が、膜孔を通じて輸送され、そして浸透液(permeate)として回収される。浸透溶液は、限定されないが、塩、イオン、糖類及び微生物保存剤を含む。キトサン−核酸ポリプレックスを含む、大きすぎて膜孔を通過できない分子体は、液流中に保持され、そして、保持液(retentate)として再循環される。TFFを使用して、ポリプレックス濃度は、何倍にも増大され得、その結果が高濃縮ポリプレックス分散系である。好ましい実施形態において、高濃縮ポリプレックス分散系は等張性である。
【0095】
好ましい実施形態において、非濃縮キトサン−核酸ポリプレックス分散系は、糖類、好ましくはショ糖を含む。下記の通り、ショ糖は、濃縮工程の間、粒子の凝集を防止する、凝集阻害剤であることが見出された。さらに、ショ糖は、効果的な抗凍結剤であり、そして約1mg/mLのDNA濃度であって、かつ15%までショ糖を含有する例示的な凍結ポリプレックス分散系は、少なくとも一か月まで安定である。
【0096】
非濃縮キトサン−核酸ポリプレックスを濃縮するためのTFFの使用は、以下に例示されている。
【0097】
供給原料の体積を操作することによる、キトサン−核酸ポリプレックスの特性の変更
【0098】
実質的に一定のキトサン:核酸比率を維持しつつ、及び実質的にキトサンと核酸との一定の混合濃度を維持しつつ、核酸とキトサンとの混合によって形成されるキトサン−核酸ポリプレックスの特性を調節し得ることが、驚くべきことに見出された。特に、キトサンと核酸の供給原料溶液の体積比率を変更することによって、当該2つの溶液を混合することによって形成される、結果物たるポリプレックスの特性を変更し得ることが見出された。
【0099】
したがって一つの態様において、本発明は、キトサン及び核酸溶液を混合することによって形成されるキトサン−核酸ポリプレックスの特性を調節するための方法を提供する。一つの実施形態において、本発明は、キトサン−核酸ポリプレックスの直径を調節するための方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、キトサン−核酸ポリプレックスのゼータ電位を調節するための方法を提供する。当該方法は、混合溶液中における核酸とキトサンの比率、又は核酸とキトサンの濃度を実質的に変更することなく、当該ポリプレックスを製造するために使用される、キトサン又は核酸の溶液の体積を変更することに関する。好ましい実施形態において、本方法は、キトサン及び核酸供給原料溶液のインライン混合に関する。
【0100】
粉末製剤
【0101】
本発明のキトサン−核酸ポリプレックス組成物は、粉末を含む。好ましい実施形態において、本発明は、乾燥粉末キトサン−核酸ポリプレックス組成物を提供する。好ましい実施形態において、当該乾燥粉末キトサン−核酸ポリプレックス組成物は、本発明のキトサン−核酸ポリプレックス分散系の脱水を通じて製造される。
【0102】
使用方法
【0103】
治療的適用に加えて、本発明は、(例えば、トランスフェクション効率の増大のために)核酸の安定化が所望であり、かつ核酸濃度の増大が所望である場合はいつでも、一般的に有用である。実験室の設定において、核酸の構造的統合性と機能性とを妥協して解決する手順が行われる場合はいつでも、核酸の安定性が重要である。
【0104】
医薬製剤
【0105】
本発明はまた、本発明のキトサン−核酸ポリプレックス組成物を含む、「医薬として許容される」製剤又は「生理学的に許容される」製剤を提供する。かかる製剤は、処置方法を実行するために、インビボで対象へ投与され得る。
【0106】
本明細書において使用される用語「医薬として許容される」及び「生理学的に許容される」とは、好ましくは過度の副作用(例えば、悪心、腹痛、頭痛など)を生じることのない、対象へ投与され得る、担体、希釈剤、賦形剤などのことである。かかる投与用調製物は、滅菌した、水性又は非水性の溶液、懸濁液、及びエマルションを含む。
【0107】
医薬組成物は、対象への投与に適合可能である、担体、希釈剤、賦形剤、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などから製造され得る。かかる製剤は、(被覆された又は被覆されていない)錠剤、(硬又は軟)カプセル、マイクロビーズ、エマルション、粉末、顆粒、結晶、懸濁液、シロップ、又はエリキシル中に含まれ得る。他の添加剤のなかで、補助的な活性化合物及び保存剤はまた、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、及び不活性ガスなどに存在し得る。
【0108】
医薬組成物は、その意図された投与経路に適合されるように製剤化され得る。例えば経口投与のために、組成物は賦形剤と組み合わされ得、そして錠剤、トローチ、カプセル、例えばゲラチンカプセルの形態で使用され得る。薬学的に適合可能な結合剤、及び/又は助剤材料は、経口用製剤中に含まれ得る。錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは、以下の成分又は同様の性質の化合物のいずれかを含み得る:結合剤、例えば微結晶セルロース、トラガカントゴム、若しくはゼラチン;賦形剤、例えばデンプン若しくはラクトース;崩壊剤、例えばアルギン酸、プリモゲル(Primogel)、若しくはコーンスターチ;滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム若しくはステロート(Sterote);流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばショ糖若しくはサッカリン;又は香味剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチル、若しくは香料。
【0109】
製剤はまた、速やかな分解又は身体からの除去から、当該組成物を保護するための担体を含み得、例えば、インプラント及びマイクロカプセル化送達系を含む放出制御製剤であり得る。例えば、時間遅延性材料、例えばモノステアリン酸グリセリン若しくはステアリン酸グリセリル単体が、又はワックスとの併用で使用され得る。
【0110】
坐剤及び他の直腸内投与可能な製剤(例えば、浣腸により投与可能なもの)がまた、検討される。さらなる直腸内送達に関しては、例えば、Song et al.,Mucosal drug delivery: membranes,methodologies,and applications,Crit.Rev.Ther.Drug.Carrier Syst.,21:195−256,2004;Wearley,Recent progress in protein and peptide delivery by noninvasive routes,Crit.Rev.Ther.Drug.Carrier Syst.,8:331−394,1991を参照。
