説明

高濃度液体肥料組成物

【課 題】本発明は、希釈タイプの高濃度の3大栄養素、肥料保証成分および微量金属元素入り液体肥料組成物で、経時的な変化、または紫外線暴露下や低温保存時や高温保存時に結晶、沈殿を抑制した新規液体肥料組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】硝酸態窒素、アンモニア態窒素および尿素態窒素をそれらの窒素合計量として7.5質量%以上、リンをPとして7.5質量%以上、カリウムをKOとして4.5質量%以上含有し、かつマグネシウム、マンガンおよびホウ素から選択される少なくとも1種の肥料保証成分、並びにカルシウム、鉄、銅、亜鉛およびモリブデンから選択される少なくとも1種の微量金属元素を含有することを特徴とする安定な高濃度液体肥料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高濃度の窒素、リン、カリウムの他に肥料保証成分および微量金属元素を含有する安定な高濃度液体肥料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、各種植物栽培において、肥料として、希釈タイプの高濃度液体肥料が汎用されている。該高濃度液体肥料としては、窒素、リン、カリウム等の植物の3大栄養素と、マンガン、亜鉛、鉄、モリブデン等の微量金属元素を含むものが一般的であり、例えば植物の成長促進を増強する液体肥料組成物として、Caを0.1〜5.0重量%並びにN、PおよびKを適量含有する液体肥料組成物(特許文献1参照)、多量要素として少なくともリン酸を1〜20重量%含み、微量要素として少なくともEDTA鉄を0.2〜5重量%含んでおり、さらにEDTA化合物(ただし、EDTA鉄を除く)を0.1重量%以上含有する液体肥料が知られている(特許文献2参照)。
そしてこのような液体肥料における窒素とリンとカリウムの量は、通常典型的には組成物全体に対してそれぞれ5質量%、10質量%および5質量%である。
【特許文献1】特開2004−051434号公報
【非特許文献1】特開2001−240483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
家庭園芸向けに販売されている希釈タイプの高濃度液体肥料は、製剤全体に対する窒素成分(Nとして)−リン成分(Pとして)−カリウム成分(KOとして)の割合が5(質量%)−10(質量%)−5(質量%)、あるいは6(質量%)−10(質量%)−5(質量%)等、リン成分が窒素、あるいはカリウムに対し多い場合が多い。これは、従来窒素量を増大させた複合肥料を散布した植物の花数は一般的に減少すると考えられたためである。しかし、本発明者らは実験を繰り返した結果、このような従来知識は必ずしも正しくなく、窒素成分添加濃度は植物の生育に影響が大きく、液体肥料を同倍率で希釈した場合に窒素成分添加濃度が高濃度であるほど植物の生育が良く、一方、リン成分は、必要以上に高濃度であっても一般植物の生育はあまり向上しないことを知見した。すなわち窒素の含量を増大させると共にリン含量を減少させた肥料は植物の生育を促進するのみならず、植物体の花数を増大させ得るとの驚くべき新知見を得た。
比較的高濃度の窒素成分、リン成分、カリウム成分を含み、その他にマグネシウム、マンガン、ホウ素、鉄、カルシウム、銅、亜鉛、モリブデン等の微量金属元素を添加した希釈タイプの高濃度液体肥料は、経時変化や紫外線暴露、あるいは低温時に結晶、沈殿を生じやすく、そのため液体肥料としての効力が低下するという問題があった。そこで、本発明は、製剤的に長期保存に対して安定な希釈タイプの高濃度液体肥料組成物(以下、単に液体肥料組成物ともいう。)、特に、高濃度の3大栄養素、肥料保証成分および微量金属元素を含有する使用時水で希釈するタイプの液体肥料組成物であって、経時的な変化、または紫外線暴露下や低温時に結晶や沈殿の生成が抑制された新規液体肥料組成物を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行い、下記[1]の解決手段により上記課題が解決され得ること、さらには植物の3大栄養素のうち窒素量、特に硝酸態窒素量とアンモニア態窒素量の調節、リン量の調整、pHの調整、肥料保証成分の配合量および微量金属元素の添加量並びにキレート剤の選択とその添加量の調節により上記課題を特に有利に解決できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、
[1] 硝酸態窒素、アンモニア態窒素および尿素態窒素をそれらの窒素合計量として7.5質量%以上、リンをPとして7.5質量%以上、カリウムをKOとして4.5質量%以上含有し、かつマグネシウム、マンガンおよびホウ素から選択される少なくとも1種の肥料保証成分、並びにカルシウム、鉄、銅、亜鉛およびモリブデンから選択される少なくとも1種の微量金属元素を含有することを特徴とする安定な高濃度液体肥料組成物、
