説明

高真空発生システムにおける基体の温度を制御するための装置および方法

イオンビームエッチシステム(IBE)などの高真空処理システムにおける基体などの被支持部材の温度の制御を向上させるための装置および方法に関する。この装置は、被支持部材(20)を支持する支持部材(42)から液冷式熱交換部材(44)へ熱を伝達させる、支持部材(42)の温度を制御するための熱電デバイス(70)を備えている。この方法は、液冷式熱交換部材(44)へ熱を伝達する熱電デバイス(70)を用いて、支持部材(42)を冷却することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、高真空発生システムおよび方法に関するものであり、特に高真空発生システムにおけるイオンビーム処理中に、パレット上で支持される基体もしくは一つ以上の基体などの被支持部材の温度を制御するための装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基体は、基体から材料層を除去するイオンビームエッチング、反応性イオンエッチングおよびプラズマエッチングなどの方法、例えば基体上の材料層を蒸着させるイオンビーム蒸着、物理的な蒸気蒸着および化学的な蒸気蒸着などの方法、および基体表面特性を変化させる他の方法によって処理するための高真空発生システムの真空チャンバー内で、支持されている。そうした表面処理方法において、基体は、定盤、チャックまたは電極などの基体支持固定具の上に載置されているかもしくはそれに対して固定されている。処理中、処理される基体には、特にイオンビームエッチシステムにおいて、大量の熱エネルギーが伝達されている。同時に、処理される基体をある程度の温度レベル以下に保つ必要がある。そのため、熱エネルギーを基体支持固定具から伝達させ、そしてシステムの外部へ放出しなければならない。ゆえに、システムの全製品処理能力は、支持固定具の冷却能力によって著しく制限される。熱を生じるビームは、基体を被覆するポリマーもしくは有機絶縁物質から製造された基体などの温感基体材料を提供可能な最大エッチング速度を制限する。
【0003】
磁気記憶装置のための薄手のフィルム磁気ヘッドの製造には、速度が高く、正確さが高いイオンビームエッチング処理が要求されている。例えば薄手のフィルム磁気ヘッドを形成するための反応性イオンエッチングなどの他の方法は、イオンビームエッチングよりもさらに高い速度でも可能なものであるが、イオンビームエッチング処理の正確さは欠如している。しかしながら、高いエッチング速度を実現するイオンビームエッチングを提供することは、非常に商業的に重要であり、より高いエッチング速度を提供するために基体の冷却を向上させなければならない。
【0004】
基体と、裏面熱伝導ガス冷却を使用する従来の基体保持固定具との間の熱伝導は、ほぼ真空もしくは代わりに低圧下において、熱がこの圧力下では良好に伝達されないために非常に難しく、相対的に非効率的なものとなっている。例えば、実際の面同士の間の微小なスケールの接触が、接触面積と同一の広がりを持つごく小さい割合に制限されるため、基体固定具と同一の広がりを持つ表面と基体との間の熱の伝達は遅くかつ非効率的なものとなっている。残りの表面の領域を分離させるギャップによって、伝達が妨げられている。
【0005】
適切な熱伝導に加えて、基体保持固定具は、基体を損傷するかまたは汚損することなく、容易に基体をクランプしかつ解放するものである必要があり、高真空の密閉状態は、基体が熱導伝ガスの漏れを制限するために、クランプされている間中、密閉媒体と真空チャンバーとの間で保持されていなければならない。効果的な熱伝導の欠如は、基体に要求されているよりもさらに低い値へと基体保持固定具の温度を低下することによって補償できる。基体保持固定具は、凝固点の直前の温度まで冷却された純粋な冷却水などの冷却した熱伝導液体を、基体固定具内の狭い流路を介して流通させることによって冷却可能である。
【0006】
このような冷却技術を協働させたにもかかわらず、従来の基体固定具において、高出力イオンビームエッチング処理中に、基体温度が著しく上昇することが防止できなかった。多くの温感材料は、約70℃以上の温度で損なわれることがある。結果的に、入射イオンビームの電流は、イオンビームエッチング処理中に基体を冷却可能にすることによって制限できる。より低い基体の温度は、一般的な凝固点添加剤、例えばエチレングリコールもしくはプロピレングリコールなどを熱伝導液体に付加することによって実現できる。しかしながら、これらの凝固点添加剤を使用することによって、流通液体の粘度が非常に増大させられ、そして熱伝導液体が基体固定具の狭い流路を通って流動する能力を低減させられてしまう。
【0007】
さまざまな、しかし関連する基体温度を制御する問題として、非常に温度感受性が高い例えばガリウム窒化物などの特定の材料のエッチング速度が挙げられる。そのため、エッチング速度を制御するために、イオンビームエッチング処理中に、基体温度を注意深く制御しなければならない。特に、基体温度は、エッチ処理中およびさまざまな基体もしくは基体群の処理を実施する間、ある程度のセルシウス温度の範囲内で制御されることが望ましい。この処理における変化に関連する基体温度を正確に上昇させるかもしくは下降させることはできないため、このレベルの温度制御をガス補助冷却を使用して実現することは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのために、高真空処理装置に使用される従来の熱的に制御された基体固定具、ならびに基体固定具の温度を制御する従来の方法の不利な点もしくは他の不利な点が改善された高真空処理システム(例えばイオンビームエッチング(IBE)システム)において基体温度の制御性が向上された装置および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、概して、高真空処理システム(例えばイオンビームエッチング(IBE)システム)における被支持部材(たとえば基体もしくはパレット)の温度制御を向上させた装置および方法に関するものである。