説明

高炉操業方法

【課題】過度の試行錯誤によることなく、マッド使用量を抑制して操業コストの過度の増大を回避しつつ、出銑口深度をより確実に安定化でき、炉寿命の延長を可能とする高炉操業方法を提供する。
【解決手段】出銑口1の上方に位置する羽口2の炉内側に形成されたレースウェイ3の深度LRWを、rTH/rRW<0.95を満たすように調整して、出銑口の深度LTHを安定化させる。ここで、rTHは高炉中心軸から出銑口の炉内側先端までの距離、rRWは高炉中心軸からレースウェイの炉内側先端までの距離を示す。LRWの調整は、羽口から炉内に吹き込まれる燃料の量を増減させる操業アクションおよび羽口に接続された送風支管4内の風量を増減させる操業アクションのいずれか一方または両方の操業アクションにより行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉操業において、出銑口深度を安定化させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉では、炉頂より鉄鉱石類およびコークスが装入されて層状に堆積し、いっぽう炉下部に設けられた羽口から高温の空気(熱風)が吹き込まれることにより炉内のコークスが燃焼して高温の還元性ガスが生成され、この高温還元性ガスが炉内を上昇する間に炉内に堆積した鉄鉱石類が還元、溶融され、生成した溶銑、溶滓が炉床へ流下している。
【0003】
このように鉄鉱石類は炉内の下部では溶融され消失するため、炉下部には炉芯コークス層と呼ばれるコークスの充填層が形成されている。
【0004】
炉床へ流下した溶銑、溶滓は、炉床部に設けられた出銑口を開口することにより炉外へ排出される。近年の大型高炉では、出銑口が複数個設けられており、これらの出銑口を交互に開口、閉塞することにより、炉床へ流下する溶銑、溶滓を常時炉外へ排出する操作、いわゆる連続出銑が行われている。
【0005】
出銑口は、タッピングマシンのドリルで開口され、出銑滓を終えたのち、マッドガンにてマッドと呼ばれる充填材が注入され、このマッドが熱で固化することにより閉塞される。このマッドの一部(マッド押量という。)は、出銑口の炉内側先端から炉内に注入され、固化して、炉床部の側壁面および炉底コーナ部を覆うマッド堆積層を形成する。
【0006】
このマッド堆積層は、炉床耐火物を高温の溶銑流による侵食から保護する重要な働きを有する。ここで、タッピングマシンで出銑口を開口する際におけるドリルの侵入長さ(炉壁耐火物とマッド堆積層の両方を貫通する長さ)を出銑口深度という。
【0007】
この出銑口深度が浅くなりすぎると(すなわち、マッド堆積層の厚みが薄くなると)、炉底コーナ部がマッドで覆えなくなってこの部位にフリースペースとよばれる空間部が形成され、炉床部へ流下した溶銑がこのフリースペースを通って出銑口から排出されるようになり、炉床部にいわゆる溶銑環状流が形成される。炉床部にこのような溶銑環状流が形成されると、炉床耐火物の損耗が加速され、炉寿命が著しく短縮してしまう。
【0008】
いっぽう、溶銑環状流の発生を防止するために出銑口深度を深くしすぎると、マッド使用量が過大となって、操業コストが著しく増大してしまう。
【0009】
したがって、マッド使用量を抑制して操業コストの過度の増大を回避しつつ、溶銑環状流の発生を防止して高炉の長寿命化を図るためには、出銑口深度を適正範囲に維持すること(出銑口深度の安定化)が重要である。しかしながら、従来の高炉操業においては、出銑口深度は変動しやすく、その変動要因も明らかではなかったため、出銑口深度を安定化させることは困難であった。また、出銑口深度の安定化に関する従来技術は少なく、わずかに以下のものが見出されるにすぎない。
【0010】
(従来技術1)
高炉の出銑口の上方に位置する羽口の送風支管に、前記羽口を通って高炉内に吹込まれる熱風の送風量を制御するために送風制御弁を設け、前記出銑口の深度によって、前記羽口からの前記熱風の送風量を制御し、前記出銑口の深度を適正値に保つようにしたことを特徴とする高炉の操業方法(特許文献1参照)。
【0011】
(従来技術2)
