説明

高炉炉頂ガスの乾式集塵システムおよび乾式集塵方法

【課題】高炉休風立ち上がり時に、炉頂ガスの昇温を安価な構成で安定的に実施し、TRTによる電力回収量の増加を図ることができる高炉炉頂ガスの乾式集塵システムを提供すること。
【解決手段】炉頂ガスGの温度を調整する炉頂ガス温度調整手段6は、炉頂ガス配管721に設けられた炉頂ガス熱交換器61と、この炉頂ガス熱交換器61での熱交換前の炉頂ガスGの温度を測定する炉頂ガス温度測定手段62と、排ガス熱交換器51から流出する加熱後の熱媒体を炉頂ガス熱交換器61へ流入させて、この流入させた加熱後の熱媒体との熱交換により炉頂ガスGを加熱する加熱状態と、燃料ガス熱交換器52および燃焼空気熱交換器53から流出する冷却後の熱媒体を炉頂ガス熱交換器61へ流入させて、この流入させた冷却後の熱媒体との熱交換により炉頂ガスGを冷却する冷却状態と、を切り替える熱媒体切替手段67と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉炉頂ガスの乾式集塵システムおよび乾式集塵方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉には、高炉炉頂ガスの持つ温度および圧力エネルギーを電力として回収するための炉頂圧力回収タービン(TRT)と、高炉炉頂ガス中のダストを除去する集塵設備とが設置されている。集塵設備には、乾式集塵機と湿式集塵機の2種類がある。
ところで、集塵設備として乾式集塵機を用いる場合には、以下のような問題が発生するおそれがある。
【0003】
高炉休風立ち上がり時や高炉冷え込み時には、炉頂ガス温度が低く、後続設置している乾式集塵機内で結露する温度(60℃程度)以下になる場合、前記結露の発生により乾式集塵機の濾布にダストが付着して、ガスの流路が塞がれてしまう。このため、乾式集塵機の集塵能力が低下してしまう。
また、高炉の吹抜け時において、炉頂ガス温度が高く濾布を焼損させる温度(200℃程度)以上になる場合、濾布が焼損して乾式集塵機自体が機能しなくなる。
【0004】
両ケースとも、最悪の場合には高炉の休風に至ることが想定される。
また、高炉が冷え込みや吹き抜け状態になると、通常操業状態に回復させるのが難しく、場合によっては何日、何カ月といったオーダーで非常事態が続く可能性がある。
そこで、このような乾式集塵機における問題を解決するための検討がなされている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
特許文献1では、炉頂ガスを昇温させるための専用のガス燃焼炉を設置し、前記炉頂ガス温度が低温になった場合、このガス燃焼炉で温めたガスを乾式集塵機の前流側に設置した熱交換器に導いて炉頂ガスを昇温させている。この昇温後の炉頂ガスを乾式集塵機に導いて、乾式集塵機内での結露を防止している。また、炉頂ガス温度が高温の場合には、乾式集塵機の前流側で炉頂ガスに液体噴射器で冷却水を噴射することで、炉頂ガス温度を下げている。
【0006】
特許文献2では、熱媒式の熱交換器を乾式集塵機の前後に設置するとともに、熱媒配管途中に蓄熱体を設置している。蓄熱体に蓄熱された熱を利用して、炉頂ガスを昇温したり、冷却したりすることで、炉頂ガスの温度を適切に制御している。また、このような構成を用いることにより、従来、前記炉頂ガス温度の異常高低温時の緊急用として併設されている湿式集塵機を廃止し、乾式集塵機のみで集塵している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平3−18500号公報
【特許文献2】特開2007−46113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のような構成では、ガス燃焼炉用のガス管を新たに架設する必要がある。さらに、ガスにより熱交換器を昇温させているため、熱交換器まで太い配管を架設する必要がある。このようなことから、経済的に合理的でない。
【0009】
一方、特許文献2のような構成では、操業状況により蓄熱体の必要容量が変わり、さらに蓄熱体からの放散熱もあるため、蓄熱体の容量決定が難しい。
また、操業状態により炉頂ガスの昇温に必要な供給熱量や冷却に必要な奪熱量が変化してしまう。このような変化する状況においては、蓄熱体が絶えず放熱していることもあり、操業状況によっては、必要熱量を確保できない可能性が出てくる。
そのため、蓄熱体の容量不足になる可能性があり、依然として湿式集塵機の併設が必要となり、さらに湿式集塵機使用のためにTRTによる電力回収量の低下を招いてしまう。
【0010】