本発明の実施形態によれば、基体を加熱する処理にさらされている被支持部材の温度を制御するための装置が提供される。この装置は第1の部材を有しており、これは、被支持部材および第1の部材と結合された第2の部材を支持するよう構成された表面を有している。第1の部材は、温度制御液体の流動のために構成されたチャネルを含む第2の部材へと伝達された第1の部材からの熱を受け取る。供給通路は、第1の部材の表面と被支持部材との間に形成された熱伝導ガス空間と連通する第1および第2の部材を通って延在している。熱電デバイスが、第1および第2の部材の間に配置されている。個々の熱電デバイスは、表面に近接する第1の部材と接触する第1の面と、液体保持チャネルに近接する第2の部材に接触する第2の面とを形成する。熱電デバイスは、第1の部材の温度が調整され、それによって被支持部材の温度が調整されるように、第1および第2の部材間で熱を伝達する。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、被支持部材の温度を制御するための方法は、被支持部材を加熱するイオンビームに対して被支持部材をさらすことと、基体の裏面と指示部材の表面との間の熱伝導ガス空間内の裏面ガスを用いて、被支持部材から熱を伝達することと、を含んでいる。この方法は、さらに、指示部材から熱伝導部材へ熱を伝達する複数の熱電デバイスを用いて支持表面を冷却し、かつ熱伝導液体の流動によって熱伝導部材を冷却することを含んでいる。
【0011】
本明細書に組み込まれかつその一部を構成する図面は、上述した本発明の概要および後述する実施形態の詳細とともに本発明の実施形態を示し、かつ本発明の原理を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に基づく基体固定具を含む高真空処理システムの一部を示す断面図である。
【図2】図1の基体固定具のキャッププレートと熱交換プレートとの一部をより明確に示す斜視平面図である。
【図3】図1の基体固定具のキャッププレートと熱交換プレートとの一部をより明確に示す斜視底面である。
【図4】現在の熱電冷却器を備えた図2および図3の熱交換プレートの底面である。
【図5】図2および図3のキャッププレートの底面である
【図6】図1の基体固定具の平面斜視図である。
【図7】省略された基体支持パレットにおける図6の基体固定具をより明確に示す平面図である。
【図8】図7における線8−8におおむね沿った、基体固定具上に配置された基体支持パレットの断面図である。
【図9】図7における線9−9におおむね沿った、基体固定具上に配置された基体支持パレットの断面図である。
【図10】図7における線10−10におおむね沿った、基体固定具上に配置された基体支持パレットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、イオンビームエッチングシステムの形態の高真空処理システム10が部分的に示されており、これは、真空排気された処理空間15を封入する真空気密チャンバー壁13を有する真空チャンバーすなわち槽(vessel)12を備えている。チャンバー壁13を通って延在する管状気器を備えるポート14は、真空ポンプ16と連通する処理空間15に圧力をかける。真空ポンプ16は、荷電粒子のイオンビーム18を用いる一つ以上の基体20の処理に適した真空圧に対して、真空槽12の処理空間15を真空排気するための有効なポンプ能力を備えた適切な構成要素を有する。イオンビーム18における荷電粒子は、イオン化作用ガスからイオン源(図示せず)によって発生され、そし基体20の方へ加速させられる正イオンであってもよい。意図された有益な結果を実現するために、イオンビーム18による基体20の衝突によって基体20が処理される。有益な結果に加えて、イオンビーム18は、エッチング処理によって基体20の表面から材料を切り離すために使用することもできる。基体20は、クランプ部材と協働することによって、パレット22が固定された空間関係に固定されており、そしてイオンビーム18を受ける位置における処理空間15の内側に、その空間を占めるよう配置されている。
【0014】
基体チャックすなわち固定具24は、真空槽12の内側の処理空間15内のパレット22およびパレット22上の基体20を支持する。基体固定具24は、チャンバー壁13の端部領域26における密閉開口28を通って延在する管状アクセスコラム26に取り付けられている。アクセスコラム26の上端部は、基体固定具24と密封係合している。アクセスコラム26は、基体固定具24へと電気および流体に関する付帯設備を誘導する管状気器を封入する。
【0015】
基体固定具24は、圧縮ばね30の形態を有する要素を付勢することによって付勢されており、それは、処理空間15内部で、基体固定具24と支持プレート32の間で加圧されている。支持プレート32は、アクセスコラム26に取り付けられている。圧縮羽30は、チャンバー壁13の端部領域から離れる方向へ基体固定具24を付勢する力を出している。二方向エアシリンダーを有する複数のアクチュエータ(図示せず)は、それぞれ、基体固定具24と機械的に結合されたロッド34を移動させるピストンを備えている。ロッド34の動作によって、パレット22と基体固定具24との間に間隙を設けるために圧縮ばね30の付勢力に対して、パレット22関連して基体固定具24が動かされる。処理された基体20と処理されていない基体20とを交換する間、パレット22を持ち上げるかもしくは他の方法で移動させるために、パレット22と基体固定具24との間の間隙の中には、移送機構(図示せず)が挿入されている。
