説明

高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物及び定着ロール

【解決手段】熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物100質量部に、平均粒子径が200μm以下で真比重が0.3以下である有機樹脂製中空フィラー0.1〜50質量部と、平均粒子径が1〜30μmで熱伝導性充填材単体の熱伝導率が15W/m・K以上である熱伝導性充填材20〜300質量部とを含有し、かつ、空孔容積率が高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物全体の10〜70%であることを特徴とする高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
【効果】本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物を用いることにより、熱伝導性が高いと共に、熱容量の小さいシリコーンゴムスポンジを与えることができ、しかも得られたシリコーンゴムスポンジは、低硬度で軽量であり、圧縮永久歪が小さいものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性が高く、かつ、熱容量が小さく、しかもゴム弾性に優れ、低硬度、軽量であり、耐圧縮永久歪特性に優れるシリコーンゴムスポンジ(硬化物)を与えることができ、特には、電子写真複写機、プリンター、ファクシミリ等の静電記録装置における加熱定着装置の定着用ローラ等に好適に使用される高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物及び該組成物の硬化物(シリコーンゴムスポンジ)層を有する定着ロールに関するものである。
【0002】
なお、本発明においては、有機樹脂製中空フィラーに由来する空隙部を有する中空のゴム組成物及び該中空ゴム組成物の硬化物を「シリコーンゴムスポンジ組成物」及び「シリコーンゴムスポンジ(硬化物)」と記載するが、同様の意味で、「シリコーンゴム発泡体組成物」及び「シリコーンゴム発泡体」と記載する場合がある。
【背景技術】
【0003】
加熱硬化型液状シリコーンゴム組成物は成形性に優れ、成形後は耐熱性、電気絶縁性に優れる硬化物(シリコーンゴム)を与えることから種々の分野で使用されている。特に比重の低い材料は、各種製品の小型化、軽量化に貢献できるため、数多くの分野において望まれている。その中で特に、耐熱性や離型性に優れることからPPCやLBPやFAX等の電子写真式画像形成装置のトナー定着ロールに多く使用されている。これら電子写真プロセスを利用した機器においては、感光体表面から複写紙に転写されたトナー像を複写紙に固定する必要がある。このトナー像を固定する方法として、互いに圧接回転している加熱されたヒーターロールと加圧ロールとの間に複写紙を通過させ、複写紙上のトナー像を熱融着し、固定する方法が広く採用されている。この熱融着方法においては、一般にロール材料の熱伝導率を高くすることで、応答の速い複写機、プリンター等とすることができるが、一方で熱伝導性の高いものは放熱も早く、小型化、低価格化の流れの中で、逆に熱伝導性の低い、即ち蓄熱性のよい材料が必要とされていた。このようなものとして、特開平5−209080号公報(特許文献1)には、熱により膨張する未発泡の有機樹脂フィラーを添加する方法が開示されているが、成形型内で膨張するため、発泡の均一性等の成形面で困難な点が多かった。また、特開平9−137063号公報(特許文献2)には、液状のシリコーンゴム組成物に合成樹脂中空体(既発泡)を添加する方法が記されており、任意成分としてヒュームドシリカ、沈降シリカ、石英粉、珪藻土等の無機充填材が記されている。しかしながら、それら充填材の具体的な添加量や熱伝導、熱容量効果の違いについては全く触れられておらず、実施例においても、気相法二酸化珪素(ヒュームドシリカ)が例示されているのみであった。ところが、ヒュームドシリカや沈降シリカはシリコーンゴムに強度を付与することができるが、一方で、圧縮永久歪を悪化させてしまう傾向があり、特に気体を内包する低比重シリコーンゴム(スポンジ体)ではその度合いが著しく、好ましい充填材ではなかった。更に、トナー定着ロール用の低比重材料としては、既発泡の中空フィラーを配合した材料を開示した特許第3274071号公報や特許第3494039号公報(特許文献3,4)があるが、前者については無機充填材としてカーボンブラックの添加例が示されているのみ、後者については、任意成分としてシリカ微粉末、炭酸カルシウム、酸化鉄等が例示されているものの詳細についての記述はなく、実施例で使用されているのは、ヒュームドシリカのみであった。また、特開2001−220510号公報(特許文献5)には、既発泡有機樹脂フィラーに加えて多価アルコールを添加することにより、圧縮永久歪が小さい材料を得る方法が記されているが、これも同じく無機充填材は任意成分として記されるのみで、実施例にはヒュームドシリカしか記載されていなかった。
【0004】
しかしながら、近年プリンターの単位時間当たりの印刷枚数の増加をうけて、トナー溶融機構側(ヒーターが内蔵されたロールやベルト、セラミックヒーターやIHヒーター)からの加熱だけでは不足するケースが見られるようになった。
【0005】
前述の低熱伝導スポンジロールをトナー溶融機構に対して圧縮するいわゆる「加圧スポンジロール」として使用する場合は熱伝導性が低いため、印刷面(紙が接触する部分)から一度熱を奪われるとその部分の表面温度が急激に低下してしまうという問題が発生し、ロール径の変化、即ち均一なロール外径が得られなくなるという問題があった。
【0006】
反対に、熱伝導性のよい未発泡ソリッドゴム(即ち、スポンジ等の中空状の空隙部分を有さない、中実状のゴム)、あるいは高熱伝導ゴムを使用した加圧ロールは前述の問題は発生しないものの、加圧ロール全体をトナー溶融温度に上昇させる際に大きな熱エネルギーを加える必要が発生する。即ちファーストプリントの待機時間(ウォームアップ時間)が長くなってしまうという問題が発生してしまう。このため、理想の加圧ロール材料としては熱容量の小さい高熱伝導材料が必要とされた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−209080号公報
【特許文献2】特開平9−137063号公報
【特許文献3】特許第3274071号公報
【特許文献4】特許第3494039号公報
【特許文献5】特開2001−220510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、熱伝導性が高く、しかも熱容量が低いシリコーンゴム硬化物を与え、熱定着ロール用として有効な高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物、及びその硬化物層を有する定着ロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、中実状のシリコーンゴム組成物に予め所定の粒子径に発泡させた有機樹脂製の中空フィラーを配合してシリコーンゴムスポンジ組成物及びその硬化物(シリコーンゴムスポンジ)を得る場合に、平均粒子径が200μm以下で真比重が0.3以下の有機樹脂製中空フィラーを選択し、更に平均粒子径が1〜30μmの熱伝導性充填材粉末(熱伝導性充填材粉末単体の熱伝導率が15W/m・K以上)を配合することにより、熱容量の小さい高熱伝導性スポンジシリコーンゴム硬化物を得ることができ、これは電子写真式画像形成装置のトナー溶融定着ロールとして好適であることを見出したものである。
