説明

高用量投与が可能なボツリヌス毒素製剤

【課題】 既存のA型ボツリヌス毒素製剤よりも極めて安全に大量投与可能なボツリヌス毒素製剤を提供する。
【解決手段】 本発明は、既存のA型ボツリヌス毒素製剤よりも極めて治療域が広く、より多くの有効量を安全に投与可能なC1、D、EまたはF型ボツリヌス毒素製剤に関するものである。例えば、C1型ボツリヌス毒素であれば合計約1,925 U/kg体重まで安全に投与でき、その効力はA型ボツリヌス毒素製剤換算で約250 U/kg体重に相当する用量である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存のA型ボツリヌス毒素製剤よりも極めて治療域が広く、より多くの有効量を安全に投与可能なC1、D、EまたはF型ボツリヌス毒素製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
嫌気性グラム陽性細菌であるボツリヌス菌(Clostridium botulinum)は、ボツリヌス中毒と呼ばれる神経麻痺性障害をヒトおよび動物において引き起こす強力なポリペプチド神経毒であるボツリヌス毒素を産生する。これまでに、ボツリヌス毒素は血清学的に異なる7種類の血清型(A、B、C1、D、E、FおよびG型)に分類されており、その中でもA型ボツリヌス毒素は、人類に知られている最も致死性の天然の生物学的物質である。1単位(U)のボツリヌス毒素は、マウスに腹腔内注射されたときのLD50として定義される。ボツリヌス毒素の活性中心タンパク質は、既知のボツリヌス毒素血清型の7種すべてにおいて分子量約150 kDaの神経毒素成分(NTX)である。興味深いことに、これらのボツリヌス毒素は、会合する非毒素タンパク質とともに150 kDaのボツリヌス毒素タンパク質分子を含む複合体としてクロストリジウム属細菌によって放出される。例えば、A型ボツリヌス毒素複合体は、900 kDa(LL毒素)、500 kDa(L毒素)および300 kDa(M毒素)の形態としてクロストリジウム属細菌によって産生され得る。B、C1およびD型ボツリヌス毒素はM毒素およびL毒素として産生される。EおよびF型のボツリヌス毒素はM毒素としてのみ産生される。G型のボツリヌス毒素はL毒素としてのみ産生される。これらの複合体(すなわち、LL、LあるいはM毒素)は、非毒素のヘマグルチニンタンパク質(HAタンパク質)と、非毒素かつ非ヘマグルチニンタンパク質(NTNHタンパク質)とを含むと考えられる。これらの2つの非毒素タンパク質(これらは、ボツリヌス毒素分子とともに、関連する神経毒複合体を構成する)は、変性に対する安定性をボツリヌス毒素分子に与え、そして毒素が摂取されたときに胃酸からの保護を与えるように作用すると考えられている。
【0003】
すべてのボツリヌス毒素血清型が神経筋接合部における神経伝達物質アセチルコリンの放出を阻害するようであるが、そのような阻害は、種々の神経分泌タンパク質に作用し、かつ/またはこれらのタンパク質を異なる部位で切断することによって行われる。例えば、A型ボツリヌス毒素およびE型ボツリヌス毒素はともに25 kDaのシナプトソーム会合タンパク質(SNAP-25)を切断するが、これらの毒素は、このタンパク質内の異なるアミノ酸配列を標的とする。B型、D型、F型およびG型のボツリヌス毒素は小胞会合タンパク質(VAMP、これはまたシナプトブレビンとも呼ばれる)に作用し、それぞれの血清型によってこのタンパク質は異なる部位で切断される。最後に、C1型ボツリヌス毒素は、シンタキシンおよびSNAP-25の両者を切断することが明らかにされている。作用機序におけるこれらの相違が、様々なボツリヌス毒素血清型の相対的な効力および/または作用の継続時間に影響していると考えられる。
【0004】
A型ボツリヌス毒素は、既知の手順に従って、培養槽でボツリヌス菌を培養し、その後、発酵混合物を集め、精製することによって得ることができる。すべての血清型のボツリヌス毒素成分(NTX)は、はじめは不活性な単鎖タンパク質として合成されるが、プロテアーゼによって切断またはニッキングされることにより活性型となる。A型およびG型のボツリヌス毒素血清型を産生する細菌株は内因性プロテアーゼを有するので、A型およびG型の血清型は細菌培養物から主にその活性型で回収することができる。これに対して、C1型、D型およびE型のボツリヌス毒素血清型はタンパク質非分解性菌株によって合成されるので、培養から回収されたときには、典型的には不活性型である。B型およびF型の血清型はタンパク質分解性菌株およびタンパク質非分解性菌株の両方によって産生されるので、活性型または不活性型のいずれでも回収することができる。
【0005】
さらに、すべての血清型のボツリヌス毒素複合体において、アルカリ条件下(pH7.2以上)で、NTXと非毒素タンパク質が解離するため、この性質を利用することで、150 kDaのNTXのみを単離することができる。これによって、ボツリヌス毒素製剤としての免疫原性を抑える効果があることが知られている。