【0016】
基体固定具24は、フレーム36の内側外辺部の内部に配置されている。フレーム36と支持プレート32との間にわたって、支持フレーム36を支持プレート32から間隔を置いて位置させる支柱38が設けられている。フレーム36は、基体固定具24の、切り込みされるかもしくは波形状になされたへり部に配置され固定されたリフトアーム(図示せず)を備えており、これは、図6に最も良く見えるよう示されており、かつフレーム36の内側外辺部から内部方向へ突出している。基体固定具24が支持プレート32の方向へ下降させられるとき、パレット22の角がリフトアームと接触し、それによって、パレット22は、パレット22と支持固定具24との間に必要な間隙を設けるために、支持固定具24から上昇させられる。
【0017】
図2〜図10を参照すると、基体固定具24は、ベース部材すなわちベースプレート40と、支持部材すなわちキャッププレート42と、ベースプレート40とキャッププレート42との間に配置された熱交換部材すなわち熱交換プレート44とを備えている。ベースプレート40および熱交換プレート44は、締結具45(図9)によって組み立てられるように互いに固定されており、締結具45は、ベースプレート40におけるねじ開口41(図9)に結合されかつ熱交換プレート44内の間隙開孔43を通って延在している。O−リング46(図8〜図10)はO−リング溝48(図2)内で封止されており、O−リング溝48は、キャッププレート42の外辺部の周辺に延在し、かつ熱交換プレート44の凹所が形成された上面すなわち面50に外接している。O−リング46は、O−リング溝48内に位置しており、これによって、O−リング46は、キャッププレート42の上面すなわち面52の上で部分的に隆起するようになる。パレット22は、パレット22の底側とキャッププレート42の上面52との間のギャップのように、外縁を密閉しかつ熱伝導ガス空間54(図8〜図10)を形成するために、O−リング46に接触している。本発明は、単一基体(図示せず)を、キャッププレート42によって支持される中間被支持部材のようにパレット22を補助することなく処理可能とすることを意図している。パレット22の欠如において、キャッププレート42によって支持される被支持部材は、その外縁を密閉するO−リング46と直接接触しかつ熱伝導ガス空間54を形成する単一の基体であってもよい。
【0018】
キャッププレートの上面52とは反対側に位置する下面すなわち面56は、キャッププレート42の中央に近接する不連続部を有する複数の細いスペーサーすなわちリブ58と薄手のスペーサーすなわちリブ60とを備えるリブのグリッドを含んでいる。リブ58は、複数の列に配置されており、かつ薄手のリブ60は、リブ58の列を二分するように配置されている。キャッププレート42の下面56からは、リム64が突出しており、それは、キャッププレート42の外縁の周囲に延在しておりかつ凹所65を取り囲んでいる。リブ58,60によって、キャッププレート42に対して構造的な支持がもたらされる。
【0019】
ポスト66が、キャッププレート42の下面56の方へ、熱交換プレート44の上面50から突出している。リブ58,60およびポスト66は、複数(例えば16個)の個別のコンパートメント68となるようにコンパートメントするパーティションのグリッドを形成するためにリム64と協働する。個々のコンパートメント68は、それぞれ、対応する複数の熱電デバイス70(図4)のうちの一つを収容する寸法となっているが、本発明は、熱電デバイス70を収納する個々のコンパートメント68は必要としない。中央に配置されたリブ58は、近接し−隔てられて平行垂直部材となるよう分岐されており、かつリブ58は、熱電デバイス70に対して、経路ワイヤ115(図8)のための電線路を提供する溝によって区分されている。ポスト66内の座ぐり加工されたねじ開口72は、キャッププレート42における間隙開口74と位置合わせさせられる。付加され、位置合わせさせられ、座ぐり加工された一対の間隙開口76とねじ開口72は、それぞれ、キャッププレート42と熱交換プレート44内に設けられている。位置合わせさせられた開口72,74と位置合わせさせられた開口76,78とを介して延在する小さな締結具は、組み立てられたキャッププレート42と熱伝導プレート44を互いに固定されるよう働く。
【0020】
キャッププレート42の上面52は、一般的に平面であり、それによって、熱伝導ガス空間54(図8〜図10)が、実質的に、O−リング46(図8〜図10)によって外接された外周の内側で高さが均一となる。コンパートメント68は、熱電デバイス70がキャッププレート42の上面52に対して実質的に平行な平面内に配置されるように、配置される。
【0021】
熱交換プレート44の上面50と反対側に配置されている、その下面すなわち面81は、中央液体領域82と、熱交換プレート44の外縁に近接する外周液体領域84と、液体領域82を結合する液体チャネル86と、液体領域82,84と外接するリム85と、液体チャネル86とを備えている。液体チャネル86は、熱交換プレート44の下面81によって保持されている薄壁状のパーティション88によって形成されている。パーティション88は、ベースプレート40に接触しており、それによって、液体チャネル86は、部分的に、ベースプレート40の上面すなわち面99によって閉じられている。ベースプレート40のリム85とともに密閉状態をもたらすO−リング90(図8〜図10)は、熱交換プレート44のリム65の周囲に延在するO−リング内に配置されており、かつベースプレート40の下面99と熱交換プレート44との間で加圧されている。
【0022】