【0010】
従って、本発明は、下記の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物及び該組成物の硬化物からなるシリコーンゴムスポンジ層を有する定着ロールを提供する。
請求項1:
熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物100質量部に、平均粒子径が200μm以下で真比重が0.3以下である有機樹脂製中空フィラー0.1〜50質量部と、平均粒子径が1〜30μmで熱伝導性充填材単体の熱伝導率が15W/m・K以上である熱伝導性充填材20〜300質量部とを含有し、かつ、空孔容積率が高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物全体の10〜70%であることを特徴とする高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
請求項2:
熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物が、
(A)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)1分子中に珪素原子と結合する水素原子を2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜50質量部、
(C)付加反応触媒
(A)成分及び(B)成分の合計質量に対して0.5〜1,000ppm
からなるものである請求項1記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
請求項3:
有機樹脂製中空フィラーが、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれるモノマーの重合物並びにこれらモノマーのうちの2種以上の共重合物から選ばれるものである請求項1又は2記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
請求項4:
熱伝導性充填材が金属珪素粉末である請求項1〜3のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
請求項5:
更に、多価アルコール又はその誘導体を(A)成分100質量部に対し1〜30質量部含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
請求項6:
高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の硬化後の熱伝導率が0.15W/m・K以上であり、かつ該シリコーンゴムスポンジ組成物から有機樹脂製中空フィラーを除いた中実状態の熱伝導性シリコーンゴム組成物の硬化後の熱伝導率が0.3W/m・K以上である請求項1〜5のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
請求項7:
高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の硬化後の熱容量(J/K)が1.4以下である請求項1〜6のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
請求項8:
電子写真方式の画像形成装置に使用されるトナー定着ロール用である請求項1〜7のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
請求項9:
ロール軸の外周面にシリコーンゴムスポンジ層を設けてなる熱定着ロールにおいて、該シリコーンゴムスポンジ層が請求項1〜8のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物を硬化させて形成されたものであることを特徴とする定着ロール。
請求項10:
ロール軸の外周面にシリコーンゴムスポンジ層を介してフッ素樹被覆脂層を設けてなるフッ素樹脂被覆定着ロールにおいて、該シリコーンゴムスポンジ層が請求項1〜8のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物を硬化させて形成されたものであることを特徴とするフッ素樹脂被覆定着ロール。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物を用いることにより、熱伝導性が高いと共に、熱容量の小さいシリコーンゴムスポンジを与えることができ、しかも得られたシリコーンゴムスポンジは、低硬度で軽量であり、圧縮永久歪が小さいものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物は、熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物に有機樹脂製中空フィラー及び熱伝導性充填材を配合してなるものである。
ここで、熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物は、
(A)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)1分子中に珪素原子と結合する水素原子を2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜50質量部、
(C)付加反応触媒
(A)成分及び(B)成分の合計質量に対して0.5〜1,000ppm
からなるものである。
【0013】
この熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物について詳述すると、(A)成分の1分子中に少なくとも平均2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンは、本発明組成物の主剤(ベースポリマー)であり、このオルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(1)で示されるものを用いることができる。
1aSiO(4-a)/2 (1)
【0014】
上記式(1)中、R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換1価炭化水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.05の範囲の正数である。ここで、上記R1で示される珪素原子に結合した非置換又は置換の1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。この場合、R1のうち少なくとも2個はアルケニル基(炭素数2〜8のものが好ましく、更に好ましくは2〜6である)であることが必要である。なお、アルケニル基の含有量は、前記のR1で示される非置換又は置換1価炭化水素基中、0.005〜20モル%、特に0.01〜10モル%とすることが好ましい。このアルケニル基は、分子鎖末端の珪素原子に結合していても、分子鎖途中の珪素原子に結合していても、両者に結合していてもよいが、少なくとも分子鎖末端の珪素原子に結合したアルケニル基を含んだものであることが好ましい。