出銑滓量の増加が要求されないときや出銑時以外のときには、出銑孔上方の羽口からの送風量を、その他の羽口からの送風量と同等とするか或いはそれより相対的に減少することにより、コークス充填層(炉芯コークス層)とマッド堆積層との間の空間を小さくし、或いはコークス充填層(炉芯コークス層)がマッド堆積層を覆う状態として、高温の溶銑滓に晒されるマッド堆積層の損耗を抑制し、もって出銑孔深度の深さ、つまりマッド堆積層の厚みを補うマッド押量を減少することにより、マッドの原単位を低減する高炉の出銑滓制御方法(特許文献2参照)。
【特許文献1】特公昭63−65730号公報
【特許文献2】特開2000−256710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記従来技術1の方法は、出銑口深度によって、羽口からの熱風の送風量を制御し、出銑口深度を適正値に保つことにより、安定した出銑、出滓を可能とするものである。しかしながら、出銑口深度と羽口からの熱風の送風量との間の定量的な関係がまったく開示されておらず、出銑口深度の変化に対応してどの程度送風量を変化させればよいかについては不明である。したがって、この方法では、高炉のサイズや操業条件が変わるごとに送風量を試行錯誤により変更せざるを得ず、改善の余地があった。
【0013】
また、上記従来技術2の方法は、マッド使用量の低減を目的とするものであって、出銑口深度を適正範囲に維持することを直接の目的とするものではない。しかも、上記従来技術1と同様、出銑口深度と羽口からの送風量との定量的な関係はまったく開示されておらず、高炉のサイズや操業条件が変わるごとに送風量を試行錯誤により変更せざるを得ず、改善の余地があった。
【0014】
そこで、本発明は、過度の試行錯誤によることなく、マッド使用量を抑制して操業コストの過度の増大を回避しつつ、出銑口深度をより確実に安定化でき、炉寿命の延長を可能とする高炉操業方法を確立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述したように、従来の高炉操業において出銑口深度の変動要因が明らかではなかったので、本発明者らは、まず、出銑口深度の伸縮に影響を及ぼすと想定される各種パラメータの影響を調査するため、高炉操業データを用いて下記式(1)により次元解析を行った(図1参照)。
【0016】
TH=C・RRWα・MRβ・[%Si]γ・[%Ti]δ ・・・式(1)
ここに、RTH:高炉中心軸から出銑口1の炉内側先端までの距離rTHを炉床半径rH基準で無次元化した無次元数(=rTH/rH)、C:定数、RRW:高炉中心軸から出銑口1の上方に位置する羽口2の炉内側に形成されるレースウェイ3の炉内側先端までの距離rRWを炉床半径rH基準で無次元化した無次元数(=rRW/rH)、MR:マッド原単位(kg/thm)、[%Si]:溶銑中Si濃度(質量%)、[%Ti]:溶銑中Ti濃度(質量%)、α,β,γ,δ:指数である。
【0017】
ここで、上記式(1)において、出銑口深度LTH(すなわちRTH)の伸縮に影響を及ぼすと想定されるパラメータの一つとして、従来技術1,2が制御因子として採用した出銑口1の上方に位置する羽口2からの送風量でなく、当該羽口2の炉内側に形成されるレースウェイ3の深度LRW(すなわちRRW)を採用したのは、以下の理由による。
【0018】
つまり、出銑口深度LRWの伸縮は、炉芯コークス層5とマッド堆積層6との境界部における炉芯コークス層5の空隙率の大きさに依存してこの境界部を流れる高温の溶銑滓の流量が変化し、その結果、この溶銑滓に晒されて損耗するマッド堆積層6の損耗量が変化することにより生じると想定される。そして、上記境界部の炉芯コークス層5の空隙率は、炉芯コークス層5が炉底に着床するか、炉底から離れて浮き上がるかによって変化すると考えられる。この炉芯コークス層5の着床・浮上は、当該出銑口1近傍の炉芯コークス層5の荷重と炉内上昇ガス流れによる浮力とのバランスの変化によって生じると考えられる。したがって、炉内上昇ガス流れによる浮力と直接的に関係するレースウェイ深度LRW(すなわちRRW)をパラメータとして採用した。
【0019】