【0111】
投与に好適であるさらなる医薬組成物は、当技術分野において既知であり、そして本発明の方法及び組成物に適用可能である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)18th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.;The Merck Index(1996)12th ed.,Merck Publishing Group,Whitehouse,N.J.;及びPharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms,Technonic Publishing Co.,Inc.,Lancaster,Pa.,(1993)を参照)。
【0112】
投与
【0113】
任意の数の投与経路が可能であり、そして特定の経路の選択は、部分的に標的組織に依存するだろう。シリンジ、内視鏡、カニューレ、挿管チューブ、カテーテル、及び他の品目は、投与のために使用され得る。
【0114】
満足のいく結果は、疾患若しくは症状の進行又は増悪を防止又は阻害することであるが、対象を処置するための用量又は「有効量」は、好ましくは、一つの、幾つかの又は全ての症状を測定可能又は検出可能な程度に寛解させるために十分である。したがって、治療用核酸を標的組織中において発現させることによって治療され得る症状又は疾患の場合、本発明の方法によって処置され得る症状を寛解させるために製造される治療用RNA又は治療用タンパク質の量は、症状及び所望の結果に依存し、そして当業者によって容易に確認され得る。好適量は、治療されるべき症状、所望の治療効果、及び個体対象(たとえば、対象におけるバイオアベイラビリティ、性別、年齢など)に依存するだろう。有効量は、関連する生理学的効果を測定することによって確認され得る。
【0115】
獣医学的適用はまた、本発明において意図される。したがって、一つの実施形態において、本発明は、処置を必要とする非ヒト哺乳動物へ、本発明のキトサン系ナノ粒子を投与することに関する、非ヒト哺乳動物を処置するための方法を提供する。
【0116】
経口投与
【0117】
本発明の化合物は、経口投与され得る。経口投与は、飲み込み、その結果化合物が消化管に入ることに関与し得る。本発明の組成物はまた、消化管へと直接的に投与され得る。
【0118】
経口投与に好適な製剤は、固体製剤、例えば錠剤、微粒子を含有するカプセル、液体、又は粉体、(液体入りを含む)ロゼンジ、チュー(chew)、多粒子及びナノ粒子、ゲル、フィルム、オブール(ovule)、及びスプレーを含む。
【0119】
液体製剤は、懸濁液、溶液、シロップ、及びエリキシルを含む。液体製剤は、固体の再構成によって調製され得る。
【0120】
錠剤剤形は、一般的に崩壊剤を含む。崩壊剤の例は、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリジン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプン及びアルギン酸ナトリウムを含む。一般的に、崩壊剤は、剤形中、1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を含むだろう。
【0121】
結合剤は、一般的に、錠剤製剤へ凝集性を付与するために使用される。好適な結合剤は、微結晶セルロース、ゼラチン、糖類、ポリエチレングリコール、天然及び合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。錠剤はまた、希釈剤、例えばラクトース(一水和物、スプレードライ一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、微結晶セルロース、デンプン及びリン酸水素カルシウム二水和物を含み得る。
【0122】
錠剤はまた、界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベート80を、並びに流動促進剤、例えば二酸化ケイ素及びタルクを、場合により含む。存在する場合において、界面活性剤は、錠剤の0.2重量%〜5重量%を含み得、そして流動促進剤は、錠剤の0.2重量%〜1重量%を含み得る。
【0123】
錠剤はまた、一般的に、滑剤、例えばステアリンマグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物を含む。滑剤は一般的に、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を含む。
【0124】
他の可能な成分は、抗酸化剤、着色剤、香味剤、保存剤、及び矯味剤を含む。
【0125】
錠剤混合物は、直接的に、又はローラーによって圧縮されて錠剤を形成し得る。錠剤混合物又は混合物の一部は、代わりに湿式、乾式、若しくは溶融造粒、溶融凝結、又は押出成形され得る。最終製剤は一つ以上の層を含み得、そして被覆され得るか又は被覆されない;それはカプセル封入され得る。
【0126】
錠剤の製剤は、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1,by H.Lieberman and L.Lachman(Marcel Dekker,New York,1980)において議論されている。
【0127】
ヒトへの使用又は獣医学的使用のための消耗経口用フィルムは、典型的には柔軟な水溶性又は水膨潤性薄膜剤形である。速やかに溶解し得るか、又は粘膜付着性であり得、そして典型的には膜形成ポリマー、結合剤、溶媒、保湿剤、可塑剤、安定化剤又は乳化剤、粘度調整剤及び溶媒を含み得る。製剤の幾つかの化合物は、一つ以上の機能を果たし得る。
【0128】
本発明において、本発明の組成物を含む多粒子(multiparticulate)ビーズが、同様に含まれる。
【0129】
他の可能な成分は、抗酸化剤、着色剤、香味剤、及び香味増強剤、保存剤、唾液分泌促進剤、冷却剤、(油を含む)共溶媒、緩和剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤、及び矯味剤を含む。
【0130】
本発明のフィルムは、典型的には剥離可能な補助支持体(peelable backing support)または紙上に被覆された水性薄膜の蒸発乾燥によって調製される。これは、乾燥オーブン若しくはトンネル、典型的には組み合わせたコーティングドライヤー、又は凍結乾燥若しくは真空化によりなされ得る。
【0131】
経口投与用固体製剤は、即時放出及び/又調節放出を行うように製剤化され得る。調節放出製剤は、遅延放出(delayed release)、維持放出(sustained release)、パルス放出(pulsed release)、制御放出(controlled release)、標的化放出(targeted release)、及び計画的放出(programmed release)を含む。