ベースプレート40内の液体経路94は、液体注入口96と結合されており、これは、液体排出口98とともに、管継手(fitting)によって形成されている。液体排出口98は、熱交換プレート44の外周液体領域と連通するベースプレート40の上面99から離れている。液体チャネル86は、冷却剤すなわちベースプレート40と熱交換プレート44との間のあらかじめ選択された温度の熱伝導液体95を方向付けるために、中央液体領域82の周囲で、らせん状に曲がっている。液体注入口96は、外部冷却剤源100と導管101によって結合されている。ベースプレート40内の他の流路(図示せず)は、外周液体領域84と連通しており、かつ冷却剤排出部104へと延在している導管103を備えた排出通路102によって結合されている。冷却剤排出部104は、液体チャネル86を通って流動することによって温度が上昇した熱的液体95を処分するか、もしくは再流通させるために温度が上昇した熱的液体95を冷却する。代わりに、熱伝導液体95を、中央液体領域82から外周液体領域84までの方向とは反対の方向に循環させてもよい。液体チャネル86を通って流動する熱伝導液体95は、冷却ユニットから冷却剤源の中へ供給された5℃から10℃に冷却された純水であってもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0023】
ベースプレート40と、キャッププレート42と、熱交換プレート44とを介して延在しているのは中央導入ガス通路106であり、これは、キャッププレート42の上面52上に設けられている。外部ガス源108は、導入ガス通路106を備えた導管によって、パレット22とキャッププレート42との間に形成された熱伝導ガス空間54に結合されている。加圧された例えばヘリウムなどの裏面ガス(backside gas)は、導入ガス通路106を介して移送され、かつ導入ガス通路106から熱伝導ガス空間54へ完全に排出される。ガス流量は、流量制御デバイス109によって調整される。熱伝導位ガス空間54を排出管路(図示せず)に結合するために、中央排出ガス通路110(図9)は、キャッププレート42と熱交換プレート44とを介して延在している。空間54内の裏面熱伝導ガスは、当技術分野において公知の機構によってパレット22とキャッププレート42との間の熱の伝達を容易にする。
【0024】
本発明において、空間54内の熱伝導ガスの空気は、基体20がイオンビーム18もよって処理されている間中、静止していても、もしくは熱伝導ガス空間54を介して動的に流動していてもよいと考えられている。一般的な動的流れデバイスが米国特許第4,949,783号明細書に開示されており、この出願は、この引用によって、その全体が本明細書中に組み込まれるものであり、かつVeeco Instruments Inc. (Woodbury, New York)からFlowcool(商標)という名で高真空処理システムとして市販されている。
【0025】
図4,図8および図10に最も良く示すが、それぞれの熱電デバイス70は、下側支持プレート112、上側支持プレート114と、下側および上側支持プレート112,114の間に延在する多数の熱電要素116とを備えている。熱電要素116は、数百もの異なるn型およびp型半導体のアレイから構成されており、これは、熱的に並列に結合されかつ、結合させるためにその両端において電気的に直列に結合されたnドープドおよびpドープドテルル化ビスマスから形成可能である。下側および上側支持プレート112,114は、相対的に高い熱伝導率を有する薄手のセラミックウエハであってもよく、それは、熱電要素116に剛性および絶縁性に付与する。支持プレート112,114のうちの一つもしくは両方はともが金属被覆を備えており、それは、キャッププレート42もしくは熱伝導プレート44に面していない面、もしくは熱電要素116を電力供給部118のターミナルに電気的に接続するために使用される他の回路インターフェースの上に配置される。通常、これらの電気コネクタは、絶縁ワイヤ115からなる導体によって電力供給部118に結合されており、それは、熱電要素116へと通じている正リード(positive lead)および負リード(negative lead)を構成する。電力供給部118からワイヤ115を通じて供給された電力は、通常、直流(DC)電力である。ワイヤ115は、アクセスコラム26の内腔(lumen)を通って延在しており、かつ通路117を占める電気フィードスルー(図示せず)は、ベースプレート40と熱交換プレート42とを通って延在している。
【0026】
熱電デバイス70の厚さは、キャッププレート42と熱交換プレート44が互いに固定されるとき、リブ58,60およびリム64が熱交換プレート44の上面50に接触せず、かつポスト66が、キャッププレート42の下面56に接触しないよう、リブ58,60およびリム64の咬合高さに関連して選択される。熱電デバイス70は、キャッププレート42と熱交換プレート44との間でクランプされ、それは、コンパートメント68の中で熱電デバイス70の横方向に移動するようにする。キャッププレート42の下面56および熱交換プレート44の上面50は、主に凹所65(図3)によって形成されるギャップおよび狭いギャップによって部分的に分離させられており、それは、リブ58,60およびリム64が熱交換プレート44の上面50に面し、かつポスト66がキャッププレート42の下面56に面する場所にあるが、非常に小さいため図では見ることができない。これらのギャップは、キャッププレート42と熱交換プレート44との間を通る潜在的熱伝導を妨げ、それによって、これらの部材は、互いから実質的に断熱されるようになる。その熱伝導能力を制限する相対的に小さな断面を有する固定具80は、キャッププレート42と熱交換プレート44との間の導電通路のみを提供する。本発明の代替的な実施形態において、固定具80は、キャッププレート42と熱交換プレート44との間の熱伝導をさらに低減させるために、低い熱伝導率によって特徴付けられた非金属または断熱材から形成できる。図6および図7に最も良くしめされた環状ギャップは、さらにこれらの部材間の熱流動を妨げるために、キャッププレート42のリム64の周縁と熱伝導プレート44のリム85の対面内側縁部との間にも設けられている。