【0006】
ボツリヌス毒素は、ボツリヌス中毒においては全身の神経伝達を遮断して人を死に至らしめる毒素ではあるが、逆にその活性を積極的に利用して、異常な筋緊張性亢進を来たす疾患、例えばジストニアあるいは痙縮の患者の筋肉内に直接投与することによって、局所の筋緊張を緩和する治療薬として用いられている(非特許文献1)。全ての血清型のボツリヌス毒素の中で、特にA型ボツリヌス毒素は最も比活性が高いことが知られていることから、A型ボツリヌス毒素が治療薬として最も広く用いられている。A型ボツリヌス毒素(BOTOX(登録商標):Allergan Inc.)は、眼瞼痙攣、斜視および片側顔面痙攣、頚部ジストニアの治療用、並びに眉間のしわの治療用としてアメリカ食品薬品局(FDA)によって承認されている。A型ボツリヌス製剤は種々の神経疾患において効果及び安全性が確認されている反面、比較的高用量のボツリヌス毒素が必要とされる脳卒中後あるいは脳性麻痺における痙縮などのような疾患の治療においては、呼吸困難、全身性の脱力、嚥下障害及び発声障害のようなボツリヌス中毒症に似た副作用がいくつか報告され、問題となっている(非特許文献2)。このような副作用の原因は明らかとなっていないが、投与した毒素が血液、リンパあるいはその他の経路を経て非投与部位に拡散するためと考えられている。
【0007】
また、B型ボツリヌス毒素(MYOBLOC(登録商標):Solstice Neurosciences Inc.)も頚部ジストニア治療用としてFDAによって承認されている。B型ボツリヌス毒素は、A型ボツリヌス毒素と比較して、単位当たりの効力が低く、安全域も低いことが報告されている(非特許文献3)。しかしながら、同一有効量のA型ならびにB型ボツリヌス毒素製剤をヒトに投与した場合、それぞれの効果のタイムコースは同様であることが報告されている。さらに、A型ボツリヌス毒素に対して中和抗体を持ち、A型ボツリヌス毒素製剤では種々の疾患の治療効果を望めない患者に対して、B型ボツリヌス毒素製剤は治療効果を十分に発揮しうるという特徴を有している。
【0008】
小児及び成人における四肢痙直あるいは痙縮治療など、多くの神経疾患のためのボツリヌス毒素の使用に関する文献があるが、安全性、有効性ならびに用量は未だ確立されていない。FDAによると、BOTOXならびにMYOBLOCの局所注射後にボツリヌス中毒と診断された小児患者に関して、有害事象報告システム(AERS)のデータベース及び医学文献から入手した市販後症例のレビューを行った結果、小児のボツリヌス中毒症例が、16歳未満の患者で発生しており、報告された症状は軽腸栄養補給を要する嚥下障害から人工呼吸を要する呼吸不全にまで及んだことが報告されている。これらの症例において、最も共通されて報告されたボツリヌス毒素の使用例は脳性麻痺に伴う四肢の筋痙直の治療であった。使用された用量の範囲はBOTOXで6.25〜32 U/kg、MYOBLOCで388〜625 U/kgであった。同様に、成人のボツリヌス中毒症例では、頭を持ち上げるのが困難であったという症状、嚥下障害及び眼瞼下垂の症状が報告されている。注射部位と離れた部位で生じた全身性の作用の報告例もあり、これには下肢の脱力及びしびれ感が含まれていた。重篤な成人症例の中には入院例もあったが、挿管または人工呼吸を必要とした症例はなく、死亡例は報告されていない。使用された用量の範囲はBOTOXで100〜700 U、MYOBLOCで10,000〜20,000 Uであった。なお、BOTOXの成人に対する投与合計用量の上限としては400 Uが推奨されている(非特許文献4)。
【0009】
このような背景から、現在市販されている治療用A型ボツリヌス製剤よりも拡散性が低いボツリヌス毒素製剤として、乳児ボツリヌス症原因菌由来の高度精製A型ボツリヌス毒素製剤などが開発されている(特許文献1)。
【0010】
一方、治療用C1、D、E及びF型ボツリヌス毒素製剤はA型及びB型ボツリヌス毒素製剤のように市販されていないが、いくつかの特徴が明らかになっている。
【0011】
C1型ボツリヌス毒素においては、比較的低用量(例えば15 U)のC1型ボツリヌス毒素の力価1U当たりの効力は、A型ボツリヌス毒素と同程度であり、近隣筋への拡散についても有意差はないことが報告されている(非特許文献5、6、7)。
【0012】
F型ボツリヌス毒素は、C1型ボツリヌス毒素と同様、比較的低用量(例えば15 U)のF型ボツリヌス毒素の力価1U当たりの効力は、A型ボツリヌス毒素と同程度であり、近隣筋への拡散については有意差はないことが報告されている。ただしF型毒素はAならびにC1型毒素よりも効果の持続性が短いことが知られている。
【0013】
D及びE型ボツリヌス毒素においては、有効性あるいは安全性に関する知見は殆どない。
【0014】