【0132】
他の好適な放出技術、例えば高エネルギー分散、並びに浸透性及び被覆粒子が知られている。
【0133】
非経口投与
【0134】
本発明の化合物はまた、血流中へ、筋内へ、又は内部器官へと直接的に投与され得る。非経口投与のために好適な手段は、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、くも膜下腔投与、脳室内投与、尿道内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋内投与、及び皮下投与を含む。非経口投与のために好適な装置は、針(極微針を含む)挿入装置、ニードル・フリー挿入装置、及び点滴技術を含む。
【0135】
非経口用製剤は、通常、賦形剤、例えば塩、炭水化物、及び緩衝剤を含み得る水溶液であるが、幾つかの適用において、それらは無菌性非水溶液として、又は好適なビヒクル、例えば無菌性ピロゲンフリー水と併用して使用される乾燥形態として好適に製剤化され得る。
【0136】
例えば凍結乾燥による、無菌条件下における非経口製剤の製造は、当業者に周知である標準的な薬学的技術を使用することで容易に達成され得る。
【0137】
非経口用溶液の製造において使用される化合物の溶解性は、好適な製剤化技術、例えば溶解性増強剤との組み合わせを使用することによって増大され得る。
【0138】
非経口投与用製剤は、即時性放出、及び/又は調節放出を行うように製剤化され得る。調節放出製剤は、遅延放出、維持放出、パルス放出、制御放出、標的化放出、及び計画的放出を含む。したがって、本発明の化合物は、活性化合物の調節放出を提供する埋込みデポー(depot)として、投与のための固体、半固体、又はチキソトロピック液体として製剤化され得る。
【0139】
局所投与
【0140】
本発明の化合物はまた、皮膚又は粘膜へ、すなわち皮膚に又は経皮的に、局所的に投与され得る。この目的のための局所用製剤は、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散布剤(dusting powder)、包帯剤、フォーム、フィルム、皮膚パッチ、ウエハー、インプラント、スポンジ、繊維、包帯、及びマイクロエマルションを含む。
【0141】
局所投与の他の手段は、エレクトロポレーション、イオン泳動、フォノフォレシス、ソノフォレシス(sonophoresis)及び極微針又はニードル・フリー(例えばPowderject(商標)、Bioject(商標)など)注射を含む。
【0142】
局所投与用製剤は、即時性放出、及び/又は調節放出を行うように製剤化され得る。調節放出製剤は、遅延放出、維持放出、パルス放出、制御放出、標的化放出、及び計画的放出を含む。
【0143】
吸入投与/鼻腔内投与
【0144】
本発明の化合物はまた、典型的には乾燥粉末(例えばラクトースと混合した乾燥混合物のような混合物としてか、又は混合成分粒子としてのいずれか)の形態で、好適な高圧ガスの使用をして又はせずに、乾燥粉末吸入器から、又は加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧機又はネブライザーからのエアロゾルスプレーとして、鼻腔内へ又は吸入で投与され得る。
【0145】
インヘラー(inhaler)又はインサフレーター(insufflator)の使用のための、カプセル、ブリスター(blister)及びカートリッジは、本発明の化合物、好適な粉末基剤、例えばラクトース又はデンプン、及び性能改質剤、例えばL−ロイシン、マンニトール、又はステアリン酸マグネシウムの粉末混合物を含有するように製剤化され得る。
【0146】
吸入投与/鼻腔内投与用製剤は、即時性放出、及び/又は調節放出を行うように製剤化され得る。調節放出製剤は、遅延放出、維持放出、パルス放出、制御放出、標的化放出、及び計画的放出を含む。
【0147】
直腸投与/膣内投与
【0148】
本発明の化合物は、直腸へ、又は膣内へ投与され得る。坐剤、ペッサリー、又は浣腸の形態で投与され得る。ココアバターが、従来の座薬基剤であるが、種々の代替物が好適なものとして使用され得る。
【0149】
直腸投与/膣内投与用の製剤は、即時性放出、及び/又は調節放出を行うように製剤化され得る。調節放出製剤は、遅延放出、維持放出、パルス放出、制御放出、標的化放出、及び計画的放出を含む。
【0150】
眼球投与/耳内(aural)投与
【0151】
本発明の化合物はまた、眼又は耳へ、典型的には点滴薬の形態で直接投与される。眼球投与及び耳内投与のために好適である他の製剤は、軟膏、生分解性剤(例えば吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)及び非生分解性剤(例えばシリコーン)、インプラント、ウエハー、レンズ及び粒子システム(particulate system)を含む。製剤はまた、イオン泳動により送達され得る。
【0152】
眼球投与/耳内投与用製剤は、即時性放出、及び/又は調節放出を行うように製剤化され得る。調節放出製剤は、遅延放出、維持放出、パルス放出、制御放出、標的化放出、及び計画的放出を含む。
【実施例】
【0153】
実施例1:250μg/mL以下のポリプレックスの製造後、1mg/mL超への濃縮
【0154】
試薬、濃度、及び比率の例示的記載に関しては、図1及び以下の記載を参照。
【0155】
単純小スケールインライン混合装置を、シリンジポンプ及び高速度ペリスタルティックポンプ(peristaltic pump)、シリコーンチューブ並びにポリプロピレンTジャンクションを使用して試験した。この工程を、23量体/98%DDAキトサン(すなわち、平均23個の単量体(グルコサミン)を有し、かつ98%が脱アセチル化されているキトサンポリマー)を使用して、N/P比20である、最終DNA濃度250μg/mL以下のポリプレックスを製造するために使用した。当該結果は、DNA及びキトサン溶液の供給原料濃度、体積、混合比率、並びに流速を調節することによって、ポリプレックスの粒子サイズ及びPDIが厳密に調節され得ることを示した。さらに、DNA及びキトサン供給原料中にショ糖を組み込むことは、粒子サイズ及びPDIを減少させることによって、製造工程を支援することが見出された。ショ糖の含有はまた、濃縮工程中における粒子の凝集を防止した。約1mg/mLのDNA濃度であって、15%以下のショ糖を含有する凍結されたポリプレックスは、少なくとも1か月以内は安定であった。さらに、インライン混合工程は、低い相対標準偏差(RSD)値:粒子サイズ=±9%、PDI=±6%で、50mLから2Lまで容易にスケールアップされた。
【0156】
【表1】