【0015】
上記オルガノポリシロキサンの構造は、通常は、主鎖がジオルガノシロキサン単位((R12SiO2/2単位)の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基((R13SiO1/2単位)で封鎖された基本的には直鎖状構造を有するジオルガノポリシロキサンであるが、部分的にはR1SiO3/2単位やSiO4/2単位を含んだ分岐状の構造、環状構造等であってもよい。珪素原子の置換基は、基本的には上記のいずれであってもよいが、アルケニル基としてはビニル基が望ましく、その他の置換基としてはメチル基、フェニル基が望ましい。
【0016】
分子量については、特に限定なく粘度の低い液状のものから、粘度の高い生ゴム状のものまで使用できるが、硬化してゴム状弾性体になるためには、25℃での粘度が、100mPa・s以上であり、通常100〜1,000,000mPa・s、特に500〜100,000mPa・s程度であることが好ましい。なお、本発明において、この粘度は、通常、回転粘度計により測定することができる。また、このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンの重合度(又は分子中の珪素原子数)としては、上記と同様の理由で、重合度が70以上であり、通常、70〜10,000、特に200〜2,000程度のものが好適に使用される。この重合度は、例えばトルエン等を溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の重量平均重合度(Nw)等として測定することができる。このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0017】
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分と反応し、架橋剤として作用するものであり、その分子構造に特に制限はなく、従来製造されている例えば線状、環状、分岐状、三次元網状構造(樹脂状)等各種のものが使用可能であるが、1分子中に2個以上、好ましくは3個以上の珪素原子に結合した水素原子(Si−Hで表されるヒドロシリル基)を有する必要があり、通常、2〜300個、好ましくは3〜200個、より好ましくは4〜100個程度のSi−H基を有することが望ましい。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(2)で示されるものが用いられる。
2bcSiO(4-b-c)/2 (2)
【0018】
上記平均組成式(2)中、R2は、アルケニル基等の脂肪族不飽和結合を除く、好ましくは炭素数1〜10の、珪素原子に結合した非置換の1価炭化水素基であり、このR2における非置換1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基等が挙げられる。R2の非置換1価炭化水素基としては、好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはメチル基、フェニル基であることが難燃性の点から望ましい。また、bは0.7〜2.1、cは0.001〜1.0で、かつb+cが0.8〜3.0を満足する正数であり、好ましくは、bは1.0〜2.0、cは0.01〜1.0、b+cが1.5〜2.5である。
【0019】
1分子中に2個以上、好ましくは3個以上含有されるSi−H基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、得られるシリコーンゴムの物理特性、組成物の取扱作業性の点から、1分子中の珪素原子の数(又は重合度)は通常2〜400個、好ましくは3〜300個、より好ましくは4〜150個程度のものが望ましく、25℃における粘度が、通常、0.1〜1,000mPa・s、好ましくは0.5〜500mPa・s、より好ましくは5〜300mPa・s程度の、室温(25℃)で液状のものが使用される。
【0020】
平均組成式(2)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして具体的には、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とからなる共重合体等が挙げられる。
【0021】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜50質量部、特に0.3〜30質量部とすることが好ましい。
また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基に対する(B)成分中の珪素原子に結合した水素原子(即ち、Si−H基)のモル比が0.5〜5モル/モル、好ましくは0.8〜4モル/モル、より好ましくは0.8〜2.5モル/モルとなる量で配合することもできる。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0022】
(C)成分の付加反応触媒は、(A)成分中のアルケニル基と(B)成分中のSi−H基とのヒドロシリル化付加反応を促進するための触媒であり、この付加反応触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族金属触媒が挙げられる。なお、この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができるが、通常、白金族金属として(A)成分及び(B)成分の合計質量に対して0.5〜1,000ppm、特に1〜500ppm程度配合することが好ましい。
【0023】
上記熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物に配合する、本発明において使用する有機樹脂製中空フィラー(D)とは、予め所定の大きさ(粒子径)に発泡させた有機樹脂製中空フィラーであり、該中空フィラー内部に気体部分を持つことでスポンジゴムのように熱伝導率を低下させるもので、このような材料としては、フェノールバルーン、アクリロニトリルバルーン、塩化ビニリデンバルーン、アルミナバルーン等いかなるものでも構わないが、好ましくは、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれるモノマーの重合物並びにこれらのモノマーのうちの2種以上の共重合物から選ばれるものである。中空フィラーの強度を持たせるため等の理由で表面に無機フィラー等を付着させたものでもよい。但し、シリコーンゴム組成物内で十分な熱伝導性の低下を行うには、中空フィラーの真比重が0.01〜0.3、好ましくは0.01〜0.3、より好ましくは0.02〜0.2で、0.01より小さいと配合・取り扱いが難しいばかりか、中空フィラーの耐圧強度が不十分で成形時に破壊してしまい、軽量化熱伝導率の低下ができなくなってしまう。また比重が0.3を超えると、中空フィラーの殻の厚さが大きく、空孔率の低下や軽量化が十分とはならない。また中空フィラーの平均粒子径は、200μm以下、好ましくは5μm以上150μm以下で、200μmより大きいと成形時の射出圧力により中空フィラーが破壊されてしまい熱伝導性が高くなってしまったり、ゴム強度が低下してしまったり、あるいはローラ成形後の表面の粗さが大きくなってしまうなどの問題が生じる。また、5μm未満では内包する気体が不十分で、目的とする空孔率が得られない場合が多い。なお、平均粒子径は、通常、レーザー光回折法による粒度分布測定における累積重量平均値D50(又はメジアン径)として求めることができる。この有機樹脂製中空フィラーは1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0024】