以上のように、既存のAあるいはB型ボツリヌス毒素製剤では全身性の副作用の発生リスクが高く、推奨の投与上限用量を超えて安全に治療できないような疾患、例えば四肢体幹の痙縮やジストニアなどの疾患に対して、その治療を安全に実施するためにA及びB型以外の血清型のボツリヌス毒素を利用するという発想はこれまで全くなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】WO 2008/050866 A1
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Arimitsu H., et al.,Infect. Immun., 71(3):1599-1603,2003
【非特許文献2】Cote T.R., et al., J Am Acad Dermatol., 53(3): 407-415, 2005
【非特許文献3】Aoki K.R., Toxicon.,40: 923-927,2002
【非特許文献4】Brin MF, Muscle Nerve., 6: 208-220, 1997
【非特許文献5】Morbiato L., et al., Eur J Neurosci., 25: 2697-2704, 2007
【非特許文献6】Eleopra R., et al., Movement Disorders. 19(8): S53-S59, 2004
【非特許文献7】Eleopra R., et al., Neurotoxicity Research. 9(2,3): 127-131, 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ボツリヌス毒素は種々の神経疾患に対して治療効果を発揮する薬剤として知られているが、既存のAまたはB型ボツリヌス毒素製剤の投与により、投与筋以外の遠隔筋に対する影響と考えられる副作用が現れることがあり、嚥下障害、肺炎、重度の衰弱、呼吸障害等に伴う死亡例も報告されている。これらの副作用報告から、既存のボツリヌス毒素製剤には投与上限が設けられており、その投与上限を超える高用量のボツリヌス毒素の投与が必要な症状、例えば四肢体幹の痙縮やジストニア等において十分な治療効果が期待できない問題がある。したがって、例えば四肢体幹の痙縮やジストニアなどのような比較的高用量のボツリヌス毒素を必要とする治療においても、安全性が高く、十分な治療効果を発揮しうるボツリヌス毒素製剤が社会的に求められている。本発明は既存のボツリヌス製剤よりも安全に高用量投与が可能なボツリヌス毒素製剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記のような状況を鑑み、本発明者らは既存のボツリヌス毒素製剤で使用されていない血清型のボツリヌス毒素(C1、D、EまたはF型)に着目し、これらの血清型のボツリヌス毒素が、既存のA型ボツリヌス毒素製剤よりも極めて治療域が広く、より多くの有効量を安全に投与可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち、本発明は、下記(1)〜(10)の発明を含むものである。
(1)A型ボツリヌス毒素と比較して多くの有効量を安全に投与可能であることを特徴とするC1、D、EまたはF型ボツリヌス毒素のいずれかから選択されるボツリヌス毒素を有効成分として含有する医薬組成物。
(2)A型ボツリヌス製剤の投与上限を超える有効量のボツリヌス毒素の投与が可能な上記(1)に記載の医薬組成物。
(3)当該ボツリヌス毒素が無毒成分を除去した分子量約150 KDaの神経毒素である上記(1)または(2)に記載の医薬組成物。
(4)安定剤としてアルブミン、アミノ酸、糖または界面活性剤を含有することを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載の医薬組成物。
(5)当該C1型ボツリヌス毒素を含有する医薬組成物が、体重1 kgあたり1,925 Uまで安全に投与可能な上記(1)から(4)のいずれかに記載の医薬組成物。
(6)当該D型ボツリヌス毒素を含有する医薬組成物が、体重1 kgあたり182,165 Uまで安全に投与可能な上記(1)から(4)のいずれかに記載の医薬組成物。
(7)当該E型ボツリヌス毒素を含有する医薬組成物が、体重1 kgあたり250 Uまで安全に投与可能な上記(1)から(4)のいずれかに記載の医薬組成物。
(8)当該F型ボツリヌス毒素を含有する医薬組成物が、体重1 kgあたり18,860 Uまで安全に投与可能な上記(1)から(4)のいずれかに記載の医薬組成物。