[2] 硝酸態窒素を0.5質量%以上1.5質量%未満含有することを特徴とする前記[1]記載の高濃度液体肥料組成物、
[3] マグネシウムを含有し、マグネシウムの含有量が組成物全体に対しMgOとして0.03質量%以下であることを特徴とする前記[1]または[2]記載の高濃度液体肥料組成物、
[4] カルシウムおよび鉄を含有し、カルシウムの含有量が組成物全体に対しCaとして0.01〜0.5質量%であり、鉄の含有量が組成物全体に対しFeとして0.01質量%以下であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の高濃度液体肥料組成物。
[5] さらにキレート剤を含有することを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の高濃度液体肥料組成物、
[6] さらにキレート剤がエチレンジアミン四酢酸またはその塩であることを特徴とする前記[5]記載の高濃度液体肥料組成物、
[7] pHが5.8以上であることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれかに記載の高濃度液体肥料組成物、
[8] pHが5.8〜7であることを特徴とする前記[7]記載の高濃度液体肥料組成物、
[9] 硝酸態窒素、アンモニア態窒素および尿素態窒素を組成物全体に対してそれらの窒素合計量として7.5質量%以上9.0質量%以下含有し、硝酸態窒素は組成物全体に対して0.5質量%以上1.5質量%未満であり、
リンを組成物全体に対してPとして7.5質量%以上10質量%未満含有し、
カリウムを組成物全体に対してKOとして4.5質量%以上6質量%以下含有し、
かつマグネシウム、マンガンおよびホウ素から選択される少なくとも1種の肥料保証成分を含有し、マグネシウムを含有するとき、マグネシウムの含有量は組成物全体に対しMgOとして0.03質量%以下であり、
並びにカルシウム、鉄、銅、亜鉛およびモリブデンから選択される少なくとも1種の微量金属元素を含有し、カルシウムおよび鉄を含有するとき、カルシウムの含有量が組成物全体に対しCaとして0.01〜0.5質量%であり、鉄の含有量が組成物全体に対しFeとして0.01質量%以下であり、
pHが5.8〜7
であることを特徴とする安定な高濃度液体肥料組成物、
[10] 以下の成分を組成物全体に対して以下の割合で含有し、pHが5.8〜7であることを特徴とする安定な高濃度液体肥料組成物、
(1)硝酸態窒素、アンモニア態窒素および尿素態窒素をそれらの窒素合計量として7.5質量%以上9.0質量%以下、
(2)リンをPとして7.5質量%以上10質量%未満、
(3)カリウムをKOとして4.5質量%以上6質量%以下、
(4)マグネシウムをMgOとして0〜0.03質量%、
(5)マンガンをMnOとして0〜0.1質量%、
(6)ホウ素をBとして0〜0.2質量%、
(7)カルシウムをCaとして0〜0.5質量%、
(8)鉄をFeとして0〜0.01質量%、
(9)銅をCuとして0〜0.01質量%、
(10)亜鉛をZnとして0〜0.01質量%、
(11)モリブデンをMoとして0〜0.01質量%、並びに
(12)エチレンジアミン四酢酸又はその塩を0〜2.0質量%(ただし、前記(4)乃至(6)のいずれもが0質量%ではなく、かつ前記(7)乃至(11)のいずれもが0質量%ではない。)、および
[11] 前記[1]〜[10]のいずれかに記載の高濃度液体肥料組成物を水で250〜5000容量倍に希釈をして、植物体(例えば根部、葉茎)または植物育成用養液若しくは植物育成用培土に施肥することを特徴とする植物の育成方法、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の液体肥料組成物は、植物の生長に必要な3大栄養素、肥料保証成分および微量金属元素を高濃度に含む安定な液体肥料組成物である。
本発明の液体肥料組成物は、長期に保存されても、屋外の直射日光暴露下に置かれた場合であっても、紫外線の影響を受けても、液体肥料組成物中の成分が分解等してガスが発生し、液体肥料組成物収容容器が破損したりする恐れがない。また、従来公知の液体肥料組成物では、微量金属元素が含まれると、時間の経過と共に不溶性沈殿が発生し、肥料としての有効性が低下するが、本発明の液体肥料組成物は微量金属元素の沈殿を防止できるので長期安定な液体肥料組成物として有用である。
また、本発明の液体肥料組成物は寒冷地において過度の低温下に置かれた場合であっても、夏季の野外等における高温下におかれても液体肥料組成物に含まれる成分が析出したり沈殿が生じたりすることがない。