【0027】
当業者に公知のペルチェ効果によって作動している熱電デバイス70は、電力供給部18からヒートポンプエネルギーへと電気エネルギーを変換する。特に、下側および上側支持プレート112,114の間に供給された直流電力は、熱電デバイス116が電気エネルギーを熱エネルギーへと変換するように、キャッププレート42から熱電要素116を介して熱交換プレート44へと伝達された熱流量を含む。熱は、熱電要素116を介してかつ支持プレート112,114の間で、チャージキャリアによって伝達される。熱が上側支持プレート114から連続的に吸収され、かつ下側支持プレート112へと熱電要素116によって伝達される場合、熱を吸収する上側支持プレート114を個々の熱電デバイス70の冷間面として規定し、下側支持プレート12を、熱を反射する熱間面と規定する。
【0028】
それぞれの熱電デバイス70の上側支持プレート114は、熱的な接触の共用領域を横断するキャッププレート42からの熱エネルギーすなわち熱を吸収するための熱インターフェースを確実なものとするよう、物理的かつ熱的にキャッププレート42の下面56と接触している。上側支持プレート114は、キャッププレート42からの熱を吸収するため、キャッププレート42の下面56の面積の大部分と接触している。接触する面積は、キャッププレート42の下面56の面積の約90%以上となっている。それぞれの熱電デバイス70の下側支持プレート112は、接触の共用領域にわたる熱電デバイス70から熱交換プレート44への熱を排出するための熱インターフェースを確実なものとするよう、物理的かつ熱的に熱交換プレート44の上面50と接触している。熱電デバイス70の下側支持プレート112と熱伝導プレート44との間、および熱電デバイス70の上側支持プレート114とキャッププレート42との間には、例えば熱グリースもしくはグラファイトパッドなどの熱伝導媒体(図示せず)が、伝達性インターフェースとして作用し、かつこれによって、熱接触状態が潜在的に向上されるように配置される。
【0029】
熱電デバイス70の特性およびその数は、目標とされたキャッププレート42の温度の低減を実現するために調整できる。熱電デバイス70は、Marlow Industries Inc. (Dallas, Texas) から市販されている一連の熱電クーラーのXLTの中から選択することができ、それは、広範囲の温度範囲を超える多数の連続的なサイクルを続けるために適切な耐久性を示している。本発明はこれに限定されるものではないが、本発明の使用に適した特定の熱電デバイス70は、Marlow Industries Inc. (Dallas, Texas)から市販されているモデルXLT2385熱電クーラーであり、これは、熱間面が27℃の温度の状態で、冷間面から熱間面へ56.5℃−dryNの負荷がかかっていない状況に関して最大温度降下を、かつ熱間面が50℃の温度の状態で、冷間面から熱間面へ64.0℃−dryNの負荷がかかっていない状況に関して最大温度降下を実現することができる。熱電デバイス70は、単一ステージ熱電デバイスを備えていてもよく、代わりにスタック式もしくはカスケード式熱電デバイスを備えていてもよい。
【0030】
使用においてかつ図1〜図10を参照して、熱交換ガスは、熱伝導ガス空間54に対して供給され、そして熱伝導液体95は液体チャネル86を通って排出される。液体チャネル86内で熱伝導液体95の流動の冷却効果は、熱交換プレート44およびキャッププレート42の温度を低下させる。熱伝導液体95の流出による温度低下は、さらに、熱交換プレート44およびキャッププレート42によって伝達される。熱電デバイス70は、電力供給部118によって電力を供給されており、それによって、キャッププレート42からそれぞれの熱電デバイス70の上側支持プレート114の方向へ、かつ下側支持プレート112へ熱電デバイス116を介して、熱の伝達もしくは熱の流出が引き起こされる。熱電デバイス70を介する熱伝導は、上側支持プレート114の温度を低下させる。下側および上側支持プレート112,114の間には温度差が存在し、それは、上側支持プレート114から下側支持プレート112の方向において増大させられる。
【0031】
パレット22およびパレット22に保持される入射イオンビーム18は、熱に変換される個々の入射イオンのイオン運動エネルギーの割合によって、熱負荷を表す。熱伝導ガス空間54内の裏面熱伝導ガスは、基体20およびパレット22からキャッププレート42へと熱を伝達させる。発生された熱の多くの部分が、そのすぐ後に、キャッププレート42から個々の熱電デバイス70の上側支持プレート114へ伝達され、それによって、キャッププレート42が冷却される。熱電デバイス70は、基体20の一部から熱の吸収に対応するパレット22の一部に関して温度変化要素として機能するものであり、それは互いに近接している。熱の一部は、キャッププレート42の接触部分と熱交換プレート44との間の熱伝導によって伝達される。熱は、各熱電デバイス70の下側支持プレート112熱交換プレート44と液体チャネル86を通って流動する熱伝導液体95とへ伝達される。熱が加熱された基体20から熱交換プレート44へ伝達されるため、温度勾配が存在する。熱を伝達されることによって、その流入温度から温度が高くなった熱伝導液体95は、外部散逸のために、基体固定具24から熱が取り除かれる。
【0032】