【0157】
【表2】

【0158】
ポリプレックスの命名規則
【0159】
当該用語は、キトサンの種類、N/P比、酢酸含量、pH、及びDNA濃度に関する。詳細な説明を行った例を表1に示す。
【0160】
【表3】

【0161】
インライン混合工程フロー
【0162】
1Lバッチで製造し、その後TFF濃縮を行うための典型的な工程ブロックを図1に示す。
【0163】
小スケールインライン混合
【0164】
単純小スケールインライン混合装置を、シリンジポンプ、1/16インチIDシリコーンチューブ;及びT型の3/32−インチIDポリプロピレンジャンクションを使用して試験した。3mL容量シリンジを用いた設定のスキームを図2に示す。本設定におけるシリンジの最大容量は60mLであることに留意すること。本工程を、24量体/98%DDAキトサンを使用して、N/P比20である、最終DNA濃度150μg/mLのポリプレックスを製造するために使用した。
【0165】
中等度スケールインライン混合
【0166】
単純な中等度スケールインライン混合装置を、ペリスタルティックポンプ、3/16インチIDシリコーンチューブ;及び3/16−インチIDポリプロピレンジャンクションを使用して試験した。Yジャンクションを用いた設定のスキームを図3に示す。本設定における最大出力体積は、供給原料容器の体積によってのみ制限されることに留意すること。本工程を、24量体/98%DDAキトサンを使用して、N/P比20である、最終DNA濃度150μg/mLのポリプレックスを製造するために使用した。DNA及びキトサン供給原料を、2:1の体積比で混合して、均質なポリプレックス製剤を製造した。
【0167】
TFF工程
【0168】
製造業者の操作指示書に従って、TFF試験を実行するに先立ち、ホローファイバーフィルターをゆすぎ、そして洗浄した。濃縮を実行するため、TTF系を概略図(図4)に示す通りに設定し、そして残留水を除去した。浸透液バルブを閉め、そして背圧バルブを完全に開けた後、DNA−キトサンポリプレックスを製造物リザーバへ加えた。ポンプの電源をオンにして濃縮を開始し、完全に浸透液バルブを開け、その後、目標のフィルター入口側圧力へと背圧バルブを調節した。濃縮工程中、回収された浸透液の質量を秤で測定し、そして目標DNA濃度が達成された時点を決定するために使用した。以下の等式を参照:
【0169】
【数1】