また本発明の液体肥料組成物を植物体に施肥すると、植物体の生育が促進され、花数や株数が増加する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書において、「肥料」とは、植物に養分(元素)を与えるために、植物の例えば葉や茎または根、あるいは植物育成用養液若しくは植物育成用培土に施す物質のことをいう。植物の生育に必要な養分(元素)は、10数種類あるが、そのうち、大量に補給を要する元素は、窒素、リンおよびカリウムの3大栄養素で、次いでマグネシウム、マンガンおよびホウ素等の肥料保証成分、並びにカルシウム、鉄、銅、亜鉛およびモリブデン等の微量金属元素等である。
「高濃度液体肥料」とは、水等の溶媒に前記元素が高濃度に溶解している肥料をいい、特に窒素、リンおよびカリウムの合計量が約19.5質量%以上水等の溶媒に溶解している肥料をいう。
【0008】
上記肥料の3大栄養素のうち窒素は、タンパク質の合成、細胞の分裂、増殖、花芽形成、根の発育、養分の吸収、あるいは同化作用の促進に必要な元素である、窒素としては、硝酸態窒素、アンモニア態窒素および尿素態窒素等が挙げられる。
【0009】
硝酸態窒素とは、硝酸イオンのように酸化窒素の形で存在する窒素のことをいう。硝酸態窒素源となりうる化合物としては、例えば硝酸、硝酸アンモニウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硫硝安(硝酸アンモニウム+硫酸アンモニウム)、硝安石灰(硝酸アンモニウム+炭酸カルシウム)またはカルウレア(硝酸カルシウム+CO(NH)等が挙げられるが、これらに限定されない。これら化合物は、1種または2種以上を混合して用いることもできる。
【0010】
アンモニア態窒素とは、アンモニア水、アンモニウム塩、アンモニウムイオンを構成する窒素のこという。アンモニア態窒素源となりうる化合物としては、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、硫硝安(硝酸アンモニウム+硫酸アンモニウム)またはアンモホス(硫酸アンモニウム+第二リン酸アンモニウム)等が挙げられるが、これらに限定されない。これら化合物は、1種または2種以上を混合して用いることもできる。
【0011】
尿素態窒素とは、尿素や加水分解により尿素になりうる窒素をいう。尿素態窒素源となりうる化合物としては、尿素、カルウレア(尿素+硝酸カルシウム)またはカルシウムシアナミドが挙げられるが、これらに限定されない。これら化合物は、1種または2種以上を混合して用いることもできる。
【0012】
本発明における窒素量は、硝酸態窒素、アンモニア態窒素および尿素態窒素(Nとして)の合計量として、組成物全体に対し約7.5質量%以上、好ましくは約7.5質量%以上約9.0質量%以下、さらに好ましくは約7.5〜8.5質量%程度である。
硝酸態窒素、アンモニア態窒素および尿素態窒素の含有比率に特に制限はないが、硝酸態窒素1質量部に対して、アンモニア態窒素が約3〜4.5質量部、尿素態窒素が約2.4〜3質量部程度が好ましい。
なお、硝酸態窒素の含有比率が大きいと、寒冷地等の低温(約−30〜4℃程度)環境下によっては例えば硝酸カリウム等の化合物の結晶が析出することがある。このため、組成物全体に対する硝酸態窒素(Nとして)は約0.5質量%以上約1.5質量%未満(例えば、硝酸カリウムの量として、約36.1g/Kg以上、約108.3g/Kg未満である。)、好ましくは約0.9〜1.3質量%とするのが好ましい。
アンモニア態窒素は、尿素態窒素に比べ速効性窒素形態であるので、尿素態窒素より含有比率が高い方が好ましい。しかし、アンモニア態窒素の含有量が高くなりすぎると、液体肥料組成物のpHが高くなりすぎ、安定性が悪くなる。このため、アンモニア態窒素(Nとして)は、組成物全体に対して約1.5〜6.75質量%とし、好ましくは約3.3〜4.8質量%とするのが好ましい。
尿素態窒素は、硝酸態窒素およびアンモニア態窒素の量並びに窒素の合計量から換算して組成物全体に対して約1.2〜4.5質量%が好ましく、約2.3〜3.5質量%がより好ましい。
【0013】
本発明の液体肥料組成物には、上記の他、窒素として、例えばアミノ酸態窒素やタンパク質態窒素等を含有してもよい。
【0014】
リンは、根の発育促進、成熟の促進、子実の収量増大、収穫物の良質化等の生理作用を有する。リン源としては、液体肥料組成物中でリン酸イオンの形態をとり得る水溶性リン酸化合物が好ましい。水溶性リン酸化合物としては、第一リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、第三リン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウムまたはピロリン酸ナトリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。これら化合物は、1種または2種以上を混合して用いることもできる。