処理された基体20の温度は、キャッププレート42の温度を反映している。熱電デバイス70の存在によって、キャッププレート42と基体固定具24の熱交換プレート44にわたる温度における純降下が増大させられ、これにより、基体20はイオンビーム18にさらされている間、温度が低い状態で維持される。結果的に、熱はさらに効果的に基体20から伝達される。熱電デバイス70によってもたらされた温度の低下がさらに向上されたため、エッチング速度およびシステムの処理能力を増大させるよう、基体20の処理に使用される高真空処理システム10におけるイオンビーム18の電流を増大させてもよい。特定の温感材料(例えばガリウム窒化物)を、基体20を損傷することなく、高真空処理システム10において処理することができる。一般的な凝固点添加剤、例えばエチレングリコールもしくはプロピレングリコールなどを、液体チャネル86を通って流動する熱伝導液体95に付加することなく、基体固定具24の温度を低下することが実現される。
【0033】
本発明の代替的な実施形態において、基体固定具24の全体もしくは一部を回転させかつ/または傾斜させ、それゆえパレット上に保持されるようになる基体20は、イオンビーム10とチャンバー壁13に対応させるために、駆動機構(図示せず)を基体固定具24に結合できる。駆動機構のための電気接続部を、真空槽12内部の駆動機構へ、アクセスコラム26を介して接続することができるが、また、アクセスコラム26を、活動的に、ともに回転しかつ/または傾斜させることもできる。電力供給部118を備えた熱電デバイス70を電気的に結合する電気インターフェースは、多くの場合、固定された構造体と、固定された構造体に対して回転する構造体との間で電気信号を伝送するための信号伝送路を設けるために使用されるスリップリング(図示せず)を備えていてもよい。一般的に、スリップリングは、通常、固定された構造体から回転する構造体へ電流を通すための導電バンドに接触する導電ブラシを備えている。
【0034】
本発明のある実施形態において、基体固定具24は、基体固定具24のキャッププレート42の温度を検出するかもしくは測定する少なくとも一つの温度センサ120(図8)を備えていてもよい。温度センサ120は、温度制御ユニットを形成するために電力供給部118に接続されている温度コントローラー122(図8)に対して、連続的なもしくは断続的な状態で信号をフィードバックするよう、測定された温度を提供する。代わりに、温度フィードバック信号は、高真空処理システム10に関連付けられかつ電力供給部118に接続された他の温度制御ユニット(図示せず)へ提供されてもよい。温度センサ120は、図8に示すように、キャッププレート42に組み込まれていてもよく、もしくは基体固定具24に何らかの方法で熱的に接続されていてもよい。多数の温度センサ120は、キャッププレート42の均一な温度を確実なものとするべく、電力供給部118に対して分散された温度情報を提供するよう、基体固定具24におけるさまざまな位置に配置できる。適切な温度センサ120として、抵抗温度検出器、熱電対、サーミスタ、および赤外線デバイスが上げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明のある実施形態において、温度センサ120は、キャッププレート42のリブ60に熱的に接続された熱電対であってもよい。
【0035】
温度コントローラー122は、通信経路を形成する絶縁導体すなわちワイヤ119を通して温度センサ120から入力される場合に、温度に関する情報を受け取る。温度コントローラー122は、基体20の温度を正確に制御する能力を向上させるために、電力供給部118から熱電デバイス70へと供給される処理電力を調整するよう、温度に関するフィードバック情報を使用することができる。温度コントローラー122は、プログラム可能なシステム、例えば均一な温度で基体固定具24のキャッププレート42と基体20の温度を制御するための有効な命令を実行するようプログラムできるマイクロプロセッサを備えていてもよい。特に、温度コントローラー122は、熱電デバイス70の関する制御信号を計算し、そして電力供給部118へ計算された制御信号を送る。電力供給部118は、熱電デバイス70に供給される電流を変化させることによって、制御信号に応答する。熱電デバイス70を通った電流は、測定された温度および比較制御回路によって定められた温度設定ポイントとの差に対して、必要ならば、電力供給部118によってもしくは温度コントローラー122内に存在するソフトウェア制御によって増大もしくは低減させられる。測定された温度においてもしくはその近傍で、基体固定具24のキャッププレートを保持することは、一定の温度以下で基体20を保持するよう作用する。
【0036】
温度コントローラー122によって実行されたプログラムは、時間の関数として温度を変更するために提供される可能性があり、そして処理中の温度の範囲で基体固定具24のキャッププレート42と基体20とを循環することを含んでもよい。温度コントローラー122は、比例、比例積分(PI)、比例微分(PD)、比例積分偏差(PID)コントローラーであってもよく、それは、温度設定ポイントから測定された温度の偏差に応じて、基体温度を制御するために、温度センサ120からのフィードバックされた情報を使用する。この様式において、センサ120と温度コントローラー122とは、閉ループ制御システムを提供するために協働する。
【0037】
さらに、温度コントローラー122は、熱伝導液体95を液体注入口96そして最終的に液体チャネル96へ流動するよう制御するため、計算しかつ冷却源100に対して付加的な信号を伝送する。また、温度コントローラー122は、熱伝導液体95の温度を制御することができる。
【0038】
拡張された温度制御に関して、温度コントローラー122は、電力供給部118から支持プレート112,114へ流れる電流を逆流することによって、熱電デバイス70が加熱と冷却との間で切り換えられるよう構成されてもよい。温度コントローラー122がバイポーラ処理のために構成されるようになっているこの状態において、熱電デバイス70は、例えば、大気に対して高真空処理システム10の真空槽を通気させる前に、基体固定具を加熱するために使用することもできる。温度コントローラー122は、バイポーラ処理が可能なリレーを備えていてもよい。