【0170】
目標体積減少が達成された後、浸透液バルブを閉め、そして背圧バルブを完全に開けることによって、当該濃縮工程を止めた。保持液ラインを除去し、そして最終製造物を回収した後、このTFF後製造物を分析試験のために、及びpicogreenアッセイによるDNA濃度決定のために提出した。残余物を分析試験が完了するまで4℃で貯蔵し、その後速やかに使用したか、又は貯蔵のために凍結した。
【0171】
分析試験
【0172】
粒子サイズ
【0173】
粒子サイズ測定を、Zetasizer Nano光散乱装置を使用して行った。一般的に、試料を希釈せずに、又は10mM NaCl(最少0.4mL)で20倍に希釈し、そして使い捨てキュベット中へロードした。Zetasizerは、試料を25℃で3分間インキュベートし、その後3分間の測定を3回行うようにプログラムされた。Z−平均直径(Z−average diameter)及び多分散性(PDI)は、標準偏差(n=3)を用いて報告された。Zetasizerはまた、粘度及び屈折率に関して当該試料の組成物を説明するためにプログラムされた。
【0174】
ゼータ電位
【0175】
ゼータ電位測定を、Zetasizer Nano光散乱装置を使用して行った。一般的に、未希釈試料をZetasizerの折り返しキャピラリーセル中へロードした(最少値0.8mL)。Zetasizerは、25℃にて3分間、試料をインキュベートした後、測定を反復するようにプログラムされた(反復回数は、Zetasizerソフトウェアによって自動的に決定された)。ゼータ電位値は、標準偏差(n=3)を用いて報告された。Zetasizerはまた、粘度及び誘電率に関して当該試料の最終組成物を説明するためにプログラムされた。
【0176】
凍結による短期間安定性
【0177】
短期間安定性試験のために、最終ポリプレックス産物を凍結し、そして好適な温度(−20℃、−30℃、又は−80℃)で貯蔵した。幾つかの場合において、試料をドライアイス/エタノール浴中で速やかに凍結し、その後に好適な温度で貯蔵した。好適な時期に試料を室温へと解凍し、そして記載された通りに分析した。
【0178】
PicoGreenを用いたDNAの定量化
【0179】
PicoGreenアッセイを使用するDNA測定に先立ち、全DNAは、キトサナーゼによってポリプレックスから放出されなければならない。放出の後、DNAを好適な制限酵素を用いてDNA分解に供し、超らせんDNAプラスミドを線状にした。
【0180】
キトサナーゼによる分解
【0181】
DNAの完全な放出を保証するため、0.909〜1.818mMのキトサンの濃度を得るために、pH5.5、37℃にて、ポリプレックスを150mMのNaOAc中、50μlへと最初に希釈した(C(24,98)−N20−c1000粒子に関しては、当該試料を通常、1/70及び1/35に希釈し、目標キトサン濃度を達成する)。50μlの希釈ポリプレックスを、50μlの4.44U/mLキトサナーゼで、37℃にて2時間かけて分解した(ストックのキトサナーゼ濃度は62U/mLであり、そして冷却した50mM NaOAcで、pH5.5、37℃にて希釈された)。
【0182】
EcoR1による分解
【0183】
インキュベーションの後、*XμLのキトサナーゼ分解された試料を、5μLのEcoR1バッファーに添加し、そしてミリQ水を用いて50μLの最終体積とした(試料体積XμLは、最終DNA濃度が4ng/μLとなるように調節された。通常、C(24,98)−N20−c1000粒子試料に関して、試料体積Xは25μLである)。EcoR1試料をその後、30分間、37℃でインキュベートした。
【0184】
PicoGreenアッセイ
【0185】
PicoGreen Quant−iT ds DNA HSアッセイキットを、2つのバッファー(A及びB)並びに2つのスタンダード(1及び2)を用いて供給した。バッファーAをバッファーBで1:20に希釈し、溶液「A/B」を調製した。スタンダード1及び2を、溶液A/Bを用いて20倍に(10μLを200μLへと)希釈した。スタンダード1及び2のための最終濃度は、それぞれ0及び10ng/μLであった。
【0186】
10〜20μLのEcoR1で消化された試料を、溶液A/Bを用いて200μLの最終体積とし、速やかにボルテックスし、室温で2分間インキュベートし、その後、製造業者の操作指示書に従って、Qubit Fluorometerで蛍光を測定した。
【0187】
ゲル電気泳動
【0188】
ポリプレックス中へのDNA捕獲の検証のために、試料をゲル電気泳動に供した。1〜5μLの試料アリコート(目標量800ngのDNA)を2μLのTrackltローディングバッファーと混合し、そして水を用いて最終的に10μLの体積とした。スタンダードレーンを、超らせんDNAラダーでロードした。当該試料を、臭化エチジウム(50μg/mL)を含有する0.8%アガロースゲル上で、120Vで45分間解析した。FluorChem Imaging Systemを用いて、ゲルを画像化した。
【0189】
インビトロ・トランスフェクション
【0190】
一般的に、ポリプレックス製剤を用いた293T−K細胞のインビトロ・トランスフェクションは、2ステップ:細胞を調製し、その後のトランスフェクションすること、によって行われた。
【0191】
293T−K細胞の維持
【0192】
293T−K細胞株は、UBCの、Dr.Kiefferの研究室の厚意で得られ、そして以下の通り調製された。ヒト腎細胞を、SV40 T抗原を用いて形質転換し;10%ウシ胎児血清(FBS)及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有する、高グルコースの、ダルベッコの修正イーグル培地(DMEM)中で増殖させ;そして80%未満の培養密度で維持した。
【0193】
トランスフェクションのための細胞の調製
【0194】
トランスフェクションのために、以下のように細胞を調製した。トランスフェクション前の日において、6ウェルの組織培養プレート(3×105細胞/ウェル)の、3mLの完全培地(高グルコースDMEM+10%FBS+pen/strep)中へ、293T−K細胞を添加した。トランスフェクションの日において、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いて、細胞1Xを洗浄し、1mlの0.05% トリプシンを用いて細胞をトリプシン処理し、1mlの完全培地を添加し、そして血球計数器を使用して10μLをカウントすることによって、細胞数を決定した。細胞が約50%の高密度(confluent)(約7×105細胞/ウェル)であった場合、トランスフェクションは進行した(細胞が低密度過ぎた場合、又は高密度過ぎた場合、トランスフェクションは進行しなかった)。
【0195】
細胞のトランスフェクション
【0196】
トランスフェクションを以下の通りに行った。第一に、培地を各々のウェルから除去し、(HClでpH5.0に調節し、そして0.2μmフィルターで濾過した)1mLのOpti−memを各々のウェルへその後添加し、緩やかに攪拌し、その後除去した(細胞を傷つける(dislodging)ことを防止するために、6つのウェルを一度に洗浄した)。その後、さらに1mLのOpti−mem(pH5.0)を、細胞を傷つけることのないように、各々のウェルへ注意深く添加した。次に、ポリプレックス試料を各々のウェルへ添加し(目標量2μgDNA)、攪拌し、そして37℃で2時間インキュベートした。インキュベーションの後、培地を除去し、そして2mLの完全培地と交換し、そして37℃で再度インキュベーションした。必要とされた時点において、上清を除去し、そしてその後のSEAPアッセイのために−20℃で貯蔵した。
【0197】
SEAPアッセイ
【0198】
SEAPアッセイを、SEAP化学発光アッセイキットを使用して行った。当該アッセイのための全ての試薬を、使用前に25℃で30分間平衡化した。当該アッセイ用のスタンダードを、胎盤性アルカリホスファターゼを、0.1%ウシ血清アルブミン及び50%グリセロールを添加したキットからの1X希釈バッファー中に溶解し、1mg/mLとし、その後DMEMを用いて10倍段階希釈で希釈して0.01pg/μLとした。スタンダード及び解凍された試料をその後、希釈バッファーを用いて4分の1に希釈し、65℃で30分間かけて加熱により不活性化し、氷上で2分間インキュベートし、遠心分離(16100x rcf、2分間、室温)し、そして上清を新しいチューブへと移した。25℃で5分間平衡化した後、50μLの試料及びスタンダードをMicrolite−1プレートの各々のウェルに2つ組で添加した。不活性化バッファー(50μL)をその後各々のウェルへ添加し、緩やかに気泡を作ることなくピペッティング(pipetted up and down)して混合し、そして5分間インキュベートした。5分間のインキュベーション中に、基質と増強剤を1:19の比で、基質/増強剤試薬を調製した。基質/増強剤をその後各々のウェルへ添加し、20分間インキュベートし、そして当該プレートを、ルミノメーターを用いて1秒間の積分時間で測定した。
【0199】
結果
【0200】
C(23,98)−N40−c75+TFFの高速度インライン混合
【0201】
中等度スケールのインライン混合システムを使用して、90、210、270、及び420mL/分と、流速を変化させてポリプレックスを調製した。本混合システムはまた、当該装置の有用性を評価するために、インライン静止型混合器(static mixing device)を使用した。本システムはまた、賦形剤を全く含まなかった。本試験において、ポリプレックスの開始DNA濃度は、0.075mg/mLであり、その後TFFによって0.25mg/mLへと濃縮された。
【0202】
インライン静止型混合器に関して、所定の流速における溶液の最適混合を達成するために必要とされる最小数の要素を決定する、計算されたレイノルズ(Reynolds)数に基づき、流速を選択した(表2)。以下の等式は、製造業者の操作指示書に基づく。
【0203】
【数2】