本発明の目的は、高炉炉頂ガスの異常高低温時の対策を安価な構成で安定的に実施し、TRTによる電力回収量の増加を図ることができる高炉炉頂ガスの乾式集塵システムおよび乾式集塵方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の乾式集塵システムは、高炉と、前記高炉に熱風を供給する熱風炉と、前記熱風炉に燃料ガスおよび燃焼空気を供給する燃料ガス供給手段および燃焼空気供給手段と、前記熱風炉からの排気ガスを再利用する排熱再利用システムと、前記高炉から発生する炉頂ガスの温度を調整する炉頂ガス温度調整手段と、前記炉頂ガス中のダストを除去する乾式集塵機と、前記乾式集塵機からの炉頂ガスにより駆動する炉頂圧回収タービンと、を少なくとも備え、前記排熱再利用システムは、前記熱風炉からの排ガス配管に設けられ、流入する熱媒体と排気ガスの間で熱交換を行って、加熱後の熱媒体を流出させる排ガス熱交換器と、前記燃料ガス供給手段と前記熱風炉とを連結する燃料ガス配管および前記燃焼空気供給手段と前記熱風炉とを連結する燃焼空気配管に各々設けられ、前記排ガス熱交換器で加熱された熱媒体との間で熱交換を行って燃料ガスおよび燃焼空気を加熱し、冷却後の熱媒体を前記排ガス熱交換器へと流入させる燃料ガス熱交換器および燃焼空気熱交換器と、から構成される高炉炉頂ガスの乾式集塵システムにおいて、前記炉頂ガス温度調整手段は、前記高炉と前記乾式集塵機とを連結する炉頂ガス配管に設けられ、流入する熱媒体と炉頂ガスとの間で熱交換を行って、当該熱媒体を流出させる炉頂ガス熱交換器と、前記炉頂ガス熱交換器での熱交換前の炉頂ガスの温度を測定する炉頂ガス温度測定手段と、前記炉頂ガス熱交換器における熱媒体の流入元および熱媒体の流出先を切り替える熱媒体切替手段と、を備え、前記熱媒体切替手段は、前記炉頂ガス温度測定手段での測定結果に基づいて、前記排ガス熱交換器から流出する加熱後の熱媒体を前記炉頂ガス熱交換器へ流入させて、この流入させた加熱後の熱媒体との熱交換により炉頂ガスを加熱し、奪熱された熱媒体を前記排ガス熱交換器へ流出させる加熱状態と、前記燃料ガス熱交換器および前記燃焼空気熱交換器から流出する奪熱後の熱媒体を前記炉頂ガス熱交換器へ流入させて、この流入させた奪熱後の熱媒体との熱交換により炉頂ガスを冷却し、加熱された熱媒体を前記燃料ガス熱交換器および前記燃焼空気熱交換器へ流出させる冷却状態と、を切り替え可能に構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の乾式集塵方法は、高炉と、前記高炉に熱風を供給する熱風炉と、前記熱風炉に燃料ガスおよび燃焼空気を供給する燃料ガス供給手段および燃焼空気供給手段と、前記熱風炉からの排気ガスを再利用する排熱再利用システムと、前記炉頂ガス中のダストを除去する乾式集塵機と、前記乾式集塵機からの炉頂ガスにより駆動する炉頂圧回収タービンと、を少なくとも備え、前記排熱再利用システムは、前記熱風炉からの排ガス配管に設けられ、流入する熱媒体と排気ガスの間で熱交換を行って、加熱後の熱媒体を流出させる排ガス熱交換器と、前記燃料ガス供給手段と前記熱風炉とを連結する燃料ガス配管および前記燃焼空気供給手段と前記熱風炉とを連結する燃焼空気配管に各々設けられ、前記排ガス熱交換器で加熱された熱媒体との間で熱交換を行って燃料ガスおよび燃焼空気を加熱し、冷却後の熱媒体を前記排ガス熱交換器へと流入させる燃料ガス熱交換器および燃焼空気熱交換器と、から構成される高炉炉頂ガスの乾式集塵システムを利用する乾式集塵方法であって、前記乾式集塵システムに、前記高炉と前記乾式集塵機とを連結する炉頂ガス配管に設けられ、流入する熱媒体と炉頂ガスとの間で熱交換を行って、当該熱媒体を流出させる炉頂ガス熱交換器と、前記炉頂ガス熱交換器での熱交換前の炉頂ガスの温度を測定する炉頂ガス温度測定手段と、前記炉頂ガス熱交換器における熱媒体の流入元および熱媒体の流出先を切り替える熱媒体切替手段と、を設け、前記炉頂ガス温度測定手段で測定された温度が予め設定された下限値未満であると判断すると、前記排ガス熱交換器から流出する加熱後の熱媒体を前記炉頂ガス熱交換器へ流入させて、この流入させた加熱後の熱媒体との熱交換により炉頂ガスを加熱し、奪熱された熱媒体を前記排ガス熱交換器へ流出させる加熱状態に設定し、予め設定された上限値以上であると判断すると、前記燃料ガス熱交換器および前記燃焼空気熱交換器から流出する奪熱後の熱媒体を前記炉頂ガス熱交換器へ流入させて、この流入させた奪熱後の熱媒体との熱交換により炉頂ガスを冷却し、加熱された熱媒体を前記燃料ガス熱交換器および前記燃焼空気熱交換器へ流出させる冷却状態に設定することを特徴とする。
【0013】
以上のような本発明によれば、高炉に熱風を供給する熱風炉の排気ガス、燃料ガス、および、燃焼空気を利用して、炉頂ガスの温度を調整する。具体的に、炉頂ガスの温度を上げたい場合には、燃料ガスと燃焼空気との熱交換により加熱された熱媒体を利用して、炉頂ガスの温度を上げる。一方で、炉頂ガスの温度を下げたい場合には、排気ガスとの熱交換に利用される加熱されていない熱媒体を利用して、炉頂ガスの温度を下げる。
このため、高炉の操業中には常に運転している熱風炉の排気ガスを使用しているため、炉頂ガスの温度調整をいつでも行うことができ、安定的に炉頂ガスの昇温や冷却を行うことができる。従って、湿式集塵機が不要となり、乾式集塵機のみを使用することができるので、TRTによる電力回収量の低下を防止できる。また、排熱再利用システムを利用して炉頂ガスの温度調整を行っているため、炉頂ガス配管に炉頂ガス熱交換器を設けるとともに、排熱再利用システムで循環させている熱媒体を炉頂ガス熱交換器に供給する経路を設けるだけでよい。さらに、熱媒体を循環させるための配管として比較的小さいサイズのものを用いることができる。よって、設備費の増加を抑制できる。
【0014】