【0039】
熱電デバイス70は、電力供給部18に対して、図示するようにワイヤもしくは他の方法で直列に電気的に接続されている。代わりに、熱電デバイス70は、電力供給部118とワイヤもしくは他の方法で並列に接続されていてもよい。本発明の代替的な実施形態において、いくつかの熱電デバイス70は、基体固定具24を冷却するために電力供給部118に連続的に接続されており、そして残りの熱電デバイス70は、基体固定具24を過熱するために連続的に接続されている。基体固定具24を加熱しかつ冷却する能力は、温度制御の正確さを向上させる。電力供給部118は、基体20を保持するパレット22の一部を加熱または冷却することによって、最も近接する基体20(もしくは基体の一部)に関して所望の温度を保持するよう熱電デバイス70を介して電流を制御するため、温度コントローラー122の制御下で作動させられる。熱電デバイス70は、イオンビーム処理からエッチ生成物を揮発させるいくつかの処理において、周囲の温度以上に調節された基体温度を確実なものとするために使用されてもよく、そして、それによって反応性エッチング速度が増大させられる。
【0040】
〔実施例および比較例〕
実質的に基体固定具24と同様の基体固定具は、図1〜図10に示すように配置された16の熱電デバイスのアレイを備えている。熱電デバイスは、Marlow Industries Inc. (Dallas, Texas)によって製造されているモデルXLT2385熱電冷却器である。この熱電冷却器は、基体固定具のキャッププレートを冷却するために、その定格出力の4分の1で作動されている。キャッププレート42の温度は、熱電対でモニターされている。800ボルト(V)のビーム電圧と1200ミリアンペア(mA)のビーム電流とを有するイオンビームが、キャッププレート上に支持された基体の上へ向けられている。960ワットのビーム電力が供給されるイオンビームは、約55nm/minのエッチ速度によって特徴付けられている。イオンビームにさらされている間、熱電対によって測定されるキャッププレートの温度は、50℃未満である。
【0041】
同様の状態下で、かつ比較できるように、熱電デバイスを備えていない基体固定具のキャッププレートによって支持されている基体は、700ボルトのビーム電圧と1100ミリアンペアのビーム電流とを有するイオンビームにさらされている。770ワットのビーム出力を供給されるこのイオンビームは、約45nm/minのエッチ速度によって特徴付けられている。
【0042】
さまざまな実施形態の記述によって示された本発明全体および非常に詳しく記載されたこれらの実施形態全体は、出願人の意思を制限するもの、すなわち、決して、明細書に対して付加された特許請求の範囲を制限するものではない。付加的な利点および変更は、当業者であれば容易に想到するであろう。したがって、そのより範囲の広い態様において、本発明は上記詳細な説明、代表的な装置および方法、ならびに図示しかつ説明した実施例に限定されるものではない。したがって、実施例は、出願人の主な発明のコンセプトの趣旨および範囲から外れることなくそうした細部をさまざまに変更できる。
【符号の説明】
【0043】
10 高真空処理システム
12 槽
13 チャンバー壁
14 ポート
15 処理空間
16 真空ポンプ
18 イオンビーム
20 基体
22 パレット
24 基体固定具
26 アクセスコラム
28 密閉開口
30 圧縮ばね
32 支持プレート
34 ロッド
36 フレーム
38 支柱
40 ベースプレート
41 ねじ開口
42 キャッププレート
43 間隙開孔
44 熱交換プレート
45 締結具
46 O−リング
48 O−リング溝
50 上面
52 上面
54 熱伝導ガス空間
56 下面
58,60 リブ
64 リム
65 凹所
66 ポスト
68 コンパートメント
70 熱電デバイス
72,74 ねじ開口
76,78 間隙開口
80 固定具
81 下面
82 中央液体領域
84 外周液体領域
85 リム
86 液体チャネル
88 パーティション
90 O−リング
94 液体経路
95 熱伝導液体
96 液体注入口
98 液体排出口
99 上面
100 外部冷却剤源
101 導管
102 排出通路
103 導管
104 冷却剤排出部
106 導入ガス通路
108 外部ガス源
109 流量制御デバイス
110 中央排出ガス通路
112 下側支持プレート
114 上側支持プレート
115 絶縁ワイヤ
116 熱電要素
117 通路
118 電力供給部
119 ワイヤ
120 温度センサ
122 温度コントローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被支持部材を加熱する処理を受ける前記被支持部材の温度を制御するための装置であって、
前記装置は、
前記被支持部材を支持するよう構成された表面を有する支持部材であって、前記表面に対して移動させられた、前記被支持部材からの熱を受け取る支持部材と、
前記支持部材と結合されている熱伝導部材であって、温度制御液体の流動のために構成されたチャネルを備えている熱伝導部材と、
前記支持部材の前記表面と被支持部材との間に形成された熱伝導ガス空間と連通する前記支持および熱伝導部材を通って延在する供給通路と、
前記支持および熱伝導部材の間に配置された複数の熱電デバイスと、を具備してなり、