本発明におけるリンの量は、Pとして、組成物全体に対して約7.5質量%以上約10質量%未満、好ましくは約7.5〜9.5質量%、さらに好ましくは約7.5〜8.5質量%程度である。窒素量が組成物全体に対し約7.5質量%以上を含む本発明の液体肥料組成物において、リンが10質量%を超えると、植物の生育、特に花数等が減少し、好ましくない。
【0015】
カリウムは、炭水化物、窒素化合物の合成、同化作用の促進、根の発育促進、水分供給、冷害、病虫害への抵抗力の増加、開花、結実の促進等の生理作用を有する。カリウム源としては、液体肥料組成物中でカリウムイオンの形態をとり得る水溶性カリウム化合物が好ましい。水溶性カリウム化合物としては、例えば、第一リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、第三リン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、亜硝酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、硝酸カリウム、硫化カリウム、硫酸カリウム、臭化カリウムまたは酢酸カリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。これら化合物は、1種または2種以上を混合して用いることもできる。
本発明におけるカリウムの量は、KOとして、組成物全体に対して約4.5質量%以上、好ましくは約4.5質量%以上約6.0質量%以下、さらに好ましくは約4.5〜5.5質量%程度である。
【0016】
本発明の液体肥料組成物は、上記の3大栄養素の他、肥料保証成分としてマグネシウム、マンガンまたはホウ素を含有する。
【0017】
本発明の液体肥料組成物におけるマグネシウム源としては、水溶性マグネシウム塩等が好ましく、具体的には例えば塩化マグネシウムまたは硫酸マグネシウム等が挙げられる。マグネシウムの保証量はMgOとして、組成物全体に対して約0.03質量%以下であることが好ましく、約0.001〜0.03質量%であることがより好ましく、約0.005〜0.02質量%がさらに好ましく、約0.008〜0.015質量%であることが最も好ましい。
【0018】
本発明の液体肥料組成物におけるマンガン源としては、水溶性マンガン塩等が好ましく、具体的には例えば塩化マンガン、炭酸マンガンまたは硫酸マンガン等が挙げられる。マンガンの保証量はMnOとして、組成物全体に対して約0.001〜0.1質量%が好ましく、約0.002〜0.01質量%であることがより好ましく、約0.002〜0.006質量%であることがさらに好ましい。
【0019】
本発明の液体肥料組成物におけるホウ素源としては、水溶性ホウ素化合物が好ましく、より具体的には例えばホウ酸またはその塩(例えば、ホウ酸ナトリウム等)などが挙げられる。ホウ素の保証量はBとして、組成物全体に対して約0.001〜0.2質量%が好ましく、約0.005〜0.05質量%であることがより好ましく、約0.01〜0.02質量%であることがさらに好ましい。
【0020】
本発明の液体肥料組成物は、上記3大栄養素および肥料保証成分に加え微量金属元素を含有する。微量金属元素としては、例えばカルシウム、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、ヨウ素、セレン、コバルト、バナジウム、フッ素、ケイ素またはスズ等が挙げられる。これら微量金属元素のなかでもカルシウム、鉄、銅、亜鉛またはモリブデンが好ましい。これら微量金属元素は、例えば水溶性カルシウム塩(例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムカルシウム、消石灰、生石灰、硝酸カルシウム、第一リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム等)、エチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム(EDTA−Fe・Na)・2水和物、硫酸銅、硫酸亜鉛、モリブデン酸アンモニウム等の水溶性化合物として本発明の液体肥料組成物に添加し得る。本発明の液体肥料組成物におけるこれら微量金属元素の含有量は、微量金属元素の種類により異なるが、例えばカルシウムは、Caとして組成物全体に対して約0.01〜0.5質量%であることが好ましく、約0.02〜0.3質量%がより好ましく、約0.05〜0.1質量%であることが最も好ましい。鉄は、Feとして組成物全体に対して約0.01質量%以下が好ましく、約0.0005〜0.01質量%がより好ましく、約0.0005〜0.005質量%であることがさらに好ましく、約0.0005〜0.002質量%が最も好ましい。銅は、Cuとして組成物全体に対して約0.0001〜0.01質量%が好ましく、約0.0002〜0.001質量%であることがより好ましい。亜鉛は、Znとして組成物全体に対して約0.0001〜0.01質量%が好ましく、約0.0005〜0.002質量%であることがより好ましい。モリブデンは、Moとして組成物全体に対して約0.00001〜0.01質量%が好ましく、約0.00005〜0.001質量%であることがより好ましい。特に、本発明の液体肥料組成物がカルシウムと鉄とを含有する場合においては、鉄の含有量を上記範囲に調製することが肝要である。