【0204】
表2:インライン静止型混合器に関する、計算されたレイノルズ数
【0205】
【表4】

【0206】
表3は、最終的な混合流速の増加が、Z−平均粒子サイズ及びPDIにおける増加をもたらすことを示す。TFFによる濃縮は、粒子サイズ、PDI、ゼータ電位、粘度(表3)又はインビトロ・トランスフェクション(図5)において、著しい影響を示さなかった。
【0207】
表3:中等度スケールにおける、異なる比率で混合されたポリプレックスのサイズ、PDI、及びゼータ電位
【0208】
【表5】

【0209】
インライン混合及びTFF沈澱
【0210】
少なくとも1mg/mLのDNA濃度を達成するために、我々は0.15mg/mLのDNAでポリプレックスを混合し、その後TFFで1mg/mLすることを追求した。しかし、本試験中において、著しい沈澱が当該濃縮ステップ後に観察された(データ未載)。これは、小スケール混合工程(3mL/分、及び23mL/分)において、及び中等度スケール混合工程(210mL/分、及び420mL/分)において生じた。
【0211】
沈澱を防ぐための、ポリプレックス形成中におけるショ糖の含有
【0212】
TFF中における沈澱の問題を改善するために、我々は、混合してポリプレックスを形成する前に、全ての賦形剤(約10wt%ショ糖、0.09wt%メチルパラベン、0.01wt%プロピルパラベン)を、キトサン及びDNA供給原料の両方へ含有させた。静止型混合器を使用しなかった。賦形剤の含有は、TFF濃縮工程中において、粒子凝集及び沈澱を防止した。さらに、静止型混合器を含めない場合において、PDI及び粒子の安定性が改善されることを見出した。
【0213】
更新された工程を用いた小スケールバッチ
【0214】
混合、及び90mL/分の再循環速度(ずり速度7200s-1)を使用したTFF濃縮に先立ち、DNA及びキトサン供給原料の10%ショ糖を使用して、小スケールバッチを製造した。TFFの後、粒子サイズは200nm未満であり、沈澱は生じなかった。粒子サイズを表4に要約する。
【0215】
表4
【0216】
【表6】