本発明の乾式集塵システムでは、前記熱媒体切替手段は、前記排ガス熱交換器から流出し前記炉頂ガス熱交換器に流入する加熱後の熱媒体の流量を調整する第1熱媒体流入弁と、前記燃料ガス熱交換器および前記燃焼空気熱交換器から流出し前記炉頂ガス熱交換器に流入する奪熱後の熱媒体の流量を調整する第2熱媒体流入弁と、前記炉頂ガス熱交換器から流出し前記排ガス熱交換器に流入する奪熱後の熱媒体の流量を調整する第1熱媒体流出弁と、前記炉頂ガス熱交換器から流出し前記燃料ガス熱交換器および前記燃焼空気熱交換器に流入する加熱後の熱媒体の流量を調整する第2熱媒体流出弁と、を備え、前記炉頂ガス温度調整手段は、前記炉頂ガス熱交換器での熱交換前の炉頂ガスの流量を測定する炉頂ガス流量測定手段と、前記第1熱媒体流入弁に流入する加熱後の熱媒体の温度および流量を測定する第1熱媒体測定手段と、前記第2熱媒体流入弁に流入する冷却後の熱媒体の温度および流量を測定する第2熱媒体測定手段と、を備えることが好ましい。
【0015】
ここで、例えば、炉頂ガスの温度を目的温度までの上昇させる時間を、炉頂ガスの温度によらず一定にする場合、炉頂ガスの流量が多いほど、炉頂ガスに与える単位時間あたりの熱量を多くする必要がある。
この発明によれば、炉頂ガス熱交換器に流入させる熱媒体の温度に応じて、第1熱媒体流入弁を調整することで、炉頂ガスとの熱交換に利用される熱媒体の流量を調整することができる。すなわち、炉頂ガスに与える単位時間あたりの熱量を調整できる。従って、温度調整対象の炉頂ガスの流量にあわせた必要な熱量を、炉頂ガスに与えることができ、炉頂ガスの温度によらず、炉頂ガスの温度を目的温度まで上昇させる時間を一定にできる。
【0016】
本発明の乾式集塵システムでは、前記炉頂ガス温度調整手段は、前記炉頂ガス温度測定手段で測定された温度が予め設定された下限値未満であると判断すると、前記熱媒体切替手段を前記加熱状態に設定し、予め設定された上限値以上であると判断すると、前記熱媒体切替手段を前記冷却状態に設定する熱媒体制御手段を備え、前記熱媒体制御手段は、前記炉頂ガス流量測定手段、前記第1熱媒体測定手段、および、前記第2熱媒体測定手段での測定結果に基づいて、前記第1熱媒体流入弁、前記第2熱媒体流入弁、前記第1熱媒体流出弁、および、前記第2熱媒体流出弁を制御することで、前記炉頂ガス熱交換器に流入する熱媒体の流量を調整することが好ましい。
【0017】
この発明によれば、熱媒体制御手段による自動制御により炉頂ガスの温度を適切に調整できるため、対応が瞬時にタイミングよくでき、作業者の負荷を低減できる。
【0018】
本発明の乾式集塵システムでは、前記炉頂ガス配管は、前記炉頂ガス熱交換器が設置された熱交換器設置管と、前記熱交換器設置管における前記炉頂ガス熱交換器よりも前記高炉側と前記炉頂ガス熱交換器よりも前記乾式集塵機側とを連結するバイパス管と、を備え、前記炉頂ガス温度調整手段は、前記熱交換器設置管に炉頂ガスを流通させて当該炉頂ガスの熱交換を行う熱交換状態と、前記バイパス管に炉頂ガスを流通させて当該炉頂ガスの熱交換を行わない非熱交換状態と、を切り替える熱交換状態切替手段を備えることが好ましい。
【0019】
この発明によれば、熱交換状態切替手段により、排気ガスの熱交換を行う熱交換状態と、熱交換を行わない非熱交換状態とを切り替えることにより、必要な場合のみ炉頂ガス熱交換器を使用することができ、炉頂ガス熱交換器の長寿命化を図ることができる。
【0020】
本発明の乾式集塵システムでは、前記炉頂ガス温度調整手段は、前記炉頂ガス温度測定手段で測定された温度が予め設定された下限値未満、又は、予め設定された上限値以上であると判断すると、前記熱交換状態切替手段を前記熱交換状態に設定し、前記下限値以上且つ前記上限値未満であると判断すると、前記熱交換状態切替手段を前記非熱交換状態に設定する熱交換制御手段を備えることが好ましい。
【0021】
この発明によれば、熱交換制御手段による自動制御により、炉頂ガスの熱交換を行うか否かを適切に調整できるため、対応が瞬時にタイミングよくでき、作業者の負荷を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る高炉炉頂ガスの乾式集塵システムを示す模式図。
【図2】前記乾式集塵システムの炉頂ガス温度調整手段の要部を示すブロック図。
【図3】前記乾式集塵システムにおける立ち上げの際の作用を示す説明図。
【図4】前記乾式集塵システムにおける炉頂ガス温度を上げるときの作用を示す説明図。
【図5】前記乾式集塵システムにおける炉頂ガス温度を下げるときの作用を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[乾式集塵システムの構成]
図1において、乾式集塵システム1は、高炉2と、この高炉2に熱風を供給する2基の熱風炉3と、この熱風炉3に燃料を供給する燃料供給手段4と、熱媒体を循環させることで煙突31から発生する排気ガスEの熱を再利用する排熱再利用システム5と、高炉2から発生する炉頂ガスGの温度を調整する炉頂ガス温度調整手段6と、熱風炉3で温度が調整された炉頂ガスG中の固体粒子を除去する集塵設備7と、この集塵設備7で固体粒子が除去された炉頂ガスGで駆動するTRT8とを備える。
【0024】
熱風炉3は、それぞれ図示しない燃焼室と、蓄熱室とを備える。
燃焼室は、燃料供給手段4から供給される燃料ガスおよび燃焼空気を混合して燃焼させる。
蓄熱室では、燃焼室での燃焼ガスから生ずる熱を蓄え、蓄熱後の排気ガスEを煙突31から排出する。一方で、蓄熱室では、蓄熱が終了した後、この蓄えた熱を送風機32から導入される空気に伝えて熱風Wを生成し、高炉2の羽口に供給する。なお、熱風炉3の数は、3基以上であっても良い。