(9)上記(1)から(8)のいずれかに記載の医薬組成物の、斜視、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頚、脳卒中後の麻痺、脳性麻痺、痙性発声障害、痙縮、片頭痛などの頭痛、慢性疼痛、腰痛、骨盤痛、ヘルペス後神経痛、神経障害性の痛み、肩こり、パーキンソン病や多発性硬化症などの発症時に起こる筋弛緩不全、筋膜痛症候群、咀嚼筋攣縮、慢性裂肛、排尿筋・括約筋協調不全、過活動膀胱、前立腺障害、多汗症、歯ぎしり、顔面ミオキミア、チック、局所性ジストニア、霰粒腫、麦粒腫、手根管症候群、血液量増加性唇変形症、外反母趾、内反母趾、足親指異常症、硬着母趾、突発性内反足、ペプシン性潰瘍、胃食道逆流症、食道アカラシア、胃不全麻痺、膣痙、関節症、上顆炎、回旋筋キャップ症、筋膜症、テニス肘、胸郭出口症候群、にきび、神経伝達物質の過剰活動による統合失調症、アルツハイマー病、躁病、鬱病、心血管疾患、先端巨大症、巨人症、クッシング病、性機能亢進症、甲状腺機能亢進病、ゴナドトロピン関連疾患、排卵抑制、精子産生抑制、橋本病、甲状腺炎、甲状腺機能低下症や高カルシウム血症、低カルシウム血症、陰茎持続勃起症、粘液分泌過多、唾液分泌過多、骨腫瘍、糖尿病、膵臓障害、耳鳴、 蝸牛神経異常、メニエル病、癌、育毛、円形脱毛症、自律神経障害、褥瘡、癲癇、減量、子宮障害、肛門挙筋症候群、または糖尿病性神経障害への使用。
(10)上記(1)から(8)のいずれかに記載の医薬組成物を含有することを特徴とする、斜視、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頚、脳卒中後の麻痺、脳性麻痺、痙性発声障害、痙縮、片頭痛などの頭痛、慢性疼痛、腰痛、骨盤痛、ヘルペス後神経痛、神経障害性の痛み、肩こり、パーキンソン病や多発性硬化症などの発症時に起こる筋弛緩不全、筋膜痛症候群、咀嚼筋攣縮、慢性裂肛、排尿筋・括約筋協調不全、過活動膀胱、前立腺障害、多汗症、歯ぎしり、顔面ミオキミア、チック、局所性ジストニア、霰粒腫、麦粒腫、手根管症候群、血液量増加性唇変形症、外反母趾、内反母趾、足親指異常症、硬着母趾、突発性内反足、ペプシン性潰瘍、胃食道逆流症、食道アカラシア、胃不全麻痺、膣痙、関節症、上顆炎、回旋筋キャップ症、筋膜症、テニス肘、胸郭出口症候群、にきび、神経伝達物質の過剰活動による統合失調症、アルツハイマー病、躁病、鬱病、心血管疾患、先端巨大症、巨人症、クッシング病、性機能亢進症、甲状腺機能亢進病、ゴナドトロピン関連疾患、排卵抑制、精子産生抑制、橋本病、甲状腺炎、甲状腺機能低下症や高カルシウム血症、低カルシウム血症、陰茎持続勃起症、粘液分泌過多、唾液分泌過多、骨腫瘍、糖尿病、膵臓障害、耳鳴、 蝸牛神経異常、メニエル病、癌、育毛、円形脱毛症、自律神経障害、褥瘡、癲癇、減量、子宮障害、肛門挙筋症候群、または糖尿病性神経障害の治療剤。
【発明の効果】
【0020】
本発明のC1、D、EまたはF型ボツリヌス毒素製剤は、ボツリヌス毒素製剤として用いられている既存のA型またはB型ボツリヌス毒素製剤よりも、投与した部位から遠隔部位における反応性が著しく低い製剤である。そのため、既存のボツリヌス毒素製剤の投与上限を超える高用量のボツリヌス毒素の投与が必要とされる疾患、例えば四肢体幹の痙縮やジストニアなどを安全かつ十分に治療するための薬剤として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】A1型LL毒素の投与側筋肉におけるCMAP振幅値を示す図。
【図2】A2型NTXの投与側筋肉におけるCMAP振幅値を示す図。
【図3】B型NTXの投与側筋肉におけるCMAP振幅値を示す図。
【図4】C1型NTXの投与側筋肉におけるCMAP振幅値を示す図。
【図5】D型NTXの投与側筋肉におけるCMAP振幅値を示す図。
【図6】E型NTXの投与側筋肉におけるCMAP振幅値を示す図。
【図7】F型NTXの投与側筋肉におけるCMAP振幅値を示す図。
【図8】A1型LL毒素の非投与側筋肉におけるCMAP振幅値を示す図。
【図9】A2型NTXの非投与側筋肉におけるCMAP振幅値を示す図。
【図10】B型NTXの非投与側筋肉におけるCMAP振幅値を示す図。
【図11】C1型NTXの非投与側筋肉におけるCMAP振幅値を示す図。
【図12】D型NTXの非投与側筋肉におけるCMAP振幅値を示す図。
【図13】E型NTXの非投与側筋肉におけるCMAP振幅値を示す図。
【図14】F型NTXの非投与側筋肉におけるCMAP振幅値を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の種々の側面を以下詳細に説明する。
本発明のC1、D、EまたはF型ボツリヌス毒素は、Sakaguchiら(Biochemical aspectsof botulism: Purification and oral toxicities of Clostridium botulinum progenitor toxins., 21-34, Lewis GE., 1981, Academic Press, New York)の方法により精製できる。
【0023】
本発明の治療剤は、好ましくは、C1、D、EまたはF型ボツリヌス毒素とボツリヌス毒素安定化物質を含んでなる医薬組成物である。
【0024】