このような有機樹脂製中空フィラーとしては、市販品を用いることができ、例えば後述する表1に示すフィラーを使用し得る。
【0025】
上記(D)成分の配合量は、熱硬化型オルガンポリシロキサン組成物100質量部に対し、0.1〜50質量部、好ましくは0.3〜25質量部、より好ましくは0.5〜10質量部であり、空孔容積率で好ましくは10〜70%となるように配合するとよい。配合量が0.1質量部未満では熱伝導率の低下が不十分で、また50質量部を超える量では成形、配合が難しいだけでなく成形物もゴム弾性のない脆いものとなってしまう。
【0026】
次に、本発明において使用する熱伝導性充填材(E)について説明する。
本発明の熱伝導性充填材(E)は、スポンジ組成物に熱伝導性を付与するために添加する。
熱伝導性充填材は、熱伝導性充填材単体の熱伝導率が15W/m・K以上である熱伝導性充填材であれば特に制限されるものではないが、より詳細には、硬化ゴムに熱伝導性を付与する一方で、粒子径を微粒子とすることで、ゴム強度をアップさせることも可能な必須の成分である。
【0027】
熱伝導性充填材単体の熱伝導率は15W/m・K以上であり、望ましくは20W/m・K以上である。上記の熱伝導率を満たす充填材としては、例えば、金属珪素粉末168W/m・K、銀粉末430W/m・K、銅粉末390W/m・K、ニッケル粉末91W/m・K、金属アルミニウム粉末236W/m・K、鉄粉末84W/m・K、炭化珪素粉末46W/m・K、酸化亜鉛粉末54W/m・K、アルミナ粉末21W/m・K等が挙げられる。
なお、熱伝導率の上限は800W/m・K以下、特には500W/m・K以下程度であればよい。
【0028】
充填材の熱伝導率が15W/m・K未満の充填材を使用するとシリコーンゴム組成物に多量の充填材を添加する必要が生じ、硬化前組成物の粘度が大きく上昇して混練不可能な状態となったり、所定の熱伝導性が得られない場合がある。
【0029】
また、上記熱伝導性充填材は、平均粒子径1〜30μmであり、好ましくは2〜20μmであり、より好ましくは3〜15μmである。平均粒子径が1μmより小さいと圧縮永久歪が悪化してしまい、30μmより大きいとゴム強度が低下して、ロールとしての耐久性が低下してしまう。平均粒子径は、通常、レーザー光回折法等による粒度分布測定における累積重量平均値D50(又はメジアン径)等として求めることができる。この熱伝導性充填材は1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0030】
上記熱伝導性充填材の中でも金属珪素粉末が特に望ましい。金属珪素粉末は密度が2.33g/cm3と熱伝導性充填材の中でも特に軽く、熱容量が1.7J/g・Kと低く、良好な熱伝導性をもち、またモース硬度が約5と比較的柔らかいため有機樹脂製中空フィラーにダメージを与えにくい。金属の特性として展性が低いため、高剪断を与えても金属粉自体が凝集しにくい特性をもつ。そのため、粉砕による微粒子化が容易で、沈降等の問題が発生せず、オルガノポリシロキサンヘの分散性に優れる特性をもつ。また、金属珪素粉末の表面には、ごく薄い自然酸化膜が形成され、形成された膜はガラスと同じで熱や酸や汚れに強く、電気が流れにくく、熱に安定である。純度の高い金属珪素粉末は表面の自然酸化膜に欠陥がなく、高温熱安定性が良好となる。
この熱伝導性充填材は1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
【0031】
本発明に用いる熱伝導性粉末の製造方法は、特に限定されるものではないが、金属酸化物系であれば金属水酸化物や金属塩を焼成、酸化する方法や金属を直接高温で酸化させる方法等が挙げられる。また、金属系充填材に関しては金属珪素粉末のように金属単体をボールミル等の既存の破砕機や粉砕機にて粉砕したもの、切削粉を微粉化し分級したもの、金属を高温で溶融したものを気相法で微粒子化し、冷却、固化して球状粒子とした球形金属粉末(ここで“球状”又は“球形”とは、個々の粒子表面に鋭く尖ったエッヂ部分がない、なめらかな形状であることを意味するもので、通常、長径/短径の比率(アスペクト比)が1.0〜1.4、好ましくは1.0〜1.2程度のものを示す。)、更には金属粒子や樹脂、シリカ粒子の表面にメッキや蒸着、溶融等の方法により金属膜を形成する方法等が挙げられ、結晶構造の単結晶、多結晶は任意である。
【0032】
また、これら熱伝導性充填材は、シラン系カップリング剤又はその部分加水分解物、アルキルアルコキシシラン又はその部分加水分解物、有機シラザン類、チタネート系カップリング剤、オルガノポリシロキサンオイル、加水分解性官能基含有オルガノポリシロキサン等により表面処理されたものであってもよい。これら処理は、粉体自体を予め処理しても、あるいはオイルとの混合時に処理を行ってもよい。
【0033】
上記(E)成分の配合量としては、熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物100質量部に対して、20〜300質量部、好ましくは20〜200質量部、より好ましくは30〜150質量部である。配合量が20質量部未満では、熱伝導性が不足し目的のロールの温度バラツキを低減することができず、300質量部を超える量では、圧縮永久歪が悪化するばかりでなく、配合も困難になってしまう。
【0034】
これら熱伝導性充填材の混合方法は、常温でプラネタリーミキサーやニーダー等の機器を用いて(A)、(B)成分と混合してもよいし、また混合後100〜200℃の高温で加熱してもよい。
【0035】
本発明の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物には、上記成分に加えて必要により圧縮永久歪を低下させるなどの目的で、更に(F)成分として、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスルトール、グリセリン−α−モノクロロヒドリン等の多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコールの2量体、3量体等のオリゴマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、クラウンエーテル等のそれら多価アルコールの重合体あるいは2種以上の共重合体、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等の部分エーテル化物、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、エチレングリコールモノアセテート等の部分エステル化物、あるいは部分シリル化物等から選ばれる1種又は2種以上の添加剤を、例えば(A)成分100質量部に対して30質量部以下(0〜30質量部)程度の量で、必要に応じて任意に配合してもよい。配合する場合には、(A)成分100質量部に対し、1〜30質量部、好ましくは3〜20質量部である。30質量部を超える量では、ゴム物性の低下が著しくなってしまう。