【0021】
なお、上記した窒素、リンおよびカリウムの3大栄養素、マグネシウム、マンガンおよびホウ素等の肥料保証成分、並びにカルシウム、鉄、銅、亜鉛およびモリブデン等の微量金属元素等の供給源となる水溶性化合物において、1の水溶性化合物が複数の元素の供給源となり得る。例えば硝酸アンモニウムは、1の化合物で硝酸態窒素の供給源として作用すると同時にアンモニア態窒素の供給源としても作用する。また、硝酸カリウムは、同様に硝酸態窒素およびカリウムの供給源として作用し、第一リン酸アンモニウムは、アンモニア態窒素およびリンの供給源として作用し、第一リン酸カリウムは、リンとカリウムの供給源として作用する等である。
【0022】
本発明の液体肥料組成物には、さらにキレート剤を配合するのが好ましい。液体肥料組成物は、長期間自然環境下に保存され得るので、紫外線暴露や高温により難溶性沈殿の発生を防止する必要がある。該難溶性沈殿は微量金属元素によって起こり得るが、好ましくはキレート剤を配合することにより、該沈殿を有利に防止し得る。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、あるいはクエン酸またはその塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等)が挙げられるが、下記するpHを維持するためには、エチレンジアミン四酢酸(以下、EDTAという。)またはその塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)が好ましい。とりわけ好ましい化合物としては、例えばEDTA・2Na・2HO、EDTA・3Na・3HO、EDTA・2(NH)・HOまたはEDTA・2K・2HO等が挙げられるがこれらに限定されない。EDTAまたはその塩は、1種または2種以上を混合して用いてもよい。
キレート剤の含有量は、組成物全体に対して通常約0.1質量%以上であり、好ましくは約0.1〜5.0質量%、さらに好ましくは約0.2〜4.0質量%程度である。さらにキレート剤としてEDTA又はその塩を使用する場合には、EDTA又はその塩の配合量は、組成物全体に対して約0.1〜2.0質量%程度が好ましく、約0.2〜1.0質量%程度がより好ましい。
【0023】
本発明の液体肥料組成物は尿素態窒素を含有することから、pHが酸性側となると、尿素が分解し、液体肥料組成物の安定性を保つことができなくなる。該尿素の分解は、二酸化炭素を発生し、該二酸化炭素の発生は、容器膨張あるいは容器破損の原因ともなりうる。このため本発明の液体肥料組成物のpHは、約5.7以上が好ましく、約5.8以上がより好ましく、約5.8〜7がさらに好ましい。
pHの調整剤は、通常使用されるpH調整剤であればいずれも使用し得るが、上記キレート剤でもあるクエン酸またはその塩を使用するのがより好ましい。
【0024】
本発明の液体肥料組成物には、さらに本発明の目的を損なわない範囲の種類および量の他の成分を所望により配合することができる。他の成分としては、例えばビタミン類(例えばビタミンB、ビタミンB、ニコチン酸アミド等)、腐敗防止剤(例えば安息香酸、ソルビン酸、プロピオン酸等)または着色剤(例えば青色1号等)などが挙げられる。
【0025】
本発明の液体肥料組成物は、通常は窒素源、リン源、カリウム源、肥料保証成分、微量金属元素およびキレート剤並びにその他所望の成分を水に溶解し、所望によりろ過し、pH調整することによって容易に製造される。
水は、水道水、精製水、イオン交換水または蒸留水等が挙げられるが、これらに限定されない。溶解は、撹拌等の公知の手段によって行なってよく、また、所望により溶解を促進するため加温してもよい。ろ過およびpH調整は公知手段によって行われてよい。
【0026】
本発明の液体肥料組成物を植物体または培土に施用する際は、施用される植物体の必要栄養素量に応じて、液体肥料組成物を水で250〜5000容量倍に希釈して施用するのが好ましく、特に500〜2000容量倍に希釈して施用するのがより好ましい。希釈する水は特に限定されないが、上記液体肥料組成物の製造に使用される水と同様のものを使用し得る。
施用方法は、上記希釈液を植物の葉面や茎に散布してもよく、植物育成用培土に散布、注入等してもよい。また上記希釈濃度となるように本発明の液体肥料組成物を植物育成用養液に添加してもよい。
【0027】
本発明の高濃度液体肥料組成物を植物体に施用すると、収量増加、葉や根部生長促進、花芽成形促進、花数増加、開花の促進等の植物生育上の好ましい結果を奏し得る。