なお、上記送風量が同一でも、羽口径、羽口からの補助燃料の吹込み量、送風温度等によって炉内羽口前風速が異なり、レースウェイ深度が異なるので、上記次元解析のパラメータとして上記送風量を選択するのは適切とはいえない。
【0020】
高炉操業データを用いて上記式(1)により次元解析を行い、その結果に基づき、RTH/RRW(=rTH/rRW)と、レースウェイ深度(すなわちRRW)が出銑口深度(すなわちRTH)に及ぼす影響の度合いを表す指数αとの関係を図2に示す。図2にみられるように、RTH/RRW(=rTH/rRW)が0.95以上になるとαは略0となるので、レースウェイ深度(すなわちRRW)を変化させても出銑口深度(すなわちRTH)は変化しない。これに対し、RTH/RRW(=rTH/rRW)が0.95未満では常にα>0となるので、レースウェイ深度(すなわちRRW)を変化させることにより出銑口深度(すなわちRTH)を変化させることが可能となる。
【0021】
以上の知見に基づき、以下の発明を完成させるに至った。
【0022】
請求項1に記載の発明は、出銑口の上方に位置する羽口の炉内側に形成されたレースウェイの深度(以下、「レースウェイ深度」という。)を、下記式(2)を満たすように調整して、前記出銑口の深度を安定化させることを特徴とする高炉操業方法である。
式(2) rTH/rRW<0.95
ここに、rTHは高炉中心軸から前記出銑口の炉内側先端までの距離、rRWは高炉中心軸から前記レースウェイの炉内側先端までの距離である。
【0023】
なお、上記式(2)の右辺の値は、小さくするほどより確実にα>0となるので、好ましくは0.94、さらに好ましくは0.93である。
【0024】
請求項2に記載の発明は、前記レースウェイ深度の調整を、前記羽口から炉内に吹き込まれる燃料の量を増減させる操業アクションおよび前記羽口に接続された送風支管内の風量を増減させる操業アクションのいずれか一方または両方の操業アクションにより行う請求項1に記載の高炉操業方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、レースウェイ深度を所定の範囲に維持することにより、過度の試行錯誤によることなく、マッド使用量を抑制して操業コストの過度の増大を回避しつつ、出銑口深度をより確実に安定化でき、炉寿命の延長を可能とする高炉操業方法が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図を参照しつつ、本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の説明においては、一つの出銑口についてのみ説明するが、複数の出銑口を有する高炉の場合、各々の出銑口ごとに同様の操作を行えばよい。
【0027】
〔実施形態〕
図1は、本発明の一実施形態に係る高炉の羽口および出銑口近傍の部分縦断面図である。
【0028】
図1において、1は出銑口、2は出銑口1の上方に位置する羽口、3は羽口2の炉内側に形成されたレースウェイ、4は羽口3に接続された送風支管、5は炉芯コークス層、6はマッド堆積層である。また、LTHは出銑口1の深度(出銑口深度)、LRWはレースウェイ3の深度(レースウェイ深度)を示し、rTHは高炉中心軸から出銑口1の炉内側先端までの距離、rRWは高炉中心軸からレースウェイ3の炉内側先端までの距離、rHは炉床半径を示す。
【0029】
本発明は、レースウェイ深度LRWを、下記に再掲した式(2)を満たすように調整して、出銑口深度LTHを安定化させるものである。
【0030】
再掲 式(2) rTH/rRW<0.95
【0031】
したがって、上記出銑口深度LTHの安定化を達成するためには、rTHおよびrRWを求める必要があり、このためには出銑口深度LTHとレースウェイ深度LRWとを測定する必要がある。
【0032】
出銑口深度LTHは、出銑口1をタッピングマシンで開口する際における開口開始から開口完了までのドリルの侵入長さをドリルの駆動トルクの変化等から求めることができる。
【0033】
また、レースウェイ深度LRWは、導波管7よりマイクロ波を送風支管4の水平部後端に設けられた覗き窓8から炉内に向けて照射し、その反射波の強度から求めることができる(松井ら:CAMP−ISIJ,vol.16(2003),p.1036参照)。