【0036】
更に、上記熱伝導性充填材以外にも、既知の酸化鉄粉末、酸化セリウム等の耐熱材、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ等の補強性シリカ、球状シリカ、水酸化アルミニウム等の難燃材等の無機粉体を、本材料の特長である低圧縮永久歪、ロール耐久性を損なわない範囲で添加してもよい。特に圧縮永久歪に影響が大きいヒュームドシリカ及び沈降性シリカは、その合計量が(A)成分100質量部に対し5質量部以下(0〜5質量部)が好ましく、3質量部以下(0〜3質量部)がより好ましい。
【0037】
本発明に係るシリコーンゴムスポンジ組成物は、上記成分を一括あるいは任意の順序で配合し、通常の混合手段によって均一に混合することにより製造することができるが、上記(A)成分の一部と(D)成分とを予め混合したブレンド物と、(A)成分の残りと(E)成分とを予め混合したブレンド物とを混合して調製することがより均一なセルを得る点で好ましい。この場合、他の成分は、上記いずれかのブレンド物に配合しても、両方のブレンド物に配合しても、あるいは上記両ブレンド物を混合した後にこの混合物に配合してもよい。
【0038】
本発明に係るシリコーンゴムスポンジ組成物の硬化方法は、注入成形、圧縮成形、射出成形、コーティング等の方法があり、硬化条件としては100〜300℃の温度で10秒〜1時間の範囲が好適に採用される。また、有機樹脂製中空フィラーを破壊する、圧縮永久歪を低下させる、低分子シロキサン成分を低減する等の目的で、成形後、更に120〜250℃のオーブン内で30分〜70時間程度のポストキュア(2次キュア)を行ってもよい。
【0039】
この場合、本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物の硬化後の熱伝導率は好ましくは0.15W/m・K以上であり、より好ましくは0.18W/m・K以上であり、更に好ましくは0.20W/m・K以上である。0.15W/m・K未満の熱伝導率であると通常のシリカ配合スポンジゴムの熱伝導率(約0.10W/m・K)に近く、ロール軸方向の温度バラツキを低減できなくなってしまうおそれがある。なお、その上限は通常3.0W/m・K以下である。
【0040】
また、シリコーンゴムスポンジ組成物から有機樹脂製中空フィラーを除いた中実状態(つまりスポンジ状の中空部分を有さない)熱伝導性シリコーンゴム組成物の硬化後の熱伝導率は好ましくは0.3W/m・K以上であり、より好ましくは0.35W/m・K以上であり、更に好ましくは0.4W/m・K以上である。ソリッド状態(中実状態)の熱伝導を高くすることができればよりロール軸方向の温度バラツキを吸収できるばかりでなく、有機樹脂製中空フィラーを多く添加して発泡倍率(即ち、スポンジの空隙率)を上げることにより熱容量を小さくすることが可能となる。なお、その上限は通常10W/m・K以上である。
【0041】
ここで、本発明の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の硬化後の熱容量(J/K)は1.4以下であるスポンジであることが好ましく、より好ましくは1.2以下であり、更に好ましくは1.0以下である。スポンジ熱容量は値が小さければ小さいほど、加圧ロール全体をトナー溶融温度に上昇させる熱量が少なくて済み、即ちファーストプリントの待機時間(ウォームアップ時間)を短くすることが可能となる。1.4を超える熱容量は非発泡体ゴムに近い数値となってしまい、低熱容量を特徴とするスポンジ組成物の特徴を低下させてしまう。なお、その下限は通常0.3(J/K)である。この場合、熱容量を1.4以下とする手段としては、a)空孔容積を大きくすること、b)熱伝導性充填材単体の熱容量が小さいものを選択すること、c)熱伝導性充填材単体の熱伝導率が高いものを選択すること、等を採用することができる。
【0042】
更に、高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の空孔容積率及び該組成物の硬化物の空孔容積率は、スポンジ組成物全体又は硬化物(スポンジ)全体の10〜70%、好ましくは10〜60%、更に好ましくは15〜50%である。空孔容積率が小さいと、組成物又は硬化物の熱容量を下げることができず、また硬化物(スポンジ)が硬くなり、逆に大きすぎると、スポンジ組成物中の有機樹脂製中空フィラーのセル壁が薄いため、あるいは該セル壁同士が連続して連泡化する結果、硬化物(スポンジ)が脆いものになってしまう。なお、空孔容積率の測定方法は、スポンジ硬化物の断面写真を画像処理することにより、硬化物全体の容積に対する空孔容積の比率を算出する方法やスポンジ硬化物の密度と当該スポンジ組成物から有機樹脂製中空フィラーを除いた組成物(即ち、中実のソリッドゴム組成物)の硬化物(ソリッドゴム)の密度との比率から算出する方法、あるいはスポンジ組成物全体の密度と当該スポンジ組成物から有機樹脂製中空フィラーを除いた組成物(ソリッドゴム組成物)の密度との比率から算出する方法等が挙げられる。なお、本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物においては、上記ソリッドゴム組成物(未硬化状態)とソリッドゴム硬化物(硬化後)とにおいて、それぞれの密度は実質的に変化せず同一であるため、スポンジ組成物の空孔容積率と硬化物(スポンジ)の空孔容積率は実質的に同じである。硬化物(スポンジ)の空孔容積率は、例えば下記の計算式によって算出することができる。
[1−(有機樹脂製中空フィラー配合のスポンジゴム(硬化物)密度/
ソリッドゴム(硬化物)密度)]×100
(容積%)
【0043】
本発明の定着ロールは、ステンレス、鉄、ニッケル、アルミニウム等の芯金上に上記シリコーンゴムスポンジ組成物の硬化物層を形成するものであるが、この場合、芯金の材質、寸法等はロールの種類に応じて適宜選定し得る。また、シリコーンゴムスポンジ組成物の成形、硬化方法も適宜選定し得、例えば注入成形、移送成形、射出成形、コーティング等の方法によって成形でき、加熱により硬化される。シリコーンゴムスポンジ層の外周面に更にフッ素系樹脂層やフッ素ゴム層を設けてもよい。この場合、フッ素系樹脂層は、フッ素系樹脂コーティング材やフッ素系樹脂チューブ等により形成され、上記シリコーンゴム層を被覆する。ここでフッ素系樹脂コーティング材としては、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)のラテックスや、ダイエルラテックス(ダイキン工業(株)製、フッ素系ラテックス)等が挙げられ、またフッ素系樹脂チューブとしては、市販品を使用し得、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、フッ化エチレン−ポリプロピレン共重合体樹脂(FEP)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル樹脂等が挙げられるが、これらのうちで特にPFAが好ましい。
【0044】