【0025】
燃料供給手段4は、燃料ガスを熱風炉3に供給する燃料ガス供給手段41と、燃料ガスに対して所定の比率となるような燃焼空気を熱風炉3に供給する燃焼空気供給手段42とを備える。
また、燃料ガス供給手段41から延びる燃料ガス配管411、燃焼空気供給手段42から延びる燃焼空気配管421、煙突31へと延びる排ガス配管311、送風機32から延びる配管321、および、高炉2の図示しない羽口へと延びる配管201は、それぞれ2個に分岐しており、2基の熱風炉3にそれぞれ接続されている。また、燃料ガス配管411、燃焼空気配管421、排ガス配管311、配管321、配管201における分岐点よりも熱風炉3側には、それぞれ弁43、弁44、弁33、弁34、弁21が設けられている。
【0026】
排熱再利用システム5は、排ガス熱交換器51と、燃料ガス熱交換器52と、燃焼空気熱交換器53と、熱媒体貯槽54と、膨張タンク55とを備える。なお、以下において、加熱されていない低温の熱媒体を低温媒体Lと言い、加熱された高温の熱媒体を高温媒体Hと言う場合がある。
【0027】
排ガス熱交換器51、燃料ガス熱交換器52、および、燃焼空気熱交換器53は、排ガス配管311、燃料ガス配管411、および、燃焼空気配管421における、分岐点よりも煙突31側、燃料ガス供給手段41側、および、燃焼空気供給手段42側に、それぞれ設けられている。
排ガス熱交換器51の出口から延びる高温管511は、2個に分岐しており、燃料ガス熱交換器52、燃焼空気熱交換器53の入口にそれぞれ接続されている。また、排ガス熱交換器51の入口から延びる低温管512も、2個に分岐しており、燃料ガス熱交換器52、燃焼空気熱交換器53の出口にそれぞれ接続されている。低温管512には、熱媒体を循環させる循環ポンプ56が設けられている。
【0028】
熱媒体貯槽54は、配管541を介して低温管512に接続されている。配管541には、熱媒体貯槽54に貯蔵された熱媒体を低温管512に供給する供給ポンプ57が設けられている。
膨張タンク55は、配管551を介して低温管512に接続され、低温管512内の熱媒体が膨張した際に、この膨張分の熱媒体を吸収する。
【0029】
集塵設備7は、除塵器71と、乾式集塵機72とを備える。
乾式集塵機72は、炉頂ガス配管721を介して除塵器71に接続され、配管724を介してTRT8に接続されている。乾式集塵機72は、図示しない濾布を備える。そして、乾式集塵機72は、炉頂ガスGのダストを濾布で除去してTRT8へ供給する。なお、炉頂ガス配管721は、除塵器71と乾式集塵機72とを連結し後述する炉頂ガス熱交換器61が設置される熱交換器設置管722と、熱交換器設置管722における炉頂ガス熱交換器61よりも除塵器71側と乾式集塵機72側とを連結するバイパス管723とを備える。
【0030】
ここで、炉頂ガスGの温度が高すぎると、乾式集塵機72が有する濾布が焼損してしまい、前記温度が低すぎると、濾布が結露して乾式集塵機72の集塵性能が低下してしまうため、炉頂ガスGの温度を適切に制御する必要がある。
炉頂ガス温度調整手段6は、このような不具合を解消するためのものであり、炉頂ガス熱交換器61と、炉頂ガス温度測定手段62と、炉頂ガス流量測定手段63と、第1熱媒体測定手段64と、第2熱媒体測定手段65と、熱交換状態切替手段66と、熱媒体切替手段67と、熱交換後ガス温度測定手段68と、制御装置69(図2参照)とを備える。
【0031】
炉頂ガス熱交換器61は、熱交換器設置管722に設置され、排熱再利用システム5で循環させる熱媒体と、炉頂ガスGとの間で熱交換を行う。この炉頂ガス熱交換器61の入口には、入口配管611が接続され、出口には、出口配管612が接続されている。入口配管611は、2個に分岐しており、この分岐の先端が高温管511と低温管512とにそれぞれ連結されている。また、出口配管612も2個に分岐しており、この分岐の先端が高温管511と低温管512とにそれぞれ連結されている。なお、高温管511における入口配管611との連結点は、出口配管612との連結点よりも上流側に位置している。また、低温管512における入口配管611との連結点は、出口配管612との連結点よりも下流側に位置している。
【0032】
炉頂ガス温度測定手段62および炉頂ガス流量測定手段63は、配管711に設置されている。炉頂ガス温度測定手段62は、炉頂ガス熱交換器61での熱交換前の炉頂ガスGの温度を測定し、炉頂ガス流量測定手段63は、炉頂ガス熱交換器61での熱交換前の炉頂ガスGの流量を測定する。そして、炉頂ガス温度測定手段62および炉頂ガス流量測定手段63は、その測定結果を制御装置69へ出力する。
【0033】
第1熱媒体測定手段64は、高温管511における入口配管611との接続点よりも上流側に、第2熱媒体測定手段65は、低温管512における入口配管611との接続点よりも上流側に、それぞれ設けられている。第1熱媒体測定手段64は、高温管511を流通する熱媒体の温度を測定する熱媒体温度測定手段641と、当該熱媒体の流量を測定する熱媒体流量測定手段642とを備える。また、第2熱媒体測定手段65も同様に、低温管512を流通する熱媒体の温度および流量をそれぞれ測定する熱媒体温度測定手段651と、熱媒体流量測定手段652とを備える。そして、第1熱媒体測定手段64および第2熱媒体測定手段65は、熱媒体温度測定手段641、熱媒体温度測定手段651、熱媒体流量測定手段642、熱媒体流量測定手段652での測定結果を制御装置69へ出力する。