ボツリヌス毒素安定化物質は、上記の組成物が保存される条件において、ボツリヌス神経毒素を安定化することができ、かつボツリヌス毒素の毒素活性を損なわないものであればよい。例えば、ボツリヌス毒素安定化物質の例としては、ヒト血清アルブミン、アミノ酸、糖、界面活性剤あるいはそれらの代替物が挙げられる。
【0025】
本発明における好ましい医薬組成物は、C1、D、EまたはF型ボツリヌス毒素をアルブミンと混合する工程により製造することができる。
【0026】
C1、D、EまたはF型ボツリヌス毒素は、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過、疎水クロマトグラフィー等を適宜組み合わせて精製することができる。具体的にはボツリヌス菌の培養液についてろ過による除菌を行い、得られるM毒素をUF膜等の方法により濃縮する。その後、M毒素をpH7.2以上の条件にすることで、神経毒素と無毒タンパク質に分離することができる。その後、例えば陽イオン交換クロマトグラフィーにより粗精製し、毒素活性のある分画を集めて、更にゲルろ過で精製するなどの方法があげられる。毒素活性は、例えばマウス腹腔内注射法(マウス腹腔内に投与してLD50から毒素活性を求める方法)により測定し、マウスLD50を1 Uとする。
【0027】
毒素精製後の工程は特に限定されず、例えばC1、D、EまたはF型ボツリヌス毒素とボツリヌス毒素安定化物質を溶媒に溶解後、無菌ろ過し、アンプル、バイアル等に充填して本発明の組成物を製造することができる。また、ボツリヌス毒素を予めボツリヌス毒素安定化物質を含む液に溶解後、無菌ろ過しアンプル等に充填することもできる。溶媒は、注射用蒸留水、生理食塩水、0.01M〜0.1Mのリン酸緩衝液等を用いることができ、必要に応じて、エタノール、グリセリン等を混合することもできる。
【0028】
更に、C1、D、EまたはF型ボツリヌス毒素とボツリヌス毒素安定化物質を溶媒に溶解後、無菌ろ過し、バイアル等に充填後、凍結乾燥して発明の組成物を製造することもでき、また、ボツリヌス毒素とボツリヌス毒素安定化物質を混合後、バイアル等に無菌充填して本発明の医薬組成物を製造することもできる。
【0029】
具体的には、精製したC1、D、EまたはF型ボツリヌス毒素を、ボツリヌス毒素安定化物質、好ましくはヒト血清アルブミン、更に好ましくはヒトでの安全性が確保された治療用ヒト血清アルブミンを、最終濃度が0.1〜5mg/mL、好ましくは0.5〜2mg/mLになるように加え、冷蔵保存、冷凍保存あるいは凍結乾燥することが挙げられる。
【0030】
本発明の治療剤には、必要に応じさらに、マンニトール、グルコース、ショ糖、果糖、乳糖等の糖類等の添加剤を混合することができる。溶解状態での本発明にかかる医薬組成物のpHは、通常3〜8であり、好ましくは4〜7であり、より好ましくは5〜7である。
【0031】
本発明の治療剤において、C1、D、EまたはF型ボツリヌス毒素は、本発明の使用目的において有効な量が含まれていればよい。また、ボツリヌス毒素の安定化物質が含まれる場合には、ボツリヌス毒素安定化物質は、ボツリヌス神経毒素を安定化するのに十分な量含まれていればよい。
【0032】
本発明の治療剤は、既存のA型あるいはB型ボツリヌス毒素製剤と比較して非投与部位における反応性が低く、既存のボツリヌス毒素製剤の推奨の投与上限(例えば、成人に対して400 U)を超える高用量のボツリヌス毒素の投与が必要とされる疾患、例えば四肢体幹の痙縮やジストニアなどを安全かつ十分に治療するための薬剤として特に有用である。
【0033】
本発明の治療剤は、治療に有効な量投与される。ヒトに投与する場合、その投与形態は好ましくは局所的投与、更に好ましくは筋肉内注射である。また、それらの投与タイミングや投与量も、特に限定されず、症状の程度等により異なる。投与量は症状の程度、年齢、性別、体重、投与部位および形態等に応じて異なる。
【0034】
例えば、C1型ボツリヌス毒素製剤の場合、体重60 kgの成人に対して、1回の治療において、合計0.77〜115,500 Uを、好ましくは7.7〜115,500 Uを、より好ましくは3,100〜115,500 Uを、さらに好ましくは4,600〜115,500 Uを、さらに好ましくは7,700〜115,500 Uを筋肉内注射する。
D型ボツリヌス毒素製剤の場合、体重60 kgの成人に対して、1回の治療において、合計290〜10,929,900 Uを、好ましくは2,900〜10,929,900 Uを、より好ましくは120,000〜10,929,900 Uを、さらに好ましくは1,800,000〜10,929,900 Uを、さらに好ましくは2,900,000〜10,929,900 Uを筋肉内注射する。
E型ボツリヌス毒素製剤の場合、体重60 kgの成人に対して、1回の治療において、合計1.2〜15,000 Uを、好ましくは12〜15,000 Uを、より好ましくは4,900〜15,000 Uを、さらに好ましくは7,300〜15,000 Uをさらに好ましくは12,000〜15,000 Uを筋肉内注射する。