なお、上記シリコーンゴムスポンジ層の厚さは適宜選定されるが、0.05〜80mm、特に0.1〜50mmであることが、シリコーンゴムスポンジのゴム弾性を活かす点で好ましい。また、その上に形成されるフッ素系樹脂層又はフッ素ゴム層の厚さは、5〜200μm、特に10〜100μmが好ましい。
【実施例】
【0045】
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、オルガノポリシロキサンの重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析(溶媒トルエン、ポリスチレン換算)による重量平均重合度(Nw)を示す。また、表1に下記例で使用した有機樹脂製中空フィラーを示し、表2に下記例で使用した熱伝導性充填材を示す。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
また、下記例において、シリコーンゴムスポンジ組成物は、ビニル基含有ジメチルポリシロキサンを二分し、一方に有機樹脂製中空フィラーを、他方に熱伝導性充填材を配合混合した後、得られた両混合物と他の成分をプラネタリーミキサー中で均一に混合撹拌することによって調製した。
【0049】
[実施例1]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度約300)100質量部、平均粒子径10μmである金属珪素粉末A50質量部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本エアロジル社製R−972)0.5質量部、比重0.04,平均粒子径40μmの有機樹脂製中空フィラーA(エクスパンセル社製、Expancel DE)5.0質量部、架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン〈1〉(重合度約17、Si−H基量0.0030mol/g)4.0質量部(Si−H基/アルケニル基=1.35)、トリエチレングリコール5質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部の各成分を用いてシリコーンゴムスポンジ組成物(1)を調製した。この組成物を120℃で10分プレス硬化し、更に200℃で4時間ポストキュアして、厚さ2mm及び6mmのシリコーンゴムスポンジシート、並びに厚さ12.5mmのセット玉を得た。
【0050】
また、未発泡ソリッド状態(中実状態)の熱伝導性シリコーンゴム組成物の硬化後のシリコーンゴムの熱伝導率を測定する目的で、上記シリコーンゴムスポンジ組成物(1)において有機樹脂製中空フィラーを添加しない組成物(ソリッドゴム組成物)を調製し、該組成物の硬化物(ソリッドゴムシート)を作製し、同様に厚さ6mmのシリコーンゴムシートを作製した。
得られた厚さ2mmのシートで硬さ(アスカC)及び引っ張り強度を測定し、厚さ6mmのシートで熱伝導率、厚さ12.5mm×直径29mmのセット玉で圧縮永久歪[25%圧縮、180℃×22時間]を測定した。
なお、ゴム密度、硬さ、引張り強度及び圧縮永久歪はJIS K6249に準じて測定し、熱伝導率は、熱伝導計QTM−D3(ホットワイヤー式、京都電子工業(株)製)で測定した。また、空孔容積率は下記の計算式より算出した。
[1−(有機樹脂製中空フィラー入りのスポンジゴム硬化物密度/ソリッドゴム硬化物密度)]×100(%)
【0051】
また、シリコーンゴムスポンジの熱容量(J/K)は比熱(J/g・K)とシリコーンゴムスポンジの密度(g/cm3)の積より算出し、比熱は示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry、DSC)を用いて下記条件にて測定した。
機器:パーキン・エルマー社製 DSC−7、測定温度40〜200℃、
測定雰囲気/空気中
結果を表3に記した。
【0052】
[実施例2]
実施例1に使用した有機樹脂製中空フィラーAの量を5.0質量部から7.0質量部へ増量した以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴムスポンジ組成物(2)及びソリッドゴム組成物を調製し、同様にシートを作製し、各種特性を測定した。結果を表3に記した。
【0053】
[実施例3]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度約600)80質量部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された側鎖にビニル基を有する重合度200のジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量0.00045mol/g)20質量部、平均粒子径10μmである金属珪素粉末A110質量部、平均粒子径90μmで真比重が0.02である有機樹脂製中空フィラーB(松本油脂製薬(株)製マイクロスフィアーF−80ED)2.5質量部、耐熱材として平均粒子径7μmのFe23(酸化第二鉄)0.5質量部、架橋剤として実施例1のメチルハイドロジェンポリシロキサン〈1〉5.0質量部(Si−H基/アルケニル基=1.2)、エチレングリコール3質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部の各成分を用いてシリコーンゴムスポンジ組成物(3)及びソリッドゴム組成物を調製した。このシリコーンゴムスポンジ組成物(3)及びソリッドゴム組成物について実施例1と同様に各種物性を測定し、表3に記した。
【0054】
[実施例4]
両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された側鎖にビニル基を有する重合度が約450のジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量0.00011mol/g)100質量部、平均粒子径5μmである金属珪素粉末B80質量部、有機樹脂製中空フィラーB(マイクロスフィアーF−80ED)2.0質量部、耐熱材として平均粒子径7μmのFe23(酸化第二鉄)0.5質量部、比表面積が200m2/gであるヒュームドシリカ(日本エアロジル社製アエロジル200)0.5質量部、架橋剤として側鎖のみにSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度25、Si−H基量0.0069mol/g)1.4質量部(Si−H基/アルケニル基=0.9)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル6質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部の各成分を用いてシリコーンゴムスポンジ組成物(4)及びソリッドゴム組成物を作製した。このシリコーンゴムスポンジ組成物及びソリッドゴム組成物(4)及びソリッドゴム組成物について実施例1と同様に各種物性を測定し、表3に記した。
【0055】
[実施例5]
実施例1に使用した熱伝導性充填材の金属珪素粉末Aの代わりに、平均粒子径10μmの炭化珪素粉末Aを70質量部とした以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴムスポンジ組成物(5)及びソリッドゴム組成物を調製し、同様にシートを作製し、各種物性を測定した。結果を表3に記した。