【0034】
熱交換状態切替手段66は、炉頂ガスGを炉頂ガス熱交換器61において熱交換を行う熱交換状態と、熱交換を行わない非熱交換状態とを切り替える。この熱交換状態切替手段66は、熱交換器設置管722における炉頂ガス熱交換器61よりも除塵器71側および乾式集塵機72側にそれぞれ設けられた一対の熱切替弁661と、バイパス管723に設けられたバイパス弁662とを備える。熱切替弁661およびバイパス弁662は、制御装置69の制御により、開度を連続的に調整可能に構成されている。
【0035】
熱媒体切替手段67は、炉頂ガス熱交換器61に流入させる熱媒体を切り替えるとともに、当該熱媒体の流量を調整する。この熱媒体切替手段67は、第1熱媒体流入弁671と、第2熱媒体流入弁672と、第1熱媒体流出弁673と、第2熱媒体流出弁674とを備える。
第1熱媒体流入弁671は、入口配管611における分岐点よりも高温管511側に設置され、第2熱媒体流入弁672は、当該分岐点よりも低温管512側に設置されている。また、第1熱媒体流出弁673は、出口配管612における分岐点よりも低温管512側に設置され、第2熱媒体流出弁674は、当該分岐点よりも高温管511側に設置されている。第1熱媒体流入弁671、第2熱媒体流入弁672、第1熱媒体流出弁673、第2熱媒体流出弁674は、制御装置69の制御により、開度を連続的に調整可能に構成されている。
熱交換後ガス温度測定手段68は、炉頂ガス配管721における炉頂ガス熱交換器61の後流側に設けられ、熱媒体との熱交換後の炉頂ガスの温度を測定し、その測定結果を制御装置69へ出力する。
【0036】
制御装置69は、いわゆるコンピュータであり、図示しない記憶手段に記憶されたプログラムおよびデータをCPU(Central Processing Unit)が処理することにより構成される熱風炉制御手段691と、熱交換制御手段692と、熱媒体制御手段693とを備える。
熱風炉制御手段691は、2基の熱風炉3を必要に応じて稼働させ、熱風Wを高炉2に供給させたり、炉頂ガスGの温度調整に利用するために排気ガスEを排出させたりする。
熱交換制御手段692は、熱交換状態切替手段66を制御して、炉頂ガスGの加熱又は冷却を行う熱交換状態と、加熱および冷却の両方を行わない非熱交換状態とを切り替える。
熱媒体制御手段693は、熱媒体切替手段67を制御して、炉頂ガスGを加熱する加熱状態と、炉頂ガスGを冷却する冷却状態とを切り替える。
【0037】
[乾式集塵システムの作用]
次に、乾式集塵システム1の作用について説明する。なお、以下において、熱媒体のうち高温状態の熱媒体を高温媒体Hと、低温状態の熱媒体を低温媒体Lという場合がある。
【0038】
まず、乾式集塵システム1の立ち上げの際、制御装置69の熱風炉制御手段691は、図1に示すように、全ての弁21と弁34とを閉じ、全ての弁43と弁44と弁33とを開く。そして、燃料ガス供給手段41から図1中下の熱風炉3に燃料ガスを供給し、燃焼空気供給手段42から熱風炉3に燃焼空気を供給して、熱風炉3の燃焼室での燃焼を開始する。
一方、制御装置69の熱交換制御手段692は、第1熱媒体流入弁671、第2熱媒体流入弁672、第1熱媒体流出弁673、第2熱媒体流出弁674を閉じて、循環ポンプ56を回転させて熱媒体を低温管512に供給し、この熱媒体を低温管512と高温管511を介して、排ガス熱交換器51と燃料ガス熱交換器52との間、および、排ガス熱交換器51と燃焼空気熱交換器53との間で循環させる。
また、制御装置69の熱媒体制御手段693は、熱切替弁661を閉じ、バイパス弁662を開けて、炉頂ガスGがバイパス管723を流通可能な非熱交換状態に設定する。
【0039】
熱風炉制御手段691は、熱風炉3の燃焼室での温度が十分に上昇したことを検出すると、図3に示すように、図3中上の熱風炉3に対応する弁34と弁21とを開け、当該熱風炉3に対応する弁33を閉じて、送風機32からの空気を燃焼室に導入し、燃焼室で昇熱された熱風Wを高炉2の羽口に供給する。
一方、昇温中の図3中下の熱風炉3で発生する排気ガスEは、排ガス配管311を介して排ガス熱交換器51内に導入される。この排気ガスEは、排ガス熱交換器51において低温管512から供給される低温媒体Lとの熱交換により熱を奪われた後、煙突31から排出される。
【0040】
低温管512から排ガス熱交換器51に流入する低温媒体Lは、排気ガスEとの熱交換により加熱されて、高温媒体Hとして高温管511に流出する。この高温媒体Hは、燃料ガス熱交換器52と燃焼空気熱交換器53にそれぞれ流入し、燃料ガスと燃焼空気との熱交換により熱を奪われた後、低温媒体Lとして低温管512に流出する。この低温媒体Lは、排ガス熱交換器51に再度流入し、上述したような排気ガスEとの熱交換に利用される。
一方、燃料ガスと燃焼空気は、燃料ガス熱交換器52および燃焼空気熱交換器53における高温媒体Hとの熱交換により加熱される。この加熱された燃料ガスと燃焼空気が熱風炉3に導入されることで、燃焼室での燃焼が促進される。
【0041】
高炉2では、羽口に導入された熱風Wを利用して、銑鉄が製造される。この製造の際に生成される炉頂ガスGは、配管711およびバイパス管723を介して除塵器71および乾式集塵機72に導入され、ダストが除去される。そして、ダストが除去された炉頂ガスGは、TRT8に導入され、TRT8の駆動に利用される。