本発明の組成物が適用される植物としては、園芸作物(例えば、花卉、果樹、野菜等)、食用作物(例えば、禾穀類、豆類、芋類等)、飼料作物(例えば、牧草類、青刈飼料作物類、根菜類、緑肥類等)、工芸作物(例えば、繊維料、油料、糖料、デンプン、嗜好料、ゴム・樹脂料、香料、香辛料、染料、薬料等)などが挙げられる。より具体的には、例えばキク類、クリサンセマム類、デージー、アゲラタム、コスモス、ガーベラ、マリーゴールド等のキク科草花、アリッサム、ハボタン等のアブラナ科草花、クロッカス、アイリス類等のアヤメ科草花、アマリリス、アリストロメリア等のヒガンバナ科草花、ヒアシンス、チューリップ等のユリ科草花、アネモネ、シャクヤク等のキンポウゲ科草花、カーネーション、ナデシコ類等のナデシコ科草花、トレニア等のゴマノハグサ科草花、ロベリア等のキキョウ科草花、ポインセチア等のトウダイグサ科草花、プリムラ、シクラメン等のサクラソウ科草花、ゴデチア等のアカバナ科草花、ペチュニア等のナス科草花、アサガオ等のヒルガオ科草花、サルビア、コリウス等のシソ科草花、シバザクラ等のハナシノブ科草花、インパチェンス等のツリフネソウ科草花、トルコギキョウ等のリンドウ科草花、ポピー等のケシ科草花、マツバギク等のツルナ科草花、ヘチマ等のウリ科草花、ゼラニウム等のフウロソウ科草花、スイートピー等のマメ科草花、セントポーリア等のイワタバコ科草花、ゼニアオイ等のアオイ科草花、ヒマラヤユキノシタ等のユキノシタ科草花、ケイトウ等のヒユ科草花、スターチス等のイソマツ科草花、パンジー等のスミレ科草花、バーベナ等のクマツヅラ科草花、ベゴニア等のシュウカイドウ科草花、マツバボタン等のスベリヒユ科草花、ニチニチソウ等のキョウチクトウ科草花、その他カランコエ、シラン、ネモフィラ、ワスレナグサ、オシロイバナ、カラー、カンナ、クレオメ、コキア、セイヨウマツムシソウ、トケイソウ、ホテイアオイ、ムラサキツユクサ、オキザリス、ブバルディア、スイレン等の草花、イチリンソウ類、コザクラ類、カタクリ、スミレ等の山野草、アジアンタム、オリヅルラン、ガジュマル、カラジウム、クンシラン、ゴールドクレスト、ゴムノキ、サボテン類、スパティフィラム、ドラセナ、パキラ、ハイビスカス、ヘデラ、ベンジャミン、ポトス、ヤシ類等の観葉植物、シンビジウム、ファレノプシス、エビネ等のラン類、ウメ、サクラ、バラ、カナメモチ等のバラ科樹木、シャクナゲ、ドウダンツツジ、ツツジ、サツキ等のツツジ科樹木、マンサク等のマンサク科樹木、エニシダ、フジ、ハギ等のマメ科樹木、サンゴジュ等のスイカズラ科樹木、キンモクセイ、ヒイラギ等のモクセイ科樹木、ハナミズキ、アオキ等のミズキ科樹木、モクレン等のモクレン科樹木、ジンチョウゲ等のジンチョウゲ科樹木、ツバキ、サザンカ等のツバキ科樹木、アジサイ等のユキノシタ科樹木、ロウバイ等のロウバイ科樹木、エゴノキ等のエゴノキ科樹木、ムベ等のアケビ科樹木、マサキ等のニシキギ科樹木、ムクゲ等のアオイ科樹木、キンポウジュ等のフトモモ科樹木、ヒノキ等のヒノキ科樹木、コウヤマキ、スギ等のスギ科樹木、カシ類等のブナ科樹木、キョウチクトウ等のキョウチクトウ科樹木、キンシバイ等のオトギリソウ科樹木、クチナシ等のアカネ科樹木、イヌツゲ等のモチノキ科樹木、マツ類等のマツ科樹木、ヤツデ等のウコギ科樹木、ユズ等のミカン科樹木、ヤブコウジ等のヤブコウジ科樹木、その他、ゲッケイジュ、ベニバナトチノキ、トベラ、ヒイラギナンテン、ボタン、グミ、ザクロ、サルスベリ、シコンノボタン、ノウゼンカズラ、ブッドレア、ヤマモモ、リョウブ、キウイ、センリョウ、ナンテン、ムラサキシキブ、イヌマキ、カエデ類、クヌギ、ケヤキ、シラカバ、ツゲ、チョウセンマキ、ナツツダ、ユズリハ、タケ、ササ等の観賞用園芸植物や、例えばトマト、ナス、ピーマン、シシトウ、トウガラシ、オクラ、イチゴ、キュウリ、スイカ、メロン、カボチャ、ラッカセイ等の果菜類、キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、カリフラワー、メキャベツ、ホウレンソウ、レタス、シュンギク、セルリー、ニラ、アスパラガス、ウド、カイワレダイコン、ミツバ、パセリ、シソ、クレソン、ネギ類、コマツナ等のツケナ類、ハーブ類等の葉茎菜類、ダイコン、ラディッシュ、ニンジン、カブ、タマネギ、ゴボウ、ショウガ、ニンニク等の根菜類、チンゲンサイ等の中国野菜、温州ミカン等の柑橘、リンゴ、ナシ、ブドウ、モモ、カキ、クリ、ウメ、オウトウ、ビワ、パイナップル、バナナ等の果樹類、イネ、麦類、トウモロコシ等の穀類、ダイズ、エンドウ等の豆類、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ等の芋類等などの食用植物、ナタネ、タバコ、チャ等の工芸作物、その他飼料作物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
以下、実施例および試験例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例および試験例になんら限定されるものではない。以下の実施例および試験例において、%は、質量%を示す。