【0217】
室温にて18時間後、サイズは約140nmで横ばいとなり、そして室温で3日後において沈澱は観測されなかった(図6)。さらに、TFF後の試料は、−20℃又は−80℃のいずれかにおける凍結/解凍後において、沈澱を生じなかった。室温にて24時間後、解凍された粒子は、−20℃及び−80℃において、それぞれ約160及び150nmで横ばいとなった(表5)。さらに、インビトロ・トランスフェクションアッセイは、当該バッチが生物学的有効性を有することを示した(データ未載)。
【0218】
表5:10%ショ糖との小スケール混合及び高速TFF:凍結−解凍
【0219】
【表7】

【0220】
更新された工程での中等度スケールバッチ
【0221】
確認用中等度スケールバッチを、上記の工程変更の全てを使用して製造した:ショ糖溶液との混合に先立ち、DNAストックの濾過;混合前におけるDNA及びキトサン供給原料中への10%ショ糖の含有、そして再循環速度90mL/分(ずり速度7200s-1)を使用したTFF濃縮。さらに、ショ糖及びパラベン賦形剤を除いた対照バッチを製造した。
【0222】
TFF中及びTFF後に、非賦形剤(対照)バッチにおいて、沈澱が速やかに観測された(データ未載)。しかし、賦形剤バッチ(表6)において、DNA濃度が約1.5mg/mLを超えるまで沈澱は観察されなかった。
【0223】
表6:賦形剤を含むポリプレックスバッチのパラメータ
【0224】
【表8】

【0225】
中等度スケールである0.8Lデモンストレーション・バッチ
【0226】
我々は、インライン混合工程及びTFFの、0.8Lのバッチサイズへの拡張可能性を試験した。ポリプレックスを、0.8Lの体積へと混合し、その後TFFにより1.1mg/mLへと濃縮した。本試験は、混合工程の初期、中期、及び終期における、混合ポリプレックスの複数の5mLアリコートを採取することによって、混合工程の均質性を試験することを含んだ。TFF工程は、850cm2カートリッジを使用し、(一方で先の小スケールTFF試験は73cm2カートリッジを使用し、)そして、バイアルに移して−30℃で凍結する前に、4℃で濃縮された製造物の保持時間(hold time)の試験を含んだ。
【0227】
インライン混合工程の均質性の試験
【0228】
混合工程の初期、中期及び終期における25mLから、複数の0.5mL試料を回収し、そして混合工程中における均質性を決定した。当該結果は、初期混合試料は約120nmで開始し、15mlの混合後、80nmで安定化することを示した。
【0229】
表7 中等度スケールにおけるインライン混合の均質性
【0230】
【表9】

【0231】
全試料を、先立って−30℃で凍結し、解凍し、その後分析した。「B」は、1〜5の順番で、混合工程の初期からの5mL試料を示す(最初は25ml)。「M」は、1〜5の順番で、(約400mlで開始する)混合工程の中期からの5mL試料を示す。「E」は、1〜5の順番で、(約750mlで開始する)混合工程終期からの5mL試料を示す。
【0232】
最終TFF産物に関する保持時間の試験
【0233】
TFF工程が完了した後、最終TFF産物を9×10mLのアリコートへと(20mlのアンバー・グラスバイアル中に)分注し、そして密封した。当該バイアルをその後、種々の保持時間に供し、典型的な製造時における保持条件を模倣した。
【0234】
【表10】

【0235】
4℃、24時間の保持時間において、解凍産物の結果は、当該産物の良好な安定性を示した(表8)。「4時間、3℃、その後−30℃」の試料に関する、解凍後7時間の安定性はまた、出発材料と比較して10%未満の増大を伴う粒子安定性を示した。
【0236】
表8
【0237】
【表11】

【0238】
全試料をあらかじめ−30℃で凍結し、解凍し、その後分析した。
【0239】
中等度スケールにおける2Lのエンジニアリング・ラン
【0240】
我々は、インライン混合工程及びTFFの、2Lのバッチサイズへの拡張可能性を試験した。ポリプレックスを2Lの体積へと混合し、その後TFFにより1.1mg/mLへと濃縮した。本試験は、混合工程の均質性の反復試験を含んだ。本試験は、混合工程の初期(25mLの廃棄物)、中期、及び終期における、混合ポリプレックスの複数の5mLアリコートを採取することによって、混合工程の均質性を反復して試験することを含んだ。TFF工程は、850cm2カートリッジを使用し、そして、バイアルに移して−30℃で凍結する前に、4℃で最終的に濃縮された産物の一晩保持を含んだ。
【0241】
一般的に、ポリプレックスの物理学的特性は、十分に期待された範囲内及び制限内であった(表9)。
【0242】
表9
【0243】
【表12】