【0042】
制御装置69の熱交換制御手段692は、炉頂ガス温度測定手段62での測定結果に基づいて、高炉2から排出される炉頂ガスGの温度が予め設定された下限値(例えば、70℃)未満と判断した場合、炉頂ガスGの温度を上げるために、熱切替弁661を開け、バイパス弁662を閉じて、図4に示すように、炉頂ガスGが熱交換器設置管722を流通可能な熱交換状態に設定する。
また、制御装置69の熱媒体制御手段693は、炉頂ガスGの温度を上げるために、熱媒体切替手段67を加熱状態に切り替える。具体的に、第1熱媒体流入弁671と第1熱媒体流出弁673とを開く。この切り替えにより、高温管511を流通する高温媒体Hが入口配管611にも流入する。そして、熱交換器設置管722を流通する炉頂ガスGは、炉頂ガス熱交換器61において高温媒体Hとの熱交換により加熱される。この加熱により適切な温度に調整された炉頂ガスGが乾式集塵機72に流入するため、乾式集塵機72の濾布が結露してしまうという不具合が抑制される。
【0043】
ここで、熱媒体制御手段693は、炉頂ガス温度測定手段62、炉頂ガス流量測定手段63、第1熱媒体測定手段64での測定結果に基づいて、第1熱媒体流入弁671の開度を調節することで、炉頂ガスGを目的温度まで上昇させる所要時間を、炉頂ガスGの温度によらずほぼ同じにする。
【0044】
熱交換制御手段692は、高炉2から排出される炉頂ガスGの温度が予め設定された上限値(例えば、180℃)以上と判断した場合、炉頂ガスGの温度を下げるために、図5に示すように、熱交換状態切替手段66を熱交換状態に設定する。
また、熱媒体制御手段693は、炉頂ガスGの温度を下げるために、熱媒体切替手段67を冷却状態に切り替える。具体的に、第2熱媒体流入弁672と第2熱媒体流出弁674とを開くことで、低温管512を流通する低温媒体Lを入口配管611に流入させる。そして、熱交換器設置管722を流通する炉頂ガスGは、炉頂ガス熱交換器61において低温媒体Lとの熱交換により適切な温度まで冷却され、乾式集塵機72に流入する。これにより、乾式集塵機72の濾布が焼損してしまうという不具合が抑制される。
【0045】
ここで、熱媒体制御手段693は、炉頂ガス温度測定手段62、炉頂ガス流量測定手段63、第2熱媒体測定手段65での測定結果に基づいて、第2熱媒体流入弁672の開度を調節することで、炉頂ガスGを目的温度まで下降させる所要時間を、炉頂ガスGの温度によらずほぼ同じにする。
また、熱風炉制御手段691は、熱交換後ガス温度測定手段68で測定された、炉頂ガス熱交換器61の後流側での温度に基づいて、燃料ガスおよび燃焼空気の流量を調整して、熱風炉3内で必要な燃焼カロリーを確保する。
【0046】
[乾式集塵システムの効果]
このように、本実施形態では、高炉2に熱風を供給する熱風炉3からの排気ガスEを使用して、乾式集塵機72の集塵能力が落ちないように炉頂ガスGの温度を調整している。
このため、高炉2の操業中には常に運転している熱風炉3の排気ガスEを使用しているため、炉頂ガスGの温度調整が必要なときには、安定的に炉頂ガスGの昇温や冷却を行うことができる。従って、湿式集塵機が不要となり、乾式集塵機72のみを使用することができるので、TRT8による電力回収量の低下を防止できる。特に、乾式集塵システム1を新設する場合には、湿式集塵機の設置費用を削減でき、安価に新設できる。また、排熱再利用システム5を利用して炉頂ガスGの温度調整を行っているため、炉頂ガス配管721に炉頂ガス熱交換器61を設けるとともに、排熱再利用システム5で循環させている熱媒体を炉頂ガス熱交換器61に供給する経路を設けるだけでよい。さらに、熱媒体の循環により炉頂ガスGの温度調整を行うため、熱媒体を循環させるための入口配管611および出口配管612として比較的小さいサイズのものを用いることができる。よって、設備費の増加を抑制できる。
【0047】
炉頂ガスGの流量を測定する炉頂ガス流量測定手段63と、入口配管611に流入させる高温媒体Hおよび低温媒体Lの温度および流量を測定する第1熱媒体測定手段64および第2熱媒体測定手段65と、入口配管611に流入させる高温媒体Hおよび低温媒体Lの流量をそれぞれ調整する第1熱媒体流入弁671および第2熱媒体流入弁672とを設けている。
このため、例えば高温媒体Hの温度に応じて炉頂ガス熱交換器61に供給する高温媒体Hの流量を調整することで、温度調整対象の炉頂ガスGの流量にあわせた必要な熱量を、炉頂ガスGに与えることができる。
【0048】
熱交換状態切替手段66を設けて、炉頂ガスGの熱交換を行う熱交換状態と、熱交換を行わない非熱交換状態とを切り替え可能に構成している。このため、必要な場合のみ炉頂ガス熱交換器61を使用することができ、炉頂ガス熱交換器61の長寿命化を図ることができる。
【0049】
熱媒体制御手段693による自動制御により熱媒体切替手段67を調整し、熱交換制御手段692による自動制御により熱交換状態切替手段66を調整しているため、瞬時にタイミングよく対応でき作業者の負荷を低減できる。
【0050】
[変形例]
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、具体的な各部構成などは実施にあたって適宜変形することができる。