【実施例1】
【0029】
表1に記載の成分およびその配合量を溶解し、高濃度液体肥料組成物(製剤例1)を製造した。
【0030】
【表1】

【実施例2】
【0031】
表2に記載の成分およびその配合量を溶解・混和し、高濃度液体肥料組成物(製剤例2)を製造した。
【0032】
【表2】

【0033】
〔試験例1〕 安定性試験
【0034】
1.低温条件下における安定性
調製した製剤例1および製剤例2を、−3℃で、1ヶ月保存し、結晶析出または沈殿の有無につき観察した。
その結果、製剤例1および製剤例2共に、−3℃、1ヶ月保存後において、結晶の析出または沈殿は認められず、低温条件下において安定であった。
このことは、本発明の高濃度液体肥料組成物は、寒冷地においても安定な高濃度液体肥料組成物として用いことができることを示す。
【0035】
2.ガス発生試験
製剤例1の組成物の高温時ガス発生量を確認するため、製剤例1を、キューネ醗酵管(30mL充填仕様)に充填し、40℃で保存し、4週間後および8週間後にガス発生量を測定したが、問題とならないガス発生量であることが分かった(表3)。
【0036】
【表3】

【0037】
3.直射日光下における安定性
調製した製剤例1および製剤例2を、直射日光下で、9ヶ月保存し、結晶析出または沈殿の有無、ガス発生の有無につき観察した。
その結果、製剤例1および製剤例2共に、直射日光下、9ヶ月保存後において、結晶の析出または沈殿、あるいはガス発生は認められず、直射日光下において安定であった。
このことは、本発明の高濃度液体肥料組成物は、屋外等の直射日光下に置かれても安定な高濃度液体肥料組成物として用いことができることを示す。また、本発明の高濃度液体肥料組成物は、ガスの発生も認められないことから、ガス発生に伴う容器膨張等による容器破損の危険性もないことを示唆するものである。
【0038】
〔試験例2〕 植物に対する作用
1.被験液体肥料組成物
(1)ハイポネックス原液(株式会社ハイポネックスジャパン製、N:P:K=6:10:5)
(2)ハイポネックスハイグレード原液(株式会社ハイポネックスジャパン製、N:P:K=7:10:6)
(3)製剤例1の高濃度液体肥料組成物
2.方法
ペチュニア、サルビア、マリーゴールドまたはパンジーの苗を5号鉢に定植、あるいはコマツナの種を5号鉢に播種した。前記定植または播種1週間後から週1回、各被験液体肥料組成物を水道水で500倍希釈した溶液を、1鉢当たりそれぞれ300mLを土壌潅注した。
ペチュニア10週間、サルビアおよびマリーゴールド12週間、パンジー22週間、並びにコマツナ9週間栽培後にそれぞれ地上部新鮮重を測定した。ペチュニア、マリーゴールドおよびパンジーについては、開花期以降、1週間ごとに花数を測定し、サルビアについては開花期以降、1週間ごとに花の重量を測定した。
3.結果
【0039】
(1)ペチュニア
ペチュニアの苗を定植し、10週間栽培した後の累積花数および地上部新鮮重を表4に示す。製剤例1の高濃度液体肥料組成物は、他の液体肥料組成物に比較し累積花数が多く、地上部新鮮重が大きかった。従って、本発明の高濃度液体肥料組成物は、ペチュニアの花付および成長に優れていることがわかった。
【表4】

【0040】
(2)サルビア
サルビアの苗を定植し、12週間栽培した後の累積花重量および地上部新鮮重を表5に示す。製剤例1の高濃度液体肥料組成物は、他の液体肥料組成物に比較し累積花重量および地上部新鮮重が大きかった。従って、本発明の高濃度液体肥料組成物は、サルビアの花付および成長に優れていることがわかった。
【表5】

【0041】
(3)マリーゴールド
マリーゴールドの苗を定植し、12週間栽培した後の累積花数および地上部新鮮重を表6に示す。製剤例1の高濃度液体肥料組成物は、他の液体肥料組成物に比較し累積花数が多く、地上部新鮮重が大きかった。従って、本発明の高濃度液体肥料組成物は、マリーゴールドの花付および成長に優れていることがわかった。
【表6】

【0042】
(4)パンジー
パンジーの苗を定植し、22週間栽培した後の累積花数および地上部新鮮重を表7に示す。製剤例1の高濃度液体肥料組成物は、他の液体肥料組成物に比較し累積花数が多く、地上部新鮮重が大きかった。従って、本発明の高濃度液体肥料組成物は、パンジーの花付および成長に優れていることがわかった。
【表7】

【0043】
(4)コマツナ
コマツナの種を播種し、9週間栽培した後の地上部新鮮重を表8に示す。製剤例1の高濃度液体肥料組成物は、他の液体肥料組成物に比較し地上部新鮮重が大きかった。従って、本発明の高濃度液体肥料組成物は、コマツナの成長に優れていることがわかった。
【表8】

【0044】