F型ボツリヌス毒素製剤の場合、体重60 kgの成人に対して、1回の治療において、合計6.7〜1,131,600 Uを、好ましくは67〜1,131,600 Uを、より好ましくは27,000〜1,131,600 Uを、さらに好ましくは40,000〜1,131,600 Uを、さらに好ましくは67,000〜1,131,600 Uを筋肉内注射する。
【0035】
注射後、重篤な副作用は無く、治療対象となる部位以外での大きな局所的緊張低下は見られないことと、治療対象筋肉の機能改善が見られることを確認しながら治療を行う。
【0036】
本発明は、C1、D、EまたはF型ボツリヌス毒素を、既存のA型ボツリヌス毒素製剤の投与上限を超える高用量のボツリヌス毒素の投与が必要とされる疾患、例えば四肢体幹の痙縮やジストニアなどの治療剤治療剤として使用することを特徴とする治療方法を提供する。
【実施例1】
【0037】
本発明を下記実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0038】
《実施例1:各血清型ボツリヌス毒素の精製》
A1型LL毒素はBOTOX(登録商標:Allergan社)を用いた。ボツリヌスA2、B、C1、D、E及びF型ボツリヌス毒素の神経毒素(NTX)は、Sakaguchiら(Biochemical aspectsof botulism: Purification and oral toxicities of Clostridium botulinum progenitor toxins., 21-34, Lewis GE., 1981, Academic Press, New York)の変法により調製した。A2、B、C1、D、E及びF型ボツリヌス毒素の生産株はそれぞれ、Chiba-H株、Okra株、CB-19株、1873株、35396株及びLangeland株を用いた。A2、B、E及びF型ボツリヌス菌の培地には2%ペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%グルコース及び0.025%チオグリコール酸ナトリウムを含んだPYG培地を使用した。C1及びD型ボツリヌス菌の培地には、0.8 %グルコース、0.5%でんぷん、1.0%酵母エキス、1.0%硫酸アンモニウム及び0.1%システイン塩酸塩を含んだ基礎培地を作製し、基礎培地100 mLに対し、クックドミートを6 g、0.5%炭酸カルシウムを加えた培地を使用した。いずれも静置培養した後、酸沈殿、プロタミン処理、イオン交換クロマトグラフィー及びゲルろ過により複合体毒素を精製した。さらに各型のM毒素(約500 kDa)を10 mMリン酸緩衝液(pH7.5)で平衡化したDEAEセファロースカラムに吸着させた後、同緩衝液の0〜0.3 M NaCl濃度勾配で溶出し、分子量約150 kDaの神経毒素成分(NTX)と無毒タンパク質(NTNH)に分離した。得られたNTXは使用時まで-70℃に保存した。
【0039】
《実施例2:各血清型毒素の力価試験》
マウス腹腔内投与法によりLD50を測定した。LD50試験は7用量、用量間のインターバル×1.25、各用量20匹で実施し、投与96時間後の生死により累積死亡率を算出し、プロビット法によりLD50を算出した。マウスはメスのICR/CD-1マウス(4週齢、約20 g、日本チャールスリバー)を用いた。マウスの飼育室は明暗のコントロールを行い、食餌と水は随意に摂取できるような環境に保った。
【0040】
《実施例3 ラット試験によるA〜F型ボツリヌス毒素の有効性及び安全性評価》
各毒素は0.5w/v% ヒト血清アルブミンを含む生理食塩液で希釈し、A1およびA2型は0.1〜300 U/mL、B型は100〜10万 U/mL、C1型は1〜1万 U/mL、D型は300〜10万 U/mL、E型は1〜3000 U/mL及びF型は10〜10万 U/mLにそれぞれ調製した。毒素をラットの左後肢の腓腹筋内に0.1 mLずつ筋肉内投与した(各群n=5)。CMAP測定はニコレー・バイキングクエスト(ニコレー)を使用して次のようにして行った。ラットはメスのS/D系ラット(8週齢、約200 g、日本チャールスリバー)を用いた。ラットの飼育室は明暗のコントロールを行い、食餌と水は随意に摂取できるような環境に保った。ラットは約40 mg/kgのペントバルビタールナトリウム(ソムノペンチル、共立製薬)を腹腔内に投与して麻酔した。眼瞼反射の消失を確認した後、ラットを伏臥位に置いて測定を行った。電極は、刺激電極を脊髄根上に、記録電極(+)を後肢腓腹筋筋腹に、記録電極(−)を後肢腓腹筋腱に、及びアース電極を尾根部に各々設置した。電気刺激は25 mA、0.2 msecで行い、投与側ならびに非投与側ともに2回ずつCMAP振幅の測定を行い、その平均をデータに使用した。CMAP測定は投与前, 投与後1, 2, 4, 7及び14日に行い経時的な変化を検討した。
【0041】