すなわち、炉頂ガス熱交換器61で炉頂ガスGに与える熱量や炉頂ガス熱交換器61で炉頂ガスGから回収する熱量にあわせて、炉頂ガス熱交換器61を2個以上設けてもよい。
また、炉頂ガス流量測定手段63、第1熱媒体測定手段64、および、第2熱媒体測定手段65を設けずに、炉頂ガス温度測定手段62での測定結果に基づいて、炉頂ガスGの温度を上げるときに第1熱媒体流入弁671と第1熱媒体流出弁673を全開にし、炉頂ガスGの温度を下げるときに第2熱媒体流入弁672と第2熱媒体流出弁674を全開にしてもよい。
また、熱交換器設置管722、熱切替弁661、バイパス弁662を設けずに、バイパス管723に炉頂ガス熱交換器61を設けてもよい。
そして、熱交換制御手段692を設けずに、作業者が熱切替弁661とバイパス弁662の開閉を行ってもよい。また、熱媒体制御手段693を設けずに、作業者が炉頂ガス温度測定手段62、炉頂ガス流量測定手段63、第1熱媒体測定手段64、第2熱媒体測定手段65での測定結果に基づいて、第1熱媒体流入弁671、第2熱媒体流入弁672、第1熱媒体流出弁673、第2熱媒体流出弁674の開閉を行ってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…乾式集塵システム、2…高炉、3…熱風炉、4…燃料供給手段、5…排熱再利用システム、6…炉頂ガス温度調整手段、7…集塵設備、21…弁、31…煙突、32…送風機、33,34…弁、41…燃料ガス供給手段、42…燃焼空気供給手段、43,44…弁、51…排ガス熱交換器、52…燃料ガス熱交換器、53…燃焼空気熱交換器、54…熱媒体貯槽、55…膨張タンク、56…循環ポンプ、57…供給ポンプ、61…炉頂ガス熱交換器、62…炉頂ガス温度測定手段、63…炉頂ガス流量測定手段、64…第1熱媒体測定手段、65…第2熱媒体測定手段、66…熱交換状態切替手段、67…熱媒体切替手段、68…熱交換後ガス温度測定手段、69…制御装置、71…除塵器、72…乾式集塵機、201…配管、311…排ガス配管、321…配管、411…燃料ガス配管、421…燃焼空気配管、511…高温管、512…低温管、541…配管、551…配管、611…入口配管、612…出口配管、641…熱媒体温度測定手段、642…熱媒体流量測定手段、651…熱媒体温度測定手段、652…熱媒体流量測定手段、661…熱切替弁、662…バイパス弁、671…第1熱媒体流入弁、672…第2熱媒体流入弁、673…第1熱媒体流出弁、674…第2熱媒体流出弁、711…配管、721…炉頂ガス配管、722…熱交換器設置管、723…バイパス管、724…配管、E…排気ガス、G…炉頂ガス、H…高温媒体、L…低温媒体、W…熱風。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉と、
前記高炉に熱風を供給する熱風炉と、
前記熱風炉に燃料ガスおよび燃焼空気を供給する燃料ガス供給手段および燃焼空気供給手段と、
前記熱風炉からの排気ガスを再利用する排熱再利用システムと、
前記高炉から発生する炉頂ガスの温度を調整する炉頂ガス温度調整手段と、
前記炉頂ガス中のダストを除去する乾式集塵機と、
前記乾式集塵機からの炉頂ガスにより駆動する炉頂圧回収タービンと、を少なくとも備え、
前記排熱再利用システムは、
前記熱風炉からの排ガス配管に設けられ、流入する熱媒体と排気ガスの間で熱交換を行って、加熱後の熱媒体を流出させる排ガス熱交換器と、
前記燃料ガス供給手段と前記熱風炉とを連結する燃料ガス配管および前記燃焼空気供給手段と前記熱風炉とを連結する燃焼空気配管に各々設けられ、前記排ガス熱交換器で加熱された熱媒体との間で熱交換を行って燃料ガスおよび燃焼空気を加熱し、冷却後の熱媒体を前記排ガス熱交換器へと流入させる燃料ガス熱交換器および燃焼空気熱交換器と、から構成される高炉炉頂ガスの乾式集塵システムにおいて、
前記炉頂ガス温度調整手段は、
前記高炉と前記乾式集塵機とを連結する炉頂ガス配管に設けられ、流入する熱媒体と炉頂ガスとの間で熱交換を行って、当該熱媒体を流出させる炉頂ガス熱交換器と、
前記炉頂ガス熱交換器での熱交換前の炉頂ガスの温度を測定する炉頂ガス温度測定手段と、
前記炉頂ガス熱交換器における熱媒体の流入元および熱媒体の流出先を切り替える熱媒体切替手段と、を備え、
前記熱媒体切替手段は、
前記炉頂ガス温度測定手段での測定結果に基づいて、前記排ガス熱交換器から流出する加熱後の熱媒体を前記炉頂ガス熱交換器へ流入させて、この流入させた加熱後の熱媒体との熱交換により炉頂ガスを加熱し、奪熱された熱媒体を前記排ガス熱交換器へ流出させる加熱状態と、前記燃料ガス熱交換器および前記燃焼空気熱交換器から流出する奪熱後の熱媒体を前記炉頂ガス熱交換器へ流入させて、この流入させた奪熱後の熱媒体との熱交換により炉頂ガスを冷却し、加熱された熱媒体を前記燃料ガス熱交換器および前記燃焼空気熱交換器へ流出させる冷却状態と、を切り替え可能に構成されていることを特徴とする高炉炉頂ガスの乾式集塵システム。
【請求項2】
請求項1に記載の高炉炉頂ガスの乾式集塵システムにおいて、
前記熱媒体切替手段は、
前記排ガス熱交換器から流出し前記炉頂ガス熱交換器に流入する加熱後の熱媒体の流量を調整する第1熱媒体流入弁と、
前記燃料ガス熱交換器および前記燃焼空気熱交換器から流出し前記炉頂ガス熱交換器に流入する奪熱後の熱媒体の流量を調整する第2熱媒体流入弁と、