【0244】
全ての試料は新鮮であるか、又はあらかじめ(指示通り)−30℃で凍結され、解凍され、その後分析された。
【0245】
賦形剤とのインライン混合の拡張可能性
【0246】
以下は、2つの異なるスケール及び4つのバッチ体積でのインライン混合によって製造される、ポリプレックスバッチの物理学的特性の概要である(表10)。全てのバッチは、C(24,98)−N20−c150−pH4.8−Suc15%−Pbn0.1%であった。混合比は2:1であった。小スケール及び中等度スケール混合における全体の流速は、各々23.3ml/分及び210mL/分であった(これらの速度で、2つの混合スケールにおける、チューブを通る線流速は等しかった)。
【0247】
表10 スケール拡張された混合バッチの物理学的特性
【0248】
【表13】

【0249】
ゲル電気泳動によるDNA捕獲の試験
【0250】
全てのDNAがキトサンによって捕獲されるか否かを決定するために、幾つかのポリプレックス製剤が、遊離DNAの存在に関して試験された。全体的に、遊離のDNAは試験された製剤中においては観察されなかった(未載)。
【0251】
ポリプレックスのインビトロ・トランスフェクション
【0252】
インビトロ・トランスフェクションを、2つの製剤において行い、点滴法(例えば、米国特許出願番号11/694,852)で製造されたポリプレックスとインライン混合とを比較した。インライン混合法の平均トランスフェクション効率は、点滴法よりも約11%高かった。
【0253】
【表14】

【0254】
最終的なポリプレックス製剤は、C(23,98)−N40−Ac10.5−pH4.8−c75であった。インライン混合バッチに関して、DNA:キトサンの体積混合比は2:1であり、そして出力の流速は3mL/分であった。
【0255】
供給原料体積比の変更は、ポリプレックス・サイズ及びPDIを変える。
【0256】
組成物を、本明細書において記載された方法を使用して、表11に従って調製した。
【0257】
表11
【0258】
【表15】

【0259】
当該調製物の粒子サイズ及びPDIを、本明細書に記載された通りに分析した。結果を図7に示し、そして当該結果は、キトサンとDNAとの混合比を実質的に維持しつつ、及びキトサンとDNAとの混合濃度を維持しつつ、粒子サイズが供給原料体積を変えることによって調節され得ることを証明する。
【0260】
全ての引用は、参照によりそれら全体について本明細書に完全に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水和したキトサン−核酸ポリプレックスを含む組成物であって、0.5mg/ml以上の核酸濃度を有する、前記組成物。
【請求項2】
ポリプレックス沈澱を実質的に含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
0.75mg/ml超の核酸濃度を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
1mg/ml超の核酸濃度を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
1.2mg/ml超の核酸濃度を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
1.5mg/ml超の核酸濃度を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
凝集阻害剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
約80mM未満の対アニオン濃度を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリプレックスが750nm未満の平均直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリプレックスが2:1以上のN:P比を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリプレックスが、500kDa未満の平均分子量を有するキトサン分子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリプレックスが、3000個未満のグルコサミンモノマー単位を有するキトサン分子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
本質的に前記水和したキトサン−核酸ポリプレックス及び凝集阻害剤からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記キトサン−核酸ポリプレックスが、0.5未満の平均多分散度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
等張的である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
キトサン−核酸ポリプレックスを濃縮する方法であって、キトサン−核酸ポリプレックスの非濃縮分散系を提供し、そしてキトサン−核酸ポリプレックスの濃縮分散系を形成するための濃縮手段を使用して、前記キトサン−核酸ポリプレックスの非濃縮分散系を濃縮することを含み、ここで前記組成物が0.5mg/ml以上の核酸濃度を有し、そして前記組成物が実質的にポリプレックス沈澱を含まない、前記方法。
【請求項17】
前記非濃縮分散系が、最初の濃度で凝集阻害剤を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記濃縮ステップが、前記濃縮分散系中における前記凝集阻害剤の前記最初の濃度を実質的に維持する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記濃縮手段が、タンジェンシャルフロー濾過である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
インライン混合が、前記キトサン−核酸ポリプレックスの非濃縮分散系を調製するために使用される、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
請求項16に記載の方法によって製造される、キトサン−核酸ポリプレックスの濃縮分散系。
【請求項22】
水和したキトサン−核酸ポリプレックスを含む医薬組成物であって、0.5mg/ml以上の核酸濃度を有し、そして前記キトサン−核酸ポリプレックスが治療用核酸コンストラクトを含む、前記組成物。
【請求項23】
等張的である、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
キトサン溶液及び核酸溶液を混合することによって製造される混合分散系中において形成される、キトサン−核酸ポリプレックスの直径を変化させるための方法であって、前記混合分散系中におけるキトサンと核酸との混合比を実質的に変化させることなく、かつキトサン又は核酸のいずれか一方の濃度を実質的に変化させることなく、キトサン又は核酸分散系の体積を変化させることを含む、前記方法。
【請求項25】
前記混合溶液が、前記キトサン溶液及び前記核酸溶液のインライン混合により製造され、ここで前記キトサン溶液及び前記核酸溶液の流速が、混合流速を維持するように、並びにキトサン及び核酸の混合濃度を維持するように調節される、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−540468(P2010−540468A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526123(P2010−526123)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001714
【国際公開番号】WO2009/039657
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(510082868)エンジーン,インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】