以上の結果は、本発明の高濃度液体肥料組成物は、草花や野菜を含む植物の成長に優れていることを示すものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の高濃度液体肥料組成物は、長期安定な希釈タイプの新規高濃度液体肥料組成物として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硝酸態窒素、アンモニア態窒素および尿素態窒素をそれらの窒素合計量として7.5質量%以上、リンをPとして7.5質量%以上、カリウムをKOとして4.5質量%以上含有し、かつマグネシウム、マンガンおよびホウ素から選択される少なくとも1種の肥料保証成分、並びにカルシウム、鉄、銅、亜鉛およびモリブデンから選択される少なくとも1種の微量金属元素を含有することを特徴とする安定な高濃度液体肥料組成物。
【請求項2】
硝酸態窒素を0.5質量%以上1.5質量%未満含有することを特徴とする請求項1記載の高濃度液体肥料組成物。
【請求項3】
マグネシウムを含有し、マグネシウムの含有量が組成物全体に対しMgOとして0.03質量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の高濃度液体肥料組成物。
【請求項4】
カルシウムおよび鉄を含有し、カルシウムの含有量が組成物全体に対しCaとして0.01〜0.5質量%であり、鉄の含有量が組成物全体に対しFeとして0.01質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高濃度液体肥料組成物。
【請求項5】
さらにキレート剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高濃度液体肥料組成物。
【請求項6】
さらにキレート剤がエチレンジアミン四酢酸またはその塩であることを特徴とする請求項5記載の高濃度液体肥料組成物。
【請求項7】
pHが5.8以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高濃度液体肥料組成物。
【請求項8】
pHが5.8〜7であることを特徴とする請求項7記載の高濃度液体肥料組成物。
【請求項9】
硝酸態窒素、アンモニア態窒素および尿素態窒素を組成物全体に対してそれらの窒素合計量として7.5質量%以上9.0質量%以下含有し、硝酸態窒素は組成物全体に対して0.5質量%以上1.5質量%未満であり、
リンを組成物全体に対してPとして7.5質量%以上10質量%未満含有し、
カリウムを組成物全体に対してKOとして4.5質量%以上6質量%以下含有し、
かつマグネシウム、マンガンおよびホウ素から選択される少なくとも1種の肥料保証成分を含有し、マグネシウムを含有するとき、マグネシウムの含有量は組成物全体に対しMgOとして0.03質量%以下であり、
並びにカルシウム、鉄、銅、亜鉛およびモリブデンから選択される少なくとも1種の微量金属元素を含有し、カルシウムおよび鉄を含有するとき、カルシウムの含有量が組成物全体に対しCaとして0.01〜0.5質量%であり、鉄の含有量が組成物全体に対しFeとして0.01質量%以下であり、
pHが5.8〜7
であることを特徴とする安定な高濃度液体肥料組成物。
【請求項10】
以下の成分を組成物全体に対して以下の割合で含有し、pHが5.8〜7であることを特徴とする安定な高濃度液体肥料組成物。
(1)硝酸態窒素、アンモニア態窒素および尿素態窒素をそれらの窒素合計量として7.5質量%以上9.0質量%以下、
(2)リンをPとして7.5質量%以上10質量%未満、
(3)カリウムをKOとして4.5質量%以上6質量%以下、
(4)マグネシウムをMgOとして0〜0.03質量%、
(5)マンガンをMnOとして0〜0.1質量%、
(6)ホウ素をBとして0〜0.2質量%、
(7)カルシウムをCaとして0〜0.5質量%、
(8)鉄をFeとして0〜0.01質量%、
(9)銅をCuとして0〜0.01質量%、
(10)亜鉛をZnとして0〜0.01質量%、
(11)モリブデンをMoとして0〜0.01質量%、並びに
(12)エチレンジアミン四酢酸又はその塩を0〜2.0質量%(ただし、前記(4)乃至(6)のいずれもが0質量%ではなく、かつ前記(7)乃至(11)のいずれもが0質量%ではない。)。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の高濃度液体肥料組成物を水で250〜5000容量倍に希釈をして、植物体または植物育成用養液若しくは植物育成用培土に施肥することを特徴とする植物の育成方法。

【公開番号】特開2007−145614(P2007−145614A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−338772(P2005−338772)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(390006596)住化タケダ園芸株式会社 (10)
【Fターム(参考)】