【0034】
そして、上記のようにして測定した出銑口深度LTHおよびレースウェイ深度LRWと、既知の高炉各部の寸法とから、rTHおよびrRWを計算し、rTH/rRWを求める。
【0035】
以下、上記のようにして求めたrTH/rRWが0.95以上となった場合と、0.95未満となった場合とに分けて説明を行う。
【0036】
(A)rTH/rRWが0.95以上となった場合
上記のようにして求めたrTH/rRWが0.95以上となった場合(rTHが過大となった場合、すなわち出銑口深度LTHが過度に低下した場合)には、式(1)のRRW(すなわち、レースウェイ深度LRW)がRTH(すなわち、出銑口深度LTH)に及ぼす影響の度合いを表す指数αが略0になるため、レースウェイ深度LRWを変更しても出銑口深度LTHを変更できない。したがって、rTH/rRWが0.95未満、好ましくは0.94未満、より好ましくは0.93未満となるように、rRWを大きくする(すなわち、レースウェイ深度LRWを低下させる)ための操業アクションを行う。
【0037】
レースウェイ深度LRWを低下させるための操業アクションとしては、以下の2つの操業アクションが有効である。
【0038】
(a)羽口2から炉内に吹き込まれる微粉炭、廃プラスチックなどの補助燃料の量を増 加させる操業アクション
(b)羽口2に接続された送風支管3内の風量を減少させる操業アクション
【0039】
上記(a)の操業アクションを採用すると、炉内で予熱された高温のコークスの燃焼割合が減少し、常温の補助燃料の燃焼割合が増加するため、炉内羽口前の火焔温度が低下し、炉内羽口前ガス流速が低下する結果、レースウェイ深度LRWが低下する。
【0040】
いっぽう、上記(b)の操業アクションを採用すると、羽口2を通過する風量が減少して炉内羽口前ガス流速が低下する結果、レースウェイ深度LRWが低下する。
【0041】
送風支管3内の風量を減少させる具体的な手段としては、羽口2を内径の小さなものに取り替える方法が採用できる。羽口2の内径を絞ると、炉内羽口前ガス流速は上昇するものの、羽口2の圧損が増大して送風支管3内の風量が減少し、その結果、レースウェイ深度LTHが減少する(上記「松井ら:CAMP−ISIJ,vol.16(2003),p.1036」のFig.2参照)。
【0042】
なお、出銑口深度LTHの低下が著しい場合には、羽口2を閉塞羽口としてレースウェイ深度LRWを完全に0まで低下させることもできる。
【0043】
上記(a)および(b)の操業アクションは、いずれか一方のみを行ってもよいし、両方同時に行ってもよい。
【0044】
上記操業アクションによりrTH/rRWを0.95未満、好ましくは0.94未満、より好ましくは0.93未満に戻した結果、上記式(1)におけるRRW(すなわち、レースウェイ深度LRW)がRTH(すなわち、出銑口深度LTH)に及ぼす影響の度合いを表す指数αが常に正となる。したがって、RRW(すなわち、レースウェイ深度LRW)を変化させることにより、RTH(すなわち、出銑口深度LTH)を変化させることができる。
【0045】
たとえば、レースウェイ深度LRWを低下させることにより、前述したメカニズムにしたがい、炉内上昇ガス流れによる浮力が減少して炉芯コークス層5が炉底に着床し、炉芯コークス層5とマッド堆積層6との境界部における炉芯コークス層5の空隙率が低下してこの境界部を流れる溶銑滓の流量が減少し、マッド堆積層6の損耗量が低下することによって、出銑口深度LTHが伸長する。また、上記炉芯コークス層5の炉底への着床により、溶銑環状流も抑制される。この結果、炉床耐火物の損耗が抑制され、炉寿命が延長される。
【0046】
なお、上記(a),(b)の操業アクション(補助燃料吹込み量の増加、送風支管風量の減少)は、炉内周方向の荷下りの不均一化や溶銑生産速度の低下等を来たすため、出銑口深度LTHの伸長(回復)の度合いに応じて、rTH/rRが0.95以上とならない範囲で、上記(a),(b)の操業アクションとは逆の操業アクション(補助燃料吹込み量の減少、送風支管風量の増加)により、レースウェイ深度LRWを徐々に大きくして元の大きさに戻すようにするとよい。