各型NTXの効力を比較するため、毒素投与後の投与側CMAP振幅値が最小になる時点のCMAP振幅値を縦軸に、毒素活性量を横軸にして回帰分析し、投与前の投与側CMAP振幅値を50%低下させる毒素活性量を50%有効量(ED50)とした。毒素非投与側も同様に、非投与側CMAP振幅値が最小になる時点でのCMAP振幅値を縦軸に、毒素活性量を横軸にして回帰分析し、投与前の非投与側CMAP振幅値を20%低下させる毒素活性量を20%毒性量(TD20)とし、このTD20を安全性の指標とした。さらに毒素毎にTD20をED50で除した値を各毒素の「治療域」として定義した。この治療域は、各毒素において有効量の何倍までを安全に投与できるかを評価するのに適した指標である。
【0042】
各毒素の左右腓腹筋のCMAP振幅値のタイムコースを図1から図14に示した。また、得られた各毒素のED50、TD20(U/head)ならびに治療域を表1に示した。
【0043】
【表1】

【0044】
以上の結果から、以下のことが明らかとなった。
C1型ボツリヌス毒素の治療域はA型ボツリヌス毒素より約40倍広く、B型ボツリヌス毒素より約103倍広いことが明らかとなった。つまり、C1型ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素より約40倍、B型ボツリヌス毒素より約103倍、多くの有効量を安全に投与可能であることが示された。仮に、本試験のTD20をヒトにおける合計投与量の上限として外挿すると、C1型ボツリヌス毒素は体重約0.2 kgあたり385 U(1 kgあたり1,925 U)、体重60 kgのヒトにおいては合計115,500 U投与できることになる。ED50の結果から、C1型ボツリヌス毒素115,500 UはA型ボツリヌス毒素の14,972 Uに相当する用量であると考えられる。
【0045】
D型ボツリヌス毒素の治療域はA型ボツリヌス毒素より約10倍広く、B型ボツリヌス毒素より約25倍広いことが明らかとなった。つまり、D型ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素より約10倍、B型ボツリヌス毒素より約25倍、多くの有効量を安全に投与可能であることが示された。仮に、本試験のTD20をヒトにおける合計投与量の上限として外挿すると、D型ボツリヌス毒素は体重約0.2 kgあたり 36,433 U(1 kgあたり 182,165 U)、体重60 kgのヒトにおいては合計10,929,900 U投与できることになる。ED50の結果から、D型ボツリヌス毒素10,929,900 UはA型ボツリヌス毒素の3,714 Uに相当する用量であると考えられる。
【0046】
E型ボツリヌス毒素の治療域はA型ボツリヌス毒素より約3倍広く、B型ボツリヌス毒素より約8倍広いことが明らかとなった。つまり、E型ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素より約3倍、B型ボツリヌス毒素より約8倍、多くの有効量を安全に投与可能であることが示された。仮に、本試験のTD20をヒトにおける合計投与量の上限として外挿すると、E型ボツリヌス毒素は体重約0.2 kgあたり50 U(1 kgあたり250 U)、体重60 kgのヒトにおいては合計15,000 U投与できることになる。ED50の結果から、E型ボツリヌス毒素15,000 UはA型ボツリヌス毒素の1,235 Uに相当する用量であると考えられる。
【0047】
F型ボツリヌス毒素の治療域はA型ボツリヌス毒素より約45倍広く、B型ボツリヌス毒素より約115倍広いことが明らかとなった。つまり、F型ボツリヌス毒素はA型ボツリヌス毒素より約45倍、B型ボツリヌス毒素より約115倍、多くの有効量を安全に投与可能であることが示された。仮に、本試験のTD20をヒトにおける合計投与量の上限として外挿すると、F型ボツリヌス毒素は体重約0.2 kgあたり3,772 U(1 kgあたり18,860 U)、体重60 kgのヒトにおいては合計1,131,600 U投与できることになる。ED50の結果から、F型ボツリヌス毒素1,131,600 UはA型ボツリヌス毒素の16,962 Uに相当する用量であると考えられる。
【0048】
治療域および効果の持続期間を考慮すると、C1型が最も大量投与に適していると考えられ、続いてF型、E型、D型の順で適していると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A型ボツリヌス毒素と比較して多くの有効量を安全に投与可能であることを特徴とするC1、D、EまたはF型ボツリヌス毒素のいずれかから選択されるボツリヌス毒素を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項2】
A型ボツリヌス製剤の投与上限を超える有効量のボツリヌス毒素の投与が可能な請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