【0056】
[実施例6]
実施例1に使用した熱伝導性充填材の金属珪素粉末Aの代わりに、平均粒子径12μmの酸化亜鉛粉末Aを140質量部とした以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴムスポンジ組成物(6)及びソリッドゴム組成物を調製し、同様にシートを作製し、各種物性を測定した。結果を表4に記した。
【0057】
[実施例7]
実施例1に使用した熱伝導性充填材の金属珪素粉末Aの代わりに、平均粒子径12μmのアルミナ粉末A(昭和電工(株)製 AS−40)を140質量部とした以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴムスポンジ組成物(7)及びソリッドゴム組成物を調製し、同様にシートを作製し、各種物性を測定した。結果を表4に記した。
【0058】
[実施例8]
実施例1に使用した有機樹脂製中空フィラーAの代わりに、平均粒子径20μmで真比重が0.20である酸化チタン被覆タイプの有機樹脂製中空フィラーC(松本油脂製薬(株)製マイクロスフィアーMFL−30STI)を25質量部とした以外は実施例1と同様にしてシリコーンゴムスポンジ組成物(8)及びソリッドゴム組成物を調製し、同様にシートを作製し、各種物性を測定した。結果を表4に記した。
【0059】
[比較例1]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度約300)100質量部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本エアロジル社製R−972)0.5質量部、比重0.04,平均粒子径40μmの有機樹脂製中空フィラーA(エクスパンセル社製、Expancel DE)5.0質量部、架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン〈1〉(重合度約17、Si−H基量0.0030mol/g)4.0質量部(Si−H基/アルケニル基=1.35)、トリエチレングリコール5質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部の各成分を、プラネタリーミキサー中で均一に混合撹拌することによってシリコーンゴムスポンジ組成物(9)及びソリッドゴム組成物を調製した。このシリコーンゴムスポンジ組成物(9)及びソリッドゴム組成物について実施例1と同様の各種物性を測定し、表2に記した。
【0060】
[比較例2]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度約300)100質量部、平均粒子径が5μmの結晶性シリカ粉末A((株)龍森製クリスタライトVXS)を100質量部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本エアロジル社製R−972)0.5質量部、比重0.04,平均粒子径40μmの有機樹脂製中空フィラーA2.5質量部、架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン〈1〉(重合度約17、Si−H基量0.0030mol/g)4.0質量部(Si−H基/アルケニル基=1.35)、トリエチレングリコール5質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部の各成分を用いてシリコーンゴムスポンジ組成物(10)及びソリッドゴム組成物を調製した。このシリコーンゴムスポンジ組成物(10)及びソリッドゴム組成物について実施例1と同様の各種物性を測定し、表5に記した。
【0061】
[比較例3]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度約300)100質量部、平均粒子径が5μmの結晶性シリカ粉末A((株)龍森製クリスタライトVXS)50質量部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本エアロジル社製R−972)0.5質量部、比重0.04,平均粒子径40μmの有機樹脂製中空フィラーA5.0質量部、架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン〈1〉(重合度約17、Si−H基量0.0030mol/g)4.0質量部(Si−H基/アルケニル基=1.35)、トリエチレングリコール5質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部の各成分を用いてシリコーンゴムスポンジ組成物(11)及びソリッドゴム組成物を調製した。このシリコーンゴムスポンジ組成物(11)及びソリッドゴム組成物について実施例1と同様の各種物性を測定し、表5に記した。
【0062】
[比較例4]
熱伝導率の向上を目的として結晶性シリカ粉末Aの量を100質量部から120質量部に変更した以外は比較例2と同様に原料をプラネタリーミキサーに入れ、30分撹拌を続けたが、結晶性シリカ粉末Aの配合量が多すぎるため、本シリコーン組成物は混練時間を延長してもペースト状にならず、混練不可能であった。このことから、充填材単体の熱伝導率が10W/m・Kと低い結晶シリカ粉末Aではこれ以上充填材の添加は不可能であり、熱伝導率の向上は望めないことが判明した。
上記組成において未発泡ソリッド状態(中実状態)の熱伝導性シリコーンゴム組成物の硬化後のシリコーンゴムの熱伝導率を測定する目的で、有機樹脂製中空フィラーAを添加しない組成とし、更に、架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン〈1〉(重合度約17、Si−H基量0.0030mol/g)を4.0質量部(Si−H基/アルケニル基=1.35)、トリエチレングリコールを5質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部を添加し、15分撹拌を続けた後、更に白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部を混合し未発泡(ソリッド状態の)シリコーンゴム組成物(12)を得た。
このシリコーンゴム組成物(12)について比較例1と同様に6mmゴムシートを作製しソリッド状態の熱伝導率のみを測定し、表5に記した。
【0063】
[比較例5]
スポンジの空孔容積率向上を目的として有機樹脂製中空フィラーAの量を2.5質量部から3.5質量部に変更した以外は比較例2と同様に原料をプラネタリーミキサーに入れ、30分撹拌を続けたが有機樹脂製中空フィラーAの配合量が多すぎるため、本シリコーン組成物は混練時間を延長してもペースト状にならず混練不可能であった。このことから、有機樹脂製中空フィラーAをこれ以上増やせず、スポンジの空孔容積率の向上、即ち発泡体熱容量の低下は難しいことが判明した。
上記組成において未発泡ソリッド状態(中実状態)の熱伝導性シリコーンゴム組成物の硬化後のシリコーンゴムの熱伝導率を測定する目的で、比較例2と同様に有機樹脂製中空フィラーAを配合しない未発泡(ソリッド状態の)シリコーンゴム組成物を硬化して6mmゴムシートを作製しソリッド状態の熱伝導率のみを測定し、表5に記した。