【0047】
(B)rTH/rRWが0.95未満となった場合
上記のようにして求めたrTH/rRWが0.95未満となった場合(rTHが適正範囲にある場合、すなわち出銑口深度LTHが適正範囲にある場合)には、常にα>0となるので、レースウェイ深度LRWを変更することにより出銑口深度LTHを変更できる状態にある。したがって、この状態では、なんら上記(a),(b)の操業アクションを行う必要はなく、レースウェイ深度LRWを一定に保ちつつ、マッド堆積層6の厚みの損耗分を補うだけのマッド押量を維持して出銑口深度LTHを一定に保てばよい。これにより、マッド使用量を抑制して操業コストの過度の増大を回避しつつ、出銑口深度をより確実に安定化でき、炉寿命の延長が図れる。
【0048】
〔変形例〕
上記実施形態では、レースウェイ深度rRWを測定する手段として、マイクロ波を用いる手段を例示したが、高炉休風時に羽口2からプローブを装入して測定する手段を用いてもよい。ただし、マイクロ波を用いる手段の方が、操業中に、炉内にまったく影響を与えることなく測定できるため、より好ましい。
【0049】
また、上記実施形態では、送風支管3内の風量を減少させる手段として、羽口2の内径を縮小する例を示したが、送風支管に絞り部やオリフィスを挿入するようにしてもよい。
【実施例】
【0050】
本発明の効果を確認するため、内容積:1845m3、出銑口:2個、微粉炭吹込み比:約150kg/thmの高炉において、試験的に1個の出銑口の上方の羽口(1本)に、上述のマイクロ波による出銑口深度測定装置を設置し、発明例としてrTH/rRW=0.91(目標値)、比較例としてrTH/rRW=0.98(目標値)に、それぞれ維持する操業を行った。
【0051】
試験結果を図3に、マッド原単位MRと出銑口深度LTHとの関係で示す。図3から明らかなように、マッド原単位MRが同一の範囲でも、発明例は比較例に比べて、出銑口深度LTHが約12%増加していることがわかる。
【0052】
したがって、本発明により、従来技術に比べ、過度の試行錯誤によることなく、マッド使用量を抑制して操業コストの過度の増大を回避しつつ、より確実に出銑口深度を適正範囲に維持(安定化)できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る高炉の羽口および出銑口近傍の部分縦断面図である。
【図2】rTH/rRWと指数αとの関係を示すグラフ図である。
【図3】マッド原単位MRと出銑口深度LTHとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1:出銑口
2:羽口
3:レースウェイ
4:送風支管
5:炉芯コークス層
6:マッド堆積層
7:導波管
8:覗き窓
TH:出銑口深度
RW:レースウェイ深度
TH:高炉中心軸から出銑口1の炉内側先端までの距離
RW:高炉中心軸からレースウェイ3の炉内側先端までの距離
H:炉床半径


【特許請求の範囲】
【請求項1】
出銑口の上方に位置する羽口の炉内側に形成されたレースウェイの深度(以下、「レースウェイ深度」という。)を、下記式を満たすように調整して、前記出銑口の深度を安定化させることを特徴とする高炉操業方法。
式 rTH/rRW<0.95
ここに、rTHは高炉中心軸から前記出銑口の炉内側先端までの距離、rRWは高炉中心軸から前記レースウェイの炉内側先端までの距離である。
【請求項2】
前記レースウェイ深度の調整を、前記羽口から炉内に吹き込まれる燃料の量を増減させる操業アクションおよび前記羽口に接続された送風支管内の風量を増減させる操業アクションのいずれか一方または両方の操業アクションにより行う請求項1に記載の高炉操業方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−63383(P2006−63383A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−246855(P2004−246855)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】