当該ボツリヌス毒素が無毒成分を除去した分子量約150 KDaの神経毒素である請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
安定剤としてアルブミン、アミノ酸、糖または界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
当該C1型ボツリヌス毒素を含有する医薬組成物が、体重1 kgあたり1,925 Uまで安全に投与可能な請求項1から4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
当該D型ボツリヌス毒素を含有する医薬組成物が、体重1 kgあたり182,165 Uまで安全に投与可能な請求項1から4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
当該E型ボツリヌス毒素を含有する医薬組成物が、体重1 kgあたり250 Uまで安全に投与可能な請求項1から4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項8】
当該F型ボツリヌス毒素を含有する医薬組成物が、体重1 kgあたり18,860 Uまで安全に投与可能な請求項1から4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の医薬組成物の、斜視、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頚、脳卒中後の麻痺、脳性麻痺、痙性発声障害、痙縮、片頭痛などの頭痛、慢性疼痛、腰痛、骨盤痛、ヘルペス後神経痛、神経障害性の痛み、肩こり、パーキンソン病や多発性硬化症などの発症時に起こる筋弛緩不全、筋膜痛症候群、咀嚼筋攣縮、慢性裂肛、排尿筋・括約筋協調不全、過活動膀胱、前立腺障害、多汗症、歯ぎしり、顔面ミオキミア、チック、局所性ジストニア、霰粒腫、麦粒腫、手根管症候群、血液量増加性唇変形症、外反母趾、内反母趾、足親指異常症、硬着母趾、突発性内反足、ペプシン性潰瘍、胃食道逆流症、食道アカラシア、胃不全麻痺、膣痙、関節症、上顆炎、回旋筋キャップ症、筋膜症、テニス肘、胸郭出口症候群、にきび、神経伝達物質の過剰活動による統合失調症、アルツハイマー病、躁病、鬱病、心血管疾患、先端巨大症、巨人症、クッシング病、性機能亢進症、甲状腺機能亢進病、ゴナドトロピン関連疾患、排卵抑制、精子産生抑制、橋本病、甲状腺炎、甲状腺機能低下症や高カルシウム血症、低カルシウム血症、陰茎持続勃起症、粘液分泌過多、唾液分泌過多、骨腫瘍、糖尿病、膵臓障害、耳鳴、 蝸牛神経異常、メニエル病、癌、育毛、円形脱毛症、自律神経障害、褥瘡、癲癇、減量、子宮障害、肛門挙筋症候群、または糖尿病性神経障害への使用。
【請求項10】
請求項1から8のいずれかに記載の医薬組成物を含有することを特徴とする、斜視、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頚、脳卒中後の麻痺、脳性麻痺、痙性発声障害、痙縮、片頭痛などの頭痛、慢性疼痛、腰痛、骨盤痛、ヘルペス後神経痛、神経障害性の痛み、肩こり、パーキンソン病や多発性硬化症などの発症時に起こる筋弛緩不全、筋膜痛症候群、咀嚼筋攣縮、慢性裂肛、排尿筋・括約筋協調不全、過活動膀胱、前立腺障害、多汗症、歯ぎしり、顔面ミオキミア、チック、局所性ジストニア、霰粒腫、麦粒腫、手根管症候群、血液量増加性唇変形症、外反母趾、内反母趾、足親指異常症、硬着母趾、突発性内反足、ペプシン性潰瘍、胃食道逆流症、食道アカラシア、胃不全麻痺、膣痙、関節症、上顆炎、回旋筋キャップ症、筋膜症、テニス肘、胸郭出口症候群、にきび、神経伝達物質の過剰活動による統合失調症、アルツハイマー病、躁病、鬱病、心血管疾患、先端巨大症、巨人症、クッシング病、性機能亢進症、甲状腺機能亢進病、ゴナドトロピン関連疾患、排卵抑制、精子産生抑制、橋本病、甲状腺炎、甲状腺機能低下症や高カルシウム血症、低カルシウム血症、陰茎持続勃起症、粘液分泌過多、唾液分泌過多、骨腫瘍、糖尿病、膵臓障害、耳鳴、 蝸牛神経異常、メニエル病、癌、育毛、円形脱毛症、自律神経障害、褥瘡、癲癇、減量、子宮障害、肛門挙筋症候群、または糖尿病性神経障害の治療剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−157331(P2011−157331A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22569(P2010−22569)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り Elsevier Ltd.,Toxicon,第55巻,2−3月号(2010年)
【出願人】(000173555)一般財団法人化学及血清療法研究所 (86)
【Fターム(参考)】