【0064】
[比較例6]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度約300)100質量部、平均粒子径が5μmの金属珪素粉末B80質量部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本エアロジル社製R−972)0.5質量部、架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン〈1〉(重合度約17、Si−H基量0.0030mol/g)を4.0質量部(Si−H基/アルケニル基=1.35)、トリエチレングリコール5質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部の各成分を、プラネタリーミキサー中で均一に混合撹拌することによってシリコーンゴム組成物(13)及びソリッドゴム組成物を調製した。このシリコーンゴム組成物(13)及びソリッドゴム組成物について実施例1と同様の各種物性を測定し、表5に記した。
【0065】
【表3】

【0066】
【表4】

【0067】
【表5】

※1:未硬化組成物が粉状となってしまい、配合不可能であったためスポンジ成形できず。
【0068】
[実施例9]
直径20mm×長さ300mmのアルミニウムシャフトの表面に付加反応型液状シリコーンゴム用プライマーNo.101A/B(信越化学工業(株)製)を塗付した。内面をプライマー処理した50μmのフッ素PFAチューブとアルミニウムシャフトとの間に実施例1のシリコーンゴムスポンジ組成物(1)を充填し、120℃で30分加熱硬化し、更に200℃で4時間ポストキュアし、外径26mm×長さ250mmのPFA樹脂被覆シリコーンゴムロールを作製した。
このロールをPPC複写機の定着ロールとして組み込み、スタートアップ時間(印刷可能となる待機時間)を測定したところ、20秒であった。次に設計印刷速度である30ppm(Paper Per Minutes)を60ppmに増速してベタ黒(全面黒色)印刷しても何ら画像に異常は見られなかった。
【0069】
[比較例7]
実施例1のシリコーンゴムスポンジ組成物(1)に代えて、比較例1のシリコーンゴム組成物(9)を使用した以外は実施例9と同様にしてPFA樹脂被覆シリコーンゴムロールを作製し、同様にして評価したところ、スタートアップ時間に18秒を要した。次に設計印刷速度である30ppmを60ppmに増速してベタ黒印刷を開始すると11枚目より定着不良(トナーのかすれ、融着不良)が見られた。
【0070】
[比較例8]
実施例1のシリコーンゴムスポンジ組成物(1)に代えて、比較例2のシリコーンゴムスポンジ組成物(10)を使用した以外は実施例9と同様にしてPFA樹脂被覆シリコーンゴムロールを作製し、同様にして評価したところ、スタートアップ時間に33秒を要した。次に設計印刷速度である30ppmを60ppmに増速してベタ黒印刷を開始すると1枚目よりヒーター容量不足と思われる定着不良(トナーのかすれ、融着不良)が見られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物100質量部に、平均粒子径が200μm以下で真比重が0.3以下である有機樹脂製中空フィラー0.1〜50質量部と、平均粒子径が1〜30μmで熱伝導性充填材単体の熱伝導率が15W/m・K以上である熱伝導性充填材20〜300質量部とを含有し、かつ、空孔容積率が高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物全体の10〜70%であることを特徴とする高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項2】
熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物が、
(A)1分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)1分子中に珪素原子と結合する水素原子を2個以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜50質量部、
(C)付加反応触媒
(A)成分及び(B)成分の合計質量に対して0.5〜1,000ppm
からなるものである請求項1記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項3】
有機樹脂製中空フィラーが、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれるモノマーの重合物並びにこれらモノマーのうちの2種以上の共重合物から選ばれるものである請求項1又は2記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項4】
熱伝導性充填材が金属珪素粉末である請求項1〜3のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項5】
更に、多価アルコール又はその誘導体を(A)成分100質量部に対し1〜30質量部含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項6】
高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の硬化後の熱伝導率が0.15W/m・K以上であり、かつ該シリコーンゴムスポンジ組成物から有機樹脂製中空フィラーを除いた中実状態の熱伝導性シリコーンゴム組成物の硬化後の熱伝導率が0.3W/m・K以上である請求項1〜5のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項7】
高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物の硬化後の熱容量(J/K)が1.4以下である請求項1〜6のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項8】
電子写真方式の画像形成装置に使用されるトナー定着ロール用である請求項1〜7のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項9】
ロール軸の外周面にシリコーンゴムスポンジ層を設けてなる熱定着ロールにおいて、該シリコーンゴムスポンジ層が請求項1〜8のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物を硬化させて形成されたものであることを特徴とする定着ロール。
【請求項10】
ロール軸の外周面にシリコーンゴムスポンジ層を介してフッ素樹脂被覆層を設けてなるフッ素樹脂被覆定着ロールにおいて、該シリコーンゴムスポンジ層が請求項1〜8のいずれか1項記載の高熱伝導性シリコーンゴムスポンジ組成物を硬化させて形成されたものであることを特徴とするフッ素樹脂被覆定着ロール。

【公開番号】特開2012−131916(P2012−131916A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285605(P2010−285605)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】