前記熱電デバイスのそれぞれが、前記表面に近接する前記支持部材に接触する第1の面と、前記チャネルに近接する前記熱伝導部材に接触する第2の面とを有しており、かつ前記熱電デバイスのそれぞれが、前記支持部材の温度を調節するために、前記第1および第2の面の間で熱を伝達するようになっていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記支持部材の温度を検出し、かつ検出された温度に関連する電気信号を発生するための、少なくとも一つの温度センサを、さらに具備してなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電気信号を受信するための前記温度センサへと接続されており、かつ前記熱電デバイスと接続されている温度制御ユニットを、さらに具備してなり、前記温度制御ユニットは、前記支持部材の温度を制御するために、前記電気信号に基づいて前記熱電デバイスへと供給される電力を調整するよう構成されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記熱電デバイスは、前記温度制御ユニットと直列に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記熱電デバイスは、前記温度制御ユニットと平行に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記熱電デバイスは、前記支持部材の前記表面と、前記熱伝導部材内の前記チャネルとの間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
個々の前記熱電デバイスの前記第1の面は冷間面であり、かつ個々の前記熱電デバイスの前記第2の面は熱間面であり、前記支持部材を冷却するために前記冷間面から前記熱間面へと熱を伝達されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記支持および熱伝導部材は、複数のコンパートメントに境界付けられており、前記コンパートメントのそれぞれは、前記熱電デバイスのうちの対応するものを収容していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記支持部材は、周縁リムと、前記コンパートメントを形成するための前記周縁リムによって外接されているリブのグリッドと、を具備してなることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記コンパートメントは、前記熱電デバイスが前記支持部材の前記表面と実質的に平行な平面内に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記熱電ガス空間と連通する排出通路をさらに具備してなり、前記排出通路は、前記供給通路から排出通路への熱伝導ガスの流動を可能とするようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記支持部材は、前記第1の部材および熱伝導部材の間での直接的な熱伝導を制限するギャップによって、前記熱伝導部材から分離させられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記熱電デバイスは、前記ギャップを形成するために、前記第1および熱伝導デバイスを分離させられていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
被支持部材の温度を制御するための方法であって、
前記方法は、
前記被支持部材を加熱するイオンビームに対して、前記被支持部材をさらすことと、
前記被支持部材の裏面と支持部材の表面との間の熱伝導ガス空間内の裏面ガスを用いて、前記被支持部材からの熱を伝達することと、
前記支持部材から熱交換部材へと熱を伝達させる複数の熱電デバイスを用いて前記支持部材を冷却することと、
熱伝導液体の流動によって前記熱交換部材を冷却することと、
を具備することを特徴とする方法。
【請求項15】
前記イオンビームにさらされている間中、冷却されることとなる前記被支持部材に対して基準温度を特定することと、
前記被支持部材の温度を代表する温度を測定することと、
前記基準温度と測定された温度との差を補償するために熱電デバイスの作動を制御することと、
をさらに具備することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記被支持部材の温度を代表する温度を測定することは、さらに、前記支持部材の温度を測定することを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記イオンビームによって前記被支持部材に対して供給されるパワーを増大させることと、
増大させられた供給されるパワーを補償するために、代表温度を低下させることと、
をさらに具備することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
さらに、前記熱電デバイスを用いて前記支持部材を加熱することと、
大気圧まで、前記支持部材を収納する真空槽を通気させることと、
を具備することを特徴とする請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−540580(P2009−540580A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514550(P2009−514550)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/070728
【国際公開番号】WO2007/146782
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(507414535)ビーコ・インスツルメンツ・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】