前記炉頂ガス熱交換器から流出し前記排ガス熱交換器に流入する奪熱後の熱媒体の流量を調整する第1熱媒体流出弁と、
前記炉頂ガス熱交換器から流出し前記燃料ガス熱交換器および前記燃焼空気熱交換器に流入する加熱後の熱媒体の流量を調整する第2熱媒体流出弁と、を備え、
前記炉頂ガス温度調整手段は、
前記炉頂ガス熱交換器での熱交換前の炉頂ガスの流量を測定する炉頂ガス流量測定手段と、
前記第1熱媒体流入弁に流入する加熱後の熱媒体の温度および流量を測定する第1熱媒体測定手段と、
前記第2熱媒体流入弁に流入する冷却後の熱媒体の温度および流量を測定する第2熱媒体測定手段と、を備えることを特徴とする高炉炉頂ガスの乾式集塵システム。
【請求項3】
請求項2に記載の高炉炉頂ガスの乾式集塵システムにおいて、
前記炉頂ガス温度調整手段は、
前記炉頂ガス温度測定手段で測定された温度が予め設定された下限値未満であると判断すると、前記熱媒体切替手段を前記加熱状態に設定し、予め設定された上限値以上であると判断すると、前記熱媒体切替手段を前記冷却状態に設定する熱媒体制御手段を備え、
前記熱媒体制御手段は、
前記炉頂ガス流量測定手段、前記第1熱媒体測定手段、および、前記第2熱媒体測定手段での測定結果に基づいて、前記第1熱媒体流入弁、前記第2熱媒体流入弁、前記第1熱媒体流出弁、および、前記第2熱媒体流出弁を制御することで、前記炉頂ガス熱交換器に流入する熱媒体の流量を調整することを特徴とする高炉炉頂ガスの乾式集塵システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の高炉炉頂ガスの乾式集塵システムにおいて、
前記炉頂ガス配管は、
前記炉頂ガス熱交換器が設置された熱交換器設置管と、
前記熱交換器設置管における前記炉頂ガス熱交換器よりも前記高炉側と前記炉頂ガス熱交換器よりも前記乾式集塵機側とを連結するバイパス管と、を備え、
前記炉頂ガス温度調整手段は、前記熱交換器設置管に炉頂ガスを流通させて当該炉頂ガスの熱交換を行う熱交換状態と、前記バイパス管に炉頂ガスを流通させて当該炉頂ガスの熱交換を行わない非熱交換状態と、を切り替える熱交換状態切替手段を備えることを特徴とする高炉炉頂ガスの乾式集塵システム。
【請求項5】
請求項4に記載の高炉炉頂ガスの乾式集塵システムにおいて、
前記炉頂ガス温度調整手段は、前記炉頂ガス温度測定手段で測定された温度が予め設定された下限値未満、又は、予め設定された上限値以上であると判断すると、前記熱交換状態切替手段を前記熱交換状態に設定し、前記下限値以上且つ前記上限値未満であると判断すると、前記熱交換状態切替手段を前記非熱交換状態に設定する熱交換制御手段を備えることを特徴とする高炉炉頂ガスの乾式集塵システム。
【請求項6】
高炉と、
前記高炉に熱風を供給する熱風炉と、
前記熱風炉に燃料ガスおよび燃焼空気を供給する燃料ガス供給手段および燃焼空気供給手段と、
前記熱風炉からの排気ガスを再利用する排熱再利用システムと、
前記炉頂ガス中のダストを除去する乾式集塵機と、
前記乾式集塵機からの炉頂ガスにより駆動する炉頂圧回収タービンと、を少なくとも備え、
前記排熱再利用システムは、
前記熱風炉からの排ガス配管に設けられ、流入する熱媒体と排気ガスの間で熱交換を行って、加熱後の熱媒体を流出させる排ガス熱交換器と、
前記燃料ガス供給手段と前記熱風炉とを連結する燃料ガス配管および前記燃焼空気供給手段と前記熱風炉とを連結する燃焼空気配管に各々設けられ、前記排ガス熱交換器で加熱された熱媒体との間で熱交換を行って燃料ガスおよび燃焼空気を加熱し、冷却後の熱媒体を前記排ガス熱交換器へと流入させる燃料ガス熱交換器および燃焼空気熱交換器と、から構成される高炉炉頂ガスの乾式集塵システムを利用する乾式集塵方法であって、
前記乾式集塵システムに、
前記高炉と前記乾式集塵機とを連結する炉頂ガス配管に設けられ、流入する熱媒体と炉頂ガスとの間で熱交換を行って、当該熱媒体を流出させる炉頂ガス熱交換器と、
前記炉頂ガス熱交換器での熱交換前の炉頂ガスの温度を測定する炉頂ガス温度測定手段と、
前記炉頂ガス熱交換器における熱媒体の流入元および熱媒体の流出先を切り替える熱媒体切替手段と、を設け、
前記炉頂ガス温度測定手段で測定された温度が予め設定された下限値未満であると判断すると、前記排ガス熱交換器から流出する加熱後の熱媒体を前記炉頂ガス熱交換器へ流入させて、この流入させた加熱後の熱媒体との熱交換により炉頂ガスを加熱し、奪熱された熱媒体を前記排ガス熱交換器へ流出させる加熱状態に設定し、
予め設定された上限値以上であると判断すると、前記燃料ガス熱交換器および前記燃焼空気熱交換器から流出する奪熱後の熱媒体を前記炉頂ガス熱交換器へ流入させて、この流入させた奪熱後の熱媒体との熱交換により炉頂ガスを冷却し、加熱された熱媒体を前記燃料ガス熱交換器および前記燃焼空気熱交換器へ流出させる冷却状態に設定することを特徴とする乾式集塵方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−219358(P2012−219358A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89005(P2011−89005)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【Fターム(参考)】